JP2016189430A - 光半導体素子パッケージおよび光半導体装置 - Google Patents

光半導体素子パッケージおよび光半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 動作信頼性の高い光半導体素子パッケージおよび光半導体装置を提供する。
【解決手段】 本発明の光半導体素子パッケージ1は、基体2と枠部材3と蓋部材4とを備え、蓋部材4の内面4aに無機材料からなる光吸収部材5を設けている。光吸収部材5により、蓋部材4に向かう迷光を吸収することができるので、受光素子13が誤って受光してしまう光を低減することができ、光半導体素子11の誤動作を抑制することができる。また、光吸収部材5が無機材料からなるので、有機材料に起因する気体成分が発生せず、気体成分の付着による誤動作も抑制することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光半導体素子を収納する光半導体素子パッケージおよび光半導体装置に関する。
LD(レーザダイオード)、PD(フォトダイオード)に代表される光半導体素子は、光半導体素子を保護するとともに、光半導体素子と外部の信号配線とを電気的に接続するために、また、光半導体素子と外部の光ファイバとを光接続するために光半導体素子パッケージに収納される。
特許文献1記載の光送受信モジュールは、モジュールパッケージの少なくとも内部表面及びパッケージ蓋の裏面に、光導波路に結合しない迷光を吸収する光吸収材料のコーティング面が形成され、光吸収材料が樹脂または塗料である。
特開2001−154067号公報
半導体素子が動作するとジュール熱が発生し、発生した熱によって特許文献1記載のモジュールパッケージ全体の温度が上昇する。光吸収材料として用いられる樹脂または塗料はいずれも有機材料からなり、モジュールパッケージの温度上昇によって、有機材料の一部が分解してガス化したり、含有される低沸点成分がガス化することがある。
ガス化によって生じた気体成分がパッケージ内に収容されている光半導体素子や光学部材などに付着すると、素子や部材の特性変化を引き起こし、誤動作などの原因となる。
本発明の目的は、動作信頼性の高い光半導体素子パッケージおよび光半導体装置を提供することである。
本発明は、光半導体素子が載置される載置領域を含む主面を有する板状の基体と、
前記載置領域を囲むように前記主面に設けられる枠部材と、
前記枠部材に接合され、前記載置領域を覆う板状の蓋部材と、
前記蓋部材の、前記載置領域に臨む面に設けられる、無機材料からなる光吸収部材と、を備えることを特徴とする光半導体素子パッケージである。
また本発明は、上記の光半導体素子パッケージと、前記載置領域に載置された光半導体素子と、を備えることを特徴とする光半導体装置である。
本発明によれば、動作信頼性の高い光半導体素子パッケージおよび光半導体装置を提供することができる。
本発明の実施形態である光半導体素子パッケージ1を備える光半導体装置10の構成を示す概略図である。 光半導体装置10の断面図である。 光吸収部材5の一部を拡大した模式図である。 他の実施形態である光半導体素子パッケージ1Aを備える光半導体装置10Aの構成を示す断面図である。 光吸収部材5A近傍における光の挙動を示す模式図である。
図1は、本発明の実施形態である光半導体素子パッケージ1を備える光半導体装置10の構成を示す概略図である。図2は、光半導体装置10の断面図である。
光半導体素子パッケージ1は、基体2と枠部材3と蓋部材4と光吸収部材5とを備える。光半導体素子パッケージ1は、その内部に光半導体素子11を収納し、光電変換機能を有する光半導体装置10を構成するものである。
本実施形態では、光半導体素子パッケージ1に収納される光半導体素子11は、発光素子であるLD(レーザダイオード)である。
基体2は、矩形板状に形成されており、一方主面2aに光半導体素子11を載置可能な載置領域2bを有している。この載置領域2bは、光半導体素子パッケージ1に収納される光半導体素子11を載置し、光半導体素子を基体2の表面に固定するための領域である。
