JP2016190516A - 車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両走行中にドライバのブレーキ操作によって車両の挙動が不安定になる虞を抑制すると共に、エンジンの再始動時に車両の前輪又は後輪で発生するブレーキ異音を低減させる。【解決手段】システム2はエンジン30の自動停止機能と電動パーキングブレーキ40を備え、エンジン30の自動停止後の再始動時に、制動力保持部22はエンジンの再始開始からエンジンの回転数が所定回転数を超えるまでの間駆動輪に発生する制動力を低減させ駆動輪でない車輪に発生する制動力を増大させる。【選択図】図1
Description
本開示は、エンジンを自動に停止再始動させる車両の制御装置に関する。
従来から、停止条件が成立した場合にエンジンを停止させ、始動条件が成立した場合にエンジンを始動させるエンジン制御手段と、エンジンの再始動に際して、ブレーキペダルの操作が解除された後に前記エンジンの再始動が完了するまで制動力を保持する制動力保持手段と、を備える車両の制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。かかる車両の制御装置によれば、エンジンの停止中に車両が降坂路でずり下がる虞や、エンジン再始動時に駆動力が発生することで、車両がドライバの意図に反して飛び出す恐れを抑制できる。
また、従来から、車両走行中にドライバがブレーキを踏んだことにより車両の挙動が不安定になることを抑制するように、ドライバのブレーキ操作により発生する制動力を車両の前輪と後輪とに配分する制動力配分手段を備える制動力制御装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
ところで、特許文献1に記載の車両の制御装置においては、エンジンの再始動時に駆動力が発生することから、前輪と後輪の制動力の配分によっては、駆動力が発生する駆動輪(前輪又は後輪)でブレーキ異音が発生する虞がある。
そこで、本開示は、車両走行中にドライバのブレーキ操作によって車両の挙動が不安定になる虞を抑制すると共に、エンジンの再始動時に車両の前輪又は後輪で発生するブレーキ異音を低減させることを目的とする。
本開示の一局面によれば、
車両の前輪又は後輪に駆動力を発生させるエンジンと、
前記エンジンの停止及び始動を自動で行うエンジン制御手段と、
ドライバのブレーキ操作により発生する制動力を前輪と後輪とに配分する制動力配分手段と、
前記エンジンが停止している場合に、制動力を保持する保持制御を行う制動力制御手段と、を備える車両の制御装置において、
前記保持制御は、前記車両の停車後に前輪と後輪の制動力の配分を変更する制動力調整制御を含む車両の制御装置が提供される。
車両の前輪又は後輪に駆動力を発生させるエンジンと、
前記エンジンの停止及び始動を自動で行うエンジン制御手段と、
ドライバのブレーキ操作により発生する制動力を前輪と後輪とに配分する制動力配分手段と、
前記エンジンが停止している場合に、制動力を保持する保持制御を行う制動力制御手段と、を備える車両の制御装置において、
前記保持制御は、前記車両の停車後に前輪と後輪の制動力の配分を変更する制動力調整制御を含む車両の制御装置が提供される。
本開示によれば、車両走行中にドライバのブレーキ操作によって車両の挙動が不安定になる虞を抑制すると共に、エンジンの再始動時に車両の前輪又は後輪で発生するブレーキ異音を低減させることができる車両の制御装置が得られる。
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。
まず、図1について説明する。図1は車両の制御装置1を含むシステム2の一例を概略的に示すシステム構成図である。システム2は、エンジン30と、エンジンECU(Electronic Control Unit)10(エンジン制御手段の一例)と、ブレーキECU20と、車速センサ50と、ブレーキアクチュエータと60と、電動パーキングブレーキ40と、を含む。
エンジンECU10は、図示しないバスを介して互いに接続されたCPU、ROM、及びRAM等からなるマイクロコンピュータとして構成されてよい。ROMには、CPUが実行する各種プログラムが格納されてよい。尚、エンジンECU10の機能は、任意のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア及びそれらの任意の組み合わせで実現されてよい。
