JP2016190899A - 末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ジビニル芳香族化合物(a)、モノビニル芳香族化合物(b)及びエーテル化合物を、酸触媒(d)の存在下で反応して得られる共重合体であって、上記エーテル化合物が式(5)で表わされる芳香族系エーテル化合物(c)であり、その共重合体の末端の一部に式(1)で表される芳香族系エーテル化合物(c)由来の末端基を有する末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体。
(Yは未置換/置換のC6〜40の芳香族炭化水素基;ZはC1〜30の脂肪族炭化水素基又は未置換/置換のC6〜40の芳香族炭化水素基)
【選択図】なし
Description
しかしながら、特許文献3に記載されているアルコール化合物等の重合添加剤を使用した場合、可溶性多官能ビニル芳香族共重合体の分子量が大きくなるために流動性が不足したり、可溶性多官能ビニル芳香族共重合体の架橋密度が高くなるために靱性が不足するという問題点があった。そのため、その硬化性組成物の硬化物において、十分な力学的性質が得られず、また、複合体硬化物においては、界面での密着性の不足や層間剥離強度の不足に伴い、信頼性が低下するといった課題があった。また、特許文献3には、(B)成分である助触媒としてジエチルエーテル、テトラヒドロラン等のエーテル化合物が使用できることが記載されている。しかしながら、これらのエーテル化合物は助触媒としての機能はあっても、カルボカチオンとの反応性のないものであったために、末端の変性には使用できないものであった。
上記エーテル化合物が下記式(5)
で表わされる芳香族系エーテル化合物(c)であり、
その共重合体の末端の一部に下記式(1)
で表される芳香族系エーテル化合物(c)由来の末端基を有することを特徴とする末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体。
(c1)≧1.0(個/分子) (2)
を満足し、共重合体中のジビニル芳香族化合物由来の構造単位のモル分率(A)及びモノビニル芳香族化合物由来の構造単位のモル分率(B)が下記式(3)
0.05≦(A)/{(A)+(B)}≦0.95 (3)
を満足し、上記末端基のモル分率(C)が下記式(4)
0.005≦(C)/{(A)+(B)}<5.0 (4)
を満足し、かつ、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジクロロエタン又はクロロホルムに可溶であること、さらに重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比で表される分子量分布(Mw/Mn)が100.0以下であることは、好ましい態様である。
で表わされる芳香族系エーテル化合物(c)を0.005≦(c)/{(a)+(b)}<5.0を満たすモル比の範囲で使用し、ルイス酸触媒、無機強酸及び有機スルホン酸からなる群から選ばれる一種以上の触媒(d)を使用し、これらを含む重合原料類を誘電率2.0〜15.0の溶媒に溶解させた均一溶液中、20〜120℃の温度で重合させて、末端に下記式(1)
で表される芳香族系エーテル化合物(c)由来の末端基を1.0(個/分子)以上有し、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジクロロエタン又はクロロホルムに可溶である共重合体を得ることを特徴とする末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体の製造方法である。
具体的には、反応性、入手の容易性、成形性の観点から、アニソール、プロポキシベンゼン、ブトキシベンゼン、メトキシナフタレン、メトキシビフェニル、及びビフェニルエーテルが好ましく使用される。反応速度の観点から、アニソール、ブトキシベンゼン、及びメトキシナフタレンがより好ましく用いられる。
本発明の硬化性組成物は、末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体(XA)とラジカル重合開始剤(ラジカル重合触媒ともいう。)(XB)とを含有する。ラジカル重合開始剤(XB)としては、例えば、本発明の樹脂組成物は後述するように加熱等の手段により架橋反応を起こして硬化するが、その際の反応温度を低くしたり、不飽和基の架橋反応を促進する目的でラジカル重合開始剤(XB)を含有させて使用してもよい。この目的で用いられるラジカル重合開始剤の量は(XA)成分と(XB)成分の和を基準として0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜8重量%である。ラジカル重合開始剤はラジカル重合触媒であるので、以下ラジカル重合開始剤で代表する。
B成分は何でしょうか?
