JP2016197160A - 空間光変調器 - Google Patents

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信彦 船橋
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慎太郎 麻生
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秀和 金城
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大典 加藤
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賢一 青島
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Kenji Machida
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淳 久我
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Abstract

【課題】空間光変調器の製造を従来に比べて容易にする。【解決手段】画素アレイ10は、2次元アレイ状に配列された複数の画素11を有する。各画素11は、互いに磁気特性は略同じであるが体積は異なる複数のスピン注入型磁化反転素子を有している。スピン注入型磁化反転素子は、スピン注入により磁化方向が反転する素子である。選択的電流供給部50は、画素11を選択して当該画素11のスピン注入型磁化反転素子に一定電流を供給することでその磁化方向を反転する。選択的電流供給部50は、前記一定電流のパルス幅を可変するパルス幅選択部56を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、空間光変調器に関する。
ホログラフィー技術を利用した立体映像表示用デバイスにおいて、実用的な視域として30°以上を確保するためには、表示装置である空間光変調器(SLM:Spatial Light Modulator)の画素ピッチを1μm以下にする必要がある。この点では、画素の書き換えにスピン注入磁化反転(STS:Spin Transfer Switching)を用いたスピン注入型空間光変調器(Spin-Spatial Light Modulator)が好適である(例えば、特許文献1等を参照)。
スピン注入型空間光変調器(以下では、単に「空間光変調器」という)は、磁化の向きに応じた光の偏光面の異なる回転を、それぞれ光の明、暗に割り当てることにより光の変調を実現している。例えば、磁化の方向を空間光変調器における磁化方向可変層の膜面の垂直方向とした場合、N極が上向きのとき、下向きのときの2状態を、夫々、光の明、暗(2値)に割り当てることになるので、そのままでは中間階調を表現すること(多値化)はできない。空間光変調器で中間階調を表現するためには、時分割多重や、1画素に複数のスピン注入型磁化反転素子を配置する等の手法が必要となる。
そこで、特許文献2,3には、1画素に複数のスピン注入型磁化反転素子を配置した上で、動作電流の大きさの違いにより、1画素中の複数のスピン注入型磁化反転素子において磁化の向きを反転する素子数を制御することによって中間階調を表現する技術が開示されている。
図7に示すように、特許文献2における空間光変調器の1画素(画素201)には、2つのスピン注入型磁化反転素子202,203が設けられ、当該画素201に動作電流を供給するための上部電極205及び下部電極204が接続されている。この空間光変調器は、画素201の上面視で、互いに形状は異なるが面積は等しいスピン注入型磁化反転素子202とスピン注入型磁化反転素子203とで1画素を構成している。すなわち、特許文献2では、スピン注入型磁化反転素子202とスピン注入型磁化反転素子203との縦横比を異ならせることにより発生する形状磁気異方性によって、素子202と素子203とで磁化の向きを反転させる電流量が異なるようにしている。これにより、動作電流を変えることで、素子202のみで磁化の向きを反転させ、あるいは、素子202及び素子203の両方で磁化の向きを反転させることができる。
図8に示すように、特許文献3における空間光変調器の1画素(画素211)においても、2つのスピン注入型磁化反転素子212,213が設けられ、当該画素211に動作電流を供給するための上部電極215及び下部電極214が接続されている。この空間光変調器では、特許文献2の例とは異なり、画素211の上面視で、互いに形状も面積も同じスピン注入型磁化反転素子212とスピン注入型磁化反転素子213とで1画素を構成している。その上で、特許文献3では、素子212と素子213とを近接配置して、磁気的な相互作用を起こすようにしている。これにより、特許文献3では、動作電流を変えることで、素子212のみ磁化の向きを反転させ、あるいは、素子212及び素子213の両方で磁化の向きを反転させることができる。
特許第4829850号公報 特許第4939149号公報 特許第4939477号公報
