JP2016194193A - 透過型堰堤用円形鋼管の接合構造、及びその接合構造に用いられる鞘管継手、並びにその接合構造を用いた透過型堰堤 - Google Patents

透過型堰堤用円形鋼管の接合構造、及びその接合構造に用いられる鞘管継手、並びにその接合構造を用いた透過型堰堤 Download PDF

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Abstract

【課題】事前の工場等での製作が容易で低コストで済むとともに、透過型堰堤を造築する現場での接続作業が簡単且つ短時間で行うことができる透過型堰堤用円形鋼管の接合構造、及びその接合構造に用いられる鞘管継手、並びにその接合構造を用いた透過型堰堤を提供する。
【解決手段】透過型堰堤1を構成する円形鋼管(鋼管組立体10)同士を交差させて接合する透過型堰堤用円形鋼管の接合構造であって、複数の円形鋼管同士の交差部分を、円形鋼管に外嵌する径の複数の管材からなる鞘管継手S1〜S6で外嵌して円形鋼管同士を接合し、鞘管継手S1〜S6は、交差部分において交差する複数の円形鋼管の内の一本に嵌着されるとともに、交差する他の円形鋼管に応力を伝達する応力伝達機構を備え、この応力伝達機構 を介して一の円形鋼管に作用する衝撃荷重や水圧、土圧(堆砂圧)等の外力を他の交差する円形鋼管へ伝達可能に接合する。
【選択図】図2

Description

本発明は、透過型堰堤に関し、詳しくは、その透過型堰堤に用いられる円形鋼管の接合構造、及びその接合構造に用いられる鞘管継手、並びにその接合構造を用いた透過型堰堤に関する。
砂防堰堤は、土石流や流木による災害を防ぐために渓流等に設置される堰堤であり、透過型(砂防)堰堤は、その中でも流木や土石などの有害な土石流流下物を堰き止めるとともに、無害な常時流水や土砂等を下流に流す機能を有した堰堤である。このような透過型堰堤は、堤体に間隔をあけ常時流水や土砂等を下流に流す通水部を設けるとともに、そこに、土石流流下物を堰き止めるとともに通水可能なスリットダムが設置される。このスリットダムは、一般的に、強度や経済的理由から鋼材で構成された鋼製スリットダムとなっている。また、このような透過型堰堤に用いられる鋼材には、堰き止められる流木や土石などが上流のどの方向から堰堤に衝突するか予測が困難であることから、どの方向からの衝撃荷重に対しても強度が一定である円形鋼管が採用されていることが多い。
従来、このような透過型堰堤を構成する円形鋼管の接合は、特許文献1に示すように、フランジ同士を突き合わせてボルト止めするフランジ接合が用いられており、透過型堰堤に用いられる円形鋼管同士の接合は、この出願から40年近く経過した今日でも新たな接合手段が提供されていない状況である(特許文献1の図面の第4図等参照)。このようなフランジ接合は、設置現場での施工が容易で施工誤差による強度のバラツキが少ないという利点がある。
しかし、透過型堰堤は、土石流等の衝撃荷重や水圧、土圧(堆砂圧)等の外力に対抗するため、主構造体となる円形鋼管の上流側又は上下流両側を傾斜させる必要があり、円形鋼管同士の接合が、直角ではない角度で交差させる接合となる。このため、透過型堰堤が設置される現場での接合を、円形鋼管の軸に垂直なフランジ同士のフランジ接合ですることを選択した場合、主構造体となる円形鋼管同士の直角ではない角度、即ち、鋭角又は鈍角の接合を工場等で行う必要がある。円形鋼管同士の鋭角又は鈍角の接合は、コンクリート等の湿式での接合することも考えられるが、一般的には、養生期間等が不要で、非破壊検査が可能な溶接で接合されている。
円形鋼管同士の鋭角又は鈍角の接合を溶接接合で行う場合、円形鋼管を接合部分において3次元の曲線で切断する必要があり、その溶接線も、同様に曲線(例えば、3次曲線)同士が複雑に交差するものとなってしまう。その上、透過型堰堤の主構造体である円形鋼管は、長さが通常3m〜13mもある巨大な鋼管であり、溶接の進行に合わせて円形鋼管を回転させることは非常に困難である。このため、透過型堰堤を構成する円形鋼管同士が交差する接合を溶接接合で行う場合は、円形鋼管を複雑な3次元の曲線で切断した上、完全溶込溶接作業を上向き姿勢等で行う必要が生じ、極めて熟練度の高い限られた職人しか行えない難しい作業となり、必然的に、高価となるうえ、歩留まりも悪化してしまうという問題があった。
一方、特許文献2には、鋼製支柱15に巨礫が衝突して凹み部分が形成された場合に、凹んだ部分を補修して補強する補強構造体として、透過型砂防堰堤10を構成する鋼製支柱15と、鋼製支柱15の上流側の少なくとも一部を覆う緩衝部材21と、この衝部材21に連結して緩衝部材21を鋼製支柱15に固定する固定部材31とを備えた、透過型砂防堰堤10の補強構造体が開示されている(特許文献2の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0039]〜[0049]、図面の図3等参照)。
しかし、特許文献2に記載の補強構造体は、あくまでも鋼製支柱の補強構造体であり、鋼製支柱同士の接合、即ち、主構造体となる円形鋼管同士の接合には、適用することができないという問題があった。
また、特許文献3には、柱部材8同士の接合を、鞘管36と経時硬化性材料24を介して接合する湿式の鞘管継手で接合した鋼製スリットダム(透過型堰堤)の柱部材の接合構造が開示されている(特許文献3の図15等参照)。
