JP2016193401A - ハニカム構造体、及びその製造方法 - Google Patents

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【課題】触媒担体であると共に電圧を印加することによりヒーターとしても機能し、特に、電極部の耐熱衝撃性及び通電特性に優れ、且つ簡便な製造方法によって製造可能なハニカム構造体を提供する。
【解決手段】複数のセル2を区画形成する多孔質の隔壁1と、外周壁3とを有する柱状のハニカム構造部4と、ハニカム構造部4の側面5に配設された一対の電極部21,21とを備え、ハニカム構造部4が、炭化珪素及び珪素の少なくとも一種を含む材料から構成され、且つ、一対の前記電極部21,21の少なくとも一部が、TaSi及び珪素を少なくとも含む複合材料から構成されている、ハニカム構造体100。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハニカム構造体、及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、触媒担体であると共に電圧を印加することによりヒーターとしても機能し、特に、電極部の耐熱衝撃性及び通電特性に優れ、且つ簡便な製造方法によって製造可能なハニカム構造体、及びその製造方法に関する。
従来、コージェライト製のハニカム構造体に触媒を担持したものを、自動車エンジンから排出された排ガス中の有害物質の処理に用いていた。また、炭化珪素質焼結体によって形成されたハニカム構造体を排ガスの浄化に使用することも知られている(例えば、特許文献1を参照)。
ハニカム構造体に担持した触媒によって排ガスを処理する場合、触媒を所定の温度まで昇温する必要があるが、エンジン始動時には、触媒温度が低いため、排ガスが十分に浄化されないという問題があった。
そのため、セラミック製のハニカム構造体を「加熱可能な触媒担体」として使用することが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。このようなハニカム構造体は、電流を流すことにより、ジュール熱により発熱するため、例えば、排ガス浄化用の電機加熱式触媒コンバータ(EHC)としての使用が検討されている。例えば、特許文献2に記載されたハニカム構造体は、多孔質の隔壁及び最外周に位置する外周壁を有するハニカム構造部と、このハニカム構造部の側面に配設された一対の電極部と、を備えたものである。ハニカム構造部及び電極部の材料としては、例えば、炭化珪素(SiC)や珪素−炭化珪素複合材(Si−SiC)等の導電性セラミックが用いられている。
また、ハニカム構造体の材料として、例えば、SiおよびSiCの少なくとも一種と、MoSiと、からなる複合材料であって、電気加熱式触媒コンバーターの構成要素の形成材料である複合材料も提案されている(例えば、特許文献3を参照)。
特許第4136319号公報 国際公開第2011/125815号 特開2014−62476号公報
特許文献3に記載された複合材料は、複合材料中に、MoSiを含むため、SiCやSiC−Si等に比して電気抵抗率が低く、電気抵抗率の温度依存性が少ないという利点を有するものである。しかしながら、MoSiを含む複合材料をハニカム構造体の電極部として用いる場合は、ハニカム構造部と電極部とを、同一の焼成工程によって作製することができず、ハニカム構造体の製造工程が煩雑になるという問題があった。
すなわち、MoSiを含む複合材料からなる電極部を備えたハニカム構造体を作製する際には、以下のような製造過程を踏む必要があった。まず、ハニカム構造部形成用の原料を用いて、ハニカム成形体を作製する。次に、そのハニカム成形体を乾燥させて、ハニカム乾燥を得、得られたハニカム乾燥体を脱脂し、更に、焼成することによって、ハニカム構造部(以下、「ハニカム焼成体」ということもある)を作製する。その後、得られたハニカム構造部の側面に、MoSiを含む電極部形成用原料を塗工し、再度、乾燥工程、脱脂工程、及び焼成工程を経て、ハニカム構造体を製造する。ここで、上述したハニカム成形体やハニカム乾燥体に対して、MoSiを含む電極部形成用原料を塗工し、1回の脱脂工程、及び焼成工程によりハニカム構造体を作製した場合、脱脂工程において、MoSiを含む電極部に粉化現象が生じ、適切な電極部の形成が困難になる。このため、MoSiを含む複合材料からなる電極部を備えたハニカム構造体を製造するためには、1つのハニカム構造体の製造過程において、脱脂工程、及び焼成工程を2回実施しなければならず、製造工程が非常に煩雑となり、また、ハニカム構造体の製造コストも大きく上昇してしまうという問題があった。このようなことから、電極部の耐熱衝撃性及び通電特性に優れ、且つ簡便な製造方法によって製造可能なハニカム構造体の開発が要望されている。特に、ハニカム構造部と電極部とを、1回の脱脂工程、及び焼成工程により製造することが可能なハニカム構造体の開発が強く要望されている。
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものである。本発明は、触媒担体であると共に電圧を印加することによりヒーターとしても機能し、特に、電極部の耐熱衝撃性及び通電特性に優れ、且つ簡便な製造方法によって製造可能なハニカム構造体、及びその製造方法を提供する。
上述の課題を解決するため、本発明は、以下のハニカム構造体、及びその製造方法を提供する。
[1] 柱状のハニカム構造部と、前記ハニカム構造部の側面に配設された一対の電極部と、を備え、前記ハニカム構造部は、多孔質の隔壁と、最外周に配設された外周壁と、を有し、前記ハニカム構造部には、前記隔壁によって、前記ハニカム構造部の第一端面から第二端面まで延びる複数のセルが区画形成されており、前記ハニカム構造部が、炭化珪素及び珪素の少なくとも一種を含む材料から構成され、且つ、一対の前記電極部の少なくとも一部が、TaSi及び珪素を含む複合材料から構成されている、ハニカム構造体。
[2] 前記電極部の少なくとも一部を構成する前記複合材料が、炭化珪素を更に含む、前記[1]に記載のハニカム構造体。
[3] 前記電極部の熱膨張係数が、5.0〜8.0×10−6(/K)である、前記[1]又は[2]に記載のハニカム構造体。
[4] 前記電極部の電気抵抗率が、0.001〜10.0Ωcmである、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のハニカム構造体。
[5] 前記電極部の強度が、5〜30MPaである、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のハニカム構造体。
[6] 前記ハニカム構造部は、気孔率が30〜60%、平均細孔径が2〜15μm、前記隔壁の厚さが50〜300μm、セル密度が40〜150セル/cmであり、且つ、一対の前記電極部間での電気抵抗が2〜100Ωである、前記[1]〜[5]のいずれかに記載のハニカム構造体。
[7] 前記電極部を構成する前記複合材料の前記TaSiの含有比率が、15〜78体積%である、前記[1]〜[6]のいずれかに記載のハニカム構造体。
[8] 前記電極部を構成する前記複合材料の前記珪素の含有比率が、5〜43体積%である、前記[1]〜[7]のいずれかに記載のハニカム構造体。
[9] 前記電極部を構成する前記複合材料の前記炭化珪素の含有比率が、57.5体積%以下である、前記[2]に記載のハニカム構造体。
[10] 多孔質の隔壁と、最外周に配設された外周壁とを有する柱状のハニカム成形体、又は前記ハニカム成形体を焼成して得たハニカム焼成体の側面の第一の領域及び第二の領域に、電極部形成原料をそれぞれ塗工し、塗工した前記電極部形成原料を乾燥及び焼成して、一対の電極部を形成する電極部形成工程を備え、前記ハニカム成形体には、前記隔壁によって、前記ハニカム成形体の第一端面から第二端面まで延びる複数のセルが区画形成されており、前記電極部形成工程は、前記電極部形成原料を、前記ハニカム成形体又は前記ハニカム焼成体の前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記第一の領域が、前記第二の領域に対して、前記ハニカム成形体又は前記ハニカム焼成体の中心を挟んで反対側に位置するように、塗工するものであり、前記電極部形成原料として、TaSi粉末及び珪素粉末を少なくとも含む原料を用いる、ハニカム構造体の製造方法。
[11] 前記電極部形成工程が、前記ハニカム成形体の側面の前記第一の領域及び前記第二の領域に、前記電極部形成原料をそれぞれ塗工する工程である、前記[10]に記載のハニカム構造体の製造方法。
[12] 前記電極部形成工程における前記焼成の前に、前記電極部形成原料を塗工した前記ハニカム成形体又は前記ハニカム焼成体を、大気雰囲気で、400〜550℃で脱脂する、前記[10]又は[11]に記載のハニカム構造体の製造方法。
[13] 前記電極部形成工程において、前記電極部形成原料を塗工した前記ハニカム成形体又は前記ハニカム焼成体を、Ar雰囲気で、1400〜1500℃で焼成する、前記[10]〜[12]のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
[14] 前記電極部形成工程における前記焼成の後に、焼成した前記ハニカム成形体又は前記ハニカム焼成体を、酸化雰囲気で、1000〜1350℃で酸化処理する、前記[10]〜[13]のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
[15] 前記電極部形成原料を焼成して得られる前記電極部の少なくとも一部が、TaSi及び珪素を含む複合材料から構成され、前記複合材料のTaSiの含有比率が、15〜78体積%である、前記[10]〜[14]のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
[16] 前記電極部形成原料を焼成して得られる前記電極部の少なくとも一部が、TaSi及び珪素を含む複合材料から構成され、前記複合材料の珪素の含有比率が、5〜43体積%である、前記[10]〜[15]のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
