JP2016188364A - 樹脂組成物、プライマー、塗料及び積層体 - Google Patents

樹脂組成物、プライマー、塗料及び積層体 Download PDF

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弘 村井
Hiroshi Murai
弘 村井
晶文 熊野
Masafumi Kumano
晶文 熊野
牧夫 林
Makio Hayashi
牧夫 林
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Abstract

【課題】ゴム本来の伸張性及び弾力性を阻害することがなく、ゴムの表面に強固に密着することができる樹脂組成物及びこのような樹脂組成物がゴムの表面に積層された積層体を提供することを目的とする。
【解決手段】オレフィン由来の構造単位と、アニオン性官能基を有する構造単位とを有するポリオレフィン系共重合体を含むゴム接着用樹脂組成物、これを含有するプライマー又は塗料、ならびに、ゴム基材と、該ゴム基材の表面に積層された上記ゴム接着用樹脂組成物によって形成されたゴム接着性層とを備える積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物及び積層体に関する。
ゴムは、伸張性及び弾力性に優れる材料であり、種々の用途に使用されている。
しかし、ゴムは、伸張性及び弾力性があるがゆえに、他の材料に対する密着性及び接着性に乏しく、ゴムの表面に種々の機能層を積層することが困難である。
そのために、ゴムに密着する種々の樹脂組成物及び/又は接着剤等の開発が進められている(例えば、特許文献1〜3等)
特開2011−245771号公報 特開2008−202016号公報 特表平10−508899号公報
ゴムの密着性を有する種々の樹脂組成物が提案されているが、依然として十分に満足のいく密着性を発揮し得る樹脂組成物が見出されておらず、強固に密着する樹脂組成物及び/又は接着剤等が熱望されている。
本発明はこのような状況下においてなされたものであり、ゴム本来の伸張性及び弾力性を阻害することがなく、ゴムの表面に強固に密着することができる樹脂組成物及びこのような樹脂組成物がゴムの表面に積層された積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、合成ゴムのみならず、天然ゴムに対しても、種々の機能を付与することができる樹脂組成物について鋭意研究を重ねた結果、特定のポリオレフィン構造を有する樹脂を含有する樹脂組成物が、意外にもゴムの表面に対して強固に密着し、その樹脂組成物に付与された種々の機能を又はその樹脂組成物によって接着された種々の機能層を、ゴム本来の特性を阻害することなく、長期にわたって付加することができることを見出し、本発明の完成に至った。
つまり、本願は以下の発明を提供する。
〔1〕オレフィン由来の構造単位と、アニオン性官能基を有する構造単位とを有するポリオレフィン系共重合体を含むゴム接着用樹脂組成物。
〔2〕前記アニオン性官能基を有する構造単位が、前記オレフィン由来の構造単位の全重量に対して50重量%以下である上記のゴム接着用樹脂組成物。
〔3〕有機溶剤に溶解した溶液又は水性分散液の形態である上記のゴム接着用樹脂組成物。
〔4〕上記のゴム接着用樹脂組成物を含有するプライマー。
〔5〕上記のゴム接着用樹脂組成物を含有する塗料。
〔6〕ゴム基材と、該ゴム基材の表面に積層された上記のゴム接着用樹脂組成物によって形成されたゴム接着性層とを備える積層体。
〔7〕さらに、前記ゴム接着性層の前記ゴム基材とは反対側の面に積層された機能層を含む上記の積層体。
〔8〕前記ゴム基材は、天然ゴム又は該天然ゴムを含有するゴムである上記の積層体。
〔9〕前記ゴム基材が、エチレンプロピレンゴム又は該エチレンプロピレンゴムを含有するゴムである上記の積層体。
〔10〕前記ゴム接着用樹脂組成物は、前記オレフィン由来の構造単位がポリエチレン由来の構造単位であり、前記アニオン性官能基を有する構造単位がグリシジル(メタ)アクリレート由来の構造単位であるポリオレフィン系共重合体を含む上記の積層体。
〔11〕前記機能層は、フッ素樹脂又はシリコーンゴムを含む上記の積層体。
〔12〕前記機能層は、ウレタン樹脂又はウレタン塗料を含む上記の積層体。
〔13〕前記ゴム接着性層は、0.01〜500μmの厚みを有する上記の積層体。
本発明の樹脂組成物、プライマー及び塗料は、ゴム本来の伸張性及び弾力性を阻害することがなく、ゴムの表面に強固に密着することができる。
また、本発明の積層体は、ゴムの特性を維持しつつ、長期にわたって、強固にゴムの表面に種々の機能が付加された機能層を実現することができる。
<ゴム接着用樹脂組成物>
本発明のゴム接着用樹脂組成物は、オレフィン由来の構造単位と、アニオン性官能基を有する構造単位とを有するポリオレフィン系共重合体を含む。
〔ポリオレフィン系共重合体〕
本発明に用いられるポリオレフィン系共重合体は、オレフィン由来の構造単位と、アニオン性官能基を有する構造単位とを有する。このような共重合体は、ランダム共重合、交互共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等のいずれの重合体であってもよい。
オレフィン由来の構造単位としては、α−オレフィン及び/又は環状オレフィン由来の構造単位、これらα−オレフィン及び/又は環状オレフィン由来の単独重合体由来の構造単位、これら2以上のα−オレフィン及び/又は環状オレフィン由来のランダム又はブロック共重合体由来の構造単位等が挙げられる。またオレフィン由来の構造単位は、ハロゲン化(例えば、塩素化、フッ素化等)したハロゲン化オレフィン由来の構造単位であってもよいし、このような構造単位を含んでいてもよい。
α−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどの炭素数2以上、好ましくは炭素数20以下(より好ましくは炭素数2〜12)のオレフィンが挙げられる。
