JP2016186849A - 放電灯駆動装置、光源装置、プロジェクター、および放電灯駆動方法 - Google Patents

放電灯駆動装置、光源装置、プロジェクター、および放電灯駆動方法 Download PDF

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Abstract

【課題】放電灯を点灯させる際に、素子の損傷を抑制しつつ、点灯性が低下することを抑制できる放電灯駆動装置を提供する。
【解決手段】本発明の放電灯駆動装置の一つの態様は、放電灯に接続された共振回路部と、直流電力を交流電力に変換し、交流電力を共振回路部を介して放電灯に供給する電力変換部と、放電灯が定常点灯状態に至るまでの点灯始動期間において、第1周波数と、第1周波数よりも高い第2周波数と、を有する交流電力を放電灯に供給する制御部と、を備え、第1周波数は、共振回路部の共振を起こさせる周波数であり、第2周波数は、準共振周波数であることを特徴とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、放電灯駆動装置、光源装置、プロジェクター、および放電灯駆動方法に関する。
例えば、特許文献1に示すように、放電ランプの放電を開始させる高電圧を得るために共振回路が備えられたプロジェクターが知られている。このようなプロジェクターでは、放電ランプを点灯させる際、放電ランプに供給される交流電力の周波数を共振回路の共振周波数に合わせることにより高電圧を得ることができる。
特開2007−27145号公報
ところで、共振回路のインダクタンス成分や容量成分には個体差や経年変化が存在する。このため、放電ランプ(放電灯)を点灯させる際に共振回路に供給される交流電力の周波数を固定すると、共振が起こらずに、結果として放電ランプが点灯しない場合が起こり得る。このような問題を回避するため、特許文献1に開示された技術では、放電ランプに供給される交流電力の周波数を共振周波数に向けて単調に増加させることにより、点灯の都度、実際の共振周波数を探し出している。
しかし、この方法においては、放電ランプが点灯するまでの間、交流電力の周波数が共振周波数に近い状態が継続する。そのため、共振回路内の電圧および電流が大きくなり、共振回路における発熱が大きくなる。これにより、放電灯ランプの駆動装置の素子が損傷する虞があった。
上記問題点に対して、例えば、交流電力の周波数を共振周波数から離れた値とする期間を設け、共振回路内の電圧および電流を小さくする方法が考えられる。しかし、共振回路内の電圧が低すぎると、交流電力の周波数を共振周波数から離れた値とする期間において放電ランプが消灯した場合、放電ランプが再点灯されにくい。そのため、放電ランプの点灯性が低下する問題があった。
本発明の一つの態様は、上記問題点に鑑みて成されたものであって、放電灯を点灯させる際に、素子の損傷を抑制しつつ、点灯性が低下することを抑制できる放電灯駆動装置、そのような放電灯駆動装置を備える光源装置、およびそのような光源装置を備えるプロジェクターを提供することを目的の一つとする。また、本発明の一つの態様は、放電灯を点灯させる際に、素子の損傷を抑制しつつ、点灯性が低下することを抑制できる放電灯駆動方法を提供することを目的の一つとする。
本発明の放電灯駆動装置の一つの態様は、放電灯に接続された共振回路部と、直流電力を交流電力に変換し、前記交流電力を前記共振回路部を介して前記放電灯に供給する電力変換部と、前記放電灯が定常点灯状態に至るまでの点灯始動期間において、第1周波数と、前記第1周波数よりも高い第2周波数と、を有する前記交流電力を前記放電灯に供給する制御部と、を備え、前記第1周波数は、前記共振回路部の共振を起こさせる周波数であり、前記第2周波数は、準共振周波数であることを特徴とする。
本発明の放電灯駆動装置の一つの態様によれば、共振回路部の共振を起こさせる第1周波数と、第1周波数よりも高く準共振周波数である第2周波数と、を有する交流電力が放電灯に供給される。そのため、共振回路部に掛かる負荷、すなわち共振回路部内の電圧および電流を、第1周波数を有する交流電力が放電灯に供給されるよりも小さくできる。これにより、共振回路部の発熱を小さくでき、放電灯駆動装置の素子が損傷することを抑制できる。
また、第2周波数を有する交流電力が放電灯に供給されることで、共振回路部が準共振状態となるため、共振状態に比べれば小さいものの、共振回路部内の電圧を比較的大きくできる。これにより、放電灯が消灯した場合であっても、放電灯を再点灯しやすく、結果として放電灯の点灯性が低下することを抑制できる。
以上により、本発明の放電灯駆動装置の一つの態様によれば、放電灯を点灯させる際に、放電灯駆動装置の素子の損傷を抑制しつつ、点灯性が低下することを抑制できる。
前記点灯始動期間は、前記第1周波数を有する第1交流電力が前記放電灯に供給される第1期間と、前記第2周波数を有する第2交流電力が前記放電灯に供給される第2期間と、を交互に有する構成としてもよい。
この構成によれば、共振回路部内の電圧がピーク電圧となる期間を断続的に設けることができるため、共振回路部の負荷をより小さくできる。
前記点灯始動期間は、第1点灯始動期間と、時間的に前記第1点灯始動期間の後に設けられる第2点灯始動期間と、を有し、前記第1点灯始動期間は、前記第1周波数以上である第3周波数を有する第3交流電力が前記放電灯に供給される第3期間と、前記第2周波数よりも高い第4周波数を有する第4交流電力が前記放電灯に供給される第4期間と、を交互に有し、前記第2点灯始動期間は、前記第1期間と、前記第2期間と、を交互に有し、前記3周波数は、前記第4周波数よりも低く、かつ、段階的に変化する構成としてもよい。
この構成によれば、共振回路部の個体差によって共振周波数がばらつく、あるいは、共振回路部の劣化によって共振周波数が変化する場合であっても、共振周波数である第1周波数をより正確に求めることができる。
前記第3周波数は、時間的に後に設けられる前記第3期間ほど低くなる構成としてもよい。
この構成によれば、共振周波数である第1周波数をより早く、かつ、確実に求めやすい。
