JP2016186145A - 新聞用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】古紙の再利用に貢献すると共に、基紙に塗工する顔料として再生粒子を用いるにもかかわらず、高い不透明度及び白色度を有する新聞用紙を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、基紙を備え、この基紙の少なくとも片方の表層に顔料を含有する新聞用紙であって、上記顔料が、製紙スラッジを脱水及び熱処理して得られる再生粒子を含み、上記製紙スラッジの主原料が、新聞古紙パルプの製造工程において排出される脱墨フロスであり、上記製紙スラッジ中の無機粒子における炭酸カルシウムの含有率が70質量%以上であり、上記再生粒子がメタカオリンを主成分とする粒子を核とし、この核の表面の少なくとも一部が炭酸カルシウムで被覆されており、白色度が53.0%以上、印刷不透明度が90.5%以上であることを特徴とする。上記顔料の含有量としては片面あたり0.3g/m2以上1.9g/m2以下が好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、新聞用紙に関する。
近年、資源問題及び経費削減の観点から、新聞用紙等の印刷用紙は軽量化される傾向にある。このように、新聞用紙を軽量化した場合、白紙不透明度や印刷不透明度(以下、これら両不透明度を単に「不透明度」ともいう)が低下するという不都合を招来する。この対策として、種々の顔料を接着剤とともに紙表面に塗工することで不透明度を向上させる方法が提案されている(特許文献1〜5参照)。
また、上記顔料として、古紙リサイクルの観点から、製紙スラッジを脱水及び熱処理して得られる再生粒子を新聞用紙の顔料として用いる方法が提案されている(特許文献6参照)。
しかし、上記再生粒子は、古紙パルプを製造する古紙処理工程の脱墨工程で排出される脱墨フロスを主原料としているため、カオリンや含水珪酸マグネシウム等の金属化合物の含有量が多く、白色度や吸油量が不十分である。そのため、上記再生粒子を顔料として新聞用紙に塗工した場合、十分な白色度及び不透明度を有する新聞用紙が得られないおそれがある。
特開平11−247095号公報 特開2007−63705号公報 特開2000−234292号公報 特開2000−314097号公報 特開2007−291569号公報 特開2009−293144号公報
本発明は、上記事情に基づいてなされたものであり、古紙の再利用に貢献すると共に、顔料として再生粒子を用いるにもかかわらず、高い白色度及び印刷不透明度を有し、インキ着肉性や表面強度等の印刷適性に優れる新聞用紙を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明は、
基紙を備え、この基紙の少なくとも片方の表層に顔料を含有する新聞用紙であって、
上記顔料が、製紙スラッジを脱水及び熱処理して得られる再生粒子を含み、
上記製紙スラッジの主原料が、新聞古紙パルプの製造工程において排出される脱墨フロスであり、
白色度が53.0%以上、印刷不透明度が90.5%以上であることを特徴とする。
当該新聞用紙は、再生粒子の原料である製紙スラッジの主原料として新聞古紙パルプの製造工程において排出される脱墨フロス(以下、「新聞脱墨フロス」ともいう)を用いているため、炭酸カルシウムを多く含み、吸油量に優れる。その結果、当該新聞用紙は、印刷後のインキが速やかに乾燥するため、インキ着肉性に優れ、引きずり汚れを効果的に防止することができる。また、当該新聞用紙は、吸油量に優れているため、従来よりも顔料の添加量を減らすことができ、これにより新聞用紙の軽量化を促進することができる。また、従来よりも顔料の添加量を減らすことができることにより、顔料の脱落防止を目的とする水溶性接着剤の使用量を減らすことができ、その結果、表面サイズ剤の含有率を相対的に向上することができるため、表面サイズ剤の性能をより発揮させることができ、紙表面が水を吸い過ぎることにより生じる印刷開始時の整面の遅延を改善することができる。また、当該新聞用紙は、白色度が53.0%以上であり、印刷不透明度が90.5%以上であるため、新聞用紙として好適に用いることができる。
上記顔料の含有量が片面あたり0.3g/m以上1.9g/m以下であるとよい。当該新聞用紙における上記顔料の含有量を上記範囲とすることにより、当該新聞用紙の白色度、印刷不透明度、表面強度等の印刷適性を向上することができる。
上記再生粒子の平均粒子径が1μm以上7μm以下であるとよい。顔料として用いられる再生粒子の平均粒子径を上記範囲とすることによって、接着剤によるカバーリング効果が向上し、再生粒子の脱落を防止することができる。その結果、印刷時のブランケットへの紙粉の堆積を軽減することができ、製造効率を向上することができ、結果として当該新聞用紙の製造コストを低減することができる。また、再生粒子の平均粒子径を上記範囲とすることによって、塗工面をより均一化することができる。これにより、平滑ムラや光沢ムラを抑制できるのみならず、印刷時のインキの載りを均一化することができるため、印刷ムラを防止することができる。
上記再生粒子がメタカオリン及び含水珪酸マグネシウムを主成分とする粒子を核とし、この核の表面の少なくとも一部が炭酸カルシウムで被覆されているとよい。上記再生粒子は、製紙スラッジを脱水及び熱処理して得られるため、カオリンや含水珪酸マグネシウムなどの金属化合物が含まれており、この金属化合物は白色度が低く、再生粒子の白色度を低下させる要因となっている。そのため、この金属化合物の表面を白色度の向上に寄与する炭酸カルシウムで被覆することにより、再生粒子の白色度を向上することができる。また、炭酸カルシウムは吸油量に優れるため、当該新聞用紙の吸油量をさらに向上することができる。
当該新聞用紙は、上記顔料と接着剤とを主に含む塗工液を基紙の少なくとも片面に塗工することで形成され、上記塗工液の塗工量が片面あたり固形分換算で0.5g/m以上3g/m以下であるとよい。塗工液の塗工量を上記範囲とすることにより、当該新聞用紙の白色度、印刷不透明度、表面強度等の印刷適性をさらに向上することができる。
ここで、「表層」とは、当該新聞用紙の厚みの表面から20%までの部分を意味する。また、平均粒子径とは、レーザー回析散乱法により測定された粒度分布における体積平均粒径(D50)をいう。
以上説明したように、本発明の新聞用紙は、古紙の再利用に貢献すると共に、顔料として再生粒子を用いるにもかかわらず、高い白色度及び印刷不透明度を有し、さらにインキ着肉性や表面強度等の印刷適性にも優れる。従って、当該新聞用紙は、資源・環境問題に配慮しつつ、軽量化の要請にも応え得る新聞用紙として好適に用いることができる。
以下、本発明の新聞用紙の実施の形態を詳説する。
<新聞用紙>
本発明の新聞用紙は、基紙を備え、この基紙の少なくとも片方の表層に顔料を含有するものである。当該新聞用紙は、上記顔料と接着剤とを主に含む塗工液を基紙の少なくとも片面に塗工することで形成される。まず、本発明の特徴である塗工液について説明し、続いて他の構成要素について説明する。
[塗工液]
上記塗工液は、顔料及び接着剤を主成分として含有する。
(顔料)
顔料は、新聞脱墨フロスを主原料とする製紙スラッジを脱水及び熱処理して得られる再生粒子(以下、「新聞脱墨フロス由来の再生粒子」ともいう)を含有する。以下、新聞脱墨フロス由来の再生粒子について詳説する。