本実施形態の基体2は、複数の絶縁性基板を積層することにより作製される。そして、基体2の載置領域2b上に光半導体素子11が載置される。絶縁性基板としては、例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体または窒化珪素質焼結体のようなセラミック材料、またはガラスセラミック材料を用いることができる。
基体2の作製方法の一例を説明する。上記材料のガラス粉末およびセラミック粉末を含有する原料粉末、有機溶剤並びにバインダを混ぜることにより混合部材を作製する。この混合部材をシート状に成形することにより複数のセラミックグリーンシートを作製する。作製された複数のセラミックグリーンシートを積層することにより積層体を作製する。積層体を約1600度の温度で焼成することにより基体2が作製される。
なお、基体2としては、複数の絶縁性基板が積層された構成に限られるものではない。一つの絶縁性基板により基体2が構成されていてもよい。また、基体2として、少なくとも光半導体素子11が載置される載置領域2bの部分に高い絶縁性を有していることが求められることから、例えば、金属基板の少なくとも載置領域2b上に絶縁性基板を積層した構成としてもよい。特に、基体2に対して高い放熱性が求められる場合、金属部材は高い放熱性を有していることから、基体2がこのような構成であることが好ましい。金属基板上に絶縁性基板を積層した構成とすることで、基体2の放熱性を高めることができる。
金属基板材料としては、具体的には、鉄、銅、ニッケル、クロム、コバルト、モリブデンまたはタングステンのような金属、あるいはこれらの金属の合金、たとえば銅−タングステン合金、銅−モリブデン合金、鉄−ニッケル−コバルト合金などを用いることができる。このような金属材料のインゴットに圧延加工法、打ち抜き加工法のような金属加工法を施すことによって基体2を構成する金属基板を作製することができる。
作製した金属基板の載置領域2b上に、別途作製した絶縁性基板をろう材などの接合材で接合して基体2を得る。
枠部材3は、矩形枠状の枠本体30と、枠本体30の対向する側壁に設けられるセラミックス材料からなる誘電体層31と、光半導体素子11と電気的に接続する接続端子32とを有している。枠本体30は、平面視において基体2の載置領域2bを取り囲んで基体2の一方主面に設けられている。枠本体30は、載置領域2bを取り囲んでいればよく、枠本体30の内側において、載置領域2bは、中央部分にあってもよく、その他の部分にあってもよい。また、基体2は、本実施形態のように、基体2の主面が枠本体30よりも大きく、延出する部分があってもよく、枠本体30とほぼ同じ外形状を有していてもよい。
枠本体30は、金属材料からなり、例えば、基体2と同様の鉄、銅、ニッケル、クロム、コバルトおよびタングステンのような金属部材、あるいはこれらの金属からなる合金を用いることができる。このような金属部材のインゴットに切削加工法、金型加工法、打ち抜き加工法のような金属加工法を施すことによって金属部材からなる枠本体30を作製することができる。また、枠本体30としてセラミック材料を用いてもよい。また、枠本体30は、一種の材料からなっていてもよいが、複数種の材料が積層された構造であってもよい。
本実施形態では、光半導体素子を用いるため、枠本体30には、光が透過するための貫通孔30aが設けられている。貫通孔30aに光ファイバの入力端部を挿通し、光半導体素子11から出射される光を光ファイバに入力してもよく、光ファイバの入力端部を貫通孔30aの外方で固定し、光半導体素子11から出射される光を、貫通孔30aを透過させて外部の光ファイバに入力してもよい。
枠本体30の側壁には長孔が形成され、この長孔を塞ぐように誘電体層31が枠本体30の側壁に取り付けられる。誘電体層は、1つの層で構成されていてもよく、複数の層が積層されて構成されていてもよい。接続端子32は、誘電体層31を貫通するように設けられ、枠本体30の枠内から枠外へまたは枠外から枠内へと電気信号を入出力させる。
接続端子32の一方端は枠内に位置し、基体2の載置領域2bに載置された光半導体素子11と枠内で電気的に接続される。接続端子32の他方端は、枠外に位置し、外部の実装基板などと電気的に接続する。接続端子32は、誘電体層31の1つの層間に設けられて誘電体層31を貫通する構成に限らず、ビア導体などの層間接続導体などを用いて複数の層間にわたって設けられていてもよい。
