JP2016189660A - 検査装置及び検査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】車輪が浮き上がることで電線などのケーブル(又はワイヤー)に取り付けられた障害物を乗り越えることができる検査装置において、車輪が浮き上がった状態での揺れを簡単な構成で抑える。
【解決手段】検査装置100として、前輪側と後輪側の2つの走行部110,120を備える。そして、バランスウェイト153などのバランス調整部による装置本体の重心位置の調整で、いずれか一方の走行部の車輪がケーブルから浮き上がった状態として、ケーブルに取り付けられた障害物を回避する処理を行う。そして、この回避処理が行われる際に、装置本体の揺れを検出して、その検出した揺れ状態を打ち消すように、ケーブルから浮き上がっていない他方の走行部の車輪を駆動させて、揺れを打ち消す処理を行う。
【選択図】図4

Description

本発明は、架空電線などのケーブルやワイヤーの検査を行う検査装置及び検査方法に関する。
送電線などの架空電線は、経年変化による腐食や、落雷,アーク放電などによる損傷などがあるため、定期的に検査する必要がある。
近年、架空電線上を走行しながら検査する検査装置によって、架空電線を検査することが提案され、実用化されつつある。架空電線の検査装置を利用した検査は、例えば、人が実際に架空電線に乗って検査を行うよりも、より簡便であり、かつ安全である。
ところで、実際の架空電線には、鉄塔と接続するための碍子や、複数本の電線の接触防止用のスペーサなどの各種機器が取り付けられている。架空電線上を検査装置が走行する際には、これらの架空電線に取り付けられた機器が障害物になる。したがって、検査装置は、これらの障害物を避けて走行する必要がある。
特許文献1には、架空電線上を走行しながら架空電線を検査する自走式の検査装置において、検査装置の重心を変えることで、架空電線の上に載った複数の車輪の内の一部を浮き上がらせて、架空電線上の障害物を回避する動作を行うことが記載されている。例えば、検査装置が障害物に近づいたとき、検査装置の重心を中央から後寄りに変化させることで、検査装置に配置された前輪と後輪の内の前輪を浮き上がらせて、検査装置を傾斜した状態とする。そして、前輪が浮き上がった状態で後輪により検査装置を走行させることで、浮き上がった前輪が障害物の上を通過する。前輪が障害物の上を通過すると、検査装置の重心を中央に戻し、前輪を架空電線の上に降ろす。その後、さらに検査装置の重心を前寄りに変えて、後輪を浮き上がらせた状態とし、前輪による走行を行い、後輪が障害物を通過した後に、検査装置の重心を中央に戻し、後輪を降ろす処理を行う。
なお、特許文献1には、前輪又は後輪を浮き上がらせるだけで障害物を回避できない場合には、さらに浮き上がった前輪又は後輪を、架空電線に対して水平に回転させて回避することも記載されている。
特開2006−254567号公報
特許文献1に記載されたように、検査装置の一部の車輪を浮き上がらせることで、検査装置は、架空電線に取り付けられた碍子などの障害物を回避しながら、架空電線の上を連続して走行することができる。
ところで、検査装置の重心を変えて、前輪又は後輪が浮き上がった状態は、検査装置が架空電線の上のほぼ1点で支持された状態であり、安定性が悪い状態である。通常、架空電線は比較的高い箇所に設置されるため、架空電線の付近では風が強いケースが多々あり、検査装置は、前輪又は後輪が浮き上がり、風に煽られて大きく揺れることがある。
このように前輪又は後輪が浮き上がった検査装置が揺れた状態のときには、検査装置を操作するオペレータは、揺れが収まるまで待機してから、障害物を乗り越える動作の指示を行っていた。仮に検査装置が揺れた状態で無理に障害物を乗り越えようとすると、浮き上がった状態で揺れている車輪が碍子などの障害物に接触して、碍子などを破損させる可能性があるからである。
このように検査装置が架空電線上の障害物を乗り越える際には、検査装置の揺れが収まるのを待ってから、乗り越える動作を行う必要があり、障害物を乗り越えるのに要する時間が長時間化するという問題がある。
本発明は、車輪が浮き上がることで電線などのケーブル(又はワイヤー)に取り付けられた障害物を乗り越えることができる検査装置において、車輪が浮き上がった状態での揺れを簡単な構成で抑えることを目的とする。
本発明の検査装置は、ケーブル又はワイヤーに載せられる車輪を有する第1の走行部と、第1の走行部とは離れた位置に配置され、ケーブル又はワイヤーに載せられる車輪を有する第2の走行部と、両走行部に接続される本体部とを備える。そして、ケーブル又はワイヤーの状態を検出する検査部と、本体部に可動機構を介して連結され、可動機構によって装置全体の重心位置を変化させるバランス調整部と、本体部の揺れを検出するセンサと、制御部とを備える。