〔新聞脱墨フロス由来の再生粒子〕
新聞脱墨フロス由来の再生粒子は、新聞脱墨フロスを主原料とする製紙スラッジを脱水及び熱処理して得られるものである。このような新聞脱墨フロス由来の再生粒子は、粒子径がホワイトカーボン等と比べて比較的小さいため、顔料として塗工した場合、接着剤によるカバーリング効果が向上し、脱落を防止することができるとともに、塗工後の紙表面をより均一化することができ、平滑ムラや光沢ムラを抑制することができる。
新聞脱墨フロス由来の再生粒子はメタカオリン及び含水珪酸マグネシウムを主成分とする粒子を核とし、この核の表面の少なくとも一部が炭酸カルシウムで被覆されていることが好ましい。製紙スラッジを750〜900℃の高温で燃焼すると製紙スラッジに含まれるカオリンや炭酸カルシウムからセメント状の化合物が生成される。その結果、得られる再生粒子が硬質化、低白色度化し、またスラリー化した際に増粘・固化の問題が生じる。しかし、新聞古紙パルプの製造工程において排出された脱墨フロス(新聞脱墨フロス)は炭酸カルシウムが相対的に多く、カオリンが相対的に少ないという特性を有するため、製紙スラッジの主原料を新聞脱墨フロスとすることにより生成されるセメント状の物質の量が減り、上記問題の発生が抑制される。さらに熱処理後の燃焼物をスラリー化し、このスラリーに二酸化炭素を吹き込むことにより、表面の少なくとも一部が炭酸カルシウムで被覆されるため、得られる再生粒子の白色度が一段と高くなる。その結果、当該新聞用紙の白色度をさらに向上することができる。しかも、再生粒子表面を被覆する炭酸カルシウムは吸油性の高い軽質炭酸カルシウムであるため、得られる再生粒子の吸油量が向上し、当該新聞用紙の不透明度をさらに向上することができる。なお、新聞脱墨フロス由来の再生粒子がメタカオリン及び含水珪酸マグネシウムを主成分とする粒子を核とし、この核の表面の少なくとも一部を炭酸カルシウムで被覆する方法は、後述する新聞脱墨フロス由来の再生粒子の製造方法にて詳細に説明する。
新聞脱墨フロス由来の再生粒子における炭酸カルシウムの含有率は、70質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましい。新聞脱墨フロス由来の再生粒子における炭酸カルシウムの含有率が上記数値未満の場合、新聞脱墨フロス由来の再生粒子の吸油量及び白色度が低下することにより、当該新聞用紙の不透明度及び白色度が低下するおそれがある。なお、新聞脱墨フロス由来の再生粒子における炭酸カルシウムの含有率は、原料となる新聞脱墨フロスの含有量や後述する新聞脱墨フロス由来の再生粒子の製造方法における二酸化炭素吹き込み工程の条件によって調節することができる。
新聞脱墨フロス由来の再生粒子における炭酸カルシウムの含有率は、例えば堀場製作所製のX線マイクロアナライザー(型番:E−MAX・S−2150)を用いて、15KVの加速電圧にて再生粒子に含まれる各種元素の酸化物換算質量割合を求め、この結果と、炭酸カルシウム、カオリン、タルク及び二酸化珪素の分子量とに基づいて比例計算を行うことで算出することができる。
新聞脱墨フロス由来の再生粒子の白色度は、80%以上が好ましく、84%以上がより好ましく、86%以上がさらに好ましい。新聞脱墨フロス由来の再生粒子の白色度が上記数値未満の場合、当該新聞用紙の白色度が低下するおそれがある。
新聞脱墨フロス由来の再生粒子の吸油量は60mL/100g以上150mL/100g以下が好ましく、70mL/100g以上130mL/100g以下がより好ましい。新聞脱墨フロス由来の再生粒子の吸油量が上記上限を超えると、インクが沈み込み、いわゆる発色性が低下するおそれがある。一方、新聞脱墨フロス由来の再生粒子の吸油量が上記下限未満の場合、インクのビヒクル分や有機溶剤等を十分に吸収することができず、インクの乾燥性やニジミ防止効果が低下するおそれがある。
新聞脱墨フロス由来の再生粒子の平均粒子径(体積平均粒子径)は、1μm以上7μm以下が好ましく、2μm以上5μm以下がより好ましい。新聞脱墨フロス由来の再生粒子の平均粒子径が上記上限を超えると、カバーリング効果が低下し、再生粒子が脱落することにより紙粉増加の原因となるおそれがある。一方、上記下限未満の場合は、粒子が凝集し易くなり、塗工後の紙表面が不均一になるおそれがある。
〔新聞脱墨フロス由来の再生粒子の製造方法〕
新聞脱墨フロス由来の再生粒子の製造方法について、原料並びに脱水、熱処理及び粉砕の各工程の順に詳説する。
(原料)
新聞脱墨フロス由来の再生粒子の原料としては製紙スラッジが用いられ、この製紙スラッジの主原料は新聞脱墨フロスである。新聞脱墨フロスとは、新聞古紙由来のパルプを脱墨処理する際に分離されるフロスであり、新聞古紙由来以外のパルプを脱墨処理する際に分離されるフロスは含まない。近年では、新聞用紙を製造する際の抄紙が中性抄紙化していること等から、新聞脱墨フロスは炭酸カルシウムが相対的に多く、カオリンが相対的に少なくなる傾向にあり、特に炭酸カルシウムの比率が70質量%を超え、カオリンの比率が30質量%未満で推移するようになっている。したがって、製紙スラッジの主原料を新聞脱墨フロスとすれば、酸化カルシウム及びカオリンから生成されるセメント状物質の量が減り、得られる再生粒子の低白色度化の問題や硬質化、スラリー化した際に増粘・固化する問題が改善される。また、新聞脱墨パルプの製造においては、安定した品質の新聞脱墨パルプを連続的に得るために、選別を行った一定品質の新聞が原料とされる傾向にあり新聞脱墨フロスの成分も安定する傾向にある。したがって、新聞脱墨フロスを主原料とすれば、吸油量及び白色度の高い再生粒子を安定的に得ることができる。その結果、この新聞脱墨フロス由来の再生粒子が顔料として塗工される当該新聞用紙の品質を安定させることができると同時に当該新聞用紙の不透明度及び白色度を向上することができる。また、上記新聞脱墨フロスは灰分率が低く、インキ由来の油脂やカーボンブラックを含有するため、自燃する程の発熱量を有する。そのため後述する熱処理工程での燃料を減らすことができる。
製紙スラッジ中の無機粒子における炭酸カルシウムの含有率は、70質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましい。製紙スラッジ中の無機粒子における炭酸カルシウムの含有率が上記数値未満の場合、後述の二酸化炭素吹き込み工程での炭酸カルシウムの析出(被覆)が不十分になり、得られる再生粒子の白色度及び吸油量が低下することによって当該新聞用紙の白色度及び不透明度が低下するおそれがある。
製紙スラッジ中の無機粒子における炭酸カルシウムの含有率は、製紙スラッジを525℃で燃焼して燃焼物を作製し、例えば堀場製作所製のX線マイクロアナライザー(型番:E−MAX・S−2150)を用いて、15KVの加速電圧にて燃焼物に含まれる各種元素の酸化物換算質量割合を求め、この結果と、炭酸カルシウム、カオリン、タルク及び二酸化ケイ素の分子量とに基づいて比例計算を行うことで算出することができる。
製紙スラッジ全体における新聞脱墨フロスの含有率は、固形分換算で50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。製紙スラッジ全体における新聞脱墨フロスの含有率が上記数値未満の場合、製紙スラッジに含まれる酸化カルシウムの含有量が減ることにより、得られる再生粒子の白色度及び吸油量が低下するおそれがある。また、新聞古紙のリサイクル率が低下してしまう。
