JP6245285B2 - 人工浅場又は干潟 - Google Patents
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Description
また、人工浅場や干潟には、干潟生物の生息環境を確保するために干潟面積ができるだけ広いこと、覆砂層の波浪安定性が高いこと(波による浸食を受けにくいこと)、などが求められる。
また、従来の人工浅場や干潟において、中詰材として設置された浚渫土は、その内部の水分が脱水されることで、長期的に圧密沈下(体積減少)が生じる。干潟面積は、満潮と干潮の間に干出する部分であることから、中詰材(浚渫土)の沈下により覆砂層の天端高が低下すると、干潟面積が減少することになる。
しかし、この方法では、中詰材として膨大な量の浚渫土が使用されるため、大量の固化材が必要であり、材料コストや混合処理のためのコストが嵩み、全体の施工コストが高くなる問題がある。
また、浚渫土の有効利用の観点からは、中詰材としてなるべく多くの浚渫土を使用することが好ましいが、上述したように土留め用の潜堤の高さには制約があることや、中詰材の浚渫土を急勾配(例えば、1:10程度の急勾配)とすることができないため、中詰材として使用できる浚渫土の量が制限される。
また、本発明の他の目的は、上記の点に加えて、広い干潟面積が得られるともに、特に粗い粒度の覆砂材を用いなくても覆砂層の高い波浪安定性が得られ、さらに、長期的に中詰材(浚渫土)に圧密沈下が発生しても、干潟面積の減少を抑えることができ、また、中詰材として多量の浚渫土を用いることができる人工浅場又は干潟とその造成方法を提供することにある。
[1]浅場又は干潟の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤(A)と、該潜堤(A)の岸側に設けられ、潜堤(A)を補強する所定幅の補強土層(B)と、該補強土層(B)の岸側に設けられる、浚渫土を中詰材とする中詰層(C)と、補強土層(B)と中詰層(C)の表層上に設けられる覆砂層(D)を備える人工浅場又は干潟であって、
潜堤(A)が上下2段の潜堤部(a1),(a2)で構成されるとともに、これら潜堤部(a1),(a2)は、上段の潜堤部(a1)の底面の一部が下段の潜堤部(a2)の天端面に接するように設けられ、
補強土層(B)は、水中での単位体積質量が潜堤(A)の構成材の水中での単位体積質量よりも小さく、且つ28日養生後の一軸圧縮強さが40kN/m2以上となる補強土で構成されるとともに、上段の潜堤部(a1)の底面の残部及び側面(但し、側面が法面である場合を含む。)と、下段の潜堤部(a2)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接して設けられることを特徴とする人工浅場又は干潟。
潜堤(A)が上下2段の潜堤部(a1),(a2)で構成されるとともに、これら潜堤部(a1),(a2)は、上段の潜堤部(a1)の底面の一部が下段の潜堤部(a2)の天端面に接するように設けられ、
補強土層(B)は、水中での単位体積質量が潜堤(A)の構成材の水中での単位体積質量よりも小さく、且つ28日養生後の一軸圧縮強さが40kN/m2以上となる補強土で構成されるとともに、上段の潜堤部(a1)の底面の残部及び側面(但し、側面が法面である場合を含む。)と、下段の潜堤部(a2)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接して設けられることを特徴とする人工浅場又は干潟。
潜堤(A)が上下2段の潜堤部(a1),(a2)で構成されるとともに、これら潜堤部(a1),(a2)は、上段の潜堤部(a1)の底面の一部が下段の潜堤部(a2)の天端面に接するように設けられ、