[17] 前記電極部形成原料として、炭化珪素粉末を更に含む前記原料を用いる、前記[10]〜[16]のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
[18] 前記電極部形成原料を焼成して得られる前記電極部の少なくとも一部が、TaSi、珪素及び炭化珪素を含む複合材料から構成され、前記複合材料の炭化珪素の含有比率が、57.5体積%以下である、前記[17]に記載のハニカム構造体の製造方法。
[19] 前記電極部形成原料を焼成して得られる前記電極部の熱膨張係数が、5.0〜8.0×10−6(/K)である、前記[10]〜[18]のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
[20] 前記電極部形成原料を焼成して得られる前記電極部の電気抵抗率が、0.001〜10.0Ωcmである、前記[10]〜[19]のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
[21] 前記電極部形成原料を焼成して得られる前記電極部の強度が、5〜30MPaである、前記[10]〜[20]のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
[22] 前記ハニカム焼成体は、気孔率が30〜60%、平均細孔径が2〜15μm、前記隔壁の厚さが50〜300μm、セル密度が40〜150セル/cmであり、且つ、一対の前記電極部間での電気抵抗が2〜100Ωである、前記[10]〜[21]のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
本発明のハニカム構造体は、柱状のハニカム構造体と、このハニカム構造部の側面に配設された一対の電極部と、を備えたものである。そして、本発明のハニカム構造体においては、ハニカム構造部が、炭化珪素及び珪素の少なくとも一種を含む材料から構成され、且つ、一対の電極部の少なくとも一部が、TaSi及び珪素を少なくとも含む複合材料から構成されている。このように構成された本発明のハニカム構造体は、触媒担体であると共に電圧を印加することによりヒーターとしても機能し、特に、電極部の耐熱衝撃性及び通電特性に優れるという効果を奏する。また、本発明のハニカム構造体は、簡便な製造方法によって製造することができる。特に、ハニカム構造部と電極部とを、1回の脱脂工程、及び焼成工程により製造することができ、製造工程を簡略化することができると共に、ハニカム構造体の製造コストを削減することができる。
また、本発明のハニカム構造体の製造方法は、上述した本発明のハニカム構造体を製造するための製造方法であり、製造工程を簡略化することができると共に、ハニカム構造体の製造コストを削減することができる。
本発明のハニカム構造体の一の実施形態を模式的に示す斜視図である。 本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。 本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面を示す模式図である。 本発明のハニカム構造体の他の実施形態を模式的に示す斜視図である。 本発明のハニカム構造体の他の実施形態の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。 本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態を模式的に示す正面図である。 本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態を模式的に示す正面図である。 図7における、A−A’断面を示す模式図である。 本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態を模式的に示す側面図である。
次に本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
(1)ハニカム構造体:
本発明のハニカム構造体の一の実施形態は、図1〜図3に示すように、柱状のハニカム構造部4と、ハニカム構造部4の側面に配設された一対の電極部21,21とを備えた、ハニカム構造体100である。ハニカム構造部4は、多孔質の隔壁1と、最外周に位置する外周壁3とを有する。ハニカム構造部4には、流体の流路となる、ハニカム構造部4の一方の端面である第一端面11から他方の端面である第二端面12まで延びる複数のセル2が区画形成されている。本実施形態のハニカム構造体100においては、ハニカム構造部4が、炭化珪素及び珪素の少なくとも一種を含む材料から構成されている。また、本実施形態のハニカム構造体100においては、一対の電極部21,21の少なくとも一部が、TaSi及び珪素を少なくとも含む複合材料から構成されている。以下、一対の電極部21,21の少なくとも一部を構成する「TaSi及び珪素を少なくとも含む複合材料」を、「TaSi含有複合材料」ということがある。
このように構成された本実施形態のハニカム構造体100は、触媒担体であると共に電圧を印加することによりヒーターとしても機能し、特に、一対の電極部21,21の耐熱衝撃性及び通電特性に優れるという効果を奏する。また、本実施形態のハニカム構造体100は、簡便な製造方法によって製造することができる。特に、ハニカム構造部4と電極部21,21とを、1回の脱脂工程、及び焼成工程により製造することができ、製造工程を簡略化することができると共に、ハニカム構造体100の製造コストを削減することができる。もちろん、本実施形態のハニカム構造体100は、ハニカム構造部4に対して、脱脂工程、及び焼成工程を行い、その後、一対の電極部21,21及びハニカム構造部4に対して、更に、脱脂工程、及び焼成工程を行って製造されたものであってもよい。
ここで、図1は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態を模式的に示す斜視図である。図2は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。図3は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面を示す模式図である。なお、図3においては、隔壁が省略されている。
本実施形態のハニカム構造体100においては、一対の電極部21,21の少なくとも一部が、「TaSi含有複合材料」から構成されていればよい。例えば、一対の電極部21,21の片方の電極部を「第一電極部」とし、一対の電極部21,21のもう片方の電極部を「第二電極部」とした場合、第一電極部及び第二電極部の少なくとも一方が、「TaSi含有複合材料」から構成されていてもよい。また、第一電極部の一部、又は、第二電極部の一部が、「TaSi含有複合材料」から構成されていてもよい。
本実施形態のハニカム構造体100においては、電極部21の少なくとも一部を構成するTaSi含有複合材料が、炭化珪素を更に含んでいてもよい。すなわち、TaSi含有複合材料が、TaSi、珪素、及び炭化珪素を少なくとも含む複合材料であってもよい。このように構成することによって、電極部21の電気抵抗率を良好に低下させることが可能となる。
ここで、一対の電極部の一部が、TaSi含有複合材料から構成されている場合において、TaSi含有複合材料から構成された一部以外の他の部位の電極部は、例えば、TaSi含有複合材料以外では、導電性セラミックや金属、具体的には、炭化珪素及び珪素の少なくとも一種を含む材料、金属珪化物を含む材料、Ni及びCrの少なくとも一種を含む材料を挙げることができる。
電極部の熱膨張係数が、5.0〜8.0×10−6(/K)であることが好ましく、5.5〜8.0×10−6(/K)であることが更に好ましく、6.0〜8.0×10−6(/K)であることが特に好ましい。電極部の熱膨張係数が、5.0〜8.0×10−6(/K)以下であると、ハニカム構造部の熱膨張係数よりもやや高くなり、高温の排ガスが流入する時に、ハニカム構造部と電極部の熱膨張がほぼ同等となり、耐熱衝撃性が向上する利点がある。例えば、電極部の熱膨張係数が、5.0×10−6(/K)未満であると、高温の排ガスが流入する時のハニカム構造部と電極部の熱膨張に差が生じるため好ましくない。また、電極部の熱膨張係数が、8.0×10−6(/K)超であった場合にも、ハニカム構造部と電極部の熱膨張に差が生じるため好ましくない。
電極部の熱膨張係数は、25〜800℃における熱膨張係数のことを意味する。本明細書において、特に断りのない限り、熱膨張係数は、25〜800℃における熱膨張係数である。電極部の熱膨張係数は、以下の方法にて測定することができる。まず、電極部から、縦0.2mm×横4mm×長さ50mmの測定試料(電極部用測定試料)を作製する。以下、それぞれの測定試料の長さが50mmとなる部位の一端から他端に向かう方向を、「測定試料の長さ方向」ということがある。測定試料は、ハニカム構造体のセルの延びる方向が、当該測定試料の長さ方向となるように、ハニカム構造体の電極部から切り出して作製する。具体的には、測定試料の長さが50mmとなる方向(長さ方向)が、ハニカム構造体のセルの延びる方向に相当する。測定試料の横4mmとなる方向(横方向)が、ハニカム構造体の側面の周方向に相当する。測定試料の縦0.2mmとなる方向(縦方向)が、ハニカム構造体の側面から内側に向かう方向に相当する。電極部が上述した測定試料のサイズ(縦0.2mm×横4mm×長さ50mm)より小さく、電極部用測定試料を採取できない場合には、より小さい測定試料を作製し、熱膨張係数を測定するための測定試料とする。更に小さく、ハニカム構造部との区別が困難な場合は、ハニカム構造部の外周壁ごと熱膨張係数の測定を行い、測定試料とハニカム構造部の外周壁の厚みの割合と、ハニカム構造部の外周壁の熱膨張係数から、測定試料の熱膨張係数を算出する。なお、ハニカム構造体の電極部のサイズや形状等の都合で、測定試料の採取が困難な場合には、電極部と同材料でテストピースを作製し、熱膨張係数の測定に供してもよい。作製した電極部用測定試料について、JIS R 1618に準拠した方法により、25〜800℃の線熱膨張係数を測定する。25〜800℃の線熱膨張係数は、それぞれの測定試料の長さ方向について測定する。熱膨張計としては、BrukerAXS社製の「TD5000S(商品名)」を用いることができる。上記方法によって測定された電極部用測定試料の熱膨張係数が、「電極部の25〜800℃の熱膨張係数」である。