制御部は、バランス調整部による重心位置の調整で、いずれか一方の走行部の車輪がケーブル又はワイヤーから浮き上がったとき、センサが検出した揺れ状態を打ち消すように、ケーブル又はワイヤーから浮き上がっていない他方の走行部の車輪を駆動させる。
本発明の検査方法は、第1及び第2の走行部がケーブル又はワイヤーに載せられて、それぞれの走行部が備える車輪によりケーブル又はワイヤーの上を走行しながら、ケーブル又はワイヤーの状態を検査するものである。
そして、装置本体の重心位置の調整で、いずれか一方の走行部の車輪がケーブル又はワイヤーから浮き上がった状態とし、ケーブル又はワイヤーに取り付けられた障害物を回避する回避処理と、その回避処理が行われる際に、装置本体の揺れを打ち消す処理とを含む。
揺れを打ち消す処理では、装置本体の揺れを検出して、その検出した揺れ状態を打ち消すように、ケーブル又はワイヤーから浮き上がっていない他方の走行部の車輪を駆動させる。
本発明によると、一方の走行部が浮き上がってケーブル又はワイヤー上の障害物を回避する動作が行われる際に、検査装置が備える走行用の機構を利用して、揺れを打ち消す動作が行われ、障害物の回避動作時の揺れを小さく抑えることが可能になる。
このように障害物を回避する動作を行う際の揺れを小さく抑えることができるので、障害物を回避する動作時に、揺れが自然に小さく収まるのを待つ必要がなくなり、障害物を回避するために必要な時間を短縮することができる。
本発明の一実施の形態例による検査装置の全体構成例を示す斜視図である。 本発明の一実施の形態例による検査装置の内部構成例を示すブロック図である。 本発明の一実施の形態例による検査装置の走行状態を側面から見た平面図である。 本発明の一実施の形態例による検査装置が障害物を回避するときの変化例の概要を示す説明図である。 本発明の一実施の形態例による検査装置が障害物を回避するときの状態の例を側面から見た平面図である。 本発明の一実施の形態例による検査装置が障害物を回避する際の動作例を示すフローチャートである。
以下、本発明の一実施の形態例(以下、「本例」と称する。)を、添付図面を参照して説明する。
[1.検査装置の全体構成]
図1は、本例の検査装置100の全体構成を示す。図1に示す検査装置100は、架空電線11に載せられた状態を示す。
検査装置100は、第1走行部110と第2走行部120を備える。ここでは第1走行部110は、2つの車輪101,102を備え、第2走行部120は、2つの車輪103,104を備える。以下の説明では、車輪101,102は前輪、車輪103,104は後輪と称する場合がある。
なお、図1では検査装置100は右下から左上の方向Aに走行する。以下の説明で述べる前及び後は、この走行方向Aから見た前及び後を示す。また、左及び右は、前方から検査装置100を見たときの左右の方向を示す。
それぞれの車輪101〜104は、各走行部110,120に内蔵された走行用モータ113,114による駆動で回転する。走行用モータ113,114は、前方向に走行させる駆動と、後方向に走行させる駆動のいずれも可能である。
第1走行部110には検査部170が取り付けられる。検査部170の内部には、検査を行うカメラやセンサなどが配置される。検査部170は、回動支点171を介して回動可能となっている。図1は、電線近接部172が、架空電線11と近接した状態を示す。後述するように、障害物回避動作時には、検査部170が回動支点171を軸とした回動で上側に跳ね上がり、架空電線11から離れる。
第1走行部110と第2走行部120は、本体部130で連結される。すなわち、第1走行部110から吊り下げられた第1支柱111の下端部と、第2走行部120から吊り下げられた第2支柱121の下端部とを連結するように、所定の長さの本体部130が取り付けられる。第1支柱111は、第1走行部110の支点112で揺動可能に吊り下げられている。第2支柱121は、第2走行部120の支点122で揺動可能に吊り下げられている。
第1支柱111の下端部と本体部130との接続箇所には、モータ131及び回動機構部133が配置され、モータ131による回動機構部133の駆動により、第1支柱111に対する本体部130の角度θ1を可変させることができる。同様に、第2支柱121の下端部と本体部130との接続箇所には、モータ132及び回動機構部134が配置され、モータ132による回動機構部134の駆動で、第2支柱121に対する本体部130の角度θ2を可変させることができる。
