JP2016199657A - 反応性発光性材料、それを用いた発光性微粒子及びその製造方法 - Google Patents

反応性発光性材料、それを用いた発光性微粒子及びその製造方法 Download PDF

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Shinya Nakano
慎也 中野
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Yasuhiro Kawaguchi
泰広 川口
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Abstract

【課題】本発明は、容易に製造することができ、発光性が優れ重合性モノマーと反応性を有する発光性材料を提供する。【解決手段】一般式(1)で表されるチオフェン基と、一般式(2)で表されるフルオレン基を含有する共重合体からなることを特徴とする反応性発光性材料。(式中、Rは反応性二重結合を有する基、R1は水素又は炭素数1〜20のアルキル基、R2はそれぞれ同一又は異なってもよい、水素又は炭素数1〜20のアルキル基である。)【選択図】図1

Description

本発明は、反応性発光性材料、それを用いた発光性微粒子及びその製造方法に関する。
有機薄膜太陽電池、燃料電池やバッテリー等の電極、テレビやディスプレイ等の有機エレクトロルミネッセンス等の製造には有機の発光性材料が使用されている。有機の発光性材料としては低分子系発光性材料と高分子系発光性材料があり、低分子系発光性材料はデバイスを製造する際に蒸着工程が必要であり、工程が複雑で高価であるのに対し、高分子系発光性材料は塗布や印刷等の簡便な方法でデバイスを製造することができるので、高分子系発光性材料が主に研究されている。
高分子系発光性材料としては、電子供与体(ドナー)ユニットと電子受容体(アクセプター)ユニットの共重合体やインターペネトレイティングネットワークポリマー(IPN)が提案されている。
前者としては、例えば、ジナフトチオフェン骨格又はオキシジナフトチオフェン骨格を有する化合物とフルオレン骨格を有する化合物の共重合体(例えば、特許文献1参照。)、チオフェン又はビチオフェンと、フルオレンの共重合体(例えば、非特許文献1,2参照。)等が提案されており、後者としては、例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリビチオフェン又はポリターチオフェンとのIPN(例えば、特許文献2参照。)等が提案されている。
しかしながら、前者の共重合体は発光の色純度が低下しやすい、長期高温安定性が低く発光性が低下する等の欠点があり、後者のIPNは対象物ごとに重合しなければならないので、重合が面倒であり、有機薄膜太陽電池、電極、有機エレクトロルミネッセンス等の大量生産には向かない等の欠点があった。
本発明者等は、取り扱いが容易で有機溶剤を使用することなく発光性の皮膜や成形体を容易且つ衛生的に製造するには発光性材料を微粒子化すればよいことに想到し、「発光性材料を重合性モノマーに溶解し、水懸濁重合する発光性微粒子の製造方法」(例えば、特許文献3参照。)を出願した。
本発明者等は、上記発光性微粒子の製造方法について、更に、検討を進めた結果、発光性材料が重合性モノマーと反応性を有していれば、重合の際に発光性材料と重合性モノマーが反応し、均一な発光性を有すると共に経時により発光性材料が脱落分離することがなく、長期間にわたって発光性が優れている発光性微粒子が得られることに想到し、本発明を完成した。
特開2013−189589号公報 WO2012/061870 A1 特願2014−075329
Yohei Fujiwara, Junpei Kuwabara, Wei Lu, Hideki Hayashi, Takaki Kanbara ACS Macro Letters 2012.1,67-70 Bin Liu, Yu-Hua Niu, Wang-Lin Yu, Yong Cao, Wie Huang, Synthetic Metals 129(2002)129-134 Polymer Preprints, Japan Vol.61,No.1(2012)
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、容易に製造でき、発光性が優れており且つ重合性モノマーとの反応性を有する発光性材料及びその製造方法、並びに、その発光性材料を用いた取り扱いが容易で有機溶剤を使用することなく発光性の皮膜や成形体を容易且つ衛生的に製造することができる微細な発光性微粒子及びその製造方法を提供することにある。
即ち、本発明は、