補強土層(B)は、水中での単位体積質量が潜堤(A)の構成材の水中での単位体積質量よりも小さく、且つ28日養生後の一軸圧縮強さが40kN/m2以上となる補強土で構成されるとともに、上段の潜堤部(a1)の底面の残部及び側面(但し、側面が法面である場合を含む。)と、下段の潜堤部(a2)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接して設けられることを特徴とする人工浅場又は干潟。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの人工浅場又は干潟において、補強土層(B)を構成する補強土は、水中での単位体積質量が10kN/m3未満であることを特徴とする人工浅場又は干潟。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかの人工浅場又は干潟において、補強土層(B)の表層の一部又は全部が岸側に向かって高くなる勾配を有することを特徴とする人工浅場又は干潟。
[8]上記[6]又は[7]の人工浅場又は干潟において、補強土層(B)の表層の前記勾配が1:3〜1:5であることを特徴とする人工浅場又は干潟。
[9]上記[1]〜[8]のいずれかの人工浅場又は干潟において、潜堤部(a1),(a2)は断面台形状であり、潜堤(A)は、両潜堤部(a1),(a2)の海側の側面が略面一の連続した法面を構成するように設けられていることを特徴とする人工浅場又は干潟。
上下2段の潜堤部(a1),(a2)で構成され、浅場又は干潟の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤(A)と、該潜堤(A)を補強する所定幅の補強土層(B)を、下記(i)〜(iv)の手順で設け、
(i)下段の潜堤部(a2)を設ける。
(ii)潜堤部(a2)の岸側に、該潜堤部(a2)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接するようにして下段の補強土層(b2)を設ける。
(iii)上段の潜堤部(a1)を、その底面の一部が下段の潜堤部(a2)の天端面に接し、底面の残部が下段の補強土層(b2)の上面に接するように設ける。
(iv)潜堤部(a1)の岸側であって、下段の補強土層(b2)の上に、潜堤部(a1)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接するようにして上段の補強土層(b1)を設け、該上段の補強土層(b1)と下段の補強土層(b2)で補強土層(B)を構成する。
次いで、補強土層(B)の岸側に浚渫土を中詰材とする中詰層(C)を設けるとともに、補強土層(B)と中詰層(C)の表層上に覆砂層(D)を設けることを特徴とする人工浅場又は干潟の造成方法。
上下2段の潜堤部(a1),(a2)で構成され、浅場又は干潟の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤(A)と、該潜堤(A)を補強する所定幅の補強土層(B)を、下記(i)〜(iv)の手順で設け、
(i)下段の潜堤部(a2)を設ける。
(ii)潜堤部(a2)の岸側に、該潜堤部(a2)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接するようにして下段の補強土層(b2)を設ける。
(iii)上段の潜堤部(a1)を、その底面の一部が下段の潜堤部(a2)の天端面に接し、底面の残部が下段の補強土層(b2)の上面に接するように設ける。
(iv)潜堤部(a1)の岸側であって、下段の補強土層(b2)の上に、潜堤部(a1)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接するようにして上段の補強土層(b1)を設け、該上段の補強土層(b1)と下段の補強土層(b2)で補強土層(B)を構成する。
次いで、補強土層(B)の岸側に浚渫土を中詰材とする中詰層(C)を設けるとともに、補強土層(B)の表層を覆うように被覆石(F)を設置し、中詰層(C)の表層上に覆砂層(D)を設けることを特徴とする人工浅場又は干潟の造成方法。
上下2段の潜堤部(a1),(a2)で構成され、浅場又は干潟の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤(A)と、該潜堤(A)を補強する所定幅の補強土層(B)を、下記(i)〜(iv)の手順で設け、
