図1は、本発明の一実施形態に係るリモートコントロール装置と便器本体を備えたトイレ室の概略を斜視図で表している。図示するように、便器本体50に着座した使用者から見て右側の壁面には、リモートコントロール装置10が備え付けられる。便器本体50は水洗便器であり、手動または自動で水を流すことにより便器内部を洗浄する機能を有する。便器本体50にはさらに、人体局部に向けて洗浄水を噴出させるノズルや脱臭ファンなどが設けられてよい。
便器本体50のこれらの機能を自動で作動させるため、便座の後部には使用者の着座、離座を検知する着座センサ54が設けられる。リモートコントロール装置10は、便器本体50の各種機能を手動で作動させるための入力装置である。リモートコントロール装置10は使用者の操作に応じて、当該操作の内容を示す赤外線や電波などの無線信号を送受信部12から便器本体50へ送信する。便器本体50の後部上面には当該無線信号を受信する送受信部56が設けられる。
後述するように、本実施の形態のリモートコントロール装置10は、便器本体50へ無線信号を送信するのみならず、便器本体50から送信された、着座センサ54による検知結果などを表す無線信号を受信する。すなわちリモートコントロール装置10の送受信部12および便器本体50の送受信部56は双方向通信のインターフェースとして機能し、それぞれが無線信号の送信手段と受信手段を備える。
便器本体50の内部には、送受信部56が取得した無線信号に基づき操作内容を解釈し、それに対応する機能を作動させる制御機構が設けられる。また便器本体50の左側面には本体スイッチ58が設けられ、リモートコントロール装置10を介さずに便器洗浄の機能を作動させられるようにしている。なお便器本体50の外観形状やセンサおよびスイッチの位置、リモートコントロール装置10の外観形状や設置場所は一例であり、本実施の形態を限定する主旨ではない。
図2はリモートコントロール装置10の外観構成例を示しており、(A)は正面図、(B)は右側面図である。この例では、リモートコントロール装置10は横長の筐体を有し、(A)に示すように正面を操作面とする。また(B)に示すように、リモートコントロール装置10の側面には溝19が設けられ、図のさらに右側に示すように壁面22に固定されたホルダー部材20の側面内側に設けられたレール21に沿うように、上側からスライドさせて差し込むことにより、リモートコントロール装置10を壁面22に着脱可能に取り付けることができる。
リモートコントロール装置10の筐体内には図示しない電池ボックスおよびマイクロコンピュータが備えられる。マイクロコンピュータは電池ボックスに格納された電池を電源として各種処理を実施する。また電池からの電力は、後述する表示部16における表示の切り替え、無線信号の発信や受信、図示しないスピーカーからの音楽の再生などのためにも消費される。
図2(A)に示すようにリモートコントロール装置の正面には、操作ボタン部14a、14b、表示部16、割り付け変動ボタン18が設けられる。操作ボタン部14a、14bは、便器本体50の動作や表示部16における表示を操作するための複数のボタンからなる。操作ボタン部14a、14bに設けられたボタンには、あらかじめ各種機能のいずれかが割り付けられている。したがってリモートコントロール装置10は、使用者が押下したボタンに対応する機能を特定し、それに応じて送受信部12から無線信号を発信させたり表示部16の表示を切り替えたりする。
例えば操作ボタン部14aには、便座の開閉ボタン、便器洗浄のためのボタン、人体局部洗浄のためのボタンやそれを停止させるためのボタンを設ける。操作ボタン部14bには、リモートコントロール装置10の電源ボタンや、表示部16の表示内容に対する操作ボタンを設ける。表示部16は、使用者に必要な情報を提供するための表示装置であり、その時点での状況や使用者の操作に応じてその表示内容を変化させる。本実施の形態において表示部16は、電力の供給がなくとも表示が持続する不揮発性の表示装置とする。