環状オレフィンとしては、ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−プロピルノルボルネン、5,6−ジメチルノルボルネン、1−メチルノルボルネン、7−メチルノルボルネン、5,5,6-トリメチルノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、5−ベンジルノルボルネン、5−エチリデンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン等が挙げられる。
なかでも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンプロピレン、ポリプロピレンブテン、ポリエチレンブテン等が好ましい。市販されているポリオレフィン樹脂としては種々あるが、中でも結晶性が低い、タフセレン、三井化学のタフマー、ノティオ、出光興産のLモージュ、エクソンモービルのビスタマックス等がある。
特に、オレフィン由来の構造単位において、プロピレンに由来する構造単位を含む場合には、プロピレンに由来する構造単位が、オレフィン由来の構造単位の全重量に対して95重量%以下であることが好ましい。プロピレン由来の構造単位が多く、結晶性が高いと、樹脂組成物が溶剤に溶解しにくい傾向があり、あるいは溶解した場合においても、粘度が高くなる傾向があり、ハンドリングが困難となることがある。また、プロピレンに由来する構造単位と併用される構造単位を適切に反応させて、ポリオレフィン系共重合体に適度に導入することができる。
アニオン性官能基を有する構造単位としては、カルボキシル基、スルホ基及びリン酸基等を有する重合性のアニオン性モノマー及びハロゲン化重合性基等を有するアニオン性モノマーに由来する構造単位が挙げられる。これらは単独で又は2種以上の組み合わせで用いられてもよい。
例えば、マレイン酸、シトラコン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸等の重合性の不飽和基を有するカルボン酸モノマー及びそれらの酸無水物、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、トルイル(メタ)アクリレート、キシリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシ(メタ)アクリレート、2−フェノキシ(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−エトキシプロピル(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレートなかでも、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、メチルアクリレート等のアクリル酸エステルが好ましく、
酢酸ビニル等の不飽和脂肪酸エステル、
塩化ビニル等のハロゲン化重合性モノマー、
スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリル−2−アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等)プロパンスルホン酸等の重合性基を有するスルホン酸モノマー、
片末端がスルホ基(−SO3H)であるポリエチレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル、アリルエーテル、ビニルエーテル、スチリルエーテル(スチリル基は、α位及び/又はβ位が炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン化アルキル基で置換されていてよく、芳香環上に炭素数1〜20のアルキル基を有していてもよい。ポリエチレングリコールの水素は、炭素数1〜18のアルキル基で置換されていてもよい。)
ビニルホスホン酸、(メタ)アクリロイルオキシアルキル((例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等)リン酸等の重合性の不飽和基を有するリン酸モノマー等が挙げられる。
上記において、重合性基は、ビニル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等が挙げられ、これら重合性基を有するモノマーを重合性モノマーという。
なかでも、マレイン酸、無水マレイン酸、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ブチルアクリレートを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
ポリオレフィン系共重合体は、オレフィン由来の構造単位及びアニオン性官能基を有する構造単位以外に、共重合可能なモノマーに由来する構造単位を含んでいてもよい。
例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類、
ジアリルフタレート、ジアリルマレート等のポリアリル化合物;
ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート等の不飽和アルコールの(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
