JP2016190899A - 末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体及びその製造方法 - Google Patents

末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性、相溶性、接着性及び成形性が改善された末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体、その製造方法及び硬化性組成物を提供する。
【解決手段】ジビニル芳香族化合物(a)、モノビニル芳香族化合物(b)及びエーテル化合物を、酸触媒(d)の存在下で反応して得られる共重合体であって、上記エーテル化合物が式(5)で表わされる芳香族系エーテル化合物(c)であり、その共重合体の末端の一部に式(1)で表される芳香族系エーテル化合物(c)由来の末端基を有する末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体。
Figure 2016190899

(Yは未置換/置換のC6〜40の芳香族炭化水素基;ZはC1〜30の脂肪族炭化水素基又は未置換/置換のC6〜40の芳香族炭化水素基)
Figure 2016190899

【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性、流動性、相溶性及び靱性が改善された新規な末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体、その製造方法、及びこの共重合体を含有する誘電特性等の電気特性に優れる硬化性組成物及びその硬化物に関するものであり、情報通信機器の電気絶縁材料等に好適に使用される。
近年の情報通信量の増加にともない高周波数帯域での情報通信が盛んに行われるようになり、より優れた電気特性、なかでも高周波数帯域での伝送損失を低減させるため、低誘電率と低誘電正接を有し、特に吸水後の誘電特性変化の小さい電気絶縁材料が求められている。また、最近のモバイル通信端末に見られるように、高度の薄型化が進むことによって、絶縁材料にはさらに低誘電率のものが求められるようになっている。さらにそれら電気絶縁材料が使われているプリント基板あるいは電子部品は実装時に高温のハンダリフローに曝されるために耐熱性の高い、すなわち高いガラス転移温度を示す材料が望まれている。特に最近は、環境問題から融点の高い鉛フリーのハンダが使われるために、より耐熱性の高い電気絶縁材料の要求が高まってきている。これらの要求に対し、これまで種々の化学構造を持つビニル系化合物を使用した硬化樹脂が提案されている。
このような硬化樹脂としては、例えば、特許文献1にはジビニル芳香族化合物とモノビニル芳香族化合物を有機溶媒中、ルイス酸触媒及び特定構造の開始剤の存在下、20〜100℃の温度で重合させることによって得られる可溶性多官能ビニル芳香族共重合体が開示されている。また、特許文献2には4級アンモニウム塩の存在下で、ルイス酸触媒及び特定構造の開始剤により、ジビニル芳香族化合物を20〜100モル%含有してなる単量体成分を20〜120℃の温度でカチオン重合させることにより制御された分子量分布を有する可溶性多官能ビニル芳香族共重合体の製造方法が開示されている。これら2つの特許文献で開示されている技術によって得られる可溶性多官能ビニル芳香族共重合体は溶剤可溶性及び加工性に優れ、これを使用することによってガラス転移温度の高い耐熱性に優れた硬化物を得ることができる。
これらの技術によって得られる可溶性多官能ビニル芳香族共重合体は、それ自体が重合性の2重結合を有するため、これを硬化させることにより高いガラス転移温度を持つ硬化物を与える。そのため、この硬化物又は可溶性多官能ビニル芳香族共重合体は、耐熱性に優れた重合体又はその前駆体であると言うことができる。そして、この可溶性多官能ビニル芳香族共重合体は他のラジカル重合性モノマーと共重合して硬化物を与えるが、この硬化物も耐熱性に優れた重合体となる。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示されている可溶性多官能ビニル芳香族共重合体と他の硬化性樹脂との相溶性や、硬化後の耐熱変色性という観点から見ると、極性の高いエポキシ化合物やフェノール樹脂との間の相溶性又は溶解性が十分でなく、また、高いプロセス温度に対する耐熱分解性も十分ではない。従って、エポキシ化合物やフェノール樹脂の種類によっては不透明な組成物を与えるケースが多く、エポキシ化合物やフェノール樹脂と可溶性多官能ビニル芳香族共重合体との均一な硬化物を作るのが困難となる。これは、配合処方設計の自由度が小さい、及び、硬化物の靱性が低いという欠点を生じる他、280〜300℃近傍の高い熱履歴によって、膨れや剥離などの不良が生ずるケースがあった。さらに、特許文献1及び特許文献2に開示されている可溶性多官能ビニル芳香族共重合体は流動性に乏しいために、微細な配線パターンに対する充填性が不足するため、回路基板用絶縁材料として、湿熱履歴後の信頼性が不足するという欠点があった。
また、特許文献3には、(A)ルイス酸触媒、(B)エステル化合物等の助触媒、(C)アルコール化合物等の重合添加剤の存在下で、ジビニル芳香族化合物(a)及びモノビニル芳香族化合物(b)を共重合して得られる共重合体であって、その末端基の一部にエーテル結合又はチオエーテル結合を介した鎖状炭化水素基又は芳香族炭化水素基を有する可溶性多官能ビニル芳香族共重合体が開示されている。
しかしながら、特許文献3に記載されているアルコール化合物等の重合添加剤を使用した場合、可溶性多官能ビニル芳香族共重合体の分子量が大きくなるために流動性が不足したり、可溶性多官能ビニル芳香族共重合体の架橋密度が高くなるために靱性が不足するという問題点があった。そのため、その硬化性組成物の硬化物において、十分な力学的性質が得られず、また、複合体硬化物においては、界面での密着性の不足や層間剥離強度の不足に伴い、信頼性が低下するといった課題があった。また、特許文献3には、(B)成分である助触媒としてジエチルエーテル、テトラヒドロラン等のエーテル化合物が使用できることが記載されている。しかしながら、これらのエーテル化合物は助触媒としての機能はあっても、カルボカチオンとの反応性のないものであったために、末端の変性には使用できないものであった。
また、特許文献4には、ジビニル芳香族化合物(a)20〜99モル%及びモノビニル芳香族化合物(b)80〜1モル%を共重合して得られる共重合体であって、その末端の一部に重合添加剤(c)に由来するフェノール性水酸基を有し、かつ、ジビニル芳香族化合物(a)に由来する未反応のビニル基を含有する構造単位の含有量が10〜90モル%であることを特徴とする末端にフェノール性水酸基を有する可溶性多官能ビニル芳香族共重合体が開示されている。また、当該公開特許公報の実施例には、末端にフェノール性水酸基を有する可溶性多官能ビニル芳香族共重合体を使用した接着剤用樹脂組成物が開示されている。しかし、当該特許公報に開示されている末端にフェノール性水酸基を有する可溶性多官能ビニル芳香族共重合体は、耐熱性が低いために、耐熱変色が大きく、低誘電特性を有していないために、先端電子機器分野での基板材料としては使用できないという欠点があった。
一方、特許文献5には、その文献の式(1)で表されるフェノキシエチルアクリレート由来の末端基を有する多官能ビニル芳香族共重合体が開示されている。しかしながら、この特許文献に開示されている可溶性多官能ビニル芳香族共重合体は、末端にポリ(オキシアルキレン)単位であるフェノキシエチルアクリレートを有しているため、靱性は改善されているものの、近年の情報通信量の増加に伴う高周波数帯域に於ける低誘電特性を有しておらず、先端電気・電子分野のような高機能で高度の電気的特性、熱的・機械的特性が要求される先端技術分野に適用できないという問題点があった。また、これらの特許文献に開示されている可溶性多官能ビニル芳香族共重合体は、湿熱履歴後にガラスクロスとの界面の密着性が低下するため、高度の信頼性を求められる分野の基板材料には使用できないという欠点があった。
他方、特許文献6には、両末端にビニル基を有するポリフェニレンエーテルオリゴマー、及び、ジビニル芳香族化合物及びエチルビニル芳香族化合物からなる単量体由来の構造単位を有する多官能ビニル芳香族共重合体とからなる硬化性樹脂組成物が開示されている。しかしながら、当該特許公報で開示されている可溶性多官能ビニル芳香族共重合体を用いた硬化性樹脂組成物では、層間剥離強度、メッキピール強度と湿熱履歴後の誘電特性が不足するため、先端電子機器分野での基板材料としては使用できないという欠点があった。
特許文献7には、ジビニル芳香族化合物及びエチルビニル芳香族化合物からなる単量体由来の構造単位を有する多官能ビニル芳香族共重合体とエポキシ基、シアネート基、ビニル基、エチニル基、イソシアネート基及び水酸基からなる群から選ばれる一つ以上の官能基を含む熱硬化性樹脂とからなる硬化性樹脂組成物が開示されている。しかしながら、当該特許公報で開示されている可溶性多官能ビニル芳香族共重合体を用いた硬化性樹脂組成物は、めっき性が不足しているため、高度の微細化が求められる高機能の先端技術分野に適用できないという問題点があった。
特開2004−123873号公報 特開2005−213443号公報 特開2007−332273号公報 特開2008−189745号公報 特開2010−229263号公報 WO2005/73264号公報 特開2006−274169号公報
本発明は、低誘電率で、耐熱性、相溶性、接着性及び成形性が改善された新規な末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体とその製造方法、並びに、該共重合体を含有する微細パターンへの充填性、接着性と湿熱履歴後の誘電正接特性に優れる低誘電率の硬化性組成物に関する。並びに、該共重合体を含有する硬化性組成物からなるフィルム、及びこれを硬化して得られる硬化体に関する。更に本発明は、該樹脂組成物と基材からなる硬化性複合材料、その硬化体、硬化体と金属箔からなる積層体、及び樹脂付き銅箔を提供することを目的とする。
本発明は、ジビニル芳香族化合物(a)、モノビニル芳香族化合物(b)及びエーテル化合物を、ルイス酸触媒、無機強酸及び有機スルホン酸からなる群から選ばれる一種以上の触媒(d)の存在下で反応して得られる共重合体であって、
上記エーテル化合物が下記式(5)
Figure 2016190899
(ここで、Yは炭素数1〜12の炭化水素基を置換基として有してもよい未置換又は置換の炭素数6〜40の芳香族炭化水素基を示し、Zは炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、又は炭素数1〜12の炭化水素基を置換基として有してもよい未置換若しくは置換の炭素数6〜40の芳香族炭化水素基を示す。)
で表わされる芳香族系エーテル化合物(c)であり、
その共重合体の末端の一部に下記式(1)
Figure 2016190899
(ここで、Y1は式(5)のYから1つのHを取って生じる芳香族炭化水素基であり、Zは式(5)と同意である。)
で表される芳香族系エーテル化合物(c)由来の末端基を有することを特徴とする末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体。
上記の末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体において、数平均分子量Mnが300〜100,000であること、また上記末端基の導入量(c1)が下記式(2)
(c1)≧1.0(個/分子) (2)
を満足し、共重合体中のジビニル芳香族化合物由来の構造単位のモル分率(A)及びモノビニル芳香族化合物由来の構造単位のモル分率(B)が下記式(3)
0.05≦(A)/{(A)+(B)}≦0.95 (3)
を満足し、上記末端基のモル分率(C)が下記式(4)
0.005≦(C)/{(A)+(B)}<5.0 (4)
を満足し、かつ、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジクロロエタン又はクロロホルムに可溶であること、さらに重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比で表される分子量分布(Mw/Mn)が100.0以下であることは、好ましい態様である。
また、本発明は、ジビニル芳香族化合物(a)、モノビニル芳香族化合物(b)及びエーテル化合物を反応させて共重合体を製造する方法であって、ジビニル芳香族化合物(a)とモノビニル芳香族化合物(b)の合計100モル%に対し、ジビニル芳香族化合物(a)5〜95モル%、モノビニル芳香族化合物(b)95〜5モル%を使用し、更にエーテル化合物として、下記式(5)
Figure 2016190899
(ここで、Yは炭素数1〜12の炭化水素基を置換基として有してもよい未置換又は置換の炭素数6〜40の芳香族炭化水素基を示し、Zは炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、又は炭素数1〜12の炭化水素基を置換基として有してもよい未置換若しくは置換の炭素数6〜40の芳香族炭化水素基を示す。)
で表わされる芳香族系エーテル化合物(c)を0.005≦(c)/{(a)+(b)}<5.0を満たすモル比の範囲で使用し、ルイス酸触媒、無機強酸及び有機スルホン酸からなる群から選ばれる一種以上の触媒(d)を使用し、これらを含む重合原料類を誘電率2.0〜15.0の溶媒に溶解させた均一溶液中、20〜120℃の温度で重合させて、末端に下記式(1)
Figure 2016190899
