JP2016200481A - 気圧センサの気圧補正値を算出する管理装置、携帯端末及びプログラム - Google Patents

気圧センサの気圧補正値を算出する管理装置、携帯端末及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】携帯端末を所持するユーザが地上面に位置する場合に、携帯端末の気圧センサの気圧値を補正する補正値を算出ことができる管理装置、端末及びプログラムを提供する。
【解決手段】管理装置は、海抜高度に基づく参照気圧値を、内部又は外部データベースから取得する参照気圧値取得手段と、当該端末の位置情報が、参照気圧値を基準とした当該気圧値の分布に基づいて地上面であるか否かを判定する地上面判定手段と、真と判定された際に、端末の位置情報に対する標高値を、内部又は外部データベースから取得する標高値取得手段と、参照気圧値を基準とした標高値に基づく理想気圧値を算出する理想気圧値算出手段と、端末から受信した気圧値と理想気圧値との差分となる気圧補正値を算出する気圧補正値算出手段とを有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、携帯端末に搭載された気圧センサの気圧値を補正する技術に関する。
近年、センサの小型化及び高精度化に伴って、携帯電話機やスマートフォンのような携帯端末に、種々のセンサが内蔵されてきている。特に、GPS(Global Positioning System)センサは一般的であって、衛星からの測位電波を受信することによって、その携帯端末の現在位置及び高さを測位することができる。これによって、現在位置を高精度で特定することができ、周辺地域情報を様々な観点から検索することができる。但し、GPSセンサは、衛星からの測位電波を受信する必要があるために、主に屋外での測位に限られる。
一方で、屋内では、無線LANやセルラ通信ネットワークを介して、以下の3つの方式が主に用いられている(例えば非特許文献1及び2参照)。
「複数基地局測位方式」 :複数の隣接基地局からの通信電波によって測位する
「ハイブリッド測位方式」:GPS測位方式+複数基地局測位方式
「セルベース測位方式」 :接続先基地局の位置を、当該携帯端末の現在位置とする
屋内で測位可能なこれら測位方式によれば、緯度及び経度は推定できるものの、高度までは十分に推定できない。
携帯端末が位置する高度を推定するために、GPSセンサの他、「気圧センサ」を用いる方法がある。
従来、基準用無線センサ端末の気圧値を基準として、気圧センサを搭載した携帯端末の高度を推定する技術がある(例えば特許文献1参照)。この技術によれば、地上高が「既知」の基準用無線センサ端末の気圧値を基準として、地上高が「未知」の携帯端末の高度を推定する。
同様に、携帯端末の標高値を算出するために、当該携帯端末の近くに位置する気圧計測装置を用いる技術もある(例えば特許文献2参照)。この技術によれば、気圧計測装置が、設置された既知の標高値における気圧値を計測し、その気圧値及び標高値を用いて携帯端末の標高値を算出する。
また、登山口の位置を基準として、携帯端末の高度を推定する技術もある(例えば特許文献3参照)。この技術によれば、位置及び標高値が既知である登山口に、登山支援装置が設置されている。そして、登山支援装置は、その設置場所における予想気圧値及び予想気圧変動パターンを、携帯端末へ送信する。気圧センサを搭載した携帯端末は、基準となる登山支援装置付近、即ち、当該登山口と同じ高度で、気圧値に対するオフセット値を算出する。オフセット値は、登山支援装置の気圧センサの気圧値と、携帯端末の気圧センサの気圧値との差である。携帯端末の気圧センサの気圧値にオフセット値を加えることによって、推定高度の誤差を減少させている。その後、携帯端末は、登山中に通信することなく、気圧値のみから、誤差の少ない高度を推定することができる。
更に、気圧値の変化量から、高度の変化を推定する技術もある(例えば特許文献4参照)。この技術によれば、加速度センサの加速度の遷移に基づいて、ユーザの行動状態を判別する。ユーザが移動している場合、又は静止していても急激に気圧変化が観測された場合にのみ、高度の変化を推定する。これによって、天候等による気圧変化による推定高度誤差を減少させることができる。また、この技術によれば、同一場所であっても気候による気圧値の変化と、階を移動することによる気圧値の変化とを区別することができる。そのために、携帯端末を所持したユーザについて、所定の基準階からの上下階への移動も推定することができる。
更に、GPS測位に基づく測位高度値の変動が小さいときにのみ、その測位高度値を用いて標高値を算出する技術もある(例えば特許文献5参照)。それ以降、当該標高値に、気圧変動量から算出した高度変動量を加算した標高値を算出する。
更に、気圧センサを搭載した携帯端末が、気圧センサを搭載した基準装置と同じ標高で、当該携帯端末の気圧センサの気圧値を補正する技術もある(例えば非特許文献3参照)。この技術によれば、基準装置の標高が既知であって、基準装置の気圧値及び標高値が基準となる。
更に、携帯端末が記憶する気圧値と高度値とを対応付けた換算テーブルを補正する技術もある(例えば特許文献6参照)。携帯端末は、換算テーブルを用いて、自ら計測した気圧値から高度値を導出する。また、携帯端末は、GPSに基づく現在位置情報をクエリとして、サーバから標高値を受信する。そして、携帯端末は、自ら導出した高度値と、サーバから取得した標高値とが一致するように、換算テーブルを補正する。換算テーブルを定期的に補正することによって、自ら計測した高度値に対する天候による気圧変動の影響を減らすことができる。
更に、ビルのような建物内側で、携帯端末が標高データを誤って用いてしまうことを防ぐ技術もある(例えば特許文献7参照)。最初に、携帯端末は、現在位置で、気圧センサによって計測された気圧値を用いて標高値を算出する。次に、現在位置情報をクエリとして、サーバから地図データ及び標高データを取得する。ここで、現在位置が地図データ上の建物内側である場合、気圧値から算出した標高値を、現在の標高値とする。逆に、現在位置が地図データ上の建物外側である場合には、サーバから受信した標高データを、現在の標高値とする。天候による気圧変動が大きくならない限り、建物内側又は外側に応じて適宜、標高値を校正することができる。