エンジンECU10は、図示しないバスを介して互いに接続されたCPU、ROM、及びRAM等からなるマイクロコンピュータとして構成されてよい。ROMには、CPUが実行する各種プログラムが格納されてよい。尚、エンジンECU10の機能は、任意のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア及びそれらの任意の組み合わせで実現されてよい。
エンジンECU10は、エンジン30のバルブ開閉タイミング、スロットル開度、空燃比、燃料噴射量、点火装置の点火及び点火時期を制御して主にエンジンの回転数を制御する。これとともに、エンジンECU10は、所定の停止条件が満たされる場合に、エンジンを自動に停止させ、所定の始動条件が満たされるエンジンを自動に再始動させるアイドルストップ機能を有する。アイドルストップ機能については、後述する。
エンジンECU10は、ブレーキECU20に接続されている。ブレーキECU20は、図示しないバスを介して互いに接続されたCPU、ROM、及びRAM等からなるマイクロコンピュータとして構成されてよい。ROMには、CPUが実行する各種プログラムが格納されてよい。尚、ブレーキECUの機能は、任意のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア及びそれらの任意の組み合わせで実現されてよい。
ブレーキECU20は、ブレーキアクチュエータ60及び電動パーキングブレーキ40を制御することにより、車両の前輪及び後輪に作用する制動力を制御する。ブレーキECU20は、制動力配分部21と、制動力保持部22とを含む。制動力配分部21と、制動力保持部22については、後述する。
ブレーキアクチュエータ60は、ブレーキECU20からの信号により、前輪と後輪とに発生する制動力を調整する。ブレーキアクチュエータ60は、ブレーキペダルの踏込に応じて生じるブレーキマスターシリンダの圧力に対応する制動力を車両の前輪と後輪とに作用するように、それぞれの車輪に対応するブレーキホイールシリンダの圧力を調整することで制動力を調整する。また、ブレーキアクチュエータ60は、ブレーキペダルの踏込とは無関係に、前輪と後輪とに制動力が発生するように、それぞれの車輪に対応するブレーキホイールシリンダの圧力を調整する。また、ブレーキマスターシリンダと各ブレーキマスターシリンダの間の流路には、ブレーキペダルの踏込をやめた状態で、ブレーキマスターシリンダの圧力を保持するための、保持弁が設けられており、ブレーキアクチュエータ60は保持弁を含む。ブレーキアクチュエータ60は、保持弁を閉じることで、ブレーキ圧を保持し、制動力を保持する。
エンジンECU10は、ブレーキECU20に接続されている。ブレーキECU20は、図示しないバスを介して互いに接続されたCPU、ROM、及びRAM等からなるマイクロコンピュータとして構成されてよい。ROMには、CPUが実行する各種プログラムが格納されてよい。尚、ブレーキECUの機能は、任意のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア及びそれらの任意の組み合わせで実現されてよい。
ブレーキECU20は、ブレーキアクチュエータ60及び電動パーキングブレーキ40を制御することにより、車両の前輪及び後輪に作用する制動力を制御する。ブレーキECU20は、制動力配分部21と、制動力保持部22とを含む。制動力配分部21と、制動力保持部22については、後述する。
ブレーキアクチュエータ60は、ブレーキECU20からの信号により、前輪と後輪とに発生する制動力を調整する。ブレーキアクチュエータ60は、ブレーキペダルの踏込に応じて生じるブレーキマスターシリンダの圧力に対応する制動力を車両の前輪と後輪とに作用するように、それぞれの車輪に対応するブレーキホイールシリンダの圧力を調整することで制動力を調整する。また、ブレーキアクチュエータ60は、ブレーキペダルの踏込とは無関係に、前輪と後輪とに制動力が発生するように、それぞれの車輪に対応するブレーキホイールシリンダの圧力を調整する。また、ブレーキマスターシリンダと各ブレーキマスターシリンダの間の流路には、ブレーキペダルの踏込をやめた状態で、ブレーキマスターシリンダの圧力を保持するための、保持弁が設けられており、ブレーキアクチュエータ60は保持弁を含む。ブレーキアクチュエータ60は、保持弁を閉じることで、ブレーキ圧を保持し、制動力を保持する。
車速センサ50は、例えば、車両の各車輪に取り付けられた車輪速センサとスキッドコントロールコンピュータからなり、車輪速センサが出力する車輪速パルス信号をスキッドコントロールコンピュータが車速矩形波パルス信号(車速信号)に変換してエンジンECU10及びブレーキECU20に送信する。
