JP2016183965A - フィルム試料固定装置、それを有するx線分析装置及び方法並びにそれを用いたフィルム製造装置及び方法とその方法により製造されたフィルム - Google Patents
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Description
(1)フィルム試料を帯電させる帯電機構と、帯電されたフィルム試料を保持する試料台とを有することを特徴とするフィルム試料固定装置。
(2)上記帯電機構と上記試料台の表面とが対向している、(1)に記載のフィルム試料固定装置。
(3)上記試料台の表面の中心線平均表面粗さRaが50nm以下かつ抵抗率が500Ω・cm以下である、(1)または(2)に記載のフィルム試料固定装置。
(4)上記帯電機構が圧電効果方式による帯電機構またはコロナ放電方式による帯電機構のいずれかである、(1)〜(3)のいずれかに記載のフィルム試料固定装置。
(5)上記帯電機構がガンタイプによる帯電機構またはバータイプによる帯電機構のいずれかである、(1)〜(4)のいずれかに記載のフィルム試料固定装置。
(6)上記試料台が電圧印加機構を備えており、該電圧印加機構が上記帯電機構より印加される電圧とは逆極性の電圧を印加することができる機構からなる、(1)〜(5)のいずれかに記載のフィルム試料固定装置。
(7)上記帯電機構または上記試料台、またはそれらの両方が、上記帯電機構と上記試料台との距離を変更可能な可動機構を有する、(1)〜(6)のいずれかに記載のフィルム試料固定装置。
(8)X線照射機構、X線分析機構および(1)〜(7)のいずれかに記載のフィルム試料固定装置を有するX線分析装置。
(9)(8)に記載のX線分析装置を用いる、X線分析方法。
(10)(8)に記載のX線分析装置を有するフィルム製造装置。
(11)(10)に記載のフィルム製造装置を用いる、フィルム製造方法。
(12)(11)に記載のフィルム製造方法により製造されたフィルム。
本発明のフィルム試料固定装置はフィルム試料を保持するための固定装置であって、前記固定装置は試料台と帯電機構とを有するフィルム試料固定装置である。試料台表面に載置されたフィルム試料に向かって帯電機構を配置し、帯電機構より電圧を印加することで試料台上にフィルム試料を水平かつ平坦に固定することが可能となる。
本発明において使用されるフィルム試料としては、有機高分子化合物からなるフィルム基材単体でもよく、フィルム基材上に無機化合物層や有機化合物層の単膜、また、それらの積層膜などが形成されていても構わない。また、それらのフィルム試料は絶縁性であっても、導電性であっても構わない。
図4は本発明の一実施態様に係るX線分析装置10を示している。X線分析装置10は、X線を試料に向けて照射するためのX線照射機構101と、反射X線を検出するためのX線検出機構103と、試料台15上に帯電機構19による帯電を利用してフィルム試料20を保持するためのX線分析用フィルム試料固定装置102を有することが好ましい。また、X線照射機構101とX線検出機構103とは、ブラッグの式を満足させるように、回転中心を中心に同期して対象に回転運動するゴニオメータ構造となっていることが好ましい。
本発明は、上述したX線照射機構、X線検出機構およびフィルム試料固定装置を有するX線分析装置を用いたフィルム試料のX線分析方法も提供する。本発明に係るX線分析装置が使用される分析法は特に限定されず、X線回折法、X線反射率法、分光エリプソメトリ、小角X線散乱法などに使用される。これらの中でも、特に分析試料の平面性が要求されるX線反射率法(例えば、「X線反射率入門」(桜井健次編集)p.51〜78に記載の方法)に好ましく用いられる。なお、X線反射率法においては、波長の異なるX線(いわゆる白色X線)を用いて試料を固定したまま即映するエネルギー分散法や単色X線の角度を大きく分散させて試料表面に入射させ、試料を固定したまま測定する方法がある。これらいずれの方法においても、X線の全反射臨界角程度(入射角0.1°〜0.5°程度)でX線を入射することが好ましい。
前記X線分析装置を含むフィルム製造装置としては、公知のフィルム製造装置にX線分析装置を備えたものであれば特に限定されず、フィルム基材上に無機化合物層や有機化合物層の単膜またはそれらの積層膜を形成するフィルム製造装置に特に好適に適用することができる。積層膜を形成するフィルム製造装置において、該X線分析装置は、膜形成工程の後または、フィルム試料の巻き取り工程前に備え付けられることが好ましく、前記膜の膜密度、膜厚、表面粗さ等を評価することが可能となる。X線分析の評価時には、評価部のフィルム基材が停止していることが好ましいので、前記フィルム製造装置は評価部のフィルム基材が停止している際に他の搬送部分の搬送を調整できる機構(例えば、搬送中のフィルム基材をある部位で所定長蓄積し、その部位以降の部位ではあたかも搬送を停止している状態を一時的に実現可能なアキュムレータ機構等)を備えることが好ましい。
該フィルム製造方法によって得られるフィルムは、例えば、特性のばらつきが低減されたフィルムであるため、特性のばらつきが特に重要とされる用途(例えば、非常に高いガスバリア性が求められるガスバリア性フィルムや電子部品等)に特に好ましく用いられる。
