JP2016183689A - 無段変速機のチェーン - Google Patents

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輝彦 中澤
Teruhiko Nakazawa
輝彦 中澤
伸二 安原
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伸二 安原
泰三 若山
Yasuzo Wakayama
泰三 若山
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Abstract

【課題】チェーン式無段変速機のチェーンの耐久強度を向上させる。【解決手段】チェーンのリンク40は2個の開口38a,38bを有する。開口38a,38bは、それぞれ固定ピンが位置するピン固定領域54と可動ピンが配置されるピン可動領域56を有する。ピン可動領域56における開口38a,38bの、図において下側の周縁(部分60a)は、ピン固定領域54における開口38a,38bの下側の周縁(部分60b)より下側へオフセットとしている。オフセットを設けることにより、リンクの耐久強度が向上する。【選択図】図7

Description

本発明は、チェーン式無段変速機のチェーンに関し、特にチェーンの構造に関する。
対向し、かつ互いの距離が変更可能な円錐面を有するプーリを2個備え、この2個のプーリに可撓性無端部材を巻き渡した無段変速機が知られている。一方のプーリの回転が、可撓性無端部材により他方のプーリに伝えられる。このとき、円錐面の距離を変更することにより可撓性無端部材のプーリに対する巻き掛かり半径が変更され、変速比を変更することができる。無段変速機の可撓性無端部材として用いられるチェーンが下記特許文献1に開示されている。
このチェーンは、複数のチェーンエレメントをチェーンの周方向に配列し、連結して形成される。個々のチェーンエレメントは、開口を有する板形状のリンクと、リンクの両端において開口をそれぞれ貫通する2本のピンを有する。リンクは、チェーン周方向に沿って配置され、複数枚が幅方向に配列される。ピンは、幅方向に配列されたリンクを貫いている。2本のピンの一方または両方の両端がプーリの円錐面に当接する。隣接するチェーンエレメントの、一方のエレメントのピンを、他方のエレメントの開口に通すことにより、隣接するチェーンエレメントが連結されている。ピン同士の接触面を介してチェーンエレメント間で動力が伝達される。ピン同士は、接触面において転がり接触し、チェーンの屈曲が許容される。
ピンは、そのピンが属するチェーンエレメントのリンクに対して固定されている。一方、隣接する一方のエレメントのピンは、他方のエレメントのリンクに対し動くことができる。下記特許文献1には、リンクに対して可動なピンと当該リンクの隙間が大きいリンクを一部に有する無段変速機のチェーンが記載されている。
特開2009−79723号公報
チェーンのリンクには、チェーンに掛かる張力によって、繰り返し応力が生じ、疲労する。本発明は、疲労限度線に対する余裕代を大きくすることにより、リンクの耐久強度を向上させることを目的とする。
本発明の無段変速機のチェーンは、対向し、かつ互いの距離が変更可能な円錐面を有する2個のプーリに巻き渡され、周回する。当該チェーンは、複数のチェーンエレメントが連結された可撓性の無端部材である。個々のチェーンエレメントは、チェーンの周方向に並んだ2個の開口を有する板形状の複数のリンクから構成されたリンクユニットと、リンクを貫く2本のピンとを含む。リンクユニットを構成するリンクは、1枚1枚がチェーンの周方向に沿って配置され、チェーンの幅方向に配列されている。ピンは、幅方向に配列されたリンクを貫くように2本配置される。より具体的には、2本のピンは、リンクの両端において、それぞれがリンクの開口を貫通している。チェーン周方向に隣接するチェーンエレメントの一方のエレメントのピンが、他方のエレメントのリンクの開口に通され、これにより隣接するチェーンエレメント同士が連結される。
