JP2016176306A - 外構構造物および外構構造物の設置構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材2と、吸水性を有する多孔質材が設けられてなる多孔質材層4と、を含んで構成された外構部材1,1B〜1Dを、横にして複数並列してなる外構構造物において、複数の外構部材1は、垂直面15に、互いに上下に間隔を空けて取り付けられ、外構部材1は、前方へ傾斜する上面部5,5B〜5Dと、上面部5の下方側に折り返す折り返し部6,6B〜6Dと、上面部5の基端部と折り返し部6の折り返し方向先端部とを接続し、垂直面15に取り付けられる接続部7,7B〜7Dと、を有し、外構部材1自体の奥行寸法L1に対する折り返し部6の奥行寸法L2の割合は、奥行寸法L1に対する接続部7の奥行寸法L3の割合よりも大きい。
【選択図】図1
Description
ところが、夏場においては建物内に導入する外気が温暖であるため、さらに市街地においてはヒートアイランド化現象による気温上昇のため、自然換気による効果を得にくい場合があった。
そこで、例えばフェンスや門、柵、手摺、ルーバー等の外構構造物を構成する外構部材として、吸水性を有する多孔質材層が表面に設けられたものが用いられている(例えば特許文献1参照)。
なお、外構部材は、断面視において平行四辺形状または台形状に形成されており、上方から滴下される水を受ける傾斜した上面部と、この上面部から水が流れ落ちる一方の側面部が実質的な吸水面となっている。
そこで、冷却効果を高めるために吸水面をより広く確保することが考えられるが、外構部材を単に大型化してしまうと見栄えが悪くなるという問題があった。すなわち、上面部の奥行寸法を長くしたり、側面部の上下寸法を長くしたりすると、外構部材を正面から見た場合の上下方向の見付寸法が長くなってしまい、威圧感を与えるとともにシャープさに欠ける印象を与える場合がある。
前記複数の外構部材1は、上下方向に長尺な垂直面15に、互いに上下に間隔を空けて取り付けられており、
前記外構部材1は、
前記垂直面15に対して一定の角度で前方へ傾斜する上面部5(5B〜5D)と、
前記上面部5の先端部から前記上面部5の下方側に折り返す折り返し部6(6B〜6D)と、
前記上面部5の基端部と前記折り返し部6の折り返し方向先端部とを接続するとともに前記垂直面15に取り付けられる接続部7(7B〜7D)と、を有しており、
前記外構部材1自体の奥行寸法L1に対する前記折り返し部6の奥行寸法L2の割合は、前記外構部材1自体の奥行寸法L1に対する前記接続部7の奥行寸法L3の割合よりも大きく設定されていることを特徴とする。
また、多孔質材層4に水を供給すれば、毛細管現象により水の拡散性を向上することができる。これによって、多孔質材層4を少量の水で効率良く濡らすことができるので、水の節約や省エネルギーに貢献できる。
また、例えば基材2が耐水性の低い製品であったとしても、この基材2の耐水性に関わりなく、多孔質材層4に水を供給することができ、冷却効果を発揮させることができる。そして、このように外構部材1の表面性状を変えるだけで保水性を向上できるので、基材2自体の構造強度や耐久性は維持される。
また、上面部5は、垂直面15に対して一定の角度で前方へ傾斜しているので、上面部5にある水は、その傾斜方向の先端部(下端部:垂直面15とは反対側の端部)側へと流れる。さらに、折り返し部6は、上面部5の先端部から上面部5の下方側に折り返しているので、上面部5を流れる水を折り返し部6に伝わせて下方に流し、当該折り返し部6の下端部から滴下させることができる。これによって、上方の外構部材1の上面部5を流れる水を、下方の外構部材1の上面部5へと確実に滴下させることができるので、外構構造物10を構成する複数の外構部材1全体に上から順番に水を供給することができる。
また、接続部7は、上面部5の基端部(垂直面15側の端部)と折り返し部6の折り返し方向先端部(垂直面15側の端部)とを接続するとともに垂直面15に取り付けられているので、外構部材1を垂直面15に確実に取り付けることができる。
そして、外構部材1自体の奥行寸法L1に対する折り返し部6の奥行寸法L2の割合は、外構部材1自体の奥行寸法L1に対する接続部7の奥行寸法L3の割合よりも大きく設定されているので、折り返し部6の面積を広く確保することができる。すなわち、広い面積の折り返し部6を吸水面とすることができるので、外構構造物10の周囲における空気の冷却効果を高めることができる。
さらに、このように折り返し部6の面積を広く確保することができれば、吸水面を広く確保するために、例えば上面部5の奥行寸法L1を長くしたり、折り返し部6の上下寸法を長くしたりする必要が無い。したがって、外構部材1を正面から見た場合の上下方向の見付寸法L4が長くなることを抑え、威圧感をなくし、かつシャープな印象を与えることができる。また、一つ一つの外構部材1がシャープな印象を与えることができれば、外構構造物10全体としてもシャープな印象を与えることができる。
前記複数の外構部材1のうち最上部に位置する外構部材1における前記基材2は中空状に形成され、その前記接続部7側面には、前記基材2内部に水を導入するための開口部2aが形成されていることを特徴とする。
前記垂直面15を有するとともに、中空状に形成されて内部に給水管17が通されるブラケット12と、
前記ブラケット12が取り付けられる上下方向に長尺な支持部材11と、を備えており、
前記ブラケット12は、前記外構部材1に取り付けられる第一部材13と、前記支持部材11に取り付けられる第二部材14と、が組み合わされることによって形成されていることを特徴とする。
