JP2016185886A - 低反射コーティング付ガラス板 - Google Patents

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武司 籔田
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Abstract

【課題】高い透過率ゲインを有する低反射コーティング付ガラス板を提供する。【解決手段】本発明の低反射コーティング付ガラス板は、ガラス板と、低反射コーティングとを備える。低反射コーティングは、ガラス板の主面に接して形成された第一層と、第一層に対してガラス板と反対側で第一層に接して形成された第二層とを含む。第一層は、シリカを主成分とする第一微粒子及び第一微粒子を固定するためのケイ素の酸化物を主成分とする第一バインダを含有している。第二層は、シリカを主成分とする第二微粒子及び第二微粒子を固定するためのケイ素の酸化物を主成分とする第二バインダを含有している。第一微粒子及び第二微粒子は、中実であり、第二微粒子の平均一次粒子径は、第一微粒子の平均一次粒子径よりも大きい。【選択図】図1

Description

本発明は、低反射コーティング付ガラス板に関する。
従来、ガラスなどでできた基体の機能改善を目的として、その基体の表面に所定の金属酸化物の微粒子を含むコーティングを施す技術が知られている。
特許文献1には、ソーダライムガラスでできた基体と、基体に形成された下地層と、下地層の表面に形成された光触媒膜とを備えた光触媒体が記載されている。下地層は、アルミニウム、ジルコニウム、ケイ素からなる群から選択された少なくとも一種の酸化物微粒子及びケイ素化合物を主体として構成されている。酸化物微粒子の平均粒径は10〜60nmであり、かつ、酸化物微粒子の下地層におけるモル比率は40〜90%である。光触媒膜は、酸化物微粒子より小さい平均粒径を有する酸化チタン超微粒子を主体としている。これにより、下地層及び光触媒膜が可視光領域で高い透過率を示す。
また、特許文献2には、常温硬化性の光触媒膜を備えた光触媒体が記載されている。この光触媒体は、基体と、基体の表面に配設された下地層と、下地層の上に配設された光触媒膜とを備えている。基体として、例えばガラスを用いることができる。下地層は、Al、Zr、Si、Ti、Zn、Mg、Y、In、Sn、Ta、及びSbのグループから選択された一種又は複数種の金属の酸化物からなる、平均粒径10〜100nmの超微粒子を、Si化合物を主体とする結着材により結着することによって形成されている。また、下地層は、少なくとも表面が多孔質に形成されている。光触媒膜は、平均粒径が下地層の金属酸化物超微粒子の平均粒径より小さい酸化チタン超微粒子を主体とする光触媒性金属酸化物超微粒子を常温硬化性結着材により結着して形成されている。下地層を構成する金属酸化物として、光触媒膜の屈折率より小さい酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどの金属酸化物を用いて光干渉の発生を防止することにより、光触媒膜の透過率を向上させている。
特許文献3には、表面凹凸を有するガラス板と、ガラス板の表面凹凸上に形成された反射抑制膜とを備えた光電変換装置用カバーガラスが記載されている。反射抑制膜は、平均粒径が50〜200nmであるシリカ微粒子とシリカ微粒子のバインダとを含み、表面凹凸の頂部において、シリカ微粒子は、1層に、かつ、充填率Fが35〜65%となるように、均一に配置されている。この光電変換装置用カバーガラスは、2.37%以上の透過率ゲインを有する。透過率ゲインは、反射抑制膜がガラス板に形成されることによって、反射抑制膜がガラス板に形成されていない場合と比べて、所定の範囲の波長の光の平均透過率がどの程度増加するのかを示す。
特開2001−9295号公報 特開2001−328201号公報 特開2014−32248号公報
特許文献3の光電変換装置用カバーガラスのように、光の反射を抑制するために、ガラス板にシリカ微粒子などの金属酸化物の微粒子を含む低反射コーティングが施されることがある。低反射コーティング付ガラス板を透過する光量を増加させる観点から、低反射コーティング付ガラス板に対する、所定の範囲の波長の光の平均透過率が、ガラス板に低反射コーティングが施されない場合と比べて、増加していることが望ましい。
特許文献1に記載の光触媒体において、下地層及び光触媒膜は可視光領域で高い透過率を示す。しかし、下地層及び光触媒膜が形成されることによって、基体に下地層及び光触媒膜が形成されていない場合と比べて、可視光領域の光の透過率が増加するかは定かでない。特許文献2に記載の光触媒体において、光干渉の発生が防止されることにより光触媒膜の透過率は向上している。しかし、下地層及び光触媒膜が形成されることによって、基体に下地層及び光触媒膜が形成されていない場合と比べて、可視光領域の光の透過率が増加するかは定かでない。
特許文献3に記載の技術によれば、反射抑制膜が形成されることによって、ガラス板に反射抑制膜が形成されていない場合に比べて、所定範囲の波長の光の平均透過率を増加させることができる。しかし、特許文献3に記載の技術は、透過率ゲインをさらに高める余地を有する。そこで、本発明は、高い透過率ゲインを示す、新規な低反射コーティング付ガラス板を提供することを目的とする。
本発明は、
ガラス板と、
前記ガラス板の主面に接して形成され、シリカを主成分とする第一微粒子及び前記第一微粒子を固定するためのケイ素の酸化物を主成分とする第一バインダを含有している第一層と、前記第一層に対して前記ガラス板と反対側で前記第一層に接して形成され、シリカを主成分とする第二微粒子及び前記第二微粒子を固定するためのケイ素の酸化物を主成分とする第二バインダを含有している第二層とを含む、低反射コーティングと、を備え、
前記第一微粒子及び前記第二微粒子は、中実であり、