誘電体層31は、基体2で説明した絶縁性基板と同様のセラミックス材料から構成される。接続端子32は、金、銀、銅、ニッケル、タングステン、モリブデンおよびマンガンなどの金属材料からなり、誘電体層31の表層または内層にメタライズ層やめっき層等の形態で同時焼成されたり、金属めっきされてなるものでもよい。また、接続端子32は、枠外に位置し、金属材料の線材が所定の形状に加工されて作製され、誘電体層31の表層に設けられためっき層にろう材等の接合材を介して接合されたものがリード端子として接続されていてもよく、例えば誘電体層31との同時焼成が可能な金属材料に限らず、鉄、ニッケル、コバルトおよびクロム等からなる金属合金が所定のリード端子の形状に加工され、誘電体層31の表層に設けられためっき層にろう材で接合されたものも使用できる。
誘電体層31が、例えば酸化アルミニウム質焼結体からなる場合であれば、次のようにして作製することができる。まず酸化アルミニウムおよび酸化ケイ素等の原料粉末を適当な有機バインダおよび有機溶剤とともにシート状に成形して矩形シート状の複数のセラミックグリーンシートを作製する。次にこれらのセラミックグリーンシートを積層して積層体を作製する。その後、この積層体を1300〜1600℃の温度で焼成することによって誘電体層31を作製することができる。なお、セラミックグリーンシートは必ずしも複数層を積層する必要はなく、誘電体層31としての機械的な強度等の点で支障がなければ、1層のみでも構わない。
また、誘電体層31が酸化アルミニウム質焼結体からなる場合は、接続端子32は、例えばタングステンを含んでなり、次のようにして作製することができる。タングステンの粉末を有機溶剤および有機バインダと混合して作製した金属ペーストを誘電体層31となるセラミックグリーンシートの表面(主面)に、所定のパターン形状となるように、スクリーン印刷法等の方法で印刷する。その後、これらのセラミックグリーンシートおよび金属ペーストを同時焼成する方法で、接続端子32を形成することができる。
また、接続端子32が層間接続導体を含む場合も、上記と同様の金属材料を用い、同様の方法で形成することができる。層間接続導体の場合には、予め誘電体層31となるセラミックグリーンシートに厚み方向に貫通する貫通孔を設けておいて、この貫通孔内に金属ペーストを充填し、セラミックグリーンシートおよび金属ペーストを同時焼成すればよい。
光半導体素子11と接続端子32との接続は、電気信号が伝送できればどのような接続でもよく、ボンディングワイヤによる接続、フリップチップ接続、異方性導電フィルム(ACF)による接続などであってもよい。
蓋部材4は、枠本体30の上面にろう材などの接合材によって固定される。光半導体装置10を組み立てる場合、基体2の載置領域2bに光半導体素子11を載置して基体2に固定し、光半導体素子11と接続端子32とを電気的に接続するとともに、光半導体素子11との間で光信号が入出力されるように光ファイバを貫通孔30aに固定する。その後、蓋部材4を枠本体30に固定する。蓋部材4の枠本体30への固定は、たとえばシーム溶接などによって行う。
蓋部材4は、光半導体装置10の内部に水分や微粒子などの侵入を防止できるものであればよく、枠本体30と同様の金属材料や誘電体層31と同様のセラミックス材料などを板状に加工、成形したものを用いることができる。
ここで、光半導体素子11は、光ファイバの光軸上に配置する必要があるので、基体2に光半導体素子11を直接載置せず、マウント部材15を基体2の載置領域2bに固定し、このマウント部材15を介して載置することが好ましい。マウント部材15は、絶縁性を有する材料であればよく、基体2で説明した絶縁性基板と同様のセラミックス材料などを用いることができる。
本実施形態のように光半導体素子11が発光素子である場合、発光素子から出射される光をモニターするための受光素子13も光半導体素子11と同様に光半導体素子パッケージ1内に収納される。また、発光素子から出射される光を集光して光ファイバに入力するために光学レンズなどの光学部材12も光半導体素子パッケージ1内に収納される。