リンクの2個の開口は、2個の開口のそれぞれの互いに離れた側の領域であって、当該リンクが属するチェーンエレメントに属するピンが固定されたピン固定領域と、2個の開口のそれぞれの互いに近い側の領域であって、当該リンクが属するチェーンエレメントに隣接するチェーンエレメントに属するピンが移動可能に配置されるピン可動領域とを有する。
ピン可動領域における開口のチェーン厚さ方向内側の周縁は、ピン固定領域における開口のチェーン厚さ方向内側の周縁よりチェーン厚さ方向内側へオフセットしており、そのオフセットの量が0.1mm以上である。一方、ピン可動領域における開口のチェーン厚さ方向外側の周縁およびチェーン厚さ方向に沿う周縁は、ピンの移動軌跡に沿う形状を有する。ピン可動領域における開口のチェーン厚さ方向外側の周縁およびチェーン厚さ方向に沿う周縁は、ピンの移動軌跡に沿う形状を有する。
さらに、オフセットの量を0.5mm以下とすることができる。
さらにまた、オフセットの量を0.25mm以上、0.5mm以下とすることができる。
さらにまた、リンクがオフセットがあるオフセットリンクと、オフセットがない無オフセットリンクを含むものとできる。
リンクに上述のオフセットを設けることにより、疲労強度が向上する。
チェーン式無段変速機の要部を示す図である。 チェーンの構造を示す側面図である。 チェーンの構造を説明するための斜視図である。 チェーンの構造を示す平面図である。 チェーンを屈曲させた状態を示す側面図である。 リンクとピンの関係を示す図である。 リンクを示す図である。 リンク張力と応力余裕代の関係を示す図である。 オフセットリンクにおける応力余裕代に関する予張の効果を示す図である。 無オフセットリンクにおける応力余裕代に関する予張の効果を示す図である。 オフセットと応力余裕代の関係を示す図である。 リンクの位置と応力振幅の関係を示す図である。 他の例のリンクの位置と応力振幅の関係を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。図1には、チェーン式無段変速機10の要部が示されている。チェーン式無段変速機10は2個のプーリ12,14とこれらのプーリに巻き渡されたチェーン16を有する。2個のプーリの一方を入力プーリ12、他方を出力プーリ14と記す。入力プーリ12は、入力軸18に固定された固定シーブ20と、入力軸18上を入力軸に沿ってスライドして移動可能な移動シーブ22を有する。固定シーブ20と移動シーブ22の互いに対向する面は、円錐側面の形状を有する。これらの面を円錐面24,26と記す。この円錐面24,26によりV字形の溝が形成され、この溝内に、円錐面24,26に側面を挟まれるようにしてチェーン16が位置する。出力プーリ14も、入力プーリ12と同様に、出力軸28に固定された固定シーブ30と、出力軸28上を出力軸に沿ってスライドして移動可能な移動シーブ32を有する。固定シーブ30と移動シーブ32の互いに対向する面は、円錐側面の形状を有する。これらの面を円錐面34,36と記す。この円錐面34,36によりV字形の溝が形成され、この溝内に、円錐面34,36に側面を挟まれるようにしてチェーン16が位置する。
入力プーリ12と出力プーリ14の固定シーブと移動シーブの配置は逆となっている。すなわち、入力プーリ12において移動シーブ22が図1において右側であるのに対し、出力プーリ14において移動シーブ32は左側に配置される。移動シーブ22,32をスライドさせることにより、互いに対向する円錐面24,34、26,36の距離が変化し、これらの円錐面で形成されるV字溝の幅が変化する。この溝幅の変化により、チェーンの巻き掛かり半径が変わる。すなわち、移動シーブ22,32が固定シーブ20,30から離れると溝幅が広がり、チェーン16は溝の深い位置に移動して、巻き掛かり半径が小さくなる。逆に、移動シーブ22,32が固定シーブ20,30に近づくと溝幅が狭くなり、チェーン16は溝の浅い位置に移動して、巻き掛かり半径が大きくなる。巻き掛かり半径の変化を、入力プーリ12と出力プーリ14で逆にすることにより、チェーン16がたるまないようにされている。移動シーブ22,32がスライドすることにより、V字溝の幅は連続的に変化し、巻き掛かり半径も連続的に変化する。これにより、入力軸18から出力軸28への伝達における変速比を連続的に変化させることができる。