また、ブラケット12は、外構部材1に取り付けられる第一部材13と、支持部材11に取り付けられる第二部材14と、が組み合わされることによって形成されているので、第一部材13と第二部材14とを分け離した状態にすれば給水管17をセットしやすくなり、給水管17を第一部材13と第二部材14のどちらかにセットした状態で、これら第一部材13と第二部材14とを組み合わせてブラケット12を形成すれば、給水管17を、ブラケット12の内部に容易に通すことができる。また、ブラケット12の内部に給水管17を隠すことができ、見映えが良い。
前記複数の外構部材1を垂直投影した場合における、上下に隣り合う前記外構部材1,1同士の間隔L6は、下方の前記外構部材1の下端部と上方の前記外構部材1の下端部との間の距離L7に対して、所定の開口率に設定されており、
前記開口率は、前記外構構造物の設置地域に応じて、上下に隣り合う前記外構部材間を直達日射が通過する所定時間の太陽高度に基づくことを特徴とする。
さらに、上面部5の下方側に折り返す折り返し部6により、実際の開口率よりも開口部分が大きく感じられることから、該凹部材1の軽量感が増し、威圧感が軽減される。また先端部の形状から外構部材1にシャープな印象を与えることができる。
また、開口率次第ではあるが、夏期においては日の出後、日没前の太陽高度の低い時間帯を除く、日中の暑い時間帯における日射に対して十分に遮蔽する機能を有している。また、そのままの開口率の設定で、冬季においても日射が完全に遮蔽される時間帯を短時間に抑えることができる。したがって冬季の日射取得に対しても問題がなく、夏の日射遮蔽と冬に日射取得の両方を実現可能である。なお、これを実現するための開口率は、例えば33%である。
前記外構構造物10は、前記建物20,30の外壁から離間して配置されており、
前記外構構造物10と前記外壁との間は、周囲よりも温度を低くすることが可能なクールスポット(テラス21、坪庭31)とされていることを特徴とする。
前記建物20は、前記クールスポット21の上方に位置し、当該クールスポット21への日射を遮蔽するための日覆い部28を備えることを特徴とする。
前記日覆い部28は、前記建物20の上階から張り出すバルコニーであることを特徴とする。
前記クールスポット21は、保水性能を有する保水床部21aを備えることを特徴とする。
前記外構構造物10は、前記建物20,30の開口部23a,27a,37aに対向して設置されていることを特徴とする。
また、シャープな印象を与えることが可能な外構構造物10が、開口部23a,27a,37aから見えることになるので、建物20,30内から外構構造物10を見る人に対してもシャープな印象を与えることができる。
図1等において符号1は、外構部材を示す。なお、外構部材1とは、住宅等の建物の外回りにある各種外構構造物等に使用される建材を指している。また、外構構造物としては、例えばフェンスや門扉、柵、手摺、ルーバー装置、垣根、塀、車庫、ガレージ、土間、アプローチ、アクセントウォール、パーゴラ、デッキ、舗装材、各種柱、物置等、様々なものが挙げられる。さらに、このような外構構造物としては、建物の庭等の敷地に設置されるものだけでなく、バルコニーの柵や手摺等も含むものとする。
本実施の形態の外構部材1は、上述の外構構造物を構成するものであり、基材2と、この基材2の表面に設けられた親水性を有する接着層3と、この接着層3の表面に吸水性を有する多孔質材が設けられてなる多孔質材層4と、を含んで構成されている。
また、接着層3は、外構部材1自体を構成する基材2の表面に設けられているものとする。つまり、この基材2とは、接着層3を設けるための支持体、または基盤としての役割を果たすものである。
したがって、この基材2が新規に製造されたものであるか、既存ものであるかについては何ら限定されるものではない。つまり、本実施の形態の外構部材1は、新規製造したものであってもよく、既存の基材2の表面に接着層3と多孔質材層4とを設けたものであってもよい。換言すれば、本実施の形態の外構部材1は、外構構造物の新設時にも利用でき、リフォーム時にも利用できることとなる。
なお、この基材2の種類としては、アルミニウム等の金属だけでなく、外構用の建材として市場に流通しているもの、既存の製品の全てを採用することができるとともに、その形状も限定されるものではない。すなわち、その他の金属製のものや木製のもの、樹脂製のもの、セラミック等、様々なものが挙げられる。
接着層3を構成する接着剤としては、例えば基材2への密着性、耐水性、耐候性に優れ、長期の屋外暴露においても劣化が少ないシリコーン樹脂系組成物を応用したものが用いられている。このような接着剤によれば、シリコーン樹脂系組成物を応用したものであるため、長期の屋外暴露においても劣化が少ないので、基材2の表面を保護するのに好適である。
シリコーン樹脂系組成物としては、例えば、シリコーン樹脂、シリコーン樹脂の硬化触媒、変成シリコーン樹脂または/およびエポキシ樹脂を含有するもの等が用いられている。
このような接着層3によれば、多孔質材層4に供給された水が接着層3に到達した場合に、この水を撥水することができるので、外構部材1が少しでも傾斜さえしていれば、水を外構部材1の傾斜方向下端部に向かって流すことができる。
接着層3は、上記の塗材によって構成されるため、塗材層3と称してもよい。
なお、ここで言う充填剤はその平均粒径が100μm未満のものをいい、100μm以上のものを骨材としている。この他にも充填剤や着色顔料等を均一に分散させるための分散剤や、塗材中の巻き込み等による泡を消すための消泡剤や、防黴剤等が配合されていてもよい。該親水性を有する塗材の市販品としては、ジョリパットJP−100、JQ−650(商品名、アイカ工業株式会社製)がある。
