JP2016183737A - ブーツ取付方法および等速自在継手 - Google Patents

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Abstract

【課題】分離可能としたことによって、生じる合わせ面において隙間が生じている状態での接合で、その合わせ面に対応する部位が非接触状態となっても、シール性を損なわないで済むブーツ取付方法およびこの方法を用いた等速自在継手を提供する。【解決手段】金属製の相手部材に端部が取付固定される等速自在継手用ブーツの取付方法である。高周波誘導加熱コイルは2つの円弧状体を組み合わせてなる分割可能なリング体である。高周波誘導加熱コイルの円弧状体の合わせ面を段付き構造した。ブーツ端部に高周波誘導加熱コイルを外嵌する。高周波誘導加熱コイルへ高周波電流を通電して前記相手部材の被取付面の表層部分のみを高周波誘導により加熱する。これによって、ブーツ端部の内径面である取付面と前記相手部材の被取付面とを接合一体化する。【選択図】図1

Description

本発明は、等速自在継手用ブーツの取付方法及びこの取付方法を用いて構成される等速自在継手に関する。
例えば自動車や各種産業機械の動力伝達機構に組み込まれる等速自在継手には、継手内部への塵埃などの異物侵入防止や継手内部に封入されたグリースの漏洩防止を目的として、ブーツ(等速自在継手用ブーツ)が装着される。
等速自在継手(固定式等速自在継手)は、図12に示すように、軸方向に延びる複数のトラック溝1が内径面2に形成された外側継手部材3と、軸方向に延びる複数のトラック溝4が外径面5に円周方向等間隔に形成された内側継手部材6と、外側継手部材3のトラック溝1と内側継手部材6のトラック溝4との間に介在してトルクを伝達する複数のボール7と、外側継手部材3の内径面2と内側継手部材6の外径面5との間に介在してボール7を保持するケージ8とを備えている。
内側継手部材6の軸心孔の内周に雌スプライン9が形成され、シャフト10の端部雄スプライン11がこの内側継手部材6の軸心孔に嵌入されて、雌スプライン9と端部雄スプライン11とが嵌合する。また、シャフト10の端部雄スプライン11には、周方向溝12が形成され、この周方向溝12にストッパとしての止め輪13が装着されている。
そして、外側継手部材3の開口部はブーツ15にて密封される。ブーツ15は、大径の取付部15aと、小径の取付部15bと、大径の取付部15aと小径の取付部15bとを連結する蛇腹部15cとからなる。ブーツ15の大径の取付部15aは外側継手部材3の開口端で締結バンド16により締め付け固定され、その小径の取付部はシャフト10の所定部位で締結バンド17により締め付け固定されている。
このような締結バンドには、レバー式ブーツバンド(特許文献1)がある。すなわち、レバー式ブーツバンドは、リング部に形成されるバンド本体と、このバンド本体の接合部に付設されるレバーとを備えたものである。そして、レバーの内面がバンド本体の外径面に重ね合わさるように、レバーを折り返すものである。
また、締結バンドには、係合爪と係合孔による締付バンド(特許文献2)がある。この特許文献2に記載のものでは、外径側に膨出する耳部を形成し、この耳部を収縮させることによって、リング部を縮径させるものである。
しかしながら、このようなバンドを用いる場合、バンドを別部品として使用する必要があり、部品点数が多くなり、等速自在継手の組立てに必要な製造コストが嵩むことになっていた。しかも、バンド装着状態においては、シール性を確保するには、バンドを所定の締め代で精度よく締め付ける必要があるが、高精度な締付を個体間でのばらつきを生じさせるには困難であった。
そこで、従来には、ブーツ端部と相手部材への取付固定に、締付バンド(ブーツバンド)を用いることなく、高周波誘導を用いるもの(特許文献3)、さらには、レーザ光を用いるもの(特許文献4)が提案されている。
