JP2016201212A - 外装部材を備えたワイヤハーネスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】外装部材を備えたワイヤハーネスを良好に製造する。【解決手段】電線束10と外装部材30とを備えたワイヤハーネス2を製造する方法が提供される。この方法は、架橋部36及び非架橋部33,34を併有する外装用シート32であって前記非架橋部33,34がシート幅方向の両側縁部を構成し前記架橋部36が中間部分を構成するものを用意することと、当該外装用シート32を電線束の周囲に巻き付けることと、非架橋部33,34同士を重ね合わせて相互に溶着することにより外装用シート32を筒体にすることと、架橋部36を加熱してシート幅方向に収縮させることにより筒体を縮径することと、を含む。【選択図】図2
Description
本発明は、自動車等に配索されるワイヤハーネスであって外装部材を備えるものの製造技術に関する。
従来、複数の電線からなる電線束と、当該電線束の周囲に外装されて当該電線束を保護する外装部材と、を備えたワイヤハーネスであって、前記外装部材にいわゆる架橋部材が用いられたものが知られている。
例えば、特許文献1には、電線束と、当該電線束の端末に設けられるコネクタと、加熱により縮径する性質をもつ熱収縮チューブであってコルゲート状のものと、を備えたワイヤハーネスが記載されている。前記熱収縮チューブは、加熱される前の状態でその内側に前記電線束及び前記コネクタが挿通されるのを許容する大きさの内径を有する一方、その挿通後に加熱されることにより、前記電線束の保護に好適な内径を有するまで収縮する。
また、特許文献2には、前記外装部材として熱収縮シートを用いたものが開示されている。前記熱収縮シートは、電線束の周囲に巻き付けられ、その状態で加熱されることにより収縮して前記電線束の外周面に密着する。当該熱収縮シートは、所定の樹脂からなるシートに電子線を照射してこれを架橋し、その架橋後のシートの幅方向の両側を各々把持して幅方向に所要延伸倍率で引き伸ばしながら搬送し、次いで当該引き伸ばし状態を固定したまま冷却することにより製造される。
特許文献1に記載された熱収縮チューブは、その製造時に当該熱収縮チューブの内側に電線束及びコネクタを通すことが必要であるため、熱収縮前の状態でかなり余裕を持った大きな内径を有することが要求される。しかも、その挿通後の加熱によって前記電線束に密着するまで収縮する必要があるため、求められる熱収縮度合いも大きい。また、長尺の電線束の中間部分の周囲に前記熱収縮チューブを配置する場合、当該熱収縮チューブを当該電線束の一方の端末から前記中間部分までの長い距離を当該電線束に沿って移動させなければならず、その製造効率の向上は難しい。
一方、特許文献2に記載された熱収縮シートは、電線束の途中部分にもその周囲に直接巻き付けることが可能である利点を有するが、前記熱収縮チューブのように形状が一定しておらず、加熱前の状態あるいは加熱後に形状が崩れやすいという課題がある。当該形状を安定させる手段として、当該熱収縮シートを前記電線束の周囲に複数層に重ねて巻き付けることが考えられるが、この場合は材料費の高騰が避けられない。
本発明は、前記の課題を解決することが可能なワイヤハーネスの製造に関する技術を提供することを目的とする。
前記課題を解決する手段として、ワイヤハーネスを構成する電線束の特定部分の周囲に熱収縮シートを巻き付けた後、当該熱収縮シートの端部同士を溶着することにより当該熱収縮シートを筒状にし、このようにして当該熱収縮シートの形状を安定させた状態で当該熱収縮シートを熱収縮させることが考えられる。しかしながら、当該熱収縮シートを構成する樹脂はその熱収縮機能の付与のために架橋反応しているため、当該樹脂からなる前記端部同士の溶着は困難である。具体的に、当該端部同士を溶着する手段としては、熱融着や溶剤による溶着が考えられるが、架橋反応した樹脂は加熱しても溶けることがなく、また溶剤を加えても溶けるまでに相当の時間を要するため、熱融着その他の溶着は困難である。
