JP2016194010A - 高分子アロイ電解質膜およびその製造方法 - Google Patents

高分子アロイ電解質膜およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
簡便な製造方法でイオン伝導性が良好な電解質膜を提供することである。
【解決手段】
フッ素と硫黄との少なくとも一種を含有する熱可塑性樹脂と、ポリエーテルエーテルケトンとを含有するポリマーアロイを基材とし、該ポリマーアロイの主鎖及び/又はグラフト鎖にイオン交換基が結合されてなり、高イオン伝導性を備える電解質膜である。熱可塑性樹脂が、ポリフェニレンサルファイドと、ポリサルフォンと、ポリテトラフルオロエチレンと、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体とからなる群から一つ以上選択される。
【選択図】図1

Description

本発明は、基材にポリエーテルエーテルケトン(PolyEtherEtherKeton、PEEK)を用いた電解質膜に関する。特にポリエーテルエーテルケトンを含むポリマーアロイを用いた電解質膜に関する。
近年、電解質膜の基材として、いわゆるスーパーエンジニアリングプラスチックといわれる芳香族炭化水素系高分子樹脂が注目される。とりわけPEEKは、機械的強度や耐強アルカリ性が良好な材料であるため、電解質膜用途の基材として期待される。またPEEKは、比較的安価で、さらに廃棄時に特別な処理を必要としないことでも有利である。しかしPEEKを電解質膜の基材として用いる場合、イオン伝導性のさらなる向上が求められる。
PEEKを基材とする電解質膜の製造方法として、放射線グラフト重合法が提案される(特許文献1)。放射線グラフト重合法により電解質膜を製造する場合、基材に放射線を照射してラジカルを生成させ、PEEKとイオン交換基含有モノマーとを重合させる。これによりPEEKの主鎖とグラフト鎖とにイオン交換基を結合できるため、基材の機械的強度を損なうことなくイオン伝導性を向上できる。
従来の放射線グラフト重合法においては、PEEKにイオン交換基含有モノマーを結合させやすくするため、前処理を行う。すなわち放射線照射前のPEEKにビニルモノマーを重合させ、PEEKに予めグラフト鎖を形成させる。しかしビニルモノマーはイオン伝導性に寄与する物質ではない。またビニルモノマーを含有させることで、電解質膜の総質量に対するイオン交換基含有モノマーの含有量が相対的に減少する。その結果、得られる電解質膜のイオン伝導性を十分に向上できない。そのため機械的強度とイオン伝導性とをさらに向上させた電解質膜が求められる。またそのような電解質膜の製造方法について、製造工程を簡略化し処理条件の制約の軽減が求められる。
特開2009-67844号公報
本発明の課題は、簡便な製造方法でイオン伝導性が良好な電解質膜を提供することである。
本発明は、フッ素と硫黄との少なくとも一種を含有する熱可塑性樹脂と、ポリエーテルエーテルケトンとを含有するポリマーアロイを基材とし、該ポリマーアロイの主鎖及び/又はグラフト鎖にイオン交換基が結合されてなり、高イオン伝導性を備える電解質膜である。該熱可塑性樹脂は、ポリフェニレンサルファイドと、ポリサルフォンと、ポリテトラフルオロエチレンと、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体とからなる群から一つ以上選択されることが好ましい。
本発明は、フッ素と硫黄との少なくとも一種を含有する熱可塑性樹脂と、ポリエーテルエーテルケトンとを用いて製造したポリマーアロイを成膜してポリマーアロイフィルムを作製する成膜工程と、ポリマーアロイフィルムに放射線を照射し、イオン交換基含有モノマーをグラフト重合させるグラフト重合工程とを含む電解質膜の製造方法を包含する。
本発明は、簡便な製造方法でイオン伝導性が良好な電解質膜を提供できる。
本発明の電解質膜の製造方法の主要プロセスの説明図である。 本発明の電解質膜の例の導電率の測定結果を示す図である。 本発明の電解質膜の例の塩素ラジカル耐性の測定結果を示す図である。 本発明の電解質膜の例の導電率の測定結果を示す図である。 本発明の電解質膜の例の導電率の測定結果を示す図である。 本発明の電解質膜の例の導電率とグラフト率との測定結果を示す図である。
[電解質膜]