[1]一般式(1)で表されるチオフェン基と、一般式(2)で表されるフルオレン基を含有する共重合体からなることを特徴とする反応性発光性材料、
(式中、Rは反応性二重結合を有する基、Rは水素又は炭素数1〜20のアルキル基、Rはそれぞれ同一又は異なってもよい、水素又は炭素数1〜20のアルキル基である。)
[2]Rが、一般式(3)で表される基であることを特徴とする上記[1]記載の反応性発光性材料、
(式中、Rは炭素数1〜10のアルキレン基、Rは水素又はメチル基である。)
[3]一般式(1)で表されるチオフェン基と、一般式(4)で表されるチオフェン基と、一般式(2)で表されるフルオレン基を含有する共重合体からなることを特徴とする反応性発光性材料、
(式中、Rは反応性二重結合を有する基、R、Rは水素又は炭素数1〜20のアルキル基、Rは炭素数1〜10のアルキレン基、Rはそれぞれ同一又は異なってもよい、水素又は炭素数1〜20のアルキル基である。)
[4]Rが、一般式(3)で表される基であることを特徴とする上記[3]記載の反応性発光性材料、
(式中、Rは炭素数1〜10のアルキレン基、Rは水素又はメチル基である。)
[5]一般式(4)で表されるチオフェン基と一般式(2)で表されるフルオレン基が共重合されてなる共重合体に、(メタ)アクリル酸ハライドを添加して、(メタ)アクリル酸ハライドを3−ヒドロキシメチル基にエステル結合することを特徴とする上記[2]又は[4]記載の反応性発光性材料の製造方法、
(式中、Rはそれぞれ同一又は異なってもよい、水素又は炭素数1〜20のアルキル基、Rは水素又は炭素数1〜20のアルキル基、Rは炭素数1〜10のアルキレン基である。)
[6]上記[1]〜[4]のいずれか1項記載の反応性発光性材料と重合性モノマーが共重合されていることを特徴とする発光性微粒子、
[7]上記[1]〜[4]のいずれか1項記載の反応性発光性材料を重合性モノマーに溶解し、分散剤の存在下で水懸濁重合することを特徴とする上記[6]記載の発光性微粒子の製造方法、及び、
[8]上記[1]〜[4]のいずれか1項記載の反応性発光性材料を重合性モノマーに溶解し、分散剤と界面活性剤の共存下で水懸濁乳化重合することを特徴とする上記[6]記載の発光性微粒子の製造方法
に関する。
本発明の発光性材料の構成は上述の通りであり、反応性発光性材料は容易に製造でき、発光性が優れており且つ重合性モノマーとの反応性を有している。又、この反応性発光性材料を用いた発光性微粒子の製造方法は水懸濁重合であり、均一で微細な粒子径の発光性微粒子を容易に製造することができる。更に、得られた発光性微粒子は、均一な発光性を有し且つ長期間にわたって発光性が優れていると共に取り扱いが容易で有機溶剤を使用することなく発光性の皮膜や成形体を容易且つ衛生的に製造することができる。従って、有機薄膜太陽電池、電極、有機エレクトロルミネッセンス等に好適に使用できる。
実施例1で得られた3−メタクリロイルチオフェンー9,9−ジヘキシルフルオレン共重合体の紫外可視吸収スペクトルを示す。 実施例1で得られた3−メタクリロイルチオフェンー9,9−ジヘキシルフルオレン共重合体の蛍光発光スペクトルを示す。 実施例1で得られた発光材料含有メチルメタクリレート樹脂重合体粒子の蛍光スペクトルを示す。
本発明の反応性発光性材料は、一般式(1)で表されるチオフェン基と、一般式(2)で表されるフルオレン基を含有する共重合体からなることを特徴とする。
(式中、Rは反応性二重結合を有する基、Rは水素又は炭素数1〜20のアルキル基、Rはそれぞれ同一又は異なってもよい、水素又は炭素数1〜20のアルキル基である。)
上記一般式(1)で表されるチオフェン基は、2位及び5位の位置で一般式(2)で表されるフルオレン基と結合しているチオフェン基であり、3位の位置に結合しているRは水素又は炭素数1〜20のアルキル基である。このアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられ、直鎖のアルキル基であってもよいし、側鎖を有するアルキル基であってもよい。
又、4位の位置に結合しているRは反応性二重結合を有する基であり、例えば、アクリロイルアルキル基、スチリル基、α−スチリル基等が挙げられ、反応性が優れ、取扱いやすい一般式(3)で示されるアクリロイルアルキル基が好ましい。
(式中、Rは炭素数1〜10のアルキレン基、Rは水素又はメチル基である。)
上記一般式(3)で示されるアクリロイルアルキル基において、Rは炭素数1〜10のアルキレン基であり、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等が挙げられ、直鎖のアルキレン基であってもよいし、側鎖を有するアルキレン基であってもよい。又、Rは水素又はメチル基である。従って、一般式(3)で示されるアクリロイルアルキル基としては、例えば、(メタ)アクリロイルメチル基、(メタ)アクリロイルエチル基、(メタ)アクリロイルプロピル基、(メタ)アクリロイルブチル基等が挙げられる。