高周波誘導を用いるものは、相手部材の被取付面にブーツ端部を外嵌した状態で、その外周部に高周波誘導加熱コイルを配置して、この高周波誘導加熱コイルに高周波電流を通電するものである。すなわち、通電性のある相手部材の被取付面が高周波によりブーツ端部を介して加熱され、その熱でブーツ端部と相手部材の被取付面とが接合一体化される。
また、レーザ光を用いるものでは、金属材料と樹脂材料とを、樹脂材料表面側からレーザ光を照射することで生じる物理的相互作用により、接合するものである。
特開2011−252594号公報 特表2004−510113号公報 特開2009−52688号公報 特開2009−185879号公報
高周波誘導を用いるものでは、従来のバンドを用いた締付け方法と比較して、部品点数を少なくでき、等速自在継手の組立を簡素化できる利点がある。高周波誘導加熱コイルを用いる場合、組み立て工程の簡素化を考慮して、分離構造とするのが好ましい。
しかしながら、分離構造とした場合、そのコイルには合わせ面が形成されることになる。このような合わせ面が形成される場合、その合わせ面に対応する接合部において、非接着部位乃至接合力が弱い部位を形成するおそれがある。
ところで、ブーツの固定においては、ブーツの伸縮や蛇腹が接触した場合の差動による回転力の発生に耐えられる接合力とともに、ブーツの漏れを防ぐ機能が求められる。このため、コイルの合わせ目に対応する接合部において、非接着部位等が生じた場合を考えてみる。接合力は、接合面積の増加によって補うことができる。一方、グリース漏れについては、周方向で接合されていない位相が生じた場合、グリース漏れが生じる可能性が高くなる。
レーザ光を用いるものでは、レーザ照射装置を設ける必要があり、しかも、被照射部に対してレーザ光を周方向全周及び軸方向全長にわたって照射する必要がある。このため、装置として複雑化して高コストとなる。
そこで、本発明は、コイルを分離可能としたことによって、生じる合わせ面において隙間が生じている状態での接合で、その合わせ面に対応する部位が非接触状態となっても、シール性を損なわないで済むブーツ取付方法およびこの方法を用いた等速自在継手を提供する。
本発明のブーツ取付方法は、金属製の相手部材にブーツ端部が取付固定される等速自在継手用ブーツの取付方法であって、相手部材の外径面である被取付面にブーツ端部を外嵌させた後、2つの円弧状体を組み合わせてなる分割可能なリング体であり、その円弧状体の合わせ面を段付き構造した高周波誘導加熱コイルを、ブーツ端部に外嵌し、この高周波誘導加熱コイルへ高周波電流を通電して前記相手部材の被取付面の表層部分のみを高周波誘導により加熱し、ブーツ端部の内径面である取付面と前記相手部材の被取付面とを接合一体化するものである。
本発明のブーツ取付方法によれば、高周波誘導加熱コイルに高周波電流を流すと、電磁誘導作用によって導電体である金属製の相手部材は、鉄損(渦電流損とヒステリシス損の和)により発熱し、この熱で、相手部材に接しているブーツ端部の境界部が分解温度以上に急速に加熱して分解され、泡が発生する。これにより、前記した泡の周辺部分の高温の融液と相手部材の表面に高温・高圧の条件が発生して、ブーツ端部の取付面と相手部材の被取付面との間には、接合部が得られる。これによって、金属製の相手部材にブーツ端部が取付固定される。
ところで、前記したように、高周波誘導加熱コイルが分割可能なリング体であれば、その合わせ面間においてわずかな隙間が生じて、合わせ面に対応する接合部位がブーツ−相手部材との非接合部位や接合力が弱い部位となるおそれがある。そのため、この高周波誘導加熱コイルにおける合わせ面は段付き構造とし、その非接合部位や接合力が弱い部位はいわゆるラビリンス構造としている。
段付き構造は、一方の円弧状体の合わせ面に設けられる凸部と、他方の円弧状体の合わせ面に設けられて前記凸部が嵌合する凹部とから構成できる。
ブーツ端部の取付面(内径)直径と相手部材の被取付面(外径)直径の比を、0.995〜0.98の締め代とするのが好ましい。ブーツ端部の取付面/相手部材の被取付面の直径の比が0.995以上(締め代が小さい側)では、金属とブーツ材のミクロ的な密着が不足し、0.98未満(締め代が大きい側)では、ブーツの圧入抵抗が大きく、組立に支障がでるおそれがある。
