JP2016196588A - 付加共重合体、成形材料および樹脂成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】線膨張係数が小さく、かつ、低複屈折性に優れる付加共重合体、この付加共重合体を含有する成形材料、およびこの成形材料を成形して得られる樹脂成形体を提供する。【解決手段】特定の環構造を有する単量体と、炭素数2〜10のα−オレフィン系単量体との付加共重合体であって、これらの単量体由来の繰り返し単位の含有量が特定範囲内にあり、線膨張係数が、40×10−6〜55×10−6/℃であることを特徴とする付加共重合体、この付加共重合体を含有する成形材料、およびこの成形材料を成形して得られる樹脂成形体。【選択図】 なし
Description
本発明は、光学用成形体の樹脂成分として有用な、線膨張係数が小さく、かつ、低複屈折性に優れる付加共重合体、この付加共重合体を含有する成形材料、およびこの成形材料を成形して得られる樹脂成形体に関する。
従来、環状オレフィン由来の繰り返し単位を有する重合体は、透明性、低吸湿性、耐熱性、絶縁性、耐衝撃性等に優れるため、光学用成形体等の樹脂成分等として広く用いられてきた。
例えば、特許文献1には、環状オレフィン由来の繰り返し単位と炭素数5以上のα−オレフィン由来の繰り返し単位とを有する共重合体や、この共重合体からなる光学用フィルムが記載されている。この文献には、前記共重合体の線膨張係数が小さいことも記載されている。しかしながら、実際に得られた共重合体の線膨張係数は、最小のものでも63×10−6/℃である。
一方、特許文献2には、ノルボルネン化合物由来の繰り返し単位のみからなるノルボルネン化合物付加共重合体や、この共重合体からなる成形品が記載されている。この文献には、線膨張係数が54×10−6/℃の共重合体が具体的に開示されている。
上記のように、特許文献1に具体的に開示された共重合体は線膨張係数が十分に小さいものではない。
また、本発明者の検討によれば、特許文献2に記載されるような環状オレフィン系単量体由来の繰り返し単位のみからなる重合体は低複屈折性に劣る傾向があり、光学用成形体の樹脂成分としては適さない場合があった。
また、本発明者の検討によれば、特許文献2に記載されるような環状オレフィン系単量体由来の繰り返し単位のみからなる重合体は低複屈折性に劣る傾向があり、光学用成形体の樹脂成分としては適さない場合があった。
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、光学用成形体の樹脂成分として有用な、線膨張係数が小さく、かつ、低複屈折性に優れる付加共重合体、この付加共重合体を含有する成形材料、およびこの成形材料を成形して得られる樹脂成形体を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決すべく、環状オレフィン系単量体由来の繰り返し単位とα−オレフィン系単量体由来の繰り返し単位とを有する付加共重合体について鋭意検討した。その結果、特定の環状オレフィン系単量体由来の繰り返し単位と炭素数2〜10のα−オレフィン系単量体由来の繰り返し単位とを特定の割合で含有する付加共重合体は、線膨張係数が小さく、かつ、低複屈折性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、下記〔1〕〜〔3〕の付加共重合体、〔4〕の成形材料、および〔5〕の樹脂成形体が提供される。
〔1〕下記式(I)
〔1〕下記式(I)
〔式中、下記式(II)
で示される部分は、環を含有する炭素数5〜20の構造を表す。〕
で示される単量体と、炭素数2〜10のα−オレフィン系単量体との付加共重合体であって、前記式(I)で示される単量体由来の繰り返し単位(A)と、前記α−オレフィン系単量体由来の繰り返し単位(B)のmol比〔繰り返し単位(A):繰り返し単位(B)〕が、18:82〜28:72であり、線膨張係数が、40×10−6〜55×10−6/℃であることを特徴とする付加共重合体。
〔2〕重量平均分子量が、10,000〜300,000である、〔1〕に記載の付加共重合体。
〔3〕単位厚さあたりの複屈折量(δn)が−5〜5である、〔1〕又は〔2〕に記載の付加共重合体。
〔4〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の共重合体を含有する成形材料。
〔5〕前記〔4〕に記載の成形材料を成形して得られる樹脂成形体。
で示される単量体と、炭素数2〜10のα−オレフィン系単量体との付加共重合体であって、前記式(I)で示される単量体由来の繰り返し単位(A)と、前記α−オレフィン系単量体由来の繰り返し単位(B)のmol比〔繰り返し単位(A):繰り返し単位(B)〕が、18:82〜28:72であり、線膨張係数が、40×10−6〜55×10−6/℃であることを特徴とする付加共重合体。
〔2〕重量平均分子量が、10,000〜300,000である、〔1〕に記載の付加共重合体。
〔3〕単位厚さあたりの複屈折量(δn)が−5〜5である、〔1〕又は〔2〕に記載の付加共重合体。
〔4〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の共重合体を含有する成形材料。
〔5〕前記〔4〕に記載の成形材料を成形して得られる樹脂成形体。
本発明によれば、線膨張係数が小さく、かつ、低複屈折性に優れる付加共重合体、この付加共重合体を含有する成形材料、およびこの成形材料を成形して得られる樹脂成形体が提供される。
以下、本発明を、1)付加共重合体、2)成形材料、および、3)樹脂成形体に項分けして詳細に説明する。
1)付加共重合体
本発明の付加共重合体は、前記式(I)で示される単量体(以下、「単量体(α)」ということがある。)と、炭素数2〜10のα−オレフィン系単量体(以下、「単量体(β)」ということがある。)との付加共重合体であって、単量体(α)由来の繰り返し単位(A)と、単量体(β)由来の繰り返し単位(B)のmol比〔繰り返し単位(A):繰り返し単位(B)〕が、18:82〜28:72であり、線膨張係数が、40×10−6〜55×10−6/℃であることを特徴とする。
本発明の付加共重合体は、前記式(I)で示される単量体(以下、「単量体(α)」ということがある。)と、炭素数2〜10のα−オレフィン系単量体(以下、「単量体(β)」ということがある。)との付加共重合体であって、単量体(α)由来の繰り返し単位(A)と、単量体(β)由来の繰り返し単位(B)のmol比〔繰り返し単位(A):繰り返し単位(B)〕が、18:82〜28:72であり、線膨張係数が、40×10−6〜55×10−6/℃であることを特徴とする。
