JP6293001B2 - 無線通信端末の位置するフロアレベルを推定する管理装置、プログラム、システム及び方法 - Google Patents

無線通信端末の位置するフロアレベルを推定する管理装置、プログラム、システム及び方法 Download PDF

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Description

本発明は、気圧センサを搭載した無線通信端末を用いて、当該無線通信端末の位置を推定する技術に関する。
近年、センサの小型化及び高精度化に伴って、携帯電話機やスマートフォンのような無線通信端末に、種々のセンサが内蔵されてきている。特に、GPS(Global Positioning System)センサは一般的であって、衛星からの測位電波を受信することによって、その無線通信端末の現在位置を測位することができる。これによって、現在位置を精度高く特定することができ、周辺地域情報を様々な観点から検索することができる。但し、GPSセンサは、衛星からの測位電波を受信する必要があるために、主に屋外での測位に限られる。
一方で、屋内では、無線LAN(Local Area Network)やセルラ通信ネットワークを介して、以下の3つの方式が主に用いられている(例えば非特許文献1、2参照)。
「複数基地局測位方式」:複数の周辺基地局からの通信電波に基づく測位
「ハイブリッド測位方式」:GPS測位方式+複数基地局測位方式
「セルベース測位方式」:接続先基地局の位置を、現在位置とする測位
屋内で測位可能なこれら測位方式によれば、緯度及び経度は推定できるものの、高度までは推定できなかったり、推定できても誤差が大きくなる。
高度を推定するためには、GPSセンサの他、「気圧センサ」が用いられる。無線通信端末に内蔵された気圧センサを用いて、当該無線通信端末の等高(海抜(シーレベル)からの高さ)を測位することができる(例えば特許文献2、3参照)。この高度は、例えば登山の際における現在位置の等高線の確認に用いることができる。
また、高度が既知である基準用無線センサ端末の気圧値を基準とし、気圧センサを搭載し且つ高度が未知である無線センサ端末の高度を推定する技術もある(例えば特許文献4参照)。この技術によれば、フロアレベルが既知の基準用無線センサ端末を配置して、当該端末の気圧を基準とすることによって、フロアレベルが未知の無線センサ端末のフロアレベルを推定することができる。
更に、気圧センサを搭載した無線通信端末を所持したユーザについて、歩行中の気圧値の変化量から、ユーザの歩行経路における高度差を算出する技術もある(例えば特許文献1参照)。
特開2013−255608号公報 特開2013−231634号公報 特開2013−214191号公報 特開2013−002933号公報
服部武、藤岡雅宣編著「ワイヤレス・ブロードバンド教科書−3.5G/次世代モバイル編−」、インプレスR&D、2007年7月21日、第1版第3冊発行、p.56〜61 Sirin Tekinay、「Next generation wireless networks」、p.143〜
高層ビルが建ち並ぶ都会のような場所で現実的に必要となる位置サービスとしては、ユーザが屋内に位置するフロアレベル(階数)が重要となる。気圧センサを用いた場合、前述したように、海抜(シーレベル)に対する絶対高度を推定することはできる。しかしながら、例えば高度100mであっても、海辺に建つ高層ビルの上層階なのか?、又は、山の麓なのか?を推定することは難しい。特に特許文献2及び3によれば、推定できる端末位置の高度は、絶対高度であって、フロアレベルではない。
また、気圧値は、同じ場所であっても、日々刻々と変動する。そのために、気圧値のみから高度を算出しようとすると、天候(例えば晴天の日と台風の日)によって大きく変動する。更に、気象データベースから所定日時の所定場所における気圧値を取得することも可能であるが、無線通信端末の気圧センサに個体差がある場合、同じ場所、同じ時刻であっても観測される気圧値に差が生じるため、誤差が生じる。
更に、特許文献4によれば、基準用無線センサ端末からの無線センサ端末までの距離が大きくなるほど、気圧の変化量が増える。その推定精度を保つためには、数多くの基準用無線センサ端末を遍く配置する必要がある。そのように考えると、日本全国どこでも、無線通信端末の高度を推定することまではできない。
更に、特許文献1によれば、ユーザの歩行経路における高度差は、相対的な差であり、フロアレベルまでも推定することはできない。