ブーツ材質を熱可塑性ポリエステル系エラストマーとするのが好ましい。熱可塑性ポリエステル系エラストマーは、機械的強度、成形性、弾性に優れておりブーツに必要とされる屈曲耐久性等の機能を具備させる素材として好ましい。また、熱可塑性ポリエステル系エラストマーは熱変形しにくく、耐熱温度が高いため、この素材を等速自在継手の作動時など高温化に晒されるブーツに適用すると、高温によりブーツの耐久性が低下するのを防止することができる。
本発明の第1の等速自在継手は、外側継手部材と、内側継手部材と、外側継手部材と内側継手部材との間に介在されるトルク伝達部材とを備え、外側継手部材の開口部がブーツにて密封され、ブーツは、外側継手部材の開口部側の外径面に形成されたブーツ装着部に装着される大径の取付部と、内側継手部材に嵌入されるシャフトにおけるブーツ装着部に装着される小径の取付部と、大径の取付部と小径の取付部とを連結する屈曲部とからなる等速自在継手であって、ブーツの大径の取付部を前記ブーツ端部とするとともに、外側継手部材の開口部側の外径面に形成されたブーツ装着部を前記相手部材の被取付面として、前記ブーツ取付方法を用いて、ブーツの大径の取付部と外側継手部材のブーツ装着部とを接合一体化しているものである。
本発明の第2の等速自在継手は、外側継手部材と、内側継手部材と、外側継手部材と内側継手部材との間に介在されるトルク伝達部材とを備え、外側継手部材の開口部がブーツにて密封され、ブーツは、外側継手部材の開口部側の外径面に形成されたブーツ装着部に装着される大径の取付部と、内側継手部材に嵌入されるシャフトにおけるブーツ装着部に装着される小径の取付部と、大径の取付部と小径の取付部とを連結する屈曲部とからなる等速自在継手であって、ブーツの小径の取付部を前記ブーツ端部とするとともに、シャフトにおけるブーツ装着部を前記相手部材の被取付面として、前記ブーツ取付方法を用いて、ブーツの小径の取付部とシャフトのブーツ装着部とを接合一体化しているものである。
本発明では、非接合や接合力が弱くなる可能性があるコイルの合わせ目部位がいわゆるラビリンス構造になっているので、仮に接触部位や接合力が弱い部位が生じても、このラビリンス構造にて、内部への塵埃などの異物侵入防止や継手内部に封入されたグリースの漏洩防止機能を発揮することができる。
段付き構造は、凸部とこの凸部が嵌合する凹部とから構成でき、簡単な構成にて段付き構造の形成が可能である。
ブーツ材質に熱可塑性ポリエステル系エラストマーを用いれば、熱変形しにくく、耐熱温度が高いため、この素材を等速自在継手の作動時など高温化に晒されるブーツに適用すると、高温によりブーツの耐久性が低下するのを防止することができる。特に、熱可塑性ポリエステル系エラストマーの分解温度が400℃〜500℃程度であり、電磁誘導加熱で得られ易い温度帯であり、このブーツ取付方法に用いるブーツ材料として最適となる。
前記ブーツ取付方法を用いた等速自在継手では、長期にわたって優れたシール性を発揮する。
本発明の等速自在継手におけるブーツ取付状態を示す側面図である。 高周波誘導加熱コイルと一方のブーツ端部との関係を示し、(a)は図1のA1−A1線断面図であり、(b)は図1のB1−B1線断面図である。 高周波誘導加熱コイルと他方のブーツ端部との関係を示し、(a)は図1のA2−A2線断面図であり、(b)は図1のB2−B2線断面図である。 前記高周波誘導加熱コイルの段付き構造を示す簡略展開図である。 前記図1に示す高周波誘導加熱コイルを用いてブーツを取付けた後の断面図である。 ブーツと相手部材との接合部を説明する説明図である。 他の高周波誘導加熱コイルを用いてブーツを取付けている状態の等速自在継手の側面図である。 高周波誘導加熱コイルと一方のブーツ端部との関係を示し、(a)は図6のC1−C1線断面図及びE1−E1線断面図であり、(b)は図6のD1−D1線断面図である。 高周波誘導加熱コイルと他方のブーツ端部との関係を示し、(a)は図6のC2−C2線断面図であり、(b)は図6のD2−D2線断面図であり、(c)は図6のE2−E2線断面図である。 前記高周波誘導加熱コイルの段付き構造を示す簡略展開図である。 ブーツと相手部材との接合部を説明する説明図である。 ブーツバンドを用いてブーツを取付けた後の等速自在継手を示す断面図である。
