JP2016190514A - 車両用エアーコンディショナ装置 - Google Patents

車両用エアーコンディショナ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】自動車などの車両に搭載される空調ダクトの大型化を抑制する。
【解決手段】車両用エアーコンディショナ装置20は、乗員室3内へ供給する空気が通過する空気供給路25およびこれと連通する複数の吹出路26〜28が形成される空調ダクト21と、複数の吹出路26〜28に設けられ、複数の吹出路26〜28から吹き出される空気の流量を調整する複数の吹出路ファン81,83,85と、空調ダクト21に設けられ、空気との間で熱交換を行う第一熱交換器41と、を有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、自動車などの車両に搭載される車両用エアーコンディショナ装置に関する。
特許文献1は、車両の室内へ供給する空気が通過する空調ダクトと、空調ダクトに設けられるヒータおよびエバボレータと、を有する車両用エアーコンディショナ装置を開示する。
このような従来の車両用エアーコンディショナ装置では、空調ダクト内の空気は、吸気口に設けられたブロアファンで圧送されることにより、ダクト内を流れる。また、車両の動力源が動作することにより、ヒータが温熱交換器として機能し、エバボレータが冷熱交換器として機能する。空調ダクト内を流れる空気は、エバボレータで冷却され、ヒータで加熱され、吹出口から室内へ吹き出される。車両の動力源が動作した状態で、室内の温度および湿度を調整できる。
特開2008−080850号公報
そして、このような従来の車両用エアーコンディショナ装置では、流路内の空気は、ヒータまたはエバボレータにより全体的に調温されることが望ましい。
その一方で、ブロアファンが生成する空調ダクト内の空気の流れは、吹出す流れの中心において大きく、かつ、中心から離れるにつれて小さい。ブロアファンの直後の空気の流れは、不均一になる。
その結果、空調ダクト内の空気が全体的に調温されるようにするためには、ブロアファンとヒータまたはエバボレータとの間にある程度の長さの流路を設け、この流路において流れを均一に近づける必要がある。その結果、空調ダクトは、大型化する。
このように、車両用エアーコンディショナ装置では、空調ダクトの大型化を抑制して、空調ダクトを車両の室内に設置したとしても室内空間の占有容積を抑えることが求められている。
本発明に係る車両用エアーコンディショナ装置は、車両の室内へ供給する空気が通過する空気供給路および前記空気供給路と連通する複数の吹出路が形成される空調ダクトと、複数の前記吹出路に設けられ、複数の前記吹出路から吹き出される空気の流量を調整する複数の吹出路ファンと、前記空調ダクトに設けられ、空気との間で熱交換を行う第一熱交換器と、を有する。
好適には、複数の前記吹出路に設けられ、複数の前記吹出路を開閉する複数の吹出路シャッタ、を有する、とよい。
好適には、第一中間媒体を収容し、前記第一中間媒体の温度を調整するための冷媒体および温媒体が供給される第一タンクと、前記第一中間媒体を、前記室内を所望の温度とするために必要とされる温度に制御する制御部と、を有し、前記第一熱交換器は、前記第一タンクから前記第一中間媒体が循環する、とよい。
好適には、第二中間媒体を収容し、前記第二中間媒体の温度を調整するための冷媒体および温媒体が供給される第二タンクと、前記第一熱交換器より上流側において前記空調ダクトに設けられ、前記第二タンクから前記第二中間媒体が循環する第二熱交換器と、を有し、前記制御部は、前記第二中間媒体を除湿温度に制御する、とよい。
好適には、前記第一タンクと前記車両の前記室内との間で前記第一中間媒体を循環する室内循環路を有する、とよい。
本発明では、空気供給路から分岐した複数の吹出路に、個別に複数の吹出路ファンが設けられる。よって、たとえば吹出路毎に流量を調整して、きめ細かな空調制御を実現可能になる。
また、複数の吹出路に対応する複数の吹出路ファンは、空気供給路内に、負圧による空気の流れを生成する。その結果、空気供給路内での風力分布を改善し得る。改善された風力分布により、第一熱交換器において空気の温度を略等しく調整し得る。
その結果、本発明では、大型のブロアファンを無くし、かつ、風量分布を均一化するための流路が不要となる。空気供給路を短くして、空調ダクトを小型化できる。空調ダクトを室内に設置したとしても室内空間の占有容積を抑えることができる。