そこで、本発明者らは、シート全域にわたって当該シートを構成する樹脂を架橋反応させるのではなく、シートの幅方向の両端部に架橋反応が生じていない非架橋部を残し、この非架橋部同士を溶着することにより当該シートを安定した形状すなわち筒状に保つことに想到した。
本発明は、このような観点からなされたものである。すなわち、本発明が提供するのは、ワイヤハーネスにおける電線束の周囲に巻き付けられかつ加熱により前記電線束の周方向に相当するシート幅方向に収縮して外装部材を構成することが可能な外装用シートであって、この外装用シートは、架橋反応が可能な樹脂材料からなるとともに当該樹脂材料が架橋反応しかつ加熱により前記シート幅方向に収縮変形するように残留応力が付与された架橋部と、前記樹脂材料からなりかつ当該樹脂材料が架橋反応していない非架橋部と、を併有し、前記非架橋部は、前記外装用シートのうち前記シート幅方向の両側縁部を構成し、前記架橋部は前記非架橋部により構成される前記両側縁部の間の部分を構成する。
また、本発明が提供するのは、電線束と、この電線束の周囲に配置される外装部材と、を備えたワイヤハーネスを製造するための方法であって、この方法は、前記電線束を用意する工程と、前記外装用シートを用意する工程と、前記外装用シートをそのシート幅方向が前記電線束の周方向に対応する向きで前記電線束の周囲に巻き付ける巻付け工程と、当該電線束に巻き付けられた当該外装用シートの両側縁部であって前記非架橋部により構成される部分同士を重ね合わせて相互に溶着することにより当該外装用シートを筒体にする溶着工程と、前記架橋部を加熱して前記シート幅方向に収縮させることにより前記筒体を縮径する加熱工程と、を含む。
前記外装用シート及びこれを用いた前記の製造方法によれば、当該外装用シートを電線束の周囲に巻き付けた状態で当該外装用シートのうち前記非架橋部により構成される両側縁部同士を容易に溶着(例えば熱融着その他の溶着)することができ、これにより当該外装用シートを安定した形状すなわち筒状に保つことができる。このようにして筒体とされた外装用シートにおいて今度は前記両側縁部同士の間の前記架橋部を加熱してシート幅方向に収縮させることにより、前記電線束の保護に好適な径をもつ外装部材を形成することができる。当該熱収縮の際、前記架橋部には周方向の張力が生ずるものの前記非架橋部により構成される面同士の溶着部分は分子レベルで一体化していて接合力が強いため、前記張力に負けて前記溶着部分が外れるという不都合を有効に抑止することができる。
このようにして、電線束と、この電線束の周囲に配置される筒状の外装部材と、を備えたワイヤハーネスであって、前記外装部材が前記外装用シートにより構成され、この外装用シートのシート幅方向の両側縁部のうち前記非架橋部により構成された面同士が溶着され、かつ、当該外装用シートの架橋部が加熱により収縮したものが、効率よく製造される。
前記電線束の周囲への前記外装用シートの巻付けは、当該電線束の外周面に対して直接行われてもよいし、当該電線束の外周面と当該外装用シートとの間に別の保護部材が介在した状態で行われてもよい。例えば、前記の製造方法は、前記電線束の周囲に当該電線束の曲げ変形を許容するように弾性変形可能な内側保護部材を配置する工程をさらに含み、前記巻付け工程は当該電線束の周囲に配置された前記内側保護部材の周囲に前記外装用シートを巻き付けることを含み、前記溶着工程は前記外装用シートの両側縁部の溶着により前記内側保護部材の周囲に前記外装用シートからなる筒体を形成することを含み、前記加熱工程は前記筒体の縮径により当該筒体の内側面を前記内側保護部材の外周面に密着させて当該内側保護部材及びその内側の前記電線束の形状を固定するように当該内側保護部材を拘束することを含むものであってもよい。この方法によれば、前記加熱工程において前記外装用シートの架橋部に加えられる熱が前記電線束に直接伝わるのを前記内側保護部材によって阻むことができる。
