JP2016197966A - 固定子構成体、電動機、装置 - Google Patents

固定子構成体、電動機、装置 Download PDF

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Abstract

【課題】固定子枠体と放熱充填樹脂とを一体化することで、巻装体の発熱を効率良く放熱しながらも、信頼性の高い固定子構成体を提供すること。
【解決手段】固定子中間組立体13は、固定子磁心1、インシュレータ2及び巻装体3を含む固定子と、印刷配線板5とから構成される。この固定子中間組立体13は、軸方向の片側に、印刷配線板5に配置され、巻装体3同士の結線部の接続線端部、コネクタ6と接続する巻装体3の接続線端部及び印刷配線板5と接続する巻装体3の接続線、いずれも印刷配線板5の配置側に配線される。印刷配線板5は、環状、扇型形状などであり、中央に中空部を有し、この中空部には回転子や電動機の出力軸が遊挿される。固定子枠体4の開口端を上方に設置し、一方、下方には固定子枠体4のシャフト孔を設置する。液状の充填樹脂11は、固定子が位置する箇所の下部空間内に供給され、隙間空間のほぼ全てを充填樹脂11によって満たす。
【選択図】図4

Description

本発明は、電動機に関し、固定子と固定子枠体とを含む固定子構成体に関する。
家電分野、産業機器分野、電装分野などにおいて、電動機、変成器などの巻装体を具備するデバイスの小型化、薄型化及び高出力化は、恒常的に希求されるところである。
一例として、従来技術による図1及び図2に電動機の固定子構成体を示す。図1において、電動機の固定子中間組立体13は、固定子磁心1にインシュレータ2を介して絶縁電線を巻装して、巻装体3を設け、この巻装体3と電気的に接続される印刷配線板5を設けることにより構成される。この固定子中間組立体13を、金属等にて形成した固定子枠体4に挿入することによって、固定子構成体14を形成している。
巻装体3とコネクタ6は、印刷配線板5を介して電気的に接続されている。図2において、巻装体の末端3aは、はんだ5aにより印刷配線板5と電気的に接続されている。図3には、絶縁電線の概要を示す。絶縁電線は、導体7に絶縁被膜8が被覆された構成である。図4には、固定子中間組立体13の概要を示す。また、固定子枠体4の内壁の内に収容する固定子中間組立体13は、固定用ピン9aによって、互いを係止し、かつ、その固定子中間組立体13を固定子枠体4の内壁の内に固定し、かつ、固定子枠体4の内壁の面から離間して浮かした状態のまま固定する構成である。当然、この構成では、固定子磁心1の外周面と固定子枠体4の内壁との間には、隙間空間(空気層)が生じる構成となる。
そして、電動機については、上記の固定子構成体のほかに、回転子、出力軸(回転軸)、一対の軸受、ブラケット等の各構成要素によって構成する。なお、回転子、出力軸(回転軸)、軸受、ブラケット等の各構成要素の詳細については、当業者であれば自明のことであり、図面等による明示は割愛する。電動機の構成は、周知のとおり、固定子構成体に設けた円筒状の内部空間に、出力軸(回転軸)を具備する回転子を配置する。さらに、この回転子の出力軸の両端各々を回転自在に支承する一対の軸受を設ける。一方の軸受の外輪側はブラケットの収容部に固定される。他方の軸受の外輪側は、固定子枠体の底部の収容部に固定される。
なお、上述の従来技術による電動機の固定子構成体14においては、固定子枠体4の内壁の内に収容する固定子中間組立体13、固定子磁心1、巻装体3、インシュレータ2、印刷配線板5など、これら相互間に生じる隙間部や空間部には、何ら充填物の無い構成を一例として示す。そして、この隙間部や空間部の未充填空間は、換言すれば空気層を構成しているとも言える。当然、空気層の厚み寸法や、容積の値が過大であれば、この空気層の熱抵抗の値は無視し得ないものとなり、放熱効果を阻害するものとなる。
また、電動機及び固定子構成体の小型化、薄型化及び高出力化に際しては、固定子磁心に巻装された巻装体(固定子巻線)の抵抗成分による抵抗発熱(銅損)と、固定子磁心の渦電損及びヒステリシス損による発熱(鉄損)とによる発熱が課題なる。巻装体の発熱が過大であると、機器の電力効率の低下だけでなく、機器部材の安全性低下や、機器の寿命の短命化に影響し好ましくない。機器の小型化及び薄型化の実現と、高い信頼性とを両立するために、電動機及び固定子構成体の放熱特性の向上が強く求められている。
このような要求を満たすために、以下のような従来技術が公知である。
例えば、特許文献1等には、固定子巻線と固定子枠体の間に充填樹脂を真空状態で充填させることにより、放熱特性を高めた固定子構成体が記されている。
例えば、特許文献2等には、固定子枠体を貫通する固定用ピンを用いて、固定子磁心を固定子枠体の内側空間に、固定子枠体の内壁面と離間させたまま固定して、さらに固定子磁心の外周面と固定子枠体の内壁面との間の隙間空間に充填樹脂を充填し、巻装体の放熱特性を高めた固定子構成体が記されている。