これに対して、従来の車両用エアーコンディショナ装置では、空気供給路の入口に大型のブロアファンを設けている。また、その大型のブロアファンにより生成され正圧の風量分布をブロアファンと熱交換器との間で均一化するための流路長を確保する必要がある。その結果、空調ダクトが大型化する。
図1は、車両用エアーコンディショナ装置を搭載する自動車を示す側面図である。 図2は、自動車に搭載されている一般的な車両用エアーコンディショナ装置の模式的な概略構成図である。 図3は、本発明の第1実施形態に係る車両用エアーコンディショナ装置の模式的な概略構成図である。 図4は、本発明の第2実施形態に係る車両用エアーコンディショナ装置の模式的な概略構成図である。 図5は、本発明の第3実施形態に係る車両用エアーコンディショナ装置の模式的な概略構成図である。
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1は、車両用エアーコンディショナ装置を搭載する自動車1を示す側面図である。自動車1は、車両の一例である。
図1の自動車1は、車体を有する。車体には、前側から、前室2、乗員室3、後室4が画成される。
車体の前部である前室2には、たとえばエンジン、モータといった動力源が配置される。
後室4は、荷室として利用される。
乗員室3は、自動車1の運転手などが搭乗する室内である。乗員室3には、たとえばダッシュボード11、ハンドル、複数のシート12が配置される。複数のシート12は、乗員室3の床面上に前後二列に並べて配置される。ダッシュボード11は、乗員室3の前部に配置される。ダッシュボード11の上側には、フロントガラス13が位置する。前後二列のシート12の左右両側には、複数のドアパネル14が開閉可能に取り付けられる。ドアパネル14の上部には、サイドガラス15が配置される。後側のシート12の上側には、リアガラスが位置する。このように、乗員室3の上部には、複数のガラスが配置される。運転手は、乗員室3から、自動車1の周囲を見渡すことができる。また、乗員室3の下部は、車体および複数のドアパネル14により囲われる。
図2は、自動車1に搭載されている一般的な車両用エアーコンディショナ装置100の模式的な概略構成図である。
一般的な車両用エアーコンディショナ装置100は、乗員室3の温度を調整するものである。
図2の一般的な車両用エアーコンディショナ装置100は、たとえば空調ダクト21、ブロアファン31、エバボレータ32、冷媒循環装置33、ヒータ34、温媒循環装置35、切替板36、第一開閉板37、第二開閉板38、第三開閉板39、を有する。
空調ダクト21は、樹脂材料により中空構造に形成される。空調ダクト21は、空気を吸う複数の吸込路、ブロアファン31の設置スペース24、空気が通る空気供給路25、空気を吹き出す複数の吹出路、を有する。複数の吸込路、ブロアファン31の設置スペース24、空気供給路25、および複数の吹出路は、空調ダクト21において順番に連通している。空調ダクト21は、一般的に乗員室3のダッシュボード11内に収容して配置される。
複数の吸込路には、たとえば乗員室3外の空気を吸い込むための外吸込路22、乗員室3内の空気を吸い込むための内吸込路23、がある。外吸込路22は、たとえば前室2に開口する。この場合、外吸込路22は、前室2から乗員室3へ引き込まれる。内吸込路23は、乗員室3のたとえばダッシュボード11の下面に開口する。
複数の吹出路は、フロントガラス13およびサイドガラス15へ向けて空気を吹き出すガラス用吹出路26、乗員の上体へ向けて空気を吹き出す上体用吹出路27、乗員の足下へ向けて空気を吹き出す足下用吹出路28、がある。ガラス用吹出路26は、たとえばフロントガラス13および左右のサイドガラス15へ向けて空気を吹き出す3つのガラス用吹出口を有する。ガラス用吹出口は、たとえばダッシュボード11の上面に形成され、上向きに空気を吹き出す。上体用吹出路27は、たとえば3つの上体用吹出口を有する。3つの上体用吹出口は、たとえばダッシュボード11の後面において左右方向に並べて形成され、後向きに空気を吹き出す。足下用吹出路28は、たとえば複数の足下用吹出口を有する。複数の足下用吹出口は、たとえばダッシュボード11の下面やシート12下に形成され、後向きに空気を吹き出す。この場合、ガラス用吹出路26および上体用吹出路27は、乗員室3の上部へ空気を吹き出す上吹出路であり、足下用吹出路28は、乗員室3の下部へ空気を吹き出す下吹出路である。