本発明の付加共重合体は、単量体(α)と単量体(β)との付加共重合体である。これらの単量体の詳細は後述する。
本発明の付加共重合体は、単量体(α)由来の繰り返し単位を1種含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。また、単量体(β)由来の繰り返し単位を1種含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
本発明の付加共重合体は、ブロック共重合体であってもよいし、ランダム共重合体であってもよい。
本発明の付加共重合体は、単量体(α)由来の繰り返し単位を1種含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。また、単量体(β)由来の繰り返し単位を1種含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
本発明の付加共重合体は、ブロック共重合体であってもよいし、ランダム共重合体であってもよい。
本発明の付加共重合体は、単量体(α)由来の繰り返し単位(A)と、単量体(β)由来の繰り返し単位(B)のmol比〔繰り返し単位(A):繰り返し単位(B)〕が、18:82〜28:72であり、好ましくは20:80〜26:74、より好ましくは22:78〜24:76である。
繰り返し単位(A)が少な過ぎると、a)付加共重合体の複屈折量が、絶対値が大きい正の値になる、b)付加共重合体の線膨張率が大きくなる、c)ガラス転移温度が低くなり過ぎ、耐熱性に劣る、d)屈折率が小さくなる、等の問題が生じるおそれがある。
一方、繰り返し単位(B)が少な過ぎると、a)付加共重合体の複屈折量が、絶対値が大きい負の値になる、b)ガラス転移温度が高くなり過ぎ、成形性に劣る、等の問題が生じるおそれがある。
繰り返し単位(A)が少な過ぎると、a)付加共重合体の複屈折量が、絶対値が大きい正の値になる、b)付加共重合体の線膨張率が大きくなる、c)ガラス転移温度が低くなり過ぎ、耐熱性に劣る、d)屈折率が小さくなる、等の問題が生じるおそれがある。
一方、繰り返し単位(B)が少な過ぎると、a)付加共重合体の複屈折量が、絶対値が大きい負の値になる、b)ガラス転移温度が高くなり過ぎ、成形性に劣る、等の問題が生じるおそれがある。
本発明の付加共重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000〜300,000、より好ましくは20,000〜200,000である。付加共重合体の重量平均分子量(Mw)が小さいと、付加共重合体の線膨張率が大きくなる傾向がある。また、その付加共重合体を用いて得られた樹脂成形体の強度が低下するおそれがある。一方、付加共重合体の重量平均分子量(Mw)が大き過ぎると、成形材料の成形性が低下するおそれがある。
付加共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、特に限定されないが、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6である。
付加共重合体の分子量分布が上記範囲内にあることで、十分な機械的強度を有する樹脂成形体を得ることができる。
付加共重合体の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、シクロヘキサンを溶離液とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリイソプレン換算値である。
付加共重合体の分子量分布が上記範囲内にあることで、十分な機械的強度を有する樹脂成形体を得ることができる。
付加共重合体の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、シクロヘキサンを溶離液とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリイソプレン換算値である。
本発明の付加共重合体の製造方法は特に限定されない。例えば、ラジカル重合反応、アニオン重合反応、カチオン重合反応、配位重合反応等を行うことにより、本発明の付加共重合体を製造することができる。これらの中でも、目的の付加共重合体が収率よく得られることから配位重合反応が好ましい。
配位重合反応における反応条件の詳細は特に限定されず、従来公知の方法を適宜利用することができる。
例えば、単量体(α)および単量体(β)を、重合触媒を用いて重合させることにより本発明の付加共重合体を製造することができる。
例えば、単量体(α)および単量体(β)を、重合触媒を用いて重合させることにより本発明の付加共重合体を製造することができる。
単量体(α)は、下記式(I)で示される化合物である。
式(I)中、下記式(II)
で示される部分は、環を含有する炭素数5〜20、好ましくは5〜15の部分構造を表す。このような、テトラシクロドデセン環構造に加えて、式(II)で示される部分構造を有する単量体(α)を用いることにより、線膨張率が小さく、かつ、低複屈折性に優れる付加共重合体が得られ易くなる。
式(II)で示される部分構造としては、下記式(II−a)〜(II−d)で示されるものが挙げられる。
式(II)で示される部分構造としては、下記式(II−a)〜(II−d)で示されるものが挙げられる。
式(II−a)〜(II−d)中、a,bは、式(I)中のテトラシクロドデセン環構造にも含まれる炭素原子を表す。
単量体(α)としては、式(II)で示される構造が式(II−c)で示されるものが好ましい。式(II)で示される構造が式(II−c)で示される構造である単量体(α)を用いることで、線膨張率が小さく、かつ、低複屈折性に優れる付加共重合体がより得られ易くなる。
単量体(α)は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
単量体(α)としては、式(II)で示される構造が式(II−c)で示されるものが好ましい。式(II)で示される構造が式(II−c)で示される構造である単量体(α)を用いることで、線膨張率が小さく、かつ、低複屈折性に優れる付加共重合体がより得られ易くなる。
単量体(α)は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
