以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この実施の形態は、静電潜像担持体としての感光体ドラムの帯電及び露光、当該感光体ドラム上に形成された静電潜像のトナーによる現像、得られたトナー画像の記録媒体上への転写、当該記録媒体上のトナー画像の定着といったプロセスを経ることにより、画像形成を行う電子写真記録方式の画像形成装置である。なお、以下では、説明の便宜上、感光体ドラムに光を照射して露光する光源(発光半導体素子)として、複数の発光ダイオード(Light Emitting Diode;以下、LED素子という。)からなる列を備えた画像形成装置を取り上げ、これらLED素子を被駆動素子として本発明を適用した場合について説明するものとする。
まず、本発明の第1の実施の形態として示す画像形成装置について説明する。この画像形成装置は、LEDヘッドにおけるLED素子のカソード端子とアノード端子との間に印加する電圧値の最適化を図ることにより、LED素子の高速オン/オフ駆動を可能とした状態で意図しない誤発光を確実に防止し、信頼性の向上を図るものである。
画像形成装置は、図1に要部構成を示すLEDヘッド100を備える。LEDヘッド100は、1ドット(ピクセル)の印字のために設けられたLED素子を複数個線状に配列したものである。具体的には、LEDヘッド100は、1インチあたり600ドットの解像度でA4サイズの用紙に印刷可能である場合には、図23に示したLEDヘッド1019と同様に、4992ドット、すなわち、4992個のLED素子LED1,LED2,・・・,LED4992を配設するために、それぞれ192個のLED素子が配列された26個のLEDアレイチップと、これら各LEDアレイチップを駆動するための26個の駆動IC(Integrated Circuit;モノシリック集積回路)とから構成される。
なお、以下では、特に図示しないが、説明の便宜上、26個のLEDアレイチップをそれぞれLEDアレイチップCHP1,CHP2,・・・,CHP26と称するとともに、26個の駆動ICをそれぞれ駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26と称するものとする。
駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26は、それぞれ、当該LEDヘッド100の主走査方向に対して等ピッチで所定のプリント配線基板上に配設される。各駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26は、同一回路によって構成され、隣接する駆動ICとカスケード接続されている。一方、LEDアレイチップCHP1,CHP2,・・・,CHP26は、駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26のそれぞれと対向して、これら駆動IC DRV1,DRV2,・・・,DRV26が配設されたプリント配線基板上に配設される。そして、LEDヘッド100は、これらLEDアレイチップCHP及び駆動IC DRVが、それぞれ互いに接続されて構成される。また、LEDアレイチップCHPにおいては、それぞれ、192個のLED素子を、奇数番目のLED素子のグループと偶数番目のLED素子のグループとに分割し、奇数番目のLED素子のカソード端子同士が接続されるとともに、偶数番目のLED素子のカソード端子同士が接続され、さらに、隣接して配置される2個のLED素子のアノード端子同士が接続され、奇数番目のLED素子と偶数番目のLED素子とが時分割に2分割駆動される。
すなわち、図1に示すLEDヘッド100において、LED素子LED1,LED2,LED3,LED4,・・・,LED4991,LED4992のうち、LED素子LED1のアノード端子は、LED素子LED2のアノード端子に接続され、これら接続されたアノード端子は、駆動IC DRV1の端子DO1に接続される。また、LED素子LED3のアノード端子は、LED素子LED4のアノード端子に接続され、これら接続されたアノード端子は、駆動IC DRV1の端子DO2に接続される。以下同様に、LED素子LED4991のアノード端子は、LED素子LED4992のアノード端子に接続され、これら接続されたアノード端子は、駆動IC DRV26の端子DO96に接続される。また、LED素子LED1,LED3,・・・,LED4991のカソード端子同士は接続され、これら接続されたカソード端子は、当該カソード端子とグラウンドとを選択的に接続するスイッチ手段として作用するNチャネルMOS(Metal-Oxide Semiconductor)トランジスタ109のドレーン端子に接続される。同様に、LED素子LED2
,LED4,・・・,LED4992のカソード端子同士は接続され、これら接続されたカソード端子は、当該カソード端子とグラウンドとを選択的に接続するスイッチ手段として作用するNチャネルMOSトランジスタ110のドレーン端子に接続される。また、NチャネルMOSトランジスタ109,110のソース端子は、グラウンドに接続されている。
さらに、NチャネルMOSトランジスタ109のゲート端子は、図23に示したLEDヘッド1019と同様に、第1段目の駆動IC DRV1のここでは図示しない端子KDRVに接続され、NチャネルMOSトランジスタ110のゲート端子は、第2段目の駆動IC DRV2の端子KDRVに接続されている。NチャネルMOSトランジスタ109のゲート端子には、LED素子LED1,・・・等の奇数番目のLED素子を選択的に駆動する制御を行うために、第1段目の駆動IC DRV1の端子KDRVから制御信号ODDが供給される。一方、NチャネルMOSトランジスタ110のゲート端子には、LED素子LED2,・・・等の偶数番目のLED素子を選択的に駆動する制御を行うために、第2段目の駆動IC DRV2の端子KDRVから制御信号EVENが供給される。さらにまた、LEDヘッド100においては、NチャネルMOSトランジスタ109のドレーン端子と所定の電源VDDとの間に抵抗111が接続されるとともに、NチャネルMOSトランジスタ110のドレーン端子と電源VDDとの間に抵抗112が接続されている。これら抵抗111,112の抵抗値は、それぞれ、例えば2kΩ〜20kΩ程度とされ、より望ましくは、4kΩ〜5kΩとされる。
また、LEDヘッド100は、ダイオード121,122を備える。これらダイオード121,122は、それぞれ、シリコン素材からなり、その順方向電圧が約0.6V程度の特性を有するものである。なお、LED素子LED1,・・・の発光状態での順方向電圧は約1.6Vであるのに対して、ダイオード121,122の順方向電圧は約0.6Vであるのは、LED素子LED1,・・・は、化合物半導体に形成されたダイオードであるのに対して、ダイオード121,122は、シリコン半導体に形成されたダイオードであることによる。すなわち、LED素子LED1,・・・の順方向電圧とダイオード121,122の順方向電圧とが異なるのは、LED素子LED1,・・・を構成する化合物のエネルギバンドギャップと、ダイオード121,122を構成するシリコンのエネルギバンドギャップとが異なるためである。なお、LED素子LED1,・・・のエネルギバンドギャップは、発光波長によって異なり、発光波長が短いものを選択するのにともなって大きくなり、その順方向電圧も大きくなる。これらダイオード121,122のうち、ダイオード121のアノード端子は、NチャネルMOSトランジスタ109のドレーン端子に接続され、そのカソード端子は、グラウンドに接続されている。また、ダイオード122のアノード端子は、NチャネルMOSトランジスタ110のドレーン端子に接続され、そのカソード端子は、グラウンドに接続されている。
さて、このようなLEDヘッド100において、NチャネルMOSトランジスタ109がオン状態であり、NチャネルMOSトランジスタ110がオフ状態となった場合を考える。なお、図2においては、オフ状態にあるNチャネルMOSトランジスタ110を破線で示している。
このとき、LEDヘッド100においては、NチャネルMOSトランジスタ110がオフ状態であることから、同図中一点鎖線で示すように、電源VDDから抵抗112並びにダイオード122のアノード端子及びカソード端子を介してグラウンドへと至る電流経路が形成される。したがって、ダイオード122は、順バイアス状態にあり、その順方向電圧は、上述したように、約0.6Vである。同図においては、これにより生じる電位差を矢印を用いて示している。なお、電源VDDから抵抗111又は抵抗112を介してグラウンドに流れる電流は、1mA〜2mA程度と小さく、LEDヘッド100の全体的な電流値は実質的に変化しない。
ここで、LEDヘッド100においては、図24に示したタイムチャートを用いて説明したように、同図中C部において、ラッチ信号HD−LOADが立ち上がり、これに引き続いて同図中D部において、駆動IC DRV1の端子KDRVから出力される制御信号ODDがローレベルからハイレベルへと遷移するとともに、同図中E部において、駆動IC DRV2の端子KDRVから出力される制御信号EVENがハイレベルからローレベルへと遷移することになる。この結果、NチャネルMOSトランジスタ109は、オン状態となる一方で、NチャネルMOSトランジスタ110は、オフ状態となる。
さらに、LEDヘッド100においては、所定の待ち時間の経過後に、同図中F部に示したように、LED素子の駆動を指示するための印刷駆動信号HD−STB−Nが入力されることから、図2中破線で示すように、駆動IC DRV1の端子DO1から出力されたLED素子LED1を駆動するための駆動電流I1が流れる。同様に、LEDヘッド100においては、他の奇数番目のLED素子LED3,LED5,・・・,LED4991等についても、図示しない上位の印刷制御部から送出される印刷データに基づいて、駆動IC DRV,・・・,DRV26の各端子DO1,・・・,DO96から出力される駆動電流によって発光駆動されることになる。
ここで、図2に示すように、LED素子LED1のアノード端子とカソード端子との間に印加される順方向電圧をVF1とし、LED素子LED2のアノード端子とカソード端子との間に印加される電圧をVF2とする。LED素子LED1,LED2のアノード端子同士は接続されていることから、両者のアノード電位は等しく、上述したように、発光状態にあるLED素子LED1の順方向電圧である約1.6Vと等しい。一方、NチャネルMOSトランジスタ109はオン状態にあることから、LED素子LED1のカソード電位は、略0Vであり、これに対してLED素子LED2のカソード電位は、約0.6Vとなっている。
この状態において、LED素子LED1,LED2のそれぞれに流れる電流値を評価するために、LED素子LED1に流れる電流をIF1とし、LED素子LED2に流れる電流をIF2として、これら両者の比を試算する。
電子物性の理論において周知であるように、順バイアス状態にあるLED素子LED1に流れる電流IF1は、次式(1)によって表すことができる。
上式(1)において、Ioは、LED素子のPN接合面積等に依存して決まる飽和電流を示し、ここでは定数とみなすことができる。また、LED素子LED1,LED2は、それぞれのPN接合面積も相等しく設定されることから、両者の飽和電流値もまた等しいことになる。さらに、上式(1)において、qは、電子の電荷を示し、約1.6×10−19[C]であり、nは、エミッション係数を示し、1〜2の間の値をとる。また、上式(1)において、kは、ボルツマン定数を示し、約1.38×10−23[J/K]であり、Tは、絶対温度を示し、室温27℃のとき約300[K]である。
同様に、LED素子LED2についても、その順方向電圧VF2と上述したダイオード122の順方向電圧(約0.6V)との和が、LED素子LED1の順方向電圧VF1と等しくなることから、容易に算出することができる。すなわち、LED素子LED2に流れる電流IF2は、次式(2)によって表すことができる。
したがって、LED素子LED1,LED2に流れる電流値の比は、容易に算出することができ、エミッション係数nを2とした場合であっても、
となる。
このような試算から明らかなように、LEDヘッド100においては、非点灯としたいLED素子LED2の電流経路に対して、ダイオード122による順方向電圧(約0.6V)程度の電位を印加することにより、非点灯とすべきLED素子LED2の電流値を、点灯状態にあるLED素子LED1の電流値の10万分の1程度以下にすることができる。したがって、このような微小電流によるLED素子LED2の発光は、事実上無視することができる。
同様に、LEDヘッド100においては、LED素子LED1を非点灯としてLED素子LED2を点灯する場合には、ダイオード122に代えてダイオード121を順方向にバイアスさせるように、当該LED素子LED1の電流経路に対して、ダイオード121による順方向電圧(約0.6V)程度の電位を印加することにより、非点灯とすべきLED素子LED1の電流値を、点灯状態にあるLED素子LED2の電流値の10万分の1程度以下にすることができる。したがって、このような微小電流によるLED素子LED1の発光は、事実上無視することができる。
このようなLED100を用いて印刷動作を行う場合のタイムチャートを図3に示す。
すなわち、LEDヘッド100においては、図3中A部に示すように、LED素子の時分割駆動の開始に先だって、同期信号HD−HSYNC−Nが入力される。続いて、LEDヘッド100においては、ここでは図示しないが、奇数番目のLED素子の駆動データ(Odd印字データ)を転送するため、クロック信号HD−CLKに同期して印字データ信号HD−DATA3〜HD−DATA0が入力される。
そして、LEDヘッド100においては、1回目のLED素子の駆動に必要である奇数ドットのデータの転送が完了すると、同図中C部に示すように、ラッチ信号HD−LOAD信号が入力され、駆動IC DRV内に設けられたシフトレジスタを介して入力されたデータが当該駆動IC DRV内に設けられたラッチ回路にラッチされる。このとき、LEDヘッド100においては、NチャネルMOSトランジスタ109,110を介してLED素子のコモンカソード端子のグラウンドへの接続オン/オフを切り替えるために、当該NチャネルMOSトランジスタ109に供給される制御信号ODD、及びNチャネルMOSトランジスタ110に供給される制御信号EVENが、駆動IC DRV1,DRV2のそれぞれの端子KDRVから出力される。