上記一般式(2)で表されるフルオレン基は、2位及び7位の位置で一般式(1)で表されるチオフェン基と結合しているフルオレン基であり、9位の位置に結合しているR、Rは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素又は炭素数1〜20のアルキル基である。このアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、オクタデシル基等が挙げられ、直鎖のアルキル基であってもよいし、側鎖を有するアルキル基であってもよい。
尚、本明細書において、一般式における同一の符号(R、R、R等)は、全ての一般式において同一の内容を意味する。
上記共重合体は、一般式(1)で表されるチオフェン基の間に一般式(2)で表されるフルオレン基が共重合されている交互共重合体であり、当量の一般式(1)で表されるチオフェン基と一般式(2)で表されるフルオレン基が交互に共重合されている。
上記共重合体の数平均分子量は、発光性材料としての用途に応じて適宜決定されればよいが、一般に1000〜50000であり、好ましくは、1500〜20000である。
異なる本発明の反応性発光性材料は、一般式(1)で表されるチオフェン基と、一般式(4)で表されるチオフェン基と、一般式(2)で表されるフルオレン基を含有する共重合体からなることを特徴とする。
(式中、Rは反応性二重結合を有する基、R、Rは水素又は炭素数1〜20のアルキル基、Rは炭素数1〜10のアルキレン基、Rはそれぞれ同一又は異なってもよい、水素又は炭素数1〜20のアルキル基である。)
即ち、上記反応性発光性材料は、前述の、一般式(1)で表されるチオフェン基と、一般式(2)で表されるフルオレン基を含有する共重合体からなる反応性発光性材料に、更に、一般式(4)で表されるチオフェン基が共重合されている共重合体である。
上記一般式(4)で表されるチオフェン基は、2位及び5位の位置で一般式(2)で表されるフルオレン基と結合しているチオフェン基であり、3位の位置に結合しているRは水素又は炭素数1〜20のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、オクタデシル基等が挙げられ、直鎖のアルキル基であってもよいし、側鎖を有するアルキル基であってもよい。
又、4位の位置に結合しているRは炭素数1〜10のアルキレン基であり、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等が挙げられ、直鎖のアルキレン基であってもよいし、側鎖を有するアルキレン基であってもよい。
上記共重合体は、一般式(2)で表されるフルオレン基の間に一般式(1)又は一般式(4)で表されるチオフェン基が共重合されている交互共重合体であり、一般式(2)で表されるフルオレン基の量と、一般式(1)で表されるチオフェン基と一般式(4)で表されるチオフェン基の合計量が当量になるように交互に共重合されている。
又、一般式(1)で表されるチオフェン基と一般式(4)で表されるチオフェン基との比率は、一般式(4)で表されるチオフェン基の比率が大きくなると重合性モノマーとの反応性が低下するので、一般に、一般式(1)で表されるチオフェン基が1〜0.1当量であって、一般式(4)で表されるチオフェン基が0〜0.9当量であるのが好ましい。
上記共重合体の数平均分子量は、発光性材料としての用途に応じて適宜決定されればよいが、一般に1000〜50000であり、好ましくは、1500〜20000である。
本発明の反応性発光性材料は、適切な有機溶媒に溶解して溶液とし、所望の場所に塗布し、溶媒を気化させることにより発光層、発光シート、発光成形体等を形成することができる。又、溶剤を除去することにより発光性液体又は発光性粉体を得ることができるので、発光性液体又は発光性粉体単独、又は、他の易成形性ポリマーとの混合物を成形して発光層、シート、成形体等を形成することができる。
上記反応性発光性材料の製造方法は、特に限定されず、従来公知の任意方法が採用されればよく、例えば、一般式(5)で表されるチオフェンと、一般式(6)で表される7−ジブロモフルオレン化合物を重合する方法、一般式(7)で表されるチオフェンと、一般式(6)で表される2,7−ジブロモフルオレン化合物を重合した後、一般式(7)で表されるチオフェンの水酸基に反応性二重結合を有する基を導入する方法等が挙げられる。
(式中、Rは反応性二重結合を有する基、R、Rは水素又は炭素数1〜20のアルキル基、Rはそれぞれ同一又は異なってもよい、水素又は炭素数1〜20のアルキル基、Rは炭素数1〜10のアルキレン基である。)