そこで、本発明は、気圧センサを搭載した無線通信端末によって観測された気圧値を用いて、当該無線通信端末だけでなく、気圧センサを搭載しない無線通信端末の滞在階数(フロアレベル)も推定する管理装置、プログラム、システム及び方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、気圧センサを搭載した第1の無線通信端末から、第1の電磁波情報及び気圧値を収集すると共に、気圧センサを搭載しない第2の無線通信端末から、第2の電磁波情報を収集する管理装置であって、
第1の無線通信端末について、当該気圧値の代表値を、地上レベル(グランドレベル)の基準気圧値とする基準気圧値決定手段と、
第1の無線通信端末から受信した気圧値から、当該基準気圧値をベースとして、当該無線通信端末が存在する滞在階数(フロアレベル)を推定する滞在階数推定手段と、
第1の無線通信端末について、推定された滞在階数を、第1の電磁波情報と紐付けて記憶する滞在階数情報蓄積手段と、
第2の無線通信端末について、第2の電磁波情報をキーとして、滞在階数情報蓄積手段を用いて滞在階数を検索する滞在階数検索手段と
を有することを特徴とする。
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
電磁波情報は、
当該無線通信端末の通信インタフェースにおける基地局識別子及び/若しくは受信電力、並びに/又は、磁場(地磁気)センサを搭載した無線通信端末における磁場(地磁気)情報であることも好ましい。
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
GPS(Global Positioning System)センサを搭載した無線通信端末から、測位可否情報を更に受信し、
基準気圧値決定手段は、「測位可」の無線通信端末から受信した気圧値の最大値、平均値又は中央値を当該気圧値の代表値とすることも好ましい。
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
GPSセンサを搭載した無線通信端末から、衛星捕捉数及び/又はSNR(Signal-Noise Ratio)を更に受信し、
基準気圧値決定手段は、衛星補足数及び/又はSNRが所定閾値以上となる無線通信端末から受信した気圧値の最大値、平均値又は中央値を当該気圧値の代表値とすることも好ましい。
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
照度センサを搭載した無線通信端末から、照度値を更に受信し、
基準気圧値決定手段は、照度値が所定閾値以上となる無線通信端末から受信した気圧値の最大値、平均値又は中央値を当該気圧値の代表値とすることも好ましい。
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
無線通信端末から、気圧値の観測日時を更に受信し、
基準気圧値決定手段は、所定日時範囲毎に基準気圧値を決定し、
滞在階数推定手段は、無線通信端末から受信した気圧値の観測日時を含む所定日時範囲で決定された基準気圧値を用いて滞在階数を推定することも好ましい。
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
無線通信端末から、気圧値の観測位置を更に受信し、
基準気圧値決定手段は、所定地域範囲毎に基準気圧値を決定し、
滞在階数推定手段は、無線通信端末から受信した気圧値の観測位置を含む所定地域範囲で決定された基準気圧値を用いて滞在階数を推定することも好ましい。
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
気候データベース又は無線通信端末から、当該所定地域範囲における気温を予め受信し、
滞在階数推定手段は、基準気圧値及び気温をベースとして、当該無線通信端末が存在する滞在階数を推定することも好ましい。
本発明によれば、気圧センサを搭載した第1の無線通信端末から、第1の電磁波情報及び気圧値を収集すると共に、気圧センサを搭載しない第2の無線通信端末から、第2の電磁波情報を収集する装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
第1の無線通信端末について、当該気圧値の代表値を、地上レベル(グランドレベル)の基準気圧値とする基準気圧値決定手段と、
第1の無線通信端末から受信した気圧値から、当該基準気圧値をベースとして、当該無線通信端末が存在する滞在階数(フロアレベル)を推定する滞在階数推定手段と、
第1の無線通信端末について、推定された滞在階数を、第1の電磁波情報と紐付けて記憶する滞在階数情報蓄積手段と、