特開昭60−28755号公報 特開2010−119157号公報
従来の固定子構成体では、固定子巻線と固定子枠体の間の空気層が存在し、この空気層による熱抵抗が生じていた。そのため、固定子構成体全体の熱抵抗の合成値は、空気層の熱抵抗の影響が支配的であり、このままの構成では、固定子構成体の放熱性を高めることに限界があった。
そこで、固定子構成体の放熱性を高めるために、固定子巻線と固定子枠体の間の空気層に充填樹脂を充填することで、この部分の熱抵抗を低減することによって、放熱性を高めた固定子構成体が提案されてきた。
しかしながら、特許文献1などに記された技術のように、固定子と固定子枠体の間に充填樹脂を充填する場合は、充填樹脂へ周囲の空気が気泡として含入することを防ぐため、固定子及び固定子枠体を含む周囲の製造工程を真空状態に保つ真空設備を要し、製造設備は大規模化する。この場合、設備投資の額は高騰し、経営的観点での課題を招く。また、製造工程の工数増加も招くことから、生産性の低下や、コスト上昇などの、更なる経営的観点の課題を招く。
また、特許文献2などに記された技術のように、固定子枠体への固定子磁心からの締め付け応力の印加によって固定子磁心の磁気特性に劣化を生じて、固定子磁心の鉄損が増加することを回避する構成として、固定子枠体を貫通する固定用ピンを用いて固定子磁心を中空に浮かす様態を構成し、かつ、固定子巻線の固定子磁心と固定子枠体の隙間に充填樹脂を充填する構成とした場合であっても、上述と同様の課題が考察される。
一般的に、放熱特性を高めるためには、充填樹脂にも熱伝導率の高いものを採用することが好ましい。しかし、高熱伝導率を有する充填樹脂は、フィラーの含有量が高い傾向であり、そのため粘度も高くなるために、充填樹脂の注入時には気泡の含入が生じ易い。この充填樹脂への気泡の含入を防ぐためには、固定子及び固定子枠体を含む製造工程の環境を真空状態に保つ真空設備を要し、当然、製造設備は大規模化する。上述と同様に、この場合も、設備投資の額は高騰し、この投資の償却費用等での経営的観点の課題を招く。また、製造工程の工数増加も招き、生産性の低下やコスト上昇などの、更なる経営的観点での課題を招く。
本発明は、上記の課題を解決するものであり、固定子磁心の鉄損の増加を抑制し、かつ、固定子構成体の熱抵抗を低減する新規な構成を具備する電動機及びその固定子構成体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、第一の発明の固定子構成体は、固定子磁心と、この固定子磁心の複数のティース部の各々を覆うインシュレータと、前記インシュレータ毎に絶縁電線が巻装される巻装体とを含む固定子と、この固定子の巻装体と電気的に接続される印刷配線板とを含む固定子中間組立体と、この固定子中間組立体と電気的に接続されるコネクタと、前記固定子中間組立体を収容しかつ前記コネクタを具備する固定子枠体と、前記固定子枠体の内の底部と前記固定子中間組立体の下部との隙間の下部空間、前記固定子枠体の内周壁面と前記固定子磁心の外周面とが密接する箇所を除く隙間空間及び隣り合う巻装体同士の巻装部隙間空間に充填される充填樹脂とを含む固定子構成体において、前記固定子枠体の内周壁と前記固定子磁心の外周面とが密接する箇所の界面には、前記充填樹脂の滲入による樹脂滲入部又は/及び前記充填樹脂の非滲入による非滲入部を有し、前記固定子枠体の構成材料の熱伝導率は前記固定子磁心の構成材料の熱伝導率よりも高い値であり、かつ、前記充填樹脂の熱伝導率は前記絶縁電線の絶縁被膜の材料の熱伝導率よりも高い値である。
また、第二の発明は、第一の発明の固定子構成体において、充填樹脂に含むフィラーの充填率の値の範囲は、下限値を10重量%とし且つ上限値を50重量%とする。
また、第三の発明は、第一の発明の固定子構成体において、充填樹脂に含むフィラーの成分は、少なくとも水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム又は窒化珪素のいずれかを含む。
また、第四の発明は、第一の発明の固定子構成体において、固定子枠体の材質は、不可避不純物を含むアルミニウム、アルミニウム合金又はマグネシウム合金のいずれかである。
また、第五の発明は、第一の発明の固定子構成体において、ポリエステル樹脂を含む絶縁被膜を有する絶縁電線を巻装体に含む。
また、第六の発明は、第一の発明の固定子構成体において、固定子枠体の外側面の少なくとも一部に放熱構成体を具備する。
また、第七の発明は、第一の発明の固定子構成体において、固定子枠体の外側面の少なくとも一部に放熱構成体を具備し、放熱構成体の様態としては、少なくとも、皺面、凸凹面又は複数の溝部を畝状に配置する畝状面のいずれかである。
また、第八の発明は、第一の発明の固定子構成体において、巻装体の引き出し接続線の活電部、前記印刷配線板の配線パターンの活電部及び前記コネクタの電気的接続箇所である活電部と、これら活電部を含む空間を充填樹脂によって非充填とする樹脂非充填空間部に含む。