図2〜4は、チェーン16の構造の詳細を示す図である。以降の説明において、チェーン16が延びる方向に沿う方向を周方向、周方向に直交し、かつ入力軸18および出力軸28に平行な方向を幅方向、周方向と幅方向に直交する方向を厚さ方向と記す。チェーンの厚さ方向は、チェーン16が入力プーリ12または出力プーリ14に巻き掛かったときにこれらのプーリ12,14の半径方向に一致する。また、チェーンの厚さ方向に関し、輪になっているチェーン16の内周側を厚さ方向における内側、外周側を外側と記す。図2は、チェーン16の一部を幅方向より視た図、図3はチェーン16の一部を抜き出して分解して示す図、図4はチェーン16の一部を外周側から厚さ方向に視た図である。
図2において、左右方向が周方向であり、上下方向が厚さ方向であり、紙面を貫く方向が幅方向である。また、下側がチェーン16の内側である。チェーン16は、周方向に並んだ2個の開口38a,38bを有する板形状のリンク40と、棒形状のピン42a,42bを組み合わせて形成される。個々のリンク40は厚さも含めて同一形状であり、棒形状のピン42aおよびピン42bは、それぞれに同一形状である。リンク40は、幅方向に所定パターンで配列され(図4参照)、2本のピン42a,42bがそれぞれリンクの両端において開口38a,38bを貫通している。2本のピン42a,42bの両端、またはいずれか1本のピンの両端が入力および出力プーリ12,14の円錐面24,26、34,36に当接する。この2本のピン42a,42bとピンに貫通されたリンクの組をチェーンエレメント44と記す(図3参照)。
図3には、二つのチェーンエレメント44-1,44-2が一部省略された状態で示されている。添え字「-1」「-2」「-3」は、チェーンエレメントおよびチェーンエレメントに属するリンク、ピンを他のエレメントから区別する場合に用いる。チェーンエレメント44-2は、複数のリンク40-2とこれと貫く2本のピン42a-2,42b-2から構成される。2本のピン42a-2,42b-2は、リンク40-2の両端において、それぞれ開口38a-1,38b-1に圧入、または位置固定されて結合されている。チェーンエレメント44-1も同様に、複数のリンク40-1とこれを貫く2本のピン42a-1,42b-1から構成される。また、一つのチェーンエレメントに属する複数のリンク40がリンクユニット46を構成している(図4参照)。
隣接するチェーンエレメント44-1,44-2の連結は、ピン42a,42bを、互いに相手側のリンク40の開口38a,38bに通すことにより達成される。図3に示すように、左側のチェーンエレメント44-1のピン42b-1は、右側のチェーンエレメント44-2のピン42a-2の右側に位置するように、開口38a-2内に配置される。逆に、右側のチェーンエレメント44-2のピン42a-2は、左側のチェーンエレメント44-1のピン42b-1の左側に位置するように、開口38b-1内に配置される。この2本のピン42b-1,42a-2同士が、互いの側面で接触してチェーン16の張力が伝達される。チェーン16が曲がるときには、隣接するピン、例えばピン42b-1,42a-2同士が互いの接触面において転がるように動き、曲げが許容される。
リンクユニット46内のリンク40の配列パターンは、周方向において3個おきに同じパターンが現れる。リンクの配列パターンの異なる3個のチェーンエレメント44の組をエレメントモジュール48と記す。よって、チェーン16は、同一のリンクの配列パターンを有するエレメントモジュール48を周方向に配列したものとみることができる。この実施形態においては、一つのエレメントモジュール48に25個のリンク40が属する。一つのエレメントモジュール48に属する3個のリンクユニット46に属するリンクの数は、9枚、8枚、8枚である。
図4は、リンク40の配列パターンの一例を示す図である。個々のリンク40は、一つの列に属し、それらの列を図中左側から第1列、第2列・・・と記す(図4中では列の番号が丸数字で記されている。)。リンク40の板厚は等しいので、列の配列は等ピッチである。図4に示される例では、第1列目のリンク40は第1リンクユニット46-1に属し、第2列目のリンク40は第3リンクユニット46-3に属し、第3列目のリンク40は第2リンクユニット46-2に属する。
