JP2016175338A - 液体吐出装置、駆動回路およびヘッドユニット - Google Patents

液体吐出装置、駆動回路およびヘッドユニット Download PDF

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Abstract

【課題】駆動回路の消費電力等を改善する。【解決手段】比較器221は、信号Vinを電圧V1だけ低くした電圧と出力の端子N2における電圧Outとを比較して、その比較結果を示す信号Gt1を出力する。比較器222は、信号Vinを電圧V2だけ高くした電圧と電圧Outとを比較して、その比較結果を示す信号Gt2を出力する。電源電圧間に電気的に直列に挿入されたトランジスター231、232のうち、トランジスター231は信号Gt1によって制御され、トランジスター232は信号Gt2によって制御される。電圧V1、V2は負荷である圧電素子Pztの個数に応じて変化する。【選択図】図10

Description

本発明は、液体吐出装置、駆動回路およびヘッドユニットに関する。
インクを吐出して画像や文書を印刷するインクジェットプリンターには、圧電素子(例えばピエゾ素子)を用いたものが知られている。圧電素子は、ヘッドユニットにおいて複数のノズルのそれぞれに対応して設けられ、それぞれが駆動信号にしたがって駆動されることによって、ノズルから所定のタイミングで所定量のインク(液体)を吐出させて、ドットを形成する。圧電素子は、電気的にみればコンデンサーのような容量性負荷であるので、各ノズルの圧電素子を動作させるためには十分な電流を供給する必要がある。
このため、源駆動信号を増幅回路で増幅して、駆動信号としてヘッドユニットに供給して、圧電素子を駆動する構成となっている。増幅回路としては、源駆動信号をAB級などで電流増幅する方式(リニア増幅、特許文献1参照)が挙げられる。ただし、リニア増幅では消費電力が大きく、エネルギー効率が悪いので、近年では、D級増幅についても提案されている(特許文献2参照)。このD級増幅は、端的にいえば、入力信号をパルス幅変調やパルス密度変調するとともに、当該変調信号にしたがって電源電圧間において直列に挿入されたハイサイドトランジスターおよびローサイドトランジスターをスイッチングし、このスイッチングによる出力信号をローパスフィルターで濾波することで、入力信号を増幅する、というものである。
特開2009−190287号公報 特開2010−114711号公報
しかしながら、D級増幅方式では、リニア増幅方式と比較してエネルギー効率が高いものの、ローパスフィルターで消費される電力が無視できないので、消費電力を改善する点において改良の余地がある。
そこで、本発明のいくつかの態様の目的の一つは、消費電力を改善した液体吐出装置、駆動回路およびヘッドユニットを提供することにある。
上記目的の一つを達成するために、本発明の一態様に係る液体吐出装置は、駆動信号の印加により変位する複数の圧電素子を含み、各圧電素子の変位により液体をそれぞれ吐出する吐出部と、第1比較部と第2比較部とを含み、入力信号と前記駆動信号とが入力され、第1制御信号と第2制御信号とを出力する比較ユニットと、前記第1制御信号に基づいて制御される第1トランジスターと前記第2制御信号に基づいて制御される第2トランジスターとからなり、前記駆動信号を出力するトランジスター対と、を備え、前記第1比較部は、第1比較信号と第2比較信号とを比較して、前記第1制御信号を出力し、前記第1比較信号は、前記入力信号または前記駆動信号の一方を第1電圧だけオフセットした信号であり、前記第2比較部は、第3比較信号と第4比較信号とを比較して、前記第2制御信号を出力し、前記第3比較信号は、前記入力信号または前記駆動信号の一方を第2電圧だけオフセットした信号であり、前記第1電圧および前記第2電圧の少なくとも一方は、前記駆動信号が印加される前記圧電素子の数に応じて変化することを特徴とする。
上記一態様に係る液体吐出装置によれば、D級増幅方式と比較して、ローパスフィルターが不要であるので、当該ローパスフィルターにおいて消費される電力を無視することができる。また、第1電圧または第2電圧の少なくとも一方が、駆動信号が印加される圧電素子の数、すなわち負荷の大きさに応じて変化するので、駆動信号のいわゆる波形鈍りが改善されて再現性が向上し、液体の吐出精度を高めることができる。
上記一態様に係る液体吐出装置において、前記複数の圧電素子の各々に対応し、前記吐出部から吐出させる液体の量を規定する吐出制御信号に基づいて、前記駆動信号が印加される前記圧電素子の数が判別される構成としても良い。この構成によれば、吐出制御信号の事前解析により、駆動信号が印加される圧電素子の数、すなわち容量負荷の大きさを求めることができる。
また、この構成において、前記入力信号および前記駆動信号は台形波形であり、前記台形波形における電圧の変化区間から平坦区間への変化で、前記駆動信号がオーバーシュートさせる方向に、前記第1電圧および前記第2電圧が変化しても良い。これにより、駆動信号の一端に印加される波形鈍りをさらに改善することができる。
上記一態様に係る液体吐出装置において、前記入力信号を前記第1電圧だけ低くする、または、前記駆動信号を前記第1電圧だけ高くする第1オフセット部と、前記入力信号を前記第2電圧だけ高くする、または、前記駆動信号を前記第2電圧だけ低くする第2オフセット部と、を有する構成としても良い。
上記一態様に係る液体吐出装置において、前記第1比較部は、前記駆動信号の電圧が、前記入力信号の電圧から前記第1電圧を減じた電圧よりも低ければ、前記第1制御信号を、前記第1トランジスターをオンさせる信号とし、前記第2比較部は、前記駆動信号の電圧が、前記入力信号の電圧に前記第2電圧を加えた電圧以上であれば、前記第2制御信号を、前記第2トランジスターをオンさせる信号とする構成としても良い。
この構成によれば、駆動信号の電圧が、入力信号の電圧から第1電圧を減じた電圧以上であって、かつ、入力信号の電圧に第2電圧を加えた電圧未満であれば、第1トランジスターおよび第2トランジスターはいずれもオフすることになる。
上記一態様に係る液体吐出装置において、前記入力信号は、前記駆動信号の元となる源駆動信号を電圧増幅した信号である構成が好ましい。
なお、液体吐出装置とは、液体を吐出するものであれば良く、これには後述する印刷装置のほかに、立体造形装置(いわゆる3Dプリンター)、捺染装置なども含まれる。
また、本発明は、液体吐出装置に限られず、種々の態様で実現することが可能であり、例えば当該圧電素子のような容量性負荷を駆動する駆動回路や、液体吐出装置におけるヘッドユニットなどとしても概念することが可能である。
実施形態に係る印刷装置の概略構成を示す図である。 ヘッドユニットにおけるノズルの配列等を示す図である。 ヘッドユニットにおける要部構成を示す断面図である。 印刷装置の電気的な構成を示す図である。 駆動信号の波形等を説明するための図である。 選択制御部の構成を示す図である。 デコーダーのデコード内容を示す図である。 選択部の構成を示す図である。 選択部により選択されて圧電素子に供給される駆動信号を示す図である。 駆動回路の構成を示す図である。 駆動回路の動作を説明するための図である。 駆動回路の動作を説明するための図である。 駆動回路の動作を説明するための図である。 比較例の動作を説明するための図である。 比較例の動作を説明するための図である。 入力信号と出力信号との関係でトランジスターの動作を示す図である。 第1オフセット部および第2オフセット部の他の例を示す図である。 比較例における問題点を説明するための図である。
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について、印刷装置を例にとって説明する。
図1は、印刷装置の概略構成を示す斜視図である。
この印刷装置1は、液体としてのインクを吐出することによって、紙などの媒体Pにインクドット群を形成し、これにより、画像(文字、図形等を含む)を印刷する液体吐出装置の一種である。
図1に示されるように、印刷装置1は、キャリッジ20を、主走査方向(X方向)に移動(往復動)させる移動機構6を備える。
移動機構6は、キャリッジ20を移動させるキャリッジモーター61と、両端が固定されたキャリッジガイド軸62と、キャリッジガイド軸62とほぼ平行に延在し、キャリッジモーター61により駆動されるタイミングベルト63と、を有している。
キャリッジ20は、キャリッジガイド軸62に往復動自在に支持されるとともに、タイミングベルト63の一部に固定されている。そのため、キャリッジモーター61によりタイミングベルト63を正逆走行させると、キャリッジ20がキャリッジガイド軸62に案内されて往復動する。