単量体(β)は、炭素数2〜10、好ましくは2〜5のα−オレフィン系単量体である。
炭素数2〜10のα−オレフィン系単量体としては、エチレン;プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等の炭素数3〜10のα−オレフィン;等が挙げられる。
これらの中でも、線膨張率が小さく、かつ、低複屈折性に優れる付加共重合体がより得られ易いことから、単量体(β)としては、エチレンが好ましい。
単量体(β)は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
炭素数2〜10のα−オレフィン系単量体としては、エチレン;プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等の炭素数3〜10のα−オレフィン;等が挙げられる。
これらの中でも、線膨張率が小さく、かつ、低複屈折性に優れる付加共重合体がより得られ易いことから、単量体(β)としては、エチレンが好ましい。
単量体(β)は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
配位重合反応における重合触媒としては、付加重合反応用の公知の重合触媒を用いることができる。かかる重合触媒としては、例えば、周期律表第4族の金属原子を含むメタロセン化合物(a)と、有機アルミニウムオキシ化合物(b)とからなるメタロセン触媒が挙げられる。
メタロセン化合物(a)としては、架橋型メタロセン化合物や、ハーフメタロセン化合物が挙げられる。
架橋型メタロセン化合物としては、例えば、下記式(III)で示される化合物が挙げられる。
式(III)中、M1はチタン、ジルコニウム、およびハフニウムからなる群より選ばれる金属原子であり、触媒活性に優れることからジルコニウムが好ましい。
X1およびX2は、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基、又はハロゲン原子を表す。
R1は、2価の基を表す。R1としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロパン−2,2−ジイル基(イソプロピリデン基)等の炭素数1〜5のアルキレン基;シリレン基、ジシリレン基等のケイ素数1〜5の基;等が挙げられる。これらは置換基を有していてもよい。置換基を有するR1としては、ジフェニルメチレン基、ジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基等が挙げられる。
R2およびR3は、それぞれ独立に、シクロペンタジエニル基、インデニル基、又はフルオレニル基を表す。これらの基は任意の位置に置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基;フェニル基等の炭素数6〜12のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアリールアルキル基;等が挙げられる。
X1およびX2は、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基、又はハロゲン原子を表す。
R1は、2価の基を表す。R1としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロパン−2,2−ジイル基(イソプロピリデン基)等の炭素数1〜5のアルキレン基;シリレン基、ジシリレン基等のケイ素数1〜5の基;等が挙げられる。これらは置換基を有していてもよい。置換基を有するR1としては、ジフェニルメチレン基、ジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基等が挙げられる。
R2およびR3は、それぞれ独立に、シクロペンタジエニル基、インデニル基、又はフルオレニル基を表す。これらの基は任意の位置に置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基;フェニル基等の炭素数6〜12のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアリールアルキル基;等が挙げられる。
式(III)で示される化合物としては、イソプロピリデン−(9−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、イソプロピリデン−(9−フルオレニル)[1−(3−メチル)シクロペンタジエニル]ジルコニウムジクロライド、イソプロピリデン−(9−フルオレニル)[1−(3−t−ブチル)シクロペンタジエニル]ジルコニウムジクロライド、イソプロピリデン−(1−インデニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、イソプロピリデン−ビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン−(9−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン−ビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロライド、エチレン−ビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレン−ビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロライド等が挙げられる。
ハーフメタロセン化合物としては、例えば、下記式(IV)で示される化合物が挙げられる。
式(IV)中、M2はチタン、ジルコニウム、およびハフニウムからなる群より選ばれる金属原子であり、触媒活性に優れることからジルコニウムが好ましい。
X3およびX4は、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基、又はハロゲン原子を表す。
R4は、2価の基を表す。R4としては、R1として示したものと同様のものが挙げられる。
R5は、シクロペンタジエニル基、インデニル基、又はフルオレニル基を表す。これらの基は任意の位置に置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基;フェニル基等の炭素数6〜12のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアリールアルキル基;等が挙げられる。