しかし、特許文献3に記載の鋼製スリットダムの柱部材の接合構造は、養生期間を取って経時硬化性材料24を硬化させて接合するいわゆる湿式の鞘管継手で接合するものであり、経時硬化性材料が硬化する養生期間が必要な分、鋼製スリットダムの設置期間が長くなり、そのため、鋼製スリットダムの建設コストが嵩んでしまうという問題があった。
実開昭51−58536号公報 特開2011−226113号公報 特開2002−188134号公報
そこで、本発明は、前述した問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、事前の工場等での製作が容易で低コストで済むとともに、透過型堰堤を造築する現場での接続作業が簡単且つ短時間で行うことができる透過型堰堤用円形鋼管の接合構造、及びその接合構造に用いられる鞘管継手、並びにその接合構造を用いた透過型堰堤を提供することにある。
第1発明に係る透過型堰堤用円形鋼管の接合構造は、透過型堰堤を構成する円形鋼管同士を交差させて接合する透過型堰堤用円形鋼管の接合構造であって、複数の前記円形鋼管同士の交差部分が、前記円形鋼管に外嵌する径の複数の管材からなる鞘管継手に外嵌されて前記円形鋼管同士が接合され、前記鞘管継手は、前記交差部分において交差する複数の前記円形鋼管の内の一本に嵌着されるとともに、交差する他の前記円形鋼管に応力を伝達する応力伝達機構を備え、この応力伝達機構を介して一の前記円形鋼管に作用する衝撃荷重等の外力を他の交差する前記円形鋼管へ伝達可能に接合されることを特徴とする。
第2発明に係る透過型堰堤用円形鋼管の接合構造は、第1発明において、前記鞘管継手は、前記交差部分において交差する複数の前記円形鋼管の内の一本に貫通するよう挿通されて当該円形鋼管の管端を除く部分に嵌着されることを特徴とする。
第3発明に係る透過型堰堤用円形鋼管の接合構造は、第1発明又は第2発明において、前記応力伝達機構は、交差する他の前記円形鋼管の管端面と面で当接する板材で構成された応力伝達プレートであることを特徴とする。
第4発明に係る透過型堰堤用円形鋼管の接合構造は、第1発明ないし第3発明のいずれかの発明において、前記鞘管継手は、組立又は分解可能な複数の円筒部材から構成されていることを特徴とする。
第5発明に係る透過型堰堤用円形鋼管の接合構造は、第4発明において、前記円筒部材には、ねじ止め部分にねじ頭又はナットを収容する座繰り部が形成されていることを特徴とする
第6発明に係る透過型堰堤用円形鋼管の接合構造は、第4発明又は第5発明において、前記鞘管継手は、前記円形鋼管同士が直角に交差する交差部分に用いられる場合と、前記円形鋼管同士が鋭角又は鈍角に交差する交差部分に用いられる場合のいずれの場合にも用いられる共通した形状の円筒部材を有していることを特徴とする。
第7発明に係る透過型堰堤用円形鋼管の接合構造は、第4発明ないし第6発明のいずれかの発明において、前記鞘管継手が嵌着された前記円形鋼管には、前記鞘管継手を嵌着する位置を決める位置決めフランジが形成されていることを特徴とする。
第8発明に係る透過型堰堤用円形鋼管の接合構造は、第1発明ないし第3発明のいずれかの発明において、前記鞘管継手は、鋳造又は溶接により金属から一体成形されていることを特徴とする。
第9発明に係る透過型堰堤用円形鋼管の接合構造は、第8発明において、前記鞘管継手は、嵌着された前記円形鋼管に複数の前記円形鋼管が交差するように接合する継手であり、嵌着された前記円形鋼管に交差する複数の前記円形鋼管同士は、異なる高さで交差するように接合されることを特徴とする。
第10発明に係る透過型堰堤用円形鋼管の接合構造は、第8発明において、前記鞘管継手は、嵌着された前記円形鋼管に複数の前記円形鋼管が交差するように接合する継手であり、嵌着された前記円形鋼管に交差する複数の前記円形鋼管同士は、同じ高さで交差するように接合されることを特徴とする。
第11発明に係る透過型堰堤用円形鋼管の接合構造は、第8発明ないし第10発明のいずれかの発明において、前記鞘管継手が嵌着された前記円形鋼管には、前記鞘管継手を嵌着する位置を決める後付の後付けフランジが取り付けられていることを特徴とする。
第12発明に係る鞘管継手は、請求項1ないし11のいずれかに記載の透過型堰堤用円形鋼管の接合構造に用いられる鞘管継手であって、前記応力伝達機構を備えることを特徴とする。
第13発明に係る透過型堰堤は、請求項1ないし11のいずれかに記載の透過型堰堤用円形鋼管の接合構造を備えることを特徴とする。
第1発明〜第13発明によれば、巨大な円形鋼管同士の接合部分を直接溶接する必要がなくなり、事前の工場等での製作が容易で製作コストを削減することができる。また、透過型堰堤を造築する現場での接続作業が、鞘管継手に円形鋼管を嵌め込み、ねじ止め等の簡単な作業だけとなり、透過型堰堤の造築作業が簡単且つ短時間で行うことができるようになる。このため、透過型堰堤の設置コストをさらに削減することができる。
特に、第4発明によれば、前記鞘管継手が組立又は分解可能な複数の円筒部材から構成されているので、事前の工場等での複雑な円形鋼管の切断作業や溶接作業を極力少なくすことができるとともに、透過型堰堤を造築する現場での接続作業もねじ止めなどの簡単な作業で済み、短時間で行うことができる。
特に、第5発明によれば、鞘管継手を構成する円筒部材には、ねじ頭又はナットを収容する座繰り部が形成されているので、ねじ頭やナットに礫が衝突してねじ頭やナットが飛び、円形鋼管の接合部分が崩壊してしまうことを防ぐことができる。
特に、第6発明によれば、鞘管継手を構成する部品の一部を共通化することができるので、プレス型の削減や生産ラインの削減を図ることができ、スケールメリットも享受することができる。