特開2013−002933号公報 特開2013−221887号公報 特開2011−257260号公報 特開2013−200156号公報 特開2014−021036号公報 特開2006−145340号公報 特開2013−231634号公報
服部武、藤岡雅宣編著「ワイヤレス・ブロードバンド教科書−3.5G/次世代モバイル編−」、インプレスR&D、2007年7月21日、第1版第3冊発行、p.56〜61 Sirin Tekinay、「Next generation wireless networks」、p.143〜 富上徹也ら、「気圧情報を利用した在階推定方法の提案と評価実験」、情報処理学会研究報告/研究報告高度交通システム(ITS)、2014年2月27日、{online]、[平成27年3月26日検索]、インターネット<URL: https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/index.php?active_action=repository_view_main_item_snippet&page_id=13&block_id=8&all=shigenori&pn=1&st=1>
気圧センサには、一般的に、個体差や劣化差によって、気圧値に測定誤差が含まれる。
図1は、端末の機種毎に計測した気圧値を表すグラフである。
図1によれば、同一場所に設置した4機種6台の携帯端末について、携帯端末毎の気圧センサによって計測された気圧値の時系列変化が表されている。また、海抜気圧値の時系列変化も表されている。ここでは、異機種間は勿論のこと、同一の気圧センサが搭載された同一機種間であっても、気圧センサによって計測された気圧値に誤差が生じている。図1によれば、「機種1−1」と「機種3」と間の気圧差は、4.5hPa程度である。1.0hPaの差が、約8.0mの高度差に相当するとした場合、約36m程度の差となる。この差は、位置サービスの場合、とても許容できないものとなる。即ち、気圧センサの気圧値を用いて地上高(地上からの高さ)を推定する場合、その気圧値の誤差の影響が非常に大きい。
携帯端末を所持したユーザが建物内側に位置する際における「地上高」は、高層ビルが建ち並ぶ都会のような場所における位置サービスとして、現実的に必要なものである。ここで、本願の発明者らは、建物の地上面(1階)における気圧値を特定することができれば、ユーザの所持する携帯端末で観測した気圧値を用いることによって、ユーザの位置する高度(階数)も推定することができる、と考えた。そのためには、ユーザの所持する携帯端末で観測した気圧値の誤差を、できる限り小さくする必要がある。そこで、気圧センサ単体の気圧値の誤差を補正する補正値を、建物の地上面のように高度が既知の場所で算出すべきではないか?と考えた。
特許文献1及び2に記載の技術によれば、高度が「既知」の基準用の無線センサ端末および携帯端末について、その気圧センサの気圧値に含まれる誤差については全く考慮していない。
特許文献3及び非特許文献3に記載の技術によれば、携帯端末は、気圧センサのオフセット値を算出するために、基準装置と同一高度へ移動しなければならない、とする条件を要する。
特許文献4に記載の技術によれば、あくまで相対的な階数の変動しか推定することができず、携帯端末を所持するユーザの位置を、地上面からの高さで推定することはできない。
特許文献5に記載の技術によれば、基準装置を不要とするが、GPS測位に基づく測位高度値と、海抜からの標高値との間の誤差が大きい場合、携帯端末の地上面からの高度を誤って推定することとなる。
特許文献6に記載の技術によれば、携帯端末が高層階の窓際等に位置する場合、その窓際の高度と標高データとが一致するように、換算テーブルを補正してしまい、その後、その誤った換算テーブルを用いた高度が推定されてしまう。
特許文献7に記載の技術によれば、地図データ上の建物情報を必要とする。また、携帯端末が、建物内側に位置する(例えば高層階の窓際)にも拘わらず、建物外側に位置すると判定された場合、誤った高度が推定されてしまう。
そこで、本発明は、携帯端末を所持するユーザが地上面に位置する場合に、携帯端末の気圧センサの気圧補正値を算出することができる管理装置、端末及びプログラムを提供することを目的とする。
本発明によれば、気圧センサ及び測位部を有する端末から、気圧値及び位置情報を含むログを受信する管理装置であって、
海抜高度に基づく参照気圧値を、内部又は外部データベースから取得する参照気圧値取得手段と、
当該端末の位置情報が、参照気圧値を基準とした当該気圧値の分布に基づいて地上面であるか否かを判定する地上面判定手段と、
地上面判定手段によって真と判定された際に、端末の位置情報に対する標高値を、内部又は外部データベースから取得する標高値取得手段と、
参照気圧値を基準とした標高値に基づく理想気圧値を算出する理想気圧値算出手段と、
端末から受信した気圧値と理想気圧値との差分となる気圧補正値を算出する気圧補正値算出手段と
ことを特徴とする。
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
気圧補正値を端末へ送信し、端末に対して気圧センサの気圧値を気圧補正値によって補正させるか、又は、端末から受信した気圧値を気圧補正値によって補正して管理する気圧値補正手段を更に有することも好ましい。
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
所定地域範囲毎に、参照気圧値を基準とした複数の気圧値の度数分布(気圧値毎のログ数)又は確率分布(気圧値毎のログ発生確率)を算出する分布算出手段と、
度数分布又は確率分布に対して差分法に基づく差分値を算出し、該差分値の分布から1階床面の地上面気圧値範囲を推定する地上面気圧値推定手段と
を有し、
地上面判定手段は、端末の気圧値が地上面気圧値範囲に含まれるか否かを判定することも好ましい。
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
所定地域範囲毎に、参照気圧値を基準とした複数の気圧値の度数分布(気圧値毎のログ数)又は確率分布(気圧値毎のログ発生確率)を算出する分布算出手段と、
