JP2016191697A - アスファルト混合物で舗装した鉄筋コンクリート床板の鉄筋の腐食性状評価方法 - Google Patents

アスファルト混合物で舗装した鉄筋コンクリート床板の鉄筋の腐食性状評価方法 Download PDF

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Eikichi Oshita
英吉 大下
行雄 明石
Yukio Akashi
行雄 明石
橋本 和明
Kazuaki Hashimoto
和明 橋本
詳悟 林
Shogo Hayashi
詳悟 林
昭宏 竹屋
Akihiro Takeya
昭宏 竹屋
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Hanko Kayano
帆高 萱野
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Yosuke Fukuoka
養祐 福岡
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Abstract

【課題】単純な工程で腐食性状の評価を信頼性の高く実施することができるようにする。
【解決手段】鉄筋コンクリートの表面に舗装されたアスファルト混合物の表面を、予め定められた所定時間、電磁誘導加熱によって加熱し、アスファルト混合物の表面の温度を計測し、時間と共に変化する前記アスファルトの表面の温度情報を取得し、鉄筋が腐食していない状態におけるアスファルト混合物の表面温度と、鉄筋の腐食性状を評価すべきアスファルト混合物の表面温度の違いから、コンクリート内の鉄筋の腐食率を算定し、得られた算定値から鉄筋腐食性状評価を実施する。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面にアスファルト舗装が施された鉄筋コンクリートの床板の鉄筋コンクリート内の鉄筋の腐食性状を評価する技術に関する。
自動車や人などの荷重を直接受ける部材は床板と呼ばれる。
この床板には、様々な荷重を受けた際に、車両の走行性に悪影響を及ぼすような変形を起こさず、その荷重に耐えうるとともに、受けた荷重を主桁などに伝達する機能が要求される。
このような床板として、表面にアスファルト舗装が施された鉄筋コンクリート(以下、アスファルト舗装RC床板という)がある。
アスファルト舗装RC床板の鉄筋は、経年劣化、床板の破損、施工時の不良等により、腐食する可能性がある。
この腐食は、床板の設置場所、設置環境、維持管理、荷重による負荷の大小、施工内容などの様々な要因により、さまざまなパターンや範囲で進行する。
また、この進行の度合いも、一律ではなく、部分的に極度に進行することもある。
アスファルト舗装RC床板の鉄筋におけるこのような腐食は、床板に求められる、上記の変形防止や伝達促進の機能、耐荷性能や耐久性能を損なうことになり、床板の破損の大きな原因の一つと成っている。
このため、アスファルト舗装RC床板の鉄筋の鉄筋の腐食性状を、迅速かつ正確に評価する必要があった。
この点について、例えば、特開2014−130062号では、鉄筋コンクリート内の鉄筋を、電磁誘導によって加熱し、鉄筋から拡散する熱によって変化するコンクリートの表面温度を赤外線カメラを介して取得し、得られた熱画像から、加熱むらやノイズを除去するなどの画像処理を施し、得られた画像に基づいて、鉄筋の腐食率を推測するものである。
上記の従来技術では、得られた熱画像の処理および変換を繰り返すことにより、鉄筋コンクリート中の鉄筋の腐食率を推測することは可能である。
しかしながら、上記の従来技術では、多段階における画像処理、画像再変換が必要な上、得られた画像を評価し、その画像の評価結果から腐食率を推定する、という複雑な工程が必要なため、鉄筋の腐食率を迅速かつ正確に算定することは困難であるという問題があった。