不揮発性の表示装置は電子ペーパーや電気泳動ディスプレイなどの形態で実用化されており、電気泳動方式、粉体移動方式など様々な手法が提案されている。例えばマイクロカプセルによる電気泳動方式は、正・負に帯電させた白色・黒色の粒子を流体とともに封入したマイクロカプセルを画素とする表示方式であり、上下の電極に電圧を印加することにより粒子をマイクロカプセル内で泳動させ表面に集まる粒子の色を白または黒に制御する。所望の色の粒子を表面に集めたうえで電圧印加を停止してもその状態が維持されるため、不揮発性の表示を行える。
このように不揮発性の表示装置は方式によらず、表示内容を変化させるときのみに電力を消費し、電力供給を絶ってもその表示内容が維持される特性を有する。本実施の形態では表示部16として不揮発性の表示技術を導入することにより、表示のために消費される電力を抑制する。なお不揮発性の表示装置の詳細な構成は上述のとおり方式によって様々に考えられるため、ここでは説明を省略する。
割り付け変動ボタン18は、操作内容や便器本体50の状況に応じて機能の割り付けを変化させられるボタンである。表示部16の画面において、各ボタンの直上に、その時点で割り付けられている機能を表示することで、ボタンと機能の対応を使用者が認識できるようにする。リモートコントロール装置10は、使用者が押下したボタンに対応する機能を、その時点での割り付けに基づき特定し、それに応じて送受信部12から無線信号を発信させたり表示部16の表示を切り替えたりする。
上述のとおり表示部16を不揮発性の表示装置で実現すると、電力を消費する時間が限定的となり、継続して電力が必要になる一般的な表示機能を備えるリモートコントロール装置と比較して電力の消費量が小さくなる。特に本実施の形態のようなトイレ室のリモートコントロール装置10は、人に見られる時間やタイミングが限られる傾向にあるため、それ以外の期間に電力消費が抑えられることは特段の効果となる。一方で、不揮発性の表示装置では、その方式によっては、表示を更新したのにも関わらず直前に表示させた内容が薄く残ってしまうことがある。
そのため表示を常に見やすく保つためには、黒の塗り潰し画像と白の塗り潰し画像を短時間ずつ表示させるなどのリフレッシュ動作が必要となる。本実施の形態では、人に見られていないことを所定の判定基準で推定し、その期間に能動的にリフレッシュ動作を実施することにより、人が見ている期間には常に良好な表示を維持できるようにし、消費電力の抑制と表示の見やすさを両立する。
図3はリモートコントロール装置10と便器本体50の機能ブロックの構成を示している。ここに示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子、表示装置、機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
リモートコントロール装置10は、操作受付部24、通信部26、不在判定部28、表示制御部32、および画像データ記憶部31を備える。操作受付部24は、図2で示した操作ボタン部14a、14bを構成するボタン、割り付け変動ボタン18、および内部のマイクロコンピュータなどで実現し、使用者により押下されたボタンに対応する機能などの操作内容を特定したうえ、通信部26、不在判定部28、および表示制御部32にその情報を通知する。
通信部26は、マイクロコンピュータおよび図1で示した送受信部12などで実現し、操作受付部24からの通知に基づき、使用者の操作内容を示す無線信号を生成して便器本体50に送信する。また必要に応じて便器本体50に人体の検知結果を問い合わせる無線信号を送信したり、それに応じて便器本体50から送信された、検知結果を示す無線信号を受信したりする。
不在判定部28は、マイクロコンピュータなどにより実現し、あらかじめ定めた判定基準に基づき、便器本体50周辺における人の在/不在を判定する。判定基準の具体例については後述するが、リモートコントロール装置10自体に対する使用者の操作の有無や、便器本体50における人体の検知/非検知といった、それぞれが元来保有する機能を利用することにより、低コストでの導入が可能となる。使用者による操作の有無から判定する場合、不在判定部28は操作受付部24から当該情報を取得する。便器本体50からの人体検知情報を利用する場合、不在判定部28は通信部26を介して検知結果の問い合わせを行ったり、その結果を通信部26から取得したりしたうえで判定を行う。いずれの場合も不在判定部28は、経過時間を計測するタイマなどを適宜備える。
