JP2016191296A - 人工浅場又は干潟 - Google Patents

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Abstract

【課題】中詰材として浚渫土を用いる人工浅場又は干潟であって、潜堤部分の地盤改良の規模を小さくすることにより、施工コストを大幅に低減する。
【解決手段】潜堤Aの岸側に補強土層Bが設けられ、潜堤Aが上下2段の潜堤部a1,a2で構成されるとともに、これら潜堤部a1,a2は、上段の潜堤部a1の底面の一部が下段の潜堤部a2の天端面に接するように設けられ、補強土層Bは、水中での単位体積質量が潜堤Aの構成材の水中での単位体積質量よりも小さく、且つ28日養生後の一軸圧縮強さが40kN/m以上となる補強土で構成されるとともに、上段の潜堤部a1の底面の残部及び側面と、下段の潜堤部a2の側面に接して設けられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、沿岸海域などの環境改善を目的に造成される人工浅場又は干潟に関するものである。
水質環境改善などを目的として、浅場や干潟の造成が行われている。従来、浅場や干潟の造成は、石材などで沖合に土留め用の潜堤を設置した後、その岸側(陸側)に中詰材として浚渫土を設置し、その表層に天然砂を覆砂するような工法が採られている(例えば、非特許文献1)。
特開2005−240544号公報 特開2011−208365号公報
「浚渫土の生物生息環境創造への有効利用」、用水と排水、Vol.39、No.7、1997
人工浅場や干潟を造成する原地盤が、岩盤や砂質土のように十分な支持力を有する場合は、土留め用の潜堤は問題なく設置できる。ところが、原地盤が粘性土などの軟弱地盤の場合、潜堤が設置される地盤部分には、地盤の支持力を増加させるための地盤改良が必要になる。地盤改良の方法には、サンドコンパクションパイル工法、置換工法、ドレーン工法、混合処理工法などがあるが、人工浅場や干潟の造成では、地盤内に砕石や砂などを用いた柱状体を設けることで地盤強度を増加させるサンドコンパクションパイル工法が用いられることが多い。しかし、このような地盤改良には多大な施工コストがかかり、従来の人工浅場や干潟の造成では、造成コスト全体の2〜4割程度を地盤改良が占めることが多い。
また、潜堤には石材などを用いるため、中詰材(浚渫土)の吸出し防止のために、潜堤と中詰材の接触面に防砂シートが設置されるが、防砂シートがなんらかの要因で破損した場合、潜堤から中詰材が吸出されて海側に流出し、周辺海域の環境に悪影響を及ぼす可能性がある。
また、人工浅場や干潟には、干潟生物の生息環境を確保するために干潟面積ができるだけ広いこと、覆砂層の波浪安定性が高いこと(波による浸食を受けにくいこと)、などが求められる。
土留め用の潜堤の天端高には、下記するような理由により一定の制限があり、このため従来の人工浅場や干潟では、中詰層と覆砂層の表層は比較的大きな勾配(通常、1:30〜1:50程度の勾配)を有している。覆砂層の波浪安定性は、覆砂層の勾配と覆砂材の粒径に依存しており、従来の人工浅場や干潟の覆砂層は、その勾配のために高い波浪安定性を確保することが難しい。また、覆砂材として比較的粗い粒度のものを用いれば、覆砂層の波浪安定性を高めることは可能であるが、覆砂層の粒径範囲が狭くなると生息できる干潟生物種が減少するため、干潟生物の生息環境の面で問題がある。
また、従来の人工浅場や干潟において、中詰材として設置された浚渫土は、その内部の水分が脱水されることで、長期的に圧密沈下(体積減少)が生じる。干潟面積は、満潮と干潮の間に干出する部分であることから、中詰材(浚渫土)の沈下により覆砂層の天端高が低下すると、干潟面積が減少することになる。
このような問題の解決策としては、沈下高さに相当する量の覆砂材を追加施工することが考えられるが、この方法には、覆砂層の生物生息環境をリセットしてしまうことや、天然砂が大量に必要となるため、天然砂採取のための環境破壊、維持メンテナンスコストの増大といった問題がある。また、他の方法として、事前に浚渫土の沈下量を試算しておき、沈下量に相当する高さ分だけ嵩上げした断面で造成することも考えられる。この方法は、土留め用潜堤の天端高を高くする必要がある。しかし、潜堤の天端高は、付近を航行する船舶の安全性から一定深さに設定されることが多く、また、潜堤の天端高を高くすると、潜堤断面も大きくなるため、原地盤が軟弱な場合には、潜堤部分の地盤改良幅が広くなり、施工コスト増につながるといった問題が生じてしまう。
一方、中詰材の圧密沈下や中詰材の流出などを防止するために、中詰材である浚渫土に鉄鋼スラグなどの固化材を混合する方法が知られている(例えば、特許文献1、2)。
しかし、この方法では、中詰材として膨大な量の浚渫土が使用されるため、大量の固化材が必要であり、材料コストや混合処理のためのコストが嵩み、全体の施工コストが高くなる問題がある。
また、浚渫土の有効利用の観点からは、中詰材としてなるべく多くの浚渫土を使用することが好ましいが、上述したように土留め用の潜堤の高さには制約があることや、中詰材の浚渫土を急勾配(例えば、1:10程度の急勾配)とすることができないため、中詰材として使用できる浚渫土の量が制限される。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、中詰材として浚渫土を用いる人工浅場又は干潟であって、潜堤を設置する地盤部分の地盤改良の規模を小さくすることにより、施工コストを大幅に低減することができ、また、潜堤からの中詰材(浚渫土)の吸出しを適切に防止することができる人工浅場又は干潟とその造成方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記の点に加えて、広い干潟面積が得られるともに、特に粗い粒度の覆砂材を用いなくても覆砂層の高い波浪安定性が得られ、さらに、長期的に中詰材(浚渫土)に圧密沈下が発生しても、干潟面積の減少を抑えることができ、また、中詰材として多量の浚渫土を用いることができる人工浅場又は干潟とその造成方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、人工浅場又は干潟を構成する潜堤及びその周辺の構造について検討を重ねた結果、潜堤を上下2段の潜堤部で構成するとともに、その背後(岸側)に特定の補強土からなる補強土層を特定の条件で設けることにより、潜堤を設置する地盤部分の地盤改良の規模(地盤改良幅)を従来に較べて格段に小さくすることができ、施工コストを大幅に低減できることを見出した。また、補強土層により中詰材の吸出しを適切に防止できることも判った。さらに、この人工浅場又は干潟では、補強土層の表層に岸側に向かって高くなる勾配を付けることにより、中詰層を嵩上げすることができるため、従来の人工浅場や干潟と較べて干潟面積を大幅に拡大することができるなど、種々の利点があることが判った。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]浅場又は干潟の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤(A)と、該潜堤(A)の岸側に設けられ、潜堤(A)を補強する所定幅の補強土層(B)と、該補強土層(B)の岸側に設けられる、浚渫土を中詰材とする中詰層(C)と、補強土層(B)と中詰層(C)の表層上に設けられる覆砂層(D)を備える人工浅場又は干潟であって、