また、第九の発明は、第一の発明の固定子構成体において、巻装体の引き出し接続線の活電部、前記印刷配線板の配線パターンの活電部及び前記コネクタの電気的接続箇所である活電部と、これら活電部を含む空間を充填樹脂によって充填する構成を含む。
また、第十の発明は、第一の発明の固定子構成体において、固定子枠体の壁部に、一つ又は複数の樹脂注入口を具備する。
また、第十一の発明は、第一の発明の固定子構成体において、固定子枠体の壁部に、一つ又は複数のセルフクローズ弁を具備する。
また、第十二の発明は、第一の発明の固定子構成体において、固定子中間組立体には、複数のセグメントコアの円環状の連結体である固定子磁心を含む。
また、第十三の発明の電動機は、第一の発明の固定子構成体を含む。
また、第十四の発明の装置は、第一の発明の固定子構成体を含む電動機を搭載する。
本発明の固定子構成体は、固定子磁心と、この固定子磁心の複数のティース部の各々を覆うインシュレータと、前記インシュレータ毎に絶縁電線が巻装される巻装体とを含む固定子と、この固定子の巻装体と電気的に接続される印刷配線板とを含む固定子中間組立体と、この固定子中間組立体と電気的に接続されるコネクタと、前記固定子中間組立体を収容しかつ前記コネクタを具備する固定子枠体と、前記固定子枠体の内の底部と前記固定子中間組立体の下部との隙間の下部空間、前記固定子枠体の内周壁面と前記固定子磁心の外周面とが密接する箇所を除く隙間空間及び隣り合う巻装体同士の巻装部隙間空間に充填される充填樹脂とを含む固定子構成体において、前記固定子枠体の内周壁と前記固定子磁心の外周面とが密接する箇所の界面には、前記充填樹脂の滲入による樹脂滲入部又は/及び前記充填樹脂の非滲入による非滲入部を有し、前記固定子枠体の構成材料の熱伝導率は前記固定子磁心の構成材料の熱伝導率よりも高い値であり、かつ、前記充填樹脂の熱伝導率は前記絶縁電線の絶縁被膜の材料の熱伝導率よりも高い値とする構成とすることで、放熱効果を高めた信頼性の高い固定子構成体を提供可能である。
また、固定子構成体に生じる銅損及び鉄損による発熱に対して、電動機の等価的な熱抵抗の精査によって、放熱に関して効率的な熱平衡回路を構成可能である。この結果、フィラーの含有量が低く低粘度であるため製造工程の品質維持管理に好適ではあるが、反面、熱伝導率の値が低く放熱効果の乏しい充填樹脂を選択したとしても、本発明の構成によって放熱に関して効率的な熱平衡回路を構成し得るため、固定子構成体全体及び電動機自体の温度上昇を抑制し、電動機の駆動時の自己発熱による温度上昇も従来よりも低い温度とすることが可能となる。
また、上記の製造工程の品質維持管理に関しては、フィラーの含有量が少ない低粘度の充填樹脂を使用することが可能なため、樹脂中へ周囲の空気を気泡として含入することを抑制可能であり、固定子構成体の製造工程には、高圧注入装置や真空装置等の大規模な製造装置を要することも無く、かつ信頼性及び生産性の高い固定子構成体を提供することが可能となる。
このように、本発明の固定子構成体は、優れた放熱特性と、固定強度の強化を図った構成を有することにより、従来と比べ、使用環境温度の上限の制約や使用用途の環境に制限されることが少なく、固定子の小型化、薄型化及び高出力の実現が可能となる。
一従来例の電動機の固定子構成体の断面の概要を示す図 本発明及び一従来例の電気的接続部の断面の概要を示す図 絶縁電線の断面の概要を示す図 本発明及び一従来例の固定子中間組立体の断面の概要を示す図 本発明の固定子構成体を製造する際の概要を示す図 本発明の固定子構成体の第一例の断面を示す図 本発明の固定子構成体の第二例の断面を示す図 固定子磁心及びセグメントコアの概要を示す図(a)固定子磁心と固定子枠体の概要を示す図(b)セグメントコアの概要を示す図 電動機の外観の概要を示す図(a)正面図(b)側面図
以下、本発明について、図面及び表を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態又は実施例によって本発明が限定されるものではない。
本発明の実施例1に関して、図4〜図7を示す。固定子中間組立体13は、固定子磁心1、インシュレータ2及び巻装体3を含む固定子と、印刷配線板5とから構成される。この固定子中間組立体13においては、軸方向の片側に、印刷配線板5に配置され、巻装体3同士の結線部の接続線端部、コネクタ6と接続する巻装体3の接続線端部及び印刷配線板5と接続する巻装体3の接続線、いずれも印刷配線板5の配置側に配線される。
なお、印刷配線板5は、環状(ドーナツ型形状)、扇型形状(円弧状)、Cの字状の形状などであり、中央に中空部を有し、この中空部には回転子や電動機の出力軸が遊挿される。
そして、固定子枠体4の開口端を上方に設置し、一方、下方には固定子枠体4のシャフト孔を設置する。この状態の固定子枠体4の中に、固定子枠体4の開口端の側から固定子中間組立体13を納置する。このとき、固定子中間組立体13は、印刷配線板5の配置側を固定子枠体4の開口端の側に位置させる。また、固定子枠体4の開口端の近傍には、コネクタ6を配置するコネクタ窓部を設けている。このコネクタ窓部に配置されたコネクタ6と、固定子中間組立体13とは電気的に接続される構成である。