多孔質材層4を構成する多孔質材としては、例えば、珪藻土を焼き固めたイソライトや、蛭石、ガラスを主原料とした無機質発泡バルーンが好適に用いられる。このような多孔質材は、親水性で表面張力が大きく、かつ一つ一つに数μm〜数十μmの多数の細孔があり、これら細孔が吸水するため、吸水性を有する。また、多数の細孔に入った水は、水の表面張力により細孔内に保持されることになり、これら細孔内に入った水や隣接する多孔質材間に溜まった水が蒸発することになる。
また、多孔質材は、接着層3の表面に密集して設けられている。すなわち、多孔質材は、接着層3の表面に隙間無くびっしりと集まり、密度が高い状態となっている。したがって、外構部材1の表面視においては、接着層3は、密集する多孔質材の隙間からは略見えない状態となっている。
なお、本実施の形態では、多孔質材は接着層3の表面に密集して設けられるものとしたが、これに限られるものではなく、接着層3において水が濡れ広がる際の程度に応じて適宜変更してもよい。
そして、このような物性と意匠的な観点から、部材表面に0.1〜1mm程度の粒度の骨材を塗布すると効果的である。
骨材は、ミクロレベルの細孔を有する多孔質材であり、その細孔に水が保持される素材であることが望ましい。吸水率が10%以上であると、灌水停止後も、細孔内にたまった水が蒸発し、蒸発冷却効果を任意の時間、維持することができる。また、空隙率によって吸水率が異なるため、蒸発冷却効果の持続時間の期待値によって任意の空隙率を持つ多孔質材を選定して塗布することで蒸発冷却効果を調整できる。
多孔質材の粒径分布は孔径が小さいほど毛細管力が大きく、また径が大きいほど毛細管力が小さいが、細孔に溜まった水が屋外環境下で適度に蒸発散を繰り返すためには、毛細管力の大きさから、孔径が1〜100μ程度の間で分布していることが望ましい。
そして、このような外構部材1によって外構構造物10を構成すれば、外構構造物の周囲の空気を冷却する効果を発揮できるので、建物内の自然換気を行う際に、冷却された外気を建物内に導入できることとなる。したがって、たとえ夏場であっても、空調機器や換気装置を用いずに、建物内に快適な居住環境を形成することができ、延いては省エネルギーや地球温暖化対策に貢献することが可能となる。しかも、例えばレンガ等の多孔質壁材に比して軽量であり、かつ形状の自由度が高い。このため広範囲にわたって用いることが可能であり、冷却対象空間における冷却面の形態係数を大きく取ることができる。これによって、住宅等の建物の外回りに、体感温度が周辺環境よりも低くなるクールスポット(後述するテラス21、坪庭31)を形成できる。そして、このように外回りに涼しい環境を形成できれば人の滞在時間が長くなることが期待され、屋内から屋外に出て過ごす時間が増えることで空調機器の稼働時間を短縮し、結果的に、省エネルギーや地球温暖化対策に貢献することが可能となる。
また、このように水の拡散性が高いので、例えば外構部材1の多孔質材層4を鉛直面に配置した場合でも所謂“水みち”ができにくい。すなわち、水みちができると、蒸発冷却面が限定的になり、冷却効果が低下することに加え、雨染みのように部分的に色が変わってしまうため、多孔質材層4の水の拡散性が高ければ、このような部分的な変色を防ぎ、景観性の低下を防ぐことができる。
また、疎水性を有する接着層の場合も同様の効果を発揮することができる。
なお、本実施の形態における冷却面もしくは蒸発冷却面とは、外構部材1のうち、多孔質材層4が露出する部分を指すものとし、多孔質材層4が設けられない部分、多孔質材層4が隠れる部分等は該当しないものとする。
本実施の形態の外構構造物は、図1〜図9に示すように、外構部材1を横にして、複数並列してなるルーバー装置10である。すなわち、複数の外構部材1は、ルーバー装置10における複数の羽板である。
ルーバー装置10は、複数の外構部材1の他に、これら複数の外構部材1を支持する支持部材である複数の支柱11と、複数の外構部材1を支柱11に取り付けるためのブラケット12と、水の供給手段と、を備える。
なお、複数の外構部材1は、上下方向に互いに間隔を空けて並列しており、隣り合う外構部材1,1間に形成された隙間を空気が通り抜けるようになっている。
この支持部材11には、その長さ方向に沿ってブラケット12が取り付けられる。
なお、本実施の形態のルーバー装置10において、支柱11は、複数の外構部材1の長さ方向両端部の位置に対応して設けられて、複数の外構部材1を安定的に支持している。すなわち、複数の外構部材1を安定的に支持するために、少なくとも二本の支柱11が使用されている。
また、これら第一部材13と第二部材14とが組み合わされて形成されたブラケット12は中空状に形成された状態となっており、その内部には給水管17(後述する)が通される。
また、本実施の形態の第一部材13は、外構部材1が取り付けられるべき垂直面15を有する。
より詳細に説明すると、第一部材13は、図6,図7に示すように、断面コ字状に形成された金属製の長尺材である。当該第一部材13は、自身の一面側が垂直面15とされた中央板部13aと、この中央板部13aの幅方向両端部のそれぞれから垂直面15とは反対の方向に突出する側板部13bと、を備える。
すなわち、数本の外構部材1は、図4(a),(b)に示すように、第一部材13によって互いに連結されてパネル化されている(パネルP1,P2)。第一部材13は、その中央板部13aが複数の外構部材1のそれぞれに対してビス止めされている。
ルーバー装置10は、このように数本の外構部材1がパネル化されたものP1,P2を支柱11の長さ方向に沿って複数取り付けることによって形成されることになる。
なお、パネルP1は、最上部に位置する外構部材1を含む合計4本の外構部材1と第一部材13からなるものであり、パネルP2は、最上部に位置する外構部材1を含まない合計5本の外構部材1と第一部材13からなるものである。また、外構部材1の本数は適宜変更可能であり、第一部材13は、使用される外構部材1の本数によって長さが変更される。
