JP2016200109A - 微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システム、内燃機関の排気ガス浄化システム、微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断方法、及び内燃機関の排気ガス浄化方法 - Google Patents
微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システム、内燃機関の排気ガス浄化システム、微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断方法、及び内燃機関の排気ガス浄化方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】内燃機関の排気通路に配設され、ウォールフロータイプのフィルタで構成される微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システムにおいて、内燃機関の運転中においても、プラグアッシュとウォールアッシュの各々の堆積量を推定できて、微粒子捕集装置の洗浄処置の必要性を正確に検知して、この洗浄処置の実施を車両の運転者に促すことができる、微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システム、及び微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断方法を提供する。【解決手段】微粒子捕集装置2のPM再生制御中における微粒子捕集装置2の内部温度分布からプラグアッシュPAの堆積量Vdpaを推定すると共に、PM再生直後の微粒子捕集装置2の前後差圧ΔPの計測値ΔPmからウォールアッシュWAの堆積量Vdwaを推定するように構成される。【選択図】図4
Description
本発明は、内燃機関の排気通路に配設され、ウォールフロータイプのフィルタで構成される微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システム、内燃機関の排気ガス浄化システム、微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断方法、及び内燃機関の排気ガス浄化方法に関する。
一般に、ディーゼルエンジン等の内燃機関では、排気ガスに含まれる微粒子状物質(Particulate Matter:PM、煤)を捕集除去する微粒子捕集装置を備えた排気ガス浄化装置を排気通路に設けている。
この微粒子捕集装置には捕集できるPMの量に上限があるため、一定量以上のPMが微粒子捕集装置に捕集されたときには、微粒子捕集装置を通過する排気ガスを昇温制御して、微粒子捕集装置に捕集されたPMを燃焼除去するPM再生制御を行っている。このPM再生制御を実施するか否かの判定は、すなわち、微粒子捕集装置へのPMの捕集量が一定量を超えたか否かの判定は、微粒子捕集装置の前後差圧(微粒子捕集装置の入口の圧力と出口の圧力の差)が一定差圧値を超えたか否かによって行われる場合が多い。
一方、車両の走行距離や走行時間が長くなるにつれて、排気ガスに含まれ、PMとは別でエンジンオイルの成分に起因するアッシュ(灰性状物質)が微粒子捕集装置に堆積していく。このアッシュを分解して除去するには、この分解温度が1000℃以上であるため、分解するためには1000℃以上の高熱の環境が必要となるため、600℃程度に昇温した排気ガスを微粒子捕集装置に通過させて微粒子状物質を燃焼除去させる通常のPM再生制御では、微粒子捕集装置に堆積したアッシュを除去することができず、アッシュは微粒子捕集装置に堆積し続ける。
微粒子捕集装置の前後差圧は、微粒子捕集装置へのPMの捕集量だけでなく、微粒子捕集装置へのアッシュの堆積量によっても大きくなる。したがって、微粒子捕集装置のPM再生制御の実施可否は微粒子捕集装置の前後差圧により判定しているために、微粒子捕集装置にアッシュが堆積しているときには、その堆積量が多くなるにつれて微粒子捕集装置の前後差圧が大きくなって、微粒子捕集装置の予め設定された前後差圧に対応する捕集量よりも少ないPM捕集量でPM再生制御を行う可能性があり、言い換えれば、PM再生制御の実施時期が早まる可能性があり、PM再生制御の実施回数が多くなってしまい、燃料消費量の悪化原因となる可能性がある。
そのため、従来では、車両の定期点検時等に、微粒子捕集装置へのアッシュの堆積量が一定量を超えたか否かの診断、すなわち、微粒子捕集装置の前後差圧に対するアッシュによる影響の有無の診断を行い、この診断結果に基づいて、微粒子捕集装置の洗浄を行い、アッシュを除去していた。
しかしながら、車両の走行距離や走行時間が長いときには、車両の定期点検の実施時期前に、微粒子捕集装置に大量のアッシュが堆積して微粒子捕集装置の洗浄を行う必要が生じる場合も考えられる。従来では、車両の定期点検時以外に、上記の微粒子捕集装置の前後差圧に対するアッシュ量の診断を行っておらず、また走行中の明確な診断方法も無かったため、アッシュの堆積量が多くなっても、微粒子捕集装置の洗浄処置を車両の運転者に促すことができず、燃料消費量の悪化を防止することができないでいた。
この微粒子捕集装置は、一般的に、多孔質のセラミックのハニカムのセル(チャンネル)の入口と出口を交互に目封じしたモノリスハニカム型ウォールフロータイプのフィルタ等で形成され、排気ガスに含まれるPMとアッシュは、この多孔質のセラミックの壁で捕集される。なお、この壁の部分に、白金や酸化セリウム等の酸化触媒やPM酸化触媒を担持する場合が多い。
このモノリスハニカム型ウォールフロータイプのフィルタに堆積されるアッシュは、堆積場所によって、プラグアッシュとウォ−ルアッシュの2種類に大別される。図6に示すように、プラグアッシュPAは、出口側を目封じした各セル(インレット側の各セル)10aの下流側の目封じ部分10aaに堆積して、各セル10aの一端側を閉塞させて、この閉塞分に相当する面積分だけ、微粒子捕集装置2の各セル10a、10bを仕切るPM捕集用の壁10c(10ca、10cb、10cc)の面積(PM捕集面積)を減少させる。このプラグアッシュPAは、煤捕集壁のガス透過時の抵抗への影響はないが、PM捕集面積を減少させるため、微粒子捕集装置10における圧力損失を大幅に上昇させるので、その前後差圧を大幅に上昇させてしまうこととなる。
一方、図7に示すように、ウォールアッシュWAは、PM捕集用の壁10cの表面に一様に堆積して形成される層状のアッシュである。このウォールアッシュWAは、PM捕集面積には影響しないが、PMの堆積量が少ないときには、アッシュ層に相当する分だけ、煤捕集壁のガス透過時の抵抗が多くなり圧力損失を上昇させるが、PMの堆積量が多いときには、アッシュ層により深層濾過が起こらなくなるので、これに伴う圧力損失の上昇を緩和させる。なお、実際には、図8に示すように、各セルにプラグアッシュPAとウォールアッシュWAが両方とも混在して堆積する。