キャリッジ20には、印刷ヘッド22が搭載されている。この印刷ヘッド22は、媒体Pと対向する部分に、インクを個別にZ方向に吐出する複数のノズルを有する。なお、印刷ヘッド22は、カラー印刷のために、概略的に4個のブロックに分かれている。個々のブロックは、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクをそれぞれ吐出する。
なお、キャリッジ20には、フレキシブルフラットケーブル190を介してメイン基板(この図では省略)から駆動信号を含む各種の制御信号等が供給される構成となっている。
印刷装置1は、媒体Pを、プラテン80上で搬送させる搬送機構8を備える。搬送機構8は、駆動源である搬送モーター81と、搬送モーター81により回転し、媒体Pを副走査方向(Y方向)に搬送する搬送ローラー82と、を備える。
このような構成において、キャリッジ20の主走査に合わせて印刷ヘッド22のノズルから印刷データに応じてインクを吐出させるとともに、媒体Pを搬送機構8によって搬送する動作を繰り返すことで、媒体Pの表面に画像が形成される。
なお、本実施形態において主走査は、キャリッジ20を移動させることで実行されるが、媒体Pを移動させることで実行しても良く、キャリッジ20と媒体Pとの双方を移動させても良い。要は、媒体Pとキャリッジ20(印刷ヘッド22)とが相対的に移動する構成であれば良い。
図2(a)は、印刷ヘッド22におけるインクの吐出面を媒体Pからみた場合の図である。この図に示されるように、印刷ヘッド22は、4個のヘッドユニット3を有する。4個のヘッドユニット3の各々は、それぞれブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)に対応し、主走査方向であるX方向に配列する。
図2(b)は、1個のヘッドユニット3におけるノズルの配列を示す図である。
この図に示されるように、1個のヘッドユニット3では、複数のノズルNが、2列で配列する。ここで、説明の便宜上、この2列をそれぞれノズル列Na、Nbとする。
ノズル列Na、Nbでは、それぞれ複数のノズルNが、Y方向に沿ってピッチP1で配列する。また、ノズル列Na、Nb同士は、Y方向にピッチP2だけ離間する。ノズル列Naに属するノズルNとノズル列Nbに属するノズルNとは、Y方向に、ピッチP1の半分だけシフトした関係となっている。
このようにノズルNを、ノズル列Na、Nbの2列で、Y方向にピッチP1の半分だけシフトして配置させることにより、Y方向の解像度を、1列の場合と比較して実質的に倍に高めることができる。
なお、1個のヘッドユニット3におけるノズルNの個数を便宜的にm(mは2以上の整数)とする。
ヘッドユニット3は、アクチュエーター基板に可撓性の回路基板が接続されるとともに、当該可撓性の回路基板に駆動ICが実装される。そこで次に、アクチュエーター基板の構造について説明する。
図3は、アクチュエーター基板の構造を示す断面図である。詳細には図2(b)におけるg−g線で破断した場合の断面を示す図である。
図3に示されるように、アクチュエーター基板40は、流路基板42のうち、Z方向の負側の面上に圧力室基板44と振動板46とが設けられる一方、Z方向の正側の面上にノズル板41が設置された構造体である。
アクチュエーター基板40の各要素は、概略的にはY方向に長尺な略平板状の部材であり、例えば接着剤を利用して互いに固定される。また、流路基板42および圧力室基板44は、例えばシリコンの単結晶基板で形成される。
ノズルNは、ノズル板41に形成される。ノズル列Naに属するノズルに対応する構造と、ノズル列Nbに属するノズルに対応する構造とは、Y方向にピッチP1の半分だけシフトした関係にあるが、それ以外では、略対称に形成されるので、以下においてはノズル列Naに着目してアクチュエーター基板40の構造を説明することにする。
流路基板42は、インクの流路を形成する平板材であり、開口部422と供給流路424と連通流路426とが形成される。供給流路424および連通流路426は、ノズル毎に形成され、開口部422は、複数のノズルにわたって連続するように形成されるとともに、対応する色のインクが供給される構造となっている。この開口部422は、液体貯留室Srとして機能し、当該液体貯留室Srの底面は、例えばノズル板41によって構成される。具体的には、流路基板42における開口部422と各供給流路424と連通流路426とを閉塞するように流路基板42の底面に固定される。
圧力室基板44のうち流路基板42とは反対側の表面に振動板46が設置される。振動板46は、弾性的に振動可能な平板状の部材であり、例えば酸化シリコン等の弾性材料で形成された弾性膜と、酸化ジルコニウム等の絶縁材料で形成された絶縁膜との積層で構成される。振動板46と流路基板42とは、圧力室基板44の各開口部422の内側で互い間隔をあけて対向する。各開口部422の内側で流路基板42と振動板46とに挟まれた空間は、インクに圧力を付与するキャビティ442として機能する。各キャビティ442は、流路基板42の連通流路426を介してノズルNに連通する。
振動板46のうち圧力室基板44とは反対側の表面には、ノズルN(キャビティ442)毎に圧電素子Pztが形成される。
圧電素子Pztは、振動板46の面上に形成された複数の圧電素子Pztにわたって共通の駆動電極72と、当該駆動電極72の面上に形成された圧電体74と、当該圧電体74の面上に圧電素子Pzt毎に形成された個別の駆動電極76とを包含する。このような構成において、駆動電極72、76によって圧電体74を挟んで対向する領域が圧電素子Pztとして機能する。
圧電体74は、例えば加熱処理(焼成)を含む工程で形成される。具体的には、複数の駆動電極72が形成された振動板46の表面に塗布された圧電材料を、焼成炉内での加熱処理により焼成してから圧電素子Pzt毎に成形(例えばプラズマを利用したミーリング)することで圧電体74が形成される。
なお、ノズル列Nbに対応する圧電素子Pztも同様に、駆動電極72と、圧電体74と、駆動電極76とを包含した構成である。
また、この例では、圧電体74に対し、共通の駆動電極72を下層とし、個別の駆動電極76を上層としたが、逆に駆動電極72を上層とし、駆動電極76を下層とする構成としても良い。
アクチュエーター基板40については、駆動ICを直接実装した構成でも良い。
後述するように、圧電素子Pztの一端である駆動電極76には、吐出すべきインク量に応じた駆動信号の電圧Voutが個別に印加される一方、圧電素子Pztの他端である駆動電極72には、電圧VBSの保持信号が共通に印加される。
このため、圧電素子Pztは、駆動電極72、76に印加された電圧に応じて、上または下方向に変位する。詳細には、駆動電極76を介して印加される駆動信号の電圧Voutが低くなると、圧電素子Pztにおける中央部分が両端部分に対して上方向に撓む一方、当該電圧Voutが高くなると、下方向に撓む構成となっている。
ここで、上方向に撓めば、キャビティ442の内部容積が拡大(圧力が減少)するので、インクが液体貯留室Srから引き込まれる一方、下方向に撓めば、キャビティ442の内部容積が縮小(圧力が増加)するので、縮小の程度によっては、インク滴がノズルNから吐出される。このように、圧電素子Pztに適切な駆動信号が印加されると、当該圧電素子Pztの変位によって、インクがノズルNから吐出される。このため、少なくとも圧電素子Pzt、キャビティ442、ノズルNによってインクを吐出する吐出部が構成されることになる。
次に、印刷装置1の電気的な構成について説明する。
図4は、印刷装置1の電気的な構成を示すブロック図である。
この図に示されるように、印刷装置1は、メイン基板100にヘッドユニット3が接続された構成となっている。ヘッドユニット3は、アクチュエーター基板40と、駆動IC50とに大別される。
メイン基板100は、駆動IC50に、制御信号Ctrや、駆動信号COM−A、COM−Bを供給し、アクチュエーター基板40に、電圧VBS(オフセット電圧)の保持信号を、配線550を介して供給する。
なお、印刷装置1では、4個のヘッドユニット3が設けられ、メイン基板100が、4個のヘッドユニット3をそれぞれ独立に制御する。4個のヘッドユニット3では、吐出するインクの色以外において異なることがないので、以下においては便宜的に1個のヘッドユニット3について代表して説明することにする。
図4に示されるように、メイン基板100は、制御部110、D/A変換器(DAC)113a、113b、電圧増幅器115a、115b、駆動回路120a、120b、および、オフセット電圧生成回路130を含む。