特に、オレフィン由来の構造単位と、アニオン性官能基を有する構造単位との組み合わせとしては、(1)エチレン又はエチレン由来の構造単位と、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、無水マレイン酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、エチルアクリレート又はエチルメタクリレートを有する構造単位との組み合わせ、(2)プロピレン又はプロピレン由来の構造単位と、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、無水マレイン酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、エチルアクリレート又はエチルメタクリレートを有する構造単位との組み合わせ、(3)エチレン、プロピレン及び/又はブテン由来の構造単位と、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、無水マレイン酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、エチルアクリレート又はエチルメタクリレートを有する構造単位との組み合わせ、(4)プロピレン又はプロピレン由来の構造単位と、エチレン及び/又は1−ブテン由来の構造単位と、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、無水マレイン酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、エチルアクリレート又はエチルメタクリレートを有する構造単位との組み合わせ等が好ましい。
ポリオレフィン系共重合体は、例えば、重量平均分子量Mwが、1,000〜1000,000程度が挙げられ、3,000〜800,000、10,000〜500,000、30,000〜200,000程度が好ましい。重量平均分子量Mwを好範囲とすることにより、ゴムへの密着性を確保することができ、溶液形態の場合は適度な粘度に調整することが容易となる。重量平均分子量Mwは、GPC法で測定することが可能であり、例えば、市販の装置を用いて、オルトジクロロベンゼンなどを溶媒として、標準ポリスチレン換算の値として得ることができる。
ポリオレフィン系共重合体におけるオレフィン由来の構造単位と、アニオン性官能基を有する構造単位との割合は、例えば、アニオン性官能基を有する構造単位が、構造単位の全重量に対して50重量%以下であることが好ましく、0.1〜40重量%、0.3〜35重量%、0.5〜35重量%であることがより好ましい。アニオン性官能基を有する構造単位が少なすぎると、樹脂組成物が溶剤に溶解しにくく、あるいは溶解した場合においても、粘度が高くなりハンドリングが困難となる。また、このような範囲であれば、オレフィン由来の構造単位に対して適切に反応させて、ポリオレフィン系共重合体に確実にアニオン性官能基を有する構造単位導入することができる。特に、オレフィン由来の構造単位がエチレンに由来する構造単位である場合、0.1〜50重量%、10〜40重量%であることが好ましく、0.3〜35重量%、0.3〜15重量%がより好ましい。オレフィン由来の構造単位がプロピレンに由来する構造単位を含む場合、0.1〜25重量%が好ましく、0.2〜15重量%がより好ましい。
ポリオレフィン系共重合体が、共重合可能なモノマーに由来する構造単位を含む場合には、この共重合可能なモノマーに由来する構造単位は、オレフィンに由来する構造単位の50重量%以下であることが好ましく、45重量%以下、40重量%以下又は35重量%以下であることがより好ましい。
ポリオレフィン系共重合体は、当該分野で公知の方法及び条件等を利用して適宜調製することができる。
〔その他の成分〕
本発明のゴム接着用樹脂組成物は、意図する効果を損なわない範囲で、さらに、架橋剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、触媒、光触媒、紫外線硬化剤、帯電防止剤、レベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、顔料又は染料、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等の接着剤等の分野で公知の添加剤をさらに含んでいてもよい。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
架橋剤としては、例えば、ヒドラジド化合物、イソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基含有化合物、ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤、有機過酸化物等が挙げられる。
また、樹脂の硬度、伸度、耐薬品、耐熱性を向上させるなどを目的として、ポリオレフィン系共重合体以外の他の樹脂を含んでいてもよい。他の樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル共重合体、エチレン−アミノアクリルアミド共重合体、エチレン−アミノアクリレート共重合体、ポリ塩化ビリニデン、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−アミノアルキルマレイミド共重合体、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン系エラストマー、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、変性ナイロン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレンイミン、紫外線硬化型樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明のゴム接着用樹脂組成物は、そのままの形態で利用することができるが、ポリオレフィン系共重合体等を有機溶剤に溶解した溶液又は微小な粒子状の形態にて水に分散させた水性分散液として用いることが好ましい。適度な粘度に調製することが容易であり、ハンドリング性を向上させるという観点から、例えば、溶液の形態では、ポリオレフィン系共重合体の濃度は、1〜50重量%が好ましく、2〜45重量%がより好ましい。また、水性分散液の形態では、固形分濃度が25〜75重量%の範囲のものが好ましい。合成樹脂の平均粒径は、例えば、0.1〜10μm程度が挙げられ、0.1〜数μm程度が好ましい。