(i)下段の潜堤部(a2)を設ける。
(ii)潜堤部(a2)の岸側に、該潜堤部(a2)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接するようにして下段の補強土層(b2)を設ける。
(iii)上段の潜堤部(a1)を、その底面の一部が下段の潜堤部(a2)の天端面に接し、底面の残部が下段の補強土層(b2)の上面に接するように設ける。
(iv)潜堤部(a1)の岸側であって、下段の補強土層(b2)の上に、潜堤部(a1)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接するようにして上段の補強土層(b1)を設け、該上段の補強土層(b1)と下段の補強土層(b2)で補強土層(B)を構成する。
次いで、補強土層(B)の岸側に浚渫土を中詰材とする中詰層(C)を設けるとともに、補強土層(B)の表層のうちの海側の領域を覆うように被覆石(F)を設置し、中詰層(C)の表層上及び補強土層(B)の表層の残部領域上に覆砂層(D)を設けることを特徴とする人工浅場又は干潟の造成方法。
さらに、岸側に向かって高くなる勾配を有する補強土層Bの表層は波浪により浸食されやすく、その上に覆砂した場合も覆砂層が浸食されやすいが、補強土層Bの表層を被覆石Fで覆うことにより、波浪による補強土層Bの浸食を抑えることができる。
これに対して、本発明の人工浅場又は干潟(以下、説明の便宜上、人工浅場又は干潟を「人工浅場」という)は、潜堤Aを上下2段の潜堤部a1,a2で構成するとともに、その背後(岸側)に特定の補強土からなる補強土層Bを特定の条件で設けることを特徴とする。
この人工浅場は、浅場の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤Aと、この潜堤Aの岸側に設けられ、潜堤Aを補強する所定幅の補強土層Bと、この補強土層Bの岸側に設けられる、浚渫土を中詰材とする中詰層Cと、補強土層Bと中詰層Cの表層上に設けられる覆砂層Dを備えている。
潜堤Aを構成する上下2段の潜堤部a1,a2は、上段の潜堤部a1の底面13の一部130が下段の潜堤部a2の天端面22に接するとともに、海側の側面10(法面)と側面20(法面)が略面一の連続した法面を構成するように設けられている。
本実施形態では、潜堤部a1と潜堤部a2は断面形状及び断面積が同じであるが、潜堤部a1と潜堤部a2は断面形状や断面積が異なっていてもよい。なお、地盤改良幅を小さくするなど、地盤改良の規模を小さくするという観点からは、潜堤部の断面積を潜堤部a2<潜堤部a1とした方が有利であるといえる。
潜堤部a1,a2のそれぞれの大きさは、設置する海域の水深や環境などによっても異なるので特に制限はないが、通常、高さ2〜4m程度、天端幅2m前後、法面勾配1:1.5前後であり、上段の潜堤部a1の天端高は最低水面下−2.0m前後である。
潜堤部a1,a2の構成材としては、一般に天然石材が用いられるが、例えば、コンクリートブロック、鉄鋼スラグを主原料とする炭酸固化体ブロック、鉄鋼製造スラグを主原料とする水和硬化体ブロック(例えば、鉄鋼スラグ水和固化体)、塊状の鉄鋼スラグなどを用いてもよく、天然石材を含めたこれらの材料の1種以上を用いることができる。
この補強土層Bは、水中での単位体積質量が潜堤Aの構成材(例えば天然石材)の水中での単位体積質量よりも小さく、且つ28日養生後の一軸圧縮強さが40kN/m2以上となる補強土で構成される。
また、潜堤Aと浚渫土を中詰材とする中詰層Cの間に、上記のような所定の強度を有する補強土からなる補強土層Bを設けることで、中詰材(浚渫土)が潜堤を透過して周辺海域に流出すること、すなわち潜堤からの中詰材の吸出しを適切に防止することができる。
但し qd:設計支持力(kN/m2)
γR:粘性土地盤の支持力に関する部分係数:0.66
Nc0d:帯状支持力に対する支持力係数:5.14
n:基礎の形状係数 均一地盤:0.2