そして、この方法により製造されるワイヤハーネス、すなわち、前記電線束と前記外装用シートにより構成される前記外装部材との間に介在し、前記電線束の曲げ変形を許容するように弾性変形可能な内側保護部材をさらに備え、前記外装部材は前記内側保護部材及びその内側の前記電線束の形状を固定するように当該内側保護部材の外周面に密着して当該保護部材を拘束するワイヤハーネスによれば、所望の形状を有する前記電線束の保護対象部位の保護を前記内側保護部材とその外側で当該内側保護部材を拘束する前記外装部材とからなる二重構造によってより堅牢にすることが、可能である。
前記外装用シートにおいて、前記架橋部は一定の幅寸法を有していることが好ましい。この幅寸法は、前記シート幅方向についての寸法である。このように前記架橋部が一定の幅寸法を有することは、非架橋部により構成される面同士が溶着されることにより形成される筒体をその軸方向の全域にわたって均一に収縮させることを可能にする。
前記外装用シートは、架橋反応が可能な樹脂からなるシート材を用意する工程と、このシート材のうち前記シート幅方向の両側縁部に相当する部分を残して当該部分同士の間の中間部分を構成する樹脂材料にのみ架橋反応を起こさせる架橋工程と、前記シート材を加熱して当該シート材に前記シート幅方向の引張力を与えることにより当該シート材を当該シート幅方向に伸ばす引張工程と、当該シート材を当該シート幅方向に伸ばしたまま当該シート材を冷却して前記中間部分に残留応力を与える冷却工程と、を含む方法により製造されることができる。
この方法において、前記架橋工程は、前記シート材のうち前記両側縁部に相当する部分を覆うように当該部分をそれぞれクランプするクランプ部材を用いて当該シート材を保持することにより、前記架橋反応のために前記中間部分に与えられる操作が前記両側縁部に相当する部分に及ぶのを阻止して当該両側縁部を前記非架橋部にすることを含み、前記引張工程は、前記両側縁部に相当する部分をそれぞれクランプしている前記クランプ部材を前記シート幅方向に互いに離間する向きに相対移動させることにより行われるのが、好ましい。
この方法では、前記各クランプ部材による前記両側縁部に相当する部分のマスキングによって前記中間部分のみ架橋反応を起こさせること、換言すれば、両側縁部に非架橋部を残すこと、が可能であるのに加え、当該クランプ部材同士の相対移動によってそのまま次の引張工程を実行することが可能であるため、前記外装用シートの製造効率が著しく向上する。
以上のように、本発明によれば、電線束及びその周囲に配置される外装部材を備えたワイヤハーネスの製造に関する技術であって当該外装部材を良好に形成することを可能にするものが、提供される。
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る製造方法によって製造された製品であるワイヤハーネス2の軸方向の一部を示している。このワイヤハーネス2には、曲線部4と、当該曲線部4の両側に位置する直線部6と、を有する形状が与えられている。前記曲線部4は、図2にも示されるように曲線状をなすように曲げられた部分であり、前記直線部6は、直線形状が維持された部分である。当該ワイヤハーネス2の配索形状は、その配索場所によって自由に定められる。すなわち、本発明に係るワイヤハーネスの配索形状は特に限定されない。
前記ワイヤハーネス2は、図1〜図3に示されるように、電線束10と、内側保護部材20と、外装部材30と、を備える。
前記電線束10は、互いに束ねられた複数の電線を含む。各電線は、例えば、銅などの良導電性金属材料からなる導体と、当該導体を被覆するとともに絶縁性を有する合成樹脂材料からなる絶縁被覆と、を含む。ただし、本発明では、電線束に含まれる電線の種類及び本数は限定されない。また、電線束を媒介とする接続対象も限定されない。
前記内側保護部材20は、前記電線束10を保護するとともに、後述のように前記外装部材30を形成する際に加えられる熱が前記電線束10に伝わるのを抑制する機能を有する。内側保護部材20は、電線束10の軸方向に沿って延びる筒状の部材であって、当該電線束10を収容可能な空間を囲む。