度数分布又は確率分布に対して差分法に基づく差分値を算出し、該差分値の分布から床面が1つしか推定されないか否かを判定する地上面気圧値推定手段と
を有し、
地上面判定手段は、床面が1つしか推定されない地域範囲の端末の位置情報が地上面であると判定することも好ましい。
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
地上面気圧値推定手段の差分法は、2階中心差分法であることも好ましい。
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
当該端末から所定時間間隔でログを連続的に受信し、所定個数の気圧値における平均値を算出し、該平均値と各気圧値との差の二乗平均平方根を誤差指標として算出する誤差指標算出手段を更に有し、
地上面判定手段は、誤差指標が所定閾値以下となる場合にのみ、当該端末の位置情報に対する地上面を判定することも好ましい。
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
標高値取得手段は、端末の位置情報を中心に、端末の測位部における測位誤差半径に含まれる複数の標高値を取得するものであり、
標高値取得手段の複数の標高値における平均値を算出し、該平均値と各標高値との差の二乗平均平方根を誤差指標として算出する誤差指標算出手段を更に有し、
地上面判定手段は、誤差指標が所定閾値以下となる場合にのみ、当該端末の位置情報に対する地上面を判定することも好ましい。
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
標高値取得手段は、端末の位置情報を中心に、端末の測位部における測位誤差半径に含まれる複数の標高値を取得するものであり、
当該端末から所定時間間隔でログを連続的に受信し、所定個数の気圧値における平均値を算出し、該平均値と各気圧値との差の二乗平均平方根を第1の誤差指標として算出すると共に、標高値取得手段の複数の標高値における平均値を算出し、該平均値と各標高値との差の二乗平均平方根を第2の誤差指標として算出する誤差指標算出手段を更に有し、
地上面判定手段は、第1の誤差指標が第1の所定閾値以下となり、且つ、第2の誤差指標が第2の所定閾値以下となる場合にのみ、当該端末の位置情報に対する地上面を判定する
ことも好ましい。
本発明によれば、気圧センサ及び測位部を有し、気圧値及び位置情報を含むログを記録する端末であって、
海抜高度に基づく参照気圧値を、内部又は外部データベースから取得する参照気圧値取得手段と、
当該端末の位置情報が、参照気圧値を基準とした当該気圧値の分布に基づいて地上面であるか否かを判定する地上面判定手段と、
地上面判定手段によって真と判定された際に、端末の位置情報に対する標高値を、内部又は外部データベースから取得する標高値取得手段と、
参照気圧値を基準とした標高値に基づく理想気圧値を算出する理想気圧値算出手段と、
端末によって計測した気圧値と理想気圧値との差分となる気圧補正値を算出する気圧補正値算出手段と
を有することを特徴とする。
本発明によれば、気圧センサ及び測位部を有する端末から、気圧値及び位置情報を含むログを受信する管理装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
海抜高度に基づく参照気圧値を、内部又は外部データベースから取得する参照気圧値取得手段と、
当該端末の位置情報が、参照気圧値を基準とした当該気圧値の分布に基づいて地上面であるか否かを判定する地上面判定手段と、
地上面判定手段によって真と判定された際に、端末の位置情報に対する標高値を、内部又は外部データベースから取得する標高値取得手段と、
参照気圧値を基準とした標高値に基づく理想気圧値を算出する理想気圧値算出手段と、
端末から受信した気圧値と理想気圧値との差分となる気圧補正値を算出する気圧補正値算出手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
本発明によれば、気圧センサ及び測位部を有し、気圧値及び位置情報を含むログを記録する端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムにおいて、
海抜高度に基づく参照気圧値を、内部又は外部データベースから取得する参照気圧値取得手段と、
当該端末の位置情報が、参照気圧値を基準とした当該気圧値の分布に基づいて地上面であるか否かを判定する地上面判定手段と、
地上面判定手段によって真と判定された際に、端末の位置情報に対する標高値を、内部又は外部データベースから取得する標高値取得手段と、
参照気圧値を基準とした標高値に基づく理想気圧値を算出する理想気圧値算出手段と、
端末によって計測した気圧値と理想気圧値との差分となる気圧補正値を算出する気圧補正値算出手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
本発明の管理装置、端末及びプログラムによれば、携帯端末を所持するユーザが地上面に位置する場合に、携帯端末の気圧センサの気圧補正値を算出することができる。
端末の機種毎に計測した気圧値を表すグラフである。 携帯端末で計測される気圧値と、海抜に対する標高値との関係を表す説明図である。 本発明における管理装置の機能構成図である。 複数階建物内側で計測された気圧値に対する度数分布及び確率分布を表すヒストグラムである。 単階建物内側又は屋外で計測された気圧値に対する度数分布及び確率分布を表すヒストグラムである。 図4の気圧値に対する差分値及び床面を表すヒストグラムである。 図5の気圧値に対する差分値及び床面を表すヒストグラムである。 本発明における携帯端末の機能構成図である。
以下では、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図2は、携帯端末で計測される気圧値と、海抜に対する標高値との関係を表す説明図である。
図2によれば、携帯端末を所持した多数のユーザが、建物内側となる各階(フロア)に位置している。スマートフォンのような携帯端末によれば一般的に、GPSセンサや基地局測位によって自らの現在位置を測位すると共に、気圧センサによって気圧値を計測することもできる。但し、携帯端末は、屋内に位置する場合、携帯電話網の基地局とは通信可能であるが、GPS衛星からの測位電波を受信することはできない。