まず、各実施例および比較例における評価方法を説明する。
(1)試料台表面の表面粗さRaの測定方法
(株)小坂研究所製の触針式3次元粗さ計ET4000Aを用いて、以下の条件で試料台の表面粗さを測定した。測定はそれぞれ3回行い、3回の平均値を中心線平均表面粗さRaとして採用した。
測定力:100N、Xピッチ;1.00μm、Yピッチ:5.00μm、Z測定倍率:200,000倍、X送り速さ;0.1mm/sec、低域カット:0.25mm、高域カット:R+W、レべリング:未処理。
低抵抗率計Loresta−EP MCP−T360(三菱化学(株)製)を用いて、4探針法(JIS0602−1995に準拠)にて試料台の中央部分の抵抗率を測定した。測定はそれぞれ3回行い、3回の平均値を抵抗率として採用した。
X線反射率法(「X線反射率入門」(桜井健次編集)p.51〜78)により、測定試料の密度、表面粗さ、膜厚を測定した。すなわち、フィルム試料に、斜方向からX線を照射し、入射X線強度に対する全反射X線強度の入射角度依存性を測定することにより、得られた反射波の全反射X線強度プロファイルを得た。すなわち、まず封入管式X線発生装置からX線(CuKα線)を発生させ、多層膜ミラー(CBOユニット)にて平行ビームにした後、入射スリット(ソーラースリット)を通してX線角度を制限し、フィルム試料に入射させる。X線の入射角度を測定するフィルム試料表面とほぼ平行な浅い角度で入射させることによって、反射、干渉したX線の反射ビームが発生する。発生した反射ビームを受光スリット(PSA+ソーラースリット)に通して必要なX線角度に制限した後、ディテクタ(シンチレーションカウンタ;SC−70)に入射させることでX線強度を測定する。本方法を用いて、X線の入射角度を0〜4.0°の範囲で連続的に変化させて測定を行うことによって、各入射角度における全反射X線強度プロファイルを得た。
測定条件は下記の通りとした。
・装置:Rigaku社製“Smart Lab”
・測定範囲(試料表面とのなす角):0〜4.0°、0.01°ステップ
・入射スリットサイズ:0.05mm×10.0mm
・受光スリットサイズ:0.15mm×20.0mm
・解析ソフト:Rigaku社製“Grobal Fit”。
図2に示したフィルム試料固定装置1bを使用し、測定試料である縦40mm、横30mm、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製“ルミラー”(登録商標)U48)上にスパッタリング法により形成されたTiO2膜の密度、膜厚、表面粗さを測定した。Ra:0.2nm、抵抗率:3Ω・cmである試料台2(株式会社シリコンテクノロジー社製シリコンウェハ、Si(100)、CZ−N型、厚さ525μm)の上にフィルム試料を載置し、圧電効果式帯電機構6(Milty社製“Zerostat”)を作動することにより、フィルム試料を試料台2に固定させた。次に、上記したX線反射率法によって、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に形成されたTiO2膜の密度、膜厚、表面粗さを測定した。なお、X線反射率法で1回測定する毎に、試料台上のフィルム試料を取り付け直す方法で、繰り返し5回(n:1〜5)測定した。結果を表1に示す。
図1に示したフィルム試料固定装置1aを使用した以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に形成されたTiO2膜の密度、膜厚、表面粗さを測定した。フィルム試料固定装置1aには、帯電機構3はコロナ放電式帯電機構(株式会社グリーンテクノ社製コロナ帯電バーB−500)を用い、フィルム試料を試料台2に固定させた。なお、X線反射率法で1回測定する毎に、フィルム試料を貼り直す方法で、繰り返し5回測定した。結果を表1に示す。
試料台2にRa:0.2nm、抵抗率:100Ω・cmである試料台(株式会社シリコンテクノロジー社製シリコンウェハ、Si(100)、CZ−N型、厚さ525μm)を用いた以外は実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に形成されたTiO2膜の密度、膜厚、表面粗さを測定した。結果を表1に示す。
試料台2にRa:10nm、抵抗率:3Ω・cmである試料台(株式会社シリコンテクノロジー社製シリコンウェハ、Si(100)、CZ−N型、厚さ525μm)を用いた以外は実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に形成されたTiO2膜の密度、膜厚、表面粗さを測定した。結果を表1に示す。
フィルム基材に厚み50μmのシクロオレフィンポリマーフィルム(日本ゼオン株式会社製“ゼオノアフィルム”(登録商標)ZF−14)を用いた以外は、実施例1と同様にして、シクロオレフィンポリマーフィルム上のTiO2膜の密度、膜厚、表面粗さを測定した。なお、X線反射率法で1回測定する毎に、フィルム試料を貼り直す方法で、繰り返し5回測定した。結果を表1に示す。
