JP2016173137A - 流体動圧軸受装置用ハウジング及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】有底筒状を成したハウジングを樹脂で射出成形するにあたり、ハウジングを貫通する穴が形成される事態を回避し、ハウジング内部からの油漏れを確実に防止する。
【解決手段】本発明に係るハウジング7は、筒状の側部7aと、側部7aの軸方向一端を閉塞する底部7bとを一体に有する樹脂の射出成形品からなり、底部7bの端面7b3にゲート跡7b30が設けられ、底部7bのうち、ゲート跡7b30の形成箇所における肉厚が1mm以下である。ゲート跡7b30は、射出ゲート26を閉塞する閉塞部材(ニードルバルブ27)で成形された面である。
【選択図】図9
【解決手段】本発明に係るハウジング7は、筒状の側部7aと、側部7aの軸方向一端を閉塞する底部7bとを一体に有する樹脂の射出成形品からなり、底部7bの端面7b3にゲート跡7b30が設けられ、底部7bのうち、ゲート跡7b30の形成箇所における肉厚が1mm以下である。ゲート跡7b30は、射出ゲート26を閉塞する閉塞部材(ニードルバルブ27)で成形された面である。
【選択図】図9
Description
本発明は、流体動圧軸受装置に用いられる樹脂製のハウジング及びその製造方法に関する。
流体動圧軸受装置は、軸部材の外周面と軸受部材の内周面との間のラジアル軸受隙間の流体膜(例えば油膜)に生じる圧力により、軸部材を相対回転自在に非接触支持するものである。流体動圧軸受装置は、その高回転精度および静粛性から、情報機器(例えば、HDDの磁気ディスク駆動装置等)のスピンドルモータ、レーザビームプリンタのポリゴンスキャナモータ、プロジェクタのカラーホイール、あるいは電気機器の冷却ファンモータなどの小型モータ用として好適に使用される。
流体動圧軸受装置は、例えば、軸部材と、内周に軸部材が挿入された軸受スリーブと、内周面に軸受スリーブが固定された有底筒状のハウジングとを備えた構成を成す。近年、流体動圧軸受装置にはさらなる軽量化及び低コスト化が要求されており、この要求に応えるために有底筒状のハウジングを樹脂で一体に射出成形することがある。例えば下記の特許文献1には、図15に示すように、成形金型に設けられたランナ110aから、ゲート110bを介してキャビティ内に溶融樹脂Pを射出することで、有底筒状のハウジング107を成形する方法が示されている。この場合、型開き前の状態では、同図に示すようにランナ110a内で固化した樹脂(ランナ樹脂部)と成形品(ハウジング107)とが、ゲート110b内で固化した樹脂(ゲート樹脂部)を介してつながっているが、型開きを行うことにより、ゲート樹脂部が引きちぎられて、ランナ樹脂部とハウジング107とが分離される(図16参照)。
図16に示すように、型開きを行うことによりハウジング107とランナ樹脂部とを分離すると、ハウジング107の底部107bの材料がランナ樹脂部に取られたり、底部107bの樹脂に含まれる繊維状充填材120が引き抜かれたりすることがある。ここで、ハウジングのさらなる小型化及び軽量化を図るために、底部を薄肉化した場合(例えば底部の軸心における肉厚を1mm以下とした場合)、ハウジング107の材料が取られた跡(凹部)130や、繊維状充填材が引き抜かれた跡140により、ハウジング107の底部107bを貫通する穴が形成され、この穴を介してハウジング107の内部に満たされた油が外部へ漏れ出す恐れがある。
以上のような事情から、本発明が解決すべき技術的課題は、有底筒状を成したハウジングを樹脂で射出成形するにあたり、ハウジングを貫通する穴が形成される事態を回避し、ハウジングの内部に満たされた潤滑流体(例えば油)の外部への漏れ出しを確実に防止することにある。