また、これに関連して、例えば、排ガス中に含まれる灰分が排ガス浄化フィルタの壁面に堆積するのか底部に堆積するのかを、自然再生か強制再生かに基づいて、あるいは、フィルタの入口温度、ベッド温度、PM堆積量に基づいて判定して、壁面に堆積する灰分による圧力損失影響代と底部に堆積する灰分による圧力損失影響代を算出し、これらの圧力損失影響代を検出したフィルタ前後差圧から常に除くことで、PMによる圧力損失を求めて、堆積するPM量を推定する排ガス浄化フィルタのパティキュレート堆積量検出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
本発明者は、上記の排ガス浄化フィルタのパティキュレート堆積量検出装置のようにアッシュの堆積時の条件から底部と壁面に堆積する灰分の量を推定するのではなく、プラグアッシュの堆積が進むと排気ガスが通過する部分が減少し、通過しない部分の温度上昇が見られないとの考察と、ウォールアッシュによる圧力損失はPM未堆積時とPM堆積時で異なることから、PM未堆積時即ちPM再生直後の圧力損失を用いることでウォールアッシュの堆積量の推定精度を向上できるとの考察とから、次のような知見を得た。
つまり、PM再生時の微粒子捕集装置の内部温度分布からプラグアッシュの堆積量及びその圧力損失分を推定すると共に、PM再生直後のPM未堆積時の前後差圧の変化からウォールアッシュの堆積量及びその圧力損失分を推定し、これらを考慮することで、微粒子捕集装置の前後差圧に対する各々のアッシュによる異なる影響を正確に診断することができ、微粒子捕集装置のPM堆積量を精度よく推定できる。
本発明は、上記のことを鑑みてなされたものであり、その目的は、内燃機関の排気通路に配設され、ウォールフロータイプのフィルタで構成される微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システムにおいて、内燃機関の運転中においても、プラグアッシュとウォールアッシュの各々の堆積量を推定できて、微粒子捕集装置の洗浄処置の必要性を正確に検知して、この洗浄処置の実施を車両の運転者に促すことができる、微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システム、及び微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断方法を提供することにある。
更には、微粒子捕集装置の前後差圧に対する各々のアッシュによる圧力損失の影響を除去することにより、前後差圧の計測値からPM堆積量を精度よく推定できて適切なタイミングでPM再生を行うことができて燃料消費量の悪化を防止することができる内燃機関の排気ガス浄化システム、及び内燃機関の排気ガス浄化方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システムは、内燃機関の排気通路に配設され、ウォールフロータイプのフィルタで構成される微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システムにおいて、前記微粒子捕集装置のPM再生制御中における前記微粒子捕集装置の内部温度分布からプラグアッシュの堆積量を推定すると共に、PM再生直後の前記微粒子捕集装置の前後差圧の計測値からウォールアッシュの堆積量を推定するように構成される。
この構成によれば、微粒子捕集装置の前後差圧に対するアッシュによる影響の診断を、プラグアッシュ、ウォールアッシュの2つの堆積状態の違いに基づく前後差圧への影響の違いを考慮して、PM再生中の内部温度分布を利用することによりプラグアッシュの堆積量を精度よく推定でき、また、プラグアッシュの堆積量の影響を考えた上でPM再生直後の前後差圧の計測値を利用することによりウォールアッシュの堆積量を精度よく推定することができる。
そして、PM再生中の内部温度分布の計測及びPM再生直後の前後差圧の計測というその時点での計測値と比較的簡単なアルゴリズムを用いているので、内燃機関の運転中においても、プラグアッシュとウォールアッシュの各々の堆積量を推定できる上に、アッシュの堆積量を累積計算で求める方法と異なり、累積的な推定誤差の拡大が無いので、推定精度を維持できる。
上記の微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システムにおいて、前記微粒子捕集装置の内部空間を、排気ガスの通過方向に、予め設定した設定数の領域に分割して、この分割した各領域の温度を計測する温度分布計測手段と、前記微粒子捕集装置のPM再生中に前記温度分布計測手段から得られる隣接する領域の温度差が、予め設定された温度差判定閾値以上である場合には、この隣接する領域における下流側の領域から前記微粒子捕集装置の出口の領域までをプラグアッシュが堆積している堆積領域としてプラグアッシュの堆積量を推定するプラグアッシュ堆積量推定手段と、このプラグアッシュ堆積量推定手段による堆積領域を、前記微粒子捕集装置の当初PM捕集領域から減算して、現状PM捕集領域を算出するPM捕集領域算出手段と、このPM捕集領域算出手段により算出した前記現状PM捕集領域に対する、PM捕集量がゼロの場合の基準前後差圧を、予め設定されたデータベースとエンジン運転状態に基づいて算出すると共に、PM再生直後に計測した前後差圧の計測値と前記基準前後差圧との比較により、前記微粒子捕集装置におけるウォールアッシュの堆積量を推定するウォールアッシュ堆積量推定手段とを備えて構成されると、温度分布計測手段、プラグアッシュ堆積量推定手段、PM捕集領域算出手段、及びウォールアッシュ堆積量推定手段という比較的簡単な手段で、アッシュの堆積量を容易に推定することができるようになる。
上記の微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システムにおいて、前記プラグアッシュ堆積量推定手段により推定されたプラグアッシュの堆積量が予め設定された第1警告堆積量を超えたとき、または、前記ウォールアッシュ堆積量推定手段により推定されたウォールアッシュの堆積量が予め設定された第2警告堆積量を超えたとき、警報を発する警報発生手段と、前記プラグアッシュの堆積量が予め設定された第1運転制限堆積量を超えたとき、または、前記ウォールアッシュの堆積量が予め設定された第2運転制限堆積量を超えたとき、内燃機関の制御装置に対して予め設定された運転状態制限モードに移行するよう指示するエンジン運転状態制限手段を備えて構成されると、警報発生手段により、警報で微粒子捕集装置の洗浄処置の実施を運転者に促すことができ、また、エンジン運転状態制限手段により、運転者が微粒子捕集装置の洗浄処置を怠ったときでも、内燃機関の運転状態を制限することにより、排気ガス浄化性能の悪化や燃費の悪化を回避することができる。