第2の無線通信端末について、第2の電磁波情報をキーとして、滞在階数情報蓄積手段を用いて滞在階数を検索する滞在階数検索手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
本発明によれば、
気圧センサを搭載した第1の無線通信端末と、
気圧センサを搭載しない第2の無線通信端末と、
第1の無線通信端末から第1の電磁波情報及び滞在階数(フロアレベル)を収集すると共に、第2の無線通信端末から第2の電磁波情報を収集する管理装置と
を有するシステムであって、
第1の無線通信端末は、
前記気圧センサによって計測された気圧値の代表値を、地上レベル(グランドレベル)の基準気圧値とする基準気圧値決定手段と、
現在の気圧値から、当該基準気圧値をベースとして、当該無線通信端末が存在する滞在階数を推定し、当該滞在階数及び第1の電磁波情報を管理装置へ送信する滞在階数推定手段とを有し、
管理装置は、
第1の無線通信端末から受信した滞在階数を、第1の電磁波情報と紐付けて記憶する滞在階数情報蓄積手段と、
第2の無線通信端末から、第2の電磁波情報をキーとして受信し、滞在階数情報蓄積手段を用いて滞在階数を検索し、当該滞在階数を第2の無線通信端末へ返信する滞在階数検索手段と
を有することを特徴とする。
本発明によれば、気圧センサを搭載した第1の無線通信端末から、第1の電磁波情報及び気圧値を収集すると共に、気圧センサを搭載しない第2の無線通信端末から、第2の電磁波情報を収集する管理装置のフロアレベル推定方法であって、
管理装置は、
第1の無線通信端末について、当該気圧値の代表値を、地上レベル(グランドレベル)の基準気圧値とする第1のステップと、
第1の無線通信端末から受信した気圧値から、当該基準気圧値をベースとして、当該無線通信端末が存在する滞在階数(フロアレベル)を推定する第2のステップと、
第1の無線通信端末について、推定された滞在階数を、第1の電磁波情報と紐付けて記憶する第3のステップと、
第2の無線通信端末について、第2の電磁波情報をキーとして、第3のステップによって記憶された滞在階数を検索する第4のステップと
実行することを特徴とする。
本発明によれば、気圧センサを搭載した第1の無線通信端末と、気圧センサを搭載しない第2の無線通信端末と、第1の無線通信端末から第1の電磁波情報及びフロアレベルを収集すると共に、第2の無線通信端末から第2の電磁波情報を収集する管理装置とを有するシステムにおけるフロアレベル推定方法であって、
第1の無線通信端末が、観測した気圧値の代表値を、地上レベル(グランドレベル)の基準気圧値とする第1のステップと、
第1の無線通信端末が、気圧値から、当該基準気圧値をベースとして、第1の無線通信端末が存在する滞在階数を推定する第2のステップと、
第1の無線通信端末が、推定した滞在階数と第1の電磁波情報とを、前記管理装置へ送信する第3のステップと、
前記管理装置が、第1の無線通信端末から受信した滞在階数と第1の電磁波情報とを紐付けて記録する第4のステップと、
前記管理装置が、第2の無線通信端末から第2の電磁波情報をキーとして受信し、第4のステップによって記録された滞在階数を検索し、当該滞在階数を第2の無線通信端末へ返信する第5のステップと
を有することを特徴とする。
本発明の管理装置、プログラム、システム及び方法によれば、気圧センサを搭載した無線通信端末によって観測された気圧値を用いて、当該無線通信端末だけでなく、気圧センサを搭載しない無線通信端末の滞在階数(フロアレベル)も推定することができる。
気圧値に対するフロアレベルを表す説明図である。 本発明における管理装置及び無線通信端末の第1の機能構成図である。 管理装置が、無線通信端末から受信したデータの例を表す説明図である。 滞在階数情報蓄積部によって記憶された滞在階数と電磁波情報との対応付けを表す説明図である。 本発明における管理装置及び無線通信端末の第2の機能構成図である。
以下では、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、気圧値に対するフロアレベルを表す説明図である。
図1によれば、無線通信端末を所持したユーザが、屋外や、ビルの各フロアに位置している。ここで、無線通信端末の一部には、気圧センサが搭載されている。また、スマートフォンのような無線通信端末によれば、GPSセンサや地磁気センサ、照度センサ、気温センサも一般的に搭載されてきている。但し、GPSセンサについて、無線通信端末がビルや地下街のような屋内に位置する場合、携帯電話網の基地局とは通信可能であるが、GPS衛星からの測位電波を受信することはできない。