(ここで、Y1は式(5)のYから1つのHを取って生じる芳香族系炭化水素基であり、Zは式(5)と同意である。)
で表される芳香族系エーテル化合物(c)由来の末端基を1.0(個/分子)以上有し、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジクロロエタン又はクロロホルムに可溶である共重合体を得ることを特徴とする末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体の製造方法である。
上記の末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体の製造方法において、触媒(d)が、金属フッ化物又はその錯体であるルイス酸触媒であること、又は芳香族系エーテル化合物(c)1モルに対し、触媒(d)を0.001〜10モルの範囲内で使用することは、好ましい態様である。
また、本発明は、上記の末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体と、ラジカル重合開始剤とを含有することを特徴とする硬化性組成物であり、又は、この硬化性組成物に、更に変性ポリフェニレンエーテル、特に末端に少なくとも1つのフェノール性水酸基、芳香族ビニル基、メタクリル基又はアクリル基を有する変性ポリフェニレンエーテルを含有することは、好ましい態様である。あるいは、この硬化性組成物に1分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂と硬化剤を含有することも、本発明の好ましい態様である。また、本発明はこれらの硬化性組成物を硬化してなる硬化物でもある。
また、本発明は、上記の硬化性組成物をフィルム状に成形してなるフィルムである。更に、本発明は、上記の硬化性組成物と基材からなり、基材を5〜90重量%の割合で含有することを特徴とする硬化性複合材料であり、またこの硬化性複合材料を硬化して得られたことを特徴とする硬化複合体である。更に、この硬化複合材料の層と金属箔層とを有することを特徴とする積層体である。また、本発明は、上記の硬化性組成物から形成された膜を金属箔の片面に有することを特徴とする樹脂付き金属箔である。
本発明の末端が変性された可溶性多官能ビニル芳香族共重合体は、その硬化物において、耐熱性、相溶性、接着性及び成形性が改善される。本発明の製造方法によれば、上記共重合体を高効率で製造することができる。また、本発明においては、本発明の末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体を硬化性化合物として使用することにより、分子内には、分子サイズの大きな自由体積を有し、良好な低誘電特性の硬化物が得られ、良好な接着性、微細な配線パターンに対する充填性、並びに、めっき性と湿熱履歴後の誘電正接特性とを同時に実現できる。
本発明の末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体は、ジビニル芳香族化合物(a)、モノビニル芳香族化合物(b)及びエーテル化合物を、ルイス酸触媒、無機強酸及び有機スルホン酸からなる群から選ばれる一種以上の触媒(d)の存在下で反応して得られる共重合体であって、ジビニル芳香族化合物(a)に由来する構造単位及びモノビニル芳香族化合物(b)に由来する構造単位の他、その共重合体の末端に上記式(1)で表される芳香族系エーテル化合物(c)由来の末端基を有する。
ジビニル芳香族化合物(a)に由来する構造単位としては、例えば、式(a1)及び(a2)
Figure 2016190899
(式中、R1及びR2は独立して、炭素数6〜30の芳香族炭化水素基を示す。)で表されるビニル基を含有する構造単位が挙げられる。ビニル芳香族化合物(b)に由来する構造単位は、例えば、スチレンに由来する構造単位が挙げられる。なお、主鎖骨格に、他の構造単位、例えばインダン構造などを有してもよい。
式(1)で表される芳香族系エーテル化合物(c)由来の末端基として、Y1は、未置換若しくは置換の炭素数6〜40の芳香族炭化水素基であるが、低誘電率で、溶剤可溶性、耐熱性及び原料入手の容易さという理由から、好ましい芳香族炭化水素基(Y1)は、フェニル基、トルイル基、キシレニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、及び、ターフェニリル基である。より好ましくはフェニル基、及びナフチル基、特に好ましくはフェニル基である。これらの芳香族炭化水素基(Y1)は、置換基を有してもよく、置換基としては炭素数1〜12の炭化水素基、特に炭素数1〜6のアルキル基である。
一方、式(1)で表される芳香族系エーテル化合物(c)由来の末端基として、Zは、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、又は未置換若しくは置換の炭素数6〜40の芳香族炭化水素基であるが、溶剤可溶性、低誘電特性及び原料入手の容易さという理由から、好ましい脂肪族炭化水素基(Z)は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基であり、好ましい芳香族炭化水素基(Z)は、トルイル基、キシレニル基、ビフェニル基、及びナフチル基である。より好ましくは、メチル基、エチル基、ブチル基、フェニル基である。Zが芳香族炭化水素基である場合、置換基を有してもよく、置換基としては炭素数1〜12の炭化水素基、特に炭素数1〜6のアルキル基である。
本発明の末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体は、誤解を生じない場合は、以下、「可溶性多官能ビニル芳香族共重合体」、又は、単に「本共重合体」と略称することもある。
本共重合体は、ジビニル芳香族化合物(a)に由来する構造単位及びモノビニル芳香族化合物(b)に由来する構造単位の他、上記式(1)で表される芳香族系エーテル化合物(c)由来の末端基を構造単位として有する。それぞれの構造単位の存在モル比を(A)、(B)、(C)とし、(A)+(B)=1.0とすれば、次を満足することが好ましい。
末端基のモル分率(C)/{(A)+(B)}は、0.005以上、5.0未満であることが好ましい。より好ましくは、0.01〜1.5、より好ましくは0.05〜1.0である。上記の関係を満たすことで、流動性、接着性、めっき性と湿熱履歴後の誘電正接特性に優れる本共重合体及び樹脂組成物とすることができる。末端基のモル分率が0.005より小さいと、流動性、及び、接着性が低下し、2.0よりも大きいと、湿熱履歴を受けたあとの低誘電正接性が維持できず、更に耐熱性が低下する。
本共重合体一分子当りの末端基の導入量(c1)は、平均として1.0(個/分子)以上であり、好ましくは2〜5(個/分子)であることが、本共重合体の異種材料への密着性が良好となるという理由から好ましい。上記式(1)において、芳香族系エーテル化合物(c)由来の末端基は共重合体の主鎖にパラ位で結合することが好ましい。
更に、構造単位(A)のモル分率(A)/{(A)+(B)}は、0.05〜0.95であることが好ましく、より好ましくは0.15〜0.95、さらに好ましくは0.25〜0.90モルの範囲である。構造単位(B)のモル分率(B)/{(A)+(B)}は、構造単位(A)のモル分率から計算される。別の観点からは、構造単位(A)を全ての構造単位{(A)+(B)+(C)}の合計100モル%に対して、30〜90モル%含むことが好ましい。ジビニル芳香族化合物に由来する構造単位(A)は、耐熱性を発現させるための架橋成分としてのビニル基を含み、一方、モノビニル芳香族化合物に由来する構造単位(B)は、硬化反応に関与するビニル基を有しないため、成形性等を与える。したがって、構造単位(A)のモル分率が0.05に満たないと硬化物の耐熱性が不足し、0.95を超えると成形加工性が低下する。
本共重合体のMn(ここで、Mnはゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定される標準ポリスチレン換算の数平均分子量である)は、好ましくは300〜100,000であり、より好ましくは400〜50,000、更に好ましくは500〜10,000である。Mnが300未満であると本共重合体中に含まれるビニル基を有しない共重合体の量が増えるため、硬化物の耐熱性が低下し、また、Mnが100,000を超えると、ゲルが生成しやすくなり、また、粘度が高くなるため、成形加工性の低下を招く傾向にある。Mnと重量平均分子量Mwより求められる分子量分布(Mw/Mn)の値は100.0以下が好ましく、より好ましくは50.0以下、更に好ましくは1.5〜10.0である。最も好ましくは、1.5〜5.0である。Mw/Mnが100.0を超えると、共重合体の加工特性の悪化、ゲルの発生といった問題点を生ずる傾向にある。
本共重合体は、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジクロロエタン又はクロロホルムから選ばれる溶剤に可溶であるが、有利には上記溶剤のいずれにも可溶である。溶剤に可溶で、多官能な共重合体であるためには、ジビニルベンゼンのビニル基の一部は架橋せずに残存し適度な架橋度であることが必要である。
本共重合体は、上記末端基で末端が変性されているため、ポリフェニレンエーテルのようなエーテル系化合物及びエポキシ系化合物に対する相溶性が高い。したがって、硬化型エーテル系化合物及びエポキシ系化合物を含有する硬化性組成物は、均一硬化性に優れ、これを硬化してなる硬化物は、透明性に優れるものとなる。
次に、本発明の可溶性多官能ビニル芳香族共重合体を有利に製造することができる製造方法について説明する。本発明の可溶性多官能ビニル芳香族共重合体の製造方法を、「本発明の共重合体の製造方法」又は「本製造方法」と略称することもある。
本製造方法では、ジビニル芳香族化合物(a)、モノビニル芳香族化合物(b)及び芳香族系エーテル化合物(c)を反応させて共重合体を製造する。
ジビニル芳香族化合物(a)とモノビニル芳香族化合物(b)の使用量は、両者の合計100モル%に対し、ジビニル芳香族化合物(a)5〜95モル%、モノビニル芳香族化合物(b)95〜5モル%である。好ましくは、ジビニル芳香族化合物(a)15〜70モル%、モノビニル芳香族化合物(b)85〜30モル%である。構造単位(a)が5モル%未満だと硬化物の耐熱性が不足し、95モル%を超えると成形加工性が低下する。
ジビニル芳香族化合物(a)は共重合体を分岐させ、多官能とさせると共に、共重合体を熱硬化する際に耐熱性を発現させるための架橋成分として重要な役割を果たす。ジビニル芳香族化合物(a)の例としては、ジビニルベンゼン(m−異性体、p−異性体又はこれらの混合物)、ジビニルナフタレン(各異性体を含む)、ジビニルビフェニル(各異性体を含む)が好ましく使用されるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。成形加工性の観点から、より好ましくはジビニルベンゼン(m−異性体、p−異性体又はこれらの混合物)である。
モノビニル芳香族化合物(b)は、共重合体の溶剤可溶性及び加工性を改善する。モノビニル芳香族化合物(b)の例としては、スチレン、核アルキル置換モノビニル芳香族化合物、α−アルキル置換モノビニル芳香族化合物、β−アルキル置換スチレン、アルコキシ置換スチレン等があるが、これらに制限されるものではない。共重合体のゲル化を防ぎ、溶媒への溶解性、加工性の改善するために、特にスチレン、エチルビニルベンゼン(m−異性体、p−異性体又はこれらの混合物)、エチルビニルビフェニル(各異性体を含む)がコスト及び入手の容易さの観点から、好まれて使用される。誘電特性及び成形加工性の観点から、より好ましくはエチルビニルベンゼン(m−異性体、p−異性体又はこれらの混合物)である。
芳香族系エーテル化合物(c)は、上記式(5)で表わされる。ここで、式(5)におけるY及びZは、Y1がYから1つのHを取って生じる芳香族炭化水素基であることを除き、式(1)におけるY1及びZと同じ意味を有する。芳香族系エーテル化合物(c)は、重合反応時に重合活性種との間で連鎖移動反応を起こし、本発明の共重合体の末端に、接着性等の機能付与を可能にする上記式(1)で表わされる末端基を導入する役割を果たす化合物である。そこで、芳香族系エーテル化合物(c)を重合添加剤ともいうが、これは共重合体に上記の末端基(構造単位の一つである)を与えるので、単量体でもある。活性種であるカルボカチオンが芳香族系エーテル化合物(c)の水素を引き抜くことによって、成長ポリマー鎖に停止末端として芳香族系エーテル化合物(c)が導入されると同時に、引き抜かれた水素カチオンは重合活性種として、重合反応を進行させてゆく。
芳香族系エーテル化合物(c)としては、上記式(5)において、Yが炭素数6〜40の芳香族炭化水素基であり、Zが炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、又は炭素数6〜40の芳香族炭化水素基であれば、任意に選択することができる。好ましいYは、誘電特性と耐熱性が優れているという理由から、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、及びターフェニル基である。より好ましいYはフェニル基、及びナフチル基である。これらの芳香族炭化水素基(Y)は、置換基を有してもよく、置換基としては炭素数1〜12の炭化水素基、特に炭素数1〜6のアルキル基である。一方、好ましいZは、重合時の分子量の制御が容易であるという理由から、脂肪族炭化水素基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、芳香族炭化水素基としてはフェニル基、ビフェニル基、及び、ナフチル基である。より好ましいZは、メチル基、エチル基、ブチル基、及び、フェニル基である。Zが芳香族炭化水素基である場合、置換基を有してもよく、置換基としては炭素数1〜12の炭化水素基、特に炭素数1〜6のアルキル基である。