なお、LEDヘッド100においては、26個の駆動IC DRV1,・・・が全て同一の構成からなるものであるため、これら駆動IC DRV1,・・・に対する光量補正データの格納過程において、端子KDRVから出力される2種類の制御信号のうち、いずれの制御信号を出力すべきであるかを示すカソード選択データも同時に格納される。このカソード選択データは、駆動IC DRV1についてはローレベル(論理値0)に設定され、駆動IC DRV2についてはハイレベル(論理値1)に設定される。このとき、LEDヘッド100においては、駆動IC DRV1の端子KDRVから出力される制御信号ODDがNチャネルMOSトランジスタ109のゲート端子に入力され、LED素子LED1,LED3,・・・,LED4991等の奇数番目のLED素子を選択的に駆動する制御が行われる。また、LEDヘッド100においては、駆動IC DRV2の端子KDRVから出力される制御信号EVENがNチャネルMOSトランジスタ110のゲート端子に入力され、LED素子LED2,LED4,・・・,LED4992等の偶数番目のLED素子を選択的に駆動する制御が行われる。LEDヘッド100においては、同図中C部に示すように、ラッチ信号HD−LOADが立ち上がるのにともない、同図中D部に示すように、駆動IC DRV1の端子KDRVから出力される制御信号ODDがローレベルからハイレベルへと遷移し、これと同時に、同図中E部に示すように、駆動IC DRV2の端子KDRVから出力される制御信号EVENがハイレベルからローレベルへと遷移する。この結果、NチャネルMOSトランジスタ109は、オン状態となる一方で、NチャネルMOSトランジスタ110は、オフ状態となる。
さらに、LEDヘッド100においては、所定の待ち時間の経過後に、同図中F部に示すように、LED素子の駆動を指示するための印刷駆動信号HD−STB−Nが入力される。この状態において、LEDヘッド100においては、制御信号ODDがハイレベルとなっており、また、制御信号EVENがローレベルとなっていることから、NチャネルMOSトランジスタ109がオン状態となる一方で、NチャネルMOSトランジスタ110がオフ状態となる。したがって、LEDヘッド100においては、LED素子LED1,LED3,・・・,LED4991等の奇数番目のLED素子のカソード端子からグラウンドへの電流経路が形成される。これに対して、LEDヘッド100においては、LED素子LED2,LED4,・・・,LED4992等の偶数番目のLED素子のカソード端子からグラウンドへの電流流路は形成されない。そのため、LEDヘッド100においては、駆動IC DRV1の端子DO1からLED素子を駆動するための駆動電流が出力された場合には、その駆動電流は、LED素子LED1のアノード端子及びカソード端子を経て、さらに、NチャネルMOSトランジスタ109のドレーン端子及びソース端子を介してグラウンドへと至ることになる。これにより、画像形成装置においては、LED素子LED1が発光して感光ドラム上の静電潜像を形成し、印刷ドットを発生する。なお、LEDヘッド100においては、LED素子LED2には電流経路が形成されないことから、LED素子LED1の発光状態には何ら影響を与えることはない。
また、LEDヘッド100においては、ここでは図示しないが、同図中C部に引き続いて偶数番目のLED素子の駆動データ(Even印字データ)を転送するため、クロック信号HD−CLKに同期して印字データ信号HD−DATA3〜HD−DATA0が入力される。続いて、LEDヘッド100においては、偶数ドットのデータの転送が完了すると、同図中H部に示すように、ラッチ信号HD−LOAD信号が入力され、シフトレジスタを介して入力されたデータがラッチ回路にラッチされる。そして、LEDヘッド100においては、所定の待ち時間の経過後に、同図中K部に示すように、LED素子の駆動を指示するための印刷駆動信号HD−STB−Nが入力される。LEDヘッド100においては、同図中H部に示すように、ラッチ信号HD−LOADが立ち上がるのにともない、制御信号ODD,EVENが駆動IC DRV1,DRV2のそれぞれの端子KDRVから出力される。
そして、LEDヘッド100においては、同図中H部に示すラッチ信号HD−LOADの立ち上がりの結果、同図中I部に示すように、駆動IC DRV1の端子KDRVから出力される制御信号ODDがハイレベルからローレベルへと遷移し、これと同時に、同図中J部に示すように、駆動IC DRV2の端子KDRVから出力される制御信号EVENがローレベルからハイレベルへと遷移する。この結果、LEDヘッド100においては、NチャネルMOSトランジスタ109がオフ状態となる一方で、NチャネルMOSトランジスタ110がオン状態となる。これにともない、LEDヘッド100においては、LED素子LED2,LED4,・・・,LED4992等の偶数番目のLED素子のカソード端子からグラウンドへの電流経路が形成される。これに対して、LEDヘッド100においては、LED素子LED1,LED3,・・・,LED4991等の奇数番目のLED素子のカソード端子からグラウンドへの電流流路は形成されなくなる。そのため、LEDヘッド100においては、駆動IC DRV1の端子DO1からLED素子を駆動するための駆動電流が出力された場合には、その駆動電流は、LED素子LED2のアノード端子及びカソード端子を経て、さらに、NチャネルMOSトランジスタ110のドレーン端子及びソース端子を介してグラウンドへと至ることになる。これにより、画像形成装置においては、LED素子LED2が発光して感光ドラム上の静電潜像を形成し、印刷ドットを発生する。この場合、LEDヘッド100においては、LED素子LED1には電流経路が形成されないことから、LED素子LED2の発光状態には何ら影響を与えることはない。
LEDヘッド100においては、このようにして、複数のLED素子のうち、奇数番目のLED素子と偶数番目のLED素子とを順次時分割に2分割駆動することにより、1ライン分のLED素子の駆動を行うことができる。
このような動作を行う際の奇数番目のLED素子のカソード端子信号ODD−Kと、偶数番目のLED素子のカソード端子信号EVEN−Kは、それぞれ、図3に示すようになる。なお、同図に示すカソード端子信号ODD−K,EVEN−Kにおいて、破線で示すものは、先に図25に示した構成と同様に、ダイオード121,122を設けていない従来の場合における波形であり、実線で示すものは、ダイオード121,122を設けた場合における波形である。
これら両波形を比較して明らかなように、従来のLEDヘッドにおいては、図3中L部及びM部に示すように、非点灯状態にあるLED素子のカソード端子電位が、電源電圧VDDに等しい5Vまで上昇してしまうのに対して、図1に示したLEDヘッド100においては、高々、ダイオード121又はダイオード122の順方向電圧に等しい約0.6V程度に制限されることになる。このように、LEDヘッド100においては、非点灯状態にあるLED素子に対して絶対最大定格を越える逆方向電圧を印加してしまうことをなくすことができる。
このように、LEDヘッド100においては、ダイオード121,122を設けることにより、非点灯状態にあるLED素子に対する逆方向電圧の印加を解消することができる。なお、LEDヘッド100においては、ダイオード121,122として、非点灯状態にあるLED素子に対する逆方向電圧の印加を解消することができるものであれば、その順方向電圧が約0.6V程度のものに限らず、任意の定格のものを用いることができる。すなわち、LEDヘッド100においては、非点灯としたい所定の定格におけるLED素子のカソード端子と当該LED素子が接続されるNチャネルMOSトランジスタとの間に、当該LED素子の逆方向印加電圧の最大定格値と順方向電圧との和未満で、且つ、当該LED素子の点灯電流値と非点灯電流値とのそれぞれに対応する電圧値の差の電圧値以上の電圧を印加するように、抵抗111,112やダイオード121,122の定格等を選択すればよい。
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態として示す画像形成装置のLEDヘッド100においては、LED素子のカソード端子を抵抗111,112を用いてプルアップさせる一方で、その電位上昇を制限するための回路手段として、ダイオード121,122を設けることにより、非点灯状態にあるLED素子に対する逆方向電圧の印加を解消することができる。したがって、このLEDヘッド100においては、長期的にLED素子の製造段階で内在していた結晶欠陥箇所を増大させ、光量低下を招来するストレス要因となる問題を未然に防止することが可能となることから、印刷品位の向上や寿命の延長を図ることができる。また、LEDヘッド100においては、LED素子のカソード端子の電位上昇を制限するための回路手段として、ダイオード121,122のみを用いればよいことから、低コストでありながら、優れた信頼性を実現することができる。
なお、LEDヘッド100においては、ダイオード121,122を用いる代わりに、当該ダイオード121,122と同様の動作を行うように、トランジスタを接続するようにしてもよい。
また、LEDヘッド100においては、スイッチ手段として作用するNチャネルMOSトランジスタ109,110、抵抗111,112、及びダイオード121,122等については集積回路化することなく、ディスクリートの素子で構成することができるため、ダイオード等の使用する素子、及びダイオードの定格等の特性値を自由に選択可能である。
さらに、LED素子に接続される「電源」は、望ましくは電流源ではあるが、電流源又は電圧源のいずれであってもよい。また、LED素子の「端子」には、所定の電位差をもって電圧が印加されればよいことから、正電位、グラウンド電位、又は負電位のいずれもが印加される場合がある。すなわち、LED素子の「端子」に接続される「電源」は、LED素子にその端子を介して電気的エネルギを供給する電気的エネルギ供給源として位置付けられるものであり、第1の電源及び第2の電源とは、互いに異なる電位が印加されることを意味するものである。
つぎに、第2の実施の形態として示す画像形成装置について説明する。
この第2の実施の形態として示す画像形成装置は、LED素子のカソード端子の電位上昇を制限するための回路手段として、ダイオードではなく抵抗を用いるものである。したがって、この第2の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態の説明と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
第2の実施の形態として示す画像形成装置においては、LEDヘッドとして、図4に示すような構成のものを用いる。
すなわち、このLEDヘッド200は、第1の実施の形態にて説明したダイオード121,122に代えて、抵抗201,202を備える。これら抵抗201,202のうち、抵抗201の一端は、NチャネルMOSトランジスタ109のドレーン端子に接続され、その他端は、グラウンドに接続されている。また、抵抗202の一端は、NチャネルMOSトランジスタ110のドレーン端子に接続され、その他端は、グラウンドに接続されている。
このようなLEDヘッド200において、NチャネルMOSトランジスタ109がオン状態であり、NチャネルMOSトランジスタ110がオフ状態となった場合を考える。なお、図5においては、オフ状態にあるNチャネルMOSトランジスタ110を破線で示している。
このとき、LEDヘッド200においては、NチャネルMOSトランジスタ110がオフ状態であることから、同図中一点鎖線で示すように、電源VDDから抵抗112及び抵抗202を介してグラウンドへと至る電流経路が形成される。かかる電流経路から明らかなように、NチャネルMOSトランジスタ110のドレーン電位は、抵抗112,202によって電源電圧VDDを分圧した値となる。この抵抗112に対する抵抗202の抵抗値の比は、電源電圧VDDを分圧する電圧値によって決まるが、例えば、抵抗112の抵抗値が2kΩ〜20kΩ程度である場合には、抵抗202の抵抗値は、200Ω〜2kΩとされる。ここでは、NチャネルMOSトランジスタ110のドレーン電位が、第1の実施の形態にて説明したダイオードの順方向電圧と同様に約0.6Vとなるように、抵抗112,202の抵抗値の比を設定するものとする。同図においては、これにより生じる電位差を矢印を用いて示している。なお、この電圧値は、設計例の1つに過ぎず、LEDヘッド200においては、その目的とするところに応じて、自由に設定できることはいうまでもない。この電圧値の設定については、後述するものとする。
このようなLEDヘッド200においては、図24に示したタイムチャートを用いて説明したように、同図中C部において、ラッチ信号HD−LOADが立ち上がり、これに引き続いて同図中D部において、駆動IC DRV1の端子KDRVから出力される制御信号ODDがローレベルからハイレベルへと遷移するとともに、同図中E部において、駆動IC DRV2の端子KDRVから出力される制御信号EVENがハイレベルからローレベルへと遷移することになる。この結果、NチャネルMOSトランジスタ109は、オン状態となる一方で、NチャネルMOSトランジスタ110は、オフ状態となる。
さらに、LEDヘッド200においては、所定の待ち時間の経過後に、同図中F部に示したように、LED素子の駆動を指示するための印刷駆動信号HD−STB−Nが入力されることから、図5中破線で示すように、駆動IC DRV1の端子DO1から出力されたLED素子LED1を駆動するための駆動電流I1が流れる。同様に、LEDヘッド200においては、他の奇数番目のLED素子LED3,LED5,・・・,LED4991等についても、図示しない上位の印刷制御部から送出される印刷データに基づいて、駆動IC DRV,・・・,DRV26の各端子DO1,・・・,DO96から出力される駆動電流によって発光駆動されることになる。
ここで、図5に示すように、LED素子LED1のアノード端子とカソード端子との間に印加される順方向電圧をVF1とし、LED素子LED2のアノード端子とカソード端子との間に印加される電圧をVF2とする。LED素子LED1,LED2のアノード端子同士は接続されていることから、両者のアノード電位は等しく、上述したように、発光状態にあるLED素子LED1の順方向電圧である約1.6Vと等しい。一方、NチャネルMOSトランジスタ109はオン状態にあることから、LED素子LED1のカソード電位は、略0Vであり、これに対してLED素子LED2のカソード電位は、約0.6Vとなっている。
