JP2016190552A - 作業車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】オペレータが意図するトレッドの調整が行われているか否かを直感的に分かり易く確認できる作業車両を提供する。【解決手段】トラクタは、油圧シリンダと、ディスプレイ51と、を備える。油圧シリンダは、後輪4L,4Rのトレッドを調整する。ディスプレイ51は、トレッドに関する情報を表示する。ディスプレイ51は、油圧シリンダにより後輪4L,4Rのトレッドを調整しているときに、トレッド調整前のトレッド現在値及び目標とするトレッド目標値を表示可能である。ディスプレイ51は、トレッド現在値及びトレッド目標値の表示とは別に、後輪4L,4Rのトレッドの拡大又は縮小を表現する図形を、メッセージM2として表示する。【選択図】図8
Description
本発明は、アクチュエータを用いた車輪のトレッド調整機能を有する作業車両に関する。
従来から、車輪のトレッドを調整可能な作業車両が知られている。特許文献1は、この種の作業車両を開示する。
この特許文献1の作業車両は、液晶表示部と、トレッドの設定値を設定できる操作部と、トレッドの現在値を検出するためのセンサと、トレッドが前記設定値になるようにアクチュエータを駆動することが可能なECUと、を備える。このECUは、液晶表示部にトレッドの現在値及び設定値を上下に並べて表示させる構成となっている。
特許文献1は、この構成により、トレッドの現在値及び設定値を容易に確認することができるとする。
特許文献1のような作業車両においてトレッドをアクチュエータにより変更する作業は、通常、トラクタを低速で走行させながら行われる。従って、運転座席のオペレータは車輪の実際の動きを見ることが難しいため、液晶表示部の表示によりトレッド変更の状況を把握することになる。この点、上記の特許文献1のようにトレッドの現在値と設定値が上下に並べて表示される構成では、トレッドの調整状況をオペレータが直感的に理解することが難しい。従って、例えば何らかの理由で設定値を誤って入力した場合に、オペレータがその誤りに気付きにくく、畝及び作物を大きく損傷してしまうことがあった。
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、オペレータが意図するトレッドの調整が行われているか否かを直感的に分かり易く確認できる作業車両を提供することにある。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の観点によれば、以下の構成の作業車両が提供される。即ち、この作業車両は、アクチュエータと、表示部と、を備える。前記アクチュエータは、車輪のトレッドを調整する。前記表示部は、トレッドに関する情報を表示する。前記表示部は、前記アクチュエータにより前記車輪のトレッドを調整しているときに、トレッド調整前のトレッド現在値及び目標とするトレッド目標値を表示可能である。前記表示部は、前記トレッド現在値及び前記トレッド目標値の表示とは別に、前記車輪のトレッドの拡大又は縮小を表現する図形及び文字のうち少なくとも何れかを表示する。
これにより、車輪のトレッドを調整していることをオペレータが直感的に把握することができるので、意図するトレッドの調整が行われているか否かをオペレータが容易に確認することができる。
前記の作業車両においては、前記表示部は、前記アクチュエータによりその位置が移動している前記車輪及びその移動方向を表示することが好ましい。
これにより、トレッド調整中における車輪の移動を一層分かり易く表示することができる。
前記の作業車両においては、前記表示部は、前記アクチュエータにより前記車輪のトレッドを調整しているときに、前記車輪の移動を表現するアイコンをトレッド調整中に強調表示することが好ましい。
これにより、トレッド調整中における車輪の動きを一層目立つように表示することができる。
前記の作業車両においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記アクチュエータは左右の対で配置される。前記トレッドの調整のための前記アクチュエータの駆動は左右片側ずつ行われる。
これにより、トレッドの調整が左右片側ずつ行われる状況を表示部に分かり易く表示することができる。