図5は、チェーン16が屈曲した状態を示す図である。リンク40-1が属するチェーンエレメント44-1の2本のピン42a-1,42b-1は、リンク40-1に固定されている。したがって、図5におけるリンク40-1とピン42a-1,42b-1の位置関係は、図2の位置関係と比較して変化はない。一方、チェーンエレメント44-1に隣接するチェーンエレメント44-2に属するピン42a-2は、リンク40-1に対して移動可能である。図2におけるピン42a-2の姿勢と比較すると、時計回りに回動していることが理解できる。
一つのリンク40に着目し、このリンク40に対して固定されたピンを固定ピン50、リンク40に対して移動可能なピンを可動ピン52と記して以下説明する。ピン42a,42bは、それらのピンが属するチェーンエレメント44のリンク40に対しては固定ピン50として振る舞い、隣のチェーンエレメント44のリンク40に対しては可動ピン52として振る舞う。
図6は、リンク40と固定ピン50と可動ピン52の関係を示す図である。図では省略されているが、開口38a内にも、開口38bと対称に固定ピン50と可動ピン52が配置されている。開口38aと開口38bの形状は互いに対称である。可動ピン52は、チェーン16が直線状態のときには図中の実線で示す位置にあり、チェーン16が最も屈曲した状態のときは一点鎖線で示す位置にある。可動ピン52は、チェーン16が直線状態から屈曲するに従って、実線で示す位置から一点鎖線で示す位置へと回動する。開口38aの固定ピン50が位置する領域をピン固定領域54、可動ピン52を収容し、可動ピン52の移動を許容している領域をピン可動領域56と記す。2個の開口38a,38bのそれぞれのピン可動領域56は各開口の互いに近い側に位置し、ピン固定領域54は遠い側に位置する。
図7は,リンク40を単独で示す図である。リンク40の外形寸法は、チェーン周方向(図中の左右方向)が約14mm(例えば14.3mm)、チェーン厚さ方向(図中の上下方向)が約11mm(例えば11.1mm)、板厚が約1mm(例えば0.8mm)である。開口38a,38bの寸法は、チェーン周方向が約5mm(例えば4.7mm)、チェーン厚さ方向が約6mm(例えば6.0mm)である。ピン固定領域54における開口38a,38bの周縁58は、厚さ方向内側の部分58a、厚さ方向外側の部分58b、およびこれらをつなぎ、厚さ方向に延びる部分58cを有する。部分58a,58b,58cをそれぞれ内側部分58a、外側部分58b、中間部分58cと記す。ピン可動領域56における開口38a,38bの周縁60は、厚さ方向内側の部分60a、厚さ方向外側の部分60b、およびこれらをつなぎ、厚さ方向に延びる部分60cを有する。部分60a,60b,60cをそれぞれ内側部分60a、外側部分60b、中間部分60cと記す。
ピン固定領域の開口の周縁58の形状は、その全体が圧入される固定ピン50の外形に沿う形状である。ピン可動領域の開口の周縁60の形状は、外側部分60aおよび中間部分60cは、可動ピン52の移動軌跡に沿う形状である。この外側部分60bおよび中間部分60cは、移動するピンに対して10μm程度のクリアランスが形成され、可動ピン52が滑らかに移動することができるようにしている。周縁60の内側部分60aは、一点鎖線で示す可動ピン52の軌跡よりも厚さ方向の内側に深く彫り込まれている。これにより、ピン可動領域における周縁の内側部分60aは、ピン固定領域における周縁の内側部分58aより厚さ方向において内側にオフセットしている。オフセットhは、0.1mm以上とすることができる。また、オフセットhの上限を0.5mmとすることができる。さらに、オフセットhは、0.25〜0.5mmの範囲とすることができる。さらに好適には、オフセットhは、0.3〜0.4mmの範囲とすることができる。
以降において、オフセットを設けたリンクを「オフセットリンク」と記す。また、比較対象となるオフセットを設けないリンクを「無オフセットリンク」と記す。無オフセットリンクの開口38a,38bのピン可動領域60の周縁は、全体がピンの軌跡に沿う形状である。つまり、無オフセットリンクにおいて、開口周縁のチェーン厚さ方向内側の部分が図7に示す一点鎖線となっている。無オフセットリンクにおいては、ピン固定領域の内側部分58aとピン可動領域の内側部分(図7で一点鎖線で示される部分)の、チェーン厚さ方向の位置は、ほぼ同じである。したがって、オフセットリンクのピン可動領域における周縁の内側部分60aは、ピンの軌跡に対しても同様にオフセットしている。
