JP2016189708A - 酵母由来呈味増強剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】解決しようとする課題は、一般加工飲食品の塩味、甘味などの呈味を増強して、満足度を向上させる事である。その際に概加工食品に添加するものは、一般の食品であって、安全性の高いものが望ましい。【解決手段】酵母エキス抽出後の残渣に対してリン脂質分解酵素を作用させることで、塩化コリン換算でコリンを0.1重量%以上含む調味料が得られる。この調味料を加工飲食品に添加することで、その呈味を増強することが可能である。【選択図】なし
Description
本発明は、食品の味質増強、味質向上効果を有する酵母由来調味料に関するものである。
酵母には核酸、アミノ酸、ペプチドなど豊富な呈味性成分が含まれており、その抽出物である酵母エキスは天然の調味料として多くの食品に用いられている。酵母エキスの製造方法としては、抽出する酵素や媒体などにより種々の方法が知られている(特許文献1)。
一方、酵母から酵母エキスを抽出した後の残渣はグルカン、マンナン、タンパク質、脂質を主要な成分とするものであり、その中にリン脂質であるホスファチジルコリンも含まれる。
コリン塩は飲食品に添加した際塩味を増強する効果(特許文献2)や甘味を増強する効果(特許文献3)が知られている。しかしながら日本国内では、塩化コリンは食品添加物として認可されていないため、コリン塩を豊富に含む天然の食品素材が望まれている。
コリンを含む一般食品素材の製造方法としては、コリンを高濃度に含有した酵母及びその破砕物(特許文献4)が挙げられるが、この方法は系外から酵母培養液にコリン塩の添加が必要であった。
解決しようとする課題は、一般加工飲食品の呈味を増強して満足度を向上させることである。その際に当該加工飲食品に添加するものは、安全性やコストの面から、一般的に食品として摂取されているものであり、またコリンを外添せずに得られるものが望ましい。
本発明者らは、上記課題解決のために鋭意研究の結果、酵母エキス抽出後の残渣に対してリン脂質分解酵素を作用させることで、コリンを多く含む酵母由来組成物が得られること、その組成物には食品の呈味増強効果があり、調味料として用いうることを見出した。
すなわち本発明は、
(1)コリンを塩化コリン換算で0.1重量%以上含む酵母由来組成物、
(2)酵母エキス抽出残渣にリン脂質分解酵素を作用させて得られる、上記(1)記載の酵母由来組成物、
(3)上記(1)または(2)に記載の酵母由来組成物を有効成分とする調味料、
(4)上記(3)記載の調味料を飲食品に添加する、食品の呈味増強方法、
に係るものである。
(1)コリンを塩化コリン換算で0.1重量%以上含む酵母由来組成物、
(2)酵母エキス抽出残渣にリン脂質分解酵素を作用させて得られる、上記(1)記載の酵母由来組成物、
(3)上記(1)または(2)に記載の酵母由来組成物を有効成分とする調味料、
(4)上記(3)記載の調味料を飲食品に添加する、食品の呈味増強方法、
に係るものである。
本発明によると、一般的な食品である酵母を用い、コリンを外添することなく、コリンを塩化コリン換算で0.1重量%以上含む酵母由来組成物を得ることができる。製造条件によっては、0.3重量%以上、あるいは0.5重量%以上含む酵母由来組成物を得ることもできる。
その際、原料として酵母エキス抽出残渣を用いることができ、コリンの外添も必要ないため、きわめて低コストで取得することができる。
このコリン高含有の酵母由来組成物は、飲食品に少量添加するだけで、その飲食品の呈味を増強することができるため、呈味増強剤、調味料として用いることができる。
その際、原料として酵母エキス抽出残渣を用いることができ、コリンの外添も必要ないため、きわめて低コストで取得することができる。
このコリン高含有の酵母由来組成物は、飲食品に少量添加するだけで、その飲食品の呈味を増強することができるため、呈味増強剤、調味料として用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明でいう酵母菌体は、主に酵母エキスの原料として用いられる酵母であり、具体的にはサッカロマイセス・セレビシエやキャンディダ・ユティリスなどが挙げられる。
本発明の酵母エキス抽出後の残渣とは具体的には、酵母に熱水、アルカリ性溶液、自己消化、機械的破砕、細胞壁溶解酵素、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、またはデアミナーゼのいずれか一つ以上を用いて抽出処理することにより酵母エキスを抜いた後の残渣である。具体的には、興人ライフサイエンス(株)製のKR酵母が挙げられる。
本発明では、酵母エキス抽出後の残渣に、リン脂質分解酵素を作用させる。
具体的には、酵母エキス残渣に水を加えて乾燥重量で約10%濃度の懸濁液を調製した後、そこにリン脂質分解酵素を添加する。