そして、上記の目的を達成するための本発明の内燃機関の排気ガス浄化システムは、上記の微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システムを備えた内燃機関の排気ガス浄化システムにおいて、前記推定されたプラグアッシュの堆積量による圧力損失分である第1圧力損失分を推定すると共に、前記推定されたウォールアッシュの堆積量による圧力損失分である第2圧力損失分を推定し、内燃機関の運転中における前記微粒子捕集装置のPM再生の開始時期の判定において、前記微粒子捕集装置の前後差圧の計測値から前記第1圧力損失分と前記第2圧力損失分を引き算した前後差圧の補正値が、予め設定又は算出される判定用前後差圧よりも大きくなったときにPM再生の開始時期であると判定するように構成される。
この構成によれば、微粒子捕集装置の前後差圧に対する各々のアッシュによる圧力損失の影響を除去することにより、前後差圧の計測値からPM堆積量を精度よく推定できて適切なタイミングでPM再生を行うことができるので、燃料消費量の悪化を防止することができる。
また、上記の目的を達成するための本発明の微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断方法は、内燃機関の排気通路に配設され、ウォールフロータイプのフィルタで構成される微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断方法において、前記微粒子捕集装置のPM再生制御中における前記微粒子捕集装置の内部温度分布からプラグアッシュの堆積量を推定すると共に、
PM再生直後の前記微粒子捕集装置の前後差圧の計測値からウォールアッシュの堆積量を推定することを特徴とする方法である。
PM再生直後の前記微粒子捕集装置の前後差圧の計測値からウォールアッシュの堆積量を推定することを特徴とする方法である。
上記の微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断方法において、前記微粒子捕集装置の内部空間を、排気ガスの通過方向に、予め設定した設定数の領域に分割して、この分割した各領域の温度を計測する温度分布計測ステップと、前記微粒子捕集装置のPM再生中に前記温度分布計測手段から得られる隣接する領域の温度差が、予め設定された温度差判定閾値以上である場合には、この隣接する領域における下流側の領域から前記微粒子捕集装置の出口の領域までをプラグアッシュが堆積している堆積領域としてプラグアッシュの堆積量を推定するプラグアッシュ堆積量推定ステップと、このプラグアッシュ堆積量推定ステップによる堆積領域を、前記微粒子捕集装置の当初PM捕集領域から減算して、現状PM捕集領域を算出するPM捕集領域算出ステップと、このPM捕集領域算出ステップにより算出した前記現状PM捕集領域に対する、PM捕集量がゼロの場合の基準前後差圧を、予め設定されたデータベースとエンジン運転状態に基づいて算出すると共に、PM再生直後に計測した前後差圧の計測値と前記基準前後差圧との比較により、前記微粒子捕集装置におけるウォールアッシュの堆積量を推定するウォールアッシュ堆積量推定ステップとを含む。
また、上記の微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断方法において、前記プラグアッシュ堆積量推定ステップで推定されたプラグアッシュの堆積量が予め設定された第1警告堆積量を超えたとき、または、前記ウォールアッシュ堆積量推定ステップにより推定されたウォールアッシュの堆積量が予め設定された第2警告堆積量を超えたとき、警報を発する警報発生ステップと、前記プラグアッシュの堆積量が予め設定された第1運転制限堆積量を超えたとき、または、前記ウォールアッシュの堆積量が予め設定された第2運転制限堆積量を超えたときに、内燃機関の制御装置に対して予め設定された運転状態制限モードに移行するよう指示するエンジン運転状態制限ステップを含む。
これらの方法によれば、上記の微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システムと同様の作用効果を奏することができる。
そして、上記の目的を達成するための本発明の内燃機関の排気ガス浄化システムは、上記の微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断方法を用いる内燃機関の排気ガス浄化方法において、前記推定されたプラグアッシュの堆積量による圧力損失分である第1圧力損失分を推定すると共に、前記推定されたウォールアッシュの堆積量による圧力損失分である第2圧力損失分を推定し、内燃機関の運転中における前記微粒子捕集装置のPM再生の開始時期の判定において、前記微粒子捕集装置の前後差圧の計測値から前記第1圧力損失分と前記第2圧力損失分を引き算した前後差圧の補正値が、予め設定又は算出される判定用前後差圧よりも大きくなったときにPM再生の開始時期であると判定することを特徴とする方法であり、上記の内燃機関の排気ガス浄化システムと同様の作用効果を奏することができる。
本発明の微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システム、及び微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断方法によれば、内燃機関の排気通路に配設され、ウォールフロータイプのフィルタで構成される微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システムにおいて、内燃機関の運転中においても、プラグアッシュとウォールアッシュの各々の堆積量を推定できて、微粒子捕集装置の洗浄処置の必要性を正確に検知して、この洗浄処置の実施を車両の運転者に促すことができる。
また、本発明の内燃機関の排気ガス浄化システム、及び内燃機関の排気ガス浄化方法によれば、微粒子捕集装置の前後差圧に対する各々のアッシュによる圧力損失の影響を除去することにより、前後差圧の計測値からPM堆積量を精度よく推定できて適切なタイミングでPM再生を行うことができて燃料消費量の悪化を防止することができる。
