JP2009006508A - 積層フィルム - Google Patents

積層フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2009006508A
JP2009006508A JP2007167819A JP2007167819A JP2009006508A JP 2009006508 A JP2009006508 A JP 2009006508A JP 2007167819 A JP2007167819 A JP 2007167819A JP 2007167819 A JP2007167819 A JP 2007167819A JP 2009006508 A JP2009006508 A JP 2009006508A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ethylene
vinyl alcohol
mass
alcohol copolymer
dispersion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007167819A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4864818B2 (ja
Inventor
Norihiro Sugihara
範洋 杉原
Yuhei Funabiki
裕平 船引
Chiaki Ueda
千秋 上田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd filed Critical Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
Priority to JP2007167819A priority Critical patent/JP4864818B2/ja
Publication of JP2009006508A publication Critical patent/JP2009006508A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4864818B2 publication Critical patent/JP4864818B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】 蒸着フィルムの蒸着面が保護され、かつ屈曲に対するもろさが改良されると共に透明性に優れた積層フィルムを提供すること。
【解決手段】 無機蒸着層を有する基材フィルム上に平均粒子径が0.01〜0.2μmの粒子からなるエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液がコーティングされていることを特徴とする積層フィルム。
本発明の積層フィルムは、優れた透明性、ガスバリア性、耐油性、耐薬品性を有しており、例えば、カップ、チューブ、トレー、ボトル等の容器や一般食品包装用、医薬品包装用、レトルト食品包装用として極めて好適である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、積層フィルムに関する。より詳しくは、無機蒸着層を有する基材フィルム上にエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液がコーティングされている積層フィルムに関する。
従来より、ポリエステル、ポリプロピレンのフィルムは、製膜性、透明性、および防湿性に優れており、広く包装材として用いられている。一方、近年の食品、医薬品、電子材料等の進歩と共に、品質保持のためにこれらに用いられる包装材も単なるフィルムだけではなく、たとえばポリ塩化ビニリデン樹脂、エチレン/ビニルアルコール系共重合体(以下EVOHと略す場合がある)、ポリビニルアルコール等をコートしたコーティングフィルムが開発されている。これらのなかでも特に、優れたガスバリア性を有するだけでなく、塩素を使用しないことによる環境面への配慮の点からも酸化ケイ素や酸化アルミのような無機物を蒸着した蒸着フィルムが注目されている(特許文献1、特許文献2参照)。
このような無機物を蒸着した多くのフィルムが提案されているが、これらは該してもろく、屈曲を受けると蒸着層にひび割れが生じてガスバリア性が低下するという問題がある。この解決法として、蒸着層の表面をEVOH等でコーティングすることによってガスバリア性の向上と蒸着層のひび割れを防止することが提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、この発明においてEVOHをコーティングする方法として、EVOHをアルコール水系溶媒に溶解して調製した塗布液を塗布する方法や、EVOHの押出コート膜を作成し、積層する方法等が挙げられているが、前者はEVOHの溶解設備やアルコールの回収方法等の設備面での配慮が必要である。また後者についても、共押出機、押し出しラミネ−ト機等の特殊な設備の導入が必要なため、安価で工業的な方法であるとはいえない。
一方、エチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液をコートした積層フィルムも提案されているが、使用するEVOHの粒子径によっては得られたフィルムの透明性が悪く、使用できる範囲が限定される等の問題があった(特許文献4参照)。
特開平3−71832号公報 特開平10−140331号公報 特開平10−101826号公報 国際公開第03/025058号パンフレット
本発明の目的は、蒸着フィルムの蒸着面が保護され、かつ屈曲に対するもろさが改良されると共に透明性に優れた積層フィルムを提供することにある。
本発明者らは上記課題に対し種々検討を進めた結果、無機蒸着層を有する基材フィルムの蒸着層面に、特定の平均粒子径を有する粒子からなるエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液をコーティングすることにより、EVOHの保護層を有する積層フィルムが得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、
(項1)無機蒸着層を有する基材フィルム上に平均粒子径が0.01〜0.2μmの粒子からなるエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液がコーティングされていることを特徴とする積層フィルム。
(項2)無機蒸着層が、酸化ケイ素および酸化アルミから選ばれる少なくとも1種を含有する前記項1記載の積層フィルム。
(項3)エチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液が、エチレン/ビニルアルコール系共重合体、塩基で中和されたエチレン/α,β−不飽和カルボン酸系共重合体および水性分散媒を含有する前記項1または2記載の積層フィルム。
(項4)エチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液が、ポリビニルアルコールおよび無機フィラーから選ばれる少なくとも1種をさらに含有する前記求項3記載の積層フィルム。
(項5)エチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液がコーティングされている積層フィルムのヘイズ値が、基材フィルムのヘイズ値に対して30%以下の増加率である前記項1〜4のいずれか1項に記載の積層フィルム。
(項6)エチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液が、