R.H.Koch, J.A.Katine, and J.Z.Sun, "Time-Resolved Reversal of Spin-Transfer Switching in a Nanomagnet" ,Physical Review Letters, United States of America, American Physical Society, 27 February 2004,Volume 92, Number 8, pp.088302-1-088302-4 Takayuki Seki, Akio Fukushima, Hitoshi Kubota, Kay Yakushiji, Shinji Yuasa, and Koji Ando, "Switching-probability distribution of spin-torque switching in MgO-based magnetic tunnel junctions", Applied Physics letters 99, United States of America, American Institute of Physics, 16 September 2011, pp.112504-1-112504-3 Mahendra Pakala, Yiming Huai, Thierry Valet, Yunfei Ding, and Zhitao Diao, "Critical current distribution in spin-transfer-switched magnetic tunnel junctions", Applied Physics letters 98, United States of America, American Institute of Physics,13 September 2005, pp.056107-1-056107-3
しかしながら、特許文献2,3の技術のように動作電流の電流量を変動させようとすると、スピン注入型磁化反転素子の近傍に動作特性の異なる複数のトランジスタ(供給電流量の多いトランジスタと少ないトランジスタ)を設ける必要がある。そのため、当該トランジスタの設置スペースを空間光変調器に確保することの困難性や、当該トランジスタを空間光変調器に実装するための製造プロセスの煩雑性により、空間光変調器の製造が困難になってしまう。
本発明は、前記した問題点に鑑みてなされたものであり、スピン注入型磁化反転素子の近傍に動作特性の異なる複数のトランジスタを設ける必要のない空間光変調器を提供することを課題とする。
本発明の一形態は、画素アレイと、スピン注入型磁化反転素子と、選択的電流供給部と、を備えることを特徴とする空間光変調器である。
本発明によれば、2次元アレイ状に配列された複数の画素を有する画素アレイの各画素に、スピン注入により磁化方向が反転するスピン注入型磁化反転素子が設けられている。選択的電流供給部は、画素を選択して当該画素のスピン注入型磁化反転素子に一定電流を供給する。各画素は、予め定めた範囲の磁気特性にするとともに互いに体積が異なる複数のスピン注入型磁化反転素子を有している。選択的電流供給部は、前記一定電流のパルス幅を可変する。
よって、本発明によれば、スピン注入型磁化反転素子の作動電流の電流量を可変しなくても、電流のパルス幅を可変することで、各画素にそれぞれ複数個設けられているスピン注入型磁化反転素子のうち、磁化方向が反転するものの数を変えることができる。すなわち、体積の大きいスピン注入型磁化反転素子ほど、電流のパルス幅を大きくすることで磁化方向が反転する。これにより、磁化方向が反転するスピン注入型磁化反転素子の数の違いで中間調表示を行うことができる。よって、中間調表示を可能とするために、スピン注入型磁化反転素子の近傍に動作特性の異なる複数のトランジスタを設ける必要はなくなる。
本発明の空間光変調器によれば、スピン注入型磁化反転素子の近傍に動作特性の異なる複数のトランジスタを設ける必要をなくすことができる。
本発明の一実施形態にかかる空間光変調器の構成を説明する図である。 本発明の一実施形態にかかる空間光変調器の画素を拡大して示した上面図である。 本発明の一実施形態にかかる空間光変調器の画素を拡大して示した断面図である。 本発明の一実施形態にかかるホログラフィー装置の構成を説明する図である。 本発明の一実施形態にかかる空間光変調器のスピン注入型磁化反転素子の反転確率と緩和時間に規格化したパルス電流のパルス幅との関係を示すグラフである。 本発明の一実施形態にかかる空間光変調器の選択的電流供給部から画素アレイに供給するパルス電流の時間変化を示すグラフである。 従来の空間光変調器について説明する説明図である。 従来の空間光変調器について説明する説明図である。
[空間光変調器の構成]
まず、本実施形態にかかる空間光変調器1の構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態にかかる空間光変調器1は、光変調を行うための装置である。空間光変調器1は、スピン注入型空間光変調器であり、画素アレイ10と、選択的電流供給部50とを備えている。なお、本明細書における上面は、空間光変調器1(の画素アレイ10)の光の入射面であり、空間光変調器1は、画素11(画素アレイ10)に上方から入射した光を反射してその光を変調して上方へ出射する反射型の空間光変調器として説明する。なお、本発明を透過型の空間光変調器として構成してもよい。
(画素アレイ)
画素アレイ10は、2次元アレイ状に配列された複数の画素11を有し、光変調を行うための装置である。画素アレイ10は、画素11と、基板12と、上部電極13と、下部電極14と、絶縁部材15とを備えている。
画素11は、画素アレイ10における画像表示で、色情報(色調や階調)を持つ最小単位、最小要素である。画素11は、上面視で画素アレイ10に縦横に複数個配列されている。本実施例では、便宜上、4行4列の2次元アレイ状に16個の画素11が配列された例を示している。各画素11の構成の詳細については後述する。
基板12上には、基板12の上面側から順に、下部電極14、各画素11における後述のスピン注入型磁化反転素子21,22(図2、図3)、上部電極13が設けられている。