ブロアファン31は、たとえばシロッコ式のファンを有する。ブロアファン31は、空調ダクト21の空気供給路25へ空気を吸気し、吸気した空気を空気供給路25から乗員室3へ吹き出すことにより、空調ダクト21内に空気の流れを生成する。図2の設置スペース24の場合、ブロアファン31は、紙面上の外吸込路22または内吸込路23から空気を吸い込み、紙面下向きに空気を吐き出す。紙面下向きの空気の流れは、空気供給路25へ流れ込む。これにより、紙面の左右方向に延在する空気供給路25では、左から右へ向かう空気の流れが生成される。
エバボレータ32は、気化した冷媒体が液化することにより周囲の熱を奪う。エバボレータ32は、空気供給路25内において、ブロアファン31の設置スペース24寄りの位置に配置される。エバボレータ32は、空気供給路25を全体的に塞ぐように配置される。
冷媒循環装置33は、気化した冷媒体をエバボレータ32へ供給し、エバボレータ32で液化した冷媒体を回収する。冷媒循環装置33は、たとえば、コンプレッサ、コンデンサ、レシーバ、気化バルブを、配管により環状に連結した装置である。この循環経路では、コンプレッサが動作することにより、液体の冷媒体が循環する。また、気化バルブと開閉バルブとの間に、分岐管により、エバボレータ32が連結される。気化バルブで気化された冷媒体が、エバボレータ32へ供給される。
これにより、空気供給路25内の空気は、エバボレータ32により冷却される。エバボレータ32での熱交換による冷却性能は、エバボレータ32に循環させる冷媒体の量により、すなわちコンプレッサの動作により調整し得る。
ヒータ34は、加熱された温媒体により周囲に熱を与える。ヒータ34は、空気供給路25内において、エバボレータ32と複数の吹出路との間に配置される。また、ヒータ34は、空気供給路25の一部を塞ぐように配置される。一般的には、ヒータ34は、空気供給路25の上半分を塞ぐように配置される。
温媒循環装置35は、自動車1の動力源により暖められた温媒体をヒータ34へ供給し、ヒータ34を循環した温媒体を回収する。温媒循環装置35は、たとえばエンジンの冷却経路、ラジエタ、ポンプ、ヒータ34を、配管により環状に連結した装置である。この循環経路では、ポンプが動作することにより、液体の温媒体が循環する。燃焼熱によりエンジンが温まると、温媒体の温度が上昇する。加熱された温媒体がヒータ34に流れる。
これにより、空気供給路25内の空気は、ヒータ34により冷却される。ヒータ34での熱交換による加熱性能は、ヒータ34に循環させる冷媒体の量により、すなわちポンプの動作により調整し得る。
切替板36は、空気供給路25内において、エバボレータ32とヒータ34との間に配置される。切替板36は、空気供給路25内で上下動可能に配置される。切替板36は、空気供給路25の上部を塞いだり、空気供給路25の下部を塞いだりする。これにより、空気供給路25内を流れる空気についての、ヒータ34への供給量を調整できる。
第一開閉板37、第二開閉板38および第三開閉板39は、空気供給路25内において、複数の吹出路との連通部分に配置される。
第一開閉板37は、ガラス用吹出路26との連通部分に配置される。第一開閉板37により、ガラス用吹出路26との連通口を閉じることができる。この場合、空気はガラス用吹出路26から吹き出さなくなる。
第二開閉板38は、上体用吹出路27との連通部分に配置される。第二開閉板38により、上体用吹出路27との連通口を閉じることができる。この場合、空気は上体用吹出路27から吹き出さなくなる。
第三開閉板39は、足下用吹出路28との連通部分に配置される。第三開閉板39により、足下用吹出路28との連通口を閉じることができる。この場合、空気は足下用吹出路28から吹き出さなくなる。
このような一般的な車両用エアーコンディショナ装置100では、ブロアファン31が動作することにより、いずれかの吸込路から吸気され、ブロアファン31から空気供給路25へ空気が圧縮して押し出される。空気供給路25内の空気は、エバボレータ32、ヒータ34を通過し、複数の吹出路から乗員室3内へ吹き出される。
そして、ヒータ34に熱媒体が循環している状態で、切替板36が空気供給路25の下部を塞ぐことにより、空気供給路25内を流れる空気の多くが、ヒータ34により加熱される。乗員室3内へ吹き出される空気の温度が高くなる。