B:基礎の最小幅、L:基礎の長さ、B/L=1.0
c0:粘性土の非排水せん断強さ(kN/m2)
quck=(1−αv)quf …(ii)
但し quck:設計強度(kN/m2)
quf:現場平均強度(kN/m2)
α:quf、v、quckを関連付ける係数
不良率25.0%の場合α=0.67
v:変動係数:35%
qul=quf/β …(iii)
但し qul:室内配合強度(kN/m2)
β:0.5(現場/室内強度比)
浚渫土は、事前に乾燥処理(例えば、天日乾燥など)や脱水処理(薬剤を添加して凝集させた後に脱水・減容化する方法)を施したものであってもよい。土砂は建設残土などでもよい。改質材としては、水和反応を生じさせるものであれば特に種類を問わないが、例えば、セメント、石灰、製鋼スラグなどの鉄鋼スラグ、コンクリート廃材などが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
これら改質材の種類と混合量を選択することで、補強土の一軸圧縮強さを調整することができる。
補強土層Bの幅wB0は特に制限はないが、この幅wB0が小さすぎると潜堤Aを補強する効果が低下する恐れがあり、また、傾斜部31の勾配が急になるので水中施工が難しくなる。一方、幅wB0が大きすぎると施工コストが増加するとともに、補強土層Bの容積が増加することに伴い中詰層Cの容積が相対的に減少するため、中詰材として使用する浚渫土の量が少なくなってしまう。このため補強土層Bの幅wB0は、潜堤部a1,a2の底面の幅wA(但し、潜堤部a1,a2で底面幅が異なる場合には、底面幅が小さい方の潜堤部a1又はa2の底面幅)の2〜7倍程度が好ましい。
覆砂層Dには、通常、天然砂が用いられるが、粒状の鉄鋼スラグなどのような他の材料を用いてもよい。
なお、覆砂層Dには岸側に向かって高くなる勾配が付けられており、この勾配を形成するために、補強土層B、中詰層C、覆砂層Dの1つ以上の敷設厚さが調整される。
したがって、本発明の人工浅場では、図15に示す従来のものに較べて潜堤の構成材(石材など)の使用量が格段に少なくて済み、また、地盤改良部の幅も格段に小さくて済むことが判る。
この実施形態は、補強土層Bの岸側に設ける中詰層Cの天端高を高く(嵩上げ)するため、補強土層Bの表層sの一部又は全部に岸側に向かって高くなる勾配を付け、補強土層Bの天端を高くしたものである。
本実施形態の補強土層Bは断面山状に構成され、海側(潜堤A側)の傾斜部32の上面が表層sを構成し、岸側(反潜堤A側)の傾斜部31(法面の部分)が中詰層Cの下側に位置する。断面山状の頂部が補強土層Bの天端30である。
補強土層Bの表層sは、潜堤Aの天端(潜堤部a1の天端面12)かそれよりも低い位置で潜堤部a1の側面11(法面)に接するが、本実施形態では、潜堤Aの天端(潜堤部a1の天端面12)よりも低い位置で潜堤部a1の側面11(法面)に接している。表層sの勾配(角度)の大きさは任意であるが、あまり急勾配とすると斜面が安定しないため、勾配は1:3〜1:5程度が望ましい。
本実施形態の補強土層Bは断面山状に構成され、海側(潜堤A側)の傾斜部32と平坦状の天端部30(頂部)が表層sを構成し、したがって、表層sのうち海側の領域(傾斜部32)が岸側に向かって高くなる勾配を有している。この勾配(角度)の大きさは、図4及び図5の表層sの勾配と同様、1:3〜1:5程度が望ましい。なお、天端部30を緩傾斜状にしてもよいが、その場合には覆砂層Dと同程度の勾配が適当である。
(i)干潟面積を大幅に拡大することができる。
(ii)特に粗い粒度の覆砂材を用いなくても覆砂層Dの高い波浪安定性が得られる。若しくは、使用可能な覆砂材の粒径範囲が広くなり、干潟生物の生息環境が改善される。
という有利な効果が得られる。
本実施形態の人工浅場において、覆砂層Dの勾配に特別な制限はないが、上記の理由から1:50未満の緩い勾配、例えば1:70〜1:130程度の緩い勾配とすることが可能である。