基板12は、例えば表面を熱酸化したSi基板等の公知の基板が適用できる。なお、透過型の空間光変調器を構成する場合は、基板12は、ガラス、サファイアなどの透光性の材料を用いて構成することができる。
上部電極13は、画素アレイ10における各列の複数(本例で4個)の画素11上をそれぞれ横断するように、画素アレイ10の画素11上に複数本(本例で4本)設けられているライン状の透明電極である。
上部電極13は、画素11に電流を流すとともに、画素11に照射する光を透過させるためにITO(Indium Tin Oxide:インジウム−スズ酸化物)、IZO(Indium Zinc Oxide:インジウム−亜鉛酸化物)、酸化スズ(SnO2)、酸化アンチモン−酸化スズ系(ATO)、酸化亜鉛(ZnO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウム(In23)等の透明電極材料で構成される。これらの透明電極材料は、スパッタリング法、真空蒸着法、塗布法等の公知の方法により成膜され、成形加工することができる。
下部電極14は、画素アレイ10における各行の複数(本例で4個)の画素11下をそれぞれ横断するように、画素アレイ10の画素11下に複数本(本例で4本)設けられているライン状の電極である。
下部電極14は、導電性の良好なCu、Ag等の金属を用いることができる。また、下部電極14は、多層構造としてもよく、例えば、比較的安価で導電性の良好なCuを主層とし、スピン注入型磁化反転素子21,22側の部分である上層部に反射率の高いAgを用いて形成するようにしてもよい。また、下部電極14も、上部電極13と同様に、ITO等の透明導電材料を用いて構成することもできる。下部電極14は、スパッタリング法、メッキ法等の公知の方法により成膜し、フォトリソグラフィ、及びエッチング又はリフトオフ法等により成形加工することができる。
絶縁部材15は、隣り合う上部電極13同士の間、スピン注入型磁化反転素子21,22同士の間、及び下部電極14同士の間にそれぞれ充填された絶縁材料であり、例えば、SiO2やAl23等からなる。
(スピン注入型磁化反転素子)
図2に示すように、各画素11は、スピン注入により磁化方向が反転するスピン注入型磁化反転素子を複数個(本例では、スピン注入型磁化反転素子21及び22の2個)備えている。スピン注入型磁化反転素子21とスピン注入型磁化反転素子22とは、画素11内において所定の距離を空けて配置されている。
スピン注入型磁化反転素子21,22は、磁化固定層31、中間層32、及び磁化自由層33が、この順に積層されて構成されている。磁化固定層31、中間層32、及び磁化自由層33の厚さは、いずれもスピン注入型磁化反転素子21とスピン注入型磁化反転素子22とで略等しい。また、スピン注入型磁化反転素子21とスピン注入型磁化反転素子22とでは、磁化固定層31、中間層32、及び磁化自由層33それぞれの材料も同じものを用いている。そのため、スピン注入型磁化反転素子21とスピン注入型磁化反転素子22とでは、予め定めた範囲の磁気特性である。予め定めた範囲の磁気特性とは、実質的に同等の磁気特性の範囲内である。具体的には、磁気特性として、スピン注入により磁化方向が反転するのに必要な電流密度(反転電流密度)が略同じ範囲にある。つまり、ある電流密度を与えたときに、スピン注入型磁化反転素子21とスピン注入型磁化反転素子22とは、体積が同等であれば、磁化方向の反転も同じになる。
スピン注入型磁化反転素子21,22には、上部電極13と下部電極14が上下に接続されている。すなわち、上面視で上部電極13と下部電極14とが交差する位置に、画素11、ひいてはスピン注入型磁化反転素子21及び22が、これら電極にそれぞれ接続して設けられている。上部電極13と下部電極14は、スピン注入型磁化反転素子21,22の膜面に垂直に電流を供給する電極である。
また、スピン注入型磁化反転素子21,22は、磁化が一方向に固定された磁化固定層31及び磁化の方向が反転可能な磁化自由層33を、非磁性の中間層32を挟んで備えたCPP−GMR(Current Perpendicular to the Plane Giant MagnetoResistance:垂直通電型巨大磁気抵抗効果)素子やTMR(Tunnel MagnetoResistance:トンネル磁気抵抗効果)素子等の構造を有するスピン注入型磁化反転素子である。
磁化固定層31は磁化方向が一方向に固定された膜であって、電流中の電子のスピンを弁別する機能を有する。磁化固定層31は磁化自由層33と同方向の磁気異方性を有することが望ましく、磁化自由層33に垂直磁気異方性を有する磁性膜を用いた場合は、磁化固定層31も垂直磁気異方性を有する磁性膜を用いる。本例では、磁化固定層31、磁化自由層33ともに垂直磁気異方性を有する磁性膜である。
磁化固定層31は、垂直磁気異方性を有するCPP−GMR素子やTMR素子等の磁化固定層として公知の磁性材料にて構成することができる。具体的にはFe,Co,Niのような遷移金属およびそれらを含む合金、例えばTbFe系、TbFeCo系、CoCr系、CoPt系、CoPd系、FePt系の合金が挙げられる。磁化固定層31の保磁力を大きくすることができ、磁化固定層31は、その磁化方向が外部磁場によって容易に変わらないようにすることができる。
また、磁化固定層31は、これらの遷移金属の膜と非磁性金属の膜とを交互に積層した多層膜で構成してもよく、Co/Pt,Fe/Pt,Co/Pd等の多層膜が挙げられる。これらの材料で構成することで、強い垂直磁気異方性を有し、また大きな保磁力を有する磁化固定層31とすることができる。
