JP2016191078A - 含油スラッジのリサイクル方法 - Google Patents

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宗義 澤山
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Abstract

【課題】低コストで歩留まりよく含油スラッジの鉄分を回収でき、かつリサイクル設備からの排ガスの油分濃度の低減及び高炉用焼結原料の焼結効率の向上が可能な含油スラッジのリサイクル方法の提供を目的とする。【解決手段】本発明の含油スラッジのリサイクル方法は、製鋼工程で排出される含油スラッジを高炉用焼結原料の一部としてリサイクルする方法であって、含油スラッジに生石灰を含水率が1質量%以下になるよう混合する工程と、混合工程で得られた粉体を下向き火炎のバーナーで燃料と混焼し、ドワイトロイド式焼結機の着火後の焼結原料層上に吹き付ける工程とを備えており、吹き付け工程におけるバーナーと焼結原料層との平均距離Hを150mm超、バーナーの火炎温度Tを1,300℃超、単位時間当たりに供給される含油スラッジを融点まで昇温するために必要な熱量Qmに対するバーナーの燃焼排ガスの単位時間当たりの熱量Qgの比が3.2超である。【選択図】図3

Description

本発明は、含油スラッジのリサイクル方法に関する。
製鉄プロセスの製鋼工程では、熱間圧延等の圧延、連続鋳造などの工程で鉄分と潤滑油に由来する油分とを含有する冷却排水が発生する。この冷却排水が含有する鉄分のうち、粒径の大きいものは沈降処理によってミルスケールとして回収され、粒径の小さいものはフィルター等によって鉄分及び油分を含有する含油スラッジとして回収される。この含油スラッジは、高炉用焼結原料等の一部として用いることで有効活用することが望まれる。しかし、含油スラッジは、焼却等によって油分及び水分を除去する場合、油分の一部が揮発してリサイクル設備からの排ガスの油分濃度を上昇させ、その結果、捕集ダスト中の油分濃度が上昇するため集塵装置のメンテナンス回数の増加等の不都合がある。また、含油スラッジは、飛散等し易い微粒子であるため、リサイクルにおいて鉄分回収の歩留まりが低下し易いという不都合もある。
他方、製鉄プロセスの製銑工程では、粉状の鉄鉱石と石灰石等の副原料と粉コークス等の固体燃料とを含有する焼結原料を焼結することで製造される高炉用焼結原料(焼結鉱)が用いられる。この高炉用焼結原料は、一般にドワイトロイド式焼結機を用いて焼結される。具体的には、無端ベルトに焼結原料を層状に堆積し、この焼結原料層を上記無端ベルトで一方向に搬送しながら、点火炉による表層への着火と、着火後の焼結原料層の下方からの吸気とを行う。この方法によれば、上記着火により焼結原料層の表層に固体燃料の燃焼により赤熱状態となった燃焼帯が形成され、焼結原料層の下流への搬送に伴って上記吸気により燃焼帯が焼結原料層内を下降する。焼結原料層は、燃焼帯の通過中に燃焼熱でカルシウムフェライト、FeO、SiO等の比較的低融点の物質が固相反応で形成された後、上記低融点物質が溶融して鉄鉱石等の間に浸透する。そして、燃焼帯の通過後の焼結原料層では、溶融した上記低融点物質が放熱により固化してバインダーとして機能することで焼結原料が焼成される。しかし、上記方法は、放熱性の高い焼結原料層の表層において、上記低融点物質の形成及び溶融が不十分となることで高炉用焼結原料の焼結効率が低下し易いという不都合がある。
そこで、上述のリサイクル設備からの排ガスの油分濃度上昇及び鉄分回収の歩留まり低下と、高炉用焼結原料の製造における焼結効率低下とを同時に解決する方法として、ドワイトロイド式焼結機を用いた含油スラッジのリサイクル方法が提案されている。具体的には、油分及び水分を含有するスラッジをパルス燃焼法で乾燥処理し、この乾燥した含油スラッジを焼結機の焼結原料の上面に供給する方法が提案されている(特開平11−6019号公報参照)。また、上記特許文献では、上記方法において、乾燥した含油スラッジを焼結機の点火炉のバーナー部に吹き込み、焼結原料の上面に供給することも提案されている。しかし、上記従来の含油スラッジのリサイクル方法は、焼結原料の上面に付着しなかった含油スラッジが点火炉内の天井や仕切り壁等の耐火物表面に付着成長し、上記耐火物を脱落させるなどの設備トラブルにつながるおそれがある。また、上記従来の含油スラッジのリサイクル方法は、パルス燃焼法により工程が複雑化してコストが上昇し易いという別の不都合があり、さらに含油スラッジの鉄分回収の歩留まりの向上にも未だ改善の余地がある。
特開平11−6019号公報
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、低コストで歩留まりよく含油スラッジの鉄分を回収でき、かつリサイクル設備からの排ガスの油分濃度の低減、及び高炉用焼結原料の焼結効率の向上が可能な含油スラッジのリサイクル方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、製鋼工程で排出される含油スラッジを高炉用焼結原料の一部としてリサイクルする方法であって、上記含油スラッジに生石灰を含水率が1質量%以下になるよう混合する工程と、上記混合工程で得られた粉体を下向き火炎のバーナーで燃料と混焼し、ドワイトロイド式焼結機の着火後の焼結原料層上に吹き付ける工程とを備えており、上記吹き付け工程におけるバーナーと焼結原料層との平均距離Hを150mm超、バーナーの焼結原料層表面での火炎温度Tを1,300℃超、単位時間当たりに供給される含油スラッジを融点まで昇温するために必要な熱量Qm[kcal/h]に対する上記バーナーの燃焼排ガスの単位時間当たりの熱量Qg[kcal/h]の比が3.2超であることを特徴とする。