前記第二微粒子の平均一次粒子径は、前記第一微粒子の平均一次粒子径よりも大きい、
低反射コーティング付ガラス板を提供する。
本発明の低反射コーティング付ガラス板は、高い透過率ゲインを示す。
実施例1に係る低反射コーティング付ガラス板のFE−SEM(電界放射型走査型電子顕微鏡)写真 比較例3に係る低反射コーティング付ガラス板のFE−SEM写真
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。
本発明に係る低反射コーティング付ガラス板は、ガラス板と、低反射コーティングとを備えている。ガラス板は、特に制限されないが、典型的にはシリケートガラスなどの無機ガラスでできた板である。低反射コーティングは、ガラス板の主面に接して形成された第一層と、第一層に対してガラス板と反対側で第一層に接して形成された第二層とを含む。第一層は、ガラス板の少なくとも一方の主面に接するように形成されている。また、第一層は、ガラス板の主面の少なくとも一部に接するように形成されている。第一層は、ガラス板の少なくとも一方の主面の全体を覆うように形成されていてもよい。第一層は、シリカを主成分とする第一微粒子及び第一微粒子を固定するための第一バインダを含有している。第一バインダは、ケイ素の酸化物を主成分とする。第二層は、シリカを主成分とする第二微粒子及び第二微粒子を固定するための第二バインダを含有している。第二バインダは、ケイ素の酸化物を主成分とする。第一微粒子及び第二微粒子は、中実である。換言すると、第一微粒子及び第二微粒子は、中空ではない。第二微粒子の平均一次粒子径は、第一微粒子の平均一次粒子径よりも大きい。本明細書において、「主成分」とは、質量基準で最も多く含まれる成分を意味する。本明細書において、「微粒子」とは、3〜200nmの一次粒子径を有する粒子を意味する。また、第一微粒子の平均一次粒子径及び第二微粒子の平均一次粒子径は、低反射コーティングを走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察することによって求めることができる。具体的に、微粒子の全体を観察できる任意の50個の微粒子について、その最大径及び最小径を測定してこれらの平均値を各微粒子の一次粒子径とし、50個の微粒子の一次粒子径の算術平均を「平均一次粒子径」とする。
本発明に係る低反射コーティング付ガラス板は、低反射コーティングが上記のように構成されていることにより、高い透過率ゲインを示す。本発明に係る低反射コーティング付ガラス板は、例えば、3.0%以上の透過率ゲインを示す。本発明に係る低反射コーティング付ガラス板は、場合によっては、3.1%以上、さらには3.2%以上の透過率ゲインを示す。ここで、「透過率ゲイン」は、低反射コーティング付ガラス板に対する、波長400〜1100nmの光の平均透過率から、低反射コーティングが形成されていないガラス板に対する、波長400〜1100nmの光の平均透過率を差し引いて求められる。波長400〜1100nmの光の平均透過率は、波長400〜1100nmの光の透過率の算術平均である。
2つの層を有するコーティングをガラス板に施すと、単一の層からなるコーティングをガラス板に形成する場合に比べて、コーティングが厚くなりやすい。このため、2つの層を有するコーティングをガラス板に形成することは、高い透過率ゲインを実現する観点からは不利であるとも考えられる。しかし、意外にも、2つの層を有するコーティングをガラス板に形成した場合であっても、2つの層の態様及びその組み合わせを工夫することによって、単一の層からなるコーティングをガラス板に形成する場合よりも高い透過率ゲインを実現できることを本発明者らは見出した。これにより、本発明者らは本発明を完成させた。
低反射コーティング付ガラス板が高い透過率ゲインを示すことをより確実に実現する観点から、第二微粒子の平均一次粒子径は、望ましくは、第一微粒子の平均一次粒子径の1.5〜5倍であり、より望ましくは2〜4.5倍であり、さらに望ましくは、2.5〜4倍である。
第一微粒子の平均一次粒子径は、特に制限されないが、例えば3〜60nmであり、望ましくは5〜55nmであり、より望ましくは10〜50nmである。第二微粒子の平均一次粒子径は、特に制限されないが、第一微粒子の平均一次粒子径が上記の範囲にある場合、第二微粒子の平均一次粒子径は、例えば、50〜200nmであり、望ましくは60〜150nmであり、より望ましくは70〜120nmである。この場合に、第二微粒子の平均一次粒子径と第一微粒子の平均一次粒子径との大小関係が上記のような関係にあることが望ましい。
第一微粒子は、第一層に所望の機械的強度及び光学特性を付与する観点から、シリカを95質量%以上含有していることが望ましい。第一層における第一微粒子の配置は、特に制限されないが、低反射コーティング付ガラス板が高い透過率ゲインを示すことをより確実に実現する観点から、第一層において、第一微粒子が所定の二次粒子を形成するように会合していることが望ましい。例えば、第一層において、第一層に含まれる第一微粒子の70%以上が、アスペクト比が1.8〜5であり、短軸の長さが20〜60nm、長軸の長さが50〜150nmである二次粒子を形成するように会合していることが望ましい。ここで、「アスペクト比」とは、二次粒子の長軸の長さの二次粒子の短軸の長さに対する比として定義される。また、「第一層に含まれる第一微粒子の70%以上」とは、粒子数基準で、第一層に含まれる第一微粒子の全体の70%以上であることを意味する。第一層に含まれる第一微粒子の70%以上が、アスペクト比が1.8〜5である二次粒子を形成するように会合していることにより、第一層に適度な大きさの空隙が形成される。このことが、低反射コーティング付ガラス板が高い透過率ゲインを示すことに寄与すると考えられる。波長400〜1100nmの光の平均透過率を高めるために、第一層の平均厚みを所定の範囲に調整することが望ましい。二次粒子の短軸の長さが20〜60nmであり、二次粒子の長軸の長さが50〜150nmであれば、第一層の平均厚みを所定の範囲に調整しても、適切な寸法(アスペクト比、長軸の長さ、及び短軸の長さ)の二次粒子を第一層に出現させることができる。