携帯端末に搭載された気圧センサは、例えば所定単位時間毎に、その高度に応じた気圧値を電力値として出力する。高度が低いほど、気圧値は高く、逆に、高度が高いほど、気圧値は低い。そのために、同一ビル内にあっても、そのユーザが位置する階数によっては、気圧センサによって観測される気圧値は異なる。ビルの1階で観測される地上面気圧値を基準とすることによって、ビル内で位置する階数を推定することができる。
図3は、本発明における管理装置の機能構成図である。
<管理装置1>
管理装置1は、気圧センサ及び測位部を有する携帯端末2から、気圧値及び位置情報を含むログを受信する。これに対し、管理装置1は、携帯端末2へ、その気圧センサに対する気圧補正値を送信する。これによって、携帯端末2は、気圧センサの気圧値をその気圧補正値によって補正する。尚、携帯端末2から受信した気圧値を管理する管理装置1が自ら、携帯端末識別子毎に、その気圧値を気圧補正値によって補正して管理するものであってもよい。
図3によれば、管理装置1は、ログ受信部10と、参照気圧値取得部11と、地上面判定部12と、標高値取得部13と、理想気圧値算出部14と、気圧補正値算出部15と、気圧値補正部16と、分布算出部17と、地上面気圧値推定部18と、誤差指標算出部19とを有する。これら機能構成部は、管理装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。また、これら機能構成部の処理の流れは、気圧補正値を算出する方法としても理解できる。
管理装置1は、地図上の所定地域範囲を予め記憶した地図情報記憶部を有する。「位置情報」とは、携帯端末のGPSセンサに基づく緯度経度情報であってもよいし、ホームロケーションレジスタ等ネットワーク側の設備で推定される携帯端末の緯度経度情報であってもよい。緯度経度の位置情報である場合、地図上の所定地域範囲とは、緯度経度に基づく地域メッシュ(例えば1/10地域メッシュ)で区分けされたものである。
また、位置情報は、広域通信システムである携帯電話の基地局(セル)識別子や狭域通信システムである無線LAN・Bluetooth(登録商標)のアクセスポイント識別子(MACアドレス等)を以て位置情報としてもよい。位置情報が、携帯端末によって無線で接続する接続/周辺基地局の識別子である場合、地図上の所定地域範囲とは、その範囲で接続可能な基地局の識別子群によって区分けされたものである。
[ログ受信部10]
ログ受信部10は、気圧センサ及び測位部を有する携帯端末2から、気圧値及び位置情報を含むログを受信する。気圧値及び位置情報は、携帯端末2の端末識別子に対応付けて管理される。勿論、ログの内容は限定されることなく、気温センサの気温情報を更に含むものであってもよい。尚、管理装置1は、携帯端末2から逐次にログを受信するものであってもよいし、多数のログを携帯端末から予め収集した別のサーバから受信するものであってもよい。
[参照気圧値取得部11]
参照気圧値取得部11は、海抜高度に基づく参照気圧値を、内部又は外部データベースから取得する。取得した参照気圧値は、理想気圧値算出部14へ出力される。
参照気圧値は、時々刻々と変化する海面上の絶対海抜高度の気圧値に基づくものであってもよいし、海抜高度を基準とした固定標高の気圧値に基づくものであってよい。但し、参照気圧値は、当該携帯端末の位置情報に対して最も近い位置にある参照気圧値であることを意味する。
データベースは、管理装置内部又は外部にあってもよいが、ログ受信部10によって受信した位置情報をクエリとして、その参照気圧値を応答するものである。
[地上面判定部12]
地上面判定部12は、当該携帯端末2の位置情報が、参照気圧値を基準とした当該気圧値の分布に基づいて地上面であるか否かを判定する。地上面とは、複数階の建物の場合、1階床面を意味する。当該携帯端末2が地上面に位置すると判定した際に、当該携帯端末2の位置する標高値を取得するべく、標高値取得部13へ通知する。
地上面判定部12は、最も簡単な方法として、携帯端末の位置する所定地域範囲毎に、携帯端末のGPSによって測位された際に取得された、過去の多数の気圧値(参照気圧値を基準とした気圧値)の中で、最も高い気圧値を、地上面(グラウンドレベル)気圧値とするものであってもよい。即ち、携帯端末の気圧値が、地上面気圧値からみて所定範囲で近い場合、当該携帯端末は、地上面に位置すると判定できる。
また、過去の多数の気圧値は、異なる複数の携帯端末からログとして収集したものであってもよい。尚、図6で後述するように、本発明が携帯端末単体に実装される場合、1つの携帯端末における過去に収集した多数の気圧値であってもよい。
[分布算出部17]
分布算出部17は、所定地域範囲毎に、参照気圧値を基準とした複数の気圧値の「度数分布(気圧値毎のログ数)」又は「確率分布(気圧値毎のログ発生確率)」を算出する。算出された度数分布又は確率分布は、地上面気圧値推定部18へ出力される。
図4は、複数階建物内側で計測された気圧値に対する度数分布及び確率分布を表すヒストグラムである。
図5は、単階建物内側又は屋外で計測された気圧値に対する度数分布及び確率分布を表すヒストグラムである。
図4及び図5によれば、複数のユーザに携帯端末を所持させたフィールドトライアルの実験結果である。収集された多数の気圧値は、同一階に滞在していても、ユーザの身長や端末所持位置によって、ある程度の幅でばらつくことが検出された。一方で、携帯端末は通常、床面よりも低いところで使用されることは極めて少ない。その結果、人が携帯端末を所持する高度のログ数と、床面以下の高度のログ数との間に、かなりギャップがあることが観測される。本発明によれば、最も低い床面(1階床面)で観測された気圧値は、地上面気圧値を表す。
図4(a)及び図5(a)によれば、気圧値に対する度数分布を表しており、図4(b)及び図5(b)によれば、気圧値に対する確率分布を表している。気圧値は、高所ほど低くなるため、グラフの増分方向の右側ほど、地上面(その位置で最も気圧値が高い)となる。