以下、本発明に係る実施の形態の微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システム、内燃機関の排気ガス浄化システム、微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断方法、及び内燃機関の排気ガス浄化方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明に係る実施の形態の内燃機関の排気ガス浄化システムは、本発明に係る実施の形態の微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システム1を備えて構成される。
図1に示すように、本発明に係る実施の形態の微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システム1が対象とする微粒子捕集装置2は、エンジン(内燃機関)(図示しない)の排気通路(図示しない)に配設され、その内部にウォールフロータイプのフィルタを備えて構成される。
図1の(b)に示すように、このタイプのフィルタは、多孔質のセラミックのハニカムのセル(チャンネル)の入口と出口を交互に目封じしたモノリスハニカム型ウォールフロータイプのフィルタであり、このフィルタの出口側を目封じした各セル(インレット側のセル:図面の上側のセル)10aと、入口側を目封じした各セル(アウトレット側のセル:図面の下側のセル)10bを仕切るPM捕集用の壁10ca、10cb、10cc(以下総称では10cとする)で、排気ガスGに含まれるPM(微粒子状物質)(図示しない)を捕集する。
また、この微粒子捕集装置2には、排気ガスGに含まれ、PMとは別でエンジンオイルの成分に起因するアッシュ(灰性状物質)が堆積していく。このアッシュは、プラグアッシュPAとウォールアッシュWAの2種類に大別される。プラグアッシュPAは、図6に示すように、インレット側の各セル10aの下流側の目封じ部分10aaに堆積するアッシュ(クロスハッチング部分)である。また、ウォールアッシュWAは、図7に示すように、PM捕集用の壁10cの表面に一様に堆積して形成されるアッシュ(アッシュ層:斜線部分)である。図8に、このプラグアッシュPAとウォールアッシュWAの両方の堆積状態を示す。
ここで、微粒子捕集装置2の前後差圧ΔPについて説明する。図9に示すように、微粒子捕集装置2では排気ガスGが通過するときに、微粒子捕集装置2の各所で5種類の圧力損失が発生する。
1つ目の圧力損失ΔP1は、微粒子捕集装置2のインレット側の各セル10aの入口から排気ガスGが微粒子捕集装置2内に流入するときに、その流路が縮小することに伴う抵抗である。2つ目の圧力損失ΔP2は、微粒子捕集装置2の各セル10a、10bを排気ガスGが通過するときに、各セル10a、10bの内壁から受ける摩擦抵抗である。3つ目の圧力損失ΔP3は、ウォールアッシュ層WA及びスート(煤)層(PM層)(図示しない)を排気ガスGが通過するときの通過抵抗である。4つ目の圧力損失ΔP4は、微粒子捕集装置2のPM捕集用の壁10cを排気ガスGが通過するときの通過抵抗である。5つ目の圧力損失ΔP5は、微粒子捕集装置2のアウトレット側の各セル10bの出口から排気ガスGが微粒子捕集装置2の外に流出するときに、その流路が拡大することに伴う抵抗である。
これらの圧力損失ΔP1〜ΔP5の総和が、微粒子捕集装置2の前後差圧(圧力損失)ΔP(=ΔP1+ΔP2+ΔP3+ΔP4+ΔP5)となる。
ここで、ΔPは微粒子捕集装置の前後差圧、μは摩擦係数、Qは排気ガスの流量、Vtrapは微粒子捕集装置の有効容積、αはチャンネル幅、wsは微粒子捕集装置における微粒子捕集壁の厚さ、koは微粒子捕集装置における微粒子捕集壁の透過係数、ksootは煤層の透過係数、wは捕捉微粒子層の厚さ、Fはストークス・カニンガム係数、Lはチャンネル長さであり、lnは対数計算を意味する。
上記のPM捕集時用の微粒子捕集装置の前後差圧の計算式の式(1)において、ksotは煤層のみの透過係数であるため、この式(1)で算出される前後差圧ΔPは、ウォールアッシュ層WAの影響を考慮していない値となる。そのため、微粒子捕集装置のアッシュによる前後差圧ΔPへの影響を考える際には、プラグアッシュPAの堆積によりVtrapが小さくなり、また、PM再生直後でPMが未堆積状態での前後差圧ΔPは、煤層の透過係数ksootがゼロとなると共に、ウォールアッシュ層WAの影響があるので、煤層の透過係数ksootを、ウォールアッシュ層WAに関係するアッシュ層の透過係数kashとする必要がある。
この式(1)の変形で考えると、プラグアッシュPAの堆積によりVtrapが小さくなるにつれて、微粒子捕集装置の前後差圧ΔPが大きくなり、また、ウォールアッシュWAの堆積によりkashが小さくなるので、微粒子捕集装置の前後差圧ΔPは大きくなる。
上記のことを踏まえて、この微粒子捕集装置2の前後差圧ΔPに対する、プラグアッシュPAによる圧力損失の影響について、微粒子捕集装置2へのプラグアッシュPAの堆積のみ考えると、排気ガスGがPM捕集用の壁10cの単位透過面積を通過するときの抵抗は変わらないが、プラグアッシュPAの分だけ(図1における、幅DX)、PM捕集用の壁10cの透過面積が小さくなり、微粒子捕集装置2全体でのPM捕集領域の容量であるPM捕集容量Vtrapが小さくなるので、排気ガスGがPM捕集用の壁10cを通過するときの三番目の圧力損失ΔP3のうちのプラグアッシュPAの堆積量による圧力損失分である第1圧力損失分は大きくなり、その分、前後差圧ΔPは大きくなる。
一方、微粒子捕集装置2の前後差圧ΔPに対する、ウォールアッシュWAによる圧力損失の影響については、微粒子捕集装置2のPM捕集用の壁10cにPMが捕集されていないときには、ウォールアッシュ層WAの分だけ、排気ガスGが透過するときの抵抗は大きくなるので、排気ガスGがPM捕集用の壁10cを通過するときの三番目の圧力損失ΔP3のうちのウォールアッシュWAの堆積量による圧力損失分である第2圧力損失分は大きくなり、その分、前後差圧ΔPは大きくなる。
ただし、微粒子捕集装置2による前後差圧ΔPの上昇は、PM捕集用の壁10cの表面空孔にPMが捕集されていくにつれて、ウォールアッシュ層WAによる深層濾過が起こらなくなるため、ウォールアッシュ層WAの堆積により緩和されるので、ウォールアッシュ層WAの堆積量Vdwaの推定に用いる前後差圧ΔPmとしては、このPMの堆積による影響を排除するために、PM再生直後のPM未堆積状態のウォールアッシュWAの堆積量Vdwaによる圧力損失分である第2圧力損失分を用いる必要がある。
上記を踏まえて、本願発明の実施の形態の微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システム1は、内燃機関の排気通路に配設され、ウォールフロータイプのフィルタで構成される微粒子捕集装置2のアッシュ堆積診断システムにおいて、微粒子捕集装置2のPM再生制御中における微粒子捕集装置2の内部温度分布からプラグアッシュPAの堆積量Vdpaを推定すると共に、PM再生直後の微粒子捕集装置2の前後差圧ΔPの計測値ΔPmからウォールアッシュWAの堆積量Vdwaを推定するように構成される。