無線通信端末に搭載された気圧センサは、例えば所定単位時間毎に、その高度に応じた気圧値を電力値として出力する。高度が低いほど、気圧値は高く、逆に、高度が高いほど、気圧値は低い。そのために、同一ビル内にあっても、そのユーザが位置するフロアレベル(階数)によっては、気圧センサによって観測される気圧値は異なる。ビルの1階や屋外の地上で観測される気圧値は高く、ビルの高層階で観測させる気圧値は低い。
図2は、本発明における管理装置及び無線通信端末の第1の機能構成図である。
<管理装置1>
管理装置1は、気圧センサを搭載した第1の無線通信端末から、当該第1の無線通信端末の第1の電磁波情報及び気圧値を収集すると共に、気圧センサを搭載しない第2の無線通信端末から、当該第2の無線通信端末の第2の電磁波情報を収集する。図2によれば、管理装置1は、通信インタフェース10と、基準気圧値決定部11と、滞在階数推定部12と、滞在階数情報蓄積部13と、滞在階数検索部14と、基準気圧値送信部15とを有する。これら機能構成部は、装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。
[通信インタフェース10]
通信インタフェース10は、ネットワークを介して、無線通信端末2から「電磁波情報」を受信する。
図3は、管理装置が、無線通信端末から受信したデータの例を表す説明図である。ここでは、1レコードが1データを表す。
電磁波情報には、例えば以下のものがある。
・磁場(地磁気)情報(例えば全磁力、偏角、伏角)
・携帯電話通信システムにおける接続先基地局及び/又は周辺基地局の識別子と
それら基地局からの受信電力
・無線LANシステムにおける接続先基地局(アクセスポイント)及び/又は
周辺基地局の識別子と、それら基地局からの受信電力
また、通信インタフェース10は、気圧センサを搭載した無線通信端末2から、気圧値を更に受信する。また、無線通信端末2から、例えば以下のような情報を受信するものであってもよい。
・気圧センサを搭載した無線通信端末からの気圧値の観測日時、観測位置
・GPSセンサを搭載した無線通信端末からの測位可否情報
=捕捉衛星数、測位電波品質(例えばSNR)
・照度センサを搭載した無線通信端末からの照度値
尚、通信インタフェース10は、無線通信端末2から逐次にデータを受信することなく、多数のデータを予め収集した別のサーバから、所定のデータを受信するものであってもよい。
[基準気圧値決定部11]
基準気圧値決定部11は、気圧センサを搭載した第1の無線通信端末について、当該気圧値の代表値を、地上レベル(グランドレベル)の「基準気圧値」とする。気圧値の代表値は、気圧センサを搭載した無線通信端末2毎に、収集した気圧値の最大値、平均値又は中央値とする。
また、気圧センサを搭載した無線通信端末2から「測位可否情報」を受信した場合、「測位可」の気圧値のみを対象に、それら気圧値の最大値、平均値又は中央値を、代表値として算出するものであってもよい。代表値を算出する理由として、当該無線通信端末にとっての地上レベルの気圧値(基準気圧値)を検出することにある。即ち、GPSセンサによって「測位可」であるということは、屋外に位置する可能性が高い。勿論、ビルの高層階の窓際でGPS「測位可」となる場合もあるかもしれない。しかしながら、ビルの高層階の窓際における気圧値は、当該ビルの周囲の地上レベルの気圧値よりも低い。よって、例えば収集した気圧値の最大値を代表値とすることで、地上レベルの気圧値(基準気圧値)を得ることができる。
尚、他の実施形態として、気圧センサを搭載した無線通信端末2から受信した測位可否情報「測位可」に加えて、衛星補足数及び/又はSNRも受信することも好ましい。この場合、基準気圧値決定部11は、衛星補足数及び/又はSNRが所定閾値以上となる気圧値のみを対象に、それら気圧値の最大値、平均値又は中央値を、代表値として算出することができる。即ち、衛星補足数が多く、及び/又は、SNRが高い場合、当該無線通信端末2は確実に屋外に位置しているであろうと推測することができる。
衛星補足数>x個 & 最大SNR>ydB
x、y:所定閾値
ここでは、屋外にいるであろう無線通信端末における気圧値から、グラウンドレベルの気圧値を検出する。
更に、他の実施形態として、気圧センサを搭載した無線通信端末2から「照度値」を受信することも好ましい。この場合、基準気圧値決定部11は、照度値が所定閾値以上となる気圧値のみを対象に、それら気圧値の最大値、平均値又は中央値を、代表値として算出することができる。即ち、日中に限られるものの、例えば照度が10,000ルクス以上であれば、屋外に位置している可能性が非常に高いと推測することができる。