この状態において、LED素子LED1,LED2のそれぞれに流れる電流値を評価し、これら両者の比を試算すると、第1の実施の形態にて説明したように、非点灯としたいLED素子LED2の電流経路に対して、抵抗202の両端電圧(約0.6V)程度の電位を印加することにより、非点灯とすべきLED素子LED2の電流値を、点灯状態にあるLED素子LED1の電流値の10万分の1程度以下にすることができる。したがって、このような微小電流によるLED素子LED2の発光は、事実上無視することができる。
同様に、LEDヘッド200においては、LED素子LED1を非点灯としてLED素子LED2を点灯する場合には、当該LED素子LED1の電流経路に対して、抵抗201の両端電圧(約0.6V)程度の電位を印加することにより、非点灯とすべきLED素子LED1の電流値を、点灯状態にあるLED素子LED2の電流値の10万分の1程度以下にすることができる。したがって、このような微小電流によるLED素子LED1の発光は、事実上無視することができる。
また、LEDヘッド200においては、第1の実施の形態にて説明したように、非点灯状態にあるLED素子のカソード端子電位が、高々、抵抗201又は抵抗202の両端電圧に等しい約0.6V程度に制限されることになることから、非点灯状態にあるLED素子に対して絶対最大定格を越える逆方向電圧を印加してしまうことをなくすことができる。
このように、LEDヘッド200においては、抵抗201,202を設けることにより、非点灯状態にあるLED素子に対する逆方向電圧の印加を解消することができる。具体的には、LEDヘッド200においては、非点灯としたい所定の定格におけるLED素子のカソード端子と当該LED素子が接続されるNチャネルMOSトランジスタとの間に、当該LED素子の逆方向印加電圧の最大定格値と順方向電圧との和未満で、当該LED素子の点灯電流値と非点灯電流値とのそれぞれに対応する電圧値の差の電圧値以上の電圧を印加するように、抵抗111,112,201,202の定格抵抗値等を選択すればよい。例えば、LEDヘッド200においては、上述したように、抵抗111,112の抵抗値が2kΩ〜20kΩ程度であり、抵抗201,202の抵抗値が200Ω〜2kΩである場合には、非点灯としたい所定の定格におけるLED素子のカソード端子と当該LED素子が接続されるNチャネルMOSトランジスタとの間に印加される電圧値は、0.5〜2.5V程度となる。
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態として示す画像形成装置のLEDヘッド200においては、LED素子のカソード端子を抵抗111,112を用いてプルアップさせる一方で、その電位上昇を制限するための回路手段として、抵抗201,202を設けることにより、非点灯状態にあるLED素子に対する逆方向電圧の印加を解消することができる。したがって、このLEDヘッド200においては、長期的にLED素子の製造段階で内在していた結晶欠陥箇所を増大させ、光量低下を招来するストレス要因となる問題を未然に防止することが可能となることから、印刷品位の向上や寿命の延長を図ることができる。また、LEDヘッド200においては、LED素子のカソード端子の電位上昇を制限するための回路手段として、抵抗201,202のみを用いればよいことから、低コストでありながら、優れた信頼性を実現することができる。
なお、LEDヘッド200においては、スイッチ手段として作用するNチャネルMOSトランジスタ109,110、抵抗111,112,201,202等については集積回路化することなく、ディスクリートの素子で構成することができるため、抵抗等の使用する素子、及び定格抵抗値等の特性値を自由に選択可能である。
つぎに、第3の実施の形態として示す画像形成装置について説明する。
この第3の実施の形態として示す画像形成装置は、LED素子のカソード端子の電位上昇を制限するための回路手段として、ダイオードや抵抗ではなくレギュレータ回路を用いるものである。したがって、この第3の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態及び第2の実施の形態の説明と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
第3の実施の形態として示す画像形成装置においては、LEDヘッドとして、図6に示すような構成のものを用いる。
すなわち、このLEDヘッド300は、第1の実施の形態にて説明したダイオード121,122や第2の実施の形態にて説明した抵抗201,202を接続するのではなく、一定の電圧VBを出力するレギュレータ回路301を備える。LEDヘッド300においては、レギュレータ回路301として、専用のものを備えてもよいが、LED素子を駆動するための基準電流を発生させるための先に図23に示した基準電圧VREFを発生するレギュレータ回路と兼用してもよい。レギュレータ回路301は、抵抗111,112の一端に接続され、出力電圧VBを印加する。
このようなLEDヘッド300において、NチャネルMOSトランジスタ109がオン状態であり、NチャネルMOSトランジスタ110がオフ状態となった場合を考える。なお、図7においては、オフ状態にあるNチャネルMOSトランジスタ110を破線で示している。
LEDヘッド300においては、NチャネルMOSトランジスタ110がオフ状態であることから、LED2,LED4,・・・,LED4992のカソード端子が、抵抗112を介してレギュレータ回路301の出力電圧VBにプルアップされる。ここでは、出力電圧VBを約0.6Vに設定するものとする。同図においては、これにより生じる電位差を矢印を用いて示している。なお、この出力電圧VBの値は、設計例の1つに過ぎず、LEDヘッド300においては、その目的とするところに応じて、自由に設定できることはいうまでもない。この電圧値の設定については、後述するものとする。
このようなLEDヘッド300においては、図24に示したタイムチャートを用いて説明したように、同図中C部において、ラッチ信号HD−LOADが立ち上がり、これに引き続いて同図中D部において、駆動IC DRV1の端子KDRVから出力される制御信号ODDがローレベルからハイレベルへと遷移するとともに、同図中E部において、駆動IC DRV2の端子KDRVから出力される制御信号EVENがハイレベルからローレベルへと遷移することになる。この結果、NチャネルMOSトランジスタ109は、オン状態となる一方で、NチャネルMOSトランジスタ110は、オフ状態となる。
さらに、LEDヘッド300においては、所定の待ち時間の経過後に、同図中F部に示したように、LED素子の駆動を指示するための印刷駆動信号HD−STB−Nが入力されることから、図7中破線で示すように、駆動IC DRV1の端子DO1から出力されたLED素子LED1を駆動するための駆動電流I1が流れる。同様に、LEDヘッド300においては、他の奇数番目のLED素子LED3,LED5,・・・,LED4991等についても、図示しない上位の印刷制御部から送出される印刷データに基づいて、駆動IC DRV,・・・,DRV26の各端子DO1,・・・,DO96から出力される駆動電流によって発光駆動されることになる。
ここで、図7に示すように、LED素子LED1のアノード端子とカソード端子との間に印加される順方向電圧をVF1とし、LED素子LED2のアノード端子とカソード端子との間に印加される電圧をVF2とする。LED素子LED1,LED2のアノード端子同士は接続されていることから、両者のアノード電位は等しく、上述したように、発光状態にあるLED素子LED1の順方向電圧である約1.6Vと等しい。一方、NチャネルMOSトランジスタ109はオン状態にあることから、LED素子LED1のカソード電位は、略0Vであり、これに対してLED素子LED2のカソード電位は、約0.6Vとなっている。
この状態において、LED素子LED1,LED2のそれぞれに流れる電流値を評価し、これら両者の比を試算すると、第1の実施の形態にて説明したように、非点灯としたいLED素子LED2の電流経路に対して、レギュレータ回路301の出力電圧VB(約0.6V)程度の電位を印加することにより、非点灯とすべきLED素子LED2の電流値を、点灯状態にあるLED素子LED1の電流値の10万分の1程度以下にすることができる。したがって、このような微小電流によるLED素子LED2の発光は、事実上無視することができる。
同様に、LEDヘッド300においては、LED素子LED1を非点灯としてLED素子LED2を点灯する場合には、当該LED素子LED1の電流経路に対して、レギュレータ回路301の出力電圧VB(約0.6V)程度の電位を印加することにより、非点灯とすべきLED素子LED1の電流値を、点灯状態にあるLED素子LED2の電流値の10万分の1程度以下にすることができる。したがって、このような微小電流によるLED素子LED1の発光は、事実上無視することができる。
また、LEDヘッド300においては、第1の実施の形態及び第2の実施の形態にて説明したように、非点灯状態にあるLED素子のカソード端子電位が、高々、レギュレータ回路301の出力電圧VBに等しい約0.6V程度に制限されることになることから、非点灯状態にあるLED素子に対して絶対最大定格を越える逆方向電圧を印加してしまうことをなくすことができる。
このように、LEDヘッド300においては、レギュレータ回路301を設けることにより、非点灯状態にあるLED素子に対する逆方向電圧の印加を解消することができる。具体的には、LEDヘッド300においては、非点灯としたい所定の定格におけるLED素子のカソード端子と当該LED素子が接続されるNチャネルMOSトランジスタとの間に、当該LED素子の逆方向印加電圧の最大定格値と順方向電圧との和未満で、当該LED素子の点灯電流値と非点灯電流値とのそれぞれに対応する電圧値の差の電圧値以上の電圧を印加するように、抵抗111,112の定格抵抗値やレギュレータ回路301の出力電圧VB等を設定すればよい。
以上説明したように、本発明の第3の実施の形態として示す画像形成装置のLEDヘッド300においては、LED素子のカソード端子を抵抗111,112を用いてプルアップさせる一方で、その電位上昇を制限するための回路手段として、レギュレータ回路301を設けることにより、非点灯状態にあるLED素子に対する逆方向電圧の印加を解消することができる。したがって、このLEDヘッド300においては、長期的にLED素子の製造段階で内在していた結晶欠陥箇所を増大させ、光量低下を招来するストレス要因となる問題を未然に防止することが可能となることから、印刷品位の向上や寿命の延長を図ることができる。
つぎに、第4の実施の形態として示す画像形成装置について説明する。
この第4の実施の形態として示す画像形成装置は、LED素子のカソード端子の電位上昇を制限するための回路手段として、ダイオードを用いるものである。したがって、この第4の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態乃至第3の実施の形態の説明と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
第4の実施の形態として示す画像形成装置においては、LEDヘッドとして、図8に示すような構成のものを用いる。
すなわち、このLEDヘッド400は、ダイオード401,402を備える。これらダイオード401,402は、それぞれ、第1の実施の形態にて説明したダイオード121,122と同様に、シリコン素材からなり、その順方向電圧が約0.6V程度の特性を有するものである。これらダイオード401,402の接続形態は、第1の実施の形態にて説明したダイオード121,122の接続形態とは異なる。すなわち、これらダイオード401,402のうち、ダイオード401のアノード端子は、NチャネルMOSトランジスタ109のドレーン端子に接続され、そのカソード端子は、グラウンドではなく、NチャネルMOSトランジスタ110のドレーン端子に接続されている。また、ダイオード402のアノード端子は、NチャネルMOSトランジスタ110のドレーン端子に接続され、そのカソード端子は、グラウンドではなく、NチャネルMOSトランジスタ109のドレーン端子に接続されている。
このようなLEDヘッド400において、NチャネルMOSトランジスタ109がオン状態であり、NチャネルMOSトランジスタ110がオフ状態となった場合を考える。なお、図9においては、オフ状態にあるNチャネルMOSトランジスタ110を破線で示している。
このとき、LEDヘッド400においては、NチャネルMOSトランジスタ110がオフ状態であることから、同図中一点鎖線で示すように、電源VDDから抵抗112並びにダイオード402のアノード端子及びカソード端子、さらに、オン状態にあるNチャネルMOSトランジスタ109のドレーン端子及びソース端子を介して、グラウンドへと至る電流経路が形成される。したがって、ダイオード402は、順バイアス状態にあり、その順方向電圧は、上述したように、約0.6Vである。同図においては、これにより生じる電位差を矢印を用いて示している。
このようなLEDヘッド400においては、図24に示したタイムチャートを用いて説明したように、同図中C部において、ラッチ信号HD−LOADが立ち上がり、これに引き続いて同図中D部において、駆動IC DRV1の端子KDRVから出力される制御信号ODDがローレベルからハイレベルへと遷移するとともに、同図中E部において、駆動IC DRV2の端子KDRVから出力される制御信号EVENがハイレベルからローレベルへと遷移することになる。この結果、NチャネルMOSトランジスタ109は、オン状態となる一方で、NチャネルMOSトランジスタ110は、オフ状態となる。
さらに、LEDヘッド400においては、所定の待ち時間の経過後に、同図中F部に示したように、LED素子の駆動を指示するための印刷駆動信号HD−STB−Nが入力されることから、図9中破線で示すように、駆動IC DRV1の端子DO1から出力されたLED素子LED1を駆動するための駆動電流I1が流れる。同様に、LEDヘッド400においては、他の奇数番目のLED素子LED3,LED5,・・・,LED4991等についても、図示しない上位の印刷制御部から送出される印刷データに基づいて、駆動IC DRV,・・・,DRV26の各端子DO1,・・・,DO96から出力される駆動電流によって発光駆動されることになる。