複数階の建物を表す図4からも明らかなとおり、携帯端末は通常、各階の床面よりも低いところでは使用されないために、その高度では、度数や確率がほぼ0に近くなる。図4によれば、5つの床面があると推定することができる。
図6は、図4の気圧値に対する差分値及び床面を表すヒストグラムである。
図7は、図5の気圧値に対する差分値及び床面を表すヒストグラムである。
図6(a)及び図7(a)によれば、気圧値に対する差分値の分布を表しており、図6(b)及び図7(b)によれば、気圧値に対して推定された床面の分布を表している。ここで、1階床面と推定された地上面気圧値を中心とした気圧値の所定幅を、1階床面の気圧値幅とする。
[地上面気圧値推定部18]
地上面気圧値推定部18は、度数分布又は確率分布に対して「差分法」に基づく差分値を算出する。そして、その差分値の分布から、以下のいずれかを判定する。
(判定1)差分値の分布から1階床面の地上面気圧値範囲を推定する。
(判定2)差分値の分布から床面が1つしか推定されないか否かを判定する(床面数の推定)
ここで、推定された地上面気圧値範囲、又は、床面が1つであるとする判定結果は、地上面判定部12へ出力される。
判定1によれば、最下床面(1階)の位置であれば(地下を含まない場合)、地上面であると判断することができる。
判定2によれば、差分値の分布からその地域範囲の床面数を推定することとなる。この場合、地上面気圧値推定部18は、1階床面の地上面気圧値範囲を推定する必要はない。本発明によれば、気圧センサの気圧値の補正値を算出する際に、その位置が地上面であること、即ち、携帯端末が、地下や2階以上に滞在していないことを必要とする。床面数が1となる位置であれば、少なくとも地上面にいると判断できる。即ち、地上面気圧値推定部18は、床面数が、「1」か又は「2以上」という情報を、地上面判定部12へ出力する。図6(b)の差分値の分布によれば、床面数が「2以上」となり、図7(b)の差分値の分布によれば、床面数が「1」ということになる。床面数が「1」という情報を受信した地上面判定部12は、携帯端末2の位置情報が地上面であると判定する。勿論、その地域範囲の床面数の情報は、異なる複数の携帯端末により推定された情報であってもよい。
この場合、地上面判定部12は、地上面気圧値推定部18の判定1又は判定2の結果に応じて、以下のように判断する。
(判定1の場合)携帯端末の気圧値が地上面気圧値範囲に含まれるか否かを判定する。真の場合、当該携帯端末は、地上面に位置すると判定される。
(判定2の場合)床面が1つしか推定されない地域範囲の端末の位置情報が地上面であると判定する。
これら判定結果が真である場合、地上面判定部12は、標高値取得部13へ、当該携帯端末の位置の標高値を取得するべく指示する。
<差分法について>
ここで、「差分法(difference method)」とは、微分方程式を解く数値解析における離散化手法である。関数が2つの変数値に対してとる値の間の有限な差を、「差分(difference)」という。この差分を、変数値の差で割って得られる商を差分商(difference quotient)という。これは、微分を差分商で近似することによって、微分方程式を解く方法である。
地上面気圧値推定部18の差分法は、「中心差分法」であってもよい。
高度nと高度n+1との間で微分をとる前方差分△u(x)は、以下の式で表される。
△u(x)=u(x+h)−u(x)=un+1−un (h:差分間隔)
高度nと高度n-1との間で微分をとる後方差分▽u(x)は、以下の式で表される。
▽u(x)=u(x)−u(x-h)=un−un-1
そして、nに対して、n+1とn-1との間で差分をとる中心差分δu(x)は、以下の式で表される。即ち、中心差分δu(x)は、前方差分△u(x)と後方差分▽u(x)とを平均したものである。
δu(x)=u(x+1/2h)−u(x-1/2h)
=(△u(x)+▽u(x))/2
=(u(x+h)−u(x-h))/2
=(un+1−un-1)/2
また、地上面気圧値推定部18の中心差分法は、「2階中心差分法」であってもよい。
2階微分の近似としては、2階中心差分法(2nd difference method)を用いる。これは差分の差分に当たる。
δ2u(x)=(un+1−un)−(un−un-1)
=un+1−2un−un-1
2階中心差分法は、nを中心にして、n+1とn-1との間で差分をとる方法である。具体的には、[1, -2, 1]の2次微分フィルタである。勿論、2次微分フィルタに限られず、1次微分フィルタを用いてもよい。この場合、[-2, 0, 2]のフィルタを適用する。
地上面気圧値推定部18は、気圧値の度数分布又は確率分布における各差分値について、第1の所定値以上であり、且つ、当該差分値の前方(前進)差分値が第2の所定値以下である気圧値(若しくはその気圧値の後方の気圧値)を、床面の気圧値として推定する。
例えば気圧値Pnの差分値Dnについて、当該値(Pn)が第1の所定値(例えば10)以上であり、且つ、その前方(Pn+1,Pn+2)の差分値(Dn+1,Dn+2)が第2の所定値(例えば5)以下である気圧値Pnを、床面の気圧と推定する。
尚、前述した条件を満たす気圧値Pnの後方気圧値Pn+1を、床面の気圧と推定してもよい。以下の例では、前述した条件を満たす気圧値Pnを、床面の気圧として推定するものとする。
また、地上面気圧値推定部18は、前方差分値又は後方差分値を第2の所定値と比較する場合、当該差分値を絶対値としてもよい。
[標高値取得部13]
標高値取得部13は、地上面判定部12によって真と判定(当該携帯端末が地上面に位置すると判定)された際に、携帯端末の位置情報に対する標高値を、内部又は外部データベースから取得する。標高値は、地図データに基づくものである。取得した標高値は、理想気圧値算出部14へ出力される。尚、データベースは、管理装置内部又は外部にあってもよいが、ログ受信部10によって受信した位置情報をクエリとして、その標高値を応答するものである。
[理想気圧値算出部14]
理想気圧値算出部14は、参照気圧値を基準とした標高値に基づく理想気圧値を算出する。算出した理想気圧値は、気圧値補正部16へ出力される。理想気圧値算出部14は、参照気圧値が海面気圧値である場合、例えば以下の式によって理想気圧値を算出するものであってもよい。