当該含油スラッジのリサイクル方法は、上記混合工程で含油スラッジに生石灰を混合し、生石灰の水和及びその反応熱により水分が1質量%以下になるように含油スラッジを乾燥させることで粉体を得る。このように、含油スラッジに生石灰を混合させることで、容易に含油スラッジを乾燥させることができ、その結果、後述する燃料との混焼の促進、及び気流輸送による設備コストの低減や粉塵の抑制等が可能になる。次に、当該含油スラッジのリサイクル方法は、上記吹き付け工程で上記粉体を下向き火炎のバーナーで燃料と混焼し、ドワイトロイド式焼結機の着火後の焼結原料層上に吹き付ける。上記粉体は、混焼によって高温に加熱されることで含有する油分が燃焼する。そのため、当該含油スラッジのリサイクル方法は、リサイクル設備からの排ガスの油分濃度を低減できる。また、上記粉体は、鉄分及びCaO源を含油するため、混焼の際に融点が1,200℃程度と比較的低いカルシウムフェライトの形成及び溶融が促進される。そのため、上記粉体は、含油スラッジ単味よりも溶融し易い。さらに、ドワイロイド式焼結機の着火後の焼結原料層上は、水分が少なく、燃焼によりカルシウムフェライト等の比較的融点の低い物質が形成され、かつ比較的高温である。そのため、混焼して吹き付けられた上記粉体のうち、比較的小さい粒子は焼結原料層との接触によりさらに高温加熱されて溶融し、また比較的大きく溶融し難い粒子も溶融した上記粒子や焼結原料に捕捉されるため、いずれも焼結原料層への付着が促進される。そして、付着した上記粉体は、溶融した上述の比較的小さい粒子や焼結原料が放熱して固化することにより、焼結原料と共に造粒される。その結果、当該含油スラッジのリサイクル方法は、従来のドワイトロイド式焼結機を活用して含油スラッジを高炉用焼結原料の一部として使用できるため、低コストで含油スラッジの鉄分を回収でき、また鉄分回収の歩留まりがよい。さらに、当該含油スラッジのリサイクル方法は、焼結効率の低下し易い焼結原料層の表層に上記バーナーによる加熱と溶融した上記粉体の供給とを行うことによって、高炉用焼結原料の焼結効率を向上できる。
また、当該含油スラッジのリサイクル方法は、上記吹き付け工程におけるバーナーと焼結原料層との平均距離H、上記バーナーの焼結原料層表面での火炎温度T、及び上記熱量Qmに対する上記熱量Qgの比を上記範囲とする。これらの結果、当該含油スラッジのリサイクル方法は、上記粉体を十分に加熱して溶融させることで焼結原料層の表層への付着を促進することができ、その結果、含油スラッジの鉄分回収の歩留まり及び焼結鉱率をより向上できる。
ここで「含水率」とは、含油スラッジに含まれる水の質量をW1、含油スラッジの乾燥質量をW2としたとき、W1/(W1+W2)×100で求められる値である。「下向き」とは、鉛直方向下方向とのなす角度が90°未満である方向をいう。「バーナーの火炎温度」とは、焼結原料層表面との接炎部の任意の10点を熱電体で測定した温度の平均値をいう。「融点まで昇温するために必要な熱量」とは、20℃から融点まで昇温するために必要な熱量のことをいう。「燃焼排ガス」とは、燃焼反応により生じたガスと、支燃ガス及びキャリアガスに由来する窒素等の不燃ガスと、燃焼反応で消費されなかった酸素及び燃料ガスとをあわせたものをいう。
当該含油スラッジのリサイクル方法は、低コストで歩留まりよく含油スラッジの鉄分を回収でき、かつリサイクル設備からの排ガスの油分濃度の低減、及び高炉用焼結原料の焼結効率の向上が可能である。
CaOとFeとの成分系平衡状態図である。 本発明の一実施形態に用いるドワイトロイド式焼結機を示す模式図である。 図2の焼結原料層を示す模式的拡大断面図である。 実施例で用いる含油スラッジの粒径分布を示すグラフである。 一般的なドワイトロイド式焼結機で生じる排ガスの煤塵の粒径分布を示すグラフである。 混合物Mにおける粉体Pの含有割合と、融点温度との関係を示すグラフである。 焼結鍋試験装置を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しつつ説明する。
本発明の含油スラッジのリサイクル方法は、含油スラッジに生石灰を含水率が1質量%以下になるよう混合する工程(混合工程)と、上記混合工程で得られた粉体を下向き火炎のバーナーで燃料と混焼し、ドワイトロイド式焼結機の着火後の焼結原料層上に吹き付ける工程(吹き付け工程)とを備える。以下、各工程について説明する。
<混合工程>
本工程は、含油スラッジに生石灰を含水率が1質量%以下になるよう混合する。本工程により、含油スラッジ、生石灰及びその水和物(消石灰)を含有する粉体が得られる。
[含油スラッジ]
含油スラッジは、製鋼工程で排出され、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)等の鉄分を含有する金属屑に油分及び水分が混入したものである。含油スラッジは、二酸化ケイ素、酸化マンガン、酸化カリウム等の不可避不純物をさらに含有してもよい。
[生石灰]
生石灰としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。生石灰の混合量の下限としては、含油スラッジ100質量部に対して、20質量部が好ましく、30質量部がより好ましい。一方、上記混合量の上限としては、含油スラッジ100質量部に対して、60質量部が好ましく、50質量部がより好ましい。上記混合量が上記下限より小さい場合、含油スラッジの乾燥が不十分となるおそれ、及び上記粉体のカルシウムフェライトの形成量低下のおそれがある。逆に、上記混合量が上記上限を超える場合、コスト上昇のおそれがある。
[粉体]