この実施形態のチェーン16のような多数のリンク40を並べた無段変速機のチェーンにおいては、チェーンを組み立てた後、使用時に想定される張力の数倍から十倍の張力を掛けて運転する予張工程を実施する場合がある。大きな張力を掛けることによって、リンク40に塑性変形を生じさせ、並列されているリンク40の長さの微小な不均衡をならすことができる。また、予張工程を実施することによって、リンクの、使用時に応力が集中する箇所に圧縮残留応力を発生させることができる。この圧縮残留応力によって耐久強度の向上が期待される。
図8は、予張張力と応力の余裕代の関係を示す図であり、「○」が0.3mmのオフセットを有するオフセットリンクを用いた場合を示し、「△」が無オフセットリンクを用いた場合を示す。また、図9,10は、繰り返し応力の分布を示す図である。図9は、オフセットリンク(オフセット:0.3mm)の場合、図10は、無オフセットリンクの場合である。図9,10に示すように、疲労限度線Tと、応力分布範囲の最短距離mを「応力余裕代」と記す。なお、図9,10に符号Dで示す直線は、変形限度線である。
図8は、ある張力で予張を行ったチェーンの、使用時の応力余裕代を示している。与えた張力の範囲は、下限がT1 上限がT2 である。無オフセットリンクでは、予張張力の増加に対して応力余裕代は、不規則に増減する。一方、オフセットリンクでは、予張張力に対して直線的に応力余裕代が増加している。直線的に増加する特性は、応力余裕代の管理において好適である。また、実際には、予張張力がT3 〜T2 の範囲で管理され、この範囲において、オフセットリンクは、無オフセットリンクに対して大きな応力余裕代を有する。したがって、オフセットリンクを用いることにより、耐久強度の向上が期待できる。
図9,10は、リンクに繰り返し応力が作用した場合の、各節点ごとの平均応力を横軸に、応力振幅を縦軸にとって、リンク全体の節点をプロットした図である。有限要素解析を行って、分割された各要素の節点ごとに平均応力および応力振幅を求め、これをプロットしている。実線で囲まれた領域Aは、図8に示す張力T1 により予張したチェーンの応力分布を示している。破線で囲まれた領域Bは、図8に示す張力T2 により予張したチェーンの応力分布を示している。オフセットリンクの場合(図9の場合)、予張の張力を大きくすると、応力分布が領域Aから領域Bに変化し(左に移動し)、その際平均応力は全体として減少し、応力振幅は大きくならないことが理解できる。図示するように、疲労限度線Tは左に行くほど高くなっているため、領域Bは、領域Aに比べて応力余裕代が大きくなっている。一方、無オフセットリンクにおいては、領域Bは、領域Aに対して左に移動し、平均応力は小さくなっている。しかし、応力振幅が増大し、この結果、応力余裕代が小さくなっている。したがって、オフセットリンクを用いることにより、耐久強度の向上が期待できる。
繰り返し応力の振幅が最大になるのは、無オフセットリンクの場合、ピン固定領域の内側部分58aの図7において符号Mで指す点近傍である。オフセットリンクの場合、符号Mで指す点の応力振幅は、周囲より大きな値を示すが、無オフセットリンクの場合より低下する。無オフセットリンクにおいては、狭い範囲に大きな応力が発生し、塑性変形が生じる範囲も狭くなっている。これに対し、オフセットリンクの場合、塑性変形が生じる範囲が比較的広く、また変形量はその範囲で比較的均一となっていると考えられる。これが、予張の効果を安定したものとしていると考えられる。
図11は、オフセットと応力余裕代の関係を示した図である。○印でプロットされた点が数値計算の結果得られた値を示しており、4個の結果を二次曲線で近似している。オフセットが0.4mm近傍まで応力余裕代が増加していることが理解できる。オフセットが0.1mm以上になれば、オフセットの効果が十分期待できる。また、0.25〜0.5の範囲で大きな効果がある。さらに、0.3〜0.4mmの範囲でより大きな効果が期待できる。