中間層32は、磁化固定層31と磁化自由層33との間に設けられ、磁化自由層33と磁化固定層31とを磁気的に分離するとともに、スピン偏極した電流を流す非磁性層である。スピン注入型磁化反転素子21,22がCPP−GMR素子を構成する場合は、中間層32は、Cu,Au,Agのような非磁性金属を用いることができる。また、スピン注入型磁化反転素子21,22がTMR素子を構成する場合は、中間層32は、Al、MgO、SiO,HfO2のような非磁性の絶縁体や、Mg/MgO/Mgのような非磁性の絶縁体を含む積層膜で形成することができる。
磁化自由層33は、スピン注入によって磁化方向が反転される層である。磁化自由層33は、磁化の方向が例えば上下方向(膜厚方向)であり、必要な駆動電流が供給されることにより、磁化の方向が上下反転する。磁化自由層33はスピン注入によって容易に磁化方向が反転されるとともに、磁気光学効果の大きいことが望ましい。磁気光学効果を大きくするためには垂直磁気異方性を有する磁性膜を用いることが望ましいので、好ましくは、GdFe系の合金膜を用いることができる。また、GdFe系の合金の他にも、GdFeCo系の合金、CoPt系の合金、CoPd系の合金、MnBi合金、MnSb合金、PtMnSb系の合金等を用いることができる。また、Co/PtやCo/Pdなどの多層膜を用いることができる。
また、磁化固定層31、中間層32及び磁化自由層33の各層間又は上部電極13、下部電極14との界面に、適宜に機能層を設けるようにしてもよい。例えば、微細加工プロセス中に磁化自由層33が受けるダメージを防ぐために、上部電極13及び下部電極14と界面に、Ta又はRuを含む保護層を設けてもよい。
なお、磁化固定層31、中間層32、及び磁化自由層33の各層は、例えばスパッタリング法や分子線エピタキシー(MBE)法等の公知の方法で連続的に成膜することで積層し、電子線リソグラフィ及びイオンビームミリング法等で所望の平面視形状に加工することができる。
図2、図3に示すように、スピン注入型磁化反転素子21とスピン注入型磁化反転素子22との違いは、互いの体積が異なることである。本例では、スピン注入型磁化反転素子21の方がスピン注入型磁化反転素子22に比べて体積が小さい。ここで、前記のとおり磁化固定層31、中間層32、及び磁化自由層33の厚さは、いずれもスピン注入型磁化反転素子21とスピン注入型磁化反転素子22とで略等しい。よって、スピン注入型磁化反転素子21とスピン注入型磁化反転素子22とで体積が異なるというのは、上面視で両者の面積が異なるということである。すなわち、ここで、厚さが略等しいとは、上面視で両者の面積を等しくすれば、磁化固定層31、中間層32、又は磁化自由層33の体積も実質的に同等となる程度に等しいことである。本例では、スピン注入型磁化反転素子21の方がスピン注入型磁化反転素子22に比べて体積が小さいので、スピン注入型磁化反転素子21の方がスピン注入型磁化反転素子22に比べて上面視で面積が小さい。
(選択的電流供給部)
選択的電流供給部50は、画素11を選択して当該画素11のスピン注入型磁化反転素子21,22に一定電流を供給することで、その磁化方向を反転するための装置である。
選択的電流供給部50は、画像信号受信部51と、画素選択部52と、上部電極選択部53と、下部電極選択部54と、パルス電流源55と、パルス幅選択部56と、電流方向選択部57と、同期部58とを備えている。
画像信号受信部51は、外部から空間光変調器1に表示する画像の画像信号を受信して、当該画像信号を画素選択部52、パルス電流源55、パルス幅選択部56及び同期部58に出力する。
上部電極選択部53は、複数本(本例で4本)ある上部電極13の中から1本を選択して、当該選択した上部電極13とパルス電流源55とを接続するようにスイッチングする。この場合に、選択されていない上部電極13はパルス電流源55とは切断されている。上部電極選択部53は、例えば、各上部電極13にそれぞれ接続された複数のスイッチング素子(MOSFET等)から構成され、この複数のスイッチング素子の中で、選択した上部電極13に接続されているものをONにし、選択されていない上部電極13に接続されているものをOFFにする。
下部電極選択部54は、複数本(本例で4本)ある下部電極14の中から1本を選択して、当該選択した下部電極14とパルス電流源55とを接続するようにスイッチングする。この場合に、選択されていない下部電極14はパルス電流源55とは切断されている。下部電極選択部54も上部電極選択部53と同様に、例えば、各下部電極14にそれぞれ接続された複数のスイッチング素子(MOSFET等)から構成され、この複数のスイッチング素子の中で、選択した下部電極14に接続されているものをONにし、選択されていない下部電極14に接続されているものをOFFにする。
画素選択部52は、画像信号受信部51から受信する画像信号に応じて、上部電極選択部53に対して複数の上部電極13のうち選択するものを指示する制御信号を出力し、また、下部電極選択部54に対して複数の下部電極14のうち選択するものを指示する制御信号を出力する。
パルス電流源55は、画像信号受信部51から受信する画像信号に応じて、各画素11のスピン注入型磁化反転素子21及び22に供給するパルス電流を出力する。パルス電流源55が生成するパルス電流は、当該パルス電流が立ち上がった状態では常に略一定の電流である。
パルス幅選択部56は、画像信号受信部51から受信する画像信号に応じて、パルス電流源55の出力するパルス電流のパルス幅(動作クロック数)を可変する。
電流方向選択部57は、パルス電流源55の出力するパルス電流を、上部電極13から下部電極14に流すか(本例では、これをプラス電流とする)、下部電極14から上部電極13に流すか(本例では、これをマイナス電流とする)を、画像信号に応じて選択する。