潜堤(A)が上下2段の潜堤部(a1),(a2)で構成されるとともに、これら潜堤部(a1),(a2)は、上段の潜堤部(a1)の底面の一部が下段の潜堤部(a2)の天端面に接するように設けられ、
補強土層(B)は、水中での単位体積質量が潜堤(A)の構成材の水中での単位体積質量よりも小さく、且つ28日養生後の一軸圧縮強さが40kN/m以上となる補強土で構成されるとともに、上段の潜堤部(a1)の底面の残部及び側面(但し、側面が法面である場合を含む。)と、下段の潜堤部(a2)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接して設けられることを特徴とする人工浅場又は干潟。
[2]浅場又は干潟の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤(A)と、該潜堤(A)の岸側に設けられ、潜堤(A)を補強する所定幅の補強土層(B)と、該補強土層(B)の岸側に設けられる、浚渫土を中詰材とする中詰層(C)と、補強土層(B)の表層を覆うように設置される被覆石(F)と、中詰層(C)の表層上に設けられる覆砂層(D)を備える人工浅場又は干潟であって、
潜堤(A)が上下2段の潜堤部(a1),(a2)で構成されるとともに、これら潜堤部(a1),(a2)は、上段の潜堤部(a1)の底面の一部が下段の潜堤部(a2)の天端面に接するように設けられ、
補強土層(B)は、水中での単位体積質量が潜堤(A)の構成材の水中での単位体積質量よりも小さく、且つ28日養生後の一軸圧縮強さが40kN/m以上となる補強土で構成されるとともに、上段の潜堤部(a1)の底面の残部及び側面(但し、側面が法面である場合を含む。)と、下段の潜堤部(a2)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接して設けられることを特徴とする人工浅場又は干潟。
[3]浅場又は干潟の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤(A)と、該潜堤(A)の岸側に設けられ、潜堤(A)を補強する所定幅の補強土層(B)と、該補強土層(B)の岸側に設けられる、浚渫土を中詰材とする中詰層(C)と、補強土層(B)の表層のうちの海側の領域を覆うように設置される被覆石(F)と、中詰層(C)の表層上及び補強土層(B)の表層の残部領域上に設けられる覆砂層(D)を備える人工浅場又は干潟であって、
潜堤(A)が上下2段の潜堤部(a1),(a2)で構成されるとともに、これら潜堤部(a1),(a2)は、上段の潜堤部(a1)の底面の一部が下段の潜堤部(a2)の天端面に接するように設けられ、
補強土層(B)は、水中での単位体積質量が潜堤(A)の構成材の水中での単位体積質量よりも小さく、且つ28日養生後の一軸圧縮強さが40kN/m以上となる補強土で構成されるとともに、上段の潜堤部(a1)の底面の残部及び側面(但し、側面が法面である場合を含む。)と、下段の潜堤部(a2)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接して設けられることを特徴とする人工浅場又は干潟。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの人工浅場又は干潟において、補強土層(B)を構成する補強土は、浚渫土又は/及び土砂に水和反応を生じさせる改質材を混合したものであることを特徴とする人工浅場又は干潟。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの人工浅場又は干潟において、補強土層(B)を構成する補強土は、水中での単位体積質量が10kN/m未満であることを特徴とする人工浅場又は干潟。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかの人工浅場又は干潟において、補強土層(B)の表層の一部又は全部が岸側に向かって高くなる勾配を有することを特徴とする人工浅場又は干潟。
[7]上記[6]の人工浅場又は干潟において、補強土層(B)の天端部が潜堤(A)の天端部よりも高い位置にあることを特徴とする人工浅場又は干潟。
[8]上記[6]又は[7]の人工浅場又は干潟において、補強土層(B)の表層の前記勾配が1:3〜1:5であることを特徴とする人工浅場又は干潟。
[9]上記[1]〜[8]のいずれかの人工浅場又は干潟において、潜堤部(a1),(a2)は断面台形状であり、潜堤(A)は、両潜堤部(a1),(a2)の海側の側面が略面一の連続した法面を構成するように設けられていることを特徴とする人工浅場又は干潟。
[10]上記[1]の人工浅場又は干潟の造成方法であって、
上下2段の潜堤部(a1),(a2)で構成され、浅場又は干潟の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤(A)と、該潜堤(A)を補強する所定幅の補強土層(B)を、下記(i)〜(iv)の手順で設け、
(i)下段の潜堤部(a2)を設ける。
(ii)潜堤部(a2)の岸側に、該潜堤部(a2)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接するようにして下段の補強土層(b2)を設ける。
(iii)上段の潜堤部(a1)を、その底面の一部が下段の潜堤部(a2)の天端面に接し、底面の残部が下段の補強土層(b2)の上面に接するように設ける。
(iv)潜堤部(a1)の岸側であって、下段の補強土層(b2)の上に、潜堤部(a1)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接するようにして上段の補強土層(b1)を設け、該上段の補強土層(b1)と下段の補強土層(b2)で補強土層(B)を構成する。
次いで、補強土層(B)の岸側に浚渫土を中詰材とする中詰層(C)を設けるとともに、補強土層(B)と中詰層(C)の表層上に覆砂層(D)を設けることを特徴とする人工浅場又は干潟の造成方法。
[11]上記[2]の人工浅場又は干潟の造成方法であって、
上下2段の潜堤部(a1),(a2)で構成され、浅場又は干潟の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤(A)と、該潜堤(A)を補強する所定幅の補強土層(B)を、下記(i)〜(iv)の手順で設け、
(i)下段の潜堤部(a2)を設ける。
(ii)潜堤部(a2)の岸側に、該潜堤部(a2)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接するようにして下段の補強土層(b2)を設ける。
(iii)上段の潜堤部(a1)を、その底面の一部が下段の潜堤部(a2)の天端面に接し、底面の残部が下段の補強土層(b2)の上面に接するように設ける。
(iv)潜堤部(a1)の岸側であって、下段の補強土層(b2)の上に、潜堤部(a1)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接するようにして上段の補強土層(b1)を設け、該上段の補強土層(b1)と下段の補強土層(b2)で補強土層(B)を構成する。