新聞脱墨フロス中の無機粒子全体におけるカオリンの含有率が20質量%未満であり、他の無機粒子の比率が80質量%以上であることが好ましく、新聞脱墨フロス中の無機粒子全体におけるカオリンの含有率が20質量%未満であり、且つ炭酸カルシウムの含有率が80質量%以上であることがより好ましい。新聞脱墨フロス中のカオリン及び炭酸カルシウムの含有率を上記範囲とすることにより、得られる再生粒子の硬質化を防ぎ、白色度に優れる再生粒子を得ることができる。なお、無機粒子のうちタルクはカオリンと同様に珪酸塩鉱物・粘土鉱物に分類されるが、後述する熱処理工程の燃焼温度では分解せず再生粒子の硬質化には影響しないため、タルクの含有量はカオリン以外の無機粒子の含有量として扱うものとする。また、新聞脱墨フロス中のカオリン及び炭酸カルシウムの含有率を上記範囲とするには、カオリンが多く含有される塗工紙を原料となる新聞古紙から選別除去して調整すればよい。
製紙スラッジには、上述の新聞脱墨フロス以外にも本発明の効果を損なわない範囲において、その他の原料を含有することができる。その他の原料としては、例えば工場排水(洗浄水、白水、余剰排水汚泥等)や製紙原料調製工程において排出されるスラッジ、雑誌脱墨フロス等が挙げられる。ただし、上記雑誌脱墨フロスは原料(古紙)の主体が塗工紙であり、カオリンが多く混入しているため、雑誌脱墨フロスを製紙スラッジの原料として使用すると、セメント状物質が生成され易くなる。したがって、雑誌脱墨フロスは製紙スラッジの原料として使用しない方が好ましい。なお、雑誌脱墨フロスを使用する場合は上記炭酸カルシウムの比率やカオリンの比率に特に留意を要する。具体的には、例えば炭酸カルシウムを使用する中性抄紙工程等から発生する製紙スラッジを配合して、又は炭酸カルシウム貯槽の洗浄水やスクリーン粕等の製紙スラッジを配合して、炭酸カルシウムの比率を相対的に上昇させるとよい。
(脱水工程)
脱水工程は、製紙スラッジの水分を所定割合まで除去する工程である。脱水は公知の脱水機等を用いればよい。脱水後の製紙スラッジの水分率は30質量%以上60質量%以下が好ましく、30質量%以上50質量%以下がより好ましく、35質量%以上45質量%以下がさらに好ましい。脱水後の製紙スラッジの水分率が上記上限を超えると後述する熱処理工程で燃焼ムラが生じやすくなるとともに、熱処理工程で必要となる燃料が増加し、コスト高となるおそれがある。一方、脱水後の製紙スラッジの水分率が上記下限未満の場合、脱水後のフロックが固くなり再生粒子の粒径にバラツキが生じやすくなるおそれがある。
脱水工程は、多段階に行うことが好ましい。多段階の脱水工程としては、例えばスクリーンを用いて製紙スラッジの水分率を65質量%以上90質量%以下とした後、スクリュープレスを用いて目的とする上記水分率まで脱水する方法が挙げられる。このように脱水工程を多段階とすることにより、製紙スラッジに含まれる填料等の無機粒子の流失を抑制し、脱水後のフロックが固くなることを防止することができる。
製紙スラッジの上記水分率は、定温乾燥機を用いて、試料を105℃で6時間以上保持し質量の変動が認められなくなった時点の質量を乾燥後質量とし、下記式にて算出することができる。
水分率(%)=[(乾燥前質量−乾燥後質量)÷乾燥前質量]×100
(破砕工程)
脱水後の製紙スラッジは、熱処理工程において熱処理するに先立って、粉砕機(又は解砕機)により破砕することができる。この破砕工程後の製紙スラッジの平均粒子径としては2.5mm以上12.5mm以下が好ましく、2.5mm以上7.0mm以下がより好ましく、2.5mm以上4.0mm以下がさらに好ましい。製紙スラッジの平均粒子径が上記上限を超えると、製紙スラッジを表面部から芯部まで均一に熱処理することが困難になる。一方、製紙スラッジの平均粒子径が上記下限未満の場合、後段の熱処理工程において過剰な熱処理が行われ易くなる。
なお、上記製紙スラッジの平均粒子径は、目穴の異なる篩で分級し、得られた各試料の質量を測定し、この測定値の合計が全体の50質量%に相当する段階における篩の目穴の大きさであり、JIS−Z8801−2:2000に基づき、金属製の板ふるいを用いて測定した値である。
(熱処理工程)
製紙スラッジは、次いで熱処理工程に付される。この熱処理工程は一つの装置で連続的に行うこともできるが、乾燥工程と燃焼工程とに分けて行うことが好ましい。以下、乾燥工程と燃焼工程とに分けて詳説する。
(乾燥工程)
乾燥工程で用いる乾燥装置としては公知の装置を用いれば良く、例えばストーカー炉、流動床炉、サイクロン炉、キルン炉、気流乾燥装置等が挙げられる。
乾燥温度としては200℃以上600℃以下が好ましく、200℃以上450℃以下がより好ましく、200℃以上300℃以下がさらに好ましい。乾燥温度が上記上限を超えると過燃焼が生じ、意図しない有機物等の熱分解が生じるおそれがある。一方、乾燥温度が上記下限未満の場合、製紙スラッジの乾燥が不十分となり製紙スラッジに含まれる炭酸カルシウムの酸化カルシウムへの分解が低下するおそれがある。
乾燥後の製紙スラッジの水分率は5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。乾燥後の製紙スラッジの水分率が上記数値を超えると後述する燃焼工程で燃焼ムラが生じやすくなり、製紙スラッジに含まれる炭酸カルシウムの酸化カルシウムへの分解が低下するおそれがある。
このように予め乾燥工程を設けておくことにより、製紙スラッジに含まれる有機分の燃焼が緩やかに行われ、製紙スラッジの微粉化が抑制されることにより得られる再生粒子の粒度が揃いやすくなる。その結果、後述する燃焼工程での製紙スラッジに含まれる炭酸カルシウムの酸化カルシウムへの分解を均一に促進することができ、また、得られる再生粒子をスラリー化した際の増粘を抑制することができる。
(燃焼工程)
燃焼工程で用いる燃焼装置としては公知の装置を用いれば良く、例えばストーカー炉、流動床炉、サイクロン炉、キルン炉等が挙げられる。これらのなかでも横型回転式キルン炉が好ましく、熱効率の高い内熱式キルン炉がより好ましい。
燃焼温度としては、750℃以上900℃以下が好ましく、800℃以上900℃以下がより好ましく、800℃以上850℃以下がさらに好ましい。燃焼温度が上記上限を超えると燃料が過剰に必要となり不経済となるおそれがある。一方、燃焼温度が上記下限未満の場合、製紙スラッジの燃焼が不十分となり製紙スラッジに含まれる炭酸カルシウムの酸化カルシウムへの分解が低下し、後述する二酸化炭素吹き込み工程で炭酸カルシウムの析出が低下するおそれがある。
燃焼工程の際の酸素濃度としては、3容量%以上18容量%以下が好ましく、4容量%以上15容量%以下がより好ましく、5容量%以上12容量%以下がさらに好ましい。燃焼工程の際の酸素濃度が上記上限を超えると、必要以上に酸素を供給することとなり不経済となるおそれがある。一方、燃焼工程の際の酸素濃度が上記下限未満の場合、製紙スラッジの燃焼が不十分となり製紙スラッジに含まれる炭酸カルシウムの酸化カルシウムへの分解が低下するおそれがある。