特に、第7発明によれば、円形鋼管には、位置決めフランジが形成されているので、鞘管継手がずれ落ちたり、透過型堰堤を造築する現場での円形鋼管同士の接合位置や高さを間違えたりするおそれがなくなる。このため、第7発明によれば、出戻り作業を無くしてさらに透過型堰堤の造築作業を簡単且つ短時間で行うことができる。
特に、第8〜第11発明によれば、鞘管継手は、鋳造又は溶接により金属から一体成形されているので、透過型堰堤を造築する現場でのねじ止め作業も必要なくなり、さらに透過型堰堤の造築作業を簡単且つ短時間で行うことができる。また、第8〜第11発明によれば、鞘管継手を溶接により一体成形する場合、工場等での溶接は必要となるが、巨大な円形鋼管と比べて鞘管継手は小さいため、溶接の進行に合わせて鞘管継手を回転させることは可能であり、機械溶接や下向きだけの溶接が可能となり、溶接コストを抑えることができる。
特に、第10発明によれば、異なる高さで接合する場合と比べて鞘管継手の長さが短くて済むとともに、必要な鞘管継手の数が低減される。このため、第10発明によれば、鞘管継手の製作コスト及び透過型堰堤の製造コストを削減することができる。
特に、第11発明によれば、鞘管継手が嵌着された円形鋼管には、後付けフランジが取り付けられているので、円形鋼管の接合作業の進行に合わせて後から位置決めフランジを取り付けることができるため、さらに透過型堰堤の造築作業を簡単且つ短時間で行うことができる。
本発明の実施形態に係る透過型堰堤を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る鋼製スリットダムを示す斜視図である。 同上の鋼製スリットダムの円形鋼管だけを示す斜視図である。 図2の鋼製スリットダムの側面図である。 図2の鋼製スリットダムの円形鋼管を一部透視して第1実施形態に係る鞘管継手を主に示す部分拡大斜視図である。 図2の鋼製スリットダムの第1円筒部材を示す斜視図である。 図2の鋼製スリットダムの第2円筒部材を示す斜視図である。 図2の鋼製スリットダムの第3円筒部材を示す斜視図である。 図2の鋼製スリットダムの第4円筒部材を示す斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る鋼製スリットダムを示す斜視図である。 同上の鋼製スリットダムを示す側面図である。 同上の鋼製スリットダムに用いられる第2実施形態に係る鞘管継手を示す斜視図である。 同上の鞘管継手を反対側から見た斜視図である。 本発明の第3実施形態に係る鋼製スリットダムを示す斜視図である。 同上の鋼製スリットダムを示す側面図である。 同上の鋼製スリットダムに用いられる第2実施形態に係る鞘管継手を示す斜視図である。 同上の鞘管継手を反対側から見た斜視図である。 本発明の実施形態に係る後付けフランジを同上の鞘管継手を位置決めする際に用いた場合で示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態に係る透過型堰堤用円形鋼管の接合構造について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[透過型堰堤]
先ず、図1を用いて、本発明の実施形態に係る透過型堰堤について透過型砂防堰堤を例示して簡単に説明する。図1に示すように、透過型堰堤1は、土石流や流木などを堰き止める2つの堤体2と、これら2つの堤体2の間に設けられた通水部3と、この通水部3に設置された後述の鋼製スリットダムなどから構成されている。この透過型堰堤1は、土石流や流木による災害を防ぐために渓流等に設置され、流木や土石などの土石流流下物を堰き止めるとともに、常時流水や土砂等を下流に流す機能を有している。図示形態は、本発明の第1実施形態に係る鋼製スリットダムD1を3つ並設した場合を例示している。
堤体2は、一般的にコンクリートから構成された鉛直断面が台形状(堤状)のコンクリート構造物である。勿論、この堤体2は、鋼製パネルやプレキャストのコンクリートパネルなどの間にソイルセメントで固めた土砂等を充填して堤体としたものでも良い。要するに、堤体2は、土石流や流木などを堰き止められる程度の重量があって堤として風雨に耐え得る一定の定形性があればどのような物から造成されていても良い。
通水部3は、流水や土砂等を下流に流す部分として設けられ、流木や土石などの土石流流下物を堰き止めるために、鋼製スリットダムD1が設置されている。なお、Xは渓流の流れの上流方向、Yは下流方向を示している(以下同じ)。
[第1実施形態に係る鋼製スリットダム]
次に、図2〜図9を用いて、本発明の第1実施形態に係る鋼製スリットダムD1について説明する。第1実施形態に係る鋼製スリットダムD1は、図2に示すように、円形鋼管が組み合わさった鋼管組立体D10と、この鋼管組立体D10の円形鋼管の交差部分に設けられた2種類の鞘管継手S1,S2などから構成されている。
(円形鋼管、鋼管組立体)
この鋼管組立体D10は、図3に示すように、渓流の流れに沿った方向、即ち、XY方向に沿って傾斜して立設された円形鋼管からなる支柱D11と、これらの支柱D11,D11間に上下2段に渓流(XY方向)に沿って水平に架け渡された支柱D11と同一径の円形鋼管からなる左右一対の水平材D12,D13と、これら水平材D12,D13に直交する渓流の幅方向に沿って支柱D11,D11間に上下2段に水平に架け渡された円形鋼管からなる左右一対の繋ぎ材D14,D15など、から左右対称(シンメトリック)に組み合わされている(図4も参照)。
