JP2016202855A - トイレットロール - Google Patents

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Abstract

【課題】坪量を下げずにシートの柔らかさに優れると共に1ロール当りの巻長を長くし、エンボスによる美粧性を維持しつつ、持ち運びや保管時の省スペース性に優れたトイレットロールを提供する。
【解決手段】2プライに重ねられ、エンボスが施されたトイレットペーパーをロール状に巻き取ったトイレットロールであって、巻長が63〜103m、巻直径が105〜134mm、巻密度が1.2〜2.0m/cm、かつエンボス深さD1(mm)とエンボス深さD2(mm)の比{(D2/D1)×100}が45〜100%である。但し、エンボス深さD1は、該トイレットロールを巻きほぐした際の最外巻のトイレットペーパーの端縁から前記巻長の10%に相当する位置における前記エンボスの深さであり、エンボス深さD2は前記端縁から前記巻長の90%に相当する位置における前記エンボスの深さである。
【選択図】図9

Description

この発明は、2プライに重ねられたトイレットペーパーを巻き取ったトイレットロールに関するものである。
トイレットペーパーは、主に4ロール又は12ロール等を単位として包装されたものが市販されている。これらの包装体は嵩張るため、購入時に持ち運べる量は限られており、一度に購入できる量は自ずと限度がある。また、家庭や職場、公共施設などにおいても保管スペースが限られている。
このようなことから、トイレットペーパーのシート1枚当りの坪量を14g/m以下に低減し、巻長を長くしたトイレットロールが開発されている(特許文献1、2)。
又、本願出願人は、トイレットペーパーの1枚当りの坪量を13g/mより高くして風合い、使用感を向上させながら、巻長を長くしたトイレットロールを開発した(特許文献3)。
特開2006-087703号公報 特開2013-208297号公報 特開2014-188342号公報
しかしながら、紙の坪量を下げると、強度が低下すると共に使用感や嵩高さが低下する。一方、これらの不具合を補うべく紙の嵩を高くするため、カレンダー処理を弱めると、滑らかさが劣ったり、ロール径が大きくなってトイレットペーパーホルダーに収まり難くなる問題がある。
また、トイレットロールの巻長を長くしつつ、巻直径が大きくならないようにしてペーパーホルダーへの装着を妨げないためには、ロールを固く巻く必要がある。しかしながら、この場合、特に内巻のトイレットペーパーに過大な押圧が加わり、内巻のトイレットペーパーに設けたエンボスが潰れて、使用時に美粧性が劣るという問題がある。
従って本発明は、坪量を下げずにシートの柔らかさに優れると共に1ロール当りの巻長を長くし、エンボスによる美粧性を維持しつつ、持ち運びや保管時の省スペース性に優れたトイレットロールの提供を目的とする。
本発明者らは、トイレットペーパーのシートの柔らかさや美粧性を向上さるためにエンボスを付与して適度な凹凸状にすることで向上させた場合、トイレットロールの巻長を長くしつつ、巻直径が大きくならないようにするためには、ロールの外巻と内巻のエンボス深さの差を所定範囲内にする必要があることを見出した。
つまり、ロールを固く巻きすぎると、内巻のトイレットペーパーに過大な押圧が加わり、内巻のトイレットペーパーに設けたエンボスが潰れて、内巻まで使用した時に美粧性が低下する。一方、ロールを弱く巻きすぎると、エンボスは潰れないが、巻直径が大きくなってペーパーホルダーへの装着が困難になったり、内巻の巻付け力が弱くなり過ぎ、図11に示すようにロールの内巻側が軸方向に飛び出て不良品となるのである。
上記課題を解決するため、本発明のトイレットロールは、2プライに重ねられ、エンボスが施されたトイレットペーパーをロール状に巻き取ったトイレットロールであって、巻長が63〜103m、巻直径が105〜134mm、巻密度が1.2〜2.0m/cm、かつエンボス深さD1(mm)とエンボス深さD2(mm)の比{(D2/D1)×100}が45〜100%である。但し、エンボス深さD1は、該トイレットロールを巻きほぐした際の最外巻の端縁から前記巻長の10%に相当する位置における前記エンボスの深さであり、エンボス深さD2は前記最外巻の端縁から前記巻長の90%に相当する位置における前記エンボスの深さである。
前記エンボス深さD1が0.05〜0.40mm、前記エンボス深さD2が0.05〜0.35mmであることが好ましい。
前記エンボスがシングルエンボスであることが好ましい。
巻固さが0.3〜1.4mmであることが好ましい。
前記トイレットペーパーは、クラフトパルプを40〜100質量%含有することが好ましい。
ミルクカートン由来の古紙パルプを0〜60%質量%含有することが好ましい。
CIE(国際照明委員会)が規定するC光源を前記トイレットペーパーの表面側に照射したときのISO 2470に準拠した白色度UV-inと、波長420nm以下の紫外光をカットするフィルタを介して、前記C光源を前記トイレットペーパーの表面側に照射したときのISO 2470に準拠した白色度UV-cutとの差Δが0.0〜2.5ポイントであることが好ましい。
この発明によれば、坪量を下げずにシートの柔らかさに優れると共に1ロール当りの巻長を長くし、エンボスによる美粧性を維持しつつ、持ち運びや保管時の省スペース性に優れたトイレットロールを得ることができる。
