JP2016189660A - 検査装置及び検査方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】検査装置100として、前輪側と後輪側の2つの走行部110,120を備える。そして、バランスウェイト153などのバランス調整部による装置本体の重心位置の調整で、いずれか一方の走行部の車輪がケーブルから浮き上がった状態として、ケーブルに取り付けられた障害物を回避する処理を行う。そして、この回避処理が行われる際に、装置本体の揺れを検出して、その検出した揺れ状態を打ち消すように、ケーブルから浮き上がっていない他方の走行部の車輪を駆動させて、揺れを打ち消す処理を行う。
【選択図】図4
Description
近年、架空電線上を走行しながら検査する検査装置によって、架空電線を検査することが提案され、実用化されつつある。架空電線の検査装置を利用した検査は、例えば、人が実際に架空電線に乗って検査を行うよりも、より簡便であり、かつ安全である。
なお、特許文献1には、前輪又は後輪を浮き上がらせるだけで障害物を回避できない場合には、さらに浮き上がった前輪又は後輪を、架空電線に対して水平に回転させて回避することも記載されている。
ところで、検査装置の重心を変えて、前輪又は後輪が浮き上がった状態は、検査装置が架空電線の上のほぼ1点で支持された状態であり、安定性が悪い状態である。通常、架空電線は比較的高い箇所に設置されるため、架空電線の付近では風が強いケースが多々あり、検査装置は、前輪又は後輪が浮き上がり、風に煽られて大きく揺れることがある。
制御部は、バランス調整部による重心位置の調整で、いずれか一方の走行部の車輪がケーブル又はワイヤーから浮き上がったとき、センサが検出した揺れ状態を打ち消すように、ケーブル又はワイヤーから浮き上がっていない他方の走行部の車輪を駆動させる。
そして、装置本体の重心位置の調整で、いずれか一方の走行部の車輪がケーブル又はワイヤーから浮き上がった状態とし、ケーブル又はワイヤーに取り付けられた障害物を回避する回避処理と、その回避処理が行われる際に、装置本体の揺れを打ち消す処理とを含む。
揺れを打ち消す処理では、装置本体の揺れを検出して、その検出した揺れ状態を打ち消すように、ケーブル又はワイヤーから浮き上がっていない他方の走行部の車輪を駆動させる。
このように障害物を回避する動作を行う際の揺れを小さく抑えることができるので、障害物を回避する動作時に、揺れが自然に小さく収まるのを待つ必要がなくなり、障害物を回避するために必要な時間を短縮することができる。
[1.検査装置の全体構成]
図1は、本例の検査装置100の全体構成を示す。図1に示す検査装置100は、架空電線11に載せられた状態を示す。
検査装置100は、第1走行部110と第2走行部120を備える。ここでは第1走行部110は、2つの車輪101,102を備え、第2走行部120は、2つの車輪103,104を備える。以下の説明では、車輪101,102は前輪、車輪103,104は後輪と称する場合がある。
なお、図1では検査装置100は右下から左上の方向Aに走行する。以下の説明で述べる前及び後は、この走行方向Aから見た前及び後を示す。また、左及び右は、前方から検査装置100を見たときの左右の方向を示す。
第1走行部110には検査部170が取り付けられる。検査部170の内部には、検査を行うカメラやセンサなどが配置される。検査部170は、回動支点171を介して回動可能となっている。図1は、電線近接部172が、架空電線11と近接した状態を示す。後述するように、障害物回避動作時には、検査部170が回動支点171を軸とした回動で上側に跳ね上がり、架空電線11から離れる。
本体部130には、後述する傾斜センサ161や加速度センサ162(図2参照)が配置される。
図2は、本例の検査装置100の内部構成例を示す。
検査装置100は制御部201を備え、この制御部201が各部の動作を制御する。制御部201には、記憶部202と無線通信部203とが接続されている。記憶部202は、検査装置100の動作を制御するプログラムが記憶されている。また、カメラが撮影した画像やセンサが検出したデータが、記憶部202に記憶される。無線通信部203は、接続されたアンテナ204を介して地上側のコントローラ(不図示)と無線通信を行う。そして、無線通信部203が受信したコントローラからの指示が、制御部201に伝送される。また、カメラが撮影した画像やセンサが検出したデータが、無線通信部203からコントローラ側に伝送される。これらの制御部201と記憶部202と無線通信部203は、例えば本体部130に内蔵される。