中央板部14aの幅寸法は、図7に示すように、第一部材13の中央板部13aよりも短く設定されている。
また、両側板部14bの位置も、第一部材13の両側板部13bよりも中央寄りに配置されている。
この時、第二部材14の両側板部14bにおける外側面と、第一部材13の両側板部13bにおける内側面とが重なり合う。そして、これら重なり合う両側板部13b,14b同士がビス止めされる。
また、第二部材14の両側板部14bは、第一部材13と第二部材14とが組み合わされた時に、第一部材13の中央板部13aに当接するように設定してもよい。すなわち、中央板部13a,14a同士の間隔は、第二部材14における両側板部14bの、第一部材13側への突出寸法に基づいて設定されることになる。
以上のように組み合わされた第一部材13と第二部材14との間には、給水管17が通される内部中空部が形成される。
なお、第二部材14は、支柱11の一側面の長さ方向に断続的に取り付けられるため、内部中空部は、支柱11の一側面も利用して形成されている。ただし、本実施の形態とは異なる実施形態として、第二部材14を支柱11の一側面の長さ方向に長尺に形成する場合はこれに限られるものではない。
また、第二部材14は、支柱11の一側面の長さ方向に断続的に取り付けられる際に、上下に隣接する第一部材13,13同士の境界を跨ぐ位置に合わせて配置されるものがある。
また、第一部材13と第二部材14は双方とも断面コ字状であるため、ブラケット12の上端部は開口した状態となっているが、この上端開口部は、エンドキャップ11aによって支柱11の上端開口部と共に塞がれた状態となる。
なお、本実施の形態において給水源16は外水道としたが、これに限られるものではなく、例えば雨樋から流れる雨水を給水源としてもよい。このような場合は、雨水をタンクに一旦貯留して、これをポンプで汲み上げて使用してもよいし、雨樋からの雨水を、竪樋等を介して直接的にルーバー装置10に供給してもよい。いずれの場合も、雨水には不純物等が混ざっているため、濾過してから使用することが望ましい。竪樋等を介して雨水を供給する場合においては、雨樋からルーバー装置10までの間に濾過装置が組み込まれることが好ましい。
なお、給水管17としては、金属や樹脂の硬質管が用いられてもよいし、樹脂の軟質チューブが用いられてもよく、接続用の管を利用してこれらを併用してもよい。
さらに、最上部に位置する外構部材1まで配置された給水管17の先端には、水を吹き出す吹出口が長さ方向に点在して設けられた潅水用チューブ17aが接続されている。
そして、このコントローラ18によって、給水源16からルーバー装置10へと流れる水の量や供給・ストップを制御することができる。また、計時機能や温湿度測定機能を具備することによって、水の供給・ストップをタイマー制御したり、温湿度等の周囲の環境に基づいて制御したりすることができる。
図3に示す例は、複数のルーバー装置10を、平面視においてL字状となるように、互いに直交する方向に配置したものである。このような場合は、給水源16から水の供給を受ける一方のルーバー装置10から、他方のルーバー装置10へと潅水用チューブ17aが伸びている。
より詳細には、一方のルーバー装置10における複数の外構部材1のうち最上部位置する外構部材1から、他方のルーバー装置10における複数の外構部材1のうち最上部に位置する外構部材1へと、潅水用チューブ17aが伸びた状態になっている。そして、一方のルーバー装置10に潅水を行うことによって、同時に、他方のルーバー装置10にも潅水を行うことができる。
このように複数のルーバー装置10を互いに直交する方向に配置した場合には、太陽光が、一方のルーバー装置10から他方のルーバー装置10に抜ける場合がある。このような場合には、一方のルーバー装置10の正面側からと、他方のルーバー装置10の背面側から、複数の外構部材1における水の蒸発を促すことができる。これにより、双方のルーバー装置10のいずれかが、比較的日当たりの悪い場所に設置されていたとしても、その冷却効果を発揮することができるので好ましい。
図1は、外構部材1の複数の例を示す断面図であり、図1(a)に示す外構部材1が、図2に示すように本実施の形態の外構構造物であるルーバー装置10に採用されている。ルーバー装置10に採用される外構部材は、図1(a)に示すものに限られず、図1(b)〜(d)に示すものに適宜変更してもよい。
外構部材1は、上述のように基材2と、接着層3と、多孔質材層4と、を含んで構成されるものであるが、図1,図2等に示すように外構部材1全体を見た場合に、その部位として、上面部5と、折り返し部6と、接続部7と、を有する。また、各外構部材1の両端部は開口しているが、エンドキャップによって塞がれた状態となる。
なお、図1(b)〜(d)に示す外構部材1(1B〜1D)おいては、基材2、接着層3、多孔質材層4の表現を省略しているが、図1(a)に示す外構部材1と同様に、基材2と、接着層3と、多孔質材層4と、を含んで構成されているものとする。
より詳細には、上面部5は、第一部材13の中央板部13aの一面側である垂直面15に対し、垂直面15から離間するに従って徐々に下がるように傾斜している。そして、水は、この上面部5を伝って傾斜方向先端部に向かって流れる。
なお、図1(a)に示す本実施の形態のルーバー装置10に採用される外構部材1の上面部5は、その基端部(垂直面15側の端部)から傾斜方向先端部にかけて真っ直ぐに傾斜しているが、これに限られるものではない。図示はしないが、例えば断面視においてカーブして形成されてもよいし、階段状に形成されてもよい。すなわち、上面部5にある水が、垂直面15側の端部から離れるに従って下方に流れるように傾斜していればよいものとする。
