JP2016188366A - リグニン誘導体化合物、リグニン樹脂、リグニン樹脂組成物、及びリグニン誘導体化合物の製造方法 - Google Patents

リグニン誘導体化合物、リグニン樹脂、リグニン樹脂組成物、及びリグニン誘導体化合物の製造方法 Download PDF

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隆臣 伏見
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憲司 高橋
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Abstract

【課題】安価なリグニン樹脂の提供。【解決手段】リグニン誘導体化合物は、リグニン又はリグノフェノールが有するヒドロキシ基の2個以上が、第1級アミノ基を有するアミノアルコキシ基に置換された化学構造を有する。分子中にエポキシ基を2個以上有する多価エポキシ化合物と、分子中にカルボキシル基を2個以上有する多価カルボン酸又は分子中に酸無水物基を2個以上有する多価カルボン酸無水物と、を反応させて得られるリグニン樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、リグニン誘導体化合物、リグニン樹脂、リグニン樹脂組成物、及びリグニン誘導体化合物の製造方法に関する。
樹木から抽出されるリグニンやリグノフェノールを樹脂の原料として利用することが試みられている。例えば特許文献1には、リグニン又はリグノフェノールにカップリング剤を反応させて得られた化合物をエポキシ樹脂の硬化剤として用いることが提案されている。しかしながら、カップリング剤は高価であるため、リグニンやリグノフェノールの利用が進みにくいという問題があった。
特開2012−224787号公報
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、安価なリグニン誘導体化合物、リグニン樹脂、リグニン樹脂組成物、及びリグニン誘導体化合物の製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明の一態様に係るリグニン誘導体化合物は、リグニン又はリグノフェノールが有するヒドロキシ基の2個以上が、第1級アミノ基を有するアミノアルコキシ基に置換された化学構造を有することを要旨とする。
また、本発明の別の態様に係るリグニン樹脂は、分子中にエポキシ基を2個以上有する多価エポキシ化合物、分子中にカルボキシ基を2個以上有する多価カルボン酸、又は分子中に酸無水物基を2個以上有する多価カルボン酸無水物と、上記一態様に係るリグニン誘導体化合物とを反応させて得られることを要旨とする。
さらに、本発明のさらに別の態様に係るリグニン樹脂組成物は、上記別の態様に係るリグニン樹脂と繊維状補強材とを含有することを要旨とする。
さらに、本発明のさらに別の態様に係るリグニン誘導体化合物の製造方法は、上記一態様に係るリグニン誘導体化合物を製造する方法であって、リグニン又はリグノフェノールと、第1級アミノ基及びハロゲノ基を有するハロゲン化アルキルアミンとを反応させ、前記リグニン又は前記リグノフェノールのヒドロキシ基と、前記ハロゲン化アルキルアミンのハロゲノ基との脱ハロゲン化水素反応によってエーテル結合を生じさせることを要旨とする。
なお、上記別の態様に係るリグニン樹脂については、「物」を、その構造ではなく、その物の製造方法によって特定しているが、その構造により直接特定することは不可能である。つまり、上記別の態様に係るリグニン樹脂は、分子中に第1級アミノ基を2個以上有するリグニン誘導体化合物と、分子中にエポキシ基を2個以上有する多価エポキシ化合物、分子中にカルボキシ基を2個以上有する多価カルボン酸、又は分子中に酸無水物基を2個以上有する多価カルボン酸無水物とを原料とし、これら2種の原料を反応させて得られる重合体であるため、得られる重合体の構造は極めて複雑で一般式で表すことはできない。また、得られる重合体の構造は、原料の配合比や反応条件等によっても変化する可能性がある。これらのことは、当業者においては技術常識である。このように、上記別の態様に係るリグニン樹脂は、その構造によって直接特定することは不可能であり、製造方法によって初めて特定することが可能なものである。
本発明に係るリグニン誘導体化合物、リグニン樹脂、リグニン樹脂組成物、及びリグニン誘導体化合物の製造方法は安価である。
本発明の一実施形態について以下に説明する。
<1>リグニン誘導体化合物について
本実施形態のリグニン誘導体化合物は、リグニン又はリグノフェノールが有するヒドロキシ基の2個以上(好ましくは3個以上)が、第1級アミノ基を有するアミノアルコキシ基に置換された化学構造を有する化合物である。