R6は、炭素数1〜6のアルキル基を表す。
X3およびX4は、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基、又はハロゲン原子を表す。
R4は、2価の基を表す。R4としては、R1として示したものと同様のものが挙げられる。
R5は、シクロペンタジエニル基、インデニル基、又はフルオレニル基を表す。これらの基は任意の位置に置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基;フェニル基等の炭素数6〜12のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアリールアルキル基;等が挙げられる。
R6は、炭素数1〜6のアルキル基を表す。
式(IV)で示される化合物としては、(t−ブチルアミド)ジメチル−1−インデニルシランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−1−インデニルシランチタンジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランチタンジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−(3,6−ジメチルフルオレニル)シランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[3,6−ジ(イソプロピル)フルオレニル]シランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[3,6−ジ(t−ブチル)フルオレニル]シランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[2,7−ジ(t−ブチル)フルオレニル]シランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−(2,3,6,7−テトラメチルフルオレニル)シランチタンジメチル等が挙げられる。
これらの中でも、共重合反応を効率よく行うことができることから、メタロセン化合物(a)としては、架橋型メタロセン化合物が好ましく、エチレン−ビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロライドがより好ましい。
重合触媒を構成する有機アルミニウムオキシ化合物(b)は、メタロセン化合物(a)を活性化するための活性化剤である。
有機アルミニウムオキシ化合物(b)は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また、特開平2−78687号公報に開示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
有機アルミニウムオキシ化合物(b)は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また、特開平2−78687号公報に開示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
重合触媒は、有機アルミニウム化合物(c)を含有するものであってもよい。有機アルミニウム化合物(c)は、上記アルミニウムオキシ化合物(b)以外の有機アルミニウム化合物である。かかる有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド等のジアルキルアルミニウムハライド;ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド;ジメチルアルミニウムメトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシド;ジエチルアルミニウムフェノキシド等のジアルキルアルミニウムアリーロキシド;等が挙げられる。
重合反応開始時のメタロセン化合物(a)の濃度は、好ましくは0.00005〜1.0mmol/L、より好ましくは0.0001〜0.3mmol/Lである。また有機アルミニウムオキシ化合物(b)の量は、メタロセン化合物(a)に対して、1〜10,000当量であることが好ましい。重合触媒が有機アルミニウム化合物(c)を含有する場合、有機アルミニウム化合物(c)の量は、メタロセン化合物(a)に対して0.1〜1,000当量であることが好ましい。
重合反応は、通常、有機溶媒中で行われる。有機溶媒としては、重合反応に不活性なものであれば格別な制限はない。用いる有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン、ビシクロノナン等の脂環族炭化水素系溶媒;ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;等が挙げられる。
重合温度は、通常−50〜250℃、好ましくは−30〜200℃、より好ましくは−20〜150℃である。重合時間は、重合条件により適宜選択されるが、通常30分から20時間、好ましくは1〜10時間である。
重合反応後は、常法に従って単離精製処理を行うことにより、本発明の付加共重合体を得ることができる。
本発明の付加共重合体の線膨張係数は、40×10−6〜55×10−6/℃、好ましくは、40×10−6〜53×10−6/℃、より好ましくは40×10−6〜50×10−6/℃である。線膨張係数が40×10−6/℃未満の付加共重合体は、通常、低複屈折性に劣り易くなるため、光学用成形体の樹脂成分としては適していない。一方、線膨張係数が55×10−6/℃を超える付加共重合体は、樹脂成形体の製造時の寸法安定性に劣ったり、得られた樹脂成形体が、温度変化により性能が低下したりするおそれがある。
付加共重合体の線膨張係数は、実施例に記載の方法により測定することができる。
付加共重合体の線膨張係数は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の付加共重合体の単位厚さあたりの複屈折量(δn)は、好ましくは−5〜5、より好ましくは−4〜4である。δn値が上記範囲内の付加共重合体は、光学用成形体の樹脂成分として好ましく用いられる。
付加共重合体のδn値は、延伸処理を施して得られた試料を用いて測定した値であり、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