以下本発明の実施の形態を図1〜図11に基づいて説明する。図5は本発明に係る等速自在継手(バーフィールド型の固定式等速自在継手)を示している。軸方向に延びる複数のトラック溝21が内径面22に円周方向等間隔に形成された外側継手部材23と、軸方向に延びる複数のトラック溝24が外径面25に円周方向等間隔に形成された内側継手部材26と、外側継手部材23のトラック溝21と内側継手部材26のトラック溝24との間に介在してトルクを伝達するトルク伝達部材としての複数のボール27と、外側継手部材23の内径面22と内側継手部材26の外径面25との間に介在してボール27を保持するケージ28とを備えている。
内側継手部材26の軸心孔の内周に雌スプライン29が形成され、シャフト30の端部雄スプライン31がこの内側継手部材26の軸心孔に嵌入されて、雌スプライン29と端部雄スプライン31とが嵌合する。また、シャフト30の端部雄スプライン31には、周方向溝32が形成され、この周方向溝32にストッパとしての止め輪33が装着されている。
そして、外側継手部材23の開口部はブーツ35にて密封される。ブーツ35は、大径の取付部(ブーツ端部)35aと、小径の取付部(ブーツ端部)35bと、大径の取付部35aと小径の取付部35bとを連結する屈曲部としての蛇腹部35cとからなる。ブーツ材質としては、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリスチレン系、塩化ビニル系、シリコーン系、フッ素系等の熱可塑性エラストマーを主成分とする樹脂材料で形成される。本実施形態ではこの中でも、コストに対して機械的強度、耐熱性、耐油性等に優れた特性を示すポリエステル系の熱可塑性エラストマー(熱可塑性ポリエステルエラストマー)を主成分とする樹脂材料で形成される。
ブーツ35の大径の取付部(一方のブーツ端部)35aは外側継手部材23の開口側の外径面の被取付面(金属製の相手部材の被取付面)40に取付固定され、小径の取付部(他方のブーツ端部)35bはシャフト30の大径部の外径面(金属製の相手部材の被取付面)41に取付固定される。
これらの取付固定には、図1〜図4に示すように、高周波誘導加熱コイル50(50A,50B)を用いる。これらの高周波誘導加熱コイル50A,50Bは、一対の円弧状体60A,60A,60B,60Bを組み合わせてなる分割可能なリング体である。その内径面50Aa、50Ba及び外径面50Ab、50Bbが図2及び図3に示すように、円筒面とされる。このため、図5に示すように、ブーツ端部35a、35bの外径面45A,45Bが円筒面に形成される。
また、円弧状体60A,60A(60B,60B)は、その接合面を突き合わせてリング状とすることになるが、この場合、円弧状体60A,60A(60B,60B)の合わせ面を段付き構造Mとしている。すなわち、各円弧状体60A,60A(60B,60B)の両端面が突き合わせ面となり、図4に示すように、対向する(突き合わされる)の突き合わせ面のいずれか一方に凸部66及び凹部67を設け、他方にこの凸部66に嵌合する凹部68及び凸部69が形成されて、段付き構造Mが形成される。また、段付き構造Mの段差Dとしては、例えば、3.0mm〜4.0mm程度とされる。
これらの高周波誘導加熱コイル50A,50Bは導電性のある銅線等からなり、中実体であっても、中空体であってもよい。中空体であれば、内部に冷却水を通すことができる。また、中実体であれば、この高周波誘導加熱コイル50A,50Bとは別に冷却ジャケットを設けるようにするのが好ましい。