本発明の実施形態に係るトイレットロールの外観を示す斜視図である。 ロール表面及び裏面に設けられたエンボスを示す断面図である。 ロール巻取り加工機の一例を示す図である。 エンボス深さの測定方法を示す図である。 エンボス深さの測定方法を示す別の図である。 図5に続く図である。 マシンワインダーの一例を示す図である。 ロール表面側のエンボス凹部の撮影画像を示す図である。 エンボス深さD1、D2を測定する方法を示す図である。 エンボス深さD1、D2を測定する方法を示す別の図である。 ロールの内巻側が軸方向に飛び出た不良品を示す図である。
以下に本発明の好ましい実施形態につき説明するが、これらは例示の目的で掲げたものでこれらにより本発明を限定するものではない。
図1に示すように、本発明の実施形態に係るトイレットロール10は、2プライに重ねられ、エンボスが施されたトイレットペーパー10xをロール状に巻き取ったトイレットロールであって、巻長(巻き取り長さ)が63〜103m、巻直径DR(ロールの外径)が105〜134mm、巻密度が1.2〜2.0m/cm、かつエンボス深さD1(mm)とエンボス深さD2(mm)の比{(D2/D1)×100}が45〜100%である。
トイレットペーパー10xのロール外側の表面をロール表面(又はトイレットペーパーの表面)10aとし、ロール内側の表面をロール裏面(又はトイレットペーパーの裏面)10bとする。
トイレットロールの巻密度、及び後述する巻固さを上記範囲に調整する方法としては、坪量及び紙厚を所定範囲に調整しつつ、ロールワインダー(特にサーフェイス式)でロールを巻く強さを調整する方法がある。
トイレットロール10の巻長が63m未満であると、1ロール当りの巻長が短くなり、保管時の省スペースが図れない。ロールの巻長が103mを超えるものは、巻直径DRが134mmを超えてしまい、トイレットペーパーホルダー等に収まり難くなる。
巻長は、好ましくは70〜85m、より好ましくは73〜78mである。
巻直径DRが105mm未満であると、巻長も63m未満に短くなる。巻直径DRが134mmを超えると、トイレットペーパーホルダー等に収まり難くなる。
巻直径DRは、好ましくは108〜125mm、より好ましくは113〜119mmである。
上述のように、ロールを固く巻きすぎると、内巻のトイレットペーパーに過大な押圧が加わり、内巻のトイレットペーパーに設けたエンボスが潰れて、使用時に美粧性が低下する。一方、ロールを弱く巻きすぎると、エンボスは潰れないが、巻直径が大きくなってペーパーホルダーへの装着が困難になったり、内巻の巻付け力が弱くなり過ぎ、ロールの内巻側が軸方向に飛び出して不良品が生じる。このようなことから、ロールの巻き強さを表すための因子として、巻密度を規定した。
巻密度は、(巻長×プライ数)÷(ロールの断面積)で表される。ロールの断面積は、{ロールの外径(巻直径DR)部分の断面積}−(コア外径部分の断面積)で表される。コア外径DI(図1参照)は、ロールの中心孔の直径である。
巻密度が1.2m/cm未満であると、巻直径DRが134mmを超えてしまい、トイレットペーパーホルダー等に収まり難くなると共に、内巻の巻付け力が弱くなり過ぎ、ロールの内巻側が軸方向に飛び出して(ロールの保形性が劣り)、不良品となる。巻密度が2.0m/cmを超えると、シートの柔らかさが劣ったり、トイレットペーパーに設けたエンボスが潰れて、使用時に美粧性が低下する。
巻密度は、好ましくは1.4〜1.8m/cm、より好ましくは1.5〜1.7m/cmである。
トイレットペーパー10xのシート1枚当りの坪量が13g/mを超え17g/m以下、かつ紙厚が0.6mm/10枚を超え1.1mm/10枚以下であると、巻固さ、巻長、巻直径DR、巻密度を上記範囲に調整し易くなるので好ましい。
1枚当りのトイレットペーパー10xの坪量及び紙厚を上記範囲に調整する方法としては、原紙ウェブのカレンダー条件(カレンダー処理後の紙厚及び比容積、カレンダー処理前後の紙厚差)及びエンボス条件を規定する。
トイレットペーパー10xのシート1枚当りの坪量が13g/m以下であるか、又は紙厚が0.6mm/10枚以下であると、強度が低下すると共に使用感(嵩高さ)も低下する場合がある。トイレットペーパー10xの1枚当りの坪量が17g/mを超えるか、又は紙厚が1.1mm/10枚を超えると、トイレットペーパーが厚くなり、これを63m以上巻いたロールの巻直径DRが134mmを超え、トイレットペーパーホルダーに収まり難くなる場合がある。
トイレットペーパー10xのシート1枚当りの坪量がより好ましくは13.5〜16.5g/mであり、さらに好ましくは14.1〜16.0g/mである。トイレットペーパー10xの紙厚がより好ましくは0.65〜0.90mm/10枚であり、さらに好ましくは0.71〜0.83mm/10枚である。
<エンボス>
本発明のトイレットロール10(トイレットペーパー10x)は、エンボスが施されてなる。特に、シングルエンボスが好ましい。
シングルエンボスは、図3に示すように、シートを2プライに重ねたトイレットペーパー10xの一方の面からのみ、エンボスロール151のエンボス凸部を押し当てて形成される。
図2は、トイレットロール10(トイレットペーパー10x)に設けられたシングルエンボス2を示す断面図である。なお、図2の例では、トイレットペーパー10xはシートを2プライに重ねてなり、図2の上部がロール表面10a側に対応する。トイレットペーパー10xのエンボスロール151を押し当てた面(図2の表面)に凹部2R、裏面に凸部2Pが現れるエンボス(シングルエンボス)2が形成される。
なお、図2(a)はエンボス深さが深い場合、図2(b)はエンボス深さが浅い場合である。
この場合、エンボス処理後のトイレットペーパー10xの紙厚t2(この紙厚は、トイレットペーパー10xの表面の非エンボス部と、裏面のエンボスの凸部2Pの間の距離を反映する)が同一であっても、原紙をカレンダー処理で紙厚t1まで薄くしたシートを、エンボス深さD1、D2が深くなるようにエンボスを付けた図2(a)の方が、シートが柔らかく風合いに優れる。これは、エンボスの凹凸が顕著な図2(a)の方が、原紙の紙厚に対する嵩が高くなり(密度が低くなり)、変形し易くなってシートの柔らかさが向上するためと考えられる。
