JP2016180028A - ガスバリア性樹脂組成物およびガスバリアフィルム - Google Patents

ガスバリア性樹脂組成物およびガスバリアフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】透明性及び基材密着性に優れる酸素と水蒸気に対するガスバリア性樹脂組成物並びにガスバリアフィルムの提供。【解決手段】無機層状化合物(A)と、アクリルアミド類(b1)99〜55モル%、ならびにアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、および無水マレイン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のα,β−不飽和カルボン酸類(b2)1〜45モル%を構成モノマーとして含み、重量平均分子量が25万〜100万であるアニオン性アクリルアミド共重合体(B)と、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスパラギン酸、およびグルタミン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の多価カルボン酸類(C)と、を含み、かつ前記(A)/(B)が40/60〜70/30(固形分重量換算)であり、前記(A)及び(B)の合計に対する前記(C)の使用割合(固形分重量換算)が1〜30重量%であるガスバリア性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ガスバリア性樹脂組成物、および該組成物を用いて得られるガスバリアフィルムに関する。
従来からの食品や医薬品の包装用途において、酸素や水蒸気等の浸入を妨げる目的でガスバリア性を有する包装材が使用されている。該包装材としては、ポリ塩化ビニリデンを主成分とする材料が長きに亘り用いられてきたが、近年の環境意識の高まりと共に、特に塩素を含む材料は敬遠される傾向にある。
一方、非塩素系のバリア性包装材では、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンビニルアルコール(EVA)などの水溶性高分子を主成分とするバリア材が知られている。しかし、該非塩素系のバリア性包装材は、ポリマー骨格上に存在する水酸基同士の水素結合によって高い酸素バリア性を示す特徴があるが、高湿度条件下では水素結合が切断されやすくなり、水蒸気バリア性が大きく低下する。
プラスチックフィルムなどの基材にガスバリア性を付与する手段として、該プラスチックにシリカ、アルミナなどの無機材料を配合したり、該プラスチック上に該無機材料層を形成させたりすることが知られている。例えば、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法などを用いて、プラスチックフィルム上に該無機材料からなるガスバリア層を形成させる手段が採用されている。
しかし、これらの方法によって欠陥のない緻密な無機膜を得ることは必ずしも容易でなく、膜中に発生するクラックやピンホールを通じて酸素や水蒸気が透過してしまう。従って、高度のガスバリア性が要求される包装用途では、有機層(例えば、PVA、EVA、ナノセルロースなど)と無機層を交互に積層させることによって、ガスバリア性を向上させる試みがなされているが、得られるフィルムは、酸素バリア性は高いものの、依然として水蒸気バリア性は充分ではない。
前記有機素材の水蒸気バリア性を向上させる手段として、無機素材によるハイブリッド化が検討されている。例えば、特許文献1では、PVAに無機層状化合物であるクレイを配合することで、ガスバリア性を向上しうるとの報告がある。また、特許文献2では、無機層状化合物である合成スメクタイトを主成分としたガスバリアフィルムに関する発明が開示されている。これらの発明では、無機層状化合物を被膜中に配向させることで迂回効果が得られ、ガス分子の透過が妨げられることから、ガスバリア性の向上が期待される。しかしながら、PVAと無機層状化合物とを単純に配合しただけでは、酸素バリア性を向上できるが、無機層状化合物の層間に存在するナトリウムイオンが水を吸着しやすいため、水蒸気バリア性は向上しない。
また、特許文献3では、無機層状化合物の層間に存在するナトリウムイオンをリチウムイオンに置き換えることによって、当該無機層状化合物の疎水性が向上すると報告されている。無機層状化合物自体の疎水性を向上させることにより、当該化合物をハイブリッド化させたガスバリア膜の水蒸気バリア性向上も期待できるが、当該無機層状化合物においては、十分な疎水性を発現させるために350℃程度での焼成が必須であり、例えばPETフィルムなど、耐熱性の低い基材に対しては適用することができない。