本工程で得られる粉体は、含油スラッジ、生石灰及びその水和物(消石灰)を含有する。上記粉体の含水率の上限としては、0.5質量%が好ましく、0.1質量%がより好ましく、0質量%がより好ましい。上記含水率が上記上限を超える場合、上記粉体の気流輸送や燃料との混焼が困難となるおそれがある。
上記粉体におけるFe(酸化鉄(III))のCaOに対する組成比(モル比)の下限としては、72:28が好ましく、75:25がより好ましい。一方、上記組成比の上限としては、85:15が好ましく、80:20がより好ましい。上記組成比を図1のCaOとFeとの成分系平衡状態図にIで示す上記範囲とすることで、比較的融点の低いカルシウムフェライトの形成をより促進できる。
なお、上記粉体の組成比を上記範囲に調整する方法としては、例えば上述の生石灰の混合量を調整する方法、上記粉体に微細焼結鉱等の酸化鉄ダストを混合する方法などが挙げられる。
上記粉体に微細焼結鉱を混合する場合、微細焼結鉱の混合量の下限としては、上記粉体100質量部に対して、20質量部が好ましく、30質量部がより好ましい。一方、上記混合量の上限としては、上記粉体100質量部に対して、90質量部が好ましく、80質量部がより好ましい。上記混合量が上記下限より小さい場合、又は上記上限を超える場合、上記粉体の融点温度の低下が不十分となるおそれがある。
<吹き付け工程>
本工程は、混合工程で得られた粉体を下向き火炎のバーナーで燃料と混焼し、ドワイトロイド式焼結機の着火後の焼結原料層上に吹き付ける。
[ドワイトロイド式焼結機]
図2のドワイトロイド式焼結機1は、格子状底部を有する火格子であるパレットが連結した無端ベルト2を備える。この無端ベルト2は、少なくとも一部に後述する焼結原料層Xが載積され、図示しない一対のローラーにより両端から駆動されることにより焼結原料層Xを一方向(図2では左側から右側)に搬送する。ドワイトロイド式焼結機1は、複数のパレット2の上方に、焼結原料層Xの上流側から下流側に順次配設される原料ホッパー3、ガイド4、点火炉5及び混焼用バーナー6を備える。この点火炉5は、ドワイトロイド式焼結機1の幅方向に複数並列して配設される着火用バーナー7と、この着火用バーナーを覆う点火炉フード8とを有する。また、ドワイトロイド式焼結機1は、点火炉5から焼結原料層Xの最下流付近まで、無端ベルト2の下方に配設される複数の風箱9を備える。複数の風箱9は、配管10により集塵機11に接続され、この集塵機11は、図示しない煙突に接続される。さらに、ドワイトロイド式焼結機1は、焼結原料層Xの最下流に図示しない排鉱部を備える。ここで「幅方向」とは、上記搬送方向と垂直な方向をいう。
原料ホッパー3は、無端ベルト2の最上流付近の上方に配設され、下方の無端ベルト2上に後述する焼結原料を供給することで焼結原料層Xを形成する。原料ホッパー3の下流側に配設されるガイド4は、上記焼結原料の平均堆積厚さ(焼結原料層Xの平均厚さ)を調整する。ガイド4の下流側に配設される点火炉5の着火用バーナー7は、平均厚さを調整された焼結原料層Xの表層に着火する。点火炉5の下流側に配設される混焼用バーナー6は、上記粉体を燃料と混焼し、着火後の焼結原料層X上に吹き付ける。複数の風箱9は、無端ベルト2の格子状底部を介して焼結原料層Xの下方から吸気し、焼結原料層Xの上部から下部への気流を発生させる。焼結原料層Xで生じた排ガスは、複数の風箱9により回収され、集塵機11で集塵処理されて上記煙突で大気に放出される。排鉱部は、焼結された焼結原料層Xを排出する。
図3は、焼結原料層Xの詳細を示す。焼結原料層Xは、無端ベルト2により一方向(図3では左側から右側)に搬送され、着火点Aで点火炉5の着火用バーナー7により着火され、表層に1,200℃程度の赤熱状態にある燃焼帯X1が形成される。燃焼帯X1は、焼結原料層Xの下流への搬送に伴って、風箱9の吸気で発生した気流により下降するため、焼結原料層Xの下流側ほど下部に形成される。また、燃焼帯X1は、焼結原料層Xの下流側への移動に伴い燃え広がることで厚さが増大する。焼結原料層Xの焼結は、燃焼帯X1の通過により行われる。燃焼帯X1は、焼結原料層Xの最下部に到達し、焼結原料層X全層の焼結の終了する位置、すなわち燃焼帯X1の上端が焼結原料層Xの下端に接する位置に終端Cを有する。燃焼帯X1が形成されている着火点Aから終端Cまでの区間の焼結原料層Xは、燃焼帯X1と、この燃焼帯X1よりも下部の焼結前の焼結原料層X2と、燃焼帯X1よりも上部の焼結後の焼結原料層X3とを備える。
焼結原料層Xは、吹き付け位置Bで混焼用バーナー6により燃料と混焼した上記粉体を吹き付けられる。
ドワイトロイド式焼結機1は、着火後の焼結原料層Xの上方を覆う循環フードを備え、燃焼帯X1の少なくとも一部が焼結原料層Xの下端に到達している領域下方の風箱9から回収した比較的高温の排ガスを集塵処理した後に上記循環フードに供給してもよい。
さらに、ドワイトロイド式焼結機1は、ガイド4と点火炉5との間に粉コークスのホッパーをさらに備え、焼結原料層X上に粉コークスを載置してもよい。これにより、点火炉5の着火用バーナー7による焼結原料層Xの表層の着火が容易となる。また、吹き付け位置Bおける焼結原料層Xの表層を比較的高温(例えば700℃以上)にすることで吹き付けられた上記粉体の焼結原料層Xへの付着をより促進できる。その結果、含油スラッジの鉄分回収の歩留まり及び含油スラッジの処理能力を向上できる。
ドワイトロイド式焼結機1の機長平均長さの下限としては、例えば80mである。一方、上記機長平均長さの上限としては、例えば120mである。また、無端ベルト2による焼結原料層Xの搬送速度の下限としては、例えば2.5m/sである。一方、上記搬送速度の上限としては、例えば3.5m/sである。ここで「ドワイトロイド式焼結機1の機長平均長さ」とは、焼結帯X1の上記搬送方向平均長さ、すなわち着火点Aから終端Cまでの上記搬送方向平均長さである。