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係るトラクタ100の側面図である。図2はトラクタ100の平面図である。なお、以下の説明において「左」、「右」等というときは、トラクタ100が前進する方向に向かって左及び右を意味する。
図1に示す農作業用の作業車両としてのトラクタ100は、プラウ、ローダ等の様々な作業装置を必要に応じて装着し、様々な種類の作業を行うことが可能に構成されている。
トラクタ100は、図2等に示すように、機体2と、当該機体2の前部を支持する左右1対の前輪3L,3Rと、機体2の後部を支持する左右1対の後輪(車輪)4L,4Rと、を備えている。この1対の前輪3及び1対の後輪4は、それぞれのトレッドを調整できるように前車軸30及び後車軸40に取り付けられている(詳細は後述する)。
図1に示すように、機体2の前部にはボンネット5が配置されている。このボンネット5内にはエンジン6が収容されている。当該エンジン6は、ディーゼルエンジンとして構成され、トラクタ100の駆動源として機能する。しかし、エンジン6の構成は上記に限定されず、例えばガソリンエンジンとして構成されても良い。
ボンネット5の後方には、オペレータが搭乗するためのキャビン7が設置されている。このキャビン7の内部には、オペレータが操縦するためのハンドル8と、オペレータが座る運転座席9と、各種の操作を行うための様々な操作装置と、が設けられている。
上記の操作装置としては、図2に示すモニタ装置50、スロットルレバー61、シフトレバー62、PTOスイッチ63、及び、複数の油圧操作レバー64等を例として挙げることができる。これらの操作装置は、運転座席9の右側に配置されている。モニタ装置50は、トラクタ100の様々な情報を表示可能に構成されている。スロットルレバー61は、エンジン6の回転速度を設定するためのものである。シフトレバー62は、トランスミッション12の変速比を変更操作するためのものである。PTOスイッチ63は、トランスミッション12の後端から突出した図略のPTO軸(動力取出し軸)から機体2に装着されたローダ等の作業機への動力伝達を接続/遮断することができる。油圧操作レバー64は、図略の油圧外部取出バルブを切換操作することができる。なお、上記PTO軸は、エンジン6から伝達された動力により回転することで、トラクタ100の機体2に接続された作業装置を駆動するように構成されている。
機体2の下部には、トラクタ100のシャーシ10が設けられている。当該シャーシ10は、機体フレーム11、トランスミッション12、フロントアクスル13及びリアアクスル14等から構成されている。
機体フレーム11は、トラクタ100の前部における支持部材であって、直接、又は防振部材等を介してエンジン6を支持している。
トランスミッション12は、エンジン6からの動力を減速してフロントアクスル13やリアアクスル14に伝達する。オペレータがシフトレバー62を操作することにより、当該トランスミッション12の変速比を調整することができる。
フロントアクスル13は、トランスミッション12から入力された動力を前輪3に伝達するように構成されている。リアアクスル14は、トランスミッション12から入力された動力を後輪4に伝達するように構成されている。
このように構成されたトラクタ100は、圃場で走行しながら、耕耘、播種、収穫等の様々な作業を行うことができるが、特に畑作農業においては複数種類の作物の管理作業を行うことがあり、畝の幅や植付け間隔は作物に応じて異なる。そこで、本実施形態のトラクタ100は、複数の作物に柔軟に対応するために、前輪3及び後輪4のトレッドを調整することができるように構成されている。
続いて、本実施形態のトラクタ100におけるトレッドの調整について説明する。先に、前輪3のトレッドの調整について図3を参照して説明する。図3は、トラクタ100の前輪3の支持構造を示す平面図である。
前記フロントアクスル13は、図示しないデフケースの左右に固定された1対の車軸ケース90を備える。それぞれの車軸ケース90は、機体左右方向内側に配置されたアウタ筒91と、外側に配置されたインナ筒92と、を備える。
インナ筒92の機体左右方向内側の端部はアウタ筒91の内部に挿入されており、インナ筒92はアウタ筒91に対して摺動可能に設けられている。従って、インナ筒92はアウタ筒91に対して左右方向にスライドすることができる。