本発明は、基材として、フッ素と硫黄との少なくとも一種を含有する熱可塑性樹脂(以下、「熱可塑性樹脂」と記載する場合がある。)と、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)とを含有するポリマーアロイを用いる。PEEKは、機械的強度と耐強アルカリ性に優れる材料である一方で、耐放射線性があるため放射線を照射してもラジカルの生成量が少ない。上記の熱可塑性樹脂は、耐放射線性が低いため、ラジカルを生成しやすい。本発明は基材としてのPEEKに、フッ素と硫黄との少なくとも一種を含有する熱可塑性樹脂を少量、相溶させることで、ラジカルを生成させやすくした。これにより、本発明は放射線グラフト重合法による電解質膜の製造効率を向上できる。
本発明は、基材に所定の熱可塑性樹脂を添加することにより、ビニルモノマーを重合させなくてもイオン交換基含有モノマーの重合率を向上できる。本発明は、ビニルモノマーを重合させる前処理を行った電解質膜と比較して、イオン交換基の含有量を増加できる。これにより電解質膜のイオン伝導性を向上できる。本発明は高イオン伝導性を備える電解質膜である。本発明において、「高イオン伝導性を備える」とは、導電率が0.05S/cm以上であることと、イオン交換容量が1.3mmol/g以上であることとの少なくとも一つを満たすことをいう。なお上記の導電率の測定方法は、後に説明する「導電率の測定方法」に記載した。またイオン交換容量の測定方法は、後に説明する「イオン交換容量の測定方法」に記載した。
本発明に用いられるフッ素と硫黄との少なくとも一種を含有する熱可塑性樹脂は、電解質膜の基材として使用可能な従来公知の熱可塑性樹脂を用いることができる。フッ素を含有する熱可塑性樹脂は、フッ素系樹脂とも称される。上記の熱可塑性樹脂の具体例として、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリサルフォン(PSU)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等を例示できる。上記の群に例示される熱可塑性樹脂は単独で用いてもよく、二つ以上選択して併用してもよい。
PEEKと、上記の所定の熱可塑性樹脂との組成比は、用いる熱可塑性樹脂の種類により異なるが、本発明の作用効果を得るためには、少なくともPEEK100質量部に対し、熱可塑性樹脂を少なくとも1質量部含有させることが好ましい。これにより熱可塑性樹脂の耐放射線性の低さを利用して、ラジカルの生成量を増加させることができる。
ただし熱可塑性樹脂を基材に多量に含有させると、基材に放射線を照射した場合の劣化が大きく、機械的強度に優れた電解質膜を作製できない場合がある。そのため、PEEK100質量部に対する熱可塑性樹脂の含有量は40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。
本発明の基材としては、フッ素と硫黄との少なくとも一種を含有する熱可塑性樹脂とPEEKとを相溶させたポリマーアロイが好ましく用いられる。本発明において「相溶する」とは、温度条件350〜420℃において所定の熱可塑性樹脂とPEEKとが分子レベルで均質に混合している状態を意味する。熱可塑性樹脂とPEEKとが相溶しているか否かは、電子顕微鏡等を用いて確認できる。
上記のポリマーアロイは、上記の熱可塑性樹脂とPEEKとを溶融させ、これらを混練して製造できる。熱可塑性樹脂とPEEKとは、相溶状態の相溶系を用いてもよく、部分的に相溶する半相溶系を用いてもよい。混練温度は、350〜420℃が好ましい。
他のポリマーアロイの製造方法として、上記の熱可塑性樹脂とPEEKとを溶媒に溶解させて、均質に混合するまで分散させた後、溶媒を除去することにより製造する方法がある。上記の溶媒の例としては、N-メチル-2-ピロリドン等が挙げられる。熱可塑性樹脂とPEEKとの混合時の処理温度は、320〜420℃が好ましい。溶媒は、加熱または自然乾燥により除去できる。本発明に用いられるポリマーアロイには相溶化剤、架橋剤、安定剤等を含有させてもよい。相溶化剤としては、ホモポリマー、ランダムポリマー、ポリカーボネート等が挙げられる。
上記のポリマーアロイは、PEEKに由来する機械的強度を備える。またフッ素と硫黄との少なくとも一種を含有する熱可塑性樹脂を含有するため、PEEKだけで作製した基材と比較して、放射線照射によりラジカルが生成されやすい。そのため放射線グラフト重合法により作製される電解質膜の基材として好適である。