燃焼工程において製紙スラッジに含有される炭酸カルシウムの酸化カルシウムへの分解率は80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。製紙スラッジに含有される炭酸カルシウムの酸化カルシウムへの分解率が上記数値未満の場合、後述する二酸化炭素吹き込み工程で炭酸カルシウムによる再生粒子表面の被覆が低下するおそれがある。製紙スラッジの主原料となる新聞脱墨フロスはカオリンの含有量が少ないため、燃焼してもカオリン由来のセメント状物質の生成が少ない。そのため、このように炭酸カルシウムの分解を可及的に進めることができる。燃焼工程において炭酸カルシウムを酸化カルシウムへ分解しておくことにより、後述する二酸化炭素吹き込み工程での再生粒子表面の炭酸カルシウムでの被覆を促進することができる。
炭酸カルシウムの酸化カルシウムへの分解率は、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の測定器(型式TG/DTA6200)を用い、昇温速度:20℃/分、供給ガス:空気(酸素濃度約5容量%)、供給ガス流量:48ml/分の測定条件にて測定した値である。
燃焼工程後の製紙スラッジ(以下、「燃焼物」ともいう)は粉砕して粒子径を揃えることが好ましい。燃焼物を粉砕して粒子径を揃えることにより、後述するスラリー化工程でのスラリー化を均一に行うことができる。粉砕後の燃焼物の平均粒子径としては1μm以上50μm以下が好ましく、1.5μm以上30μm以下がより好ましく、2μm以上20μm以下がさらに好ましい。粉砕後の燃焼物の平均粒子径が上記上限を超えると、後述するスラリー化工程でのスラリー化が不均一となりスラリーの粘度調整が困難となるおそれがある。一方、燃焼物の平均粒子径が上記下限未満の場合、粒子が小さすぎて取り扱いが困難となるおそれがある。
粉砕装置としては、公知の粉砕装置を用いればよく、例えばジェットミル、高速回転式ミル等の乾式粉砕機:アトライター、サンドグラインダー、ボールミル等の湿式粉砕機等が挙げられる。
なお、燃焼物の平均粒子径は、レーザー回折方式の粒度分布計(型番:マイクロトラックMT−3000II、日機装株式会社製)を用いて測定した体積平均粒子径(D50)である。
(スラリー化工程)
燃焼物は、次いでスラリー化工程に付される。スラリー化工程とは、燃焼物を水と混合してスラリー化する工程である。このスラリー化により燃焼物中の酸化カルシウムが水に溶出し水酸化カルシウム水溶液となる。なお、このスラリー化を行う前の燃焼物は、好適には凝集体である。
スラリーに含有される燃焼物の濃度は固形分換算で2質量%以上25質量%以下が好ましく、3質量%以上20質量%以下がより好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。スラリーに含有される燃焼物の濃度が上記上限を超えるとスラリーの粘度が高くなり過ぎ、スラリーが固化したり、後述する二酸化炭素吹き込み工程の効率が低下するおそれがある。一方、スラリーに含有される燃焼物の濃度が上記下限未満の場合、後述する二酸化炭素吹き込み工程での炭酸カルシウムの析出が低下するとともに、二酸化炭素吹き込み工程後の脱水効率が低下し、生産性が低下するおそれがある。
スラリーの分散性としては、二酸化炭素吹き込み工程で炭酸カルシウムの析出を阻害しない程度の粘度であればよい。このような粘度としては、B型粘度計を用いて、雰囲気温度20℃、ローター回転数60rpmの条件下において測定した粘度で300mPa・s以上1000mPa・s以下が好ましく、400mPa・s以上800mPa・s以下がより好ましい。スラリーの粘度が上記上限を超えるとスラリーが固化するおそれがある。一方、スラリーの粘度が上記下限未満の場合、二酸化炭素吹き込み工程での炭酸カルシウムの析出効率が低下するとともに、二酸化炭素吹き込み工程後の脱水効率が低下し、生産性が低下するおそれがある。
(二酸化炭素吹き込み工程)
二酸化炭素吹き込み工程とは、燃焼物のスラリーに二酸化炭素を吹き込み、燃焼物(再生粒子)表面に炭酸カルシウムを析出させる工程である。以下、このメカニズムについて説明する。
炭酸カルシウム及びカオリンを高温燃焼すると、炭酸カルシウムが酸化カルシウムに分解されるとともに、カオリンが酸化カルシウムや珪酸と反応し、種々の水和硬質物質が生成される。しかるに、新聞脱墨フロスを利用して炭酸カルシウムの比率を相対的に高め、カオリンの比率を相対的に下げると、水和硬質物質の由来とならない(カオリンと反応しない)酸化カルシウムの割合が増え、この酸化カルシウム(CaO)が燃焼物のスラリー化によって水酸化カルシウム(Ca(OH))となる。したがって、燃焼物のスラリーは、下記式(1)のように強アルカリ性を示すOHを含むことになる。
Ca(OH) → Ca2++2OH ・・・(1)
このスラリーに二酸化炭素(CO)を吹き込むと、下記式(2)のように炭酸カルシウム(CaCO)が析出されるとともに、pHの低下が生じる。
Ca2++2OH+CO → CaCO+HO ・・・(2)
このようにしてメタカオリン及び含水珪酸マグネシウムを主成分とする燃焼物の表面が炭酸カルシウムによって被覆され、得られる再生粒子の白色度を向上することができる。
吹き込む二酸化炭素の濃度は、5容量%以上30容量%以下が好ましく、10容量%以上30容量%以下がより好ましく、20容量%以上30容量%以下がさらに好ましい。吹き込む二酸化炭素の濃度が上記上限を超えると、柱状や針状の結晶構造を有する炭酸カルシウムが析出することにより粒子径が過大となるおそれがある。一方、吹き込む二酸化炭素の濃度が上記下限未満の場合、炭酸カルシウムが十分に析出されず十分な白色度を有する再生粒子が得られないおそれがある。
上記工程により、塗工液に含まれる顔料として用いる新聞脱墨フロス由来の再生粒子が得られる。この新聞脱墨フロス由来の再生粒子は、メタカオリン及び含水珪酸マグネシウムを主成分とする核を有し、この核の表面の少なくとも一部が炭酸カルシウムで被覆されているため、炭酸カルシウムやカオリン等が単に凝集した従来の再生粒子とは異なり、優れた白色度を有する。また、再生粒子の表面を被覆する炭酸カルシウムは吸油性の高い軽質炭酸カルシウムであるため、高い吸油量を有する。また、この新聞脱墨フロス由来の再生粒子は、ナイフエッジが少なくワイヤー磨耗性に優れる。
新聞脱墨フロス由来の再生粒子の顔料全体における含有量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。顔料全体における再生粒子の含有量が上記下限未満の場合、当該新聞用紙の白色度及び吸油量が低下するおそれがある。
(その他の顔料)
塗工液には、上述した新聞脱墨フロス由来の再生粒子の他にも、その他の顔料を含有することができる。その他の顔料としては、例えば水和ケイ酸(ホワイトカーボン)、二酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、尿素−ホルマリンポリマー微粒子等が挙げられる。
(接着剤)