前記共振回路部は、LC直列共振回路を形成するコンデンサーを備え、前記制御部は、時間的に隣り合う前記第3期間において、時間的に後に設けられる前記第3期間における前記コンデンサーの端子間電圧が、時間的に前に設けられる前記第3期間における前記端子間電圧よりも小さい場合、前記第1周波数を、前記時間的に前に設けられる前記第3期間における前記第3周波数に設定し、前記点灯始動期間を前記第1点灯始動期間から前記第2点灯始動期間に移行させる構成としてもよい。
この構成によれば、放電灯の点灯性が低下することをより抑制できる。
前記制御部は、前記第2周波数を、前記時間的に前に設けられる前記第3期間よりも前の前記第3期間における前記第3周波数に設定する構成としてもよい。
この構成によれば、第2周波数をより適切に設定できる。
前記共振回路部は、コイルを1つのみ備える構成としてもよい。
この構成によれば、点灯性の低下を抑制する効果をより大きく得られる。
本発明の光源装置の一つの態様は、光を射出する前記放電灯と、上記の放電灯駆動装置と、を備えることを特徴とする。
本発明の光源装置の一つの態様によれば、上記放電灯駆動装置を備えるため、放電灯を点灯させる際に、放電灯駆動装置の素子の損傷を抑制しつつ、点灯性が低下することを抑制できる。
本発明のプロジェクターの一つの態様は、上記の光源装置と、前記光源装置から射出される光を画像信号に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学系と、を備えることを特徴とする。
本発明のプロジェクターの一つの態様によれば、上記の光源装置を備えるため、放電灯駆動装置の素子の損傷を抑制しつつ、点灯性が低下することを抑制できる。
本発明の放電灯駆動方法の一つの態様は、放電灯が定常点灯状態に至るまでの点灯始動期間において、共振回路部の共振を起こさせる第1周波数を有する第1交流電力と、前記第1周波数よりも高い第2周波数を有する第2交流電力と、を有する交流電力を前記共振回路部を介して前記放電灯に供給する放電灯駆動方法であって、前記点灯始動期間において、前記第1周波数以上の第3周波数を有する第3交流電力と、前記第2周波数よりも高い第4周波数を有する第4交流電力と、を前記共振回路部を介して前記放電灯に交互に供給し、かつ、前記第3周波数を段階的に低くすることと、前記放電灯に前記第3交流電力を供給する際の前記共振回路部におけるコンデンサーの端子間電圧が低下した場合に、1段階前の前記第3周波数を前記第1周波数として設定し、2段階以上前の前記第3周波数を前記第2周波数として設定し、かつ、前記第1交流電力と、前記第2交流電力と、を前記共振回路部を介して前記放電灯に交互に供給することと、を含むことを特徴とする。
本発明の放電灯駆動方法の一つの態様によれば、放電灯駆動装置の素子の損傷を抑制しつつ、点灯性が低下することを抑制できる。
本実施形態におけるプロジェクターの機能構成の一例を表すブロック図である。 本実施形態におけるプロジェクターが備える放電灯点灯装置の機能構成の一例を表すブロック図である。 本実施形態における共振回路部の共振出力電圧の周波数依存性を示すグラフである。 本実施形態における共振回路部の共振出力電圧の変化を示す模式図である。 本実施形態における制御部による点灯動作の流れの一例を示すフローチャートである。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るプロジェクターについて説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数等を実際の構造における縮尺および数等と異ならせる場合がある。
図1は、本実施形態におけるプロジェクター1の機能構成の一例を示すブロック図である。本実施形態のプロジェクター1は、図1に示すように、放電灯10と、液晶パネル(光変調装置)20と、投射光学系30と、インターフェイス(I/F:Interface)部40と、画像処理部50と、液晶パネル駆動部60と、放電灯点灯装置(放電灯駆動装置)70と、CPU(Central Processing Unit)80と、を備えている。本実施形態においては、放電灯10と放電灯点灯装置70とによって、光源装置が構成される。すなわち、プロジェクター1は、光源装置を備える。
放電灯10は、光を射出する。放電灯10は、プロジェクター1の光源として用いられる。放電灯10は、本実施形態においては、例えば、アーク放電を利用した高圧水銀ランプである。放電灯10としては、特に限定されず、例えばメタルハライドランプやキセノンランプなどの他の任意の放電ランプを用いてもよい。
液晶パネル20は、画像信号に応じて放電灯10からの照射光を変調して透過させるものである。液晶パネル20の数は、特に限定されない。
投射光学系30は、液晶パネル20を透過した透過光をスクリーン(図示せず)に投射するものである。
インターフェイス部40は、図示しないパーソナルコンピューターなどから入力される画像信号SPを、画像処理部50で処理可能な形式の画像データに変換するものである。
画像処理部50は、インターフェイス部40から供給される画像データに対して、輝度調整や色バランス調整などの各種画像処理を施すものである。
液晶パネル駆動部60は、画像処理部50により画像処理が施された画像データに基づいて液晶パネル20を駆動するためのものである。
CPU80は、リモートコントローラー(図示せず)や、プロジェクター1の本体に備えられた操作ボタン(図示せず)の操作に従って、画像処理部50や投射光学系30を制御するものである。本実施形態において、CPU80は、例えば、利用者がプロジェクター1の電源スイッチ(図示せず)を操作したときに、放電灯点灯装置70に対して放電灯10を点灯させるよう指示する機能を有する。
本実施形態におけるプロジェクター1は、透過型のプロジェクターであっても、反射型のプロジェクターであってもよい。ここで、「透過型」とは、液晶パネル20等を含む液晶ライトバルブが光を透過するタイプであることを意味する。「反射型」とは、液晶ライトバルブが光を反射するタイプであることを意味する。なお、光変調装置は、液晶パネル等に限られず、例えばマイクロミラーを用いた光変調装置であってもよい。
図2は、放電灯点灯装置70の機能構成の一例を示す図である。