干潟面積とは、潮汐による海水面の上下変動により、陸地と海面下になることを繰り返す地形の面積のことであり、当然、人工浅場は干潟面積ができるだけ広くなるように造成されることが好ましい。図7に示されるように、本発明構造は、従来構造と較べて覆砂層Dの勾配が緩くなり、この例では、従来構造における覆砂層D0の勾配が1:40であるのに対して、本発明構造における覆砂層Dの勾配は1:110になっている。このため、造成された人工浅場(但し、常時陸地となる造成部分は除く)の沖合方向への造成幅140mに対する干潟面積の幅(沖合方向への幅)は、従来構造では40mであるのに対して、本発明構造では110mであり、従来構造の3倍近い干潟面積となっている。
一般に、本発明構造では、造成された人工浅場(但し、常時陸地となる造成部分は除く)の面積の50〜80%程度を干潟面積とすることができ、このため従来構造の2〜3倍程度の干潟面積を確保することができる。
本発明構造では、覆砂層Dの勾配が緩くなることで、従来構造と較べて覆砂層Dの波浪安定性が向上し、より高い波浪に対しても覆砂層Dの浸食が抑えられる。一方、波浪安定性を従来の人工浅場と同程度にした場合には、より粒径の小さい覆砂材を使用でき、使用可能な覆砂材の粒径範囲が広くなるため、干潟生物の生息環境が改善され、多様な生物種が生息可能となる。
海浜勾配の汀線の浸食・堆積の条件は、下記(1)式のC値で推定することができ、C値>18では浸食傾向、C値<9では堆積傾向を示す。下記(1)式は、図8(海の自然再生ワーキンググループ、海の自然再生ハンドブック−その計画・技術・実践−、第2巻 干潟編、株式会社ぎょうせい、平成15年11月10日、77頁「図-4.19」)を根拠とする。
図9は、そのような人工浅場の一実施形態を示すもので、人工浅場の縦断面を模式的に示す説明図(潜堤A及び補強土層Bなどの部分拡大図)である。
本実施形態では、中詰層Cの表層上に覆砂層Dを設ける一方で、補強土層Bの表層s全体を覆うように被覆石Fが設置されている。
その他の構成や機能、作用効果は図4及び図5の実施形態と同様であるので、構成について同一の符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。
この実施形態では、補強土層Bの表層sのうち勾配を有する海側の領域(傾斜部32)にのみ被覆石Fを設置し、補強土層Bの表層sの残部領域である天端部30上には覆砂層Dが設けられている。
その他の構成や機能、作用効果は図4及び図5の実施形態と同様であるので、構成について同一の符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。
(i)図11(ア)に示すように、地盤改良部Eの上に下段の潜堤部a2を設ける。
(ii)図11(イ)に示すように、潜堤部a2の岸側に、この潜堤部a2の側面21(法面)に接するようにして下段の補強土層b2を設ける。
(iii)図11(ウ)に示すように、上段の潜堤部a1を、その底面13の一部130が下段の潜堤部a2の天端面22に接し、底面13の残部131が下段の補強土層b2の上面に接するように、また、海側の側面10(法面)と下段の潜堤部a2の側面20(法面)が略面一の連続した法面を構成するように設ける。
(iv)図11(エ)に示すように、潜堤部a1の岸側であって、補強土層b2の上に、潜堤部a1の側面11(法面)に接するようにして上段の補強土層b1を設け、この上段の補強土層b1と下段の補強土層b2で補強土層Bを構成する。
また、図9に示す人工浅場を造成する場合には、補強土層Bの表層sを覆うように被覆石Fを設置するとともに、中詰層Cの表層上に覆砂層Dを設ける。また、図10に示す人工浅場を造成する場合には、補強土層Bの表層sのうちの海側の領域(傾斜部32)を覆うように被覆石Fを設置するとともに、中詰層Cの表層上と補強土層Bの表層sの残部領域(天端部30)上に覆砂層Dを設ける。
原地盤が軟弱であり、地盤改良が必要な水深10mの海域に、図12に示す構造の人工浅場(又は干潟)を、図11に示す施工手順で造成した。