次いで、補強土層(B)の岸側に浚渫土を中詰材とする中詰層(C)を設けるとともに、補強土層(B)の表層を覆うように被覆石(F)を設置し、中詰層(C)の表層上に覆砂層(D)を設けることを特徴とする人工浅場又は干潟の造成方法。
[12]上記[3]の人工浅場又は干潟の造成方法であって、
上下2段の潜堤部(a1),(a2)で構成され、浅場又は干潟の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤(A)と、該潜堤(A)を補強する所定幅の補強土層(B)を、下記(i)〜(iv)の手順で設け、
(i)下段の潜堤部(a2)を設ける。
(ii)潜堤部(a2)の岸側に、該潜堤部(a2)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接するようにして下段の補強土層(b2)を設ける。
(iii)上段の潜堤部(a1)を、その底面の一部が下段の潜堤部(a2)の天端面に接し、底面の残部が下段の補強土層(b2)の上面に接するように設ける。
(iv)潜堤部(a1)の岸側であって、下段の補強土層(b2)の上に、潜堤部(a1)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接するようにして上段の補強土層(b1)を設け、該上段の補強土層(b1)と下段の補強土層(b2)で補強土層(B)を構成する。
次いで、補強土層(B)の岸側に浚渫土を中詰材とする中詰層(C)を設けるとともに、補強土層(B)の表層のうちの海側の領域を覆うように被覆石(F)を設置し、中詰層(C)の表層上及び補強土層(B)の表層の残部領域上に覆砂層(D)を設けることを特徴とする人工浅場又は干潟の造成方法。
本発明の人工浅場又は干潟は、潜堤Aを上下2段の潜堤部a1,b2で構成するとともに、その背後(岸側)に特定の補強土からなる補強土層Bを特定の条件で設けることにより、原地盤に作用する荷重が小さくなるため、潜堤Aを設置する地盤部分の地盤改良の規模(地盤改良幅)を従来に較べて格段に小さくすることができ、このため施工コストを大幅に低減できる。また、補強土層Bを構成する補強土は、潜堤Aの構成材(石材など)に較べて間隙が小さく、しかも所定の強度を有するものであるため、補強土層Bによって潜堤Aからの中詰材の吸出しを適切に防止することができる。
また、本発明の人工浅場又は干潟では、土留め機能を果たす補強土層Bの表層に岸側に向かって高くなる勾配を付けることにより、潜堤Aの天端高を変えることなく(すなわち、潜堤Aの天端高が従来の人工浅場や干潟と同等であっても)、補強土層Bの岸側に設ける中詰層Cの天端高を高くすることができ、これにより覆砂層Dの勾配を緩くすることができる。このため、従来の人工浅場や干潟と較べて、(i)干潟面積を大幅に拡大することができる、(ii)特に粗い粒度の覆砂材を用いなくても覆砂層Dの高い波浪安定性が得られる、若しくは、使用可能な覆砂材の粒径範囲が広くなり、干潟生物の生息環境が改善される、という効果が得られる。さらに、中詰層Cの天端高を高くすることができるため、長期的に中詰材(浚渫土)に沈下が生じても干潟面積の減少を抑えることができる。また、浚渫土を中詰材とする中詰層Cの天端高を高くすることができるため、従来構造に較べて浅場や干潟の造成に用いる浚渫土量を増加させることができる利点がある。
さらに、岸側に向かって高くなる勾配を有する補強土層Bの表層は波浪により浸食されやすく、その上に覆砂した場合も覆砂層が浸食されやすいが、補強土層Bの表層を被覆石Fで覆うことにより、波浪による補強土層Bの浸食を抑えることができる。
本発明の人工浅場又は干潟の一実施形態であって、人工浅場又は干潟の縦断面を模式的に示す説明図 図1における潜堤A及び補強土層Bなどの部分拡大図 本発明の人工浅場又は干潟について、施工途中と完成時における仮想のすべり線と、補強土層Bがすべり破壊のせん断抵抗になることを示す説明図 本発明の人工浅場又は干潟の他の実施形態であって、人工浅場又は干潟の縦断面を模式的に示す説明図 図4における潜堤A及び補強土層Bなどの部分拡大図 本発明の人工浅場又は干潟の他の実施形態であって、人工浅場又は干潟の縦断面を模式的に示す説明図(潜堤A及び補強土層Bなどの部分拡大図) 図4及び図5の実施形態の人工浅場又は干潟の代表例(図7(ア))と従来の人工浅場又は干潟の代表例(図7(イ))について、その構造を比較して示した説明図 海浜勾配の汀線の浸食・堆積の条件を規定する(1)式の根拠となるグラフ 本発明の人工浅場又は干潟の他の実施形態であって、人工浅場又は干潟の縦断面を模式的に示す説明図(潜堤A及び補強土層Bなどの部分拡大図) 本発明の人工浅場又は干潟の他の実施形態であって、人工浅場又は干潟の縦断面を模式的に示す説明図(潜堤A及び補強土層Bなどの部分拡大図) 本発明の人工浅場又は干潟の造成方法の一実施形態を工程順に示す説明図 本発明の人工浅場又は干潟の造成方法の一実施形態を工程順に示す説明図 実施例1で造成した本発明の人工浅場又は干潟を示す説明図 実施例2で造成した本発明の人工浅場又は干潟を示す説明図 実施例3で造成した本発明の人工浅場又は干潟を示す説明図 従来の人工浅場又は干潟の縦断面を模式的に示す説明図
図15は、従来の人工浅場又は干潟の縦断面を模式的に示す説明図であり、サンドコンパクションパイルなどの地盤改良部Eの上に浅場又は干潟の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤Aと、この潜堤Aの岸側に設けられる中詰層Cと、この中詰層Cの表層上に設けられる覆砂層Dを備える。
これに対して、本発明の人工浅場又は干潟(以下、説明の便宜上、人工浅場又は干潟を「人工浅場」という)は、潜堤Aを上下2段の潜堤部a1,a2で構成するとともに、その背後(岸側)に特定の補強土からなる補強土層Bを特定の条件で設けることを特徴とする。
図1及び図2は、本発明の人工浅場の一実施形態を示すものであり、図1は人工浅場の縦断面を模式的に示す説明図、図2は図1における潜堤A及び補強土層Bなどの部分拡大図である。
この人工浅場は、浅場の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤Aと、この潜堤Aの岸側に設けられ、潜堤Aを補強する所定幅の補強土層Bと、この補強土層Bの岸側に設けられる、浚渫土を中詰材とする中詰層Cと、補強土層Bと中詰層Cの表層上に設けられる覆砂層Dを備えている。
潜堤Aは、上下2段の断面台形状の潜堤部a1,a2で構成される。この潜堤部a1,a2は、通常、本実施形態のような捨石式傾斜堤である。
潜堤Aを構成する上下2段の潜堤部a1,a2は、上段の潜堤部a1の底面13の一部130が下段の潜堤部a2の天端面22に接するとともに、海側の側面10(法面)と側面20(法面)が略面一の連続した法面を構成するように設けられている。
上下2段の潜堤部a1,a2は、上段の潜堤部a1の底面部分130と下段の潜堤部a2の天端面22とで繋がり一体化している。この部分の幅w(すなわち、上段の潜堤部a1の底面部分130の幅、或いは下段の潜堤部a2の天端面22の幅)は特に制限はないが、この幅wが小さすぎると石材の大きさ等との関係から施工自体が難しくなり、一方、幅wが大きすぎると、下段の潜堤部a2の底面幅も大きくなる結果、地盤改良幅(地盤改良部Eの幅)が増大し、本発明の効果が低減することになる。このため幅wは、上段の潜堤部a1の底面13の幅wの10〜50%程度が好ましい。なお、標準的な構造・規模の人工浅場では、この幅wは2m前後になることが多い。