又、図2(a)の場合、エンボス深さD1、D2を深くするには、その分だけシート1枚当りの紙厚t1を薄くして凹凸を顕著にする必要があることから、原紙のカレンダー処理を強く行うことに起因してシートの柔らかさが向上する。
一方、トイレットペーパー10xの表面にエンボスを設けずに平滑にすると、滑らか過ぎて表面がパリパリに感じ、シートの柔らかさが劣る。なお、トイレットペーパー10xのうち、温水洗浄便座の使用時等に水が付着し易いロール外側(ロール表面10a側)に、エンボスの凹部2Rを設けると、凹部2Rは凸部より触感が良いため、シートの柔らかさが向上する。
図8は、ロール表面10a側のエンボス凹部2Rの撮影画像を示す。
なお、図2のシングルエンボスの代わりにダブルエンボスを施した場合、トイレットペーパー10xの表面、裏面側の各シートをそれぞれエンボス処理した後、それぞれのシートのエンボスの凸面同士を内側にしてプライアップして2プライにする。そのため、トイレットペーパー10xの紙厚t2が高くなり過ぎ、巻密度が低くなって、巻長を確保することが難しくなる場合がある。ダブルエンボスでもエンボス深さD1、D2を浅くすれば紙厚t2は低くなるが、シートの柔らかさが劣る場合がある。従って、シングルエンボスが好ましい。
又、トイレットペーパー(シート)10xの柔らかさを確保する手段としては、表面に凹凸を付与するものであれば、エンボスに限らず、例えば、凹凸ファブリックを用いて抄紙時にウェブに凹凸を付けてもよい。又、この場合、凹凸の深さは、後述するエンボス深さD1、D2に相当する範囲とすると良い。
<エンボス深さD1、D2>
本発明においては、ロールの巻き強さを表すための因子として、ロールの外巻と内巻のエンボス深さの差を規定することで、エンボスが潰れず、かつ巻直径が大きくならないようにしている。具体的には、エンボス深さD1(mm)とエンボス深さD2(mm)の比{(D2/D1)×100}を45〜100%とする。上記比は55〜100%が好ましく、65〜100%がより好ましい。
ここで、図9に示すように、エンボス深さD1は、トイレットロール10を巻きほぐした際の最外巻のトイレットペーパーの端縁10eから巻長の10%に相当する位置M1におけるエンボス2の凹部2Rの深さであり、エンボス深さD2は端縁10eから巻長の90%に相当する位置M2におけるエンボス2の凹部2Rの深さである。例えば、巻長が75mの場合、位置M1は端縁10eから7.5mの部分である。なお、エンボス深さD1、D2の具体的な測定法は後述する。
上記比が45%未満であると、ロールを固く巻き過ぎて内巻のトイレットペーパーに過大な押圧が加わり、内巻のトイレットペーパーに設けたエンボスが潰れて、使用時に美粧性のバランスが劣る。上記比が100%を超えるものは、ロールを弱く巻きすぎ、巻直径が大きくなってペーパーホルダーへの装着が困難になると共に、内巻の巻付け力が弱くなり過ぎ、ロールの内巻側が軸方向に飛び出して不良品が生じる。
又、エンボス深さD1、D2は、形状測定レーザマイクロスコープを用いてエンボスの高低差を測定して求める。形状測定レーザマイクロスコープは、点光源であるレーザ光源を、対物レンズを介して観察視野内のX−Y平面を複数に分割したピクセルにスキャンし、各ピクセル毎の反射光を受光素子で検出する。そして、対物レンズを高さ(Z軸)方向に駆動し、最も反射光量の高いZ軸位置を焦点として、高さ情報と反射光量を検出する。このようにしてスキャンを繰り返すことにより、全体に焦点の合った光量超深度画像と高低画像(情報)が得られる。レーザ光源は、ピンホール共焦点光学系であるので、測定精度が高い。
形状測定レーザマイクロスコープとしては、KEYENCE社製の製品名「ワンショット3D測定マクロスコープ VR−3100」を使用することができる。レーザマイクロスコープの画像の観察・測定・画像解析ソフトウェアとしては、製品名「VR−H1A」を使用することができる。又、測定条件は、倍率12倍、視野面積24mm×18mmの条件で測定する。なお、測定倍率と視野面積は、求めるエンボスの大きさによって、適宜変更しても良い。
まず、図4に示すように、エンボスの周縁frの最長部aを求める。図5(a)は、形状測定レーザマイクロスコープによるX−Y平面上の高さプロファイルを示し、トイレットペーパー表面の高さが濃淡で表されることがわかる。図5(a)の濃色部位が個々のエンボス2を示し、図5(a)から1つのエンボス2の最長部aを見分けることができる。この最長部aを横切る線分A−Bを引くと、図5(b)に示すようにエンボス2の高さ(測定断面曲線)プロファイルが得られる。ここで、X−Y平面画像の色の濃淡で、エンボスの凸部(非エンボス部)と凹部がわかるので、凸部と凹部が隣接している部分を横切るように線分A−Bを決めればよい。
ここで、図5(b)の高さプロファイルは、実際のトイレットペーパーの試料表面の凹凸を表す(測定)断面曲線Sであるが、ノイズ(トイレットペーパーの表面に繊維塊があったり、繊維がヒゲ状に伸びていたり、繊維のない部分に起因した急峻なピーク)をも含んでおり、凹凸の高低差の算出に当たっては、このようなノイズピークを除去する必要がある。
そこで、図6に示すように、高さプロファイルの断面曲線Sから「輪郭曲線」Wを計算し、この輪郭曲線Wのうち、上に凸となる2つの変曲点P1,P2と、変曲点P1,P2で挟まれる最小値を求め、深さの最小値Minとする。さらに、変曲点P1,P2の深さの値の平均値を深さの最大値Maxとする。