(1)エチレン/ビニルアルコール系共重合体と塩基で中和されたエチレン/α,β−不飽和カルボン酸系共重合体とを、水5〜65質量%と水溶性有機溶媒95〜35質量%とからなる混合溶媒に加熱溶解する工程、
(2)前記工程で得られた溶液をエチレン/ビニルアルコール系共重合体の濃度を1〜5質量%に調整した後、冷却してエチレン/ビニルアルコール系共重合体を析出させる工程、
(3)水を添加して前記混合溶媒中の水溶性有機溶媒の濃度を、水と水溶性有機溶媒との合計量の35質量%未満に希釈する工程、
(4)前記水溶性有機溶媒を留去する工程、
を含む製造方法により得られるものである前記項1〜5のいずれか1項に記載の積層フィルム、に関する。
本発明においては、基材フィルム上に酸化ケイ素や酸化アルミ等の無機物がコーティングされたフィルムの蒸着層面に、特定の平均粒子径を有する粒子からなるエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液をコーティングすることにより、透明性、酸素ガスバリア性、水蒸気ガスバリア性、耐溶剤性に優れ、屈曲、ひび割れ等が改良された積層フィルムを得ることができる。
本発明の積層フィルムは、無機蒸着層を有する基材フィルム上に平均粒子径が0.01〜0.2μmの粒子からなるエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液がコーティングされている。
本発明の積層フィルムを構成する基材フィルムは、無機物を蒸着できるフィルムであれば特に制限はなく、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、(メタ)アクリル系樹脂[本発明において、(メタ)アクリルとは、アクリルおよびメタクリルを意味する]、ポリスチレン、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルのフィルムないしシート等が例示される。これらの中でも優れたガスバリア性、透明性等の特性を有する蒸着フィルムが得られることより、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリプロピレンが好ましい。また、基材フィルムは、一軸延伸または二軸延伸されていてもよく、その表面をコロナ処理や低温プラズマ処理等の表面処理がされていてもよい。基材フィルムの厚さは、特に限定がなく、通常1〜150μm程度のものが用いられる。
無機蒸着層に含まれる無機物としては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の無機酸化物が挙げられる。これらは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。これらの無機物のなかでも特に、透明性、ガスバリア性および基材密着性の観点から、酸化ケイ素および酸化アルミが好ましい。無機蒸着層の膜厚としては、特に限定はなく、例えば、膜厚として4〜300nmの範囲内であればよい。
基材フィルムへの無機物の蒸着方法としては、特に限定されず、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンスプレーティング法等の物理気相成長法(PVD法)、あるいはプラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(CVD法)等の公知の方法を用いることができる。
本発明で用いられるエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液としては、特に限定されないが、エチレン/ビニルアルコール系共重合体、塩基で中和されたエチレン/α,β−不飽和カルボン酸系共重合体および水性分散媒を含んでいるものが好ましく用いられる。
エチレン/ビニルアルコール系共重合体(EVOH)としては、エチレンと、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、三フッ化酢酸ビニル、ビバリン酸ビニル等のビニルエステルとを共重合し、けん化することにより得られる共重合体が好ましい。また、必要に応じてエチレンおよびビニルエステル以外の共重合可能なモノマーが5モル%以下共重合されていてもよい。
EVOHの具体例としては、エチレン/酢酸ビニル共重合体けん化物、エチレン/ギ酸ビニル共重合体けん化物、エチレン/プロピオン酸ビニル共重合体けん化物、エチレン/安息香酸ビニル共重合体けん化物、エチレン/三フッ化ビニル共重合体けん化物、エチレン/ビバリン酸ビニル共重合体けん化物等が挙げられる。
前記EVOH中のエチレン含有割合は、15〜65モル%が好ましく、25〜45モル%がより好ましい。エチレン含有割合が15モル%未満の場合、得られる水性分散液の保存安定性が悪化するおそれがある。また、エチレン含有割合が65モル%を超える場合、得られる塗膜のガスバリア性が低下するおそれがある。
前記EVOHのけん化度は、80モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましい。けん化度が80モル%未満の場合、得られる塗膜のガスバリア性が低下するおそれがある。
前記EVOHの重合度は、高いものほど水性分散液体として塗布使用するには有利であるが、通常、400〜5000が好ましく、700〜2500がより好ましく、700〜1500が最も好ましい。重合度が、400未満の場合、得られる塗膜の強度が低下するおそれがある。重合度が5000を超える場合、使用できなくはないが、工業的に製造されていないため実用的ではない。ここで、EVOHの重合度は、水/フェノール混合溶剤(質量比15/85)中、30℃で測定した固有粘度より求めることができる。
本発明で用いられるエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液は、EVOH粒子の分散安定性や塗工時の成膜性を向上させる目的で、塩基で中和されたエチレン/α,β−不飽和カルボン酸系共重合体を含んでいる。
エチレン/α,β−不飽和カルボン酸系共重合体としては、例えば、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸とのランダム共重合体もしくはブロック共重合体であるエチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体、またはエチレンとα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとのランダム共重合体もしくはブロック共重合体であるエチレン/α,β−不飽和カルボン酸/α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体等が挙げられる。
前記α,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸等が挙げられる。
前記α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、クロトン酸メチル、フマル酸メチルおよびイタコン酸メチル等が挙げられる。
前記エチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体の具体例としては、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン/クロトン酸共重合体、エチレン/マレイン酸共重合体、エチレン/フマル酸共重合体、エチレン/イタコン酸共重合体等が挙げられる。これらの中でも、分散安定効果が高い観点からエチレン/(メタ)アクリル酸共重合体が好適に用いられる。