電極部の電気抵抗率は、25℃における電気抵抗率のことを意味する。本明細書において、電極部の電気抵抗率は、特に断りのない限り、25℃における電気抵抗率である。電極部の電気抵抗率は、以下の方法にて測定することができる。まず、電極部から、縦0.2mm×横4mm×長さ40mmの測定試料(電極部用測定試料)を作製する。次に、測定試料の両端部全面に銀ペーストを塗布し、配線して通電できるようにする。次に、測定試料に電圧印加電流測定装置をつなぎ、測定試料に電圧を印加する。10〜200V印加し、25℃の状態における電流値及び電圧値を測定し、得られた電流値及び電圧値、並びに測定試料寸法から電気抵抗率を算出する。また、電極部が上述した測定試料のサイズ(縦0.2mm×横4mm×長さ40mm)より小さく、測定試料を採取できない場合には、より小さい測定試料を作製し、電気抵抗率を測定するための測定試料とする。更に小さく、ハニカム構造部との区別が困難な場合は、ハニカム構造部の外周壁ごと電気抵抗率の測定を行い、測定試料とハニカム構造部の外周壁の厚みの割合と、ハニカム構造部の外周壁の電気抵抗率から、測定試料の電気抵抗率を算出する。ハニカム構造体の電極部のサイズや形状等の都合で、測定試料の採取が困難な場合には、電極部と同材料でテストピースを作製し、電気抵抗率の測定に供してもよい。
電極部の電気抵抗率が、0.001〜10.0Ωcmであることが好ましく、0.001〜2Ωcmであることが更に好ましく、0.001〜0.1Ωcmであることが特に好ましい。電極部の電気抵抗率は、25℃における値である。電極部の電気抵抗率が、0.001〜10.0Ωcmであると、ハニカム構造部を均一に発熱させられる利点がある。例えば、電極部の電気抵抗率が、0.001Ωcm未満であると、電極部の両端付近での発熱が強くなる点で好ましくない。また、電極部の電気抵抗率が、10.0Ωcm超であると、電流が流れ難くなるため、電極としての役割を果たさない点で好ましくない。
電極部の強度(4点曲げ強度)が、5〜30MPaであることが好ましく、10〜30MPaであることが更に好ましく、15〜30MPaであることが特に好ましい。例えば、電極部の強度が、5MPa未満であると、高温排ガス流入時に電極部より破壊するため好ましくない。電極部の強度は、以下の方法で測定することができる。まず、電極部から、縦0.2mm×横4mm×長さ40mmの測定試料(電極部用試料)を作製する。このような測定試料を用いて、室温における4点曲げ強度を測定する。4点曲げ強度は、JIS R 1601に準拠して測定することができる。また、電極部が上述した測定試料のサイズ(縦0.2mm×横4mm×長さ40mm)より小さく、測定試料を採取できない場合には、より小さい測定試料を作製し、4点曲げ強度を測定するための測定試料とする。更に小さく、ハニカム構造部との区別が困難な場合は、ハニカム構造部の外周壁ごと4点曲げ強度の測定を行い、測定試料とハニカム構造部の外周壁の厚みの割合と、ハニカム構造部の外周壁の4点曲げ強度から、測定試料の4点曲げ強度を算出する。ハニカム構造体の電極部のサイズや形状等の都合で、測定試料の採取が困難な場合には、電極部と同材料でテストピースを作製し、4点曲げ強度の測定に供してもよい。
また、TaSi含有複合材料中のTaSiの含有比率(体積比率)は、15〜78体積%であることが好ましく、31〜78体積%であることが更に好ましく、37〜78体積%であることが特に好ましい。TaSiの含有比率が、15体積%未満であると、高熱膨張係数による耐熱衝撃性向上効果が得られない点で好ましくない。TaSiの含有比率が、78体積%超であると、ハニカム構造部との熱膨張差が大きくなり過ぎる点で好ましくない。
TaSi含有複合材料中の珪素の含有比率(体積比率)は、5〜43体積%であることが好ましく、15〜43体積%であることが更に好ましい。珪素の含有比率が、5体積%未満であると、酸化処理工程でTaSi含有複合材料が粉化し、耐熱衝撃性が低下する点で好ましくない。珪素の含有比率が、43体積%超であると、TaSi含有複合材料では、粒状のSiがTaSi含有複合材料表面に析出し、均一な材料にならない点で好ましくない。
TaSi含有複合材料中に炭化珪素が更に含まれる場合において、TaSi含有複合材料中の炭化珪素の含有比率(体積比率)は、57.5体積%以下であること好ましい。炭化珪素の含有比率が多すぎると、TaSi及び珪素の含有比率が相対的に減少してしまう。
TaSi含有複合材料の、TaSi、珪素、及び炭化珪素の含有比率は、ハニカム構造体の電極部の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)によって撮像して得られる画像から測定することができる。電極部の断面については、断面の凹凸を樹脂で埋め、更に研磨を行い、研磨面の観察を行う。研磨面の観察は、エネルギー分散型X線分析(EDX分析)にて行うことができる。TaSi、珪素、及び炭化珪素の判別は、以下のようにして行う。エネルギー分散型X線分析(EDX分析)にて、炭素元素及び珪素元素が検出された位置を「炭化珪素」と判別する。また、炭素元素が検出されず珪素元素が検出された位置を「珪素」と判別する。また、EDX分析にて、Ta元素が検出された場合には、検出されたTa元素のTa成分が全てTaSiであることを確認し、Ta元素が検出された位置を「TaSi」と判別する。そして、SEMにて、その3成分に濃淡がつくように観察を行う。6視野(倍率200倍)の観察結果から、3成分の割合を画像処理ソフトによって計測し、SEM画像中のTaSi、炭化珪素、及び珪素の占有比率(面積%)を求め、その値を「TaSi」、「珪素」及び「炭化珪素」の各成分の体積の比率(体積%)とする。画像処理ソフトとしては、ImagePro(日本ビジュアルサイエンス社製)を用いることができる。また、各成分の質量の比率(質量%)は、「TaSi」、「珪素」及び「炭化珪素」の各成分の体積の比率(体積%)と密度(TaSi2:9.1g/cc、珪素:2.32g/cc、SiC:3.2g/cc)から換算して求める。
TaSi含有複合材料の好ましい態様して、珪素(Si)中にTaSiからなる粒子が連結してつながっている状態を挙げることができる。例えば、この態様においては、TaSiが粒子(TaSi粒子)として存在し、且つ、珪素がTaSi粒子相互を結合する結合材として機能する。
電極部の厚さについては特に制限はない。例えば、電極部の厚さは、50〜500μmであることが好ましく、100〜300μmであることが更に好ましく、100〜250μmであることが特に好ましい。電極部の厚さが、50〜500μmであると、ハニカム構造部を均一に発熱し易くなり、また、電極部の耐熱衝撃性も良好なものとなる。例えば、電極部の厚さが、50μm未満であると、電極部が薄すぎて、ハニカム構造部を均一に発熱し難くなることがある。また、電極部の厚さが、500μmを超えると、電極部付近のハニカム構造体外壁にクラックが入りやすくなり、耐熱衝撃性が低下することがある。電極部の厚さは、ハニカム構造体のセルの延びる方向に垂直な断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)によって撮像して得られる画像から測定することができる。
電極部の気孔率が、30〜60%であることが好ましく、30〜55%であることが更に好ましく、35〜45%であることが特に好ましい。電極部の気孔率は、電極部の断面をSEM観察して、画像処理ソフトによって計測した値である。画像処理ソフトとしては、ImagePro(日本ビジュアルサイエンス社製)を用いることができる。具体的には、例えば、まず、電極部から、「断面」を観察するためのサンプルを切り出す。電極部の断面については、断面の凹凸を樹脂で埋め、更に研磨を行い、研磨面の観察を行う。そして、「断面」2視野(倍率500倍)の観察結果から、全体に対する気孔部分の合計面積を産出する。電極部の気孔率がこのような範囲であることにより、耐熱衝撃性に優れると共に、電極部の電気抵抗率も低くなる。電極部の気孔率が、30%未満であると、電極部の熱容量が大きくなり、耐熱衝撃性が低下することがある。電極部の気孔率が、60%を超えると、電極部の電気抵抗率が低下し難くなる。
図1〜図3に示されるように、本実施形態のハニカム構造体100は、一対の電極部21,21のそれぞれが、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向に延びる帯状に形成されていることが好ましい。セル2の延びる方向に直交する断面において、それぞれの電極部21,21の中心角αの0.5倍(中心角αの0.5倍の角度θ)が、15〜65°であることが好ましく、30〜60°であることが更に好ましい。このように構成することによって、一対の電極部21,21間に電圧を印加した時に、ハニカム構造部4内を流れる電流の偏りを、より効果的に抑制することができる。すなわち、ハニカム構造部4内を流れる電流を、より均一に流すことができる。これによりハニカム構造部4内の発熱の偏りを抑制することができる。「電極部21の中心角α」は、図3に示されるように、セル2の延びる方向に直交する断面において、電極部21の両端とハニカム構造部4の中心Oとを結ぶ2本の線分により形成される角度ある。別言すれば、「電極部21の中心角α」は、「電極部21」と、「電極部21の一方の端部と中心Oとを結ぶ線分」と、「電極部21の他方の端部と中心Oとを結ぶ線分」とにより形成される形状(例えば、扇形)における、中心Oの部分の内角である。
また、一方の電極部21の「中心角αの0.5倍の角度θ」は、他方の電極部21の「中心角αの0.5倍の角度θ」に対して、0.8〜1.2倍の大きさであることが好ましく、1.0倍の大きさ(同じ大きさ)であることが更に好ましい。これにより、一対の電極部21,21間に電圧を印加した時に、ハニカム構造部4内を流れる電流の偏りを、より効果的に抑制することができ、これによりハニカム構造部4内の発熱の偏りを、より効果的に抑制することができる。