しかしながら、反応性二重結合を有するチオフェンを用いて重合する場合は、チオフェンの有する反応性二重結合が反応してしまい、ゲル化したり、反応性発光性材料の収率が低くなるという欠点がある。
従って、一般式(7)で表されるチオフェンと、一般式(6)で表される2,7−ジブロモフルオレン化合物を重合し、得られた一般式(4)で表されるチオフェン基と一般式(2)で表されるフルオレン基が共重合されてなる共重合体に、反応性二重結合を有する化合物(例えば、(メタ)アクリル酸ハライド)を導入するのが好ましい。
即ち、本発明の反応性発光性材料の製造方法は、一般式(4)で表されるチオフェン基と一般式(2)で表されるフルオレン基が共重合されてなる共重合体に、(メタ)アクリル酸ハライドを添加して、(メタ)アクリル酸ハライドをヒドロキシアルキル基にエステル結合することを特徴とする請求項2又は4記載の反応性発光性材料の製造方法である。
(式中、Rはそれぞれ同一又は異なってもよい、水素又は炭素数1〜20のアルキル基、Rは水素又は炭素数1〜20のアルキル基、Rは炭素数1〜10のアルキレン基である。)
上記共重合体は、一般式(2)で表されるフルオレン基の間に一般式(4)で表されるチオフェン基が共重合されている交互共重合体である。
上記共重合体の重合方法は、特に限定されず、従来公知の任意の方法で重合されればよく、例えば、トランスメタル化を経由するクロスカップリング反応、直接的アリール化反応(例えば、非特許文献1,3参照。)等が挙げられ、直接的アリール化反応は原料モノマーのC−H結合を直接官能基化することができ容易に重合することが可能なので好ましい。
直接的アリール化反応により、上記交互共重合体を重合するには、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の溶剤に、一般式(6)で表される2,7−ジブロモフルオレン化合物と一般式(7)で表されるチオフェン化合物を当量及び酢酸パラジウム、トリス(ジベンジリデシルアセトン)パラジウム等の触媒を必要量、更に、必要に応じて、ピバル酸、炭酸カリウム等を所定量添加溶解し、100℃前後で数時間加熱攪拌する方法が挙げられる。
上記共重合体に、(メタ)アクリル酸ハライドを添加して、(メタ)アクリル酸ハライドをヒドロキシアルキル基にエステル結合することにより請求項2又は4記載の反応性発光性材料を製造する。
上記(メタ)アクリル酸ハライドとしては、例えば、アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸クロリド、アクリル酸ブロマイド、(メタ)アクリル酸ブロマイド等が挙げられる。
上記エステル化反応の方法は、従来公知の任意の方法が採用されればよく、例えば、一般式(4)で表されるチオフェン基と一般式(2)で表されるフルオレン基が共重合されてなる共重合体をテトラヒドロフラン等の有機溶剤に溶解した後、適量のトリエチルアミンと(メタ)アクリル酸ハライドのテトラヒドロフラン等の有機溶剤溶液を添加し、氷浴中で10分〜2時間撹拌し、更に、常温で5〜20時間撹拌する方法が挙げられる。
上記共重合体中の一般式(4)で表されるチオフェン基1当量に対し(メタ)アクリル酸ハライドを1当量以上添加して、すべての3−ヒドロキシメチル基に(メタ)アクリル酸をエステル結合すると請求項1記載の反応性発光性材料が得られる。
又、上記共重合体中の一般式(4)で表されるチオフェン基1当量に対し(メタ)アクリル酸ハライドを1当量未満添加して、3−ヒドロキシメチル基に(メタ)アクリル酸ハライドをエステル結合すると、エステル化された一般式(1)で示されるチオフェン基とエステル化されていない一般式(4)で示されるチオフェン基とが共存する請求項4記載の反応性発光性材料が得られる。この場合、一般式(4)で表されるチオフェン基の比率が大きくなると重合性モノマーとの反応性が低下するので、一般的に、一般式(4)で表されるチオフェン基1当量に対し(メタ)アクリル酸ハライドを0.1〜1.0当量添加してエステル化反応するのが好ましい。
本発明の発光性微粒子は、請求項1〜4のいずれか1項記載の反応性発光性材料と重合性モノマーが共重合されていることを特徴とする。
上記重合性モノマーは、反応性発光性材料と重合して発光性微粒子を構成する合成樹脂の原料となる重合性モノマーであり、上記反応性発光性材料を溶解することができ且つ重合性を有していれば、特に限定されないが、発光性微粒子の製造方法としては水懸濁重合が好ましいので、水懸濁重合可能な重合性モノマーが好ましく、例えば、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