また、エバボレータ32に冷媒体が循環することにより、空気供給路25内を流れる空気の殆どが、エバボレータ32により冷却される。乗員室3内へ吹き出される空気の温度が低くなる。
これにより、一般的な車両用エアーコンディショナ装置100は、乗員室3の室温を調整できる。
しかしながら、このような一般的な車両用エアーコンディショナ装置100において、空調ダクト21の空気供給路25内の空気が全体的に調温されるためには、空気供給路25内の空気の流れが均一であることが望ましい。
その一方で、ブロアファン31が生成する空調ダクト21の空気供給路25内の空気の流れは、たとえば設置スペース24から空気供給路25への空気の流れの中心において大きく、かつ、中心から離れるにつれて小さくなる分布を有する。特に、ブロアファン31の設置スペース24から吹き出した直後の空気の流れは、不均一である。
その結果、空調ダクト21の空気供給路25では、ブロアファン31の設置スペース24とエバボレータ32との間に、ある程度の長さの流路を設ける必要がある。その分、空調ダクト21は大型化する。乗員室3内での空調ダクト21の占有容積が増えてしまう。
そこで、本実施形態では、空調ダクト21の大型化を抑制する。これにより、自動車1の乗員室3内に空調ダクト21を設置したとしても、乗員室3内での空調ダクト21の占有容積を抑える。
以下、詳しく説明する。
図3は、本発明の第1実施形態に係る車両用エアーコンディショナ装置20の概略構成図である。
本実施形態の車両用エアーコンディショナ装置20において、空調ダクト21は、外吸込路22、内吸込路23、空気供給路25、ガラス用吹出路26、上体用吹出路27、足下用吹出路28、を有する。外吸込路22および内吸込路23は、空気供給路25に直結されている。
空調ダクト21には、第一熱交換器41、第一吹出路ファン81、第一吹出路シャッタ82、第二吹出路ファン83、第二吹出路シャッタ84、第三吹出路ファン85、第三吹出路シャッタ86、が配置される。
また、本実施形態の車両用エアーコンディショナ装置20は、第一中間媒体42を収容する第一断熱タンク43、第一循環路44、第二中間媒体52を収容する第二断熱タンク53、第二循環路54、エバボレータ32、冷媒循環装置33、ヒータ34、温媒循環装置35、電気ヒータ45、制御部60、を有する。
第一吹出路ファン81および第一吹出路シャッタ82は、ガラス用吹出路26に配置される。第一吹出路ファン81は、空気供給路25からガラス用吹出路26へ空気を引き込み、ガラス用吹出路26から空気を吹き出す。第一吹出路シャッタ82は、ガラス用吹出路26を塞ぐ。これにより、空気供給路25からガラス用吹出路26への空気の流れが止まる。
第二吹出路ファン83および第二吹出路シャッタ84は、上体用吹出路27に配置される。第二吹出路ファン83は、空気供給路25から上体用吹出路27へ空気を引き込み、上体用吹出路27から空気を吹き出す。第二吹出路シャッタ84は、上体用吹出路27を塞ぐ。これにより、空気供給路25から上体用吹出路27への空気の流れが止まる。
第三吹出路ファン85および第三吹出路シャッタ86は、足下用吹出路28に配置される。第三吹出路ファン85は、空気供給路25から足下用吹出路28へ空気を引き込み、足下用吹出路28から空気を吹き出す。第三吹出路シャッタ86は、足下用吹出路28を塞ぐ。これにより、空気供給路25から足下用吹出路28への空気の流れが止まる。
このように、空調ダクト21の下流側に配置された複数の吹出路ファンが動作することにより、空気供給路25から空気が引き出され、空気供給路25内には負圧による空気の流れが生成される。負圧による空気の流れは、空気供給路25内に略均一の流れを生成する。そして、外吸込路22または内吸込路23から空気供給路25へ空気が流れ込む。
第一断熱タンク43は、第一中間媒体42を収容する閉じた内部空間を有する。第一断熱タンク43は、第一中間媒体42の温度を維持する断熱構造に形成される。第一断熱タンク43は、たとえば自動車1の前室2に配置される。
第一中間媒体42は、熱媒体である。第一中間媒体42は、たとえばクーラント液でよい。
エバボレータ32、ヒータ34、および電気ヒータ45は、第一断熱タンク43内に配置される。