活性エステル化合物を形成するためのフェノール化合物及びナフトール化合物の具体例としては、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。これらのなかでも耐熱性、溶解性の観点から、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックが好ましく、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックがより好ましく、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックがさらに好まし好ましい。
活性エステル化合物を形成するためのチオール化合物の具体例としては、ベンゼンジチオール、トリアジンジチオール等が挙げられる。
活性エステル化合物の製造方法は特に限定されず、公知の方法により製造することができるが、たとえば、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得ることができる。
本発明の硬化性組成物中における、活性エステル化合物(XE)の配合量は、エポキシ樹脂(XD)100重量部に対して、好ましくは、20〜120重量部、より好ましくは40〜100重量部、さらに好ましくは50〜90重量部の範囲である。活性エステル化合物(XE)の配合量を上記範囲とすることにより、硬化物としての誘電特性、及び耐熱性、線膨張係数を向上させることができる。
本発明の硬化性複合材料には、必要に応じて樹脂と基材の界面における接着性を改善する目的でカップリング剤を用いることができる。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤等一般のものが使用できる。
本発明のフィルムを製造する方法としては特に限定されることはなく、例えば硬化性組成物と必要に応じて他の成分を芳香族系、ケトン系等の溶媒若しくはその混合溶媒中に均一に溶解又は分散させ、PETフィルムなどの樹脂フィルムに塗布した後乾燥する方法などが挙げられる。塗布は必要に応じて複数回繰り返すことも可能であり、またこの際組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて塗布を繰り返し、最終的に希望とする樹脂組成及び樹脂量に調整することも可能である。
本の分子量及び分子量分布測定はGPC(東ソー製、HLC−8120GPC)を使用し、溶媒にテトラヒドロフラン、流量1.0ml/min、カラム温度38℃、単分散ポリスチレンによる検量線を用いて行った。
日本電子製JNM−LA600型核磁気共鳴分光装置を用い、13C−NMR及び1H−NMR分析により決定した。溶媒としてクロロホルム−d1を使用し、テトラメチルシランの共鳴線を内部標準として使用した。
上記のGPC測定より得られる数平均分子量と1H−NMR測定と元素分析の結果より得られるモノマー総量に対する末端基を導入するために使用した誘導体量とから、本共重合体1分子中に含まれる末端基の導入量(c1)を算出した。
乾燥後の厚さが20μmになるように、ガラス基板に本重合体溶液を均一に塗布し、ホットプレートを用いて90分で30分間加熱し、乾燥させた。ガラス基板とともに得られた樹脂膜はTMA(熱機械分析装置)にセットし、窒素気流下、昇温速度10℃/分で220℃まで昇温し、更に220℃で20分間加熱処理することにより残存する溶媒を除去するとともに本重合体を硬化した。ガラス基板を室温まで放冷した後、TMA測定装置中の試料に分析用プローブを接触させ、窒素気流下、昇温速度10℃/分で30℃から360℃までスキャン測定を行い、接線法で軟化温度を求めた。
本共重合体の耐熱性評価は、試料をTGA(熱天秤)測定装置にセットし、窒素気流下、昇温速度10℃/分で30℃から400℃までスキャンさせることにより測定を行い、350℃における重量減少を耐熱性として求めた。一方、耐熱変色性の測定は、本共重合体6.0g、ジビニルビフェニル4.0g、及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製、パーブチルO)0.02gを混合し、窒素気流下で200℃、1時間加熱し、硬化物を得た。そして、得られた硬化物の変色量を目視にて確認し、○:熱変色なし、△:淡黄色、×:黄色に分類することにより耐熱変色性の評価を行った。