この実施の形態に係る前記内側保護部材20は、弾性変形可能な樹脂材料により成形された、いわゆるコルゲートチューブにより構成される。具体的に、当該内側保護部材20は、複数の山部22と、当該山部22よりも小径の複数の谷部24と、を含み、かつ、当該山部22及び当該谷部24が交互に並ぶ形状を有する。換言すれば、各山部22は各谷部24よりも径方向の外側に膨出していて当該山部22の内側に空隙を確保する。前記複数の山部22および複数の谷部24の配列は、前記内側保護部材20が前記電線束10の曲げ変形を許容するようにこれに追従して弾性変形することを容易にする。
前記内側保護部材20には、スリット26が形成されている。当該スリット26は、前記内側保護部材20をその周方向の特定部位において分断するように軸方向に沿って延び、その分断された部分を通じて当該内側保護部材20の内側の空間内に前記電線束10が径方向に挿入されることを可能にする。
前記外装部材30は、前記ワイヤハーネス2の曲線部4に設けられ、前記内側保護部材20のうち前記曲線部4を囲む部分を外側から拘束することにより当該内側保護部材20及びその内側の電線束10の曲げ形状を保持するとともに当該内側保護部材20と協働して前記電線束10を保護する機能を有する。具体的に、前記外装部材30は、前記内側保護部材20の周囲に巻き付けられる外装用シート32により構成される。この外装用シート32は、その巻付け状態で前記電線束10及び前記内側保護部材20の周方向に対応するシート幅方向についての両側縁部を有するとともに、当該両側縁部が互いに重ね合わされた状態で溶着されることにより当該外装用シート32が筒体に形成され、かつ、当該外装用シート32の熱収縮により前記筒体が縮径して当該外装用シート32の内周面が前記内側保護部材20の外周面に密着している。
以上説明したワイヤハーネス2は、以下の各工程を含む方法によって、合理的かつ容易に製造される。この方法を、図4〜図11を併せて参照しながら説明する。
1)構成要素の準備
前記ワイヤハーネス2の製造にあたり、前記電線束10と、前記内側保護部材20と、前記外装部材30を構成するための前記外装用シート32と、が用意される。
前記ワイヤハーネス2の製造にあたり、前記電線束10と、前記内側保護部材20と、前記外装部材30を構成するための前記外装用シート32と、が用意される。
このうち、外装用シート32は、次の特徴を有する。
a.外装用シート32全体が、架橋反応が可能な樹脂材料からなる。当該架橋反応を励起するための具体的な手段は限定されないが、放射線による手段(電子線やガンマ線の照射)や、化学的手段(シラン架橋や水架橋)が好適である。また、当該架橋反応が可能な前記樹脂材料には、ポリエチレンやポリプロピレンといったポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルやポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂、エラストマー材等が適用可能である。
b.前記外装用シート32は、図4に示されるように、前記樹脂材料が架橋反応していない非架橋部33,34と、架橋反応している架橋部36と、を併有する。このうち、前記非架橋部33,34は、それぞれ、前記外装用シート32の前記シート幅方向についての両側縁部を構成し、前記架橋部36は前記両側縁部同士の間の中間部分を構成する。図4に示される外装用シート32では、前記各部33,34,36が一定の幅寸法d1,d2,doをそれぞれ有する。この幅寸法は前記シート幅方向の寸法である。
前記外装用シート32は、例えば図5〜図9に示される工程を含む方法によって製造されることが可能である。すなわち、この方法は、1−1)前記樹脂材料からなるシート材42(図5)を用意する工程と、1−2)このシート材42のうち前記両側縁部に相当する部分をそれぞれクランプ部材43,44によってクランプする工程と、1−3)そのクランプ状態のままクランプされていない部分である中間部分(図7に網目模様が付されている部分)に例えば電子線を照射して当該中間部分を構成する樹脂材料を架橋反応させる工程と、1−4)前記クランプ状態のまま前記架橋部42を加熱し、さらに前記クランプ部材43,44を両者が前記シート幅方向に互いに離間するように相対移動させることにより、図8に示すように前記中間部分に前記シート幅方向の引張力を与えて当該中間部分を前記シート幅方向に伸ばす工程と、1−5)前記中間部分を伸ばしたまま当該シート材42を冷却して前記中間部分に残留応力を与える工程と、を含む。以上の工程により、図9に示される外装用シート32、すなわち、両側縁部を構成する一対の非架橋部33,34とその間の中間部分を構成する架橋部36とを併有するシート、が製造される。