本体部130には、後述する傾斜センサ161や加速度センサ162(図2参照)が配置される。
本体部130には、第1アーム140と第2アーム150を介してバランスウェイト153が取り付けられている。すなわち、本体部130のほぼ中央に取り付けられた第3支柱135の下端に、所定の長さの第1アーム140の一端部が取り付けられ、第1アーム140の他端部に、第4支柱143が取り付けられる。そして、第4支柱143の下端に、所定の長さの第2アーム150の一端部が取り付けられ、第2アーム150の他端部に、比較的大きな重量のバランスウェイト153が取り付けられる。
第3支柱135の下端部と第1アーム140との接続箇所には、モータ141及び回動機構部142が配置され、モータ141による回動機構部142の駆動で、第3支柱135に対する第1アーム140の角度θ3を可変させることができる。同様に、第4支柱143の下端部と第2アーム150との接続箇所には、モータ151及び回動機構部152が配置され、モータ151を駆動することにより、第4支柱143に対する第2アーム150の角度θ4を可変させることができる。
第1アーム140及び第2アーム150と、第2アーム150に取り付けられたバランスウェイト153は、検査装置100全体の重心位置を変化させるバランス調整部として機能する。すなわち、各モータ141,151による回動角度θ3,θ4を調整することにより、バランスウェイト153の位置を前寄りや後寄りに設定することができる。このようなバランスウェイト153の位置を設定することで、検査装置100全体の重心位置を複数段階に変化させることができる。バランスウェイト153の位置の設定によるバランス調整処理は、検査装置100が架空電線11上の障害物を回避する回避処理とほぼ同時に行われる。具体的な説明は後述する。
[2.検査装置の内部構成]
図2は、本例の検査装置100の内部構成例を示す。
検査装置100は制御部201を備え、この制御部201が各部の動作を制御する。制御部201には、記憶部202と無線通信部203とが接続されている。記憶部202は、検査装置100の動作を制御するプログラムが記憶されている。また、カメラが撮影した画像やセンサが検出したデータが、記憶部202に記憶される。無線通信部203は、接続されたアンテナ204を介して地上側のコントローラ(不図示)と無線通信を行う。そして、無線通信部203が受信したコントローラからの指示が、制御部201に伝送される。また、カメラが撮影した画像やセンサが検出したデータが、無線通信部203からコントローラ側に伝送される。これらの制御部201と記憶部202と無線通信部203は、例えば本体部130に内蔵される。
また、検査装置100には、傾斜センサ161と加速度センサ162と走行距離センサ163とが取り付けられ、これらのセンサ161,162,163の検出データが、制御部201に伝送される。
また、検査装置100は、走行駆動部211とアーム駆動部212とを備える。
走行駆動部211は、制御部201からの指示に基づいて、走行用モータ113,114を回転駆動する。2つの走行用モータ113,114は、通常の走行時には、同時に前輪101,102と後輪103,104とを回転駆動される。そして、後述する回避処理で、第1走行部110と第2走行部120のいずれか一方が架空電線11から浮上したときには、走行駆動部211は、制御部201からの指示に基づいて、いずれか一方の走行用モータ113,114だけを回転駆動する。この回避処理時のいずれか一方の走行用モータ113,114の回転駆動としては、検査装置100を走行させるための回転駆動の他に、検査装置100の揺れを防止するための回転駆動がある。なお、検査装置100の揺れを防止するための回転駆動の詳細については後述する。
アーム駆動部212は、制御部201からの指示に基づいて、第1アーム140及び第2アーム150(図1)の回動位置を調整する。この第1アーム140及び第2アーム150の回動位置を調整することにより、バランスウェイト153による検査装置100の重量バランスの調整動作が行われる。
また、制御部201は、検査部170での検査動作を制御する。
検査部170には、第1検査カメラ173及び第2検査カメラ174が撮影した画像が伝送される。そして、検査部170は、これらの伝送された画像から架空電線11の状態の検査を実行する。また、架空電線11の外形サイズを、レーザなどを使用して計測する外形センサ175が設けられ、外形センサ175が検出したデータが検査部170に伝送される。
なお、検査装置100は、通常は内蔵したバッテリ(不図示)から供給される電源で作動するが、活線状態の架空電線11から電力を取得する電源回路を内蔵して、この電源回路で得た電源で作動するようにしてもよい。