冷媒循環装置33は、エバボレータ32に連結され、エバボレータ32へ冷媒体を供給する。冷媒循環装置33は、たとえばコンプレッサの駆動により冷媒体を循環させてエバボレータ32へ供給する。
温媒循環装置35は、ヒータ34に連結され、ヒータ34へ冷媒体を供給する。温媒循環装置35は、たとえばポンプの駆動により、動力源の発熱により暖められた温媒体を循環させてヒータ34へ供給する。
電気ヒータ45は、たとえばバッテリ46、スイッチ47と閉ループを構成する。スイッチ47が閉じることで、電気ヒータ45は通電して発熱する。
第一断熱タンク43内の第一中間媒体42は、エバボレータ32の冷媒体との熱交換により、冷却され得る。また、第一断熱タンク43内の第一中間媒体42は、ヒータ34の温媒体との熱交換により、または電気ヒータ45の発熱により、暖められる。
第一熱交換器41は、空気供給路25内において、空気供給路25を全体的に塞ぐように配置される。第一熱交換器41は、たとえばヒータ34と同様の熱交換器の構造に形成されてよい。
第一循環路44は、第一断熱タンク43と第一熱交換器41とを連結する。
第二断熱タンク53は、第二中間媒体52を収容する閉じた内部空間を有する。第二断熱タンク53は、第二中間媒体52の温度を維持する断熱構造に形成される。第二断熱タンク53は、たとえば自動車1の前室2に配置される。
第二中間媒体52は、熱媒体である。第二中間媒体52は、たとえばクーラント液でよい。
エバボレータ32、ヒータ34、および電気ヒータ45は、第二断熱タンク53内に配置される。
冷媒循環装置33は、エバボレータ32に連結され、エバボレータ32へ冷媒体を供給する。冷媒循環装置33は、たとえばコンプレッサの駆動により冷媒体を循環させてエバボレータ32へ供給する。
温媒循環装置35は、ヒータ34に連結され、ヒータ34へ冷媒体を供給する。温媒循環装置35は、たとえばポンプの駆動により、動力源の発熱により暖められた温媒体を循環させてヒータ34へ供給する。
電気ヒータ45は、たとえばバッテリ46、スイッチ47と閉ループを構成する。スイッチ47が閉じることで、電気ヒータ45は通電して発熱する。
第二断熱タンク53内の第二中間媒体52は、エバボレータ32の冷媒体との熱交換により、冷却され得る。また、第二断熱タンク53内の第二中間媒体52は、ヒータ34の温媒体との熱交換により、または電気ヒータ45の発熱により、暖められる。
第二熱交換器51は、空気供給路25内において、空気供給路25を全体的に塞ぐように配置される。第二熱交換器51は、たとえばヒータ34と同様の熱交換器の構造に形成されてよい。
第二循環路54は、第二断熱タンク53と第二熱交換器51とを連結する。
なお、図3では、図示の都合上、第一断熱タンク43側の冷媒循環装置33、温媒循環装置35およびバッテリ46と、第二断熱タンク53側の冷媒循環装置33、温媒循環装置35およびバッテリ46とが別々に図示されているが、これらは共通化されてよい。
制御部60は、乗員室3を空調するために車両用エアーコンディショナ装置20の動作を制御する。
制御部60は、空調ダクト21における空気の流れを制御する。たとえば第一吹出路ファン81の動作/停止、第一吹出路シャッタ82の開閉、第二吹出路ファン83の動作/停止、第二吹出路シャッタ84の開閉、第三吹出路ファン85の動作/停止、第三吹出路シャッタ86の開閉、を制御する。いずれか一つの吹出路ファンが動作することにより、空調ダクト21の空気供給路25が負圧となり、外吸込路22または内吸込路23から吹出口へ向かって空気が流れる。
また、制御部60は、第一断熱タンク43への冷媒体および温媒体の供給を制御し、第一断熱タンク43での電気ヒータ45の通電を制御し、第一断熱タンク43から第一熱交換器41への第一中間媒体42の供給を制御する。これにより、第一断熱タンク43内の第一中間媒体42が、乗員室3内を所望の温度とするために必要とされる温度に制御される。暖められた第一中間媒体42は、第一断熱タンク43と第一熱交換器41との間で循環する。第一熱交換器41では、暖められた第一中間媒体42と空調ダクト21内の空気との間で熱交換が行われる。乗員室3内を所望の温度とするように暖められた空気が空調ダクト21から乗員室3へ吹き出される。乗員室3の温度が調整される。