そして、図2、図4に示すように、これらの複数の円形鋼管同士の交差部分に鞘管継手S1,S2が配置され、これらの鞘管継手S1,S2で前述の鋼管組立体D10の円形鋼管を覆っている。このように、円形鋼管同士の交差部分において鞘管継手S1,S2が円形鋼管の外側に嵌め込まれることにより、鋼管組立体D10の円形鋼管同士が接合されて、鋼管組立体D10が組み立てられている。
なお、図3に示すように、支柱D11には、鞘管継手S1を所定の位置(高さ)に掛け止めるための位置決めフランジF1が上下2段に亘って形成されている。このため、鞘管継手S1及びその上に設置される鞘管継手S2がずれ落ちたり、設現場において水平材D12,D13や繋ぎ材D14,D15の接合位置や高さを間違えたりするおそれがなくなる。
(鞘管継手)
図2、図4に示すように、支柱D11が、渓流(XY方向)に沿って傾斜して立設されているため、水平材D12,D13の管軸と、支柱D11の管軸とが交差する部分は、円形鋼管の管軸同士が上方の角が鋭角、下方の角が鈍角となるように交差しており、この交差部分には、傾斜継手となる鞘管継手S2が配置されている。
また、図2に示すように、支柱D11は、渓流の幅方向(XY方向と直交する水平方向)に沿っては傾斜して立設されていないため、繋ぎ材D14,D15の管軸と、支柱D11の管軸とが交差する部分は、円形鋼管の管軸同士が直角に交差しており、この交差部分には、直角継手となる鞘管継手S1が配置されている。
なお、図2等に示すように、水平材D12,D13と支柱D11とが交差する部分は、上下2段とも同一角度で交差し、繋ぎ材D14,D15と支柱D11とが交差する部分も、上下2段とも直交しているとともに、支柱D11、水平材D12,D13、繋ぎ材D14,D15は、いずれも同一径の円形鋼管からなるので、鞘管継手S1,S2は、いずれも上下2段とも同一形状の継手が使用されている。
この鞘管継手S1は、支柱D11の直線部分を覆う1つの第1円筒部材E1と、上下の直角部分を覆う2つの第2円筒部材E2と、から構成され、これらの円筒部材E1,E2がボルト等でねじ止め固定されることで、1つの直角継手となっている(図5、図2参照)。
鞘管継手S2は、支柱D11の直線部分を覆う1つの第1円筒部材E1と、下方の鈍角部分を覆う第3円筒部材E3と、上方の鋭角部分を覆う第4円筒部材E4と、から構成され、これらの円筒部材E1,E3,E4がボルト等でねじ止め固定されることで、1つの傾斜継手となっている(図5、図2参照)。
(円筒部材)
第1円筒部材E1は、図6に示すように、支柱D11の外径と略同径の内径からなる円形鋼管を管軸に沿って縦に半割りした半円筒状の円筒本体E10と、この円筒本体E10の管軸方向に沿った縁に形成された一対のフランジE11など、から構成されている。
このフランジE11には、長さ方向(管軸に沿った方向)に間隔をおいてねじ止め用のねじ孔E11aが4つ穿設されているとともに、このねじ孔E11aの外側の周りには、フランジE11の外面からねじ頭やナットなどを収容する分凹んだ座繰り部E11bが形成されている。このため、ねじ頭(ボルト頭)やナットなどに巨礫や流木などが衝突してねじ頭やナットなどが切断されて飛び、円筒部材同士の接合が外れ、鋼管組立体D10の接合部分が崩壊してしまうことを防ぐことができる。
第2円筒部材E2は、支柱D11の外径と略同径の内径からなる円形鋼管を管軸に沿って縦に半割りした半円筒状の部材が直交する形状の円筒本体を備え、支柱D11を覆う部分が円筒本体E20と、繋ぎ材D14又は繋ぎ材D15を覆う部分が円筒本体E21となっている。
また、この円筒本体E20及び円筒本体E21のそれぞれの管軸方向に沿った縁には、L字状の一対のフランジE22が形成されている。このフランジE22、第1円筒部材E1と同様に、4つのねじ孔E22aが穿設されているとともに、このねじ孔E22aの外側の周りには、フランジE22の外面からねじ頭やナットなどを収容する分凹んだ座繰り部E22bが形成されている。
そして、繋ぎ材D14又は繋ぎ材D15を覆う円筒本体E21には、繋ぎ材D14又は繋ぎ材D15から伝達される衝撃荷重や水圧、土圧(堆砂圧)等の外力を支柱D11へ伝達するための応力伝達機構として半円状の応力伝達プレートE23が形成されている。この応力伝達プレートE23は、繋ぎ材D14又は繋ぎ材D15の管端面と面で当接するように円筒本体E21の管軸方向に対して垂直な面を板面とするプレート材であり、円筒本体E21に溶接等で一体化されている。
第3円筒部材E3は、支柱D11の外径と略同径の内径からなる円形鋼管を管軸に沿って縦に半割りした半円筒状の部材が鈍角に交差する形状の円筒本体を備え、支柱D11を覆う部分が円筒本体E30と、水平材D12又は水平材D13を覆う部分が円筒本体E31となっている。
また、この円筒本体E30及び円筒本体E31のそれぞれの管軸方向に沿った縁には、くの字状に鈍角に折れ曲がった一対のフランジE32が形成されている。このフランジE32は、前述の第2円筒部材E2と同様に、4つのねじ孔E32aが穿設されているとともに、このねじ孔E32aの外側の周りには、フランジE32の外面からねじ頭やナットなどを収容する分凹んだ座繰り部E32bが形成されている。
そして、水平材D12又は水平材D13を覆う円筒本体E31には、水平材D12又は水平材D13から伝達される衝撃荷重や水圧、土圧(堆砂圧)等の外力を支柱D11へ伝達するための応力伝達機構として半円状の応力伝達プレートE33が形成されている。この応力伝達プレートE33は、水平材D12又は水平材D13の管端面と面で当接するように円筒本体E31の管軸方向に対して垂直な面を板面とするプレート材であり、円筒本体E31に溶接等で一体化されている。