図1〜図3に示されるハニカム構造体100においては、一対の電極部21,21のそれぞれが、ハニカム構造部4のセルの延びる方向に延びるように形成されている。そして、このハニカム構造体100においては、一対の電極部21,21のそれぞれが、ハニカム構造部4のセルの延びる方向の「両端部間に亘る」帯状に形成されていてもよい。このように、一対の電極部21,21が、ハニカム構造部4の両端部間に亘るように配設されていることにより、一対の電極部21,21間に電圧を印加した時に、ハニカム構造部4内を流れる電流の偏りをより効果的に抑制することができる。そして、このように構成されたハニカム構造体100においては、ハニカム構造部4内の発熱の偏りをより効果的に抑制することができる。ここで、「電極部21が、ハニカム構造部4の両端部間に亘るように形成(配設)されている」というときは、以下のように状態のことを意味する。すなわち、電極部21の一方の端部がハニカム構造部4の一方の端部(一方の端面)に接し、電極部21の他方の端部がハニカム構造部4の他方の端部(他方の端面)に接していることを意味する。
ここで、本実施形態のハニカム構造体の電極部の他の態様について説明する。本実施形態のハニカム構造体においては、電極部の「ハニカム構造部のセルの延びる方向」における両端部が、ハニカム構造部の第一端面及び第二端面に接していない(到達していない)状態も好ましい態様である。例えば、図4及び図5に示されるように、電極部21の「ハニカム構造部4のセル2の延びる方向」における両端部21a,21bが、ハニカム構造部4の両端部(第一端面11及び第二端面12)に接していない(到達していない)状態であってもよい。図4は、本発明のハニカム構造体の他の実施形態(ハニカム構造体200)を模式的に示す斜視図である。図5は、本発明のハニカム構造体の他の実施形態(ハニカム構造体200)の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。図4及び図5に示すハニカム構造体200において、図1〜図3に示すハニカム構造体100と同様に構成されている構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。また、電極部21の一方の端部が、例えば、ハニカム構造部4の第一端面11に接し(到達し)、電極部21の他方の端部が、ハニカム構造部4の第二端面12に接していない(到達していない)状態も好ましい態様である。このように、電極部21の少なくとも片方の端部が、ハニカム構造部4の第一端面11又は第二端面12のどちらかに接して(到達して)いない構造であると、ハニカム構造体の耐熱衝撃性を向上させることができる。つまり、一対の電極部21,21のそれぞれは、「ハニカム構造体の耐熱衝撃性を向上させる」という観点からは、少なくとも片方の端部が、ハニカム構造部4の第一端面11又は第二端面12に接して(到達して)いない構造であることが好ましい。以上より、「ハニカム構造部4内の、電流の偏りをより効果的に抑制することにより、発熱の偏りをより効果的に抑制する」という観点を重視する場合には、一対の電極部21,21がハニカム構造部4の両端部間に亘るように形成されていることが好ましい。一方、「ハニカム構造体の耐熱衝撃性を向上させる」という観点を重視する場合には、一対の電極部21,21のそれぞれにおける少なくとも片方の端部が、ハニカム構造部4の第一端面11又は第二端面12に接して(到達して)いないことが好ましい。
図1〜図3に示すハニカム構造体100においては、電極部21は、平面状の長方形の部材を、円筒形状の外周に沿って湾曲させたような形状となっている。ここで、湾曲した電極部21を、湾曲していない平面状の部材になるように変形したときの形状を、電極部21の「平面形状」と称することにする。図1〜図3に示される電極部21の「平面形状」は、長方形になる。そして、「電極部の外周形状」というときは、「電極部の平面形状における外周形状」を意味する。
図1〜図3に示すように、帯状の電極部21の外周形状が長方形であってもよいが、帯状の電極部21の外周形状が、「長方形の角部が曲線状に形成された形状」であることも好ましい態様である。また、帯状の電極部21の外周形状が、「長方形の角部が直線状に面取りされた形状」であることも好ましい態様である。「曲線状」と「直線状」の複合適用も好ましい。「曲線状」と「直線状」の複合適用とは、例えば、長方形において、角部の少なくとも一つが「曲線状に形成された形状」となっており、且つ、角部の少なくとも一つが「直線状に面取りされた形状」となっている形状のことを意味する。
電極部21の外周形状が、「長方形の角部が曲線状に形成された形状」、又は「長方形の角部が直線状に面取りされた形状」であることにより、ハニカム構造体100の耐熱衝撃性を更に向上させることができる。電極部21の角部が直角であると、ハニカム構造部4における「当該電極部21の角部」付近の応力が、他の部分と比較して相対的に高くなる傾向にある。これに対し、電極部21の角部を曲線状にしたり直線状に面取りしたりすると、ハニカム構造部4における「当該電極部21の角部」付近の応力を低下させることが可能となる。
本実施形態のハニカム構造体100に用いられるハニカム構造部4については、触媒担体であると共に電圧を印加することによりヒーターとしても機能する従来のハニカム構造体に用いられるハニカム構造部4を用いることができる。以下、ハニカム構造部4の構成について説明するが、本実施形態のハニカム構造体100は、このようなハニカム構造部4に制限されることはない。
本実施形態のハニカム構造体100においては、ハニカム構造部4が、炭化珪素及び珪素の少なくとも一種を含む材料から構成されている。例えば、ハニカム構造部4の隔壁1及び外周壁3の材質が、珪素−炭化珪素複合材又は炭化珪素を主成分とするものであることが好ましく、珪素−炭化珪素複合材又は炭化珪素であることが更に好ましい。「隔壁1及び外周壁3の材質が、炭化珪素粒子及び珪素を主成分とするものである」というときは、隔壁1及び外周壁3が、炭化珪素粒子及び珪素(合計質量)を、全体の90質量%以上含有していることを意味する。このような材質を用いることにより、ハニカム構造部4の電気抵抗率を2〜100Ωcmにすることができる。ここで、珪素−炭化珪素複合材は、骨材としての炭化珪素粒子、及び炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するものであり、複数の炭化珪素粒子が、炭化珪素粒子間に細孔を形成するようにして、珪素によって結合されていることが好ましい。また、炭化珪素は、炭化珪素が焼結したものである。ハニカム構造部4の電気抵抗率は、25℃における値である。
ハニカム構造部4の隔壁1の気孔率は、30〜60%であることが好ましく、35〜45%であることが更に好ましい。気孔率が、30%未満であると、焼成時の変形が大きくなってしまうことがある。気孔率が60%を超えるとハニカム構造体の強度が低下することがある。気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
ハニカム構造部4の隔壁1の平均細孔径は、2〜15μmであることが好ましく、5〜12μmであることが更に好ましい。平均細孔径が2μmより小さいと、電気抵抗率が大きくなり過ぎることがある。平均細孔径が15μmより大きいと、電気抵抗率が小さくなり過ぎることがある。平均細孔径は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
ハニカム構造部4は、隔壁1の厚さが50〜300μmであることが好ましく、100〜200μmであることが更に好ましい。隔壁1の厚さをこのような範囲にすることにより、ハニカム構造体100を触媒担体として用いて、触媒を担持しても、排ガスを流したときの圧力損失が大きくなり過ぎることを抑制できる。隔壁1の厚さが50μmより薄いと、ハニカム構造体100の強度が低下することがある。隔壁1の厚さが300μmより厚いと、ハニカム構造体100を触媒担体として用いて、触媒を担持した場合に、排ガスを流したときの圧力損失が大きくなることがある。
ハニカム構造部4は、セル密度が40〜150セル/cmであることが好ましく、70〜100セル/cmであることが更に好ましい。セル密度をこのような範囲にすることにより、排ガスを流したときの圧力損失を小さくした状態で、触媒の浄化性能を高くすることができる。セル密度が40セル/cmより低いと、触媒担持面積が少なくなることがある。セル密度が150セル/cmより高いと、ハニカム構造体100を触媒担体として用いて、触媒を担持した場合に、排ガスを流したときの圧力損失が大きくなることがある。
ハニカム構造部4の電気抵抗率は、1〜200Ωcmであることが好ましく、10〜100Ωcmであることが更に好ましい。電気抵抗率が1Ωcmより小さいと、例えば、200V以上の高電圧の電源によってハニカム構造体100に通電したときに(電圧は200Vには限定されない)、電流が過剰に流れることがある。電気抵抗率が200Ωcmより大きいと、例えば、200V以上の高電圧の電源によってハニカム構造体100に通電したときに(電圧は200Vには限定されない)、電流が流れ難くなり、十分に発熱しないことがある。ハニカム構造部4の電気抵抗率は、四端子法により測定した値である。
電極部21の電気抵抗率は、ハニカム構造部4の電気抵抗率より低いものであることが好ましく、更に、電極部21の電気抵抗率が、ハニカム構造部4の電気抵抗率の、20%以下であることが更に好ましく、0.001〜10%であることが特に好ましい。電極部21の電気抵抗率を、ハニカム構造部4の電気抵抗率の、20%以下とすることにより、電極部21が、より効果的に電極として機能するようになる。
ハニカム構造部4の材質が、珪素−炭化珪素複合材である場合、ハニカム構造部4が以下のように構成されていることが好ましい。ハニカム構造部4に含有される「炭化珪素粒子の質量」と、ハニカム構造部4に含有される「珪素の質量」との合計に対する、ハニカム構造部4に含有される「珪素の質量」の比率が、10〜40質量%であることが好ましく、15〜35質量%であることが更に好ましい。この比率が、10質量%より低いと、ハニカム構造体の強度が低下することがある。40質量%より高いと、焼成時に形状を保持できないことがある。