[焼結原料層]
焼結原料層Xは、後述する焼結原料が堆積した層である。焼結原料層Xにおける焼結原料の平均堆積厚さの下限としては、例えば0.55mである。一方、上記平均堆積厚さの上限としては、例えば0.65mである。
[焼結原料]
焼結原料は、鉄鉱石、副原料、固体燃料及び水分を含有する。焼結原料は、含有する水分の表面張力等によって造粒されている擬似粒子である。焼結原料は、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を含有してもよい。
焼結原料の擬似粒子の平均粒径の下限としては、例えば2.5mmである。一方、上記平均粒径の上限としては、例えば5mmである。ここで「平均粒径」とは、累積50%平均体積径(メディアン径)をいう。他の成分の平均粒径についても同様である。
焼結原料の含水率の下限としては、例えば4質量%である。一方、上記含水率の上限としては、例えば8質量%である。
(鉄鉱石)
鉄鉱石としては、粉末状である限り特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。鉄鉱石としては、例えば公称目開き寸法が10mmのふるい下に通過し、かつ公称目開き寸法が1.0mmのふるい上に留まるものなどが挙げられる。ここで、「公称目開き」とは、JIS−Z8801:2000「試験用ふるい−第1部:金属製網ふるい」に規定された公称目開きをいう。
焼結原料における鉄鉱石の含有量の下限としては、例えば65質量%である。一方、上記含有量の上限としては、例えば80質量%である。
(副原料)
焼結原料が含有する副原料としては、例えば炭酸カルシウム(CaCO)、生石灰(CaO)等のCaO源、珪石、蛇紋岩等などが挙げられる。焼結原料における副原料の含有量の下限としては、鉄鉱石100質量部に対して、例えば15質量部である。一方、上記含有量の上限としては、鉄鉱石100質量部に対して、例えば35質量部である。
(個体燃料)
焼結原料が含有する固体燃料としては、例えばコークスブリーズ(粉コークス)等が挙げられる。コークスブリーズとしては、例えば公称目開き5mmのふるい下に通過するものを用いることができる。
焼結原料における固体燃料の含有量の下限としては、鉱石量(鉄鉱石及び副原料の合計含有量)100質量部に対して、例えば3.5質量部である。一方、上記含有量の上限としては、鉱石量100質量部に対して、例えば5.5質量部である。
(焼結原料の製造方法)
焼結原料は、例えば鉄鉱石、副原料、固体燃料及びその他の任意成分を配合し、所定量の水と共にミキサー等で混合することで製造できる。
[混焼用バーナー]
混焼用バーナー6は、吹き付け位置Bの上方に火口が鉛直方向下向きとなるように配設され、上記粉体を燃料と混焼し、着火後の焼結原料層X上に吹き付ける。混焼用バーナー6は、幅方向に1又は複数配設される。
混焼用バーナー6は、上記粉体をキャリアガスによって噴射する第1管と、この第1管と平行に配設され、上記粉体の噴射流を覆うようにコークス炉ガス(COG)等のガス燃料を噴射する第2管とを備える多重管ランスを用いることができる。上記キャリアガスとしては、特に限定されないが、例えば窒素ガス等の不活性ガス、空気などが挙げられる。このような多重管ランスとしては、例えば無機粒子の火炎内球状化処理に用いられるもの等が挙げられる。混焼用バーナー6は、火炎温度の上昇と上記粉体の飛散抑止との観点から、火炎を覆う筒状の耐火物をさらに備えるとよい。
吹き付け工程における混焼用バーナー6と焼結原料層Xとの平均距離Hとしては、150mm超である。上記平均距離Hの下限としては、250mmが好ましく、400mmがより好ましく、550mmがさらに好ましい。一方、上記平均距離Hの上限としては、800mmが好ましく、650mmがより好ましい。上記平均距離Hが上記下限より小さい場合、発生する火炎中に上記粉体が滞留する時間が短くなるため、上記粉体の溶融が不十分となるおそれがある。逆に、上記平均距離Hが上記上限を超える場合、焼結原料層Xの表面付近での火炎温度低下のおそれや上記粉体が周囲に飛散し易くなるおそれがある。なお、混焼用バーナー6の平均火炎長は、上記平均距離H以上であることが好ましい。
混焼用バーナー6の平均径の下限としては、例えば80mmである。一方、上記平均径の上限としては、例えば120mmである。
混焼用バーナー6は、着火点Aから下流方向の吹き付け位置Bが接炎部となるように設置される。吹き付け位置Bの位置は、焼結原料層Xの表層温度を高める観点から、着火点Aに近いほど好ましい。但し、混焼用バーナー6を点火炉5の内部に配設した場合、焼結原料層Xの表層に付着しなかった上記粉体が点火炉フード8の内側に付着することで故障等の原因となるおそれがある。そのため、混焼用バーナー6は、点火炉5の下流側(出口側)の直下に配設されるとよい。
具体的な点火炉5の出口と吹き付け位置Bとの平均距離の上限としては、10mが好ましく、1mがより好ましい。上記平均距離が上記上限を超える場合、吹き付け位置Bの焼結原料層Xの表面温度の低下により、上記粉体の付着が不十分となるおそれがある。
混焼用バーナー6の単位時間当たりのガス燃料の使用量の下限としては、バーナー径等に合わせて適宜変更可能であるが、例えば25Nm/hである。一方、上記使用量の上限としては、バーナー径等に合わせて適宜変更可能であるが、例えば35Nm/hである。
混焼用バーナー6は、上記ガス燃料に支燃ガスを加えて混焼してもよい。上記支燃ガスとしては、例えば酸素そのものや、酸素を添加した空気等が挙げられる。支燃ガスとして酸素を添加した空気を用いる場合、酸素の添加量の下限としては、空気100体積部に対して、例えば10体積部である。