第4円筒部材E4も、第3円筒部材E3と同様に、支柱D11の外径と略同径の内径からなる円形鋼管を管軸に沿って縦に半割りした半円筒状の部材が鋭角に交差する形状の円筒本体を備え、支柱D11を覆う部分が円筒本体E40と、水平材D12又は水平材D13を覆う部分が円筒本体E41となっている。
また、この円筒本体E40及び円筒本体E41のそれぞれの管軸方向に沿った縁には、V字状に鋭角に折れ曲がった一対のフランジE42が形成されている。このフランジE42、前述の第3円筒部材E3と同様に、4つのねじ孔E42aが穿設されているとともに、このねじ孔E42aの外側の周りには、フランジE42の外面からねじ頭やナットなどを収容する分凹んだ座繰り部E42bが形成されている。
そして、水平材D12又は水平材D13を覆う円筒本体E41には、水平材D12又は水平材D13から伝達される衝撃荷重や水圧、土圧(堆砂圧)等の外力を支柱D11へ伝達するための応力伝達機構として半円状の応力伝達プレートE43が形成されている。この応力伝達プレートE43は、水平材D12又は水平材D13の管端面と面で当接するように円筒本体E41の管軸方向に対して垂直な面を板面とするプレート材であり、円筒本体E41に溶接等で一体化されている。
(第1実施形態に係る鋼製スリットダムの作用効果)
以上説明した鞘管継手S1及び鞘管継手S2を用いて鋼管組立体D10を接合した第1実施形態に係る鋼製スリットダムD1によれば、巨大な円形鋼管である支柱D11と、水平材D12,D13や繋ぎ材D14,D15との接合部分を直接溶接する必要がなくなり、事前の工場等での製作が容易で鋼製スリットダムの製作コストを削減することができる。
また、鋼製スリットダムD1によれば、鋼製スリットダムD1を設置する現場での接続作業が、ねじ等を回して鞘管継手S1,S2を組み立てて、そこに水平材D12,D13や繋ぎ材D14,D15を嵌め込むだけであるため、極めて簡単で、短時間で設置作業を終了することができる。このため、鋼製スリットダムD1及び透過型堰堤1の設置コストをさらに削減することができる。
そして、鋼製スリットダムD1では、鞘管継手S1,S2が、組立・分解自在となっているので、後述の第2、第3実施形態に係る鋼製スリットダムD2,D3と相違して、従来通り、支柱D11を先に設置して根巻コンクリートを打設してからその他の円形鋼管を組み付けることが可能となる。このため、施工手順の自由度が高く、作業時間の短縮を図ることができる。
さらに、鞘管継手S1及び鞘管継手S2を備えた鋼製スリットダムD1によれば、支柱D11等と比べて小さな半円筒状の部材同士の溶接だけで済むため、3次元切断する長さが短くて済むとともに、溶接する部材の溶接の進行に合わせた母材の回転が容易である。そのため、事前の工場等での溶接作業が容易で、機械溶接等も可能となり、鋼製スリットダムD1の製造コストを削減することができる。
その上、鞘管継手S1及び鞘管継手S2には、円筒部材同士を接合する部分に、ねじ頭又はナットを収容する座繰り部E11b,E22b,E32b,E42bが形成されているので、ねじ頭やナットに巨礫や流木が衝突してねじ頭やナットが飛び、鋼管組立体D10の接合部分が崩壊してしまうことを防ぐことができる。
さらに、鋼製スリットダムD1によれば、シンメトリックに構成して円形鋼管同士の接合を極力同一角度とするとともに、鞘管継手S1及び鞘管継手S2を構成する部品の一部を共通化してたった4種類の円筒部材だけで構成できるようにしているので、プレス型の削減や生産ラインの削減を図ることができ、スケールメリットも享受することができる。
なお、鋼製スリットダムD1の鞘管継手S1,S2は、一般構造用圧延鋼材からなるが、他の鋼材でもよく、所定の設計強度が得られれば、鋳造、例えば、溶解した金属を型枠に入れて圧入成形したダイキャスト製とすることも可能である。鋳造することで、複雑な3次元の曲線の切断や溶接を無くすことができ、さらなる省力化やコスト削減を図ることができる。
また、応力伝達機構として管軸に対して垂設された応力伝達プレートE23,E33,E43を例示して説明したが、応力伝達機構としては、管軸に対して垂設されたプレート状の物に限られず、斜面と斜面、曲面と曲面、曲面と平面など円形鋼管の管端とメタルタッチで当接する他の形状のもでも構わない。要するに、応力伝達機構は、円形鋼管に作用する軸力、曲げ応力、せん断力など応力を伝達可能な機構であればよい。
[第2実施形態に係る鋼製スリットダム]
次に、図10〜図13を用いて、本発明の第2実施形態に係る鋼製スリットダムD2について説明する。第2実施形態に係る鋼製スリットダムD2は、図10、図11に示すように、円形鋼管が組み合わさった鋼管組立体D20と、この鋼管組立体D20の円形鋼管の交差部分に設けられた2種類の鞘管継手S3,S4などから構成されている。
(円形鋼管、鋼管組立体)
鋼管組立体D20は、図10、図11に示すように、XY方向に沿って傾斜して立設された円形鋼管からなる支柱D21と、これらの支柱D21,D21間に上下2段に渓流(XY方向)に沿って水平に架け渡された支柱D21と同一径の円形鋼管からなる左右一対の水平材D22,D23と、これら水平材D22,D23に直交する渓流の幅方向に沿って支柱D21,D21間に上下2段に水平に架け渡された円形鋼管からなる左右一対の繋ぎ材D24,D25など、から左右対称(シンメトリック)に組み合わされている。