特開2013−248832号公報 特許第3855004号公報 特開2011−51845号公報
本発明は、前記実情に鑑み、優れた酸素バリア性と水蒸気バリア性を併せ持つガスバリア性樹脂組成物、および該組成物を用いて得られるガスバリアフィルムを提供すること目的とする。
すなわち本発明は、無機層状化合物(A)と、
アクリルアミド類(b1)99〜55モル%、ならびにアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、および無水マレイン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のα,β−不飽和カルボン酸類(b2)1〜45モル%を構成モノマーとして含み、重量平均分子量が25万〜100万であるアニオン性アクリルアミド共重合体(B)と、
クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスパラギン酸、およびグルタミン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の多価カルボン酸類(C)を含み、
かつ前記(A)/(B)が40/60〜70/30(固形分重量換算)であり、前記(A)および(B)の合計に対する前記(C)の使用割合(固形分重量換算)が1〜30重量%であることを特徴とするガスバリア性樹脂組成物に関する。また本発明は、前記ガスバリア性樹脂組成物を、基材の少なくとも片面に塗工して得られることを特徴とするガスバリアフィルムに関する。
本発明によれば、酸素や水蒸気に対し優れたバリア性を発現するとともに、透明性に優れかつ基材への密着性に優れるバリア層を形成することができるガスバリア性樹脂組成物を提供できる。更に本発明によれば、該樹脂組成物を基材に塗工して80〜130℃程度で乾燥させるだけで諸特性に優れるガスバリアフィルムを提供できる。すなわち、高温焼成が不要なため、バリアフィルムの製造工程を簡略化でき、またPETフィルムのような耐熱性の低い基材に対しても適用しうる利点がある。
<ガスバリア性樹脂組成物の構成成分>
本発明のガスバリア性樹脂組成物は、無機層状化合物(A)と、
アクリルアミド類(b1)99〜55モル%、ならびにアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、および無水マレイン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のα,β−不飽和カルボン酸類(b2)1〜45モル%を構成モノマーとして含み、重量平均分子量が25万〜100万であるアニオン性アクリルアミド共重合体(B)と、
クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスパラギン酸、およびグルタミン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の多価カルボン酸類(C)を、それぞれ後述するような特定割合で含むものである。
本発明のガスバリア性樹脂組成物の構成成分を簡略表現するため、前記無機層状化合物(A)を以下「成分A」、前記アニオン性アクリルアミド共重合体(B)を以下「成分B」、前記多価カルボン酸類(C)を以下「成分C」という。以下、各成分について説明する。
成分Aは、ガスバリア性樹脂組成物から形成されるバリア層や、該バリア層を含むガスバリアフィルムに高度のバリア性を付与するために必須使用される構成成分である。成分Aとしては、格別の限定はされず、各種公知の無機層状化合物から適宜に選択使用できる。得られるガスバリアフィルムの前記諸特性の点で、スメクタイト族粘土鉱物および雲母族粘土鉱物から選ばれる少なくとも1種を好ましく使用できる。その具体例としては、合成スメクタイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、モンモリロナイト、バーミキュライト、マイカ、ナトリウム四ケイ素雲母などが挙げられる。成分Aは、ガスバリア性樹脂組成物に直接配合してもよく、また予め水等の水性媒体に分散させてから配合してもよい。