インナ筒92の機体左右方向外側の端部には、ギアケース93が旋回可能に支持されている。当該ギアケース93には、前輪3が取り付けられている前車軸30が回転可能に支持されている。
車軸ケース90の後部には、トレッドロック機構80が設けられている。当該トレッドロック機構80は、プレート81と、回り止めシャフト82と、ブラケット83と、を備えている。
プレート81は、図3に示すように、インナ筒92におけるトラクタ100の機体左右方向外側の端部に固定されている。
回り止めシャフト82は機体左右方向に細長く形成されており、その一端がプレート81に固定され、他端が、アウタ筒91に設けられたボス部94に挿入されている。この回り止めシャフト82により、インナ筒92やギアケース93等がアウタ筒91に対して回転することを防止することができる。回り止めシャフト82は、ボス部94に対してスライド移動可能に構成されており、これにより、トレッド変更に対応することができる。
上記の構成により、インナ筒92がアウタ筒91に対してスライドすることに伴い、ギアケース93と、前輪3と、プレート81と、回り止めシャフト82と、が一体となってトラクタ100の左右方向にスライドすることができる。
ブラケット83は機体左右方向にやや細長く形成されており、その一端がプレート81の上部に固定されている。このブラケット83には、5つの取付孔84が形成されている。取付孔84は、プレート81の長手方向(トラクタ100の機体左右方向)で位置を異ならせて設けられている。なお、取付孔84の数は5つに限定せず、6つ以上又は4つ以下としてもよい。
この構成で、5つの取付孔84のうち選択された1つにボルト85を差し込み、ボス部94にボルト止めすることで、ブラケット83をボス部94に固定することができる。また、ボルト85を取り付ける取付孔84を変更することによって、アウタ筒91に対するインナ筒92の位置(ひいては、ギアケース93及び前輪3の位置)を5段階で変更することができる。
また、図3に示すように、ギアケース93の前部にはナックルアーム70が固定されている。当該ナックルアーム70には、タイロッド71が回動可能に取り付けられている。
タイロッド71は、パイプ部72と、シャフト部73と、を備えている。シャフト部73の一端は、中空状のパイプ部72の内部に差し込まれるとともに、パイプ部72の長手方向に沿ってスライドできるように構成されている。当該シャフト部73をパイプ部72に対してスライドさせることにより、タイロッド71の長さを変更することができる。
パイプ部72の端部(ギアケース93に近い側の端部)には、上下に配置された板部材74が固定されている。当該板部材74には、ボルト75を通すための孔が開けられている。一方、シャフト部73には、その長手方向に一定の間隔をあけて5つの取付孔76が並べて形成されている。ただし、取付孔76の数は5つに限定せず、6つ以上又は4つ以下としてもよい。
この構成で、ボルト75が、シャフト部73の上記5つの取付孔76のうち選択された1つに差し込まれた状態で、パイプ部72の板部材74の孔に取り付けられることで、タイロッド71のパイプ部72とシャフト部73とを互いに固定することができる。また、ボルト75を取り付ける取付孔76を変更することで、パイプ部72に対するシャフト部73の位置(ひいては、タイロッド71の長さ)を5段階で変更することができる。
上記で説明したように、ブラケット83及びシャフト部73のそれぞれに5つの取付孔84,76が設けられているので、アウタ筒91に対するギアケース93(インナ筒92)の位置及びタイロッド71の長さをそれぞれ5段階で調整することができる。例えば、ギアケース93の位置を1段階内側(図3においては右側)に移動させ、タイロッド71を1段階短くすることにより、前輪3のトレッドを1段階短くすることができる。
次に、後輪4のトレッドの調整について、図4を中心に参照して説明する。図4は、トラクタ100の後輪4の支持構造を示す平面図である。図5は、後輪4のトレッド調整に関する電気的構成を示すブロック図である。
左右の後輪4L,4Rを支持するリアアクスル14は、左右1対の車軸ケース95を備える。車軸ケース95は、機体左右方向内側に配置されるアウタ筒96と、外側に配置されるインナ筒97と、を備える。インナ筒97はアウタ筒96に対してスライド可能に構成されており、これにより、車軸ケース95が伸縮可能となっている。インナ筒97の機体左右方向端部には、プレート98が固定されている。