エンジン30は、車両の車体に配置され、駆動輪に駆動力を発生させる内燃機関である。エンジン30は、エンジンECU10によって制御される。本実施例では、エンジン30が前輪に駆動力を発生させる前輪駆動の車両と、エンジン30が後輪に駆動力を発生させる後輪駆動の車両のいずれにも適用可能であるが、特に前輪駆動の車両に対してより顕著に効果を得ることができる。その点については、後述する。
電動パーキングブレーキ40は、ドライバの操作力でパーキングブレーキを作動させるのではなく、電動モータによりパーキングブレーキを操作するシステムである。車室内の運転席近傍にはパーキングスイッチが設けられている。電動パーキングブレーキ40は、ドライバがパーキングスイッチをオン操作すると、電動モータを作動してパーキングブレーキを作動させる。また、電動パーキングブレーキ40は、ブレーキECU20から電動パーキングブレーキオン信号を受信した場合に、電動モータを作動してパーキングブレーキを作動させる。電動モータの駆動力は、ギア機構及びケーブルを通してパーキング用のブレーキシューに伝達され、ブレーキシューは後輪に設けられたブレーキドラムに押し付けられて、その摩擦力により制動力が発生し、後輪がロックされる。
ギア機構は、ケーブルが引っ張られた状態(後輪ロック状態)を保持するラッチ等の保持装置を有している。そのため、電動モータでケーブルを引っ張り、後輪をロックした後は、電動モータの駆動を停止させてギア機構の保持装置により後輪ロック状態を保持させる。ドライバがパーキングスイッチをオフ操作する、又はブレーキECU20により電動パーキングブレーキオフ信号を受信すると、ケーブルのテンションを緩めるようギア機構が作動して、ブレーキシューはブレーキドラムから離れる。これにより、パーキングブレーキが自動で解除される。
ギア機構は、ケーブルが引っ張られた状態(後輪ロック状態)を保持するラッチ等の保持装置を有している。そのため、電動モータでケーブルを引っ張り、後輪をロックした後は、電動モータの駆動を停止させてギア機構の保持装置により後輪ロック状態を保持させる。ドライバがパーキングスイッチをオフ操作する、又はブレーキECU20により電動パーキングブレーキオフ信号を受信すると、ケーブルのテンションを緩めるようギア機構が作動して、ブレーキシューはブレーキドラムから離れる。これにより、パーキングブレーキが自動で解除される。
次に、エンジンECU10により実施されるアイドルストップ機能について説明する。図2は、エンジンECU10により実行されるアイドルストップ機能に関する処理の一例を示すフローチャートである。図2に示すフローチャートによる処理は、所定周期毎に実行されてよい。なお、アイドルストップ機能とは、検出した車両の状態量等に基づいて、エンジン30を自動に停止、及び再始動させる機能のことである。検出した車両の状態量とは、例えば、車速センサ50を含む各種センサ(スイッチを含む)からの信号に基づいて検出したエンジン30を含む車両の各部の状態量である。
ステップS101では、エンジンECU10が、エンジン30が自動停止中であるか否かを判定する。「エンジン30が自動停止中である」とは後述する停止条件が成立し、エンジンECU10がエンジン30を自動的に停止した後、エンジンの停止が継続されていることである。エンジンが自動停止中であると判定された場合にはステップS104に進む。そうでない場合にはステップS102に進む。
ステップS102では、エンジンECU10が、停止条件が成立したか否かを判定する。エンジンECU10は、例えば、以下の条件がすべて満たされる場合に、停止条件が成立したと判定してもよい。
自車両の車速が所定車速V1(所定車速V1>0)以下であること。
アクセルペダルが踏まれていないこと。
ブレーキブースター内の負圧が所定閾値より真空側であること
ドライバがブレーキを踏んでいること。
なお、上記の条件は一例であり、適宜変更可能である。例えば、空調状態やバッテリの充電状態(SOC:State Of Charge)に関する条件等を含んでもよいし、上記条件のうちのいずれかを含まなくてもよい。エンジンECU10が、停止条件が成立したと判定した場合に、ステップS103に進む。そうでない場合は、図2に示すフローチャートの処理を終了する。
自車両の車速が所定車速V1(所定車速V1>0)以下であること。
アクセルペダルが踏まれていないこと。
ブレーキブースター内の負圧が所定閾値より真空側であること
ドライバがブレーキを踏んでいること。