ここで、図9に示すように、LED素子LED1のアノード端子とカソード端子との間に印加される順方向電圧をVF1とし、LED素子LED2のアノード端子とカソード端子との間に印加される電圧をVF2とする。LED素子LED1,LED2のアノード端子同士は接続されていることから、両者のアノード電位は等しく、上述したように、発光状態にあるLED素子LED1の順方向電圧である約1.6Vと等しい。一方、NチャネルMOSトランジスタ109はオン状態にあることから、LED素子LED1のカソード電位は、略0Vであり、これに対してLED素子LED2のカソード電位は、約0.6Vとなっている。
この状態において、LED素子LED1,LED2のそれぞれに流れる電流値を評価し、これら両者の比を試算すると、第1の実施の形態にて説明したように、非点灯としたいLED素子LED2の電流経路に対して、ダイオード402の順方向電圧(約0.6V)程度の電位を印加することにより、非点灯とすべきLED素子LED2の電流値を、点灯状態にあるLED素子LED1の電流値の10万分の1程度以下にすることができる。したがって、このような微小電流によるLED素子LED2の発光は、事実上無視することができる。
同様に、LEDヘッド400においては、LED素子LED1を非点灯としてLED素子LED2を点灯する場合には、ダイオード402に代えてダイオード401を順方向にバイアスさせるように、当該LED素子LED1の電流経路に対して、ダイオード401の順方向電圧(約0.6V)程度の電位を印加することにより、非点灯とすべきLED素子LED1の電流値を、点灯状態にあるLED素子LED2の電流値の10万分の1程度以下にすることができる。したがって、このような微小電流によるLED素子LED1の発光は、事実上無視することができる。
また、LEDヘッド400においては、第1の実施の形態乃至第3の実施の形態にて説明したように、非点灯状態にあるLED素子のカソード端子電位が、高々、ダイオード401又はダイオード402の順方向電圧に等しい約0.6V程度に制限されることになることから、非点灯状態にあるLED素子に対して絶対最大定格を越える逆方向電圧を印加してしまうことをなくすことができる。
このように、LEDヘッド400においては、ダイオード401,402を設けることにより、非点灯状態にあるLED素子に対する逆方向電圧の印加を解消することができる。具体的には、LEDヘッド400においては、非点灯としたい所定の定格におけるLED素子のカソード端子と当該LED素子が接続されるNチャネルMOSトランジスタとの間に、当該LED素子の逆方向印加電圧の最大定格値と順方向電圧との和未満で、当該LED素子の点灯電流値と非点灯電流値とのそれぞれに対応する電圧値の差の電圧値以上の電圧を印加するように、抵抗111,112やダイオード401,402の定格等を選択すればよい。
以上説明したように、本発明の第4の実施の形態として示す画像形成装置のLEDヘッド400においては、LED素子のカソード端子を抵抗111,112を用いてプルアップさせる一方で、その電位上昇を制限するための回路手段として、ダイオード401,402を設けることにより、非点灯状態にあるLED素子に対する逆方向電圧の印加を解消することができる。したがって、このLEDヘッド400においては、長期的にLED素子の製造段階で内在していた結晶欠陥箇所を増大させ、光量低下を招来するストレス要因となる問題を未然に防止することが可能となることから、印刷品位の向上や寿命の延長を図ることができる。また、LEDヘッド400においては、LED素子のカソード端子の電位上昇を制限するための回路手段として、ダイオード401,402のみを用いればよいことから、低コストでありながら、優れた信頼性を実現することができる。
さらに、第1の実施の形態にて説明したLEDヘッド100においては、例えば、NチャネルMOSトランジスタ109,110が故障し、これら双方ともオフ状態となった場合には、仕様上、電流許容量が少ないダイオード121,122に過大電流が流れ、これらダイオード121,122も破損してしまう可能性がある。これに対して、LEDヘッド400においては、NチャネルMOSトランジスタ109,110が故障し、これら双方ともオフ状態となった場合であっても、ダイオード401,402に電流が流れないことから、過大電流による破損を防止することができる。さらにまた、このLEDヘッド400においては、逆に、NチャネルMOSトランジスタ109,110が双方とも常時オン状態となってしまう場合であっても、電流が、ダイオード401,402を経由せずに直接NチャネルMOSトランジスタ109,110に流れることから、これらダイオード401,402を破損してしまうことがない。
なお、LEDヘッド400においては、スイッチ手段として作用するNチャネルMOSトランジスタ109,110、抵抗111,112、及びダイオード401,402等については集積回路化することなく、ディスクリートの素子で構成することができるため、ダイオード等の使用する素子、及び定格等の特性値を自由に選択可能である。
つぎに、第5の実施の形態として示す画像形成装置について説明する。
この第5の実施の形態として示す画像形成装置は、LED素子のカソード端子の電位上昇を制限するための回路手段として、抵抗を用いるものである。したがって、この第5の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態乃至第4の実施の形態の説明と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
第5の実施の形態として示す画像形成装置においては、LEDヘッドとして、図10に示すような構成のものを用いる。
すなわち、このLEDヘッド500は、抵抗501を備える。この抵抗501の接続形態は、第2の実施の形態にて説明した抵抗201,202の接続形態とは異なる。すなわち、この抵抗501の一端は、NチャネルMOSトランジスタ109のドレーン端子に接続され、その他端は、グラウンドではなく、NチャネルMOSトランジスタ110のドレーン端子に接続されている。
このようなLEDヘッド500において、NチャネルMOSトランジスタ109がオン状態であり、NチャネルMOSトランジスタ110がオフ状態となった場合を考える。なお、図11においては、オフ状態にあるNチャネルMOSトランジスタ110を破線で示している。
このとき、LEDヘッド500においては、NチャネルMOSトランジスタ110がオフ状態であることから、同図中一点鎖線で示すように、電源VDDから抵抗112及び抵抗501、さらに、オン状態にあるNチャネルMOSトランジスタ109のドレーン端子及びソース端子を介して、グラウンドへと至る電流経路が形成される。かかる電流経路から明らかなように、NチャネルMOSトランジスタ110のドレーン電位は、抵抗112,501によって電源電圧VDDを分圧した値となる。この抵抗112に対する抵抗501の抵抗値の比は、電源電圧VDDを分圧する電圧値によって決まるが、例えば、抵抗112の抵抗値が2kΩ〜20kΩ程度である場合には、抵抗501の抵抗値は、200Ω〜2kΩであるのが望ましい。ここでは、NチャネルMOSトランジスタ110のドレーン電位が、第2の実施の形態にて説明した抵抗201,202の両端電圧と同様に約0.6Vとなるように、抵抗112,501の抵抗値の比を設定するものとする。同図においては、これにより生じる電位差を矢印を用いて示している。なお、この電圧値は、設計例の1つに過ぎず、LEDヘッド500においては、その目的とするところに応じて、自由に設定できることはいうまでもない。この電圧値の設定については、後述するものとする。
このようなLEDヘッド500においては、図24に示したタイムチャートを用いて説明したように、同図中C部において、ラッチ信号HD−LOADが立ち上がり、これに引き続いて同図中D部において、駆動IC DRV1の端子KDRVから出力される制御信号ODDがローレベルからハイレベルへと遷移するとともに、同図中E部において、駆動IC DRV2の端子KDRVから出力される制御信号EVENがハイレベルからローレベルへと遷移することになる。この結果、NチャネルMOSトランジスタ109は、オン状態となる一方で、NチャネルMOSトランジスタ110は、オフ状態となる。
さらに、LEDヘッド500においては、所定の待ち時間の経過後に、同図中F部に示したように、LED素子の駆動を指示するための印刷駆動信号HD−STB−Nが入力されることから、図11中破線で示すように、駆動IC DRV1の端子DO1から出力されたLED素子LED1を駆動するための駆動電流I1が流れる。同様に、LEDヘッド500においては、他の奇数番目のLED素子LED3,LED5,・・・,LED4991等についても、図示しない上位の印刷制御部から送出される印刷データに基づいて、駆動IC DRV,・・・,DRV26の各端子DO1,・・・,DO96から出力される駆動電流によって発光駆動されることになる。
ここで、図11に示すように、LED素子LED1のアノード端子とカソード端子との間に印加される順方向電圧をVF1とし、LED素子LED2のアノード端子とカソード端子との間に印加される電圧をVF2とする。LED素子LED1,LED2のアノード端子同士は接続されていることから、両者のアノード電位は等しく、上述したように、発光状態にあるLED素子LED1の順方向電圧である約1.6Vと等しい。一方、NチャネルMOSトランジスタ109はオン状態にあることから、LED素子LED1のカソード電位は、略0Vであり、これに対してLED素子LED2のカソード電位は、約0.6Vとなっている。
この状態において、LED素子LED1,LED2のそれぞれに流れる電流値を評価し、これら両者の比を試算すると、第1の実施の形態にて説明したように、非点灯としたいLED素子LED2の電流経路に対して、抵抗501の両端電圧(約0.6V)程度の電位を印加することにより、非点灯とすべきLED素子LED2の電流値を、点灯状態にあるLED素子LED1の電流値の10万分の1程度以下にすることができる。したがって、このような微小電流によるLED素子LED2の発光は、事実上無視することができる。
同様に、LEDヘッド500においては、LED素子LED1を非点灯としてLED素子LED2を点灯する場合には、当該LED素子LED1の電流経路に対して、抵抗2651の両端電圧(約0.6V)程度の電位を印加することにより、非点灯とすべきLED素子LED1の電流値を、点灯状態にあるLED素子LED2の電流値の10万分の1程度以下にすることができる。したがって、このような微小電流によるLED素子LED1の発光は、事実上無視することができる。
また、LEDヘッド500においては、第1の実施の形態乃至第4の実施の形態にて説明したように、非点灯状態にあるLED素子のカソード端子電位が、高々、抵抗501の両端電圧に等しい約0.6V程度に制限されることになることから、非点灯状態にあるLED素子に対して絶対最大定格を越える逆方向電圧を印加してしまうことをなくすことができる。
このように、LEDヘッド500においては、抵抗501を設けることにより、非点灯状態にあるLED素子に対する逆方向電圧の印加を解消することができる。具体的には、LEDヘッド500においては、非点灯としたい所定の定格におけるLED素子のカソード端子と当該LED素子が接続されるNチャネルMOSトランジスタとの間に、当該LED素子の逆方向印加電圧の最大定格値と順方向電圧との和未満で、当該LED素子の点灯電流値と非点灯電流値とのそれぞれに対応する電圧値の差の電圧値以上の電圧を印加するように、抵抗111,112,501の定格抵抗値等を選択すればよい。
以上説明したように、本発明の第5の実施の形態として示す画像形成装置のLEDヘッド500においては、LED素子のカソード端子を抵抗111,112を用いてプルアップさせる一方で、その電位上昇を制限するための回路手段として、抵抗501を設けることにより、非点灯状態にあるLED素子に対する逆方向電圧の印加を解消することができる。したがって、このLEDヘッド500においては、長期的にLED素子の製造段階で内在していた結晶欠陥箇所を増大させ、光量低下を招来するストレス要因となる問題を未然に防止することが可能となることから、印刷品位の向上や寿命の延長を図ることができる。また、LEDヘッド500においては、LED素子のカソード端子の電位上昇を制限するための回路手段として、抵抗501のみを用いればよいことから、低コストでありながら、優れた信頼性を実現することができる。
なお、LEDヘッド500においては、スイッチ手段として作用するNチャネルMOSトランジスタ109,110、抵抗111,112,501等については集積回路化することなく、ディスクリートの素子で構成することができるため、抵抗等の使用する素子、及び定格抵抗値等の特性値を自由に選択可能である。
つぎに、第6の実施の形態として示す画像形成装置について説明する。
第1の実施の形態乃至第5の実施の形態として示した画像形成装置は、奇数番目のLED素子と偶数番目のLED素子とを時分割に2分割駆動するものであったが、この第6の実施の形態として示す画像形成装置は、LED素子を時分割に4分割駆動するものである。したがって、この第6の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態乃至第5の実施の形態の説明と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
第6の実施の形態として示す画像形成装置は、図12に示すようなLEDヘッド600を備える。なお、ここでは、1インチあたり600ドットの解像度でA4サイズの用紙に印刷可能なLEDヘッドについて例示する。
すなわち、LEDヘッド600は、4992ドット、すなわち、4992個のLED素子を配設するために、それぞれ192個のLED素子を含む26個のLEDアレイチップCHPと、これらLEDアレイチップCHPのそれぞれを駆動する同一回路によって構成された26個の駆動IC DRVとを有する。駆動IC DRVは、それぞれ、隣接する駆動ICとカスケード接続されて配設される。そして、LEDヘッド600は、これらLEDアレイチップCHP及び駆動IC DRVが、それぞれ互いに接続されて構成される。また、LEDアレイチップCHPにおいては、それぞれ、192個のLED素子を、隣接して配置される4個ずつのLED素子のグループに分割し、各グループの第1番目のLED素子のカソード端子同士、第2番目のLED素子のカソード端子同士、第3番目のLED素子のカソード端子同士、及び第4番目のLED素子のカソード端子同士が接続され、さらに、各グループを構成する4個のLED素子のアノード端子同士が接続され、第1番目、第2番目、第3番目、及び第4番目のLED素子がこの順序で時分割で駆動される。なお、同図においては、カスケード接続された1段目と2段目の駆動IC DRV1,DRV2及びLEDアレイチップCHP1,CHP2についてのみ示し、3段目〜26段目の駆動IC DRV3,・・・,DRV26及びLEDアレイチップCHP3,・・・,CHP26については省略している。また、同図において、符号LED1,・・・,LED384は、それぞれ、LED素子を示すものであり、3段目〜26段目のLEDアレイチップCHP3,・・・,CHP26に設けられるLED385,・・・,LED4992については省略している。