左右の車軸ケース95のそれぞれには、当該車軸ケース95を伸縮させるためのアクチュエータとしての油圧シリンダ68が取り付けられている。油圧シリンダ68のシリンダ部はアウタ筒96に固定される一方、シリンダロッドの先端は前記プレート98に固定されている。
プレート98には回り止めシャフト88が固定され、この回り止めシャフト88は、アウタ筒96に固定された回り止め筒99に差し込まれている。この回り止めシャフト88及び回り止め筒99により、インナ筒97等がアウタ筒96に対して回転することを防止することができる。
上記の構成により、インナ筒97がアウタ筒96に対してスライドすることに伴い、後輪4と、プレート98と、回り止めシャフト88と、が一体となってトラクタ100の左右方向にスライドすることができる。
油圧シリンダ68は、図5に示すように適宜の油圧回路を介して油圧ポンプ66と接続されている。油圧回路には流路切換弁67が配置されている。なお、油圧シリンダ68は、左右の後輪4L,4Rに対応して左右1対で設けられており、流路切換弁67はそれぞれの油圧シリンダ68に対応して備えられている。この構成で、油圧シリンダ68は、流路切換弁67によって切り替えられる圧油によって伸長又は短縮し、これに伴って、後輪4L,4Rが機体2の左右方向外側又は内側に移動される。以上により、後輪4のトレッドを自動的に調整することができる。
リアアクスル14の適宜の位置には、後輪4の位置を検出するためのポジションセンサ65が、左右の後輪4L,4Rに対応して設けられている。このポジションセンサ65は、例えば回り止めシャフト88に形成された図略の凹部を検出可能なセンサとして構成されており、制御部60に対して電気的に接続されている。
図5に示すように、本実施形態のトラクタ100は、後輪4のトレッドの調整を制御するための制御部60を備えている。この制御部60は、演算部としてのCPUと、記憶部としてのROM及びRAMと、を備えたコンピュータとして構成されている。
制御部60は、オペレータが後述のモニタ装置50を操作することによって入力された指示に応じて流路切換弁67を切り換えて、油圧シリンダ68を伸長/短縮させるように駆動する。また、制御部60は、ポジションセンサ65により検出された後輪4のトレッドの実際の値や、トレッド調整中の後輪4等の情報を、オペレータが確認できるようにモニタ装置50に表示することができる。
次に、本実施形態のトラクタ100において運転座席9の近傍に設置されているモニタ装置50について説明する。
このモニタ装置50は、図6に示すように、表示部としてのディスプレイ51と、操作具52と、5つのコマンドボタン54と、を備えている。
ディスプレイ51は、液晶パネルから構成され、モニタ装置50の略中央位置に配置されている。当該ディスプレイ51は、トラクタ100の走行及び作業に関する様々な情報を表示することができる。
操作具52は、モニタ装置50の右上部に設けられている。この操作具52は、両方向の回転操作が可能で、かつ、押込み操作が可能に構成されている。
図5に示す回転検出部52aは、操作具52の回転を検出可能な例えばロータリエンコーダとして構成されている。回転検出部52aは、操作具52の所定角度毎の回転を検出して、制御部60に検出信号を出力することができる。
押込み検出部52bは、操作具52の押込みを検出可能な例えばマイクロスイッチとして構成されている。押込み検出部52bは、操作具52の押込みを検出して、制御部60に検出信号を出力することができる。
操作具52により、オペレータは様々な指示を制御部60に対して行うことができる。具体的には、オペレータは、操作具52を回転させることで、ディスプレイ51に表示されるカーソルやハイライト表示部分を複数の項目の間で移動させ、これにより複数の項目から所望の項目を選択する操作(以下、選択操作と呼ぶことがある)を行うことができる。また、オペレータは、操作具52を押し込むことで、上記の選択操作により行った選択を確定する操作(以下、確定操作と呼ぶことがある)を行うことができる。
コマンドボタン54は、モニタ装置50の上部に左右に並べて設けられている。オペレータは、コマンドボタン54を押すことにより、ディスプレイ51に表示された画面において、それぞれのコマンドボタン54に対応する位置に表示されたコマンドを制御部60に指示することができる。
続いて、後輪4のトレッド調整時におけるモニタ装置50の表示について詳細に説明する。