さらに、上記の従来技術では、コンクリート表面が露出する、単なる鉄筋コンクリートの鉄筋の腐食率を推測するため、表面がアスファルト混合物で覆われた床板を構成する鉄筋の腐食率を推測することはできず、上記の従来の公開公報にも、その旨の示唆はない。
特開2014−130062号公報
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、単純な工程で、アスファルト舗装RC床板の鉄筋の腐食性状を評価できるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の第1発明にかかるアスファルト混合物で舗装した鉄筋コンクリート床板の鉄筋の腐食性状評価方法は、
鉄筋コンクリートの表面に舗装されたアスファルト混合物の表面が、予め定められた所定時間、電磁誘導加熱によって加熱される加熱ステップと、
アスファルト混合物の表面の温度が計測され、時間と共に変化する前記アスファルトの表面の温度情報が取得される温度計測ステップと、
鉄筋が腐食していない状態におけるアスファルト混合物の表面温度と、鉄筋の腐食性状を評価すべきアスファルト混合物の表面温度の違いから、コンクリート内の鉄筋の腐食率を算定する腐食率算定ステップと
からなることを特徴とする。
また、第2発明にかかるアスファルト混合物で舗装した鉄筋コンクリート床板の鉄筋の腐食性状評価方法は、第1発明において、
腐食率算定ステップにおいて、表面温度の違いが、各アスファルト混合物の表面の最高温度における温度上昇量に基づいて評価され、鉄筋が腐食していない状態におけるアスファルト混合物の表面温度の温度上昇量に対する、鉄筋の腐食性状を評価すべきアスファルト混合物の表面温度の温度上昇量が少ないほど、コンクリート内の鉄筋の腐食率が高いと評価され、両者の温度上昇量の差を用いて、コンクリート内の鉄筋の腐食率が算定され、
得られた算定値から鉄筋腐食性状評価を実施する
ことを特徴とする。
また、第3発明にかかるアスファルト混合物で舗装した鉄筋コンクリート床板の鉄筋の腐食性状評価方法は、第1または第2発明において、
腐食率算定ステップで腐食率算定式が用いられ、この腐食率算定式が、
健全時のアスファルト混合物の表面温度の単位時間当たりの健全温度上昇量(α)と、
鉄筋の腐食性状を評価すべきアスファルト混合物の表面温度の実測時の単位時間当たりの実測温度上昇量(α’)と、
健全時と実測時のアスファルト混合物の表面温度の温度差(Δθsurf)と、
コンクリートの熱容量(I)と、
アスファルトの熱容量(I’)と、
熱伝達計数(J)と、
コンクリートに蓄えられる単位時間における単位面積あたりの熱量(L)と、
コンクリート、腐食性生物およびアスファルト混合物における熱容量に関する項(M)と
を変数として腐食率(%)を求める式である
ことを特徴とする。
上記第1〜第3発明では、アスファルト舗装RC床板を電磁誘導加熱によって加熱し、アスファルト混合物の表面温度を監視することによって得られた情報を反映させて鉄筋の腐食率を算定することができ、単純な工程で腐食性状の評価を信頼性の高く実施することができる。
本発明にかかるアスファルト混合物で舗装した鉄筋コンクリート床板の鉄筋の腐食性状評価方法の流れを示すフロー図である。 本発明にかかるアスファルト混合物で舗装した鉄筋コンクリート床板の鉄筋の腐食性状評価方法で試験される試験体の構成を示す正面図である。 図2のA−A断面図である。 図2に示したアスファルト舗装RC床板の加熱および温度計測の構成の一実施例を示す説明図である。 腐食生成物による影響のメカニズムを示す概略図である。 図4に示したシステムで得られたアスファルト混合物の表面温度の温度履歴の概要を示すグラフである。 図4に示したシステムにおけるアスファルト舗装RC床板の端部からの距離とアスファルト混合物の表面温度の関係を示すグラフである。 実施例1の試験の900秒加熱の温度上昇量の変遷を示すグラフである。 実施例1の試験の600秒加熱の温度上昇量の変遷を示すグラフである。 実施例1の試験から得られるアスファルト混合物の表面温度の変遷の概要を示すグラフである。 実施例1の試験から得られるアスファルト混合物の表面温度に差異が生じる仕組みを示す説明図である。 腐食率算定式で得られた腐食率の算定値と、実測腐食率とを比較したグラフである。