前記エチレン/α,β−不飽和カルボン酸/α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体の具体例としては、エチレン/(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン/アクリル酸/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/クロトン酸/クロトン酸メチル共重合体、エチレン/マレイン酸/マレイン酸メチル共重合体、エチレン/フマル酸/フマル酸メチル共重合体、エチレン/イタコン酸/イタコン酸メチル共重合体等が挙げられる。これらの中でも、分散安定効果が高い観点からエチレン/アクリル酸/アクリル酸エチル共重合体が好適に用いられる。
これらのエチレン/α,β−不飽和カルボン酸系共重合体は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
前記エチレン/α,β−不飽和カルボン酸系共重合体中のα,β−不飽和カルボン酸の含有割合は、特に限定されないが、通常、5〜30質量%、好ましくは15〜25質量%であることが望ましい。α,β−不飽和カルボン酸の含有割合が5質量%未満の場合、分散安定化効果が小さくなるおそれがある。また、α,β−不飽和カルボン酸の含有割合が30質量%を超える場合、得られる塗膜の耐水性、ガスバリア性が低下するおそれがある。
前記エチレン/α,β−不飽和カルボン酸系共重合体の質量平均分子量は、5,000〜100,000が好ましい。分子量が5,000未満、あるいは、1000,000を超える場合でも分散剤として使用できなくはないが、工業的に製造されていないため実用的ではない。
前記エチレン/α,β−不飽和カルボン酸系共重合体の塩基による中和度は、特に限定されないが、通常、エチレン/α,β−不飽和カルボン酸系共重合体中のカルボキシル基の30〜100モル%、好ましくは40〜100モル%が中和されていることが望ましい。中和度が30モル%未満の場合、分散安定効果が発揮できないおそれがある。
前記塩基としては、特に限定されないが、通常、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、アンモニア、有機アミン等が挙げられる。中でも得られるEVOH水性分散液の安定性に優れている観点から水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が好適に用いられる。
前記塩基で中和されたエチレン/α,β−不飽和カルボン酸系共重合体の使用量は、特に限定されないが、通常、EVOH100質量部に対して、0.01〜20質量部、好ましくは0.05〜5質量部である。エチレン/α,β−不飽和カルボン酸系共重合体の使用量が0.01質量部未満の場合、分散安定化効果が発揮できないおそれがある。また、エチレン/α,β−不飽和カルボン酸系共重合体の使用量が20質量部を超える場合、分散安定には効果的であるが、得られる塗膜のガスバリア性、耐水性が低下するおそれがある。
エチレン/ビニルアルコール系共重合体および塩基で中和されたエチレン/α,β−不飽和カルボン酸系共重合体を分散させる水性分散媒としては、例えば、水道水、イオン交換水、純水等が挙げられる。なお、本明細書において水とは、特に断りのない限りイオン交換水を示す。
エチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液を製造する方法としては、特に限定されず、例えば、(1)エチレン/ビニルアルコール系共重合体と塩基で中和されたエチレン/α,β−不飽和カルボン酸系共重合体とを、水5〜65質量%と水溶性有機溶媒95〜35質量%とからなる混合溶媒に加熱溶解する工程、(2)前記工程で得られた溶液をエチレン/ビニルアルコール系共重合体の濃度を1〜5質量%に調整した後、冷却してエチレン/ビニルアルコール系共重合体を析出させる工程、(3)水を添加して前記混合溶媒中の水溶性有機溶媒の濃度を、水と水溶性有機溶媒との合計量の35質量%未満に希釈する工程、(4)前記水溶性有機溶媒を留去する工程、を含む方法が挙げられる。
(1)の工程で用いられる水溶性有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等の1価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール等の2価アルコール;グリセリン等の3価アルコール;フェノール、クレゾール等のフェノール類;エチレンジアミン、トリメチレンジアミン等のアミン類;ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。これらの中でも、得られるエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液の平均粒子径が小さく、安定性に優れた水性分散液が得られる観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコールが好適に用いられる。
前記水と水溶性有機溶媒とからなる混合溶媒中の水溶性有機溶媒の濃度は、95〜35質量%が好ましく、90〜40質量%がより好ましい。水溶性有機溶媒の濃度が前記範囲外であると、EVOHとの親和性が低下してEVOHが溶解しにくくなったり、析出させる際にEVOH粒子同士が凝集してしまうことがある。
加熱溶解温度は、50〜90℃が好ましく、60〜85℃がより好ましい。溶解温度が50℃より低い場合、EVOHが溶解しにくくなる。また、溶解温度が90℃より高い場合、温度に見合う効果がなく経済的でない。
次いで前記の工程(1)で得られた溶液をエチレン/ビニルアルコール系共重合体の濃度を1〜5質量%に調整した後、冷却してエチレン/ビニルアルコール系共重合体を析出させる。EVOH濃度を1〜5質量%に調整する方法としては、前記混合溶媒を投入し撹拌混合してもよいし、工程(1)の仕込み時に予めEVOH濃度を1〜5質量%となるように調整後、溶解してもよい。続いて、得られた溶液を−10〜40℃、好ましくは0〜30℃に冷却すれば、その過程でEVOH粒子が凝集することなく晶析し、平均粒子径が0.01〜0.2μmの微細な粒子からなるEVOH分散液が得られる。冷却温度が−10℃より低い場合、特殊な冷却装置が必要となり経済的でない。また、冷却温度が40℃より高い場合、EVOHが析出しにくくなる。
本製造法の特徴は、晶析時の樹脂濃度を好ましくは1〜5質量%、より好ましくは2〜4.7質量%に調整することで、平均粒子径が0.01〜0.2μmの粒子からなる水性分散液を得ることにある。晶析時の樹脂濃度が1質量%未満の場合、より小粒子径化は可能であるが、生産性が低く工業的な製法とはいえない。晶析時の樹脂濃度が5質量%より高い場合、粒子径が大きくなったり、凝集して水分散体が得られない場合がある。
次に、前記方法で得られたEVOH分散液中の水溶性有機溶媒の濃度を、水を添加することにより、水と水溶性有機溶媒との合計量の好ましくは35質量%未満、より好ましくは1〜35質量%、さらに好ましくは10〜35質量%に希釈した後、水溶性有機溶媒を留去する。水溶性有機溶媒の濃度を35質量%未満に希釈することにより、溶媒を留去する際に分散液中の粒子が安定になる。したがって、高温による加熱留去が可能となり、減圧することなく簡単で安価に溶媒留去を効率よく行うことができる。これに対しEVOH分散液中の水溶性有機溶媒の濃度が35質量%以上であると加熱留去する際に分散液中の粒子が不安定となり粒子が溶融、融着して凝集や粗大粒子化してしまい、安定的に水分散体が得られない。したがって、温度を上げることができず、減圧留去等の方法により溶媒を留去する必要がある。水溶性有機溶媒の濃度を35質量%未満に希釈することにより、分散液中の粒子が安定になる理由については定かではないが、水溶性有機溶媒の濃度が低下することにより、EVOHが混合溶媒に溶解できない状態になり、粒子の溶融、融着が防ぐことができるものと推測される。