本共重合体のエポキシ樹脂との相溶性の測定は、試料5.0gをエポキシ樹脂(液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂:ジャパンエポキシレジン社製、エピコート828)3.0g、及び、フェノール樹脂(メラミン骨格系フェノール樹脂:群栄化学工業社製、PS−6492)2.0gをメチルエチルケトン(MEK)10gに溶解させ、溶解後の試料の透明性を目視にて確認し、○:透明、△:半透明、×:不透明もしくは溶解せず、に分類することにより相溶性の評価を行った。
ジビニルベンゼン(1,4-ジビニルベンゼン及び1,3−ジビニルベンゼンの混合物、以下の例も同様) 4.37モル(630.2mL)、エチルビニルベンゼン(1-エチル-4-ビニルベンゼン、及び1−エチル−3−ビニルベンゼンの混合物、以下の例も同様) 3.34モル(457.5mL)、アニソール 6.90モル(749.9mL)、トルエン 345mLを3.0Lの反応器内に投入し、50℃で103.5ミリモル(13.0mL)の三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体を添加し、5時間反応させた。重合溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で停止させた後、純水で3回油層を洗浄し、60℃で減圧脱揮し、重合体を回収した。得られた重合体を秤量して、共重合体A 945.3gが得られたことを確認した。
また、硬化物のTMA測定の結果、明確なTgは観察されなかった、軟化温度は300℃以上であった。TGA測定の結果、350℃における重量減少は3.70wt%、耐熱変色性は○であった。一方、エポキシ樹脂との相溶性は○であった。
共重合体Aはトルエン、キシレン、THF、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルムに可溶であり、ゲルの生成は認められなかった。
ジビニルベンゼン 4.37モル(630.2mL)、エチルビニルベンゼン 3.34モル(457.5mL)、1−メトキシナフタレン 6.90モル(994.8g)、トルエン 345mLを3.0Lの反応器内に投入し、50℃で103.5ミリモル(13.0mL)の三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体を添加し、5時間反応させた。重合溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で停止させた後、純水で3回油層を洗浄し、油層と水層を分離した後、油層より、メタノールを使用して未反応物を抽出し、重合体を回収した。得られた重合体を秤量して、共重合体B 943.6gが得られたことを確認した。
また、硬化物のTMA測定の結果、明確なTgは観察されなかった、軟化温度は300℃以上であった。TGA測定の結果、350℃における重量減少は3.61wt%、耐熱変色性は○であった。一方、エポキシ樹脂との相溶性は○であった。
共重合体Bはトルエン、キシレン、THF、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルムに可溶であり、ゲルの生成は認められなかった。
ジビニルベンゼン2.03モル(288.5mL)、エチルビニルベンゼン0.084モル(12.0mL)、スチレン2.11モル(241.7mL)、2−フェノキシエチルメタクリレート2.25モル(427.3mL)、酢酸ブチル100.0mL、トルエン1150mLを3.0Lの反応器内に投入し、50℃で300ミリモルの三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体を添加し、4時間反応させた。重合溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で停止させた後、純水で3回油層を洗浄し、室温で反応混合液を大量のメタノールに投入し、重合体を析出させた。得られた重合体をメタノールで洗浄し、濾別、乾燥、秤量して、共重合体C 282.4gを得た。
また、硬化物のTMA測定の結果、明確なTgは観察されなかった、軟化温度は300℃以上であった。TGA測定の結果、350℃における重量減少は4.86wt%、耐熱変色性は○であった。一方、エポキシ樹脂との相溶性は△であった。
共重合体Cはトルエン、キシレン、THF、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルムに可溶であり、ゲルの生成は認められなかった。