まず、図1に基づき、本発明の概要について説明する。
図1は、本発明にかかるアスファルト混合物で舗装した鉄筋コンクリート床板の鉄筋の腐食性状評価方法の流れを示すフロー図である。
本発明は、アスファルト舗装RC床板の内部の鉄筋の腐食率を、アスファルト舗装の材料であるアスファルト混合物の表面温度を計測し、その温度変化の変遷からコンクリート内の鉄筋の腐食率を算定し、手筋の腐食性状を評価するものである。
本発明では、コンクリート内の鉄筋の腐食率を、その直上のコンクリートおよびアスファルト混合物からなるかぶり領域の、アスファルト混合物の表面の温度変化を用いて算定する。
「鉄筋の腐食率」とは、「鉄筋の質量減少率」または「鉄筋径の減少率」ともいう。
一般に、鉄筋コンクリートにおいては、鉄筋表面からコンクリート表面までの距離を「かぶり厚」というが、本明細書では、鉄筋の直上のコンクリートと、アスファルト混合物からなる一連の領域も、併せて、「かぶり領域」と称する。
本発明では、まず、鉄筋が腐食していない健全状態、または、鉄筋の腐食性状を評価すべきアスファルト舗装RC床板のアスファルト混合物の表面上に温度履歴測定位置を設定し、その表面温度の測定を準備する。
この温度履歴測定位置は、アスファルト混合物の表面が水平上面だとすれば、鉄筋に沿った鉛直面上、または、その鉛直面の近傍に設定されることが望ましい。
次に、アスファルト舗装RC床板を上方から、例えば、電磁誘導コイルを用い、電磁誘導加熱を実行し、内部の鉄筋の加熱を開始する(加熱ステップS1)。
次に、予め定められた所定時間、温度履歴測定位置の温度の計測を開始する(温度計測ステップS2)。
この温度計測は、例えば、赤外線サーモグラフィカメラを介して得られた画像の解析によって実行する。
次に、測定対象のアスファルト舗装RC床板の鉄筋が、健全状態であると予め判明している場合には、アスファルト混合物の表面の温度の変遷から、特定の時点、例えば、最高温度到達時点における、加熱前の温度に対する表面温度の上昇量が同定される(ステップS3)。
なお、この特定の時点は、加熱開始時や、加熱終了時を基準とした特定の時間経過後や、単位時間を基準とするものであってもよい。
そして、同定された温度上昇量は、測定されたアスファルト舗装RC床板の構成情報と紐付けされてデータベース化される(ステップS4)。
一方、測定対象のアスファルト舗装RC床板が、鉄筋の腐食性状を評価すべき対象である場合には、測定対象のアスファルト舗装RC床板と同一条件の温度上昇量と、鉄筋の腐食性状を評価すべきアスファルト舗装RC床板と同一条件の温度上昇量との差が算出される(ステップS5)。
次に、得られた温度上昇量の差を用い、後述する式によって鉄筋の腐食率が算定されるコンクリート内の鉄筋の腐食率が算定される(腐食率算定ステップS6)。
本発明の概要は、上記の通りであって、本発明では、アスファルト舗装RC床板のコンクリート内部の鉄筋が、電磁誘導加熱によって加熱されると共に、その熱が鉄筋に蓄熱される。
鉄筋の熱が、コンクリートおよびアスファルト混合物に拡散されることにより、コンクリートの温度が、鉄筋の周囲から徐々に上昇し、続いて、アスファルト混合物の温度も上昇し、その熱拡散が進行することにより、アスファルト混合物の表面温度が上昇する。
このとき、鉄筋の表面に腐食が発生している場合、鉄筋の表面には腐食層が形成されている。