このうち、制御部110は、CPUや、RAM、ROMなどを有する一種のマイクロコンピューターであり、印刷対象となる画像データがホストコンピューター等から供給されたときに、所定のプログラムを実行することによって、各部を制御するための各種の制御信号等を出力する。
具体的には、制御部110は、第1に、DAC113aにデジタルのデータdAを繰り返して供給し、DAC113bにデジタルのデータdBを同じく繰り返して供給するとともに、データdAの出力状態に応じて駆動回路120aにデータAfを供給し、データdBの出力状態に応じて駆動回路120bにデータBfを供給する。
ここで、データdAは、ヘッドユニット3に供給する駆動信号COM−Aの波形を規定し、データdBは、駆動信号COM−Bの波形を規定する。
駆動信号COM−A、COM−B(増幅前の信号Ain、Bin)については、それぞれ後述するように台形波形であるので、電圧が変化しない平坦区間と、電圧が上昇・下降する変化区間と、に分けられる。
データAfは、台形波形の駆動信号COM−Aについて、次のような情報の集合体である。すなわち、データAfは、データdAで規定される駆動信号COM−A(Ain)が変化区間から平坦区間への遷移地点することを示す通知や、当該変化区間における台形波形の傾き、当該変化区間の時間的長さ等を規定する情報の集合体である。同様に、データBfは、データdBで規定される駆動信号COM−B(Bin)が変化区間から平坦区間への遷移地点であることを示す通知や、当該変化区間における台形波形の傾き、当該変化区間の時間的長さ等を規定する情報の集合体である。
なお、制御部110は、例えば連続アドレスでROMに記憶させた台形波形の波高値を繰り返し読み出すことで、データdA(dB)をそれぞれ出力する。ここで、当該台形波形の形状を予め解析し、変化区間から平坦区間への遷移する地点のアドレスに関連付けて、当該変化区間における傾き、時間的長さ等の情報をデータAf(Bf)として求めて別途記憶しておき、制御部110は、データdA(dB)を読み出す際に、読み出しアドレスが遷移地点に達したときに、当該情報を駆動回路120a(120b)に供給する構成となっている。
DAC113aは、データdAをアナログ変換して、電圧増幅器115aに供給する。同様に、DAC113bは、データdBをアナログ変換して、電圧増幅器115bに供給する。
電圧増幅器115aは、DAC113aによりアナログ変換された信号を電圧増幅して信号Ainとして駆動回路120aに供給する。同様に、電圧増幅器115bは、DAC113bにより変換された信号を電圧増幅して信号Binとして駆動回路120bに供給する。
換言すれば、DAC113a(113b)で変換された信号(源駆動信号)が、電圧増幅器115a(115b)で電圧増幅されて、駆動回路120a(120b)に信号Ain(Bin)として入力される構成となっている。
駆動回路120aは、詳細については後述するが、ボルテージフォロワであり、高インピーダンスの信号Ainを、容量負荷である圧電素子Pztに対して駆動能力を高めて(低インピーダンスに変換して)駆動信号COM−Aとして出力する。同様に、駆動回路120bは、信号Binを、低インピーダンスの駆動信号COM−Bとして出力する。
DAC113a(113b)により変換された信号は電圧0〜3V程度で振幅するのに対し、駆動信号COM−A(COM−B)の電圧は0〜40V程度で振幅する。このため、電圧増幅器115a(115b)は、DAC113a(113b)による変換信号の電圧を増幅して、ボルテージフォロワの駆動回路120a(120b)に供給する構成となっている。
なお、駆動回路120a、120bについては、入力する信号、および、出力する駆動信号の波形がそれぞれ異なるのみであり、回路的な構成は同一である。
第2に、制御部110は、移動機構6および搬送機構8に対する制御に同期して、ヘッドユニット3、駆動回路120a、120bに各種の制御信号Ctrを供給する。なお、ヘッドユニット3に供給される制御信号Ctrには、ノズルNから吐出させるインクの量を規定する印刷データ(吐出制御信号)、当該印刷データの転送に用いるクロック信号、印刷周期等を規定するタイミング信号等が含まれる。
なお、制御部110は、移動機構6および搬送機構8を制御するが、このための構成については既知であるので省略する。
メイン基板100におけるオフセット電圧生成回路130は、電圧VBSの保持信号を生成して配線550に出力する。なお、電圧VBSは、アクチュエーター基板40における複数の圧電素子Pztの他端を、それぞれにわたって一定の状態に保持するためのものである。
一方、ヘッドユニット3において、駆動IC50は、選択制御部510と、圧電素子Pztに一対一に対応した選択部520と、を有する。このうち、選択制御部510は、選択部520の各々における選択をそれぞれ制御する。詳細には、選択制御部510は、制御部110からクロック信号に同期して供給される印刷データを、ヘッドユニット3のノズル(圧電素子Pzt)の数個分、一旦蓄積するとともに、各選択部520に対し、印刷データにしたがって駆動信号COM−A、COM−Bの選択を、タイミング信号で規定される印刷周期の開始タイミングで指示する。
各選択部520は、選択制御部510による指示にしたがって、駆動信号COM−A、COM−Bのいずれかを選択し(または、いずれも選択せずに)、電圧Voutの駆動信号として、対応する圧電素子Pztの一端に印加する。
アクチュエーター基板40には、上述したようにノズルN毎に圧電素子Pztが1個ずつ設けられる。圧電素子Pztの各々における他端は共通接続されて、当該他端には配線550を介してオフセット電圧生成回路130による電圧VBSが印加される。
本実施形態において、1つのドットについては、1つのノズルNからインクを最多で2回吐出させることで、大ドット、中ドット、小ドットおよび非記録の4階調を表現させる。この4階調を表現するために、本実施形態では、2種類の駆動信号COM−A、COM−Bを用意するとともに、各々の1周期にそれぞれ前半パターンと後半パターンとを持たせている。そして、1周期のうち、前半・後半において駆動信号COM−A、COM−Bを、表現すべき階調に応じた選択して(または選択しないで)、圧電素子Pztに供給する構成となっている。
そこで先に、駆動信号COM−A、COM−Bについて説明し、この後、駆動信号COM−A、COM−Bを選択するための選択制御部510および選択部520の詳細な構成について説明する。
図5は、駆動信号COM−A、COM−Bの波形等を示す図である。
図に示されるように、駆動信号COM−Aは、印刷周期Taのうち、制御信号LATが出力されて(立ち上がって)から制御信号CHが出力されるまでの期間T1に配置された台形波形Adp1と、印刷周期Taのうち、制御信号CHが出力されてから次の制御信号LATが出力されるまでの期間T2に配置された台形波形Adp2とを繰り返す波形となっている。
本実施形態において台形波形Adp1、Adp2とは、互いにほぼ同一の波形であり、仮にそれぞれが圧電素子Pztの一端に供給されたとしたならば、当該圧電素子Pztに対応するノズルNから所定量、具体的には中程度の量のインクをそれぞれ吐出させる波形である。
駆動信号COM−Bは、期間T1に配置された台形波形Bdp1と、期間T2に配置された台形波形Bdp2とを繰り返す波形となっている。本実施形態において台形波形Bdp1、Bdp2とは、互いに異なる波形である。このうち、台形波形Bdp1は、ノズルN付近のインクを微振動させてインクの粘度の増大を防止するための波形である。このため、仮に台形波形Bdp1が圧電素子Pztの一端に供給されたとしても、当該圧電素子Pztに対応するノズルNからインク滴が吐出されない。また、台形波形Bdp2は、台形波形Adp1(Adp2)とは異なる波形となっている。仮に台形波形Bdp2が圧電素子Pztの一端に供給されたとしたならば、当該圧電素子Pztに対応するノズルNから上記所定量よりも少ない量のインクを吐出させる波形である。
なお、台形波形Adp1、Adp2、Bdp1、Bdp2の開始タイミングでの電圧と、終了タイミングでの電圧とは、いずれも電圧Vcで共通である。すなわち、台形波形Adp1、Adp2、Bdp1、Bdp2は、それぞれ電圧Vcで開始し、電圧Vcで終了する波形となっている。
また、台形波形Adp1の電圧最大値は、おおよそ40ボルト程度である。
図6は、図4における選択制御部510の構成を示す図である。
この図に示されるように、選択制御部510には、クロック信号Sck、印刷データSI、制御信号LAT、CHが供給される。選択制御部510では、シフトレジスタ(S/R)512とラッチ回路514とデコーダー516との組が、圧電素子Pzt(ノズルN)のそれぞれに対応して設けられている。