折り返し部6の下端部に到達した水は、この折り返し部6の下端部から垂れて、下方に隣り合う外構部材1の上面部5へと落ちる。
なお、図1(a)に示す本実施の形態のルーバー装置10に採用される外構部材1の折り返し部6は、その上端部(上面部5の先端部と一体の端部)から下端部(垂直面15側の端部)にかけて真っ直ぐに傾斜しているが、これに限られるものではない。図1(b)に示すように、例えば断面視においてカーブして形成されてもよいし、図示はしないが階段状に形成されてもよい。すなわち、折り返し方向先端部(垂直面15側の端部)に向かって水が流れればよいものとする。
上面部5に垂れた水の量が多く、上面部5の先端部側に流れる前に垂直面15側に溢れた水が接続部7へと伝わるようになっている。接続部7へと伝わった水は、当該接続部7の下端部へと伝わっていき、最終的に、折り返し部6の下端部から垂れる水と共に、下方に隣り合う外構部材1の上面部5へと垂れ落ちる。
なお、図1(a)に示す本実施の形態のルーバー装置10に採用される外構部材1の接続部7は、その上端部(上面部5の基端部と一体の端部)から下端部(折り返し部6の下端部と一体の端部)にかけて、垂直面と傾斜面とを有するように形成されているが、これに限られるものではない。図1(b),(c)に示すように真っ直ぐに傾斜していてもよいし、図1(d)に示すように、より多くの角を有するように形成されてもよい。また、図示はしないがカーブ状やジグザグ状に形成されてもよい。すなわち、自身の下端部に向かって水が流れればよいものとする。
また、最上部に位置する外構部材1の接続部7には、下方に隣り合う外構部材1に水を垂らすための排水口2bが、接続部7の長さ方向に点在するように形成されている。
換言すれば、ブラケット12(または垂直面15)に接触する接続部7を除く、表面(多孔質材層4)の面積を広く確保するために、外構部材1自体の奥行寸法L1に対する折り返し部6の奥行寸法L2を長くすることによって、外構部材1の表面積のうち、折り返し部6の占める面積が極力広く確保されている。延いては、多孔質材層4である吸水面が極力広く確保されたことになる。
また、このように外構部材1自体の奥行寸法L1に対する折り返し部6の奥行寸法L2を長くすることで吸水面を広く確保する構成を採用すれば、上下方向の見付寸法L4を変更する必要もなくなる。すなわち、図1(a)〜(d)の各例において、折り返し部6の奥行寸法L2と接続部7の奥行寸法L3が、それぞれ異なっていても、上下方向の見付寸法L4は等しいことが示されている。
また、例えば図1(a)に示す外構部材1を例に挙げて説明すると、外構部材1自体の奥行寸法L1と、上下方向の見付寸法L4を変更せずに、折り返し部6の奥行寸法L2を、接続部7の奥行寸法L3よりも長く保った状態で任意に変更させてもよい。このようにすると、外構部材1の突端部(垂直面15とは反対側の端部)が細くなり、シャープな印象を与えることができる。
本実施の形態においては、外構部材1,1同士の間隔は垂直投影面積に対する開口率、すなわち、L6/L7が「33%」となるように設定されている。
これにより、外構構造物10において、散乱光が通過し明るさが確保できるとともに、外構部材1を正面から見た場合に視線が抜けるようになる。さらに上面部5の下方側に折り返す折り返し部6により、実際の開口率よりも開口部分が大きく感じられることから、外構部材1の軽量感が増し、威圧感が軽減される。また先端部の形状から外構部材1にシャープな印象を与えることができる。
L1とL6との関係から直達日射が通過する太陽高度を求めると、L4側からは28度(図10中の「x」の角度)、L5側からは24度(図10中の「y」の角度)となる。すなわち、日の出後、日没前にそれぞれ2時間程度、太陽高度が低い時間帯にのみ直達日射が通過することになる。日の出後、日没前の2時間程度であれば、日中の気温が上がり始める前や夕方気温が下がり始めた後であるため、日中の暑い時間帯における日射に対して十分に遮蔽する機能を有していると言える。
また、例えば東京の冬季日中の太陽高度が30度程度であることから、冬季において日射が完全に遮蔽される時間帯は数分程度しかない。したがって冬季の日射取得に対しても問題がなく、夏の日射遮蔽と冬に日射取得の両方を実現可能であると言える。
以上より、冷却効果を高めるために吸水面を広く確保するため、また夏期に日射を遮蔽するために吸水面をより広く確保することと、冬季の日射取得、威圧感の軽減、シャープなデザインという、相反する要求に対して、最適な部材の寸法が設定されている。
なお、本実施の形態では、開口率を33%としたが、これに限られるものではない。例えば外構構造物10が設置される地域や、外構部材1の形状に応じて適宜変更してもよい。ただし、夏季の日没前・日の出前の太陽高度や冬季日中の太陽高度等を考慮すれば、開口率30%〜36%程度の範囲内で設定することが好ましい。より詳細には、外構構造物10を設置する前に、外構構造物10が設置される地域の時間帯ごとの太陽高度を求め、その太陽高度に基づいて、上下に隣り合う外構部材1,1間の間隔を適宜設定する。この際の間隔(開口率)が、30%〜36%程度の範囲内で設定されている。
なお、本実施の形態のルーバー装置10に採用される外構部材1は、図1(a)に示すものに限られるものではなく、図1(b)〜(d)に示すものを採用してもよいし、本発明の趣旨を逸脱しない範囲のものであれば適宜採用してもよい。
図1(c)に示す外構部材1(以下、外構部材1C)は、上面部5(以下、上面部5C)が真っ直ぐに傾斜して形成され、折り返し部6(以下、折り返し部6C)および接続部7(以下、接続部7C)も真っ直ぐに傾斜して形成されている。ただし、接続部7Cの上端部は、上面部5の基端部のうち、上面部5中央にやや寄った位置に配置されている。