地盤改良部Eは、サンドコンパクションパイル工法(SCP工法)で施工し、改良率25%、改良杭の長さ12mとした。また、SCP工法による盛上り土の高さ1.0m、敷砂の高さ1.0mである。また、図11に示す各施工段階においてすべり破壊を起こさないように、地盤改良幅を設定した。
潜堤Aは、単位体積質量が10kN/m3の天然石材を用いた捨石式傾斜堤とし、天端幅2.0m、法面勾配1:1.5、高さ3.0mの潜堤部a1,a2を上下2段に設置することで構成した。上段の潜堤部a1は、天端高−2.0mとした。
中詰層Cは中詰材として浚渫土(水中での単位体積質量4.5kN/m3、粘着力1.5kN/m2)を用いた。また、覆砂層Dは覆砂材として天然砂を用い、厚さ50cm、勾配1:30とした。
原地盤が軟弱であり、地盤改良が必要な水深8mの海域に、図13に示す構造の人工浅場(又は干潟)を、図11に示す施工手順で造成した。この人工浅場については、中詰材(浚渫土)の圧密沈下量を2.0mと予測した。
地盤改良部Eは、サンドコンパクションパイル工法(SCP工法)で施工し、改良率25%、改良杭の長さ10mとした。また、SCP工法による盛上り土(図示せず)の高さ1.0m、敷砂(図示せず)の高さ1.0mとした。地盤改良幅は実施例1に準じて設定した。
補強土層Bは、潜堤部a1の法面部−3.0mの位置より、岸側(陸上側)に向かって高くなるように、勾配1:3、幅7.0mの傾斜部32(その上面が表層s)を設け、斜面の最上部(補強土層Bの天端部30)の標高−0.7mより、岸側(陸上側)に向かって低くなるように、勾配1:3の傾斜部31を海底面まで設けた。
補強土層Bを構成する補強土は、実施例1と同様のものを用いた。
原地盤が軟弱であり、地盤改良が必要な水深8mの海域に図14に示す構造の人工浅場(又は干潟)を、図11に示す施工手順に準じて造成した。但し、補強土層Bの表層sには被覆石Fを設置し、中詰層Cの表層上にのみ覆砂層Dを設けた。
地盤改良部F、潜堤A、補強土層B、中詰層C及び覆砂層Dは、実施例2と同様に構成した。
このような構成とすることで、実施例1と同様の効果が得られるとともに、実施例2と同じ覆砂層Dの勾配、干潟面積が得られ、また、圧密沈下による干潟面積の減少の抑制、浅場造成に用いる浚渫土の増量についても、実施例2と同様の結果が得られた。さらに、この実施例では、補強土層Bの表層sが被覆石Fで覆われているため、特に波浪による浸食が効果的に抑えられる。
B 補強土層
C 中詰層
D 覆砂層
E 地盤改良部
F 被覆石
a1,a2 潜堤部
b1,b2 補強土層
s 表層
10,11 側面
12 天端面
13 底面
20,21 側面
22 天端面
30 天端部
31,32 傾斜部
130,131 底面部分
Claims (11)
- 浅場又は干潟の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤(A)と、該潜堤(A)の岸側に設けられ、潜堤(A)を補強する所定幅の補強土層(B)と、該補強土層(B)の岸側に設けられる、浚渫土を中詰材とする中詰層(C)と、補強土層(B)と中詰層(C)の表層上に設けられる覆砂層(D)を備える人工浅場又は干潟であって、
潜堤(A)が上下2段の潜堤部(a1),(a2)で構成されるとともに、これら潜堤部(a1),(a2)は、上段の潜堤部(a1)の底面の一部が下段の潜堤部(a2)の天端面に接するように設けられ、
潜堤部(a1),(a2)は断面台形状であり、潜堤(A)は、両潜堤部(a1),(a2)の海側の側面が略面一の連続した法面を構成するように設けられ、
補強土層(B)は、水中での単位体積質量が潜堤(A)の構成材の水中での単位体積質量よりも小さく、且つ28日養生後の一軸圧縮強さが40kN/m2以上となる補強土で構成されるとともに、上段の潜堤部(a1)の底面の残部及び側面(但し、側面が法面である場合を含む。)と、下段の潜堤部(a2)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接して設けられることを特徴とする人工浅場又は干潟。 - 浅場又は干潟の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤(A)と、該潜堤(A)の岸側に設けられ、潜堤(A)を補強する所定幅の補強土層(B)と、該補強土層(B)の岸側に設けられる、浚渫土を中詰材とする中詰層(C)と、補強土層(B)の表層を覆うように設置される被覆石(F)と、中詰層(C)の表層上に設けられる覆砂層(D)を備える人工浅場又は干潟であって、