そして、固定子磁心1の中空部の内壁には、円柱状の中芯治具12を密着した状態で挿入する。次に、固定子枠体4の壁部の一部又は複数の箇所の各々に設けた樹脂注入口9にはセルフクローズ弁10を設け、ディスペンサーのノズルをセルフクローズ弁10に挿入し、液状の充填樹脂11を注入する。
上記の充填樹脂11の注入方法について、更に説明する。固定子枠体4のセルフクローズ弁10に、樹脂注入用ディスペンサーのニードルを挿入し、液状のエポキシ樹脂等の充填樹脂11はニードルを経由して注入される。そして、液状の充填樹脂11は、固定子が位置する箇所の下部空間内に供給され、この下部空間部から主に固定子磁心1の外周面と固定子枠体との非接触部分である空隙及び隣り合う巻装体3同士の空隙を流路として、これら空隙を液状の充填樹脂11にて満たしつつ、他の樹脂未充填空間へ流入し、遂には隙間空間のほぼ全てが充填樹脂11によって満たされる。
なお、セルフクローズ弁10は、ゴム弾性等を利用した開閉機構を有するため、樹脂注入後に、ディスペンサーのニードルを抜いた際にニードル挿入時に空いたセルフクローズ弁10は自動的に閉じられ、固定子内部から固定子外部へ注入した充填樹脂11が逆流や漏れを起こすことがない。このため、生産ラインの設備や製品自体への飛散樹脂の付着などは生じず、清掃等の手間や製造設備の不具合動作も抑制されることから、生産ラインの生産能力は高いものとなる。当然、生産タクトの増加や、製造工程の工数の増加もなく、安価に信頼性の高い製品を提供することが可能であり、産業的価値は大いなるものである。
なお、セルフクローズ弁10であるが、樹脂注入の前後において、樹脂漏れを防ぐ機能を有するものであれば、他の構成物でもよい。例えば、簡便なものとしては、弾性体による栓体による打栓・開栓によって樹脂の注入口の開閉を行う構成でもよい。
また、固定子枠体4の壁部に、セルフクローズ弁10や、樹脂注入口9などの樹脂注入用の構成物を何らも設けない構成の場合は、上記のディスペンサーを用いる工法とは、別の様態の工法を採用する。例えば、固定子中間組立体13に具備する隙間空間へ、固定子中間組立体13の上方の空間側からディスペンサーのニードルを挿入して液状の充填樹脂11を注入する方法でも良い。また、充填樹脂の貯留容器等に入れた充填樹脂11を、固定子中間組立体13の上方の空間側から滴下して、固定子中間組立体13に具備する隙間空間を液状の充填樹脂11で満たしても良い。
ディスペンサーによる注入や、充填樹脂の貯留容器等からの滴下によって、充填樹脂11は固定子枠体4の下部空間部へ供給され、さらに、充填樹脂11は、固定子磁心1と固定子枠体4との空隙及び巻装体3同士の隙間へ流入する。この際、固定子中間組立体13の上部側から空隙内部の空気を排出しつつ、充填樹脂11が流動するため、充填樹脂11への気泡の含入は生じず、硬化した樹脂への空気溜まり(ボイド)も少なく、充填樹脂11の硬化後は安定した放熱特性を有し、かつ、信頼性の高い固定子構成体14を、安価に提供することが可能となる。
なお、固定子磁心1の中空部に挿入した、円柱状の中芯治具12は、液状の充填樹脂11が硬化して固体化した後に取り除く。
つぎに、固定子枠体4の内周壁と固定子磁心1の外周面とが密接する箇所の様態について説明する。固定子枠体4の内周壁と固定子磁心1の外周面とが密接する箇所の界面には、毛細管現象による充填樹脂11の滲入(滲み込み)によって生じた樹脂滲入部(滲み込み部)と、充填樹脂11の滲入(滲み込み)の生じていない樹脂非滲入部とが混在するケースが多い。
なお、場合によっては、固定子枠体4の内周壁と固定子磁心1の外周面とが密接する箇所の界面の全てに、充填樹脂11の滲入(滲み込み)が生じることもある。また、場合によっては、固定子枠体4の内周壁と固定子磁心1の外周面とが密接する箇所の界面のほとんど全てに、充填樹脂11の滲入(滲み込み)が生じないこともある。充填樹脂11の滲入の有無は、上記の界面のミクロな寸法の値の出来具合や、充填樹脂11の環境温度による粘度変化など、様々な要因が影響する。
さて、固定子枠体4の内周壁と固定子磁心1の外周面とが密接する箇所の界面においては、上記の樹脂滲入部(滲み込み部)に該当する箇所には、ミクロな樹脂層が生じる。同様に、上記の樹脂非滲入部に該当する箇所にて、ミクロな空気層が生じている。
しかし、これらのミクロな樹脂層や空気層による熱抵抗は、温度上昇に影響を与えるほどの値ではなく、ネグレクト(neglect)し得る微小な値である。したがって、固定子磁心1の鉄損により生じた熱エネルギーや、巻装体の銅損により生じた熱エネルギーは、固定子磁心1から固定子枠体4へ伝播する経路に、熱伝導を阻害する熱抵抗は無いに等しい様態であり、放熱効果の高い様態を構成し得る。
ちなみに、上記のミクロな樹脂層や空気層による熱抵抗の値は、当業者であれば、机上計算にて容易に確認し得るものであり、詳細な記述は割愛する。