図1(d)に示す外構部材1(以下、外構部材1D)は、上面部5(以下、上面部5D)が真っ直ぐに傾斜して形成され、折り返し部6(以下、折り返し部6D)も真っ直ぐに傾斜して形成されている。そして、接続部7(以下、接続部7D)は、複数の角を有するように形成されている。
このような場合には、垂直面15の表面に、各接続部7B,7C,7Dの形状に対応する補助ブラケット15b,15c,15dを取り付けて、この補助ブラケット15b,15c,15dに対して各接続部7B,7C,7Dを固定すればよい。
まず、パネルP1,P2を、最上部に位置する外構部材1を含むパネルP1が最上部に位置するようにして順番に並べる。
続いて、順番に並べられたパネルP1,P2において一直線状に並ぶ複数の第一部材13の凹部(中央板部13aと両側板部13bとによって囲まれる空間)に、給水管17を配置する。また、最上部に位置する外構部材1には、開口部2aから潅水用チューブ17aを挿入し、この潅水用チューブ17aと給水管17とを繋げる。
続いて、第二部材14を、第一部材13の凹部に嵌合するようにして、第一部材13と第二部材14とを組み合わせる。
この時、第二部材14の両側板部14bにおける外側面と、第一部材13の両側板部13bにおける内側面とが重なり合うので、これら重なり合う両側板部13b,14b同士をビス止めする。
全ての第一部材13と第二部材14とをビス留めすると、ルーバー装置10の組立作業が完了する。
ルーバー装置10は、図8,図9に示すように、住宅等の建物20,30が建築される敷地S1,S2内に設置されている。
図8に示す敷地S1内に設置されるルーバー装置10は、図3に示すような平面視においてL字状となるように、複数のルーバー装置10を、互いに直交する方向に配置したものである。より詳細には、テラス21の南東側のコーナーに沿って二つのルーバー装置10が配置されている。
なお、これらルーバー装置10の地面付近には、適宜、植栽を行ってもよい。
玄関部22は、建物20の一階西側に配置されており、玄関ポーチや玄関土間、玄関ホールを含んで構成されている。
居室23は、玄関部22の東側に配置されており、リビングルーム(L)とダイニングルーム(D)とキッチンルーム(K)の機能を併存させた部屋である。
トイレ24は、居室23の北側部分(ダイニングルーム・キッチンルーム側)のさらに東側に配置されている。
階段25は、トイレ24の東側に配置されており、図示はしないが、トイレ24の上方に回り込むようにして建物の二階まで設けられている。すなわち、トイレ24と階段25とで階段室を形成している。
水廻り室26は、階段25の東側に配置されており、洗面脱衣室と浴室を含んで構成されている。
居室27は、トイレ24と階段25と水廻り室26の南側に配置されており、和室として構成されている。
なお、隣接する各部屋は出入口を介して出入り自在とされている。また、出入口には、この出入口を開閉する建具が適宜設けられ、必要に応じて建具によって出入口の開閉が行われる。建物20内の換気を行いたい場合には、出入口を適宜開放させる。
また、このテラス21は、保水性能を有する保水床部21aを備える。当該保水床部21aは、保水性能を有する保水材からなる。
このような保水材としては、例えば砂を混入することなく、かつ強度を補う添加剤を添加することなく、粒度3〜20mmの軽石(乾燥比重が0.4)50〜62重量%とポルトランドセメント50〜38重量%との配合物に、水40〜50重量%を散布して混練した状態の生コンクリートを固めたものが採用されている。
また、この他に、アスファルトを骨材同士の結合材として用いて固めたものも挙げられる。すなわち、保水性能および透水性能を有するものであればよい。
また、居室23には、その他にも建具付き窓等の開口部23b〜23eが設けられている。
開口部23bは、南に面する掃き出し窓であり、テラス21側の開口部23aと直交方向に配置されている。
開口部23cは、居室23の北面の壁に形成され、居室23における北側部分のキッチンルームに面する。
開口部23dは、居室23の西面の壁に形成され、居室23における北側部分のキッチンルームに面する。
開口部23eは、居室23の西面の壁に形成され、居室23における中央部分のダイニングルームに面する。
そして、複数のルーバー装置10のうち他方は、当該居室27の開口部27aに対向して設置されている。
本実施の形態における日覆い部28は、建物20の上階から張り出すバルコニーとされている。すなわち、テラス21は、上方をバルコニー28によって覆われ、側方周囲を部分的にルーバー装置10によって囲まれた状態となっている。
なお、日覆い部28は、本実施の形態ではバルコニーとされたが、これに限られるものではなく、例えば建物20の外壁から張り出す庇やオーニング等でもよい。また、建物の上階が張り出して設けられる、所謂オーバーハング部であってもよい。
さらに、日覆い部であるバルコニー28によって、ルーバー装置10の冷却効果によって気温が低下したテラス21の温度上昇を抑えることができる。
さらに、テラス21の保水床部21aによる空気の冷却効果を得ることができ、当該テラス21の気温を低下させることができる。
そして、このようなテラス21の冷たい空気を、居室23の開口部23aから取り入れて、居室23の北側に設けられた他の開口部23c,23d,23e側に流通させることができる。また、南面の掃き出し窓である開口部23bから取り入れた風を利用して、居室23内に流入した冷たい空気を、北側に送るようにしてもよい。
また、テラス21の冷たい空気を、和室である居室27の開口部27aから取り入れ、各出入口を介して他の部屋へと流通させることができる。例えば、出入口と対向して配置される階段25側に流通させれば、他の階にも冷たい空気を送ることができるので好ましい。また、居室23側に流通させれば、開口部23aと共に居室23に対して冷たい空気を多く取り入れることができる。
