JP2016183309A - エポキシ樹脂および熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents

エポキシ樹脂および熱硬化性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】密着性および難燃性に優れる硬化物が得られるエポキシ樹脂および熱硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】環状尿素化合物のジメチロール体とフェノール類とを反応させて得られる尿素含有フェノール樹脂を、エポキシ化してなるエポキシ樹脂とする。環状尿素化合物のジメチロール体は、ジメチロールエチレン尿素、ジメチロールプロピレン尿素、ジメチロールヒダントインから選ばれる1種以上であることが好ましい。尿素含有フェノール樹脂は、環状尿素化合物と前記フェノール類とがメチレン結合を介して交互に繰り返した構造であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、エポキシ樹脂および熱硬化性樹脂組成物に関し、特に、密着性および難燃性に優れた硬化物が得られるエポキシ樹脂、およびそのエポキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物に関する。
従来、エポキシ樹脂と、その硬化剤として用いるフェノール樹脂とを含む熱硬化性樹脂組成物がある。この熱硬化性樹脂組成物は、耐熱性、密着性、電気絶縁性に優れる硬化物が得られるため、様々な分野で使用されている。
具体的には、半導体装置などの電子部品の封止材用樹脂組成物、プリント基板用樹脂組成物、プリント基板及び樹脂付き銅箔に使用する層間絶縁材料用樹脂組成物、導電性充填剤を含有する導電ペースト、塗料、接着剤及び複合材料などに用いられている。
これらの中でも、より一層の小型化、薄型化、微細化が要求されている半導体装置の封止材に用いる熱硬化性樹脂組成物では、更に硬化物の密着性および難燃性を向上させることが求められている。特に、車載用の半導体装置では、使用環境の温度変化が大きい。したがって、半導体チップと封止材との界面や、導電接続用ワイヤー、リードフレームなどの金属と封止材との界面で、温度変化によって発生する応力も大きい。そのため、車載用の半導体装置に用いられる封止材には、温度変化によって上記の界面で応力が発生しても、それに耐えることができる高い密着性が要求されている。
従来、エポキシ樹脂組成物の密着性を向上させる技術として、キシレン樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、特許文献2には、炭化水素基を構造中に含むエポキシ樹脂組成物が提案されている。
特開平11−335530号公報 特開2006−335796号公報
しかしながら、特許文献1に記載のエポキシ樹脂組成物では、キシレン樹脂に含まれている低分子量成分が、硬化物の表面にブリードを生じさせる。キシレン樹脂に起因するブリードは、難燃性に悪影響を及ぼす。このため、特許文献1に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物は、難燃性が不十分であった。
また、特許文献2に記載のエポキシ樹脂組成物も、密着性には優れているものの、難燃性が不十分であった。
エポキシ樹脂組成物の難燃性を向上させるには、エポキシ樹脂組成物中に無機充填剤を高濃度で含有させればよい。しかし、十分な難燃性が得られるように、エポキシ樹脂組成物中における無機充填剤の含有量を十分に高くすると、エポキシ樹脂組成物の流動性が低下し、成形性が悪くなる。このため、無機充填剤の含有量が少なくても、難燃性に優れた硬化物が得られるエポキシ樹脂組成物を実現することが要求されている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、密着性および難燃性に優れる硬化物が得られるエポキシ樹脂および熱硬化性樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決し、密着性および難燃性に優れる硬化物が得られるエポキシ樹脂を実現すべく鋭意研究を重ねた。その結果、特定の尿素含有フェノール樹脂を、エポキシ化してなるエポキシ樹脂とすればよいことを見出し、本発明を想到した。
すなわち、本発明は以下の構成からなる。
[1]環状尿素化合物のジメチロール体とフェノール類とを反応させて得られる尿素含有フェノール樹脂を、エポキシ化してなるエポキシ樹脂。
[2]前記環状尿素化合物のジメチロール体が、ジメチロールエチレン尿素、ジメチロールプロピレン尿素、ジメチロールヒダントインから選ばれる1種以上である[1]に記載のエポキシ樹脂。
[3]前記尿素含有フェノール樹脂が、環状尿素化合物と前記フェノール類とがメチレン結合を介して交互に繰り返した構造である[1]または[2]に記載のエポキシ樹脂。
[4]前記尿素含有フェノール樹脂が、下記一般式(1)で示される化合物である[1]〜[3]のいずれかに記載のエポキシ樹脂。
Figure 2016183309
(一般式(1)中、Xは、CH−CH、CH−CH−CH、CH−COH、CO−NH−CO、CO−N(OH)−COから選ばれるいずれか1種であることを示す。nは1〜10であることを示す。)
[5]前記尿素含有フェノール樹脂が、ノボラック型の尿素含有フェノール樹脂である[1]〜[4]のいずれかに記載のエポキシ樹脂。