このようにして、エンボス深さD1(D2も同様)=最大値Max−最小値Minとする。又、変曲点P1,P2のX−Y平面上の距離(長さ)を最長部aの長さと規定する。なお、「輪郭曲線」は、断面曲線からλc:800μm(但し、λcはJIS-B0601「3.1.1.2」に記載の「粗さ成分とうねり成分との境界を定義するフィルタ」)より短波長の表面粗さの成分を低域フィルタによって除去して得られる曲線である。なお、λcを、隣接するエンボス同士のP1の間隔(これを、エンボスピッチという)以上に設定すると、ピークをノイズと認識してしまう可能性があるので、λcをエンボスピッチ未満とする。例えば、エンボスピッチが800μm以下の場合、例えばλc:250μmに設定する。隣接するエンボス同士のP1の間隔は、図6の左又は右に繋がる次のエンボスについて同様にP1,P2を求め、隣接するエンボス同士でP1、P2、P1と並ぶときの2つのP1の間隔である。
同様にして、図5(a)において最長部aに垂直な方向での最長部bについてもエンボス深さD1、D2を測定し、最長部aとbの各エンボス深さD1、D2のうち、大きい方の値をエンボス深さD1、D2として採用する。以上の測定を、トイレットペーパー10xの表面10aの任意の10個のエンボス2について行い、その平均値を最終的なエンボス深さD1、D2として採用する。
又、最長部aと最長部bの積(a×b)をエンボス2の面積Sとして求める。最長部aと最長部bは、上記したトイレットペーパー10xの表面10aの10個のエンボス2についての個々のa、bの値を平均した値を用いる。
エンボス面積Sは、好ましくは0.4〜7.0mm、より好ましくは1.5〜6.5mm、更に好ましくは2.5〜6.0mm、最も好ましくは3.5〜5.5mmである。エンボス面積Sが0.4mm未満であるとエンボスが小さすぎて美粧性が劣る場合がある。一方、エンボス面積Sが7.0mmを超えるとエンボスが大きすぎて、同様に美粧性が劣る場合がある。
なお、エンボス深さD1、D2を測定する際、シングルエンボスであっても、ダブルエンボスであっても、測定面は表面10a側とする。
また、エンボス深さD1、D2とエンボス面積Sを求める際、任意の10個のエンボス2を選定する際には、図10に示すようにして行う。例えば、エンボス深さD1と、そのエンボス面積Sを求める際には、図10の位置M1上にあるエンボス2の中から任意の10個を選ぶ。このとき、エンボス2の中心が位置M1を通っている必要はなく、位置M1上にあるエンボス2を上述の形状測定レーザマイクロスコープの視野内に入れ、最長部a、bを見極めればよい。位置M2上のエンボス深さD2についても同様である。
又、位置M1上にエンボス2が10個未満しか存在しない場合は、位置M1上のエンボス2に隣接する外巻側のエンボス2Fの群、又は位置M1上のエンボス2に隣接する内巻側のエンボス2Eの群の中から不足する個数のエンボスを選べばよい。なお、位置M1又はM2がミシン目に当たる場合は、ミシン目に隣接する外巻側のエンボス2の群を対象に測定する。
エンボス深さD1は好ましくは0.05〜0.40mmであり、より好ましくは0.09〜0.35mm、更に好ましくは0.13〜0.30mmである。エンボス深さD2は好ましくは0.05〜0.35mmであり、より好ましくは0.09〜0.32mm、更に好ましくは0.13〜0.29mmである。
エンボス深さD1、D2が上記範囲より小さいと、エンボスの凹凸の度合いが小さくなって嵩が低くなり(密度が高くなり)、シートの柔らかさを向上させることが困難な場合がある。エンボス深さD1、D2が上記範囲を超えると、エンボスの凹凸が顕著になり過ぎて嵩が高くなり過ぎ(密度が低くなり過ぎ)、巻直径DRが134mmを超えてしまい、ペーパーホルダーにトイレットロール10を装着し難くなる場合がある。
図3はロール巻取り加工機150の一例を示す。原紙ロールは、予めプライマシンで2プライにされると共にカレンダー処理され、原反4(各シートの紙厚t1)となる。この原反4は、ロール巻取り加工機150にセットされ、エンボスユニット(エンボスロール)151によってシングルエンボス処理された後、巻取り機構153によって上記の巻直径の幅広のトイレットペーパー原ロール10Wに巻き取られる。その後、この原ロール10Wを所定幅(114mm等)に切り、トイレットロール10となる。
ロール巻取り加工機150は、大別するとサーフェイス方式とセンター方式の2種類がある。サーフェイス方式は巻取るロールを外側から別の複数の駆動ロールで支持しながら巻取る方法であり、巻取られたトイレットロール10は、巻き径のコントロールがし易く、生産速度がより高速となる。センター方式は巻取りロールの中心に通したシャフトの駆動により巻取る方法で、巻取られたトイレットロール10は、比較的柔らかな製品となり、デリケートなエンボスを施した製品に適している。本発明においては、いずれの方法でも巻き取ることができるが、好ましくはサーフェイス方式である。
なお、ロール巻取り加工機150にマシンワインダー100を組み込み、ロール巻取り加工機にてプライアップ、カレンダー処理、エンボス処理をこの順で行ってもよい。又、1枚ずつの衛生薄葉紙をそれぞれカレンダー処理後にプライアップし、エンボス処理してもよい。
エンボス深さD1、D2は、エンボスロール151と対向するゴムロール(図3参照)のニップ幅を適宜調整して制御することができる。ニップ幅は、ロールの特性によっても異なるが、好ましくは20〜45mm、より好ましくは25〜42mm、さらに好ましくは30〜39mmである。ニップ幅が45mmを超えると、エンボスが強くなりすぎて表裏差が大きくなったり、紙厚が高くなってロールの巻直径DRが大きくなってしまう。一方、ニップ幅が20mm未満であると、エンボスが弱くなってシートの柔らかさが劣る場合がある。ニップ幅は、カーボン紙を用いて測定することができる。測定方法としては、まず、エンボスロールのニップを逃がし、カーボン紙と一般的なコピー用紙を重ねてセットする。次に、エンボスロールにニップをかける。その後、ニップを逃がし、カーボン紙とコピー用紙を取り外す。エンボスロールでニップがかかっていた部分のカーボン紙の色がコピー用紙に転写されるので、ニップ幅を測定することができる。