前記課題を解決するために、本発明は、筒状の側部と、該側部の軸方向一端を閉塞する底部とを一体に有する樹脂の射出成形品からなり、前記底部の端面にゲート跡が設けられ、前記底部のうち、前記ゲート跡の形成箇所における肉厚が1mm以下である流体動圧軸受装置用のハウジングであって、前記ゲート跡が、射出ゲートを閉塞する閉塞部材で成形された面からなることを特徴とするハウジングを提供する。
また、前記課題を解決するために、本発明は、筒状の側部と、該側部の軸方向一端を閉塞する底部とを一体に有する樹脂の射出成形品であり、前記底部の端面にゲート跡が設けられ、前記底部のうち、前記ゲート跡の形成箇所における肉厚が1mm以下である流体動圧軸受装置用のハウジングを製造するための方法であって、溶融樹脂を、ランナから射出ゲートを介してキャビティに射出するステップと、閉塞部材で前記射出ゲートを閉塞することにより、前記ランナ内の溶融樹脂と前記キャビティに満たされた溶融樹脂とを分断するステップと、前記キャビティに満たされた溶融樹脂を冷却して固化させることでハウジングを成形する際に、前記閉塞部材で前記底部の端面にゲート跡を成形するステップとを有するハウジングの製造方法を提供する。
このように、本発明では、閉塞部材(例えばニードルバルブ)で射出ゲートを閉塞することにより、ランナ内の溶融樹脂とキャビティに満たされた溶融樹脂とを分断する。この場合、キャビティ内の溶融樹脂を冷却して固化させた後、型開きを行う際には、キャビティ内で固化した樹脂(ハウジング)とランナ内で固化した樹脂とが既に分離されている。これにより、型開き時に、ハウジングの材料の一部が引きちぎられてランナ樹脂部に取られたり、ハウジングの樹脂に含まれる繊維状充填材が引き抜かれたりすることがないため、ハウジング7の底部を薄肉化した場合(具体的には、ゲート跡の形成箇所における肉厚を1mm以下とした場合)であっても、底部を貫通する穴が形成されることを確実に防止できる。
射出ゲートは、ハウジングの底部の端面を成形する成形面の軸心に設けることが好ましい。この射出ゲートから溶融樹脂を射出することで、ハウジングの底部及び側部に均一に溶融樹脂を行き渡らせることができ、ウェルドラインの形成を回避できる。この場合、ゲート跡は、ハウジングの底部の端面の軸心に設けられる。
本発明によれば、上記のハウジングと、ハウジングの側部の内周面に固定された軸受スリーブと、軸受スリーブの内周に挿入された軸部材と、前記軸受スリーブの内周面と前記軸部材の外周面との間に形成されるラジアル軸受隙間の流体圧で前記軸部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部と、前記軸部材の端面と前記ハウジングの底部の内部側の端面との間に形成されるスラスト軸受隙間の流体圧で前記軸部材を軸方向に支持するスラスト軸受部とを備えた流体動圧軸受装置を得ることができる。この場合、ハウジングの底部が、スラスト軸受隙間に満たされた高圧の潤滑流体と接触するため、本発明を適用して穴の形成を確実に防止することが好ましい。特に、前記軸部材の端面又は前記ハウジングの底部の内部側の端面に、前記スラスト軸受隙間に満たされた潤滑流体に動圧作用を発生させるスラスト動圧発生部が形成された場合、スラスト軸受隙間の流体圧がさらに高められるため、本発明を適用することがより好ましい。
以上のように、本発明によれば、ハウジングに形成されるゲート跡を閉塞部材で成形することで、ハウジングのゲート跡形成箇所に貫通穴が形成される事態が回避され、ハウジング内部からの流体漏れを確実に防止できる。
図1〜図6を用いて、HDDのディスク駆動装置のスピンドルモータに、本発明の一実施形態に係るハウジング7を有する流体動圧軸受装置を組み込んだ場合について説明する。