フィルム基材に厚み30μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製“ルミラー”(登録商標)U48)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレートフィルム上のTiO2膜の密度、膜厚、表面粗さを測定した。なお、X線反射率法で1回測定する毎に、フィルム試料を貼り直す方法で、繰り返し5回測定した。結果を表1に示す。
フィルム基材に厚み28μmのシクロオレフィンポリマーフィルム(日本ゼオン株式会社製“ゼオノアフィルム”(登録商標)ZM−14)を用いた以外は、実施例1と同様にして、シクロオレフィンポリマーフィルム上のTiO2膜の密度、膜厚、表面粗さを測定した。なお、X線反射率法で1回測定する毎に、フィルム試料を貼り直す方法で、繰り返し5回測定した。結果を表1に示す。
図7に示すように、フィルム試料固定装置を使用せず、試料台40上にフィルム試料28を載置した以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に形成されたTiO2膜の密度、膜厚、表面粗さを測定した。なお、図7において、28aは分析面、28bは実際に分析に供される分析面を示している。また、X線反射率法で1回測定する毎に、ポリエチレンテレフタレートフィルムを置き直す方法で、繰り返し5回密度、膜厚、表面粗さの測定を試みた。結果を表1に示す。
図8に示すように、両面粘着テープ29でフィルム試料28を試料台40上に固定した以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に形成されたTiO2膜の密度、膜厚、表面粗さを測定した。なお、X線反射率法で1回測定する毎に、フィルム試料を貼り直す方法で、繰り返し5回測定した。結果を表1に示す。
図9に示すように、フィルム試料28の両端を粘着テープ30で試料台40上に固定した以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に形成されたTiO2膜の密度、膜厚、表面粗さを測定した。なお、X線反射率法で1回測定する毎に、フィルム試料を貼り直す方法で、繰り返し5回測定した。結果を表1に示す。
図10に示すように、フィルム試料28の両端を磁石31で試料台40上に固定した以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に形成されたTiO2膜の密度、膜厚、表面粗さを測定した。なお、X線反射率法で1回測定する毎に、フィルム試料を置き直す方法で、繰り返し5回測定した。結果を表1に示す。
2、15、40 試料台
3、19 帯電機構
4 可動機構
5 電圧印加電源
6 圧電効果方式による帯電機構
7 圧電効果方式による帯電機構の電圧印加部
8 電源
9、20、28 フィルム試料
10 X線分析装置
11 X線源
12 放物面多層膜ミラー
13 ソーラースリット
14 出射幅制限スリット
16 ソーラースリット
17 受光幅制限スリット
18 X線検出器
21a 発散ビーム
21b 平行ビーム
22、25 電圧印加部
23 引き金
24、27 イオンまたは電子
26 電源ケーブル
28a 分析面
28b 実際に分析に供される分析面
29 両面粘着テープ
30 粘着テープ
31 磁石
101 X線照射機構
102 X線分析用フィルム試料固定装置
103 X線検出機構
Claims (12)
- フィルム試料を帯電させる帯電機構と、帯電されたフィルム試料を保持する試料台とを有することを特徴とするフィルム試料固定装置。
- 前記帯電機構と前記試料台の表面とが対向している、請求項1に記載のフィルム試料固定装置。
- 前記試料台の表面の中心線平均表面粗さRaが50nm以下かつ抵抗率が500Ω・cm以下である、請求項1または2に記載のフィルム試料固定装置。
- 前記帯電機構が圧電効果方式による帯電機構またはコロナ放電方式による帯電機構のいずれかである、請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム試料固定装置。
- 前記帯電機構がガンタイプによる帯電機構またはバータイプによる帯電機構のいずれかである、請求項1〜4のいずれかに記載のフィルム試料固定装置。
- 前記試料台が電圧印加機構を備えており、該電圧印加機構が前記帯電機構より印加される電圧とは逆極性の電圧を印加することができる機構からなる、請求項1〜5のいずれかに記載のフィルム試料固定装置。
- 前記帯電機構または前記試料台、またはそれらの両方が、前記帯電機構と前記試料台との距離を変更可能な可動機構を有する、請求項1〜6のいずれかに記載のフィルム試料固定装置。
- X線照射機構、X線分析機構および請求項1〜7のいずれかに記載のフィルム試料固定装置を有するX線分析装置。
- 請求項8に記載のX線分析装置を用いる、X線分析方法。
- 請求項8に記載のX線分析装置を有するフィルム製造装置。
- 請求項10に記載のフィルム製造装置を用いる、フィルム製造方法。
- 請求項11に記載のフィルム製造方法により製造されたフィルム。
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