印刷データSIは、印刷周期Taにわたって、着目しているヘッドユニット3において、すべてのノズルNによって形成すべきドットを規定するデータである。本実施形態では、非記録、小ドット、中ドットおよび大ドットの4階調を表現するために、ノズル1個分の印刷データは、上位ビット(MSB)および下位ビット(LSB)の2ビットで構成される。
印刷データSIは、クロック信号Sckに同期してノズルN(圧電素子Pzt)毎に、媒体Pの搬送に合わせて供給される。当該印刷データSIを、ノズルNに対応して2ビット分、一旦保持するための構成がシフトレジスタ512である。
詳細には、m個の圧電素子Pzt(ノズル)の各々に対応した計m段のシフトレジスタ512が縦続接続されるとともに、図において左端に位置する1段のシフトレジスタ512に供給された印刷データSIが、クロック信号Sckにしたがって順次後段(下流側)に転送される構成となっている。
なお、図では、シフトレジスタ512を区別するために、印刷データSIが供給される上流側から順番に1段、2段、…、m段と表記している。
ラッチ回路514は、シフトレジスタ512で保持された印刷データSIを制御信号LATの立ち上がりでラッチする。
デコーダー516は、ラッチ回路514によってラッチされた2ビットの印刷データSIをデコードして、制御信号LATと制御信号CHとで規定される期間T1、T2ごとに、選択信号Sa、Sbを出力して、選択部520での選択を規定する。
図7は、デコーダー516におけるデコード内容を示す図である。
この図において、ラッチされた2ビットの印刷データSIについては(MSB、LSB)と表記している。デコーダー516は、例えばラッチされた印刷データSIが(0、1)であれば、選択信号Sa、Sbの論理レベルを、期間T1ではそれぞれH、Lレベルで、期間T2ではそれぞれL、Hレベルで、出力するということを意味している。
なお、選択信号Sa、Sbの論理レベルについては、クロック信号Sck、印刷データSI、制御信号LAT、CHの論理レベルよりも、レベルシフター(図示省略)によって、高振幅論理にレベルシフトされる。
図8は、図4における選択部520の構成を示す図である。
この図に示されるように、選択部520は、インバーター(NOT回路)522a、522bと、トランスファーゲート524a、524bとを有する。
デコーダー516からの選択信号Saは、トランスファーゲート524aにおいて丸印が付されていない正制御端に供給される一方で、インバーター522aによって論理反転されて、トランスファーゲート524aにおいて丸印が付された負制御端に供給される。同様に、選択信号Sbは、トランスファーゲート524bの正制御端に供給される一方で、インバーター522bによって論理反転されて、トランスファーゲート524bの負制御端に供給される。
トランスファーゲート524aの入力端には、駆動信号COM−Aが供給され、トランスファーゲート524bの入力端には、駆動信号COM−Bが供給される。トランスファーゲート524a、524bの出力端同士は、共通接続されるとともに、対応する圧電素子Pztの一端に接続される。
トランスファーゲート524aは、選択信号SaがHレベルであれば、入力端および出力端の間を導通(オン)させ、選択信号SaがLレベルであれば、入力端と出力端との間を非導通(オフ)させる。トランスファーゲート524bについても同様に選択信号Sbに応じて、入力端および出力端の間をオンオフさせる。
図5に示されるように、印刷データSIは、ノズル毎に、クロック信号Sckに同期して供給されて、ノズルに対応するシフトレジスタ512において順次転送される。そして、クロック信号Sckの供給が停止すると、シフトレジスタ512のそれぞれには、各ノズルに対応した印刷データSIが保持された状態になる。
ここで、制御信号LATが立ち上がると、ラッチ回路514のそれぞれは、シフトレジスタ512に保持された印刷データSIを一斉にラッチする。図5において、L1、L2、…、Lm内の数字は、1段、2段、…、m段のシフトレジスタ512に対応するラッチ回路514によってラッチされた印刷データSIを示している。
デコーダー516は、ラッチされた印刷データSIで規定されるドットのサイズに応じて、期間T1、T2のそれぞれにおいて、選択信号Sa、Saの論理レベルを図7に示されるような内容で出力する。
すなわち、第1に、デコーダー516は、当該印刷データSIが(1、1)であって、大ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてH、Lレベルとし、期間T2においてもH、Lレベルとする。第2に、デコーダー516は、当該印刷データSIが(0、1)であって、中ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてH、Lレベルとし、期間T2においてL、Hレベルとする。第3に、デコーダー516は、当該印刷データSIが(1、0)であって、小ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてL、Lレベルとし、期間T2においてL、Hレベルとする。第4に、デコーダー516は、当該印刷データSIが(0、0)であって、非記録を規定する場合、選択信号Sa、Sbを、期間T1においてL、Hレベルとし、期間T2においてL、Lレベルとする。
図9は、印刷データSIに応じて選択されて、圧電素子Pztの一端に供給される駆動信号の電圧波形を示す図である。
印刷データSIが(1、1)であるとき、選択信号Sa、Sbは、期間T1においてH、Lレベルとなるので、トランスファーゲート524aがオンし、トランスファーゲート524bがオフする。このため、期間T1において駆動信号COM−Aの台形波形Adp1が選択される。選択信号Sa、Sbは期間T2においてもH、Lレベルとなるので、選択部520は、駆動信号COM−Aの台形波形Adp2を選択する。
このように期間T1において台形波形Adp1が選択され、期間T2において台形波形Adp2が選択されて、駆動信号として圧電素子Pztの一端に供給されると、当該圧電素子Pztに対応したノズルNから、中程度の量のインクが2回にわけて吐出される。このため、媒体Pにはそれぞれのインクが着弾し合体して、結果的に、印刷データSIで規定される通りの大ドットが形成されることになる。
印刷データSIが(0、1)であるとき、選択信号Sa、Sbは、期間T1においてH、Lレベルとなるので、トランスファーゲート524aがオンし、トランスファーゲート524bはオフする。このため、期間T1において駆動信号COM−Aの台形波形Adp1が選択される。次に、選択信号Sa、Sbは期間T2においてL、Hレベルとなるので、駆動信号COM−Bの台形波形Bdp2が選択される。
したがって、ノズルから、中程度および小程度の量のインクが2回にわけて吐出される。このため、媒体Pには、それぞれのインクが着弾して合体して、結果的に、印刷データSIで規定された通りの中ドットが形成されることになる。
印刷データSIが(1、0)であるとき、選択信号Sa、Sbは、期間T1においてともにLレベルとなるので、トランスファーゲート524a、524bがオフする。このため、期間T1において台形波形Adp1、Bdp1のいずれも選択されない。トランスファーゲート524a、524bがともにオフする場合、当該トランスファーゲート524a、524bの出力端同士の接続点から圧電素子Pztの一端までの経路は、電気的にどの部分にも接続されないハイ・インピーダンス状態になる。ただし、圧電素子Pztの両端では、自己が有する容量性によって、トランスファーゲートがオフする直前の電圧(Vc−VBS)が保持される。
次に、選択信号Sa、Sbは期間T2においてL、Hレベルとなるので、駆動信号COM−Bの台形波形Bdp2が選択される。このため、ノズルNから、期間T2においてのみ小程度の量のインクが吐出されるので、媒体Pには、印刷データSIで規定された通りの小ドットが形成されることになる。
印刷データSIが(0、0)であるとき、選択信号Sa、Sbは、期間T1においてL、Hレベルとなるので、トランスファーゲート524aがオフし、トランスファーゲート524bがオンする。このため、期間T1において駆動信号COM−Bの台形波形Bdp1が選択される。次に、選択信号Sa、Sbは期間T2においてともにLレベルとなるので、台形波形Adp2、Bdp2のいずれも選択されない。
このため、期間T1においてノズルN付近のインクが微振動するのみであり、インクは吐出されないので、結果的に、ドットが形成されない、すなわち、印刷データSIで規定された通りの非記録になる。