ジビニルベンゼン28.5モル(4059ml)、エチルビニルベンゼン1.5モル(213.7ml)、スチレン10.0モル(1145.8ml)、ベンジルアルコール16モル(1655.7ml)、酢酸エチル4.80モル(468.9ml)、トルエン7111ml(誘電率:2.3)及びシクロヘキサン6222ml(誘電率:2.02)を30Lの反応器内に投入し、30℃で6.4モルの三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体を添加し、5時間反応させた。重合反応を水酸化カルシウム2845gで停止させた後、ろ過を行い、5Lの蒸留水で3回洗浄した。重合溶液にブチルヒドロキシトルエンを8.0g溶解させた後、40℃で1時間エバポレーターを使用して濃縮した。室温で反応混合液を大量のメタノールに投入し、重合体を析出させた。得られた重合体をメタノールで洗浄し、濾別、乾燥、秤量して、共重合体D3356g(収率:67.8wt%)を得た。
共重合体Dはトルエン、キシレン、THF、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルムに可溶であり、ゲルの生成は認められなかった。
ジビニルベンゼン1.92モル(273.5mL)、エチルビニルベンゼン0.08モル(11.4mL)、スチレン2.0モル(229.2mL)、2−フェノキシエチルアクリレート2.00モル(348.1mL)、酢酸ブチル250.0mL、トルエン1000mLを3.0Lの反応器内に投入し、70℃で80ミリモルの三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体を添加し、6時間反応させた。重合溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で停止させた後、純水で3回油層を洗浄し、室温で反応混合液を大量のメタノールに投入し、重合体を析出させた。得られた重合体をメタノールで洗浄し、濾別、乾燥、秤量して、共重合体E 164.2gを得た。
また、硬化物のTMA測定の結果、明確なTgは観察されなかった、軟化温度は300℃以上であった。TGA測定の結果、350℃における重量減少は5.50wt%、耐熱変色性は○であった。一方、エポキシ樹脂との相溶性は△であった。
共重合体Eはトルエン、キシレン、THF、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルムに可溶であり、ゲルの生成は認められなかった。
ジビニルベンゼン 4.37モル(630.2mL)、エチルビニルベンゼン 3.34モル(457.5mL)、ジフェニルエーテル 6.90モル(1174.4g)、トルエン 345mLを3.0Lの反応器内に投入し、50℃で103.5ミリモル(13.0mL)の三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体を添加し、5時間反応させた。重合溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で停止させた後、純水で3回油層を洗浄し、油層と水層を分離した後、油層より、メタノールを使用して未反応物を抽出し、重合体を回収した。得られた重合体を秤量して、共重合体F 1141.7gが得られたことを確認した。
また、硬化物のTMA測定の結果、明確なTgは観察されなかった、軟化温度は300℃以上であった。TGA測定の結果、350℃における重量減少は2.98wt%、耐熱変色性は○であった。一方、エポキシ樹脂との相溶性は○であった。
共重合体Fはトルエン、キシレン、THF、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルムに可溶であり、ゲルの生成は認められなかった。
ジビニルベンゼン 4.37モル(630.2mL)、エチルビニルベンゼン 3.34モル(457.5mL)、ジビニルビフェニル 1.16モル(239.3g)、ジフェニルエーテル 6.90モル(1174.4g)、トルエン 345mLを3.0Lの反応器内に投入し、50℃で103.5ミリモル(13.0mL)の三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体を添加し、5時間反応させた。重合溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で停止させた後、純水で3回油層を洗浄し、油層と水層を分離した後、油層より、メタノールを使用して未反応物を抽出し、重合体を回収した。得られた重合体を秤量して、共重合体G 1024.8gが得られたことを確認した。