ハニカム構造部は、気孔率が30〜60%、平均細孔径が2〜20μm、隔壁の厚さが50〜300μm、セル密度が40〜150セル/cmであり、且つ、一対の電極部間での電気抵抗が2〜100Ωであることがより好ましい。このように構成されたハニカム構造部は、触媒担体であると共に電圧を印加することによりヒーターとしても機能するとなる。一対の電極部間での電気抵抗が2〜100Ωであることにより、ハニカム構造部4に電圧を印加することにより、ハニカム構造部4が良好に発熱する。特に、電圧の高い電源を用いてハニカム構造部4に電流を流しても、ハニカム構造部4に過剰に電流が流れず、ヒーターとして好適に用いることができる。
また、ハニカム構造部4の最外周を構成する外周壁3の厚さは、0.1〜2mmであることが好ましい。0.1mmより薄いと、ハニカム構造体100の強度が低下することがある。2mmより厚いと、触媒を担持する隔壁1の面積が小さくなることがある。
ハニカム構造部4は、セル2の延びる方向に直交する断面におけるセル2の形状が、四角形、六角形、八角形、又はこれらの組み合わせ、であることが好ましい。セル2の形状としては、正方形及び六角形が好ましい。セル形状をこのようにすることにより、ハニカム構造体100に排ガスを流したときの圧力損失が小さくなり、触媒の浄化性能が優れたものとなる。
ハニカム構造部4の全体形状については特に制限はない。ハニカム構造部4の形状としては、例えば、底面が円形の柱状、底面がオーバル形状の柱状、底面が多角形(四角形、五角形、六角形、七角形、八角形等)の柱状等の形状を挙げることができる。また、ハニカム構造部4の大きさは、底面の面積が2000〜20000mmであることが好ましく、4000〜10000mmであることが更に好ましい。また、ハニカム構造部4の中心軸方向の長さは、50〜200mmであることが好ましく、75〜150mmであることが更に好ましい。
本実施形態のハニカム構造体100は、触媒が担持されて、触媒体として使用されることが好ましい。
次に、本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態について説明する。本実施形態のハニカム構造体は、図6に示すようなハニカム構造体300である。ハニカム構造体300は、上述した、本発明のハニカム構造体の一の実施形態(ハニカム構造体100(図1〜図3参照))において、電極部21の電気抵抗率よりも低い電気抵抗率をもつ導電体(第二電極部)が、電極部21の表面に設置されたものである。すなわち、図6に示すように、ハニカム構造体300は、電極部21が、第一電極部23と、この第一電極部23の表面に設置された第二電極部24とから構成されており、この第一電極部23と第二電極部24の少なくとも一方が、TaSi複合材料から構成されていることが好ましい。また、図6に示される第二電極部24は、第一電極部23の表面に設置されるのではなく、中間部分に隙間を空けて作製した第一電極部(すなわち、2分割した第一電極部)の間に、当該2分割した各第一電極部と接して配置することも可能である。電極部21が、第一電極部23と第二電極部24とから構成されていること以外は、図1〜図3に示すハニカム構造体100と、同様に構成されていることが好ましい。図6は、本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態を模式的に示す正面図である。
ハニカム構造体300は、第一電極部23の電気抵抗率よりも低い電気抵抗率をもつ第二電極部24が、第一電極部23の表面に設置されたものであるため、第二電極部24に電圧を印加することにより、ハニカム構造部4の全体に、より均一に電流を流すことが可能になる。
第二電極部24の形状(外周形状)は、特に限定されないが、図6に示されるように、電極部21の一方の端部21aから電極部21の他方の端部21bに亘る、長方形であることが好ましい。第二電極部24は、電極部21の両端部間に亘らなくてもよい。すなわち、第二電極部24の端部と、第一電極部23の端部との間に隙間があってもよい。第二電極部24の長さは、第一電極部23の長さの50%以上が好ましく、80%以上が更に好ましく、100%が特に好ましい。第二電極部24の長さが50%より短いと、電圧を印加したときに、ハニカム構造部の全体に、より均一に電流を流すという効果が低下することがある。なお、第二電極部24の長さ、及び第一電極部23の長さとは、ハニカム構造部のセル」の延びる方向における長さのことである。
ハニカム構造体300においては、第二電極部24が、これまでに説明したTaSi含有複合材料から構成されたものであることが好ましい。このように構成することによって、ハニカム構造部4の全体に、より均一に電流を流すことが可能になる。
また、第二電極部24の周方向(ハニカム構造部の外周(側面)における周方向)の長さは、第一電極部23の周方向の長さ以下の長さであればよい。ここで、「周方向」とは、ハニカム構造部の外周(側面)における周方向のことを意味する。第二電極部24の周方向の長さは、第一電極部23の周方向の長さの5〜75%が好ましく、10〜60%が更に好ましい。75%より長いと、セルの延びる方向に直交する断面において、第一電極部23の両端付近のハニカム構造部4の温度が上昇し易くなることがある。5%より短いと、電圧を印加したときに、ハニカム構造部4の全体に、より均一に電流を流すという効果が低下することがある。
また、第二電極部24の厚さは、50〜500μmが好ましく、100〜300μmが更に好ましく、100〜250μmであることが特に好ましい。500μmより厚いと、第一電極部にクラックが入りやすくなり、耐熱衝撃性が低下することがある。ハニカム構造体300の耐熱衝撃性が低下することがある。50μm未満であると、電極部が薄すぎて、ハニカム構造部を均一に発熱し難くなることがある。
次に、本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態について説明する。本実施形態のハニカム構造体は、図7〜図9に示すようなハニカム構造体400である。ハニカム構造体400は、上記本発明のハニカム構造体100(図1〜図3参照)において、それぞれの電極部21,21の、セルの延びる方向に直交する断面における中央部であり、且つセルの延びる方向における中央部に、電気配線を繋ぐための電極端子突起部22が配設されたものである。すなわち、図7〜図9に示すように、ハニカム構造体400は、それぞれの電極部21,21に、電気配線を繋ぐための電極端子突起部22が配設されている。電極端子突起部22は、電極部21,21間に電圧を印加するために、電源からの配線を接続する部分である。このように、それぞれの電極部21,21に電極端子突起部22が配設されることにより、それぞれの電極部21,21に電圧を印加したときに、ハニカム構造部4の温度分布の偏りを、より小さくすることができる。図7は、本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態を模式的に示す正面図である。図8は、図7における、A−A’断面を示す模式図である。図9は、本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態を模式的に示す側面図である。
本実施形態のハニカム構造体400において、それぞれの電極部21,21に電極端子突起部22が配設されていること以外は、図1〜図3に示すハニカム構造体100と、同様に構成されていることが好ましい。
電極端子突起部22の形状は、特に限定されず、電極部21に接合でき、電気配線を接合できる形状であればよい。例えば、図7〜図9に示すように、電極端子突起部22は、四角形の板状の基板22aに、円柱状の突起部22bが配設された形状であることが好ましい。このような形状にすることにより、電極端子突起部22は、基板22aにより電極部21に強固に接合されることができ、突起部22bにより電気配線を確実に接合させることができる。
ハニカム構造体400においては、電極端子突起部22が、これまでに説明したTaSi含有複合材料から構成されたものであることが好ましい。特に、電極端子突起部22を構成する基板22aが、これまでに説明したTaSi含有複合材料から構成されたものであることが好ましい。このように構成することによって、ハニカム構造部4の全体に、より均一に電流を流すことが可能になる。
電極端子突起部22において、基板22aの厚さは、0.05〜2mmが好ましい。このような厚さとすることにより、電極端子突起部22を確実に電極部21に接合することができる。0.05mmより薄いと、基板22aが弱くなり、突起部22bが基板22aから、はずれやすくなることがある。2mmより厚いと、ハニカム構造体を配置するスペースが必要以上に大きくなることがある。
(2)ハニカム構造体の製造方法:
次に、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態について説明する。本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、一対の電極部を形成する電極部形成工程を備えたものである。電極部形成工程においては、まず、柱状のハニカム成形体、又はこのハニカム成形体を焼成して得たハニカム焼成体の側面の第一の領域及び第二の領域に、電極部形成原料をそれぞれ塗工する。次に、塗工した電極部形成原料を乾燥及び焼成して、一対の電極部を形成する。柱状のハニカム成形体は、流体の流路となる一方の端面である第一端面から他方の端面である第二端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁と、最外周に位置する外周壁とを有するものである。なお、柱状のハニカム成形体の作製方法については、後述する。
この電極部形成工程においては、電極部形成原料を、ハニカム成形体又はハニカム焼成体のセルの延びる方向に直交する断面において、第一の領域が、第二の領域に対して、ハニカム成形体又はハニカム焼成体の中心を挟んで反対側に位置するように、塗工する。そして、本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、電極部形成原料として、TaSi粉末及び珪素粉末を少なくとも含む原料を用いる。このような電極部形成原料を用いて、電極部形成工程を行うことにより、これまでに説明した、図1〜図3に示すようなハニカム構造体100を簡便に製造することができる。
本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、電極部形成原料として、炭化珪素粉末を更に含む原料を用いてもよい。すなわち、電極部形成原料として、TaSi、珪素、及び炭化珪素粉末を含む原料を用いてもよい。