放電灯点灯装置70は、ダウンチョッパー部71と、電力変換部72と、共振回路部73と、電圧検出部74と、点灯検出部75と、制御部76とを備えている。
ダウンチョッパー部71は、入力端子TIN1と入力端子TIN2との間に直流電源(図示せず)から印加される電圧Vinを有する直流電力を、所定の直流電圧を有する直流電力に変換するものである。
ダウンチョッパー部71は、nチャネル型電界効果トランジスター711と、チョークコイル712と、ダイオード713と、コンデンサー714と、を備えている。ダウンチョッパー部71によれば、制御部76から供給される制御信号S711に基づいて、nチャネル型電界効果トランジスター711を流れる電流をチョッピングすることにより、制御信号S711のデューティー比に応じた所望の出力電圧を有する直流電力を得る。本実施形態において、ダウンチョッパー部71の出力電圧は例えば380Vであるが、これに限定されない。
なお、ダウンチョッパー部71は、本実施形態によるプロジェクター1に必須の構成要素ではなく、省略してもよい。
電力変換部72は、ダウンチョッパー部71から供給される直流電力を交流電力に変換し、この交流電力を共振回路部73を介して放電灯10に供給する。電力変換部72は、例えば、nチャネル型電界効果トランジスター721,722,723,724を備えたフルブリッジ回路である。
nチャネル型電界効果トランジスター721,722の各ドレインは、ダウンチョッパー部71を構成するnチャネル型電界効果トランジスター711及びチョークコイル712を介して入力端子TIN1に繋がる高電位ノードNHに接続されている。nチャネル型電界効果トランジスター721,722の各ソースは、それぞれ、nチャネル型電界効果トランジスター723,724の各ドレインに接続されている。nチャネル型電界効果トランジスター723,724の各ソースは、後述する点灯検出部75を構成する抵抗751を介して、入力端子TIN2に繋がる低電位ノードNLに接続されている。
nチャネル型電界効果トランジスター721とnチャネル型電界効果トランジスター724のゲートには制御部76から制御信号Saが供給される。nチャネル型電界効果トランジスター722とnチャネル型電界効果トランジスター723のゲートには、制御部76から、制御信号Saの反転信号に相当する制御信号Sbが供給される。
本実施形態では、nチャネル型電界効果トランジスター721のソースとnチャネル型電界効果トランジスター723のドレインとの間の接続部を、電力変換部72の一方の出力ノードN1とする。nチャネル型電界効果トランジスター722のソースとnチャネル型電界効果トランジスター724のドレインとの間の接続部を、電力変換部72の他方の出力ノードN2とする。
制御部76から供給される制御信号S(Sa,Sb)に基づいて一対のnチャネル型電界効果トランジスター722,723と一対のnチャネル型電界効果トランジスター721,724とが相補的にスイッチングすることにより、出力ノードN1,N2のそれぞれから380Vと0Vが相補的に出力されるようになっている。すなわち、nチャネル型電界効果トランジスター721,722,723,724のスイッチング動作により、電力変換部72は、直流電力を交流電力に変換する。電力変換部72によって変換された交流電力は、例えば、矩形波である。この交流電力の周波数は、制御部76から供給される制御信号Sのクロック周波数と一致する。
共振回路部73は、放電灯10の放電開始電圧(ブレークダウン電圧)を超える高電圧を発生させるイグナイターとして機能するものである。共振回路部73は、磁気的に結合された2つのコイル731,732と、コンデンサー733と、を備えている。共振回路部73には出力端子TOUT1,TOUT2を介して放電灯10が接続される。すなわち、共振回路部73は、放電灯10に接続される。
コイル731の一端は電力変換部72の出力ノードN1に接続され、このコイル731の他端はコイル732の一端に接続され、このコイル732の他端は出力端子TOUT1に接続されている。コイル731とコイル732との間の接続ノードにはコンデンサー733の一方の電極が接続されている。コンデンサー733の他方の電極は、電力変換部72の出力ノードN2に接続されていると共に出力端子TOUT2に接続されている。
本実施形態において共振回路部73を構成するコイル731とコンデンサー733とは、LC直列共振回路を形成する。本実施形態においては、基本的にLC直列共振回路の共振周波数が共振回路部73の固有の共振周波数(第1周波数)frになる。LC直列共振回路の共振周波数は、コイル731とコンデンサー733とにより定まる。
本実施形態では、共振周波数frは、例えば、390kHzに設定される。したがって、電力変換部72から供給される交流電力の周波数が共振回路部73の共振周波数frと一致して、コイル731とコンデンサー733とにより形成されるLC直列共振回路が共振状態になれば、原理上、コンデンサー733の端子間電圧V733が無限大になる。これにより、放電灯10の放電を開始させるのに必要な高電圧が共振回路部73により得られる。
なお、以下の説明においては、コンデンサー733の端子間電圧V733を共振出力電圧V733と称する場合がある。
ただし、後述するように、本実施形態では3倍共振モードを用いているので、共振回路部73が共振状態になるときの電力変換部72から供給される交流電力の周波数は、共振回路部73の固有の共振周波数の3分の1の周波数である。すなわち、N倍共振モードを用いた場合、共振回路部73が共振状態になるときの電力変換部72から供給される交流電力の周波数は、共振回路部73の共振周波数のN分の1の周波数となる。
しかしながら、上述のLC直列共振回路が共振状態になっても、電力変換部72を構成するnチャネル型電界効果トランジスター721,722,723,724の抵抗成分や配線インピーダンスが存在すると、コンデンサー733の端子間電圧V733は、概ね1kV以上、1.5kV以下程度に留まり、放電灯10の放電を開始させるのに必要な高電圧が得られなくなる。そこで、本実施形態では、共振回路部73は、LC直列共振回路を構成するコイル731と磁気的に結合されたコイル732を備え、コンデンサー733の端子間電圧V733を、コイル731とコイル732との巻数比に応じて増幅することにより、最終的に放電灯10の放電を開始させるのに必要な数kVの高電圧を発生させている。