この腐食層は、断熱層として機能するため、鉄筋の腐食率(腐食層の厚さ)に応じ、最高温度の実測値が低下する。
このため、アスファルト混合物の表面の温度の健全値の最高温度における温度上昇量と、温度上昇量の補正値の最高温度の差の相関から、鉄筋の腐食率を算定することができる。
このため、本発明では、電磁誘導加熱により、アスファルト舗装RC床板(内の鉄筋)を、加熱し、その後のアスファルト混合物の表面の温度を計測すれば、その温度の変遷から、鉄筋の腐食率を算定することができるようになる。
なお、上記の説明では、アスファルト混合物の温度上昇量の比較によって腐食率を算定しているが、単に、健全状態のアスファルト混合物と、評価対象のアスファルト混合物の表面温度を比較し、その表面温度の違いから、コンクリート内の転勤の腐食率を算定するようにしてもよい。
このため、本発明では、鉄筋コンクリートをアスファルト混合物で被覆された複合材料、即ち、アスファルト舗装RC床板内の鉄筋の腐食率を単純な工程で簡単に算定することができ、この算定値に基づき、アスファルト舗装RC床板の内部の鉄筋の腐食性状を容易に評価できるようになる。
次に、本発明における鉄筋腐食と、温度上昇量との関係について説明する。
ここでは、アスファルト舗装RC床板として、以下のように構成される試験体を用い、発明を具体的に説明し、検証を行う。
図2は、本発明にかかるアスファルト混合物で舗装した鉄筋コンクリート床板の鉄筋の腐食性状評価方法で試験される試験体の構成を示す正面図、図3は図2のA−A断面図、図4は図2に示したアスファルト舗装RC床板の加熱および温度計測の構成の一実施例を示す説明図、図5は腐食生成物による影響のメカニズムを示す概略図である。
図中、1はアスファルト舗装RC床板、10はコンクリート、11はコンクリート10内の鉄筋、12はコンクリート10の上面を覆うように設けられるアスファルト混合物、1aは温度履歴測定位置、2は加熱装置、20は加熱装置2の高周波インバータ、21は高周波インバータ20に接続される電磁誘導用コイル、3はアスファルト混合物12の上面と電磁誘導用コイル21の間に挟まれる発泡スチレンボード、4はカメラ、4aはカメラ4の撮影軸である。
アスファルト舗装RC床板1は、コンクリート10の内部を鉄筋11が横断する鉄筋コンクリートの下層と、その上部に配置されるアスファルト混合物12の上層の二層構造の直方体状のブロックである。
鉄筋11は、その外周面に沿って、必要に応じ、所要の腐食率(厚さ)になるよう人工的に形成された図示しない腐食性生物が設けられる。
アスファルト混合物12は、例えば、道路の表面に打設されるアスファルト材料である。
温度履歴測定位置1aは、直方体状のブロックの上面であって、鉄筋11の上方、具体的には、図2、図3に示される鉄筋コンクリート1の上面の中央に設定される。
加熱装置2は、高周波インバータ20と、高周波インバータ20に接続され、高周波インバータ20から電力の供給を受ける電磁誘導用のコイルを備えた装置である。
電磁誘導用コイル21は、アスファルト舗装RC床板1の上面中央、即ち、温度履歴測定位置1aを覆うように、間に発泡スチレンボード3を挟んだ状態で、アスファルト舗装RC床板1上に載置される。
発泡スチレンボード3は、電磁誘導用コイル21の発熱によるアスファルト混合物12の表面に対する直接的な加熱を防止する断熱材として配置される。
また、この発泡スチレンボード3は、電磁誘導用コイル21の設置時や取り除くときに、電磁誘導用コイル21をアスファルト混合物12から保護する役割も兼ね備える。
なお、発泡スチレンボード3は、実施態様に応じ、省略することも可能であり、例えば、同様の機能を電磁誘導用コイルのケースなどに設けたり、電磁誘導用コイルからの熱が放出されないような構成としたりしてもよい。
この加熱装置2は、高周波インバータ20から電磁誘導用コイル21に対して、予め定められた時間、電力を供給することにより、鉄筋11を加熱する。