混焼用バーナー6の混焼に支燃ガスを使用する場合、単位時間当たりの支燃ガスの使用量は、ガス燃料の種類、使用量等、支燃ガスの種類などに合わせて適宜変更可能である。具体的な上記使用量の下限としては、例えば20Nm/hである。一方、上記使用量の上限としては、例えば100Nm/hである。
混焼用バーナー6の混焼に支燃ガスを使用する場合、上記混焼ではガス燃料の燃焼以外にも含油スラッジが含有する酸化鉄の酸化や油分の燃焼も行われる。そのため、混焼用バーナー6は、混焼に使用するガス燃料の完全燃焼に必要な最低の支燃ガスの空気量(理論空気量)に対する実際に使用される支燃ガスの空気量の比(空気比)を1超に調整して酸素余剰にすることが好ましい。具体的な空気比の下限としては、1.05が好ましく、1.15がより好ましい。一方、上記空気比の上限としては、1.5が好ましく、1.25がより好ましい。上記空気比が上記下限より小さい場合、ガス燃料の不完全燃焼による火炎温度低下のおそれや含油スラッジの油分の不完全燃焼によるリサイクル設備からの排ガスの油分濃度上昇のおそれがある。逆に、上記空気比が上記上限を超える場合、後述する燃焼排ガス量の増加による火炎温度低下のおそれがある。
混焼用バーナー6に単位時間当たりに供給される含油スラッジ量M[kg/h]の下限としては、10kg/hが好ましく、25kg/hがより好ましく、50kg/hがさらに好ましく、70kg/hが特に好ましい。一方、上記含油スラッジ量Mの上限としては、100kg/hが好ましく、80kg/hがより好ましい。上記含油スラッジ量Mが上記下限より小さい場合、含油スラッジの処理能力が不十分となるおそれがある。逆に、上記含油スラッジ量Mが上記上限を超える場合、含油スラッジの溶融が困難となり鉄分回収の歩留まり低下のおそれがある。なお、含油スラッジ量Mは、乾燥質量をいう。
混焼用バーナー6が上記粉体の噴射に用いるキャリアガスの単位時間当たりの使用量の下限としては、例えば5kg/hである。一方、上記使用量の上限としては、例えば9kg/hである。
混焼用バーナー6の単位時間当たりの燃焼排ガス量Gの下限としては、45kg/hが好ましく、55kg/hがより好ましい。一方、上記燃焼排ガス量Gの上限としては、160kg/hが好ましく、140kg/hがより好ましく、100kg/hがさらに好ましく、65kg/hが特に好ましい。上記燃焼排ガス量Gが上記下限より小さい場合、燃焼排ガス流が不安定となり上記粉体が周囲に飛散し易くなるおそれがある。逆に、上記燃焼排ガス量Gが上記上限を超える場合、燃焼排ガスの流速上昇により火炎中に上記粉体が滞留する時間が短くなるため、上記粉体の溶融が不十分となるおそれがある。
混焼用バーナー6の焼結原料層表面での火炎温度Tの下限としては、1,300℃超である。上記火炎温度Tの下限としては、1,340℃が好ましく、1,500℃がより好ましい。一方、上記火炎温度Tの上限としては、1,700℃が好ましく、1,650℃がより好ましく、1,600℃がさらに好ましい。上記火炎温度Tが上記下限より小さい場合、上記粉体が焼結原料層Xの表層に付着し難くなるおそれがある。逆に、上記火炎温度Tが上記上限を超える場合、燃料コストの増加に見合うだけの鉄分回収の歩留まり向上等が困難となるおそれがある。
混焼用バーナー6の燃焼排ガスの単位時間当たりの熱量Qg[kcal/h]の下限としては、20,000kcal/hが好ましく、25,000kcal/hがより好ましい。一方、上記熱量Qgの上限としては、60,000kcal/hが好ましく、50,000kcal/hがより好ましく、30,000kcal/hがさらに好ましく、28,000kcal/hが特に好ましい。上記熱量Qgが上記下限より小さい場合、上記粉体の溶融が不十分となるおそれがある。逆に、上記熱量Qgが上記上限を超える場合、燃料消費量の増加によるコスト増に見合うだけの鉄分回収の歩留まり向上等が困難となるおそれがある。
混焼用バーナー6の燃焼排ガスの単位時間当たりの熱量Qg[kcal/h]は、下記式(1)によって算出される。ここで、Tは火炎温度である。cは排ガス比熱である。Gは理論湿り排ガス量である。
Qg[kcal/h]=T[℃]×c[kcal/kg・℃]×G[kg/h]・・・(1)
上記式(1)の理論湿り排ガス量G[kg/h]は、上記ガス燃料がコークス炉ガスである場合、下記式(2)によって算出される。ここで、H[kg/h]、O[kg/h]、N[kg/h]及びW[kg/h]は、それぞれ混焼用バーナー6が単位時間当たりに使用するコークス炉ガスが含む水素原子、酸素原子、窒素原子及び水分子の質量である。MAirは燃焼空気量である。Mは燃焼酸素量である。Mはキャリアガス量である。
G[kg/h]=H[kg/h]+O[kg/h]+N[kg/h]+W[kg/h]+MAir[kg/h]+M[kg/h]+M[kg/h]・・・(2)
上記式(1)において、コークス炉ガスと空気とを燃焼させた場合に生じる排ガス比熱cは、例えば固定値0.28kcal/kg・℃として計算することができる。
混焼用バーナー6が単位時間当たりに供給される含油スラッジを融点まで昇温するために必要な熱量Qm[kcal/h]は、上記含油スラッジ量Mにより決まるが、上記熱量Qmの下限としては、例えば1,000kcal/hである。一方、上記熱量Qmの上限としては、例えば10,000kcal/hである。
混焼用バーナー6が単位時間当たりに供給される含油スラッジを常温(20℃)から融点まで昇温するために必要な熱量Qm[kcal/h]は、下記式(3)によって求めることができる。ここで、Qaは単位質量当たりの含油スラッジの昇温に必要な理論熱量である。
Qm[kcal/h]=M[kg/h]×Qa[kcal/kg]・・・(3)