この方法において、前記クランプ部材43,44は、前記シート材42のうち前記両側縁部に相当する部分をクランプすることにより当該部分が露出するのを阻み、これにより、前記架橋反応の励起のためにシート材42に与えられる操作(図7に示す例では電子線照射)が前記両側縁部に相当する部分に及ぶのを阻止する。従って、これらのクランプ部材43,44は、前記両側縁部のクランプによって、当該両側縁部のみが局所的に非架橋部33,34として残されることを可能にする。しかも、その後に当該クランプ部材43,44が互いにシート幅方向に離間する向きに相対移動するだけで、前記シート材42の中間部分を引き延ばすことが可能である。
2)内側保護部材20の配置
図10に示されるように、電線束10の周囲に内側保護部材20が配置される。この配置は、前記内側保護部材20の弾性変形を伴ってそのスリット26を広げ、当該スリット26を通じて内側保護部材20の内側の空間内に前記電線束10の中間部分を径方向に挿入することにより、行うことができる。当該内側保護部材20の内径、つまり、当該内側保護部材20の谷部24の内周面の半径、は、当該内周面が前記電線束10の外周面に接触または略接触するように設定されるのが、望ましい。内側保護部材20はスリット26を有していなくてもよく、その場合は、電線束10が内側保護部材20の軸方向に沿って当該内側保護部材20の内側の空間内に挿入されることにより、当該電線束10の周囲に前記内側保護部材20が配置される。
図10に示されるように、電線束10の周囲に内側保護部材20が配置される。この配置は、前記内側保護部材20の弾性変形を伴ってそのスリット26を広げ、当該スリット26を通じて内側保護部材20の内側の空間内に前記電線束10の中間部分を径方向に挿入することにより、行うことができる。当該内側保護部材20の内径、つまり、当該内側保護部材20の谷部24の内周面の半径、は、当該内周面が前記電線束10の外周面に接触または略接触するように設定されるのが、望ましい。内側保護部材20はスリット26を有していなくてもよく、その場合は、電線束10が内側保護部材20の軸方向に沿って当該内側保護部材20の内側の空間内に挿入されることにより、当該電線束10の周囲に前記内側保護部材20が配置される。
3)曲線部4の形状の付与
前記電線束10及び内側保護部材20のうち図1に示される曲線部4に相当する部分が曲げられることにより、当該部分に曲線形状が与えられる。前記内側保護部材20は、弾性変形可能な樹脂材料からなるため、前記電線束10の曲げ変形を許容するようにこれに追従して曲げ変形することが可能である。特に、この実施の形態に係る内側保護部材20は、山部22と谷部24が交互に並ぶコルゲートチューブからなるため、その形状によって内側保護部材20自身の曲げ変形がより容易になっている。
前記電線束10及び内側保護部材20のうち図1に示される曲線部4に相当する部分が曲げられることにより、当該部分に曲線形状が与えられる。前記内側保護部材20は、弾性変形可能な樹脂材料からなるため、前記電線束10の曲げ変形を許容するようにこれに追従して曲げ変形することが可能である。特に、この実施の形態に係る内側保護部材20は、山部22と谷部24が交互に並ぶコルゲートチューブからなるため、その形状によって内側保護部材20自身の曲げ変形がより容易になっている。
4)外装部材30の巻付け
前記曲線部4に相当する部分の電線束10及び内側保護部材20の曲げ形状を保ったまま、その周囲に前記外装用シート32が巻き付けられる。この外装用シート32のシート幅方向の寸法は、当該外装用シート32の内側面と内側保護部材20の外側面との間に適当な隙間をおく余裕のある状態で図11に示されるように前記両側縁部を構成する非架橋部33,34同士を互いに径方向に重ね合わせることができる程度に設定されるのが、好ましい。