ガスバリア性樹脂組成物における成分Aの含有量は、得られるガスバリア性樹脂組成物およびガスバリアフィルムの諸特性の観点から限定範囲とする必要があり、成分A/成分Bの使用割合(固形分重量換算)が、40/60〜70/30であり、好ましくは45/55〜68/32である。A成分の含有量が40重量%に満たないと、上記の諸特性が充分に得られにくくなり、また70重量%を超えると、ガスバリア性樹脂組成物中での分散性が悪くなりやすく、そのため、基材に対する密着性が低下したり、得られるガスバリアフィルムの透明性が低くなる傾向がある。なお、成分Aが高度のバリア性を発揮する理由は必ずしも定かではないが、例えば、成分Aの分子同士が層状で緊密に重なり合うことにより、酸素や水蒸気がバリア層を移動する距離が増大する、いわゆる迂回効果に基づき酸素分子などの透過が阻害されるためと考えられる。また、固形分重量とは、不揮発分測定で算出された値をいう。
成分Bは、得られるバリアフィルムにおけるバリア層の前記諸特性、成分Aに対する分散性、得られるガスバリア性樹脂組成物の塗工適性などを考慮して、公知の水溶性高分子の中から選択された必須構成成分である。
成分Bにおける必須構成モノマーは、アクリルアミド類(b1)(以下、モノマー(b1)という。)、およびα,β−不飽和カルボン酸類(b2)(以下、モノマー(b2)という。)である。
モノマー(b1)としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド等が挙げられ、これらは、単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。
モノマー(b2)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のモノカルボン酸;イタコン酸、マレイン酸等のジカルボン酸、またはこれらのナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられ、いずれも単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも重合性の面からアクリル酸、イタコン酸を好ましく使用できる。
成分Bにおける前記モノマーの使用割合としては、モノマー(b1)が99〜55モル%、モノマー(b2)が1〜45モル%であることが必須とされ、好ましくはモノマー(b1)が95〜60モル%、モノマー(b2)が5〜40モル%である。モノマー(b1)の使用割合が55モル%に満たない場合は基材への密着性が低下しやすく、また99モル%を超える場合は、成分Bを用いて得られたガスバリアフィルムのバリア性が低下する傾向がある。
なお、成分Bにおいては、本発明の諸効果を損なわない限り、前記構成モノマー以外の重合性ビニルモノマーを併用しうる。具体的には、芳香族ビニルモノマー、アルキル(メタ)アクリレート類、カルボン酸ビニルエステル類、(メタ)アクリロニトリル、ビニルアルコールなどが挙げられる。芳香族ビニルモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレート類としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。カルボン酸ビニルエステル類としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等などが挙げられる。なお、得られる成分Bの分子量調整などの目的で、必要に応じて、例えば(メタ)アリルスルホン酸や該塩などの連鎖移動剤を使用することもできる。
成分Bの製造に関しては、格別の限定はなく、従来公知の重合条件を適宜に選択採用でき、一般的には水溶液重合法が好ましい。例えば、前記モノマー(b1)および(b2)を含むモノマー混合液に重合開始剤を添加し、水性媒体中、50〜95℃の温度で15分〜5時間程度、重合させればよい。重合開始剤の具体例として、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩や、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩などのアゾ系重合開始剤が挙げられる。また、有機過酸化物のラジカル発生を容易にし、水素引抜き効果を促進できる点で還元剤を併用してもよい。還元剤としては、亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩、亜硫酸水素ナトリウムなどの亜硫酸水素塩、トリエタノールアミンや硫酸第一銅などが挙げられる。