本実施形態では、潜堤部a1と潜堤部a2は断面形状及び断面積が同じであるが、潜堤部a1と潜堤部a2は断面形状や断面積が異なっていてもよい。なお、地盤改良幅を小さくするなど、地盤改良の規模を小さくするという観点からは、潜堤部の断面積を潜堤部a2<潜堤部a1とした方が有利であるといえる。
本発明の人工浅場では、下段の潜堤部a2が海底部に設けられるため、この潜堤部a2を支持する海底部(原地盤)に地盤改良部Eが設けられる。この地盤改良部Eは、サンドコンパクションパイル工法、置換工法、ドレーン工法、混合処理工法など、任意の工法で設けることができるが、人工浅場では、地盤内に砕石や砂などを用いた柱状体を設けることで地盤強度を増加させるサンドコンパクションパイル工法が用いられることが多い。なお、このサンドコンパクションパイル工法では、地盤改良部Eの最上部の盛上り土の上に敷砂(図示せず)が敷設され、その上に潜堤部a2を築造する。
後述するように、本実施形態において海底部に設置される下段の潜堤部a2の幅は、図15に示す従来の潜堤Aに較べて格段に小さく、しかもすべり破壊のせん断抵抗となる補強土層Bが設けられているため、地盤改良部Eの幅は従来の地盤改良部Eに較べてかなり小さい。
潜堤部a1,a2のそれぞれの大きさは、設置する海域の水深や環境などによっても異なるので特に制限はないが、通常、高さ2〜4m程度、天端幅2m前後、法面勾配1:1.5前後であり、上段の潜堤部a1の天端高は最低水面下−2.0m前後である。
潜堤部a1,a2の構成材としては、一般に天然石材が用いられるが、例えば、コンクリートブロック、鉄鋼スラグを主原料とする炭酸固化体ブロック、鉄鋼製造スラグを主原料とする水和硬化体ブロック(例えば、鉄鋼スラグ水和固化体)、塊状の鉄鋼スラグなどを用いてもよく、天然石材を含めたこれらの材料の1種以上を用いることができる。
補強土層Bは、潜堤Aの背後(岸側)に潜堤Aと接するようにして所定幅で設けられ、具体的には、上段の潜堤部a1の底面13の残部131及び岸側の側面11(法面)と、下段の潜堤部a2の岸側の側面21(法面)に接して設けられる。
この補強土層Bは、水中での単位体積質量が潜堤Aの構成材(例えば天然石材)の水中での単位体積質量よりも小さく、且つ28日養生後の一軸圧縮強さが40kN/m以上となる補強土で構成される。
補強土層Bに、水中での単位体積質量が潜堤Aの構成材の水中での単位体積質量よりも小さい補強土を用いるのは、従来の潜堤A0の面積に相当する部分の質量を軽減することで、地盤に作用する荷重を少なくするためである。具体的には、補強土の水中での単位体積質量は10kN/m未満とすることが好ましい。このような単位体積質量であれば、潜堤Aの構成材(天然石材など)の水中での単位体積質量よりも小さくなり、地盤に作用する荷重を軽減できる。
また、28日養生後の一軸圧縮強さが40kN/m以上となる補強土を用いるのは、補強土層Bが土留め機能を果たすことができるようにするとともに、上段の潜堤部a1を設置するのに十分な支持力を得るためである。さらに、補強土の粘着力(一軸圧縮強さの1/2相当)によるせん断抵抗の増加が期待でき、補強土層Bが円弧すべり(すべり破壊)のせん断抵抗になる。このため円弧すべりに対して余裕分が生じ、この面からも地盤改良幅を小さくすることができる。図3に、施工途中と完成時における仮想の円弧すべり線を示すが、補強土層Bがそのような円弧すべりのせん断抵抗になることが判る。
また、潜堤Aと浚渫土を中詰材とする中詰層Cの間に、上記のような所定の強度を有する補強土からなる補強土層Bを設けることで、中詰材(浚渫土)が潜堤を透過して周辺海域に流出すること、すなわち潜堤からの中詰材の吸出しを適切に防止することができる。
補強土に必要とされる強度(28日養生後の一軸圧縮強さが40kN/m以上)は、以下のようにして求められたものである。潜堤部a1の一般的な条件として想定される潜堤部の高さ:3.0m、潜堤材の水中での単位体積質量:10kN/mを試算条件として、下記(i)式の支持力公式(国土交通省港湾局監修、「港湾の施設の技術上の基準・同解説」下巻、社団法人日本港湾協会、平成19年7月、p.570)と、下記(ii)式の強度算定式(管中混合固化処理工法技術マニュアル、財団法人沿岸技術研究センター、平成20年7月、p.16)を用いて補強土の必要強度を算出した。下記(i)式の設計支持力を潜堤材の荷重30kN/m(=高さ3.0m×水中での単位体積質量10kN/m)として、せん断強さcを求めると、c=7.4kN/mとなる。一軸圧縮強さ=せん断強さc×2であるため、一軸圧縮強さは14.8kN/mとなる。この一軸圧縮強さは設計強度であるため、下記(ii)式より現場平均強度を求めると19.4kN/mとなる。この現場平均強度に下記(iii)式の現場/室内強度比0.5を考慮して、補強土の必要強度を求めると38.7kN/mとなる。したがって、補強土の一軸圧縮強さが40kN/m以上であれば、十分な支持力で潜堤部a1を支持できることになる。
=γ×Nc0d×(1+n×B/L)×c …(i)
但し q:設計支持力(kN/m
γ:粘性土地盤の支持力に関する部分係数:0.66
c0d:帯状支持力に対する支持力係数:5.14
n:基礎の形状係数 均一地盤:0.2
B:基礎の最小幅、L:基礎の長さ、B/L=1.0
:粘性土の非排水せん断強さ(kN/m
uck=(1−αv)quf …(ii)
但し quck:設計強度(kN/m
uf:現場平均強度(kN/m
α:quf、v、quckを関連付ける係数
不良率25.0%の場合α=0.67
v:変動係数:35%
ul=quf/β …(iii)
但し qul:室内配合強度(kN/m
β:0.5(現場/室内強度比)
補強土層Bを構成する補強土には、上記のような水中での単位体積質量と一軸圧縮強さを満足するものであれば、どのような材料でも利用可能であるが、水和反応により強度を発現する補強土として、浚渫土又は/及び土砂に水和反応を生じさせる改質材(水硬性を有する固化材)を混合した混合土が挙げられ、本発明ではこの混合土を補強土として好適に使用できる。
浚渫土は、事前に乾燥処理(例えば、天日乾燥など)や脱水処理(薬剤を添加して凝集させた後に脱水・減容化する方法)を施したものであってもよい。土砂は建設残土などでもよい。改質材としては、水和反応を生じさせるものであれば特に種類を問わないが、例えば、セメント、石灰、製鋼スラグなどの鉄鋼スラグ、コンクリート廃材などが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
これら改質材の種類と混合量を選択することで、補強土の一軸圧縮強さを調整することができる。
改質材として用いる鉄鋼スラグとしては、高炉で発生する高炉徐冷スラグ(但し、この高炉徐冷スラグは水中で硫化物が溶出しないようにするため、十分にエージング処理したものが好ましい)、溶銑予備処理、転炉脱炭精錬、鋳造、電気炉精錬などの工程で発生する製鋼スラグ(脱燐スラグ・脱硫スラグ・脱珪スラグなどの溶銑予備処理スラグ、脱炭スラグ、鋳造スラグ、電気炉スラグなど)、鉱石還元スラグなどが挙げられ、これらの2種以上を用いてもよい。また、これらのスラグ中でも特に製鋼スラグが好ましく、そのなかでも特に脱炭スラグ(転炉スラグ)、脱燐スラグが好適である。また、十分な効果を得るためには、スラグは粉粒状のものを用いることが好ましい。