二次粒子は、一次粒子である第一微粒子が2〜5個会合した二次粒子であってもよい。第一微粒子は、実質的に球形で、実質的に同じ粒径の微粒子であることが望ましい。「実質的に球形」とは、重心を通過する最小径に対する最長径の比が1.6以下、望ましくは1.4以下であることを意味する。「実質的に同じ粒径」とは、90%以上、望ましくは95%以上の第一微粒子の粒子径が、第一微粒子の平均一次粒子径の±20%、望ましくは±15%以下の範囲にあることを意味する。
二次粒子は、2〜3個の第一微粒子が線状に会合した二次粒子であってもよい。この場合、例えば、二次粒子において、短軸の長さが25〜50nm(望ましくは30〜50nm)、長軸の長さが55〜120nm、アスペクト比が1.8〜3である。3個の第一微粒子が線状に会合している場合、その二次粒子は直線状であってもよく、曲がっていてもよい。二次粒子を形成していない第一微粒子は、会合していない一次粒子として存在していてもよい。望ましい一形態において、第一微粒子は、一次粒子が2個会合した二次粒子又は会合していない一次粒子として、第一層に配置されている。
二次粒子は、3個以上の第一微粒子が会合した二次粒子であって、該二次粒子において第一微粒子が2個以上の他の第一微粒子と会合していてよい。具体的に、3個以上の第一微粒子が、三角形又は四角形等の平面多角形状に会合していてもよく、4個以上の第一微粒子が、三角錐又は四角錐等の角錐状や、2個の角錐が底面を共有する形状に会合していてもよい。
第一バインダは、第一層において、第一微粒子を固定する。具体的に、第一バインダは、第一微粒子とガラス板との間、及び隣接する第一微粒子同士の間に存在し、これらの接合強度を高める役割を担う。第一バインダは、ケイ素の酸化物を主成分とし、望ましくはケイ素の酸化物を90質量%以上含有している。ケイ素の酸化物は、第一微粒子の主成分であるシリカとの親和性が高く、加えて、ガラス板がシリケートガラスである場合にはガラス板とも親和性が高いので、補強剤として優れている。また、ケイ素の酸化物の屈折率は比較的低いので、低反射コーティングによる光の透過率の向上を阻害しにくい。
低反射コーティングの平均厚み、第一層の平均厚み、及び第二層の平均厚みは、特に制限されない。ここで、低反射コーティング、第一層、及び第二層のそれぞれの「平均厚み」は、低反射コーティングの断面をSEMによって観察したときに、低反射コーティング、第一層、及び第二層のそれぞれの測定点5点における厚みの平均値により求める。低反射コーティング付ガラス板が高い透過率ゲインを示すことを確実にする観点から、低反射コーティングの平均厚みは、例えば100〜350nmであり、望ましくは125〜325nmであり、より望ましくは150〜300nmである。この場合、第一層の平均厚みは、例えば50〜250nmであり、望ましくは75〜200nmであり、より望ましくは100〜150nmである。これにより、第一層において、第一微粒子の70%以上が、上記のように会合した状態で存在しやすい。また、第二層の平均厚みは、例えば50〜250nmであり、望ましくは70〜200nmであり、より望ましくは80〜150nmである。
第二微粒子は、第二層に所望の機械的強度及び光学特性を付与する観点から、シリカを95質量%以上含有していることが望ましい。第二層における第二微粒子の配置は、特に制限されない。低反射コーティング付ガラス板が高い透過率ゲインを示すことをより確実に実現する観点から、第二層の少なくとも一部で第二微粒子が積層されていないことが望ましい。また、第二層の少なくとも一部で、隣接する微粒子同士が接触していないことが望ましい。換言すると、第二層の少なくとも一部で、複数の第二微粒子が会合していないことが望ましい。例えば、第二層において、30%以上の第二微粒子が、隣接する他の第二次微粒子と会合していないことが望ましい。また、例えば、第二微粒子の占有率が60〜90%であることが望ましい。ここで、「第二微粒子の占有率」は、コーティング付ガラス板の低反射コーティング側の表面を観察したときにコーティング付ガラス板の表面において第二微粒子が占める面積の、その表面全体の面積に対する百分率と定義される。
第二バインダは、第二層において、第二微粒子を固定する。具体的に、第二バインダは、第二微粒子と第一層との間、及び隣接する第二微粒子同士の間に存在し、これらの接合強度を高める役割を担う。第二バインダは、ケイ素の酸化物を主成分とし、望ましくはケイ素の酸化物を90質量%以上含有している。ケイ素の酸化物は、第二微粒子の主成分であるシリカ、第一微粒子の主成分であるシリカ、及び第一バインダの主成分であるケイ素の酸化物との親和性が高いので、補強剤として優れている。また、ケイ素の酸化物の屈折率は比較的低いので、低反射コーティングによる光の透過率の向上を阻害しにくい。
低反射コーティングにおいて、第一微粒子及び第二微粒子に含まれているシリカの質量と、第一バインダ及び第二バインダに含まれているケイ素の酸化物の質量との比は、特に制限されない。低反射コーティング付ガラス板が高い透過率ゲインを示すことをより確実に実現する観点から、第一微粒子及び第二微粒子に含まれているシリカの質量と、第一バインダ及び第二バインダに含まれているケイ素の酸化物の質量との比は、例えば、88:12〜97:3である。この場合、第一層において、第一微粒子に含まれているシリカの質量と、第一バインダに含まれているケイ素の酸化物の質量との比は、90:10〜97:3であることが望ましい。また、第二層において、第二微粒子に含まれているシリカの質量と、第二バインダに含まれているケイ素の酸化物の質量との比は、88:12〜93:7であることが望ましい。第一微粒子及び第二微粒子に含まれているシリカの質量と、第一バインダ及び第二バインダに含まれているケイ素の酸化物の質量との比が、このような範囲に調整されていると、低反射コーティングにおいて、第一微粒子又は第二微粒子の骨格の間に適切な空隙が確保される。これにより、低反射コーティング付ガラス板の透過率ゲインが高まると考えられる。また、第一微粒子又は第二微粒子の骨格の間に空隙が確保されて低反射コーティングのみかけの屈折率が下がって光の反射を抑制する効果が高まるとともに、第一バインダ又は第二バインダが骨格の強度の維持に寄与する。