表示制御部32は、マイクロコンピュータおよび図2で示した表示部16などで実現し、操作受付部24から通知された使用者による操作内容に応じて、表示の内容を変化させる。上述の通り表示部16を不揮発性の表示装置で構成することにより、表示に係る電力の消費はその内容を変化させたときのみに発生する。表示すべき画像や画面の構成などのデータは、想定される状況と対応づけて画像データ記憶部31に格納しておく。表示制御部32はまた、不在判定部28により便器本体50周辺における人の不在が判定されている期間において、所定のタイミングで表示画面をリフレッシュさせる。
さらに表示制御部32は、人の不在が判定されている期間において、通常時に表示していた情報のうち、少なくとも現在時刻を非表示とする。現在時刻を表示させた場合、表示部16を不揮発性の表示装置としても、例えば1分ごとに数字を更新するために電力を消費する。そこで人が見ていないと推定される期間において現在時刻を非表示とすることにより、使用者の見かけ上の影響なしに消費電力をより抑えることができる。なお人の不在が判定されている期間における画面のリフレッシュ動作と現在時刻表示の消去は、双方を組み合わせて行ってもよいし、どちらか一方のみを実施してもよい。
便器本体50は、通信部60、動作制御部62、および人体検知部64を備える。通信部60は、図1で示した送受信部56および便器本体50に内蔵されたマイクロコンピュータなどにより実現し、リモートコントロール装置10から送信された無線信号を受信して、使用者による便器本体50に対する操作内容を特定する。また、便器本体50側でなされた人体検知の結果を示す無線信号を生成し、リモートコントロール装置10へ送信する。動作制御部62は、マイクロコンピュータと、その制御下にあり便器本体50の各機能を実現する機械装置などにより実現し、通信部60が特定した操作内容に対応するように機械装置を動作させる。なお動作制御部62は、図1で示した本体スイッチ58に対する操作によっても、適宜機械装置を動作させてよい。
人体検知部64は、図1で示した着座センサ54やマイクロコンピュータなどにより実現し、使用者が便座に着座している状態を検知し、その結果を動作制御部62に通知する。動作制御部62は、例えば使用者が着座したら脱臭ファンを作動させ、立ち上がったら便器を洗浄するなど、人体検知部64の検知結果によっても対応する機械装置を動作させる。また人体検知部64は、リモートコントロール装置10から検知結果の問い合わせがなされたときなどに、検知結果を示す信号を通信部60から送信させる。
なお便器本体50において人体を検知するセンサは、着座センサ54に限らない。例えば人の接近に応じて便器のふたを自動で開く機能や、人が遠ざかった際に便座を自動で下ろす機能を装備した便器の場合、それらの機能のためにふたの上面や便座の下面に備えられたセンサも同様に利用できる。それらのセンサによる具体的な人体検知手法は、実用化されている技術を適宜採用できるため、ここでは説明を省略する。
図4は、表示部16に表示される画面の変遷例を示している。なお同図では理解を容易にするため、表示部16の下側に設けられる4つの割り付け変動ボタン18も併せて示している。まず画面70は、リモートコントロール装置10の電源が入れられたときなど通常状態で表示される画面の例である。画面70は、ノズルから噴出させる洗浄水の強さ(勢い)を表した「洗浄強さ」表示部100、現在時刻表示部102、および割り付け変動ボタン18の割り付け表示部104で構成される。
「洗浄強さ」表示部100は、洗浄水の6段階の強さを6つの円で表し、塗りつぶされた円の数で現在の設定を表している。図2で示した操作ボタン部14aにおける洗浄強さ調節のためのボタンの押下に応じて、塗りつぶした円の数を増減させる。現在時刻表示部102は、リモートコントロール装置10に内蔵した時計により計測された現在時刻を表示する。つまり現在時刻表示部102は、時間の経過に応じて変化する。割り付け表示部104は、割り付け変動ボタン18のそれぞれに対し現在割り付けられている機能を、各ボタンの直上に文字や図柄などで表示する。同図の場合、左のボタンから順に、「乾燥」、「脱臭」、「音楽」、「お手入れ」なる機能が割り付けられていることがわかる。