付加共重合体のδn値は、延伸処理を施して得られた試料を用いて測定した値であり、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の付加共重合体の屈折率は、好ましくは1.52〜1.58より好ましくは1.53〜1.57である。屈折率が上記範囲内の付加共重合体は、光学用成形体の樹脂成分として好ましく用いられる。
付加共重合体の屈折率は、実施例に記載の方法により測定することができる。
付加共重合体の屈折率は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の付加共重合体のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは115〜175℃、より好ましくは125〜165℃である。ガラス転移温度が上記範囲内の付加共重合体は、耐熱性に優れる樹脂成形体の樹脂成分として好ましく用いられる。
上記特性を有するため、本発明の付加共重合体は、レンズ等の光学用成形体の樹脂成分として好ましく用いられる。
2)成形材料
本発明の成形材料は、本発明の付加共重合体を含有する。成形材料は、本発明の効果を阻害しない範囲で、本発明の付加共重合体以外の樹脂成分や、添加剤等のその他の成分を含有してもよい。
本発明の成形材料は、本発明の付加共重合体を含有する。成形材料は、本発明の効果を阻害しない範囲で、本発明の付加共重合体以外の樹脂成分や、添加剤等のその他の成分を含有してもよい。
本発明の付加共重合体以外の樹脂成分(以下、「その他の樹脂成分」ということがある。)としては、スチレン・ブタジエン・ブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン・ブロック共重合体、およびこれらの水素添加物、スチレン・ブタジエン・ランダム共重合体等のスチレン系重合体が挙げられる。
本発明の成形材料が、その他の樹脂成分を含有する場合、その含有量は、本発明の付加共重合体100重量部に対して、通常、0.1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部である。
本発明の成形材料が、その他の樹脂成分を含有する場合、その含有量は、本発明の付加共重合体100重量部に対して、通常、0.1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部である。
添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、酸補足剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、ジブチルヒドロキシトルエン、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、α−トコフェノール、2,2,4−トリメチル−6−ヒドロキシ−7−t−ブチルクロマン、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、〔ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]〕等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジターシャリーブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジターシャリーブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジターシャリーブチルフェニル)4,4’−ビフェニルジホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト等が挙げられる。
イオウ系酸化防止剤としては、ジステアリルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、アクリレート系紫外線吸収剤、金属錯体系紫外線吸収剤等が挙げられる。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。
近赤外線吸収剤としては、シアニン系近赤外線吸収剤;ピリリウム系赤外線吸収剤;スクワリリウム系近赤外線吸収剤;クロコニウム系赤外線吸収剤;アズレニウム系近赤外線吸収剤;フタロシアニン系近赤外線吸収剤;ジチオール金属錯体系近赤外線吸収剤;ナフトキノン系近赤外線吸収剤;アントラキノン系近赤外線吸収剤;インドフェノール系近赤外線吸収剤;アジ系近赤外線吸収剤;等が挙げられる。
可塑剤としては、燐酸トリエステル系可塑剤、脂肪酸一塩基酸エステル系可塑剤、二価アルコールエステル系可塑剤、オキシ酸エステル系可塑剤等が挙げられる。
帯電防止剤としては、多価アルコールの脂肪酸エステル等が挙げられる。
酸補足剤としては、酸化マグネシウム、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
可塑剤としては、燐酸トリエステル系可塑剤、脂肪酸一塩基酸エステル系可塑剤、二価アルコールエステル系可塑剤、オキシ酸エステル系可塑剤等が挙げられる。
帯電防止剤としては、多価アルコールの脂肪酸エステル等が挙げられる。
酸補足剤としては、酸化マグネシウム、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
これらの添加剤の含有量は、目的に合わせて適宜決定することができる。その含有量は、本発明の付加共重合体100重量部に対して、通常0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部の範囲である。
成形材料は、常法に従って、各成分を混合することにより得ることができる。混合方法としては、各成分を適当な溶媒中で混合する方法や、溶融状態で混錬する方法が挙げられる。
混練は、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、フィーダールーダー等の溶融混練機を用いて行うことができる。混練温度は、好ましくは200〜400℃、より好ましくは240〜350℃の範囲である。混練に際し、各成分を一括添加して混練してもよいし、数回に分けて添加しながら混練してもよい。
混錬後は、常法に従って、棒状に押出し、ストランドカッターで適当な長さに切ることで、ペレット化することができる。