本実施形態の補強土層Bは、海側の部分(潜堤Aに接する部分)が覆砂層Dに接する表層s(天端部30)、岸側の部分が中詰層Cで覆われる傾斜部31(法面の部分)となっている。
補強土層Bの幅wB0は特に制限はないが、この幅wB0が小さすぎると潜堤Aを補強する効果が低下する恐れがあり、また、傾斜部31の勾配が急になるので水中施工が難しくなる。一方、幅wB0が大きすぎると施工コストが増加するとともに、補強土層Bの容積が増加することに伴い中詰層Cの容積が相対的に減少するため、中詰材として使用する浚渫土の量が少なくなってしまう。このため補強土層Bの幅wB0は、潜堤部a1,a2の底面の幅w(但し、潜堤部a1,a2で底面幅が異なる場合には、底面幅が小さい方の潜堤部a1又はa2の底面幅)の2〜7倍程度が好ましい。
また、補強土層Bの表層s(天端部30)の幅wB1も特に制限はないが、この幅wB1が小さすぎると、中詰材(浚渫土)の吸出し防止効果が低下する恐れがあり、また、潜堤の補強効果も小さくなる。一方、幅wB1が大きすぎると補強土層Bの幅wB0も大きくなり、上記のような問題が生じてくる。このため補強土層Bの表層s(天端部30)の幅wB1は、潜堤部a1,a2の底面の幅w(但し、潜堤部a1,a2で底面幅が異なる場合には、底面幅が小さい方の潜堤部a1又はa2の底面幅)の0.1〜1倍程度が好ましい。なお、標準的な構造・規模の人工浅場では、補強土層Bの表層s(天端部30)の幅wB1は2〜5m程度になることが多い。
中詰層Cは補強土層Bの岸側に設けられるが、補強土層Bの傾斜部31に対しては、これを覆うようにその上に設けられる。中詰層Cは浚渫土からなる中詰材で構成される。本発明では、施工コスト低減のために、浚渫土に固化材を混合したような中詰材は用いない。このような中詰材を用いないで人工浅場を造成することが、本発明の主旨の一つである。
覆砂層Dには、通常、天然砂が用いられるが、粒状の鉄鋼スラグなどのような他の材料を用いてもよい。
なお、覆砂層Dには岸側に向かって高くなる勾配が付けられており、この勾配を形成するために、補強土層B、中詰層C、覆砂層Dの1つ以上の敷設厚さが調整される。
図1に表した仮想線xは、図15に示す従来の潜堤Aの岸側の輪郭線の一部を示しており、この仮想線xよりも海側の補強土層Bの部分と潜堤部a1,a2を合わせた部分が、図15に示す従来の潜堤Aに相当する。また、図1に表した仮想線yは、図15に示す従来の地盤改良部Eの岸側の輪郭線の一部を示しており、この仮想線y内の地盤部分と地盤改良部Eを合わせた部分が、図15に示す従来の地盤改良部Eに相当する。
したがって、本発明の人工浅場では、図15に示す従来のものに較べて潜堤の構成材(石材など)の使用量が格段に少なくて済み、また、地盤改良部の幅も格段に小さくて済むことが判る。
図4及び図5は、本発明の人工浅場の他の実施形態を示すものであり、図4は人工浅場の縦断面を模式的に示す説明図、図5は図4における潜堤A及び補強土層Bなどの部分拡大図である。
この実施形態は、補強土層Bの岸側に設ける中詰層Cの天端高を高く(嵩上げ)するため、補強土層Bの表層sの一部又は全部に岸側に向かって高くなる勾配を付け、補強土層Bの天端を高くしたものである。
図15に示すような従来の人工浅場又は干潟では、一般に土留め用の潜堤Aは、周辺を航行する船舶の安全性から天端高−2.0mまでの高さに設定されることが多い。このため中詰層Cと覆砂層Dの表層は比較的大きな勾配(通常、1:30〜1:50程度の勾配)を有しており、さきに述べたように、この勾配のために覆砂層Dの波浪安定性を確保するのが難しい。また、上記のように潜堤Aの天端高に制限があるため、中詰層Cと覆砂層Dの天端高は、その潜堤Aの天端高の制約を受け、中詰材(浚渫土)の沈下により中詰層Cと覆砂層Dの天端高さが低下すると、干潟面積が減少してしまうことになる。
これに対して、本実施形態のように、土留め機能を果たす補強土層Bの表層sに岸側に向かって高くなる勾配を付けることにより、潜堤Aの天端高が従来構造と同じであっても、補強土層Bの岸側に設ける中詰層Cの天端高を高くする(嵩上げする)ことができ、これにより覆砂層Dの勾配を緩くすることができる。このため、従来の人工浅場と較べて、(i)干潟面積を大幅に拡大することができる、(ii)特に粗い粒度の覆砂材を用いなくても覆砂層Dの高い波浪安定性が得られる、若しくは、使用可能な覆砂材の粒径範囲が広くなり、干潟生物の生息環境が改善される、という効果が得られる。さらに、中詰層Cの天端高を高くすることができるため、長期的に中詰材(浚渫土)に沈下が生じても、干潟面積の減少を抑えることができるとともに、従来構造に較べて人工浅場の造成に用いる浚渫土量を増加させることができる。
補強土層Bは、図1及び図2の実施形態と同様に、潜堤Aの背後(岸側)に潜堤Aと接するようにして所定幅で設けられるが、補強土層Bの表層sは、その全体が岸側に向かって高くなる勾配を有している。
本実施形態の補強土層Bは断面山状に構成され、海側(潜堤A側)の傾斜部32の上面が表層sを構成し、岸側(反潜堤A側)の傾斜部31(法面の部分)が中詰層Cの下側に位置する。断面山状の頂部が補強土層Bの天端30である。
補強土層Bの表層sに上記のような勾配を設けることにより、補強土層Bの土留めとしての高さが確保でき、中詰層Cを嵩上げすることができる。補強土層Bの天端30の高さは任意であるが、中詰材(浚渫土)の圧密沈下量に相当する高さを嵩上げできるように設定するのが好ましく、このため、本実施形態のように、少なくとも潜堤Aの天端(潜堤部a1の天端面12)よりも高い位置にあることが好ましい。
補強土層Bの表層sは、潜堤Aの天端(潜堤部a1の天端面12)かそれよりも低い位置で潜堤部a1の側面11(法面)に接するが、本実施形態では、潜堤Aの天端(潜堤部a1の天端面12)よりも低い位置で潜堤部a1の側面11(法面)に接している。表層sの勾配(角度)の大きさは任意であるが、あまり急勾配とすると斜面が安定しないため、勾配は1:3〜1:5程度が望ましい。
補強土層Bの表層sの幅wB1は、さきに述べた通りであるが、本実施形態の場合には、この幅wB1が小さすぎると、表層sの勾配が急になりすぎ、施工に支障をきたす恐れがある。なお、本実施形態のように補強土層Bの表層sの一部又は全部に岸側に向かって高くなる勾配を付けた場合、中詰層Cの高さにもよるが、一般的には圧密沈下量1〜2m程度であり、標準的な構造・規模の人工浅場では、補強土層Bの表層sの勾配を1:3とすると、補強土層Bの表層sの幅wB1は3〜6m程度になることが多い。
また、本実施形態のように補強土層Bの表層sの一部又は全部に岸側に向かって高くなる勾配を付けた場合、補強土層Bを構成する補強土は、特に、浚渫土又は/及び土砂に改質材として製鋼スラグを混合したものであることが好ましい。この補強土は、浚渫土又は/及び土砂と製鋼スラグの水和反応、さらに、製鋼スラグによる吸水効果により、浚渫土単体と比べて流動性が大幅に低下するため、混合土の水中投入時において、表層sの勾配を形成しやすい。
補強土層Bは、その表層sの一部にのみ岸側に向かって高くなる勾配を付けてもよい。図6は、そのような人工浅場の一実施形態を示すもので、人工浅場の縦断面を模式的に示す説明図(潜堤A及び補強土層Bなどの部分拡大図)である。