この状態で割り付け変動ボタン18のいずれかが押下されたら、そのボタンによって、対応する機能を示す無線信号を送信することにより便器本体50を動作させる場合と、対応する機能のみに特化した操作画面へ表示を切り替える場合とが発生する。後者の場合、当該操作画面に対応するように、必要に応じて割り付け変動ボタン18に新たな機能が割り付けられ、結果として割り付け表示部104の表示も変化する。なお図示する機能は一例であり、リモートコントロール装置10または便器本体50に設ける機能に応じて様々な機能の割り付けが考えられる。
ここで、何ら操作がなされていないときに表示するホーム画面を画面70とした場合、トイレの使用頻度が低いほど、画面70を表示する時間が長くなる。そのような状態で放置された後、使用者によりリモートコントロール装置10が操作され、上述のように表示を更新した場合、画面70の残像によって更新後の画面が不鮮明になることが考えられる。さらには設定状況やボタンの割り付けが分かりづらくなってしまうこともあり得る。
そこで不在判定部28により人の不在が判定されたら、表示制御部32がリフレッシュ動作を行う。具体的には、例えば画面72のように画面全体に黒の塗り潰し画像を所定時間表示し、次に画面74のように画面全体に白の塗り潰し画像を所定時間表示する。そして元の画面70に表示を戻す。ここで所定時間とは例えば1秒前後の短時間でよい。このリフレッシュ動作を、人の不在が判定されている期間に所定の時間間隔で行うことにより、次回の操作時には画面70が残像として残りにくくなる。人の不在時に限定してリフレッシュ動作を実施することにより、使用者にとっては常に良好な表示状態が維持されていることになる。なお図示したリフレッシュ動作は一例であり、電子書籍などにおいて実施されている動作のいずれを採用してもよい。
図5は、表示部16に表示される画面の変遷の別の例を示している。まず画面80は図4の画面70と同様であり、「洗浄強さ」表示部100、現在時刻表示部102、および割り付け変動ボタン18の割り付け表示部104で構成される、通常状態の表示画面例である。ここで不在判定部28により人の不在が判定されたら、表示制御部32は少なくとも現在時刻表示部102を非表示とし、例えば画面82へ表示を切り替える。この例では、現在時刻表示部102とともに「洗浄強さ」表示部100も非表示とし、割り付け表示部104のみを残している。ただし現在時刻表示部102以外の構成の表示/非表示は任意に設定してよい。
現在時刻表示部102を非表示とした画面82では、自動的に表示を更新すべき対象がなくなるため、人が見ていないにも関わらず無駄に電力が消費されるのを防ぐことができる。ただし割り付け表示部104については表示を継続させることにより、存在を検知できない位置にいる人が割り付け変動ボタン18を操作しようとする場合に備えることができる。表示制御部32は、人の不在が判定されている期間は画面82を表示しつづけ、不在期間が終了したら、すなわち人の存在が検知されたら、元の画面80へ表示を戻す。なお図4で示したリフレッシュ動作と組み合わせる場合は、画面82を初期画面として画面全体を黒/白に反転させるなどの処理を定期的に実施すればよい。
次にこれまで述べた構成によって実現されるリモートコントロール装置10の動作について説明する。図6は、本実施の形態においてリモートコントロール装置10が行うリフレッシュ動作および時刻表示に係る処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、リモートコントロール装置10の電源が入れられ操作を受け付けられる状態となったときに開始する。このとき不在判定部28は、人が不在の状態となるか否かの監視を開始する(S10)。具体的には、操作受付部24における操作の有無や便器本体50における人体検知結果などの情報の収集を開始する。
一方、表示制御部32は、例えば図4の画面70に示したような画像のデータを画像データ記憶部31から読み出して表示する。結果として現在時刻も表示される(S12)。不在判定部28による監視の結果、人の不在が判定されていない間は(S14のN)、使用者の操作を操作受付部24が受け付け、それに応じて適宜、通信部26が便器本体50へ無線信号を送信したり、表示制御部32が表示を更新したりする。それと並行して、表示制御部32は現在時刻表示を更新しつづける(S12)。