電極部形成工程においては、電極部形成原料に含まれるTaSi粉末として、平均粒子径が3〜20μmの粉末を用いることが好ましい。TaSi粉末の平均粒子径が、3μm未満であると、酸化処理工程にて粉化しやすくなる傾向にある。また、TaSi粉末の平均粒子径が、20μm超であると、TaSi同士が連結せず高抵抗となる傾向にある。電極部形成原料に含まれる各種粉末の平均粒子径はレーザー回折法で測定した値である。
電極部形成工程においては、電極部形成原料に含まれる珪素粉末として、平均粒子径が1〜35μmの粉末を用いることが好ましい。珪素粉末は、電極部形成原料を焼成する際に溶融し、炭化珪素粉末及びTaSiの粉末のそれぞれの粒子を相互に結合する結合材になる。珪素粉末の平均粒子径が、1μm未満であると、電極材混合時に凝集し、不均質となる傾向にある。また、珪素粉末の平均粒子径が、35μm超であると、気孔率が高くなり高抵抗となる傾向にある。
電極部形成工程においては、電極部形成原料に含まれる炭化珪素粉末として、平均粒子径が3〜50μmの粉末を用いることが好ましい。炭化珪素粉末の平均粒子径が、3μm未満であると、界面が多くなり高抵抗となる傾向にある。また、炭化珪素粉末の平均粒子径が、50μm超であると、低強度となり、耐熱衝撃性に劣る傾向にある。
以下、本実施形態のハニカム構造体の製造方法について、図1〜図3に示すハニカム構造体を製造する方法を例に、更に詳細に説明する。
まず、以下の方法で、ハニカム成形体を作製する。炭化珪素粉末(炭化珪素)に、珪素粉末(珪素)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加してハニカム成形原料を作製する。炭化珪素粉末の質量と珪素粉末の質量との合計に対して、珪素粉末の質量が10〜40質量%となるようにすることが好ましい。炭化珪素粉末における炭化珪素粒子の平均粒子径は、3〜50μmが好ましく、3〜40μmが更に好ましい。珪素粒子(珪素粉末)の平均粒子径は、1〜35μmであることが好ましい。炭化珪素粒子及び珪素粒子の平均粒子径はレーザー回折法で測定した値である。炭化珪素粒子は、炭化珪素粉末を構成する炭化珪素の微粒子であり、珪素粒子は、珪素粉末を構成する珪素の微粒子である。なお、これは、ハニカム構造部の材質を、珪素−炭化珪素系の複合材とする場合のハニカム成形原料の配合であり、ハニカム構造部の材質を炭化珪素とする場合には、珪素は添加しない。
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、炭化珪素粉末及び珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、2.0〜10.0質量部であることが好ましい。
水の含有量は、炭化珪素粉末及び珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、20〜60質量部であることが好ましい。
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、炭化珪素粉末及び珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.1〜2.0質量部であることが好ましい。
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、炭化珪素粉末及び珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.5〜10.0質量部であることが好ましい。造孔材の平均粒子径は、5〜30μmであることが好ましい。5μmより小さいと、気孔を十分形成できないことがある。30μmより大きいと、成形時に口金に詰まることがある。造孔材の平均粒子径はレーザー回折法で測定した値である。造孔材が吸水性樹脂の場合には、造孔材の平均粒子径は吸水後の平均粒子径のことである。
次に、ハニカム成形原料を混練して坏土を形成する。ハニカム成形原料を混練して坏土を形成する方法としては特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。
次に、坏土を押出成形してハニカム成形体を作製する。押出成形に際しては、所望の全体形状、セル形状、隔壁厚さ、セル密度等を有する口金を用いることが好ましい。口金の材質としては、摩耗し難い超硬合金が好ましい。ハニカム成形体は、流体の流路となる複数のセルを区画形成する隔壁と最外周に位置する外周壁とを有する構造である。
ハニカム成形体の隔壁厚さ、セル密度、外周壁の厚さ等は、乾燥、焼成における収縮を考慮し、作製しようとする本発明のハニカム構造体の構造に合わせて適宜決定することができる。
次に、得られたハニカム成形体について、乾燥を行うことが好ましい。乾燥後のハニカム成形体を「ハニカム乾燥体」と称することがある。乾燥の方法は特に限定されず、例えば、マイクロ波加熱乾燥、高周波誘電加熱乾燥等の電磁波加熱方式と、熱風乾燥、過熱水蒸気乾燥等の外部加熱方式とを挙げることができる。これらの中でも、成形体全体を迅速かつ均一に、クラックが生じないように乾燥することができる点で、電磁波加熱方式で一定量の水分を乾燥させた後、残りの水分を外部加熱方式により乾燥させることが好ましい。乾燥の条件として、電磁波加熱方式にて、乾燥前の水分量に対して、30〜99質量%の水分を除いた後、外部加熱方式にて、3質量%以下の水分にすることが好ましい。電磁波加熱方式としては、誘電加熱乾燥が好ましく、外部加熱方式としては、熱風乾燥が好ましい。
ハニカム成形体(ハニカム乾燥体)の中心軸方向長さが、所望の長さではない場合は、両端面(両端部)を切断して所望の長さとすることが好ましい。切断方法は特に限定されないが、丸鋸切断機等を用いる方法を挙げることができる。
本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、このようにして得られたハニカム乾燥体を、脱脂した後、焼成して、ハニカム焼成体を作製してもよい。ただし、以下に説明する電極部形成工程を、ハニカム乾燥体に対して行うことにより、脱脂及び焼成の工程を、ハニカム構造体を作製する過程において各1回で済ますことができる。以下に説明する電極部形成工程では、得られたハニカム乾燥体に対して、脱脂及び焼成をせず、ハニカム乾燥体のまま、電極部を形成する方法について説明する。なお、この段階で、ハニカム乾燥体に対して、脱脂及び焼成を行う場合の各条件については、後述する脱脂及び焼成の条件に準じて行うことができる。
次に、電極部を形成するための電極部形成原料を調製する。例えば、TaSi粉末、及び珪素粉末に、所定の添加物を添加し、混練して電極部形成原料を調製することが好ましい。電極部形成原料を調製する際には、炭化珪素粉末を更に加えてもよい。以下、電極部形成原料として用いる、TaSi粉末、珪素粉末、及び炭化珪素粉末を総称して、「原料粉末」という。
より具体的には、上述原料粉末に、バインダ、保湿剤、分散剤、水等を添加し、得られた混合物を混練して、ペースト状の電極部形成原料を調製する。混練の方法は特に限定されず、例えば、縦型の撹拌機を用いることができる。
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロース、及びヒドロキシプロポキシルセルロースが好ましい。バインダの含有量は、TaSi粉末、珪素粉末、及び炭化珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.1〜5.0質量部であることが好ましい。保湿剤としては、グリセリンを挙げることができる。
分散剤としては、例えば、界面活性剤として、グリセリン、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、TaSi粉末、珪素粉末、及び炭化珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.1〜10.0質量部であることが好ましい。
水の含有量は、TaSi粉末、珪素粉末、及び炭化珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、15〜60質量部であることが好ましい。
次に、得られた電極部形成原料を、乾燥させたハニカム成形体の側面に塗工することが好ましい。以下、乾燥させたハニカム成形体を、「ハニカム乾燥体」ということがある。ハニカム乾燥体の側面に電極部形成原料を塗工する方法については、特に制限はない。例えば、電極部形成原料を塗工する方法としては、印刷方法を挙げることができる。また、電極部形成原料は、これまでに説明したハニカム構造体における電極部の形状になるように、ハニカム乾燥体の側面に塗工することが好ましい。すなわち、電極部形成原料を塗工する領域を、第一の領域及び第二の領域とした場合に、ハニカム乾燥体のセルの延びる方向に直交する断面において、第一の領域が、第二の領域に対して、ハニカム乾燥体の中心を挟んで反対側に位置するものとする。また、電極部形成原料を、電極部の形状(例えば、帯状)になるよう塗工した後、例えば、電極部に電気配線を繋ぐための箇所に対して、更に、電極部形成原料を塗工してもよい。例えば、電極部に電気配線を繋ぐための箇所に対して、溶射により、電極部形成原料を更に塗工してもよい。
電極部の厚さは、電極部形成原料を塗工するときの厚さを調整することにより、所望の厚さとすることができる。このように、電極部形成原料をハニカム乾燥体の側面に塗工し、乾燥、焼成するだけで電極部を形成することができるため、非常に容易に電極部を形成することができる。焼成の工程が1回で済むことから、乾燥させたハニカム成形体(ハニカム乾燥体)の側面に電極部形成原料を塗工することが好ましい。但し、乾燥させたハニカム成形体を焼成して、ハニカム焼成体を先に作製し、このハニカム焼成体の側面に電極部形成原料を塗工することもできる。
次に、ハニカム乾燥体の側面に塗工した電極部形成原料を乾燥させて、「電極部形成原料付きハニカム乾燥体」を作製することが好ましい。乾燥条件は、100〜130℃とすることが好ましい。
次に、ハニカム乾燥体、及びハニカム乾燥体の側面に塗工した電極部形成原料に含まれるバインダ等を除去するため、脱脂を行うことが好ましい。脱脂は、大気雰囲気において、400〜550℃で、0.5〜20時間行うことが好ましい。