接着剤としては、水溶性接着剤及び非水溶性接着剤に大別される。水溶性接着剤としては、例えば酸化澱粉、陽性酸化澱粉、エステル化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、デキストリン等の澱粉類;ポリビニルアルコール(PVA)及びその変性物;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。これらのなかでも、水溶性接着剤としては酸化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉が好ましい。接着剤として水溶性接着剤を用いることにより、顔料を紙表面に留め、基紙に浸透させにくくくることができ、カバーリング効果を向上させることができる。その結果、当該新聞用紙の平坦性、印刷不透明度、インキ着肉性を向上することができ、また、紙粉の発生を防止することにより輪転機のブランケットへの紙粉堆積による印刷作業性の悪化、版への紙粉堆積による地汚れの発生を防止することができる。
また、非水溶性接着剤としては、例えばメチルメタクリレート−ブタジエン共重合体を含むラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体を含むラテックス(SBラテックス)等の共役ジエン系ラテックス、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの重合体ラテックスもしくは共重合体ラテックス等のアクリル系ラテックス、エチレン−酢酸ビニル重合体ラテックス等のビニル系ラテックス、あるいはこれらの各種共重合体ラテックスをカルボキシル基等の官能基含有単量体で変性したアルカリ部分溶解性又は非溶解性のラテックス等のラテックス類;オレフィン−無水マレイン酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂等の合成樹脂系接着剤等が挙げられる。これらのなかでも、非水溶性接着剤としてはSBラテックスが好ましい。SBラテックスは、上記新聞脱墨フロス由来の再生粒子と親和力が強く繊維表面からの脱落を防止できるとともに、SBラテックスを用いることにより、輪転機の湿し水によるバインダー接着能力の低下を抑え、ブランケットへの紙粉堆積による印刷作業性の悪化、版への紙粉堆積による地汚れの発生を防止することができる。
これらのなかでも、接着剤としては、水溶性接着剤とラテックス類とを併用することが好ましく、酸化澱粉や尿素リン酸エステル化澱粉等の澱粉類とSBラテックスとの併用がより好ましい。このように接着剤として水溶性接着剤とラテックス類とを併用することにより、上記新聞脱墨フロス由来の再生粒子を顔料として用いた場合、新聞脱墨フロス由来の再生粒子を紙表面に留め、顔料を繊維と強く接着するとともに輪転機の湿し水によるバインダー接着能力の低下を抑え、ブランケットへの紙粉堆積による印刷作業性の悪化、版への紙粉堆積による地汚れの発生をより防止できるため好ましい。
接着剤の含有量は、上記顔料100質量部に対して固形分換算で35質量部以上70質量部以下が好ましく、40質量部以上65質量部以下がより好ましく、45質量部以上60質量部以下がさらに好ましい。接着剤の含有量が上記上限を超えると当該新聞用紙の表面に接着剤の被膜が生じセットオフトラブルが生じるおそれや顔料によるインキ吸収性が低下し印刷不透明度の向上効果が低下するおそれがある。一方、接着剤の含有量が上記下限未満の場合、塗工液の接着性が低下して顔料の脱落を招くおそれがある。
また、上記水溶性接着剤の含有量は、上記顔料100質量部に対して固形分換算で30質量部以上50質量部以下が好ましく、33質量部以上47質量部以下がより好ましく、35質量部以上45質量部以下がさらに好ましい。水溶性接着剤の含有量が上記上限を超えると水溶性成分が増えることにより撥水性が低下し、当該新聞用紙のインキ転移性等の印刷適性が低下するおそれがある。一方、水溶性接着剤の含有量が上記下限未満の場合、塗工液の接着性が低下するおそれがある。
また、上記非水溶性接着剤の含有量は、上記顔料100質量部に対して固形分換算で5質量部以上20質量部以下が好ましく、6質量部以上18質量部以下がより好ましく、7質量部以上15質量部以下がさらに好ましい。非水溶性接着剤の含有量が上記上限を超えると塗工液の粘度が高まり塗工性が低下するおそれがある。一方、非水溶性接着剤の含有量が上記下限未満の場合、顔料の接着性が低下し紙粉トラブルが発生するおそれや、塗工液の撥水性が低下し、当該新聞用紙のインキ転移性が低下することにより印刷適性が低下するおそれがある。
塗工液には、上記顔料及び接着剤以外に、例えばポリアクリルアミド、消泡剤、耐水化剤、表面サイズ剤、防腐剤等を含有することができる。これらの中でも、サイズ性を向上させるため、表面サイズ剤が含有されるとよい。
表面サイズ剤としては、例えばスチレン系サイズ剤、オレフィン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、ロジン等が挙げられる。これらのなかでも、高いサイズ性、オフセット輪転印刷におけるインクとの相性、顔料の脱落防止効果に優れる点でスチレン系サイズ剤が好ましい。
スチレン系サイズ剤としては、スチレンアクリル酸共重合体、スチレン(メタ)アクリル酸共重合体(なお、(メタ)アクリル酸は、「アクリル酸、及び/又はメタクリル酸」を意味する。)、スチレン(メタ)アクリル酸(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレンマレイン酸共重合体、スチレンマレイン酸半エステル共重合体、スチレンマレイン酸エステル共重合体等を挙げることができる。
上記スチレン系サイズ剤の含有量は、上記水溶性接着剤100質量部に対して固形分で5質量部以上30質量部以下が好ましく、10質量部以上20質量部がより好ましい。スチレン系サイズ剤の含有量が上記上限を超えると、コスト高となったり、不透明度やインキ乾燥性の低下を招いたりするおそれがある。一方、スチレン系サイズ剤の含有量が上記下限未満の場合、紙のサイズ性及び表面強度の向上が充分に得られず、印刷時の整面性が低下するおそれや、紙粉パイリングが発生するおそれがある。
塗工液の塗工量としては、片面あたり固形分換算で0.5g/m以上3g/m以下が好ましく、1.0g/m以上2.5g/m以下が好ましい。塗工液の塗工量が上記上限を超えると、塗工液のミストが発生し周辺機器を汚損するとともに、汚れに起因する断紙、用紙の欠陥が生じるおそれやネッパリ性が高くなり、ブランケットへの貼り付き、断紙などのトラブルか生じるおそれがある。一方、塗工液の塗工量が上記下限未満の場合は、塗工液による充分な被膜を形成することが困難となり紙の表面強度が低下するおそれがある。
塗工液の濃度としては、固形分濃度で10質量%以上50質量%以下が好ましく、15質量%以上40質量%以下がより好ましく、20質量%以上30質量%以下がさらに好ましい。塗工液の濃度が上記上限を超えると塗工ムラや未塗工部分が発生する等の塗工性が低下したり、均一な塗工が困難になるおそれがある。一方、塗工液の濃度が上記下限未満の場合、塗工する際に顔料を含むこの塗工液が紙内部にまで浸透しやすくなり、当該新聞用紙の表面強度が低下するおそれがある。
[基紙]
上記基紙は、通常、パルプ及び好ましくは填料等を含むパルプスラリーを抄紙して得られる。
(パルプ)
上記パルプとしては、公知のものを用いることができ、古紙パルプ、バージンパルプ又はこれらの組み合わせたものを適宜用いることができる。なお、バージンパルプよりも古紙パルプを多く用いることが省資源化の観点から好ましい。
古紙パルプとしては、例えば茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙等から製造される離解古紙パルプ、離解・脱墨古紙パルプ(DIP)又は離解・脱墨・漂白古紙パルプ等が挙げられる。