なお、エンボスロールの凹凸が深ければニップ幅を狭くし、エンボスロールの凹凸が浅ければニップ幅を広くすることで、エンボス深さD1、D2を調整できる。
ロール巻取り加工機にて同時に、印刷、エンボス付与、ミシン目加工、テールシール、所定幅(114mm等)のカットを行うことができ、トイレットロール10を製造することができる。さらに、その後、フイルム包装加工してトイレットロールの包装体を製造することができる。
トイレットロール10の巻固さが0.3〜1.4mmであることが好ましく、より好ましくは0.4〜1.2mm、最も好ましくは0.5〜0.9mmである。
巻固さが0.3mm未満の場合、ロールを固く巻き過ぎて内巻のトイレットペーパーのエンボスが潰れ、比{(D2/D1)×100}が45%未満となって使用時に美粧性が劣ると共に、ロールの柔らかさが劣ることがある。
一方、巻固さが1.4mmを超えると、ロールが柔らかくなり過ぎて、トイレットロール10のフィルムでの包装後に潰れたり、ロールの巻直径DRが大きくなってトイレットペーパーホルダー等に収まり難くなることがある。又、内巻の巻付け力が弱くなり過ぎ、ロールの内巻側が軸方向に飛び出して不良品が生じることがある。
ここで、ロールの柔らかさとは、店頭でトイレットロールを手に持ったときの触感であり、直接シートの柔らかさを反映するものではない。しかしながら、店頭でロールを巻きほぐしてシートの柔らかさを確認することができないため、仮にシート自体が柔らかくてもロールが硬いと、シートも硬いと思われてしまい、購入を促すことができない。このため、ロールの柔らかさを向上させることで、販促効果を高めることができる。
トイレットロール10の巻固さは、圧縮試験機(カトーテック株式会社製のハンディー圧縮試験機KES−G5)を用いて、次のように測定する。まず、トイレットロール10を軸心が水平になるよう硬い台上に横に置く。次に、トイレットロール10のロール表面の中央部に上記KES−G5の圧縮子(面積2.0cm)を、速度10mm/分の条件で上から押し込む。圧縮子がロールを押す圧力が0.5gf/cmのときの押し込み深さをT0、圧力が50gf/cmのときの押し込み深さをTmとして、(Tm−T0)を巻固さとする。測定は5回行い、測定結果を平均する。
トイレットペーパーの比容積が4.0〜6.5cm/gであることが好ましい。
比容積が4.0cm/g未満であると、シートの柔らかさが乏しくなったり、バルク(嵩高さ)が低下して水分の吸収性に劣る場合がある。一方、比容積が6.5cm/gを超えると、シートのバルク(嵩高さ)は高くなるが、エンボス後の紙厚が高くなって巻直径が大きくなる場合がある。上記比容積は、好ましくは4.3〜6.1cm/g、より好ましくは4.7〜5.6cm/gである。
トイレットペーパー(2枚重ねのシート)のJIS P8113に基づく乾燥時の縦方向の引張強さをDMDT(Dry Machine Direction Tensile strength)、乾燥時の横方向の引張強さをDCDT(Dry Cross Direction Tensile strength)としたとき、DMDTが好ましくは2.2〜5.0N/25mm、より好ましくは2.5〜4.5N/25mm、更に好ましくは2.7〜4.0N/25mm、DCDTが好ましくは0.80〜2.2N/25mm、より好ましくは0.9〜1.9N/25mm、更に好ましくは1.0〜1.6N/25mmである。
DMDT及びDCDTが上記値未満であると、やぶれ易くて実用に適さないことがある。DMDT及びDCDTが上記値より高いと硬くなり、シートの柔らかさが損なわれることがある。
なお、トイレットペーパーの抄紙の流れ方向を「縦方向」とし、流れ方向に直角な方向を「横方向」とする。
トイレットペーパーの(2枚重ねのシート)の旧JIS S3104に基づく吸水度は、7.0秒以下が好ましく、5.0秒以下がより好ましく、3.0秒以下が更に好ましい。吸水度は、速い方がよいが、上記範囲を超えると、吸水性に劣る場合がある。
トイレットペーパーを1枚に剥がした時のJIS-P4501に基づくほぐれ易さは、60秒以下が好ましく、50秒以下がより好ましく、40秒以下が更に好ましい。ほぐれ易さは、速い方がよいが、上記範囲を超えると、トイレでの水解性に劣る場合がある。
トイレットペーパーは木材パルプ100質量%から成っていてもよく、古紙パルプ、非木材パルプ、脱墨パルプを含んでも良い。目標とする品質を得るためには、NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)の含有率が好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは5〜15質量%である。また、LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)の含有率が好ましくは30〜90質量%、より好ましくは40〜80質量%、さらに好ましくは50〜70質量%である。
また、ミルクカートン(牛乳パック)由来の古紙パルプの含有率が好ましくは0〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%、さらに好ましくは20〜40質量%であり、クラフトパルプの含有率としては、好ましくは40〜100質量%、より好ましくは50〜90質量%、さらに好ましくは60〜80質量%である。