なお、この調温運転において、制御部60は、第一中間媒体42を、乗員室3内を所望の温度とするために必要とされる温度に制御すればよい。たとえば乗員室3の現在温度と乗員室3の目標温度との温度差が大きい場合、制御部60は、ヒータ34および電気ヒータ45を動作させて第一中間媒体42を乗員室3の目標温度より高い温度に制御し、その後、第一中間媒体42を乗員室3の目標温度に制御すればよい。第一中間媒体42を少なくとも乗員室3の目標温度以上に制御することにより、乗員室3へ吹き出す空気を乗員室3の目標温度にすることができる。高くなりすぎた第一中間媒体42の温度を下げるためには、第一断熱タンク43へ冷媒体を供給すればよい。第一中間媒体42を乗員室3の目標温度に制御することにより、乗員室3の温度を目標温度に制御し得る。
具体的にはたとえば、制御部60は、第一中間媒体42の温度を、乗員室3における所望の温度である10度から30度の範囲内における目標温度に制御すればよい。これにより、第一中間媒体42と熱交換する空気の温度は、目標温度に制御される。
この他にもたとえば、乗員室3を除湿する場合、制御部60は、さらに第二断熱タンク53への冷媒体および温媒体の供給を制御し、第二断熱タンク53での電気ヒータ45の通電を制御し、第二断熱タンク53から第二熱交換器51への第二中間媒体52の供給を制御する。これにより、第二断熱タンク53内の第二中間媒体52が、第二中間媒体52が凍結しない程度に冷却される。冷却された第二中間媒体52は、第二断熱タンク53と第二熱交換器51との間で循環する。第二熱交換器51では、冷却された第二中間媒体52と空調ダクト21内の空気との間で熱交換が行われる。空調ダクト21内の空気は、第二熱交換器51で冷却されて除湿された後、第一熱交換器41で再加熱され、乗員室3へ吹き出される。乗員室3は除湿される。
以上のように、本実施形態では、第一中間媒体42が、車両の乗員室3内を所望の温度とするために必要とされる温度に制御された上で、空調ダクト21に設けられた第一熱交換器41へ供給される。よって、第一熱交換器41のみにより、車両の室内を、所望の温度に上げ下げして調整できる。また、第一熱交換器41より上流側に設けられた第二熱交換器51により、室内へ供給される空気を除湿できる。
また、本実施形態では、空気供給路25からの複数の空気の吹出路に対応して複数の吹出路ファンが設けられる。よって、たとえば吹出路毎に吹出す流量を調整でき、きめ細かな空調制御を実現可能になる。
また、複数の吹出路に対応する複数の吹出路ファンにより、空気供給路25内には、負圧による空気の流れが生成される。空気供給路25内の風力分布が改善される。改善された風力分布により、第一熱交換器41において空気の温度を略等しく調整し得る。その結果、一般的な車両用エアーコンディショナ装置100のように、空気供給路25の入口に大型のブロアファン31を設ける必要がない。また、その大型のブロアファン31と熱交換器との間に空気の流れを均一化するための流路長を確保する必要もない。その結果、本実施形態では、大型のブロアファン31を無くし、かつ、空気供給路25の流路長を短くして、空調ダクト21を小型化できる。空調ダクト21を乗員室3内に設置したとしても、乗員室3内の空間を狭くし難い。
また、本実施形態では、複数の吹出路からの吹き出しを、吹出路毎に個別に、吹出路に設けられた複数の吹出路シャッタにより制御できる。その結果、一般的な車両用エアーコンディショナ装置100のように、空気供給路25内に、流路を開閉する開閉板を設ける必要がない。その結果、空調ダクト21を小型化できる。空調ダクト21を乗員室3内に設置したとしても、乗員室3内の空間を狭くし難い。
[第2実施形態]
図4は、本発明の第2実施形態に係る車両用エアーコンディショナ装置20の模式的な概略構成図である。
図4の車両用エアーコンディショナ装置20は、空調ダクト21を有する。空調ダクト21は、外吸込路22、内吸込路23、空気供給路25、ガラス用吹出路26、上体用吹出路27、足下用吹出路28、を有する。
そして、空調ダクト21には、第二熱交換器51、第一熱交換器41、第三熱交換器48、第一吹出路シャッタ82、第二吹出路ファン83、第二吹出路シャッタ84、第三吹出路ファン85、第三吹出路シャッタ86、が配置される。
また、第一熱交換器41には、第一循環路44により、第一中間媒体42を収容する第一断熱タンク43が接続される。第一断熱タンク43には、エバボレータ32、ヒータ34、電気ヒータ45、が配置される。エバボレータ32は、冷媒循環装置33による冷媒体が循環することにより、第一中間媒体42を冷却する。ヒータ34は、温媒循環装置35による温媒体が循環することにより、第一中間媒体42を暖める。電気ヒータ45は、バッテリ46およびスイッチ47と閉ループを構成する。