これらの古紙パルプの中でも、新聞古紙由来の新聞古紙パルプ、雑誌古紙由来の雑誌古紙パルプが好ましく、新聞古紙パルプ及び雑誌古紙パルプを混合して用いることがより好ましい。新聞及び雑誌は古紙の回収率が高く、新聞用紙及び雑誌用紙を構成する原料パルプ種や填料類が各製紙メーカーで近似していることから、新聞古紙パルプ及び雑誌古紙パルプは成分が安定している。特に、新聞古紙パルプの原料となる新聞用紙には一般的に古紙パルプが既に50%以上配合されており、バージンの機械パルプやクラフトパルプの含有量が少なく、また、バージンの各種パルプが用いられていても、一度抄紙され、古紙処理により古紙パルプ化されているため、新聞古紙パルプはその性状が均質化されている。
バージンパルプとしては、例えば広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等の化学パルプ;ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(TGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ(MP);ケナフ、麻、葦等の非木材繊維から化学的又は機械的に製造されたパルプ等が挙げられる。
これらのバージンパルプの中でも、古紙パルプを用いる場合の嵩の低下を補完する効果を有する機械パルプ(MP)が好ましく、古紙パルプの調整に好適なサーモメカニカルパルプ(TMP)が特に好ましい。
パルプにおける古紙パルプの含有率としては、60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。パルプにおける古紙パルプの含有率を上記範囲とすることによりインキ着肉性等の印刷適性を向上することができ、さらに資源の有効利用等の環境性を向上することができる。また、パルプにおけるバージンパルプの含有率としては、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。バージンパルプの含有率が上記数値未満の場合、強度や嵩の調整が困難となるため、新聞用紙の強度が低下したり、嵩が出ず腰のない新聞用紙となり搬送性や作業性が低下するおそれがある。
(填料)
上記パルプスラリーに配合する填料としては特に限定されず、例えば二酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、水和ケイ素、ホワイトカーボン、再生粒子、新聞脱墨フロス由来の再生粒子等を挙げることができる。これらの中でも、填料としては、ホワイトカーボン及び新聞脱墨フロス由来の再生粒子が好ましい。このように填料としてホワイトカーボン及び新聞脱墨フロス由来の再生粒子を用いることで、基紙の白色度及び吸油量を向上することができる。
填料の平均粒子径としては、2μm以上20μm以下が好ましく、3μm以上18μm以下がさらに好ましい。填料の平均粒子径が上記上限を超えるとパルプ繊維間の絡み合いが弱まり、紙力が低下するおそれがある。一方、填料の平均粒子径が上記下限未満の場合歩留りが低下し、そのため灰分が減少し当該新聞用紙の印刷不透明度が低下するおそれがある。また、パルプ繊維の空隙を十分に埋めきれず、塗工液が浸透しやすくなり、表面強度が低下するおそれがある。
填料の含有量としては、パルプスラリーに含まれるパルプ(絶乾量)1トンあたり10kg以上50kg以下が好ましい。填料の含有量が上記上限を超えると、抄紙後の填料の脱落により紙粉の発生が増加するおそれがある。一方、填料の含有量が上記下限未満の場合、基紙の白色度及び不透明度が低下するおそれがある。
(その他の添加剤)
基紙には、上記パルプ及び填料の他に、例えば澱粉類、ポリアクリルアミド、エピクロルヒドリン等の紙力増強剤、ロジン、アルキルケテンダイマー、ASA(アルケニル無水コハク酸)、中性ロジン等の内添サイズ剤、硫酸バンド、ポリエチレンイミン等の凝結剤、ポリアクリルアミドやその共重合体等の凝集剤などを添加することができる。
<品質等>
当該新聞用紙における上記顔料の含有量としては、当該新聞用紙の片面あたり0.3g/m以上1.8g/m以下が好ましく、0.5g/m以上1.5g/m以下がより好ましく、0.8g/m以上1.2g/m以下がさらに好ましい。顔料の含有量が上記上限を超えると当該新聞用紙の表面強度が低下するおそれがある。一方、顔料の含有量が上記下限未満の場合、当該新聞用紙の白色度及び印刷不透明度が低下するおそれがある。
当該新聞用紙の白色度は53%以上であり、54%以上95%以下が好ましい。当該新聞用紙の白色度が上記下限未満の場合、印刷された文字等が識別しにくくなり購読者の眼精疲労をきたすおそれがある。一方、白色度が上記上限を超えると、必要な顔料が増大して表面強度が低下したり、顔料の脱落によって紙紛が増加したりするおそれがある。
当該新聞用紙の印刷不透明度は90.5%以上であり、91%以上97.0%以下が好ましい。当該新聞用紙の印刷不透明度が上記下限未満の場合、印刷時の裏抜けが発生するおそれがある。一方、印刷不透明度が上記上限を超えると、必要な顔料が増大して表面強度が低下したり、顔料の脱落によって紙紛が増加したりするおそれがある。
当該新聞用紙の白紙不透明度は、90%以上98%以下が好ましく、92%以上97%以下がより好ましい。当該新聞用紙の白紙不透明度が上記下限未満の場合、裏抜けが生じやすくなるおそれがある。一方、白紙不透明度が上記上限を超えると、必要な顔料が増大して表面強度が低下したり、顔料の脱落によって紙紛が増加したりするおそれがある。
当該新聞用紙の坪量は、38g/m以上48g/m以下が好ましく、40g/m以上46g/m以下がより好ましい。当該新聞用紙の坪量が上記上限を超えると近年の軽量化、省資源に反することとなる。一方、当該新聞用紙の坪量が上記下限未満の場合、十分な不透明度及び強度が得られず、高速オフセット輪転印刷機における印刷が困難となるおそれがある。
当該新聞用紙の灰分は、5%以上15%以下が好ましく、7%以上13%以下がより好ましい。灰分が上記上限を超えると表面強度が低下するおそれがある。一方、灰分が上記下限未満の場合、十分な不透明度が得られないおそれや白色度の向上が得られないおそれがあり、また、印刷作業性が低下するおそれがある。
<新聞用紙の製造方法>
当該新聞用紙は、一般に製紙に用いられるシステムで製造することができる。具体的には、例えばワイヤーパート、プレスパート、プレドライヤーパート、コーターパート、カレンダーパート、リールパートを含む製紙システム等を用いることができる。また、これ以外にも抄紙機とコーターパートとを分離したオフマシンコーターからなる製紙システムを用いても良く、抄紙機とソフトカレンダーを分離したオフマシンカレンダーからなる製紙システムを用いても良い。また、コーターパートに用いられる塗工装置には特に限定がなく、例えば2ロールサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ゲートロールコーター、ブレードコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、エアーナイフコーター等を適宜使用することができる。これらの中でも、原紙の表面に塗工剤を均一にムラなく塗工できるという点から、ゲートロールコーターやロッドメタリングサイズプレスを用い、フィルムトランスファー方式にて塗工することが好ましい。また、カレンダー装置としては、スーパーカレンダー、グロスカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー設備を用いることができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下においては、特に断りのない限り、%は質量%を、薬品添加量はパルプ絶乾質量(t)当たりの固形分質量(kg)を意味する。