ミルクカートン(牛乳パック)由来の古紙パルプは、針葉樹パルプが主体であり、トイレットペーパーの強度を確保しやすいメリットがある一方、品質的バラツキが大きく、含有割合が高すぎると製品の品質に影響するので、上記の範囲の含有率にすることが好ましい。
上記LBKPの材種としてユーカリ属グランディス、及びユーカリグロビュラスに代表される、フトモモ科ユーカリ属から製造されるパルプが好ましい。
また、このNBKP、LBKP、ミルクカートン由来の古紙のパルプ100質量部に対して、新聞や雑誌古紙等由来の脱墨パルプを25質量部以下、配合することができる。なお、脱墨パルプを25質量部配合したときの、トイレットペーパー(シート)中の脱墨パルプの含有率は、25質量部/(100質量部+25質量部)×100=20質量%となる。脱墨パルプの含有率は0〜20質量%、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%以下、最も好ましくは0質量%である。脱墨パルプも古紙であるため、品質にばらつきが大きくなる。また、脱墨パルプは通常、蛍光染料を含んでおり、その含有率が20質量%を超えると蛍光染料を多く含むことになり、好ましくない。
なお、脱墨パルプが蛍光染料を含むと、トイレットペーパー(シート)のUV-in条件下での白色度の値と、UV-cut条件下での白色度の値の差Δが大きくなる。ここで、UV-inとは、CIE(国際照明委員会)が規定するC光源(紫外光を含む)をシート表面側に照射したときのISO 2470に準拠した白色度である。UV-cutとは、波長420nm以下の紫外光をカットするフィルタを介して、C光源をシート表面側に照射したときのISO 2470に準拠した白色度である。差Δ=(白色度UV-in)−(白色度UV-cut)である。
差Δは、好ましくは0.0〜2.5ポイント、より好ましくは0.0〜1.5ポイント、さらに好ましくは0.0〜1.0ポイント、最も好ましくは0.0〜0.5ポイントである。白色度は、ISO 2470に準拠して、株式会社村上色彩技術研究所社製 高速分光光度計CMS−35SPXを用いて測定できる。
なお、トイレットペーパーに適正な強度を確保するために、通常の手段で原料配合し、パルプ繊維の叩解処理にて強度調整を行うことができる。目標の品質を得るための叩解としては、市販のバージンパルプに対して、JIS-P8121で測定されるカナダ標準ろ水度で0〜150ml、より好ましくは0〜100ml、更に好ましくは10〜50ml濾水度を低減させる。又、湿潤紙力増強剤は使用しないことが好ましい。
トイレットペーパーは、紙料にバージン系原料を使用する場合は一定範囲の繊維長及び繊維粗度を有する針葉樹クラフトパルプと広葉樹クラフトパルプを特定の範囲で配合して抄紙することができる。紙料への添加剤としては最終製品の要求品質に応じ、デボンダー柔軟剤を含めた柔軟剤、嵩高剤、染料、分散剤、乾燥紙力増強剤、濾水向上剤、ピッチコントロール剤、吸収性向上剤などを用いることができる。
トイレットペーパーとして古紙原料を使用する場合も、上記バージン系の場合と同様の処理を行う。
トイレットペーパーの製造方法の詳細については後述する。
トイレットペーパーは、例えば以下のように、(1)抄紙及びクレーピング、(2)マシンワインダーによるプライアップ及びカレンダー処理、(3)エンボス処理及びロール巻取り加工、の順で製造することができる。このうち、(3)については既に説明したので省略する。
(1)抄紙及びクレーピング、
まず、公知の抄紙機のワイヤーパート上で上記紙料からウェブを抄紙し、プレスパートのフェルトへ移動させる。ワイヤーパートの方式としては、丸網式、長網(フォードリニアー)式、サクションブレスト式、短網式、ツインワイヤー式、クレセントフォーマー式などが挙げられる。
そして、ウェブに対し、サクションプレッシャーロール又はサクションなしのプレッシャーロール又はプレスロールなどで機械的に圧縮をしたり、あるいは熱風による通気乾燥などの脱水方法により脱水を続ける。また、サクションプレッシャーロール又はサクションなしのプレッシャーロールは、プレスパートからヤンキードライヤーにウェブを移動させる手段としても使用される。
ヤンキードライヤーに移動されたウェブは、ヤンキードライヤー及びヤンキードライヤーフードで乾燥された後、クレーピングドクターによりクレーピング処理され、リールパートで巻き取られる。
クレーピング(クレープと言われる波状の皺をつけること)は、紙を縦方向(抄紙機上のシート走行方向)に機械的に圧縮することである。そして、トイレットペーパーのウェブの製造の際、クレーピングドクターによりヤンキードライヤー上のウェブが剥がされ、リールパートで巻き取られるが、ヤンキードライヤーとリールパートの速度差(リールパートの速度≦ヤンキードライヤーの速度)によりクレーピングドクターにてクレープ(皺)が形成される。
トイレットペーパーに必要な品質、すなわち嵩(バルク感)、柔らかさ、吸水性、表面の滑らかさ、美観(クレープの形状)などは上記速度差で左右される。上記速度差等の条件にもよるが、クレーピング後のリール上のウェブの坪量は概略14〜20g/m2となり、クレーピング前のヤンキードライヤー上のウェブの坪量より重くなる。上記坪量は、好ましくは14〜18g/m2である。上記範囲を超えると、強度が高くなって紙がゴワゴワする場合があり、上記範囲未満であると、強度が弱くて破れやすくなる場合がある。
ここで、ヤンキードライヤーとリールのスピード差に基づくクレープ率は次式により定義される。
クレープ率(%)=100×(ヤンキードライヤー速度(m/分)−リール速度(m/分))÷リール速度(m/分)