また、硬化物のTMA測定の結果、明確なTgは観察されなかった、軟化温度は300℃以上であった。TGA測定の結果、350℃における重量減少は3.05wt%、耐熱変色性は○であった。一方、エポキシ樹脂との相溶性は○であった。
共重合体Gはトルエン、キシレン、THF、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルムに可溶であり、ゲルの生成は認められなかった。
ジビニルベンゼン 4.37モル(630.2mL)、エチルビニルベンゼン 3.34モル(457.5mL)、ジビニルビフェニル 1.16モル(239.3g)、3−フェノキシトルエン 6.90モル(1271.3g)、トルエン 345mLを3.0Lの反応器内に投入し、50℃で103.5ミリモル(13.0mL)の三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体を添加し、5時間反応させた。重合溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で停止させた後、純水で3回油層を洗浄し、油層と水層を分離した後、油層より、メタノールを使用して未反応物を抽出し、重合体を回収した。得られた重合体を秤量して、共重合体H 1164.3gが得られたことを確認した。
また、硬化物のTMA測定の結果、明確なTgは観察されなかった、軟化温度は300℃以上であった。TGA測定の結果、350℃における重量減少は3.12wt%、耐熱変色性は○であった。一方、エポキシ樹脂との相溶性は○であった。
共重合体Hはトルエン、キシレン、THF、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルムに可溶であり、ゲルの生成は認められなかった。
変性PPE−A:両末端にビニル基を有するポリフェニレンオリゴマー(Mn=1160、三菱瓦斯化学(株)製、2,2',3,3',5,5'-ヘキサメチルビフェニル-4,4'-ジオール・2,6-ジメチルフェノール重縮合物とクロロメチルスチレンとの反応生成物)
変性PPE−B:両末端にビニル基を有するポリフェニレンオリゴマー(Mn=2270、三菱瓦斯化学(株)製、2,2',3,3',5,5'-ヘキサメチルビフェニル-4,4'-ジオール・2,6-ジメチルフェノール重縮合物とクロロメチルスチレンとの反応生成物)
変性PPE−C:片末端にビニル基を有するポリフェニレンオリゴマー(Mn=2340、ポリフェニレンエーテル(SABICイノベーティブプラスチックス社製のSA120)とクロロメチルスチレンとの反応生成物)
変性PPE−D:両末端にエポキシ基を有するポリフェニレンオリゴマー(Mn=1180、三菱瓦斯化学(株)製、2,2',3,3',5,5'-ヘキサメチルビフェニル-4,4'-ジオール・2,6-ジメチルフェノール重縮合物とエピクロルヒドリンとの反応生成物)
<反応性希釈剤>
TAIC:トリアリルイソシアヌレート(日本化成株式会社製)
DCP:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製)
A−DCP:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート (新中村化学工業株式会社製)
DVB630:ジビニルベンゼン DVB630(新日鉄住金化学株式会社製)
o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂:エポトートYDCN−700−3(低粘度タイプ、新日鉄住金化学株式会社製)
ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂:エピコート806L、Mw=370(ジャパンエポキシレジン社製)
ナフタレン骨格液状エポキシ樹脂:EPICLON HP−4032D、Mw=304(DIC社製)
ナフトール型エポキシ樹脂:ESN−475V、エポキシ当量:340(新日鉄住金化学社製)
ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂:エピコート828US、Mw=370(ジャパンエポキシレジン社製)
ビフェニル骨格フェノール樹脂:明和化成社製、MEH−7851−S
メラミン骨格系フェノール樹脂:群栄化学工業社製、PS−6492