また、LEDヘッド600は、4つのNチャネルMOSトランジスタ601,602,603,604を有する。NチャネルMOSトランジスタ601のドレーン端子は、各グループの第1番目のLED素子LED1,LED5,・・・,LED4989のカソード端子に接続され、NチャネルMOSトランジスタ602のドレーン端子は、各グループの第2番目のLED素子LED2,LED6,・・・,LED4990のカソード端子に接続され、NチャネルMOSトランジスタ603のドレーン端子は、各グループの第3番目のLED素子LED3,LED7,・・・,LED4991のカソード端子に接続され、NチャネルMOSトランジスタ604のドレーン端子は、各グループの第4番目のLED素子LED4,LED8,・・・,LED4992のカソード端子に接続されている。また、これらNチャネルMOSトランジスタ601,602,603,604のソース端子は、グラウンドに接続されている。さらに、NチャネルMOSトランジスタ601のゲート端子は、カスケード接続の第1段目の駆動IC DRV1の端子KDRVに接続され、NチャネルMOSトランジスタ602のゲート端子は、カスケード接続の第2段目の駆動IC DRV2の端子KDRVに接続され、NチャネルMOSトランジスタ603のゲート端子は、カスケード接続の第3段目の駆動IC DRV3の端子KDRVに接続され、NチャネルMOSトランジスタ604のゲート端子は、カスケード接続の第4段目の駆動IC DRV4の端子KDRVに接続されている。
このようなLEDヘッド600においては、図示しない上位の印刷制御部から出力される印字データ信号HD−DATA3〜HD−DATA0をクロック信号HD−CLKに同期して各駆動IC DRVに入力し、4992ドット分のビットデータからなる印字データ信号HD−DATAを、各駆動IC DRVに設けられた図示しないフリップフロップ回路からなる複数のシフトレジスタ中に順次転送する。続いて、LEDヘッド600においては、ラッチ信号HD−LOADを各駆動IC DRVに入力し、印字データ信号HD−DATAを、フリップフロップ回路に対応して各駆動IC DRVに設けられた図示しないラッチ回路にラッチする。そして、LEDヘッド600においては、各駆動IC DRVに入力される印字データ信号HD−DATA3〜HD−DATA0と印刷駆動信号HD−STB−Nとに基づいて、4992個のLED素子のうち、ハイレベルであるドットデータに対応するものが点灯される。このとき、LEDヘッド600においては、各駆動IC DRVに入力される同期信号HD−HSYNC−Nに基づいて、各グループの第1番目乃至第4番目のLED素子を時分割駆動する際に、何番目のLED素子に対する駆動であるかの初期状態を設定する。また、LEDヘッド600においては、各駆動IC DRVに入力される基準電圧VREFに基づいて、LED素子を駆動するための駆動電流値を指令する。
ここで、駆動IC DRVにおいては、特に図示していないが、LED素子の発光パワーのバラツキを補正するための光量補正機能を備え、光量補正データを格納するための補正データ格納手段を備える。
また、LEDヘッド600においては、NチャネルMOSトランジスタ601,602,603,604のダイナミック駆動制御を、4個の駆動IC DRVによって分担して行う機能を有している。LEDヘッド600においては、NチャネルMOSトランジスタ601,602,603,604が異なるタイミングにて制御されることから、駆動IC
DRV1の端子KDRVから出力される制御信号と、駆動IC DRV2の端子KDRVと、駆動IC DRV3の端子KDRVと、駆動IC DRV4の端子KDRVとから出力される制御信号とについても異なるものとする必要がある。一方、26個の駆動IC
DRV1,・・・は、全て同一の構成からなるものであるため、端子KDRVから出力される4種類の制御信号のうち、いずれの制御信号を出力すべきであるかを示す選択データ(図14において、2ビットからなるカソード選択データK−SEL1,K−SEL0として表現される)もまた、光量補正データとともにLEDヘッド600の初期設定データとして上位の印刷制御部から送信されることになる。
このようなLEDヘッド600は、要部のみを抜き出すと、図13に示すような構成からなる。
図13においては、図12に示した各グループの第1番目のLED素子LED1,LED5,・・・,LED4989、第2番目のLED素子LED2,LED6,・・・,LED4990、第3番目のLED素子LED3,LED7,・・・,LED4991、及び第4番目のLED素子LED4,LED8,・・・,LED4992等について、特に、8個のLED素子LED1,LED2,LED3,LED4,LED4989,LED4990,LED4991,LED4992を抜き出して示している。
これらLED素子LED1,LED2,LED3,LED4,・・・,LED4989,LED4990,LED4991,LED4992のうち、LED素子LED1,LED2,LED3,LED4のアノード端子は、互いに接続され、ここでは図示しない駆動IC DRV1の端子DO1に接続される。また、LED素子LED5,LED6,LED7,LED8のアノード端子は、互いに接続され、ここでは図示しない駆動IC DRV1の端子DO2に接続される。以下同様に、LED素子LED4989,LED4990,LED4991,LED4992のアノード端子は、互いに接続され、ここでは図示しない駆動IC DRV26の端子DO48に接続される。また、LED素子LED1,LED5,・・・,LED4989のカソード端子同士は接続され、これら接続されたカソード端子は、NチャネルMOSトランジスタ601のドレーン端子に接続される。さらに、LED素子LED2,LED6,・・・,LED4990のカソード端子同士は接続され、これら接続されたカソード端子は、NチャネルMOSトランジスタ602のドレーン端子に接続される。さらにまた、LED素子LED3,LED7,・・・,LED4991のカソード端子同士は接続され、これら接続されたカソード端子は、NチャネルMOSトランジスタ603のドレーン端子に接続される。同様に、LED素子LED4,LED8,・・・,LED4992のカソード端子同士は接続され、これら接続されたカソード端子は、NチャネルMOSトランジスタ604のドレーン端子に接続される。
また、NチャネルMOSトランジスタ601のゲート端子には、LED素子LED1,・・・等の第1番目のLED素子を選択的に駆動する制御を行うために、カスケード接続の第1段目の駆動IC DRV1の端子KDRVから制御信号K1が供給される。また、NチャネルMOSトランジスタ602のゲート端子には、LED素子LED2,・・・等の第2番目のLED素子を選択的に駆動する制御を行うために、カスケード接続の第2段目の駆動IC DRV2の端子KDRVから制御信号K2が供給される。さらに、NチャネルMOSトランジスタ603のゲート端子には、LED素子LED3,・・・等の第3番目のLED素子を選択的に駆動する制御を行うために、カスケード接続の第3段目の駆動IC DRV3の端子KDRVから制御信号K3が供給される。さらにまた、NチャネルMOSトランジスタ604のゲート端子には、LED素子LED4,・・・等の第4番目のLED素子を選択的に駆動する制御を行うために、カスケード接続の第4段目の駆動IC DRV4の端子KDRVから制御信号K4が供給される。
さらに、LEDヘッド600においては、NチャネルMOSトランジスタ601のドレーン端子と所定の電源VDDとの間に抵抗611が接続され、NチャネルMOSトランジスタ602のドレーン端子と電源VDDとの間に抵抗612が接続され、NチャネルMOSトランジスタ603のドレーン端子と電源VDDとの間に抵抗613が接続され、NチャネルMOSトランジスタ604のドレーン端子と電源VDDとの間に抵抗614が接続されている。これら抵抗611,612,613,614の抵抗値は、それぞれ、例えば2kΩ〜20kΩ程度とされ、より望ましくは、4kΩ〜5kΩとされる。
さらにまた、LEDヘッド600は、ダイオード621,622,623,624を備える。これらダイオード621,622,623,624は、それぞれ、シリコン素材からなり、その順方向電圧が約0.6V程度の特性を有するものである。これらダイオード621,622,623,624のうち、ダイオード621のアノード端子は、NチャネルMOSトランジスタ601のドレーン端子に接続され、そのカソード端子は、NチャネルMOSトランジスタ602のドレーン端子に接続されている。また、ダイオード622のアノード端子は、NチャネルMOSトランジスタ602のドレーン端子に接続され、そのカソード端子は、NチャネルMOSトランジスタ603のドレーン端子に接続されている。さらに、ダイオード623のアノード端子は、NチャネルMOSトランジスタ603のドレーン端子に接続され、そのカソード端子は、NチャネルMOSトランジスタ604のドレーン端子に接続されている。さらにまた、ダイオード624のアノード端子は、NチャネルMOSトランジスタ604のドレーン端子に接続され、そのカソード端子は、NチャネルMOSトランジスタ601のドレーン端子に接続されている。
ここで、図14に、このようなLEDヘッド600を用いて印刷動作を行う場合のタイムチャートを示す。
すなわち、LEDヘッド600においては、図14中A部に示すように、LED素子の時分割駆動の開始に先だって、同期信号HD−HSYNC−Nが入力される。続いて、LEDヘッド600においては、同図中B部に示すように、各グループの第1番目のLED素子の駆動データ(K1印字データ)を転送するため、クロック信号HD−CLKに同期して印字データ信号HD−DATA3〜HD−DATA0が入力される。なお、LEDヘッド600においては、26個の駆動IC DRVがカスケード接続され、各駆動IC DRV毎に48個のLED素子駆動端子DO1,・・・,DO48を有しており、1パルスのクロック信号HD−CLKに基づいて、隣接する4画素分のデータを一度に転送することが可能とされる。そのため、1回のLED素子の駆動に必要となるデータをシフト入力するためのクロックパルス数は、48/4*26=12*26=312となる。
そして、LEDヘッド600においては、同図中B部において、1回目のLED素子の駆動に必要である第1番目ドットのデータの転送が完了すると、同図中C部に示すように、ラッチ信号HD−LOAD信号が入力され、シフトレジスタを介して入力されたデータがラッチ回路にラッチされる。このとき、LEDヘッド600においては、NチャネルMOSトランジスタ601,602,603,604を介してLED素子のコモンカソード端子のグラウンドへの接続オン/オフを切り替えるために、当該NチャネルMOSトランジスタ601に供給される制御信号K1、当該NチャネルMOSトランジスタ602に供給される制御信号K2、当該NチャネルMOSトランジスタ603に供給される制御信号K3、及び当該NチャネルMOSトランジスタ604に供給される制御信号K4が、駆動IC DRV1,DRV2,DRV3,DRV4のそれぞれの端子KDRVから出力される。
なお、LEDヘッド600においては、同図に示すように、26個の駆動IC DRV1,・・・に対する光量補正データの格納過程において、上述したカソード選択データK−SEL1,K−SEL0も同時に格納される。これらカソード選択データK−SEL1,K−SEL0は、駆動IC DRV1については、ともにローレベル(論理値0)に設定される。また、駆動IC DRV2においては、カソード選択データK−SEL1が、ローレベル(論理値0)に設定されるとともに、カソード選択データK−SEL0が、ハイレベル(論理値1)に設定される。さらに、駆動IC DRV3においては、カソード選択データK−SEL1が、ハイレベル(論理値1)に設定されるとともに、カソード選択データK−SEL0が、ローレベル(論理値0)に設定される。さらにまた、駆動IC
DRV4においては、カソード選択データK−SEL1,K−SEL0が、ともにハイレベル(論理値1)に設定される。このとき、LEDヘッド600においては、駆動IC
DRV1の端子KDRVから出力される制御信号K1がNチャネルMOSトランジスタ601のゲート端子に入力され、LED素子LED1,LED5,・・・,LED4989等の各グループの第1番目のLED素子を選択的に駆動する制御が行われる。また、LEDヘッド600においては、駆動IC DRV2の端子KDRVから出力される制御信号K2がNチャネルMOSトランジスタ602のゲート端子に入力され、LED素子LED2,LED6,・・・,LED4990等の各グループの第2番目のLED素子を選択的に駆動する制御が行われる。さらに、LEDヘッド600においては、駆動IC DRV3の端子KDRVから出力される制御信号K3がNチャネルMOSトランジスタ603のゲート端子に入力され、LED素子LED3,LED7,・・・,LED4991等の各グループの第3番目のLED素子を選択的に駆動する制御が行われる。さらにまた、LEDヘッド600においては、駆動IC DRV4の端子KDRVから出力される制御信号K4がNチャネルMOSトランジスタ604のゲート端子に入力され、LED素子LED4,LED8,・・・,LED4992等の各グループの第4番目のLED素子を選択的に駆動する制御が行われる。LEDヘッド600においては、同図中C部に示すように、ラッチ信号HD−LOADが立ち上がるのにともない、同図中D部に示すように、駆動IC DRV1の端子KDRVから出力される制御信号K1がローレベルからハイレベルへと遷移し、これと同時に、同図中E部に示すように、駆動IC DRV4の端子KDRVから出力される制御信号K4がハイレベルからローレベルへと遷移する。この結果、NチャネルMOSトランジスタ601は、オン状態となる一方で、NチャネルMOSトランジスタ604は、オフ状態となる。