図1に示すスピンドルモータは、流体動圧軸受装置1と、流体動圧軸受装置1の軸部材2に固定されたディスクハブ3と、半径方向隙間を介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5と、ブラケット6とを備える。ステータコイル4はブラケット6に固定され、ロータマグネット5はディスクハブ3に固定される。ブラケット6の内周面には、流体動圧軸受装置1のハウジング7が固定される。ディスクハブ3には、所定枚数(図示例では2枚)のディスクDが保持される。ステータコイル4に通電すると、ロータマグネット5が回転し、これに伴って、ディスクハブ3に保持されたディスクDが軸部材2と一体に回転する。
流体動圧軸受装置1は、図2に示すように、軸受スリーブ8と、軸受スリーブ8の内周に挿入された軸部材2と、内周面に軸受スリーブ8が固定された有底筒状のハウジング7と、ハウジング7の開口部に配設されるシール部材9とを備える。尚、以下の流体動圧軸受装置1の説明では、軸方向でハウジング7の開口側を上方、その反対側を下方というが、これは流体動圧軸受装置1の使用態様を限定する趣旨ではない。
軸部材2は、ステンレス鋼等の金属材料で形成される。軸部材2は、軸部2aと、軸部2aの下端に設けられたフランジ部2bとを備える。軸部2aの外周面には、軸方向に離隔した2箇所に形成され、後述する軸受スリーブ8のラジアル軸受面と半径方向に対向する円筒面2a1,2a2と、円筒面2a1,2a2の軸方向間に設けられ、円筒面2a1,2a2よりも小径な逃げ部2a3と、円筒面2a1の上方に設けられ、上方に行くほど縮径したテーパ面2a4とが形成される。軸部2aの外径(特に、円筒面2a1,2a2の外径)は、例えば1〜4mm程度とされる。
軸受スリーブ8は、円筒状を成し、例えば焼結金属、具体的には銅系、鉄系、あるいは銅鉄系の焼結金属で形成される。軸受スリーブ8の内周面8aには、上下に離隔した2箇所の領域にラジアル軸受面が設けられ、各ラジアル軸受面にラジアル動圧発生部が形成される。本実施形態では、ラジアル動圧発生部として、図3に示すようなヘリングボーン形状の動圧溝8a1,8a2が形成される。図中にクロスハッチングで示す領域は、他の領域よりも内径側に盛り上がった丘部を表している(以下、同様)。図示例では、上側のラジアル軸受面に形成された動圧溝8a1は軸方向非対称形状とされ、具体的には、軸方向略中央に設けられた環状丘部よりも上側の動圧溝8a1の軸方向寸法L1が、環状丘部よりも下側の動圧溝8a1の軸方向寸法L2よりも大きい。一方、下側のラジアル軸受面に形成された動圧溝8a2は軸方向対称形状とされる。
軸受スリーブ8の下側端面8bは、全面がスラスト軸受面として機能し、このスラスト軸受面にスラスト動圧発生部が形成される。本実施形態では、スラスト動圧発生部として、図4に示すようなスパイラル形状の動圧溝8b1が形成される。図示例の動圧溝8b1は、潤滑流体を内径側に押し込むポンプインタイプである。軸受スリーブ8の上側端面8dには、図3に示すように、環状溝8d1と、環状溝8d1の内径側に設けられた複数の半径方向溝8d2とが形成される。図3及び図4に示すように、軸受スリーブ8の外周面8cには、複数(図示例では3本)の軸方向溝8c1が円周方向等間隔に設けられる。