前記曲線部4に相当する部分の電線束10及び内側保護部材20の曲げ形状を保ったまま、その周囲に前記外装用シート32が巻き付けられる。この外装用シート32のシート幅方向の寸法は、当該外装用シート32の内側面と内側保護部材20の外側面との間に適当な隙間をおく余裕のある状態で図11に示されるように前記両側縁部を構成する非架橋部33,34同士を互いに径方向に重ね合わせることができる程度に設定されるのが、好ましい。
5)筒体の形成(非架橋部33,34同士の溶着)
前記のように重ね合わされた非架橋部33,34同士を溶着することにより、前記外装用シート32からなる筒体を形成する。この溶着は、例えば、非架橋部33,34を加熱して溶融させることによる熱融着、あるいは非架橋部33,34にケトン等の薬品を与えて溶かすことによる溶着、によって行うことができる。前記非架橋部33,34では前記樹脂材料が架橋反応していないので、既に架橋反応している前記架橋部36と異なり、前記熱融着や薬品による融着を支障なく行うことが可能である。この溶着による非架橋部33,34同士の接合は、外装用シート32が安定した筒状を維持することを可能にする。
前記のように重ね合わされた非架橋部33,34同士を溶着することにより、前記外装用シート32からなる筒体を形成する。この溶着は、例えば、非架橋部33,34を加熱して溶融させることによる熱融着、あるいは非架橋部33,34にケトン等の薬品を与えて溶かすことによる溶着、によって行うことができる。前記非架橋部33,34では前記樹脂材料が架橋反応していないので、既に架橋反応している前記架橋部36と異なり、前記熱融着や薬品による融着を支障なく行うことが可能である。この溶着による非架橋部33,34同士の接合は、外装用シート32が安定した筒状を維持することを可能にする。
前記非架橋部33,34の重ね合わせの態様は、図3及び図11に示すような径方向の重ね合わせに限定されない。例えば、図12に示されるように、両非架橋部33,34が径方向の外側を向くように折り返され、当該非架橋部33,34の裏面同士が突き合わされてもよい。この場合も、その突き合わされた面同士を溶着することにより、前記筒体の形成が可能である。
6)架橋部36の加熱による熱収縮
前記の曲線部4の曲げ形状を維持したまま、前記のように筒体化された外装用シート32の架橋部36の加熱により、当該架橋部36の熱収縮が行われる。この熱収縮は、前記外装用シート32により形成される筒体の内径を縮小させ、当該筒体の内周面が内側保護部材20の外周面に強く密着して当該内側保護部材20を拘束することにより当該内側保護部材20及びその内側の電線束10の形状(この実施の形態では曲げ形状)を固定することを可能にする。
前記の曲線部4の曲げ形状を維持したまま、前記のように筒体化された外装用シート32の架橋部36の加熱により、当該架橋部36の熱収縮が行われる。この熱収縮は、前記外装用シート32により形成される筒体の内径を縮小させ、当該筒体の内周面が内側保護部材20の外周面に強く密着して当該内側保護部材20を拘束することにより当該内側保護部材20及びその内側の電線束10の形状(この実施の形態では曲げ形状)を固定することを可能にする。
この工程における前記架橋部36の加熱温度は、当該架橋部36を構成する材料によって決定される。具体的に、前記熱収縮を生じさせるために好適な加熱温度は、通常、架橋部36がポリオレフィン系樹脂材料からなる場合は100〜110°C(当該材料の耐熱温度は105〜135°C)、フッ素系樹脂からなる場合は130〜140°C(当該材料の耐熱温度は175°C)である。