また、本発明の微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システム1を制御する制御装置20(図示しない)を備える。この制御装置20は、例えば、エンジン全般の運転状態を制御するエンジンコントロールユニット(ECU)に組み込んで構成してもよいし、独立して設けてもよい。
そして、本発明の微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システム1では、図2に示すように、この制御装置20が、温度分布計測手段21、プラグアッシュ堆積量推定手段22、PM捕集領域算出手段23、ウォールアッシュ堆積量推定手段24、警報発生手段25、エンジン運転状態制限手段26を備えて構成される。
また、これに対応して、図3に示すように、本発明の微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断方法S20は、温度分布計測ステップS21、プラグアッシュ堆積量推定ステップS22、PM捕集領域算出ステップS23、ウォールアッシュ堆積量推定ステップS24、警報発生ステップS25、エンジン運転状態制限ステップS26を含んで構成される。
この温度分布計測手段21及び温度分布計測ステップS21は、図1に示すように、微粒子捕集装置2の内部空間を、排気ガスGの通過方向に、予め設定した設定数Xの領域(R(i):1≦i≦X、X≧2、好ましくはX=5〜10)に分割して、この分割した各領域Riの温度(T(i):1≦i≦X、X≧2)を温度センサ、熱電対等により計測して、微粒子捕集装置2の内部温度分布を得る手段及びステップである。この手段21及びステップS21により、PM再生中の内部温度分布を得ることができる。なお、各領域R(i)の温度T(i)は、例えば、微粒子捕集装置2の上部の温度Tu(i)の1箇所の温度を用いてもよいが、微粒子捕集装置2の上部の温度Tu(i)、中央の温度Tc(i)、下部の温度Td(i)等の平均値を用いてもよい。
プラグアッシュ堆積量推定手段22及びプラグアッシュ堆積量推定ステップS22は、は、図5に示すように、プラグアッシュPAが堆積している領域R(i+1)には、PM再生中のおける排気ガスGの熱が伝達されないので、昇温されないので、このことを利用して、PM再生中に微粒子捕集装置2の温度分布計測手段21及び温度分布計測ステップS21から得られる隣接する領域(R(i)、R(i+1))の温度差ΔTi=T(i)−T(i+1)が、予め設定された温度差判定閾値ΔTc以上である(ΔT(i)≧ΔTc)場合には、この隣接する領域(R(i)、R(i+1))における下流側の領域R(i+1)に、プラグアッシュPAの堆積により排気ガスGの熱が伝達されないとして、下流側の領域R(i+1)から微粒子捕集装置2の出口の領域R(x)までをプラグアッシュPAが堆積している堆積領域RpaとしてプラグアッシュPAの堆積量Vdpaを推定する手段及びステップである。この手段22及びステップS22により、PM再生中の内部温度分布からプラグアッシュPAの堆積領域Rpaを推定でき、また、堆積領域Rpaの数からプラグアッシュPAの堆積量Vdpaを推定できる。なお、このPM再生中の温度測定は、PM再生用の高温の排気ガスGにより微粒子捕集装置2が昇温した状態での内部温度分布を測定する必要があるので、PM再生の初期は好ましくなく、後半に行うことが好ましい。
また、微粒子捕集装置2の横断面を更に各領域に分割して、それぞれ長手方向に温度分布を測定することにより、その横断面の各領域におけるプラグアッシュPAの堆積領域Rpaを推定して、これを総合することにより、全体的なプラグアッシュPAの堆積領域Rpaを推定してもよいが、温度計測の数が膨大になるので、実験的に行った結果を踏まえて、代表的な領域の温度測定で代表させることが好ましい。
また、PM捕集領域算出手段23及びPM捕集領域算出ステップS23は、プラグアッシュ堆積量推定手段22及びプラグアッシュ堆積量推定ステップS22により堆積領域Rpaを、微粒子捕集装置2の当初PM捕集領域Rtから減算して、現状PM捕集領域R(i)=Rt−Rpaを算出する手段及びステップである。この手段23及びステップS23により、現状PM捕集領域R(i)とこれに対応する現状PM捕集容積Vtrapを算出できる。
また、ウォールアッシュ堆積量推定手段24及びウォールアッシュ堆積量推定ステップS24は、PM捕集領域算出手段23及びPM捕集領域算出ステップS23により算出した現状PM捕集領域R(i)、即ち、この現状PM捕集領域R(i)の現状PM捕集容積Vtrapに対する、PM捕集量がゼロの場合の基準前後差圧ΔPbaseを、予め設定されたデータベースとエンジン運転状態に基づいて算出すると共に、PM再生直後に計測した前後差圧ΔPの計測値ΔPmと基準前後差圧ΔPbaseとの比較により、微粒子捕集装置2におけるウォールアッシュWAの堆積量Vdwaを推定する手段及びステップである。この手段24及びステップS24により、PM再生直後の前後差圧ΔPの計測値ΔPmから容易にウォールアッシュWAの堆積量Vdwaを推定することができる。なお、PM再生直後に計測した前後差圧ΔPの計測値ΔPmと基準前後差圧ΔPbaseとウォールアッシュWAの堆積量Vdwaの関係は、あるいは、差圧差ΔPmb(=Pm−ΔPbase)とウォールアッシュWAの堆積量Vdwaの関係は、現状PM捕集容積Vtrapの変化に対応させて、実験などにより予めマップデータなどで設定しておき、この予め設定したマップデータと、現状PM捕集容積Vtrapと、エンジン運転状態などを参照しながら、計測値ΔPmと基準前後差圧ΔPbaseとから、あるいは、差圧差ΔPmbからウォールアッシュWAの堆積量Vdwaを算出する。
また、警報発生手段25及び警報発生ステップS25は、プラグアッシュ堆積量推定手段22及びプラグアッシュ堆積量推定ステップS22により推定されたプラグアッシュPAの堆積量Vdpaが予め設定された第1警告堆積量Vca1を超えたとき、または、ウォールアッシュ堆積量推定手段24及びウォールアッシュ堆積量推定ステップS24により推定されたウォールアッシュWAの堆積量Vdwaが予め設定された第2警告堆積量Vca2を超えたとき、警報を発する手段及びステップである。この手段25及びステップS25により、プラグアッシュPAの堆積量VdpaとウォールアッシュWAの堆積量Vdwaのいずれかが予め設定された一定値Vca1、Vca2を超えた場合には、内燃機関を備える車両の運転席に設けた警告灯(図示しない)を点灯または点滅させて警告を表示するなどの警報で、整備工場などでの微粒子捕集装置の洗浄処置の実施を運転者に促すことができる。