不在判定部28が人の不在を判定したら(S14のY)、その通知を受けた表示制御部32は、現在時刻を非表示とし(S16)、画面のリフレッシュ動作を実施する(S18)。不在判定部28が人の不在を判定している期間は(S20のN)、表示制御部32は時間経過を監視し続け(S22のN)、所定時間が経過するごとにリフレッシュ動作を実施する(S22のY、S18)。なお人の不在を定期的に判定する場合、その周期とリフレッシュ動作の周期は独立に設定してよい。不在判定部28が、人の不在期間が終了したことを判定したら(S20のY)、表示制御部32は表示を元に戻し、現在時刻の表示を復帰させる(S12)。一方、不在判定部28は人が不在の状態となるか否かの監視を継続する(S14)。人の不在が判定されない間は(S14のN)、リフレッシュ動作は行わない。なお上述のように、S16の現在時刻の非表示処理とS18のリフレッシュ動作は、どちらか一方を省略してもよい。
図7から図9は、図6のS14において不在判定部28が人の不在を判定するための処理手順をタイムチャートで表している。まず図7は、リモートコントロール装置10に対する使用者の操作の有無を判定基準に用いた場合の判定手順を示している。同図上段は使用者がリモートコントロール装置10を操作するタイミングを、下段は不在判定部28が不在を判定するタイミングを示している。図示する例では不在判定部28は、人の在/不在のどちらかの状態を内部のレジスタなどに保持しており、人の不在期間が開始したときおよび終了したときに表示制御部32に通知する。あるいは表示制御部32に定期的に在/不在を通知する。図8および図9に示す態様も同様とする。
この例では、操作ボタンが操作された後(S30)、何ら操作がなく所定の時間t1が経過したら、不在判定部28は人の不在を判定する。そのまま操作ボタンが操作されなければ、不在の状態が継続しているとする。そして次に操作ボタンが操作されたら(S32)、不在の状態が終了したと判定する。時間t1は、トイレの通常使用時に使用者がリモートコントロール装置10を操作してからトイレ室を退去するまでの時間などを考慮して決定し、例えば余裕分を加味して3分などとする。この態様によれば、判定のための処理がリモートコントロール装置10内で完結するため、信号送受信に要する消費電力を必要としない。
図8は、便器本体50における人体検知結果を判定基準に用いた場合の判定手順を示している。同図上段はリモートコントロール装置10から便器本体50へ検知結果を問い合わせる信号を送信するタイミングを、中段は便器本体50の人体検知部64が人体を検知している期間を、下段は不在判定部28が不在を判定するタイミングを示している。リモートコントロール装置10は、所定の時間t2おきに問い合わせ信号を便器本体50へ送信する。ただし一旦、リフレッシュ動作がなされた後は、次の問い合わせまでの時間を延長するなど、時間間隔は一定でなくてもよい。
便器本体50からは、問い合わせ信号を受信した時点での検知結果がリモートコントロール装置10へ返信される。送信された信号が、人体が検知されたことを示していたら、不在判定部28は人の不在を判定しない(S40)。その状態から、次に人が検知されていない旨の信号が送信されたら、不在判定部28は人の不在の開始を判定する(S42)。その後、人体が検知されていない旨の信号が送信されているうちは、不在の状態が継続しているとする(S44〜S48)。そして次に人体が検知された旨の信号が送信されたら、不在の状態が終了したと判定する(S50)。
このようにリモートコントロール装置10から問い合わせを行い、返信として検知結果を取得することで、便器本体50から信号が送信されるタイミングをリモートコントロール装置10側で制御できる。したがって、便器本体50が人体を検知したときに随時、信号を受信するのに比べ、信号を待機する時間、すなわち受信センサの作動時間が格段に短くなり、電力の消費を抑えることができる。なお問い合わせの時間間隔t2は、不在を判定する時間分解能と消費電力とのバランスを考慮して決定し、例えば1分などとする。