さらに、LEDヘッド600においては、同図中F部に示すように、LED素子の駆動を指示するための印刷駆動信号HD−STB−Nが入力される。この状態において、LEDヘッド600においては、制御信号K1がハイレベルとなっており、また、制御信号K2,K3,K4がローレベルとなっていることから、NチャネルMOSトランジスタ601がオン状態となる一方で、NチャネルMOSトランジスタ602,603,604がオフ状態となる。したがって、LEDヘッド600においては、LED素子LED1,LED5,・・・,LED4989等の各グループの第1番目のLED素子のカソード端子からグラウンドへの電流経路が形成される。これに対して、LEDヘッド600においては、各グループの第2番目、第3番目、及び第4番目のLED素子のカソード端子からグラウンドへの電流流路は形成されない。そのため、LEDヘッド600においては、駆動IC DRV1の端子DO1からLED素子を駆動するための駆動電流が出力された場合には、その駆動電流は、LED素子LED1のアノード端子及びカソード端子を経て、さらに、NチャネルMOSトランジスタ601のドレーン端子及びソース端子を介してグラウンドへと至ることになる。これにより、画像形成装置においては、LED素子LED1が発光して感光ドラム上の静電潜像を形成し、印刷ドットを発生する。なお、LEDヘッド600においては、グループを構成する残りのLED素子LED2,LED3,LED4には電流経路が形成されないことから、LED素子LED1の発光状態には何ら影響を与えることはない。
また、LEDヘッド600においては、同図中G部に示すように、各グループの第2番目のLED素子の駆動データ(K2印字データ)を転送するため、クロック信号HD−CLKに同期して印字データ信号HD−DATA3〜HD−DATA0が入力される。続いて、LEDヘッド600においては、同図中G部において、1ライン分のデータのうち、第2番目ドットのデータの転送が完了すると、同図中H部に示すように、ラッチ信号HD−LOAD信号が入力され、シフトレジスタを介して入力されたデータがラッチ回路にラッチされる。そして、LEDヘッド600においては、同図中K部に示すように、LED素子の駆動を指示するための印刷駆動信号HD−STB−Nが入力される。LEDヘッド600においては、同図中H部に示すように、ラッチ信号HD−LOADが立ち上がるのにともない、制御信号K1,K2,K3,K4が駆動IC DRV1,DRV2,DRV3,DRV4のそれぞれの端子KDRVから出力される。
そして、LEDヘッド600においては、同図中H部に示すラッチ信号HD−LOADの立ち上がりの結果、同図中I部に示すように、駆動IC DRV1の端子KDRVから出力される制御信号K1がハイレベルからローレベルへと遷移し、これと同時に、同図中J部に示すように、駆動IC DRV2の端子KDRVから出力される制御信号K2がローレベルからハイレベルへと遷移する。この結果、LEDヘッド600においては、NチャネルMOSトランジスタ602がオン状態となる一方で、NチャネルMOSトランジスタ601,603,604がオフ状態となる。これにともない、LEDヘッド600においては、LED素子LED2,LED6,・・・,LED4990等の各グループの第2番目のLED素子のカソード端子からグラウンドへの電流経路が形成される。これに対して、LEDヘッド600においては、各グループの第1番目、第3番目、及び第4番目のLED素子のカソード端子からグラウンドへの電流流路は形成されない。そのため、LEDヘッド600においては、駆動IC DRV1の端子DO1からLED素子を駆動するための駆動電流が出力された場合には、その駆動電流は、LED素子LED2のアノード端子及びカソード端子を経て、さらに、NチャネルMOSトランジスタ602のドレーン端子及びソース端子を介してグラウンドへと至ることになる。これにより、画像形成装置においては、LED素子LED2が発光して感光ドラム上の静電潜像を形成し、印刷ドットを発生する。この場合、LEDヘッド600においては、グループを構成する残りのLED素子LED1,LED3,LED4には電流経路が形成されないことから、LED素子LED2の発光状態には何ら影響を与えることはない。
さらに、LEDヘッド600においては、同図中L部に示すように、各グループの第3番目のLED素子の駆動データ(K3印字データ)を転送するため、クロック信号HD−CLKに同期して印字データ信号HD−DATA3〜HD−DATA0が入力される。続いて、LEDヘッド600においては、同図中L部において、1ライン分のデータのうち、第3番目ドットのデータの転送が完了すると、同図中M部に示すように、ラッチ信号HD−LOAD信号が入力され、シフトレジスタを介して入力されたデータがラッチ回路にラッチされる。そして、LEDヘッド600においては、同図中P部に示すように、LED素子の駆動を指示するための印刷駆動信号HD−STB−Nが入力される。LEDヘッド600においては、同図中M部に示すように、ラッチ信号HD−LOADが立ち上がるのにともない、制御信号K1,K2,K3,K4が駆動IC DRV1,DRV2,DRV3,DRV4のそれぞれの端子KDRVから出力される。
そして、LEDヘッド600においては、同図中M部に示すラッチ信号HD−LOADの立ち上がりの結果、同図中N部に示すように、駆動IC DRV2の端子KDRVから出力される制御信号K2がハイレベルからローレベルへと遷移し、これと同時に、同図中O部に示すように、駆動IC DRV3の端子KDRVから出力される制御信号K3がローレベルからハイレベルへと遷移する。この結果、LEDヘッド600においては、NチャネルMOSトランジスタ603がオン状態となる一方で、NチャネルMOSトランジスタ601,602,604がオフ状態となる。これにともない、LEDヘッド600においては、LED素子LED3,LED7,・・・,LED4991等の各グループの第3番目のLED素子のカソード端子からグラウンドへの電流経路が形成される。これに対して、LEDヘッド600においては、各グループの第1番目、第2番目、及び第4番目のLED素子のカソード端子からグラウンドへの電流流路は形成されない。そのため、LEDヘッド600においては、駆動IC DRV1の端子DO1からLED素子を駆動するための駆動電流が出力された場合には、その駆動電流は、LED素子LED3のアノード端子及びカソード端子を経て、さらに、NチャネルMOSトランジスタ603のドレーン端子及びソース端子を介してグラウンドへと至ることになる。これにより、画像形成装置においては、LED素子LED3が発光して感光ドラム上の静電潜像を形成し、印刷ドットを発生する。この場合、LEDヘッド600においては、グループを構成する残りのLED素子LED1,LED2,LED4には電流経路が形成されないことから、LED素子LED3の発光状態には何ら影響を与えることはない。
さらにまた、LEDヘッド600においては、同図中Q部に示すように、各グループの第4番目のLED素子の駆動データ(K4印字データ)を転送するため、クロック信号HD−CLKに同期して印字データ信号HD−DATA3〜HD−DATA0が入力される。続いて、LEDヘッド600においては、同図中Q部において、1ライン分のデータのうち、第4番目ドットのデータの転送が完了すると、同図中R部に示すように、ラッチ信号HD−LOAD信号が入力され、シフトレジスタを介して入力されたデータがラッチ回路にラッチされる。そして、LEDヘッド600においては、同図中U部に示すように、LED素子の駆動を指示するための印刷駆動信号HD−STB−Nが入力される。LEDヘッド600においては、同図中R部に示すように、ラッチ信号HD−LOADが立ち上がるのにともない、制御信号K1,K2,K3,K4が駆動IC DRV1,DRV2,DRV3,DRV4のそれぞれの端子KDRVから出力される。
そして、LEDヘッド600においては、同図中R部に示すラッチ信号HD−LOADの立ち上がりの結果、同図中S部に示すように、駆動IC DRV3の端子KDRVから出力される制御信号K3がハイレベルからローレベルへと遷移し、これと同時に、同図中T部に示すように、駆動IC DRV4の端子KDRVから出力される制御信号K4がローレベルからハイレベルへと遷移する。この結果、LEDヘッド600においては、NチャネルMOSトランジスタ604がオン状態となる一方で、NチャネルMOSトランジスタ601,602,603がオフ状態となる。これにともない、LEDヘッド600においては、LED素子LED4,LED8,・・・,LED4992等の各グループの第4番目のLED素子のカソード端子からグラウンドへの電流経路が形成される。これに対して、LEDヘッド600においては、各グループの第1番目、第2番目、及び第3番目のLED素子のカソード端子からグラウンドへの電流流路は形成されない。そのため、LEDヘッド600においては、駆動IC DRV1の端子DO1からLED素子を駆動するための駆動電流が出力された場合には、その駆動電流は、LED素子LED4のアノード端子及びカソード端子を経て、さらに、NチャネルMOSトランジスタ604のドレーン端子及びソース端子を介してグラウンドへと至ることになる。これにより、画像形成装置においては、LED素子LED4が発光して感光ドラム上の静電潜像を形成し、印刷ドットを発生する。この場合、LEDヘッド600においては、グループを構成する残りのLED素子LED1,LED2,LED3には電流経路が形成されないことから、LED素子LED4の発光状態には何ら影響を与えることはない。
このように、LEDヘッド600においては、複数のLED素子のうち、各グループの第1番目のLED素子、第2番目のLED素子、第3番目のLED素子、及び第4番目のLED素子を4回にわけて順次時分割に駆動することにより、1ライン分のLED素子の駆動を行うことができる。
ここで、このようなLEDヘッド600において、NチャネルMOSトランジスタ601,602,603がオフ状態であり、NチャネルMOSトランジスタ604がオン状態となった場合を考える。なお、図15においては、オフ状態にあるNチャネルMOSトランジスタ601,602,603を破線で示している。
このとき、LEDヘッド600においては、NチャネルMOSトランジスタ604がオン状態であることから、同図中一点鎖線で示すように、電源VDDから抵抗611を介し、さらに、ダイオード621のアノード端子及びカソード端子、ダイオード622のアノード端子及びカソード端子、並びにダイオード623のアノード端子及びカソード端子を介して、グラウンドへと至る電流経路が形成される。したがって、ダイオード621,622,623は、順バイアス状態にあり、その順方向電圧は、上述したように、それぞれ約0.6Vである。同図においては、これにより生じる電位差を矢印を用いて示している。
このようなLEDヘッド600においては、図14に示したタイムチャートを用いて説明したように、同図中R部において、ラッチ信号HD−LOADが立ち上がり、これに引き続いて同図中T部において、駆動IC DRV4の端子KDRVから出力される制御信号K4がローレベルからハイレベルへと遷移するとともに、同図中S部において、駆動IC DRV3の端子KDRVから出力される制御信号K3がハイレベルからローレベルへと遷移することになる。この結果、NチャネルMOSトランジスタ604は、オン状態となる一方で、NチャネルMOSトランジスタ601,602,603は、オフ状態となる。
さらに、LEDヘッド600においては、同図中U部に示したように、LED素子の駆動を指示するための印刷駆動信号HD−STB−Nが入力されることから、図15中破線で示すように、LED素子LED4を駆動するための駆動電流I4が流れる。同様に、LEDヘッド600においては、各グループの第4番目のLED素子LED8,LED12,・・・,LED4992等についても、図示しない上位の印刷制御部から送出される印刷データに基づいて、駆動IC DRV,・・・,DRV26の各端子DO1,・・・,DO48から出力される駆動電流によって発光駆動されることになる。
ここで、図15に示すように、LED素子LED4のアノード端子とカソード端子との間に印加される順方向電圧をVF4とし、LED素子LED3のアノード端子とカソード端子との間に印加される電圧をVF3とする。LED素子LED3,LED4のアノード端子同士は接続されていることから、両者のアノード電位は等しく、上述したように、発光状態にあるLED素子LED4の順方向電圧である約1.6Vと等しい。一方、NチャネルMOSトランジスタ604はオン状態にあることから、LED素子LED4のカソード電位は、略0Vであり、これに対してLED素子LED3のカソード電位は、約0.6Vとなっている。
この状態において、LED素子LED3,LED4のそれぞれに流れる電流値を評価し、これら両者の比を試算すると、第1の実施の形態にて説明したように、非点灯とすべきLED素子LED3の電流値は、点灯状態にあるLED素子LED4の電流値の10万分の1程度以下となる。同様に、LED素子LED2のカソード電位は、LED素子LED3のカソード電位よりもさらに0.6V高いことから、LED素子LED2の電流値は、LED素子LED3の電流値の10万分の1程度以下となる。さらに、LED素子LED1のカソード電位は、LED素子LED2のカソード電位よりもさらに0.6V高いことから、LED素子LED1の電流値は、LED素子LED2の電流値の10万分の1程度以下となる。
このように、LEDヘッド600においては、非点灯としたいLED素子LED3の電流経路に対して、ダイオード623による順方向電圧(約0.6V)程度の電位を印加することにより、非点灯とすべきLED素子LED3の電流値を、点灯状態にあるLED素子LED4の電流値の10万分の1程度以下にすることができ、LED素子LED1,LED2の電流値については、さらに小さい値とすることができる。このように、LEDヘッド600においては、非点灯とすべきLED素子に流れる電流を極小とすることができ、これによるLED素子の発光を事実上無視することが可能となる。
また、LEDヘッド600においては、第1の実施の形態乃至第5の実施の形態にて説明したように、非点灯状態にあるLED素子のカソード端子電位が、高々、ダイオード621,622,623,624の順方向電圧に等しい約0.6V程度に制限されることになることから、非点灯状態にあるLED素子に対して絶対最大定格を越える逆方向電圧を印加してしまうことをなくすことができる。