このモニタ装置50は、起動されると、図7に示すようなホーム画面をディスプレイ51に表示する。このホーム画面には、「トラクタ情報」、「トラクタ設定」、「パワートレッド」等の様々なメニューが並べて表示されている。それぞれのメニューには、当該メニューの内容をオペレータに容易に理解させるためのアイコンが併せて表示されている。
油圧シリンダ68を用いた後輪4のトレッド変更を希望する場合、オペレータは、ホーム画面がディスプレイ51に表示されている状態で操作具52を回転させ、ハイライト表示部分を「パワートレッド」のメニューへ移動させることで、当該メニューを選択した状態にする。なお、図面での表現の便宜上、図7においては、ハイライト表示はハッチングで表現されている。そして、オペレータは、「パワートレッド」のメニューが図7に示すようにハイライト表示された状態で、操作具52を押し込むことにより、「パワートレッド」のメニューの選択を確定させる。なお、ホーム画面の上端の左から4番目には「決定」コマンドが表示されているので、メニューの選択の確定は、操作具52の押込み操作だけでなく、左から4番目のコマンドボタン54dを押すことでも行うことができる。
上記のように「パワートレッド」のメニューが選択されると、ディスプレイ51に表示される画面が、図8に示すトレッド調整画面に切り替えられる。このトレッド調整画面は、左右の後輪4の位置を調整して所望のトレッドを実現するためのものである。
トレッド調整画面では、図8に示すように、左右の後輪4L,4Rをトラクタ100の背面側から見た状態が、適宜簡略化された図(絵)によって表示されている。そして、この後輪4の模式図の右側に、トレッドの実際の調整を指示するための調整開始ボタンB1が表示されている。また、画面の下端には注意表示領域D1が配置されている。この注意表示領域D1には、トレッドを調整する場合はトラクタ100を安全な位置に移動させるようにオペレータの注意を喚起するためメッセージM1が表示されている。
ディスプレイ51に表示されるトレッド調整画面において、後輪4同士の間に、複数のトレッド値が縦に並べて表示され、そのうちの1つに、点滅する赤い枠のカーソルCが重ねて表示されている。なお、図面での表現の便宜上、図8においては、カーソルCの赤い枠は太線で表現されている。オペレータは、操作具52を回転させることにより、カーソルCを当該複数のトレッド値の間で移動させる。これにより、オペレータは、当該複数のトレッド値のうち何れか1つを、希望する新しいトレッド値として選択することができる。
移動可能なカーソルCによってオペレータがトレッド値を選択している状態では、並んで表示されている複数のトレッド値のうち、ポジションセンサ65により検出されたトレッド現在値が橙色でハイライト表示される。図8には、トレッド現在値が「1320」である例が示されている。なお、図面での表現の便宜上、図8においては、橙色でのハイライトは斜線のハッチングで表現されている。これにより、オペレータは、トラクタ100の後輪4のトレッド現在値を容易に把握することができる。
ただし、ポジションセンサ65により検出された左右の後輪4の位置が左右対称でない場合、現在のトレッド値を示す橙色のハイライトは表示されない(詳細は後述する)。
新しいトレッド値をオペレータが指示するためのカーソルCは、初期状態では、複数のトレッド値のうち、トレッド現在値が表示されている位置(橙色でハイライト表示された位置)に現れる。これにより、オペレータは、現在のトレッド値を基準として意識しながら新しいトレッド値を選択することができる。
図8に示す表示画面において、オペレータは、操作具52を回転させることにより、点滅する赤い枠のカーソルCを、所望する新しいトレッド値(目標トレッド値)まで移動させる。そして、図8に示す状態で操作具52を押し込むことにより、当該トレッド目標値「1440」の選択を確定させる(確定操作は、コマンドボタン54dにより行うこともできる)。トレッド目標値が確定すると、「1440」の位置に表示されるカーソルCの赤い枠が点滅しなくなる(赤い枠のまま表示されるようになる)。これにより、オペレータは、自身が確定した目標トレッド値を確認することができる。
オペレータは、上記のようにトレッド目標値を確定した後、操作具52を回転することにより、図8に示す調整開始ボタンB1をハイライトさせた状態で、操作具52を押し込む(又は、コマンドボタン54dを押す)。これにより、トレッドの調整が開始される。