このように、選択部520は、選択制御部510による指示にしたがって駆動信号COM−A、COM−Bを選択し(または選択しないで)、圧電素子Pztの一端に印加する。このため、各圧電素子Pztは、印刷データSIで規定されるドットのサイズに応じて駆動されることになる。
なお、図5に示した駆動信号COM−A、COM−Bはあくまでも一例である。実際には、媒体Pの性質や搬送速度などに応じて、予め用意された様々な波形の組み合わせが用いられる。
また、ここでは、圧電素子Pztが、電圧の下降に伴って上方向に撓む例で説明したが、駆動電極72、76に印加する電圧を逆転させると、圧電素子Pztは、電圧の下降に伴って下向に撓むことになる。このため、圧電素子Pztが、電圧の下降に伴って下方向に撓む構成では、図に例示した駆動信号COM−A、COM−Bが、電圧Vcを基準に反転した波形となる。
印刷データSIは、着目しているヘッドユニット3において、印刷周期Taにわたって形成すべきドットを規定するデータである。このため、シフトレジスタおよびラッチ回路と同様な回路によってラッチされた印刷データSIを解析することによって、期間T1、T2のそれぞれにおいて、m個の圧電素子Pztのうち、一端に駆動信号COM−Aが印加される個数および駆動信号COM−Bが印加される個数がそれぞれ判る。すなわち、駆動回路120aが駆動すべき容量負荷の大きさ、および、駆動回路120bが駆動すべき容量負荷の大きさがそれぞれ判る。
例えば、m個のノズルNに対応する印刷データSIがすべて(1、1)である場合、期間T1、T2において、駆動信号COM−Aは、すべての圧電素子Pztの一端に印加されることになるから、駆動回路120aの負荷が最大になるが、駆動信号COM−Bは、圧電素子Pztの一端に印加されないので、駆動回路120bの負荷は最小になる。
また例えば、m個のノズルNに対応する印刷データSIがすべて(0、1)である場合、期間T1において駆動回路120aの負荷が最大になり、駆動回路120bの負荷が最小になるが、期間T2においては逆に駆動回路120aの負荷が最小となり、駆動回路120bの負荷が最大となる。
m個のノズルNに対応する印刷データSIがすべて(1、0)である場合、期間T1において駆動回路120a、120bの負荷がともに最小になり、期間T2において駆動回路120aの負荷が最小になり、駆動回路120bの負荷が最大となる。
このように、印刷データSIを解析することによって、期間T1、T2のそれぞれにおいて、駆動回路120a、120bが駆動する容量負荷の大きさがそれぞれ判る。
次に、メイン基板100における駆動回路120a、120bについて、駆動信号COM−Aを出力する駆動回路120aを例にとって説明する。
図10は、駆動回路120a、および、当該駆動回路120の周辺の構成を示す回路図である。
この図に示されるように、駆動回路120aは、基準電源211、212と、比較器221、222と、トランジスター231、232と、コンデンサー241と、電圧設定器250と、解析部260と、を含む。
このうち、基準電源(第1オフセット部)211は、正端子および負端子の間において電圧設定器250によって指示される可変の電圧Vを出力するものである。ここで、基準電源211の正端子は、電圧増幅器115a(図4参照)からの信号Ainの電圧Vinが供給される端子N1に接続され、基準電源211の負端子は、比較器221の負入力端(−)に接続されている。このため、比較器221の負入力端(−)には、入力信号である電圧Vinから電圧Vを減じた電圧(Vin−V)が第1オフセット信号として印加されることになる。比較器221の正入力端(+)は、駆動信号COM−Aが出力される端子N2に接続されている。
比較器(第1比較部)221は、正入力端(+)の印加電圧と負入力端(−)の印加電圧との比較結果に応じた信号Gt1を第1制御信号として出力する。詳細には、比較器221は、正入力端(+)に印加された電圧Out(駆動信号COM−Aの電圧)が負入力端(−)に印加された電圧(Vin−V)以上であれば信号Gt1をHレベルで出力し、電圧Outが電圧(Vin−V)よりも低ければ信号Gt1をLレベルで出力する。
ここで、比較器221において、負入力端(−)に印加された電圧(Vin−V)の信号を第1比較信号とした場合、正入力端(+)に印加された電圧Outの信号がオフセット電圧をゼロとした第2比較信号となる。
一方、基準電源(第2オフセット部)212は、正端子および負端子の間において電圧設定器250によって指示される可変の電圧Vを可変で出力するものである。ここで、基準電源212の負端子は端子N1に接続され、基準電源212の正端子は、比較器222の負入力端(−)に接続されている。このため、比較器221の負入力端(−)には、入力信号である電圧Vinに電圧Vを加えた電圧(Vin+V)が印加されることなる。比較器(第2比較部)221の正入力端(+)は、端子N2に接続されている。
比較器222は、正入力端(+)の印加電圧と負入力端(−)の印加電圧との比較結果に応じた信号Gt2を第2制御信号として出力するものであり、詳細には、正入力端(+)に印加された電圧Outが入力端(−)に印加された電圧(Vin+V)以上であれば信号Gt2をHレベルで出力し、電圧Outが電圧(Vin+V)よりも低ければ信号Gt2をLレベルで出力する。
ここで、比較器222において、負入力端(−)に印加された電圧(Vin+V)の信号を第3比較信号とした場合、正入力端(+)に印加された電圧Outの信号がオフセット電圧をゼロとした第4比較信号となる。
また、比較器221、222によって比較ユニットが構成される。
トランジスター231、232のトランジスター対のうち、トランジスター(第1トランジスター)231は、Pチャネル型の電界効果トランジスターであり、ソース端子には電源の高位側電圧Vが印加され、ドレイン端子が端子N2に接続され、ゲート端子には、比較器221から出力される信号Gt1が供給される。
トランジスター(第2トランジスター)232は、Nチャネル型の電界効果トランジスターであり、ソース端子には電源の低位側電圧Vが印加され、ドレイン端子が端子N2に接続され、ゲート端子には、比較器222から出力される信号Gt2が供給される。
すなわち、トランジスター231、232は、電源電圧間において電気的に直列に挿入されるとともに、その接続点である端子N2から駆動信号COM−Aが出力される構成となっている。
なお、低位側電圧Vには、電圧ゼロの例えばグランドGndが用いられる。ここで、電源電圧として電圧V、Gndが用いられる場合、信号Gt1、Gt2のHレベルは電圧Vとなり、LレベルはグランドGndとなる。
コンデンサー241については、一端が端子N2に接続され、他端が一定電位、例えば電圧VBSの配線550に接続されている。
解析部260は、第1に、選択制御部510(図6参照)におけるシフトレジスタ512およびラッチ回路514と同様な回路によって、制御部110からの制御信号Ctrに含まれる印刷データSIをラッチする。解析部260は、第2に、当該ラッチした印刷データSIを解析し、印刷周期Taの期間T1、T2のそれぞれにおいて駆動信号COM−Aが一端に印加される圧電素子Pztの個数を求めて、当該個数を示す情報Psを電圧設定器250に供給する。
駆動回路120aにおける電圧設定器250は、データAfおよび情報Psにしたがって基準電源211、212のそれぞれに対し出力すべき電圧を設定・指示する。詳細には、電圧設定器250は、基準電源211に対し電圧Vとして、信号Ainが平坦区間に遷移したときから所定時間経過するまでの遷移後期間において、後述するように信号Ainをオーバーシュートさせる方向に振った特性の値となるように指示する。なお、この特性は、情報Psで示される圧電素子Pztの個数を考慮しつつ作成される。一方、電圧設定器250は、上記遷移後期間以外であれば、基準電源211に対し電圧Vとして初期値で一定を指示する。
また、電圧設定器250は、基準電源212に対し電圧Vとして、遷移後期間において、後述するように信号Ainをオーバーシュートさせる方向に振った特性の値となるように指示し、上記遷移後期間以外であれば、基準電源211に対し電圧Vとして初期値で一定を指示する。
このような構成の駆動回路120aでは、端子N2の電圧Outが電圧(Vin−V)よりも低ければ、信号Gt1がLレベルになってトランジスター231がオンするので、当該電圧Outを高くする方向に制御される一方、電圧Outが電圧(Vin+V)以上であれば、信号Gt2がHレベルになってトランジスター232がオンするので、当該電圧Outを低くする方向に制御される。
本実施形態の動作について、電圧V、Vを遷移後期間において特性に沿った制御内容について具体的に説明する前に、仮に電圧V、Vが全期間にわたって初期値で一定とした場合を比較例として説明する。