次に、図1〜図4に示す高周波誘導加熱コイル50(50A,50B)を用いたブーツの取付方法を説明する。まず、外側継手部材23側について説明する。この場合、外側継手部材23のブーツ装着部である被取付面40(図5参照)に、一方のブーツ端部35a(図5参照)を外嵌した状態とする。次に、一対の円弧状体60A,60Aを、ブーツ端部35aの外径側から突き合わせ面を突き合わせることによって、高周波誘導加熱コイル50Aをブーツ端部35aに外嵌する状態とする。
また、シャフト30側においては、シャフト30のブーツ装着部である被取付面41(図5参照)に、他方のブーツ端部35b(図5参照)を外嵌した状態とする。一対の円弧状体60B,60Bを、ブーツ端部35bの外径側から突き合わせ面を突き合わせることによって、高周波誘導加熱コイル50Bをブーツ端部35bに外嵌する状態とする。
このように、高周波誘導加熱コイル50(50A,50B)が、それぞれ、図1に示すように、セットされた状態において、コイル50A,50Bの高周波電流を流す。この際、電磁誘導作用によって導電体である金属(外側継手部材23の被取付面40、シャフト30の被取付面41)は、鉄損(渦電流損とヒステリシス損の和)により発熱し、この熱で、金属(外側継手部材23の被取付面40、シャフト30の被取付面41)に接している樹脂(一方のブーツ端部35aの取付面53A,他方のブーツ端部35bの取付面53B)の境界部が分解温度以上に急速に加熱して分解され、泡が発生する。これにより、前記した泡の周辺部分の高温の融液と金属(外側継手部材23の被取付面40、シャフト30の被取付面41)の表面に高温・高圧の条件が発生して、図1に示すように、ブーツ35の一方の端部35aの取付面53Aと外側継手部材23の被取付面40との間およびブーツ35の他方の端部35bの取付面53Bとシャフト30の被取付面41との間には、接合部55、56(図5参照)が得られる。
高周波誘導加熱コイル50A(50B)の段付き構造Mにおいては、図4に示すように、軸方向の一対の合わせ目70A1,70A2(70B1,70B2)と、この合わせ目70A1,70A2(70B1,70B2)に連設される周方向の合わせ目71A(71B)とが形成される。この場合、一対の合わせ目70A1,70A2(70B1,70B2)は、位相がずれている、つまり周方向にずれている。
ところで、高周波誘導加熱コイル50A、50Bが、前記のような分離可能なタイプであれば、図1に示すように、各コイル50A、50Bをブーツ端部35a、35bに装着した場合、合わせ目70A1,70A2、71A(70B1,70B2、71B)において、隙間が生じるおそれがある。このように、隙間が生じた場合、ブーツ端部と相手部材との間において、図6に示すように、隙間に対応する部位が弱い接合部S1となる。なお、隙間に対応しない部位が強固な接合部Sとなる。図6は、ブーツ端部35bとシャフト30との固定部についての記載であるが、ブーツ端部35aと外側継手部材23との固定部であっても、合わせ目70A1,70A2、71Aおいて隙間が生じれば、このような弱い接合部S1と強固な接合部Sが形成される。
しかしながら、弱い接合部S1と強固な接合部Sとが形成されるものであっても、この弱い接合部S1は、段付き形状となって、いわゆるラビリンス構造となっている。このため、内部への塵埃などの異物侵入防止や継手内部に封入されたグリースの漏洩防止機能を発揮することができるシール機能を発揮することができる。
次に、図7〜図10に示す高周波誘導加熱コイル50A、50Bにおける円弧状体60A,60A(60B,60B)の突き合わせ面では、図10に示すように、いずれか一方に一対の凸部66、66とこの凸部66、66間に設けられる凹部67とが設けられ、他方にこの凸部66、66に嵌合する一対の凹部68、68と凹部67に嵌合する凸部69が設けられている。凸部66の幅寸法をW1とし、凹部67の幅寸法をW2とした場合、W2>W1に設定される。また、この段付き構造Mの段差Dとしても、3.0mm〜4.0mm程度とされる。