また、エンジン運転状態制限手段26及びエンジン運転状態制限ステップS26は、プラグアッシュ堆積量推定手段22及びプラグアッシュ堆積量推定ステップS22により推定されたプラグアッシュPAの堆積量Vdpaが予め設定された第1運転制限堆積量Vce1を超えたとき、または、ウォールアッシュ堆積量推定手段24及びウォールアッシュ堆積量推定ステップS24により推定されたウォールアッシュWAの堆積量Vdwaが予め設定された第2運転制限堆積量Vce2を超えたとき、内燃機関の制御装置に対して予め設定された運転状態制限モードに移行するよう指示する手段及びステップである。
この手段26及びステップS26により、運転者が微粒子捕集装置2の洗浄処置を怠ったときでも、微粒子捕集装置2の洗浄が必要であるほどの大量のアッシュPA、WAが堆積してしまった場合には、エンジンの運転状態を運転状態制限モードに移行して、内燃機関の運転状態を制限することにより、微粒子捕集装置2へのアッシュの堆積を抑制しながら内燃機関を運転することになるので、排気ガス浄化性能の悪化や燃費の悪化を回避することができる。
一方、本願発明の実施の形態の内燃機関の排気ガス浄化システムにおいては、排気ガス浄化システムの制御装置は、推定されたプラグアッシュPAの堆積量Vdpaによる圧力損失分である第1圧力損失分ΔP31を推定すると共に、推定されたウォールアッシュWAの堆積量Vdwaによる圧力損失分である第2圧力損失分ΔP32を推定し、内燃機関の運転中における微粒子捕集装置2のPM再生の開始時期の判定において、微粒子捕集装置2の前後差圧ΔPの計測値ΔPmから第1圧力損失分ΔP31と第2圧力損失分ΔP32を引き算した前後差圧の補正値ΔPmc(=ΔPm−ΔP31−ΔP32)が、予め設定又は算出される判定用前後差圧ΔPcよりも大きくなったときにPM再生の開始時期であると判定するように構成される。
次に、上記の微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断方法について、図4の制御フローを参照しながら説明する。図4の制御フローは、微粒子捕集装置2のPM再生制御が開始されると上級の制御フローから呼ばれて実施され、実施後に上級の制御フローに戻る制御フローであり、微粒子捕集装置2のPM再生制御が行われる度に繰り返し呼ばれて実施される。なお、この図4の制御フローに基づく制御の途中で、内燃機関が運転停止するとき等では、割り込みが生じて、リターンに行って上級の制御フローに戻り、この上級の制御フローの終了と共に終了する。
この図4の制御フローがスタートすると、ステップS21で、PM再生中の微粒子捕集装置2の内部温度分布を計測して、即ち、PM強制再生時の温度測定を行って、ステップS22に進む。このステップS22では、内部温度分布から、使用している微粒子捕集装置2の幾何学計算によりプラグアッシュPAによる、プラグアッシュPAの堆積領域Rpa、言い換えれば、PM捕集(排ガス透過)面積減少分zと、堆積量Vdpaを推定する。
次のステップS23では、微粒子捕集装置2にプラグアッシュPAが堆積していない状態での、当初PM捕集領域Rtから堆積領域Rpaを減算して現状PM捕集領域R(i)を算出し、さらに、この現状PM捕集領域R(i)に対応する現状PM捕集容積Vtrapを算出する。あるいは、当初PM捕集面積YからPM捕集面積減少分zを減算して現状PM捕集面積Ytrapを算出する。「R(i)=Rt−Rpa」、「Vtrap=R(i)×C1:C1は係数)、「Ytrap=Y−z」である。
そして、次のステップS24では、現状PM捕集容積Vtrap、あるいは現状PM捕集面積Ytrapを考慮して、PM再生直後のPM未堆積状態で前後差圧ΔPを計測し、この計測値ΔPmからウォールアッシュWAの堆積量Vdwaを推定する。
次のステップS25では、ステップS25aで、推定されたプラグアッシュPAの堆積量Vdpaが予め設定された第1警告堆積量Vca1を超えたか、あるいは、推定されたウォールアッシュWAの堆積量Vdwaが予め設定された第2警告堆積量Vca2を超えたか否かを判定し、どちらか一方が超えたときは、ステップS25bに行き、警報を発生してからステップS26に行く。また、どちらも超えていないときは、そのままステップS26に行く。
なお、このステップS25aにおける、プラグアッシュPAの堆積量Vdpaの判定は、プラグアッシュPAの堆積量Vdpaの算出に使用する堆積領域Rpa(あるいは、PM捕集面積減少分z)とこの第1警告堆積量Vca1に対応する警告堆積領域Rpac(あるいは、PM捕集面積減少分zc)との比較や、内部温度分布で計測された入口側領域R(1)の温度T(1)と出口側領域R(X)の温度T(X)との差ΔTX1=T(X)−T(1)と予め設定された警告温度差ΔTx1cとの比較で行ってもよい。
また、ウォールアッシュWAの堆積量Vdwaにおける堆積量の判定は、ウォールアッシュWAの堆積量Vdwaの算出に使用する前後差圧ΔPmとこの第2警告堆積量Vca2に対応する警告前後差圧ΔPcaとの比較で行ってもよい。なお、この第2警告堆積量Vca2は、現状PM捕集面積Ytrapの補正に伴って導出される警告前後差圧ΔPcaとなる想定圧力損出に関係する量である。
次のステップS26では、ステップS26aで、推定されたプラグアッシュPAの堆積量Vdpaが予め設定された第1運転制限堆積量Vce1を超えたか、あるいは、推定されたウォールアッシュWAの堆積量Vdwaが予め設定された第2運転制限堆積量Vce2を超えたかを判定し、どちらか一方が超えたときは、ステップS26bに行き、内燃機関の制御装置に対して予め設定された運転状態制限モードに移行するよう指示してから、ステップS27に行く。また、どちらも超えていないときは、そのままステップS27に行く。
ステップS27では、推定されたプラグアッシュPAの堆積量Vdpaと推定されたウォールアッシュWAの堆積量Vdwaを、この微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システムを備えた排気ガス浄化システムの制御装置に出力する。そして、図4の制御フローを終了して、リターンに行き、上級の制御フローに戻る。