図14および図15は、電圧V、Vが初期値で常時一定とした比較例において、信号Ainの電圧Vinの変化に対して、駆動信号COM−A、すなわち電圧Outがどのように変化するのかを示す図である。
駆動信号COM−Aをインピーダンス変換する前の信号Ain(電圧Vin)は、台形波形であるから、当該電圧Vinの変化は次の4パターンとなる。すなわち、4パターンとは、
上昇から平坦への変化(第1パターン)、
平坦から下降への変化(第2パターン)、
下降から平坦への変化(第3パターン)、
平坦から上昇への変化(第4パターン)、
である。なお、この4パターンは、必ずしもこの順番で電圧Vinが変化することを意味するのではない。
図14の左欄は、第1パターンで電圧Vinが変化したときの電圧Outの波形を示す図である。
電圧Vinが上昇する場合に、電圧(Vin−V)も当該電圧Vinにしたがって上昇する。このような電圧Vinの上昇に対し、電圧Outが上昇する電圧(Vin−V)よりも低くなったときに、信号Gt1がLレベルになってトランジスター231がオンするので、当該電圧Outが高くなるが、直ちに電圧(Vin−V)以上となるので、信号Gt1がHレベルになってトランジスター231がオフすることになる。電圧Vinの上昇時には、このような動作が繰り返されるので、電圧Outは、理想的には図において破線で示されるように階段状に変化するはずである。ただし、端子N2から出力側をみた場合、コンデンサー241やトランジスター231、232の抵抗成分等により一種の積分回路が形成されるので、実際の電圧Outの波形は、階段状の波形に対して鈍る。
なお、電圧Vinの上昇が停止して平坦になったとき、電圧(Vin−V)も平坦になるので、電圧Outは、最後にトランジスター231がオンからオフしたときの値に、コンデンサー241によって保持される。
図14の右欄は、第2パターンで電圧Vinが変化したときの電圧Outの波形を示す図である。
電圧Vinが平坦から下降に転じる場合に、電圧(Vin+V)も当該電圧Vinにしたがって下降する。このような電圧Vinの下降に対し、平坦に保持されていた電圧Outが下降する電圧(Vin+V)以上になれば、トランジスター232がオンするので、当該電圧Outが低くなるが、直ちに電圧(Vin+V)よりも低くなるので、トランジスター232がオフすることになる。電圧Vinの下降時には、このような動作が繰り返されるので、電圧Outは、理想的には図において破線で示されるように階段状に変化するが、実際の電圧Outの波形は、上記積分回路によって鈍る。
図15の左欄は、第3パターンで電圧Vinが変化したときの電圧Outの波形を示す図である。電圧Vinの下降から平坦に転じる場合、電圧(Vin+V)も平坦になるので、電圧Outは、最後にトランジスター232がオンからオフしたときの値に保持される。
図15の右欄は、第4パターンで電圧Vinが変化したときの電圧Outの波形を示す図である。電圧Vinの平坦から上昇に転じる場合、電圧(Vin−V)も当該電圧Vinにしたがって上昇する。このような電圧Vinの上昇に対し、平坦に保持されていた電圧Outが上昇する電圧(Vin−V)よりも低くなる。これ以降の動作は第1パターンでの電圧Vinの上昇時の動作になる。
図16は、電圧(Out−Vin)の変化に対してトランジスター231、232のオンする領域を示す図である。
この図に示されるように、電圧(Out−Vin)が、−Vよりも低くなれば、トランジスター231のみがオンし、電圧(Out−Vin)がV以上になれば、トランジスター232のみがオンする。
一方、電圧(Out−Vin)が、−V以上であって、かつ、V未満であれば、トランジスター231、232がいずれもオフする。このため、駆動回路120aでは、電圧Outが変化しない領域(不感帯)が存在する。この不感帯のため、本実施形態では、電圧Outは電圧Vinに対して、マイナス方向では最大でV、プラス方向では最大でVの誤差が生じることになる。ただし、基準電源211による電圧Vおよび基準電源212による電圧Vの設定次第で当該誤差を小さくすることができる、と考えられる。具体的には、電圧V、Vを例えば0.1V程度に設定すれば、40V程度で振幅する駆動信号COM−Aの波形を、遷移後期間以外であれば、実用上問題ない程度の誤差に抑えることができる。
ここでは、駆動回路120aについて説明したが、駆動回路120bについても同様な構成・動作となる。
しかしながら、不感帯を狭くしても、最終的に圧電素子Pztの一端に印加される電圧Voutの波形は、端子N2の電圧波形Outと比較して鈍化し、これによって圧電素子Pztを目的通りに変位させることができず、インクの吐出精度が低下する、という問題が指摘されている。この点について以下、検討する。
まず、再び図10を参照して、今度は、駆動回路120aの出力以降の構成について検討してみる。
上述したように、メイン基板100における駆動回路120aから、駆動信号COM−Aが、キャリッジ20に搭載された印刷ヘッド22のヘッドユニット3まで、フレキシブルフラットケーブル190を介して供給される。フレキシブルフラットケーブル190は、図1に示されるように比較的長いので、インダクタンス成分や配線抵抗が無視できない場合がある。
また、ヘッドユニット3において、駆動信号COM−A、COM−Bは、選択部520(図4、図8参照)を介して圧電素子Pztの一端に印加されるので、トランスファーゲート524a、524bのオン抵抗の影響を受ける場合もある。
なお、図10における符号190、520は、これらのインダクタンス成分や、配線抵抗や、抵抗成分、配線同士の相互キャパシタンスなどを含むが、図においては、インダクタンス成分Lのみで簡易的に表現している。
さらに、駆動信号COM−A(COM−B)が一端に印加される圧電素子Pztの個数は、最低のゼロから最大のmまで印刷データSI(画像データ)次第で変化する。すなわち、駆動回路120a(120b)の駆動される容量性負荷の大きさが変化する。
このため、図14、図15に示されるように、端子N2における電圧Outが、電圧Vinに対して小さな誤差で収まっていても、圧電素子Pztの一端に印加される電圧Voutの波形は、実際には、図18に示されるように、圧電素子Pztの容量成分やフレキシブルフラットケーブル190のインダクタンス成分などからなる、コンデンサー241等は別の積分回路によって鈍ってしまうのである。
さらに、この鈍りの程度は、駆動信号が一端に印加される圧電素子Pztの個数が多くなるにつれて容量和が大きくなるので、酷くなる。
なお、図18の(a)は、電圧Vinが第1パターンで変化する場合における電圧Voutの波形を示す図であり、(b)は、電圧Vinが第3パターンで変化する場合における電圧Voutの波形を示す図である。電圧Voutにおける波形鈍化の原因は、上記別の積分回路であるから、電圧Vinが第2パターンおよび第4パターンで変化する場合には問題とならない。また、図18は、説明のために、図14、図15とは、スケールを異ならせている。
本実施形態では、このような電圧Voutの波形鈍化に対処するために、電圧設定器250が信号Ainの電圧Vinの電圧変化に応じて、次のように、基準電源211に出力させる電圧Vを設定し、基準電源212から出力される電圧Vを設定する構成となっている。
図11および図12は、基準電源211から出力される電圧V、および、基準電源212から出力される電圧Vを説明するための図である。
なお、図11において(a)は、電圧Vinが第1パターンでの変化する場合の波形を示す図であり、(b)は、第1パターンで電圧Vinが変化する場合における電圧V、Vの波形を示す図である。また、図12において(a)は、電圧Vinが第3パターンでの変化する場合の波形を示す図であり、(b)は、第3パターンで電圧Vinが変化する場合における電圧V、Vの波形を示す図である。
まず、電圧Vinが第1パターンで変化するときの電圧V、Vの特性について図11を参照して説明する。
これらの図に示されるように、電圧V、Vは、電圧設定器250によって遷移後期間では台形形状の特性に設定され、遷移後期間以外の期間では初期値で一定の特性に設定される。ここで、遷移後期間とは、第1パターンでいえば、電圧Vinが上昇から平坦に変化するタイミングStを開始点とし、当該タイミングStから時間Todが経過するタイミングEdを終了点とする期間である。なお、ここでは、電圧V、Vの初期値を便宜的に同じ値としているが、異ならせても良い。