成分Bの分子量は、得られるガスバリア性樹脂組成物の塗工適性、成分Aの分散性、得られるガスバリアフィルムのガスバリア性などを考慮して、慎重に決定する必要がある。具体的には、重量平均分子量が25万〜100万であり、好ましくは30万〜80万である。該分子量が25万に満たない場合はガスバリア性が低くなりやすく、また100万を超える場合は成分Aの分散性が低下する傾向がある。
成分Bの重合に際してのモノマー濃度や、得られる成分Bの固形分濃度は、いずれも特に限定されないが、重合時の除熱や得られるガスバリア性樹脂組成物の塗工適性などを考慮して適宜に決定できる。例えば、成分Bの固形分濃度は、通常5〜30重量%程度であり、好ましくは5〜25重量%である。該濃度が5重量%に満たない場合は重合反応が充分に進行せずに低分子量となりやすく、また30重量%を超える場合は重合反応時の除熱が充分に行われず、反応が進みすぎて過度な高分子量物となる傾向があり、ゲル化が生じる場合もある。
成分Bの粘度は、B成分の取り扱い性、得られるガスバリア性樹脂組成物の塗工適性などの点から適宜に決定できる。例えば、固形分濃度20重量%の水溶液(温度25℃)で、通常は100〜100,000mPa・s程度であり、好ましくは500〜40,000mPa・sである。該粘度が100mPa・sに満たない場合は成分Aの分散性が安定せず、ガスバリア性樹脂組成物とした際に成分Aが沈殿しやすく、また100,000mPa・sを超える場合は成分Aが凝集しやすくなる傾向がある。
成分Cは、得られるガスバリアフィルム中のガスバリア層を緻密なものとすることができ、得られるガスバリア層の基材密着性やガスバリア性をさらに向上し得る効果がある。成分Cは、成分Aや成分B中の極性基と相互作用し得る各種官能性化合物の中から、当該効果に優れたものが格別に選定されている。これらの中でも成分Aとの相互作用の点から、アスパラギン酸、クエン酸が特に好ましい。
ガスバリア性樹脂組成物中の成分Cの使用割合は、得られるガスバリア性樹脂組成物およびガスバリアフィルムの諸特性の観点から限定範囲とする必要があり、通常は成分Aと成分Bの合計(固形分換算)に対し、固形分換算で1〜30重量%であり、好ましくは10〜25重量%である。成分Cの使用割合が1重量%に満たない場合は充分なガスバリア性が得られ難くなり、また30重量%を超える場合は透明性が悪くなる傾向がある。
<ガスバリア性樹脂組成物の調製>
本発明のガスバリア性樹脂組成物は、水性媒体(水、低級アルコールなど)に、撹拌しながら、前記各成分を一括または分割して添加し、混合して調製される。好ましくは、前記A成分をあらかじめ分散させた水性媒体に、前記成分Bおよび成分Cを、前記の使用割合となるようそれぞれ所定量を添加し混合することにより調製される。該調製における温度は、格別限定されないが、通常は常温〜80℃程度である。
ガスバリア性樹脂組成物には、本発明の諸効果を損なわない範囲であれば、必要に応じて上記構成成分以外の成分を適宜に配合してもよい。該他成分としては、特に限定されず、当該用途等に応じて、公知の添加剤の中から適宜に選択でき、具体的には、レベリング剤、消泡剤、防腐剤、防カビ剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、安定剤、金属アルコキシド、シランカップリング剤等が挙げられる。
ガスバリア性樹脂組成物の調製に際しては、目的とするガスバリア性を保持できる限り、B成分以外の公知各種の水溶性樹脂を併用してもよい。該樹脂の具体例としては、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、澱粉、カチオン化澱粉、ポリアクリル酸などが挙げられる。該樹脂の使用量はB成分(固形分換算)に対し、通常、固形分換算で20重量%未満、好ましくは10重量%未満とされる。
<ガスバリアフィルムの調製>
本発明のガスバリアフィルムは、前記のようにして得られたガスバリア性樹脂組成物を基材の少なくとも片面に塗工し、ついで加熱乾燥させることにより製造できる。ガスバリア性樹脂組成物を用いた塗膜の形成方法は、特に限定されず、コーティング法、キャスト法等の公知の方法を適宜に選択採用できる。塗工方法としては、例えば、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、エアナイフコート法、バーコート法、メイヤーバーコート法、ディップコート法、ダイコート法、スプレーコート法、スピンコート法等が挙げられる。