潜堤(A)が上下2段の潜堤部(a1),(a2)で構成されるとともに、これら潜堤部(a1),(a2)は、上段の潜堤部(a1)の底面の一部が下段の潜堤部(a2)の天端面に接するように設けられ、
潜堤部(a1),(a2)は断面台形状であり、潜堤(A)は、両潜堤部(a1),(a2)の海側の側面が略面一の連続した法面を構成するように設けられ、
補強土層(B)は、水中での単位体積質量が潜堤(A)の構成材の水中での単位体積質量よりも小さく、且つ28日養生後の一軸圧縮強さが40kN/m2以上となる補強土で構成されるとともに、上段の潜堤部(a1)の底面の残部及び側面(但し、側面が法面である場合を含む。)と、下段の潜堤部(a2)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接して設けられることを特徴とする人工浅場又は干潟。 - 浅場又は干潟の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤(A)と、該潜堤(A)の岸側に設けられ、潜堤(A)を補強する所定幅の補強土層(B)と、該補強土層(B)の岸側に設けられる、浚渫土を中詰材とする中詰層(C)と、補強土層(B)の表層のうちの海側の領域を覆うように設置される被覆石(F)と、中詰層(C)の表層上及び補強土層(B)の表層の残部領域上に設けられる覆砂層(D)を備える人工浅場又は干潟であって、
潜堤(A)が上下2段の潜堤部(a1),(a2)で構成されるとともに、これら潜堤部(a1),(a2)は、上段の潜堤部(a1)の底面の一部が下段の潜堤部(a2)の天端面に接するように設けられ、
潜堤部(a1),(a2)は断面台形状であり、潜堤(A)は、両潜堤部(a1),(a2)の海側の側面が略面一の連続した法面を構成するように設けられ、
補強土層(B)は、水中での単位体積質量が潜堤(A)の構成材の水中での単位体積質量よりも小さく、且つ28日養生後の一軸圧縮強さが40kN/m2以上となる補強土で構成されるとともに、上段の潜堤部(a1)の底面の残部及び側面(但し、側面が法面である場合を含む。)と、下段の潜堤部(a2)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接して設けられることを特徴とする人工浅場又は干潟。 - 補強土層(B)を構成する補強土は、浚渫土又は/及び土砂に水和反応を生じさせる改質材を混合したものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の人工浅場又は干潟。
- 補強土層(B)を構成する補強土は、水中での単位体積質量が10kN/m3未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の人工浅場又は干潟。
- 補強土層(B)の表層の一部又は全部が岸側に向かって高くなる勾配を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の人工浅場又は干潟。
- 補強土層(B)の天端部が潜堤(A)の天端部よりも高い位置にあることを特徴とする請求項6に記載の人工浅場又は干潟。
- 補強土層(B)の表層の前記勾配が1:3〜1:5であることを特徴とする請求項6又は7に記載の人工浅場又は干潟。
- 請求項1に記載された人工浅場又は人工干潟を造成するための方法であって、
上下2段の潜堤部(a1),(a2)で構成され、浅場又は干潟の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤(A)と、該潜堤(A)を補強する所定幅の補強土層(B)を、下記(i)〜(iv)の手順で設け、