第一バインダに含まれるケイ素の酸化物及び第二バインダに含まれるケイ素の酸化物は、特に制限されないが、例えば加水分解性シリコン化合物の加水分解縮合生成物である。加水分解性シリコン化合物は、例えばシリコンアルコキシドである。シリコンアルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、又はテトライソプロポキシシランを用いることができる。また、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、グリシドキシアルキルトリアルコキシシラン(例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、他のエポキシシラン類、アクリルシラン類、メタクリルシラン類、又はアミノシラン類等の3官能又は2官能のシリコンアルコキシドを用いることもできる。これらの加水分解性シリコン化合物がゾルゲル法によって加水分解及び縮重合されて、第一バインダ又は第二バインダが形成される。第二バインダを形成するために用いられる加水分解性シリコン化合物は、第一バインダを形成するために用いられる加水分解性シリコン化合物と、同じ種類の加水分解性シリコン化合物であってもよいし、異なる種類の加水分解性シリコン化合物であってもよい。
低反射コーティングは、Al、Ti、及びZrからなる群から選ばれた少なくとも1つの金属の酸化物をさらに含有していてもよい。例えば、低反射コーティングは、第一微粒子及び第二微粒子に含まれているシリカの質量と、第一バインダ及び第二バインダに含まれているケイ素の酸化物の質量との総和を100質量部としたときに、そのような金属の酸化物を3〜17質量部含有していることが望ましい。この場合、例えば、第一層は、第一微粒子に含まれているシリカの質量と、第一バインダに含まれているケイ素の酸化物の質量との総和を100質量部としたときに、金属の酸化物を5〜17質量部含有している。また、例えば、第二層は、第二微粒子に含まれているシリカの質量と、第二バインダに含まれているケイ素の酸化物の質量との総和を100質量部としたときに、金属の酸化物を3〜17質量部含有している。これにより、高い透過率ゲインに加えて、耐アルカリ性又は耐湿性などの所定の特性を低反射コーティングに付与することができる。
低反射コーティングは、例えば、金属の酸化物としてZrO2(二酸化ジルコニウム)を含有していることが望ましい。これにより、低反射コーティングの耐アルカリ性を顕著に向上させることができる。また、場合によっては、ZrO2の適量の含有は低反射コーティング付ガラス板の透過率ゲインをさらに向上させる可能性がある。例えば、低反射コーティングは、第一バインダ及び第二バインダに含まれているケイ素の酸化物の質量との総和を100質量部としたときに、ZrO2を1〜6質量部含有していることが望ましい。この場合、第一層は、例えば、第一微粒子に含まれているシリカの質量と、第一バインダに含まれているケイ素の酸化物の質量との総和を100質量部としたときに、ZrO2を1〜6質量部含有していることが望ましい。また、第二層は、例えば、第二微粒子に含まれているシリカの質量と、第二バインダに含まれているケイ素の酸化物の質量との総和を100質量部としたときに、ZrO2を1〜6質量部含有していることが望ましい。これにより、低反射コーティング付ガラス板が高い透過率ゲインを示しつつ、低反射コーティングが耐アルカリ性を有する。
低反射コーティングは、例えば、金属の酸化物としてTiO2(二酸化チタン)を含有していてもよい。TiO2の適量の含有は、低反射コーティング付ガラス板の透過率ゲインをさらに向上させる可能性がある。例えば、低反射コーティングは、第一微粒子及び第二微粒子に含まれているシリカの質量と、第一バインダ及び第二バインダに含まれているケイ素の酸化物の質量との総和を100質量部としたときにTiO2を1〜8質量部含有していることが望ましい。この場合、第二層がTiO2を含有していることが望ましい。低反射コーティング付ガラス板が高い透過率を示すことをより確実に実現する観点から、第二層は、例えば、第二微粒子に含まれているシリカの質量と、第二バインダに含まれているケイ素の酸化物の質量との総和を100質量部としたときに、TiO2を1〜9質量部含有していることが望ましい。このとき、第一層は、例えば、第一微粒子に含まれているシリカの質量と、第一バインダに含まれているケイ素の酸化物の質量との総和を100質量部としたときに、TiO2を1〜5質量部含有していることが望ましい。これにより、低反射コーティング付ガラス板がより高い透過率ゲインを示す。
低反射コーティングは、例えば、金属の酸化物としてAl23(酸化アルミニウム)を含有していてもよい。低反射コーティング付ガラス板の使用環境によっては、低反射コーティングが耐塩水性を有することが望ましい場合がある。低反射コーティングがAl23を含有していると、低反射コーティングの耐塩水性を高めることができる。この観点から、低反射コーティングは、例えば、第一微粒子及び第二微粒子に含まれているシリカの質量と、第一バインダ及び第二バインダに含まれているケイ素の酸化物の質量との総和を100質量部としたときに、Al23を1〜5質量部含有していることが望ましい。また、低反射コーティングのガラス板に対する密着性を向上させる観点から、低反射コーティングのうち第一層がAl23を含有していることが望ましい。この場合、第一層は、例えば、第一微粒子に含まれているシリカの質量と、第一バインダに含まれているケイ素の酸化物の質量との総和を100質量部としたときに、Al23を1〜5質量部含有していることが望ましい。なお、第二層は、Al23を含有していてもよいし、Al23を含有していなくてもよい。第二層がAl23を含有する場合、第二層は、例えば、第二微粒子に含まれているシリカの質量と、第二バインダに含まれているケイ素の酸化物の質量との総和を100質量部としたときに、Al23を1〜5質量部含有していることが望ましい。