重合性モノマーと反応性発光性材料の比率は、要求される発光性能にしたがって適宜決定されればよいが、一般に重合性モノマー100重量部に対し反応性発光性材料0.01〜50重量部である。
上記発光性微粒子の製造方法は、特に限定されず、従来公知の任意の製造方法が採用されてよいが、ミクロン単位以下の微細な発光性微粒子を得るには、反応性発光性材料を重合性モノマーに溶解し、分散剤の存在下で水懸濁重合するのが好ましい。
上記水懸濁重合は、従来公知の任意の水懸濁重合が採用されてよく、例えば、攪拌機付の反応容器内に、上記反応性発光性材料を溶解した重合性モノマー、水及び分散剤を供給し、攪拌して水懸濁状態にした後、重合開始剤を添加し、所定温度(60〜90℃)に加熱して重合を開始し、1〜10時間重合反応を進め、反応終了後、得られたスラリーを脱水乾燥する方法である。尚、重合開始剤を、反応性発光性材料と共に重合性モノマーに溶解して添加してもよい。
上記分散剤は、塩化ビニル等の水懸濁重合の際に、一般に使用されている従来公知の任意の分散剤が使用可能であり、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール及びその部分ケン化物、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、デンプン、無水マレイン酸−スチレン共重合体、コロイダルシリカ、リン酸カルシウム等が挙げられる。又、分散剤の添加量は、特に限定されず、一般に重合性モノマー100重量部に対し0.1〜10重量部である。
上記重合開始剤は、塩化ビニル等の水懸濁重合の際に一般に使用されている従来公知の任意の油溶性の重合開始剤が使用可能であり、例えば、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ−s−ブチルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジオクチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート等の有機パーオキサイド類;2,2' −アゾビスイソブチロニトリル、2,2' −アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。重合開始剤の添加量は、特に限定されず、一般に重合性モノマー100重量部に対し0.1〜10重量部である。又、必要に応じて、pH調整剤、酸化防止剤、連鎖移動剤等が添加されても良い。
上記発光性微粒子の製造方法では、上記反応性発光性材料を重合性モノマーに溶解し、水懸濁乳化重合するのであるから、重合性モノマーが重合したポリマー中に反応性発光性材料が共重合した微細な発光性微粒子が分散しているスラリーが得られる。
得られたスラリーを脱水乾燥して水を除去することにより、反応性発光性材料と重合性モノマーが共重合している微細な発光性微粒子が得られる。得られる発光性微粒子は平均粒子径が0.1〜50μm程度の微細な粒子である。得られた微粒子は発光性を有しており、所望の場所に塗布し、プレス、加熱することにより所望の厚さの発光層、シート、成形体等を容易に形成することができる。尚、得られたスラリーを所望の場所に塗布し、水を気化させることにより発光層、シート、成形体等を形成することも可能である。
上記水懸濁重合においては、平均粒子径が0.1〜50μm程度の微細な発光性微粒子を得ることができるが、更に、界面活性剤を添加して水懸濁乳化重合するとより微細な発光性微粒子を得ることができる。即ち、分散剤と界面活性剤の共存下で水懸濁乳化重合することにより20〜200nm程度のより微細な発光性微粒子を得ることができる。
上記界面活性剤としては、例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル等のスルホン酸塩類;アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩類;アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩類;アルキルりん酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルりん酸エステル塩等のりん酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等のエーテル系界面活性剤;グリセリン脂肪酸部分エステル、ソルビタン脂肪酸部分エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル等のエステル系界面活性剤等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の添加量は、特に限定されず、一般に重合性モノマー100重量部に対し0.1〜10重量部である。