照度値>zルクス
z:所定閾値
図3のデータ1によれば、無線通信端末識別子"123456789"の基準気圧値を導出することができる。つまり、この例によれば、無線通信端末識別子"123456789"の基準気圧値は、1011.1hPaとなる。
更に、気圧センサを搭載した無線通信端末2から「気圧値の観測日時」を受信することも好ましい。この場合、基準気圧値決定部11は、所定日時範囲毎に基準気圧値を決定することができる。日時範囲は、例えば1時間毎、である。
更に、気圧センサを搭載した無線通信端末2から「気圧値の観測位置情報」を受信することも好ましい。基準気圧値決定部11は、所定地域範囲毎に基準気圧を決定することができる。地域範囲は、例えば1/10地域メッシュ(約100m四方)である。
基準気圧値は、その所定無線通信端末及び所定地域範囲及び所定時間範囲の組毎における、地上レベルの気圧値を意味する。このように、基準気圧値決定部11は、所定無線通信端末及び所定地域範囲及び所定時間範囲の組毎に、時々刻々と基準気圧値を、滞在階数推定部12へ出力する。
[滞在階数推定部12]
滞在階数推定部12は、気圧センサを搭載した第1の無線通信端末から受信した気圧値から、当該基準気圧値をベースとして、当該無線通信端末が存在する滞在階数(フロアレベル)を推定する。フロアレベルを、地上からの高度h(m:メートル)として算出する場合、例えば以下の式を用いる。
h=(((Pb/P)(1/5.257)−1)×(Temp+273.15))/0.0065
Pb:基準気圧値
Temp:気温
フロアレベル=h/階高
階高:例えば4m
気温は、ネットワークに接続された外部の気候データベース3、又は、気温センサを搭載した無線通信端末から、当該所定地域範囲及び日時範囲における気温を、リアルタイムに予め取得しておくものであってもよい。気温センサを搭載した無線通信端末としては、前述した気圧センサを搭載した第1の無線通信端末2又は気圧センサを搭載しない第2の無線通信端末2に限られず、その他の別途の無線通信端末であってもよい。管理装置1が、気温を取得できない場合、季節に応じて予め設定した所定気温(例えば5月であれば15度)を用いてもよい。
図3のデータ3によれば、滞在階数を推定する際、上述のように1011.1hPaと設定された、同じ端末識別子の基準気圧値を用いる。図3では、温度も18度と取得できている。これらを用いて、以下のように算出される。
h=55.835m
フロアレベル=h/4=13.959≒14階
このように、滞在階数推定部12は、基準気圧値及び気温をベースとして、当該無線通信端末が存在する滞在階数を推定する。
気圧センサを搭載した無線通信端末2から「気圧値の観測日時」を受信した場合、滞在階数推定部12は、対象とする気圧値が観測された日時より、所定範囲内の日時範囲で算出された基準気圧値のみを用いることができる。例えば、気圧値観測日時の3時間以内にその日時範囲を持つ基準気圧があれば、滞在階数を推定する。
また、気圧センサを搭載した無線通信端末2から「気圧値の観測位置情報」を受信した場合、滞在階数推定部12は、対象とする気圧値が観測された位置より、所定範囲内の地域範囲で算出された基準気圧値のみを用いることができる。例えば、気圧値観測位置から500m以内にその地域範囲を持つ基準気圧があれば、滞在階数を推定する。
[滞在階数情報蓄積部13]
滞在階数情報蓄積部13は、気圧センサを搭載した第1の無線通信端末について、推定された滞在階数を、第1の電磁波情報と紐付けて記憶する。
図4は、滞在階数情報蓄積部によって記憶された滞在階数と電磁波情報との対応付けを表す説明図である。
同一の電磁波情報に対して複数のフロアレベルが得られる場合は、最新のフロアレベルのみを採用してもよいし、指数平滑移動平均等で処理をしてもよい。
[滞在階数検索部14]
滞在階数検索部14は、気圧センサを搭載していない第2の無線通信端末について、第2の電磁波情報をキーとして、滞在階数情報蓄積手段を用いて滞在階数を検索する。
例えば図3のデータ2によれば、無線通信端末識別子"234567890"は、気圧センサを搭載していないために、気圧値は空となっている。
このとき、無線通信端末識別子"234567890"のフロアレベルを推定すべく、データ2の電磁波情報、例えば「全磁力、偏角、伏角」を用いて、滞在階数情報蓄積部13を検索し、フロアレベル13.959≒14階を得る。