本発明の低反射コーティング付ガラス板に用いられるガラス板は、特に制限されない。このガラス板は、算術平均粗さRaが例えば1nm以下、望ましくは0.5nm以下の平滑な主面を有する、フロート板ガラスであってもよい。また、ガラス板がフロート板ガラスである場合、低反射コーティング付ガラス板は、フロート板ガラスの一方の主面に形成された低反射コーティングと、低反射コーティングが形成された主面と反対側の主面に形成された透明導電膜とを備えていてもよい。換言すると、ガラス板は、低反射コーティングが形成されるべき主面と反対側の主面に透明導電膜が形成されたフロート板ガラスであってもよい。ここで、算術平均粗さRaは、JIS(日本工業規格) B0601−1994に規定された定義に従う。
ガラス板は、その表面に凹凸を有する型板ガラスであってもよい。この場合、その凹凸の平均間隔Smは、例えば0.3mm以上2.5mm以下である。平均間隔Smは、望ましくは0.3mm以上、より望ましくは0.4mm以上、さらに望ましくは0.45mm以上である。また、平均間隔Smは、望ましくは2.5mm以下、より望ましくは2.1mm以下、さらに望ましくは2.0mm以下、とりわけ望ましくは1.5mm以下である。ここで、平均間隔Smは、粗さ曲線が平均線と交差する点から求めた山谷一周期の間隔の平均値を意味する。また、ガラス板である型板ガラス板の表面の凹凸は、上記範囲の平均間隔Smとともに、例えば0.5μm〜10μmの最大高さRyを有し、特に1μm〜8μmの最大高さRyを有することが望ましい。ここで、平均間隔Sm及び最大高さRyは、JIS B0601−1994に規定された値である。
また、ガラス板であるガラス板の表面の凹凸は、上記範囲の平均間隔Sm,最大高さRyとともに、例えば0.3μm〜5.0μmの算術平均粗さRaを有し、特に0.4μm〜2.0μm、さらに0.5μm〜1.2μmの算術平均粗さRaを有することが好ましい。ガラス板である型板ガラスの表面がこのような凹凸を有していると、凹凸による防眩効果を十分に得ることができる。
ガラス板は、通常の型板ガラス又は建築用の板ガラスと同様の組成であってよいが、着色成分を極力含まないことが望ましい。このため、ガラス板において、代表的な着色成分である酸化鉄の含有率は、Fe23に換算して、0.06質量%以下、特に0.02質量%以下であることが望ましい。
低反射コーティング付ガラス板は、特に制限されないが、例えば、以下のステップ(a1)〜(c1)によって製造できる。(a1)第一微粒子と第一バインダの供給源となる化合物とを含むコーティング液Aを調製し、コーティング液Aをガラス板の少なくとも一方の主面の少なくとも一部に供給して第一層のための塗膜Aを形成し、塗膜Aを乾燥させる。(b1)第二微粒子と第二バインダの供給源となる化合物とを含むコーティング液Bを調製し、そのコーティング液Bを乾燥した塗膜Aの上に供給して第二層のための塗膜Bを形成し、塗膜Bを乾燥させる。(c1)乾燥した塗膜A及び塗膜Bの雰囲気温度を所定の温度(焼成温度)で所定期間維持して、塗膜A及び塗膜Bを焼成させて、第一層及び第二層、すなわち、低反射コーティングを形成する。このような製造方法によれば、塗膜A及び塗膜Bを同時に焼成できるので製造工程が簡素である。また、第一層と第二層との密着性を高めることができる。
なお、低反射コーティング付ガラス板は、第一層が形成された後に第二層が形成されることによって製造されてもよい。すなわち、低反射コーティング付ガラス板は、例えば、以下のステップ(a2)〜(c2)によって製造されてもよい。(a2)第一微粒子と第一バインダの供給源となる化合物とを含むコーティング液Aを調製し、コーティング液Aをガラス板の少なくとも一方の主面の少なくとも一部に供給して第一層のための塗膜Aを形成して塗膜Aを乾燥させ、その後塗膜Aの雰囲気温度を所定の温度(焼成温度)に所定期間維持して塗膜Aを焼成して第一層を形成する。(b2)第二微粒子と第二バインダの供給源となる化合物とを含むコーティング液Bを調製し、そのコーティング液Bを第一層の上に供給して第二層のための塗膜Bを形成し、塗膜Bを乾燥させる。(c2)乾燥した塗膜Bの雰囲気温度を所定の温度(焼成温度)で所定期間維持して、塗膜Bを焼成させて、第二層を形成する。
第一バインダに含まれるケイ素の酸化物及び第二バインダに含まれるケイ素の酸化物が加水分解性シリコン化合物の加水分解縮合生成物である場合、加水分解性シリコン化合物の加水分解は、第一微粒子又は第二微粒子が存在する溶液中で実施されることが望ましい。なぜなら、第一微粒子又は第二微粒子の表面に存在するシラノール基と、シリコンアルコキシドなどの加水分解性シリコン化合物が加水分解して生成されたシラノール基との縮重合反応が促進され、第一微粒子の結合力を向上させるのに寄与する第一バインダの割合及び第二微粒子の結合力を向上させるのに寄与する第二バインダの割合が高まるからである。具体的に、ステップ(a1)又はステップ(a2)において、第一微粒子を含む溶液を撹拌しながら、加水分解触媒及び加水分解性シリコン化合物を順次添加しながら、コーティング液Aを調製することが望ましい。また、ステップ(b1)又はステップ(b2)において、第二微粒子を含む溶液を撹拌しながら、加水分解触媒及び加水分解性シリコン化合物を順次添加しながら、コーティング液Bを調製することが望ましい。