以上説明した製造方法によれば、内側保護部材20に外装用シート32を巻付けた状態で当該外装用シート32の両側縁部を構成する非架橋部33,34同士を支障なく溶着することができ、これにより当該外装用シート32に安定した形状すなわち筒状を与えることができる。そして、このように筒体化された外装用シート32の架橋部36を加熱してシート幅方向に収縮させることにより、前記内側保護部材20に良好に密着する外装部材30を形成することができる。また、前記熱収縮の際、前記架橋部36に周方向の張力が作用するものの前記非架橋部33,34同士の溶着部分は分子レベルで一体化したものであるために結合力が強く、よって、前記張力に負けて前記溶着部分が外れるという不都合を有効に抑止することができる。
ここで、前記内側保護部材20は、省略が可能であり、例えば前記電線束10の周囲に直接前記外装用シート32を巻き付けてこれを熱収縮させてもよいが、当該電線束10と当該外装用シート32との間の内側保護部材20の介在は、当該外装用シート32の熱収縮のために与えられる熱が前記電線束10に直接伝わるのを有効に抑止する。特に、前記の内側保護部材20では、外装用シート32に接触する部分である山部22と前記電線束10に接触する部分である谷部24とが互いに軸方向に異なる位置に配列されていて、当該山部22の内側及び当該谷部24の外側にそれぞれ断熱機能をもつ空気層が形成されるため、高い伝熱抑制効果を有する。さらに、前記内側保護部材20は、前記外装部材30と相俟って二重構造を構築することにより、曲線部4の保護をより堅牢にする。この効果は、曲線部4ではなく直線部6に内側保護部材20を設けた場合にも同様に得ることが可能である。
本発明において、外装用シートの形状は適宜設定可能である。例えば、当該外装用シートは矩形状のものに限らず、例えば台形状のものであってもよい。また、当該外装用シートを構成する非架橋部や架橋部の形状も適宜設定可能である。ただし、前記架橋部36のように一定の幅寸法を有する架橋部は、非架橋部により構成される面同士が溶着されることにより形成される筒体をその軸方向の全域にわたって均一に収縮させることを可能にする。
2 ワイヤハーネス
4 曲線部
6 直線部
10 電線束
20 内側保護部材
30 外装部材
32 外装用シート
33,34 非架橋部
36 架橋部
42 シート材
43,44 クランプ部材
4 曲線部
6 直線部
10 電線束
20 内側保護部材
30 外装部材
32 外装用シート
33,34 非架橋部
36 架橋部
42 シート材
43,44 クランプ部材
Claims (8)
- ワイヤハーネスにおける電線束の周囲に巻き付けられかつ加熱により前記電線束の周方向に相当するシート幅方向に収縮して外装部材を構成することが可能な外装用シートであって、
架橋反応が可能な樹脂材料からなるとともに当該樹脂材料が架橋反応しかつ加熱により前記シート幅方向に収縮変形するように残留応力が付与された架橋部と、
前記樹脂材料からなりかつ当該樹脂材料が架橋反応していない非架橋部と、を併有し、
前記非架橋部は、前記外装用シートのうち前記シート幅方向の両側縁部を構成し、前記架橋部は前記非架橋部により構成される前記両側縁部の間の部分を構成する、外装用シート。 - 請求項1記載の外装用シートであって、前記架橋部は一定の幅寸法を有し、当該幅寸法は、前記シート幅方向についての寸法である、外装用シート。
- 電線束と、この電線束の周囲に配置される外装部材と、を備えたワイヤハーネスを製造するための方法であって、
前記電線束を用意する工程と、
請求項1または2記載の外装用シートを用意する工程と、
前記外装用シートを当該外装用シートの前記シート幅方向が前記電線束の周方向に対応する向きで前記電線束の周囲に巻き付ける巻付け工程と、
当該電線束に巻き付けられた当該外装用シートの両側縁部であって前記非架橋部により構成される部分同士を重ね合わせて相互に溶着することにより当該外装用シートを筒体にする溶着工程と、
前記架橋部を加熱して前記シート幅方向に収縮させることにより前記筒体を縮径する加熱工程と、を含む、ワイヤハーネスの製造方法。 - 請求項3記載のワイヤハーネスの製造方法であって、前記電線束の周囲に当該電線束の曲げ変形を許容するように弾性変形可能な内側保護部材を配置する工程をさらに含み、前記巻付け工程は当該電線束の周囲に配置された前記内側保護部材の周囲に前記外装用シートを巻き付けることを含み、前記溶着工程は前記外装用シートの両側縁部の溶着により前記内側保護部材の周囲に前記外装用シートからなる筒体を形成することを含み、前記加熱工程は前記筒体の縮径により当該筒体の内側面を前記内側保護部材の外周面に密着させて当該内側保護部材及びその内側の前記電線束の形状を固定するように当該内側保護部材を拘束することを含む、ワイヤハーネスの製造方法。