ガスバリア性樹脂組成物の塗工量は格別限定されないが、通常は乾燥後の膜厚みが、0.1〜5μmとなるのが好ましく、0.1〜3μmがより好ましい。該厚さが5μm超であると屈曲性や透明性、基材への密着性が劣る傾向があり、また0.1μm未満であると支持体(表面の凹凸)の影響を受け、ガスバリア性が低下する傾向がある。
塗膜の乾燥条件は特に限定されないが、得られるガスバリアフィルムの生産効率や該フィルム塗工面の平坦性などを考慮すれば、通常は60℃以上150℃以下であり、好ましくは80℃以上130℃以下である。また、乾燥時間は、適用温度に依存するため、格別限定されないが、通常は10秒以上5分以下であり、30秒以上3分以下が好ましい。塗膜の乾燥方法としては、自然乾燥、送風乾燥、熱風乾燥、UV乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射、およびマイクロ波照射等の手段を用いることができる。
<ガスバリアフィルムの調製>
本発明のガスバリアフィルムは、前記のガスバリア性樹脂組成物を用いて得られるものであり、該ガスバリア性樹脂組成物のみから構成される単層シートであってもよく、またその他の層を有する多層シートであってもよい。単層シートは、基材からガスバリア層を剥離させることにより得られる。多層シートは、基材上の上記の単層シートを適宜に積層することにより作製でき、必要により接着剤を用いて積層してもよい。
なお、基材としては、特に限定されず、公知各種のものから用途に応じて適宜選択すればよい。該基材として、例えば、紙、板紙、生分解性プラスチック、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エチレンビニルアルコール系樹脂等が挙げられるが、これらの中でもポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂およびポリオレフィン樹脂を透明性やガスバリア性の点から好ましく使用できる。
該基材は、表面にコロナ処理、アンカーコート処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理等の表面処理が施されていてもよい。また、前記基材の表面には、無機化合物からなる蒸着層が形成されていてもよい。基材の厚さは、当該シートの用途等に応じて適宜設定でき、通常は10〜200μmの範囲内であり、10〜125μmが好ましい。
本発明のガスバリアフィルムが適用される用途としては、格別限定されず、比較的高度のガスバリア性が要求される各種用途、例えば各種食品や医薬品向けの包装材料などとして好適に使用できる。該包装の対象食品としては、例えば、乾燥食品、水物、ボイル・レトルト食品、サプリメント食品などが挙げられる。また該包装の対象医薬品としては、例えば、粉末、顆粒状、錠剤、輸液バックなどが挙げられる。また本発明のガスバリアフィルムは、ハードディスク、プリント基板、液晶ディスプレイ、電子ペーパー、太陽電池などの電子部材の包装材料として、更には該電子部材用の封止フィルムとしても使用できる。
以下、製造例、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、“%”は特記しない限り、重量基準である。
(不揮発分測定)
シャーレに、前記B成分約2gを正確に量りとり、105℃の循風乾燥機で3時間乾燥したときの重量変化から算出した(単位:%)。
(粘度測定)
前記B成分を、内容量140mLのガラス容器に採取し、25℃に温度を調整した後、B型粘度計(東機産業(株)製、商品名「VISCOMETER MODEL BM」)を用いて測定した。測定に際してはNo.3のローターを用いて、回転数は12rpm乃至6rpmで行った(単位:mPa・s)。
(分子量測定)
GPCを用いて実施した。測定条件を以下に示す。
機種:東ソー(株)製
カラム:東ソー製ガードカラムPWL 1本およびGMPWXL 2本
カラム温度:40℃
溶離液:0.3Mリン酸バッファー(リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素二ナトリウムで調製)
流速:0.8mL/min
検出器:ビスコテック社製TDA MODEL301
RALLS法(濃度検出器および90°光散乱検出器および粘度検出器)
<成分Bの製造>
製造例1