加熱留去する際の温度は、50〜120℃、好ましくは60〜100℃である。加熱温度が50℃より低い場合、溶媒留去に長時間を要し経済的でない。また、加熱温度が120℃より高い場合、得られる水性分散液の粒子が硬くなり製膜しにくくなる。
本発明による得られるエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液に含まれる粒子の平均粒子径は0.01〜0.2μmが好ましく、0.02〜0.17μmがより好ましい。平均粒子径が0.01μm未満のものは、実質的に工業的な方法では得ることができない。平均粒子径が0.2μmを超えるものは、EVOHの積層フィルムを得ることはできるが、塗膜の透明性、ガスバリア性が低下し、好ましくない場合がある。
本発明に用いられるエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液は、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略す場合がある)および無機フィラーから選ばれる少なくとも1種をさらに含有していてもよい。PVAは、EVOH水性分散液を各種基材に塗工する際に、低温または短時間で乾燥したり、また厚膜塗工を行う場合において、得られる塗膜がクラック等のひび割れを起こしにくく、またそのガスバリア性を向上させる作用を有している。
エチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液にPVAを添加する方法としては、例えば、予め製造されたエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液にPVAを添加し、混合する方法等が挙げられる。エチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液とPVAを混合する方法については、特に限定されず、エチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液にPVAを添加した後、溶解、分散させる方法;エチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液と予め溶解したPVAの水溶液を混合する方法等が挙げられる。本発明においては、エチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液への溶解、分散が容易で、取り扱いやすい観点から、エチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液とPVAの水溶液を混合する方法が好適に用いられる。
PVAのけん化度は、75〜100モル%が好ましく、85〜100モル%がより好ましい。けん化度が75モル%未満の場合、得られる塗膜の強度が低下すると共に、吸湿性が高くなり高湿度雰囲気下でのガスバリア性能が低下するおそれがある。
PVAの重合度は300〜3500が好ましく、300〜2000がより好ましい。重合度が300未満の場合、成膜性を改善するために多量に添加する必要があり経済的でなくなるばかりか、多量に添加することによって、得られる塗膜のガスバリア性が低下するおそれがある。また、重合度が3500を超える場合、EVOH水性分散液の粘度が高くなり、また、安定性が低下して長期保存時にゲル化を起こしやすくなるおそれがある。
なお、本発明においてPVAの重合度とは、粘度平均重合度を意味し、JIS−K6726に準じて測定される。すなわち、PVAを再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η]から次式により求めることができる。
重合度=([η]×10/8.29)(1/0.62)
前記PVAの使用量はEVOH100質量部に対して、0.1〜100質量部が好ましく、0.2〜50質量部がより好ましい。PVAの使用量が0.1質量部未満の場合、成膜性の改善が認められないおそれがある。また、PVAの使用量が100質量部を超える場合、湿度の影響を受けやすくなるためガスバリア性が低下したり、EVOH水性分散液の粘度が高くなり、安定性が低下するおそれがある。
本発明で用いられるエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液に、さらに無機フィラーを添加することにより、さらに優れたガスバリア性を有する塗膜を与えることができる。
無機フィラーを添加することによって、さらに優れたガスバリア性を有する塗膜を与えることができる理由はさだかではないが、成膜されたEVOH樹脂の中に添加された無機フィラーが層状に分散することで、無機フィラーよる迷路効果が十分に発揮され、塗膜のガスバリア性がさらに向上するものと推測される。
本発明で用いられるエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液に、PVAと無機フィラーを併用して添加することにより、長期間の保存安定性が良好で、前者よりさらに優れたガスバリア性を有する塗膜を与えることができる。
無機フィラーとPVAを併用して添加することによって、長期間の保存安定性が良好で、さらに優れたガスバリア性を有する塗膜を与えることができる理由については、定かではないが以下のように推測される。すなわち、前記エチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液中においては、無機フィラーがEVOHとPVAとの間で安定な状態で介在し、EVOHとPVAとの凝集を防止するために長期間の保存安定性に優れているものと推測される。また、塗膜とした場合、前述したようにPVAがEVOH粒子間の隙間を埋める作用と同様に、添加された無機フィラーとEVOH粒子間の隙間をも埋めるため、塗膜の緻密性が増すと共に、無機フィラーの添加による迷路効果が十分に発揮され、塗膜のガスバリア性がさらに向上するものと推測される。
前記無機フィラーとしては、水膨潤性フィロケイ酸の塩、タルク、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、石膏等が挙げられる。中でも、水中で容易にへき開し薄板状の分散体を得やすいことより水膨潤性フィロケイ酸の塩が好ましく用いられ、その具体例としては、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等のスメクタイトやパーミキュライト等が挙げられる。中でも、スメクタイト、とりわけモンモリロナイトが好適に用いられる。
無機フィラーの平均粒子径は、0.05〜3μmが好ましく、0.1〜2μmがより好ましい。平均粒子径が3μmを超える場合、薄膜塗工を行った際に塗工膜面から無機フィラーがはみ出たり、塗工膜面の緻密層形成を阻害し易くなることから、ガスバリア性能の発現のための障害となりやすくなるおそれがある。また平均粒子径が0.05μm未満の場合、十分な迷路効果が発現し難くなる事から、ガスバリア性能が低くなるおそれがある。