発光素子は、内部で発生した光を素子の一端面で反射させて対向する他端面から特定の方向に光を出射するように構成されている。光を反射させる一端面において一部の光を透過させることによって、光の出射方向とは反対の方向に一部の光を出射させることができる。この一部の光を受光素子13によって受光させ、発光素子からの出射光をモニターしている。したがって、発光素子である光半導体素子11と受光素子13と光学部材12とは、光半導体素子11の出射光の光軸上に並んで配置され、受光素子13は、光半導体素子11を挟んで光学部材12とは反対側に設けられる。
受光素子13が発光素子からの出射光を受光することにより出力される電気信号は、モニター信号として接続端子32を介して外部に出力される。外部に設けられた制御部は、モニター信号に基づき発光素子の動作を監視し、発光素子に供給する電流値などを適宜変更する。本実施形態では、光半導体素子11と受光素子13とは、マウント部材15上の配線基板14に実装されている。接続端子32と光半導体素子11との電気的接続、接続端子32と受光素子13との電気的接続は、直接的な接続でもよく、配線基板14を介した間接的な接続であってもよい。
発光素子から出射された光が、全て光学部材12を通過し、光ファイバに入力すればよいが、環境変化や経時変化などによる光軸の僅かなずれや光学部材12の特性劣化によって、一部の光が光学部材12の表面で反射したり、光学部材12を通過した光の一部が光ファイバの入力端部表面で反射したりして、光半導体素子パッケージ1内で、いわゆる迷光が生じる場合がある。この迷光は、枠本体30の内面、蓋部材4の内面、基体2の一方主面2aで反射する。反射光の中には、受光素子13に入射する光があり、受光素子13は、本来受光する光よりも多くの光を受光してしまうことになる。そうすると、受光素子13から出力されるモニター信号は、誤った受光量によって出力されることになるので、モニター信号によって制御される発光素子の動作は誤動作となってしまう。
本発明の光半導体素子パッケージ1は、蓋部材4の内面4a、すなわち蓋部材4の、載置領域2bに臨む面に無機材料からなる光吸収部材5を設けている。光吸収部材5により、蓋部材4に向かう迷光を吸収することができるので、受光素子13が誤って受光してしまう光を低減することができ、光半導体素子11の誤動作を抑制することができる。また、光吸収部材5が無機材料からなるので、有機材料に起因する気体成分が発生せず、気体成分の付着による誤動作も抑制することができる。
これにより、動作信頼性の高い光半導体素子パッケージ1および光半導体装置10を提供することができる。
光吸収部材5は、蓋部材4の内面4aのなるべく広い範囲にわたって設けることが好ましい。また、光半導体素子パッケージ1内の収納空間を縮小しないように、厚みは薄いほうが好ましい。したがって、光吸収部材5は、蓋部材4の内面4aに層状の部材として設けられることが好ましい。本実施形態の光吸収部材5は、載置領域2bに臨む側の面が平坦面であり、光吸収部材5の全体にわたって厚みが一様となっている。
光吸収部材5の層厚みは、光吸収部材5を構成する材料の光吸収能力にもよるが、たとえば0.01mm〜1mmであれば、蓋部材4に向かう迷光を十分に吸収することができ、好ましい。層厚みが0.01mm以下だと薄過ぎて蓋部材4が透けてしまい光吸収能力が得られない可能性がある。層厚みが1mm以上だと反りが大きくなり、蓋部材4によるパッケージの封止性能に影響を与えるおそれがある。
図3は、光吸収部材5の一部を拡大した模式図である。光吸収部材5は、ガラス50と、このガラス50に分散された黒色無機顔料51とを含んで構成される。光吸収部材5の光吸収能力は、ほぼ黒色無機顔料51によるものであるが、黒色無機顔料51のみでは、蓋部材4の内面4aに固定化することは難しいので、ガラス50内に黒色無機顔料51を分散させガラス50ごと蓋部材4の内面4aに固定化している。
黒色無機顔料51は、少なくとも迷光、すなわち光半導体素子11から出力される光を吸収可能な材料であればよく、たとえば、カーボンブラックなどの炭素系顔料、チタンブラックなどの窒化物系顔料、Cr−Fe−Co系、Cu−Co−Mn系、Fe−Co−Mn系、Fe−Co−Ni−Cr系などの金属酸化物系顔料などを用いることができる。
これらの中でもCr−Fe−Co系顔料、具体的にはCr−FeO−CoO系顔料を用いることが好ましい。