Pidl=Pref/(1+(0.0065×Hgnd)/(Temp+273.15))5.257
Pref:参照気圧値
Hgnd:標高値
Pidl:理想気圧値
Temp:気温
具体的に例えば、Hgnd=-1.7m(当該位置の標高値が海抜0mよりも低いことを意味する)、Pref=1025.40hPa、Temp=20度である場合、以下のようになる。
Pidl=1025.40hPa/(1+(0.0065×(-1.7m))/(20度+273.15))5.257
=1025.60hPa
尚、Tempは、当該携帯端末に搭載された気温センサから取得するものであってもよいし、外部の気候サーバから取得するものであってもよい。また、季節や月ごとに所定値を用いるものであってもよい。
[気圧補正値算出部15]
気圧補正値算出部15は、携帯端末2から受信したログの気圧値(計測気圧値)と理想気圧値との差分となる気圧補正値を算出する。
気圧補正値Pos=理想気圧値Pidl−計測気圧値Pini
=1025.60hPa−1026.50hPa
=-0.89679hPa
算出した気圧補正値は、気圧値補正部16へ出力される。
[気圧値補正部16]
気圧値補正部16は、図3のような管理装置1の場合、以下のいずれかの機能を有する。
(1)気圧補正値を携帯端末2へ送信し、携帯端末2に対して気圧センサの気圧値を気圧補正値によって補正させる。
(2)例えば図3によれば、気圧値管理部が、携帯端末2毎の気圧補正値を記憶する。そして、携帯端末2から受信した気圧値を気圧補正値によって補正して管理する。尚、気圧値管理部は、過去から現在までの気圧補正値を蓄積し、そこから今回の新たな気圧補正値を算出するものであってもよい。
[誤差指標算出部19]
誤差指標算出部19は、以下の3つの実施形態のいずれかによって構成される。
(第1の実施形態)
誤差指標算出部19は、携帯端末2から所定時間間隔(例えば1秒毎)でログを連続的に受信する。そして、所定個数(例えば9個)の気圧値における平均値を算出し、その平均値と各気圧値との差の二乗平均平方根PRMSを、誤差指標として算出する。算出した誤差指標は、地上面判定部22へ出力される。
第1の例として、以下のような9個の気圧値を受信したとする。
1030.3hPa、1030.4hPa、1030.3hPa、1030.3hPa、1030.4hPa、1030.4hPa、
1030.4hPa、1030.3hPa、1030.4hPa
この場合、二乗平均平方根PRMS=0.049690hPaを、誤差指標とする。
この誤差指標を入力した地上面判定部22は、例えば、2PRMSが所定値(例えば0.125 hPa)以下の場合、誤差が小さいと判断し、地上面か否かを判定する。前述の誤差指標PRMS=0.049690hPaによれば、2PRMS=0.099380 hPaとなり、所定値以下であるので、誤差が小さいと判断される。この場合、地上面判定部22は、地上面か否かを判定する。
第2の例として、以下のような9個の気圧値を受信したとする。
1030.3hPa、1030.4hPa、1030.8hPa、1030.9hPa、1032.4hPa、1032.6hPa、
1033.4hPa、1033.3hPa、1033.8hPa
この場合、二乗平均平方根PRMS=1.3127hPaを、誤差指標とする。
この誤差指標を入力した地上面判定部22は、誤差指標PRMS=1.3127hPaによれば、2PRMS=2.6254hPaとなり、所定値(例えば0.125 hPa)よりも大きいので、誤差が大きいと判断される。この場合、地上面判定部22は、地上面か否かを判定しない。
(第2の実施形態)
標高値取得部13は、携帯端末の位置情報を中心に、携帯端末の測位部における測位誤差半径に含まれる複数の標高値を取得するものであるとする。例えばスマートフォンのアプリによって提供される地図サービスは、測位誤差半径を、測位した位置を中心にした円によって表している。測位誤差半径=12.5mである場合、標高値が5m×5mのタイル単位で表現される。
また、誤差指標算出部19は、標高値取得部13から、測位誤差半径に含まれる、以下のような25個の標高値を入力したとする。
3.00m、2.80m、2.80m、2.80m、3.08m、3.08m、3.08m、3.08m、3.74m、3.74m、
3.74m、3.74m、3.04m、3.98m、2.72m、2.67m、2.74m、2.81m、2.86m、2.91m、
2.83m、3.00m、3.10m、3.12m、2.80m
この場合、これら平均値と各標高値との差の二乗平均平方根HRMS=0.375mを、誤差指標として算出する。
この誤差指標を入力した地上面判定部22は、例えば、2HRMSが所定値(例えば1.00m
)以下の場合、誤差が小さいと判断し、地上面か否かを判定する。前述の誤差指標HRMS=0.375mによれば、2HRMS=0.750mとなり、所定値以下であるので、誤差が小さいと判断される。この場合、地上面判定部22は、地上面か否かを判定する。
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、前述した第1の実施形態と第2の実施形態とを組み合わせたものである。即ち、地上面判定部12は、第1の実施形態の第1の誤差指標が第1の所定閾値以下となり、且つ、第2の実施形態の第2の誤差指標が第2の所定閾値以下となる場合にのみ、当該端末の位置情報に対する地上面を判定する。
<携帯端末2>
図8は、本発明における携帯端末の機能構成図である。
図8によれば、携帯端末2は、主にユーザに所持されており、ユーザの行動と共に移動する。携帯端末2は、例えば携帯電話機やスマートフォンであって、いずれかの基地局と無線を介して接続している。携帯端末2は、気圧センサ及び測位部を有し、自ら計測した気圧値及び位置情報を含むログを記録する。そして、携帯端末2は、複数のログを用いて気圧センサに対する気圧補正値を算出し、自らの気圧センサの気圧値をその気圧補正値によって補正する。