[6]下記一般式(2)で示されるエポキシ樹脂。
Figure 2016183309
(一般式(2)中、Xは、CH−CH、CH−CH−CH、CH−COH、CO−NH−CO、CO−N(OH)−COから選ばれるいずれか1種であることを示す。nは1〜10であることを示す。)
[7]エポキシ当量が200〜300である[1]〜[6]のいずれかに記載のエポキシ樹脂。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載のエポキシ樹脂と、前記エポキシ樹脂の硬化剤とを含む熱硬化性樹脂組成物。
[9]前記硬化剤が、フェノール樹脂である[8]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[10]さらに充填剤を含む[8]または[9]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
本発明のエポキシ樹脂は、環状尿素化合物のジメチロール体とフェノール類とを反応させて得られる尿素含有フェノール樹脂をエポキシ化してなるものであるため、これを硬化させることにより密着性および難燃性に優れる硬化物が得られる。
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、本発明のエポキシ樹脂を含むものであるため、これを硬化させることにより密着性および難燃性に優れる硬化物が得られる。
合成例1の反応生成物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定結果である。 尿素含有フェノール樹脂AのH−NMRスペクトルである。 エポキシ樹脂AのH−NMRスペクトルである。
以下、本発明のエポキシ樹脂および熱硬化性樹脂組成物について詳細に説明する。
「エポキシ樹脂」
本実施形態のエポキシ樹脂は、尿素含有フェノール樹脂をエポキシ化してなる。エポキシ樹脂の原料として使用する尿素含有フェノール樹脂は、環状尿素化合物のジメチロール体とフェノール類とを反応させて得られる。
(環状尿素化合物のジメチロール体)
環状尿素化合物とは、尿素の有する二つの窒素原子が、アルキレン基で環状に結合している化合物である。環状尿素化合物のジメチロール体とは、2つのN原子にそれぞれ結合している水素原子が−CHOHで置換されたものをいう。
環状尿素化合物のジメチロール体としては、特に限定されないが、ジメチロールエチレン尿素、ジメチロールプロピレン尿素、ジメチロールヒダントイン、ジメチロールシアヌル酸、及びジメチロールビオルル酸などが挙げられる。これらの中でも、特に、ジメチロールエチレン尿素、ジメチロールプロピレン尿素、ジメチロールヒダントインは、水および有機溶剤への溶解性が高いため、好ましい。尿素含有フェノール樹脂の原料として使用する環状尿素化合物のジメチロール体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
環状尿素化合物のジメチロール体は、環状尿素化合物1分子に対して、ホルムアルデヒド系化合物2分子を付加反応させることによって得られる。
ホルムアルデヒド系化合物としては、例えば、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオキサン(メタホルムアルデヒド)などを使用できる。これらの中でも、特に、反応性および作業性に優れる観点から、ホルマリンを用いることが好ましい。
ホルムアルデヒド系化合物は、環状尿素化合物1.0モルに対して、2.0〜2.1モルの割合で使用することが好ましい。
環状尿素化合物のジメチロール体を生成させる反応は、水もしくは有機溶媒の存在下で、無触媒もしくは塩基性触媒を用いて行うことが好ましい。
環状尿素化合物のジメチロール体を生成させる反応に用いる有機溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、酢酸、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
環状尿素化合物のジメチロール体を生成させる反応に用いる有機溶媒は、一種のみを単独で使用してもよいし、二種以上を併用して使用してもよい。
環状尿素化合物のジメチロール体を生成させる反応に用いる水もしくは有機溶媒は、環状尿素化合物100質量部に対して、0〜1,000質量部、好ましくは10〜100質量部、必要に応じて使用できる。
環状尿素化合物のジメチロール体を生成させる反応に用いる塩基性触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等を適宜使用することができる。
本実施形態のエポキシ樹脂が、半導体装置の封止材など電気絶縁性を要する用途に用いられるものである場合などには、環状尿素化合物のジメチロール体を生成させる反応の終了後に、例えば、酸を用いて中和して水で洗浄する方法などにより、塩基性触媒を除去することが好ましい。
環状尿素化合物のジメチロール体を生成させる反応は、45℃〜80℃、好ましくは45℃〜70℃、さらに好ましくは45℃〜50℃の反応温度とする。反応温度が45℃以上であると、十分に反応速度が速くなるため、効率よく環状尿素化合物のジメチロール体を生成させることができる。また、反応温度が80℃以下であると、反応の制御が容易となり、副反応を抑制できる。