なお、本実施例における各測定値は、以下の方法にて測定した値である。
[製紙スラッジ中の無機粒子における炭酸カルシウム、カオリンの含有割合(単位:質量%)]
製紙スラッジ中の無機粒子における炭酸カルシウム、カオリンの含有率は、製紙スラッジを525℃で燃焼して燃焼物を得た後、堀場製作所製のX線マイクロアナライザー(型番:E−MAX・S−2150)を用いて15KVの加速電圧にて再生粒子に含まれる各種元素の酸化物換算質量割合を求め、この結果と、炭酸カルシウム、カオリン、タルク及び二酸化珪素の分子量とに基づいて比例計算を行うことで算出した。
[炭酸カルシウムの分解率(単位:%)]
525℃で燃焼した燃焼物のTG−DTA質量減少率(600〜800℃)と、後述の表1に記載の条件で燃焼した燃焼物のTG−DTA質量減少率(600〜800℃)との差から分解率を求めた。
[水分率(単位:質量%)]
定温乾燥機内に試料を静置し、約105℃で6時間以上保持することで質量変動を認めなくなった時点を乾燥後質量とし、下記式により算出した値である。
水分率(%)=[(乾燥前質量−乾燥後質量)÷乾燥前質量]×100
[炉内温度(単位:℃)]
炉本体内の温度を、熱電対を用いて測定した値である。
[酸素濃度(単位:容量%)]
炉本体内の酸素濃度を、自動酸素濃度測定装置(型番:ENDA−5250、堀場製作所製)を用いて測定した値である。
[分散性(単位:mPa・s)]
雰囲気温度20℃、ローター回転数60rpmの条件下において、B型粘度計(東機産業(株)製、TVM−10M)を用いて測定した値である。なお、粘度(mPa・s)が低いほど分散性が良好であると判断される。
[反応後pH及び製品pH]
反応後pHとは、二酸化炭素吹き込み工程において、二酸化炭素の吹込みを終えた炭酸化反応終了時点のpHを、また、製品pHとは、炭酸化反応を終えた後、pH9.0以上で1時間あたりのpH変動数値が0.5以下となった時点のpHを、それぞれ意味する。
[平均粒子径(単位:μm)]
レーザー回折方式の粒度分布計(型番:マイクロトラックMT−3000II、日機装製)を用いて測定した体積平均粒子径(D50)である。測定試料の調製は、0.1%ヘキサメタ燐酸ソーダ水溶液に粒子を添加し、超音波で1分間分散した。
[白色度(再生粒子)(単位:%)]
色差計(SP−80、東京電色製)を用い、粉体試料を乳鉢で磨り潰し、ガラスセルに詰めて測定した値である。
[吸油量(単位:mL/100g)]
JIS−K5101−13−1(2004)に準じて測定した。すなわち105℃〜110℃で2時間乾燥した試料2g〜5gをガラス板に取り、精製アマニ油(酸価4以下のもの)をビュレットから少量ずつ試料の中央に滴下しその都度ヘラで練り合わせ、滴下練り合わせの操作を繰り返し、全体が初めて1本の棒状にまとまったときを終点として、精製アマニ油の滴下量を求め、下記式によって吸油量を算出した。
吸油量(mL/100g)=[アマニ油量(mL)×100]/紙料(g)
[摩耗度(単位:mg)]
プラスチックワイヤー摩耗度計(日本フィルコン製)を用い、スラリー濃度2%の条件下で3時間後に測定した値である。
[坪量(単位:g/m)]
JIS−P8124(1998)に記載の「紙及び板紙−坪量測定方法」に準拠して測定した。
[灰分(単位:%)]
JIS−P8251(2003)に記載の「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」に準拠して測定した。
[白紙不透明度(単位:%)]
JIS−P8149(2000)「紙及び板紙−不透明度試験方法(紙の裏当て)−拡散照明法」に準拠して測定した。
[印刷不透明度(単位:%)]
JAPAN TAPPI No.45(2000)「新聞用紙−印刷後不透明度試験方法」に準拠し、測定機器ISO白色度計(スガ試験機社製)を用いて測定した。
[白色度(紙)(単位:%)]
JIS−P8148(2001)「紙、板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法」に準拠して測定した。
[インキ着肉性]
オフセット印刷機(型番:小森SYSTEMC−20、小森コーポレーション社製)を使用し、新聞インキ(商品名:ニューズゼットナチュラリス(墨)、大日本インキ化学工業社製)にて連続10000部の印刷を行った。得られた印刷物について、画像の鮮明さ及び濃淡ムラを目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
5:画像が鮮明で濃淡ムラが全くなく、インキ着肉性に優れる。
4:画像が鮮明で濃淡ムラが殆どなく、インキ着肉性が良好である。
3:一部に画像が不鮮明な箇所及び濃淡ムラがややある。
2:一部に画像が不鮮明な箇所及び濃淡ムラがあり、インキ着肉性が良好でない。
1:全体的に画像が不鮮明で濃淡ムラが著しく、インキ着肉性に劣る。
[ブランケット紙粉、パイリング]
オフセット輪転印刷機(型番:LITHOPIA BTO−4、三菱重工業社製)を使用して50連巻きの印刷用紙にて両出し10万部の印刷を行い、印刷紙面のカスレとブランケット非画像部における紙粉の発生及び堆積の有無を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
5:紙面カスレと紙粉の発生が全く認められない。
4:紙面カスレがわずかに認められるがブランケット上での堆積は全く認められない。
3:紙面カスレがやや認められブランケット上での堆積が少し認められる。
2:紙面カスレの発生が認められ、ブランケット上に堆積している。
1:紙面カスレとブランケット上での紙粉の堆積が著しい。
[地汚れ]
オフセットカラー印刷機(型番:SYSTEM C−20、(株)小森コーポレーション製)を使用して、16万部/時の印刷速度で、藍、赤、黄、墨の順に4色カラー印刷を5000部行った後、不特定の30部を抜き取り、地汚れ度合いを目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:ふち汚れの発生が全く認められない。
○:30枚中1〜2枚でふち汚れが発生するが、汚れの程度はごく小さく目立たない。
△:小さなふち汚れが、30枚中3〜5枚で発生する。
×:大きな目立つふち汚れが、30枚中2枚以上で発生する。
〔新聞脱墨フロス由来の再生粒子の製造〕
[製造例1]