コーティング液A及びコーティング液Bには、それぞれ、界面活性剤が添加されていてもよい。界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤又はフッ素系界面活性剤を用いることができる。例えば、コーティング液Aには、フッ素系界面活性剤が添加されていることが望ましく、コーティングBには、シリコーン系界面活性剤が添加されていることが望ましい。コーティング液A及びコーティング液Bにおける界面活性剤の濃度は、例えば0.005重量%以上0.5重量%以下であり、望ましくは0.01重量%以上0.3重量%以下である。界面活性剤の添加により、コーティング液の表面張力が低下する。これにより、ガラス板の主面に供給されたコーティング液A又は乾燥した塗膜Aの上に供給されたコーティング液Bが乾燥するときに、液膜が濃縮されるのに伴い液膜の厚みが均一になりやすい。
ガラス板の主面にコーティング液Aを供給する方法及び乾燥した塗膜A又は第一層にコーティング液Bを供給する方法は、特に制限されないが、スピンコーター、ロールコーター、スプレーコーター、又はカーテンコーターなどの装置を用いる方法;ディップコーティング法;フローコーティング法;スクリーン印刷、グラビア印刷、又は曲面印刷などの各種印刷法;及びスプレー法などの方法を用いることができる。なかでも、均一な厚みを有する層を比較的大きな面積で形成することができ、層の厚みの調整が比較的容易であるので、スピンコーターを用いる方法(スピンコーティング法)を望ましく使用できる。スピンコーターによってガラス板を800〜1000rpm(revolutions per minute)の回転数で回転させて塗膜Aを形成することが望ましい。また、スピンコーターによってガラス板を800〜1000rpmの回転数で回転させて塗膜Bを形成することが望ましい。これにより、適切な厚みの第一層及び適切な厚みの第二層を容易に形成できる。
塗膜A又は塗膜Bを焼成するときの塗膜A又は塗膜Bの雰囲気温度の最高値は、特に制限されないが、例えば、600〜800℃である。また、塗膜A又は塗膜Bを焼成するときに、塗膜A又は塗膜Bの雰囲気温度を760℃以上の温度で4分間以上維持することが望ましい。
以下、実施例により、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。まず、実施例及び比較例に係る低反射コーティング付ガラス板に対して行った評価方法を説明する。
(透過率ゲイン)
分光光度計(島津製作所社製、UV−3100)を用いて、各実施例及び各比較例に係る低反射コーティング付ガラス板の透過率スペクトルを測定した。この透過率スペクトルにおいて、波長400nm〜1100nmにおける透過率を平均化して、各実施例及び各比較例に係る低反射コーティング付ガラス板に対する、波長400nm〜1100nmにおける光の平均透過率を算出した。また、各実施例及び各比較例に用いられたガラス板について、低反射コーティングが形成されていない状態で透過率スペクトルを測定した。この透過率スペクトルにおいて、波長400nm〜1100nmにおける透過率を平均化して、低反射コーティングが形成されていないガラス板に対する、波長400nm〜1100nmの光の平均透過率を算出した。各実施例及び各比較例において、それぞれ、低反射コーティング付ガラス板に対する、波長400nm〜1100nmの光の平均透過率から、低反射コーティングが形成されていないガラス板に対する、波長400nm〜1100nmの光の平均透過率を差し引いて、透過率ゲインを求めた。結果を表1に示す。
(SEM観察)
実施例及び比較例に係る低反射コーティング付ガラス板の低反射コーティングをFE−SEM(日立製作所社製、型式:S−4500)によって観察した。低反射コーティングの平均厚み、第一層(下層)の平均厚み、及び第二層(上層)の平均厚みとして、それぞれ、低反射コーティングの30°斜め上方からの断面におけるFE−SEM写真から、測定点5点での低反射コーティングの厚みの算術平均値、測定点5点での第一層(下層)の厚みの算術平均値、及び測定点5点での第二層(上層)の厚みの算術平均値を求めた。結果を表1に示す。実施例1に係る低反射コーティング付ガラス板のFE−SEM写真を図1に、比較例3に係る低反射コーティング付ガラス板のFE−SEM写真を図2に示す。
<実施例1>
(コーティング液の調製)
シリカ微粒子分散液(扶桑化学工業社製、製品名:PL−3H、シリカ微粒子の一次粒子の平均粒径:35nm、会合二次粒子の短軸の長さ35nm、会合二次粒子の長軸の長さ70nm、固形分濃度20重量%)47.7重量部、エチルセロソルブ48.9重量部、及び1N塩酸(加水分解触媒)1.0重量部を攪拌混合し、さらに攪拌しながらテトラエトキシシラン2.4重量部を添加して40℃に保温しながら8時間攪拌してテトラエトキシシランを加水分解させ、原液aを得た。原液aにおける固形分濃度は10重量%であり、原液aに含まれる固形分のうち、微粒子に含まれるシリカ成分とバインダに含まれるケイ素の酸化物成分との比率は、SiO2に換算した質量基準で93:7であった。なお、上記のシリカ微粒子は、中実の(言い換えれば中空でない)微粒子であった。固形分の質量は、液に含まれる成分が含む金属元素を最も安定な酸化物に換算した質量を意味する。なお、このシリカ微粒子をSEMによって観察したところ、一次粒子は、実質的に球形で実質的に同じ粒径であった。また、一次粒子が1個だけ孤立しているものと、2個の一次粒子が会合して二次粒子を形成しているものとが観察され、一次粒子の総数のうち、約80%が二次粒子を形成しており、残りの約20%が1次粒子のまま孤立していた。