同期部58は、画像信号受信部51から受信する画像信号に応じて、パルス幅選択部56及び電流方向選択部57と、画素選択部52との動作の同期をとる。
[ホログラフィー装置の構成]
次に、本実施形態にかかるホログラフィー装置100の構成について説明する。
図4に示すホログラフィー装置100は、立体画像を表示するための装置である。
ホログラフィー装置100は、画像信号生成装置110と、ホログラム表示装置150とを備えている。
(画像信号生成装置)
画像信号生成装置110は、参照光L11と被写体の物体光L12とにより形成される干渉縞を撮像して画像信号に変換するための装置である。
画像信号生成装置110は、光源装置111と、ハーフミラー112と、ミラー113と、レンズ114と、ハーフミラー115と、CCD(Charge Coupled Device)撮像素子116とを備えている。
光源装置111は、レーザー光を発するレーザー光源121と、このレーザー光を拡大するビーム拡大器122と、この拡大されたレーザー光を平行光にするレンズ123とを備えている。
ハーフミラー112は、光の透過率と反射率が略同等で、レンズ123が発する平行光を参照光L11と照明光L13とに分割し、それぞれの光を異なる方向に照射する。
ミラー113は、ハーフミラー112を透過した光(参照光L11)を反射してハーフミラー115の一方の面に照射する。
レンズ114は、ハーフミラー112で反射された照明光L13により照らされた被写体Mの反射光(物体光L12)を平行光にする。
ハーフミラー115は、参照光L11と物体光L12とを重畳させて干渉縞L14を生成する。
CCDカメラ116は、干渉縞L14が入射し、これを画像信号に変換する。
(ホログラム表示装置)
ホログラム表示装置150は、前記の画像信号に基づいて被写体Mの立体画像Pを表示する装置である。
ホログラム表示装置150は、光源装置151(図3も参照)と、偏光フィルタ152及び153(図3も参照)と、前記の空間光変調器1とを備えている。
光源装置151は、レーザー光を発するレーザー光源161と、このレーザー光を拡大するビーム拡大器162と、この拡大されたレーザー光を平行光にするレンズ163とを備えている。
偏光フィルタ152は、レンズ163からの光(入射光L1)を偏光して空間光変調器1(の画素アレイ10)に入射偏光L2として入射させる。
偏光フィルタ153は、空間光変調器1(の画素アレイ10)で反射した光(出射偏光L3)が入射する。
[空間光変調器の動作]
次に、前記の構成の空間光変調器1の動作について説明する。
まず、本実施形態における各画素11のスピン注入型磁化反転素子21,22は、磁化自由層33の磁化方向に応じて、スピン注入型磁化反転素子21,22に入射される直線偏光の旋光角を変化させることで光変調する磁気光学効果を利用した素子である。
スピン注入型磁化反転素子21,22は、磁化自由層33における電子と逆方向のスピンを持つ電子を注入することにより、すなわち電流(前記のパルス電流)を電子の移動方向とは反対向きに供給することにより、磁化自由層33の磁化方向を反転(スピン注入磁化反転)させて、磁化固定層31の磁化方向(図3において上向き)と同じ方向又は180°異なる方向(図3において下向き)にすることができる。
具体的には、上部電極13をプラス、下部電極14をマイナスにして、磁化自由層33側から磁化固定層31へ電流を供給すると、図3においてスピン注入型磁化反転素子21に矢印で例示的に図示しているように、磁化自由層33の磁化は磁化固定層31の磁化方向と同じ方向(磁化が平行)になる。
反対に、上部電極13をマイナス、下部電極14をプラスにして、磁化固定層31側から磁化自由層33へ電流を供給すると、図3においてスピン注入型磁化反転素子22に矢印で例示的に図示しているように、磁化自由層33の磁化は磁化固定層31の磁化方向と逆方向(磁化が反平行)になる。なお、スピン注入型磁化反転素子21,22に供給するパルス電流の大きさは反転電流以上とする必要があるが、極力小さいことが好ましい。
スピン注入型磁化反転素子21,22が平行又は反平行の何れかの磁化を示していれば、その磁化を反転させる電流が供給されるまでは、磁化自由層33の保磁力により磁化が保持される。このように、スピン注入型磁化反転素子21,22において磁化は保持されるため、スピン注入型磁化反転素子21,22に供給する電流として、前記のパルス電流のように、磁化方向を反転させる電流値に一時的に到達する電流を用いている。
具体的な各画素11の動作について説明する。図3に示すように、光源装置151から照射されたレーザー光は様々な偏光成分を含んだ無偏光の入射光L1であるので、これを画素アレイ10(画素11)の手前の偏光フィルタ152を透過させて、1つの偏光成分の光である直線偏光に変換する。この直線偏光(入射偏光L2)は、画素アレイ10(図1)のすべての画素11に所定の入射角で入射させる。
それぞれの画素11において、入射偏光L2は、透明な上部電極13を透過してスピン注入型磁化反転素子21,22に入射し、スピン注入型磁化反転素子21,22の磁化自由層33で反射して出射偏光L3として出射し、再び上部電極13を透過して画素11から出射する。
ここで、スピン注入型磁化反転素子21,22に、入射偏光L2が磁性体である磁化自由層33で反射して出射する際に、磁気光学効果である磁気カー効果により、入射偏光L2はその偏光軸の向きが変化(旋光)する。そして、図3に図示するスピン注入型磁化反転素子21,22のそれぞれの例示では、磁化が平行及び反平行な状態のスピン注入型磁化反転素子21,22にそれぞれ入射した入射偏光は、磁化自由層33の磁化方向がスピン注入型磁化反転素子21とスピン注入型磁化反転素子22とでは互いに180°異なるため、同じ大きさの旋光角、すなわち磁化自由層33によるカー回転角+θk、−θk(以下、θkは向きを示さず大きさのみを示すことがある)で互いに逆方向に偏光軸を回転した出射偏光L3として出射されることとなる。