本実施形態の補強土層Bは断面山状に構成され、海側(潜堤A側)の傾斜部32と平坦状の天端部30(頂部)が表層sを構成し、したがって、表層sのうち海側の領域(傾斜部32)が岸側に向かって高くなる勾配を有している。この勾配(角度)の大きさは、図4及び図5の表層sの勾配と同様、1:3〜1:5程度が望ましい。なお、天端部30を緩傾斜状にしてもよいが、その場合には覆砂層Dと同程度の勾配が適当である。
本実施形態(図4及び図5、図6の実施形態)の人工浅場は、従来の人工浅場と較べて、潜堤Aが同じ天端高であっても中詰層Cの天端高を高くすることができ、これにより覆砂層Dの勾配が緩くなる。このため、従来の人工浅場と較べて、
(i)干潟面積を大幅に拡大することができる。
(ii)特に粗い粒度の覆砂材を用いなくても覆砂層Dの高い波浪安定性が得られる。若しくは、使用可能な覆砂材の粒径範囲が広くなり、干潟生物の生息環境が改善される。
という有利な効果が得られる。
本実施形態の人工浅場において、覆砂層Dの勾配に特別な制限はないが、上記の理由から1:50未満の緩い勾配、例えば1:70〜1:130程度の緩い勾配とすることが可能である。
図7は、本実施形態の人工浅場の代表例(図7(ア))と従来の人工浅場の代表例(図7(イ))について、その構造を比較して示したもの(模式的な縦断面図)である。図7(ア)に示す本実施形態の人工浅場(以下、説明の便宜上「本発明構造」という)は、潜堤Aの天端高が図7(イ)に示す従来の人工浅場(以下、説明の便宜上「従来構造」という)と同じであるが、従来構造に較べて中詰層Cの天端高は相当程度高く、その分、覆砂層Dの勾配が緩くなっている。以下、この図7に基づいて上記(i)、(ii)の効果を具体的に説明する。
(i)干潟面積の拡大
干潟面積とは、潮汐による海水面の上下変動により、陸地と海面下になることを繰り返す地形の面積のことであり、当然、人工浅場は干潟面積ができるだけ広くなるように造成されることが好ましい。図7に示されるように、本発明構造は、従来構造と較べて覆砂層Dの勾配が緩くなり、この例では、従来構造における覆砂層Dの勾配が1:40であるのに対して、本発明構造における覆砂層Dの勾配は1:110になっている。このため、造成された人工浅場(但し、常時陸地となる造成部分は除く)の沖合方向への造成幅140mに対する干潟面積の幅(沖合方向への幅)は、従来構造では40mであるのに対して、本発明構造では110mであり、従来構造の3倍近い干潟面積となっている。
一般に、本発明構造では、造成された人工浅場(但し、常時陸地となる造成部分は除く)の面積の50〜80%程度を干潟面積とすることができ、このため従来構造の2〜3倍程度の干潟面積を確保することができる。
(ii)覆砂層の波浪安定性の向上など
本発明構造では、覆砂層Dの勾配が緩くなることで、従来構造と較べて覆砂層Dの波浪安定性が向上し、より高い波浪に対しても覆砂層Dの浸食が抑えられる。一方、波浪安定性を従来の人工浅場と同程度にした場合には、より粒径の小さい覆砂材を使用でき、使用可能な覆砂材の粒径範囲が広くなるため、干潟生物の生息環境が改善され、多様な生物種が生息可能となる。
海浜勾配の汀線の浸食・堆積の条件は、下記(1)式のC値で推定することができ、C値>18では浸食傾向、C値<9では堆積傾向を示す。下記(1)式は、図8(海の自然再生ワーキンググループ、海の自然再生ハンドブック−その計画・技術・実践−、第2巻 干潟編、株式会社ぎょうせい、平成15年11月10日、77頁「図-4.19」)を根拠とする。
Figure 2016191296
本発明構造と従来構造について、覆砂層の浸食を生じない限界波高(波の高さH)、覆砂層の勾配、必要とされる覆砂材の粒径の関係を表1に示す。これによれば、必要とされる覆砂材の粒径が同じである場合、本発明構造の限界波高は従来構造よりも大きくなり、波浪安定性が向上する。一方、限界波高が同じである場合には、本発明構造では従来構造に較べてより粒径が小さい覆砂材が使用でき、従来構造よりも覆砂材の粒径範囲が広がることから、干潟生物の生息環境が改善され、多様な生物種が生息可能となる。
Figure 2016191296
岸側に向かって高くなる勾配を有する補強土層Bの表層sに覆砂した場合、覆砂層や補強土層Bが波浪による浸食を受けやすいが、補強土層Bの表層を被覆石Fで覆うことにより、そのような波浪による浸食を抑えることができる。
図9は、そのような人工浅場の一実施形態を示すもので、人工浅場の縦断面を模式的に示す説明図(潜堤A及び補強土層Bなどの部分拡大図)である。
本実施形態では、中詰層Cの表層上に覆砂層Dを設ける一方で、補強土層Bの表層s全体を覆うように被覆石Fが設置されている。
被覆石Fとしては、潜堤Aの構成材と同様のものを用いることができる。すなわち、一般に天然石材が用いられるが、例えば、コンクリートブロック、鉄鋼スラグを主原料とする炭酸固化体ブロック、鉄鋼製造スラグを主原料とする水和硬化体ブロック(例えば、鉄鋼スラグ水和固化体)、塊状の鉄鋼スラグなどを用いてもよく、天然石材を含めたこれらの材料の1種以上を用いることができる。被覆石Fのサイズ(粒径)は、2〜100mm程度が好ましい。
その他の構成や機能、作用効果は図4及び図5の実施形態と同様であるので、構成について同一の符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。
被覆石Fは補強土層Bの表層sのうちの海側の領域のみを覆うように設置してもよい。この場合には、補強土層Bの表層sの残部領域上には覆砂層Dが設けられる。図10は、そのような構造の人工浅場の一実施形態を示すもので、人工浅場の縦断面を模式的に示す説明図(潜堤A及び補強土層Bなどの部分拡大図)である。
この実施形態では、補強土層Bの表層sのうち勾配を有する海側の領域(傾斜部32)にのみ被覆石Fを設置し、補強土層Bの表層sの残部領域である天端部30上には覆砂層Dが設けられている。
その他の構成や機能、作用効果は図4及び図5の実施形態と同様であるので、構成について同一の符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。
図11は、図1及び図2に示す本発明の人工浅場の造成方法の一実施形態を工程(施工)順に示すものである。この造成方法では、まず、潜堤Aと補強土層Bを、下記(i)〜(iv)の手順で設ける。
(i)図11(ア)に示すように、地盤改良部Eの上に下段の潜堤部a2を設ける。
(ii)図11(イ)に示すように、潜堤部a2の岸側に、この潜堤部a2の側面21(法面)に接するようにして下段の補強土層b2を設ける。
(iii)図11(ウ)に示すように、上段の潜堤部a1を、その底面13の一部130が下段の潜堤部a2の天端面22に接し、底面13の残部131が下段の補強土層b2の上面に接するように、また、海側の側面10(法面)と下段の潜堤部a2の側面20(法面)が略面一の連続した法面を構成するように設ける。
(iv)図11(エ)に示すように、潜堤部a1の岸側であって、補強土層b2の上に、潜堤部a1の側面11(法面)に接するようにして上段の補強土層b1を設け、この上段の補強土層b1と下段の補強土層b2で補強土層Bを構成する。
次いで、図11(オ)に示すように、補強土層Bの岸側に中詰層Cを設け、さらに、図11(カ)に示すように、補強土層B(天端部30)と中詰層Cの表層上に覆砂層Dを設ける。