混練は、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、フィーダールーダー等の溶融混練機を用いて行うことができる。混練温度は、好ましくは200〜400℃、より好ましくは240〜350℃の範囲である。混練に際し、各成分を一括添加して混練してもよいし、数回に分けて添加しながら混練してもよい。
混錬後は、常法に従って、棒状に押出し、ストランドカッターで適当な長さに切ることで、ペレット化することができる。
本発明の成形材料は、本発明の付加共重合体を含有する。このため、本発明の成形材料を用いることで、線膨張係数が小さい樹脂成形体を得ることができる。さらに、本発明の成形材料は、射出成形法により樹脂成形体を製造する場合であっても、得られる樹脂成形体は、低複屈折性に優れる。このため、本発明の成形材料は、レンズ等の光学用成形体の成形材料として好適に用いられる。
3)樹脂成形体
本発明の樹脂成形体は、本発明の成形材料を成形して得られるものである。
成形方法は特に限定されず、射出成形、プレス成形、押出成形等が挙げられる。これらの中でも、成形体が光学部材等である場合には、精度よく目的の成形体を得ることができることから、射出成形が好ましい。
また、一般に射出成形法においては、ポリマー分子が配向し易く複屈折が生じ易いが、本発明の樹脂成形体は本発明の成形材料を用いるものであるため、射出成形により得られたものであっても、低複屈折性に優れる。
例えば、射出成形体の単位厚さあたりの複屈折量(δn)は、通常−20〜20、好ましくは−10〜10である。
射出成形体の単位厚さあたりの複屈折量(δn)は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の樹脂成形体は、本発明の成形材料を成形して得られるものである。
成形方法は特に限定されず、射出成形、プレス成形、押出成形等が挙げられる。これらの中でも、成形体が光学部材等である場合には、精度よく目的の成形体を得ることができることから、射出成形が好ましい。
また、一般に射出成形法においては、ポリマー分子が配向し易く複屈折が生じ易いが、本発明の樹脂成形体は本発明の成形材料を用いるものであるため、射出成形により得られたものであっても、低複屈折性に優れる。
例えば、射出成形体の単位厚さあたりの複屈折量(δn)は、通常−20〜20、好ましくは−10〜10である。
射出成形体の単位厚さあたりの複屈折量(δn)は、実施例に記載の方法により測定することができる。
成形時の溶融温度は、用いる成形材料によっても異なるが、通常200〜400℃、好ましくは210〜350℃である。金型を使用する場合の金型温度は、成形材料のガラス転移温度をTgとすると、通常、20℃から(Tg+15)℃、好ましくは(Tg−30)℃から(Tg+10)℃、より好ましくは(Tg−20)℃から(Tg+5)℃の温度である。
上記のように本発明の樹脂成形体は低複屈折性に優れる。また、本発明の樹脂成形体は温度が大きく変化する環境下においても寸法変化が生じにくいものである。したがって、本発明の樹脂成形体は、光学レンズ、プリズム、導光体等の光学部材として、好適に用いられる。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。以下において、「部」および「%」は特に断りのない限り、重量基準であり、圧力はゲージ圧力である。
各種の物性の測定は、下記の方法に従って行った。
(1)繰り返し単位の含有量
付加共重合体中の各繰り返し単位の含有量は、重クロロホルムを溶媒とした13C−NMR測定結果に基づいて算出した。
(1)繰り返し単位の含有量
付加共重合体中の各繰り返し単位の含有量は、重クロロホルムを溶媒とした13C−NMR測定結果に基づいて算出した。
(2)重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)
付加共重合体の重量平均分子量(Mw)は、シクロヘキサンを溶離液とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリイソプレン換算値として求めた。
標準ポリイソプレンとしては、東ソー社製標準ポリイソプレン(Mw=602、1390、3920、8050、13800、22700、58800、71300、109000、280000)を用いた。
測定は、東ソー社製カラム(TSKgelG5000HXL、TSKgelG4000HXLおよびTSKgelG2000HXL)を3本直列に繋いで用い、流速1.0mL/分、サンプル注入量100μL、カラム温度40℃の条件で行った。
付加共重合体の重量平均分子量(Mw)は、シクロヘキサンを溶離液とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリイソプレン換算値として求めた。
標準ポリイソプレンとしては、東ソー社製標準ポリイソプレン(Mw=602、1390、3920、8050、13800、22700、58800、71300、109000、280000)を用いた。
測定は、東ソー社製カラム(TSKgelG5000HXL、TSKgelG4000HXLおよびTSKgelG2000HXL)を3本直列に繋いで用い、流速1.0mL/分、サンプル注入量100μL、カラム温度40℃の条件で行った。
(3)線膨張係数
付加共重合体を、5mm×5mm×10mmの形状に成形し、これを測定試料とした。
得られた測定試料について、熱機械分析装置(セイコーインスツルメンツ社製、TMA/SS−6000)を用いて、30〜120℃における平均の線膨張係数を求めた。
付加共重合体を、5mm×5mm×10mmの形状に成形し、これを測定試料とした。
得られた測定試料について、熱機械分析装置(セイコーインスツルメンツ社製、TMA/SS−6000)を用いて、30〜120℃における平均の線膨張係数を求めた。
(4)付加共重合体の単位厚さあたりの複屈折量(δn)
付加共重合体を35mm×10mm×1mmの形状に成形した。このシートの両端をクリップで固定した後に、片方のクリップに160gの重りを固定した。次いで、〔付加共重合体のガラス転移温度(Tg)−15〕℃のオーブン内に、重りを固定していない方のクリップを起点にして、10分間シートを吊るして延伸処理を行い、これを測定試料とした。
得られた測定試料について、複屈折計(王子計測器製、KOBRA−CCD/X)を用いて波長が650nmの光における、測定試料中心部のレタデーション値を測定した(この測定値をaとする。)。また、測定試料中心部の厚みを測定し(この測定値をb(mm)とする。)、式:δn=a×(1/b)、によりδn値を求めた。