上記式(3)において、理論熱量Qa[kcal/kg]は、下記式(4)で求めることができ、例えば固定値100kcal/kgとして計算することができる。ここで、Qobは含油スラッジの単位質量当たりの油分の燃焼熱量である。Qfoは含油スラッジの単位質量当たりに含まれるFeO及び金属鉄の酸化熱量である。Qcdは含油スラッジの単位質量当たりに含まれる水酸化カルシウムの分解熱量である。Qstは単位質量当たりの含油スラッジの昇温に必要な化学反応を考慮しない熱量である。
Qa[kcal/kg]=Qob[kcal/kg]+Qfo[kcal/kg]+Qcd[kcal/kg]+Qst[kcal/kg]・・・(4)
上記式(4)において、含油スラッジの単位質量当たりの油分の燃焼熱量Qob[kcal/kg]は、下記式(5)で求めることができる。ここで、10,000kcal/kgは単位質量当たりの油分の燃焼熱量である。OSoilは含油スラッジの含油率[質量%]である。
Qob=10,000[kcal/kg]×OSoil[質量%]/100・・・(5)
上記式(4)において、含油スラッジの単位質量当たりに含まれるFeO及び金属鉄の酸化熱量Qfo[kcal/kg]は、下記式(6)で求めることができる。ここで、471kcal/kgは、単位質量当たりのFeOの酸化熱量である。OSfeoは含油スラッジのFeOの含有割合[質量%]である。1,751kcal/kgは単位質量当たりの金属鉄の酸化熱量である。OSmfeは含油スラッジの金属鉄の含有割合[質量%]である。
Qfo=(471[kcal/kg]×OSfeo[質量%]/100)+(1,751[kcal/kg]×OSmfe[質量%]/100)・・・(6)
上記式(4)において、含油スラッジの単位質量当たりに含まれる水酸化カルシウムの分解熱量Qcd[kcal/kg]は、下記式(7)で求めることができる。ここで、210kcal/kgは単位質量当たりの水酸化カルシウムの分解熱量である。OSchは、含油スラッジの水酸化カルシウムの含有割合[質量%]である。
Qcd=210[kcal/kg]×OSch[質量%]/100・・・(7)
上記式(4)において、単位質量当たりの含油スラッジの昇温に必要な化学反応を考慮しない熱量Qst[kcal/kg]は、下記式(8)で求めることができる。ここで、0.25kcal/℃・kgは含油スラッジの比熱である。Tmpは、含油スラッジの融点[℃]であり、例えば測定値である1,360℃を用いて計算することができる。
Qst=0.25[kcal/℃・kg]×(Tmp[℃]−20[℃])・・・(8)
単位時間当たりに供給される含油スラッジを融点まで昇温するために必要な熱量Qm[kcal/h]に対する混焼用バーナー6の燃焼排ガスの単位時間当たりの熱量Qg[kcal/h]の比(熱量Qg[kcal/h]/熱量Qm[kcal/h])としては、3.2超である。上記比の下限としては、3.3が好ましく、3.4がより好ましい。一方、上記比の上限としては、20が好ましく、17がより好ましく、10がさらに好ましく、4が特に好ましい。上記比が上記下限より小さい場合、上記粉体の溶融が不十分となるおそれがある。逆に、上記比が上記上限を超える場合、燃料消費量の増加によるコスト増に見合うだけの鉄分回収の歩留まり向上等が困難となるおそれがある。
混焼用バーナー6の燃焼排ガスの流速の下限としては、10m/sが好ましく、13m/sがより好ましい。一方、上記流速の上限としては、30m/sが好ましく、20m/sがより好ましく、15m/sがさらに好ましい。上記流速が上記下限より小さい場合、排ガス流が不安定となり上記粉体が周囲に飛散し易くなるおそれがある。逆に、上記流速が上記上限を超える場合、火炎長は上記流速の1/2乗に比例して大きくなるため、火炎中に上記粉体が滞留する時間が短くなり、上記粉体の溶融が不十分となるおそれがある。なお、上記流速は、例えば単位時間当たりの燃焼排ガスの実体積量[m/h]を混焼用バーナー6の火口の面積[m]で除す方法等で求めることができる。
混焼用バーナー6の配設位置は、着火後の焼結原料層Xの幅方向の全体でもよく、一部のみでもよい。混焼用バーナー6を幅方向の一部に配設する場合、上記配設位置としては、幅方向で一方又は両方の端部付近が好ましい。上記端部付近とは、例えば端部から500mm以内の領域である。ドワイトロイド式焼結機1を用いた高炉用焼結原料の製造工程では、焼結原料層Xの表層のうち、幅方向端部付近が特に放熱性が高く焼結効率が低下し易い。そのため、混焼用バーナー6の配設位置を着火後の焼結原料層Xの幅方向の一方又は両方の端部付近とすることで、リサイクルを行う含油スラッジ量が少ない場合でも、当該含油スラッジのリサイクル方法によって高炉用焼結原料の焼結効率を向上できる。
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
上記吹き付け工程に用いるバーナーとしては、上述の混焼用バーナーには限定されず、例えば火炎の根元に上記粉体を供給する機構を備えるバーナー等を用いてもよい。また、上記バーナーが火炎を覆う筒状の耐火物をさらに備える場合、排ガス流を旋回させてもよい。さらに、上記バーナーの燃料としては、重油、再生油等の液体燃料でもよく、微粉炭等の固体燃料でもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<含油スラッジの粒径分布>
実施例で用いる含油スラッジと、参考例として一般的なドワイトロイド式焼結機で生じる排ガスの煤塵との粒径分布をそれぞれ図4A及び図4Bに示す。図4Bに示すように、一般的なドワイトロイド式焼結機で生じる排ガスの煤塵は、粒径が300μm以下の粒子が約90質量%を占める。また、図4Aに示すように、含油スラッジも粒径が300μm以下の粒子が約70質量%を占める。つまり、含油スラッジは、焼結が不十分であると焼結ベッド(ドワイトロイド式焼結機の焼結原料層)に付着せず混焼バーナーの周囲に煤塵として放出されるため、鉄分を回収し難いと判断される。