さらにPEEKとPFAとのポリマーアロイを用いた基材はラジカル耐性も良好である。そのため、該基材を用いる本発明の電解質膜は、食塩電解装置等、使用環境が厳しい条件下でも劣化が少なく、耐久性がある。ラジカル耐性が良好な基材の例としては、PEEK100質量部に対し、PFAを好ましくは0.1〜50質量部、より好ましくは1〜35質量部含有させたポリマーアロイが挙げられる。
なお、所定のフィラーをポリマーアロイに含有させることで、本発明のラジカル耐性やイオン伝導性をさらに向上させることができる。そのため本発明は、PFAに限らず、フッ素と硫黄との少なくとも一種を含有する所定の熱可塑性樹脂を含有させたポリマーアロイの基材を用いてもラジカル耐性を向上できる。
本発明のラジカル耐性は、例えば、本発明を塩素に暴露開始時から所定時間経過後の劣化状態を観察することで塩素ラジカルに対する耐性を評価できる。
ラジカル耐性やイオン伝導性を向上させるフィラーとしては、所定の粘土鉱物、金属酸化物、カーボン、ラジカルスカベンジャーが用いられる。上記の粘土鉱物の例としては、タルク、モンモリロナイト、カオリナイト、パイロフィライト、ゼオライト等が挙げられる。金属酸化物の例としては、遷移金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物等が挙げられる。具体例として、シリカ、アルミナ、酸化チタン、二酸化マンガン、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムが挙げられる。鉄、銅等特定の金属を用いてもよい。カーボンの例としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン等が挙げられる。
ラジカルスカベンジャーの例としては、酸化セシウムと、セシウムイオン(セシウムイオン塩を含む)と、ジルコニウムイオン(ジルコニウム塩を含む)と、スルホン化されたカーボンナノ構造体(スルホン化フラーレン、スルホン化カーボンナノチューブ、スルホン化カーボンブラックなどを含む)と、スルホン酸基を有するイオン交換樹脂が挙げられる。
上記に例示するフィラーは、一種を含有させてもよく、二種以上を含有させてもよい。好ましいフィラーとしてタルク、シリカ、二酸化マンガン、カーボンブラック等が挙げられる。タルク、二酸化マンガンはより好ましい。フィラーの平均粒子径について、タルクの場合、0.1〜2μmが好ましく、0.2〜2μmがより好ましい。二酸化マンガンの場合、0.1〜2μmが好ましく、0.1〜1μmがより好ましい。平均粒子径が上記の好ましい範囲から外れる場合、フィラーをポリマーアロイに均質に分散させ難くなる。なお上記のフィラーの粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)により測定できる。
上記の所定のフィラーの含有量は、ポリマーアロイ100質量部に対し、1〜35質量部が好ましく、3〜31質量部がより好ましく、10〜27質量部がさらに好ましい。これにより本発明は、良好なラジカル耐性を得ることができる。含有量が1質量部未満の場合、ラジカル耐性やイオン伝導性に、フィラーを含有しない場合と比較して有意な向上は認められない。含有量が35質量部を超える場合、製造コストが上昇する。
フィラーの種類により、その詳細な含有量は異なる。例えばタルクを含有させる場合、ポリマーアロイ100質量部に対し5〜35質量部が好ましく、10〜30質量部がより好ましい。MnO2を含有させる場合、ポリマーアロイ100質量部に対し3〜35質量部が好ましく、5〜30質量部がより好ましい。
本発明においてポリマーアロイに結合されるイオン交換基は、カチオン交換基とアニオン交換基とのいずれでもよい。結合されるカチオン交換基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基等が挙げられ、より好ましくはスルホン酸基が結合される。アニオン交換基としては、アンモニウム基が結合される。
電解質膜のイオン伝導性向上の観点からは、本発明におけるイオン交換基の含有量は多いほど好ましい。具体的には、少なくとも電解質膜のイオン交換容量が1.3mmol/g以上になるように含有させることが好ましく、1.7mmol/g以上になるように含有させることがより好ましい。本発明においては、放射線グラフト重合法を適用してイオン交換基をポリマーアロイに結合させることで、上記の好ましいイオン交換容量を備える電解質膜を得られる。また本発明の電解質膜の導電率は、0.05S/cm以上であり、好ましくは0.1S/cm以上である。