先に、電圧Vについての特性について説明する。遷移後期間において電圧設定器250は、電圧Vを、タイミングStでの初期値から電圧Vodだけ、電圧Vinの傾きで上昇する特性に設定する。このとき、電圧設定器250は、データAfに含まれる通知でタイミングStを設定し、当該データAfに含まれる変化区間(電圧Vinが上昇する区間)の長さが長くなるにつれて電圧Vodを高く(絶対値でみて大きく)設定し、当該データAfに含まれる台形波形の傾き情報から電圧Vinが上昇する傾きの情報を得る。なお、電圧Vが上昇する終了点をタイミングSsとする。
次に、電圧設定器250は、電圧Vを、タイミングSsから時間Tofが経過するタイミングErまで、初期値に電圧Vodを加えた値で一定に保つ特性に設定する。このとき、電圧設定器250は、データAfに含まれる変化区間の長さが長くなるにつれて時間Tofを長く設定する。
そして、電圧設定器250は、電圧Vを、例えばタイミングErから上昇時と同じ大きさの傾きで初期値まで下降する特性に設定する。なお、この下降時に初期値に到達するタイミングが遷移後期間の終了点であるタイミングEdである。
ここで、電圧設定器250は、解析部260から供給される情報Psで示される個数(駆動信号が一端に印加される圧電素子Pztの個数)が多いほど、電圧Vodを高くし(絶対値でみて大きくし)、時間Tofを長くし、反対に、情報Psで示される個数が少ないほど、電圧Vodを低くし(絶対値でみて小さくし)、時間Tofを短くする。
なお、電圧Vodは、データAfに含まれる変化区間の長さと、情報Psで示される個数との2入力で規定される。このため、例えば、電圧設定器250は、変化区間の長さと情報Psで示される個数とを入力とする二次元テーブルにより電圧Vodを求めても良い。
同様に、時間Tofについても、データAfに含まれる変化区間の長さと、情報Psで示される個数との2入力で規定されるので、この2つを入力とする二次元テーブルにより求めても良い。
このようにして遷移後期間における電圧Vの台形形状の特性が電圧設定器250によって設定される。
一方、第1パターンにおいて、電圧Vについて、電圧設定器250は、遷移後期間において、例えば初期値を基準にして電圧Vの台形形状を反転した特性に設定する。
このように電圧Vinが第1パターンで変化するときに電圧V、Vの特性が電圧設定器250によって設定されて、基準電源211、212から当該特性に沿った電圧V、Vが出力されたとき、当該電圧Vinに対して、電圧(Vin−V)、(Vin+V)は、図11の(a)に示されるように変化する。
すなわち、電圧Vinの変化に対し、電圧(Vin−V)、(Vin+V)は、基線を超えた後、基線に引き返すようにオーバーシュートする特性となる。なお、ここでいう基線とは、電圧V、Vを常時初期値で一定とした場合の電圧(Vin−V)、(Vin+V)の特性(図14の左欄参照)である。
電圧Vinが第3パターンで変化するときに設定される電圧V、Vの特性については、図12に示される通りであり、第1パターンの場合とは、変化方向が逆となる。
詳細については、第1パターンと重複するので、簡単に説明すると、タイミングSvから開始する遷移後期間において、電圧設定器250は、電圧Vを、タイミングSvでの初期値から電圧Voeだけ、電圧Vinの傾きで下降する特性に設定する。なお、電圧Vが下降する終了点をタイミングSuとする。次に、電圧設定器250は、電圧Vを、タイミングSuから時間Togが経過するタイミングEtまで、初期値から電圧Voeだけ減じた値で一定に保つ特性に設定する。そして、電圧設定器250は、電圧Vを、タイミングEtから例えば下降時と同じ大きさの傾きで初期値まで上昇する特性に設定する。なお、この下降時に初期値に到達するタイミングEfが遷移後期間の終了点である。
また、第3パターンにおいて、電圧Vについて、電圧設定器250は、遷移後期間において、初期値を基準にして電圧Vの台形形状を反転した特性に設定するのは、第1パターンと同様である。
このように電圧Vinが第3パターンで変化するときに、電圧V、Vが電圧設定器250によって設定された特性で出力されたとき、当該電圧Vinに対して、電圧(Vin−V)、(Vin+V)は、図12の(a)に示されるように変化する。
すなわち、電圧Vinの変化に対し、電圧(Vin−V)、(Vin+V)は、基線を超えた後、基線に引き返すようにオーバーシュートする特性となる。なお、このような特性は、一般にはアンダーシュートと呼ばれる場合もあるが、基線を越える点では同じなので、本件では広い意味でオーバーシュートと呼ぶことにする。
このように遷移後期間において電圧V、Vが初期値から変更されて出力されたときに、駆動回路120aの端子N2から出力される電圧Outの波形について検討する。
図13は、本実施形態における電圧Out等の波形を示す図であり、(a)は第1パターンで、(b)は第3パターンで、それぞれ電圧Vinが変化した場合の例である。上述したように、電圧Outは、電圧(Vin−V)、(Vin+V)で挟まる範囲で変化するので、電圧Vinに対してオーバーシュートする。
ただし、オーバーシュートした電圧Outの波形は、圧電素子Pztの容量成分やフレキシブルフラットケーブル190のインダクタンス成分などからなる積分回路によって鈍るので、結果的に、圧電素子Pztの一端に到達する時点で、電圧Voutの特性、実線で示されるように、破線で示される比較例による特性と比較して、目的である電圧Vinに近づけることができる。
また、本実施形態では、一端に駆動信号が印加される圧電素子Pztの個数が増減しても、当該個数に応じて、電圧Vod(Voe)、時間Tof(Tog)が変更されて、オーバーシュート量が調整されるので、圧電素子Pztの一端に到達する時点での電圧Voutの波形が、負荷によって大きく変動してしまうのでを回避することができる。
このように、本実施形態では、圧電素子Pztの一端にほぼ目的通りの電圧Vinを印加することができるので、駆動信号の再現性が向上し、液体の吐出精度、ひいては印刷結果物の品質を高めることができる。
このほかにも、本実施形態における駆動回路120a、120bによれば、D級増幅方式と比較して、入力信号を変調する際に三角波形などを発振する回路や、復調のためのローパスフィルターが不要であるので、その分、回路構成の簡略化とともに、消費電力を抑えることができる。
また、入力信号の電圧が平坦の場合、トランジスター231、232がともにオフを維持するので、スイッチングにより電力が無駄に消費される、という問題も発生しない。このため、駆動回路120a、120bによれば、回路構成の簡略化とともに、さらなる低消費電力化を図ることができる。
なお、実施形態において、電圧Vinが第1パターンおよび第3パターンで変化する場合に、電圧V、Vをオーバーシュートさせるために、電圧Vinの傾き、電圧Vod(Voe)、時間Tof(Tog)の三要素を用いたが、これはあくまでも例であり、いずれかの三要素を固定値としても良いし、四要素以上を用いても良い。
なお、実施形態では、トランジスター231をPチャネル型とし、トランジスター232をNチャネル型としたが、トランジスター231、232をPチャネル型またはNチャネル型で揃えても良い。
また、トランジスター231、232についてはオンまたはオフするスイッチング素子として説明したが、本発明は、これに限られない。例えば、ゲート・ソース間の電圧に応じてドレイン電流(ソース・ドレイン間の抵抗)を変化させる構成としても良い。すなわち、信号Gt1(Gt2)によってトランジスター231(232)が制御される構成であれば良い。
実施形態では、電圧Vinを、基準電源211によって電圧Vだけオフセットし、基準電源212によって電圧Vだけオフセットしたが、電圧Vin(または、後述するように電圧Out)を高低方向にオフセットした2つの電圧を得ることができれば良いので、当該オフセットのための構成については電源(電池)等の素子に限られない。例えば、次のように、ダイオードや抵抗などの素子を複数組み合わせても良い。
図17は、電圧Vinを高低方向にそれぞれオフセットした電圧(Vin+V)、(Vin−V)を得るための構成例(第1オフセット部および第2オフセット部の他の例)を示す図である。
この例では、電圧VinをダイオードD1の順方向電圧だけ高位側にオフセットした電圧から、電圧VinをダイオードD2の順方向電圧だけ低位側にオフセットした電圧までを、可変抵抗R1、R2、R3によって分割することによって電圧(Vin−V)、(Vin+V)が得ることができる。ここで、電圧設定器250が、可変抵抗R1、R2、R3の抵抗値を操作することによって、電圧V、Vを間接的に設定する構成となる。
また、実施形態では、駆動回路120aでいえば、比較器221は、電圧Outが電圧(Vin−V)以上であるか、または、未満であるかを判別する構成であった。
すなわち、比較器221は、
Out≧Vin−V、または、