なお、上記の条件は一例であり、適宜変更可能である。例えば、空調状態やバッテリの充電状態(SOC:State Of Charge)に関する条件等を含んでもよいし、上記条件のうちのいずれかを含まなくてもよい。エンジンECU10が、停止条件が成立したと判定した場合に、ステップS103に進む。そうでない場合は、図2に示すフローチャートの処理を終了する。
ステップS103では、エンジンECU10が、エンジン30を停止させる。ステップS103の処理が終了すると、図2に示すフローチャートの処理を終了する。
ステップS104では、エンジンECU10が、始動条件が成立したか否かを判定する。エンジンECU10は、例えば、上記の条件のうちの1つでも満たされなくなった場合に始動条件が成立したと判定してもよい。なお、エンジンECU10は、上記の条件以外に基づいて始動条件が成立したか否かを判定してもよいし、始動条件は適宜変更可能である。エンジンECU10が、始動条件が成立したと判定した場合は、ステップS105に進む。そうでない場合は、図2に示すフローチャートの処理を終了する。
ステップS105では、エンジンECU10が、エンジン30を始動させる。ステップS105の処理が終了すると、図2に示すフローチャートの処理を終了する。
ステップS105では、エンジンECU10が、エンジン30を始動させる。ステップS105の処理が終了すると、図2に示すフローチャートの処理を終了する。
なお、アイドルストップ機能には、停車中に実行される停車アイドルストップ機能が含まれている。この停車中には、自車両の車速が0、例えば、交差点の信号待ち等によって一時的に停車している状態が含まれるほか、車両が0に近い低速で走行している状態が含まれる。車両が0に近い低速で走行している状態は、例えば、自車両の車速が0以上の所定車速V2(<所定車速V1)以下である状態であってよい。
また、アイドルストップ機能には、車両走行中(自車両の速度が所定車速V2より大きい)であるときに実行される走行アイドルストップ機能が含まれる。走行アイドルストップ機能とは、例えば、車両が減速中に行われる。
なお、停止アイドルストップ機能における始動条件及び/又は停止条件は、走行アイドルストップ機能における始動条件及び/又は停止条件と異なってもよい。
なお、停止アイドルストップ機能における始動条件及び/又は停止条件は、走行アイドルストップ機能における始動条件及び/又は停止条件と異なってもよい。
次に、制動力配分部21について説明する。制動力配分部21は、走行中にドライバがブレーキを踏んだ場合に、ブレーキアクチュエータ60を制御し、ブレーキの踏込により生じるブレーキマスターシリンダの圧力に対応する制動力を、図3の制動力配分線に沿って前輪と後輪とに配分する。
図3の制動力配分線は、走行中にドライバがブレーキを踏んだ場合に、前輪又は後輪がロックして車両の挙動が不安定にならないように設定される。一般的には、走行中にドライバがブレーキを踏んだ場合は、車両が前のめりになるため前輪に比べ後輪の方が車両の荷重がかかりにくい。そのため、前輪と比べ後輪の方がロックしやすく、制動力配分線は後輪に発生する制動力が前輪に発生する制動力より小さくなるように設定されることが多い。具体的には、BR1がBF1より小さく設定され、且つBR2がBF2より小さく設定されるように制動力配分線が設定される。特に、車体前方にエンジン30が配置されるフロントエンジン式の車両においては、車両の荷重がより前輪にかかりやすく、後輪にかかりにくい。よってフロントエンジン式の車両においては、制動力配分線は、より後輪に発生する制動力が前輪に発生する制動力より小さくなるように設定される。
なお、車両の車体後方に荷物を積載している場合や、車体後方にエンジン30が配置されるリアエンジン式の車両においては、車両の荷重が前輪より後輪にかかりやすい場合もある。かかる場合に、前輪又は後輪がロックして車両の挙動が不安定にならないように、状況に応じて適切な制動力配分線が設定されてもよいし、車両に応じて適切な制動力配分線が設定されてもよい。すなわち、必ずしも制動力配分線が後輪に発生する制動力が前輪に発生する制動力より小さくなるように設定されるとは限らない。
次に、制動力保持部22について説明する。図4は、制動力保持部22により実行される処理の一例を示すフローチャートである。図4に示すワークフローによる処理は所定処理周期毎に実行されてよい。
ステップS401では、制動力保持部22が、エンジン自動停止中であるか否かを判定する。エンジン自動停止中であると判定された場合は、ステップS402に進む。そうでない場合は、ステップS409に進む。