このように、スピン注入型磁化反転素子21,22は、スピン注入型磁化反転素子21,22から出射される出射偏光L3の偏光方向(偏光軸の向き)を、スピン注入型磁化反転素子21,22に供給されるパルス電流の向きに応じて変化(変調)させることができる。
そして、出射偏光L3は、出射側に配置された偏光フィルタ153により、当該画素11の明/暗が弁別される。図3の例示では、磁化が平行なスピン注入型磁化反転素子21により偏光軸が回転された出射偏光L3を遮断するように、偏光フィルタ153が配置されている。このように、磁化が平行な状態のスピン注入型磁化反転素子21(又は22)により変調された出射偏光L3は遮断され、「暗(黒)」画像として表示される。
一方、図3の例示のスピン注入型磁化反転素子22の如く、磁化が反平行な状態のスピン注入型磁化反転素子22(又は21)により変調された出射偏光L3は、磁化が平行な状態のスピン注入型磁化反転素子21(又は22)により変調された出射偏光L3との、偏光軸の旋光角の差である2θkの分に相当する、偏光フィルタ153の透過軸に平行な偏光成分が偏光フィルタ153を透過し、「明(白)」画像として表示される。
このように、スピン注入型磁化反転素子21,22に供給される電流の向きを切り換えることで画像の明、暗が切り換わる。すなわち、画素アレイ10は、偏光の向きを空間的に変調する空間光変調器1と、偏光フィルタ152及び偏光フィルタ153とを組み合わせることで、光の強度(明暗)を空間的に変調することができる。
なお、空間光変調器1の初期状態としては、例えば全体が白く表示されるように、すべての画素11のスピン注入型磁化反転素子21,22の磁化を反平行にするべく、上部電極2のすべてをマイナス、下部電極3のすべてをプラスにして、上向きの電流を供給すればよい。
また、偏光フィルタ153は、磁化が反平行の状態のスピン注入型磁化反転素子21,22により変調された光を遮断するように配置してもよい。この場合は、磁化が反平行の場合に「暗」画素が表示され、磁化が平行な場合に「明」画素が表示される。
また、磁気光学効果の大きさは、入射光L1の波数ベクトルと磁性体の磁化ベクトルとのスカラー積に比例する。すなわち磁化自由層33によるカー回転角θkは、光の入射角が磁化自由層33の磁化方向に平行に近いほど大きくなる。磁化自由層33は垂直磁気異方性、すなわち膜面に垂直な方向の磁化を有する場合は、膜面に垂直に(入射角0°で)光を入射することが最も好ましく、極カー効果により、大きなカー回転角θkを得ることができる。
ここで、磁化自由層33のカー回転角θkは、光の入射方向が磁化自由層33の磁化方向に近いほど大きい。従って、入射方向は膜面に垂直に、すなわち入射角を0°とすることが旋光角の差を最大にする上で望ましいが、このようにすると出射偏光L3の光路が入射偏光L2の光路と一致する。同一光路上に、光源装置151及び偏光フィルタ152と、偏光フィルタ153とを配置することはできないため、図3に示した例では、入射角が少し傾斜するように光源装置151及び入射側の偏光フィルタ152を配置し、この入射角に対応するように出射側の偏光フィルタ153を配置している。具体的には、入射偏光の入射角は5°〜30°とすることが好ましい。また、入射角0°として、偏光フィルタ152と空間光変調器1との間にハーフミラーを配置して、出射偏光のみを側方へ反射させてもよい。この場合、偏光フィルタ153は空間光変調器1の側方に配置する。
次に、選択的電流供給部50及びスピン注入型磁化反転素子21,22の動作について説明する。
パルス幅選択部56は、パルス電流源55が出力するパルス電流のパルス幅(動作クロック)を可変することができる。すなわち、このパルス電流はONになった際の電流値が常に一定値Iaであり、パルス幅選択部56は、当該パルス電流のパルス幅(電流がONになっている継続時間)をt1とt2(t1>t2)の2段階に切り替えることができる。この場合に、電流方向選択部57は、パルス電流源55によって供給するパルス電流の向きを、前記のとおり上部電極13がプラスで下部電極14がマイナス、あるいは、上部電極13がマイナスで下部電極14がプラスとなるように正逆入れ替えることができる。
ここで、パルス幅をt1とするかt2とするかにより、スピン注入型磁化反転素子21及び22の磁化の向きの反転の態様が異なる。すなわち、前記のとおり、スピン注入型磁化反転素子21はスピン注入型磁化反転素子22に比べて体積が小さい(上面視で面積が狭い)。そして、パルス電流のパルス幅をt2(<t1)に設定すると、相対的に体積が小さい(上面視で面積が狭い)スピン注入型磁化反転素子21のみ磁化の向きが反転し、体積が大きい(上面視で面積が広い)スピン注入型磁化反転素子22の磁化の向きに変動はない。
一方、パルス電流のパルス幅をt1(>t2)に設定すると、スピン注入型磁化反転素子21のみならず、スピン注入型磁化反転素子22の磁化の向きも反転する。この場合に、スピン注入型磁化反転素子21,22が磁化の向きを反転するのに要する時間をt1の2倍より長く割り当てるようにする。