環状尿素化合物のジメチロール体を生成させる反応は、1時間〜10時間程度行うことが好ましい。
(フェノール類)
尿素含有フェノール樹脂の原料として使用するフェノール類は、一般的なフェノール樹脂の原料として使用されるものを用いることができる。具体的には、フェノール類として、フェノール、各種クレゾール、各種エチルフェノール、各種キシレノール、各種ブチルフェノール、各種オクチルフェノール、各種ノニルフェノール、各種フェニルフェノール、各種シクロヘキシルフェノール、各種ナフトール、各種ナフタレンジオール、カテコール、レゾシノール、ハイドロキノン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1’−ビス(ジヒドロキシフェニル)メタン、1,1’−ビス(ジヒドロキシナフチル)メタン、テトラメチルビフェノール、ビフェノール、ヘキサメチルビフェノールなどが挙げられる。これらのフェノール類の中でも特に、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、ナフトール類、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,6−キシレノール、レゾルシノール、ハイドロキノン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレンを用いることが好ましい。尿素含有フェノール樹脂の原料として使用するフェノール類は、一種のみを単独で使用してもよいし、二種以上を併用して使用してもよい。
(尿素含有フェノール樹脂)
尿素含有フェノール樹脂は、上述した環状尿素化合物のジメチロール体とフェノール類とを縮合反応させることにより得られる。
尿素含有フェノール樹脂は、上記の環状尿素化合物とフェノール類とがメチレン結合を介して交互に繰り返した構造(交互共重合体)であることが好ましい。このような構造を有する尿素含有フェノール樹脂は、これをエポキシ化してなるエポキシ樹脂において、環状尿素化合物由来の極性基による密着性、難燃性を効率良く付与できる。したがって、このような尿素含有フェノール樹脂をエポキシ化することで、より一層密着性および難燃性の優れる硬化物が得られるエポキシ樹脂となる。
上記の環状尿素化合物とフェノール類とがメチレン結合を介して交互に繰り返した構造を有する尿素含有フェノール樹脂としては、上記一般式(1)で示される化合物であることが好ましい。
上記一般式(1)中、Xは、CH−CH、CH−CH−CH、CH−COH、CO−NH−CO、CO−N(OH)−COから選ばれるいずれか1種である。これらの中でも特にXが、CH−CH、CH−CH−CH、CH−COHから選ばれるいずれか1種であることが好ましい。
上記一般式(1)中、nは1〜10である。nが上記範囲であると、エポキシ化を行う際に使用するエピハロヒドリンに対する溶解性に優れるため好ましい。
尿素含有フェノール樹脂は、溶剤溶解性を維持するために、数平均分子量300〜700程度の低分子量であることが好ましい。
尿素含有フェノール樹脂を生成させる反応では、環状尿素化合物のジメチロール体1.0モルに対し、フェノール類を1.0〜3.0モルの割合で用いることが好ましい。環状尿素化合物のジメチロール体に対するフェノール類の割合が上記範囲であると、環状尿素化合物とフェノール類とがメチレン結合を介して交互に繰り返した構造を有する尿素含有フェノール樹脂を容易に生成できる。
尿素含有フェノール樹脂を生成させる反応は、水もしくは有機溶媒の存在下で酸触媒を用いて行う。
尿素含有フェノール樹脂を生成させる反応に使用される有機溶媒としては、例えば、環状尿素化合物のジメチロール体を生成させる反応に使用できる上述した有機溶媒が挙げられる。
ノボラック型の尿素含有フェノール樹脂を生成させる反応に用いる酸触媒としては、一般的なノボラック樹脂の製造に使用されるものを用いることができる。具体的には、酸触媒として、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、パラトルエンスルホン酸、シュウ酸などが挙げられる。これらの酸触媒は、単独もしくは2種類以上混合して使用できる。酸触媒としては、これらの中でも特に、加熱により分解するシュウ酸を用いることが好ましい。
酸触媒の使用量は、環状尿素化合物のジメチロール体100質量部に対して、0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜8質量部、更に好ましくは0.1〜5質量部とすることができる。
尿素含有フェノール樹脂を生成させる反応は、70℃〜150℃、好ましくは80℃〜120℃、さらに好ましくは90℃〜110℃の反応温度とする。反応温度が70℃以上であると、十分に反応速度が速くなるため、効率よく尿素含有フェノール樹脂を生成させることができる。また、反応温度が150℃以下であると、反応の制御が容易となり、副反応を抑制できる。
尿素含有フェノール樹脂を生成させる反応は、1時間〜10時間程度行うことが好ましい。
尿素含有フェノール樹脂を生成させる反応の後は、必要に応じて反応生成物を水洗し、加熱減圧して縮合水、及び未反応のフェノール類を除去する。
生成した尿素含有フェノール樹脂は、軟化点を有する固形の樹脂としても得られ、必要により有機溶媒に溶解して樹脂溶液とすることもできる。
(エポキシ樹脂)
本実施形態のエポキシ樹脂は、上述した尿素含有フェノール樹脂をエポキシ化してなるものである。