リン脂質分解酵素としては、ホスホリパーゼA1、ホスホリパーゼA2、ホスホリパーゼB、ホスホリパーゼC、ホスホリパーゼDが挙げられ、それらのいずれでもよいが、ホスホリパーゼDが望ましい。具体的には、ホスホリパーゼD(名糖産業社製)、Phospholipase D(旭化成社製)及びホスホリパーゼD(MP Biomedicals社製)などが挙げられる。
リン脂質分解酵素を添加後、45℃以上、望ましくは50〜60℃にて1.5〜8時間作用させる。この反応により酵母エキス残渣中にあったホスファチジルコリンが分解され、コリンが生じる。
具体的には、酵母エキス残渣に水を加えて乾燥重量で約10%濃度の懸濁液を調製した後、そこにリン脂質分解酵素を添加する。
リン脂質分解酵素としては、ホスホリパーゼA1、ホスホリパーゼA2、ホスホリパーゼB、ホスホリパーゼC、ホスホリパーゼDが挙げられ、それらのいずれでもよいが、ホスホリパーゼDが望ましい。具体的には、ホスホリパーゼD(名糖産業社製)、Phospholipase D(旭化成社製)及びホスホリパーゼD(MP Biomedicals社製)などが挙げられる。
リン脂質分解酵素を添加後、45℃以上、望ましくは50〜60℃にて1.5〜8時間作用させる。この反応により酵母エキス残渣中にあったホスファチジルコリンが分解され、コリンが生じる。
次いで、その懸濁液を遠心分離機にて可溶画分と不溶画分に分離する。得られた可溶画分(上清液)は、乾燥物換算するとコリンを塩化コリン換算で0.1重量%以上含む組成物である。この組成物の水溶液、またはこれを濃縮、凍結乾燥もしくは噴霧乾燥して粉末状としたものは、食品の呈味を増強する効果があり、調味料として用いることができる。
組成物中のコリンの含量は、下記の手順で、HPLC法で測定した。
(ライネッケ塩沈殿法によるコリンの抽出)
試料の酵母由来組成物3gを水35mLに溶解後、メタノール40mLを添加し、4℃にて一晩静置し、タンパク質成分などを沈殿させた。この試料溶液を、ろ紙(3種)でろ過し、ろ液を回収した。得られたろ液に、4%ライネッケ塩一水和物メタノール溶液16mLを添加し、4℃で一晩以上静置してコリンライネッケ塩の結晶を沈殿させた。沈殿物をガラスろ過器(3G3)で吸引ろ過し、ガラスろ過器内の沈殿物を、冷水及びメタノールを用いて洗浄後、洗液を吸引して沈殿物を乾燥させた。ガラスろ過器内の沈殿物にアセトンを加えて溶解し、溶液を回収した。アセトンを用いて定溶し、測定に供する試料溶液とした。
(ライネッケ塩沈殿法によるコリンの抽出)
試料の酵母由来組成物3gを水35mLに溶解後、メタノール40mLを添加し、4℃にて一晩静置し、タンパク質成分などを沈殿させた。この試料溶液を、ろ紙(3種)でろ過し、ろ液を回収した。得られたろ液に、4%ライネッケ塩一水和物メタノール溶液16mLを添加し、4℃で一晩以上静置してコリンライネッケ塩の結晶を沈殿させた。沈殿物をガラスろ過器(3G3)で吸引ろ過し、ガラスろ過器内の沈殿物を、冷水及びメタノールを用いて洗浄後、洗液を吸引して沈殿物を乾燥させた。ガラスろ過器内の沈殿物にアセトンを加えて溶解し、溶液を回収した。アセトンを用いて定溶し、測定に供する試料溶液とした。
(HPLCによるコリン含有量の測定)
塩化コリン標準液を用い、下記HPLC測定条件により検量線を作成した。同様にして前記ライネッケ塩沈殿法で抽出したコリンを測定し、試料に含まれるコリン含有量を定量した。
[HPLC測定条件]
カラム:Shodex RSpak DE−613(6.0mmID×150mm)
溶媒:メタノール/25mM リン酸、300mg/L 1−デカンスルホン酸ナトリウム(pH6.4)(10/90)
流速:1.0mL/分間
検出器:RI(Refractive Index)
カラム温度:37℃
塩化コリン標準液を用い、下記HPLC測定条件により検量線を作成した。同様にして前記ライネッケ塩沈殿法で抽出したコリンを測定し、試料に含まれるコリン含有量を定量した。
[HPLC測定条件]
カラム:Shodex RSpak DE−613(6.0mmID×150mm)
溶媒:メタノール/25mM リン酸、300mg/L 1−デカンスルホン酸ナトリウム(pH6.4)(10/90)
流速:1.0mL/分間
検出器:RI(Refractive Index)
カラム温度:37℃
上記の製法により得られた、コリン含有酵母由来組成物からなる調味料は、用途は特に限定されるものではなく、畜肉エキス、魚介エキス、ソース、ドレッシング、スープ、果汁飲料、菓子類、乳製品など広く加工飲食品に使用することができる。
該調味料の添加量は、調味料中のコリン含有量や、対象となる食品によって異なるが、おおむね乾燥物で食品に対して0.01〜1重量%とすることが望ましい。
該調味料の添加量は、調味料中のコリン含有量や、対象となる食品によって異なるが、おおむね乾燥物で食品に対して0.01〜1重量%とすることが望ましい。