本発明においては、基材の機械的強度を保持するため、ポリマーアロイの疎水性部分でのイオン交換基の結合は抑制されることが好ましい。そのため、本発明に用いられるポリマーアロイにグラフト鎖を形成させ、該グラフト鎖にイオン交換基を結合させることが好ましい。ただし本発明は、イオン交換基がポリマーアロイの主鎖に結合される構造を排除しない。
本発明のイオン交換基は主にグラフト鎖に結合させるため、グラフト率が高いほどイオン交換基の含有量を増加できる。したがってイオン伝導性を向上させる観点からは、該炭化水素系高分子樹脂のグラフト率が高いほど好ましい。具体的なグラフト率としては、50%が好ましく、200%以上がより好ましい。グラフト率が50%未満の場合、イオン交換基の含有量が少なくなり、イオン交換容量が不十分になる。なおグラフト率は、140〜180%が現実的な上限である。
上記のポリマーアロイは、本発明の電解質膜の基材として、従来公知の方法でフィルム状、シート状等に成膜されて用いられる。ポリマーアロイを成膜して得られる基材の膜厚は、機械的強度を確保する為、5μm以上であることが好ましい。また、膜厚が200μmを超える場合、電解質膜の機能が低下し、いずれの用途にも適さなくなる。
従って基材の膜厚は、5〜200μmが好ましく、10〜180μmがより好ましく、10〜120μmが更に好ましい。膜厚は、電解質膜の用途に応じて上記の好ましい範囲内で適宜調整される。例えば、本発明の電解質膜を食塩電解装置用途で用いる場合の膜厚は、50〜160μmが好ましく、50〜120μmがより好ましい。
本発明の電解質膜は、機械的強度やイオン伝導性、ラジカル耐性等に優れる。そのため食塩電解装置、水処理装置、燃料電池等に好適である。
[電解質膜の製造方法]
本発明の電解質膜の製造方法は、フッ素と硫黄との少なくとも一種を含有する熱可塑性樹脂とポリエーテルエーテルケトンとを用いて製造したポリマーアロイを成膜してポリマーアロイフィルムを作製する成膜工程と、ポリマーアロイフィルムに放射線を照射し、イオン交換基含有モノマーをグラフト重合させるグラフト重合工程とを含む。本発明は、放射線グラフト重合法により、基材に含まれる所定のポリマーアロイとイオン交換基含有モノマーとをグラフト重合させて、電解質膜を製造する。
図1は本発明の電解質膜の製造方法の主要プロセスの説明図である。図1において、1は成膜工程、2は放射線照射工程とイオン交換基含有モノマー重合工程とを含むグラフト重合工程、3はイオン交換基有効化工程である。
従来、PEEKを含有する基材に放射線グラフト重合法を適用する場合、イオン交換基の含有量を向上させるため、予めビニルモノマーを重合させてPEEKにグラフト鎖を形成し、ラジカルを生成させやすくする前処理を行う。これに対し本発明は、図1に示されるようにビニルモノマーを重合させる前処理は行われない。
本発明は、耐放射線性が低い所定の熱可塑性樹脂を含有させたポリマーアロイを基材として用いることにより、上記の前処理を行わなくても、ラジカル生成量を増加できる。これによりイオン交換基の含有量を増加させ、イオン交換容量が高い電解質膜を製造できる。また、本発明はビニルモノマー反応工程が不要な簡便な製造方法で製造できるため、低コストである。
[成膜工程]
本工程においては、熱可塑性樹脂とポリエーテルエーテルケトンとを用いて製造したポリマーアロイを成膜してポリマーアロイフィルムを作製する。ポリマーアロイの製造方法は、上記に説明した方法を適用できるが、本発明の作用効果を得られる限りこれらの方法に限定されない。
所定のフィラーを含有させる場合は、溶融状態の熱可塑性樹脂とPEEKとの混練時に所定量を添加して、PEEKと熱可塑性樹脂とフィラーとを共に混練することが好ましい。フィラーの添加量は、得られる電解質膜に含有されるフィラーの含有量に相当する。したがって電解質膜に含有させるフィラーの所望の含有量に対応する添加量のフィラーを、溶融させた上記のPEEKと熱可塑性樹脂との混練物に添加すればよい。
混練時のフッ素と硫黄との少なくとも一種を含有する熱可塑性樹脂とPEEKとの混合物の混練温度は、上記の所定の粘度を保持できる温度であればよく、350〜400℃が好ましい。混練装置については、例えば2軸混練押出機(例:パーカーコーポレーション社製HK25D)を使った場合、吐出速度は2kg/hr〜8kg/hrが好ましい。混練回転数は、400〜600rpmが好しい。これにより、フッ素と硫黄との少なくとも一種を含有する熱可塑性樹脂とPEEKとを均質に混合させることができる。混練装置としては、上述の2軸混練押出機等、従来公知の装置を用いることができる。