滞在階数検索部14は、推定したフロアレベルを、アプリケーションへ出力する。アプリケーションは、当該無線通信端末が位置するフロアレベルに応じたサービスを提供することができる。
[基準気圧値送信部15]
基準気圧値送信部15は、当該無線通信端末の位置する所定地域範囲における基準気圧値を、当該無線通信端末2へ送信する。これは、無線通信端末2側で、当該無線通信端末の滞在階数を推定する場合に用いられる。
<無線通信端末2>
図2によれば、無線通信端末2は、通信インタフェース200と、気圧センサ201と、GPSセンサ202と、気温センサ203と、地磁気センサ204と、照度センサ205とを有する。また、気圧センサを搭載する無線通信端末2は、データ送信部21と、基準気圧値受信部22と、滞在階数推定部23とを更に有する。これら機能構成部は、無線通信端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。
データ送信部21は、気圧センサ201、GPSセンサ202、気温センサ203、地磁気センサ204及び照度センサ205によって観測された環境データを、管理装置1へ送信する。その環境データには、当該無線通信端末2自身の位置情報も含む。この位置情報は、当該無線通信端末2の地域範囲を特定できればよく、GPSの緯度経度に限られず、複数基地局測位情報等であってもよいし、接続先基地局及び/又は周辺基地局の識別子を位置情報としてもよい。
基準気圧値受信部22は、オプション的なものであって、当該無線通信端末2の位置における地上レベルの基準気圧値を受信する。受信した基準気圧値は、滞在階数推定部23へ出力される。
滞在階数推定部23は、自らの観測した気圧値から、基準気圧値をベースとしたフロアレベルを推定する(管理装置1の滞在階数推定部12と同様)。推定されたフロアレベルは、アプリケーションへ出力される。アプリケーションは、当該無線通信端末が位置するフロアレベルに応じたサービスを提供することができる。
尚、図2によれば、本発明は、気圧センサを搭載した第1の無線通信端末と、気圧値を収集する管理装置と、気圧センサを搭載していない第2の無線通信端末とを有するシステムとして理解することができる。また、本発明は、図2における無線通信端末と管理装置との間の通信によって、以下のような基準気圧値決定方法としても理解できる。
(S1)第1の無線通信端末が、当該気圧センサによって観測した気圧値及び第1の電磁波情報を、管理装置1へ送信する。管理装置1は、第1の無線通信端末について、当該気圧値の代表値を、地上レベル(グランドレベル)の基準気圧値とする。
(S2)管理装置は、第1の無線通信端末から受信した気圧値から、当該基準気圧値をベースとして、当該無線通信端末が存在する滞在階数(フロアレベル)を推定する。
(S3)管理装置は、第1の無線通信端末について、推定された滞在階数を、第1の電磁波情報と紐付けて滞在階数情報蓄積部に記憶する。
(S4)自らのフロアを推定したい第2の無線通信端末又は他の装置は、第2の電磁波情報をキーとして、管理装置へ送信する。管理装置は、滞在階数情報蓄積部を用いて滞在階数を検索する。検索された滞在階数は、そのキーの送信元へ返信される。
図5は、本発明における管理装置及び無線通信端末の第2の機能構成図である。
図5によれば、管理装置1の基準気圧値決定部11及び滞在階数推定部12の機能を、気圧センサを搭載した第1の無線通信端末2側に移行させたものである。この場合、無線通信端末の通信インタフェース200からは、推定されたフロアレベルと、その関連する電磁波情報が、管理装置1へ向かって送信されることとなる。管理装置1は、当該情報の組を、滞在階数情報蓄積部13に蓄積する。
図5における無線通信端末2と管理装置1との間の通信によって、以下のような滞在フロア決定方法としても理解できる。
(S1)第1の無線通信端末が、当該気圧センサによって観測した気圧値の代表値を、地上レベル(グランドレベル)の基準気圧値とする。
(S2)第1の無線通信端末は、現在の気圧値から、当該基準気圧値をベースとして、当該第1の無線通信端末が存在する滞在階数(フロアレベル)を推定する。
(S3)第1の無線通信端末は、推定された滞在階数と、当該第1の無線通信端末の第1の電磁波情報と紐付けて、管理装置へ送信する。管理装置は、受信した滞在階数及び第1の電磁波情報を対応付けて記憶する。
(S4)第2の無線通信端末は、第2の電磁波情報をキーとして、管理装置へ送信する。管理装置は、滞在階数情報蓄積部を用いて滞在階数を検索する。検索された滞在階数は、第2の無線通信端末へ返信される。