アリル基含有骨格フェノール樹脂:ジャパンエポキシレジン社製、YLH−903
脂環式骨格酸無水物:新日本理化社製、MH−700
芳香族骨格酸無水物:サートマー・ジャパン社製、SMAレジンEF60
スチレン系共重合体:KRATON A1535(Kraton Polymers LLC製)
フェノキシ樹脂:重量平均分子量37000、三菱化学(株)製「YL7553BH30」(不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)
パークミルD(日本油脂(株)製)
パークミルP(日本油脂(株)製)
<無機充填材>
アモルファス球状シリカ:アドマテックス社製、SE2050 SPE、平均粒子径0.5μm(フェニルシランカップリング剤により処理)
<硬化促進剤>
トリフェニルホスフィン
<安定剤>
アデカスタブAO−60
硬化性樹脂組成物の溶液粘度は、E型粘度計を使用して、測定温度:25℃で測定を行った。
曲げ試験に使用する試験片は、硬化性樹脂組成物を真空プレス成形機の下の金型上に硬化性樹脂組成物のワニスを乗せ、加熱真空下、溶剤を脱揮させた。その後、上型を乗せ、真空下、加熱プレスを行い、200℃で1時間保持することによって、厚さ:1.0mmの平板を成形した。成形して得られた平板より、幅:5.0mm、厚さ:1.0mm、長さ、120mmの試験片を作成し、曲げ試験を行った。作成した曲げ試験片の曲げ強度及び曲げ破断伸びは万能試験装置を用いて測定を行った。そして、曲げ強度及び曲げ破断伸びは、基準となる配合の測定値に対して±10%未満の値となるものを○、10%以上の値となるものを◎、−10〜−20%の範囲の値となるものを△、−20%以下の値となるものを×として評価を行った。
硬化性樹脂組成物の線膨張係数及びガラス転移温度の試験に使用する試験片は、硬化性樹脂組成物を真空プレス成形機の下の平板形状の金型上に硬化性樹脂組成物のワニスを乗せ、加熱真空下、溶剤を脱揮させた。その後、0.2mmのスペーサーを挟んで、上型を乗せ、真空下、加熱プレスを行い、200℃で1時間保持することによって、厚さ:0.2mmの平板を成形した。成形して得られた平板より、幅:3.0mm、厚さ:0.2mm、長さ、40mmの試験片を作成し、TMA(熱機械分析装置)の上方のチャックのみにセットし、窒素気流下、昇温速度10℃/分で220℃まで昇温し、更に220℃で20分間加熱処理することにより残存する溶媒を除去するとともに、試験片中の成形歪みの除去を行った。TMAを室温まで放冷した後、TMA測定装置中の試験片の下側についても、分析用プローブにセットさせ、窒素気流下、昇温速度10℃/分で30℃から360℃までスキャン測定を行い、0〜40℃に於ける寸法変化より、線膨張係数を算出した。また、接線法でガラス転移温度を求めた。
JIS C2565規格に準拠し、株式会社エーイーティー製、空洞共振器法誘電率測定装置により、絶乾後23℃、湿度50%の室内に24時間保管した後の硬化物平板試験片を使用して、18GHzでの誘電率及び誘電正接を測定した。
また、硬化物平板試験片を85℃、相対湿度85%で2週間放置した後、誘電率及び誘電正接の測定を行い、耐湿熱試験後の誘電率及び誘電正接を測定した。
熱硬化性樹脂組成物のワニスにガラスクロス(Eガラス、目付71g/m2)を浸漬して含浸を行い、80℃のエアーオーブン中で10分間乾燥させた。その際、得られるプリプレグのレジンコンテンツ(R.C)が50wt%となるように調整した。このプリプレグを使用して、成形後の厚みが約0.6mm〜1.0mmになるように、上記の硬化性複合材料を必要に応じて複数枚重ね合わせ、その両面に厚さ18μmの銅箔(商品名F2−WS銅箔、Rz:2.0μm、Ra:0.3μm)を置いて真空プレス成形機により成形硬化させて評価用積層体を得た。硬化条件は、3℃/分で昇温し、圧力3MPaで、200℃で60分間保持し、評価用銅張積層板を得た。このようにして得られた積層体硬化物から幅20mm、長さ100mmの試験片を切り出し、銅箔面に幅10mmの平行な切り込みを入れた後、面に対して90°の方向に50mm/分の速さで連続的に銅箔を引き剥し、その時の応力を引張り試験機にて測定し、その応力の最低値を銅箔引き剥し強さとして記録した(JIS C 6481に準拠)。耐湿熱性試験後の銅箔引き剥がし強さの試験は、上記の試験片を85℃、相対湿度85%で2週間放置した後、上記と同様にして測定した。