δn値が0に近いものほど低複屈折性に優れる付加共重合体である。
付加共重合体を35mm×10mm×1mmの形状に成形した。このシートの両端をクリップで固定した後に、片方のクリップに160gの重りを固定した。次いで、〔付加共重合体のガラス転移温度(Tg)−15〕℃のオーブン内に、重りを固定していない方のクリップを起点にして、10分間シートを吊るして延伸処理を行い、これを測定試料とした。
得られた測定試料について、複屈折計(王子計測器製、KOBRA−CCD/X)を用いて波長が650nmの光における、測定試料中心部のレタデーション値を測定した(この測定値をaとする。)。また、測定試料中心部の厚みを測定し(この測定値をb(mm)とする。)、式:δn=a×(1/b)、によりδn値を求めた。
δn値が0に近いものほど低複屈折性に優れる付加共重合体である。
(5)屈折率
付加共重合体を、厚さ5mmのシート状に成形し、〔付加共重合体のガラス転移温度(Tg)−15〕℃の雰囲気下に20時間放置したものを測定試料とした。
得られた測定試料について、精密屈折計(島津製作所社製、製品名:KPR−200、光源=Heランプ(587.6nm)、H2ランプ(656.3nm、486.1nm)を用いて、25℃における屈折率(nd、nC、nF)を測定した。
第1表中には、波長が587.6nmの光における屈折率を示す。
付加共重合体を、厚さ5mmのシート状に成形し、〔付加共重合体のガラス転移温度(Tg)−15〕℃の雰囲気下に20時間放置したものを測定試料とした。
得られた測定試料について、精密屈折計(島津製作所社製、製品名:KPR−200、光源=Heランプ(587.6nm)、H2ランプ(656.3nm、486.1nm)を用いて、25℃における屈折率(nd、nC、nF)を測定した。
第1表中には、波長が587.6nmの光における屈折率を示す。
(6)ガラス転移温度
付加共重合体のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量分析計(ナノテクノロジー社製、製品名:DSC6220SII)を用いて、JIS K 6911に基づき、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
付加共重合体のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量分析計(ナノテクノロジー社製、製品名:DSC6220SII)を用いて、JIS K 6911に基づき、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
(7)射出成形体の単位厚さあたりの複屈折量(δn)
付加共重合体を、射出成形装置(日精樹脂工業製、NS20−2A)を用いて、40mm×40mm×3mmの形状に成形し、これを測定試料とした。なお、射出成形において、金型温度は付加共重合体のTg−15℃、シリンダー温度は285℃とした。
得られた測定試料を用いたこと以外は、付加共重合体の単位厚さあたりの複屈折量の測定と同様にして、射出成形体の単位厚さあたりの複屈折量(δn)を求めた。
付加共重合体を、射出成形装置(日精樹脂工業製、NS20−2A)を用いて、40mm×40mm×3mmの形状に成形し、これを測定試料とした。なお、射出成形において、金型温度は付加共重合体のTg−15℃、シリンダー温度は285℃とした。
得られた測定試料を用いたこと以外は、付加共重合体の単位厚さあたりの複屈折量の測定と同様にして、射出成形体の単位厚さあたりの複屈折量(δn)を求めた。
〔製造例1〕触媒液の調製
トルエン94.0部、rac−エチレン−ビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド0.176部、メチルアルミノキサン9.0重量%トルエン溶液(東ソー・ファインケム社製、TMAO−200シリーズ)24.88部をガラス容器内で混合して触媒液を得た。
トルエン94.0部、rac−エチレン−ビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド0.176部、メチルアルミノキサン9.0重量%トルエン溶液(東ソー・ファインケム社製、TMAO−200シリーズ)24.88部をガラス容器内で混合して触媒液を得た。
〔実施例1〕
4.0Lの攪拌機付槽型反応器の内部を窒素置換した後、これにシクロヘキサン3840部、ヘキサシクロヘプタデセン(以下、「HCHD」ということがある。)880部を入れ、全容を450〜500rpmで攪拌しながら40℃に昇温した。次いで、反応器内に製造例1で得た触媒液を入れ、その後直ちに0.10MPaのエチレンガスを液相に導入して重合反応を開始させ、反応器内のエチレンガスの圧力を一定に保ちながら重合反応を行った。エチレンガスを導入してから30分後にエチレンガスの導入を停止し、反応器内を脱圧し、次いでメタノール20部を反応器内に加えることにより、重合反応を停止させた。
反応溶液を、珪藻土(昭和化学工業社製、製品名「ラヂオライト(登録商標)♯500」)を濾過床として、加圧濾過器(石川島播磨重工社製、製品名「フンダフィルタ−」)を使用し、圧力0.25MPaで加圧濾過して、無色透明な溶液を得た。次いで、この溶液を0.05%の塩酸を含むイソプロパノール中に注いで重合体を析出させた。析出した重合体を分取、洗浄し、100℃で15時間減圧乾燥して付加共重合体を得た。
4.0Lの攪拌機付槽型反応器の内部を窒素置換した後、これにシクロヘキサン3840部、ヘキサシクロヘプタデセン(以下、「HCHD」ということがある。)880部を入れ、全容を450〜500rpmで攪拌しながら40℃に昇温した。次いで、反応器内に製造例1で得た触媒液を入れ、その後直ちに0.10MPaのエチレンガスを液相に導入して重合反応を開始させ、反応器内のエチレンガスの圧力を一定に保ちながら重合反応を行った。エチレンガスを導入してから30分後にエチレンガスの導入を停止し、反応器内を脱圧し、次いでメタノール20部を反応器内に加えることにより、重合反応を停止させた。
反応溶液を、珪藻土(昭和化学工業社製、製品名「ラヂオライト(登録商標)♯500」)を濾過床として、加圧濾過器(石川島播磨重工社製、製品名「フンダフィルタ−」)を使用し、圧力0.25MPaで加圧濾過して、無色透明な溶液を得た。次いで、この溶液を0.05%の塩酸を含むイソプロパノール中に注いで重合体を析出させた。析出した重合体を分取、洗浄し、100℃で15時間減圧乾燥して付加共重合体を得た。