図9は、リモートコントロール装置10に対する使用者の操作の有無と、便器本体50における人体検知結果の双方を判定基準に用いた場合の判定手順を示している。同図最上段は使用者がリモートコントロール装置10を操作するタイミングを、二段目はリモートコントロール装置10から便器本体50へ検知結果を問い合わせる信号を送信するタイミングを、三段目は便器本体50の人体検知部64が人体を検知している期間を、最下段は不在判定部28が不在を判定するタイミングを示している。
この例では、操作ボタンが操作された後、何ら操作がなく所定の時間t3が経過したら、リモートコントロール装置10から便器本体50への人体検知結果の問い合わせを開始する。そしてリモートコントロール装置10は、所定の時間t4おきに問い合わせ信号を送信する。便器本体50からは問い合わせ信号を受信した時点での検知結果がリモートコントロール装置10へ返信される。なお時間t3は図7で示した時間t1と等しくても異なっていてもよい。同様に、時間t4は図8で示した時間t2と等しくても異なっていてもよい。
便器本体50から送信された信号に基づく判定処理は図8で示したのと同様である。すなわち、送信された信号が、人体が検知されたことを示していたら、不在判定部28は人の不在を判定しない(S60)。次に人が検知されていない旨の信号が送信されたら、人の不在を判定し(S62)、人体が検知されていない旨の信号が送信されているうちは、不在の状態が継続しているとする(S64)。次に人体が検知された旨の信号が送信されたら、不在の状態が終了したと判定する(S66)。
なお人が検知された旨を示す信号を受信する前に、リモートコントロール装置10自体の操作ボタンが操作された場合も、不在判定部28は不在の状態が終了したと判定する。また不在の状態が終了したと判定した時点で、リモートコントロール装置10からの問い合わせを休止する。そして次に操作ボタンが操作されてから、操作のないまま時間t3が経過したら問い合わせを再開する。このようにすると便器本体50との通信の頻度が、図8の場合と比較し少なくなるため、消費電力を抑えられる。また複数の観点から人の不在を判定するため、判定の精度が高くなる。例えば使用者が、操作をしないまま長時間、便座に腰掛けていたり、便座に腰掛けずに「お手入れ」のための操作をしていたりする場合などに、誤って人の不在を判定するのを避けることができる。
以上、述べた本実施の形態によれば、リモートコントロール装置に不揮発性の表示装置を設ける。また不揮発性の表示装置に特有の残像を、人が周辺にいないと推定される期間に限ってリフレッシュ動作により消去する。結果として、使用者にとっては常に残像の少ない良好な画面表示が維持されることになり、消費電力軽減と画面の見やすさを両立させることができる。また、見ている間にいきなりリフレッシュ動作がなされ、使用者が違和感を受けたり、装置の故障と勘違いしたりするのを避けることができる。
また、人の不在を判定するために、リモートコントロール装置自体に対する操作の有無や、便器本体における人体検知の結果を利用する。トイレ室の特性上、リモートコントロール装置が数分以上、操作されていなければ、トイレ室には人がいないとする推定は、その他の部屋で用いるリモートコントロール装置より確度が高い。したがってリモートコントロール装置への操作の有無で人の不在を判定することにより、容易かつ低いコストで、高精度に人の不在を判定することができる。また便器本体における人体検知手段は、便器本来の機能のために元から設けられたものをそのまま用いることができるため、本実施の形態を低コストで導入することが可能である。
このときリモートコントロール装置からの問い合わせに応じるかたちで、人体検知結果を便器本体から送信することにより、信号の受信を待機する時間が限定され、通信のための電力消費も最低限に抑えることができる。さらに人の不在期間において、現在時刻の表示を消すことにより、時刻表示の更新のための電力も節約できる。リフレッシュ動作と同様、人が周辺にいないと推定される期間に限って時刻を非表示とするため、見かけ上は何ら変化なく、消費電力をより軽減させることができる。
以上、実施の形態に係るリモートコントロール装置について説明した。この実施の形態は例示であり、その各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。