また、本実施形態では、共振回路部73は、いわゆる3倍共振モードを利用することにより、放電灯10が定常点灯状態に至るまでの期間である点灯始動期間Pにおいて電力変換部72から供給される交流電力の周波数の3倍の周波数で共振する。ここで、3倍共振モードは、電力変換部72から出力される交流電力の波形の振動成分を利用している。原理上、電力変換部72は、交流電力の波形として矩形波を出力するが、その波形は高調波成分を含んでいる。この高調波成分を利用して、共振回路部73は、点灯始動期間Pにおいて電力変換部72から出力される交流電力の周波数の3倍の周波数で共振するように設計される。すなわち、共振回路部73の共振周波数は、点灯始動期間Pにおいて電力変換部72から出力される交流電力の周波数の3倍の周波数に設定される。
本実施形態では、共振回路部73の共振周波数は、例えば、390kHzに設定されており、3倍共振モードにより、電力変換部72から130kHzの交流電力が供給されると、共振回路部73はその3倍の390kHzで共振する。このように3倍共振モードを利用すれば、上記交流電力の周波数に対して共振回路部73の共振周波数を相対的に高く設定することができる。そのため、3倍共振モードを利用しない場合と比較して、共振回路部73を構成するコイル731,732のインダクタンス成分とコンデンサー733の容量成分の各値を小さく設定することができる。これにより、共振回路部73を小型に構成することが可能になる。
したがって、点灯始動期間Pにおいて電力変換部72から出力される交流電力の周波数(130kHz)に共振回路部73の共振周波数を合わせるよりも、3倍共振モードを用いて、上記交流電力の周波数の3倍の周波数(390kHz)に共振回路部73の共振周波数を合わせた方が、共振回路部73を小型に構成することができる。また、共振回路部73の共振周波数を高く設定しても、3倍共振モードを用いることにより、電力変換部72が出力する交流電力の周波数を相対的に低く設定することができる。そのため、電力変換部72による高電圧領域でのスイッチング動作を安定化させることができ、電力変換部72の負担を軽減することが可能になる。
このように3倍共振モードで共振回路部73の共振を起こさせるときの上記交流電力の周波数は、共振回路部73を共振状態にする点では、共振回路部73の固有の共振周波数と同様の技術的意味を有し、見かけ上、共振回路部73の共振周波数として取り扱うことができる。そこで、以下では、3倍共振モードで共振回路部73の共振を起こさせる電力変換部72の交流電力の周波数を、「共振回路部73の共振周波数fr」または単に「共振周波数fr」と称する。この共振周波数(第1周波数)frは、例えば、制御部76が備える図示しない記憶部に記憶される。
なお、本実施形態において、3倍共振モードは必ずしも必須の要素ではなく、3倍共振モードを用いない場合、すなわち1倍共振モードを用いた場合には、共振周波数frは共振回路部73の固有の共振周波数と一致する。また、本実施形態では、共振回路部73が3倍共振モードで共振する場合を例示するが、3倍共振モードに限らず、共振回路部73は、N(Nは奇数)倍共振モードを用いて共振するものとしてもよい。この場合、共振周波数frは、共振回路部73の固有の共振周波数を含んだ任意のN倍共振モードで共振回路部73の共振を起こさせる周波数であって、電力変換部72から供給される交流電力の周波数または制御信号Sの周波数として定義される。
図3は、共振回路部73の共振出力電圧V733の周波数依存性(共振特性)を示すグラフである。図3において、縦軸は、端子間電圧V733を示しており、横軸は、周波数fを示している。図3に示すように、周波数fが共振回路部73の共振周波数frと一致したときに、共振回路部73における共振出力電圧V733がピーク電圧Vr(最大値)を示す。
なお、上述したように本実施形態においては、3倍共振モードが採用されるため、共振回路部73の固有の共振周波数は、共振周波数frの3倍である。共振回路部73に供給される周波数fの交流電力に含まれる高調波の周波数が、共振回路部73の固有の共振周波数と一致したときに、共振回路部73における共振出力電圧V733がピーク電圧Vrを示す。
電圧検出部74は、上述の共振回路部73を構成するコンデンサー733の端子間電圧V733を検出するためのものである。電圧検出部74は、このコンデンサー733の端子間に直列に接続された抵抗741および抵抗742と、アナログ/デジタル(A/D:Analog/Digital)変換部743と、を備えている。
抵抗741および抵抗742は、共振回路部73のコンデンサー733の端子間電圧(共振出力電圧)V733を分圧して、その抵抗比に応じた電圧V74を得るためのものである。アナログ/デジタル変換部743は、分圧された電圧V74をデジタルデータに変換して出力するものである。本実施形態では、電圧V74は、共振出力電圧V733をアナログ/デジタル変換部743の入力特性に適合させるために生成される中間段階の電圧である。したがって、アナログ/デジタル変換部743が出力するデジタルデータは、共振出力電圧V733の値を表し、この電圧検出部74で検出された共振出力電圧V733は制御部76に供給される。
点灯検出部75は、放電灯10の点灯/不点灯を検出するものである。点灯検出部75は、抵抗751と、コンパレーター部752と、を備えている。
抵抗751は、入力端子TIN2と電力変換部72を構成するnチャネル型電界効果トランジスター723,724の各ソースとの間に接続されている。抵抗751の端子間電圧(降下電圧)は、コンパレーター部752に入力される。
コンパレーター部752は、抵抗751の端子間電圧に基づいて放電灯10を流れる電流を検出する。コンパレーター部752は、検出した電流と、放電灯10が点灯したときに抵抗751を流れる電流に対応する所定電圧値と、を比較することにより、放電灯10の点灯/不点灯を検出する。すなわち、点灯検出部75は、例えば、抵抗751の端子間電圧が所定電圧値以上である場合、放電灯10の点灯を検出し、抵抗751の端子間電圧が所定電圧値を下回る場合には放電灯10の不点灯を検出する。点灯検出部75は、放電灯10の点灯を検出した場合、その旨を示す信号を制御部76に出力する。