また、検査装置100には、傾斜センサ161と加速度センサ162と走行距離センサ163とが取り付けられ、これらのセンサ161,162,163の検出データが、制御部201に伝送される。
走行駆動部211は、制御部201からの指示に基づいて、走行用モータ113,114を回転駆動する。2つの走行用モータ113,114は、通常の走行時には、同時に前輪101,102と後輪103,104とを回転駆動される。そして、後述する回避処理で、第1走行部110と第2走行部120のいずれか一方が架空電線11から浮上したときには、走行駆動部211は、制御部201からの指示に基づいて、いずれか一方の走行用モータ113,114だけを回転駆動する。この回避処理時のいずれか一方の走行用モータ113,114の回転駆動としては、検査装置100を走行させるための回転駆動の他に、検査装置100の揺れを防止するための回転駆動がある。なお、検査装置100の揺れを防止するための回転駆動の詳細については後述する。
検査部170には、第1検査カメラ173及び第2検査カメラ174が撮影した画像が伝送される。そして、検査部170は、これらの伝送された画像から架空電線11の状態の検査を実行する。また、架空電線11の外形サイズを、レーザなどを使用して計測する外形センサ175が設けられ、外形センサ175が検出したデータが検査部170に伝送される。
次に、検査装置100が架空電線11に取り付けられた障害物を回避するときの処理例について説明する。
図3は、検査装置100が、架空電線11の上を走行する状態を側面から見た図である。
図3に示すように、検査装置100が架空電線11の検査を行う際には、検査装置100の第1走行部110の車輪101,102と第2走行部120の車輪103,104が、架空電線11の上に載せられる。この状態で、それぞれの走行部110,120内の走行用モータ113,114(図2)の回転駆動により、検査装置100が架空電線11の上を走行する。なお、走行時には、検査部170によって第1検査カメラ173,第2検査カメラ174,外形センサ175による検査が実行される。
なお、第1走行部110の車輪101,102と第2走行部120の車輪103,104が架空電線11の上に載った状態では、バランスウェイト153は、ほぼ中央に位置しており、検査装置100の重心はほぼ中央に設定された状態となっている。
図4は、回避処理が行われる際の、検査装置100の状態の変化例を示す。
まず、図4Aに示すように、全ての車輪101〜104が架空電線11の上に載った状態で、制御部201は、第1アーム140及び第2アーム150を回動させ、バランスウェイト153の位置を後方に移動させる。このバランスウェイト153の後方への移動で、図4Bに示すように、検査装置100の重心が後方に移動し、第1走行部110の車輪101,102が架空電線11から離れて、上方に移動する。
第1走行部110が障害物12の上を通過した後には、バランスウェイト153の位置を調整することにより、重心位置を検査装置100のほぼ中央に戻すようにする。この重心位置の調整により、図4Dに示すように、第1走行部110の車輪101,102が、架空電線11の上に載った状態に戻る。このときには、障害物12が、第1走行部110と第2走行部120の間に位置する。
なお、この回避処理時には、架空電線11の上に浮き上がった各走行部110,120を、回動機構部133,134の駆動により水平方向に回動させて、障害物12の真上から横にずれた位置を通過させるようにすることもできる。
上述したように検査装置100は、障害物12を回避することができるが、走行部110が浮上した状態では、検査装置100は第2支柱121で吊り下げられた状態であり、この第2支柱121の支点122(図1)を中心として検査装置100が揺動する。例えば、架空電線11が配設された箇所に強い風が吹いている場合には、その風により検査装置100が比較的大きく揺動する。
図5は、回避処理の概要を示す図である。
図5の例は、第1走行部110内の車輪101,102が浮上し、第2走行部120内の車輪103,104が架空電線11の上に載った状態を示す。このとき、検査装置100の本体部130は、第2走行部120の下部に配置された第2支柱121で吊り下げられ、支点122を中心として揺動することができる状態である。
このとき本体部130が揺れ動いた場合に、制御部201は、本体部130に取り付けられた傾斜センサ161が検出する傾斜状態の変化や、加速度センサ162が検出する加速度から、揺動した状態を検出することができる。