原液a10.00重量部、イソプロピルアルコール34.68重量部、3−メトキシ−1−ブタノール1.50重量部、オキシ塩化ジルコニウム8水和物(特級、関東化学社製)の10質量%水溶液0.78重量部、キレート化チタン化合物(シグマアルドリッチ社製、チタニウム(ジイソプロポキシド)ビス(2,4ペンタジオネート)の75%イソプロピルアルコール溶液)の10質量%イソプロピルアルコール希釈液3.04重量部を撹拌混合し、コーティング液A1を得た。コーティング液A1における固形分濃度は2.16重量%であった。また、コーティング液A1に含まれるシリカ及びケイ素の酸化物をSiO2に換算した質量と、コーティング液A1に含まれるジルコニウム化合物をZrO2に換算した質量と、コーティング液A1に含まれるチタン化合物をTiO2に換算した質量との比は、100:3:5であった。
シリカ微粒子分散液(扶桑化学工業(株)、PL−7、平均粒径100nm、固形分濃度23重量%)39.1重量部、エチルセロソルブ56.4重量部、及び1N塩酸(加水分解触媒)1.0重量部を撹拌混合し、さらに撹拌しながらテトラエトキシシラン3.5重量部を添加し、引き続き40℃に保温しながら8時間撹拌して原液bを得た。原液bにおける固形分濃度は10重量%であり、原液bに含まれる固形分中の微粒子に含まれるシリカ成分とバインダに含まれるケイ素の酸化物成分との比率は、SiO2に換算した質量基準で90:10であった。なお、上記シリカ微粒子は、中実の(言い換えれば中空ではない)微粒子であった。
原液b5.00重量部、イソプロピルアルコール40.68重量部、3−メトキシ−1−プロパノール1.5重量部、オキシ塩化ジルコニウム8水和物(特級、関東化学株式会社)の50%水溶液0.39重量部、及びキレート化チタン化合物(シグマアルドリッチ社製、チタニウム(ジイソプロポキシド)ビス(2,4ペンタジオネート)の75%イソプロピルアルコール溶液)の10質量%イソプロピルアルコール希釈液2.43重量部を撹拌混合し、コーティング液B1を得た。このコーティング液B1における固形分濃度は1.11重量%であった。また、コーティング液B1に含まれるシリカ及びケイ素の酸化物をSiO2に換算した質量と、コーティング液B1に含まれるジルコニウム化合物をZrO2に換算した質量と、コーティング液A1に含まれるチタン化合物をTiO2に換算した質量との比は、100:3:8であった。
(低反射コーティングの形成)
ソーダライムシリケート組成からなる型板ガラス(日本板硝子社製、100mm×300mm、厚さ3.2mm)をアルカリ超音波洗浄し、低反射コーティングを形成するためのガラス板として準備した。この型板ガラスの一方の主面は、算術平均粗さRa1.1μm、最大高さRy6.1μm、平均間隔Sm0.79mm、θ=tan-1(4Ra/Sm)で定義される平均傾斜角θが0.32°である表面凹凸を有していた。なお、この型板ガラスの光学特性を上記の方法により測定したところ、平均透過率91.6%であった。
スピンコーティング法により、コーティング液A1を型板ガラスの上記の表面凹凸を有する主面に塗布した。市販のスピンコーターによって水平に保持された型板ガラスに1.7mlのコーティング液A1を供給した。スピンコーターを用いてコーティング液A1が滴下された型板ガラスを1000rpmの回転数で15秒間回転させた。その後、この型板ガラスを350℃の電気炉に60秒間入れて、コーティング液A1に含まれる溶媒を除去し、第一層(下層)を形成するための下塗膜を形成した。次に、スピンコーターによって水平に保持された、下塗膜が形成された型板ガラスに1.7mlのコーティング液B1を滴下した。スピンコーターを用いてコーティング液B1が滴下された型板ガラスを1000rpmの回転数で15秒間回転させた。その後、この型板ガラスを350℃の電気炉に60秒間入れて、コーティング液B1に含まれる溶媒を除去し、第二層(上層)を形成するための上塗膜を形成した。次に、下塗膜及び上塗膜が形成された型板ガラスを760℃の電気炉に5分間入れてこれらの塗膜を焼成し、第二層(上層)及び第一層(下層)を有する低反射コーティングを形成した。このようにして、実施例1に係る低反射コーティング付ガラス板を作製した。実施例1に係る低反射コーティング付ガラス板の断面をFE−SEMによって観察した結果を図1に示す。
<実施例2>
原液b5.00重量部、イソプロピルアルコール34.68重量部、3−メトキシ−1−プロパノール1.50重量部、及びオキシ塩化ジルコニウム8水和物(特級、関東化学株式会社)の50質量%水溶液0.61重量部を撹拌混合し、コーティング液B2を得た。このコーティング液B2における固形分濃度は1.05重量%であった。また、コーティング液B2に含まれるシリカ及びケイ素の酸化物をSiO2に換算した質量と、コーティング液B2に含まれるジルコニウム化合物をZrO2に換算した質量との比は、100:4.7であった。
コーティング液B1の代わりにコーティング液B2を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係る低反射コーティング付ガラス板を作製した。
<実施例3>
原液a10.00重量部、イソプロピルアルコール36.48重量部、3−メトキシ−1−ブタノール1.50重量部、オキシ塩化ジルコニウム8水和物(特級、関東化学株式会社)の50質量%水溶液1.31重量部、及び塩化アルミニウム6水和物の10質量%水溶液0.71重量部を撹拌混合して、コーティング液A2を得た。コーティング液A2における固形分濃度は2.16重量%であった。また、コーティング液A2に含まれるシリカ及びケイ素の酸化物をSiO2に換算した質量と、コーティング液A2に含まれるジルコニウム化合物をZrO2に換算した質量と、コーティング液A2に含まれるアルミニウム化合物をAl23に換算した質量との比は、100:5:3であった。
コーティング液A1の代わりにコーティング液A2を用い、かつ、コーティング液B1の代わりにコーティング液B2を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例3に係る低反射コーティング付ガラス板を作製した。