第二熱交換器51には、第二循環路54により、第二中間媒体52を収容する第二断熱タンク53が接続される。第二断熱タンク53には、エバボレータ32、ヒータ34、電気ヒータ45、が配置される。エバボレータ32は、冷媒循環装置33による冷媒体が循環することにより、第二中間媒体52を冷却する。ヒータ34は、温媒循環装置35による温媒体が循環することにより、第二中間媒体52を暖める。電気ヒータ45は、バッテリ46およびスイッチ47と閉ループを構成する。なお、冷媒循環装置33、温媒循環装置35、バッテリ46などは、第一熱交換器41のものと共通化されてよい。
第三熱交換器48は、第一熱交換器41と同様の構造でよい。第三熱交換器48は、空気供給路25内において、第一熱交換器41の下側に位置する。
第三熱交換器48には、第三循環路49により、第一中間媒体42を収容する第一断熱タンク43が接続される。
これらの車両用エアーコンディショナ装置20の構成要素は、制御部60に接続され、制御部60により制御される。
これ以外の図4の車両用エアーコンディショナ装置20の構成は、図3の車両用エアーコンディショナ装置20と同様であり、同一の符号を使用してその説明を省略する、
そして、このような車両用エアーコンディショナ装置20では、制御部60は、乗員室3を空調するための制御を実行する。
制御部60は、空調ダクト21における空気の流れを制御し、第一断熱タンク43への冷媒体および温媒体の供給を制御し、第一断熱タンク43での電気ヒータ45の通電を制御し、第一断熱タンク43から第一熱交換器41への第一中間媒体42の供給を制御する。また、第二断熱タンク53への冷媒体および温媒体の供給を制御し、第二断熱タンク53での電気ヒータ45の通電を制御し、第二断熱タンク53から第二熱交換器51への第二中間媒体52の供給を制御する。また、第一断熱タンク43から第三熱交換器48への第一中間媒体42の供給を制御する。
たとえば乗員室3の温度が低い場合、制御部60は、第二断熱タンク53を動作させることなく、第一断熱タンク43へ温媒体を供給する。自動車1の動力源が停止している場合または温まっていない場合、電気ヒータ45を通電する。これにより、第一断熱タンク43内の第一中間媒体42は、乗員室3内を所望の温度とするために必要とされる温度に暖められる。また、制御部60は、暖められた第一中間媒体42を、第一断熱タンク43と第一熱交換器41との間で循環し、第一断熱タンク43と第三熱交換器48との間で循環する。第一熱交換器41および第三熱交換器48では、暖められた第一中間媒体42と乗員室3内の空気との間で熱交換が行われ、暖められた空気が乗員室3へ吹き出される。その結果、乗員室3は暖められる。
なお、冷却する場合、および除湿する場合も同様である。
そして、本実施形態では、空調ダクト21の空気供給路25に、第一熱交換器41と第三熱交換器48とを上下に並べて配置する。よって、制御部60は、第一熱交換器41での第一中間媒体42の流量と、第三熱交換器48での第一中間媒体42の流量とを差をつけることにより、空調ダクト21から吹き出される空気に温度差を持たせることができる。たとえば、第三熱交換器48に第一熱交換器41より多くの第一中間媒体42を流すことにより、第三熱交換器48を通過した空気の温度は、第一熱交換器41を通過した空気の温度より高くなる。たとえば乗員室3へ供給する熱量を減らすことなく、乗員の顔などに当たる空気の温度を下げて不快感を抑制できる。除湿についても同様である。
[第3実施形態]
図5は、本発明の第3実施形態に係る車両用エアーコンディショナ装置20の模式的な概略構成図である。
図5の車両用エアーコンディショナ装置20は、図3のものに対して、室内循環路71を追加した構成を有する。
室内循環路71は、第一中間媒体42を乗員室3内で循環させる循環路である。室内循環路71は、たとえば第一断熱タンク43と乗員室3のシート12との間に設けられる。乗員室3内のシート12は、乗員室3内を所望の温度とするために必要とされる温度に暖められている第一中間媒体42により、直接的に暖められる。
この他にもたとえば、室内循環路71は、乗員室3を画成するサイドパネル、ルーフパネルなどに埋設されてもよい。