すなわち、図5に示すように、本体部130が矢印X1の方向への動きと、その方向とは反対の矢印X2の方向への動きを繰り返して、検査装置100が揺れ動いたとする。このとき、制御部201からの指示により走行駆動部211が、走行用モータ114を回転駆動させることで、第2走行部120内の車輪103,104を回転させて、揺れを打ち消す動作を行う。
図5の例は、前方の走行部110の車輪101,102が浮き上がった際の例を示すが、後方の走行部120の車輪103,104が浮き上がった際にも、同様に走行用モータ113が車輪101,102を回転させて、揺れを打ち消す動作を行う。
検査装置100の制御部201は、一方の走行部110又は120の車輪が浮き上がった状態のとき、ここまで説明した揺れを打ち消すための処理を行う。
まず、制御部201は、いずれか一方の走行部110又は120の車輪101,102又は103,104が浮き上がった状態か否かを判断する(ステップS11)。ここで、いずれか一方の車輪101,102又は103,104が浮き上がった状態でない場合には、揺れの打ち消し処理を行う必要がなく、一方の車輪101,102又は103,104が浮き上がるまで待機する。
その後、制御部201は、ステップS11の判断に戻り、揺れ状態が続く限り、ステップS12〜S15の処理を繰り返し実行する。
この場合、制御部201は、ステップS14で算出したトルクを、走行させるために走行用モータ113又は114に加えているトルクに加算又は減算して、揺れを抑える処理を行う。
なお、上述した実施の形態例の検査装置100は、1本の架空電線11の上を走行するようにした。これに対して、本発明は、複数本の架空電線の上を走行する検査装置に適用することもできる。
例えば、上述した実施の形態例は、本発明を分かりやすく説明するために装置の構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、装置の内部構成を示す図2に示す信号の流れのラインは説明上必要と考えられるものを示しており、必ずしも装置として必要な全てのラインを示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
Claims (6)
- ケーブル又はワイヤーに載せられる車輪を有する第1の走行部と、
前記第1の走行部とは所定の距離だけ離れた位置に配置され、前記ケーブル又はワイヤーに載せられる車輪を有する第2の走行部と、
前記第1の走行部と前記第2の走行部に接続される本体部と、
いずれかの前記走行部又は前記本体部に取り付けられ、前記ケーブル又はワイヤーの状態を検出する検査部と、
前記本体部に可動機構を介して連結され、前記可動機構によって装置全体の重心位置を変化させるバランス調整部と、
前記本体部の揺れを検出するセンサと、
前記バランス調整部による重心位置の調整で、前記いずれか一方の走行部がケーブル又はワイヤーから浮き上がった状態のとき、前記センサが検出した前記本体部の揺れ状態を打ち消すように、前記ケーブル又はワイヤーから浮き上がっていない他方の走行部の車輪を駆動させる制御部とを備えた
検査装置。 - 前記制御部は、前記センサが検出した前記本体部の揺れを打ち消す速度を算出し、その算出した速度で、前記他方の走行部の車輪を駆動させるようにした
請求項1に記載の検査装置。 - 前記センサとして加速度センサを使用し、
前記制御部は、前記加速度センサが検出した加速度を打ち消す速度を算出するようにした
請求項2に記載の検査装置。 - 第1及び第2の走行部がケーブル又はワイヤーに載せられて、それぞれの走行部が備える車輪により前記ケーブル又はワイヤーの上を走行しながら、前記ケーブル又はワイヤーの状態を検査する検査方法において、
装置本体の重心位置の調整で、前記いずれか一方の走行部の車輪がケーブル又はワイヤーから浮き上がった状態として、前記ケーブル又はワイヤーに取り付けられた障害物を回避する回避処理と、
前記回避処理が行われる際に、装置本体の揺れを検出して、その検出した揺れ状態を打ち消すように、前記ケーブル又はワイヤーから浮き上がっていない他方の走行部の車輪を駆動させる揺れ打ち消し処理とを含む
検査方法。 - 前記揺れ打ち消し処理では、装置本体の揺れを打ち消す速度を算出し、その算出した速度で、前記他方の走行部の車輪を駆動させるようにした
請求項4に記載の検査方法。 - 前記装置本体の揺れを加速度として検出し、検出した加速度を打ち消す速度を算出するようにした
請求項5に記載の検査方法。
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