本実施形態のエポキシ樹脂は、上記一般式(2)で示されるエポキシ樹脂であることが好ましい。一般式(2)中のXおよびnは、一般式(1)中のXおよびnと同じである。
本実施形態のエポキシ樹脂は、エポキシ当量が200〜300であることが好ましい。エポキシ当量が上記範囲内であると、密着性および難燃性に優れた硬化物が得られるエポキシ樹脂となる。より詳細には、エポキシ当量が200以上であると、エポキシ樹脂の硬化物の架橋密度が高くなり過ぎて密着性に悪影響を及ぼすことがないため好ましい。また、エポキシ当量が300以下であると、エポキシ基が不足してエポキシ樹脂の硬化物の難燃性に悪影響を及ぼすことがなく好ましい。
本実施形態では、尿素含有フェノール樹脂の水酸基とエピハロヒドリンとを塩基性触媒の存在下で反応させることによって、尿素含有フェノール樹脂のエポキシ化を行う。
エポキシ化に用いるエピハロヒドリンとしては、例えば、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリンなどが挙げられる。エピハロヒドリンは、尿素含有フェノール樹脂の水酸基に対して、当モル以上、好ましくは3倍モル以上の割合で用いることが好ましい。このことにより、エポキシ当量が200〜300であるエポキシ樹脂が容易に得られる。
エポキシ化に用いる塩基性触媒としては、一般的なエポキシ樹脂を合成する際に使用されるものを用いることができる。具体的には、塩基性触媒として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを用いることができる。
塩基性触媒の使用量は、尿素含有フェノール樹脂の水酸基に対して当モル以上であることが好ましい。
尿素含有フェノール樹脂をエポキシ化する際には、必要に応じて、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウムなどの反応促進剤を反応系に添加してもよい。
尿素含有フェノール樹脂とエピハロヒドリンとの反応は、例えば、反応容器中に、尿素含有フェノール樹脂と、エピハロヒドリンと、必要に応じて反応促進剤とを仕込み、さらに塩基性触媒を徐々に添加する方法により行うことができる。
尿素含有フェノール樹脂のエポキシ化を行う際の反応温度は、25〜100℃であることが好ましい。また、反応時間は特に制限はなく、尿素含有フェノール樹脂、エピハロヒドリンおよび塩基性触媒の量や、反応温度に応じて適宜調整すればよい。
エポキシ化を行った後は、未反応のエピハロヒドリンを蒸留によって除去し、さらに反応生成物の水洗を数回行って、副生した塩を除去しても良い。
「熱硬化性樹脂組成物」
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、上記のエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂の硬化剤とを含む。
本実施形態においては、熱硬化性樹脂組成物の性能に悪影響を及ぼさない範囲で、上記のエポキシ樹脂以外の他のエポキシ樹脂(以下、「他のエポキシ樹脂」と略すことがある。)を併用しても良い。
他のエポキシ樹脂としては、公知のエポキシ樹脂を用いることができ、特に限定されない。具体的には、他のエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂などの二価のフェノール類から誘導されるエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール変性型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂などの三価以上のフェノール類から誘導されるエポキシ樹脂、有機リン化合物で変性されたエポキシ樹脂などが挙げられる。これらの中でも特に、他のエポキシ樹脂として、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂を用いることが好ましい。これらの他のエポキシ樹脂は、単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂の硬化剤としては、従来公知のものを用いることができ、特に限定されない。具体的には、エポキシ樹脂の硬化剤として、フェノール樹脂、酸無水物、アミン類などが挙げられる。これらの硬化剤の中でも、耐熱性および耐湿性に優れる硬化物が得られるため、フェノール樹脂を用いることが好ましい。
エポキシ樹脂の硬化剤として用いるフェノール樹脂としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールノボラック樹脂、カシューノボラック樹脂などが挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物中のエポキシ樹脂と硬化剤としてのフェノール樹脂との混合割合は、エポキシ樹脂(他のエポキシ樹脂を含む場合には、エポキシ樹脂と他のエポキシ樹脂との合計)1.0当量に対し、フェノール樹脂を0.6〜1.2当量、好ましくは0.7〜1.1当量の割合とする。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、一種または二種以上の充填剤を含有してもよい。