上記発光性微粒子の製造方法では、上記反応性発光性材料を重合性モノマーに溶解し、水懸濁乳化重合するのであるから、重合性モノマーが重合したポリマー中に反応性発光性材料が共重合した微細な発光性微粒子が分散しているスラリー(ラテックス)が得られる。
得られたスラリー(ラテックス)を脱水乾燥して水を除去することにより、反応性発光性材料と重合性モノマーが共重合している微細な発光性微粒子が得られる。得られる発光性微粒子は平均粒子径が20〜200nm程度の微細な粒子である。得られた微粒子は発光性を有しており、所望の場所に塗布し、プレス、加熱することにより所望の厚さの発光層、シート、成形体等を容易に形成することができる。尚、得られたラテックスを所望の場所に塗布し、水を気化させることにより発光層、シート、成形体等を形成することも可能である。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
3−ヒドロキシメチルチオフェンー9,9−ジヘキシルフルオレン共重合体(以下、「TP−CH OH−alt−DHF」と言う。)の合成
50mLシュレンク管に酢酸パラジウム15.7mgと炭酸カリウム1.258gを供給し、窒素置換した。次に、窒素気流下、ピバル酸0.1072gをジメチルアセトアミド10mLに溶解した溶液を供給し、更に、チオフェンー3−イルーメタノール0.1206g(0.70mmol)、2,7−ジブロモ−9,9−ジヘキシルフルオレン(以下、「DBrDHF」と言う。)4.86g(15.0mmol)をジメチルアセトアミド7.5mLに溶解した溶液を供給し、100℃で3時間攪拌して直接的アリール化反応を行なった。
反応系を25℃まで冷却した後、pH8のエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム水溶液20mLを供給して16時間攪拌することにより洗浄し、濾過した。得られたろ物を0.2mol塩酸、蒸留水、メタノール及びヘキサンで洗浄した後、テトラヒドロフラン40mLに溶解し、珪藻土で濾過した。得られた濾液をエバポレーターで濃縮して黒色の固体を1.893g得た。
得られた黒色の固体はTP−CHOH−alt−DHFであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定したところ、数平均分子量は2300であった。
3−メタクリロイルチオフェンー9,9−ジヘキシルフルオレン共重合体(以下、「TMMA−alt−DHF」と言う。)の合成
200mLのナスフラスコに、テトラヒドロフラン30mL、得られたTP−CHOH−alt−DHF1.89g(4.25mmol)及びトリエチルアミン0.516g(5.10mmol)を供給した後、氷浴中で0℃に冷却しながらメタクリル酸クロライド0.444g(4.25mmol)を5mLのテトラヒドロフランに溶解した溶液を供給し、0.5時間撹拌した後、25℃に昇温し、10時間撹拌して反応を終了した。反応終了後、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を30mL供給した後、酢酸エチル120mLで抽出した。抽出液を飽和食塩水30mLで洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを添加して乾燥し、エバポレーターで濃縮して褐色粘性液体2.01gを得た。
褐色粘性液体はTMMA―alt−DHFであり、HNMRスペクトルの5.2δ/ppmのメチレン鎖ピークと5.0δ/ppmのメチレン鎖ピークの積分値の比較したところ、チオフェンの水酸基の95%にメタクリロイル基が導入されていた。
又、得られた黒色粘性液体をテトラヒドロフランに溶解し、濃度が10−3mol/L、10−4mol/L、10−5mol/L及び10−6mol/Lのサンプルを作成し、それぞれの可視紫外吸収スペクトル及び蛍光スペクトルを測定し、図1に可視紫外吸収スペクトル、図2に、蛍光スペクトルを示した。
発光性微粒子の製造
攪拌機及びジャケットを備えた反応容器に、純水540g、メチルメタクリレートモノマー60gに得られたTMMA―alt−DHF1.00gを溶解した溶液、部分けん化ポリビニルアルコール(日本合成社製、GM−14)5.75g、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(第一工業社製、ネオゲンS−20F)15.25g、ジ−s−ブチルパーオキシジカーボネート(日本油脂社製、パーロイルSBP)0.40g、t−ブチルパーオキシピバレート(日本油脂社製、パーブチルPV)0.86g及び亜硝酸ナトリウム0.012gを投入し、ホモジナイザーで3分間混合した後、150rpmで撹拌しながら窒素ガスを供給して窒素雰囲気とした。次いで、ジャケットにより70℃に昇温して水懸濁重合を開始した。