このリグニン誘導体化合物は、リグニン又はリグノフェノールとハロゲン化アルキルアミン(X−R−NH)との反応により得られる。リグニン又はリグノフェノールのフェノール性ヒドロキシ基(−OH)と、第1級アミノ基(−NH)及びハロゲノ基(−X)を有するハロゲン化アルキルアミンのハロゲノ基との脱ハロゲン化水素反応によってエーテル結合が生じ、第1級アミノ基を有するリグニン誘導体化合物が得られる。本実施形態のリグニン誘導体化合物は、安価な材料から製造することができるので安価である。すなわち、ハロゲン化アルキルアミン及びリグニンはいずれも安価である。また、本実施形態のリグニン誘導体化合物によれば、樹脂等の製品の原料としてあまり利用されていないリグニンを有効利用することができる。
リグニン及びリグノフェノールは複数のヒドロキシ基を有しており、各ヒドロキシ基とハロゲン化アルキルアミンのハロゲノ基とが反応するので、本実施形態のリグニン誘導体化合物は複数の第1級アミノ基を有するポリアミンである。
なお、リグノフェノールとは、リグニンがフェノール誘導体で誘導体化された化合物である。また、リグニンは、植物から抽出することによって得られるが、原料である植物の種類や抽出方法によって、様々な種類がある。さらに、植物から抽出したものを部分分解して低分子化したものを、利用することもできる。本実施形態においては、ヒドロキシ基を2個以上有していれば、どのようなリグニン、リグノフェノールであっても使用することができる。
ハロゲン化アルキルアミンの種類は特に限定されるものではないが、ハロゲン化アルキルアミンのアルキレン基(−R−)の炭素数(すなわち、本実施形態のリグニン誘導体化合物が有するアミノアルコキシ基の炭素数)は1以上12以下としてもよく、好ましくは2以上6以下である。また、アルキレン基は直鎖状アルキレン基でもよいし、分岐鎖状アルキレン基や環状アルキレン基でもよい。なお、ハロゲン化アルキルアミンに換えてハロゲン化アルケニルアミンを使用することもできる。
さらに、ハロゲン化アルキルアミンのハロゲノ基(−X)の種類は特に限定されるものではないが、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基としてもよく、好ましくはクロロ基である。
ハロゲン化アルキルアミンの具体例としては、クロロエチルアミン、クロロブチルアミン、及びクロロヘキシルアミンがあげられる。これらの中では、2−クロロエチルアミン、4−クロロブチルアミン、6−クロロヘキシルアミンが好ましく、2−クロロエチルアミンがより好ましい。
ハロゲン化アルキルアミンは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
脱ハロゲン化水素反応の条件は、ヒドロキシ基とハロゲノ基とが反応してエーテル結合を生成することができるならば特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶剤等の溶剤中において水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の塩基性化合物の存在下でリグニン又はリグノフェノールとハロゲン化アルキルアミンとを反応させることにより、脱ハロゲン化水素反応を行うことができる。
なお、このような脱ハロゲン化水素反応には、ハロゲン化アルキルアミンをそのまま使用してもよいが、ハロゲン化アルキルアミンの塩を使用してもよい。塩としては、例えば、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素等のハロゲン化水素の塩を使用してもよい。例えば、ハロゲン化アルキルアミン塩酸塩(X−R−NH・HCl)を使用してもよい。
<2>リグニン樹脂について
上記のような本実施形態のリグニン誘導体化合物は第1級アミノ基を有しているので、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレア樹脂等の種々の樹脂の原料として利用すること可能である。以下に、本実施形態のリグニン誘導体化合物を原料として利用して得ることができるリグニン樹脂(エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリウレア樹脂)について詳細に説明する。
(A)エポキシ樹脂について
例えば、本実施形態のリグニン誘導体化合物をエポキシ樹脂の硬化剤として利用することができる。分子中にエポキシ基を2個以上有する多価エポキシ化合物に本実施形態のリグニン誘導体化合物を硬化剤として配合し、重合反応させると、3次元架橋が生じて高分子量化し重合体(エポキシ樹脂)となる。
多価エポキシ化合物の種類は特に限定されるものではないが、1,3,5−トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート(イソシアヌル酸トリグリシジル(以下「TGIC」と記す))等の低分子化合物や、分子中にエポキシ基を2個以上有するプレポリマーがあげられる。分子中にエポキシ基を2個以上有するプレポリマーとは、高分子量化するまでは重合していない低分子量の重合体であり、例としては、ビスフェノールA型プレポリマー(ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの縮合物)やノボラック型プレポリマーがあげられる。