溶液の形態で使用される有機溶媒としては、例えば、キシレン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、イソオクタン、イソデカン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のエステル系;シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール等のエーテル系;イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいが、2種以上の混合物として用いてもよい。
なかでも、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが好ましく、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、シクロヘキサンがより好ましい。
ゴム接着用樹脂組成物の水性分散液とは、水、あるいは、有機物及び/又は無機物の水溶液中に樹脂が分散したものが挙げられる。
このゴム接着用樹脂組成物の水性分散液は、さらに添加剤をさらに含んでいてもよい。添加剤としては、分散剤、粘性調整剤、合成樹脂を架橋するための架橋剤等が挙げられる。
分散剤としては、アニオン性、非イオン性、両性界面活性剤、保護コロイド等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、高級カルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルへフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネート塩等が例示できる。非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシアルキレンアルキルエステルポリオキシアルキルエーテル等が例示できる。
保護コロイドとしては、カゼイン、レシチン、ポリビニルアルコール、セルロース、変性セルロース、変性澱粉などが挙げられる。
粘性調整剤としては、ベンナイト系、超微粉シリカ系、ケイ酸塩系のような無機系粘性調整剤・増粘剤、ポリアマイドワックス系、ウレタン変性ポリエーテル系、ポリアクリル酸系、アクリル酸共重合物系、アクリル酸エステル共重合物系、繊維素誘導体系、ポリエチレンオキサイド系、増粘多糖類系、ポリビニルアルコール系のような有機系粘性調整剤・増粘剤等が挙げられる。
架橋剤としては、例えば、イソシアネート系、カルボジイミド系、オキサゾリン系、シランカップリグ剤系等の架橋剤が挙げられる。
さらに、本発明のゴム接着用樹脂組成物は、フィラーが添加されていてもよい。そのままの形態に添加してもよいし、溶液の形態また、水性分散液の形態に添加してもよい。フィラーとしては、例えば、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン等の金属微粒子、金属酸化物、炭酸カルシウム、シリカ、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、雲母、タルク、擬ベーマイト、アルミナ、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化イットリウムなどの無機微粒子等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
フィラーの添加量は、例えば、ポリオレフィン系共重合体100質量部に対して0.01〜50質量部の範囲が挙げられ、0.1〜30質量部の範囲が好ましく、0.2〜10質量部の範囲がさらに好ましい。
〔形態〕
本発明のゴム接着用樹脂組成物は、上述した使用時においては溶液又は水性分散液の形態であることが好ましいが、その機能を発揮するために、板状、フィルム状、シート状、テープ状、ラベル状のいずれの形態をも採ることができる。
〔用途〕
本発明のゴム接着用樹脂組成物は、ゴム基材本来の特性を損なうことなく、つまり、ゴムの伸張性及び弾力性を損なわず、ゴムの伸縮に追随し、長期にわったって、ゴム基材の表面に強固に密着することができる。従って、種々の用途に使用することができる。
例えば、ゴム基材に対する接着剤、プライマー、コート材、シール剤、塗料等として用いることができる。また、ゴム基材に積層層として配置して、ゴム基材に種々の機能性を付与することができる。ゴム基材に付与する機能としては、例えば、摺動性、撥水性、撥油性、防汚性、帯電防止機能、表面保護機能、シール性、装飾性、耐光性、耐候性、耐溶剤性等が挙げられる。従って、日用品、自動車部品、鉄道車両部品、航空機部品、建設機械部品、建造物部品等の種々の用途に適用することができる。なかでも、自動車のウェザーストリップ(窓枠用ゴム)、ホース、パッキン、ガスケット、ダイヤフラム、緩衝材等として好適に使用することができる。
ゴムとしては、天然ゴム又は天然ゴムを含有するゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、オレフィン系エラストマー、クロロプレンゴム、プチルゴム、ポリエステル系エラストマー、エチレンプロピレンゴム、ウレタン系エラストマー、ウレタンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、シリコーンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム等が挙げられる。これらのゴムは、加硫されたもの、水添スチレン系エラストマーのように水素添加されたものであってもよく、カーボンブラック、シリカ、水酸化アルミ等の充填剤、加硫促進剤、老化防止剤、軟化剤などの添加剤が添加されたものであってもよい。なかでも、天然ゴム又は天然ゴムを含有するゴム、特に、加硫した天然ゴム、加硫した天然ゴムを含有するゴムに対して、密着性を強固に確保することができる。