トレッド調整指示を受信した制御部60は、油圧シリンダ68を伸長又は短縮させるように、流路切換弁67を作動させる。そして、油圧シリンダ68によって後輪4が移動していることがオペレータに分かるように、図8に示すトレッド調整画面に、メッセージM2及び2つの矢印アイコン(アイコン)i1,i2を表示させる。
メッセージM2は、トラクタ100の後輪4を示す図の下側、かつ、注意表示領域D1の上側に配置された、調整状況表示領域D2に表示される。当該メッセージM2は、図8に示すように、図形部と文字部とを含む。
図形部には、車輪を示す図形(絵)と縦線と矢印とが表示されている。縦線は、トラクタ100の機体2を簡略的に表している。矢印は、当該車輪の移動方向を表している。このように、車輪の図形と縦線と矢印の組合せで、トレッド調整中の車輪とその移動方向を表すことができる。
具体的には、図8に示すメッセージM2においては、車輪の図形が、機体2を示す縦線の左側に表示されており、矢印の先端が左側を向くように表示されている。オペレータは、このメッセージM2の図形部から、左側の後輪4Lが左側に移動している(即ち、トレッドを増加させる方向に移動している)ことを直感的に把握できる。
文字部には、「トレッド調整中」の文字が表示される。このように図形部と文字部を両方表示することにより、オペレータは、トレッド調整が行われている旨、左右何れの後輪4が移動中であるか、及び、後輪4の移動方向を簡単に把握することができる。
調整状況表示領域D2に表示されるメッセージは、移動している後輪4とその移動方向に応じて、図8に示されるメッセージM2、又は、図9に示されるメッセージM3〜M5の中から適宜選択される。なお、通常、トレッドの調整には左右両側の後輪4L,4Rの移動が必要になるが、その場合でも、後輪4の移動(油圧シリンダ68の駆動)は左右片側ずつ行われる。メッセージM3は、左側の後輪4Lのトレッドが右側に移動している(即ち、トレッドを減少させる方向に移動している)ことを示す。メッセージM4は、右側の後輪4Rのトレッドが左側に移動している(即ち、トレッドを減少させる方向に移動している)ことを示す。メッセージM5は、右側の後輪4Rのトレッドが右側に移動している(即ち、トレッドを増加させる方向に移動している)ことを示す。
図8に示すように、矢印アイコンi1及び矢印アイコンi2は、左右1対の後輪4L,4Rの近傍に表示される。アイコンの矢印の向きは、トレッドの調整方向を示している。即ち、矢印アイコンi1,i2の矢印が機体2の左右方向外側に向いているとき、後輪4のトレッドが増加する方向に調整されることを示す。一方、矢印アイコンi1,i2の矢印が機体2の左右方向内側に向いているとき、後輪4のトレッドが減少する方向に調整されることを示す。表示される矢印アイコンi1,i2の矢印は、トレッドの現在値より目標値が大きい場合は機体左右方向外側に、現在値より目標値が小さい場合は機体左右方向内側に向けられる。
本実施形態のモニタ装置50においては、トレッド変更中の車輪をオペレータに一層分かり易く表示するために、トレッド調整中の後輪4の近傍に表示される2つの矢印アイコンi1,i2の何れかを黄色でハイライト表示(強調表示)させる。図8には、左側の後輪4Lの近傍の矢印アイコンi1がハイライト表示された例が示されている。なお、図面での表現の便宜上、図8においては、矢印アイコンi1のハイライトは縦線のハッチングで表現されている。
本実施形態のモニタ装置50においては、トレッド現在値を示す橙色のハイライト表示は、上記の調整開始ボタンB1が選択されると消え、制御部60が油圧シリンダ68を伸長/短縮させている状況(トレッド調整の過渡期)では表示されないようになっている。そして、トレッドの調整が完了した後、当該橙色のハイライト表示が再開される。トレッド調整が問題なく完了した場合、トレッド現在値を示す橙色のハイライト表示は、オペレータが指示したトレッド目標値の位置に現れることになる。オペレータは、橙色のハイライト表示により、トレッドの調整が成功したか否かを確認することができる。