充填剤としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化ホウ素、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの無機充填剤を用いることが好ましい。無機充填剤を含む熱硬化性樹脂組成物とすることで、硬化物の耐熱性を向上させることができ、好ましい。
上記の無機充填剤の中でも特に、エポキシ樹脂の硬化反応を阻害することがなく、安価で実用性に優れる点から、溶融シリカを用いることが好ましい。溶融シリカとしては、破砕状、球状のいずれも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高めて硬化物の耐熱性を向上させるとともに、熱硬化性樹脂組成物の溶融粘度の上昇を抑制するためには、球状のものを主に用いることが好ましい。更に、溶融シリカの配合量を高めるためには、球状の溶融シリカの粒度分布を調整することが好ましい。
熱硬化性樹脂組成物中の充填剤の種類および含有量は、熱硬化性樹脂組成物の用途や所望とする特性に応じて決定できる。
例えば、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物が、半導体装置の封止材に用いられるものである場合には、充填剤の含有量が多い程、封止材と半導体装置との界面における線膨張係数の差が小さいものとなるとともに、優れた難燃性が得られるため好ましい。具体的には、半導体装置の封止材に用いられる熱硬化性樹脂組成物である場合、充填剤の含有量は、熱硬化性樹脂組成物全体の質量に対して、65質量%以上が好ましく、特に好ましくは80〜90質量%である。
また、例えば、熱硬化性樹脂組成物が、導電ペーストや導電フィルムなどに用いられるものである場合は、充填剤として銀粉や銅粉などの導電性充填剤を用いることができる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、硬化反応を促進する目的で、硬化促進剤を含有してもよい。
硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール系化合物、有機リン系化合物、第2級アミン系化合物、第3級アミン系化合物、オクチル酸スズなどの有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩などが挙げられる。硬化促進剤は、一種のみ単独で用いてもよいし、二種以上を併用して使用してもよい。
硬化促進剤として用いるイミダゾール系化合物としては、具体的には、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、4、5−ジフェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−ウンデシルイミダゾリン、2−ヘプタデシルイミダゾリン、2−イソプロピルイミダゾール、2、4−ジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾリン、2−イソプロピルイミダゾリン、2、4−ジメチルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾリンなどが挙げられる。
これらのイミダゾール系化合物は、マスク化剤によりマスクされていてもよい。
マスク化剤としては、アクリロニトリル、フェニレンジイソシアネート、トルイジンイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、メチレンビスフェニルイソシアネート、メラミンアクリレートなどが挙げられる。
硬化促進剤として用いる有機リン系化合物としては、具体的には、エチルホスフィン、プロピルホスフィン、ブチルホスフィン、フェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン/トリフェニルボラン錯体、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートなどが挙げられる。
硬化促進剤として用いる第2級アミン系化合物としては、モルホリン、ピペリジン、ピロリジン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジベンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−アルキルアリールアミン、ピペラジン、ジアリルアミン、チアゾリン、チオモルホリンなどが挙げられる。
硬化促進剤として用いる第3級アミン系化合物としては、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジアミノメチル)フェノールなどが挙げられる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物には、さらに、改質剤、顔料、シランカップリング剤、離型剤などの種々の配合剤を、目的に応じて添加することができる。
熱硬化性樹脂組成物の改質剤としては、熱硬化性樹脂および/または熱可塑性樹脂が挙げられる。改質剤として用いる熱硬化性樹脂および/または熱可塑性樹脂としては、公知の熱硬化性樹脂および/または熱可塑性樹脂の全てが使用できる。具体的には、熱硬化性樹脂組成物の改質剤として、フェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などを、本発明の効果を損なわない範囲で使用できる。