このように、LEDヘッド600においては、ダイオード621,622,623,624を設けることにより、非点灯状態にあるLED素子に対する逆方向電圧の印加を解消することができる。具体的には、LEDヘッド600においては、非点灯としたい所定の定格におけるLED素子のカソード端子と当該LED素子が接続されるNチャネルMOSトランジスタとの間に、当該LED素子の逆方向印加電圧の最大定格値と順方向電圧との和未満で、当該LED素子の点灯電流値と非点灯電流値とのそれぞれに対応する電圧値の差の電圧値以上の電圧を印加するように、抵抗611,612,613,614やダイオード621,622,623,624の定格等を選択すればよい。
以上説明したように、本発明の第6の実施の形態として示す画像形成装置のLEDヘッド600においては、LED素子のカソード端子を抵抗611,612,613,614を用いてプルアップさせる一方で、その電位上昇を制限するための回路手段として、ダイオード621,622,623,624を設けることにより、非点灯状態にあるLED素子に対する逆方向電圧の印加を解消することができる。したがって、このLEDヘッド600においては、長期的にLED素子の製造段階で内在していた結晶欠陥箇所を増大させ、光量低下を招来するストレス要因となる問題を未然に防止することが可能となることから、印刷品位の向上や寿命の延長を図ることができる。また、LEDヘッド600においては、LED素子のカソード端子の電位上昇を制限するための回路手段として、ダイオード621,622,623,624のみを用いればよいことから、低コストでありながら、優れた信頼性を実現することができる。
なお、LEDヘッド600においては、スイッチ手段として作用するNチャネルMOSトランジスタ601,602,603,604、抵抗611,612,613,614、及びダイオード621,622,623,624等については集積回路化することなく、ディスクリートの素子で構成することができるため、ダイオード等の使用する素子、及び定格等の特性値を自由に選択可能である。
つぎに、第7の実施の形態として示す画像形成装置について説明する。
この第7の実施の形態として示す画像形成装置は、LED素子のカソード端子の電位上昇を制限するための回路手段として、コンデンサを用いるものである。したがって、この第7の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態乃至第6の実施の形態の説明と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
第7の実施の形態として示す画像形成装置においては、LEDヘッドとして、図16に示すような構成のものを用いる。
すなわち、このLEDヘッド700は、コンデンサ701,702を備える。これらコンデンサ701,702のうち、コンデンサ701の一方の電極は、駆動IC DRV3の端子KDRVに接続され、その他方の電極は、NチャネルMOSトランジスタ110のドレーン端子に接続されている。また、コンデンサ702の一方の電極は、駆動IC DRV4の端子KDRVに接続され、その他方の電極は、NチャネルMOSトランジスタ109のドレーン端子に接続されている。なお、NチャネルMOSトランジスタ109のゲート端子は、図23に示したLEDヘッド1019と同様に、第1段目の駆動IC DRV1の端子KDRVに接続され、NチャネルMOSトランジスタ110のゲート端子は、第2段目の駆動IC DRV2の端子KDRVに接続されている。ここで、駆動IC DRV1,・・・,DRV26は、それぞれ、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)プロセスによって作成されたものであり、その出力信号のレベルは、ハイレ
ベル時においては電源電圧VDDと略等しく、ローレベル時においてはグラウンド電位と略等しい。
ここで、図17に、このようなLEDヘッド700を用いて印刷動作を行う場合のタイムチャートを示す。
すなわち、LEDヘッド700においては、図17中A部に示すように、LED素子の時分割駆動の開始に先だって、同期信号HD−HSYNC−Nが入力される。続いて、LEDヘッド700においては、同図中B部に示すように、奇数番目のLED素子の駆動データ(Odd印字データ)を転送するため、クロック信号HD−CLKに同期して印字データ信号HD−DATA3〜HD−DATA0が入力される。なお、LEDヘッド700においては、26個の駆動IC DRVがカスケード接続され、各駆動IC DRV毎に96個のLED素子駆動端子DO1,・・・,DO96を有しており、1パルスのクロック信号HD−CLKに基づいて、隣接する4画素分のデータを一度に転送することが可能とされる。そのため、1回のLED素子の駆動に必要となるデータをシフト入力するためのクロックパルス数は、96/4*26=24*26=624となる。
そして、LEDヘッド700においては、同図中B部において、1回目のLED素子の駆動に必要である奇数ドットのデータの転送が完了すると、同図中C部に示すように、ラッチ信号HD−LOAD信号が入力され、シフトレジスタを介して入力されたデータがラッチ回路にラッチされる。このとき、LEDヘッド700においては、NチャネルMOSトランジスタ109,110を介してLED素子のコモンカソード端子のグラウンドへの接続オン/オフを切り替えるために、当該NチャネルMOSトランジスタ109に供給される制御信号ODD、及びNチャネルMOSトランジスタ110に供給される制御信号EVENが、駆動IC DRV1,DRV2のそれぞれの端子KDRVから出力される。
なお、LEDヘッド700においては、同図に示すように、26個の駆動IC DRV1,・・・に対する光量補正データの格納過程において、上述したカソード選択データK−SELも同時に格納される。このカソード選択データK−SELは、駆動IC DRV1についてはローレベル(論理値0)に設定され、駆動IC DRV2についてはハイレベル(論理値1)に設定される。また、カソード選択データK−SELは、駆動IC DRV3についてはローレベル(論理値0)に設定され、駆動IC DRV4についてはハイレベル(論理値1)に設定される。したがって、LEDヘッド700においては、駆動IC DRV1の端子KDRVと、駆動IC DRV3の端子KDRVには、同様の信号出力が発生する。また、LEDヘッド700においては、駆動IC DRV2の端子KDRVと、駆動IC DRV4の端子KDRVにも、同様の信号出力が発生する。このとき、LEDヘッド700においては、駆動IC DRV1の端子KDRVから出力される制御信号ODDがNチャネルMOSトランジスタ109のゲート端子に入力され、LED素子LED1,LED3,・・・,LED4991等の奇数番目のLED素子を選択的に駆動する制御が行われる。また、LEDヘッド700においては、駆動IC DRV2の端子KDRVから出力される制御信号EVENがNチャネルMOSトランジスタ110のゲート端子に入力され、LED素子LED2,LED4,・・・,LED4992等の偶数番目のLED素子を選択的に駆動する制御が行われる。LEDヘッド700においては、同図中C部に示すように、ラッチ信号HD−LOADが立ち上がるのにともない、同図中D部に示すように、駆動IC DRV1の端子KDRVから出力される制御信号ODDがローレベルからハイレベルへと遷移し、これと同時に、同図中E部に示すように、駆動IC DRV2の端子KDRVから出力される制御信号EVENがハイレベルからローレベルへと遷移する。また、LEDヘッド700においては、同図中F部に示すように、駆動IC DRV3の端子KDRVから出力される制御信号がローレベルからハイレベルへと遷移し、これと同時に、同図中G部に示すように、駆動IC DRV4の端子KDRVから出力される制御信号がハイレベルからローレベルへと遷移する。この結果、NチャネルMOSトランジスタ109は、オン状態となる一方で、NチャネルMOSトランジスタ110は、オフ状態となる。
そのため、LEDヘッド700においては、同図中H部に示すように、NチャネルMOSトランジスタ109のドレーン電位は、ローレベルへと遷移する。このNチャネルMOSトランジスタ109のドレーン電位は、LED素子LED1のカソード電位ODD−Kと等しい。また、LEDヘッド700においては、同図中I部に示すように、NチャネルMOSトランジスタ110のドレーン電位は、ハイインピーダンス状態へと遷移する。このNチャネルMOSトランジスタ110のドレーン電位は、LED素子LED2のカソード電位EVEN−Kと等しい。なお、同図においては、ハイインピーダンス状態を一点鎖線で示している。
さらに、LEDヘッド700においては、所定の待ち時間Tpの経過後に、同図中J部に示すように、LED素子の駆動を指示するための印刷駆動信号HD−STB−Nが入力される。この状態において、LEDヘッド700においては、制御信号ODDがハイレベルとなっており、また、制御信号EVENがローレベルとなっていることから、NチャネルMOSトランジスタ109がオン状態となる一方で、NチャネルMOSトランジスタ110がオフ状態となる。したがって、LEDヘッド700においては、LED素子LED1,LED3,・・・,LED4991等の奇数番目のLED素子のカソード端子からグラウンドへの電流経路が形成される。これに対して、LEDヘッド700においては、LED素子LED2,LED4,・・・,LED4992等の偶数番目のLED素子のカソード端子からグラウンドへの電流流路は形成されない。そのため、LEDヘッド700においては、駆動IC DRV1の端子DO1からLED素子を駆動するための駆動電流が出力された場合には、その駆動電流は、LED素子LED1のアノード端子及びカソード端子を経て、さらに、NチャネルMOSトランジスタ109のドレーン端子及びソース端子を介してグラウンドへと至ることになる。これにより、画像形成装置においては、LED素子LED1が発光して感光ドラム上の静電潜像を形成し、印刷ドットを発生する。なお、LEDヘッド700においては、LED素子LED2には電流経路が形成されないことから、LED素子LED1の発光状態には何ら影響を与えることはない。
このようなLEDヘッド700において、NチャネルMOSトランジスタ109がオン状態であり、NチャネルMOSトランジスタ110がオフ状態となった場合を考える。なお、図18においては、オフ状態にあるNチャネルMOSトランジスタ110を破線で示している。また、同図においては、NチャネルMOSトランジスタ109,110のソース端子とドレーン端子との間に発生する浮遊容量を、コンデンサ711,712としてモデル化して示している。このような浮遊容量は、NチャネルMOSトランジスタ109,110のソース端子とドレーン端子との間に発生するものに限られず、LEDアレイチップCHP内に設けられているカソード配線と当該チップが配設される基板との間、ひいてはグラウンドとの間にも生じるものであるが、同図においては、これらを含め、コンデンサ711,712としてモデル化している。
ここで、コンデンサ701,702がない状態を考えると、LEDヘッドにおいては、従来のように、LED素子LED1の発光開始時に、短時間ではあるがLED素子LED2が意図せず発光してしまうという不具合現象が生じてしまう。
これに対して、LEDヘッド700においては、コンデンサ701,702が設けられていることから、NチャネルMOSトランジスタ109がオン状態に遷移し、NチャネルMOSトランジスタ110がオフ状態に遷移する場合を考えると、このような状態遷移の最初の過程で、各駆動IC DRV1,DRV2,DRV3,DRV4のそれぞれの端子KDRVから出力される制御信号が、以下のように遷移することになる。
すなわち、駆動IC DRV1の端子KDRVから出力される制御信号ODDは、ローレベルからハイレベルへと遷移し、駆動IC DRV2の端子KDRVから出力される制御信号EVENは、ハイレベルからローレベルへと遷移し、駆動IC DRV3の端子KDRVから出力される制御信号は、ローレベルからハイレベルへと遷移し、駆動IC DRV4の端子KDRVから出力される信号は、ハイレベルからローレベルへと遷移することになる。そのため、LEDヘッド700においては、後述するカソード信号選択データK−SELが、駆動IC DRV1,DRV2,DRV3,DRV4に対して予め個別に設定されている。
LEDヘッド700においては、MOSトランジスタ110がオフ状態となる過程で、同時に駆動IC DRV3の端子KDRVから出力される制御信号が、ローレベルからハイレベルへと遷移することから、図18中一点鎖線で示すように、駆動IC DRV3の端子KDRVから、コンデンサ701を介してコンデンサ(浮遊容量)712を充電する電流経路が形成され、電流Ichargeが流れる。これにより、LEDヘッド700においては、コンデンサ712が急速に充電される結果、LED素子LED2のカソード電位が、コンデンサ701,712によって電源電圧VDDを分圧する電位まで急激に上昇させられることになる。
ここで、コンデンサ701,702に対するコンデンサ711,712の容量値の比は、電源電圧VDDを分圧する電圧値によって決まるが、例えば、コンデンサ711,712の容量値が1nF〜10nFとした場合には、コンデンサ701,702の容量値は、コンデンサ711,712の容量値よりも小さい0.1nF〜1nFであるのが望ましい。ここでは、コンデンサ701,702の容量を、コンデンサ711,712の容量を勘案し、コンデンサ701,712によって分圧される電位、及びコンデンサ702,711によって分圧される電位が、それぞれ、約0.6Vとなるように設定するものとする。
このようなLEDヘッド700においては、図17に示したタイムチャートを用いて説明したように、同図中C部において、ラッチ信号HD−LOADが立ち上がり、これに引き続いて同図中D部において、駆動IC DRV1の端子KDRVから出力される制御信号ODDがローレベルからハイレベルへと遷移するとともに、同図中E部において、駆動IC DRV2の端子KDRVから出力される制御信号EVENがハイレベルからローレベルへと遷移することになる。この結果、NチャネルMOSトランジスタ109は、オン状態となる一方で、NチャネルMOSトランジスタ110は、オフ状態となる。
さらに、LEDヘッド700においては、同図中J部に示したように、LED素子の駆動を指示するための印刷駆動信号HD−STB−Nが入力されることから、図18中破線で示すように、駆動IC DRV1の端子DO1から出力されたLED素子LED1を駆動するための駆動電流I1が流れることになる。