仮に、トレッドの調整中に何らかの原因でトレッドの調整が中断され、片輪又は両輪のトレッドの調整が完了していない場合、本実施形態のトラクタ100においては、図8に示すトレッド調整画面の調整状況表示領域D2に、図9に示すメッセージM6〜M11の何れかが表示される。例えば、後輪4Lのトレッド調整が失敗した場合、メッセージM6及びメッセージM7のうち何れか1つを表示し、又は、その2つを順番にかつ循環的に表示する。後輪4Rのトレッド調整が失敗した場合、メッセージM8及びメッセージM9のうち何れか1つを表示し、又は、その2つを順番にかつ循環的に表示する。また、左右の後輪4L,4Rにおけるトレッドの調整とも失敗した場合、メッセージM10及びメッセージM11のうち何れか1つを表示し、又は、その2つを順番にかつ循環的に表示する。これにより、トレッド調整の失敗をオペレータに分かり易く通知することができる。
次に、片輪のみのトレッド調整について説明する。即ち、本実施形態のトラクタ100は、上述したトレッドの調整時に後輪4の移動が片輪のみについて失敗した場合等に対応するために、片輪のみのトレッド調整を行う機能を備えている。
以下、後輪4(両輪)のトレッドを「1320」から「1440」へ調整しようとした場合に、左側の後輪4Lは問題なく移動できたものの、右側の後輪4Rの移動が何らかの原因により失敗した例を用いて、片輪トレッド調整について説明する。
上述したとおり、ポジションセンサ65によって検出された左右の後輪4の位置が左右対称でない場合、トレッド調整画面において、現在のトレッド値を示す橙色のハイライトが表示されない。これに気付き、片輪トレッド調整を希望したオペレータは、図8に示すトレッド調整画面の「次ページ」を選択した状態で確定操作を行う。すると、モニタ装置50に、図10に示す片輪トレッド調整画面が表示される。
片輪トレッド調整画面においては、左右の後輪4L,4Rの間に、複数(6つ)のトレッド値が縦に並べて表示され、その左右両側に、複数のトレッド値に対応した複数(6つ)の枠が縦に並べて表示されている。そして、左側の複数の枠のうち、ポジションセンサ65により検出された左側の後輪4Lの位置が橙色でハイライト表示され、右側の複数の枠のうち、ポジションセンサ65により検出された右側の後輪4Rの位置が橙色でハイライト表示される。従って、オペレータは、例えば図10のハイライト表示により、左側の後輪4Lの現在の位置が「1440」のトレッド値に相当し、右側の後輪4Rの現在の位置が「1320」のトレッド値に相当していることを簡単に確認することができる。
片輪トレッド調整画面では、トレッド値の左右に並べて配置されている枠(計12個の枠)のうち1つに、点滅する赤い枠のカーソルCが現れる。このカーソルCは、オペレータが操作具52を回転操作することにより、左右の枠(計12個の枠)の間で移動させることができる。オペレータは、右側の6つの枠のうちトレッド値「1440」の枠にカーソルCを移動させ、確定操作を行う。その後、調整開始ボタンB1をハイライト表示させて確定操作をすることにより、右側の後輪4Rのトレッド調整が開始される。
トレッド調整が開始されると、上述の両輪のトレッド調整と同様に、トレッド調整中の車輪をオペレータが容易に確認できるように、メッセージM5が表示され、また、矢印アイコンi2が黄色で点滅する。これにより、片輪のみのトレッド調整においても、左右何れの後輪4が移動しているのか、また、その移動方向は左右何れであるかをオペレータが直感的に確認できるので、意図するトレッド調整が行われているか否かをオペレータが容易に把握することができる。
以上に説明したように、本実施形態のトラクタ100は、油圧シリンダ68と、ディスプレイ51と、を備える。油圧シリンダ68は、後輪4L,4Rのトレッドを調整する。ディスプレイ51は、トレッドに関する情報を表示する。ディスプレイ51は、油圧シリンダ68により後輪4L,4Rのトレッドを調整しているときに、トレッド調整前のトレッド現在値及び目標とするトレッド目標値を表示可能である。ディスプレイ51は、トレッド現在値及びトレッド目標値の表示とは別に、後輪4L,4Rのトレッドの拡大又は縮小を表現する図形を、メッセージM2として表示する。
これにより、後輪4のトレッドを調整していることをオペレータが直感的に把握することができるので、意図するトレッドの調整が行われているか否かをオペレータが容易に確認することができる。
また、本実施形態のトラクタ100においては、ディスプレイ51は、油圧シリンダ68によりその位置が移動している後輪4が左右何れの後輪4であるかを表現するとともに、当該後輪4の移動方向を表現する図形を、メッセージM2として表示する。