ガラス50は、上記のような黒色無機顔料51を分散可能で、分散された黒色無機顔料51に迷光が到達するように、迷光に対して透明な無機材料であって、光半導体装置10の製造時および動作時などの温度上昇によって特性の変化が無い材料であればよく、たとえば、ホウ酸塩ガラス(B系、LiO−B系、NaO−B系等)、リン酸塩ガラス(NaO−P系、B−P系等)やリン酸スズ亜鉛ガラス(P−SnO−ZnO系等)や、ホウケイ酸ガラス(SiO−B系、SiO−B−Al系、SiO−B−LiO系、SiO−B−NaO系、SiO−B−BaO−NaO系等)等のガラス、SiO−BaO−ZnO系、BaO−B−ZnO系、Bi−B−SiO系などのガラスを用いることができる。これらの中でもSiO−BaO−ZnO系ガラスを用いることが好ましい。
光吸収部材5の作製方法の一例を説明する。上記材料のガラス粉末および黒色無機顔料粉末を含有する原料粉末、有機溶剤並びにバインダを混ぜることにより混合ペーストを作製する。この混合ペーストを予め作製された蓋部材4の内面4a上に印刷法によって層状パターンを形成する。層状のパターンが印刷された蓋部材4を800〜1000℃程度の温度で焼成することによりガラス50内に黒色無機顔料51が分散された光吸収部材5が作製される。
図4は、他の実施形態である光半導体素子パッケージ1Aを備える光半導体装置10Aの構成を示す断面図である。本実施形態の光半導体素子パッケージ1Aは、図1,2に示した光半導体素子パッケージ1と同様に、基体2と枠部材3と蓋部材4と光吸収部材5Aとを備えている。本実施形態が、図1,2に示した上記の光半導体素子パッケージ1と異なる点は、光吸収部材5Aのみであり、その他の構成については光半導体素子パッケージ1と同様であるので、同じ参照符号を付与して説明は省略する。
本実施形態の光吸収部材5Aは、載置領域2bに臨む側の面が凹状の面(以下、凹面)であり、光吸収部材5の周縁部で相対的に厚みが厚く、中央部で相対的に厚みが薄くなっている。
蓋部材4の内面4aに向かう迷光のほとんどは、光吸収部材5,5Aのガラス50内に進入するが、一部は光吸収部材5,5Aの表面で反射する。表面が平坦面である光吸収部材5では、表面で反射した反射光がさらに光吸収部材5ではない別の位置で反射しない限り、再度光吸収部材5の表面に到達することはなく、光吸収部材5表面での反射光が受光素子13に入射してしまう可能性がある。
図5は、光吸収部材5A近傍における光の挙動を示す模式図である。図5では、光吸収部材5Aの外部の光を矢印付き実線で表し、光吸収部材5Aの内部の光を矢印付き破線で表す。本実施形態の光吸収部材5Aは、表面が凹面5aであるので、表面に到達した迷光L1の一部が表面で反射しても、反射光L2がその反射位置とは異なる別の光吸収部材5の表面位置に到達しやすくなり、凹面5aの表面に到達した迷光L1が光吸収部材5A内に進入する可能性が高くなる。すなわち、光吸収部材5A内に進入する迷光L1が増加する。また、一度光吸収部材5A内に進入した光L3で、黒色無機顔料51に吸収されずに黒色無機顔料51の表面や蓋部材4の内面4aとの境界で反射した光L4が光吸収部材5Aと外気との境界に入射しても、一部の光は光吸収部材5Aと外気との屈折率差によって光吸収部材5A外に透過することはなく境界で反射され、黒色無機顔料51に吸収される。さらに、この反射光L5は、光吸収部材5Aの内部で再度、黒色無機顔料51の表面や蓋部材4の内面4aとの境界で反射しない限り、再度光吸収部材5Aと外気との境界となる凹面5aに入射し、外気に出射されることはない。よって、光半導体素子パッケージ1A内に再度出射する反射光L5を低減することができる。
すなわち、表面が凹面5aである光吸収部材5Aは、表面が平坦面である光吸収部材5よりも迷光が内部に進入しやすく、進入した光が外部に出ないので、光吸収部材5Aの黒色無機顔料51に到達する機会が増加し、吸収される可能性が高くなる。
光吸収部材5Aは、周縁部で相対的に厚みが厚く、中央部で相対的に厚みが薄く、表面が滑らかな曲面状の凹面5aを有していれば、表面が平坦面である場合に比べてより迷光を吸収しやすく、凹面5aは、たとえば球や楕円球の表面の一部のような曲面である。
また、光吸収部材5の表面および光吸収部材5Aの表面は、微小な凹凸を有するのが好ましい。表面に微小な凹凸を有することにより、光吸収部材5,5A表面に到達した迷光の反射を抑え、光吸収部材5,5A内に進入しやすくすることができる。微小な凹凸は、たとえば、直径または一辺の大きさが0.1μm〜10μmで、高さが0.1μm〜10μmの柱状または錐状の凸部分が一様に分散した状態である。