制御部76は、上述のダウンチョッパー部71と電力変換部72との各スイッチング動作を制御するものである。本実施形態において制御部76は、点灯始動期間Pにおいて、共振回路部73に供給される交流電力の周波数を制御する。
制御部76は、電圧制御発振器761を備えている。この電圧制御発振器761は、入力電圧(図示せず)に応じた周波数の信号を制御信号Sとして出力するものである。この電圧制御発振器761の入力電圧を規定する信号は、電力変換部72の後述のスイッチング動作が得られるように、制御部76において生成される。
以下、本実施形態の制御部76の制御について詳細に説明する。
図4は、本実施形態の点灯始動期間Pにおける共振回路部73の共振出力電圧V733の変化を示す模式図である。図4において、縦軸は、共振出力電圧V733を示しており、横軸は、時間Tを示している。
図4に示すように、本実施形態において点灯始動期間Pは、第1点灯始動期間P1と、第2点灯始動期間P2と、を有する。第1点灯始動期間P1は、第1低圧期間(第4期間)P11と、第1高圧期間(第3期間)P12と、を交互に有する。
低圧期間P11は、基本周波数(第4周波数)f0を有する交流電力(第4交流電力)が放電灯10に供給される期間である。図3に示すように、基本周波数f0は、後述する準共振周波数(第2周波数)fcよりも高い。図4に示すように、本実施形態において基本周波数f0は、一定の値である。すなわち、第1点灯始動期間P1に含まれる低圧期間P11のすべてにおいて、放電灯10に供給される交流電力の周波数は一定である。
基本周波数f0は、例えば、145kHz以上、170kHz以下である。このように設定することで、基本周波数f0を共振周波数frよりも十分に大きくしやすい。そのため、第1点灯始動期間P1において、電力変換部72のスイッチングロスを低減できる。図3に示すように、基本周波数f0における共振出力電圧V733は、比較的小さい。
高圧期間P12は、駆動周波数(第3周波数)を有する交流電力(第3交流電力)が放電灯10に供給される期間である。駆動周波数は、共振周波数(第1周波数)fr以上であり、かつ、基本周波数f0よりも低い。高圧期間P12における駆動周波数は、段階的に変化する。図4の例では、駆動周波数の値は、fd、fc、fb、fa、fxの順に、高圧期間P12ごとに変化する。ただし、駆動周波数の値の個数は、この例に限定されず任意に増やしてもよい。
駆動周波数fdと、駆動周波数fcと、駆動周波数fbと、駆動周波数faと、駆動周波数fxとは、この順に低くなる。すなわち、駆動周波数は、時間的に後に設けられる高圧期間P12ほど低くなる。
駆動周波数fd,fc,fb,fa,fxは、一定の周波数ステップを隔てて発生される。すなわち、制御部76は、電力変換部72から供給される交流電力の周波数fを一定の周波数ステップで段階的に変化させる。ただし、この例に限定されず、例えば、共振周波数frの近傍で周波数ステップを小さく設定してもよい。
図3および図4の例において、駆動周波数faは、例えば、共振周波数frである。そのため、図3に示すように、駆動周波数の値が駆動周波数faのときの共振出力電圧Vaは、共振出力電圧V733のピーク電圧Vrである。共振出力電圧V733は、駆動周波数の値が駆動周波数faに近いほど大きくなる。
すなわち、駆動周波数fdにおける共振出力電圧Vdと、駆動周波数fcにおける共振出力電圧Vcと、駆動周波数fbにおける共振出力電圧Vbと、駆動周波数faにおける共振出力電圧Vaと、はこの順に大きくなる。駆動周波数fxにおける共振出力電圧Vxは、共振出力電圧Vaよりも小さい。
本実施形態において、比較的大きい共振出力電圧V733を発生させる駆動周波数fa〜fdを、準共振周波数と呼ぶ。
なお、本明細書において、共振回路部の準共振周波数は、放電灯の電極間に絶縁破壊を生じさせることができる電圧が印加される周波数を含む。放電灯の電極間に絶縁破壊を生じさせることができる電圧は、放電灯に一度絶縁破壊が生じると、しばらくの間低下する。
低圧期間P11の長さt11と、高圧期間P12の長さt12とは、それぞれ、点灯始動期間Pにおいて放電灯10における電極間に絶縁破壊が生じ、放電灯10が点灯する範囲内で任意に設定される。
低圧期間P11の長さt11は、例えば、6msと設定できる。高圧期間P12の長さt12は、例えば、2msと設定できる。低圧期間P11の長さt11および高圧期間P12の長さt12をこのように設定することにより、電力消費を低減しつつ、放電灯10への負荷を低減することができる。
第2点灯始動期間P2は、時間的に第1点灯始動期間P1の後に設けられる。第2点灯始動期間P2は、準共振期間(第2期間)P21と、共振期間(第1期間)P22と、を交互に有する。すなわち、点灯始動期間Pは、準共振期間P21と、共振期間P22と、を交互に有する。
準共振期間P21は、共振周波数(第1周波数)frよりも高い準共振周波数(第2周波数)を有する交流電力(第1交流電力)が放電灯10に供給される期間である。本実施形態において準共振期間P21の準共振周波数は、一定の値である。すなわち、第2点灯始動期間P2に含まれる準共振期間P21のすべてにおいて、放電灯10に供給される交流電力の周波数は一定である。
本実施形態の準共振期間P21において放電灯10に供給される準共振周波数の値は、例えば、fcである。すなわち、本実施形態において準共振期間P21の準共振周波数は、時間的に第2点灯始動期間P2の直前に設けられる高圧期間P12よりも3つ前の高圧期間P12における駆動周波数fcである。準共振期間P21の長さは、例えば、低圧期間P11の長さt11と同様である。
準共振期間P21の準共振周波数は、例えば、放電灯10の電極間に絶縁破壊が生じさせることができる共振出力電圧V733よりも少し大きい共振出力電圧V733が電極間に印加される周波数に設定される。上述したように、放電灯10に一度絶縁破壊が生じた後しばらくの間は、絶縁破壊に必要な共振出力電圧V733が低下する。準共振期間P21の準共振周波数は、例えば、この低下した共振出力電圧V733よりも少し大きい共振出力電圧V733が電極間に印加される周波数に設定される。低下した後の絶縁破壊に必要な共振出力電圧V733は、例えば、400Vである。