ハウジング7は、有底筒状を成した樹脂の射出成形品である。本実施形態のハウジング7は、図2に示すように、円筒状の側部7aと、側部7aの下端の開口部を閉塞する円盤状の底部7bとを一体に有する。底部7bの上側端面7b1には、スラスト軸受隙間を形成するスラスト軸受面が設けられ、このスラスト軸受面にスラスト動圧発生部が設けられる。本実施形態では、スラスト動圧発生部として、図5に示すようなスパイラル形状の動圧溝7b10が形成される。図示例の動圧溝7b10は、スラスト軸受隙間に満たされた潤滑油を内径側に押し込むポンプインタイプである。底部7bの上側端面7b1のうち、スラスト軸受面(動圧溝7b10の形成領域)よりも内径側の領域には、凹部7b2が設けられる。底部7bの下側端面7b3の軸心には、凹部7b4が設けられる(図2参照)。図示例のハウジング7は、底部7bが薄肉化されており、具体的には、ハウジング7の底部7bのうち、少なくとも後述するゲート跡7b30の形成箇所(図示例では軸心)における肉厚が、1mm以下、好ましくは0.8mm以下となっている。図示例では、底部7bの肉厚が、軸心で最も薄くなっている。また、強度を確保するため、底部の肉厚は0.3mm以上とすることが好ましい。
ハウジング7の表面には、ゲート跡7b30が設けられる。本実施形態では、ハウジングの7の底部7bの下側端面7b3にゲート跡7b30が設けられる。詳しくは、図2に示されているように、ハウジング7の底部7bの下側端面7b3の軸心、より詳しくは底部7bの下側端面7b3に設けられた凹部7b4の軸心に、点状ゲートのゲート跡7b30が設けられる。ゲート跡7b30は、その外径側に隣接した領域(図示例では凹部7b4の底面)と同一平面上に連続して設けられる。
ゲート跡7b30は、後述する閉塞部材(ニードルバルブ)の先端面で成形された成形面である。すなわち、ゲート跡7b30は、樹脂の固化後に切断された面や、切断後に後加工(型成形や機械加工)が施された面ではなく、ハウジング7の射出成形と同時に成形された成形面である。また、図6に示すように、底部7bの下側端面7b3のうち、ゲート跡7b30が形成された領域では、繊維状充填材10が内部に押し込まれた状態となっており、図中に点線で示すようなハウジング7の表面から飛び出した繊維状充填材10’は存在しない。
ハウジング7を形成する樹脂は、主に熱可塑性樹脂であり、例えば結晶性樹脂、具体的には液晶ポリマー(LCP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等を用いることができる。上記の樹脂には、例えばガラス繊維や炭素繊維等の繊維状充填材を配合することができ、本実施形態では炭素繊維が配合される。炭素繊維の平均繊維長は、例えば100〜200μmとされる。本実施形態の炭素繊維には、ハウジング7の底部7bのゲート跡7b30形成箇所(図示例では軸心)における軸方向の肉厚よりも繊維長が長いものが含まれる。炭素繊維の平均径は、例えば6〜8μmとされる。樹脂に対する炭素繊維の配合割合は、例えば5〜40wt%とされる。尚、樹脂に配合する充填材は上記に限らず、繊維状充填材に代えて、あるいは繊維状充填材に加えて、ガラスフレーク、ガラスビーズ、金属粉、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノマテリアル等を配合してもよい。以上に示した充填材は、単独で、あるいは、二種以上を混合して配合することができる。
シール部材9は、樹脂あるいは金属で環状に形成され、ハウジング7の側部7aの内周面7a1の上端部に固定される(図2参照)。シール部材9の下側端面9bは、軸受スリーブ8の上側端面8dに当接している。シール部材9の内周面9aは、軸部2aの外周面に設けられたテーパ面2a4と半径方向で対向し、これらの間に下方へ向けて半径方向寸法を漸次縮小させた楔状のシール空間Sが形成される。軸部材2の回転時には、シール空間Sが毛細管力シールおよび遠心力シールとして機能し、ハウジング7の内部に満たされた潤滑油の外部への漏れ出しを防止する。
上記の構成部品からなる流体動圧軸受装置1の内部に、潤滑流体としての潤滑油が注入される。これにより、軸受スリーブ8の内部空孔を含む流体動圧軸受装置1の内部空間が潤滑油で満たされ、油面は常にシール空間Sの範囲内に維持される。尚、潤滑流体として、潤滑油の他、グリースや磁性流体を使用してもよい。