[3.検査装置が障害物を回避するときの処理]
次に、検査装置100が架空電線11に取り付けられた障害物を回避するときの処理例について説明する。
図3は、検査装置100が、架空電線11の上を走行する状態を側面から見た図である。
図3に示すように、検査装置100が架空電線11の検査を行う際には、検査装置100の第1走行部110の車輪101,102と第2走行部120の車輪103,104が、架空電線11の上に載せられる。この状態で、それぞれの走行部110,120内の走行用モータ113,114(図2)の回転駆動により、検査装置100が架空電線11の上を走行する。なお、走行時には、検査部170によって第1検査カメラ173,第2検査カメラ174,外形センサ175による検査が実行される。
なお、第1走行部110の車輪101,102と第2走行部120の車輪103,104が架空電線11の上に載った状態では、バランスウェイト153は、ほぼ中央に位置しており、検査装置100の重心はほぼ中央に設定された状態となっている。
そして、検査装置100が、架空電線11に取り付けられた碍子などの障害物12に近づいたとき、この障害物12を回避する回避処理が行われる。
図4は、回避処理が行われる際の、検査装置100の状態の変化例を示す。
まず、図4Aに示すように、全ての車輪101〜104が架空電線11の上に載った状態で、制御部201は、第1アーム140及び第2アーム150を回動させ、バランスウェイト153の位置を後方に移動させる。このバランスウェイト153の後方への移動で、図4Bに示すように、検査装置100の重心が後方に移動し、第1走行部110の車輪101,102が架空電線11から離れて、上方に移動する。
そして、検査装置100は、図4Bに示すように第1走行部110の車輪101,102が浮き上がった状態で、第2走行部120による走行を行う。この走行で、図4Cに示すように、浮き上がった第1走行部110が、障害物12の上を通過する。
第1走行部110が障害物12の上を通過した後には、バランスウェイト153の位置を調整することにより、重心位置を検査装置100のほぼ中央に戻すようにする。この重心位置の調整により、図4Dに示すように、第1走行部110の車輪101,102が、架空電線11の上に載った状態に戻る。このときには、障害物12が、第1走行部110と第2走行部120の間に位置する。
その後、第1走行部110を通過させた際の処理と同様の制御で、制御部201は、第2走行部120を浮上させて、障害物12を通過させる処理を行う。
なお、この回避処理時には、架空電線11の上に浮き上がった各走行部110,120を、回動機構部133,134の駆動により水平方向に回動させて、障害物12の真上から横にずれた位置を通過させるようにすることもできる。
[4.検査装置の揺れを防ぐ処理]
上述したように検査装置100は、障害物12を回避することができるが、走行部110が浮上した状態では、検査装置100は第2支柱121で吊り下げられた状態であり、この第2支柱121の支点122(図1)を中心として検査装置100が揺動する。例えば、架空電線11が配設された箇所に強い風が吹いている場合には、その風により検査装置100が比較的大きく揺動する。
このため、本例の検査装置100では、第1走行部110又は第2走行部120が浮上した状態のとき、制御部201の制御により、検査装置100の揺れを防ぐ回避処理が行われる。
図5は、回避処理の概要を示す図である。
図5の例は、第1走行部110内の車輪101,102が浮上し、第2走行部120内の車輪103,104が架空電線11の上に載った状態を示す。このとき、検査装置100の本体部130は、第2走行部120の下部に配置された第2支柱121で吊り下げられ、支点122を中心として揺動することができる状態である。
このとき本体部130が揺れ動いた場合に、制御部201は、本体部130に取り付けられた傾斜センサ161が検出する傾斜状態の変化や、加速度センサ162が検出する加速度から、揺動した状態を検出することができる。
そして、その検出した揺動状態をキャンセルするために、制御部201は、走行用モータ114により第2走行部120の車輪103,104を駆動する。
すなわち、図5に示すように、本体部130が矢印X1の方向への動きと、その方向とは反対の矢印X2の方向への動きを繰り返して、検査装置100が揺れ動いたとする。このとき、制御部201からの指示により走行駆動部211が、走行用モータ114を回転駆動させることで、第2走行部120内の車輪103,104を回転させて、揺れを打ち消す動作を行う。