共振期間P22は、共振周波数frを有する交流電力(第1交流電力)が放電灯10に供給される期間である。本実施形態において共振期間P22の準共振周波数は、一定の値である。すなわち、第2点灯始動期間P2に含まれる共振期間P22のすべてにおいて、放電灯10に供給される交流電力の周波数は一定である。
上述したように、本実施形態において駆動周波数faは、共振周波数frである。すなわち、本実施形態において共振周波数frは、時間的に第2点灯始動期間P2の直前に設けられる高圧期間P12よりも1つ前の高圧期間P12における駆動周波数faである。共振期間P22の長さは、例えば、高圧期間P12の長さt12と同様である。
図5は、本実施形態における制御部76による点灯動作の流れの一部を示すフローチャートである。
まず、プロジェクター1のCPU80から構成されるシステム制御部(図示せず)は、利用者による電源スイッチ(図示せず)の操作があった場合、放電灯点灯装置70に対して放電灯10の点灯を指示する。
放電灯点灯装置70の制御部76は、上述のシステム制御部からの指示を受けると、制御信号S711によりダウンチョッパー部71のスイッチング動作を開始させる。これにより、図5に示すように、点灯始動期間Pの第1点灯始動期間P1が開始される(ステップS1)。
第1点灯始動期間P1において制御部76は、基本周波数f0で低圧期間P11を開始する(ステップS2)。そして、制御部76は、低圧期間P11が終了した後に、駆動周波数、図4の例では駆動周波数fdで高圧期間P12を開始する(ステップS3)。
高圧期間P12において制御部76は、電圧検出部74によって共振出力電圧V733を検出する(ステップS4)。そして、制御部76は、検出した共振出力電圧V733が1つ前の高圧期間P12における共振出力電圧V733よりも小さいか否かを判断する(ステップS5)。制御部76は、検出した共振出力電圧V733が1つ前の高圧期間P12における共振出力電圧V733以上である場合(ステップS5:NO)、駆動周波数を1段階低くする(ステップS6)。例えば、駆動周波数の値がfdである場合には、制御部76は、駆動周波数の値をfdよりも低いfcに設定する。
なお、共振出力電圧V733を検出した高圧期間P12が第1点灯始動期間P1において初めて設けられた高圧期間P12である場合には、検出した共振出力電圧V733が1つ前の高圧期間P12における共振出力電圧V733以上である場合と同様に、駆動周波数を1段階低くする(ステップS6)。
制御部76は、駆動周波数の値を1段階低くした後、再び低圧期間P11と、高圧期間P12と、を開始する。このように、制御部76は、高圧期間P12における共振出力電圧V733が1つ前の高圧期間P12における共振出力電圧V733よりも小さくなるまで、高圧期間P12における駆動周波数を段階的に低くしつつ、低圧期間P11と高圧期間P12とを交互に繰り返す。
制御部76は、高圧期間P12において検出した共振出力電圧V733が1つ前の高圧期間P12における共振出力電圧V733よりも小さい場合(ステップS5:YES)、共振期間P22の共振周波数(第1周波数)frを、1段階高い駆動周波数に設定し(ステップS7)、準共振期間P21の準共振周波数(第2周波数)、を2段階以上高い駆動周波数に設定する(ステップS8)。なお、ステップS7およびステップS8は、同時に実行されてもよいし、逆の順序で実行されてもよい。
図4の例では、高圧期間P12の駆動周波数がfxとなった場合に、共振出力電圧V733は、1つ前の高圧期間P12の共振出力電圧V733であるVaよりも小さいVxとなる。そのため、共振周波数frは、駆動周波数fxよりも1段階高い駆動周波数faに設定される。また、準共振周波数は、例えば、図4の例では、駆動周波数fxよりも3段階高い駆動周波数fcに設定される。
なお、高圧期間P12において検出した共振出力電圧V733が1つ前の高圧期間P12における共振出力電圧V733よりも小さい場合とは、時間的に隣り合う高圧期間P12において、時間的に後に設けられる高圧期間P12における共振出力電圧V733が、時間的に前に設けられる高圧期間P12における共振出力電圧V733よりも小さい場合である。すなわち、制御部76は、共振周波数(第1周波数)frを、時間的に隣り合う高圧期間P12のうち時間的に前に設けられる高圧期間P12における駆動周波数(第3周波数)に設定し、準共振周波数(第2周波数)を、時間的に隣り合う高圧期間P12のうち時間的に前に設けられる高圧期間P12よりも前の高圧期間P12における駆動周波数(第3周波数)に設定する。
その後、制御部76は、点灯始動期間Pを第1点灯始動期間P1から第2点灯始動期間P2に移行させる。これにより、第2点灯始動期間P2が開始される(ステップS9)。その後、制御部76は、定常点灯状態に至るまでの間、第2点灯始動期間P2において準共振期間P21と共振期間P22とを交互に繰り返す。
上記の制御部76による制御を放電灯駆動方法として言い換えると、本実施形態の放電灯駆動方法は、放電灯10が定常点灯状態に至るまでの点灯始動期間Pにおいて、共振回路部73の共振を起こさせる共振周波数fr(第1周波数)を有する第1交流電力と、共振周波数frよりも高い準共振周波数(第2周波数)を有する第2交流電力と、を有する交流電力を共振回路部73を介して放電灯10に供給する放電灯駆動方法であって、点灯始動期間Pにおいて、共振周波数fr以上の駆動周波数(第3周波数)を有する第3交流電力と、準共振周波数よりも高い基本周波数(第4周波数)f0を有する第4交流電力と、を共振回路部73を介して放電灯10に交互に供給し、かつ、駆動周波数を段階的に低くすることと、放電灯10に第3交流電力を供給する際の共振回路部73におけるコンデンサー733の端子間電圧である共振出力電圧V733が低下した場合に、1段階前の駆動周波数を共振周波数frとして設定し、2段階以上前の駆動周波数を準共振周波数として設定し、かつ、第1交流電力と、第2交流電力と、を共振回路部73を介して放電灯10に交互に供給することと、を含むことを特徴とする。