取扱性の観点から、混練終了後のポリマーアロイはペレット化することが好ましい。またペレット化させたポリマーアロイを再び溶融し、上記の混練工程を2〜10回繰り返してもよい。これにより熱可塑性樹脂とPEEKとを一層均質に混合できる。上記の混練工程では、相溶化剤や架橋剤を添加させてもよい。
混練終了後、ポリマーアロイをシート加工機を用いて成膜する。シート成型時の処理温度は、350〜450℃が好ましい。成膜させたポリマーアロイを急冷し、硬化させることでポリマーアロイフィルムを作製できる。急冷時の処理温度は、用いるポリマーアロイフィルムの硬化温度より低く、好ましくは80〜140℃である。シート加工機としては、ダイコーター、Tコーターが用いられる。
[グラフト重合工程]
本工程では、放射線グラフト重合法により、ポリマーアロイフィルムにイオン交換基含有モノマーを重合させる。ポリマーアロイのグラフト鎖にイオン交換基を結合させることで、ポリマーアロイフィルムの機械的強度を損なうことなく、イオン交換基の含有量を向上できる。これにより所望のイオン交換容量を備える電解質膜を製造できる。
[放射線グラフト重合工程]
上記のポリマーアロイフィルムは、乾燥後、放射線を照射しラジカルを生成させる。上記のポリマーアロイフィルムは、フッ素と硫黄との少なくとも一種を含有する熱可塑性樹脂を含有するため、ラジカルを生成しやすい。これにより、ビニルモノマーを重合させなくても、ポリマーアロイフィルムとイオン交換基含有モノマーとのグラフト率が向上し、基材におけるイオン交換基の含有量が増加できる。
本発明においては、基材となるポリマーアロイフィルムに放射線を照射後、イオン交換基含有モノマーを反応させることが好ましい。これによりホモポリマーの生成を抑制できる。また、ポリマーアロイフィルムとイオン交換基含有モノマーとに同時に放射線を照射してイオン交換基含有モノマーを反応させてもよい。
ポリマーアロイフィルムに照射する放射線の種類としては、γ線、X線、電子線、イオンビーム、紫外線等を例示できる。γ線、電子線は、ラジカル生成が容易なため好ましく用いられる。放射線照射量は、1kGy以上500kGy以下が好ましく、5kGy以上100kGy以下がより好ましく、10kGy以上60kGy以下がさらに好ましい。1kGy未満の場合、グラフト鎖の形成が不十分になる。500kGyを超える場合、ポリマーアロイフィルムが破損する為、機械的強度が不十分になる場合がある。
[イオン交換基含有モノマーの調製]
ポリマーアロイフィルムとイオン交換基含有モノマーとの反応は、溶媒にイオン交換基含有モノマーを分散させたイオン交換基含有モノマー反応液に、ポリマーアロイフィルムを浸漬させて行うことが好ましい。これによりイオン交換基含有モノマーのホモポリマー化を抑制できる。
所定のイオン交換基含有モノマーを溶媒に分散させたイオン交換基含有モノマー反応液において、溶媒に分散させるイオン交換基含有モノマーは、1種でもよく2種以上でもよい。所定の溶媒で上記のモノマーを希釈させることにより、ホモポリマーの生成を抑制できる。イオン交換基含有モノマーとしては、スチレンスルホン酸エチルエステル(ETSS)、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウムなどが好ましい。
上記のイオン交換基含有モノマー反応液中のイオン交換基含有モノマーの濃度は、20〜80容積%が好ましい。溶媒としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、トルエン、ヘキサン等の炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、イソプロピルアミン、ジエタノールアミン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等の窒素含有化合物等を例示できる。
上記のイオン交換基含有モノマー反応液に、ポリマーアロイフィルムを浸漬し、空気中または不活性ガス雰囲気下で重合反応を行う。反応雰囲気中の酸素濃度は、ラジカルの失活を抑制する観点から低いほど好ましく、0.01容積%以下がより好ましい。0.01容積%を超えると、ラジカルが失活しグラフト率が低くなる。不活性ガスとしては窒素、アルゴン等が用いられる。
重合時の温度条件は、40〜100℃が好ましい。これによりホモポリマーの生成やラジカルの失活を抑制できる。上記の放射線グラフト重合工程によるイオン交換基含有モノマーのグラフト率は、好ましくは50〜200%である。