- 電線束と、この電線束の周囲に配置される筒状の外装部材と、を備えたワイヤハーネスであって、前記外装部材が請求項1または2記載の外装用シートにより構成され、この外装用シートのシート幅方向の両側縁部のうち前記非架橋部により構成された面同士が溶着され、かつ、当該外装用シートの架橋部が加熱により収縮した、ワイヤハーネス。
- 請求項5記載のワイヤハーネスであって、前記電線束と前記外装用シートにより構成される前記外装部材との間に介在し、前記電線束の曲げ変形を許容するように弾性変形可能な内側保護部材をさらに備え、前記外装部材は前記内側保護部材及びその内側の前記電線束の形状を固定するように当該内側保護部材の外周面に密着して当該保護部材を拘束する、ワイヤハーネス。
- 請求項1または2記載の外装用シートを製造する方法であって
架橋反応が可能な樹脂からなるシート材を用意する工程と、
前記シート材のうち前記シート幅方向の両側縁部に相当する部分を残して当該部分同士の間の中間部分を構成する樹脂材料にのみ架橋反応を起こさせる架橋工程と、
前記シート材を加熱して当該シート材に前記シート幅方向の引張力を与えることにより当該シート材を当該シート幅方向に伸ばす引張工程と、
当該シート材を当該シート幅方向に伸ばしたまま当該シート材を冷却して前記中間部分に残留応力を与える冷却工程と、を含む、外装用シートの製造方法。 - 請求項7記載の外装用シートの製造方法であって、前記架橋工程は、前記シート材のうち前記両側縁部に相当する部分を覆うように当該部分をそれぞれクランプするクランプ部材を用いて当該シート材を保持することにより、前記架橋反応のために前記中間部分に与えられる操作が前記両側縁部に相当する部分に及ぶのを阻止して当該両側縁部を前記非架橋部にすることを含み、前記引張工程は、前記両側縁部に相当する部分をそれぞれクランプしている前記クランプ部材を前記シート幅方向に互いに離間する向きに相対移動させることにより行われる、外装用シートの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015079341A JP2016201212A (ja) | 2015-04-08 | 2015-04-08 | 外装部材を備えたワイヤハーネスの製造方法 |
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Publications (1)
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JP2016201212A true JP2016201212A (ja) | 2016-12-01 |
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JP2015079341A Pending JP2016201212A (ja) | 2015-04-08 | 2015-04-08 | 外装部材を備えたワイヤハーネスの製造方法 |
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JP (1) | JP2016201212A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023189385A1 (ja) * | 2022-03-29 | 2023-10-05 | 住友電装株式会社 | ワイヤハーネス |
-
2015
- 2015-04-08 JP JP2015079341A patent/JP2016201212A/ja active Pending
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