上記の低分子化合物やプレポリマーのような多価エポキシ化合物は、一般には樹脂材料として必要な機械的強度を有していないが、本実施形態のリグニン誘導体化合物を配合して重合反応させ高分子量化すると、樹脂材料として必要な機械的強度を有するエポキシ樹脂とすることができる。本実施形態のリグニン誘導体化合物と多価エポキシ化合物との重合反応は、室温(例えば15℃以上25℃以下)で行うこともできるし、高温(例えば100℃以上200℃以下)で行うこともできる。
本実施形態のリグニン誘導体化合物と多価エポキシ化合物との重合反応は、実質的に全ての官能基(本実施形態のリグニン誘導体化合物の第1級アミノ基及び多価エポキシ化合物のエポキシ基)が反応するまで行ってもよいし、一部の官能基が反応せず残存している状態まで行ってもよい。残存させる官能基の割合によって、得られるエポキシ樹脂の諸性質を調整することができる。
例えば、実質的に全ての官能基を反応させれば、通常は不溶不融のエポキシ樹脂を得ることができる。また、プレポリマーは通常は液状であるが、流動性が失われない程度までしか重合反応を行わなければ、流動性を有する液状のエポキシ樹脂を得ることができる。なお、流動性が失われて固化するまで重合反応を行って得られたエポキシ樹脂については、以下「硬化物」と記すこともある。
本実施形態のリグニン誘導体化合物と多価エポキシ化合物との配合比率(量比)は、得られるエポキシ樹脂の諸性質に影響するが、特に限定されるものではなく、例えば、本実施形態のリグニン誘導体化合物の第1級アミノ基と多価エポキシ化合物のエポキシ基とが当モルとなるような配合比率で配合することができる。
(B)ポリアミド樹脂について
例えば、本実施形態のリグニン誘導体化合物をポリアミド樹脂のモノマーとして利用することができる。本実施形態のリグニン誘導体化合物と分子中にカルボキシ基を2個以上有する多価カルボン酸とを重合反応させると、3次元架橋が生じて高分子量化し重合体(ポリアミド樹脂)となる。
多価カルボン酸の種類は特に限定されるものではないが、脂肪族の多価カルボン酸でもよいし、芳香族の多価カルボン酸でもよい。脂肪族の多価カルボン酸の具体例としては、フマル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、シクロヘキサン−1,2,3−トリカルボン酸、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸があげられる。
また、芳香族の多価カルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸があげられる。
本実施形態のリグニン誘導体化合物と多価カルボン酸とを重合反応させる方法は特に限定されるものではなく、慣用の重合方法により重合反応させることができる。例えば、多価カルボン酸をそのまま使用して本実施形態のリグニン誘導体化合物と重合反応させることもできるが、多価カルボン酸のエステル化物や多価カルボン酸のハロゲン化物(例えば多価カルボン酸の酸クロリド)を使用して本実施形態のリグニン誘導体化合物と重合反応させることもできる。
(C)ポリイミド樹脂について
例えば、本実施形態のリグニン誘導体化合物をポリイミド樹脂のモノマーとして利用することができる。本実施形態のリグニン誘導体化合物と分子中に酸無水物基を2個以上有する多価カルボン酸無水物とを重合反応させると、3次元架橋が生じて高分子量化し重合体(ポリイミド樹脂)となる。
多価カルボン酸無水物の種類は特に限定されるものではないが、脂肪族の多価カルボン酸無水物でもよいし、芳香族の多価カルボン酸無水物でもよい。脂肪族の多価カルボン酸無水物の具体例としては、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物があげられる。
また、芳香族の多価カルボン酸無水物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物があげられる。
本実施形態のリグニン誘導体化合物と多価カルボン酸無水物とを重合反応させる方法は特に限定されるものではなく、慣用の重合方法により重合反応させることができる。例えば、本実施形態のリグニン誘導体化合物と多価カルボン酸無水物とを有機溶剤中で重合反応させてポリアミド酸とし、これを熱的又は化学的に脱水閉環反応させてポリイミド樹脂とすることができる。
(D)ポリウレア樹脂について
例えば、本実施形態のリグニン誘導体化合物をポリウレア樹脂のモノマーとして利用することができる。本実施形態のリグニン誘導体化合物と分子中にイソシアネート基を2個以上有する多価イソシアネート化合物とを重合反応させると、3次元架橋が生じて高分子量化し重合体(ポリウレア樹脂)となる。