品質や操業性の良し悪しはこのクレーピングの条件で大方決まり、クレーピング条件を最適とする操業条件が当業者にとって重要な事項となる。本発明においてトイレットペーパーを製造する際のクレープ率は好ましくは10〜50%、より好ましくは15〜40%、最も好ましくは20〜35%である。
(2)マシンワインダーによるプライアップ及びカレンダー処理
図7はマシンワインダー100の一例を示す。上述のようにクレープ後にリールパートで巻き取られたリール1がマシンワインダー100に2本セットされ、ヤンキー面が外側になるように2枚に重ね合わされてプライアップされ、原反ロール4となる。この際、プライアップ後に1スタック目のカレンダー機101、2スタック目のカレンダー機102の順で2段階でカレンダー処理される。但し、プライアップ前、又はオンマシンカレンダーでカレンダー処理することも可能である。
エンボス処理前(カレンダー処理後)のトイレットペーパーの紙厚を好ましくは0.55〜1.15mm/10枚、より好ましくは0.60〜0.80mm/10枚とする。又、エンボス処理前(カレンダー処理後)の原反ロール4におけるトイレットペーパーの比容積を好ましくは3.4〜6.5cm/g、より好ましくは3.7〜6.0cm/g、さらに好ましくは4.0〜5.5cm/gとする。
なお、エンボス処理前のトイレットペーパーの紙厚は、図7ではカレンダー処理後の原反ロール4における紙厚であり、図2の紙厚t1に相当する。但し、後述するように、紙厚は測定荷重3.7kPaで測定した値であるため、図2の紙厚t1を正確に反映したものではない。
又、表1,2に示したエンボス処理後のトイレットペーパーの紙厚は図2の紙厚t2に相当するが、測定荷重3.7kPaで測定した値であるため、紙厚t2を正確に反映したものではない。
一方、エンボス深さD1、D2はエンボスを圧縮しない生成りの状態での値を測定している。従って、エンボス深さD1、D2は紙厚t1、t2から計算される値(この値は、エンボスを測定荷重3.7kPaで圧縮した値である)よりは大幅に大きい。
各カレンダー機101、102は、それぞれ2本の金属ロールからなることが好ましいが、2本のロールのうち、1本を弾性ロールとし、ソフトカレンダー処理を行えるようにしてもよい。
カレンダーの線圧は、好ましくは3.0〜8.0kgf/cm、より好ましくは4.0〜7.0kgf/cmとすることが好ましい。線圧が上記範囲を超えると、嵩が小さくなり、柔らかさが劣ることがある。また、線厚が上記範囲未満であると、嵩が大きくなり、ロールの巻直径DRが大きくなる。また、線圧は、1スタック目より2スタック目を高くすることが好ましい。
カレンダー処理時、ドローを適宜調整することができる。プライアップ前のリール1からカレンダー処理後の原反4の間のドローは、100〜110%とすることが好ましい。
カレンダー処理とドロー調整により、坪量を13g/mを超え17g/m以下に維持しつつ、紙厚を0.6mm/10枚を超え1.1mm/10枚以下に管理できる。
カレンダー処理後でエンボス処理前の原反4のウェブの坪量を1枚当たり13.5〜18.0g/mとすることが好ましい。後述するロール巻取り加工においてウェブは若干伸びて坪量も低くなるので、最終形態のトイレットロール10の目標坪量より若干高い13.5〜18.0g/mとすると好ましく、より好ましくは14.5〜17.5g/mとする。なお、ロール巻取り加工においてウェブが若干伸びるため、巻取り前後で坪量と同様に紙厚も低くなるが、エンボス処理によって、最終形態のトイレットロール10の目標紙厚に調整できる。
カレンダー処理後の原反4を、例えば図3のロール巻取り加工機150によってエンボス処理し、トイレットロール10を得る。なお、巻き固さ(及び巻密度)は、図3のロール巻取り加工機150において、巻取り機構153で幅広のトイレットペーパー原ロール10Wに巻き取る際、原ロール10Wを外周側から押圧してシートを順次巻くためのライダーロール154の押圧力を、所定範囲に設定することで調整できる。
本発明は上記した実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
パルプ組成の含有率が(質量%)NBKP10%、LBKP60%、古紙パルプ30%となるようにし、脱墨パルプは含有させず、図3、図7に示す装置により、表1、表2に示すトイレットペーパー及びトイレットロールを製造した。
以下の評価を行った。
乾燥時の縦方向引張り強さDMDTと乾燥時の横方向引張り強さDCDT:JIS P8113に基づいて、トイレットペーパー(2枚重ね)につき、破断までの最大荷重をN/25mmの単位で測定した。
坪量:JIS P8124に基づいて測定し、シート1枚当たりに換算した。
紙厚:シックネスゲージ(尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いて測定した。測定条件は、測定荷重3.7kPa、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取った。なお、カレンダー処理前のウェブについては、シートを10枚重ねて測定を行い、カレンダー処理後(プライアップ後)およびロールについては、シートを2プライに重ねたトイレットペーパーを5枚(5組)重ねて行った。又、測定を10回繰り返して測定結果を平均した。そして、得られた1回当りの平均値を枚数で割ってシート1枚当りの紙厚とした。
比容積:シート1枚当たりの厚さを1枚当たりの坪量で割り、単位gあたりの容積cm3で表した。
ロールの巻直径DR、コア外径DI:ムラテックKDS株式会社製ダイヤメータールールを用いて測定した。測定は、10個のロールを測定し、測定結果を平均した。