なお、この鋼管組立体D20が、前述の鋼管組立体D10と相違する点は、繋ぎ材D24,D25の接合位置(高さ)が、水平材D22,D23と同じ高さとなっている点である。このため、鋼製スリットダムD2の構成が簡略化されて設計等が容易となる。
そして、図10、図11に示すように、これらの複数の円形鋼管同士の交差部分に鞘管継手S3,S4が配置され、これらの鞘管継手S3,S4で前述の鋼管組立体D20の円形鋼管を覆っている。このように、円形鋼管同士の交差部分において鞘管継手S3,S4が円形鋼管の外側に嵌め込まれることにより、鋼管組立体D20の円形鋼管同士が接合されて、鋼管組立体D20が組み立てられている。
なお、前述の支柱D11と相違して、支柱D21の上端から鞘管継手S3,S4を嵌め込んでスライドさせて嵌着する関係上、支柱D21には、鞘管継手S3,S4を所定の位置(高さ)に掛け止めるための位置決めフランジは形成されていない。代わりに、図10、図11に示すように、ねじを回して締め付けることで支柱D21に装着可能な後付けフランジF2が取り付けられている(図18参照)。このため、鋼管組立体D20の組立が容易で短時間で行える。
(鞘管継手)
鞘管継手S3,S4は、図10に示すように、支柱D21に、水平材D22又は水平材D23と、繋ぎ材D24又は繋ぎ材D25と、の両方の部材を接合するものであり、鞘管継手S3と鞘管継手S4は、左右対称のシンメトリックとなっており、殆ど同一形状である。よって、鞘管継手S3についてのみ説明し、鞘管継手S4の説明は省略する。
鞘管継手S3は、図12、図13に示すように、支柱D21に嵌着される継手本体S30と、繋ぎ材D24又は繋ぎ材D25を接合する繋ぎ材接合部S31と、水平材D22又は水平材D23を接合する水平材接合部S32などから構成され、継手本体S30、繋ぎ材接合部S31、水平材接合部S32は、支柱D21の外径と略同径の内径を有した一般構造用の円形鋼管から溶接されて一体成形されている。
繋ぎ材接合部S31及び水平材接合部S32には、それぞれ、繋ぎ材D24又は繋ぎ材D25、あるいは、水平材D22又は水平材D23から伝達される衝撃荷重や水圧、土圧(堆砂圧)等の外力を支柱D21へ伝達するための応力伝達機構として円形の応力伝達プレートS31a,S32aが溶接されて取り付けられている。この応力伝達プレートS31a,S32aは、繋ぎ材D24、繋ぎ材D25、水平材D22、又は水平材D23の管端面と面で当接するように繋ぎ材接合部S31又は水平材接合部S32の管軸方向に対して垂直な面を板面とするプレート材である。
勿論、前述のように、応力伝達機構としては、管軸に対して垂設されたプレート状の物に限られず、斜面と斜面、曲面と曲面、曲面と平面など円形鋼管の管端とメタルタッチで当接する他の形状のもでも構わない。要するに、応力伝達機構は、円形鋼管に作用する軸力、曲げ応力、せん断力など応力を伝達可能な機構であればよい。
(第2実施形態に係る鋼製スリットダムの作用効果)
以上説明した鞘管継手S3及び鞘管継手S4を用いて鋼管組立体D20を接合した第2実施形態に係る鋼製スリットダムD2によれば、支柱D21等と比べて小さな円筒状の部材同士の溶接だけで済むため、3次元切断する長さが短くて済むとともに、溶接する部材の溶接の進行に合わせた母材の回転が容易である。そのため、事前の工場等での溶接作業が容易で、機械溶接等も可能となり、鋼製スリットダムD2の製造コストを削減することができる。つまり、巨大な円形鋼管である支柱D21と、水平材D22,D23や繋ぎ材D24,D25との接合部分を直接溶接する必要がなくなり、事前の工場等での製作が容易で鋼製スリットダムの製作コストを削減することができる。
また、鋼製スリットダムD2によれば、鋼製スリットダムD2を設置する現場での接続作業が、2本の支柱D21に2つずつの鞘管継手S3、鞘管継手S4を2段に嵌め込み、これらの鞘管継手S3と鞘管継手S4との間に、水平材D22、水平材D23を嵌め込んで2セットの鋼管組立体を地組し、揚重機等を用いて吊り上げ、これらに繋ぎ材D24,D25を嵌め込んで水平移動するだけで、ねじ止め作業をすることなく、簡単に鋼製スリットダムD2を組み立てることができる。このため、鋼製スリットダムD1と比べても、極めて簡単で、短時間で設置作業を終了することができる。よって、鋼製スリットダムD2及び透過型堰堤1の設置コストをさらに削減することができる。
さらに、鋼製スリットダムD2によれば、2種類の鞘管継手だけで構成できるようにしているので、プレス型の削減や生産ラインの削減を図ることができ、スケールメリットも享受することができる。
その上、鋼製スリットダムD2は、前述の鋼製スリットダムD1と比べて必要な鞘管継手の数が低減されるとともに、後述の鋼製スリットダムD3と比べて鞘管継手の長さが短くて済む。このため、鞘管継手の製作コスト、鋼製スリットダム及び透過型堰堤の製造コストを削減することができる。
また、鋼製スリットダムD2では、後付けフランジF2で鞘管継手S3及び鞘管継手S4の取り付け位置の位置決めを行うので、鋼製スリットダムD2の円形鋼管である鋼管組立体D20の接合作業の進行に合わせて後から後付けフランジF2を取り付けて鞘管継手S3等の位置決めを行うことができる。このため、さらに透過型堰堤の造築作業を簡単且つ短時間で行うことができる。
なお、鋼製スリットダムD2の鞘管継手S3,S4は、一般構造用の円形鋼管からなるが、他の鋼材、鋼管でもよく、前述の鞘管継手S1,S2と同様に、所定の設計強度が得られれば、鋳造、例えば、溶解した金属を型枠に入れて圧入成形したダイキャスト製とすることも可能である。鋳造することで、複雑な3次元の曲線の切断や溶接を無くすことができ、さらなる省力化やコスト削減を図ることができる。