ステップS402では、制動力保持部22が、車両が停車中であるか否かを判定する。車速センサ50により検出された車両の車速が0である場合に、車両が停車中であると判定してもよい。車両が停車中であると判定された場合はステップS403に進む。そうでない場合は、図4に示すフローチャートによる処理を終了する。
ステップS403では、制動力保持部22が、制動力調整フラグがオンであるか否かを判定する。制動力調整フラグは、後述する制動力調整制御が行われたか否かを示すフラグであり、制動力調整フラグがオンである場合は、制動力調整制御が行われたことを示す。制動力調整フラグがオンでない場合は、ステップS404に進む。そうでない場合はステップS406に進む。
ステップS404では、制動力保持部22が、ブレーキアクチュエータ60により制動力調整制御を行う。制動力調整制御は、ブレーキアクチュエータ60により駆動輪に発生する制動力を減少させ、駆動輪でない車輪に発生する制動力を増大させる。これにより、駆動輪に発生する制動力が小さくなり、エンジン始動に伴って発生する駆動力によるブレーキ異音を低減できる。より好ましくは、制動力調整制御を行った後の制動力の合計が制動力調整制御を行う前の制動力の合計以上であることが望ましい。これにより、エンジン自動停止中にドライバがブレーキを離した場合に、車両が動く恐れを抑制できる。
前輪駆動の車両においては、制動力調整制御は、前輪に発生する制動力を減少させ、後輪に発生する駆動力を増大させる。これにより、前輪に発生する制動力が小さくなり、エンジン始動に伴って発生する駆動力によるブレーキ異音を低減できる。特に、制動力配分線が、走行中にドライバがブレーキ操作した場合に、前輪の方が後輪よりも大きく制動力が配分されるように設定される構成においては、制動力調整制御を行わなければ、前輪に大きい制動力が発生することになりブレーキ異音が大きくなる。そのため、かかる構成においては、制動力調整制御によるブレーキ異音の低減効果をより顕著に得ることができる。なお、制動力調整制御と、後述する制動力維持制御を含む制御を制動力保持制御とする。
ステップS404の処理が終了すると、ステップS405に進む。ステップS405では、制動力保持部22が、制動力調整フラグをオンにする。ステップS405の処理が終了すると、図4に示すフローチャートによる処理を終了する。
ステップS406では、制動力保持部22が、制動力維持フラグがオンであるか否かを判定する。制動力維持フラグは後述する制動力維持制御の実行中である旨を示すフラグである。制動力維持フラグがオンである場合は、制動力維持制御中であることを示す。制動力維持フラグがオンでない場合は、ステップS407に進み、そうでない場合は図4に示すフローチャートによる処理を終了する。
ステップS407では、制動力保持部22が、ブレーキアクチュエータ60により制動力維持制御を開始する。制動力維持制御は、ブレーキアクチュエータ60が、保持弁を開から閉にすることでブレーキ圧を保持し、制動力を維持する制御である。制動力維持制御を開始するとは、保持弁を開から閉にすることである。これにより、例えばエンジン自動停止中の車両が降坂路で停車している場合に、ドライバがブレーキを離して車両がずり下がる虞を抑制できる。ステップS407の処理が終了すると、ステップS408に進む。
ステップS408では、制動力保持部22が制動力維持フラグをオンにする。制動力維持フラグがオンである場合は、保持弁が閉であることを示す。ステップS408の処理が終了すると、図4に示すフローチャートの処理を終了する。
ステップS409では、制動力保持部22がエンジン作動中であるか否かを判定する。エンジン作動中とは、エンジンの始動を始めてからエンジンが完爆状態になるまで期間を含まず、エンジンが完爆状態であることを示す。エンジン作動中である場合はステップS410に進み、そうでない場合は図4に示すフローチャートによる処理を終了する。
ステップS410では、制動力保持部22が、制動力維持フラグがオンであるか否かを判定する。制動力維持フラグがオンである場合は、ステップS411に進み、そうでない場合は、図4に示すフローチャートによる処理を終了する。
ステップS411では、制動力保持部22が、ブレーキアクチュエータ60により、制動力維持制御を終了する。制動力維持制御を終了するとは保持弁を閉から開にすることである。ステップS411の処理が終了すると、ステップS412に進む。
ステップS412では、制動力保持部22が、制動力調整フラグをオンからオフにし、制動力維持フラグをオンからオフにする。ステップS412の処理が終了すると、図4に示すフローチャートによる処理を終了する。