ロールの巻固さ、巻密度、エンボス深さD1,D2は上述の方法で測定した。なお、ロールの巻密度は、ロールの巻直径DRの測定に用いた10個のロールを測定し、測定結果を平均した。
官能評価は、モニター20人によって行った。評価基準は5点満点で行った。評価基準が3点以上であれば良好である。
なお、坪量、引張強さ、厚さ、比容積、巻直径DR、コア外径DI、巻固さ、巻密度、エンボス深さの測定は、JIS-P8111に規定する温湿度条件下(23±1℃、50±2%RH)で平衡状態に保持後に行った。
得られた結果を表1、表2に示す。
表1、表2から明らかなように、トイレットロールの巻長、巻直径、巻密度、及び比(D2/D1)が所定の範囲である各実施例の場合、坪量を下げずにシートの柔らかさを向上させつつ、エンボスによる美粧性を維持し、1ロール当りの巻長を長くすることができた。
一方、適度な深さのエンボスを付与してシートの柔らかさは優れていたが、巻長を63m未満とした比較例1の場合、巻直径が105mm未満となり、ロールの交換頻度が多くなった。
適度な深さのエンボスを付与してシートの柔らかさは優れていたが、巻長が105mを超えた比較例2の場合、巻直径が134mmを超え、ロール径が大きくなってトイレットペーパーホルダーに収まり難くなった。
巻固さが0.3mm未満、巻直径が105mm未満の比較例3の場合、ロールの柔らかさが劣った。又、エンボス深さD1、D2がいずれも0.05mm未満となったので、エンボスの凹凸の度合いが小さくなって嵩が低くなり(密度が低くなり)、シートの柔らかさも劣った。
巻固さが1.4mmを超えた比較例4の場合、巻直径が134mmを超え、ロール径が大きくなってトイレットペーパーホルダーに収まり難くなった。また、エンボス深さD1、D2がそれぞれ0.40mm、0.35mmを超え、エンボスの凹凸が顕著になり過ぎて嵩が高くなり過ぎた(密度が低くなり過ぎ)ことによっても巻直径が134mmを超えたと考えられる。
トイレットペーパーをロールワインダで弱く(柔らかく)巻き過ぎて巻固さが1.4mmを超えた比較例5の場合、トイレットロールの巻直径が134mmを超え、ロール径が大きくなってトイレットペーパーホルダーに収まり難くなった。
トイレットペーパーをロールワインダで弱く(柔らかく)巻き過ぎて巻固さが1.4mmを超えたと共に、比(D2/D1)が100%を超えた比較例6の場合、トイレットロールの巻直径が134mmを超え、ロール径が大きくなってトイレットペーパーホルダーに収まり難くなった。さらに、比(D2/D1)が100%を超えたため、内巻の巻付け力が弱くなり過ぎ、ロールの内巻側が軸方向に飛び出して不良品となり(図11参照)、ロールの保形性に劣った。
トイレットペーパーをロールワインダで強く(硬く)巻き過ぎて巻固さが0.3mm未満になったと共に、比(D2/D1)が45%未満の比較例7の場合、巻直径が105mm未満となり、ロールの柔らかさが劣った。又、比(D2/D1)が45%未満となったため、内巻のトイレットペーパーに設けたエンボスが潰れ、使用時に美粧性のバランスが劣った。
巻長が105mを超え、巻直径が134mmを超えた比較例8の場合、ロール径が大きくなってトイレットペーパーホルダーに収まり難くなった。又、エンボス深さD1、D2がそれぞれ0.05mm未満となり、エンボスの凹凸の度合いが小さくなって嵩が低くなり(密度が低くなり)、シートの柔らかさも劣った。
なお、市販品1〜3について同様に評価したところ、いずれも巻長が63m未満であり、ロールの交換頻度が多くなった。
2 エンボス
10 トイレットロール
10e トイレットペーパーの最外巻の端縁
10x トイレットペーパー
D1、D2 エンボス深さ

Claims (7)

  1. 2プライに重ねられ、エンボスが施されたトイレットペーパーをロール状に巻き取ったトイレットロールであって、
    巻長が63〜103m、巻直径が105〜134mm、巻密度が1.2〜2.0m/cm、かつエンボス深さD1(mm)とエンボス深さD2(mm)の比{(D2/D1)×100}が45〜100%であるトイレットロール。
    但し、エンボス深さD1は、該トイレットロールを巻きほぐした際の最外巻のトイレットペーパーの端縁から前記巻長の10%に相当する位置における前記エンボスの深さであり、エンボス深さD2は前記端縁から前記巻長の90%に相当する位置における前記エンボスの深さである。
  2. 前記エンボス深さD1が0.05〜0.40mm、前記エンボス深さD2が0.05〜0.35mmである請求項1記載のトイレットロール。
  3. 前記エンボスがシングルエンボスである請求項1又は2記載のトイレットロール。
  4. 巻固さが0.3〜1.4mmである請求項1〜3のいずれか一項に記載のトイレットロール。
  5. 前記トイレットペーパーは、クラフトパルプを40〜100質量%含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のトイレットロール。
  6. ミルクカートン由来の古紙パルプを0〜60%質量%含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載のトイレットロール。
  7. CIE(国際照明委員会)が規定するC光源を前記トイレットペーパーの表面側に照射したときのISO 2470に準拠した白色度UV-inと、波長420nm以下の紫外光をカットするフィルタを介して、前記C光源を前記トイレットペーパーの表面側に照射したときのISO 2470に準拠した白色度UV-cutとの差Δが0.0〜2.5ポイントである請求項1〜6のいずれか一項に記載のトイレットロール。
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