これにより、トレッド調整中における後輪4の移動を一層分かり易く表示することができる。
また、本実施形態のトラクタ100においては、ディスプレイ51は、油圧シリンダ68により後輪4のトレッドを調整しているときに、後輪4の移動を表現する矢印アイコンi1,i2をトレッド調整中にハイライト表示する。
これにより、トレッド調整中における後輪4の動きを一層目立つように表示することができる。
また、本実施形態のトラクタ100においては、油圧シリンダ68は左右の対で配置される。そして、トレッドの調整のための油圧シリンダ68の駆動は左右片側ずつ行われる。
これにより、トレッドの調整が左右片側ずつ行われる状況をディスプレイ51に分かり易く表示することができる。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
左右何れの後輪4が移動しているか、及びその移動方向は、メッセージM2の図形部のようにイラスト的に表現することに代えて、又はそれに加えて、「左後輪が左へ移動中」のように文字部で表現されても良い。
後輪4の移動方向は、上記の実施形態のように矢印で表現されることに代えて、三角形や不等号等により表現されても良い。
上記の実施形態においては、ディスプレイの表示(ハイライト表示)として、橙、赤、黄等の色が用いられているが、他の色に変更することも可能である。また、矢印アイコンi1,i2について、ハイライト表示以外の強調表示の手法(例えば、色の反転表示等)を用いることもできる。
モニタ装置50の操作は、操作具52やコマンドボタン54に限定されず、操作のための他の部材により行うように構成することができる。例えば、ディスプレイ51にタッチパネルを備え、当該タッチパネルにオペレータが指で触れることによりモニタ装置50を操作する構成でも良い。
また、上記で説明したトレッド調整画面における注意表示領域D1、調整状況表示領域D2、複数のトレッド値、矢印アイコンi1,i2等の配置は、適宜変更することができる。
上記の実施形態では前輪3のトレッド調整は手作業により行われるが、前輪3のトレッドも油圧シリンダ等のアクチュエータにより調整するように構成することもできる。この場合、本発明におけるトレッドの拡大/縮小の表示は、前輪3のトレッド調整に適用することもできる。
本発明は、後輪がクローラ型であるトラクタにも適用することができる。また、本発明は、トラクタ以外の作業車両にも適用することができる。
4(4L,4R) 後輪(車輪)
51 ディスプレイ(表示部)
68 油圧シリンダ(アクチュエータ)
100 トラクタ(作業車両)
i1,i2 矢印アイコン(アイコン)
51 ディスプレイ(表示部)
68 油圧シリンダ(アクチュエータ)
100 トラクタ(作業車両)
i1,i2 矢印アイコン(アイコン)
Claims (4)
- 車輪のトレッドを調整するためのアクチュエータと、
トレッドに関する情報を表示する表示部と、
を備え、
前記表示部は、前記アクチュエータにより前記車輪のトレッドを調整しているときに、トレッド調整前のトレッド現在値及び目標とするトレッド目標値を表示可能であり、
前記表示部は、前記トレッド現在値及び前記トレッド目標値の表示とは別に、前記車輪のトレッドの拡大又は縮小を表現する図形及び文字のうち少なくとも何れかを表示することを特徴とする作業車両。 - 請求項1に記載の作業車両であって、
前記表示部は、前記アクチュエータによりその位置が移動している前記車輪及びその移動方向を表示することを特徴とする作業車両。 - 請求項1又は2に記載の作業車両であって、
前記表示部は、前記アクチュエータにより前記車輪のトレッドを調整しているときに、前記車輪の移動を表現するアイコンをトレッド調整中に強調表示することを特徴とする作業車両。 - 請求項1から3までの何れか一項に記載の作業車両であって、
前記アクチュエータは左右の対で配置され、
前記トレッドの調整のための前記アクチュエータの駆動は左右片側ずつ行われることを特徴とする作業車両。
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- 2015-03-31 JP JP2015071417A patent/JP2016190552A/ja active Pending
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