上記の光半導体装置10,10Aは、いずれも光半導体素子11として発光素子を収納した構成であるが、本発明の光半導体装置は、これに限らず光半導体素子11として受光素子であるPD(フォトダイオード)を収納した構成であってもよい。
光半導体素子11が受光素子である場合、枠本体30の貫通孔30aに固定された光ファイバから出射される光を集光して受光素子に入射させるために光学レンズなどの光学部材12も光半導体素子パッケージ1内に収納されるが、モニター用の受光素子13は不要である。
光半導体素子11である受光素子は、光ファイバから出射された光を受光し、受光量に応じた電気信号を出力する。この電気信号は接続端子32を介して外部に出力される。外部の制御部は、光半導体装置から出力された電気信号に応じた処理を実行する。
光ファイバから出射された光が、全て光学部材12を通過し、受光素子に入射すればよいが、環境変化や経時変化などによる光軸の僅かなずれや光学部材12の特性劣化によって、一部の光が光学部材12の表面で反射したり、光学部材12を通過した光の一部が受光素子に入射せず配線基板14表面で反射したりして、光半導体素子パッケージ1内で、迷光が生じる場合がある。この迷光は、枠本体30の内面、蓋部材4の内面、基体2の一方主面2aで反射し、反射光の中には、光半導体素子11である受光素子に入射する光があり、受光素子は、本来受光する光よりも多くの光を受光してしまうことになる。そうすると、受光素子から出力される電気信号は、誤った受光量によって出力されることになるので、制御部は本来実行すべき処理とは異なる処理を実行してしまう。
上記のように蓋部材4の内面4aに無機材料からなる光吸収部材5を設けることで、蓋部材4に向かう迷光を吸収することができるので、受光素子が誤って受光してしまう光を低減することができ、光半導体素子11として受光素子を収納する光半導体装置であっても誤動作を抑制することができる。また、光吸収部材5が無機材料からなるので、有機材料に起因する気体成分が発生せず、気体成分の付着による誤動作も抑制することができる。
なお、上記では、光吸収部材5を蓋部材4の内面4aに設ける構成としたが、これに限らず、蓋部材4の一部、たとえば、枠本体30と接合する周縁部を除く中央部が、光吸収部材5と同じ機能を有していてもよい。
1,1A 光半導体素子パッケージ
2 基体
2b 載置領域
3 枠部材
3c 貫通孔
4 蓋部材
4a 内面
5,5A 光吸収部材
5a 凹面
10,10A 光半導体装置
11 光半導体素子
12 光学部材
13 受光素子
14 配線基板
15 マウント部材
30 枠本体
30a 貫通孔
31 誘電体層
32 接続端子
50 ガラス
51 黒色無機顔料

Claims (5)

  1. 光半導体素子が載置される載置領域を含む主面を有する板状の基体と、
    前記載置領域を囲むように前記主面に設けられる枠部材と、
    前記枠部材に接合され、前記載置領域を覆う板状の蓋部材と、
    前記蓋部材の、前記載置領域に臨む面に設けられる、無機材料からなる光吸収部材と、を備えることを特徴とする光半導体素子パッケージ。
  2. 前記無機材料は、ガラスおよび該ガラス中に分散された黒色無機顔料を含むことを特徴とする請求項1記載の光半導体素子パッケージ。
  3. 前記ガラスは、SiO−BaO−ZnO系ガラスであり、前記黒色無機顔料は、Cr−FeO−CoO系顔料であることを特徴とする請求項2記載の光半導体素子パッケージ。
  4. 前記光吸収部材は、前記載置領域に臨む側の面が凹状の層状部材であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の光半導体素子パッケージ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の光半導体素子パッケージと、
    前記載置領域に載置された光半導体素子と、を備えることを特徴とする光半導体装置。
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