また、本発明のゴム接着用樹脂組成物は、ゴム基材のみならず、種々の被着体にも密着することができる。例えば、鉄、アルミニウム、銅、銀、金、亜鉛等の金属;ポリプロピレン又はポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46などのポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレートポリエチレンサクシネート、ポリグリコール酸、ポリ乳酸などのポリエステル樹脂;ポリイミド、スーパーエンジニアリングプラスチック、ABS、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩素化塩化ビニル樹脂、ポリウレタン、フッ素樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂等の単独の又は2種以上の混合の樹脂;ウレタン塗料、アクリル塗料、フッ素塗料、シリコン塗料、メラミン塗料等の塗料又はコーティング剤;ガラス、木材、紙、合成紙等が挙げられる。これらは、フィルム、シート、繊維、不職布等、用途によって必要な形態のものを用いることができる。
<積層体>
本発明及び積層体は、ゴム基材と、このゴム基材の表面に積層されたゴム接着性層とを備える。ゴム接着性層は、ゴムに接着性を有することを意味し、上述したゴム接着用樹脂組成物によって形成される。
ここで、ゴム接着性層は、上述したように、種々の被着体にも密着することができるため、ゴム基材の表面に被着体を密着させるために接着剤層、プライマー層等として配置することが好ましい。接着剤層及び/又はプライマー層は、単層であってもよいし、多層であってもよい。また、上述したように、種々の機能を付与するための機能層として又は機能層を密着させるために配置することができる。さらに、接着剤層、プライマー層等に機能を備えた物質(例えば、顔料、撥水剤、フィラー等)を配合し、塗料として塗工乾燥して多層化してもよい。
ゴム基材としては、どのような形状のものでもよく、シート状、チューブ状、押出し成形品状、射出成形品状、ラテックス浸漬成形品状等が挙げられる。ゴム基材の厚みは、使用する用途によって適宜調整することができ、数μmから数mが挙げられ、好ましくは50μm〜50cmである。
積層体は、(i)ポリオレフィン系共重合体を含むゴム接着性樹脂組成物を有機溶剤に溶解した後、または、ポリオレフィン系共重合体を含むゴム接着性樹脂組成物を水性分散液の形態とした後、ゴム基材に塗布し、乾燥する方法、(ii)ゴム接着性樹脂組成物をフィルム、シート状に加工した後に、ゴム基材と貼り合わせる方法、(iii)ゴム基材上にゴム接着性樹脂組成物を押出す方法、(iv)ゴム接着性樹脂組成物を別の基材に積層した後に、この積層体をゴム基材と貼り合わせる方法などが挙げられる。なかでも、(i)が好ましい。
ゴム接着性樹脂組成物の溶液又は水性分散液をゴム基材に塗布する方法としては、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り等の公知の方法が挙げられる。
乾燥は、自然乾燥、風乾等の非熱乾燥、あるいは、通常の熱風循環型のオーブン、赤外線又は遠赤外線ヒーターを用いた乾燥、電磁波照射装置又は電子レンジ等を使用する乾燥等の熱乾燥により行うことができる。例えば、加熱温度は、30〜250℃が好ましく、60〜200℃がより好ましく、80〜170℃がさらに好ましい。加熱時間は、1秒〜60分間程度が好ましく、1分〜50分間程度がより好ましく、2分〜40分間程度がさらに好ましい。
また、積層体を形成する場合、両者の密着性を確保するために加圧を行ってもよい。
積層体におけるゴム接着性層は、用いる用途等により、その厚みを適宜調整することができる。例えば、0.01〜500μm程度が好ましく、0.1〜200μm程度がより好ましく、1〜100μm程度がさらに好ましい。
積層体は、ゴム接着性層のゴム基材とは反対側の面に積層された機能層を有することが好ましい。機能層は、単層構造及び多層構造のいずれでもよい。機能層は、上述したように、摺動性、撥水性、撥油性、防汚性、帯電防止機能、表面保護機能、シール性、装飾性、耐光性、耐候性、耐溶剤性等が挙げられる。
機能層を構成する材料としては、上述した硬度、伸度、耐薬品及び/又は耐熱性を向上させるために例示した樹脂、上述した被着体を構成する材料等が挙げられる。なかでも、フッ素樹脂又はシリコーンゴム、ウレタン樹脂又はウレタン塗料が好ましい。
機能層は、ゴム接着性層に対面及び接触させて、熱プレス、ヒートロール、真空プレス等、公知の方法に貼り付け方法により、密着させることができる。
以下に、本発明の樹脂組成物及び積層体を、実施例によって具体的に説明する。
製造例1:天然ゴム板の製造
天然ゴム50部、ブタジエンゴム50部、カーボンブラック50部、ステアリン酸2部、マイクロクリスタリンワックス1.5部、TDAEオイル10部を、バンバリーミキサーを用いて120℃設定で混練し、シートを作成した。得られたシートに、亜鉛華3部、硫黄1.5部、加硫促進剤NS0.8部を加えて、ロールを用いて60℃設定で混練した。加硫条件は145℃にて25〜30分間としてゴム板を成型した。得られたゴム板の厚みは2mmであった。
製造例2:接着性ポリオレフィン系樹脂溶液Aの製造
還流管が付いたセパラブルフラスコにエチレン共重合体A(エチレン/アクリル酸エチル/無水マレイン酸=69.7重量部/29重量部/1.3重量部 MFR 32 (190℃ 2.16kgf、10min))40g、メチルシクロヘキサン288gを入れて80℃に加温し、撹拌して溶解させた。その後、80℃にて攪拌を続け、1時間後に撹拌しながら酢酸エチル72gを少量ずつ添加した。添加後、撹拌しながら室温まで放冷し、接着性ポリオレフィン系樹脂溶液Aを得た。
製造例3:接着性ポリオレフィン系樹脂溶液Bの製造
還流管が付いたセパラブルフラスコにエチレン共重合体B(エチレン/グリシジルメタクリレート/メチルアクリレート=67重量部/6重量部/27重量部 MFR7(190℃ 2.16kgf、10min))40g、メチルシクロヘキサン360gを入れて80℃に加温し、撹拌して溶解させた。その後、80℃にて攪拌を続け、1時間後に撹拌しながら室温まで放冷し、接着性ポリオレフィン系樹脂溶液Bを得た。