図4は、本発明の固定子構成体14の断面図である。図4における充填樹脂11の主要な樹脂成分は、エポキシやポリエステル、ポリウレタン等の熱硬化性の充填樹脂から適宜選択する。固定子の放熱特性を向上させるため、充填樹脂11には、酸化アルミニウム(通称はアルミナ)や窒化珪素等の高熱伝導率を示す充填材を配合している。
また、充填樹脂11の粘性が高い場合は、上述のとおり空隙への充填樹脂11の浸透は困難性を伴う。このため、充填樹脂11は低粘度で流動性の高い方が好ましい。
本発明の実施例1においては、充填樹脂11として、水酸化アルミニウムを含むフィラーの含有率が30重量%のエポキシ系樹脂を使用している。水酸化アルミウムをフィラーとして用いる場合は、ハロゲン系難燃剤を使用することなく、充填樹脂11の難燃化と熱伝導化特性を両立出来る。
また、フィラーの含有量を30重量%とすることで、硬化前の充填樹脂11の粘度を1100mPa・sに留めることができ、脱泡工程を不要とし、巻装体6(固定子巻線)と固定子枠体4の空間に、気泡を含まない充填樹脂11を充填することが可能となる。
更に、エポキシ系の樹脂を用いることで、アルミニウムに対して20N/mm以上の接着強度を確保でき、小型化、薄型化を目的に積厚の薄い固定子磁心1を用いた巻装体6(固定子巻線)を固定子枠体4に温嵌した状態でも、接着強度の高い充填樹脂11を充填するだけで、巻装体6(固定子巻線)と固定子枠体4との間を強固に固定することが可能となる。このため、本発明では、従来技術で採用されていた固定用ピン等の何らかの固定用の部品を付加する必要はない。
また、充填樹脂11には、粘度の低い樹脂を用いるため、固定子構成体14の隙間への充填樹脂11の注入量は、充填樹脂11の液面の管理にて代用し得る。このため、本発明の製造に際しては、製造工程の合理化も容易となり、かつ、製造品質の安定化にも寄与する。
充填樹脂11の注入量の少ないケースは、図6に示す。例えば、巻装体3同士の結線部である電気的接続部や、巻装体3と印刷配線板5の配線パターンとの接続部である電気的接続部や、巻装体3とコネクタ6との接続部である電気的接続部などに、充填樹脂11にて充填埋設させない様態としても良い。つまり、巻装体3同士の結線部や、巻装体3とコネクタ6との接続部等の電気的接続部の周囲には、充填樹脂11が充填されないままである樹脂非充填空間部を設けても良い。
この場合では、電気的接続部である活電部は、充填樹脂11と直接に接する構成ではなく、空気(大気)を介する構成となる。したがって、もし、仮に、充填樹脂11から何らかのガスが発生しても、活電部の周囲に滞留することはなく拡散消失し、不具合は生じない。これにより、電気的接続部の構成は、充填樹脂11からのガスが発生することも考察される様な、過酷な使用環境下にも適応し得る。
また、充填樹脂11の注入量の多いケースは図7に示す。例えば、巻装体3同士の結線部である電気的接続部や、巻装体3と印刷配線板5の配線パターンとの接続部である電気的接続部や、巻装体3とコネクタ6との接続部である電気的接続部などに、充填樹脂11にて充填埋設する様態としても良い。つまり、巻装体3同士の結線部や、巻装体3とコネクタ6との接続部等の電気的接続部の周囲には、充填樹脂11が充填されるため、電気的接続部の周囲には空間が存在していない。この場合では、巻装体3のコイルエンドも充填樹脂11にて充填埋設される様態となるため、放熱効果が高まり、温度上昇の抑制に有効である。
本発明における各構成要素の各熱伝導率の設定は、後述のとおりである。巻装体3(固定子巻線)は、熱伝導率36W/m・Kの珪素鋼板の積層体からなる固定子磁心1に、インシュレータ2を介して導体7に熱伝導率0.2W/m・Kのポリエステルを含む絶縁被
膜8が被覆されている絶縁導線を巻装して形成する。固定子構成体14は、この巻装体6(固定子巻線)を熱伝導率96W/m・Kのアルミニウム合金からなる固定子枠体4の内部空間に配置固定することによって形成する。
つぎに、固定子中間組立体13を固定子枠体4に固定する際は、固定子枠体4を120℃に温めて巻装体3(固定子巻線)を温嵌めする。この温嵌めの工程を経て、固定子中間組立体13の固定子磁心1が固定子枠体4と密接する形で保持される。また、巻装体6(固定子巻線)と固定子枠体4とが密接している部分以外の空間については、熱伝導率0.4W/m・Kの水酸化アルミニウムを含むフィラー含有率30重量%のエポキシ樹脂からなる充填樹脂11によって充填する。
固定子磁心1と固定子枠体4が接しており、上述の各構成要素の各熱伝導率の設定とすることによって、固定子磁心1の熱伝導率よりも固定子枠体4の熱伝導率は高く、かつ巻装体3の絶縁被膜8の熱伝導率よりも充填樹脂11の熱伝導率は高くする構成とすることで、効果的に巻装体3で発生した熱を、固定子枠体4を通じて、外部に放熱することが可能となり、固定子の、小型化・薄型化・高出力化への要望を実現することが出来る。
なお、本実施例においては、充填樹脂11には、フィラーを含むエポキシ樹脂を用いているが、エポキシ樹脂に換えて、ポリエステル樹脂又はポリウレタン樹脂を用いても良い。