<粉体の調製>
含油スラッジ100質量部と生石灰40質量部とを2軸パドルミキサーを用いて混合し、粉体(以下、「粉体P」ともいう)を得た。この粉体Pの含水率は0質量%であった。下記表1に、粉体Pの組成[質量%]を示す。なお、下記表1において、「TFe」は全鉄量、「MFe」は金属鉄量をそれぞれ示す。
Figure 2016191078
<焼結鉱の添加による粉体Pの融点温度変化>
粉体Pに微細焼結鉱を混合し、混合物(以下、「混合物M」ともいう)を得た。次に、JIS−M8801:2008「石炭類−試験方法」に記載の「灰の溶融性試験方法」に準拠し、昇温速度5℃/分で1,550℃まで連続加熱しながら混合物Mの溶融温度(軟化点)を測定した。混合物Mにおける粉体Pの含有割合[質量%]と融点温度[℃]との関係を図5に示す。
図5から明らかなように、粉体Pの含有割合が70質量%及び50質量%(微細焼結鉱の含有割合が30質量%及び50質量%)である混合物Mは、上記含有割合が0質量%及び70質量%の混合物Mよりも溶融温度が低かった。すなわち、粉体Pは、単味で加熱するよりも、微細焼結鉱を30質量%又は50質量%混合して加熱することで溶融し易くなる。これは、粉体Pと微細焼結鉱とを適度に混合して加熱した場合、CaO、FeO、Fe、SiOなどの成分の固相反応によりカルシウムフェライトをはじめとした比較的低融点の物質が生成され易くなるためであると推察される。そのため、粉体Pに微細焼結鉱を加えることで、粉体P単味で燃料と混焼するよりも溶融し易くできると判断される。
<焼結鍋試験>
以下、図6の焼結鍋試験装置Z1を用い、試験例1〜3及び比較試験例1〜3の焼結鍋試験を行った。図6の焼結鍋試験装置Z1は、平均径が100φ、平均高さが400mmで底部に網が張られている円筒状の焼結鍋Z2と、この焼結鍋Z2の上方に配設され、下向きの火口を有するガスバーナーZ3と、焼結鍋Z2の下方に配設され、図示しないブロワーに接続される排ガス管Z4とを備える。ガスバーナーZ3は、コークス炉ガスを原料として下向き火炎を発生させることで焼結鍋Z2の装入物を上方から加熱できる。排ガス管Z4は、途中で図示しない油分回収用板が配設される。
焼結鍋試験装置Z1は、図示しない混焼用バーナーをさらに備える。この混焼用バーナーは、無機粒子の火炎内球状化処理に用いられるもので、粉体Pをキャリアガス(窒素)によって噴射する第1管と、この第1管と平行に配設され、上記粉体の噴射流を覆うようにガス燃料と支燃ガスとを噴射する第2管とを備える多重管ランスである。上記ガス燃料は、コークス炉ガスである。上記支燃ガスは、酸素を添加した常温の空気である。
焼結鍋試験装置Z1は、後述する造粒後の焼結鍋試験用原料を焼結鍋Z2に投入し、この焼結鍋試験用原料をガスバーナーZ3で加熱することにより、燃焼鍋試験用原料の表層を着火して燃焼帯を形成できる。そして、焼結鍋試験装置Z1は、上記ブロワーにより吸気することにより、焼結鍋Z2の内部を負圧にし、焼結鍋Z2の上部から装入物を通過して排ガス管Z4に向かう気流を発生できる。上記気流により、燃焼帯が燃焼試験用原料内を下降する。また、燃焼帯で生じた排ガスは、排ガス管Z4を通過し、上記油分回収用板に吹き付けされることで油分が回収される。さらに、焼結鍋試験装置Z1は、上記混焼用バーナーで粉体Pをガス燃料及び支燃ガスと混焼して着火後の焼結鍋試験用原料の表層に吹き付けることができる。なお、焼結鍋試験装置Z1における焼結鍋試験用原料の単位面積当たりの通気量は、実機のドワイトロイド式焼結機1における焼結原料層の単位面積当たりの通気量とほぼ同等である。そのため、焼結鍋試験装置Z1は、ドワイトロイド式焼結機による高炉用焼結原料の製造工程における焼結原料層の上端から鉛直方向下方向に400mmまでの状態を再現できる。
[焼結鍋試験用原料の調製]
実機のドワイトロイド式焼結機1による高炉用焼結原料の製造に用いられる代表2銘柄の鉄鉱石をふるいにかけ、公称目開き寸法が10mmのふるい下に通過し、かつ公称目開き寸法が5mmのふるい上に留まるもの13.8質量部、公称目開き寸法が5mmのふるい下に通過し、かつ公称目開き寸法が3mmのふるい上に留まるもの16.8質量部、公称目開き寸法が3mmのふるい下に通過し、かつ公称目開き寸法が1mmのふるい上に留まるもの15.8質量部、及び公称目開き寸法が1mmのふるい下に通過するもの34.1質量部をそれぞれ配合し、粉末状の鉄鉱石を得た。また、石灰石17.9質量部と硅石1.7質量部とを混合し、副原料を得た。上記粉末状の鉄鉱石100質量部と上記副原料25質量部とを配合し、全量60kgの鉱石配合物を得た。この鉱石配合物100質量部に対して、公称目開き寸法が5mmのふるい下に通過するコークスブリーズ4.5質量部を加え、焼結鍋試験用原料を得た。
[焼結鍋試験用原料の造粒]
焼結鍋試験用原料100質量部に対して水を約6質量部加え、ミキサーでの混合によって焼結鍋試験用原料の中で比較的粒径が大きい核となる粒子に比較的粒径が小さい粉末状の粒子を付着させて造粒した。造粒後の焼結鍋試験原料は、焼結試験鍋内での通気性に優れる擬似粒子である。
造粒後の焼結鍋試験用原料を図6の焼結鍋Z2に装入し、その上方から着火用コークスブリーズ15gを載置した。上記ブロアーにより、差圧600mmAqで吸気しながらガスバーナーZ3で90秒間加熱することで着火用コークスブリーズに着火し、表層に燃焼帯を形成させた。その後、上記ブロアーにより差圧1,000mmAqで吸気することで燃焼帯を下降させた。その後、上記混焼用バーナーにより粉体Pとガス燃料とを混焼して着火後の焼結鍋試験用原料の表層に吹き付けた。上記吹き付け時間は15秒間とした。燃焼帯の上端が焼結鍋試験用原料の下端に到達したら上記ブロアーによる吸気を停止し、焼結を終了した。冷却後、焼結鍋Z2の装入物を取り出し、円筒形の焼結物を得た。