具体的には、反応性、入手の容易性、成形性の観点から、アニソール、プロポキシベンゼン、ブトキシベンゼン、メトキシナフタレン、メトキシビフェニル、及びビフェニルエーテルが好ましく使用される。反応速度の観点から、アニソール、ブトキシベンゼン、及びメトキシナフタレンがより好ましく用いられる。
芳香族系エーテル化合物(c)は、0.005≦(c)/{(a)+(b)}<5.0のモル比を満たすことが好ましい。より好ましくは0.01〜1.5、さらに好ましくは0.05〜1.0である。0.005モル未満であると、分子量及び分子量分布が増大し、成形加工性が悪化する。また、5.0を超えて使用すると、重合速度が著しく低下し、生産性が低下する他、誘電特性が悪化する。芳香族系エーテル化合物(c)は、重合反応の際、重合活性種であるカルボカチオンと反応して上記末端基を形成させて成長を停止させる。芳香族系エーテル化合物(c)に由来する末端基の導入量を共重合体の説明でした範囲とするようにその使用量及び反応条件を選定する。
また、本発明の共重合体の製造方法では、本発明の効果を損なわない範囲で、ジビニル芳香族化合物(a)、モノビニル芳香族化合物(b)及び芳香族系エーテル化合物(c)の他に、トリビニル芳香族化合物、トリビニル脂肪族化合物やジビニル脂肪族化合物及びモノビニル脂肪族化合物等のその他の単量体(e)を使用し、この単位を共重合体中に導入することができる。
他の単量体(e)の具体例としては、1,3,5−トリビニルベンゼン、1,3,5−トリビニルナフタレン、1,2,4−トリビニルシクロへキサン、エチレングリコールジアクリレート、ブタジエン等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。他の単量体(e)は、全単量体の30モル%未満の範囲内で使用されることがよい。それにより、他の単量体(e)に由来する構造単位は、共重合体中の構造単位の総量に対して30モル%未満の範囲内とされる。なお、全単量体というときは、ジビニル芳香族化合物(a)、モノビニル芳香族化合物(b)、芳香族系エーテル(c)及び他の単量体(e)の合計である。また、本共重合体において他の単量体(e)を含まない場合は、ジビニル芳香族化合物(a)、モノビニル芳香族化合物(b)及び芳香族系エーテル(c)の合計である。
重合反応は、ジビニル芳香族化合物(a)、モノビニル芳香族化合物(b)及び芳香族系エーテル化合物(c)を、触媒(d)を使用し、必要に応じて他の単量体(e)を添加し、これらを含む重合原料類を誘電率2.0〜15.0の溶媒に溶解させた均一溶媒中、20〜120℃の温度でカチオン共重合させて末端変性共重合体を得る。ここで、得られる末端変性共重合体は、上記末端基を1.0(個/分子)以上有し、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジクロロエタン又はクロロホルムに可溶である共重合体である。
触媒(d)としては、ルイス酸触媒、無機強酸及び有機スルホン酸からなる群から選ばれる一種以上が使用される。
ルイス酸触媒としては、金属イオン(酸)と配位子(塩基)からなる化合物であって、電子対を受け取ることのできるものであれば特に制限なく使用できる。ルイス酸触媒の中でも得られる共重合体の耐熱分解性の観点から、特にB、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Ti、W、Zn、Fe及びV等の2〜6価の金属フッ化物又はその錯体(エーテル錯体、フェノール錯体等)が好ましい。また、無機強酸としては、硫酸、塩酸、リン酸などを挙げることができる。有機スルホン酸の具体例としては、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等を挙げることができる。これらの触媒は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。より好ましくは、得られる共重合体の分子量及び分子量分布の制御及び重合活性の観点から、上記金属フッ化物又はその錯体であり、三フッ化ホウ素のエーテル(ジエチルエーテル、ジメチルエーテル等)錯体が最も好ましく使用される。
触媒(d)は、芳香族系エーテル化合物(c)1モルに対して0.001〜10モルの範囲内で用いることが好ましく、より好ましくは0.001〜1モルである。10モルを越えると、重合速度が大きくなりすぎるため、分子量分布の制御が困難となるばかりでなく、式(1)の末端基の導入量が減少する傾向にある。
本発明の末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体の製造方法では、所望により芳香族系エーテル化合物(c)以外のエステル化合物から選ばれる1種以上の助触媒(f)を使用することができる。助触媒(f)は、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルが挙げられる。その場合、助触媒(f)は芳香族系エーテル化合物(c)に対し、300wt%未満の範囲内で使用することができ、より好ましくは200wt%未満である。最も好ましくは。100wt%未満である。助触媒(f)の合計の使用量が芳香族系エーテル化合物(c)に対して300wt%を超えると、重合速度が減少し、共重合体の収率が低下するので好ましくない。芳香族系エーテル化合物(c)と助触媒(f)を併用することで、重合系全体の極性をコントロールすることが容易となり、重合度に影響する溶媒の誘電率を最適化し、重合活性種の反応性を制御することができる。この結果、本共重合体の分子量及び分子量分布を制御することができるのである。
また、重合反応は、生成する本共重合体を溶解する溶媒として、誘電率が2〜15である1種以上の有機溶媒中で行われる。有機溶媒としては、カチオン重合を本質的に阻害しない化合物であり、かつ触媒、重合添加剤、助触媒、単量体及び多官能ビニル芳香族共重合体を溶解して、均一溶液を形成するものである。有機溶媒は誘電率が2〜15の範囲内であれば特に制限はなく、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。溶媒の誘電率が2未満であると、分子量分布が広くなるため好ましくなく、15を超えると重合速度が著しく低下する。
有機溶媒としては、重合活性、溶解性のバランスの観点からトルエン、キシレン、n−へキサン、シクロへキサン、メチルシクロへキサン及びエチルシクロへキサンが特に好ましい。また、溶媒の使用量は、得られる重合溶液の粘度や除熱の容易さを考慮して、重合終了時において重合溶液中の共重合体の濃度が1〜90wt%、好ましくは10〜80wt%、特に好ましくは20〜70wt%となるように決定される。この濃度が1wt%に満たない場合は、重合効率が低いことに起因して、コストの増大を招き、90wt%を越えると、分子量及び分子量分布が増大し、成形加工性の低下を招く。
本共重合体を製造する際、20〜120℃の温度で重合させることが好ましい。より好ましくは、40〜100℃である。重合温度が120℃を超えると、反応の選択性が低下するため、分子量分布の増大やゲルの発生といった問題点が生じ、20℃未満で重合を行うと、触媒活性が著しく低下するので、多量の触媒を添加する必要が生じる傾向にある。
重合反応停止後、共重合体を回収する方法は特に限定されず、例えば、加熱下の減圧脱揮、スチームストリッピング法、貧溶媒での析出などの通常用いられる方法を用いればよい。
次に、本発明の硬化性組成物について説明する。
本発明の硬化性組成物は、末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体(XA)とラジカル重合開始剤(ラジカル重合触媒ともいう。)(XB)とを含有する。ラジカル重合開始剤(XB)としては、例えば、本発明の樹脂組成物は後述するように加熱等の手段により架橋反応を起こして硬化するが、その際の反応温度を低くしたり、不飽和基の架橋反応を促進する目的でラジカル重合開始剤(XB)を含有させて使用してもよい。この目的で用いられるラジカル重合開始剤の量は(XA)成分と(XB)成分の和を基準として0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜8重量%である。ラジカル重合開始剤はラジカル重合触媒であるので、以下ラジカル重合開始剤で代表する。
ラジカル重合開始剤は、公知の物質が用いられる。代表的な例を挙げると、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)パーオキサイド、トリメチルシリルトリフェニルシリルパーオキサイド等の過酸化物があるがこれらに限定されない。また過酸化物ではないが、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンもラジカル重合開始剤(又は重合触媒)として使用できる。しかし、本樹脂組成物の硬化に用いられる触媒、ラジカル重合開始剤はこれらの例に限定されない。
ラジカル重合開始剤の配合量は、末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体(XA)に対し、0.01〜10重量部の範囲であれば、硬化反応を阻害することなく良好に反応が進行する。
また、末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体(XA)含有硬化性組成物に、必要に応じて、本発明の末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体(XA)と共重合可能な他の重合性モノマーを配合して硬化させてもよい。
共重合可能な重合性モノマーは、公知の物質が用いられる。代表的な例を挙げると、スチレン、スチレンダイマー、アルファメチルスチレン、アルファメチルスチレンダイマー、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロロスチレン、ジブロモスチレン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル、アセナフチレン、ジビニルベンジルエーテル、アリルフェニルエーテル等を挙げることができる。こうした低分子量の重合性モノマーを、本発明の共重合体(XA)による効果を阻害しない範囲で、反応性希釈剤として添加することにより、例えば硬化性樹脂組成物の粘度を下げて成形加工性を向上させたり、低コスト化することができる。なお、ジビニル芳香族化合物(a)やモノビニル芳香族化合物(b)のモノマー成分を、残存揮発分として例えば数%〜20%の範囲で残し、こうした未反応モノマーを反応性希釈剤として利用してもよい。
また、本発明の末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体(XA)を含む硬化性組成物には、既知の熱硬化性樹脂、例えば、ビニルエステル樹脂、ポリビニルベンジル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、硬化型ビニル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、マレイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリシアナート樹脂、フェノール樹脂等や、既知の熱可塑性樹脂、例えば、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルホン、PPS樹脂、ポリシクロペンタジエン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂等や、あるいは、既知の熱可塑性エラストマー、例えば、スチレン−エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、水添スチレン−ブタジエン共重合体、水添スチレン−イソプレン共重合体等やあるいはゴム類、例えばポリブタジェン、ポリイソプレンと配合することも可能である。
本発明の硬化性組成物は、末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体(XA)、及び、ラジカル重合開始剤(XB)を含む硬化性組成物に、変性ポリフェニレンエーテル、特に末端に少なくとも1つのフェノール性水酸基、ビニル基、メタクリル基又はアクリル基を有する変性ポリフェニレンエーテルを含有してもよい。
また、変性ポリフェニレンエーテルの数平均分子量は、特に限定されないが、800〜7000であることが好ましく、1000〜5000であることがより好ましい。1000〜3000であることが最も好ましい。また、nは、上述したように、50以下の正の整数であるが、変性ポリフェニレンエーテルの数平均分子量がこのような範囲内になるような数値であることが好ましい。具体的には、1〜50であることが好ましい。なお、ここで、数平均分子量は、一般的な分子量測定方法で測定したものであればよく、具体的には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した値等が挙げられる。