Out<Vin−V
を判別する構成であった。
ここで、上記不等式は、
Out+V≧Vin、または、
Out+V<Vin、
に変形できるので、比較器221は、電圧(Out+V)が電圧Vin以上であるか、または、未満であるかを判別しても良い。
また、ここでの不等式は、例えば
Out+V/2≧Vin−V/2、または、
Out+V/2<Vin−V/2、
にも変形できる。
このため、比較器221は、電圧(Out+V/2)が電圧(Vin−V/2)以上であるか、未満であるかを判別しても良い。
要は、比較器221は、入力信号である電圧Vinまたは出力の駆動信号である電圧Outのうち、少なくとも一方をレベルシフトして、一方に対して他方を相対的に電圧Vだけオフセットした電圧同士を比較する構成であれば良い。
同様に、比較器222は、
Out≧Vin+V、または、
Out<Vin+V
を判別する構成であった。
ここで、上記不等式は、
Out−V≧Vin、または、
Out−V<Vin、
に変形できるので、比較器222は、電圧(Out−V)が電圧Vin以上であるか、または、未満であるかを判別しても良い。
また、ここでの不等式は、例えば
Out−V/2≧Vin+V/2、または、
Out−V/2<Vin+V/2、
にも変形できる。
このため、比較器222は、電圧(Out−V/2)が電圧(Vin+V/2)以上であるか、未満であるかを判別しても良い。
要は、比較器222は、入力信号である電圧Vinまたは出力の駆動信号である電圧Outのうち、少なくとも一方をレベルシフトして、一方に対して他方を相対的に電圧Vだけオフセットした電圧同士を比較する構成であれば良い。
実施形態において、駆動回路120a(120b)では、DAC113a(113b)で変換された信号(源駆動信号)を、電圧増幅器115a(115b)で電圧増幅して、信号Ain(Bin)として入力する構成としたが、出力である駆動信号COM−A(COM−B)を予め定められた縮小倍率で降圧して比較器221、222に帰還する一方、当該比較器221、222の出力をレベルシフトした信号に基づいて、出力電圧に応じた電源電圧間の直列に挿入された2つのトランジスターを制御すれば、源駆動信号と降圧した駆動信号とを直接比較することができるので、電圧増幅器を不要とすることができる。
また、実施形態では液体吐出装置を印刷装置として説明したが、液体を吐出して立体を造形する立体造形装置や、液体を吐出して布地を染める捺染装置などであっても良い。
また、実施形態では、駆動回路120a(120b)の駆動対象としてインクを吐出する圧電素子Pztを例にとって説明したが、駆動回路120aを印刷装置から切り離して考えてみたときに、駆動対象としては、圧電素子Pztに限られず、例えば超音波モーターや、タッチパネル、静電スピーカー、液晶パネルなどの容量性成分を有する負荷のすべてに適用可能である。
1…印刷装置(液体吐出装置)、3…ヘッドユニット、50…駆動IC、120a、120b…駆動回路、211、212…基準電源、221、222…比較器、231、232…トランジスター、250…電圧設定器、260…解析部、442…キャビティ、100…メイン基板、550…配線、Pzt…圧電素子、N…ノズル。

Claims (8)

  1. 駆動信号の印加により変位する複数の圧電素子を含み、各圧電素子の変位により液体をそれぞれ吐出する吐出部と、
    第1比較部と第2比較部とを含み、入力信号と前記駆動信号とが入力され、第1制御信号と第2制御信号とを出力する比較ユニットと、
    前記第1制御信号に基づいて制御される第1トランジスターと前記第2制御信号に基づいて制御される第2トランジスターとからなり、前記駆動信号を出力するトランジスター対と、
    を備え、
    前記第1比較部は、第1比較信号と第2比較信号とを比較して、前記第1制御信号を出力し、
    前記第1比較信号は、前記入力信号または前記駆動信号の一方を第1電圧だけオフセットした信号であり、
    前記第2比較部は、第3比較信号と第4比較信号とを比較して、前記第2制御信号を出力し、
    前記第3比較信号は、前記入力信号または前記駆動信号の一方を第2電圧だけオフセットした信号であり、
    前記第1電圧および前記第2電圧の少なくとも一方は、前記駆動信号が印加される前記圧電素子の数に応じて変化する
    ことを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記複数の圧電素子の各々に対応し、前記吐出部から吐出させる液体の量を規定する吐出制御信号に基づいて、前記駆動信号が印加される前記圧電素子の数が判別される
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記入力信号および前記駆動信号は台形波形であり、
    前記台形波形における電圧の変化区間から平坦区間への変化で、前記駆動信号がオーバーシュートさせる方向に、前記第1電圧および前記第2電圧が変化する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記入力信号を前記第1電圧だけ低くする、または、前記駆動信号を前記第1電圧だけ高くする第1オフセット部と、
    前記入力信号を前記第2電圧だけ高くする、または、前記駆動信号を前記第2電圧だけ低くする第2オフセット部と、
    を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液体吐出装置。
  5. 前記第1比較部は、
    前記駆動信号の電圧が、前記入力信号の電圧から前記第1電圧を減じた電圧よりも低ければ、前記第1制御信号を、前記第1トランジスターをオンさせる信号とし、
    前記第2比較部は、
    前記駆動信号の電圧が、前記入力信号の電圧に前記第2電圧を加えた電圧以上であれば、前記第2制御信号を、前記第2トランジスターをオンさせる信号とする
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の液体吐出装置。
  6. 前記入力信号は、前記駆動信号の元となる源駆動信号を電圧増幅した信号である
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の液体吐出装置。
  7. 駆動信号により容量性負荷を駆動する駆動回路であって、
    第1比較部と第2比較部とを含み、入力信号と前記駆動信号とが入力され、第1制御信号と第2制御信号とを出力する比較ユニットと、
    前記第1制御信号に基づいて制御される第1トランジスターと前記第2制御信号に基づいて制御される第2トランジスターとからなり、前記駆動信号を出力するトランジスター対と、
    を備え、
    前記第1比較部は、第1比較信号と第2比較信号とを比較して、前記第1制御信号を出力し、
    前記第1比較信号は、前記入力信号または前記駆動信号の一方を第1電圧だけオフセットした信号であり、
    前記第2比較部は、第3比較信号と第4比較信号とを比較して、前記第2制御信号を出力し、
    前記第3比較信号は、前記入力信号または前記駆動信号の一方を第2電圧だけオフセットした信号であり、
    前記第1電圧および前記第2電圧の少なくとも一方は、前記容量性負荷の大きさに応じて変化する
    ことを特徴とする駆動回路。
  8. 駆動信号の印加により変位する複数の圧電素子を含み、各圧電素子の変位により液体をそれぞれ吐出する吐出部を含むヘッドユニットであって、
    第1比較部と第2比較部とを含み、入力信号と前記駆動信号とが入力され、第1制御信号と第2制御信号とを出力する比較ユニットと、
    前記第1制御信号に基づいて制御される第1トランジスターと前記第2制御信号に基づいて制御される第2トランジスターとからなり、前記駆動信号を出力するトランジスター対と、
    を備え、
    前記第1比較部は、第1比較信号と第2比較信号とを比較して、前記第1制御信号を出力し、
    前記第1比較信号は、前記入力信号または前記駆動信号の一方を第1電圧だけオフセットした信号であり、
    前記第2比較部は、第3比較信号と第4比較信号とを比較して、前記第2制御信号を出力し、
    前記第3比較信号は、前記入力信号または前記駆動信号の一方を第2電圧だけオフセットした信号であり、
    前記第1電圧および前記第2電圧の少なくとも一方は、前記駆動信号が印加される前記圧電素子の数に応じて変化する
    駆動回路によって駆動される
    ことを特徴とするヘッドユニット。
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