[第3実施形態に係る鋼製スリットダム]
次に、図14〜図18を用いて、本発明の第3実施形態に係る鋼製スリットダムD3について説明する。第3実施形態に係る鋼製スリットダムD3は、図14、図15に示すように、円形鋼管が組み合わさった鋼管組立体D30と、この鋼管組立体D30の円形鋼管の交差部分に設けられた2種類の鞘管継手S5,S6などから構成されている。
(円形鋼管、鋼管組立体)
鋼管組立体D30は、図14、図15に示すように、XY方向に沿って傾斜して立設された円形鋼管からなる支柱D31と、これらの支柱D31,D31間に上下2段に渓流(XY方向)に沿って水平に架け渡された支柱D31と同一径の円形鋼管からなる左右一対の水平材D32,D33と、これら水平材D32,D33に直交する渓流の幅方向に沿って支柱D31,D31間に上下2段に水平に架け渡された円形鋼管からなる左右一対の繋ぎ材D34,D35など、から左右対称(シンメトリック)に組み合わされている。
なお、この鋼管組立体D30が、前述の鋼管組立体D10、D20と相違する点は、繋ぎ材D24,D25の接合位置(高さ)が、水平材D22,D23より高い位置となっている点である。
そして、図14、図15に示すように、これらの複数の円形鋼管同士の交差部分に鞘管継手S5,S6が配置され、これらの鞘管継手S5,S6で前述の鋼管組立体D30の円形鋼管を覆っている。このように、円形鋼管同士の交差部分において鞘管継手S5,S6が円形鋼管の外側に嵌め込まれることにより、鋼管組立体D30の円形鋼管同士が接合されて、鋼管組立体D30が組み立てられている。
また、鋼製スリットダムD3でも、鋼製スリットダムD2と同様、図14、図15、図18に示すように、ねじを回して締め付けることで支柱D31に装着可能な後付けフランジF2が取り付けられている。このため、鋼管組立体D30の組立が容易で短時間で行える。なお、鋼管組立体D30の組立作業が終了すると、支柱D31同士の間隔が下に行くに従って広くなっているので、鞘管継手S5,S6が下方へズレるおそれはなく、後付けフランジF2を外してしまうことも可能である。
(鞘管継手)
鞘管継手S5,S6は、図14に示すように、支柱D31に、水平材D32又は水平材D33と、繋ぎ材D34又は繋ぎ材D35と、の両方の部材を接合するものであり、鞘管継手S5と鞘管継手S6は、左右対称のシンメトリックとなっており、殆ど同一形状である。よって、鞘管継手S5についてのみ説明し、鞘管継手S6の説明は省略する。
鞘管継手S5は、図16、図17に示すように、支柱D31に嵌着される継手本体S50と、水平材D32又は水平材D33を接合する水平材接合部S51と、繋ぎ材D34又は繋ぎ材D35を接合する繋ぎ材接合部S52と、などから構成され、継手本体S50、水平材接合部S51、繋ぎ材接合部S52とは、支柱D31の外径と略同径の内径を有した一般構造用の円形鋼管から溶接されて一体成形されている。
水平材接合部S51及び繋ぎ材接合部S52には、それぞれ、水平材D32又は水平材D33、あるいは、繋ぎ材D34又は繋ぎ材D35から伝達される衝撃荷重や水圧、土圧(堆砂圧)等の外力を支柱D31へ伝達するための応力伝達機構として円形の応力伝達プレートS51a,S52aが溶接されて取り付けられている。この応力伝達プレートS51a,S52aは、水平材D32、水平材D33、繋ぎ材D34、又は繋ぎ材D35の管端面と面で当接するように繋ぎ材接合部S52又は水平材接合部S51の管軸方向に対して垂直な面を板面とするプレート材である。
勿論、前述のように、応力伝達機構としては、管軸に対して垂設されたプレート状の物に限られず、斜面と斜面、曲面と曲面、曲面と平面など円形鋼管の管端とメタルタッチで当接する他の形状のもでも構わない。要するに、応力伝達機構は、円形鋼管に作用する軸力、曲げ応力、せん断力など応力を伝達可能な機構であればよい。
(第3実施形態に係る鋼製スリットダムの作用効果)
以上説明した鞘管継手S5及び鞘管継手S6を用いて鋼管組立体D30を接合した第3実施形態に係る鋼製スリットダムD3によれば、支柱D31等と比べて小さな円筒状の部材同士の溶接だけで済むため、3次元切断する長さが短くて済むとともに、溶接する部材の溶接の進行に合わせた母材の回転が容易である。そのため、事前の工場等での溶接作業が容易で、機械溶接等も可能となり、鋼製スリットダムD3の製造コストを削減することができる。つまり、巨大な円形鋼管である支柱D31と、水平材D32,D33や繋ぎ材D34,D35との接合部分を直接溶接する必要がなくなり、事前の工場等での製作が容易で鋼製スリットダムの製作コストを削減することができる。
また、鋼製スリットダムD3によれば、鋼製スリットダムD2と同様に、鋼管組立体を地組し、揚重機等を用いて吊り上げ、水平移動するだけなので、ねじ止め作業をすることなく、簡単に鋼製スリットダムD2を組み立てることができる。このため、鋼製スリットダムD1と比べても、極めて簡単で、短時間で設置作業を終了することができる。よって、鋼製スリットダムD3及び透過型堰堤1の設置コストをさらに削減することができる。
さらに、鋼製スリットダムD3によれば、2種類の鞘管継手だけで構成できるようにしているので、プレス型の削減や生産ラインの削減を図ることができ、スケールメリットも享受することができる。