変性ポリフェニレンエーテルの数平均分子量がこのような範囲内であると、得られた硬化性組成物の硬化物の靱性と成形性がより高いものとなる。このことは、変性ポリフェニレンエーテルの数平均分子量がこのような範囲内であると、比較的低分子量のものであるので、靱性を維持しながら、流動性が改良されることによる。通常のポリフェニレンエーテルでは、このような低い分子量のものを使用した場合、硬化物の耐熱性と靱性が低下する傾向がある。しかし、本実施態様で用いる変性ポリフェニレンエーテルは、末端に重合性の不飽和二重結合を有するので、ビニル系の熱架橋型硬化性樹脂とともに硬化させることによって、変性ポリフェニレンエーテルと熱架橋型硬化性樹脂との架橋が好適に進行し、硬化物の耐熱性と靱性が充分に高いものが得られる。よって、得られた硬化性組成物の硬化物は、耐熱性及び靱性のともに優れたものが得られることとなる。
本発明の硬化性組成物は、異種材料間の接着信頼性向上という理由から、末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体(XA)、及び、ラジカル重合開始剤(XB)を含む硬化性組成物に、エポキシ樹脂(XD)及び硬化剤(XE)を含有することを特徴とする硬化性組成物も好適な実施態様である。
(XD)成分のエポキシ樹脂としては、特に制限はないが、エポキシ樹脂としては1分子中に2以上のエポキシ基と芳香族構造を有するエポキシ樹脂、1分子中に2以上のエポキシ基とシアヌレート構造を有するエポキシ樹脂及び/又は1分子中に2以上のエポキシ基と脂環構造を有するエポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上のエポキシ樹脂を使用することが好ましい。(XD)成分としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、キシリレン変性フェノールノボラック型エポキシ樹脂、キシリレン変性アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、シクロヘキサン型エポキシ樹脂及びアダマンタン型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上のエポキシ樹脂であることがより好ましい。
(XD)成分として使用されるビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、例えば、例えば、4,4’‐メチレンビス(2,6‐ジメチルフェノール)のジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂、4,4’‐メチレンビス(2,3,6‐トリメチルフェノール)のジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂、4,4’‐メチレンビスフェノールのジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂が挙げられる。なかでも4,4’‐メチレンビス(2,6‐ジメチルフェノール)のジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂が好ましい。前記ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては市販品として新日鉄住金化学株式会社製商品名YSLV‐80XYとして入手可能である。
ビフェニル型エポキシ樹脂としては、4,4’−ジグリシジルビフェニル、及び4,4’−ジグリシジル−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル等のエポキシ樹脂が挙げられる。前記ビフェニル型エポキシ樹脂としては市販品として三菱化学株式会社製商品名YX−4000、YL−6121Hとして入手可能である。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、ジシクロペンタジエンジオキシド、及びジシクロペンタジエン骨格を有するフェノールノボラックエポキシモノマー等が挙げられる。
ナフタレン型エポキシ樹脂としては、1,2−ジグリシジルナフタレン、1,5−ジグリシジルナフタレン、1,6−ジグリシジルナフタレン、1,7−ジグリシジルナフタレン、2,7−ジグリシジルナフタレン、トリグリシジルナフタレン、及び1,2,5,6−テトラグリシジルナフタレン、ナフトール・アラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格変性クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、メトキシナフタレン変性クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、メトキシナフタレンジメチレン型エポキシ樹脂等の変性ナフタレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、アダマンタン型エポキシ樹脂としては、1−(2,4−ジグリシジルオキシフェニル)アダマンタン、1−(2,3,4−トリグリシジルオキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(2,4−ジグリシジルオキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(2,3,4−トリグリシジルオキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(2,4−ジグリシジルオキシフェニル)アダマンタン、1−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)アダマンタン、及び、2,2−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)アダマンタンなどを挙げることができる。
上記のエポキシ樹脂の内、(XA)成分との相溶性、誘電特性、及び、成形品の反りの小ささの観点から、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、キシリレン変性フェノールノボラック型エポキシ樹脂、キシリレン変性アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、アダマンテン型エポキシ樹脂が好適に使用される。
(XD)成分として使用するエポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は1万未満であることが好ましい。より好ましいMwは、600以下であり、さらに好ましくは200以上550以下である。Mwが200未満の場合、(B)成分の揮発性が高くなり、キャストフィルム・シートの取扱い性が悪くなる傾向にある。一方で、Mwが1万を超えると、キャストフィルム・シートが固くかつ脆くなりやすく、キャストフィルム・シートの硬化物の接着性が低下する傾向にある。
B成分は何でしょうか?
(XD)成分の含有量は、(XA)成分100重量部に対して、下限が5重量部であり、かつ上限が100重量部であることが好ましい。より好ましくは、(XA)成分100重量部に対して、(XD)成分の含有量のより好ましい下限は10重量部である。一方、より好ましい上限は80重量部、更に好ましい上限は60重量部である。(XD)成分の含有量が上記好ましい下限を満たすと、キャストフィルム・シートの硬化物の接着性をより一層高めることができる。(XD)成分の含有量が上記好ましい上限を満たすと、未硬化状態でのキャストフィルム・シートのハンドリング性がより一層高くなり、ガラスクロスとの密着性が改良され、信頼性が高くなる。
(XE)成分の硬化剤は、フェノール樹脂、又は芳香族骨格もしくは脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物、該酸無水物の変性物、水酸基末端ポリフェニレンエーテルオリゴマー、及び、活性エステル化合物であることが好ましい。これらの好ましい硬化剤の使用により、耐熱性、耐湿性及び誘電特性のバランスに優れた硬化物となる硬化性組成物を得ることができる。
(XE)成分の硬化剤として使用されるフェノール樹脂は特に限定されない。上記フェノール樹脂の具体例としては、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾール、ポリパラビニルフェノール、ビスフェノールA型ノボラック、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェニル型フェノールノボラック樹脂、ビフェニル型ナフトールノボラック樹脂、デカリン変性ノボラック、ポリ(ジ−o−ヒドロキシフェニル)メタン、ポリ(ジ−m−ヒドロキシフェニル)メタン、及びポリ(ジ−p−ヒドロキシフェニル)メタン等が挙げられる。なかでも、絶縁シートの柔軟性及び難燃性をより一層高めることができるので、メラミン骨格を有するフェノール樹脂、トリアジン骨格を有するフェノール樹脂、又はアリル基を有するフェノール樹脂が好ましい。
上記フェノール樹脂の市販品としては、MEH−8005、MEH−8010及びNEH−8015(以上いずれも明和化成社製)、YLH903(ジャパンエポキシレジン社製)、LA―7052、LA−7054、LA−7751、LA−1356及びLA−3018−50P(以上いずれもDIC社製)、並びにPS6313及びPS6492(群栄化学社製)等が挙げられる。
(XE)成分の硬化剤として使用される芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物についても、特に構造は限定されない。芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物としては、例えば、スチレン/無水マレイン酸コポリマー、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ピロメリット酸無水物、トリメリット酸無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、フェニルエチニルフタル酸無水物、グリセロールビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテート、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、及びトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、又は、ジシクロペンタジエン骨格を有する酸無水物もしくは該酸無水物の変性物等が挙げられる。
上記芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物の市販品としては、SMAレジンEF30、SMAレジンEF40、SMAレジンEF60及びSMAレジンEF80(以上いずれもサートマー・ジャパン社製)、ODPA−M及びPEPA(以上いずれもマナック社製)、リカジットMTA−10、リカジットMTA−15、リカジットTMTA、リカジットTMEG−100、リカジットTMEG−200、リカジットTMEG−300、リカジットTMEG−500、リカジットTMEG−S、リカジットTH、リカジットHT−1A、リカジットHH、リカジットMH−700、リカジットMT−500、リカジットDSDA及びリカジットTDA−100(以上いずれも新日本理化社製)、並びにEPICLON B4400、EPICLON B650、及びEPICLON B570(以上いずれもDIC社製)等が挙げられる。
上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物は、多脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物、又はテルペン系化合物と無水マレイン酸との付加反応により得られる脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物であることが好ましい。この場合には、絶縁シートの柔軟性、耐湿性又は接着性をより一層高めることができる。また、上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物としては、メチルナジック酸無水物、ジシクロペンタジエン骨格を有する酸無水物又は該酸無水物の変性物等も挙げられる。
上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物の市販品としては、リカジットHNA及びリカジットHNA−100(以上いずれも新日本理化社製)、並びにエピキュアYH306、エピキュアYH307、エピキュアYH308H及びエピキュアYH309(以上いずれもジャパンエポキシレジン社製)等が挙げられる。
(XE)成分としては、水酸基末端ポリフェニレンエーテルオリゴマーを使用することもできる。また、(XE)成分として使用される活性エステル化合物は、活性エステル基を有するものであればよいが、本発明においては、分子内に少なくとも2つの活性エステル基を有する化合物が好ましい。活性エステル化合物は、エポキシ樹脂(XD)の硬化剤として作用する。
(XE)成分として使用される活性エステル化合物としては、耐熱性等の観点から、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物と、ヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物とを反応させたものから得られる活性エステル化合物が好ましく、カルボン酸化合物と、フェノール化合物、ナフトール化合物及びチオール化合物からなる群から選択される1種又は2種以上とを反応させたものから得られる活性エステル化合物がより好ましく、本発明においては、カルボン酸化合物とフェノール性水酸基を有する芳香族化合物とを反応させたものから得られ、かつ、分子内に少なくとも2つの活性エステル基を有する芳香族化合物が特に好ましい。(XE)成分として使用される活性エステル化合物は、直鎖状または多分岐状であってもよく、活性エステル化合物が、少なくとも2つのカルボン酸を分子内に有する化合物に由来する場合を例示すると、このような少なくとも2つのカルボン酸を分子内に有する化合物が、脂肪族鎖を含む場合には、エポキシ樹脂との相溶性を高くすることができ、また、芳香族環を有する場合には、耐熱性を高くすることができる。