図8には、本実施例の固定子磁心1の一例を示す。図8(b)には、セグメントコア101を示す。セグメントコア101は、ヨーク部102とティース部103と鍔部104とからなる。なお、セグメントコア101には、電磁鋼板等の磁性体を積層したものを用いている。そして、図8(a)に示すとおり、セグメントコア101のティース部103には、インシュレータ2にて被覆され、巻装体3とセグメントコア101との絶縁性を更に高めている。
なお、図8に示すセグメントコアの様態は、ティース部毎に各々分割された個片を成す様態であるが、他の様態として固定子磁心における外周径部に相当する箇所であるセグメントコアのヨーク部の外径部近傍にて各セグメントコア同士を連結する連結部(橋絡部や、蝶番部など)を具備する様態の帯状の連結磁心を、連結部を屈曲させて円環状の固定子磁心を構成する様態を採用しても良い。
また、絶縁電線は、図3に示したものと同様のものであり、導体7にポリエステルを含む絶縁被膜8にて被覆する構成である。絶縁電線の導体7には、銅又は銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金などを用いる。そして、この銅又は銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金などには、微量な不可避不純物及び意図して添加された微量元素を含むものである。
また、上記のインシュレータ2の材料には、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリエーテルケトン、液晶ポリマーなどで高強度とする他、これらの材料の剛性を上げるために、ガラス繊維や無機充填剤などのフィラーを加えた充填樹脂を用いる。
そして、図8(a)に示すとおり、インシュレータ2及び巻装体3を具備する複数のセグメントコア101を円環状の連結体として構成した固定子磁心1に、印刷配線板を具備させて固定子中間組立体を構成する。また、巻装体3の巻線の様態は、集中巻と一般的に呼称されるものである。ちなみに、固定子磁心1がセグメントコア等の分割型の磁心(分割鉄心)ではなく、円環状の電磁鋼板を積層した一体型の固定子磁心の様態を採用する場合における巻線の様態は、上記同様に集中巻も可能であるが、分布巻又は波巻と呼称され
る巻線の様態の採用も可能である。なお、図8(a)においては、印刷配線板の描画は省略しており、図示してはいない。また、図8(a)においては、セグメントコア101を円環状に連結した固定子磁心1の描画に関して、巻装体3及びインシュレータ2を一部分のみ描画し、そのほかの該当箇所の巻装体及びインシュレータは描画を省略している。
(表1の説明)
表1は、各部材の熱伝導率と固定子の放熱効果を示す表である。表1に示すように、実施例1の構成は、固定子磁心1と固定子枠体4とを密接させる構成である。具体的には円環状の形状に構成された固定子磁心1の円筒状の外周面と、固定子枠体4の円筒状の内壁面とを密接させる構成である。そして、固定子枠体4の熱伝導率が、固定子磁心1の熱伝導率より高く、且つ、充填樹脂11の熱伝導率が、巻装体3の絶縁被膜8の熱伝導率よりも高い構成とすることで、巻装体3で発生した熱を、固定子枠体4の外壁表面へ伝導させて、効率的な放熱を可能とする。
表1に示すとおり、比較例[1−1]、比較例[1−2]、比較例[1−3]、比較例[1−4]、比較例[1−5]、比較例[1−6]及び比較例[1−7]は、実施例1よりも放熱効果は劣ることが判る。
表1に示すとおり、実施例1は、放熱効果の評価が最上位である。比較例においては、比較例[1−2]及び比較例[1−4]の放熱効果の評価が、実施例1に次ぐ、上位の評価である。比較例[1−1]及び比較例[1−6]の放熱効果の評価は、中位の評価である。比較例[1−3]、比較例[1−5]及び比較例[1−7]の放熱効果の評価は、下位の評価である。
上記の本発明の実施例1の構成を採用することで、充填樹脂11の熱伝導率を過剰に高めることもなく、フィラーの含有率を小さい値に留めた樹脂であっても、巻装体3及び固定子磁心から発生する熱を、効果的に放熱する構成を実現可能である。したがって、固定子構成体の製造工程には、大規模な製造装置の導入は要せず、また製造工程の生産性を阻害する要因を招くことも無い。
Figure 2016197966
(表2の説明)
表2には、充填樹脂11のフィラーの充填率と固定子構成体14への適用効果の良否を示す。表2の実施例1[30]は、充填樹脂11のフィラーの充填率が30重量%であり
、表1の各項目の評価は高評価であり、最良な様態であることが解る。表2の実施例1[30]の評価に次ぐ、準高評価なケースは、表2の実施例1[10]及び表2の実施例1[50]であり、充填樹脂11のフィラーの充填率は、それぞれ、10重量%、50重量%である。この結果から、充填樹脂11のフィラーの充填率は、10重量%から50重量%の範囲が、好適な範囲であると評価する。