重合開始3時間後に80℃に昇温して、更に1時間水懸濁重合を行い、水懸濁重合を終了した。冷却後、淡黄色の発光性材料含有メチルメタクリレート樹脂重合体粒子水懸濁液を得た。
得られた水懸濁液をパーティクルカウンター(堀場製作所社製「レーザー回析/散乱式粒子径分布測定装置LA−950)に供給して粒子径を測定したところ、平均114nmであった。
又、得られた発光性材料含有メチルメタクリレート樹脂重合体粒子水懸濁液の濃度は113mg/mLであり、それを水で希釈して濃度が11.3mg/mL及び1.13mg/mLのサンプルを作成し、それぞれの蛍光スペクトルを測定し、結果を図3に示した。
(実施例2)
発光性微粒子の製造
攪拌機及びジャケットを備えた反応容器に、純水540g、メチルメタクリレートモノマー60gに実施例1で得られたTMMA―alt−DHF0.60gを溶解した溶液、部分けん化ポリビニルアルコール(日本合成社製、GM−14)5.75g、ジ−s−ブチルパーオキシジカーボネート(日本油脂社製、パーロイルSBP)0.40g、t−ブチルパーオキシピバレート(日本油脂社製、パーブチルPV)0.86g及び亜硝酸ナトリウム0.012gを投入し、ホモジナイザーで3分間混合した後、150rpmで撹拌しながら窒素ガスを供給して窒素雰囲気とした。次いで、ジャケットにより70℃に昇温して水懸濁重合を開始した。
重合開始3時間後に80℃に昇温して、更に1時間水懸濁重合を行い、水懸濁重合を終了した。冷却後、淡黄色の発光性材料含有メチルメタクリレート樹脂重合体粒子水懸濁液を得た。
得られた水懸濁液をパーティクルカウンター(堀場製作所社製「レーザー回析/散乱式粒子径分布測定装置LA−950)に供給して粒子径を測定したところ、平均23.4μmであった。
本発明の反応性発光性材料及び発光性微粒子は、有機薄膜太陽電池、電極、有機エレクトロルミネッセンス等の分野で好適に使用される。

Claims (8)

  1. 一般式(1)で表されるチオフェン基と、一般式(2)で表されるフルオレン基を含有する共重合体からなることを特徴とする反応性発光性材料。
    (式中、Rは反応性二重結合を有する基、Rは水素又は炭素数1〜20のアルキル基、Rはそれぞれ同一又は異なってもよい、水素又は炭素数1〜20のアルキル基である。)
  2. Rが、一般式(3)で表される基であることを特徴とする請求項1記載の反応性発光性材料。
    (式中、Rは炭素数1〜10のアルキレン基、Rは水素又はメチル基である。)
  3. 一般式(1)で表されるチオフェン基と、一般式(4)で表されるチオフェン基と、一般式(2)で表されるフルオレン基を含有する共重合体からなることを特徴とする反応性発光性材料。
    (式中、Rは反応性二重結合を有する基、R、Rは水素又は炭素数1〜20のアルキル基、Rは炭素数1〜10のアルキレン基、Rはそれぞれ同一又は異なってもよい、水素又は炭素数1〜20のアルキル基である。)
  4. Rが、一般式(3)で表される基であることを特徴とする請求項3記載の反応性発光性材料。
    (式中、Rは炭素数1〜10のアルキレン基、Rは水素又はメチル基である。)
  5. 一般式(4)で表されるチオフェン基と一般式(2)で表されるフルオレン基が共重合されてなる共重合体に、(メタ)アクリル酸ハライドを添加して、(メタ)アクリル酸ハライドを3−ヒドロキシメチル基にエステル結合することを特徴とする請求項2又は4記載の反応性発光性材料の製造方法。
    (式中、Rはそれぞれ同一又は異なってもよい、水素又は炭素数1〜20のアルキル基、Rは水素又は炭素数1〜20のアルキル基、Rは炭素数1〜10のアルキレン基である。)
  6. 請求項1〜4のいずれか1項記載の反応性発光性材料と重合性モノマーが共重合されていることを特徴とする発光性微粒子。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項記載の反応性発光性材料を重合性モノマーに溶解し、分散剤の存在下で水懸濁重合することを特徴とする請求項6記載の発光性微粒子の製造方法。
  8. 請求項1〜4のいずれか1項記載の反応性発光性材料を重合性モノマーに溶解し、分散剤と界面活性剤の共存下で水懸濁乳化重合することを特徴とする請求項6記載の発光性微粒子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021182228A1 (ja) * 2020-03-10 2021-09-16 コニカミノルタ株式会社 発光色素含有粒子、その製造方法及びそれを用いる病理診断用標識剤

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