活性エステル化合物を形成するためのカルボン酸化合物の具体例としては、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。これらのなかでも、耐熱性の観点より、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸がより好ましく、イソフタル酸、テレフタル酸がさらに好ましい。
活性エステル化合物を形成するためのチオカルボン酸化合物の具体例としては、チオ酢酸、チオ安息香酸等が挙げられる。
活性エステル化合物を形成するためのフェノール化合物及びナフトール化合物の具体例としては、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。これらのなかでも耐熱性、溶解性の観点から、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックが好ましく、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックがより好ましく、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックがさらに好まし好ましい。
活性エステル化合物を形成するためのチオール化合物の具体例としては、ベンゼンジチオール、トリアジンジチオール等が挙げられる。
本発明において、活性エステル化合物としては、たとえば、特開2002−12650号公報及び特開2004−277460号公報に開示されている活性エステル化合物、あるいは、市販のものを用いることができる。市販されている活性エステル化合物としては、たとえば、商品名「EXB9451、EXB9460、EXB9460S、HPC−8000−65T」(以上、DIC社製)、商品名「DC808」(ジャパンエポキシレジン社製)、商品名「YLH1026」(ジャパンエポキシレジン社製)などが挙げられる。
活性エステル化合物の製造方法は特に限定されず、公知の方法により製造することができるが、たとえば、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得ることができる。
本発明の硬化性組成物中における、活性エステル化合物(XE)の配合量は、エポキシ樹脂(XD)100重量部に対して、好ましくは、20〜120重量部、より好ましくは40〜100重量部、さらに好ましくは50〜90重量部の範囲である。活性エステル化合物(XE)の配合量を上記範囲とすることにより、硬化物としての誘電特性、及び耐熱性、線膨張係数を向上させることができる。
本発明の(XE)成分として使用される硬化剤としては、本発明の(XA)成分との相溶性と耐湿性、接着性の観点から、o−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾール、ポリパラビニルフェノール、キシリレン変性ノボラック、ポリ(ジ−o−ヒドロキシフェニル)メタン、ポリ(ジ−m−ヒドロキシフェニル)メタン、ポリ(ジ−p−ヒドロキシフェニル)メタン、メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、又は、ジシクロペンタジエン骨格を有する酸無水物もしくは該酸無水物の変性物、水酸基末端ポリフェニレンエーテルオリゴマー、及び、活性エステル化合物であることがより好ましい。
本発明の末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体(XA)を含む硬化性組成物には、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミ等の無機質充填材、デカブロモジフェニルエタン、臭素化ポリスチレン等の難燃性付与剤を併用することにより、誘電特性や難燃性あるいは耐熱性が要求される電気又は電子部品材料、とりわけ半導体封止材料や回路基板用ワニスとして特に有用に使用できる。
回路基板材料用ワニスは、本発明のジビニルベンジルエーテル化合物を含む硬化性組成物をトルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン等の有機溶剤に溶解させることにより製造することができる。なお、前記回路基板材料は、具体的には、プリント配線基板、プリント回路板、フレキシブルプリント配線板、ビルドアップ配線板等が挙げられる。
本発明の末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体(XA)を含む硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物は成型物、積層物、注型物、接着剤、塗膜、フィルムとして使用できる。例えば、半導体封止材料の硬化物は注型物又は成型物であり、かかる用途の硬化物を得る方法としては、該化合物を注型、或いはトランスファ−成形機、射出成形機などを用いて成形し、さらに80〜230℃で0.5〜10時間に加熱することにより硬化物を得ることができる。また、回路基板用ワニスの硬化物は積層物であり、この硬化物を得る方法としては、回路基板用ワニスをガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱乾燥してプリプレグを得て、それを単独同士で、あるいは銅箔等の金属箔と積層し熱プレス成形して得ることができる。
また、チタン酸バリウム等の無機の高誘電体粉末、あるいはフェライト等の無機磁性体を配合することにより電子部品用材料、特に高周波電子部品材料として有用である。
また、本発明の硬化性組成物は、後述する硬化複合材料と同様、金属箔(金属板を含む意味である。以下、同じ。)と張り合わせて用いることができる。
次に、本発明の硬化性組成物の硬化性複合材料とその硬化体について説明する。本発明の硬化性組成物による硬化性複合材料には、機械的強度を高め、寸法安定性を増大させるために基材を加える。
このような基材としては、公知の物が用いられるが、例えば、ロービングクロス、クロス、チョップドマット、サーフェシングマットなどの各種ガラス布、アスベスト布、金属繊維布及びその他合成若しくは天然の無機繊維布、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリベンゾザール繊維等の液晶繊維から得られる織布又は不織布、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維などの合成繊維から得られる織布又は不織布、綿布、麻布、フェルトなどの天然繊維布、カーボン繊維布、クラフト紙、コットン紙、紙ーガラス混繊紙などの天然セルロース系布などの布類、紙類等がそれぞれ単独で、あるいは2種以上併せて用いられる。
基材の占める割合は、硬化性複合材料中に5〜90wt%、好ましくは10〜80wt%、更に好ましくは20〜70wt%であることがよい。基材が5wt%より少なくなると複合材料の硬化後の寸法安定性や強度が不十分であり、また基材が90wt%より多くなると複合材料の誘電特性が劣り好ましくない。
本発明の硬化性複合材料には、必要に応じて樹脂と基材の界面における接着性を改善する目的でカップリング剤を用いることができる。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤等一般のものが使用できる。
本発明の硬化性複合材料を製造する方法としては、例えば、本発明の硬化性組成物と必要に応じて他の成分を前述の芳香族系、ケトン系等の溶媒若しくはその混合溶媒中に均一に溶解又は分散させ、基材に含浸させた後、乾燥する方法が挙げられる。含浸は浸漬(ディッピング)、塗布等によって行われる。含浸は必要に応じて複数回繰り返すことも可能であり、またこの際、組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて含浸を繰り返し、最終的に希望とする樹脂組成及び樹脂量に調整することも可能である。
本発明の硬化性複合材料を、加熱等の方法により硬化することによって硬化複合材料が得られる。その製造方法は特に限定されるものではなく、例えば硬化性複合材料を複数枚重ね合わせ、加熱加圧下に各層間を接着せしめると同時に熱硬化を行い、所望の厚みの硬化複合材料を得ることができる。また、一度接着硬化させた硬化複合材料と硬化性複合材料を組み合わせて新たな層構成の硬化複合材料を得ることも可能である。積層成形と硬化は、通常熱プレス等を用い同時に行われるが、両者をそれぞれ単独で行ってもよい。すなわち、あらかじめ積層成形して得た未硬化あるいは半硬化の複合材料を、熱処理又は別の方法で処理することによって硬化させることができる。
成形及び硬化は、温度:80〜300℃、圧力:0.1〜1000kg/cm2、時間:1分〜10時間の範囲、より好ましくは、温度:150〜250℃、圧力1〜500kg/cm2、時間:1分〜5時間の範囲で行うことができる。
本発明の積層体とは、本発明の硬化複合材料の層と金属箔の層より構成されるものである。ここで用いられる金属箔としては、例えば銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。その厚みは特に限定されないが、3〜200μm、より好ましくは3〜105μmの範囲である。
本発明の積層体を製造する方法としては、例えば上で説明した本発明の硬化性組成物と基材から得た硬化性複合材料と、金属箔を目的に応じた層構成で積層し、加熱加圧下に各層間を接着せしめると同時に熱硬化させる方法を挙げることができる。本発明の硬化性組成物の積層体においては、硬化複合材料と金属箔が任意の層構成で積層される。金属箔は表層としても中間層としても用いることができる。上記の他、積層と硬化を複数回繰り返して多層化することも可能である。
金属箔との接着には接着剤を用いることもできる。接着剤としては、エポキシ系、アクリル系、フェノール系、シアノアクリレート系等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。上記の積層成形と硬化は、本発明の硬化複合材料の製造と同様の条件で行うことができる。
本発明のフィルムとは、本発明の硬化性組成物をフィルム状に成形したものである。その厚みは特に限定されないが、3〜200μm、より好ましくは5〜105μmの範囲である。
本発明のフィルムを製造する方法としては特に限定されることはなく、例えば硬化性組成物と必要に応じて他の成分を芳香族系、ケトン系等の溶媒若しくはその混合溶媒中に均一に溶解又は分散させ、PETフィルムなどの樹脂フィルムに塗布した後乾燥する方法などが挙げられる。塗布は必要に応じて複数回繰り返すことも可能であり、またこの際組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて塗布を繰り返し、最終的に希望とする樹脂組成及び樹脂量に調整することも可能である。
本発明の樹脂付き金属箔とは本発明の硬化性組成物と金属箔より構成されるものである。ここで用いられる金属箔としては、例えば銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。その厚みは特に限定されないが、金属箔の厚みが3〜200μm、より好ましくは5〜105μmの範囲である。
本発明の樹脂付き金属箔を製造する方法としては特に限定されることはなく、例えば硬化性組成物と必要に応じて他の成分を芳香族系、ケトン系等の溶媒若しくはその混合溶媒中に均一に溶解又は分散させ、金属箔に塗布した後乾燥する方法が挙げられる。塗布は必要に応じて複数回繰り返すことも可能であり、またこの際、組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて塗布を繰り返し、最終的に希望とする樹脂組成及び樹脂量に調整することも可能である。
本発明の末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体は、成形材、シート又はフィルムに加工することができ、電気産業、宇宙・航空機産業等の分野において低誘電率、低吸水率、高耐熱性等の特性を満足できる低誘電材料、絶縁材料、耐熱材料、構造材料等に用いることができる。特に片面、両面、多層プリント基板、フレキシブルプリント基板、ビルドアップ基板等として用いることができる。さらに、半導体関連材料又は光学用材料、更には、塗料、感光性材料、接着剤、汚水処理剤、重金属捕集剤、イオン交換樹脂、帯電防止剤、酸化防止剤、防曇剤、防錆剤、防染剤、殺菌剤、防虫剤、医用材料、凝集剤、界面活性剤、潤滑剤、固体燃料用バインダー、導電処理剤等への適用が可能である。更に光学用部品としては、CD用ピックアップレンズ、DVD用ピックアップレンズ、Fax用レンズ、LBP用レンズ、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、マイクロレンズアレイ、オリゴンミラー、プリズム等が挙げられる。 また、本発明の硬化性組成物は、厳しい熱履歴後も高度の誘電特性(低誘電率・低誘電正接)を有し、かつ、厳しい環境下に於いても、高い密着信頼性を有する硬化物を与え、かつ、樹脂流動性に優れ、低線膨張で、配線埋め込み平坦性に優れている。そのため、電気・電子産業、宇宙・航空機産業等の分野において、誘電材料、絶縁材料、耐熱材料、構造材料等として、近年、強く求められている小型・薄型化に対応して反り等の成形不良現象のない硬化成形品を提供することができる。更に、配線埋め込み平坦性と異種材料との密着性に優れることに由来して、信頼性に優れる樹脂組成物、硬化物又はこれを含む材料を実現できる。