また、図9に示す人工浅場を造成する場合には、補強土層Bの表層sを覆うように被覆石Fを設置するとともに、中詰層Cの表層上に覆砂層Dを設ける。また、図10に示す人工浅場を造成する場合には、補強土層Bの表層sのうちの海側の領域(傾斜部32)を覆うように被覆石Fを設置するとともに、中詰層Cの表層上と補強土層Bの表層sの残部領域(天端部30)上に覆砂層Dを設ける。
[実施例1]
原地盤が軟弱であり、地盤改良が必要な水深10mの海域に、図12に示す構造の人工浅場(又は干潟)を、図11に示す施工手順で造成した。
地盤改良部Eは、サンドコンパクションパイル工法(SCP工法)で施工し、改良率25%、改良杭の長さ12mとした。また、SCP工法による盛上り土の高さ1.0m、敷砂の高さ1.0mである。また、図11に示す各施工段階においてすべり破壊を起こさないように、地盤改良幅を設定した。
潜堤Aは、単位体積質量が10kN/mの天然石材を用いた捨石式傾斜堤とし、天端幅2.0m、法面勾配1:1.5、高さ3.0mの潜堤部a1,a2を上下2段に設置することで構成した。上段の潜堤部a1は、天端高−2.0mとした。
補強土層Bは、補強土として浚渫土80体積%と製鋼スラグ20体積%の混合土を用いた。室内配合試験の結果、この混合土は、水中での単位体積質量が6.2kN/m、28日養生後の一軸圧縮強さが160kN/mであった。これより、上段の潜堤部a1(高さ3.0m→水中質量で30kN/m相当)を支持できる十分な強度を有することになる。補強土層Bの天端部30は幅5m、傾斜部31は法面勾配1:3.0とした。
中詰層Cは中詰材として浚渫土(水中での単位体積質量4.5kN/m、粘着力1.5kN/m)を用いた。また、覆砂層Dは覆砂材として天然砂を用い、厚さ50cm、勾配1:30とした。
以上のように、本発明による人工浅場(又は干潟)では、潜堤を上下2段構造とするとともに、従来の構造では潜堤の石材が用いられていた部分に、石材の水中単位質量よりも軽量で、かつ強度を有する補強土を設けた構造としたことにより、原地盤上の重量が軽くなり、かつ補強土のせん断抵抗によって従来よりもすべり破壊が生じにくくなるため、必要となる地盤改良幅を大幅に縮小することができた。さらに、補強土層Bにより潜堤Aからの中詰材(浚渫土)の吸出しも適切に防止することができる。
[実施例2]
原地盤が軟弱であり、地盤改良が必要な水深8mの海域に、図13に示す構造の人工浅場(又は干潟)を、図11に示す施工手順で造成した。この人工浅場については、中詰材(浚渫土)の圧密沈下量を2.0mと予測した。
地盤改良部Eは、サンドコンパクションパイル工法(SCP工法)で施工し、改良率25%、改良杭の長さ10mとした。また、SCP工法による盛上り土(図示せず)の高さ1.0m、敷砂(図示せず)の高さ1.0mとした。地盤改良幅は実施例1に準じて設定した。
潜堤A、中詰層C及び覆砂層Dは、実施例1と同様に構成した。
補強土層Bは、潜堤部a1の法面部−3.0mの位置より、岸側(陸上側)に向かって高くなるように、勾配1:3、幅7.0mの傾斜部32(その上面が表層s)を設け、斜面の最上部(補強土層Bの天端部30)の標高−0.7mより、岸側(陸上側)に向かって低くなるように、勾配1:3の傾斜部31を海底面まで設けた。
補強土層Bを構成する補強土は、実施例1と同様のものを用いた。
このような構成とすることで、実施例1と同様の効果が得られるとともに、覆砂層Dの勾配を1:110とし、造成された人工浅場(但し、常時陸地となる造成部分は除く)の面積の約80%を干潟面積とすることができた。また、従来構造(浚渫土の勾配1/30の場合、標高−2.8m)と比較して、中詰層Cを高さ約2.0m分だけ嵩上げすることができるため、長期的に高さ2.0m分の圧密沈下が発生しても、干潟面積の減少を抑えることができる。また、中詰層Cの天端高を高くすることができるので、従来構造と比較して、浅場造成に用いる浚渫土を増量できる。
[実施例3]
原地盤が軟弱であり、地盤改良が必要な水深8mの海域に図14に示す構造の人工浅場(又は干潟)を、図11に示す施工手順に準じて造成した。但し、補強土層Bの表層sには被覆石Fを設置し、中詰層Cの表層上にのみ覆砂層Dを設けた。
地盤改良部F、潜堤A、補強土層B、中詰層C及び覆砂層Dは、実施例2と同様に構成した。
このような構成とすることで、実施例1と同様の効果が得られるとともに、実施例2と同じ覆砂層Dの勾配、干潟面積が得られ、また、圧密沈下による干潟面積の減少の抑制、浅場造成に用いる浚渫土の増量についても、実施例2と同様の結果が得られた。さらに、この実施例では、補強土層Bの表層sが被覆石Fで覆われているため、特に波浪による浸食が効果的に抑えられる。
A 潜堤
B 補強土層
C 中詰層
D 覆砂層
E 地盤改良部
F 被覆石
a1,a2 潜堤部
b1,b2 補強土層
s 表層
10,11 側面
12 天端面
13 底面
20,21 側面
22 天端面
30 天端部
31,32 傾斜部
130,131 底面部分

Claims (12)

  1. 浅場又は干潟の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤(A)と、該潜堤(A)の岸側に設けられ、潜堤(A)を補強する所定幅の補強土層(B)と、該補強土層(B)の岸側に設けられる、浚渫土を中詰材とする中詰層(C)と、補強土層(B)と中詰層(C)の表層上に設けられる覆砂層(D)を備える人工浅場又は干潟であって、
    潜堤(A)が上下2段の潜堤部(a1),(a2)で構成されるとともに、これら潜堤部(a1),(a2)は、上段の潜堤部(a1)の底面の一部が下段の潜堤部(a2)の天端面に接するように設けられ、
    補強土層(B)は、水中での単位体積質量が潜堤(A)の構成材の水中での単位体積質量よりも小さく、且つ28日養生後の一軸圧縮強さが40kN/m以上となる補強土で構成されるとともに、上段の潜堤部(a1)の底面の残部及び側面(但し、側面が法面である場合を含む。)と、下段の潜堤部(a2)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接して設けられることを特徴とする人工浅場又は干潟。
  2. 浅場又は干潟の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤(A)と、該潜堤(A)の岸側に設けられ、潜堤(A)を補強する所定幅の補強土層(B)と、該補強土層(B)の岸側に設けられる、浚渫土を中詰材とする中詰層(C)と、補強土層(B)の表層を覆うように設置される被覆石(F)と、中詰層(C)の表層上に設けられる覆砂層(D)を備える人工浅場又は干潟であって、
    潜堤(A)が上下2段の潜堤部(a1),(a2)で構成されるとともに、これら潜堤部(a1),(a2)は、上段の潜堤部(a1)の底面の一部が下段の潜堤部(a2)の天端面に接するように設けられ、
    補強土層(B)は、水中での単位体積質量が潜堤(A)の構成材の水中での単位体積質量よりも小さく、且つ28日養生後の一軸圧縮強さが40kN/m以上となる補強土で構成されるとともに、上段の潜堤部(a1)の底面の残部及び側面(但し、側面が法面である場合を含む。)と、下段の潜堤部(a2)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接して設けられることを特徴とする人工浅場又は干潟。