無機フィラーの使用量は、EVOH100質量部に対し、0.01〜100質量部が好ましく、0.5〜50質量部がより好ましい。無機フィラーの使用量が0.01質量部未満の場合、使用する効果が期待できないおそれがある。また、使用量が100質量部を超える場合、ガスバリア性の向上効果は期待できるが、エチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液の安定性が悪くなったり、塗膜の透明性が損なわれる場合がある。
無機フィラーを添加する方法は、特に限定されないが、例えば、無機フィラーの水分散液とエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液とを撹拌下に混合する方法;予め無機フィラーの水分散液とPVAの水溶液を混合後、得られた混合液とEVOHの水性分散体とを混合する方法等が挙げられる。中でも、予め無機フィラーの水分散液とPVAの水溶液を混合後、得られた混合液とEVOHの水性分散体とを混合する方法が好適に用いられる。
本発明に用いられるエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液中の総固形分濃度としては、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。総固形分濃度の上限には、特に制限はないが、あまり高濃度になりすぎると分散液の保存安定性が低下し、粘度が上昇する場合があるため、通常、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましい。
本発明に用いられるエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液には、必要に応じて本発明の目的を妨げない範囲で通常の界面活性剤や保護コロイドを添加することもできる。また他の樹脂の水性分散液、光もしくは熱等に対する安定剤、顔料、滑剤、防黴剤または造膜助剤等を添加することもできる。
本発明においては、前記エチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液を、無機蒸着層を有する基材フィルム上に塗布、乾燥することにより基材フィルム上に塗膜を形成することができる。前記EVOHの塗膜の厚さは、通常、0.02〜20μmが好ましく、0.2〜15μmがより好ましい。塗膜の厚さが0.02μm未満の場合、ピンホール等によってガスバリア性が低下するおそれがある。また、塗膜の厚さが20μmを超える場合、経済的でない。
エチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液を、無機蒸着層を有する基材フィルム上に塗布する方法としては、特に限定されず、キャスティングヘッド法、ロールコート法、エアナイフコート法、グラビアロールコート法、ドクターロールコート法、ドクターナイフコート法、カーテンフローコート法、スプレー法、浸漬法、刷毛塗り法等の公知の塗布方法を採用することができる。
前記方法によりエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液が塗布された無機蒸着層を有する基材フィルムを乾燥、熱処理する方法としては、例えば、赤外線照射法、熱風乾燥法等の乾熱処理法等が挙げられる。前記乾燥、熱処理の温度は、30〜230℃が好ましく、50〜160℃がより好ましく、80〜140℃がさらに好ましい。また、乾燥、熱処理の時間は、温度により異なるが、通常、5秒〜5分が好ましく、15秒〜1分がより好ましい。
また、前記基材フィルム表面には予めアンカーコート剤を塗布することもできる。前記アンカーコート剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン系、ポリエステル系のドライラミネート用接着剤等を挙げることができる。また、基材フィルム表面にコロナ放電処理、スパッタリング処理、高周波処理、火炎処理、クロム酸処理、溶剤エッチング処理等の表面処理をすることもできる。
さらに、上記方法で得られた、無機蒸着層を有する基材フィルムとエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液から得られた塗膜からなる本発明の積層体(積層フィルム)に他の樹脂層を、従来公知の方法で積層しさらに多層にすることができる。これらの積層方法としては例えば、押出ラミネーション法、ドライラミネーション法等が挙げられる。
また、これらの積層化にあたり層間には接着性樹脂の層をはさんで積層する通常の方法を採用することができる。前記接着性樹脂としては、実用段階でデラミネーションを起こさないものであればよく、特に限定はされないが、例えば、カルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体;グリシジル基を含有する変性オレフィン系重合体;アルコキシシラン基を含有する変性オレフィン系重合体;多価カルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸を構成成分としたポリエステル系樹脂等が挙げられる。
具体的には、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン/エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン/酢酸ビニル共重合体等のカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体;グリシジル変性ポリエチレン、グリシジル変性ポリプロピレン、グリシジル変性エチレン/アクリル酸エチル共重合体、グリシジル変性エチレン/酢酸ビニル共重合体等のグリシジル基を含有する変性オレフィン系重合体;アルコキシシラン変性ポリエチレン、アルコキシシラン変性ポリプロピレン、アルコキシシラン変性エチレン/酢酸ビニル共重合体等のアルコキシシラン基を含有する変性オレフィン系重合体等が挙げられる。
上記のようにして得られる本発明の積層フィルムは、そのヘイズ値が、基材フィルムのヘイズ値に対して30%以下の増加率であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。塗膜の透明性は、積層フィルムの光線透過率による評価ではもとの基材フィルムの透過率の影響を大きく受けるので、もとの基材フィルムのヘイズ値(X)と、エチレン/ビニルアルコール系共重合体分散液を塗布した積層フィルムのヘイズ値(Y)とを比較し、下記式によりその増加率を算出し、評価した。ヘイズ値の増加率が30%以下の増加率であると、外観上ほとんど差異が判別できないので透明性が高いと判断できる。ヘイズ値の増加率が30%を超えると積層フィルムの透明性が悪くなり、白っぽく感じるようになる。
ヘイズ値の増加率(%)=(Y−X)/X×100
以下、製造例、実施例および比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。
本発明において平均粒子径は動的光散乱式粒度分布計(ゼーターサイザーナノZS、シスメックス株式会社製)を用いて測定した。
製造例1
エチレン/アクリル酸共重合体(アクリル酸含有量21質量%)に水およびアクリル酸100モル%中和相当分の水酸化ナトリウムを加え95℃で4時間溶解し、濃度25質量%のエチレン/アクリル酸共重合体中和水溶液を得た。
分散槽中に、得られたエチレン/アクリル酸共重合体中和水溶液8質量部、エチレン/ビニルアルコール系共重合体(エチレン含量32モル%、けん化度99.5モル%、重合度1000)100質量部、イソプロピルアルコール1125質量部および水1375質量部を仕込み(イソプロピルアルコール濃度45質量%)、80℃に昇温して加熱溶解した。