図9に示す敷地S2内に設置されるルーバー装置10は、図3に示すような、複数のルーバー装置10を、平面視においてL字状となるように、互いに直交する方向に配置したものである。より詳細には、坪庭31の南西側のコーナーに沿って二つのルーバー装置10が配置されている。
なお、これらルーバー装置10の地面付近には、適宜、植栽を行ってもよい。
玄関部32は、建物30の一階南東側に配置されており、玄関ポーチや玄関土間、玄関ホールを含んで構成されている。
居室33は、玄関部32の西側から北側にかけて配置されており、リビングルーム(L)とダイニングルーム(D)とキッチンルーム(K)と廊下の機能を併存させた部屋である。また、その南側部分(リビングルーム)の南面には、掃き出し窓である開口部33aが設けられている。
トイレ34は、建物30の北西側であって、かつ居室33(キッチンルーム)の西側に配置されている。
階段35は、トイレ34の南側に配置されており、図示はしないが、トイレ34の上方に回り込むようにして建物の二階まで設けられている。すなわち、トイレ34と階段35とで階段室を形成している。
水廻り室36は、階段35の南側に配置されており、洗面脱衣室と浴室を含んで構成されている。
居室37は、水廻り室36の東側であって、かつ居室33の西側に配置されており、和室として構成されている。
なお、隣接する各部屋(隣接する水廻り室36と居室37を除く)は出入口を介して出入り自在とされている。また、出入口には、この出入口を開閉する建具が適宜設けられ、必要に応じて建具によって出入口の開閉が行われる。建物30内の換気を行いたい場合には、出入口を適宜開放させる。
和室である居室37のうち坪庭31に面する壁に開口部37aが形成されている。この開口部37aは、居室37の床付近に設けられる地窓である。
また、居室37には、居室33(リビングルーム)との間に出入口があり、当該出入口を開閉して換気の調整を行うことができる。
そして、複数のルーバー装置10のうち一方が、当該居室37の開口部37aに対向して設置されている。
そして、このような坪庭31の冷たい空気を、居室37の開口部(地窓)37aから取り入れて、居室37内から出入口を介して居室33側に流通させることができる。また、居室33に流入した冷たい空気を、居室33の南面の掃き出し窓である開口部33aから取り入れた風に乗せて、北側に送るようにしてもよい。
また、多孔質材層4に水を供給すれば、毛細管現象により水の拡散性を向上することができる。これによって、多孔質材層4を少量の水で効率良く濡らすことができるので、水の節約や省エネルギーに貢献できる。
また、例えば基材2が耐水性の低い製品であったとしても、この基材2の耐水性に関わりなく、多孔質材層4に水を供給することができ、冷却効果を発揮させることができる。そして、このように外構部材1の表面性状を変えるだけで保水性を向上できるので、基材2自体の構造強度や耐久性は維持される。
また、上面部5は、垂直面15に対して一定の角度で前方へ傾斜しているので、上面部5にある水は、その傾斜方向の先端部(下端部:垂直面15とは反対側の端部)側へと流れる。さらに、折り返し部6は、上面部5の先端部から上面部5の下方側に折り返しているので、上面部5を流れる水を折り返し部6に伝わせて下方に流し、当該折り返し部6の下端部から滴下させることができる。これによって、上方の外構部材1の上面部5を流れる水を、下方の外構部材1の上面部5へと確実に滴下させることができるので、外構構造物10を構成する複数の外構部材1全体に上から順番に水を供給することができる。
また、接続部7は、上面部5の基端部(垂直面15側の端部)と折り返し部6の折り返し方向先端部(垂直面15側の端部)とを接続するとともに垂直面15に取り付けられているので、外構部材1を垂直面15に確実に取り付けることができる。
そして、外構部材1自体の奥行寸法L1に対する折り返し部6の奥行寸法L2の割合は、外構部材1自体の奥行寸法L1に対する接続部7の奥行寸法L3の割合よりも大きく設定されているので、折り返し部6の面積を広く確保することができる。すなわち、広い面積の折り返し部6を吸水面とすることができるので、外構構造物10の周囲における空気の冷却効果を高めることができる。
さらに、このように折り返し部6の面積を広く確保することができれば、吸水面を広く確保するために、例えば上面部5の奥行寸法L1を長くしたり、折り返し部6の上下寸法を長くしたりする必要が無い。したがって、外構部材1を正面から見た場合の上下方向の見付寸法L4が長くなることを抑え、威圧感をなくし、かつシャープな印象を与えることができる。また、一つ一つの外構部材1がシャープな印象を与えることができれば、外構構造物10全体としてもシャープな印象を与えることができる。
また、ブラケット12は、外構部材1に取り付けられる第一部材13と、支持部材11に取り付けられる第二部材14と、が組み合わされることによって形成されているので、第一部材13と第二部材14とを分け離した状態にすれば給水管17をセットしやすくなり、給水管17を第一部材13と第二部材14のどちらかにセットした状態で、これら第一部材13と第二部材14とを組み合わせてブラケット12を形成すれば、給水管17を、ブラケット12の内部に容易に通すことができる。また、ブラケット12の内部に給水管17を隠すことができ、見映えが良い。
さらに、上面部5の下方側に折り返す折り返し部6により、実際の開口率よりも開口部分が大きく感じられることから、該凹部材1の軽量感が増し、威圧感が軽減される。また先端部の形状から外構部材1にシャープな印象を与えることができる。