図4に示すフローチャートによる処理によれば、制動力配分部21により配分された制動力を、制動力調整制御により調整し駆動輪に発生する制動力を低減することで、エンジンの再始動時に車輪の駆動輪に発生するブレーキ異音を低減させることができる。また、制動力維持制御により制動力を維持することで、例えば、車両が降坂路でエンジン自動停止中且つ停車中であるときにドライバがブレーキを離して、クリープトルクが無いことで車両がずり下がる虞を抑制できる。
次に、図5について説明する。図5は、前輪駆動の車両において、図4に示すフローチャートによる動作の一例を示すタイムチャートである。エンジン30の自動停止中に、車両が停止した時点(時刻t1)までは、車両走行中であるため、制動力配分線により前輪と後輪に制動力が配分される。具体的には、前輪に発生する制動力が後輪に発生する制動力より大きくなるように配分される。その後、時刻t1で車両が停車し、前輪の発生する制動力が低減すると同時に、後輪に発生する制動力が増加する制動力調整制御が実行される。その後、時刻t2で制動力調整制御が終了する。その後、時刻t3で始動条件が成立し、エンジン30の始動が開始する。その後、時刻t4でエンジン回転数が、ブレーキ異音が発生する可能性がある回転数まで上昇する。時刻t4では、前輪に発生する制動力が比較的小さくなっているため、時刻t4でブレーキ異音が発生しない。
次に、図5について説明する。図5は、前輪駆動の車両において、図4に示すフローチャートによる動作の一例を示すタイムチャートである。エンジン30の自動停止中に、車両が停止した時点(時刻t1)までは、車両走行中であるため、制動力配分線により前輪と後輪に制動力が配分される。具体的には、前輪に発生する制動力が後輪に発生する制動力より大きくなるように配分される。その後、時刻t1で車両が停車し、前輪の発生する制動力が低減すると同時に、後輪に発生する制動力が増加する制動力調整制御が実行される。その後、時刻t2で制動力調整制御が終了する。その後、時刻t3で始動条件が成立し、エンジン30の始動が開始する。その後、時刻t4でエンジン回転数が、ブレーキ異音が発生する可能性がある回転数まで上昇する。時刻t4では、前輪に発生する制動力が比較的小さくなっているため、時刻t4でブレーキ異音が発生しない。
次に、図6について説明する。図6は、制動力保持部22により実行される処理の他の一例を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートによる処理は所定処理周期毎に実行してよい。ステップS501で制動力保持部22により実行される処理は図4のステップS401と同様である。エンジン自動停止中であると判定された場合は、ステップS502に進み、そうでない場合はステップS506に進む。
ステップS502で制動力保持部22により実行される処理は図4のステップS402と同様である。車両が停車中であると判定された場合は、ステップS503に進み、そうでない場合は図6に示すフローチャートによる処理を終了する。
ステップS503で制動力保持部22により実行される処理は、ステップS406と同様である。制動力維持フラグオンである場合にはステップS504に進み、そうでない場合は図6に示すフローチャートによる処理を終了する。
ステップS504で制動力保持部22により実行される処理は、図4のステップS407と同様である。ステップS504の処理が終了すると、ステップS505に進む。
ステップS505で制動力保持部22により実行される処理は、図4のステップS408と同様である。ステップS505の処理が終了すると、図6に示すフローチャートによる処理を終了する。
ステップS506で制動力保持部22により実行される処理は、図4のステップS409と同様である。エンジン作動中であると判定された場合は、ステップS507に進み、そうでない場合はステップS510に進む。
ステップS507で制動力保持部22により実行される処理は、図4のステップS410と同様である。制動力維持フラグがオンであれば、ステップS508に進み、そうでない場合は、図6に示すフローチャートによる処理を終了する。
ステップS508で制動力保持部22により実行される処理は、図4のステップS411と同様である。ステップS508の処理が終了すると、ステップS509に進む。
ステップS509で制動力保持部22により実行される処理は、図4のステップS412と同様である。ステップS509の処理が終了すると、図6に示すフローチャートによる処理が終了する。