シランカップリング剤としては、アミノシラン系化合物、ビニルシラン系化合物、スチレン系シラン化合物、メタクリルシラン系化合物などのシランカップリング剤が挙げられる。
離型剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、およびカルナバワックスなどが挙げられる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、本実施形態のエポキシ樹脂を含むものであるため、これを硬化させることにより密着性および難燃性に優れる硬化物が得られる。この効果は、エポキシ樹脂における、環状尿素化合物のジメチロール体とフェノール類とが反応して得られる尿素含有フェノール樹脂の骨格に起因する難燃性および密着性向上作用と、エポキシ基に起因する難燃性および密着性向上作用との相乗効果によるものと推定される。
また、本実施形態のエポキシ樹脂の硬化物は、上述したように難燃性に優れている。このため、硬化物の難燃性を向上させるために熱硬化性樹脂組成物中に充填剤を含有させる場合に、充填剤の含有量を少なくできる。その結果、本実施形態によれば、十分な流動性を有する成形性に優れた熱硬化性樹脂組成物を用いて、難燃性が要求される硬化物を得ることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。以下に示す実施例及び比較例における「部」および「%」は、それぞれ「質量部」および「質量%」である。
「合成例1(尿素含有フェノール樹脂Aの合成)」
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、エチレン尿素100部と25%水酸化ナトリウム水溶液8部とを仕込み、内温を50℃にして、37%ホルマリン水溶液188部を1時間かけて滴下した。その後、50℃で2時間反応させ、未反応のエチレン尿素の消失をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて確認した。
その後、反応溶液に燐酸6部を添加して中和し、反応生成物として302部のジメチロールエチレン尿素溶液を得た。反応生成物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定結果を図1に示す。
次に、ジメチロールエチレン尿素を含む反応溶液に、フェノール328部とシュウ酸1.5部とを仕込み、還流温度で4時間反応後、200℃、6.7kPaの減圧下で縮合水と未反応フェノールとを除去し、ノボラック型の尿素含有フェノール樹脂Aを288部得た。
得られた尿素含有フェノール樹脂AのH−NMRスペクトル(核磁気共鳴スペクトル)を測定した。その結果を図2に示す。図2より、尿素含有フェノール樹脂Aは、エチレン尿素とフェノール類とがメチレン結合を介して交互に繰り返した構造(交互共重合体)であることが確認できた。
「合成例2(尿素含有フェノール樹脂Bの合成)」
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、プロピレン尿素100部と25%水酸化ナトリウム水溶液8部とを仕込み、内温を50℃にして、37%ホルマリン水溶液162部を1時間かけて滴下した。その後、50℃で3時間反応させた。その後、反応溶液に燐酸6部を添加して中和し、反応生成物として276部のジメチロールプロピレン尿素溶液を得た。
次に、ジメチロールプロピレン尿素を含む反応溶液に、フェノール282部とシュウ酸2部とを仕込み、還流温度で5時間反応後、200℃、6.7kPaの減圧下で縮合水と未反応フェノールを除去し、ノボラック型の尿素含有フェノール樹脂Bを300部得た。
「合成例3(尿素含有フェノール樹脂Cの合成)」
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、ヒダントイン100部と25%水酸化ナトリウム水溶液8部とを仕込み、内温を50℃にして、37%ホルマリン水溶液162部を1時間かけて滴下した。その後、50℃で3時間反応させた。その後、反応溶液に燐酸6部を添加して中和し、反応生成物として276部のジメチロールヒダントイン溶液を得た。
次に、ジメチロールヒダントインを含む反応溶液に、フェノール282部とシュウ酸2部とを仕込み、還流温度で5時間反応後、200℃、6.7kPaの減圧下で縮合水と未反応フェノールを除去し、ノボラック型の尿素含有フェノール樹脂Cを255部得た。
「実施例1(エポキシ樹脂Aの製造)」
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、合成例1で合成した尿素含有フェノール樹脂Aを100g、エピクロロヒドリンを400g、塩化テトラメチルアンモニウムを0.1g仕込み、内温を60℃で1時間保持した後、同一温度で48%水酸化カリウム水溶液100gを3時間かけて滴下した。その際、反応系内を60℃で還流するように13.3kPaの減圧とし、溜出するエピクロロヒドリンと水の混合物のうち、水を反応系外に除去し、エピクロロヒドリンを反応系内に戻しながら反応を行った。
水酸化カリウム水溶液の滴下終了後、同温度で1時間反応させた後、減圧蒸留で未反応のエピクロロヒドリンを回収除去した。こうして得られたエポキシ樹脂を含む反応溶液にメチルイソブチルケトンを400g加え、数回水洗を行って塩を除去した。次いで、メチルイソブチルケトンを減圧蒸留によって除去し、エポキシ当量222、150℃溶融粘度124mPa・sのエポキシ樹脂Aを得た。