製造例4:接着性ポリオレフィン系樹脂溶液Cの製造
還流管が付いたセパラブルフラスコにポリプロピレン系樹脂C(プロピレン−1−ブテン共重合体(プロピレン89.5部、1−ブテン10.5部)の無水マレイン酸変性物(ポリプロピレン系樹脂99部に対して無水マレイン酸1部)60g、メチルシクロヘキサン272gを入れて90℃に加温し、撹拌させて溶解させた。その後、90℃にて撹拌を続け、1時間後に撹拌しながら酢酸エチル68gを少量ずつ添加した。添加後、撹拌しながら室温まで放冷し、接着性ポリオレフィン系樹脂溶液Cを得た。
製造例5:接着性ポリオレフィン系樹脂溶液Dの製造例
還流管が付いたセパラブルフラスコにポリプロピレン系樹脂D(プロピレン−1−ブテン共重合体(プロピレン89.5部、1−ブテン10.5部)の無水マレイン酸変性物(プロピレン−1ブテン共重合体の樹脂99部に対して無水マレイン酸1部)50重量部、エチレン−プロピレン共重合体(エチレン9部、プロピレン91部)の無水マレイン酸変性物(エチレンープロピレン共重合体99部に対して無水マレイン酸1部)50重量部60g、メチルシクロヘキサン272gを入れて90℃に加温し、撹拌させて溶解させた。その後、90℃にて撹拌を続け、1時間後に撹拌しながら室温まで放冷し、接着性ポリオレフィン系樹脂溶液Dを得た。
製造例6:アニオン性ポリオレフィン系樹脂水性分散液の製造例
攪拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた3000mlセパラフラスコ
に、DSC融解ピーク温度72℃、重量平均分子量40,000のポリオレフィン200g、DSC融解ピーク温度78℃、重量平均分子量370,000のポリオレフィン800g、を仕込み、窒素雰囲気下、200℃に保たれたオイルバス中で溶融を行い、攪拌を行いながら系内が180℃になるようにオイルバスの温度を調整した。系内が溶融した後、攪拌を行い均一な状態としながら、無水マレイン酸60gとアクリル酸2エチルヘキシル120g、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート20gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100gに溶解させた混合液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、180℃で2時間熟成反応を行った後、アスピレーターでフラスコ内を10mmHgに減圧しながら、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、未反応の無水マレイン酸、アクリル酸2エチルヘキシル、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネートおよびt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネートの分解化合物の除去を2時間行った後、反応物を取り出し、冷却することで、淡黄色の変性ポリオレフィン系樹脂Xを得た。得られた変性ポリオレフィン系樹脂Xの重量平均分子量は80,000、無水マレイン酸のグラフト率は5.9%であった。
ポリオレフィン系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂の分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー株式会社製:HLC−8120GPC、展開溶媒THF、標準物質ポリスチレン)を用いて測定した。
DSC融解ピーク温度は、示差走査熱量計(DSC)(セイコーインスツル株式会社製:DSC22)を用いて、昇温プログラム中に検知される主吸熱ピーク温度をDSC融解ピーク温度とした。
変性ポリオレフィン系樹脂のグラフト率は、変性ポリオレフィン系樹脂5gをキシレン100gに加熱溶解後、アセトン500gに投入し、析出物を濾過、乾燥して得られた変性ポリオレフィン系樹脂の精製物について、H−NMR(Varian Inova社製 400MHz)測定を行い、無水マレイン酸のグラフト量を求め、原料ポリオレフィン100gあたりのグラフト重量(g)をグラフト率とした。
次に、攪拌機、温度計、還流冷却器を備えた1000mlセパラフラスコに、製造例1で得られた変性ポリオレフィン系樹脂X 100gを仕込み、オイルバスにて系内が130℃になるように昇温し、内容物を熱溶融した。これに、2−メチル−2−アミノプロパノール90%水溶液6g、イソプロパノール20gを添加した後、強く攪拌しながら、80℃のイオン交換水を少量ずつ加えた。粘度は上昇したが、そのまま水を加え続けると粘度は低下した。水を250g加えたところで内容物を取り出し、乳白色のアニオン性ポリオレフィン系樹脂水性分散液Eを得た。得られた変性ポリオレフィン系樹脂水性分散液の不揮発分は30重量%、50%粒子径は120μmであった。
水性分散液の50%粒子径は、動的光散乱法/レーザードップラー法による粒度分布測定装置(日機装株式会社製:マイクロトラック UPA150)により測定し、D50の値を50%粒子径とした。
製造例7:カチオン性ポリオレフィン系樹脂水性分散液の製造例
3000mlセパラフラスコに撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を設置し、市販のポリオレフィン系樹脂であるクラリアント製リコセンPP1502(プロピレン−エチレン系樹脂)を500g、ソルビトールを0.5g仕込み、オイルバスに浴し、溶融させた。リコセンPP1502の溶融を確認した後、攪拌しながら無水マレイン酸60g、2−エチルヘキシルアクリレート120g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート75g、ジ−t−ブチルパーオキサイド5gの混合溶液を滴下し、グラフト重合反応を行った。反応終了後、アスピレーターでフラスコ内を10mmHg以下に減圧しながら撹拌し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、未反応の無水マレイン酸、ジ−t−ブチルパーオキサイドおよびジ−t−ブチルパーオキサイドの分解化合物を留去した。反応物を取り出し、冷却することで、黄色の変性ポリオレフィン系樹脂Yを得た。