このように、パルス電流は、ONになった際の電流値が常に一定値Iaであっても、パルス幅をt1とするかt2とするか選択し、また、パルス電流の向きを、上部電極13がプラスで下部電極14がマイナス、あるいは、上部電極13がマイナスで下部電極14がプラスとなるように正逆入れ替えることができる。これにより、スピン注入型磁化反転素子21、スピン注入型磁化反転素子22ともに「明」、スピン注入型磁化反転素子21は「暗(又は「明」)」で、スピン注入型磁化反転素子22は「明(又は「暗」)」、スピン注入型磁化反転素子21、スピン注入型磁化反転素子22ともに「暗」という3パターンのうちのいずれかを所望に選択することができる。これにより、各画素11において中間階調を表現すること(多値化)が可能となる。すなわち、上記の例では3階調を表現することができる。
もちろん、前記の例は説明を簡単にするために相対的に体積が異なる(上面視で面積が異なる)スピン注入型磁化反転素子を各画素11に2個設ける例で説明したが、3個以上設けるようにしてもよい。すなわち、体積が異なる(上面視で面積が異なる)スピン注入型磁化反転素子を1画素に3個以上設け、前記のパルス電流のパルス幅も3パターン以上に可変できるようにすることで、4階調以上の画像表現が可能となる。
よって、本実施形態の空間光変調器1によれば、中間調表示を可能とするために、スピン注入型磁化反転素子21,22の近傍に、特許文献2,3の技術のように動作特性の異なる複数のトランジスタ(供給電流量の多いトランジスタと少ないトランジスタ)を設ける必要はなくなる。
このように、パルス電流の電流値は一定値Iaであっても、パルス幅を変えることにより磁化の向きを反転できるスピン注入型磁化反転素子の数を、その体積(上面視の面積)を互いに変えることで実現する動作原理について、次に説明する。
まず、スピン注入型磁化反転素子21,22が磁化の向きを反転するのに要する電流密度(反転電流密度)と、前記のパルス電流のパルス幅との間には、次の(1)式の関係が成立する(非特許文献1を参照)。
=Jc0×[1−(kT/KV)×Ln(t/t)] … (1)
(但し、J:反転電流密度(J=I/A(I:反転電流、A:スピン注入型磁化反転素子の上面視の面積))、Jc0:臨界反転電流密度、k:ボルツマン定数、T:絶対温度、K:一軸磁気異方性定数、V:スピン注入型磁化反転素子の体積(V=A×d(d:スピン注入型磁化反転素子の膜厚))、t:パルス電流のパルス幅、t:臨界反転時のパルス電流のパルス幅)
ここで、パルス電流の電流値を前記のとおり一定とした場合を考えると、ボルツマン定数kはスピン注入型磁化反転素子21,22の材料により決まる定数であり、前記のとおりスピン注入型磁化反転素子21とスピン注入型磁化反転素子22の厚さは略同じであるため、パルス電流のパルス幅とスピン注入型磁化反転素子21,22の上面視の面積との間には直接的な相関があることがわかる。
また、スピン注入型磁化反転素子21,22が磁化の向きを反転する確率(磁化反転確率)は、熱活性モデルにおいて次の(2)式により与えられる(非特許文献2,3を参照)。
SW(I)=1−exp(−τ exp(−Δ(1−I/Ic0))) … (2)
(但し、PSW(I):磁化反転確率、τ:緩和時間により規格化されたパルス電流のパルス幅、Δ:熱安定性指標(KV/kT)、I:スピン注入型磁化反転素子に流す電流、Ic0:臨界反転電流)
(2)式により、パルス電流の電流値や熱安定性指標を適切に設計することにより、パルス電流のパルス幅のみによる(電流値は変動せずに)スピン注入型磁化反転素子21,22の磁化方向を反転させるサイズ(上面視による面積)が選択可能であり、前記のとおり画像の階調表示(多値化)が可能となることがわかる。
(2)式において、“I/Ic0=0.6”とし、熱安定性指標Δをそれぞれ“3”、“9”とした場合の反転確率(PSW(I))と緩和時間に規格化したパルス電流のパルス幅(τ)との関係の一例を図5のグラフに示す。すなわち、熱安定性指標Δが“3”の場合を符号201、熱安定性指標Δが“9”の場合を符号202で示している。
図5の例では、パルス電流のパルス幅が“100”(この例では、100が1μsecに相当するが、この単位はあくまでも一例である)程度と大きいときは反転確率も大変高くなるので、スピン注入型磁化反転素子21及び22の両方が磁化の向きが反転して、この両素子とも「明」状態にできることがわかる。一方、パルス電流のパルス幅が“5”程度と小さいときは反転確率も小さくなるので、スピン注入型磁化反転素子21及び22の一方のみ(スピン注入型磁化反転素子21)が磁化の向きが反転して、この一方の素子が「明」、他方の素子を「暗」状態にできるので、中間階調を表現できることがわかる。
よって、電流値は一定値Iaのまま、電流のパルス幅の長短を変えるだけで、磁化の向きを反転するスピン注入型磁化反転素子のサイズ(上面視による面積)の選択を行うことができる。
図1に示すように、パルス電流を印加する画素11を選択するのは画素選択部52である。すなわち、画素選択部52が上部電極選択部53及び下部電極選択部54のスイッチングを制御し、目的の上部電極選択部53及び下部電極選択部54とパルス電流源55とを接続する。これにより、パルス電流源55と接続された上部電極選択部53と下部電極選択部54とが交差する位置に設けられている画素11に対してパルス電流の供給が可能になる。
また、パルス電流源55の出力するパルス電流のパルス幅をt1とするかt2とするかは、パルス幅選択部56がパルス電流源55を制御して行う。
パルス電流源55の出力するパルス電流の向き(前記のとおり、上部電極13から下部電極14に電流を流す場合をプラス電流、下部電極14から上部電極13に電流を流す場合をマイナス電流としている)の選択は、電流方向選択部57がパルス電流源55を制御して行う。