得られたエポキシ樹脂AのH−NMRスペクトルを測定した。その結果を図3に示す。図3より、エポキシ樹脂Aは、エチレン尿素のジメチロール体とフェノール類とを反応させて得られる尿素含有フェノール樹脂を、エポキシ化してなる構造であることが確認できた。
「実施例2(エポキシ樹脂Bの製造)」
尿素含有フェノール樹脂として、合成例2で合成した尿素含有フェノール樹脂Bを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、エポキシ当量228、150℃溶融粘度88mPa・sのエポキシ樹脂Bを得た。
「実施例3(エポキシ樹脂Cの製造)」
尿素含有フェノール樹脂として、合成例3で合成した尿素含有フェノール樹脂Cを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、エポキシ当量230、150℃溶融粘度166mPa・sのエポキシ樹脂Cを得た。
「比較例1(エポキシ樹脂Dの製造)」
尿素含有フェノール樹脂に代えて、ショウノールBRG−553(フェノールノボラック樹脂)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、エポキシ当量175、150℃粘度23mPa・sの液状エポキシ樹脂Dを得た。
「比較例2(エポキシ樹脂Eの製造)」
尿素含有フェノール樹脂に代えて、ショウノールCRG−951(オルソクレゾールノボラック樹脂)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、エポキシ当量205、150℃溶融粘度480mPa・sのエポキシ樹脂Eを得た。
実施例1〜3および比較例1、2で得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量および溶融粘度の分析方法は、以下の通りである。
(1)エポキシ当量
JIS K 7236に準拠
(2)溶融粘度(mPa・s)
リサーチ・イクウィップ社製のICI粘度計を用いて、エポキシ樹脂の150℃における溶融粘度を測定した。
使用したコーンプレート:24φ、0−5用
次に、実施例1〜3および比較例1、2で得られたエポキシ樹脂を用いて、以下に示す方法により、表1に示す実施例4〜9および比較例3、4の熱硬化性樹脂組成物を得た。
エポキシ樹脂に対して、表1に示す水酸基当量/エポキシ基当量でフェノール樹脂を混合し、表1に示す割合でトリフェニルホスフィン(硬化促進剤)を添加して、樹脂成分を得た。次に、上記樹脂成分に、熱硬化性樹脂組成物中の含有率が80質量%となるように、溶融シリカ(無機充填剤)を混合し、二本ロール(西村マシナリー社製、NS−155(S)型)にて100℃で5分間混練し、熱硬化性樹脂組成物を調製した。
Figure 2016183309
(硬化物の製造)
実施例4〜9および比較例3、4の熱硬化性樹脂組成物をそれぞれ金型に入れて、温度150℃、圧力30kg/cmの条件で、30分間加圧成形した。その後、180℃で5時間加熱して、熱硬化性樹脂組成物を硬化し、硬化物のテストピースを作製した。
得られたテストピースについて、ガラス転移温度、曲げ強度、難燃性を、次の方法により評価した。
(3)ガラス転移温度(Tg)
SII社製のSSC/5200(商品名)を使用して、TMA法(Thermo Mechanical Analysis法)によりガラス転移温度を測定した。昇温速度は10℃/分とした。
(4)曲げ強度
JIS K−6911に準拠した方法で測定した。テストピースの形状は、長さ90mm×高さ4mm×幅10mmとし、支点間距離64mmで測定した。
(5)難燃性
下記形状のテストピースを用いて、難燃性評価を行った。試験はUL規格(Underwriters Laboratories;アメリカ保険業者安全試験所)に準じたJIS K6911B法で行った。
テストピースの形状:長さ130mm×幅13mm×高さ2mm
試験回数:n=5
試験方法:メタンガスボンベを用いて、バーナーの炎の高さを19mmの青色炎に調節し、クランプで長さ方向を鉛直に保持したテストピースの下端中央部に、10秒間接炎した(バーナーとテストピースの下端との間の間隔を9.5mmとした)。接炎後、バーナーをテストピースから離し、フレーミング時間を測定した。フレーミングが止まったら直ちに炎を再度、テストピースの同じ箇所に当てて、10秒後に離し、フレーミング時間を測定した。
難燃性の評価は、計10回分(各テストピースに2回接炎×テストピース数5個)の接炎後、各々のフレーミング時間(評価1)と、全フレーミング時間の合計時間(評価2)との二つの観点から下記基準に基づき評価した。
二つの観点で評価した結果のうち劣る方の結果を、難燃性の評価結果として表記した。例えば、評価1において、計10回のフレーミング時間のそれぞれが全て10秒以内「V−0級」であり、かつ、評価2において、計10回のフレーミング時間の合計が50秒以内「V−0級」であったとき、表1に「V−0」と示した。また、評価1と評価2の少なくとも一方の結果が「自消性」であったものは、表1に「自消性」と示した。
なお、テストピースの難燃性は、各テストピースで2回接炎し、これを5個のテストピースに対してそれぞれ行った(試験回数n=5)。
(評価1)
・フレーミング時間が全て10秒以内:V−0級
・フレーミング時間(全10回分の各々)が10秒を超え、30秒以内のものがある:V−1級