このため、これらの高周波誘導加熱コイル50A、50Bであっても、ブーツ端部35a,35bに装着した状態で、高周波電流を流すと、ブーツ35の一方の端部35aの取付面53Aと外側継手部材23の被取付面40との間およびブーツ35の他方の端部35bの取付面53Bとシャフト30の被取付面41との間には、接合部55、56(図5参照)が得られる。
この高周波誘導加熱コイル50A(50B)の段付き構造Mにおいては、軸方向の一対の合わせ目70A1,70A2(70B1,70B2)と、この合わせ目70A1,70A2(70B1,70B2)に連設される周方向の合わせ目71A1、71A2(71B1、71B2)と、合わせ目71A1、71A2(71B1、71B2)を連結する軸方向の合わせ目72A(72B)とが形成される。この場合、合わせ目70A1、70A2(70B1,70B2)と合わせ目72A(72B)は、位相がずれている、つまり周方向にずれている。
この場合であっても、合わせ目70A1,70A2,71A1、71A2、72A(70B1,70B2,71B1、71B2、72B)において、隙間が生じるおそれがある。このように、隙間が生じた場合、ブーツ端部と相手部材との間において、図11に示すように、隙間に対応する部位が弱い接合部S1となる。なお、隙間に対応しない部位が強固な接合部Sとなる。なお、図11は、ブーツ端部35bとシャフト30との固定部について記載のであるが、ブーツ端部35aと外側継手部材23との固定部であっても、合わせ目70A1,70A2,71A1、71A2、72Aにおいて隙間が生じれば、このような弱い接合部S1と強固な接合部Sが形成される。
しかしながら、この場合も、弱い接合部S1は段付き形状となって、いわゆるラビリンス構造となっている。このため、内部への塵埃などの異物侵入防止や継手内部に封入されたグリースの漏洩防止機能を発揮することができるシール機能を発揮することができる。前記ブーツ取付方法を用いた等速自在継手では、長期にわたって優れたシール性を発揮する。
ところで、前記各実施形態では、ブーツ端部35a、35bの取付面53A,53Bと相手部材(外側継手部材23、シャフト30)の被取付面40,41との直径比を0.995〜0.98の締め代とするのが好ましい。締め代が0.995以上では、金属とブーツ材のミクロ的な密着が不足し、0.98より大きい締め代では、ブーツの圧入抵抗が大きく、組立に支障が出るおそれがある。
ブーツ材質を熱可塑性ポリエステル系エラストマーとするのが好ましい。熱可塑性ポリエステル系エラストマーは、機械的強度、成形性、弾性に優れておりブーツに必要とされる屈曲耐久性等の機能を具備させる素材として好ましい。また、熱可塑性ポリエステル系エラストマーは熱変形しにくく、耐熱温度が高いため、この素材を等速自在継手の作動時など高温化に晒されるブーツに適用すると、高温によりブーツの耐久性が低下するのを防止することができる。
しかも、熱可塑性ポリエステル系エラストマーの分解温度が400℃〜500℃程度であり、電磁誘導加熱で得られやすい温度帯であり、電磁誘導加熱によるブーツ端部の取付固定が安定する利点もある。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、前記実施形態では、外側継手部材23側およびシャフト30側においても、ブーツバンドを使用しないで、高周波誘導加熱を用いるものであったが、いずれか一方をブーツバンドを使用した既存の方法で取付固定するものであってもよい。
また、ブーツ端部35a、35bと高周波誘導加熱コイル50A,50Bとは、接触していても接触していなくてもいずれでもよいが、被加熱物(相手部材)とコイルとのギャップは周方向全周において均一であるのが好ましいので、接触するのが好ましい。
ブーツ端部35a、35bの取付工程としては、両ブーツ端部35a、35bを同時に行うものであっても、いずれか一方を先に行い、この工程が終了した後、他方の工程を行うものであってもよい。
固定式等速自在継手として、図例のものに限らず、アンダーカットフリータイプの固定式等速自在継手であっても、ダブルオフセットタイプ、クロスグルーブタイプ、トリポードタイプの摺動式等速自在継手であってもよい。