また、電磁誘導用コイル21は、鉄筋11の加熱の終了後、後述のカメラ4の撮影を介した温度測定のために、アスファルト舗装RC床板1の上から取り除かれる。
カメラ4は、例えば、赤外線サーモグラフィカメラであり、その撮影軸4aが温度履歴測定装置1aに重なるよう、アスファルト舗装RC床板1の上方に設けられる。
カメラ4は、その撮影画像を、図示しない解析装置によって解析し、温度履歴測定位置1aの加熱終了後からの表面温度の変遷を経過時間に対応した温度情報として取得する。
そして、得られた温度情報は、図示しない解析装置によって解析され、加熱終了直後の温度と加熱後の最高温度との差が求められる。
なお、ここでは、最高温度との差異は、加熱終了直後の温度としたが、これは、加熱前の温度であっても良い。
ここで、健全時、即ち、非腐食鉄筋と、腐食鉄筋の熱的物性値を以下に示す。
上記の物性値から、腐食生成物が断熱材的な効果を発揮することが判明する。
上記の腐食生成物の効果を考慮すると、腐食生成物の有無によるアスファルト混合物の表面温度の差異は、図5に示したように表れる。
この図5によると、鉄筋の周囲に形成される腐食生成物の層の厚さによって、鉄筋から放熱される熱量の大きさが変化し、この変化が、表面温度の差異として現れる。
本発明は、この表面温度の差異に基づき、鉄筋の腐食率を算定するものである。
次に、図6および図7に基づき、腐食率の推定方法の概要について説明する。
図6は、図4に示したシステムで得られたアスファルト混合物の表面温度の温度履歴の概要を示すグラフ、図7は、図4に示したシステムにおけるアスファルト舗装RC床板の端部からの距離とアスファルト混合物の表面温度の関係を示すグラフである。
図6のグラフによると、加熱の開始後から上昇し始めた表面温度は、時間の経過と共に上昇し、最高温度を記録したところで、下降に転じる。
ここで、健常状態、即ち、非腐食鉄筋のものと、腐食鉄筋のものとを比較すると、非腐食鉄筋におけるアスファルト混合物の表面温度は、腐食鉄筋におけるアスファルト混合物の表面温度に比べ、非腐食鉄筋の方が全体的に高い。
また、温度計測の開始時の温度と、計測された最高温度との差、即ち、表面温度の上昇量は、非腐食鉄筋のものに比べ、非腐食鉄筋の方が大きい。
これは、図5で示した腐食生成物の断熱材的効果を裏付けるものである。
具体的には、鉄筋が同じ温度まで加熱された場合、腐食鉄筋の側は、腐食生成物の層が、鉄筋の放熱を妨げるため、アスファルト混合物の表面温度は、腐食鉄筋の側が全体的に低めとなると共に、単位時間当たりに放熱される熱量が抑制されるため、表面温度の上昇量は、小さくなることを示す。
また、図7のグラフによると、最高温度到達時におけるアスファルトの表面温度は、アスファルト舗装RC床板の端部(ここでは、図2に示した鉄筋に直交する端面)からの距離にかかわらず、非腐食鉄筋の側が高温、腐食鉄筋の側が低温で一定していることがわかる。
この結果、鉄筋の腐食性状は、アスファルト混合物の表面温度の差として明確に表出し、この温度差に基づけば、鉄筋の腐食率を算定することが可能となることがわかる。
次に、図4に示したシステムで試験体を用いた計測結果について説明する。
まず、試験体の共通規格について説明する。
試験体となるアスファルト舗装RC床板1の寸法は横200mm、高さ240mm、奥行き600mmである、鉄筋11はD16異形鉄筋である。
この鉄筋11は、鉄筋径が16mmであり、鉄筋コンクリート1の奥行き方向に沿って配置される。
また、高さ240mmのうち、下層となるコンクリート10の層の高さは150mm、上層となるアスファルト混合物12の層の高さは70mmである。
また、鉄筋11とアスファルト混合物12の表面との距離、すなわち、かぶり厚さは100mmである。
また、加熱装置2の消費出力は、1.6kWである。
また、各試験は、以下の条件のうちの所要の組み合わせとする。