前項で作製した銅張り積層板を過硫酸アンモニウム150g/Lの水溶液に40℃で20分間浸漬して銅箔をエッチング除去した。次いで、試料の抜き取りをしていない積層板を膨潤水溶液のサーキュポジットMLBコンディショナー211(ローム&ハースジャパン株式会社製、商品名)にディップ法で、80℃で5分間浸漬処理した。さらに、流水洗の室温で3分間処理後、過マンガン酸強アルカリ水溶液としてサーキュポジットMLBプロモーター213(ローム&ハースジャパン株式会社製、商品名)を用いて、同じくディップ法にて80℃で10分間浸漬処理した。次いで、中和液としてMLBニュートライザー216(ローム&ハースジャパン株式会社製、商品名)を用いて、ディップ法で、40℃で5分間浸漬処理した。流水洗の室温−3分間処理後、コンディショナー液のCLC−501(商品名、日立化成工業株式会社製)を用いて60℃で5分間処理し、流水洗し、プリディップ液PD−201(商品名、日立化成工業株式会社製)水溶液中室温−3分間処理し、金属パラジウム液HS−202B(商品名、日立化成工業株式会社製)を含んだ水溶液中、室温で10分間処理し、水洗し、活性化処理液ADP−501(商品名、日立化成工業株式会社製)水溶液中で室温−5分間処理した。そして、無電解銅めっき液として、Cust−201を用いて、ディップ法にて室温―15分間浸漬処理により無電解銅厚0.5μmの下地銅を積層板の両面に形成し、さらに電解銅にて銅厚み20μmまでめっきアップした。そして、上記のめっき付き試験用積層板硬化物から銅幅10mm、長さ100mmのラインにエッチングで加工し、この一端を剥がしてつかみ具でつかみ、JIS−C−6421に準拠して垂直方向に約50mm室温中で引き剥がした時の荷重の最低値を銅めっき引き剥し強さとして記録した。
前項で成形を行った評価用銅張積層板を用いて、格子状に線幅(L)が0.5mm、線間隔(S)が1.0mm(L/S=0.5/1.0mm)にパターニングしたコア材を作成した。このコア材を黒化処理し、次いで、その上に、さらにプリプレグを積層し、2次成形することで、内層が格子状パターンの評価用積層基板を作成した。その作成した評価用積層基板について、例えば、樹脂ワニスの流動性不足によるボイド等の欠陥が生じていないかを確認した。その後、この評価用積層基板を沸騰水に4時間浸漬した後、280℃のはんだ槽に浸漬させた。その際、ボイドの存在が確認できず、はんだ槽に浸漬した後も膨れ、層間剥離、ミーズリング(白斑)などの不良現象の発生が見られないものを「○」と評価し、ボイド、膨れ、層間剥離、ミーズリング(白斑)のいずれかの発生が確認できたものを「×」と評価した。
実施例1で得られた共重合体−A 20gと、重合開始剤としてパークミルP 0.2g、硬化促進剤として、酸化防止剤としてAO−60 0.2gをトルエン8.6gに溶解し硬化性樹脂組成物(ワニスA)を得た。
表1に示した配合処方としたこと以外は、実施例6と同じ方法で硬化性樹脂組成物(ワニス)を得た。そして、実施例6と同様にして硬化物平板試験片を作成し、実施例6と同じ項目について、試験・評価を行った。これらの試験により得られた結果を表1に示した。
表2及び表3に示した配合処方としたこと以外は、実施例6と類似の方法で硬化性樹脂組成物(ワニス)を得た。そして、実施例6と同様にして硬化物平板試験片を作成し、実施例6と同じ項目について、試験・評価を行った。さらに、これらの実施例及び比較例で示したワニスを使用して、前述の11)〜13)に記載の方法に従って、プリプレグ、試験用銅張積層板、及び、試験用めっき付き積層板を作成し、銅箔引き剥し強さ、銅めっき引き剥し強さ、並びに、成形性の評価を行った。これらの試験結果を表2及び表3に示した。
Claims (17)
- ジビニル芳香族化合物(a)、モノビニル芳香族化合物(b)及びエーテル化合物を、ルイス酸触媒、無機強酸及び有機スルホン酸からなる群から選ばれる一種以上の触媒(d)の存在下で反応して得られる共重合体であって、
上記エーテル化合物が下記式(5)
で表わされる芳香族系エーテル化合物(c)であり、
その共重合体の末端の一部に下記式(1)
で表される芳香族系エーテル化合物(c)由来の末端基を有することを特徴とする末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体。 - 数平均分子量Mnが300〜100,000であることを特徴とする請求項1に記載の末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体。
- 上記末端基の導入量(c1)が下記式(2)
(c1)≧1.0(個/分子) (2)