〔実施例2〕
実施例1において、エチレンガスの圧力を0.15MPaに変更したこと以外は、実施例1と同様にして付加共重合体を得た。
実施例1において、エチレンガスの圧力を0.15MPaに変更したこと以外は、実施例1と同様にして付加共重合体を得た。
〔実施例3〕
実施例1において、エチレンガスの圧力を0.05MPaに変更したこと以外は、実施例1と同様にして付加共重合体を得た。
実施例1において、エチレンガスの圧力を0.05MPaに変更したこと以外は、実施例1と同様にして付加共重合体を得た。
〔比較例1〕
実施例1において、エチレンガスの圧力を0.05MPaに変更し、さらに反応時間を20分に変更したこと以外は、実施例1と同様にして付加共重合体を得た。
実施例1において、エチレンガスの圧力を0.05MPaに変更し、さらに反応時間を20分に変更したこと以外は、実施例1と同様にして付加共重合体を得た。
〔比較例2〕
実施例1において、エチレンガスの圧力を0.15MPaに変更し、さらに反応時間を40分に変更したこと以外は、実施例1と同様にして付加共重合体を得た。
実施例1において、エチレンガスの圧力を0.15MPaに変更し、さらに反応時間を40分に変更したこと以外は、実施例1と同様にして付加共重合体を得た。
〔比較例3〕
実施例1において、HCHDの代わりにテトラシクロドデセン(以下、「TCD」ということがある。)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして付加共重合体を得た。
実施例1において、HCHDの代わりにテトラシクロドデセン(以下、「TCD」ということがある。)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして付加共重合体を得た。
〔比較例4〕
実施例1において、HCHDの代わりにTCDを用いたことと、エチレンガスの圧力を0.15MPaに変更したこと以外は、実施例1と同様にして付加共重合体を得た。
実施例1において、HCHDの代わりにTCDを用いたことと、エチレンガスの圧力を0.15MPaに変更したこと以外は、実施例1と同様にして付加共重合体を得た。
〔比較例5〕
実施例1において、HCHDの代わりにTCDを用いたことと、エチレンガスの圧力を0.05MPaに変更したこと以外は、実施例1と同様にして付加共重合体を得た。
実施例1において、HCHDの代わりにTCDを用いたことと、エチレンガスの圧力を0.05MPaに変更したこと以外は、実施例1と同様にして付加共重合体を得た。
〔比較例6〕
実施例1において、エチレンガスの圧力を0.15MPaに変更したことと、さらにトリエチルアルミニウム10.0%トルエン溶液44.0部を反応器に仕込んだこと以外は、実施例1と同様にして付加共重合体を得た。
実施例1において、エチレンガスの圧力を0.15MPaに変更したことと、さらにトリエチルアルミニウム10.0%トルエン溶液44.0部を反応器に仕込んだこと以外は、実施例1と同様にして付加共重合体を得た。
第1表から以下のことが分かる。
実施例1〜3で得られた付加共重合体は、線膨張係数が小さく、かつ、低複屈折性に優れている。このような付加共重合体を用いることで、低複屈折性に優れる射出成形体が得られる。
一方、比較例1の付加共重合体は、HCHD由来の繰り返し単位を多く含有するため、低複屈折性に劣り(δn値が、絶対値が大きな負の値である。)、比較例2の付加共重合体は、HCHD由来の繰り返し単位の量が少ないため、低複屈折性に劣っている(δn値が、絶対値が大きな正の値である。)。また、これらの付加共重合体を用いて得られた射出成形体もまた低複屈折性に劣っている。
比較例3〜5は、HCHD由来の繰り返し単位に変えて、TCD由来の繰り返し単位を含有する付加共重合体である。これらの結果から、TCD由来の繰り返し単位を多く含有するにつれて、付加共重合体の線膨張係数が小さくなり、また低複屈折性が向上する傾向が観られる。しかしながら、TCD由来の繰り返し単位を45%も含む比較例5の付加共重合体であっても、線膨張係数は56×10−6/℃であり、十分に小さくすることができていない。
比較例6は、HCHD由来の繰り返し単位を全繰り返し単位中20%含有し、エチレン由来の繰り返し単位を全繰り返し単位中80%含有する付加共重合体ではあるが、重量平均分子量が小さい。この結果、この付加共重合体の線膨張係数は実施例のものに比べてかなり大きくなっている。
実施例1〜3で得られた付加共重合体は、線膨張係数が小さく、かつ、低複屈折性に優れている。このような付加共重合体を用いることで、低複屈折性に優れる射出成形体が得られる。
一方、比較例1の付加共重合体は、HCHD由来の繰り返し単位を多く含有するため、低複屈折性に劣り(δn値が、絶対値が大きな負の値である。)、比較例2の付加共重合体は、HCHD由来の繰り返し単位の量が少ないため、低複屈折性に劣っている(δn値が、絶対値が大きな正の値である。)。また、これらの付加共重合体を用いて得られた射出成形体もまた低複屈折性に劣っている。
比較例3〜5は、HCHD由来の繰り返し単位に変えて、TCD由来の繰り返し単位を含有する付加共重合体である。これらの結果から、TCD由来の繰り返し単位を多く含有するにつれて、付加共重合体の線膨張係数が小さくなり、また低複屈折性が向上する傾向が観られる。しかしながら、TCD由来の繰り返し単位を45%も含む比較例5の付加共重合体であっても、線膨張係数は56×10−6/℃であり、十分に小さくすることができていない。
比較例6は、HCHD由来の繰り返し単位を全繰り返し単位中20%含有し、エチレン由来の繰り返し単位を全繰り返し単位中80%含有する付加共重合体ではあるが、重量平均分子量が小さい。この結果、この付加共重合体の線膨張係数は実施例のものに比べてかなり大きくなっている。
Claims (5)
- 重量平均分子量が、10,000〜300,000である、請求項1に記載の付加共重合体。
- 単位厚さあたりの複屈折量(δn)が−5〜5である、請求項1又は2に記載の付加共重合体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の共重合体を含有する成形材料。
- 請求項4に記載の成形材料を成形して得られる樹脂成形体。
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