得られた溶液(EVOH濃度4.0質量%)を撹拌下に5℃まで冷却し粒子を析出分散させ、エチレン/ビニルアルコール系共重合体分散液を得た。次いで、得られたエチレン/ビニルアルコール系共重合体分散液に水1892質量部を添加した(イソプロピルアルコール濃度25質量%)。引き続き、90℃に昇温し混合溶媒中のイソプロピルアルコールを加熱留去して、平均粒子径0.11μm、固形分濃度20質量%のエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液を得た。
製造例2
エチレン/アクリル酸共重合体(アクリル酸含有量21質量%)に水およびアクリル酸80モル%中和相当分の水酸化ナトリウムを加え95℃で4時間溶解し、濃度25質量%のエチレン/アクリル酸共重合体部分中和水溶液を得た。
分散槽中に、得られたエチレン/アクリル酸共重合体部分中和水溶液8質量部、エチレン/ビニルアルコール系共重合体(エチレン含量32モル%、けん化度99.5モル%、重合度1000)100質量部、イソプロピルアルコール2205質量部および水2695質量部を仕込み(イソプロピルアルコール濃度45質量%)、80℃に昇温して加熱溶解した。
得られた溶液(EVOH濃度2.0質量%)を撹拌下に5℃まで冷却し粒子を析出分散させ、エチレン/ビニルアルコール系共重合体分散液を得た。次いで、得られたエチレン/ビニルアルコール系基重合体分散液に水2342質量部を添加した(イソプロピルアルコール濃度30質量%)。引き続き、90℃に昇温し混合溶媒中のイソプロピルアルコールを加熱留去して、平均粒子径0.07μm、固形分濃度16質量%のエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液を得た。
製造例3
エチレン/メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含有量20質量%)に水およびメタクリル酸80モル%中和相当分の水酸化ナトリウムを加え95℃で4時間溶解し、濃度25質量%のエチレン/メタクリル酸共重合体部分中和水溶液を得た。
分散槽中に、得られたエチレン/メタクリル酸共重合体部分中和水溶液16質量部、エチレン/ビニルアルコール系共重合体(エチレン含量32モル%、けん化度99.5モル%、重合度1000)100質量部、イソプロピルアルコール912質量部および水1115質量部を仕込み(イソプロピルアルコール濃度45質量%)、80℃に昇温して加熱溶解した。
得られた溶液(EVOH濃度4.7質量%)を撹拌下に5℃まで冷却し粒子を析出分散させ、エチレン/ビニルアルコール系共重合体分散液を得た。次いで、得られたエチレン/ビニルアルコール系基重合体分散液に水1505質量部を添加した(イソプロピルアルコール濃度25質量%)。引き続き、90℃に昇温し混合溶媒中のイソプロピルアルコールを加熱留去して、平均粒子径0.17μm、固形分濃度30質量%のエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液を得た。
製造例4
実施例1と同様にして平均粒子径0.11μm、固形分濃度20質量%のエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液を得た。
一方、ポリビニルアルコール(けん化度99.3モル%、重合度1700)100質量部に水2400質量部を加えて95℃で加熱溶解し、室温まで冷却して固形分濃度4質量%のポリビニルアルコール水溶液を得た。
上記で得られたエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液100質量部および上記で得られたポリビニルアルコール水溶液30質量部(ポリビニルアルコールの含有量1.2質量部)を撹拌混合して平均粒子径0.11μm、固形分濃度16.4質量%のエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液を得た。
製造例5
実施例1と同様にして平均粒子径0.11μm、固形分濃度20質量%のエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液を得た。
一方、ポリビニルアルコール(けん化度99.3モル%、重合度1700)100質量部に水2400質量部を加えて95℃で加熱溶解し、室温まで冷却して固形分濃度4質量%のポリビニルアルコール水溶液を得た。得られたポリビニルアルコール水溶液に、別途調製した固形分濃度4質量%、平均粒子径0.3μmのモンモリロナイトの水分散液2500質量部を撹拌下で添加し、モンモリロナイトを分散させたポリビニルアルコール水溶液を得た。
上記で得たエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液100質量部および上記で得られたモンモリロナイトを分散させたポリビニルアルコール水溶液45質量部(モンモリロナイトの含有量0.9質量部、ポリビニルアルコールの含有量0.9質量部)を撹拌、混合して平均粒子径0.11μm、固形分濃度15質量%のエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液を得た。
製造例6
エチレン/アクリル酸共重合体(アクリル酸含有量21質量%)に水およびアクリル酸100モル%中和相当分の水酸化ナトリウムを加え95℃で4時間溶解し、濃度25質量%のエチレン/アクリル酸共重合体中和水溶液を得た。
分散槽中に、得られたエチレン/アクリル酸共重合体中和水溶液8質量部、エチレン/ビニルアルコール系共重合体(エチレン含量32モル%、けん化度99.5モル%、重合度1000)100質量部、イソプロピルアルコール705質量部および水862質量部を仕込み(イソプロピルアルコール濃度45質量%)、80℃に昇温して加熱溶解した。
得られた溶液(EVOH濃度6.0質量%)を撹拌下に5℃まで冷却し粒子を析出分散させ、エチレン/ビニルアルコール系共重合体分散液を得た。次いで、得られたエチレン/ビニルアルコール系基重合体分散液に水1145質量部を添加した(イソプロピルアルコール濃度25質量%)。引き続き、90℃に昇温し混合溶媒中のイソプロピルアルコールを加熱留去して、平均粒子径0.3μm、固形分濃度20質量%のエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液を得た。
実施例1−5および比較例1
酸化アルミが蒸着されたポリエチレンテレフタレートフィルム(膜厚12μm)の蒸着処理面に製造例1〜6で得られたエチレン/ビニルアルコール系共重合体分散液をバーコーダー(No.3)を用いて塗工し、120℃、30秒間加熱乾燥し、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの表面状態を電子顕微鏡(JSM−6390LA型、日本電子株式会社製)を用いて観察した。また、ヘイズ値は、ヘイズメータ(DH−300A、日本電色工業株式会社製)を用いて測定し、その増加率を算出した。これらの結果を表1に示す。
Figure 2009006508
実施例の積層フィルムは、すべてヘイズ値が30%以内の増加幅であり、透明性に優れていることが分かる。
本発明の積層フィルムは、優れた透明性、ガスバリア性、耐油性、耐薬品性を有しており、例えば、カップ、チューブ、トレー、ボトル等の容器や一般食品包装用、医薬品包装用、レトルト食品包装用として極めて好適である。