次に、電極部形成原料付きハニカム乾燥体を焼成してハニカム構造体を作製することが好ましい。焼成条件としては、アルゴン等の不活性雰囲気において、1400〜1500℃で、1〜20時間加熱することが好ましい。本明細書における焼成条件の温度は、焼成雰囲気の温度のことである。
また、焼成後、耐久性向上のために、1000〜1350℃で、1〜10時間、酸化処理を行うことが好ましい。酸化処理とは、酸化雰囲気での加熱処理のことを意味する。以上のようにして、図1〜図3に示すようなハニカム構造体100を製造することができる。
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
TaSi粉末、珪素粉末、炭化珪素粉末、メチルセルロース、グリセリン、ポリアクリル酸系分散剤、及び水を、自転公転攪拌機で混合して、電極部形成原料を調製した。TaSi粉末は、平均粒子径が7μmのものとした。珪素粉末は、平均粒子径が6μmのものとした。炭化珪素粉末は、平均粒子径が35μmのものとした。
実施例1においては、TaSi粉末、珪素粉末、及び炭化珪素粉末を、TaSi粉末が15.8体積%、珪素粉末が37.0体積%、炭化珪素粉末が47.2体積%となるように配合して電極部形成原料を調製した。表1の「TaSi」の欄に、TaSi粉末の体積比率(体積%)及び質量比率(質量%)を示す。表1の「Si」の欄に、珪素粉末の体積比率(体積%)及び質量比率(質量%)を示す。表1の「SiC」の欄に、炭化珪素粉末の体積比率(体積%)及び質量比率(質量%)を示す。
Figure 2016193401
TaSi粉末、珪素粉末、及び炭化珪素粉末の合計を100質量部としたときに、メチルセルロースは0.5質量部であり、グリセリンは10質量部であり、水は38質量部であった。炭化珪素粉末の平均粒子径は52μmであり、金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。炭化珪素及び金属珪素の平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。混練は、縦型の撹拌機で行った。
また、ハニカム構造部を作製するためのハニカム成形原料を調製した。ハニカム成形原料は、5μmの金属珪素粉末を6kg、30μmの炭化珪素粉末を14kg、コージェライト粉末を1kg、メチルセルロースを1.6kg、水を8kg、を混合し、ニーダー混練して調製した。
次に、得られたハニカム成形原料を真空土練して坏土を得、得られた坏土を、ハニカム状に押出成形して、ハニカム成形体を得た。次に、得られたハニカム成形体を120℃で乾燥させ、ハニカム乾燥体を得た。
次に、得られたハニカム乾燥体の側面に、予め調製した電極部形成原料を塗布し、120℃で乾燥して、電極部形成原料付きハニカム乾燥体を得た。次に、電極部形成原料付きハニカム乾燥体を、大気雰囲気において、550℃で、3時間、脱脂した。
次に、脱脂した電極部形成原料付きハニカム乾燥体を、焼成し、酸化処理して、ハニカム構造体を作製した。焼成は、1450℃のアルゴン雰囲気中で、2時間行った。酸化処理は、1300℃の大気中で、1時間行った。
得られたハニカム構造体のハニカム構造部は、隔壁の厚さが101.6μmで、セル密度が、93セル/cmであった。また、ハニカム構造部の端面の直径は、100mmで、セルの延びる方向の長さは、100mmであった。
実施例1のハニカム構造体の電極部について、以下の方法で、熱膨張係数、4点曲げ強度、及び電気抵抗率を測定した。結果を表2に示す。また、電極部について、以下の方法で、耐熱衝撃性、通電性能、外観の評価を行った。結果を、表2に示す。また、表2の「脱脂、焼成回数」の欄に、ハニカム構造体の製造に要した、脱脂、及び焼成の各回数を示す。
[熱膨張係数]
電極部の熱膨張係数の測定においては、まず、各実施例及び比較例にて作製したハニカム構造体の電極部から、熱膨張係数を測定するための測定試料を切り出して作製した。測定試料の大きさは、縦0.2mm×横4mm×長さ50mmとした。作製した測定試料について、BrukerAXS社製の「TD5000S(商品名)」を用いて、熱膨張係数を測定した。測定された値を、電極部の熱膨張係数(×10−6(1/K))とした。
[4点曲げ強度]
電極部の4点曲げ強度の測定においては、まず、各実施例及び比較例にて作製したハニカム構造体の電極部から、4点曲げ強度を測定するための測定試料を切り出して作製した。測定試料の大きさは、縦0.2mm×横4mm×長さ40mmとした。作製した測定試料の4点曲げ強度を測定した値を、電極部の4点曲げ強度(MPa)とした。4点曲げ強度は JIS R 1601に準拠した方法で行った。
[電気抵抗率]
電極部の電気抵抗率の測定においては、まず、各実施例及び比較例にて作製したハニカム構造体の電極部から、電気抵抗率を測定するための測定試料(試験片)を切り出して作製した。測定試料(試験片)の大きさは、縦0.2mm×横4mm×長さ40mmとした。作製した試験片について、両端部全面に銀ペーストを塗布し、配線して通電できるようにした。試験片に電圧印加電流測定装置をつなぎ印加した。10〜200V印加し、25℃の状態における電流値及び電圧値を測定し、得られた電流値及び電圧値、並びに試験片寸法から電気抵抗率を算出した。
[耐熱衝撃性]
「ハニカム構造体を収納する金属ケースと、当該金属ケース内に加熱ガスを供給することができるプロパンガスバーナーと、を備えたプロパンガスバーナー試験機」を用いてハニカム構造体の加熱冷却試験を実施した。上記加熱ガスは、ガスバーナー(プロパンガスバーナー)でプロパンガスを燃焼させることにより発生する燃焼ガスとした。そして、上記加熱冷却試験によって、ハニカム構造体にクラックが発生するか否かを確認することにより、耐熱衝撃性を評価した。具体的には、まず、プロパンガスバーナー試験機の金属ケースに、得られたハニカム構造体を収納(キャニング)した。そして、金属ケース内に、プロパンガスバーナーにより加熱されたガス(燃焼ガス)を供給し、ハニカム構造体内を通過するようにした。金属ケースに流入する加熱ガスの温度条件(入口ガス温度条件)を以下のようにした。まず、5分で指定温度まで昇温し、指定温度で10分間保持し、その後、5分で100℃まで冷却し、100℃で10分間保持した。このような昇温、冷却、保持の一連の操作を「昇温、冷却操作」と称する。その後、ハニカム構造体のクラックを確認した。そして、指定温度を825℃から25℃ずつ上昇させながら上記「昇温、冷却操作」を繰り返した。以下の評価基準に基づき、電極部の耐熱衝撃性の評価を行った。なお、評価AAが最も耐熱衝撃性が良好であり、評価A、評価B、評価Cの順番で耐熱衝撃性が低下する。
評価AA:指定温度1000℃でクラックの発生無きもの。
評価A:指定温度950℃〜975℃でクラックの発生無きもの。
評価B:指定温度900℃〜925℃でクラックの発生無きもの。
評価C:指定温度875℃以下でクラックが発生したもの。
[通電性能]
以下の評価基準に基づき、電極部の通電性能の評価を行った。ハニカム構造体は、電極部が低抵抗なほど、ハニカム構造部の発熱範囲が広がり、ハニカム構造部が均一な温度になりやすい。通電性能の評価においては、評価AAが最も通電性能に優れ、評価A、評価B、評価Cの順番で通電性能が低下する。
評価AA:電極部の電気抵抗率が0.1Ωcm以下で、且つ、ハニカム構造部の電気抵抗率に対して10%以下のもの。
評価A:評価AAに該当せず、電極部の電気抵抗率が0.1Ωcm超、2.0Ωcm以下で、且つ、ハニカム構造部の電気抵抗率に対して10%以下のもの。
評価B:評価AA、評価Aに該当せず、電極部の電気抵抗率が2.0Ωcm超、10.0Ωcm以下で、且つ、ハニカム構造部の電気抵抗率に対して20%以下のもの。又は、電極部の電気抵抗率が2.0Ωcm以下で、且つ、ハニカム構造部の電気抵抗率に対して10%超、20%以下のもの。
評価C:評価AA、評価A、評価Bに該当しないもの。
[外観]
電極部の外観を目視で確認して、外観の評価を行った。まず、電極部の形成において、電極部が粉化したものについては、評価結果において、「粉化」と記す。次に、粉化せずに形成することができた電極部について、その外観を目視で確認して、クラックの有無を確認した。クラックが生じていない場合を、「良好」と評価した。クラックが生じているものについては、評価結果において、「クラック」と記す。
Figure 2016193401
(実施例2〜10及び12〜19)
実施例2〜10及び12〜19においては、TaSi粉末、珪素粉末、及び炭化珪素粉末の配合比率を、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様として、ハニカム構造体を作製した。
(実施例11)
実施例11においては、TaSi粉末、珪素粉末、及び炭化珪素粉末の配合比率を、表1に示すように変更し、電極部形成原料を調製した。また、実施例11においては、ハニカム構造部を作製するためのハニカム成形原料を、実施例1と同様の方法で調製し、得られたハニカム成形原料を真空土練して坏土を得、得られた坏土を、ハニカム状に押出成形して、ハニカム成形体を得た。次に、得られたハニカム成形体を120℃で乾燥させ、ハニカム乾燥体を得た。
実施例11においては、このハニカム乾燥体に対して、電極部形成原料を塗工せず、ハニカム乾燥体を単独で、脱脂、焼成してハニカム焼成体を作製した。具体的には、ハニカム乾燥体を、大気雰囲気において、550℃で、3時間、脱脂した。そして、実施例11においては、ハニカム焼成体に対して、先に調製した電極部形成原料を用いて、実施例1と同様の方法で、電極部を形成して、ハニカム構造体を作製した。
実施例2〜19のハニカム構造体の電極部について、実施例1と同様の方法で、熱膨張係数、4点曲げ強度、及び電気抵抗率を測定した。結果を表2に示す。また、実施例1と同様の方法で、耐熱衝撃性、通電性能、外観の評価を行った。結果を、表2に示す。また、表2の「脱脂、焼成回数」の欄に、ハニカム構造体の製造に要した、脱脂、及び焼成の各回数を示す。
(比較例1及び2)
比較例1及び2においては、TaSi粉末、珪素粉末、及び炭化珪素粉末の配合比率を、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様として、ハニカム構造体を作製した。表2の「脱脂、焼成回数」の欄に、ハニカム構造体の製造に要した、脱脂、及び焼成の各回数を示す。