以下、実施例により本願発明を具体的に説明する。但し、本発明は、以下の様態に限定されるものではない。
<製造例1> 酵母由来調味料の取得方法
キャンディダ・ユティリスCs7529株(FERM BP−1656株)の10%菌体懸濁液を10N-硫酸でpH3.5に調整し、60℃、30分間加熱処理した後、遠心分離機にて酵母エキスとその残渣に分離し、酵母エキス残渣を取得した。その後酵母エキス残渣を水で15重量%に懸濁後、塩酸でpH5.5に調整した。15%濃度酵母エキス残渣懸濁液1000gにリン脂質分解酵素ホスホリパーゼDを10g添加し、50℃にて8時間作用させた。次いで、遠心分離機にて可溶画分と不溶画分を分離し、得られた上清液を濃縮、凍結乾燥し粉末状の酵母由来組成物のサンプル約20gを得た。サンプル中のコリン含量は塩化コリン換算で0.70重量%であった。
キャンディダ・ユティリスCs7529株(FERM BP−1656株)の10%菌体懸濁液を10N-硫酸でpH3.5に調整し、60℃、30分間加熱処理した後、遠心分離機にて酵母エキスとその残渣に分離し、酵母エキス残渣を取得した。その後酵母エキス残渣を水で15重量%に懸濁後、塩酸でpH5.5に調整した。15%濃度酵母エキス残渣懸濁液1000gにリン脂質分解酵素ホスホリパーゼDを10g添加し、50℃にて8時間作用させた。次いで、遠心分離機にて可溶画分と不溶画分を分離し、得られた上清液を濃縮、凍結乾燥し粉末状の酵母由来組成物のサンプル約20gを得た。サンプル中のコリン含量は塩化コリン換算で0.70重量%であった。
<実施例1> コンソメスープへの添加効果
表1に示す処方で材料を量りとり、これを100mlのお湯で溶解して対照のコンソメスープを作成した。対照のコンソメスープ100.0gに、製造例1で得られた酵母由来組成物を0.1g入れて溶解し、これを実施例1の評価用サンプルとした。
表1に示す処方で材料を量りとり、これを100mlのお湯で溶解して対照のコンソメスープを作成した。対照のコンソメスープ100.0gに、製造例1で得られた酵母由来組成物を0.1g入れて溶解し、これを実施例1の評価用サンプルとした。
食味の官能評価を実施して、実施例1と対照のコンソメスープの塩味の強さを比較した結果、実施例1は対照のコンソメスープと比べて塩味が強く感じられた。
<実施例2>スクロース溶液への添加効果
スクロース5.0gを量りとり、これを100mlの水で溶解して対照のスクロース溶液を作成した。対照のスクロース溶液100.0gに、製造例1で得られた酵母由来組成物を0.1g入れて溶解し、これを実施例2の評価用サンプルとした。
スクロース5.0gを量りとり、これを100mlの水で溶解して対照のスクロース溶液を作成した。対照のスクロース溶液100.0gに、製造例1で得られた酵母由来組成物を0.1g入れて溶解し、これを実施例2の評価用サンプルとした。
食味の官能評価を実施して、実施例2と対照のスクロース溶液の甘味の強さを比較した結果、実施例2は対照のスクロース溶液と比べて甘味が強く感じられた。
以上説明してきたように、本発明によると、一般の飲食品に当該酵母由来組成物を添加することにより、塩味や甘味等の呈味を増強させる事ができる。このことにより、塩分や糖分を低減した食品、たとえば健康食品や病者用食品に添加して、嗜好性を上げることもできる。
Claims (4)
- コリンを塩化コリン換算で0.1重量%以上含む酵母由来組成物。
- 酵母エキス抽出残渣にリン脂質分解酵素を作用させて得られる、請求項1記載の酵母由来組成物。
- 請求項1または2に記載の酵母由来組成物を有効成分とする調味料。
- 請求項3記載の調味料を飲食品に添加する、食品の呈味増強方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015070731A JP2016189708A (ja) | 2015-03-31 | 2015-03-31 | 酵母由来呈味増強剤 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018050562A (ja) * | 2016-09-29 | 2018-04-05 | テーブルマーク株式会社 | 風味向上剤及びその使用 |
JPWO2017199897A1 (ja) * | 2016-05-16 | 2019-03-14 | 興人ライフサイエンス株式会社 | 塩味増強効果のある組成物 |
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2015
- 2015-03-31 JP JP2015070731A patent/JP2016189708A/ja active Pending
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