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらにより制限されるものではない。なお、各実施例中の部はいずれも重量部である。また、実施例中の軟化温度等の測定は以下に示す方法により試料調製及び測定を行った。
1)分子量及び分子量分布
本の分子量及び分子量分布測定はGPC(東ソー製、HLC−8120GPC)を使用し、溶媒にテトラヒドロフラン、流量1.0ml/min、カラム温度38℃、単分散ポリスチレンによる検量線を用いて行った。
2)本共重合体の構造
日本電子製JNM−LA600型核磁気共鳴分光装置を用い、13C−NMR及びH−NMR分析により決定した。溶媒としてクロロホルム−dを使用し、テトラメチルシランの共鳴線を内部標準として使用した。
3)末端基の導入量(c1)の算出
上記のGPC測定より得られる数平均分子量とH−NMR測定と元素分析の結果より得られるモノマー総量に対する末端基を導入するために使用した誘導体量とから、本共重合体1分子中に含まれる末端基の導入量(c1)を算出した。
4)硬化物のガラス転移温度(Tg)及び軟化温度測定の試料調製及び測定
乾燥後の厚さが20μmになるように、ガラス基板に本重合体溶液を均一に塗布し、ホットプレートを用いて90分で30分間加熱し、乾燥させた。ガラス基板とともに得られた樹脂膜はTMA(熱機械分析装置)にセットし、窒素気流下、昇温速度10℃/分で220℃まで昇温し、更に220℃で20分間加熱処理することにより残存する溶媒を除去するとともに本重合体を硬化した。ガラス基板を室温まで放冷した後、TMA測定装置中の試料に分析用プローブを接触させ、窒素気流下、昇温速度10℃/分で30℃から360℃までスキャン測定を行い、接線法で軟化温度を求めた。
5)耐熱性評価及び耐熱変色性の測定
本共重合体の耐熱性評価は、試料をTGA(熱天秤)測定装置にセットし、窒素気流下、昇温速度10℃/分で30℃から400℃までスキャンさせることにより測定を行い、350℃における重量減少を耐熱性として求めた。一方、耐熱変色性の測定は、本共重合体6.0g、ジビニルビフェニル4.0g、及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製、パーブチルO)0.02gを混合し、窒素気流下で200℃、1時間加熱し、硬化物を得た。そして、得られた硬化物の変色量を目視にて確認し、○:熱変色なし、△:淡黄色、×:黄色に分類することにより耐熱変色性の評価を行った。
6)相溶性の測定
本共重合体のエポキシ樹脂との相溶性の測定は、試料5.0gをエポキシ樹脂(液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂:ジャパンエポキシレジン社製、エピコート828)3.0g、及び、フェノール樹脂(メラミン骨格系フェノール樹脂:群栄化学工業社製、PS−6492)2.0gをメチルエチルケトン(MEK)10gに溶解させ、溶解後の試料の透明性を目視にて確認し、○:透明、△:半透明、×:不透明もしくは溶解せず、に分類することにより相溶性の評価を行った。
実施例1
ジビニルベンゼン(1,4-ジビニルベンゼン及び1,3−ジビニルベンゼンの混合物、以下の例も同様) 4.37モル(630.2mL)、エチルビニルベンゼン(1-エチル-4-ビニルベンゼン、及び1−エチル−3−ビニルベンゼンの混合物、以下の例も同様) 3.34モル(457.5mL)、アニソール 6.90モル(749.9mL)、トルエン 345mLを3.0Lの反応器内に投入し、50℃で103.5ミリモル(13.0mL)の三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体を添加し、5時間反応させた。重合溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で停止させた後、純水で3回油層を洗浄し、60℃で減圧脱揮し、重合体を回収した。得られた重合体を秤量して、共重合体A 945.3gが得られたことを確認した。
得られた共重合体AのMnは624、Mwは2360、Mw/Mnは3.79であり、ランダム共重合体であった。13C‐NMR及びH‐NMR分析を行うことにより、共重合体Aのチャートには、式(11)で表される主鎖末端にアニソール由来のベンゼン環が結合した末端基の共鳴線が観察された。なお、式(11)において、x, yはそれぞれ共重合体の構造単位のモル分率を示す。
Figure 2016190899
元素分析結果と標準ポリスチレン換算の数平均分子量から算出される可溶性多官能ビニル芳香族重合体のアニソール由来の構造単位の導入量(c1)は1.6(個/分子)であった。また、ジビニルベンゼン由来の構造単位を61.3モル%及びエチルビニルベンゼン由来の構造単位を合計38.7モル%含有していた(末端構造単位を除く)。共重合体A中に含まれるビニル基含有量は、34.8モル%であった(末端構造単位を除く)。
また、硬化物のTMA測定の結果、明確なTgは観察されなかった、軟化温度は300℃以上であった。TGA測定の結果、350℃における重量減少は3.70wt%、耐熱変色性は○であった。一方、エポキシ樹脂との相溶性は○であった。
共重合体Aはトルエン、キシレン、THF、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルムに可溶であり、ゲルの生成は認められなかった。
実施例2
ジビニルベンゼン 4.37モル(630.2mL)、エチルビニルベンゼン 3.34モル(457.5mL)、1−メトキシナフタレン 6.90モル(994.8g)、トルエン 345mLを3.0Lの反応器内に投入し、50℃で103.5ミリモル(13.0mL)の三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体を添加し、5時間反応させた。重合溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で停止させた後、純水で3回油層を洗浄し、油層と水層を分離した後、油層より、メタノールを使用して未反応物を抽出し、重合体を回収した。得られた重合体を秤量して、共重合体B 943.6gが得られたことを確認した。
得られた共重合体BのMnは871、Mwは3670、Mw/Mnは4.21であり、ランダム共重合体であった。13C‐NMR及びH‐NMR分析を行うことにより、共重合体Bのチャートには、式(12)で表される主鎖末端に1−メトキシナフタレン由来のナフタレン環が結合した末端基の共鳴線が観察された。なお、式(12)において、w, zはそれぞれ共重合体の構造単位のモル分率を示す。
Figure 2016190899
元素分析結果と標準ポリスチレン換算の数平均分子量から算出される可溶性多官能ビニル芳香族重合体の1−メトキシナフタレン由来の構造単位の導入量(c1)は1.8(個/分子)であった。また、ジビニルベンゼン由来の構造単位を60.6モル%及びエチルビニルベンゼン由来の構造単位を合計39.4モル%含有していた(末端構造単位を除く)。共重合体B中に含まれるビニル基含有量は、35.3モル%であった(末端構造単位を除く)。
また、硬化物のTMA測定の結果、明確なTgは観察されなかった、軟化温度は300℃以上であった。TGA測定の結果、350℃における重量減少は3.61wt%、耐熱変色性は○であった。一方、エポキシ樹脂との相溶性は○であった。
共重合体Bはトルエン、キシレン、THF、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルムに可溶であり、ゲルの生成は認められなかった。
比較例1
ジビニルベンゼン2.03モル(288.5mL)、エチルビニルベンゼン0.084モル(12.0mL)、スチレン2.11モル(241.7mL)、2−フェノキシエチルメタクリレート2.25モル(427.3mL)、酢酸ブチル100.0mL、トルエン1150mLを3.0Lの反応器内に投入し、50℃で300ミリモルの三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体を添加し、4時間反応させた。重合溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で停止させた後、純水で3回油層を洗浄し、室温で反応混合液を大量のメタノールに投入し、重合体を析出させた。得られた重合体をメタノールで洗浄し、濾別、乾燥、秤量して、共重合体C 282.4gを得た。
得られた共重合体CのMnは2030、Mwは5180、Mw/Mnは2.55であり、ランダム共重合体であった。13C‐NMR及びH‐NMR分析を行うことにより、共重合体Cのチャートには、式(13)で表される2−フェノキシエチルメタクリレートに由来する末端基の共鳴線が観察された。なお、式(13)において、a, b, cはそれぞれ共重合体の構造単位のモル分率を示す。
Figure 2016190899
共重合体Cの元素分析結果を行った結果、C:87.3wt%、H:7.4wt%、O:5.2wt%であった。元素分析結果と標準ポリスチレン換算の数平均分子量から算出される可溶性多官能ビニル芳香族重合体の2−フェノキシエチルメタクリレート由来の構造単位の導入量(c1)は2.3(個/分子)であった。また、ジビニルベンゼン由来の構造単位を59.2モル%及びスチレンとエチルベンゼン由来の構造単位を合計40.8モル%含有していた(末端構造単位を除く)。共重合体C中に含まれるビニル基含有量は、35.3モル%であった(末端構造単位を除く)。
また、硬化物のTMA測定の結果、明確なTgは観察されなかった、軟化温度は300℃以上であった。TGA測定の結果、350℃における重量減少は4.86wt%、耐熱変色性は○であった。一方、エポキシ樹脂との相溶性は△であった。
共重合体Cはトルエン、キシレン、THF、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルムに可溶であり、ゲルの生成は認められなかった。
比較例2
ジビニルベンゼン28.5モル(4059ml)、エチルビニルベンゼン1.5モル(213.7ml)、スチレン10.0モル(1145.8ml)、ベンジルアルコール16モル(1655.7ml)、酢酸エチル4.80モル(468.9ml)、トルエン7111ml(誘電率:2.3)及びシクロヘキサン6222ml(誘電率:2.02)を30Lの反応器内に投入し、30℃で6.4モルの三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体を添加し、5時間反応させた。重合反応を水酸化カルシウム2845gで停止させた後、ろ過を行い、5Lの蒸留水で3回洗浄した。重合溶液にブチルヒドロキシトルエンを8.0g溶解させた後、40℃で1時間エバポレーターを使用して濃縮した。室温で反応混合液を大量のメタノールに投入し、重合体を析出させた。得られた重合体をメタノールで洗浄し、濾別、乾燥、秤量して、共重合体D3356g(収率:67.8wt%)を得た。
得られた共重合体DのMwは6710、Mnは2250、Mw/Mnは2.98であり、ランダム共重合体であった。13C−NMR及び1 H−NMR分析を行うことにより、共重合体Dのチャートには、式(14)で表されるベンジルアルコールに由来する末端基の共鳴線が観察された。なお、式(14)において、d, e, fはそれぞれ共重合体の構造単位のモル分率を示す。
Figure 2016190899
共重合体Aの元素分析を行った結果、C:90.6wt%、H:7.5wt%、O:1.9wt%であった。元素分析結果と標準ポリスチレン換算の数平均分子量から算出される可溶性多官能ビニル芳香族重合体へのベンジルアルコール由来の構造単位の導入量(c1)は2.7(個/分子)であった。また、ジビニルベンゼン由来の構造単位を合計45.7モル%及びスチレン由来の構造単位とベンジルアルコール由来の構造単位とエチルビニルベンゼン由来の構造単位を合計54.3モル%含有していた。また、TMA測定の結果、明確なTgは観察されなかった。軟化温度は300℃以上であった。TGA測定の結果、350℃に於ける重量減少量は5.20wt%、耐熱変色性は△であった。
共重合体Dはトルエン、キシレン、THF、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルムに可溶であり、ゲルの生成は認められなかった。
比較例3
ジビニルベンゼン1.92モル(273.5mL)、エチルビニルベンゼン0.08モル(11.4mL)、スチレン2.0モル(229.2mL)、2−フェノキシエチルアクリレート2.00モル(348.1mL)、酢酸ブチル250.0mL、トルエン1000mLを3.0Lの反応器内に投入し、70℃で80ミリモルの三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体を添加し、6時間反応させた。重合溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で停止させた後、純水で3回油層を洗浄し、室温で反応混合液を大量のメタノールに投入し、重合体を析出させた。得られた重合体をメタノールで洗浄し、濾別、乾燥、秤量して、共重合体E 164.2gを得た。