ステップS510で制動力保持部22により実行される処理は、図4のステップS403と同様である。制動力調整フラグがオンである場合は、ステップS511に進み、そうでない場合は、図6に示すフローチャートによる処理を終了する。
ステップS511では、制動力保持部22が、制動力調整制御を実行する。保持弁を閉から開にした後に、図4のステップS403と同様の処理(制動力調整制御)を行い、その後に保持弁を開から閉にする。なお、ステップS501でNO且つステップS506でNOである場合に、ステップS510の処理を実行する。そのため、ステップS510の処理は始動条件が成立し、エンジン30の始動を開始してからエンジン30の始動が完了するまでの期間に実行される。
また、エンジン30の再始動に伴って発生する駆動力によりブレーキ異音が発生するのは、エンジンの回転数が所定の回転数以上である場合である。そのため、制動力保持部22は、制動力調制御を、始動条件が成立後に開始しエンジンの回転数が所定の回転数以上になるまでに終了するようにブレーキアクチュエータ60を制御する。ステップS511の処理が終了すると、ステップS512に進む。
ステップS512で制動力保持部22により実行される処理は、図4のステップS404と同様である。ステップS512の処理が終了すると、図6に示すフローチャートによる処理を終了する。
図6に示すフローチャートによる処理によれば、制動力調整制御をエンジンの始動中に行うため、図4に示すフローチャートの処理に加え、制動力調整制御によりブレーキアクチュエータ60が作動することで発生する異音や振動をドライバが気づきにくくなる。
次に、図7について説明する。図7は、前輪駆動の車両において、図6に示すフローチャートによる動作の一例を示すタイムチャートである。時刻t1で、エンジン30の自動停止中に、車両が停車する。その後、車両走行中に、制動力配分線に従って前輪と後輪に配分された制動力が、始動条件が成立した時点(時刻t2)まで維持される。時刻t2で始動条件が成立し、前輪に発生する制動力が低減させ、後輪に発生する制動力を増加させる制動力調整制御を実行する。時刻t3で制動力調整制御が終了する。その後、時刻t4でエンジン回転数が、ブレーキ異音が発生する可能性がある回転数まで上昇する。時刻t4では、前輪に発生する制動力が比較的小さくなっているため、時刻t4でブレーキ異音が発生しない。
また、エンジン30の再始動に伴って発生する駆動力によりブレーキ異音が発生するのは、エンジンの回転数が所定の回転数以上である場合である。そのため、制動力保持部22は、制動力調制御を、始動条件が成立後に開始しエンジンの回転数が所定の回転数以上になるまでに終了するようにブレーキアクチュエータ60を制御する。ステップS511の処理が終了すると、ステップS512に進む。
ステップS512で制動力保持部22により実行される処理は、図4のステップS404と同様である。ステップS512の処理が終了すると、図6に示すフローチャートによる処理を終了する。
図6に示すフローチャートによる処理によれば、制動力調整制御をエンジンの始動中に行うため、図4に示すフローチャートの処理に加え、制動力調整制御によりブレーキアクチュエータ60が作動することで発生する異音や振動をドライバが気づきにくくなる。
次に、図7について説明する。図7は、前輪駆動の車両において、図6に示すフローチャートによる動作の一例を示すタイムチャートである。時刻t1で、エンジン30の自動停止中に、車両が停車する。その後、車両走行中に、制動力配分線に従って前輪と後輪に配分された制動力が、始動条件が成立した時点(時刻t2)まで維持される。時刻t2で始動条件が成立し、前輪に発生する制動力が低減させ、後輪に発生する制動力を増加させる制動力調整制御を実行する。時刻t3で制動力調整制御が終了する。その後、時刻t4でエンジン回転数が、ブレーキ異音が発生する可能性がある回転数まで上昇する。時刻t4では、前輪に発生する制動力が比較的小さくなっているため、時刻t4でブレーキ異音が発生しない。
エンジン30が前輪に駆動力を発生させる前輪駆動の車両においては、図4又は図6に示すフローチャートで、制動力保持部22が実行する制動力調整制御は、ブレーキアクチュエータ60に加え、電動パーキングブレーキ40により実行してもよい。具体的には、電動パーキングブレーキ40を作動させることにより後輪の制動力を増大させ、その後、前輪に発生する制動力をブレーキアクチュエータ60により低減させる。