一方、本発明の実施の形態の内燃機関の排気ガス浄化方法では、上記の微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断方法に加えて、さらに、推定されたプラグアッシュPAの堆積量Vdpaによる圧力損失分である第1圧力損失分ΔP31を推定すると共に、推定されたウォールアッシュWAの堆積量Vdwaによる圧力損失分である第2圧力損失分ΔP32を推定し、内燃機関の運転中における微粒子捕集装置2のPM再生の開始時期の判定において、微粒子捕集装置2の前後差圧ΔPの計測値ΔPmから第1圧力損失分ΔP31と第2圧力損失分ΔP32を引き算した前後差圧の補正値ΔPmc(=ΔPm−ΔP31−ΔP32)が、予め設定又は算出される判定用前後差圧ΔPcよりも大きくなったときにPM再生の開始時期であると判定する。
上記の構成の微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システム1、及び微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断方法によれば、微粒子捕集装置2の前後差圧ΔPに対するアッシュによる影響の診断を、プラグアッシュPA、ウォールアッシュWAの2つ堆積状態の違いに基づく前後差圧ΔPへの影響の違いを考慮して、PM再生中の内部温度分布を利用することによりプラグアッシュPAの堆積量Vdpaを精度よく推定でき、また、プラグアッシュPAの堆積量Vdpaの影響を考えた上でPM再生直後の前後差圧ΔPの計測値ΔPmを利用することによりウォールアッシュWAの堆積量Vdwaを精度よく推定することができる。
そして、PM再生中の内部温度分布の計測及びPM再生直後の前後差圧の計測というその時点での計測値と比較的簡単なアルゴリズムを用いているので、内燃機関の運転中においても、プラグアッシュPAとウォールアッシュWAの各々の堆積量Vdpa、Vdwaを推定できる上に、アッシュの堆積量を累積計算で求める方法と異なり、累積的な推定誤差の拡大が無いので、推定精度を維持できる。
更に、警報発生手段25により、警報で微粒子捕集装置2の洗浄処置の実施を運転者に促すことができ、また、エンジン運転状態制限手段26により、運転者が微粒子捕集装置2の洗浄処置を怠ったときでも、内燃機関の運転状態を制限することにより、排気ガス浄化性能の悪化や燃費の悪化を回避することができる。
つまり、内燃機関の排気通路に配設され、ウォールフロータイプのフィルタで構成される微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システムにおいて、内燃機関の運転中においても、プラグアッシュPAとウォールアッシュWAの各々の堆積量Vdpa、Vdwaを推定できて、微粒子捕集装置2の洗浄処置の必要性を正確に検知して、この洗浄処置の実施を車両の運転者に促すことができる。
また、上記の構成の内燃機関の排気ガス浄化システム、及び内燃機関の排気ガス浄化方法によれば、微粒子捕集装置2の前後差圧ΔPに対する各々のアッシュPA、WAによる圧力損失の影響を除去することにより、前後差圧ΔPの計測値ΔPmからPM堆積量を精度よく推定できて適切なタイミングでPM再生を行うことができるので、燃料消費量の悪化を防止することができる。
1 微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システム
2 微粒子捕集装置
10a インレット側のセル
10aa インレット側のセルの目封じ部分
10b アウトレット側のセル
10bb アウトレット側のセルの目封じ部分
10c、10ca、10cb、10cc PM捕集用の壁
20 制御装置
21 温度分布計測手段
22 プラグアッシュ堆積量推定手段
23 PM捕集領域算出手段
24 ウォールアッシュ堆積量推定手段
25 警報発生手段
26 エンジン運転状態制限手段
PA プラグアッシュ
WA ウォールアッシュ
G 排気ガス
Gc 浄化処理された排気ガス
S20 微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断方法
S21 温度分布計測ステップ
S22 プラグアッシュ堆積量推定ステップ
S23 PM捕集領域算出ステップ
S24 ウォールアッシュ堆積量推定ステップ
S25 警報発生ステップ
S26 エンジン運転状態制限ステップ
2 微粒子捕集装置
10a インレット側のセル
10aa インレット側のセルの目封じ部分
10b アウトレット側のセル
10bb アウトレット側のセルの目封じ部分
10c、10ca、10cb、10cc PM捕集用の壁
20 制御装置
21 温度分布計測手段
22 プラグアッシュ堆積量推定手段
23 PM捕集領域算出手段
24 ウォールアッシュ堆積量推定手段
25 警報発生手段
26 エンジン運転状態制限手段
PA プラグアッシュ
WA ウォールアッシュ
G 排気ガス
Gc 浄化処理された排気ガス
S20 微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断方法
S21 温度分布計測ステップ
S22 プラグアッシュ堆積量推定ステップ
S23 PM捕集領域算出ステップ
S24 ウォールアッシュ堆積量推定ステップ
S25 警報発生ステップ
S26 エンジン運転状態制限ステップ
Claims (8)
- 内燃機関の排気通路に配設され、ウォールフロータイプのフィルタで構成される微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システムにおいて、
前記微粒子捕集装置のPM再生制御中における前記微粒子捕集装置の内部温度分布からプラグアッシュの堆積量を推定すると共に、
PM再生直後の前記微粒子捕集装置の前後差圧の計測値からウォールアッシュの堆積量を推定することを特徴とする微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システム。 - 前記微粒子捕集装置の内部空間を、排気ガスの通過方向に、予め設定した設定数の領域に分割して、この分割した各領域の温度を計測する温度分布計測手段と、
前記微粒子捕集装置のPM再生中に前記温度分布計測手段から得られる隣接する領域の温度差が、予め設定された温度差判定閾値以上である場合には、この隣接する領域における下流側の領域から前記微粒子捕集装置の出口の領域までをプラグアッシュが堆積している堆積領域としてプラグアッシュの堆積量を推定するプラグアッシュ堆積量推定手段と、
このプラグアッシュ堆積量推定手段による堆積領域を、前記微粒子捕集装置の当初PM捕集領域から減算して、現状PM捕集領域を算出するPM捕集領域算出手段と、