・腐食率:0%、1%、5%
・加熱時間:900秒、600秒
腐食生成物が、アスファルト混合物の表面温度に及ぼす影響について検証する。
図8は、実施例1の試験の900秒加熱の温度上昇量の変遷を示すグラフ、図9は、実施例1の試験の600秒加熱の温度上昇量の変遷を示すグラフ、図10は、実施例1の試験から得られるアスファルト混合物の表面温度の変遷の概要を示すグラフ、図11は、実施例1の試験から得られるアスファルト混合物の表面温度に差異が生じる仕組みを示す説明図、図12は、腐食率算定式で得られた腐食率の算定値と、実測腐食率とを比較したグラフである。
なお,図8、図9、図10の横軸は加熱終了からの経過時間であり,その0secは図6の温度が最高となった時間,もしくは温度が最高となった時間から少し経過した時間に対応する。
以下、試験によって異なる諸条件を示す。
〔900秒加熱の群〕
・試験体1:RCK100−φ16−N
鉄筋腐食率:0%
加熱時間:900秒
・試験体2:RCK100−φ16−C1.0
鉄筋腐食率:1%
加熱時間:900秒
・試験体3:RCK100−φ16−C5.0
鉄筋腐食率:5%
加熱時間:900秒
〔600秒加熱の群〕
・試験体4:RCK100−φ16−N
鉄筋腐食率:0%
加熱時間:400秒
・試験体5:RCK100−φ16−C1.0
鉄筋腐食率:1%
加熱時間:400秒
・試験体6:RCK100−φ16−C5.0
鉄筋腐食率:5%
加熱時間:400秒
上記の試験のうち、図8には、試験体1と試験体3の試験結果を示す。
上記の試験のうち、図9には、試験体4と試験体6の試験結果を示す。
この結果が示すように、上記の試験から、アスファルト混合物の表面の温度上昇量は、腐食率5%の鉄筋の試験体が、非腐食鉄筋の試験体よりも小さいことがわかった。
この試験結果から、アスファルト舗装RC床板の内部の鉄筋の腐食性状の評価は、アスファルト混合物の表面の温度の変遷から可能であることが裏付けられる。
なお、この実施例では、床板は上層にアスファルト混合物が採用されているが、アスファルト混合物以外の表層材料であっても、同様の結果が認められるため、様々な表層材料を備えた床板にも、本発明の鉄筋の腐食性状の評価方法を適用することは可能である。
また、上記の試験において得られたアスファルト混合物の表面温度の変遷の概要を整理すると、概ね、図10に示したグラフとなる。
このグラフによると、鉄筋が健全であれば表面温度が高く、腐食率が高くなるに従い、表面温度が低くなることがわかる。
このことから、腐食率の算定は、最高温度の差異を用いて実行することが可能であることがわかる。
上記のように、アスファルト混合物の表面温度に、高低の差異が生じる仕組みは、図11に示したとおりである。
図11において、アスファルト混合物の表面温度の差異は、抑制熱量の差異である。
また、図11において、各記号は、以下を示す。
st:非腐食鉄筋蓄積熱量
co:腐食鉄筋蓄積熱量
n:腐食率
(1−n)Wst:非腐食領域蓄積熱量
nW’co:腐食領域蓄積熱量
コンクリート熱容量は、鉄筋よりも大きいが、図11は、非腐食鉄筋の場合、熱拡散(放熱)しやすく、一方、非腐食鉄筋の場合、鉄筋の周面を覆う腐食生成物の層によって熱拡散が妨げられ、熱拡散しにくいことを示す。
〔腐食率算定式〕
熱量のつりあい式は、コンクリートとアスファルト混合物に蓄積される熱量と、コンクリート内に流入する熱量から、アスファルト混合物から大気中に逃げる熱量を引いた物を等価とすることを前提とする。
上記の実施例の結果、および、上記の考察から導き出される腐食率算定式は以下のとおりである。
n:腐食率(%)
α:健全時アスファルト混合物の表面の単位時間当たりの温度上昇量
α’:実測アスファルト混合物の表面の単位時間当たりの温度上昇量
Δθsurf:健全時と実測のアスファルト混合物の表面温度差
I:熱容量(コンクリート)