また、開口率次第ではあるが、夏期においては日の出後、日没前の太陽高度の低い時間帯を除く、日中の暑い時間帯における日射に対して十分に遮蔽する機能を有している。また、そのままの開口率の設定で、冬季においても日射が完全に遮蔽される時間帯を短時間に抑えることができる。したがって冬季の日射取得に対しても問題がなく、夏の日射遮蔽と冬に日射取得の両方を実現可能である。
したがって、外構構造物10によって夏季の日射遮蔽と冷却効果を保つとともに、明るさの確保や威圧感の軽減、意匠性の向上についても要件を満たした外構構造物10および外構構造物10の設置構造を提供したいという要望に対して好適に対応できる。
このような要望についてより詳細に説明すると、従来の外構部材および外構構造物に対して、外構部材および外構構造物によって得られる冷却効果をより一層高めたいという要望があった。
そこで、冷却効果を高めるために吸水面を広く確保することが考えられるが、外構部材を単に大型化してしまうと冬季の日射取得が低下する、暗くなる、見栄えが悪くなる、という問題があった。
すなわち、上面部の奥行き寸法を長くしたり、側面部の上下寸法を長くしたりすると、散乱光も入らなくなるため暗くなる、冬季の日射を遮蔽してしまう、外構部材を正面から見た場合に視線が抜けない、上下方向の見付け寸法が長くなってしまいシャープさに欠ける等の問題がある。
このような問題等を鑑みて、上述のように上下に隣り合う外構部材1,1同士の間隔の開口率が設定されている。
また、シャープな印象を与えることが可能な外構構造物10が、開口部23a,27a,37aから見えることになるので、建物20,30内から外構構造物10を見る人に対してもシャープな印象を与えることができる。
2 基材
3 接着層
4 多孔質材層
5,5B,5C,5D 上面部
6,6B,6C,6D 折り返し部
7,7B,7C,7D 接続部
10 外構構造物(ルーバー装置)
11 支持部材
12 ブラケット
13 第一部材
14 第二部材
15 垂直面
17 給水管
20 建物
21 クールスポット(テラス)
23 居室
23a 開口部
27 居室
27a 開口部
28 日覆い部
30 建物
31 クールスポット(坪庭)
37 居室
37a 開口部(地窓)
L1 奥行寸法
L2 奥行寸法
L3 奥行寸法
L4 見付寸法
P1 パネル
P2 パネル
S1 敷地
S2 敷地
Claims (9)
- 基材と、この基材の表面側に吸水性を有する多孔質材が設けられてなる多孔質材層と、を含んで構成された外構部材を、横にして複数並列してなる外構構造物において、
前記複数の外構部材は、上下方向に長尺な垂直面に、互いに上下に間隔を空けて取り付けられており、
前記外構部材は、
前記垂直面に対して一定の角度で前方へ傾斜する上面部と、
前記上面部の先端部から前記上面部の下方側に折り返す折り返し部と、
前記上面部の基端部と前記折り返し部の折り返し方向先端部とを接続するとともに前記垂直面に取り付けられる接続部と、を有しており、
前記外構部材自体の奥行寸法に対する前記折り返し部の奥行寸法の割合は、前記外構部材自体の奥行寸法に対する前記接続部の奥行寸法の割合よりも大きく設定されていることを特徴とする外構構造物。 - 請求項1に記載の外構構造物において、
前記複数の外構部材のうち最上部に位置する外構部材における前記基材は中空状に形成され、その前記接続部側面には、前記基材内部に水を導入するための開口部が形成されていることを特徴とする外構構造物。 - 請求項1または2に記載の外構構造物において、
前記垂直面を有するとともに、中空状に形成されて内部に給水管が通されるブラケットと、
前記ブラケットが取り付けられる上下方向に長尺な支持部材と、を備えており、
前記ブラケットは、前記外構部材に取り付けられる第一部材と、前記支持部材に取り付けられる第二部材と、が組み合わされることによって形成されていることを特徴とする外構構造物。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の外構構造物において、
前記複数の外構部材を垂直投影した場合における、上下に隣り合う前記外構部材同士の間隔は、下方の前記外構部材の下端部と上方の前記外構部材の下端部との間の距離に対して、所定の開口率に設定されており、
前記開口率は、前記外構構造物の設置地域に応じて、上下に隣り合う前記外構部材間を直達日射が通過する所定時間の太陽高度に基づくことを特徴とする外構構造物。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の外構構造物が、建物が建築される敷地内に設置されてなる外構構造物の設置構造であって、
前記外構構造物は、前記建物の外壁から離間して配置されており、
前記外構構造物と前記外壁との間は、周囲よりも温度を低くすることが可能なクールスポットとされていることを特徴とする外構構造物の設置構造。 - 請求項5に記載の外構構造物の設置構造において、
前記建物は、前記クールスポットの上方に位置し、当該クールスポットへの日射を遮蔽するための日覆い部を備えることを特徴とする外構構造物の設置構造。 - 請求項6に記載の外構構造物の設置構造において、
前記日覆い部は、前記建物の上階から張り出すバルコニーであることを特徴とする外構構造物の設置構造。 - 請求項5〜7のいずれか一項に記載の外構構造物の設置構造において、
前記クールスポットは、保水性能を有する保水床部を備えることを特徴とする外構構造物の設置構造。 - 請求項5〜8のいずれか一項に記載の外構構造物の設置構造において、
前記外構構造物は、前記建物の開口部に対向して設置されていることを特徴とする外構構造物の設置構造。
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