これ以外の図5の車両用エアーコンディショナ装置20の構成は、図3の車両用エアーコンディショナ装置20と同様であり、同一の符号を使用してその説明を省略する、
そして、本実施形態では、室内循環路71により、乗員室3の設備を直接的に暖めることができる。従来にあっては一般的な車両用エアーコンディショナ装置100とは別に専用のヒータ等を追加しなければ、乗員室3の設備を直接的に暖めることができなかったが、車両用エアーコンディショナ装置20により、乗員室3の設備を直接的に暖めることができる。
以上の各実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。
たとえば上記実施形態では、第一断熱タンク43のエバボレータ32は、自動車1の動力源により駆動されることにより機能する冷媒循環装置33から冷媒体が供給される。また、ヒータ34は、自動車1の動力源により駆動されることにより機能する温媒循環装置35から温媒体が供給される。
この他にもたとえば、冷媒循環装置33または温媒循環装置35は、自動車1の別のエンジンやバッテリにより駆動されてもよい。
上記実施形態は、本発明を自動車1に適用した例である。
この他にもたとえば、本発明は、自動車以外のたとえば電車などの車両に適用することができる。
1…自動車(車両)
2…前室
3…乗員室(車両の室)
4…後室
11…ダッシュボード
12…シート
13…フロントガラス
14…ドアパネル
15…サイドガラス
20…車両用エアーコンディショナ装置
21…空調ダクト
22…外吸込路
23…内吸込路
24…設置スペース
25…空気供給路
26…ガラス用吹出路(上吹出路、吹出路)
27…上体用吹出路(上吹出路、吹出路)
28…足下用吹出路(下吹出路、吹出路)
31…ブロアファン
32…エバボレータ
33…冷媒循環装置
34…ヒータ
35…温媒循環装置
36…切替板
37…第一開閉板
38…第二開閉板
39…第三開閉板
41…第一熱交換器
42…第一中間媒体
43…第一断熱タンク(第一タンク)
44…第一循環路
45…電気ヒータ
46…バッテリ
47…スイッチ
48…第三熱交換器
49…第三循環路
51…第二熱交換器
52…第二中間媒体
53…第二断熱タンク(第二タンク)
54…第二循環路
60…制御部
71…室内循環路
81…第一吹出路ファン(吹出路ファン)
82…第一吹出路シャッタ(吹出路シャッタ)
83…第二吹出路ファン(吹出路ファン)
84…第二吹出路シャッタ(吹出路シャッタ)
85…第三吹出路ファン(吹出路ファン)
86…第三吹出路シャッタ(吹出路シャッタ)
100…車両用エアーコンディショナ装置

Claims (5)

  1. 車両の室内へ供給する空気が通過する空気供給路および前記空気供給路と連通する複数の吹出路が形成される空調ダクトと、
    複数の前記吹出路に設けられ、複数の前記吹出路から吹き出される空気の流量を調整する複数の吹出路ファンと、
    前記空調ダクトに設けられ、空気との間で熱交換を行う第一熱交換器と、
    を有する、
    車両用エアーコンディショナ装置。
  2. 複数の前記吹出路に設けられ、複数の前記吹出路を開閉する複数の吹出路シャッタ、を有する、
    請求項1記載の車両用エアーコンディショナ装置。
  3. 第一中間媒体を収容し、前記第一中間媒体の温度を調整するための冷媒体および温媒体が供給される第一タンクと、
    前記第一中間媒体を、前記室内を所望の温度とするために必要とされる温度に制御する制御部と、
    を有し、
    前記第一熱交換器は、前記第一タンクから前記第一中間媒体が循環する、
    請求項1または2記載の車両用エアーコンディショナ装置。
  4. 第二中間媒体を収容し、前記第二中間媒体の温度を調整するための冷媒体および温媒体が供給される第二タンクと、
    前記第一熱交換器より上流側において前記空調ダクトに設けられ、前記第二タンクから前記第二中間媒体が循環する第二熱交換器と、
    を有し、
    前記制御部は、前記第二中間媒体を除湿温度に制御する、
    請求項3記載の車両用エアーコンディショナ装置。
  5. 前記第一タンクと前記車両の前記室内との間で前記第一中間媒体を循環する室内循環路を有する、
    請求項3または4記載の車両用エアーコンディショナ装置。
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