Claims (6)

  1. 無機蒸着層を有する基材フィルム上に平均粒子径が0.01〜0.2μmの粒子からなるエチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液がコーティングされていることを特徴とする積層フィルム。
  2. 無機蒸着層が、酸化ケイ素および酸化アルミから選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1記載の積層フィルム。
  3. エチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液が、エチレン/ビニルアルコール系共重合体、塩基で中和されたエチレン/α,β−不飽和カルボン酸系共重合体および水性分散媒を含有する請求項1または2記載の積層フィルム。
  4. エチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液が、ポリビニルアルコールおよび無機フィラーから選ばれる少なくとも1種をさらに含有する請求項3記載の積層フィルム。
  5. エチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液がコーティングされている積層フィルムのヘイズ値が、基材フィルムのヘイズ値に対して30%以下の増加率である請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  6. エチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液が、
    (1)エチレン/ビニルアルコール系共重合体と塩基で中和されたエチレン/α,β−不飽和カルボン酸系共重合体とを、水5〜65質量%と水溶性有機溶媒95〜35質量%とからなる混合溶媒に加熱溶解する工程、
    (2)前記工程で得られた溶液をエチレン/ビニルアルコール系共重合体の濃度を1〜5質量%に調整した後、冷却してエチレン/ビニルアルコール系共重合体を析出させる工程、
    (3)水を添加して前記混合溶媒中の水溶性有機溶媒の濃度を、水と水溶性有機溶媒との合計量の35質量%未満に希釈する工程、
    (4)前記水溶性有機溶媒を留去する工程、
    を含む製造方法により得られるものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層フィルム。
JP2007167819A 2007-06-26 2007-06-26 積層フィルム Active JP4864818B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007167819A JP4864818B2 (ja) 2007-06-26 2007-06-26 積層フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007167819A JP4864818B2 (ja) 2007-06-26 2007-06-26 積層フィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009006508A true JP2009006508A (ja) 2009-01-15
JP4864818B2 JP4864818B2 (ja) 2012-02-01