このPM捕集領域算出手段により算出した前記現状PM捕集領域に対する、PM捕集量がゼロの場合の基準前後差圧を、予め設定されたデータベースとエンジン運転状態に基づいて算出すると共に、PM再生直後に計測した前後差圧の計測値と前記基準前後差圧との比較により、前記微粒子捕集装置におけるウォールアッシュの堆積量を推定するウォールアッシュ堆積量推定手段とを備えた請求項1に記載の微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システム。 - 前記プラグアッシュ堆積量推定手段により推定されたプラグアッシュの堆積量が予め設定された第1警告堆積量を超えたとき、または、前記ウォールアッシュ堆積量推定手段により推定されたウォールアッシュの堆積量が予め設定された第2警告堆積量を超えたとき、警報を発する警報発生手段と、
前記プラグアッシュの堆積量が予め設定された第1運転制限堆積量を超えたとき、または、前記ウォールアッシュの堆積量が予め設定された第2運転制限堆積量を超えたとき、内燃機関の制御装置に対して予め設定された運転状態制限モードに移行するよう指示するエンジン運転状態制限手段を備えた請求項1又は2に微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システム。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システムを備えた内燃機関の排気ガス浄化システムにおいて、
前記推定されたプラグアッシュの堆積量による圧力損失分である第1圧力損失分を推定すると共に、前記推定されたウォールアッシュの堆積量による圧力損失分である第2圧力損失分を推定し、
内燃機関の運転中における前記微粒子捕集装置のPM再生の開始時期の判定において、前記微粒子捕集装置の前後差圧の計測値から前記第1圧力損失分と前記第2圧力損失分を引き算した前後差圧の補正値が、予め設定又は算出される判定用前後差圧よりも大きくなったときにPM再生の開始時期であると判定することを特徴とする内燃機関の排気ガス浄化システム。 - 内燃機関の排気通路に配設され、ウォールフロータイプのフィルタで構成される微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断方法において、
前記微粒子捕集装置のPM再生制御中における前記微粒子捕集装置の内部温度分布からプラグアッシュの堆積量を推定すると共に、
PM再生直後の前記微粒子捕集装置の前後差圧の計測値からウォールアッシュの堆積量を推定することを特徴とする微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断方法。 - 前記微粒子捕集装置の内部空間を、排気ガスの通過方向に、予め設定した設定数の領域に分割して、この分割した各領域の温度を計測する温度分布計測ステップと、
前記微粒子捕集装置のPM再生中に前記温度分布計測手段から得られる隣接する領域の温度差が、予め設定された温度差判定閾値以上である場合には、この隣接する領域における下流側の領域から前記微粒子捕集装置の出口の領域までをプラグアッシュが堆積している堆積領域としてプラグアッシュの堆積量を推定するプラグアッシュ堆積量推定ステップと、
このプラグアッシュ堆積量推定ステップによる堆積領域を、前記微粒子捕集装置の当初PM捕集領域から減算して、現状PM捕集領域を算出するPM捕集領域算出ステップと、
このPM捕集領域算出ステップにより算出した前記現状PM捕集領域に対する、PM捕集量がゼロの場合の基準前後差圧を、予め設定されたデータベースとエンジン運転状態に基づいて算出すると共に、PM再生直後に計測した前後差圧の計測値と前記基準前後差圧との比較により、前記微粒子捕集装置におけるウォールアッシュの堆積量を推定するウォールアッシュ堆積量推定ステップとを含む請求項5に記載の微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断方法。 - 前記プラグアッシュ堆積量推定ステップで推定されたプラグアッシュの堆積量が予め設定された第1警告堆積量を超えたとき、または、前記ウォールアッシュ堆積量推定ステップにより推定されたウォールアッシュの堆積量が予め設定された第2警告堆積量を超えたとき、警報を発する警報発生ステップと、
前記プラグアッシュの堆積量が予め設定された第1運転制限堆積量を超えたとき、または、前記ウォールアッシュの堆積量が予め設定された第2運転制限堆積量を超えたときに、内燃機関の制御装置に対して予め設定された運転状態制限モードに移行するよう指示するエンジン運転状態制限ステップを含む請求項5又は6に微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断方法。 - 請求項5〜7のいずれか1項に記載の微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断方法を用いる内燃機関の排気ガス浄化方法において、
前記推定されたプラグアッシュの堆積量による圧力損失分である第1圧力損失分を推定すると共に、前記推定されたウォールアッシュの堆積量による圧力損失分である第2圧力損失分を推定し、
内燃機関の運転中における前記微粒子捕集装置のPM再生の開始時期の判定において、前記微粒子捕集装置の前後差圧の計測値から前記第1圧力損失分と前記第2圧力損失分を引き算した前後差圧の補正値が、予め設定又は算出される判定用前後差圧よりも大きくなったときにPM再生の開始時期であると判定することを特徴とする内燃機関の排気ガス浄化方法。
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JP2015082382A JP2016200109A (ja) | 2015-04-14 | 2015-04-14 | 微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断システム、内燃機関の排気ガス浄化システム、微粒子捕集装置のアッシュ堆積診断方法、及び内燃機関の排気ガス浄化方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN108412588A (zh) * | 2018-01-29 | 2018-08-17 | 中国第汽车股份有限公司 | 内燃机微粒过滤器控制系统 |
-
2015
- 2015-04-14 JP JP2015082382A patent/JP2016200109A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN108412588A (zh) * | 2018-01-29 | 2018-08-17 | 中国第汽车股份有限公司 | 内燃机微粒过滤器控制系统 |
CN108412588B (zh) * | 2018-01-29 | 2020-08-25 | 中国第一汽车股份有限公司 | 内燃机微粒过滤器控制系统 |
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