全てのリンク40をオフセットリンクとすることができる。オフセットリンクの場合、ピン可動領域の内側部分60aでは、オフセットが設けられているために可動ピン52が案内されない。しかし、遠心力が作用しているため、可動ピン52は、開口38a,38b内のチェーン厚さ方向外側に位置する傾向があり、部分60aで案内されなくても可動ピン52の位置が不安定になることはない。
可動ピン52を案内する必要が生じる場合、一つのエレメントモジュール48に属するリンクの一部を無オフセットリンクとすることができる。リンクに掛かる応力は、その位置(列)ごとに異なるため、応力の低いリンクを無オフセットリンクとする。
図12には、図4に示すリンク配列としたときの、各列に属するリンク40に掛かる応力の振幅を示した図である。第7,11,13,15,19列の応力振幅が小さく、これらの列の全部または一部のリンクを無オフセットリンクとすることが好ましい。図13は、別のリンク配置における各列のリンク40の応力振幅を示す図である。この場合、第2,4,23,24列の応力振幅が大きい。このようなときには、これらの応力振幅の大きなリンクをオフセットリンクとし、他の列のリンクの全部または一部を無オフセットリンクとすることが好ましい。
無段変速機のチェーンを構成するリンクの全部、または一部をオフセットリンクとすることで、耐久強度が向上する。
10 チェーン式無段変速機、12 入力プーリ、14 出力プーリ、16 チェーン、18 入力軸、20 固定シーブ、22 移動シーブ、24,26 円錐面、28 出力軸、30 固定シーブ、32 移動シーブ、34,36 円錐面、38a,38b 開口、40 リンク、42a,42b ピン、44 チェーンエレメント、46 リンクユニット、48 エレメントモジュール、50 固定ピン、52 可動ピン、54 ピン固定領域、56 ピン可動領域、58 ピン固定領域の開口の周縁、60 ピン可動領域の開口の周縁。

Claims (4)

  1. 無段変速機の、対向し、かつ互いの距離が変更可能な円錐面を有する2個のプーリに巻き渡されるチェーンであって、
    当該チェーンは、チェーン周方向に並んだ2個の開口を有する板形状のリンクがチェーンの周方向に沿って配置され、かつチェーンの幅方向に複数枚が配列されて構成されたリンクユニットと、前記リンクの2個の開口をそれぞれ貫通し、少なくとも一方が両端が前記円錐面に当接する2本のピンとを有するチェーンエレメントを、チェーン周方向に隣接する前記チェーンエレメントのうち一方のエレメントの前記ピンを他方のエレメントの前記リンクの開口に通して連結して形成され、
    前記リンクの2個の開口は、2個の開口のそれぞれの互いに離れた側の領域であって、当該リンクが属するチェーンエレメントに属する前記ピンが固定されたピン固定領域と、2個の開口のそれぞれの互いに近い側の領域であって、当該リンクが属する前記チェーンエレメントに隣接する前記チェーンエレメントに属するピンが移動可能に配置されるピン可動領域と、を有し、
    前記ピン可動領域における前記開口のチェーン厚さ方向内側の周縁は、前記ピン固定領域における前記開口のチェーン厚さ方向内側の周縁よりチェーン厚さ方向内側へオフセットとしており、そのオフセットの量が0.1mm以上であり、
    前記ピン可動領域における前記開口のチェーン厚さ方向外側の周縁およびチェーン厚さ方向に沿う周縁は、前記ピンの移動軌跡に沿う形状を有する、
    無段変速機のチェーン。
  2. 請求項1に記載の無段変速機のチェーンであって、前記オフセットの量が0.5mm以下である、無段変速機のチェーン。
  3. 請求項2に記載の無段変速機のチェーンであって、前記オフセットの量が0.25mm以上である、無段変速機のチェーン。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の無段変速機のチェーンであって、前記リンクが前記オフセットがあるオフセットリンクと、オフセットがない無オフセットリンクを含む、無段変速機のチェーン。
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