例えば、矢印X1の方向に揺れる動きがあるとき、この動きを打ち消すように、走行用モータ114は、車輪103,104を、矢印X1とは反対の矢印Y1の方向に回転させる。また、矢印X2の方向に揺れる動きがあるとき、この動きを打ち消すように、走行用モータ114は、車輪103,104を、矢印X2とは反対の矢印Y2の方向に回転させる。
図5の例は、前方の走行部110の車輪101,102が浮き上がった際の例を示すが、後方の走行部120の車輪103,104が浮き上がった際にも、同様に走行用モータ113が車輪101,102を回転させて、揺れを打ち消す動作を行う。
検査装置100の制御部201は、一方の走行部110又は120の車輪が浮き上がった状態のとき、ここまで説明した揺れを打ち消すための処理を行う。
図6のフローチャートは、制御部201の制御で行われる揺れの打ち消し処理の例を示す。
まず、制御部201は、いずれか一方の走行部110又は120の車輪101,102又は103,104が浮き上がった状態か否かを判断する(ステップS11)。ここで、いずれか一方の車輪101,102又は103,104が浮き上がった状態でない場合には、揺れの打ち消し処理を行う必要がなく、一方の車輪101,102又は103,104が浮き上がるまで待機する。
そして、ステップS11で一方の車輪101,102又は103,104が浮き上がった状態であると判断したとき、制御部201は、傾斜センサ161が検出した傾きの単位時間での変化量を検出する(ステップS12)。傾きの単位時間での変化量を検出すると、制御部201は、傾きの単位時間での変化量から、検査装置100に加わる加速度を算出する(ステップS13)。なお、制御部201は、ステップS12,S13の処理を行う代わりに、加速度センサ162の検出データから、直接加速度を取得するようにしてもよい。
次に、制御部201は、得られた加速度を打ち消すトルクを算出する(ステップS14)。そして、制御部201からの指示により、走行駆動部211が、算出したトルクで走行用モータ113又は114を回転させて、架空電線11と接した車輪101,102又は103,104を対応したトルクで回転させる(ステップS15)。
その後、制御部201は、ステップS11の判断に戻り、揺れ状態が続く限り、ステップS12〜S15の処理を繰り返し実行する。
なお、この図6のフローチャートに示す揺れを抑える処理は、検査装置100が停止中の場合と、検査装置100が走行中のいずれの場合に行ってもよい。すなわち、一方の走行部110又は120が浮いた状態のときには、図4Bに示す状態から図4Cに示す状態への変化のように、そのまま走行を行う。このような走行時に、図6のフローチャートに示す揺れを抑える処理を行うようにしてもよい。
この場合、制御部201は、ステップS14で算出したトルクを、走行させるために走行用モータ113又は114に加えているトルクに加算又は減算して、揺れを抑える処理を行う。
このように本例の検査装置100では、2つの走行部110,120の内の一方が浮き上がった状態のとき、車輪101,102又は103,104の回転で揺れを打ち消す処理が行われるようになる。したがって、架空電線11の上の障害物12を乗り越えるために、2つの走行部110,120の内の一方が浮き上がった状態のとき、検査装置100自体の揺れを小さく抑えることが可能になる。このように検査装置100の一方の走行部110又は120が浮き上がった際の揺れが小さく抑えられることで、検査装置100が図4に示すような手順で障害物12を通過するために必要な時間を短縮することができる。すなわち、従来の検査装置の場合には、揺れを小さく抑える手段がないため、風の影響などで検査装置が揺れた際には、揺れがある程度小さくなるまで比較的長い時間をかけて待機する必要があった。これに対して、本例の検査装置100の場合には、揺れを積極的に小さくする処理が行われるため、揺れが収まるまで長時間待機する必要がなく、架空電線11の上の障害物12を乗り越える作業の時間を従来よりも短縮することができる。
しかも本例の場合には、制御部201が、各走行部110,120が備える走行用モータ113,114の駆動状態を制御するだけでよいので、揺れを抑えるための専用の機構が必要なく、簡単な構成で実現できる効果を有する。
[6.変形例]
なお、上述した実施の形態例の検査装置100は、1本の架空電線11の上を走行するようにした。これに対して、本発明は、複数本の架空電線の上を走行する検査装置に適用することもできる。
また、上述した実施の形態例では、検査装置100として、架空電線の検査を行うようにした。これに対して、検査装置100は、架空電線以外のケーブルや、橋梁などの各種構造物に設置されたワイヤーなどの検査を行うようにしてもよい。