多価イソシアネート化合物の種類は特に限定されるものではないが、脂肪族の多価イソシアネート化合物でもよいし、芳香族の多価イソシアネート化合物でもよい。脂肪族の多価イソシアネート化合物の具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネートがあげられる。また、芳香族の多価イソシアネート化合物の具体例としては、ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートがあげられる。
本実施形態のリグニン樹脂は、安価な材料から製造することができるので安価である。これらのリグニン樹脂は、種々の用途に利用することができる。例えば、溶解可能な溶剤に溶解してリグニン樹脂溶液とし、このリグニン樹脂溶液を接着剤、コーティング剤、塗料として用いることができる。あるいは、後述するプリプレグの原料として用いることもできる。
<3>リグニン樹脂組成物について
本実施形態のリグニン誘導体化合物を原料として利用して得られるリグニン樹脂(エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレア樹脂)には、種々の添加剤、副資材を配合して樹脂組成物とすることができる。本実施形態のリグニン樹脂組成物は、安価な材料から製造することができるので安価である。
例えば、機械的特性、熱的特性を向上させるために、繊維状補強材を配合してもよい。繊維状補強材の種類は特に限定されるものではなく、例としては、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、ポリアミド繊維、ポリイミド繊維、液晶性ポリエステル繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素ウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、アルミナウィスカー、窒化アルミニウムウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、酸化マグネシウムウィスカーがあげられる。これら繊維状補強材は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、リグニン樹脂組成物には、その各種性能を向上させるために、硬化促進剤、潤滑剤、離型剤、熱安定剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、熱伝導性改良剤、顔料、着色料等の各種添加剤を配合してもよい。これら添加剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
さらに、リグニン樹脂組成物には、所望により他種の樹脂を配合してもよい。配合可能な他種の樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、フッ素樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン)、ポリエーテルスルホン(PES)があげられる。また、リグニン樹脂組成物にはゴム、エラストマーを配合してもよい。これら他種の樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
<4>プリプレグについて
本実施形態のリグニン誘導体化合物を原料として利用して得られるリグニン樹脂(エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレア樹脂)と繊維状補強材とにより、プリプレグを製造することができる。本実施形態のプリプレグは、安価な材料から製造することができるので安価である。
繊維状補強材の種類は特に限定されるものではなく、例えば、上記<3>項において繊維状補強材の例として示したものを用いることができるが、炭素繊維、ガラス繊維が好ましい。これら繊維状補強材は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。なお、繊維状補強材は糸状のものを用いてもよいが、布状(クロス)のものを用いてもよい。また、上記<3>項において例示した添加剤、副資材、他種の樹脂をリグニン樹脂に配合してプリプレグを製造してもよい。
リグニン樹脂と繊維状補強材とを含有するプリプレグを用いて、機械的特性、熱的特性に優れた成形物(例えばプリント基板、筐体)を製造することができる。例えば、一部の官能基が反応せず残存している状態のエポキシ樹脂をリグニン樹脂として用いたプリプレグの複数を積層して、所望の形状に成形し、これに圧力及び熱を加えて残存している官能基を反応させてエポキシ樹脂を硬化すれば、硬化物の繊維補強物からなる成形物を製造することができる。このときプリプレグに用いるエポキシ樹脂は、複数のプリプレグを積層して所望の形状に成形する際の作業性や得られる成形物の物性などを考慮すると、液状であることが好ましい。