Family

ID=40322118

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007167819A Active JP4864818B2 (ja) 2007-06-26 2007-06-26 積層フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4864818B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011218804A (ja) * 2010-03-26 2011-11-04 Toyobo Co Ltd ガスバリア性積層フィルム、ラミネートガスバリア性積層フィルム及び包装体
US9605122B2 (en) 2009-07-31 2017-03-28 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha Gas-barrier multilayer film
WO2017104041A1 (ja) * 2015-12-17 2017-06-22 Dic株式会社 蒸着面保護用コーティング材、及びガスバリア性フィルム
WO2019107321A1 (ja) * 2017-11-29 2019-06-06 住友化学株式会社 ガスバリア層を形成するための塗工液
US10457788B2 (en) 2009-12-24 2019-10-29 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha Gas-barrier multilayer film

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0371832A (ja) * 1989-08-11 1991-03-27 Oike Ind Co Ltd 透明ハイバリヤープラスチックフイルム
JPH10101826A (ja) * 1996-10-01 1998-04-21 Dainippon Printing Co Ltd 透明バリアフィルム
JPH10140331A (ja) * 1996-11-12 1998-05-26 Oike Ind Co Ltd 蒸着フイルム
JPH11193340A (ja) * 1997-10-28 1999-07-21 Mitsui Chem Inc 水性分散体及びその製造方法
WO2003025058A1 (fr) * 2001-09-12 2003-03-27 Sumitomo Seika Chemicals Co., Ltd. Dispersion aqueuse de copolymere ethylene/alcool vinylique
JP2006116733A (ja) * 2004-10-19 2006-05-11 Dainippon Printing Co Ltd バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材
WO2007034773A1 (ja) * 2005-09-20 2007-03-29 Mitsubishi Plastics, Inc. ガスバリア性積層フィルム

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0371832A (ja) * 1989-08-11 1991-03-27 Oike Ind Co Ltd 透明ハイバリヤープラスチックフイルム
JPH10101826A (ja) * 1996-10-01 1998-04-21 Dainippon Printing Co Ltd 透明バリアフィルム
JPH10140331A (ja) * 1996-11-12 1998-05-26 Oike Ind Co Ltd 蒸着フイルム
JPH11193340A (ja) * 1997-10-28 1999-07-21 Mitsui Chem Inc 水性分散体及びその製造方法
WO2003025058A1 (fr) * 2001-09-12 2003-03-27 Sumitomo Seika Chemicals Co., Ltd. Dispersion aqueuse de copolymere ethylene/alcool vinylique
JP2006116733A (ja) * 2004-10-19 2006-05-11 Dainippon Printing Co Ltd バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材
WO2007034773A1 (ja) * 2005-09-20 2007-03-29 Mitsubishi Plastics, Inc. ガスバリア性積層フィルム

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9605122B2 (en) 2009-07-31 2017-03-28 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha Gas-barrier multilayer film
US10457788B2 (en) 2009-12-24 2019-10-29 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha Gas-barrier multilayer film
JP2011218804A (ja) * 2010-03-26 2011-11-04 Toyobo Co Ltd ガスバリア性積層フィルム、ラミネートガスバリア性積層フィルム及び包装体
WO2017104041A1 (ja) * 2015-12-17 2017-06-22 Dic株式会社 蒸着面保護用コーティング材、及びガスバリア性フィルム
WO2019107321A1 (ja) * 2017-11-29 2019-06-06 住友化学株式会社 ガスバリア層を形成するための塗工液
JP2019099623A (ja) * 2017-11-29 2019-06-24 住友化学株式会社 ガスバリア層を形成するための塗工液
CN111356746A (zh) * 2017-11-29 2020-06-30 住友化学株式会社 用于形成阻气层的涂布液
JP7060946B2 (ja) 2017-11-29 2022-04-27 住友化学株式会社 ガスバリア層を形成するための塗工液

Also Published As

Publication number Publication date
JP4864818B2 (ja) 2012-02-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101205753B1 (ko) 에틸렌/비닐알코올계 공중합체 수성 분산액
TWI600539B (zh) 阻氣性積層體
JP4750651B2 (ja) ガスバリア性積層フィルム
JP6131570B2 (ja) ガスバリア用コーティング液、その製造方法、ガスバリア性積層体の製造方法、包装材料の製造方法および加熱殺菌用包装材料の製造方法
WO2012047246A1 (en) Barrier coating composition with organic particles
JP4864818B2 (ja) 積層フィルム
WO2007125741A1 (ja) コーティング液、それを用いたガスバリア性フィルム、ガスバリア性積層体及びガスバリア性多層フィルム、並びにそれらの製造方法
CN112334531B (zh) 水性乙烯-乙烯醇共聚物分散体和涂覆有所述分散体的氧阻隔多层膜
JPWO2003025058A1 (ja) エチレン/ビニルアルコール系共重合体水性分散液
JP2018024816A (ja) コーティング液、熱成形用ガスバリア性積層体および成形体
JP2005125693A (ja) ガスバリア性積層フィルム
JP4836623B2 (ja) ガスバリアフィルム及びガスバリア積層材
JP2019019206A (ja) コーティング液、熱成形用ガスバリア性積層体および成形体
JP2014061935A (ja) ガスバリア性包装袋およびそれを用いたガスバリア性包装体の製造方法
WO2007125742A1 (ja) コーティング液、それを用いたガスバリア性フィルム、ガスバリア性積層体及びガスバリア性多層フィルム、並びにそれらの製造方法
JP2015150807A (ja) ポリエステル積層体
JP2004299173A (ja) ガスバリア性積層フィルム
JP2014061681A (ja) ガスバリア性包装袋およびそれを用いたガスバリア性包装体の製造方法
JP6816569B2 (ja) ガスバリア積層体、及びガスバリア積層体の製造方法
TWI769349B (zh) 阻氣性薄膜及其製造方法
JP2007009036A (ja) エチレン−ビニルアルコール共重合体水系分散液の製造方法
JP2007015162A (ja) 透明ガスバリア性ポリアミド系フィルム及びそれを用いた透明ガスバリア性積層体
JP6351294B2 (ja) ガスバリア性積層体
JP2001323175A (ja) 樹脂組成物
JP2006307075A (ja) エチレン−ビニルアルコール共重合体水系分散液の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100415

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20100415

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111017

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111101

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111109

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141118

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4864818

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250