  3. 浅場又は干潟の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤(A)と、該潜堤(A)の岸側に設けられ、潜堤(A)を補強する所定幅の補強土層(B)と、該補強土層(B)の岸側に設けられる、浚渫土を中詰材とする中詰層(C)と、補強土層(B)の表層のうちの海側の領域を覆うように設置される被覆石(F)と、中詰層(C)の表層上及び補強土層(B)の表層の残部領域上に設けられる覆砂層(D)を備える人工浅場又は干潟であって、
    潜堤(A)が上下2段の潜堤部(a1),(a2)で構成されるとともに、これら潜堤部(a1),(a2)は、上段の潜堤部(a1)の底面の一部が下段の潜堤部(a2)の天端面に接するように設けられ、
    補強土層(B)は、水中での単位体積質量が潜堤(A)の構成材の水中での単位体積質量よりも小さく、且つ28日養生後の一軸圧縮強さが40kN/m以上となる補強土で構成されるとともに、上段の潜堤部(a1)の底面の残部及び側面(但し、側面が法面である場合を含む。)と、下段の潜堤部(a2)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接して設けられることを特徴とする人工浅場又は干潟。
  4. 補強土層(B)を構成する補強土は、浚渫土又は/及び土砂に水和反応を生じさせる改質材を混合したものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の人工浅場又は干潟。
  5. 補強土層(B)を構成する補強土は、水中での単位体積質量が10kN/m未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の人工浅場又は干潟。
  6. 補強土層(B)の表層の一部又は全部が岸側に向かって高くなる勾配を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の人工浅場又は干潟。
  7. 補強土層(B)の天端部が潜堤(A)の天端部よりも高い位置にあることを特徴とする請求項6に記載の人工浅場又は干潟。
  8. 補強土層(B)の表層の前記勾配が1:3〜1:5であることを特徴とする請求項6又は7に記載の人工浅場又は干潟。
  9. 潜堤部(a1),(a2)は断面台形状であり、潜堤(A)は、両潜堤部(a1),(a2)の海側の側面が略面一の連続した法面を構成するように設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の人工浅場又は干潟。
  10. 請求項1に記載の人工浅場又は干潟の造成方法であって、
    上下2段の潜堤部(a1),(a2)で構成され、浅場又は干潟の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤(A)と、該潜堤(A)を補強する所定幅の補強土層(B)を、下記(i)〜(iv)の手順で設け、
    (i)下段の潜堤部(a2)を設ける。
    (ii)潜堤部(a2)の岸側に、該潜堤部(a2)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接するようにして下段の補強土層(b2)を設ける。
    (iii)上段の潜堤部(a1)を、その底面の一部が下段の潜堤部(a2)の天端面に接し、底面の残部が下段の補強土層(b2)の上面に接するように設ける。
    (iv)潜堤部(a1)の岸側であって、下段の補強土層(b2)の上に、潜堤部(a1)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接するようにして上段の補強土層(b1)を設け、該上段の補強土層(b1)と下段の補強土層(b2)で補強土層(B)を構成する。
    次いで、補強土層(B)の岸側に浚渫土を中詰材とする中詰層(C)を設けるとともに、補強土層(B)と中詰層(C)の表層上に覆砂層(D)を設けることを特徴とする人工浅場又は干潟の造成方法。
  11. 請求項2に記載の人工浅場又は干潟の造成方法であって、
    上下2段の潜堤部(a1),(a2)で構成され、浅場又は干潟の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤(A)と、該潜堤(A)を補強する所定幅の補強土層(B)を、下記(i)〜(iv)の手順で設け、
    (i)下段の潜堤部(a2)を設ける。
    (ii)潜堤部(a2)の岸側に、該潜堤部(a2)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接するようにして下段の補強土層(b2)を設ける。
    (iii)上段の潜堤部(a1)を、その底面の一部が下段の潜堤部(a2)の天端面に接し、底面の残部が下段の補強土層(b2)の上面に接するように設ける。
    (iv)潜堤部(a1)の岸側であって、下段の補強土層(b2)の上に、潜堤部(a1)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接するようにして上段の補強土層(b1)を設け、該上段の補強土層(b1)と下段の補強土層(b2)で補強土層(B)を構成する。
    次いで、補強土層(B)の岸側に浚渫土を中詰材とする中詰層(C)を設けるとともに、補強土層(B)の表層を覆うように被覆石(F)を設置し、中詰層(C)の表層上に覆砂層(D)を設けることを特徴とする人工浅場又は干潟の造成方法。
  12. 請求項3に記載の人工浅場又は干潟の造成方法であって、
    上下2段の潜堤部(a1),(a2)で構成され、浅場又は干潟の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤(A)と、該潜堤(A)を補強する所定幅の補強土層(B)を、下記(i)〜(iv)の手順で設け、
    (i)下段の潜堤部(a2)を設ける。
    (ii)潜堤部(a2)の岸側に、該潜堤部(a2)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接するようにして下段の補強土層(b2)を設ける。
    (iii)上段の潜堤部(a1)を、その底面の一部が下段の潜堤部(a2)の天端面に接し、底面の残部が下段の補強土層(b2)の上面に接するように設ける。
    (iv)潜堤部(a1)の岸側であって、下段の補強土層(b2)の上に、潜堤部(a1)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接するようにして上段の補強土層(b1)を設け、該上段の補強土層(b1)と下段の補強土層(b2)で補強土層(B)を構成する。
    次いで、補強土層(B)の岸側に浚渫土を中詰材とする中詰層(C)を設けるとともに、補強土層(B)の表層のうちの海側の領域を覆うように被覆石(F)を設置し、中詰層(C)の表層上及び補強土層(B)の表層の残部領域上に覆砂層(D)を設けることを特徴とする人工浅場又は干潟の造成方法。
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