あるいは、リグニン樹脂であるポリアミド樹脂と繊維状補強材とを含有するプリプレグの複数を積層して所望の形状に成形し、これに圧力及び熱を加えて、ポリアミド樹脂の繊維補強物からなる成形物を製造することができる。
さらには、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸の溶液と繊維状補強材とを含有するプリプレグの複数を積層して所望の形状に成形し、これに圧力及び熱を加えて、イミド化(ポリアミド酸の脱水閉環反応)及び溶媒の気化を行えば、ポリイミド樹脂の繊維補強物からなる成形物を製造することができる。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態には種々の変更又は改良を加えることが可能であり、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。
<実施例>
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
(1)リグニン誘導体化合物の合成例1
シグマ−アルドリッチ社製のリグニン10gと精製水50gとを反応容器に投入し撹拌して、リグニンを精製水中に分散させた。ここに、触媒である水酸化ナトリウム2g加え、50〜60℃に加熱して溶解させると、リグニンが溶解して黒色溶液となった。
次に、2−クロロエチルアミン2.9gを精製水10gに溶解した溶液を用意して、この溶液を少量ずつ反応容器に投入し、50〜60℃でリグニンと2−クロロエチルアミンとを反応させた。反応終了後、濃度0.1mol/Lの塩酸30mLを加えてpHが8.4となるまで中和すると、固形分が析出した。この固形分をフィルターで濾過し、濾液が中性になるまで水洗した後に70℃で乾燥して、10.4gのリグニン誘導体化合物Aを得た。
得られたリグニン誘導体化合物AについてH−NMR測定を行ったところ、フェノールに由来するピークが減少し、アルキル基に由来するピークが増大した。また、元素分析を行ったところ、窒素の含有量が0.49質量%から2.23質量%に増加した。
(2)リグニン誘導体化合物の合成例2
2−クロロエチルアミンを4−クロロブチルアミンに代えた点と、それに応じて試薬の使用量を適宜変更した点とを除いて、リグニン誘導体化合物の合成例1と同様に反応を行って、リグニン誘導体化合物Bを得た。
リグニン誘導体化合物Aの場合と同様にして、リグニン誘導体化合物BのH−NMR測定を行ったところ、リグニン誘導体化合物Aの場合と同様の結果が得られた。また、元素分析を行ったところ、窒素の含有量が0.49質量%から1.30質量%に増加した。
(3)エポキシ樹脂の製造例1(実施例1)
TGIC0.2gをN,N−ジメチルホルムアミド(以下「DMF」と記す)1gに溶解した溶液(以下「第1液A」と記す)と、リグニン誘導体化合物A0.5gとDMF1gとを混合して得たペースト状物(以下「第2液A」と記す)とを用意した。
第2液Aに第1液A0.5gを添加し混合したものを、離型剤をコーティングしたフィルム(以下「離型フィルム」と記す)に塗布し、DMFを乾燥させた。DMFが十分に乾燥したら180℃に加熱して、リグニン誘導体化合物AとTGICとを重合反応させ、実施例1のエポキシ樹脂を得た。得られたエポキシ樹脂はフィルム状であり、質量は0.62gであった。
また、得られたフィルム状のエポキシ樹脂の熱分析を行った。窒素雰囲気下において熱重量示差熱同時分析(TG−DTA)を行って熱分解温度を測定したところ、230℃であった。また、示差走査熱量測定(DSC)を行ってガラス転移点を測定したところ、14℃であった。
(4)エポキシ樹脂の製造例2(実施例2)
TGIC1.5gをDMF4gに溶解した溶液(以下「第1液B」と記す)と、リグニン誘導体化合物B0.5gとDMF1gとを混合して得たペースト状物(以下「第2液B」と記す)とを用意した。
第2液Bに第1液B1gを添加し混合したものを、離型フィルムに塗布し、DMFを乾燥させた。DMFが十分に乾燥したら180℃に加熱して、リグニン誘導体化合物BとTGICとを重合反応させ、実施例2のエポキシ樹脂を得た。得られたエポキシ樹脂はフィルム状であり、質量は0.76gであった。
また、得られたフィルム状のエポキシ樹脂の熱分析を行った。窒素雰囲気下において熱重量示差熱同時分析(TG−DTA)を行って熱分解温度を測定したところ、230℃であった。また、示差走査熱量測定(DSC)を行ってガラス転移点を測定したところ、不検出であった。
(5)エポキシ樹脂の製造例3(比較例1)
リグニン0.5gとDMF1gとを混合して得たペースト状物(以下「第2液C」と記す)を用意した。第2液Cに第1液A0.5gを添加し混合したものを、離型フィルムに塗布し、DMFを乾燥させた。DMFが十分に乾燥したら180℃に加熱して、リグニンとTGICとを重合反応させ、比較例1のエポキシ樹脂を得た。得られたエポキシ樹脂はフィルム状であり、質量は0.72gであった。