[イオン交換基の有効化工程]
上記の放射線グラフト重合法によりイオン交換基を結合させたポリマーアロイフィルムは、洗浄、乾燥後、従来公知の方法でイオン交換基を有効化させる。具体例としては、ポリマーアロイフィルムを純水に90〜95℃で浸漬させて加水分解処理する方法等が挙げられる。これにより本発明の電解質膜を製造することができる。
本発明の製造方法により得られる電解質膜のイオン交換容量は、1.3mmol/g以上であり、より好ましくは1.7mmol/g以上である。本発明の電解質膜は、ポリマーアロイフィルムを基材とするため、機械的強度、耐強アルカリ性、耐薬品性、ラジカル耐性、イオン伝導性に優れる。
本発明を、実施例を用いてさらに説明する。ただし本発明は以下に記載する実施例に限定されない。
[実施例1]
(成膜工程)
混練装置内で溶融させたPEEKとPFAとを相溶するまで混練した。PEEKとPFAとの組成比は質量比で85:15とした。混練は処理温度350〜400℃、混練回数は300〜700rpmで行った。PEEKとPFAとを含有するポリマーアロイをペレット化し、シート加工機に投入した。温度条件400℃で加熱しながら、シート成型機で成膜しポリマーアロイフィルムを作製した。得られたポリマーアロイフィルムを、急冷し硬化させた。硬化後のポリマーアロイフィルムの膜厚は、100μmであった。硬化後のポリマーアロイフィルムの相構造をSEMを用いて観察した。均質に混練されていた。
(グラフト重合工程)
得られたポリマーアロイフィルムから寸法2cm×3cmの試験片を切り出した。試験片の乾燥状態の重量を測定し、グラフト重合反応前のポリマーアロイフィルムの乾燥時重量(W1)とした。また、スチレンスルホン酸エチルエステル(ETSS)を1,4-ジオキサンに添加したETSS反応液を調製した。
乾燥後の試験片をガラス容器に入れ、アルゴン雰囲気下で30kGyのγ線を照射した。上記ガラス容器内で該ETSS反応液に試験片を浸漬させた。アルゴン雰囲気下、反応温度85℃で、試験片のポリマーアロイとETSS反応液とを24時間反応させ、ETSSモノマーをポリマーアロイに重合させスルホン酸基をポリマーアロイに結合させた。反応終了後、試験片を洗浄し乾燥させた。グラフト重合工程終了後の試験片の乾燥状態の重量を測定し、グラフト重合工程終了後の重量(W2)とした。
(イオン交換基有効化工程)
ガラス容器内で、グラフト重合工程終了後の試験片を、純水に95℃で16時間浸漬させて加水分解処理を行い、実施例1の電解質膜を作製した。実施例1の電解質膜を寸法2cm×3cmで2枚切り出し、実施例1-1と実施例1-2とした。
[実施例2、実施例3]
成膜工程で混練されるPEEKと熱可塑性樹脂(PFA)とを表1に示す組成比に変えた他は、実施例1と同様にして実施例2と実施例3との電解質膜を作製した。
[比較例1]
処理温度350〜420℃で溶融させたPEEKをシート加工機に投入した。温度条件400℃で加熱しながら、シート成型し、成膜した。得られたPEEKフィルムを、急冷し硬化させた。硬化後のPEEKフィルムの膜厚は、100μmであった。得られたPEEKフィルムを、実施例1と同様にグラフト重合工程とイオン交換基有効化工程とを行い、比較例1の電解質膜を作製した。比較例1の電解質膜を寸法2cm×3cmで4枚切り出し、比較例1-1、比較例1-2、比較例1-3、比較例1-4とした。
実施例1-1、実施例2、実施例3、比較例1-1を用いて、式(1)によりETSSモノマーのグラフト率を求めた。実施例1-1、実施例2、実施例3、比較例1-1のETSSモノマーのグラフト率を表1に示す。
実施例1-2と比較例1-2との導電率とイオン交換容量とを下記の方法により測定した。導電率とイオン交換容量との測定結果を表2に示す。また、図2は実施例1-2と比較例1-2との導電率の測定結果である。
[導電率の測定方法]
導電率は、膜抵抗値を用いて算出できる。膜抵抗値は、電解質膜を1M硫酸水溶液で湿潤させた後、対極となる2つのPt電極(電極間距離5mm)の間に配置し、100kHzの交流電流を印加して、交流インピーダンス測定装置を用いて測定した。得られた膜抵抗値Rm(Ω)に基づき、式(2)により電解質膜の導電率を求めた。式(2)において、dは電極間距離、Sは電解質膜の膜面積である。
[イオン交換容量の測定方法]
導電率測定後の電解質膜をH型にし、乾燥状態の重量を測定する。乾燥時重量をW1とした。該電解質膜を飽和食塩水に50℃で4時間浸漬させた。浸漬容器から電解質膜を取り出した後、水酸化ナトリウムを用いて中和滴定した。イオン交換容量は、中和滴定で得た飽和食塩水のブランクの滴定値N1(ml)と中和滴定値N2(ml)とを用いて、式(3)を用いて求めた。