合わせ面の形状が相違するコイルを用いてブーツ端部とシャフトとを取付固定したものに対するグリース漏れ試験を行った。その結果を次の表1に示す。この試験には、図5に示すような固定式等速自在継手を用い、揺動角度を25deg〜40degとし、回転数を500rpmとした。
Figure 2016183737
この結果から、段付き構造でないストレートの合わせ面では、50時間で漏れが発生し、ラビリンス1(図1に示す段付き構造)では、70時間運転して漏れが生じず、ラビリンス2(図7に示す段付き構造)では、85時間運転して漏れが生じなかった。
23 外側継手部材
26 内側継手部材
27 トルク伝達部材(ボール)
35 ブーツ
35a,35b ブーツ端部(取付部)
40、41 被取付面
50、50A,50B 高周波誘導加熱コイル
53A、53B 取付面
60A,60A 円弧状体
65,65 合わせ面
66、69 凸部
67、68 凹部
M 段付き構造

Claims (6)

  1. 金属製の相手部材にブーツ端部が取付固定される等速自在継手用ブーツの取付方法であって、
    相手部材の外径面である被取付面にブーツ端部を外嵌させた後、2つの円弧状体を組み合わせてなる分割可能なリング体であり、その円弧状体の合わせ面を段付き構造した高周波誘導加熱コイルを、ブーツ端部に外嵌し、この高周波誘導加熱コイルへ高周波電流を通電して前記相手部材の被取付面の表層部分のみを高周波誘導により加熱し、ブーツ端部の内径面である取付面と前記相手部材の被取付面とを接合一体化することを特徴とするブーツ取付方法。
  2. 段付き構造は、一方の円弧状体の合わせ面に設けられる凸部と、他方の円弧状体の合わせ面に設けられて前記凸部が嵌合する凹部とからなることを特徴とする請求項1に記載のブーツ取付方法。
  3. ブーツ端部の取付面の内径と相手部材の被取付面の外径との直径における比を、0.995〜0.98の締め代とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のブーツ取付方法。
  4. ブーツ材質を熱可塑性ポリエステル系エラストマーとすることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のブーツ取付方法。
  5. 外側継手部材と、内側継手部材と、外側継手部材と内側継手部材との間に介在されるトルク伝達部材とを備え、外側継手部材の開口部がブーツにて密封され、ブーツは、外側継手部材の開口部側の外径面に形成されたブーツ装着部に装着される大径の取付部と、内側継手部材に嵌入されるシャフトにおけるブーツ装着部に装着される小径の取付部と、大径の取付部と小径の取付部とを連結する屈曲部とからなる等速自在継手であって、
    ブーツの大径の取付部を前記ブーツ端部とするとともに、外側継手部材の開口部側の外径面に形成されたブーツ装着部を前記相手部材の被取付面として、前記請求項1〜請求項4のいずれか1項のブーツ取付方法を用いて、ブーツの大径の取付部と外側継手部材のブーツ装着部とを接合一体化していることを特徴とする等速自在継手。
  6. 外側継手部材と、内側継手部材と、外側継手部材と内側継手部材との間に介在されるトルク伝達部材とを備え、外側継手部材の開口部がブーツにて密封され、ブーツは、外側継手部材の開口部側の外径面に形成されたブーツ装着部に装着される大径の取付部と、内側継手部材に嵌入されるシャフトにおけるブーツ装着部に装着される小径の取付部と、大径の取付部と小径の取付部とを連結する屈曲部とからなる等速自在継手であって、
    ブーツの小径の取付部を前記ブーツ端部とするとともに、シャフトにおけるブーツ装着部を前記相手部材の被取付面として、前記請求項1〜請求項4のいずれか1項のブーツ取付方法を用いて、ブーツの小径の取付部とシャフトのブーツ装着部とを接合一体化していることを特徴とする等速自在継手。
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