次に、500mLの3つ口フラスコに、上記で得られた変性ポリオレフィン系樹脂Yを60g仕込み、フラスコの内温を120℃まで昇温し、変性ポリオレフィン系樹脂Yを溶融させた。系内にポリアミン類としてジメチルアミノプロピルアミンを10.9g投入し、フラスコ内温を140℃まで昇温し、30分間保持した。さらに、10mmHg以下に減圧し、撹拌した状態で、140℃×30分間保った。その後、常圧に戻し、更にフラスコ内温を120℃まで下げた。そこに氷酢酸5g、イオン交換水132gを投入し、80℃で1時間撹拌することで、カチオン性ポリオレフィン系樹脂水性分散液(1)を得た。カチオン性ポリオレフィン系樹脂水性分散液(1)は、不揮発分が37%、粘度が60mPa・s、pH4.5、平均粒子径が0.03μmであった。
カチオン性ポリオレフィン系樹脂水性分散液の粘度は、BL形回転粘度計で、ローター回転数が60回転/分の条件で測定した粘度である。
カチオン性ポリオレフィン系樹脂水性分散液(1)の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法による粒度分布測定装置堀場製作所製LA−950V2を用いて測定した体積平均径である。
実施例1
基材として製造例1の方法にて得られた天然ゴム板を用いた。
製造例2で得られた接着性ポリオレフィン系樹脂溶液Aを基材上に塗布し、積層体を作成した。
接着性ポリオレフィン系樹脂溶液Aの塗布に当たっては、6milのアプリケータを用いて基材に塗工した後、30分室温にて放置して乾燥させた。その後、100℃のオーブンにて、基材を30分加熱し、室温に冷却した。得られた接着性ポリオレフィン系樹脂層の厚みは、約15μmであった。
実施例2
基材として製造例1の方法にて得られた天然ゴム板を用いた。
製造例3で得られた接着性ポリオレフィン系樹脂溶液Bを、実施例1と同様の方法にて、基材上に塗布、乾燥及び加熱を実施し、積層体を作成した。
実施例3
基材として製造例1の方法にて得られた天然ゴム板を用いた。
製造例1で得られた接着性ポリオレフィン系樹脂溶液Aを用いて、実施例1と同様の方法にて、基材上に塗布、乾燥及び加熱を実施して積層体を作成した。
積層体を室温に冷却した後、さらに、フッ素樹脂コーティング材(AGCコーテック社製「オブリガートSW0011F」)を、接着性ポリオレフィン系樹脂層の乾燥面に塗布した。さらに、得られた基材を、100℃のオーブンで30分加熱し、3層構造の積層体を作成した。得られた積層体において、フッ素樹脂コーティング層の厚みは、約30μmであった。
実施例4
基材として製造例1の方法にて得られた天然ゴム板を用いた。
製造例2で得られた接着性ポリオレフィン系樹脂溶液Aを用いて、実施例1と同様の方法にて、基材上に塗布、乾燥及び加熱を実施して積層体を作成した。
積層体を室温に冷却した後、さらに、フッ素樹脂コーティング材(AGCコーテック社製「ボンフロン水性UVカットクリヤー」)を、接着性ポリオレフィン系樹脂層の乾燥面に塗布した。さらに、得られた基材を、100℃のオーブンで30分加熱し、3層構造の積層体を作成した。得られた積層体において、フッ素樹脂コーティング層の厚みは、約30μmであった。
実施例5
基材として製造例1の方法にて得られた天然ゴム板を用いた。
製造例3で得られた接着性ポリオレフィン系樹脂溶液Bを用いて、実施例1と同様の方法にて、基材上に塗布、乾燥及び加熱を実施して積層体を作成した。
積層体を室温に冷却した後、さらに、フッ素樹脂コーティング材(AGCコーテック社製「ボンフロン水性UVカットクリヤー」)を、接着性ポリオレフィン系樹脂層の乾燥面に塗布した。さらに、得られた基材を、100℃のオーブンで30分加熱し、3層構造の積層体を作成した。得られた積層体において、フッ素樹脂コーティング層の厚みは、約30μmであった。
実施例6
基材としてエチレンプロピレンゴム板(「EPT板−M板<65>」タイガースポリマー社製)を用いた。
製造例4で得られた接着性ポリオレフィン系樹脂溶液Cを用いて、実施例1と同様の方法にて、基材上に塗布、乾燥及び加熱を実施して積層体を作成した。
実施例7
基材としてエチレンプロピレンゴム板(「EPT板−M板<65>」タイガースポリマー社製)を用いた。
製造例5で得られた接着性ポリオレフィン系樹脂溶液Dを用いて、実施例1と同様の方法にて、基材上に塗布、乾燥及び加熱を実施して積層体を作成した。
実施例8
基材としてエチレンプロピレンゴム板(「EPT板−M板<65>」タイガースポリマー社製)を用いた。
製造例4で得られた接着性ポリオレフィン系樹脂溶液Cを用いて、実施例1と同様の方法にて、基材上に塗布、乾燥及び加熱を実施して積層体を作成した。
積層体を室温に冷却した後、さらに、一液型シリコ−ンゴム(「KE−45T」、信越シリコーン社製)を、接着性ポリオレフィン系樹脂層の乾燥面に、テフロン(登録商標)棒の両端にガムテープを巻きつけたものを使用して、0.2mmの厚みになるように塗布し、さらにその上にSUS製の100メッシュの金網を貼り付け、1週間室温にて放置して、積層体を作成した。
実施例9
基材としてエチレンプロピレンゴム板(「EPT板−M板<65>」タイガースポリマー社製)を用いた。
製造例5で得られた接着性ポリオレフィン系樹脂溶液Dを用いて、実施例1と同様の方法にて、基材上に塗布、乾燥及び加熱を実施して積層体を作成した。
積層体を室温に冷却した後、さらに、一液型シリコ−ンゴム(「KE−45T」、信越シリコーン社製)を、接着性ポリオレフィン系樹脂層の乾燥面に、テフロン(登録商標)棒の両端にガムテープを巻きつけたものを使用して、0.2mmの厚みになるように塗布し、さらにその上にSUS製の100メッシュの金網を貼り付け、1週間室温にて放置して、積層体を作成した。