このとき、制動力維持制御の開始は保持弁を開から閉にすることに加え、電動パーキングブレーキ40の電動モータの駆動を停止させてギア機構の保持装置によりロック状態とすることを示す。また、制動力維持制御の終了は、保持弁を閉から開にすることに加え、電動パーキングブレーキ40のケーブルのテンションを緩めるようギア機構を作動させることを示す。
制動力保持部22が、ブレーキアクチュエータ60に加え、電動パーキングブレーキ40により制動力調整制御を実行することで、ブレーキアクチュエータ60の負荷を軽減できる。また、電動パーキングブレーキ40を作動させることで、より確実に降坂路で車両がずりさがる虞を抑制できる。
このとき、制動力維持制御の開始は保持弁を開から閉にすることに加え、電動パーキングブレーキ40の電動モータの駆動を停止させてギア機構の保持装置によりロック状態とすることを示す。また、制動力維持制御の終了は、保持弁を閉から開にすることに加え、電動パーキングブレーキ40のケーブルのテンションを緩めるようギア機構を作動させることを示す。
制動力保持部22が、ブレーキアクチュエータ60に加え、電動パーキングブレーキ40により制動力調整制御を実行することで、ブレーキアクチュエータ60の負荷を軽減できる。また、電動パーキングブレーキ40を作動させることで、より確実に降坂路で車両がずりさがる虞を抑制できる。
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
1 車両の制御装置
2 システム
10 エンジンECU
20 ブレーキECU
21 制動力配分部
22 制動力保持部
30 エンジン
40 電動パーキングブレーキ
50 車速センサ
60 ブレーキアクチュエータ
2 システム
10 エンジンECU
20 ブレーキECU
21 制動力配分部
22 制動力保持部
30 エンジン
40 電動パーキングブレーキ
50 車速センサ
60 ブレーキアクチュエータ
Claims (4)
- 車両の前輪又は後輪に駆動力を発生させるエンジンと、
前記エンジンの停止及び始動を自動で行うエンジン制御手段と、
ドライバのブレーキ操作により発生する制動力を前輪と後輪とに配分する制動力配分手段と、
前記エンジンが停止している場合に、制動力を保持する保持制御を行う制動力制御手段と、を備える車両の制御装置において、
前記保持制御は、前記車両の停車後に前輪と後輪の制動力の配分を変更する制動力調整制御を含む車両の制御装置 - 前記エンジンは、車両の前輪に駆動力を発生させ、
前記制動力配分手段は、前輪に発生する制動力が後輪に発生する制動力より大きくなるように、ドライバのブレーキ操作による制動力を前輪と後輪とに配分し、
前記制動力調整制御は、前輪に発生する制動力を低減させ、後輪に発生する制動力を増加させることである請求項1に記載の車両の制御装置。 - 前記制動力制御手段は、前記エンジン制御手段によるエンジンの始動が開始してからエンジンの回転数が所定回転数を超えるまでの間に前記制動力調整制御を行う請求項1又は2に記載の車両の制御装置
- 前記後輪に制動力を発生させるパーキングブレーキを電動モータで自動作動させる電動パーキングブレーキを備え、
前記制動力調整制御は、前記電動パーキングブレーキを作動させることで前記後輪の制動力を増大させ、前記電動パーキングブレーキの作動後に前記前輪の制動力を低減させる請求項2に記載の車両の制御装置
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015070118A JP2016190516A (ja) | 2015-03-30 | 2015-03-30 | 車両の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2015070118A JP2016190516A (ja) | 2015-03-30 | 2015-03-30 | 車両の制御装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2020241637A1 (ja) * | 2019-05-28 | 2020-12-03 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | ブレーキシステム、制動力配分装置および電動ブレーキ装置 |
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-
2015
- 2015-03-30 JP JP2015070118A patent/JP2016190516A/ja active Pending
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