<焼結鍋試験の評価>
試験例1〜3及び比較試験例1〜3の焼結鍋試験について、以下の方法によって排ガス油分、焼結強度(落下強度)、及び含油スラッジの付着歩留まりを評価した。
[排ガス中油分]
上記油分回収板に付着した油分量を測定し、これを排ガス中油分[mg]とした。排ガス中油分は、少ないほど排ガスの油分濃度が低くてよいことを示し、1.5mg以下の場合を「A(良好)」、1.5mg超の場合を「B(不良)」と評価した。
[焼結強度]
得られた焼結物を2mの高さから鉄板上に落下させ、回収した落下物を同様の条件で再度落下させ、二回落下後の焼結物を得た。落下前の焼結物の質量と、二回落下後の焼結物のうち公称目開き寸法が5mmのふるい上に留まる焼結物の質量とを測定した。上記ふるい上に留まる落下後の焼結物の質量を落下前の焼結物の質量で除した値を焼結強度[質量%]とした。焼結強度は、高いほど焼結効率が高くよいことを示し、73.5質量%超の場合を「A(良好)」、72質量%超73.5質量%以上の場合を「B(やや良好)」、72質量%以下の場合を「C(不良)」と評価した。
[粉体Pの付着歩留まり]
混焼及び吹き付けに用いた含油スラッジの質量から、焼結鍋試験装置Z1の周囲に飛散した含油スラッジの質量を引くことにより、混焼用バーナーでの吹き付けにより焼結鍋試験用原料に付着回収された含油スラッジの質量を求めた。次に、吹き付けにより付着回収された質量を混焼に用いた粉体Pの質量で除した値を求め、これを粉体Pの付着歩留まり[質量%]とした。粉体Pの付着歩留まりは、高いほど含油スラッジの鉄分を歩留まりよく回収できてよいことを示し、95質量%以上の場合を「A(良好)」、95質量%未満の場合を「B(不良)」と評価した。
下記表2に、混焼用バーナーに単位時間当たりに供給される含油スラッジ量M[kg/h]と、この含油スラッジを常温(20℃)から融点まで昇温するために必要な熱量Qm[kcal/h]とを示す。上記熱量Qm[kcal/h]は、上記含油スラッジ量M[kg/h]に上記式(6)の理論熱量Qaとして100kcal/kgを乗じて求めた。また、下記表2には、混焼用バーナーの単位時間当たりのガス燃料及び支燃ガスの使用量を示す。さらに、下記表2には、混焼用バーナーの単位時間当たりのキャリアガスの使用量、燃焼排ガス量G、燃焼排ガス熱量Qg、バーナー径、焼結鍋試験原料までの平均距離H、火炎温度T、Qg/Qm、及び燃焼排ガス流速を示す。
下記表3に、試験例1〜3及び比較試験例1〜3の焼結鍋試験の評価を示す。
Figure 2016191078
Figure 2016191078
上記表3から明らかなように、試験例1〜3の燃焼鍋試験では、排ガス中油分、焼結強度及び粉体Pの付着歩留まりが全て良好であった。このことから、当該含油スラッジのリサイクル方法は、距離H、火炎温度T及びQg/Qmを上記範囲とすることで、低コストで歩留まりよく含油スラッジの鉄分を回収でき、かつリサイクル設備からの排ガスの油分濃度の低減、及び高炉用焼結原料の焼結効率の向上が可能であると判断される。
さらに、試験例3の燃焼鍋試験は、試験例1及び2の燃焼鍋試験と比較し、単位時間当たりに供給する含油スラッジの量を増加させても排ガス中油分、焼結強度及び粉体Pの付着歩留まりの良好さを保持できた。これは、試験例3は、距離Hが比較的大きく、かつ排ガス流速が比較的小さいため、火炎中に粉体Pが滞留する時間が比較的長なくなり、その結果、溶融に必要な熱量をより多く受け取ることができたためであると判断される。
一方、比較試験例1〜3の燃焼鍋試験では、排ガス中油分は良好であったが、試験例1〜3と比較して、焼結強度及び粉体Pの付着歩留まりが低下した。この原因として、試験例1は距離Hが小さいため火炎中に粉体Pが滞留する時間が比較的短く、試験例2は火炎温度Tが比較的低く、試験例3ではQg/Qmが低いため、いずれも粉体Pに溶融に必要な熱量を与えられなかったためであると判断される。
当該含油スラッジのリサイクル方法は、低コストで歩留まりよく含油スラッジの鉄分を回収でき、かつリサイクル設備からの排ガスの油分濃度の低減、及び高炉用焼結原料の焼結効率の向上が可能である。
1 ドワイトロイド式焼結機
2 無端ベルト
3 原料ホッパー
4 ガイド
5 点火炉
6 混焼用バーナー
7 着火用バーナー
8 点火炉フード
9 風箱
10 配管
11 集塵機
X 焼結原料層
X1 燃焼帯
X2 焼結前の焼結原料層
X3 焼結後の焼結原料層
Z1 焼結鍋試験装置
Z2 焼結鍋
Z3 ガスバーナー
Z4 排ガス管
A 着火点
B 吹き付け位置
C 終端

Claims (1)

  1. 製鋼工程で排出される含油スラッジを高炉用焼結原料の一部としてリサイクルする方法であって、
    上記含油スラッジに生石灰を含水率が1質量%以下になるよう混合する工程と、
    上記混合工程で得られた粉体を下向き火炎のバーナーで燃料と混焼し、ドワイトロイド式焼結機の着火後の焼結原料層上に吹き付ける工程と
    を備えており、
    上記吹き付け工程におけるバーナーと焼結原料層との平均距離Hを150mm超、バーナーの焼結原料層表面での火炎温度Tを1,300℃超、単位時間当たりに供給される含油スラッジを融点まで昇温するために必要な熱量Qm[kcal/h]に対する上記バーナーの燃焼排ガスの単位時間当たりの熱量Qg[kcal/h]の比が3.2超であることを特徴とする含油スラッジのリサイクル方法。
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