実施例10
基材としてエチレンプロピレンゴム板(「EPT板−M板<65>」タイガースポリマー社製)を用いた。
製造例6で得られたアニオン性ポリオレフィン系樹脂水性分散液Eを用いて、実施例1と同様の方法にて、基材上に塗布、乾燥及び加熱を実施して積層体を作成した。
アニオン性接着性ポリオレフィン系樹脂水性分散液Eの塗布は、No.12のバーコータを用い、基材に塗工した後、2時間室温にて放置して乾燥させた。その後、100℃のオーブンにて、30分間加熱し、室温に冷却した。
実施例11
基材としてエチレンプロピレンゴム板(「EPT板−M板<65>」タイガースポリマー社製)を用いた。
実施例10にて作成した積層体上に、大橋化学工業株式会社製2液型アクリルウレタン塗料、ポリナールNo.800をスプレー塗装した。塗料は、ポリナールNo.800主剤 300g、ポリナールNo.800硬化剤E−70 60g、シンナーNo.7400 180gを混合し、約10分後に塗装に用いた(いずれも大橋化学工業株式会社製)。塗装後、室温にて1時間乾燥した後、オーブンにて50℃で5分さらに80℃で15分熱処理を実施し、積層体を作成した。アクリルウレタン塗装膜の厚さは10μmであった。
比較例1
基材として製造例1の方法にて得られた天然ゴム板を用いた。
接着性ポリオレフィン系樹脂として、製造例7のカチオン性ポリオレフィン系樹脂水性分散液(1)を用いた。このカチオン性ポリオレフィン系樹脂水性分散液(1)を、基材上に塗布し、積層体を作成した。
カチオン性ポリオレフィン系樹脂水性分散液(1)の塗布は、No.12のバーコータを用い、基材に塗工した後、2時間室温にて放置して乾燥させた。その後、100℃のオーブンにて、30分間加熱し、室温に冷却した。
比較例2
基材として製造例1の方法にて得られた天然ゴム板を用いた。
接着性樹脂として、SBRラテックス(水系スチレン・ブタジエンゴム分散液(2)、日本エイアンドエル社製を、比較例1と同様に、基材上に塗布し、乾燥、加熱を行い、積層体を作成した。
比較例3
基材として製造例1の方法にて得られた天然ゴム板を用いた。
接着性樹脂として、NBRラテックス(水系アクリロニトリル・ブタジエンラテックス分散液(3)、日本エイアンドエル社製)を、比較例1と同様に、基材上に塗布し、乾燥、加熱を行い、積層体を作成した。
比較例4
基材としてエチレンプロピレンゴム板(「EPT板−M板<65>」タイガースポリマー社製)を用いた。
接着性樹脂は用いずに、実施例8と同様に、一液型シリコ−ンゴム(「KE−45T」、信越シリコーン社製)を基材上に塗布し、さらに金網をその上に貼り付けて積層体を作成した。
比較例5
基材としてエチレンプロピレンゴム板(「EPT板−M板<65>」タイガースポリマー社製)を用いた。
接着性樹脂は用いずに、実施例11と同様に、アクリルウレタン塗料をスプレー塗装、乾燥、加熱処理を実施し、積層体を作成した。
密着性の評価
実施例及び比較例で得られた積層体の密着性を測定した。
密着性の測定は、JIS K 5400に記載されている碁盤目剥離試験の方法に準じて行った。まず、積層体に碁盤目を付けた試験片を作成し、セロハンテープ(ニチバン社製、「LP−18」)を碁盤目上に貼り付けた後、セロハンテープを90°方向に速やかに剥離させ、碁盤目100マス中、樹脂層が剥離しなかったマス数にて評価した。その結果を表1に示す。表1において、密着性は、残マス数/碁盤目数が90〜100/100を丸、70〜89/100を三角、30〜69/100をバツ、0〜29/100をダブルバツと表わした。
剥離強度の評価
実施例及び比較例で得られた積層体の剥離強度を測定した。
まず、実施例及び比較例で得られた積層体を5cmの幅に切断し、基材と金網との180°剥離試験を実施した。剥離試験は、島津製作所製小型卓上試験機EZ−Lを用い、200mm/minの剥離速度にて実施した。
本発明のゴム接着性樹脂組成物は、全てのゴムに対して強固な密着層を形成するために利用することができる。

Claims (13)

  1. オレフィン由来の構造単位と、アニオン性官能基を有する構造単位とを有するポリオレフィン系共重合体を含むゴム接着用樹脂組成物。
  2. 前記アニオン性官能基を有する構造単位が、前記オレフィン由来の構造単位の全重量に対して50重量%以下である請求項1に記載のゴム接着用樹脂組成物。
  3. 有機溶剤に溶解した溶液又は水性分散液の形態である請求項1又は2に記載のゴム接着用樹脂組成物。
  4. 請求項1から3のいずれか1つに記載のゴム接着用樹脂組成物を含有するプライマー。
  5. 請求項1から3のいずれか1つに記載のゴム接着用樹脂組成物を含有する塗料。
  6. ゴム基材と、該ゴム基材の表面に積層された請求項1から3のいずれか1つに記載のゴム接着用樹脂組成物によって形成されたゴム接着性層とを備える積層体。
  7. さらに、前記ゴム接着性層の前記ゴム基材とは反対側の面に積層された機能層を含む請求項6に記載の積層体。
  8. 前記ゴム基材は、天然ゴム又は該天然ゴムを含有するゴムである請求項6又は7に記載の積層体。
  9. 前記ゴム基材が、エチレンプロピレンゴム又は該エチレンプロピレンゴムを含有するゴムである請求項6又は7に記載の積層体。
  10. 前記ゴム接着用樹脂組成物は、前記オレフィン由来の構造単位がポリエチレン由来の構造単位であり、前記アニオン性官能基を有する構造単位がグリシジル(メタ)アクリレート由来の構造単位であるポリオレフィン系共重合体を含む請求項6から9のいずれか1つに記載の積層体。
  11. 前記機能層は、フッ素樹脂又はシリコーンゴムを含む請求項6から10のいずれか1つに記載の積層体。
  12. 前記機能層は、ウレタン樹脂又はウレタン塗料を含む請求項6から10のいずれか1つに記載の積層体。
  13. 前記ゴム接着性層は、0.01〜500μmの厚みを有する請求項6から12いずれか1つに記載の積層体。


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