を満足し、共重合体中のジビニル芳香族化合物由来の構造単位のモル分率(A)及びモノビニル芳香族化合物由来の構造単位のモル分率(B)が下記式(3)
0.05≦(A)/{(A)+(B)}≦0.95 (3)
を満足し、上記末端基のモル分率(C)が下記式(4)
0.005≦(C)/{(A)+(B)}<5.0 (4)
を満足し、かつ、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジクロロエタン又はクロロホルムに可溶であることを特徴とする請求項1又は2に記載の末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体。 - 重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比で表される分子量分布(Mw/Mn)が100.0以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体。
- ジビニル芳香族化合物(a)、モノビニル芳香族化合物(b)及びエーテル化合物を反応させて共重合体を製造する方法であって、ジビニル芳香族化合物(a)とモノビニル芳香族化合物(b)の合計100モル%に対し、ジビニル芳香族化合物(a)5〜95モル%、モノビニル芳香族化合物(b)95〜5モル%を使用し、更にエーテル化合物として、下記式(5)
で表わされる芳香族系エーテル化合物(c)を0.005≦(c)/{(a)+(b)}<5.0を満たすモル比の範囲で使用し、ルイス酸触媒、無機強酸及び有機スルホン酸からなる群から選ばれる一種以上の触媒(d)を使用し、これらを含む重合原料類を誘電率2.0〜15.0の溶媒に溶解させた均一溶液中、20〜120℃の温度で重合させて、末端に下記式(1)
で表される芳香族系エーテル化合物(c)由来の末端基を1.0(個/分子)以上有し、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジクロロエタン又はクロロホルムに可溶である共重合体を得ることを特徴とする末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体の製造方法。 - 触媒(d)が、金属フッ化物又はその錯体から選ばれるルイス酸触媒である請求項5に記載の末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体の製造方法。
- 芳香族系エーテル化合物(c)1モルに対し、触媒(d)を0.001〜10モルの範囲内で使用することを特徴とする請求項5又は6に記載の末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の末端変性可溶性多官能ビニル芳香族共重合体と、ラジカル重合開始剤とを含有することを特徴とする硬化性組成物。
- 末端に少なくとも1つのフェノール性水酸基、芳香族ビニル基、メタクリル基又はアクリル基を有する変性ポリフェニレンエーテルを含有することを特徴とする請求項8に記載の硬化性組成物。
- 更に、1分子中に2以上のエポキシ基と芳香族構造を有するエポキシ樹脂、1分子中に2以上のエポキシ基とシアヌレート構造を有するエポキシ樹脂及び1分子中に2以上のエポキシ基と脂環構造を有するエポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上のエポキシ樹脂、並びにエポキシ樹脂硬化剤を含有することを特徴とする請求項8又は9に記載の硬化性組成物。
- 請求項8〜10のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化してなる硬化物。
- 請求項8〜10のいずれかに記載の硬化性組成物をフィルム状に成形してなるフィルム。
- 請求項8〜10のいずれかに記載の硬化性組成物と基材からなり、基材を5〜90重量%の割合で含有することを特徴とする硬化性複合材料。
- 請求項13に記載の硬化性複合材料を硬化して得られたことを特徴とする硬化複合体。
- 請求項13に記載の硬化複合材料の層と金属箔層とを有することを特徴とする積層体。
- 請求項8〜10のいずれかに記載の硬化性組成物から形成された膜を金属箔の片面に有することを特徴とする樹脂付き金属箔。
- 請求項8〜10のいずれかに記載の硬化性組成物を有機溶剤に溶解させてなる回路基板材料用ワニス。
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