(i)下段の潜堤部(a2)を設ける。
(ii)潜堤部(a2)の岸側に、該潜堤部(a2)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接するようにして下段の補強土層(b2)を設ける。
(iii)上段の潜堤部(a1)を、その底面の一部が下段の潜堤部(a2)の天端面に接し、底面の残部が下段の補強土層(b2)の上面に接するように設ける。
(iv)潜堤部(a1)の岸側であって、下段の補強土層(b2)の上に、潜堤部(a1)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接するようにして上段の補強土層(b1)を設け、該上段の補強土層(b1)と下段の補強土層(b2)で補強土層(B)を構成する。
次いで、補強土層(B)の岸側に浚渫土を中詰材とする中詰層(C)を設けるとともに、補強土層(B)と中詰層(C)の表層上に覆砂層(D)を設けることを特徴とする人工浅場の造成方法又は人工干潟の造成方法。 - 請求項2に記載された人工浅場又は人工干潟を造成するための方法であって、
上下2段の潜堤部(a1),(a2)で構成され、浅場又は干潟の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤(A)と、該潜堤(A)を補強する所定幅の補強土層(B)を、下記(i)〜(iv)の手順で設け、
(i)下段の潜堤部(a2)を設ける。
(ii)潜堤部(a2)の岸側に、該潜堤部(a2)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接するようにして下段の補強土層(b2)を設ける。
(iii)上段の潜堤部(a1)を、その底面の一部が下段の潜堤部(a2)の天端面に接し、底面の残部が下段の補強土層(b2)の上面に接するように設ける。
(iv)潜堤部(a1)の岸側であって、下段の補強土層(b2)の上に、潜堤部(a1)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接するようにして上段の補強土層(b1)を設け、該上段の補強土層(b1)と下段の補強土層(b2)で補強土層(B)を構成する。
次いで、補強土層(B)の岸側に浚渫土を中詰材とする中詰層(C)を設けるとともに、補強土層(B)の表層を覆うように被覆石(F)を設置し、中詰層(C)の表層上に覆砂層(D)を設けることを特徴とする人工浅場の造成方法又は人工干潟の造成方法。 - 請求項3に記載された人工浅場又は人工干潟を造成するための方法であって、
上下2段の潜堤部(a1),(a2)で構成され、浅場又は干潟の造成水域を囲むようにして設けられる土留め用の潜堤(A)と、該潜堤(A)を補強する所定幅の補強土層(B)を、下記(i)〜(iv)の手順で設け、
(i)下段の潜堤部(a2)を設ける。
(ii)潜堤部(a2)の岸側に、該潜堤部(a2)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接するようにして下段の補強土層(b2)を設ける。
(iii)上段の潜堤部(a1)を、その底面の一部が下段の潜堤部(a2)の天端面に接し、底面の残部が下段の補強土層(b2)の上面に接するように設ける。
(iv)潜堤部(a1)の岸側であって、下段の補強土層(b2)の上に、潜堤部(a1)の側面(但し、側面が法面である場合を含む。)に接するようにして上段の補強土層(b1)を設け、該上段の補強土層(b1)と下段の補強土層(b2)で補強土層(B)を構成する。
次いで、補強土層(B)の岸側に浚渫土を中詰材とする中詰層(C)を設けるとともに、補強土層(B)の表層のうちの海側の領域を覆うように被覆石(F)を設置し、中詰層(C)の表層上及び補強土層(B)の表層の残部領域上に覆砂層(D)を設けることを特徴とする人工浅場の造成方法又は人工干潟の造成方法。
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