・フレーミング時間(全10回分の各々)が30秒超えのものがある:自消性
(評価2)
・計10回分のフレーミング時間合計が50秒以内:V−0級
・計10回分のフレーミング時間合計が50秒を超え、250秒以内:V−1級
・計10回分のフレーミング時間合計が250秒を超える:自消性
実施例4〜9、及び比較例3〜4で作製したテストピースのガラス転移温度、曲げ強度及び難燃性の測定結果を表1に示す。
表1に示すように、本発明のエポキシ樹脂を含む実施例4〜9の熱硬化性樹脂組成物は、全て難燃性の結果が「V−0」であり、高い難燃性を有する硬化物が得られることが確認できた。また、実施例4〜9の硬化物は、充填剤の使用量が同等であって、尿素含有フェノール樹脂のエポキシ化物に代えて尿素を含まないフェノール樹脂のエポキシ化物を用いた比較例3、4の熱硬化性樹脂組成物の硬化物と比較して、高い難燃性を有するものであった。
また、表1に示すように、実施例4〜9の硬化物は、比較例3、4の硬化物と比較して、曲げ強度が高いものであった。
また、エポキシ樹脂Aを含む表1に示す実施例4、7〜9の結果から、水酸基当量/エポキシ基当量が低い(エポキシ基が多い)熱硬化性樹脂組成物の硬化物であるほど、硬化物の曲げ強度が高くなることが分かった。
また、実施例4〜9および比較例3、4の熱硬化性樹脂組成物の硬化物について、次の方法により、密着性を評価した。
(6)密着性
縦10mm×横26mm×高さ8mmの銅製のブロックの上面に、熱硬化性樹脂組成物0.5gを縦10mm×横14mmの面積で塗布した。このブロックの未塗布部が露出し、塗布部が覆われるように、同じ寸法の銅製のブロックを重ね、温度180℃、圧力30kg/cmで60分間加圧して熱硬化性樹脂組成物を硬化し、銅製の試験片を得た。
銅製のブロックと同じ形状を有する銀製のブロックとニッケル製のブロックとを用意し、銅製の試験片と同様にして、銀製の試験片とニッケル製の試験片を得た。
このようにして得られた各試験片を用いて、JIS K−6852に準拠した方法によって25℃と260℃での圧縮せん断強度(MPa)を測定し、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の接着性の指標とした。圧縮せん断強度は、各実施例および各比較例について、それぞれ5個ずつ試験片を作成して測定し、その平均値とした。圧縮せん断強度を測定した結果を表2に示す。
Figure 2016183309
表2に示すように、実施例4〜9の熱硬化性樹脂組成物の硬化物は、比較例3、4の熱硬化性樹脂組成物の硬化物と比較して、圧縮せん断強度が高く、高い密着性を有していることが確認された。
本発明の熱硬化性樹脂組成物により得られる硬化物は、良好な密着性および難燃性を有する。このため、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、電子部品の封止材用樹脂組成物、プリント基板用樹脂組成物、プリント基板及び樹脂付き銅箔に使用する層間絶縁材料用樹脂組成物、導電性充填剤を含有する導電ペースト、塗料、接着剤及び複合材料等に好適に用いることができる。

Claims (10)

  1. 環状尿素化合物のジメチロール体とフェノール類とを反応させて得られる尿素含有フェノール樹脂を、エポキシ化してなるエポキシ樹脂。
  2. 前記環状尿素化合物のジメチロール体が、ジメチロールエチレン尿素、ジメチロールプロピレン尿素、ジメチロールヒダントインから選ばれる1種以上である請求項1に記載のエポキシ樹脂。
  3. 前記尿素含有フェノール樹脂が、環状尿素化合物と前記フェノール類とがメチレン結合を介して交互に繰り返した構造である請求項1または請求項2に記載のエポキシ樹脂。
  4. 前記尿素含有フェノール樹脂が、下記一般式(1)で示される化合物である請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂。
    Figure 2016183309
    (一般式(1)中、Xは、CH−CH、CH−CH−CH、CH−COH、CO−NH−CO、CO−N(OH)−COから選ばれるいずれか1種であることを示す。nは1〜10であることを示す。)
  5. 前記尿素含有フェノール樹脂が、ノボラック型の尿素含有フェノール樹脂である請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂。
  6. 下記一般式(2)で示されるエポキシ樹脂。
    Figure 2016183309
    (一般式(2)中、Xは、CH−CH、CH−CH−CH、CH−COH、CO−NH−CO、CO−N(OH)−COから選ばれるいずれか1種であることを示す。nは1〜10であることを示す。)
  7. エポキシ当量が200〜300である請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂と、前記エポキシ樹脂の硬化剤とを含む熱硬化性樹脂組成物。
  9. 前記硬化剤が、フェノール樹脂である請求項8に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  10. さらに充填剤を含む請求項8または請求項9に記載の熱硬化性樹脂組成物。
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