以上、詳細に説明したように、本発明の管理装置、プログラム、システム及び方法によれば、気圧センサを搭載した無線通信端末によって観測された気圧値を用いて、当該無線通信端末だけでなく、気圧センサを搭載しない無線通信端末の滞在階数(フロアレベル)も推定することができる。本発明によれば、多くの専用装置を各地に配置することなく、ユーザ位置のフロアレベルを推定することができる。これによって、ビル内のフロアレベルに応じた位置サービスを提供することができる。
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
1 管理装置
10 通信インタフェース
11 基準気圧値決定部
12 滞在階数推定部
13 滞在階数情報蓄積部
14 滞在階数検索部
15 基準気圧値送信部
2 無線通信端末
200 通信インタフェース
201 気圧センサ
202 GPSセンサ
203 気温センサ
204 地磁気センサ
205 照度センサ
21 データ送信部
22 基準気圧値受信部
23 滞在階数推定部
3 気候データベース

Claims (12)

  1. 気圧センサを搭載した第1の無線通信端末から、第1の電磁波情報及び気圧値を収集すると共に、気圧センサを搭載しない第2の無線通信端末から、第2の電磁波情報を収集する管理装置であって、
    第1の無線通信端末について、当該気圧値の代表値を、地上レベル(グランドレベル)の基準気圧値とする基準気圧値決定手段と、
    第1の無線通信端末から受信した気圧値から、当該基準気圧値をベースとして、当該無線通信端末が存在する滞在階数(フロアレベル)を推定する滞在階数推定手段と、
    第1の無線通信端末について、推定された滞在階数を、第1の電磁波情報と紐付けて記憶する滞在階数情報蓄積手段と、
    第2の無線通信端末について、第2の電磁波情報をキーとして、前記滞在階数情報蓄積手段を用いて滞在階数を検索する滞在階数検索手段と
    を有することを特徴とする管理装置。
  2. 前記電磁波情報は、
    当該無線通信端末の通信インタフェースにおける基地局識別子及び/若しくは受信電力、並びに/又は、磁場(地磁気)センサを搭載した無線通信端末における磁場(地磁気)情報であることを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
  3. GPS(Global Positioning System)センサを搭載した無線通信端末から、測位可否情報を更に受信し、
    前記基準気圧値決定手段は、「測位可」の無線通信端末から受信した気圧値の最大値、平均値又は中央値を当該気圧値の代表値とする
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の管理装置。
  4. GPSセンサを搭載した無線通信端末から、衛星補足数及び/又はSNR(Signal-Noise Ratio)を更に受信し、
    前記基準気圧値決定手段は、衛星補足数及び/又はSNRが所定閾値以上となる無線通信端末から受信した気圧値の最大値、平均値又は中央値を当該気圧値の代表値とする
    ことを特徴とする請求項3に記載の管理装置。
  5. 照度センサを搭載した無線通信端末から、照度値を更に受信し、
    前記基準気圧値決定手段は、照度値が所定閾値以上となる無線通信端末から受信した気圧値の最大値、平均値又は中央値を当該気圧値の代表値とする
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の管理装置。
  6. 前記無線通信端末から、気圧値の観測日時を更に受信し、
    前記基準気圧値決定手段は、所定日時範囲毎に基準気圧値を決定し、
    前記滞在階数推定手段は、無線通信端末から受信した気圧値の観測日時を含む所定日時範囲で決定された前記基準気圧値を用いて滞在階数を推定する
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の管理装置。
  7. 前記無線通信端末から、気圧値の観測位置を更に受信し、
    前記基準気圧値決定手段は、所定地域範囲毎に基準気圧値を決定し、
    前記滞在階数推定手段は、無線通信端末から受信した気圧値の観測位置を含む所定地域範囲で決定された基準気圧値を用いて滞在階数を推定する
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の管理装置。
  8. 気候データベース又は前記無線通信端末から、当該所定地域範囲における気温を予め受信し、
    前記滞在階数推定手段は、前記基準気圧値及び前記気温をベースとして、当該無線通信端末が存在する滞在階数を推定する