このように、画素選択部52で目的の画素11を選択し、パルス幅選択部56がパルス電流のパルス幅を選択し、電流方向選択部57がパルス電流の向きを選択するが、これらの動作のタイミングは同期部58が互いの同期をとるようにして行う。すなわち、画像信号受信部51には前記の画像信号生成装置110から画像信号が入力するが、この画像信号中の各画素データに基づいて、同期部58が互いの同期をとりながら、画素選択部52で目的の画素11を選択し、当該画素11に対応する画像信号に応じて、パルス幅選択部56がパルス電流のパルス幅を選択し、電流方向選択部57がパルス電流の向きを選択する。より具体的には、図1のように、本例では、4行4列の画素11が配列されており、1行1列目の画素11、1行2列目の画素11、1行3列目の画素11、1行4列目の画素11が順次選択されて、パルス幅、向きを選択されたパルス電流が順次各画素に印加される。前記のとおり、スピン注入型磁化反転素子21,22が平行又は反平行の何れかの磁化を示していれば、その磁化を反転させる電流が供給されるまでは、磁化自由層33の保磁力により磁化が保持されるので、選択した画素11にパルス電流を印加しない場合もある。これにより1ライン目の画像が表示される。その後、順次同様に2行1列目〜2行4列目、3行1列目〜3行4列目、4行1列目〜4行4列目の画素11を選択し、それぞれパルス電流のパルス幅、電流の向きを選択して画像を表示することで1フレーム分の画像が表示される。
図6には、選択的電流供給部50から画素アレイ10に供給するパルス電流の例を示している。図6の例でも、上部電極13から下部電極14に電流を流す場合をプラス電流、下部電極14から上部電極13に電流を流す場合をマイナス電流として表現している。図6の例では、マイナスのパルス幅t1のパルス電流で、ある画素11についてスピン注入型磁化反転素子21及び22の両方の磁化の向きが反転し(時間T1)、次に、プラスのパルス幅t1のパルス電流で、次の画素11のスピン注入型磁化反転素子21及び22の両方の磁化の向きが反転している(時間T2)。その後、次の画素11ではパルス電流を印加されずにスピン注入型磁化反転素子21及び22の両方の磁化の向きが維持されてから(時間T3)、マイナスのパルス幅t1のパルス電流で、次の画素11のスピン注入型磁化反転素子21及び22の両方の磁化の向きが反転している(時間T4)。そして、プラスのパルス幅t2(<t1)のパルス電流で、その次の画素11について、スピン注入型磁化反転素子21のみ磁化の向きが反転している(時間T5)。そして、次の画素11ではパルス電流を印加せずにスピン注入型磁化反転素子21及び22の両方の磁化の向きが維持され(時間T6)、マイナスのパルス幅t1のパルス電流で、次の画素11のスピン注入型磁化反転素子21及び22の両方の磁化の向きが反転している(時間T7)。
また、図5において、縦軸が反転確率であることに着目すると、パルス幅ではなく、パルスの数でも磁化の向きを反転するスピン注入型磁化反転素子のサイズ(上面視による面積)の選択を行うことができることがわかる。すなわち、パルス幅を常に同じにして、その同一幅のパルスの数を変えるが、この場合もパルス数が多いときに磁化の向きが反転するスピン注入型磁化反転素子については、その数が多いパルスを全て合わせれば全体のパルス幅が長いと考えることができる。逆に、パルス数が少ないときに磁化の向きが反転するスピン注入型磁化反転素子については、その数が少ないパルスを全て合わせれば全体のパルス幅が短いと考えることができる。本発明においてパルス幅が異なるとは、このような場合も含めている。
[ホログラフィー装置の動作]
次に、前記のような構成、動作の空間光変調器1を備えたホログラフィー装置100の動作について説明する。
図4に示すように、画像信号生成装置110では、光源装置111が発するレーザー光をハーフミラー112が照明光L13と参照光L11に分割する。照明光L13は被写体Mに照射されて、被写体Mで反射された物体光L12と、参照稿L11とはハーフミラー115で重畳されて干渉縞L14が生成される。そして、この干渉縞L14がCCDカメラ116で受光される。
そして、このCCDカメラ116が出力する画像信号は空間光変調器1(の画像信号受信部51)で受信され、空間光変調器1が、入力された画像信号に基づき、画素アレイ10(図1)に干渉縞L14のパターンを描画する。そして、干渉縞L14のパターンが描画された画素アレイ10で、光源装置151からの入射光(更に偏光フィルタPF152を介した入射偏光L2)を光変調し、出射した出射偏光L3が偏光フィルタPF153を透過して、立体画像Pを再生(表示)する。
1 空間光変調器
10 画素アレイ
11 画素
21 スピン注入型磁化反転素子
22 スピン注入型磁化反転素子
50 選択的電流供給部

Claims (3)

  1. 2次元アレイ状に配列された複数の画素を有する画素アレイと、
    前記各画素に設けられ、スピン注入により磁化方向が反転するスピン注入型磁化反転素子と、
    前記画素を選択して当該画素の前記スピン注入型磁化反転素子に一定電流を供給することでその磁化方向を反転する選択的電流供給部と、
    を備え、
    前記各画素は、予め定めた範囲の磁気特性にするとともに互いに体積が異なる複数の前記スピン注入型磁化反転素子を有し、
    前記選択的電流供給部は、前記一定電流のパルス幅を可変するパルス幅選択部を有することを特徴とする空間光変調器。
  2. 前記複数のスピン注入型磁化反転素子は、前記磁気特性としての反転電流密度が略等しいことを特徴とする請求項1に記載の空間光変調器。
  3. 前記複数のスピン注入型磁化反転素子は、厚さは略等しいが前記画素アレイの上面視で面積が異なることにより前記体積が互いに異なることを特徴とする請求項1又は2に記載の空間光変調器。
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