一方、表2の比較例[2−2]及び比較例[2−3]に示すように、充填樹脂11のフィラーの含有量が50重量%を超えて、70重量%、90重量%、という高い値では、充填樹脂11の粘度が過度に高まり、充填樹脂11の流動性が極端に低下し、巻装体6(固定子巻線)と固定子枠体4の空間に充填する際には、気泡を含入する傾向が高まる。この気泡の含有を防ぐためには、別途、固定子中間組立体13及び固定子枠体を含む周囲の環境を真空状態とする真空装置などによる脱泡装置や脱泡工程を要する。また、比較例[2−2]及び比較例[2−3]は、フィラーの含有率が、それぞれ、70重量%、90重量%と高い値であり、経年変化により固定子磁心1や固定子枠体4との接着強度の低下傾向が大きく、さらには、巻装体6(固定子巻線)と固定子枠体4との接合部での剥離の発生や、巻装体6(固定子巻線)と固定子枠体4との接合部の離間が生じ易い傾向となる。
また、比較例[2−1]は、フィラーを全く含まないケースであり、フィラーの含有率は0重量%と表示するものである。この場合においては、フィラーを全く含まないため、機器運転時を想定した加速環境負荷試験である温度衝撃試験(ヒートサイクル試験)において、硬化後の充填樹脂11に亀裂を生じ、この亀裂によって放熱特性の劣化や樹脂の品質の劣化は顕著となる。
Figure 2016197966
なお、本実施例においては、フィラーとして、水酸化アルミニウムを用いたが、水酸化アルミニウムに換えて、酸化アルミニウム又は窒化珪素を用いても良い。
また、固定子枠体4の材質をアルミニウム合金とすることで、固定子磁心1よりも熱伝導率を高く設定でき、固定子構成体14への通電時に発生する熱エネルギーを効率的に放熱して温度上昇を抑制し得る。
そして、アルミニウム合金は、熱伝導率が高い他の金属やセラミック等に比較し非常に柔らかいので、温嵌めによって固定子磁心1の受ける応力や固定子磁心1の変形を最小限に抑制することが可能となり、巻装体6(固定子巻線)を固定子枠体4内に固定する際に生じる固定子磁心の鉄損の増加は僅かであり、電動機の特性の低下も軽微なものとなる。
また、アルミニウム合金を用いた固定子枠体4は、加工性も高いため、表面にスジタテ加工や、成型時の金型にてシボ加工等の放熱構成体を設けることで、固定子枠体4の外周面の表面積を大きくすることが容易であり、固定子枠体4の外周面表面積を大きくすることで、固定子構成体14の放熱特性の向上が図れる。このように、固定子枠体の外側面の少なくとも一部に放熱構成体を具備させる。放熱構成体の様態としては、皺面、凸凹面又は複数の溝部を畝状に配置する畝状面など多様であり、電動機の仕様等に応じて、適宜選択する。
上述のとおり、従来の固定子構成体と比較して、本発明の固定子構成体は、生産性、信頼性ともに高い。
なお、本実施例においては、固定子枠体4の材料には、アルミニウム合金を用いたが、アルミニウム合金に換えて、不可避不純物を含むアルミニウムやマグネシウム合金などを用いても良い。
(電動機の説明)
本発明の固定子構成体を具備する電動機の概要を説明する。図9には、電動機の外観の一例を示す。電動機15は、上述の固定子構成体のほかに、回転子、出力軸16(回転軸)、一対の軸受、ブラケット等の各構成要素によって構成する。なお、回転子、出力軸(回転軸)、軸受、ブラケットについては、当業者であれば自明のことであり、図面における明示は割愛する。電動機の構成は、固定子構成体に設けた円筒状の内部空間に、出力軸(回転軸)を具備する回転子を配置する。さらに、この回転子の出力軸の両端各々を回転自在に支承する一対の軸受を設ける。一方の軸受の外輪側はブラケットの収容部に固定される。他方の軸受の外輪側は、固定子枠体の底部の収容部に固定される。
(参考例)
以下では、参考例として、従来技術による固定子構成体を説明する。従来技術による固定子構成体14では、巻装体6(固定子巻線)と固定子枠体4との隙間空間に充填樹脂11を充填する際に、充填樹脂11の熱伝導率のみを高めるという視点で調整された樹脂を充填樹脂11として採用する。
具体的には、フィラー含有率が70重量%を超える高粘度の充填樹脂11を用いるために、充填樹脂11の注入時に周囲の空気を気泡として樹脂中に含入すること防ぐため、巻装体6(固定子巻線)内部を真空状態に保つ真空装置が必要となり、製造装置が大規模化するという課題がある。この場合、多額の設備投資が必要になる上、生産性の向上も難しいものとなる。
また、図1に示すように、固定子中間組立体13を固定子枠体4に固定する際に、固定子中間組立体13と固定子枠体4との固定に焼嵌めを採用すると、固定子磁心1には、固定子枠体4の冷却収縮に伴い応力が加わるため鉄損が上昇する。この鉄損の上昇を回避す
る一手段として、固定子磁心1と固定子枠体4との間に隙間空間を意図的に配置し、その隙間空間に充填樹脂11を充填し固定子磁心1と固定子枠体4とを接合する。