図8によれば、携帯端末2は、ログ記録部20と、参照気圧値取得部21と、地上面判定部22と、標高値取得部23と、理想気圧値算出部24と、気圧補正値算出部25と、気圧値補正部26と、分布算出部27と、地上面気圧値推定部28と、誤差指標算出部29とを有する。これら機能構成部は、携帯端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。また、これら機能構成部の処理の流れは、気圧補正値を算出する方法としても理解できる。
ここで、ログ記録部20及び気圧値補正部26以外の機能構成部は、管理装置として前述したものと全く同じものである(図3の参照気圧値取得部11と、地上面判定部12と、標高値取得部13と、理想気圧値算出部14と、気圧補正値算出部15と、分布算出部17と、地上面気圧値推定部18と、誤差指標算出部19と全く同様)。
ログ記録部20は、気圧値及び位置情報を含むログを記録する。但し、記録する気圧値の履歴は、各気圧値が出力された際の参照気圧値を基準とした値とする。例えば、参照気圧値−出力気圧値[hPa]として記録する。また、ログ記録部20が蓄積するログ数が、所定数(例えば100個)以上の蓄積されていることを要する。即ち、所定数よりも少ないログ数では、正確な地上面を推定できない場合があるためである。
気圧値補正部26は、気圧補正値算出部25から気圧補正値を入力する。そして、携帯端末によって計測した気圧値(自らの気圧センサの気圧値。参照気圧値を基準とした値ではなく、自らの気圧センサが出力した気圧値そのもの)と、理想気圧値算出部24から出力された理想気圧値との差分となる気圧補正値によって、気圧センサによって計測された気圧値を補正する。補正された気圧値は、アプリケーションへ出力される。
図8における地上面判定部22は、照度センサ、測位部(GPSセンサ)又は加速度センサから出力される計測値によって、更に地上面を正確に判定するものであってもよい。
照度センサを用いて、照度値が所定値(例えば2,000ルクス)以上である場合、地上面であると更に判断するものであってもよい。
また、測位部を用いて、GPS衛星の捕捉数が所定値(例えば5個)以上である場合、地上面であると更に判断することも好ましい。
更に、加速度センサを用いて、歩数計による歩行状態が、所定時間(例えば3分)以上継続していた場合、地上面であると更に判断することも好ましい。
更に、加速度センサや気圧センサによる気圧値変化を用いて、エレベータ乗車等を検知した場合、その前後で計測された気圧値は地上面ではないと判断することも好ましい。
他の実施形態として、気圧値補正部26は、気圧補正値を蓄積することも好ましい。過去から現在までのn個の気圧補正値(POSp1、POSp2、・・・、POSpn)から、今回の新たな気圧補正値POSnewを算出することもできる。例えば、蓄積した複数の気圧補正値の中で、中央値をPOSnewとするものであってもよい。また、これら時系列データに対し、カルマンフィルタや粒子フィルタを適用した値を、POSnewとするものであってもよい。
また、他の実施形態として、気圧値補正部26は、誤差指標算出部29から出力された誤差指標と補正値と紐付けて記録するものであってもよい。そして、気圧値補正部26は、誤差指標の大きな補正値の重みを小さく、誤差指標の小さな補正値の重みを大きくして、新たな補正値を算出することも好ましい。例えば、過去及び今回の補正値の累積度数分布を算出し、その50%点となる補正値を新たな補正値とする場合、誤差指標の逆数を度数にする(誤差が1mの場合は度数+1、誤差が2mの場合は度数+0.5など)。
以上、詳細に説明したように、本発明の管理装置、端末及びプログラムによれば、携帯端末を所持するユーザが地上面に位置する場合に、携帯端末の気圧センサの気圧補正値を算出することができる。
特に、本発明によれば、携帯端末の気圧センサにて測定された気圧を正確に補正することができる。これによって、携帯端末の気圧センサにて測定された気圧の補正後気圧と、地上面気圧値をベースとして、当該携帯端末が存在する階数を推定することができる。階数は、地上からの高度h(m:メートル)を用いて、例えば以下の式によって算出することができる。
h:地上からの高度
Pb:基準気圧値(地上面気圧値)
P:補正値で補正後の気圧
Temp:気温
h=(((Pb/P)(1/5.257)−1)×(Temp+273.15))/0.0065
階数=h/階高
これによって、ユーザの滞在階数に応じた位置サービスを、ユーザが所持する携帯端末に提供することもできる。
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
1 管理装置
10 ログ受信部
11 参照気圧値取得部
12 地上面判定部
13 標高値取得部
14 理想気圧値算出部
15 気圧補正値算出部
16 気圧値補正部
17 分布算出部
18 地上面気圧値推定部
19 誤差指標算出部
2 携帯端末
20 ログ記録部
21 参照気圧値取得部
22 地上面判定部
23 標高値取得部
24 理想気圧値算出部
25 気圧補正値算出部
26 気圧値補正部
27 分布算出部
28 地上面気圧値推定部
29 誤差指標算出部
3 気候データベース

Claims (11)

  1. 気圧センサ及び測位部を有する端末から、気圧値及び位置情報を含むログを受信する管理装置であって、
    海抜高度に基づく参照気圧値を、内部又は外部データベースから取得する参照気圧値取得手段と、
    当該端末の位置情報が、前記参照気圧値を基準とした当該気圧値の分布に基づいて地上面であるか否かを判定する地上面判定手段と、
    前記地上面判定手段によって真と判定された際に、前記端末の位置情報に対する標高値を、内部又は外部データベースから取得する標高値取得手段と、
    前記参照気圧値を基準とした前記標高値に基づく理想気圧値を算出する理想気圧値算出手段と、
    前記端末から受信した気圧値と前記理想気圧値との差分となる気圧補正値を算出する気圧補正値算出手段と
    ことを特徴とする管理装置。
  2. 前記気圧補正値を前記端末へ送信し、前記端末に対して気圧センサの気圧値を前記気圧補正値によって補正させるか、又は、前記端末から受信した前記気圧値を前記気圧補正値によって補正して管理する気圧値補正手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