また、得られたフィルム状のエポキシ樹脂の熱分析を行った。窒素雰囲気下において熱重量示差熱同時分析(TG−DTA)を行って熱分解温度を測定したところ、222℃であった。また、示差走査熱量測定(DSC)を行ってガラス転移点を測定したところ、14℃であった。
(6)エポキシ樹脂の製造例4(比較例2)
実施例1と同様にして第2液Aを用意した。第2液Aを離型フィルムに塗布し、DMFを乾燥させた。DMFが十分に乾燥したら180℃に加熱した。得られた加熱物は脆く、フィルム状にはならなかった。また、得られた加熱物の質量は0.42gであった。
さらに、得られた加熱物の熱分析を行った。窒素雰囲気下において熱重量示差熱同時分析(TG−DTA)を行って熱分解温度を測定したところ、186℃であった。また、示差走査熱量測定(DSC)を行ってガラス転移点を測定したところ、不検出であった。
次に、実施例1のエポキシ樹脂、比較例1のエポキシ樹脂、及び比較例2の加熱物の室温のDMFに対する溶解性試験(溶剤溶解性試験)を行った。実施例1のエポキシ樹脂の場合は、DMFに着色は認められず、未反応のリグニンの溶出は観察されなかった。これに対して、比較例1のエポキシ樹脂の場合は、DMFに若干の着色が認められ、未反応のリグニンの溶出が観察された。また、比較例2の加熱物の場合は、DMFに強い着色が認められ、リグニンの高分子量化は生じていないと考えられる。
さらに、実施例1のエポキシ樹脂、比較例1のエポキシ樹脂、及び比較例2の加熱物の水酸化ナトリウム水溶液に対する耐性試験(アルカリ分解性試験)を行った。
実施例1のエポキシ樹脂、比較例1のエポキシ樹脂、及び比較例2の加熱物をそれぞれ0.1g秤取り、濃度1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液2gに投入して80℃に加熱した。2時間加熱後に状況を観察したところ、実施例1のエポキシ樹脂の場合は、水酸化ナトリウム水溶液が若干褐色になったものの、大部分が溶解せず残留していた。
これに対して、比較例1のエポキシ樹脂の場合は、水酸化ナトリウム水溶液が褐色の溶液になり、未反応のリグニンの溶出が観察された。また、少量の残留物を残して多くが溶解していた。比較例2の加熱物の場合は、完全に溶解し、水酸化ナトリウム水溶液が褐色の溶液になった。
これら2つの試験結果から、リグニン誘導体化合物の合成例1においてリグニンと2−クロロエチルアミンとが正常に反応し目的のリグニン誘導体化合物Aが得られたことと、エポキシ樹脂の製造例1においてリグニン誘導体化合物AとTGICとが正常に重合反応し目的の硬化物が得られたことが示唆された。
(7)ポリイミド樹脂の製造例(実施例3)
リグニン誘導体化合物A1gをDMF2gに溶解した溶液に、ピロメリット酸二無水物0.2gをDMF0.4gに溶解した溶液を添加して混合した。そして、この混合溶液をアルミニウム製容器の底面に塗布し、80℃で1時間加熱してDMFを蒸発させた後に、180℃で1時間、さらに300℃で0.5時間加熱して、イミド化反応(ポリアミド酸の脱水閉環反応)を行い、実施例3のポリイミド樹脂を得た。
得られたポリイミド樹脂について、室温のDMFに対する溶解性試験(溶剤溶解性試験)を行ったところ、DMFに対して全く溶解せず、DMFに着色も認められなかったため、イミド化反応が完全に進行したポリイミド樹脂が得られたものと考えられる。また、得られたポリイミド樹脂の熱分析を行った。窒素雰囲気下において熱重量示差熱同時分析(TG−DTA)を行って5%熱分解温度を測定したところ、322℃であった。

Claims (4)

  1. リグニン又はリグノフェノールが有するヒドロキシ基の2個以上が、第1級アミノ基を有するアミノアルコキシ基に置換された化学構造を有するリグニン誘導体化合物。
  2. 分子中にエポキシ基を2個以上有する多価エポキシ化合物、分子中にカルボキシ基を2個以上有する多価カルボン酸、又は分子中に酸無水物基を2個以上有する多価カルボン酸無水物と、請求項1に記載のリグニン誘導体化合物とを反応させて得られるリグニン樹脂。
  3. 請求項2に記載のリグニン樹脂と繊維状補強材とを含有するリグニン樹脂組成物。
  4. 請求項1に記載のリグニン誘導体化合物を製造する方法であって、
    リグニン又はリグノフェノールと、第1級アミノ基及びハロゲノ基を有するハロゲン化アルキルアミンとを反応させ、前記リグニン又は前記リグノフェノールのヒドロキシ基と、前記ハロゲン化アルキルアミンのハロゲノ基との脱ハロゲン化水素反応によってエーテル結合を生じさせるリグニン誘導体化合物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112961372A (zh) * 2020-12-22 2021-06-15 长春工业大学 一种木质素基含氮磷元素阻燃剂及制备方法和应用

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