本実施形態によれば、第2点灯始動期間P2において、共振回路部73の共振を起こさせる共振周波数frと、共振周波数frよりも高い準共振周波数と、を有する交流電力が放電灯10に供給される。そのため、準共振周波数を有する交流電力が供給される準共振期間P21において、共振回路部73に掛かる負荷、すなわち共振出力電圧V733および共振回路部73に流れる電流を、共振周波数frを有する交流電力が放電灯10に供給されるよりも小さくできる。これにより、共振回路部73の発熱を小さくでき、放電灯点灯装置70の素子が損傷することを抑制できる。
また、準共振期間P21においては、駆動周波数が準共振周波数となるため、共振状態における共振出力電圧V733に比べれば小さいものの、共振出力電圧V733を比較的大きくできる。これにより、準共振期間P21において放電灯10が消灯した場合であっても、放電灯10を再点灯しやすく、結果として放電灯10の点灯性が低下することを抑制できる。
以上により、本実施形態によれば、放電灯10を点灯させる際に、放電灯点灯装置70の素子の損傷を抑制しつつ、点灯性が低下することを抑制できる。
また、ある程度、共振出力電圧V733が大きい状態が続くと、放電灯10に絶縁破壊を生じさせるために必要な電圧が低下する。本実施形態によれば、準共振周波数を有する交流電力が放電灯10に供給されるため、共振出力電圧V733を大きい状態に維持しやすい。これにより、より早く放電灯10を点灯させることができる。
また、本実施形態によれば、放電灯10の駆動方法によって共振出力電圧V733を大きくできるため、共振回路部73の回路構成を変更することなく、より大きい共振出力電圧V733を必要とする放電灯10に対応させることができる。
また、準共振期間P21における準共振周波数が共振周波数frよりも低いと、電力変換部72におけるスイッチングロスが大きくなる。これに対して、本実施形態によれば、準共振期間P21における準共振周波数は、共振周波数frよりも高い。そのため、電力変換部72におけるスイッチングロスを低減できる。
また、本実施形態によれば、共振期間P22と、準共振期間P21と、が交互に設けられるため、共振出力電圧V733がピーク電圧Vrとなる期間を断続的に設けることができる。これにより、共振回路部73の負荷をより小さくできるため、放電灯点灯装置70の素子の損傷をより抑制できる。
また、本実施形態によれば、第1点灯始動期間P1において、高圧期間P12ごとに駆動周波数が段階的に変化する。そのため、高圧期間P12における共振出力電圧V733の変化を検出することによって、共振回路部73の共振周波数frを求めることができる。これにより、共振回路部73の個体差によって共振周波数frがばらつく、あるいは、共振回路部73の劣化によって共振周波数frが変化する場合であっても、共振周波数frをより正確に求めることができる。したがって、本実施形態によれば、点灯始動期間Pにおいて、放電灯10に共振周波数frを有する交流電力が供給されず放電灯10が点灯しないことを抑制できる。また、意図しないタイミングで放電灯10に共振周波数frを有する交流電力が供給されることを抑制できるため、放電灯点灯装置70の素子の損傷を抑制できる。
また、本実施形態によれば、駆動周波数(第3周波数)は、時間的に後に設けられる高圧期間P12ほど低くなる。共振出力電圧V733は、共振周波数frに近づくほど大きくなる。そのため、駆動周波数を共振周波数frよりも大きい周波数から段階的に低くすると、駆動周波数が共振周波数frになるまでは共振出力電圧V733が増加し、駆動周波数が共振周波数frよりも低くなると共振出力電圧V733が減少する。これにより、共振出力電圧V733の増減が切り替わる境の駆動周波数が、共振周波数frであると特定することができる。したがって、本実施形態によれば、共振周波数frを早く、かつ、より確実に求めることができる。
また、本実施形態によれば、制御部76は、時間的に隣り合う高圧期間P12において、時間的に前に設けられる高圧期間P12の共振出力電圧V733が、時間的に後に設けられる高圧期間P12の共振出力電圧V733が小さい場合に、共振周波数frを、時間的に前に設けられる高圧期間P12の駆動周波数に設定し、点灯始動期間Pを第1点灯始動期間P1から第2点灯始動期間P2に移行させる。これにより、上記のようにして、より確実に求められた共振周波数frを用いて放電灯10を点灯させることができるため、放電灯10の点灯性が低下することをより抑制できる。
また、本実施形態によれば、制御部76は、時間的に隣り合う高圧期間P12において、時間的に前に設けられる高圧期間P12の共振出力電圧V733が、時間的に後に設けられる高圧期間P12の共振出力電圧V733よりも小さい場合に、準共振期間P21の準共振周波数を、時間的に前に設けられる高圧期間P12よりも前の高圧期間P12における駆動周波数に設定する。そのため、準共振期間P21において放電灯10に供給される交流電力の周波数をより確実に、共振回路部73の準共振周波数とすることができる。
なお、本実施形態においては、以下の構成および方法を採用することもできる。
本実施形態においては、共振回路部73は、コイル731,732のうち、コイル732を備えなくてもよい。すなわち、本実施形態においては、共振回路部73が、コイルを1つのみ有する構成としてもよい。コイル732が設けられない場合、放電灯10の放電を開始させるのに必要な高電圧が得られにくい。そのため、共振回路部73内の電圧および電流を小さくすると、放電灯10が消えた場合に、放電灯10をより再点灯しにくくなる。したがって、この構成によれば、本実施形態による放電灯10の点灯性が低下することを抑制できる効果を、より大きく得られる。
また、この構成によれば、共振回路部73がコイルを1つのみ有するため、コイル731とコイル732との間を絶縁する必要がない。そのため、共振回路部73の構成を簡単にでき、共振回路部73の製造を容易にできる。また、共振回路部73を小型に構成することができる。