実施例1-3と実施例2と実施例3と比較例1-3とについてラジカル耐性を評価するため、代表的なラジカルである塩素ラジカルに対する耐性評価試験を下記の方法で行った。評価結果は、図3に示すように実施例1-1が「1」、実施例2と実施例3とが「5」、比較例1-3が「1」であった。
[ラジカル耐性評価]
電解質膜を寸法2cm×3cmで切り出し、電解質膜を塩酸に暴露した。暴露開始時から16時間経過後の電解質膜の劣化状態を観察し、劣化度を6段階で評価した。各評価は以下のとおりである。
[劣化度評価]
1:試験中に割れが発生し、小片に分散した。
2:試験中に一部に割れが発生したが、膜面積の50%以上は膜形状を維持した。
3:試験後も膜形状を留めたが、取り出した際に力を加えなくても割れた。
4:試験後も膜形状を留めたが、荷重1kgを加えると割れた。
5:試験後も膜形状を留め、荷重1kgを加えても割れなかったが、荷重2kgを加えると割れた。
6:試験後も膜形状を留め、荷重2kgを加えても割れずに、しなやかさを保った。
[実施例4]
(ポリマーアロイ製造工程)
混練装置内で溶融させたPEEKとPPSとを相溶するまで混練した。PPSの添加量は、混練物の全質量に対し5質量%とした。混練は処理温度350〜420℃、混練回数は300〜700rpmで行った。PEEKとPPSとを含有するポリマーアロイをペレット化し、シート加工機に投入した。温度条件400℃で加熱しながら、シート成型機で成膜し、ポリマーアロイフィルムを得た。得られたポリマーアロイフィルムを、急冷し硬化させた。硬化後のポリマーアロイフィルムの膜厚は、100μmであった。硬化後のポリマーアロイフィルムの相構造を、SEMを用いて観察した。PEEKとPPSとは均質に分布していた。上記のPEEKとPPSとを含有するポリマーアロイフィルムを、実施例1と同様にグラフト重合工程とイオン交換基有効化工程とを行い、実施例4の電解質膜を得た。
[実施例5]
ポリマーアロイ製造工程において、PEEKとPPSとを表3に示す組成比に変えた他は、実施例4と同様にして実施例5の電解質膜を作製した。実施例4と実施例5とのETSSモノマーのグラフト率を上記の方法により求め、表3に記載した。
実施例4と実施例5と比較例1-3との導電率とイオン交換容量とを上記の方法により測定した。導電率とイオン交換容量との測定結果を表4に示す。また図4は実施例4と実施例5と比較例1-3との導電率の測定結果である。
[実施例6]
(ポリマーアロイ製造工程)
混練装置内で溶融させたPEEKとPSUとを相溶するまで混練した。PSUの添加量は、混練物の全質量に対し5質量%とした。混練は処理温度350〜420℃、混練回数は300〜700rpmで行った。PEEKとPSUとを含有するポリマーアロイをペレット化し、シート加工機に投入した。温度条件400℃で加熱しながら、シート成型機で成膜し、ポリマーアロイフィルムを作製した。得られたポリマーアロイフィルムを、急冷し硬化させた。硬化後のポリマーアロイフィルムの膜厚は、100μmであった。硬化後のポリマーアロイフィルムの相構造をSEMを用いて観察した。PEEKとPSUとは均質に分布していた。上記のPEEKとPSUとを含有するポリマーアロイフィルムを、実施例1と同様にグラフト重合工程とイオン交換基有効化工程とを行い、実施例6の電解質膜を得た。
[実施例7ないし9]
ポリマーアロイ製造工程において、PEEKとPPSとを表5に示す組成比に変えた他は、実施例6と同様にして実施例7ないし9の電解質膜を作製した。実施例6ないし9のETSSグラフトモノマー重合率を上記の方法により求め、表5に記載した。
実施例6ないし実施例9と比較例1-4との導電率とイオン交換容量を上記の方法により測定した。導電率とイオン交換容量との測定結果を表6に示す。また図5は、実施例6ないし実施例9と比較例1-4との導電率の測定結果である。
[実施例10]
(ポリマーアロイ製造工程)