  3. 所定地域範囲毎に、参照気圧値を基準とした複数の気圧値の度数分布(気圧値毎のログ数)又は確率分布(気圧値毎のログ発生確率)を算出する分布算出手段と、
    前記度数分布又は確率分布に対して差分法に基づく差分値を算出し、該差分値の分布から1階床面の地上面気圧値範囲を推定する地上面気圧値推定手段と
    を有し、
    前記地上面判定手段は、前記端末の前記気圧値が前記地上面気圧値範囲に含まれるか否かを判定する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の管理装置。
  4. 所定地域範囲毎に、参照気圧値を基準とした複数の気圧値の度数分布(気圧値毎のログ数)又は確率分布(気圧値毎のログ発生確率)を算出する分布算出手段と、
    度数分布又は確率分布に対して差分法に基づく差分値を算出し、該差分値の分布から床面が1つしか推定されないか否かを判定する地上面気圧値推定手段と
    を有し、
    前記地上面判定手段は、床面が1つしか推定されない前記地域範囲の端末の位置情報が地上面であると判定する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の管理装置。
  5. 前記地上面気圧値推定手段の前記差分法は、2階中心差分法である
    ことを特徴とする請求項3又は4に記載の管理装置。
  6. 当該端末から所定時間間隔で前記ログを連続的に受信し、所定個数の気圧値における平均値を算出し、該平均値と各気圧値との差の二乗平均平方根を誤差指標として算出する誤差指標算出手段を更に有し、
    前記地上面判定手段は、前記誤差指標が所定閾値以下となる場合にのみ、当該端末の位置情報に対する地上面を判定する
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の管理装置。
  7. 前記標高値取得手段は、前記端末の位置情報を中心に、前記端末の前記測位部における測位誤差半径に含まれる複数の標高値を取得するものであり、
    前記標高値取得手段の複数の標高値における平均値を算出し、該平均値と各標高値との差の二乗平均平方根を誤差指標として算出する誤差指標算出手段を更に有し、
    前記地上面判定手段は、前記誤差指標が所定閾値以下となる場合にのみ、当該端末の位置情報に対する地上面を判定する
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の管理装置。
  8. 前記標高値取得手段は、前記端末の位置情報を中心に、前記端末の前記測位部における測位誤差半径に含まれる複数の標高値を取得するものであり、
    当該端末から所定時間間隔で前記ログを連続的に受信し、所定個数の気圧値における平均値を算出し、該平均値と各気圧値との差の二乗平均平方根を第1の誤差指標として算出すると共に、前記標高値取得手段の複数の標高値における平均値を算出し、該平均値と各標高値との差の二乗平均平方根を第2の誤差指標として算出する誤差指標算出手段を更に有し、
    前記地上面判定手段は、第1の誤差指標が第1の所定閾値以下となり、且つ、第2の誤差指標が第2の所定閾値以下となる場合にのみ、当該端末の位置情報に対する地上面を判定する
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の管理装置。
  9. 気圧センサ及び測位部を有し、気圧値及び位置情報を含むログを記録する端末であって、
    海抜高度に基づく参照気圧値を、内部又は外部データベースから取得する参照気圧値取得手段と、
    当該端末の位置情報が、前記参照気圧値を基準とした当該気圧値の分布に基づいて地上面であるか否かを判定する地上面判定手段と、
    前記地上面判定手段によって真と判定された際に、前記端末の位置情報に対する標高値を、内部又は外部データベースから取得する標高値取得手段と、
    前記参照気圧値を基準とした前記標高値に基づく理想気圧値を算出する理想気圧値算出手段と、
    前記端末によって計測した気圧値と前記理想気圧値との差分となる気圧補正値を算出する気圧補正値算出手段と
    を有することを特徴とする端末。
  10. 気圧センサ及び測位部を有する端末から、気圧値及び位置情報を含むログを受信する管理装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
    海抜高度に基づく参照気圧値を、内部又は外部データベースから取得する参照気圧値取得手段と、
    当該端末の位置情報が、前記参照気圧値を基準とした当該気圧値の分布に基づいて地上面であるか否かを判定する地上面判定手段と、
    前記地上面判定手段によって真と判定された際に、前記端末の位置情報に対する標高値を、内部又は外部データベースから取得する標高値取得手段と、
    前記参照気圧値を基準とした前記標高値に基づく理想気圧値を算出する理想気圧値算出手段と、
    前記端末から受信した気圧値と前記理想気圧値との差分となる気圧補正値を算出する気圧補正値算出手段と
    してコンピュータを機能させることを特徴とする管理装置用のプログラム。
  11. 気圧センサ及び測位部を有し、気圧値及び位置情報を含むログを記録する端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムにおいて、
    海抜高度に基づく参照気圧値を、内部又は外部データベースから取得する参照気圧値取得手段と、
    当該端末の位置情報が、前記参照気圧値を基準とした当該気圧値の分布に基づいて地上面であるか否かを判定する地上面判定手段と、
    前記地上面判定手段によって真と判定された際に、前記端末の位置情報に対する標高値を、内部又は外部データベースから取得する標高値取得手段と、
    前記参照気圧値を基準とした前記標高値に基づく理想気圧値を算出する理想気圧値算出手段と、
    前記端末によって計測した気圧値と前記理想気圧値との差分となる気圧補正値を算出する気圧補正値算出手段と
    してコンピュータを機能させることを特徴とする端末用のプログラム。
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