(比較例3)
比較例3においては、TaSi粉末の代わりに、MoSi粉末を用いて電極部形成原料を調製した。MoSi粉末は、平均粒子径が6μmのものとした。比較例3においては、MoSi粉末が60.0体積%、珪素粉末が31.4体積%、炭化珪素粉末が8.6体積%となるように配合して電極部形成原料を調製した。表3の「MoSi」の欄に、MoSi粉末の体積比率(体積%)及び質量比率(質量%)を示す。表3の「Si」の欄に、珪素粉末の体積比率(体積%)及び質量比率(質量%)を示す。表3の「SiC」の欄に、炭化珪素粉末の体積比率(体積%)及び質量比率(質量%)を示す。
Figure 2016193401
また、ハニカム構造部を作製するためのハニカム成形原料を、実施例1と同様の方法で調製し、得られたハニカム成形原料を真空土練して坏土を得、得られた坏土を、ハニカム状に押出成形して、ハニカム成形体を得た。次に、得られたハニカム成形体を120℃で乾燥させ、ハニカム乾燥体を得た。
比較例3においては、このハニカム乾燥体に対して、電極部形成原料を塗工せず、ハニカム乾燥体を単独で、脱脂、焼成してハニカム焼成体を作製した。具体的には、ハニカム乾燥体を、大気雰囲気において、550℃で、3時間、脱脂した。なお、このような方法で、ハニカム乾燥体を単独で脱脂する理由としては、MoSi粉末を含む電極部形成原料を塗工したハニカム乾燥体を、大気雰囲気で脱脂すると、電極部形成原料(別言すれば、電極部)が粉化し、電極部の形成が行えないからである。
脱脂したハニカム乾燥体を、1450℃のアルゴン雰囲気中で、2時間、焼成して、ハニカム焼成体を作製した。
次に、得られたハニカム焼成体の側面に、予め調製した電極部形成原料を塗布し、120℃で乾燥して、電極部形成原料付きハニカム焼成体を得た。次に、電極部形成原料付きハニカム焼成体を、550℃で、3時間、減圧脱脂した。減圧雰囲気で脱脂を行う目的としては、大気雰囲気ではMoSi粉末が酸化し、粉化して、電極部を形成できなくなるためである。
次に、減圧脱脂した電極部形成原料付きハニカム焼成体を、1450℃のアルゴン雰囲気中で、2時間、熱処理し、更に、1300℃の大気中で、1時間、酸化処理することにより、ハニカム構造体を作製した。表2の「脱脂、焼成回数」の欄に、ハニカム構造体の製造に要した、脱脂、及び焼成の各回数を示す。
(結果)
表2に示すように、実施例1〜19のハニカム構造体は、耐熱衝撃性、及び通電性能において、共に優れたものであった。また、実施例1〜10及び12〜17のハニカム構造体は、脱脂、及び焼成の各回数が1回であっても、電極部の外観に優れたものであった。また、実施例18及び19のハニカム構造体は、脱脂、及び焼成の各回数が1回である場合に、電極部の最表面で軽微な粉化が確認されたが、ハニカム構造体の実使用において、問題の無い程度であった。
一方で、比較例1のハニカム構造体は、酸化処理工程において電極部が粉化してしまった。電極部が粉化した要因としては、珪素がTaSi表面を覆うことができておらず、珪素によるTaSi酸化保護機能が発現していないことが考えられる。比較例2のハニカム構造体は、熱膨張係数の低く、耐熱衝撃性が良好ではない。
また、比較例3のハニカム構造体は、通電性能に優れたものであったが、実施例10と比較して耐熱衝撃性に劣っていた。また脱脂、及び焼成を、2回行う必要があり、製造工程が煩雑なものであった。
本発明のハニカム構造体は、自動車の排ガスを浄化する排ガス浄化装置用の触媒担体として好適に利用することができる。
1:隔壁、2:セル、3:外周壁、4:ハニカム構造部、5:側面、11:第一端面、12:第二端面、21:電極部、21a:端部(電極部の一方の端部)、21b:端部(電極部の他方の端部)、22:電極端子突起部、22a:基板、22b:突起部、23:第一電極部、24:第二電極部、100,200,300,400:ハニカム構造体、O:中心、α:中心角、θ:中心角の0.5倍の角度。

Claims (22)

  1. 柱状のハニカム構造部と、前記ハニカム構造部の側面に配設された一対の電極部と、を備え、
    前記ハニカム構造部は、多孔質の隔壁と、最外周に配設された外周壁と、を有し、
    前記ハニカム構造部には、前記隔壁によって、前記ハニカム構造部の第一端面から第二端面まで延びる複数のセルが区画形成されており、
    前記ハニカム構造部が、炭化珪素及び珪素の少なくとも一種を含む材料から構成され、且つ、
    一対の前記電極部の少なくとも一部が、TaSi及び珪素を含む複合材料から構成されている、ハニカム構造体。
  2. 前記電極部の少なくとも一部を構成する前記複合材料が、炭化珪素を更に含む、請求項1に記載のハニカム構造体。
  3. 前記電極部の熱膨張係数が、5.0〜8.0×10−6(/K)である、請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
  4. 前記電極部の電気抵抗率が、0.001〜10.0Ωcmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
  5. 前記電極部の強度が、5〜30MPaである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
  6. 前記ハニカム構造部は、気孔率が30〜60%、平均細孔径が2〜15μm、前記隔壁の厚さが50〜300μm、セル密度が40〜150セル/cmであり、且つ、一対の前記電極部間での電気抵抗が2〜100Ωである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
  7. 前記電極部を構成する前記複合材料の前記TaSiの含有比率が、15〜78体積%である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
  8. 前記電極部を構成する前記複合材料の前記珪素の含有比率が、5〜43体積%である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
  9. 前記電極部を構成する前記複合材料の前記炭化珪素の含有比率が、57.5体積%以下である、請求項2に記載のハニカム構造体。
  10. 多孔質の隔壁と、最外周に配設された外周壁とを有する柱状のハニカム成形体、又は前記ハニカム成形体を焼成して得たハニカム焼成体の側面の第一の領域及び第二の領域に、電極部形成原料をそれぞれ塗工し、塗工した前記電極部形成原料を乾燥及び焼成して、一対の電極部を形成する電極部形成工程を備え、
    前記ハニカム成形体には、前記隔壁によって、前記ハニカム成形体の第一端面から第二端面まで延びる複数のセルが区画形成されており、
    前記電極部形成工程は、前記電極部形成原料を、前記ハニカム成形体又は前記ハニカム焼成体の前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記第一の領域が、前記第二の領域に対して、前記ハニカム成形体又は前記ハニカム焼成体の中心を挟んで反対側に位置するように、塗工するものであり、
    前記電極部形成原料として、TaSi粉末及び珪素粉末を少なくとも含む原料を用いる、ハニカム構造体の製造方法。
  11. 前記電極部形成工程が、前記ハニカム成形体の側面の前記第一の領域及び前記第二の領域に、前記電極部形成原料をそれぞれ塗工する工程である、請求項10に記載のハニカム構造体の製造方法。
  12. 前記電極部形成工程における前記焼成の前に、前記電極部形成原料を塗工した前記ハニカム成形体又は前記ハニカム焼成体を、大気雰囲気で、400〜550℃で脱脂する、請求項10又は11に記載のハニカム構造体の製造方法。
  13. 前記電極部形成工程において、前記電極部形成原料を塗工した前記ハニカム成形体又は前記ハニカム焼成体を、Ar雰囲気で、1400〜1500℃で焼成する、請求項10〜12のいずれか一項に記載のハニカム構造体の製造方法。
  14. 前記電極部形成工程における前記焼成の後に、焼成した前記ハニカム成形体又は前記ハニカム焼成体を、酸化雰囲気で、1000〜1350℃で酸化処理する、請求項10〜13のいずれか一項に記載のハニカム構造体の製造方法。
  15. 前記電極部形成原料を焼成して得られる前記電極部の少なくとも一部が、TaSi及び珪素を含む複合材料から構成され、前記複合材料のTaSiの含有比率が、15〜78体積%である、請求項10〜14のいずれか一項に記載のハニカム構造体の製造方法。
  16. 前記電極部形成原料を焼成して得られる前記電極部の少なくとも一部が、TaSi及び珪素を含む複合材料から構成され、前記複合材料の珪素の含有比率が、5〜43体積%である、請求項10〜15のいずれか一項に記載のハニカム構造体の製造方法。
  17. 前記電極部形成原料として、炭化珪素粉末を更に含む前記原料を用いる、請求項10〜16のいずれか一項に記載のハニカム構造体の製造方法。
  18. 前記電極部形成原料を焼成して得られる前記電極部の少なくとも一部が、TaSi、珪素及び炭化珪素を含む複合材料から構成され、前記複合材料の炭化珪素の含有比率が、57.5体積%以下である、請求項17に記載のハニカム構造体の製造方法。
  19. 前記電極部形成原料を焼成して得られる前記電極部の熱膨張係数が、5.0〜8.0×10−6(/K)である、請求項10〜18のいずれか一項に記載のハニカム構造体の製造方法。
  20. 前記電極部形成原料を焼成して得られる前記電極部の電気抵抗率が、0.001〜10.0Ωcmである、請求項10〜19のいずれか一項に記載のハニカム構造体の製造方法。
  21. 前記電極部形成原料を焼成して得られる前記電極部の強度が、5〜30MPaである、請求項10〜20のいずれか一項に記載のハニカム構造体の製造方法。
  22. 前記ハニカム焼成体は、気孔率が30〜60%、平均細孔径が2〜15μm、前記隔壁の厚さが50〜300μm、セル密度が40〜150セル/cmであり、且つ、一対の前記電極部間での電気抵抗が2〜100Ωである、請求項10〜21のいずれか一項に記載のハニカム構造体の製造方法。
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