得られた共重合体EのMnは2330、Mwは4940、Mw/Mnは2.12であり、ランダム共重合体であった。13C‐NMR及びH‐NMR分析を行うことにより、共重合体Eのチャートには、式(15)で表される2−フェノキシエチルアクリレートに由来する末端基の共鳴線が観察された。なお、式(15)において、g, h, iはそれぞれ共重合体の構造単位のモル分率を示す。
Figure 2016190899
共重合体Eの元素分析結果を行った結果、C:84.4wt%、H:7.3wt%、O:7.9wt%であった。元素分析結果と標準ポリスチレン換算の数平均分子量から算出される可溶性多官能ビニル芳香族重合体の2−フェノキシエチルアクリレート由来の構造単位の導入量(c1)は3.5(個/分子)であった。また、ジビニルベンゼン由来の構造単位を54.3モル%及びスチレンとエチルベンゼン由来の構造単位を合計45.7モル%含有していた(末端構造単位を除く)。共重合体E中に含まれるビニル基含有量は、21.8モル%であった(末端構造単位を除く)。
また、硬化物のTMA測定の結果、明確なTgは観察されなかった、軟化温度は300℃以上であった。TGA測定の結果、350℃における重量減少は5.50wt%、耐熱変色性は○であった。一方、エポキシ樹脂との相溶性は△であった。
共重合体Eはトルエン、キシレン、THF、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルムに可溶であり、ゲルの生成は認められなかった。
実施例3
ジビニルベンゼン 4.37モル(630.2mL)、エチルビニルベンゼン 3.34モル(457.5mL)、ジフェニルエーテル 6.90モル(1174.4g)、トルエン 345mLを3.0Lの反応器内に投入し、50℃で103.5ミリモル(13.0mL)の三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体を添加し、5時間反応させた。重合溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で停止させた後、純水で3回油層を洗浄し、油層と水層を分離した後、油層より、メタノールを使用して未反応物を抽出し、重合体を回収した。得られた重合体を秤量して、共重合体F 1141.7gが得られたことを確認した。
得られた共重合体FのMnは1020、Mwは5180、Mw/Mnは5.08であり、ランダム共重合体であった。13C‐NMR及びH‐NMR分析を行うことにより、共重合体Fのチャートには、式(16)で表される主鎖末端にジフェニルエーテル由来のベンゼン環が結合した末端基の共鳴線が観察された。なお、式(16)において、j, kはそれぞれ共重合体の構造単位のモル分率を示す。
Figure 2016190899
元素分析結果と標準ポリスチレン換算の数平均分子量から算出される可溶性多官能ビニル芳香族重合体のジフェニルエーテル由来の構造単位の導入量(c1)は1.7(個/分子)であった。また、ジビニルベンゼン由来の構造単位を59.5モル%及びエチルビニルベンゼン由来の構造単位を合計40.5モル%含有していた(末端構造単位を除く)。共重合体F中に含まれるビニル基含有量は、33.7モル%であった(末端構造単位を除く)。
また、硬化物のTMA測定の結果、明確なTgは観察されなかった、軟化温度は300℃以上であった。TGA測定の結果、350℃における重量減少は2.98wt%、耐熱変色性は○であった。一方、エポキシ樹脂との相溶性は○であった。
共重合体Fはトルエン、キシレン、THF、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルムに可溶であり、ゲルの生成は認められなかった。
実施例4
ジビニルベンゼン 4.37モル(630.2mL)、エチルビニルベンゼン 3.34モル(457.5mL)、ジビニルビフェニル 1.16モル(239.3g)、ジフェニルエーテル 6.90モル(1174.4g)、トルエン 345mLを3.0Lの反応器内に投入し、50℃で103.5ミリモル(13.0mL)の三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体を添加し、5時間反応させた。重合溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で停止させた後、純水で3回油層を洗浄し、油層と水層を分離した後、油層より、メタノールを使用して未反応物を抽出し、重合体を回収した。得られた重合体を秤量して、共重合体G 1024.8gが得られたことを確認した。
得られた共重合体GのMnは948、Mwは4230、Mw/Mnは4.46であり、ランダム共重合体であった。13C‐NMR及びH‐NMR分析を行うことにより、共重合体Gのチャートには、式(17)で表される主鎖末端にジフェニルエーテル由来のベンゼン環が結合した末端基の共鳴線が観察された。なお、式(17)において、l, m, nはそれぞれ共重合体の構造単位のモル分率を示す。
Figure 2016190899
元素分析結果と標準ポリスチレン換算の数平均分子量から算出される可溶性多官能ビニル芳香族重合体のジフェニルエーテル由来の構造単位の導入量(c1)は1.6(個/分子)であった。また、ジビニルベンゼン由来の構造単位を54.3モル%、エチルビニルベンゼン由来の構造単位を合計36.4モル%、及び、ジビニルビフェニル由来の構造単位を9.3モル%含有していた(末端構造単位を除く)。共重合体G中に含まれるビニル基含有量は、40.3モル%であった(末端構造単位を除く)。
また、硬化物のTMA測定の結果、明確なTgは観察されなかった、軟化温度は300℃以上であった。TGA測定の結果、350℃における重量減少は3.05wt%、耐熱変色性は○であった。一方、エポキシ樹脂との相溶性は○であった。
共重合体Gはトルエン、キシレン、THF、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルムに可溶であり、ゲルの生成は認められなかった。
実施例5
ジビニルベンゼン 4.37モル(630.2mL)、エチルビニルベンゼン 3.34モル(457.5mL)、ジビニルビフェニル 1.16モル(239.3g)、3−フェノキシトルエン 6.90モル(1271.3g)、トルエン 345mLを3.0Lの反応器内に投入し、50℃で103.5ミリモル(13.0mL)の三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体を添加し、5時間反応させた。重合溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で停止させた後、純水で3回油層を洗浄し、油層と水層を分離した後、油層より、メタノールを使用して未反応物を抽出し、重合体を回収した。得られた重合体を秤量して、共重合体H 1164.3gが得られたことを確認した。
得られた共重合体HのMnは1043、Mwは5780、Mw/Mnは5.54であり、ランダム共重合体であった。13C‐NMR及びH‐NMR分析を行うことにより、共重合体Hのチャートには、式(18)で表される主鎖末端にフェノキシトルエン由来のベンゼン環が結合した末端基の共鳴線が観察された。なお、式(18)において、l, m, nはそれぞれ共重合体の構造単位のモル分率を示す。
Figure 2016190899
元素分析結果と標準ポリスチレン換算の数平均分子量から算出される可溶性多官能ビニル芳香族重合体のジフェニルエーテル由来の構造単位の導入量(c1)は1.32(個/分子)であった。また、ジビニルベンゼン由来の構造単位を53.7モル%、エチルビニルベンゼン由来の構造単位を合計35.3モル%、及び、ジビニルビフェニル由来の構造単位を9.3モル%含有していた(末端構造単位を除く)。共重合体H中に含まれるビニル基含有量は、41.1モル%であった(末端構造単位を除く)。
また、硬化物のTMA測定の結果、明確なTgは観察されなかった、軟化温度は300℃以上であった。TGA測定の結果、350℃における重量減少は3.12wt%、耐熱変色性は○であった。一方、エポキシ樹脂との相溶性は○であった。
共重合体Hはトルエン、キシレン、THF、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルムに可溶であり、ゲルの生成は認められなかった。
実施例1〜5、及び比較例1〜2で得られた共重合体A〜Hを使用して、これらの樹脂を用いた硬化性樹脂組成物のワニスを調整した。
これらの実施例及び比較例で使用した成分及び略号は、以下のとおり。
<変性ポリフェニレンエーテル>
変性PPE−A:両末端にビニル基を有するポリフェニレンオリゴマー(Mn=1160、三菱瓦斯化学(株)製、2,2',3,3',5,5'-ヘキサメチルビフェニル-4,4'-ジオール・2,6-ジメチルフェノール重縮合物とクロロメチルスチレンとの反応生成物)
変性PPE−B:両末端にビニル基を有するポリフェニレンオリゴマー(Mn=2270、三菱瓦斯化学(株)製、2,2',3,3',5,5'-ヘキサメチルビフェニル-4,4'-ジオール・2,6-ジメチルフェノール重縮合物とクロロメチルスチレンとの反応生成物)
変性PPE−C:片末端にビニル基を有するポリフェニレンオリゴマー(Mn=2340、ポリフェニレンエーテル(SABICイノベーティブプラスチックス社製のSA120)とクロロメチルスチレンとの反応生成物)
変性PPE−D:両末端にエポキシ基を有するポリフェニレンオリゴマー(Mn=1180、三菱瓦斯化学(株)製、2,2',3,3',5,5'-ヘキサメチルビフェニル-4,4'-ジオール・2,6-ジメチルフェノール重縮合物とエピクロルヒドリンとの反応生成物)
<反応性希釈剤>
TAIC:トリアリルイソシアヌレート(日本化成株式会社製)
DCP:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製)
A−DCP:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート (新中村化学工業株式会社製)
DVB630:ジビニルベンゼン DVB630(新日鉄住金化学株式会社製)
<エポキシ樹脂>
o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂:エポトートYDCN−700−3(低粘度タイプ、新日鉄住金化学株式会社製)
ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂:エピコート806L、Mw=370(ジャパンエポキシレジン社製)
ナフタレン骨格液状エポキシ樹脂:EPICLON HP−4032D、Mw=304(DIC社製)
ナフトール型エポキシ樹脂:ESN−475V、エポキシ当量:340(新日鉄住金化学社製)
<硬化剤>
ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂:エピコート828US、Mw=370(ジャパンエポキシレジン社製)
ビフェニル骨格フェノール樹脂:明和化成社製、MEH−7851−S
メラミン骨格系フェノール樹脂:群栄化学工業社製、PS−6492
アリル基含有骨格フェノール樹脂:ジャパンエポキシレジン社製、YLH−903
脂環式骨格酸無水物:新日本理化社製、MH−700
芳香族骨格酸無水物:サートマー・ジャパン社製、SMAレジンEF60
<高分子量樹脂>
スチレン系共重合体:KRATON A1535(Kraton Polymers LLC製)
フェノキシ樹脂:重量平均分子量37000、三菱化学(株)製「YL7553BH30」(不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)
<ラジカル重合開始剤>
パークミルD(日本油脂(株)製)
パークミルP(日本油脂(株)製)
<無機充填材>
アモルファス球状シリカ:アドマテックス社製、SE2050 SPE、平均粒子径0.5μm(フェニルシランカップリング剤により処理)
<硬化促進剤>
トリフェニルホスフィン
<安定剤>
アデカスタブAO−60
得られた硬化物の特性の評価を下記の試験方法に従って行った。
7)溶液粘度
硬化性樹脂組成物の溶液粘度は、E型粘度計を使用して、測定温度:25℃で測定を行った。
8)曲げ強度及び曲げ破断伸び
曲げ試験に使用する試験片は、硬化性樹脂組成物を真空プレス成形機の下の金型上に硬化性樹脂組成物のワニスを乗せ、加熱真空下、溶剤を脱揮させた。その後、上型を乗せ、真空下、加熱プレスを行い、200℃で1時間保持することによって、厚さ:1.0mmの平板を成形した。成形して得られた平板より、幅:5.0mm、厚さ:1.0mm、長さ、120mmの試験片を作成し、曲げ試験を行った。作成した曲げ試験片の曲げ強度及び曲げ破断伸びは万能試験装置を用いて測定を行った。そして、曲げ強度及び曲げ破断伸びは、基準となる配合の測定値に対して±10%未満の値となるものを○、10%以上の値となるものを◎、−10〜−20%の範囲の値となるものを△、−20%以下の値となるものを×として評価を行った。
9)線膨張係数及びガラス転移温度
硬化性樹脂組成物の線膨張係数及びガラス転移温度の試験に使用する試験片は、硬化性樹脂組成物を真空プレス成形機の下の平板形状の金型上に硬化性樹脂組成物のワニスを乗せ、加熱真空下、溶剤を脱揮させた。その後、0.2mmのスペーサーを挟んで、上型を乗せ、真空下、加熱プレスを行い、200℃で1時間保持することによって、厚さ:0.2mmの平板を成形した。成形して得られた平板より、幅:3.0mm、厚さ:0.2mm、長さ、40mmの試験片を作成し、TMA(熱機械分析装置)の上方のチャックのみにセットし、窒素気流下、昇温速度10℃/分で220℃まで昇温し、更に220℃で20分間加熱処理することにより残存する溶媒を除去するとともに、試験片中の成形歪みの除去を行った。TMAを室温まで放冷した後、TMA測定装置中の試験片の下側についても、分析用プローブにセットさせ、窒素気流下、昇温速度10℃/分で30℃から360℃までスキャン測定を行い、0〜40℃に於ける寸法変化より、線膨張係数を算出した。また、接線法でガラス転移温度を求めた。