混練装置内で溶融させたPEEKとPFAとを相溶するまで混練した。続けて平均粒子径0.6μmのタルクを添加した。PEEKとタルクとの組成比は、質量比で75:25とした。PFAの添加量は、2.5%であった。混練は処理温度350〜420℃、混練回数は300〜700rpmで行った。PEEKとPFAとを含有し、フィラーとしてタルクを含有するポリマーアロイをペレット化し、シート加工機に投入した。温度条件400℃で加熱しながら、シート成型機で成膜し、ポリマーアロイフィルムを作製した。得られたポリマーアロイフィルムを、急冷し硬化させた。硬化後のポリマーアロイフィルムの膜厚は、100μmであった。硬化後のポリマーアロイフィルムの相構造をSEMを用いて観察した。PEEK内におけるタルク、PFAの分布は均質であった。得られたポリマーアロイフィルムについて、実施例1と同様のグラフト重合工程とイオン交換基有効化工程とを行い、実施例10の電解質膜を作製した。
[比較例2]
処理温度350〜420℃で溶融させたPEEKをシート加工機に投入し、さらに平均粒子径0.6μmのタルクを添加した。PEEKとタルクの重量比は、75:25であった。温度条件400℃で加熱しながら、シート成型し、成膜した。得られたタルク含有PEEKフィルムを、急冷し硬化させた。硬化後のタルク含有PEEKフィルムの膜厚は、100μmであった。得られたタルク含有PEEKフィルムを実施例10と同様のグラフト重合工程とイオン交換基有効化工程とを行い、比較例2の電解質膜を作製した。
[比較例3]
比較例2と同様にしてタルク含有PEEKフィルムを作製した。得られたタルク含有PEEKフィルムから寸法2cm×3cmで切り出し比較例3とした。比較例3の乾燥状態の重量を測定し、DVBモノマーとの反応前のタルク含有PEEKフィルムの乾燥時重量(W3)とした。
ジビニルベンゼン(DVB)を1,4-ジオキサンに添加したDVB反応液を調製した。ガラス容器内で比較例3とDVB反応液とを大気中、80℃で反応させ、DVBモノマーをPEEKに重合させて、PEEKにグラフト鎖を形成させた。反応終了後、比較例3をアルゴン雰囲気下、95℃で乾燥させた。比較例3の乾燥状態の重量を測定し、DVBモノマーとの反応後のタルク含有PEEKフィルムの放射線照射前の乾燥時重量(W4)とした。式(4)に基づきDVBモノマーのグラフト率を求めた。比較例3のDVBモノマーのグラフト率は、9.7%であった。
乾燥後の比較例3をガラス容器に入れ、アルゴン雰囲気下で30kGyのγ線を30分間照射した。また、スチレンスルホン酸エチルエステル(ETSS)を1,4-ジオキサンに添加したETSS反応液を調製した。上記ガラス容器内で該ETSS反応液に比較例3を浸漬させた。その後、アルゴン雰囲気下、反応温度85℃で試験片のポリマーアロイとETSS反応液とを反応させ、ETSSモノマーをポリマーアロイに重合させ、スルホン酸基をポリマーアロイに結合させた。反応終了後、比較例3を洗浄し乾燥させた。グラフト重合工程終了後の比較例3の乾燥状態の重量を測定し、グラフト重合工程終了後の重量(W5)とした。式(5)によりETSSモノマーのグラフト率を求めた。
グラフト重合工程終了後の比較例3を実施例10と同様にイオン交換基有効化工程を行い比較例3の電解質膜を作製した。
実施例10と比較例2と比較例3とのETSSモノマーグラフト率を、上記の方法により求めた。実施例10と比較例2と比較例3とのETSSモノマーグラフト率を表7に示す。また実施例10と比較例2と比較例3との電解質膜を寸法2cm×3cmで切り出し、上記の方法により導電率とイオン交換容量を求めた。導電率とイオン交換容量との測定結果を表7に示す。また図6は、実施例10と比較例2と比較例3とのETSSモノマーグラフト率と導電率の測定結果である。
1 成膜工程
2 グラフト重合工程
3 イオン交換基有効化工程

Claims (3)

  1. フッ素と硫黄との少なくとも一種を含有する熱可塑性樹脂と、ポリエーテルエーテルケトンとを含有するポリマーアロイを基材とし、該ポリマーアロイの主鎖及び/又はグラフト鎖にイオン交換基が結合されてなり、高イオン伝導性を備える電解質膜。
  2. 熱可塑性樹脂が、ポリフェニレンサルファイドと、ポリサルフォンと、ポリテトラフルオロエチレンと、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体とからなる群から一つ以上選択される請求項1に記載の電解質膜。
  3. フッ素と硫黄との少なくとも一種を含有する熱可塑性樹脂と、ポリエーテルエーテルケトンとを用いて製造したポリマーアロイを成膜してポリマーアロイフィルムを作製する成膜工程と、ポリマーアロイフィルムに放射線を照射し、イオン交換基含有モノマーをグラフト重合させるグラフト重合工程とを含む電解質膜の製造方法。
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