撹拌羽根、撹拌モーター、コンデンサーおよび窒素ラインを具備した丸底フラスコに、アクリルアミド100重量部、脱イオン水514重量部、80%アクリル酸14.1重量部および連鎖移動剤としてメタリルスルホン酸ナトリウム0.5重量部を加えた(アクリルアミドとアクリル酸のモル比率は90/10、メタリルスルホン酸ナトリウムの添加量は全モノマー対比0.2モル%)である。窒素気流下、充分に撹拌しながら加熱し、液温が50℃に達したところで加熱を止めた。次いで、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩(和光純薬工業(株)製、商品名「V−50」)を、全モノマー対比1.5重量%加えた。この際、全重合成分の濃度が18%になるように調製した。充分に除熱しながら重合を行い、液温が80℃に達した後、2時間保温を行うことにより、成分B1を得た。成分B1のモノマー組成比および不揮発分、粘度、分子量を表1に示す(以下同様)。
製造例2、3、比較製造例2
製造例1において、アクリルアミドとアクリル酸のモル比率を表1に示すとおり変更して重合を行い、成分B2、B3、B11をそれぞれ得た。
製造例4
製造例1において、アクリル酸をイタコン酸20.3重量部に変更して(アクリルアミドとイタコン酸のモル比率は90/10)重合を行い、成分B4を得た。
製造例5
製造例4において、アクリルアミドとイタコン酸のモル比率を表1に示すとおり変更して重合を行い、成分B5を得た。
製造例6、7
製造例5において、前記重合開始剤の使用量を表1に示すとおり変更して重合を行い、成分B6、B7をそれぞれ得た。
製造例8、9
製造例5において、メタリルスルホン酸ナトリウムの使用量を表1に示すとおり変更して重合を行い、成分B8、B9をそれぞれ得た。
比較製造例1
製造例1において、アクリルアミドのモル比率を100モル%にして重合を行い、成分B10を得た。
比較製造例3
製造例2において、メタリルスルホン酸ナトリウムの使用量を表1に示すとおり変更して重合を行い、成分B12を得た。
比較製造例4
製造例1で用いたと同様の丸底フラスコに、アクリルアミド、脱イオン水および80%アクリル酸を加え(アクリルアミドとアクリル酸のモル比率は90/10)、窒素気流下、充分に撹拌しながら加熱し、液温が50℃に達したところで加熱を止めた。次いで、前記重合開始剤を、全モノマー対比0.75重量%加えた。この際、全重合成分の濃度が5%になるように調製した。50〜53℃を維持しながら45分間重合を行い、発熱がなくなったところで80℃まで加熱し、40分間保温した。次いで、前記重合開始剤を全モノマー対比0.5%加え、90分間保温して後重合を行うことにより、成分B13を得た。
比較製造例5
製造例5において、前記重合開始剤の使用量を表1に示すとおり変更し、かつ重合濃度を10%にして重合を行い、成分B14を得た。
<ガスバリア性樹脂組成物(塗工液)の調製>
実施例1
成分Aとして、モンモリロナイト(クニミネ工業(株)製「クニピアF」)に脱イオン水を加え、1時間撹拌した後、4時間超音波照射することによって、濃度2%の成分Aの水分散液を得た。
成分Bとして、成分B1に脱イオン水を加え、充分に撹拌することによって、濃度10%の成分B1の水溶液を得た。
成分Cとして、アスパラギン酸(和光純薬工業(株)製)に脱イオン水を加え、充分に撹拌することによって、濃度0.4%の成分Cの水溶液を得た。
成分Aの水分散液と成分Cの水溶液とを混合し、これにイソプロピルアルコールを添加してよく撹拌した。次いで、成分Bの水溶液を加えて、さらに撹拌することにより、十分な分散性を有する固形分濃度2%の水/イソプロピルアルコール分散液である塗工液を得た。なお、成分A〜Cの固形分換算の配合比率は、表1に示す通りである。また、イソプロピルアルコールの添加量は、成分A〜C(有り姿)の合計重量に対して、10重量部とした。
実施例2〜22、比較例1〜20
成分A、BおよびCの種類並びに/または使用量を表2および表3に示す組成で塗工液を得た。
<ガスバリアフィルムの作製>
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡(株)製、商品名「コスモシャインA4100」、水蒸気バリア性:12.9g/m/日)を基材として用い、実施例1の塗工液を、該基材上に乾燥後の膜厚が1μmとなるようにバーコーターを用いて塗布後、120℃のオーブンで3分間乾燥させることでバリア層をた。バリア層を有するPETフィルムを用いて、ヘイズ、水蒸気バリア性、酸素バリア性および基材密着性を評価した。また、実施例2〜22および比較例1〜20の塗工液についても、同様にして各バリア層を作成して評価した。これらの結果を表2および表3に示す。
(ヘイズ値)