ここで、図18に示すように、LED素子LED1のアノード端子とカソード端子との間に印加される順方向電圧をVF1とし、LED素子LED2のアノード端子とカソード端子との間に印加される電圧をVF2とする。LED素子LED1,LED2のアノード端子同士は接続されていることから、両者のアノード電位は等しく、上述したように、発光状態にあるLED素子LED1の順方向電圧である約1.6Vと等しい。一方、NチャネルMOSトランジスタ109はオン状態にあることから、LED素子LED1のカソード電位は、略0Vであり、これに対してLED素子LED2のカソード電位は、約0.6Vとなっている。
この状態において、LED素子LED1,LED2のそれぞれに流れる電流値を評価し、これら両者の比を試算すると、第1の実施の形態にて説明したように、非点灯とすべきLED素子LED2の電流値は、点灯状態にあるLED素子LED1の電流値の10万分の1程度以下となる。
したがって、LEDヘッド700においては、非点灯としたいLED素子LED2の電流経路に含まれるNチャネルMOSトランジスタ110のドレーン電位を、LED素子の駆動に先だって、コンデンサ701を介してプリチャージしておく。このとき、LEDヘッド700においては、NチャネルMOSトランジスタ110のドレーン端子に対して、0.6V程度の電位を印加しておくことにより、非点灯とすべきLED素子LED2の電流値を、点灯状態にあるLED素子LED1の電流値の10万分の1程度以下にすることができる。このように、LEDヘッド700においては、非点灯とすべきLED素子に流れる電流を極小とすることができ、これによるLED素子の発光を事実上無視することが可能となる。
また、LEDヘッド700において、非点灯とすべきLED素子のカソード端子電位を、コンデンサ701,702を介して急速に立ち上げることが可能となるため、図17に示したタイムチャートにおいて、ラッチ信号HD−LOADの立ち上がりから印刷駆動信号HD−STB―Nの立ち下がりまでの待ち時間Tpを極小にすることが可能とある。したがって、このLEDヘッド700を適用した画像形成装置においては、当該LEDヘッド700を駆動するライン周期を小さくすることができ、印刷速度の高速化を容易に図ることができる。
このように、LEDヘッド700においては、コンデンサ701,702を設けることにより、非点灯状態にあるLED素子に対する逆方向電圧の印加を解消することができる。具体的には、LEDヘッド700においては、非点灯としたい所定の定格におけるLED素子のカソード端子と当該LED素子が接続されるNチャネルMOSトランジスタとの間に、当該LED素子の逆方向印加電圧の最大定格値と順方向電圧との和未満で、当該LED素子の点灯電流値と非点灯電流値とのそれぞれに対応する電圧値の差の電圧値以上の電圧を印加するように、コンデンサ701,702の定格等を選択すればよい。
以上説明したように、本発明の第7の実施の形態として示す画像形成装置のLEDヘッド700においては、LED素子のカソード端子と電源VDDとの間に抵抗を接続する必要がなくなり、非点灯状態にあるLED素子に対する逆方向電圧の印加を解消することができる。したがって、このLEDヘッド700においては、長期的にLED素子の製造段階で内在していた結晶欠陥箇所を増大させ、光量低下を招来するストレス要因となる問題を未然に防止することが可能となることから、印刷品位の向上や寿命の延長を図ることができる。また、LEDヘッド700においては、LED素子のカソード端子の電位上昇を定量管理するための回路手段として、コンデンサ701,702のみを用いればよいことから、低コストでありながら、優れた信頼性を実現することができる。
さらに、このLEDヘッド700においては、非点灯とすべきLED素子のカソード端子電位の立ち上がり時間を小さく設定することが容易であり、これを用いる画像形成装置の印刷速度を容易に向上させることができる。
なお、画像形成装置においては、LEDヘッドとして、LEDヘッド700を変形した図19に示すような構成のものを用いてもよい。
すなわち、このLEDヘッド700'は、抵抗703,704を備える。これら抵抗7
03,704のうち、抵抗703は、コンデンサ701と並列に接続されている。また、抵抗704は、コンデンサ702と並列に接続されている。
このようなLEDヘッド700'においては、LEDヘッド700と同様に、Nチャネ
ルMOSトランジスタ109,110への制御信号ODD,EVENが切り替わり、そのドレーン電位が変化する過程において、コンデンサ701,702を介してドレーンノードに対する充放電が行われる。これにより、LEDヘッド700'においては、Nチャネ
ルMOSトランジスタ109,110の電位波形の立ち上がり時間及び立ち下がり時間の短縮化を図ることができる。
これに加え、LEDヘッド700'においては、コンデンサ701,702に並列に抵
抗703,704が接続されていることから、コンデンサ701,702によるドレーンノードに対する充放電が完了した後も、抵抗703,704によって電位が継続され維持されることになる。
また、LEDヘッド700'においては、NチャネルMOSトランジスタ109,11
0の電位波形の立ち上がり時間及び立ち下がり時間が、主としてコンデンサ701,702の容量値によって決定され、これら電位波形の立ち上がり時間及び立ち下がり時間に対して、抵抗703,704の抵抗値を独立に決定することができる。そのため、LEDヘッド700'においては、LED素子の時分割駆動の過程において、非点灯側のLED素
子に対して逆バイアス電圧が印加されたとしても、これに起因して発生するおそれがある逆方向電流を微小値に制限することが可能となり、LED素子の寿命低下といった問題を未然に防止することが可能となる。
なお、LEDヘッド700,700'においては、スイッチ手段として作用するNチャ
ネルMOSトランジスタ109,110、抵抗111,112,703,704、及びコンデンサ701,702等については集積回路化することなく、ディスクリートの素子で構成することができるため、コンデンサや抵抗等の使用する素子、及び定格等の特性値を自由に選択可能である。
つぎに、第8の実施の形態として、第1の実施の形態乃至第7の実施の形態として示したLEDヘッドを実際に適用する場合について説明する。
この第8の実施の形態として示すLEDヘッドは、例えば電子写真プリンタや電子写真複写機等の露光装置として用いられるものである。具体的には、LEDヘッドは、図20に示すように、所定のベース部材801上にLED素子を有するLEDユニット802が支持されて構成される。このLEDユニット802は、第1の実施の形態乃至第7の実施の形態として示した駆動IC及びLEDアレイチップを含む駆動回路が実装基板上に搭載されて構成されるものである。LEDユニット802に設けられた発光部ユニット802aにおける発光部の上方には、当該発光部から出射された光を集光する光学素子としてのロッドレンズアレイ803が配設されている。このロッドレンズアレイ803は、柱状の光学レンズの光軸を、発光部ユニット802aにおける直線状に配列された発光部と位置合わせて多数配列したものであり、光学素子ホルダに相当するレンズホルダ804によって所定位置に支持されている。
レンズホルダ804は、ベース部材801及びLEDユニット802を覆うように形成されている。そして、ベース部材801、LEDユニット802、及びレンズホルダ804は、ベース部材801に形成された開口部801a及びレンズホルダ804に形成された開口部804aに挿通されて配設されるクランパ805によってベース部材801と一体的に狭持されている。すなわち、ベース部材801とレンズホルダ804は、LEDユニット802とロッドレンズアレイ803とを支持する支持フレームとして構成される。
このようなLEDヘッドにおいては、LEDユニット802によって発生した光が、ロッドレンズアレイ803によって集光され、所定の外部部材に照射されることになる。
このように、本発明の第8の実施の形態として示すLEDヘッドにおいては、LEDユニット802として、第1の実施の形態乃至第7の実施の形態として示した各種LEDヘッドを用いていることから、高速で且つ誤発光が生じない高品質な画像形成を行うことができる。
最後に、第9の実施の形態として、第8の実施の形態として示したLEDヘッドを適用した画像形成装置について説明する。
この第9の実施の形態として示す画像形成装置は、所定の記録媒体にトナーを定着して画像を形成する画像形成装置であり、転写式電子写真プロセスを利用したプリンタや複写機に適用可能なものである。
画像形成装置は、図21に示すように、画像が記録されていない記録媒体Pを堆積した状態で収納する用紙カセット901を備える。用紙カセット901に収納された記録媒体Pは、その表面に接触するように配設されているホッピングローラ902が回転することによって当該用紙カセット901から1枚ずつ分離されて給紙され、媒体搬送経路におけるホッピングローラ902の下流側に配設されたピンチローラ903及びレジストローラ904、並びにピンチローラ905及びレジストローラ906の回転に応じて、後述するプロセスユニット907Y,907M,907C,907Bへと搬送される。このとき、画像形成装置は、ピンチローラ903及びレジストローラ904、並びにピンチローラ905及びレジストローラ906によって記録媒体Pを挟持することにより、当該記録媒体Pの斜行を修正しながらプロセスユニット907Y,907M,907C,907Bへと搬送する。
また、画像形成装置においては、媒体搬送経路におけるピンチローラ905及びレジストローラ906の下流に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のそれぞれの画像を形成する4つのプロセスユニット907Y,907M,907C,907Bが、媒体搬送経路に沿ってその上流側から順次配設されている。なお、これらプロセスユニット907Y,907M,907C,907Bは、共通の構成とされることから、ここでは、プロセスユニット907と総称して説明するものとする。
プロセスユニット907は、図示しない駆動源及びギヤによって媒体搬送方向に回転駆動する像担持体としての感光体ドラム907aを備える。この感光体ドラム907aの周囲には、その回転方向上流側から順に、当該感光体ドラム907aの表面を帯電させる帯電装置907bと、この帯電装置907bによって帯電された感光体ドラム907aの表面に選択的に光を照射して静電潜像を形成する露光装置907cとが配設されている。ここで、露光装置907cとしては、第8の実施の形態として示したLEDヘッドが用いられる。また、プロセスユニット907は、静電潜像が形成された感光体ドラム907aの表面にトナーを供給してトナー画像を形成させる現像装置907dと、感光体ドラム907aの表面に残留したトナーを除去するクリーニング装置907eとを備える。
さらに、画像形成装置は、プロセスユニット907における各感光体ドラム907aと対向する位置に、半導電性のゴム等によって形成された転写ローラ908が配設されている。画像形成装置は、感光体ドラム907a上のトナーを記録媒体Pに付着させるために、当該感光体ドラム907aの表面とこれら各転写ローラ908の表面との間に、所定の電位差を生じさせる。
さらにまた、画像形成装置は、媒体搬送経路におけるプロセスユニット907Y,907M,907C,907Bの下流に、媒体搬送方向に回転駆動する加熱ローラ及びこの加熱ローラと略当接して回転駆動するバックアップローラを搭載した定着装置909を備える。定着装置909は、加熱ローラ及びバックアップローラによって記録媒体Pを挟持して加圧及び加熱することにより、当該記録媒体P上に転写されたトナーを定着させる。
このような画像形成装置は、記録媒体Pを所定の媒体搬送速度でプロセスユニット907へと搬送し、これにともない、これらプロセスユニット907によって当該記録媒体P上に画像を形成する。具体的には、画像形成装置は、記録媒体Pを搬送した状態で、記録すべき画像信号がプロセスユニット907に入力されると、露光装置907cに形成された図示しないLED素子を発光させて、帯電装置907bによって帯電された感光体ドラム907aを露光し、当該感光体ドラム907aの表面に静電潜像を形成する。そして、画像形成装置は、プロセスユニット907に格納されたトナーをその静電潜像に帯電させて付着させ、このトナー画像を転写ローラ908を用いて記録媒体P上に転写する。
画像形成装置は、記録媒体Pを順次プロセスユニット907Y,907M,907C,907Bに通過させ、その通過過程でこのような動作を行うことにより、各色のトナー画像を当該記録媒体P上に順次転写して重ね合わせる。
さらに、画像形成装置は、未定着トナーが転写された記録媒体Pが定着装置909へと搬送されると、当該定着装置909によって当該記録媒体P上のトナー画像を定着させて画像を形成する。そして、画像形成装置は、媒体搬送経路における定着装置909の下流側に配設されたピンチローラ910及び排出ローラ911、並びにピンチローラ912及び排出ローラ913の回転に応じて、当該記録媒体Pを搬送し、記録媒体スタッカ部914へと排出する。
画像形成装置は、このようにして記録媒体P上にカラー画像を形成することができる。
以上説明したように、本発明の第9の実施の形態として示す画像形成装置においては、露光装置907cとして、第8の実施の形態として示したLEDヘッドを用いていることから、高速で且つ誤発光が生じない高品質な画像形成を行うことができる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施の形態では、感光体ドラムに光を照射して露光する光源としてLED素子を用いた電子写真記録方式の画像形成装置におけるLEDヘッドについて説明したが、本発明は、同様の光源として、有機EL(ElectroLuminescent)素子を用いた有機ELヘッドにも適用することができる。また、本発明は、LED素子等の発光素子のみならず、発光サイリスタ等のエネルギバンド構造で発光する素子を含む任意の発光半導体素子を用いることができる。
また、上述した実施の形態では、被駆動素子として光源を用いて説明したが、本発明は、例えば、表示装置における表示素子の列や面発光半導体素子列を駆動する場合にも適用することが可能であり、任意の被駆動素子の列を選択的に且つ周期的に駆動するものであれば、いかなるものであっても適用することができる。
このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。