新聞脱墨フロス中の無機粒子における炭酸カルシウムの含有量が78質量%である新聞フロスを固形分換算で100質量%含有する製紙スラッジを、水分率が45質量%となるように脱水工程に付した後、製紙スラッジの平均粒子径が3mmとなるように破砕し、内燃式の横型回転式キルン炉を用い、水分率が2質量%となるように乾燥工程に付した後、内燃式の横型回転式キルン炉にて温度800℃、酸素濃度12容量%にて燃焼処理した。燃焼処理での炭酸カルシウムの分解率は90%だった。燃焼工程後の燃焼物を平均粒子径が3μmとなるように粉砕した後、燃焼物濃度が10質量%となるようスラリー化し、二酸化炭素含有ガス(濃度16容量%)を撹拌しながら反応後pHが7.4になるまでスラリーに吹き込み、炭酸カルシウムを析出させ、表面が炭酸カルシウムで被覆された製造例1の再生粒子を得た。得られた再生粒子の平均粒子径は4μm、白色度は88%、吸油量は115mL/100g、ワイヤー摩耗度は80mgであった。なお、製造例1で用いた製紙スラッジ(新聞脱墨フロス)中の無機粒子におけるカオリンの含有量は16質量%であった。
[製造例2〜7、製造比較例1〜5]
製紙スラッジに含まれる新聞脱墨フロスの含有率、製紙スラッジ中の無機粒子における炭酸カルシウムの含有割合、脱水工程、乾燥工程、燃焼工程、スラリー工程、二酸化炭素吹き込み工程の条件を表1及び表2に示すように変更したこと以外は上記製造例1と同様の操作を行い、製造例2〜7、製造比較例1〜5の再生粒子を得た。得られた再生粒子の物性(平均粒子径、白色度、吸油量、摩耗度)を表2に示す。
Figure 2016186145
Figure 2016186145
〔雑誌脱墨フロス由来の再生粒子の製造〕
[製造例A]
雑誌脱墨フロス(雑誌古紙パルプを製造する古紙処理工程由来の脱墨フロス)を固形分換算で100質量%含有する製紙スラッジを水分率が45質量%となるように脱水工程に付した後、製紙スラッジの平均粒子径が3mmとなるように破砕し、有機成分の熱処理工程(280℃、酸素濃度12容量%)、第1燃焼工程(400℃、酸素濃度12容量%)及び第2燃焼工程(680℃、酸素濃度12容量%)を経た後、セラミックボールミルを用いて湿式粉砕処理を施して雑誌脱墨フロス由来の再生粒子(製造例A)を得た。上記有機成分の熱処理工程において用いた内熱式キルンは、本体が横置きで中心軸周りに回転する内熱キルン炉であり、この内熱キルン炉一端の原料供給口から脱墨フロス等の原料を供給するとともに熱風を吹き込む並流方式を採用した。また、上記第1燃焼工程において用いた内熱キルンは、本体が横置きで中心軸周りに回転する内熱キルン炉であり、第2燃焼工程において用いた外熱キルン炉は、内部に平行リフターを有する外熱電気方式のキルン炉を採用した。第1燃焼工程の燃焼温度は、1次燃焼炉出口の温度を測定し、第2燃焼工程の燃焼温度は2次燃焼炉の出口温度を測定した。酸素濃度は、1次燃焼炉の出口酸素濃度及び2次燃焼炉の出口酸素濃度をそれぞれ測定した。得られた雑誌脱墨フロス由来の再生粒子の平均粒子径は2.5μm、白色度は81%、吸油量は60mL/100g、ワイヤー摩耗度は120mgであった。
〔新聞用紙の製造〕
(実施例1)
離解・脱墨古紙パルプ(DIP)を80質量%、サーモメカニカルパルプ(TMP)を20質量%配合し、レファイナーでフリーネスを120mLC.S.F(JIS−P8121に準拠)に調整したパルプスラリーを得た。このパルプスラリーに、内添填料として新聞脱墨フロス由来の再生粒子(エリエールペーパーケミカル社製)10kg/パルプトン、ホワイトカーボン(エリエールペーパーケミカル社製)15kg/パルプトンを添加し、硫酸バンドでpHを6〜7に調整後、凝集剤(ハイモ社製「ハイモロックND270」)を絶乾パルプ100質量部あたり0.07質量部添加し、ツインワイヤー抄紙機で坪量40.5g/mの新聞用原紙を抄造した。
次いで、表3に記載の顔料及び接着剤を含有する塗工液を調整し、ゲートロールコーターにて片面あたり表3に記載する塗工量となるように基紙の両面塗工した後、アフタードライヤーパートで乾燥させ、カレンダー(線圧50kN/m)にて平坦化処理して実施例1の新聞用紙を得た。なお、上記実施例1の新聞用紙は、顔料が新聞用紙の厚みの表面から20%までの部分に認められた。
塗工液に用いた接着剤は以下のとおりである。なお、塗工液には水溶性接着剤100質量部に対しスチレン系表面サイズ剤(品番:SS2712、星光PMC株式会社製)を固形分換算で15質量部添加した。
<水溶性接着剤>
・尿素リン酸エステル化澱粉(品番:スターコート16、日本食品化工株式会社製)
<非水溶性接着剤>
・SBラテックス(品番:R−1395、旭化成ケミカルズ株式会社製)
(実施例2〜10、比較例1〜3)
顔料の種類、顔料の含有量、接着剤の種類、接着剤の含有量、塗工液の塗工量を表3に示すように変更したこと以外は上記実施例1と同様の操作を行い、実施例2〜10及び比較例1〜3の新聞用紙を得た。なお、表3における水溶性接着剤及び非水溶性接着剤の含有量は、顔料100質量部に対する配合量(質量部)を意味する。また、比較例1では、顔料として比較製造例4で作成した再生粒子を体積平均粒子径が4.0μmになるまで粉砕して用いた。比較例2では、顔料として製造例Aの雑誌脱墨フロス由来の再生粒子を用い、比較例3では重質炭酸カルシウム(ファイマテック株式会社製、FMT−90、体積平均粒子径0.7μm)を用いた。
(品質評価)
得られた各新聞用紙について、上記方法にて白色度、白紙不透明度、印刷不透明度、インキ着肉性、ブランケット紙粉パイリング及び地汚れについて評価した。結果を表3に示す。
Figure 2016186145
上記表3に示されるように、本発明の新聞用紙は、白色度及び印刷不透明度が高いことがわかる。また、当該新聞用紙は、インキ着肉性、紙粉パイリング及び地汚れにおいても高い評価であり、印刷適性及び印刷作業性にも優れることがわかる。
本発明の新聞用紙は、古紙の再利用に貢献すると共に、基紙上に塗工する顔料として再生粒子を用いるにもかかわらず、高い白色度及び印刷不透明度を有するため、資源・環境問題に配慮しつつ、軽量化の要請に応える新聞用紙として好適に用いることができる。また、本発明の新聞用紙はインキ着肉性や表面強度等の印刷適性に優れるため、新聞用紙として好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. 基紙を備え、この基紙の少なくとも片方の表層に顔料を含有する新聞用紙であって、
    上記顔料が、製紙スラッジを脱水及び熱処理して得られる再生粒子を含み、
    上記製紙スラッジの主原料が、新聞古紙パルプの製造工程において排出される脱墨フロスであり、
    上記製紙スラッジ中の無機粒子における炭酸カルシウムの含有率が70質量%以上であり、
    上記再生粒子がメタカオリンを主成分とする粒子を核とし、
    この核の表面の少なくとも一部が炭酸カルシウムで被覆されており、
    白色度が53.0%以上、印刷不透明度が90.5%以上であることを特徴とする新聞用紙。
  2. 上記顔料の含有量が片面あたり0.3g/m以上1.9g/m以下である請求項1に記載の新聞用紙。
  3. 上記再生粒子の平均粒子径が1μm以上7μm以下である請求項1又は請求項2に記載の新聞用紙。
  4. 上記顔料と接着剤とを主に含む塗工液を基紙の少なくとも片面に塗工することで形成され、
    上記塗工液の塗工量が片面あたり固形分換算で0.5g/m以上3g/m以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の新聞用紙。
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