JIS K7136に準拠し、バリア層を有するPETフィルムのヘイズを、濁度計(日本電色工業(株)製、商品名「NDH 200」)を用いて測定した。
(水蒸気バリア性)
JIS Z0208に準拠し、バリア層を有するPETフィルムの水蒸気バリア性(g/m/日)を、40℃、90%RHの雰囲気下でカップ法により測定した。
(酸素バリア性)
JIS K7126−1に準拠し、バリア層を有するPETフィルムの酸素バリア性(mL/m/日)を、23℃、0%RHの雰囲気下で、差圧法により測定した。なお、酸素バリア性については、酸素透過度が1.0を超えるものは×、酸素透過度が0.1より大きく0.9未満のものを△、0.1以下のものを○で表した。
(基材密着性)
JIS K5600−5−6に準拠し、ガスバリア層の基材密着性を碁盤目試験により評価した。密着性が低いものを×、中程度であるものを△、良好なものを○で表した。また、特に密着性が良好なもの(テープ剥離が全くないもの)を◎で表した。
表2および表3における省略記号は、それぞれ以下の意味である。
(成分A)
A1:モンモリロナイト(クニミネ工業(株)製、商品名「クニピア−F」)
A2:膨潤性雲母(コープケミカル(株)製、商品名「ソマシフMEB−3」)
A’1:タルク(日本タルク(株)製、商品名「NANOACE D−600」)
(成分B)
B1〜B14:表1参照
B’1:ポリビニルアルコール(和光純薬工業(株)製、重合度500)
B’2:ポリビニルピロリドン(和光純薬工業(株)「K−30」)
B’3:スチレン−マレイン酸共重合体(荒川化学工業(株)製「ポリマロン351T」)
B’4:スチレン―マレイン酸イソブチルエステル共重合体(荒川化学工業(株)製「ポリマロン1318」)
(成分C)
C1:アスパラギン酸(和光純薬工業(株)製)
C2:グルタミン酸(和光純薬工業(株)製)
C3:クエン酸(和光純薬工業(株)製)
C4:酒石酸(東京化成工業(株)製)
C5:リンゴ酸(東京化成工業(株)製)
C’1:アラニン(東京化成工業(株)製)
C’2:コハク酸(東京化成工業(株)製)
表1〜3の結果より、本発明のガスバリア性樹脂組成物(実施例1〜22)は、比較例1〜20に比べて、透明性、水蒸気バリア性、および酸素バリア性に優れたガスバリアフィルムとなり、かつ基材密着性にも優れたガスバリア層となることが明らかである。

Claims (5)

  1. 無機層状化合物(A)と、
    アクリルアミド類(b1)99〜55モル%、ならびにアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、および無水マレイン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のα,β−不飽和カルボン酸類(b2)1〜45モル%を構成モノマーとして含み、重量平均分子量が25万〜100万であるアニオン性アクリルアミド共重合体(B)と、
    クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスパラギン酸、およびグルタミン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の多価カルボン酸類(C)を含み、
    かつ前記(A)/(B)が40/60〜70/30(固形分重量換算)であり、前記(A)および(B)の合計に対する前記(C)の使用割合(固形分重量換算)が1〜30重量%であることを特徴とするガスバリア性樹脂組成物。
  2. 前記(A)が、スメクタイト族および雲母族から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のガスバリア性樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載のガスバリア性樹脂組成物を、基材の少なくとも片面に塗工して得られることを特徴とするガスバリアフィルム。
  4. 前記基材がポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、およびポリオレフィン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる樹脂フィルムである請求項3に記載のガスバリアフィルム。
  5. ヘイズが10%以下である請求項3または4に記載のガスバリアフィルム。
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