I’熱容量(アスファルト混合物)
J:熱伝達計数
L:コンクリートに蓄えられる単位時間および単位面積あたりの熱量
M:熱容量に関する項(コンクリート、腐食生成物およびアスファルト混合物)
上記の式によって得られた推定腐食率と、実施例1で得られた実測腐食率との関係を、図12に示した。
このグラフでは、上記の実施例1で得られた試験体2、3、5、6の試験結果をグラフ上に×印で示した。
両グラフの斜めの直線は、推定腐食率と実測腐食率とが一致する線を示す。
この結果、推定腐食率および実測腐食率は、上記の一致する線に近接した領域に存在することが確認できた。
この結果、本発明では、算定式によって得られた推定腐食率は、実測腐食率に近似することが判明した。
したがって、本発明によると、アスファルト舗装RC床板のような複合材料において、アスファルト混合物の表面温度の変遷データを取得することによって、内部の鉄筋の腐食率を取得し、腐食性状を評価することが可能になり、簡素な構成の、鉄筋の腐食率を評価するための装置で、単純な工程で鉄筋の腐食性状を評価できるようになり、評価完了までの作業員の負担を軽減し、処理完了までの時間を短縮することができるようになる。
1 アスファルト舗装RC床板
1a 温度履歴測定位置
10 コンクリート
11 鉄筋
12 アスファルト混合物
2 加熱装置
20 高周波インバータ
21 電磁誘導用コイル
3 発泡スチレンボード
4 カメラ
4a 撮影軸

Claims (3)

  1. 鉄筋コンクリートの表面に舗装されたアスファルト混合物の表面が、予め定められた所定時間、電磁誘導加熱によって加熱される加熱ステップと、
    アスファルト混合物の表面の温度が計測され、時間と共に変化する前記アスファルトの表面の温度情報が取得される温度計測ステップと、
    鉄筋が腐食していない状態におけるアスファルト混合物の表面温度と、鉄筋の腐食性状を評価すべきアスファルト混合物の表面温度の違いから、コンクリート内の鉄筋の腐食率を算定する腐食率算定ステップと
    からなるアスファルト混合物で舗装した鉄筋コンクリート床板の鉄筋の腐食性状評価方法。
  2. 腐食率算定ステップにおいて、表面温度の違いが、各アスファルト混合物の表面の最高温度における温度上昇量に基づいて評価され、鉄筋が腐食していない状態におけるアスファルト混合物の表面温度の温度上昇量に対する、鉄筋の腐食性状を評価すべきアスファルト混合物の表面温度の温度上昇量が少ないほど、コンクリート内の鉄筋の腐食率が高いと評価され、両者の温度上昇量の差を用いて、コンクリート内の鉄筋の腐食率が算定され、
    得られた算定値から鉄筋腐食性状評価を実施する
    ことを特徴とする請求項1に記載のアスファルト混合物で舗装した鉄筋コンクリート床板の鉄筋の腐食性状評価方法。
  3. 腐食率算定ステップで腐食率算定式が用いられ、この腐食率算定式が、
    健全時のアスファルト混合物の表面温度の単位時間当たりの健全温度上昇量(α)と、
    鉄筋の腐食性状を評価すべきアスファルト混合物の表面温度の実測時の単位時間当たりの実測温度上昇量(α’)と、
    健全時と実測時のアスファルト混合物の表面温度の温度差(Δθsurf)と、
    コンクリートの熱容量(I)と、
    アスファルトの熱容量(I’)と、
    熱伝達計数(J)と、
    コンクリートに蓄えられる単位時間における単位面積あたりの熱量(L)と、
    コンクリート、腐食性生物およびアスファルト混合物における熱容量に関する項(M)と
    を変数として腐食率(%)を求める式である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の鉄筋コンクリートの鉄筋腐食性状評価方法。
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