<比較例1>
表1に示す条件で、上塗膜を形成せずに下塗膜のみを形成し、下塗膜のみを焼成した以外は、実施例1と同様にして、比較例1に係る低反射コーティング付ガラス板を作製した。
<比較例2>
イソプロピルアルコール32.44重量部、テトラエトキシシラン17.31重量部、純水10.48重量部、及び1N塩酸0.25重量部を40℃に保温しながら8時間撹拌してコーティング液C1を得た。コーティング液C1における固形分濃度は10重量%であった。表1に示す条件で、コーティング液C1を用いて下塗膜を形成し、コーティング液A1を用いて上塗膜を形成して、これらの塗膜を焼成した以外は実施例1と同様にして、比較例2に係る低反射コーティング付ガラス板を作製した。
<比較例3>
表1に示す条件で、コーティング液B2を用いて下塗膜を形成し、コーティング液A1を用いて上塗膜を形成して、これらの塗膜を焼成した以外は実施例1と同様にして、比較例2に係る低反射コーティング付ガラス板を作製した。比較例3に係る低反射コーティング付ガラス板の断面をFE−SEMによって観察した結果を図2に示す。

Claims (14)

  1. ガラス板と、
    前記ガラス板の主面に接して形成され、シリカを主成分とする第一微粒子及び前記第一微粒子を固定するためのケイ素の酸化物を主成分とする第一バインダを含有している第一層と、前記第一層に対して前記ガラス板と反対側で前記第一層に接して形成され、シリカを主成分とする第二微粒子及び前記第二微粒子を固定するためのケイ素の酸化物を主成分とする第二バインダを含有している第二層とを含む、低反射コーティングと、を備え、
    前記第一微粒子及び前記第二微粒子は、中実であり、
    前記第二微粒子の平均一次粒子径は、前記第一微粒子の平均一次粒子径よりも大きい、
    低反射コーティング付ガラス板。
  2. 前記第二微粒子の平均一次粒子径は、前記第一微粒子の平均一次粒子径の1.5〜5倍である、請求項1に記載の低反射コーティング付ガラス板。
  3. 前記第一微粒子の平均一次粒径が3〜60nmであり、かつ、前記第二微粒子の平均一次粒径が50〜200nmである、請求項1又は2に記載の低反射コーティング付ガラス板。
  4. 前記第一層において、前記第一微粒子の70%以上が、長軸の長さの短軸の長さに対する比として定義されるアスペクト比が1.8〜5であり、短軸の長さが20〜60nm、長軸の長さが50〜150nmである二次粒子を形成するように会合している、請求項3に記載の低反射コーティング付ガラス板。
  5. 前記第一層の平均厚みが50〜250nmであり、前記第二層の平均厚みが50〜250nmであり、前記低反射コーティングの平均厚みが100〜350nmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の低反射コーティング付ガラス板。
  6. 前記低反射コーティングにおいて、前記第一微粒子及び前記第二微粒子に含まれているシリカの質量と、前記第一バインダ及び前記第二バインダに含まれているケイ素の酸化物の質量との比が、88:12〜97:3である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の低反射コーティング付ガラス板。
  7. 前記第一層において、前記第一微粒子に含まれているシリカの質量と、前記第一バインダに含まれているケイ素の酸化物の質量との比が、90:10〜97:3であり、
    前記第二層において、前記第二微粒子に含まれているシリカの質量と、前記第二バインダに含まれているケイ素の酸化物の質量との比が、88:12〜93:7である、
    請求項6に記載の低反射コーティング付ガラス板。
  8. 前記低反射コーティングは、Al、Ti、及びZrからなる群から選ばれた少なくとも1つの金属の酸化物をさらに含有している、請求項1〜7のいずれか1項に記載の低反射コーティング付ガラス板。
  9. 前記低反射コーティングは、前記第一微粒子及び前記第二微粒子に含まれているシリカの質量と、前記第一バインダ及び前記第二バインダに含まれているケイ素の酸化物の質量との総和を100質量部としたときに、前記金属の酸化物を3〜17質量部含有している、請求項8に記載の低反射コーティング付ガラス板。
  10. 前記低反射コーティングは、前記金属の酸化物としてZrO2を含有している、請求項9に記載の低反射コーティング付ガラス板。
  11. 前記第一層は、前記第一微粒子に含まれているシリカの質量と、前記第一バインダに含まれているケイ素の酸化物の質量との総和を100質量部としたときに、前記金属の酸化物を5〜17質量部含有し、
    前記第二層は、前記第二微粒子に含まれているシリカの質量と、前記第二バインダに含まれているケイ素の酸化物の質量との総和を100質量部としたときに、前記金属の酸化物を3〜10質量部含有している、
    請求項9又は10に記載の低反射コーティング付ガラス板。
  12. 当該低反射コーティング付ガラス板に対する、波長400〜1100nmの光の平均透過率から、前記低反射コーティングが形成されていない前記ガラス板に対する、波長400〜1100nmの光の平均透過率を差し引いて求められる透過率ゲインが、3.0%以上である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の低反射コーティング付ガラス板。
  13. 前記第一バインダに含まれるケイ素の酸化物及び前記第二バインダに含まれるケイ素の酸化物は、加水分解性シリコン化合物の加水分解縮合生成物である、請求項1〜12に記載の低反射コーティング付ガラス板。
  14. 前記加水分解性シリコン化合物がシリコンアルコキシドである、請求項13に記載の低反射コーティング付ガラス板。
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