また、本実施形態において準共振期間P21の周波数は、放電灯10を再点灯しやすくすることができる共振出力電圧V733を発生させる周波数であり、かつ、共振周波数frよりも高ければ、高圧期間P12におけるいずれの駆動周波数に設定されてもよい。すなわち、上述した例では、準共振期間P21の準共振周波数は、例えば、駆動周波数fd,fbであってもよい。
また、上記の説明においては、電力変換部72をフルブリッジ回路により構成したが、これに限られない。本実施形態においては、交流電力を共振回路部73に供給することができる限度において、電力変換部72の回路形式として、ハーフブリッジ等の任意の回路形式を用いてもよい。
また、本実施形態の共振回路部73において、LC直列共振回路を構成するコイル731と磁気的に結合されたコイル732は、コイル731と同様にコンデンサー733の一端側に設けられたが、これに限られず、コイル732は、共振回路部73においてコンデンサー733の他端側に設けられていてもよい。
また、本実施形態において、電圧検出部74および点灯検出部75の回路形式についても、上記説明の形態に限定されず、任意の回路形式を用いてもよい。
また、上記説明においては、放電灯点灯装置70をプロジェクター1の構成要素としたが、放電灯点灯装置70を、プロジェクター1とは別体の装置として構成してもよい。
なお、上記説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
1…プロジェクター、10…放電灯、20…液晶パネル(光変調装置)、30…投射光学系、70…放電灯点灯装置(放電灯駆動装置)、72…電力変換部、73…共振回路部、76…制御部、733…コンデンサー、731,732…コイル、743…変換部、f0…基本周波数(第4周波数)、fc…準共振周波数(第2周波数)、fr…共振周波数(第1周波数)、P…点灯始動期間、P1…第1点灯始動期間、P2…第2点灯始動期間、P11…第1低圧期間(第4期間)、P12…第1高圧期間(第3期間)、P21…準共振期間(第2期間)、P22…共振期間(第1期間)、SP…画像信号、V733…共振出力電圧(端子間電圧)

Claims (10)

  1. 放電灯に接続された共振回路部と、
    直流電力を交流電力に変換し、前記交流電力を前記共振回路部を介して前記放電灯に供給する電力変換部と、
    前記放電灯が定常点灯状態に至るまでの点灯始動期間において、第1周波数と、前記第1周波数よりも高い第2周波数と、を有する前記交流電力を前記放電灯に供給する制御部と、
    を備え、
    前記第1周波数は、前記共振回路部の共振を起こさせる周波数であり、
    前記第2周波数は、準共振周波数であることを特徴とする放電灯駆動装置。
  2. 前記点灯始動期間は、前記第1周波数を有する第1交流電力が前記放電灯に供給される第1期間と、前記第2周波数を有する第2交流電力が前記放電灯に供給される第2期間と、を交互に有する、請求項1に記載の放電灯駆動装置。
  3. 前記点灯始動期間は、第1点灯始動期間と、時間的に前記第1点灯始動期間の後に設けられる第2点灯始動期間と、を有し、
    前記第1点灯始動期間は、前記第1周波数以上である第3周波数を有する第3交流電力が前記放電灯に供給される第3期間と、前記第2周波数よりも高い第4周波数を有する第4交流電力が前記放電灯に供給される第4期間と、を交互に有し、
    前記第2点灯始動期間は、前記第1期間と、前記第2期間と、を交互に有し、
    前記3周波数は、前記第4周波数よりも低く、かつ、段階的に変化する、請求項2に記載の放電灯駆動装置。
  4. 前記第3周波数は、時間的に後に設けられる前記第3期間ほど低くなる、請求項3に記載の放電灯駆動装置。
  5. 前記共振回路部は、LC直列共振回路を形成するコンデンサーを備え、
    前記制御部は、時間的に隣り合う前記第3期間において、時間的に後に設けられる前記第3期間における前記コンデンサーの端子間電圧が、時間的に前に設けられる前記第3期間における前記端子間電圧よりも小さい場合、前記第1周波数を、前記時間的に前に設けられる前記第3期間における前記第3周波数に設定し、前記点灯始動期間を前記第1点灯始動期間から前記第2点灯始動期間に移行させる、請求項4に記載の放電灯駆動装置。
  6. 前記制御部は、前記第2周波数を、前記時間的に前に設けられる前記第3期間よりも前の前記第3期間における前記第3周波数に設定する、請求項5に記載の放電灯駆動装置。
  7. 前記共振回路部は、コイルを1つのみ備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の放電灯駆動装置。
  8. 光を射出する前記放電灯と、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の放電灯駆動装置と、
    を備えることを特徴とする光源装置。
  9. 請求項8に記載の光源装置と、
    前記光源装置から射出される光を画像信号に応じて変調する光変調装置と、
    前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学系と、
    を備えることを特徴とするプロジェクター。
  10. 放電灯が定常点灯状態に至るまでの点灯始動期間において、共振回路部の共振を起こさせる第1周波数を有する第1交流電力と、前記第1周波数よりも高い第2周波数を有する第2交流電力と、を有する交流電力を前記共振回路部を介して前記放電灯に供給する放電灯駆動方法であって、
    前記点灯始動期間において、前記第1周波数以上の第3周波数を有する第3交流電力と、前記第2周波数よりも高い第4周波数を有する第4交流電力と、を前記共振回路部を介して前記放電灯に交互に供給し、かつ、前記第3周波数を段階的に低くすることと、
    前記放電灯に前記第3交流電力を供給する際の前記共振回路部におけるコンデンサーの端子間電圧が低下した場合に、1段階前の前記第3周波数を前記第1周波数として設定し、2段階以上前の前記第3周波数を前記第2周波数として設定し、かつ、前記第1交流電力と、前記第2交流電力と、を前記共振回路部を介して前記放電灯に交互に供給することと、
    を含むことを特徴とする放電灯駆動方法。
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