10)誘電率及び誘電正接
JIS C2565規格に準拠し、株式会社エーイーティー製、空洞共振器法誘電率測定装置により、絶乾後23℃、湿度50%の室内に24時間保管した後の硬化物平板試験片を使用して、18GHzでの誘電率及び誘電正接を測定した。
また、硬化物平板試験片を85℃、相対湿度85%で2週間放置した後、誘電率及び誘電正接の測定を行い、耐湿熱試験後の誘電率及び誘電正接を測定した。
11)銅箔引き剥し強さ
熱硬化性樹脂組成物のワニスにガラスクロス(Eガラス、目付71g/m)を浸漬して含浸を行い、80℃のエアーオーブン中で10分間乾燥させた。その際、得られるプリプレグのレジンコンテンツ(R.C)が50wt%となるように調整した。このプリプレグを使用して、成形後の厚みが約0.6mm〜1.0mmになるように、上記の硬化性複合材料を必要に応じて複数枚重ね合わせ、その両面に厚さ18μmの銅箔(商品名F2−WS銅箔、Rz:2.0μm、Ra:0.3μm)を置いて真空プレス成形機により成形硬化させて評価用積層体を得た。硬化条件は、3℃/分で昇温し、圧力3MPaで、200℃で60分間保持し、評価用銅張積層板を得た。このようにして得られた積層体硬化物から幅20mm、長さ100mmの試験片を切り出し、銅箔面に幅10mmの平行な切り込みを入れた後、面に対して90°の方向に50mm/分の速さで連続的に銅箔を引き剥し、その時の応力を引張り試験機にて測定し、その応力の最低値を銅箔引き剥し強さとして記録した(JIS C 6481に準拠)。耐湿熱性試験後の銅箔引き剥がし強さの試験は、上記の試験片を85℃、相対湿度85%で2週間放置した後、上記と同様にして測定した。
12)銅めっき引き剥がし強さ
前項で作製した銅張り積層板を過硫酸アンモニウム150g/Lの水溶液に40℃で20分間浸漬して銅箔をエッチング除去した。次いで、試料の抜き取りをしていない積層板を膨潤水溶液のサーキュポジットMLBコンディショナー211(ローム&ハースジャパン株式会社製、商品名)にディップ法で、80℃で5分間浸漬処理した。さらに、流水洗の室温で3分間処理後、過マンガン酸強アルカリ水溶液としてサーキュポジットMLBプロモーター213(ローム&ハースジャパン株式会社製、商品名)を用いて、同じくディップ法にて80℃で10分間浸漬処理した。次いで、中和液としてMLBニュートライザー216(ローム&ハースジャパン株式会社製、商品名)を用いて、ディップ法で、40℃で5分間浸漬処理した。流水洗の室温−3分間処理後、コンディショナー液のCLC−501(商品名、日立化成工業株式会社製)を用いて60℃で5分間処理し、流水洗し、プリディップ液PD−201(商品名、日立化成工業株式会社製)水溶液中室温−3分間処理し、金属パラジウム液HS−202B(商品名、日立化成工業株式会社製)を含んだ水溶液中、室温で10分間処理し、水洗し、活性化処理液ADP−501(商品名、日立化成工業株式会社製)水溶液中で室温−5分間処理した。そして、無電解銅めっき液として、Cust−201を用いて、ディップ法にて室温―15分間浸漬処理により無電解銅厚0.5μmの下地銅を積層板の両面に形成し、さらに電解銅にて銅厚み20μmまでめっきアップした。そして、上記のめっき付き試験用積層板硬化物から銅幅10mm、長さ100mmのラインにエッチングで加工し、この一端を剥がしてつかみ具でつかみ、JIS−C−6421に準拠して垂直方向に約50mm室温中で引き剥がした時の荷重の最低値を銅めっき引き剥し強さとして記録した。
13)成形性
前項で成形を行った評価用銅張積層板を用いて、格子状に線幅(L)が0.5mm、線間隔(S)が1.0mm(L/S=0.5/1.0mm)にパターニングしたコア材を作成した。このコア材を黒化処理し、次いで、その上に、さらにプリプレグを積層し、2次成形することで、内層が格子状パターンの評価用積層基板を作成した。その作成した評価用積層基板について、例えば、樹脂ワニスの流動性不足によるボイド等の欠陥が生じていないかを確認した。その後、この評価用積層基板を沸騰水に4時間浸漬した後、280℃のはんだ槽に浸漬させた。その際、ボイドの存在が確認できず、はんだ槽に浸漬した後も膨れ、層間剥離、ミーズリング(白斑)などの不良現象の発生が見られないものを「○」と評価し、ボイド、膨れ、層間剥離、ミーズリング(白斑)のいずれかの発生が確認できたものを「×」と評価した。
実施例6
実施例1で得られた共重合体−A 20gと、重合開始剤としてパークミルP 0.2g、硬化促進剤として、酸化防止剤としてAO−60 0.2gをトルエン8.6gに溶解し硬化性樹脂組成物(ワニスA)を得た。
調製したワニスAを下金型の上に滴下し、130℃で溶媒を減圧下、脱揮した後、金型を組上げ、200℃、3MPaの条件で1時間真空加圧プレスを行い、熱硬化させた。得られた厚さ:0.2mmの硬化物平板試験片について、18GHzの誘電率と誘電正接を始めとする諸特性を測定した。また、硬化物平板試験片を85℃、相対湿度85%で2週間放置した後、誘電率及び誘電正接の測定を行い、耐湿熱試験後の誘電率及び誘電正接を測定した。これら測定により得られた結果を表1に示した。
実施例7〜10、比較例4〜6
表1に示した配合処方としたこと以外は、実施例6と同じ方法で硬化性樹脂組成物(ワニス)を得た。そして、実施例6と同様にして硬化物平板試験片を作成し、実施例6と同じ項目について、試験・評価を行った。これらの試験により得られた結果を表1に示した。
Figure 2016190899
実施例11〜21、比較例7〜11
表2及び表3に示した配合処方としたこと以外は、実施例6と類似の方法で硬化性樹脂組成物(ワニス)を得た。そして、実施例6と同様にして硬化物平板試験片を作成し、実施例6と同じ項目について、試験・評価を行った。さらに、これらの実施例及び比較例で示したワニスを使用して、前述の11)〜13)に記載の方法に従って、プリプレグ、試験用銅張積層板、及び、試験用めっき付き積層板を作成し、銅箔引き剥し強さ、銅めっき引き剥し強さ、並びに、成形性の評価を行った。これらの試験結果を表2及び表3に示した。
Figure 2016190899
Figure 2016190899

Claims (17)

  1. ジビニル芳香族化合物(a)、モノビニル芳香族化合物(b)及びエーテル化合物を、ルイス酸触媒、無機強酸及び有機スルホン酸からなる群から選ばれる一種以上の触媒(d)の存在下で反応して得られる共重合体であって、
    上記エーテル化合物が下記式(5)
    Figure 2016190899
    (ここで、Yは炭素数1〜12の炭化水素基を置換基として有してもよい未置換又は置換の炭素数6〜40の芳香族炭化水素基を示し、Zは炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、又は炭素数1〜12の炭化水素基を置換基として有してもよい未置換若しくは置換の炭素数6〜40の芳香族炭化水素基を示す。)
    で表わされる芳香族系エーテル化合物(c)であり、
    その共重合体の末端の一部に下記式(1)
    Figure 2016190899
    (ここで、Y1は式(5)のYから1つのHを取って生じる芳香族炭化水素基であり、Zは式(5)と同意である。)
    で表される芳香族系エーテル化合物(c)由来の末端基を有することを特徴とする末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体。
  2. 数平均分子量Mnが300〜100,000であることを特徴とする請求項1に記載の末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体。
  3. 上記末端基の導入量(c1)が下記式(2)
    (c1)≧1.0(個/分子) (2)
    を満足し、共重合体中のジビニル芳香族化合物由来の構造単位のモル分率(A)及びモノビニル芳香族化合物由来の構造単位のモル分率(B)が下記式(3)
    0.05≦(A)/{(A)+(B)}≦0.95 (3)
    を満足し、上記末端基のモル分率(C)が下記式(4)
    0.005≦(C)/{(A)+(B)}<5.0 (4)
    を満足し、かつ、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジクロロエタン又はクロロホルムに可溶であることを特徴とする請求項1又は2に記載の末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体。
  4. 重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比で表される分子量分布(Mw/Mn)が100.0以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体。
  5. ジビニル芳香族化合物(a)、モノビニル芳香族化合物(b)及びエーテル化合物を反応させて共重合体を製造する方法であって、ジビニル芳香族化合物(a)とモノビニル芳香族化合物(b)の合計100モル%に対し、ジビニル芳香族化合物(a)5〜95モル%、モノビニル芳香族化合物(b)95〜5モル%を使用し、更にエーテル化合物として、下記式(5)
    Figure 2016190899
    (ここで、Yは炭素数1〜12の炭化水素基を置換基として有してもよい未置換又は置換の炭素数6〜40の芳香族炭化水素基を示し、Zは炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、又は炭素数1〜12の炭化水素基を置換基として有してもよい未置換若しくは置換の炭素数6〜40の芳香族炭化水素基を示す。)
    で表わされる芳香族系エーテル化合物(c)を0.005≦(c)/{(a)+(b)}<5.0を満たすモル比の範囲で使用し、ルイス酸触媒、無機強酸及び有機スルホン酸からなる群から選ばれる一種以上の触媒(d)を使用し、これらを含む重合原料類を誘電率2.0〜15.0の溶媒に溶解させた均一溶液中、20〜120℃の温度で重合させて、末端に下記式(1)
    Figure 2016190899
    (ここで、Y1は式(5)のYから1つのHを取って生じる芳香族炭化水素基であり、Zは式(5)と同意である。)
    で表される芳香族系エーテル化合物(c)由来の末端基を1.0(個/分子)以上有し、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジクロロエタン又はクロロホルムに可溶である共重合体を得ることを特徴とする末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体の製造方法。
  6. 触媒(d)が、金属フッ化物又はその錯体から選ばれるルイス酸触媒である請求項5に記載の末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体の製造方法。
  7. 芳香族系エーテル化合物(c)1モルに対し、触媒(d)を0.001〜10モルの範囲内で使用することを特徴とする請求項5又は6に記載の末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体の製造方法。
  8. 請求項1〜4のいずれかに記載の末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体と、ラジカル重合開始剤とを含有することを特徴とする硬化性組成物。
  9. 末端に少なくとも1つのフェノール性水酸基、芳香族ビニル基、メタクリル基又はアクリル基を有する変性ポリフェニレンエーテルを含有することを特徴とする請求項8に記載の硬化性組成物。
  10. 更に、1分子中に2以上のエポキシ基と芳香族構造を有するエポキシ樹脂、1分子中に2以上のエポキシ基とシアヌレート構造を有するエポキシ樹脂及び1分子中に2以上のエポキシ基と脂環構造を有するエポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上のエポキシ樹脂、並びにエポキシ樹脂硬化剤を含有することを特徴とする請求項8又は9に記載の硬化性組成物。
  11. 請求項8〜10のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化してなる硬化物。
  12. 請求項8〜10のいずれかに記載の硬化性組成物をフィルム状に成形してなるフィルム。
  13. 請求項8〜10のいずれかに記載の硬化性組成物と基材からなり、基材を5〜90重量%の割合で含有することを特徴とする硬化性複合材料。
  14. 請求項13に記載の硬化性複合材料を硬化して得られたことを特徴とする硬化複合体。
  15. 請求項13に記載の硬化複合材料の層と金属箔層とを有することを特徴とする積層体。
  16. 請求項8〜10のいずれかに記載の硬化性組成物から形成された膜を金属箔の片面に有することを特徴とする樹脂付き金属箔。
  17. 請求項8〜10のいずれかに記載の硬化性組成物を有機溶剤に溶解させてなる回路基板材料用ワニス。
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