また、鋼製スリットダムD3でも、後付けフランジF2で鞘管継手S5及び鞘管継手S6の取り付け位置の位置決めを行うので、鋼製スリットダムD3の円形鋼管である鋼管組立体D30の接合作業の進行に合わせて後から後付けフランジF2を取り付けて鞘管継手S5等の位置決めを行うことができる。このため、さらに透過型堰堤の造築作業を簡単且つ短時間で行うことができる。
以上、本発明の実施形態に係る透過型堰堤用円形鋼管の接合構造、及びその接合構造に用いられる鞘管継手、並びにその接合構造を用いた透過型堰堤について詳細に説明したが、前述した又は図示した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたって具体化した一実施形態を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
1 :透過型堰堤
2 :堤体
3 :通水部
D1,D2,D3 :鋼製スリットダム
D10,D20,D30 :鋼管組立体(円形鋼管)
D11,D21,D31 :支柱(円形鋼管)
D12,D13,D22,D23,D32,D33:水平材(円形鋼管)
D14,D15,D24,D25,D34,D35:繋ぎ材(円形鋼管)
S1,S2,S3,S4,S5,S6 :鞘管継手
E1 :第1円筒部材
E2 :第2円筒部材
E3 :第3筒部材
E4 :第4円筒部材
E23,E33,E43 :応力伝達プレート(応力伝達機構)
S31a,S32a,S51a,S52a :応力伝達プレート(応力伝達機構)
E11b,E22b,E32b,E42b :座繰り部

Claims (13)

  1. 透過型堰堤を構成する円形鋼管同士を交差させて接合する透過型堰堤用円形鋼管の接合構造であって、
    複数の前記円形鋼管同士の交差部分が、前記円形鋼管に外嵌する径の複数の管材からなる鞘管継手に外嵌されて前記円形鋼管同士が接合され、
    前記鞘管継手は、前記交差部分において交差する複数の前記円形鋼管の内の一本に嵌着されるとともに、交差する他の前記円形鋼管に応力を伝達する応力伝達機構を備え、この応力伝達機構を介して一の前記円形鋼管に作用する衝撃荷重等の外力を他の交差する前記円形鋼管へ伝達可能に接合されること
    を特徴とする透過型堰堤用円形鋼管の接合構造。
  2. 前記鞘管継手は、前記交差部分において交差する複数の前記円形鋼管の内の一本に貫通するよう挿通されて当該円形鋼管の管端を除く部分に嵌着されること
    を特徴とする請求項1に記載の透過型堰堤用円形鋼管の接合構造。
  3. 前記応力伝達機構は、交差する他の前記円形鋼管の管端面と面で当接する板材で構成された応力伝達プレートであること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の透過型堰堤用円形鋼管の接合構造。
  4. 前記鞘管継手は、組立又は分解可能な複数の円筒部材から構成されていること
    を特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の透過型堰堤用円形鋼管の接合構造。
  5. 前記円筒部材には、ねじ止め部分にねじ頭又はナットを収容する座繰り部が形成されていること
    を特徴とする請求項4に記載の透過型堰堤用円形鋼管の接合構造。
  6. 前記鞘管継手は、前記円形鋼管同士が直角に交差する交差部分に用いられる場合と、前記円形鋼管同士が鋭角又は鈍角に交差する交差部分に用いられる場合のいずれの場合にも用いられる共通した形状の円筒部材を有していること
    を特徴とする請求項4又は5に記載の透過型堰堤用円形鋼管の接合構造。
  7. 前記鞘管継手が嵌着された前記円形鋼管には、前記鞘管継手を嵌着する位置を決める位置決めフランジが形成されていること
    を特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の透過型堰堤用円形鋼管の接合構造。
  8. 前記鞘管継手は、鋳造又は溶接により金属から一体成形されていること
    を特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の透過型堰堤用円形鋼管の接合構造。
  9. 前記鞘管継手は、嵌着された前記円形鋼管に複数の前記円形鋼管が交差するように接合する継手であり、嵌着された前記円形鋼管に交差する複数の前記円形鋼管同士は、異なる高さで交差するように接合されること
    を特徴とする請求項8に記載の透過型堰堤用円形鋼管の接合構造。
  10. 前記鞘管継手は、嵌着された前記円形鋼管に複数の前記円形鋼管が交差するように接合する継手であり、嵌着された前記円形鋼管に交差する複数の前記円形鋼管同士は、同じ高さで交差するように接合されること
    を特徴とする請求項8に記載の透過型堰堤用円形鋼管の接合構造。
  11. 前記鞘管継手が嵌着された前記円形鋼管には、前記鞘管継手を嵌着する位置を決める後付の後付けフランジが取り付けられていること
    を特徴とする請求項8ないし10のいずれかに記載の透過型堰堤用円形鋼管の接合構造。
  12. 請求項1ないし11のいずれかに記載の透過型堰堤用円形鋼管の接合構造に用いられる鞘管継手であって、前記応力伝達機構を備えること
    を特徴とする鞘管継手。
  13. 請求項1ないし11のいずれかに記載の透過型堰堤用円形鋼管の接合構造を備えること
    を特徴とする透過型堰堤。
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