また、上述した実施の形態例の検査装置100の外形形状は、一例を示したものであり、その他の形状としてもよい。例えば、図1例の検査装置100では、各走行部110及び120が、2個ずつ車輪101,102及び103,104を備える構成としたが、各走行部110,120は、1個の車輪だけを備える構成としてもよい。また、各走行部110,120は、走行用モータ113,114で駆動されない車輪(プーリ)を備える構成としてもよい。
さらに、本発明は上述した実施の形態例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した実施の形態例は、本発明を分かりやすく説明するために装置の構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、装置の内部構成を示す図2に示す信号の流れのラインは説明上必要と考えられるものを示しており、必ずしも装置として必要な全てのラインを示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
11…架空電線、12…障害物、100…検査装置、101,102…車輪(前輪)、103,104…車輪(後輪)、110…第1走行部、111…第1支柱、112…支点、113,114…走行用モータ、120…第2走行部、121…第2支柱、122…支点、130…本体部、131,132…モータ、133,134…回動機構部、135…第3支柱、140…第1アーム、141…モータ、142…回動機構部、143…第4支柱、150…第2アーム、151…モータ、152…回動機構部、153…バランスウェイト、161…傾斜センサ、162…加速度センサ、163…走行距離センサ、170…検査部、171…回動支点、172…電線近接部、173…第1検査カメラ、174…第2検査カメラ、175…外形センサ、201…制御部、202…記憶部、203…無線通信部、204…アンテナ、211…走行駆動部、212…アーム駆動部

Claims (6)

  1. ケーブル又はワイヤーに載せられる車輪を有する第1の走行部と、
    前記第1の走行部とは所定の距離だけ離れた位置に配置され、前記ケーブル又はワイヤーに載せられる車輪を有する第2の走行部と、
    前記第1の走行部と前記第2の走行部に接続される本体部と、
    いずれかの前記走行部又は前記本体部に取り付けられ、前記ケーブル又はワイヤーの状態を検出する検査部と、
    前記本体部に可動機構を介して連結され、前記可動機構によって装置全体の重心位置を変化させるバランス調整部と、
    前記本体部の揺れを検出するセンサと、
    前記バランス調整部による重心位置の調整で、前記いずれか一方の走行部がケーブル又はワイヤーから浮き上がった状態のとき、前記センサが検出した前記本体部の揺れ状態を打ち消すように、前記ケーブル又はワイヤーから浮き上がっていない他方の走行部の車輪を駆動させる制御部とを備えた
    検査装置。
  2. 前記制御部は、前記センサが検出した前記本体部の揺れを打ち消す速度を算出し、その算出した速度で、前記他方の走行部の車輪を駆動させるようにした
    請求項1に記載の検査装置。
  3. 前記センサとして加速度センサを使用し、
    前記制御部は、前記加速度センサが検出した加速度を打ち消す速度を算出するようにした
    請求項2に記載の検査装置。
  4. 第1及び第2の走行部がケーブル又はワイヤーに載せられて、それぞれの走行部が備える車輪により前記ケーブル又はワイヤーの上を走行しながら、前記ケーブル又はワイヤーの状態を検査する検査方法において、
    装置本体の重心位置の調整で、前記いずれか一方の走行部の車輪がケーブル又はワイヤーから浮き上がった状態として、前記ケーブル又はワイヤーに取り付けられた障害物を回避する回避処理と、
    前記回避処理が行われる際に、装置本体の揺れを検出して、その検出した揺れ状態を打ち消すように、前記ケーブル又はワイヤーから浮き上がっていない他方の走行部の車輪を駆動させる揺れ打ち消し処理とを含む
    検査方法。
  5. 前記揺れ打ち消し処理では、装置本体の揺れを打ち消す速度を算出し、その算出した速度で、前記他方の走行部の車輪を駆動させるようにした
    請求項4に記載の検査方法。
  6. 前記装置本体の揺れを加速度として検出し、検出した加速度を打ち消す速度を算出するようにした
    請求項5に記載の検査方法。
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