    ことを特徴とする請求項7に記載の管理装置。
  9. 気圧センサを搭載した第1の無線通信端末から、第1の電磁波情報及び気圧値を収集すると共に、気圧センサを搭載しない第2の無線通信端末から、第2の電磁波情報を収集する装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
    第1の無線通信端末について、当該気圧値の代表値を、地上レベル(グランドレベル)の基準気圧値とする基準気圧値決定手段と、
    第1の無線通信端末から受信した気圧値から、当該基準気圧値をベースとして、当該無線通信端末が存在する滞在階数(フロアレベル)を推定する滞在階数推定手段と、
    第1の無線通信端末について、推定された滞在階数を、第1の電磁波情報と紐付けて記憶する滞在階数情報蓄積手段と、
    第2の無線通信端末について、第2の電磁波情報をキーとして、前記滞在階数情報蓄積手段を用いて滞在階数を検索する滞在階数検索手段と
    してコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
  10. 気圧センサを搭載した第1の無線通信端末と、
    気圧センサを搭載しない第2の無線通信端末と、
    第1の無線通信端末から第1の電磁波情報及び滞在階数(フロアレベル)を収集すると共に、第2の無線通信端末から第2の電磁波情報を収集する管理装置と
    を有するシステムであって、
    第1の無線通信端末は、
    前記気圧センサによって計測された気圧値の代表値を、地上レベル(グランドレベル)の基準気圧値とする基準気圧値決定手段と、
    現在の気圧値から、当該基準気圧値をベースとして、当該無線通信端末が存在する滞在階数を推定し、当該滞在階数及び第1の電磁波情報を前記管理装置へ送信する滞在階数推定手段とを有し、
    前記管理装置は、
    第1の無線通信端末から受信した滞在階数を、第1の電磁波情報と紐付けて記憶する滞在階数情報蓄積手段と、
    第2の無線通信端末から、第2の電磁波情報をキーとして受信し、前記滞在階数情報蓄積手段を用いて滞在階数を検索し、当該滞在階数を第2の無線通信端末へ返信する滞在階数検索手段と
    を有することを特徴とするシステム。
  11. 気圧センサを搭載した第1の無線通信端末から、第1の電磁波情報及び気圧値を収集すると共に、気圧センサを搭載しない第2の無線通信端末から、第2の電磁波情報を収集する管理装置のフロアレベル推定方法であって、
    前記管理装置は、
    第1の無線通信端末について、当該気圧値の代表値を、地上レベル(グランドレベル)の基準気圧値とする第1のステップと、
    第1の無線通信端末から受信した気圧値から、当該基準気圧値をベースとして、当該無線通信端末が存在する滞在階数(フロアレベル)を推定する第2のステップと、
    第1の無線通信端末について、推定された滞在階数を、第1の電磁波情報と紐付けて記憶する第3のステップと、
    第2の無線通信端末について、第2の電磁波情報をキーとして、第3のステップによって記憶された滞在階数を検索する第4のステップと
    実行することを特徴とする管理装置のフロアレベル推定方法。
  12. 気圧センサを搭載した第1の無線通信端末と、気圧センサを搭載しない第2の無線通信端末と、第1の無線通信端末から第1の電磁波情報及びフロアレベルを収集すると共に、第2の無線通信端末から第2の電磁波情報を収集する管理装置とを有するシステムにおけるフロアレベル推定方法であって、
    第1の無線通信端末が、観測した気圧値の代表値を、地上レベル(グランドレベル)の基準気圧値とする第1のステップと、
    第1の無線通信端末が、気圧値から、当該基準気圧値をベースとして、第1の無線通信端末が存在する滞在階数(フロアレベル)を推定する第2のステップと、
    第1の無線通信端末が、推定した滞在階数と第1の電磁波情報とを、前記管理装置へ送信する第3のステップと、
    前記管理装置が、第1の無線通信端末から受信した滞在階数と第1の電磁波情報とを紐付けて記録する第4のステップと、
    前記管理装置が、第2の無線通信端末から第2の電磁波情報をキーとして受信し、第4のステップによって記録された滞在階数を検索し、当該滞在階数を第2の無線通信端末へ返信する第5のステップと
    を有することを特徴とするフロアレベル推定方法。
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