その際、巻装体6(固定子巻線)と固定子枠体4との固定強度を強化するために、例えば、固定子枠体4を貫通して固定子磁心1を固定子枠体4の内壁から離間させ且つ固定する固定用ピン9aを用いる構成がとられる場合がある。この場合、固定子磁心1より、充填樹脂11の熱伝導率は、本発明の様態と比べて1/10程度となる。このように、巻装体3の銅損及び固定子磁心1の鉄損による熱エネルギーの伝播は、充填樹脂11によって阻害される。このように、本参考例においては、固定子枠体4への熱エネルギーの伝播について、効率的な放熱経路は構成し難い。
そのため、充填樹脂11の熱伝導率を高めるために必然的に、充填樹脂11へは、フィラーを多量に含有させる様態を選択することとなる。フィラーを多量に含有した充填樹脂11の粘度は過剰に高くなり、樹脂中への気泡の含有が発生する。この樹脂中の気泡の含有を防ぐため、巻装体6(固定子巻線)内部を真空状態に保つ真空装置が必要となり、製造装置が大規模化する。この場合、高額な設備投資が必要になる上、生産性も大きく悪化する。更には、固定用ピン9aなどの、部材の追加も必要となって、製造工数の増加及び部品コストの上昇を招くことは、望ましいものではない。
本発明の固定子構成体は、従来の固定子構成体と比べ、高い放熱性と信頼性を有するため、本固定子構成体の搭載商品の用途は、多岐に拡大し、機器の仕様の多様化にも適用可能であり、産業的価値は大いなるものである。
1 固定子磁心
2 インシュレータ
3 巻装体
4 固定子枠体
5 印刷配線板
5a はんだ
6 コネクタ
7 導体
8 絶縁被膜
9 樹脂注入口
9a 固定用ピン
10 セルフクローズ弁
11 充填樹脂
12 中芯治具
13 固定子中間組立体
14 固定子構成体

Claims (14)

  1. 固定子磁心と、この固定子磁心の複数のティース部の各々を覆うインシュレータと、前記インシュレータ毎に絶縁電線が巻装される巻装体とを含む固定子と、この固定子の巻装体と電気的に接続される印刷配線板とを含む固定子中間組立体と、この固定子中間組立体と電気的に接続されるコネクタと、前記固定子中間組立体を収容しかつ前記コネクタを具備する固定子枠体と、
    前記固定子枠体の内の底部と前記固定子中間組立体の下部との隙間の下部空間、前記固定子枠体の内周壁面と前記固定子磁心の外周面とが密接する箇所を除く隙間空間及び隣り合う巻装体同士の巻装部隙間空間に充填される充填樹脂とを含む固定子構成体において、
    前記固定子枠体の内周壁と前記固定子磁心の外周面とが密接する箇所の界面には、前記充填樹脂の滲入による樹脂滲入部又は/及び前記充填樹脂の非滲入による非滲入部を有し、そして前記充填樹脂に含むフィラーの充填率の値の範囲は、下限値を10重量%とし且つ上限値を50重量%とし、さらに、
    前記固定子枠体の構成材料の熱伝導率は前記固定子磁心の構成材料の熱伝導率よりも高い値であり、かつ、前記充填樹脂の熱伝導率は前記絶縁電線の絶縁被膜の材料の熱伝導率よりも高い値である固定子構成体。
  2. 請求項1記載の固定子構成体において、充填樹脂に含むフィラーの充填率の値の範囲は、下限値を10重量%とし且つ上限値を50重量%とする固定子構成体。
  3. 請求項1記載の固定子構成体において、充填樹脂に含むフィラーの成分は、少なくとも水酸化アルミニウムを含む固定子構成体。
  4. 請求項1記載の固定子構成体において、固定子枠体の材質は、不可避不純物を含むアルミニウム合金である固定子構成体。
  5. 請求項1記載の固定子構成体において、ポリエステル樹脂を含む絶縁被膜を有する絶縁電線を巻装体に含む固定子構成体。
  6. 請求項1記載の固定子構成体において、固定子枠体の外側面の少なくとも一部に放熱構成体を具備する固定子構成体。
  7. 請求項1記載の固定子構成体において、固定子枠体の外側面の少なくとも一部に放熱構成体を具備し、放熱構成体の様態としては、少なくとも、皺面、凸凹面又は複数の溝部を畝状に配置する畝状面のいずれかである固定子構成体。
  8. 請求項1記載の固定子構成体において、
    巻装体の引き出し接続線の活電部、前記印刷配線板の配線パターンの活電部及び前記コネクタの電気的接続箇所である活電部と、これら活電部を含む空間を充填樹脂によって非充填とする樹脂非充填空間部に含む固定子構成体。
  9. 請求項1記載の固定子構成体において、
    巻装体の引き出し接続線の活電部、前記印刷配線板の配線パターンの活電部及び前記コネクタの電気的接続箇所である活電部と、これら活電部を含む空間を充填樹脂によって充填する構成を含む固定子構成体。
  10. 請求項1記載の固定子構成体において、
    固定子枠体の壁部に、一つ又は複数の樹脂注入口を具備する固定子構成体。
  11. 請求項1記載の固定子構成体において、
    固定子枠体の壁部に、一つ又は複数のセルフクローズ弁を具備する固定子構成体。
  12. 請求項1記載の固定子構成体において、固定子中間組立体には、複数のセグメントコアの円環状の連結体である固定子磁心を含む固定子構成体。
  13. 請求項1記載の固定子構成体を含む電動機。
  14. 請求項1記載の固定子構成体を含む電動機を搭載する装置。
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