軸部材2が回転すると、軸受スリーブ8の内周面8a(ラジアル軸受面)と軸部2aの外周面(円筒面2a1,2a2)との間にラジアル軸受隙間が形成される。そして、軸受スリーブ8の内周面8aに形成された動圧溝8a1,8a2によりラジアル軸受隙間の油膜の圧力が高められ、軸部材2を回転自在に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1及び第2ラジアル軸受部R2が構成される。
これと同時に、フランジ部2bの上側端面2b1と軸受スリーブ8の下側端面8b(スラスト軸受面)との間にスラスト軸受隙間が形成されると共に、フランジ部2bの下側端面2b2とハウジング7の底部7bの上側端面7b1(スラスト軸受面)との間にスラスト軸受隙間が形成される。そして、軸受スリーブ8の下側端面8bに形成された動圧溝8b1、及びハウジング7の底部7bの上側端面7b1に形成された動圧溝7b10により、各スラスト軸受隙間の油膜の圧力が高められ、軸部材2を両スラスト方向に回転自在に非接触支持する第1スラスト軸受部T1及び第2スラスト軸受部T2が構成される。
本実施形態では、軸部材2のフランジ部2bの外径側の空間が、軸受スリーブ8の外周面8cの軸方向溝8c1及び上側端面8dの環状溝8d1及び半径方向溝8d2を介して、シール空間Sと連通している。これにより、フランジ部2bの外径側の空間が常に大気圧に近い状態とされ、この空間における負圧の発生を防止できる。特に、本実施形態では、軸受スリーブ8の内周面8aの上側領域に形成された動圧溝8a1,8a2が軸方向非対称形状であるため、軸部材2の回転に伴ってラジアル軸受隙間の潤滑油を下向きに押し込むポンピング力が発生する。これにより、ラジアル軸受隙間→第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間→軸方向溝8c1→環状溝8d1及び半径方向溝8d2→ラジアル軸受隙間という経路を潤滑油が循環するため、ハウジング7の内部に満たされた潤滑油に局部的な負圧が発生することを確実に防止できる。
以下、上記のハウジング7の製造方法(射出成形方法)を、図7〜図11を用いて説明する。
図7に示すように、ハウジング7を射出成形する金型20は、固定型21と、可動型22とからなる。可動型22は図中上下方向に移動方向であり、固定型21と可動型22とを型締めすることで、キャビティ23が形成される。キャビティ23は、ハウジング7の側部7aを成形する円筒部23aと、底部7bを成形する円盤部23bとからなる。本実施形態では、金型20が、可動型22の移動方向(すなわち型開閉方向)が水平となるように配置される。
固定型21には、ノズル24と、ノズル24の内周に設けられたランナ25と、ランナ25とキャビティ23とを連通する射出ゲート26(以下、単に「ゲート26」と言う)とが設けられる。ゲート26は点状ゲートであり、ハウジング7の底部7bの外部側端面を成形する成形面21aの軸心に設けられる。ノズル24には、図示しないヒータが設けられており、これにより、ランナ25内の樹脂を常に溶融状態で維持する、いわゆるホットランナが構成される(図中、溶融樹脂を散点で示している)。金型20には、ゲート26を開閉する閉塞部材が設けられる。本実施形態では、ノズル24の内周に、閉塞部材としてのニードルバルブ27が設けられる。ニードルバルブ27の外径は、ゲート26の内径と略同径であり、両者を嵌合させることでゲート26を閉塞することができる。ニードルバルブ27は、図示しないシリンダ等の駆動手段により、ゲート26を閉塞する閉塞位置(図7参照)と、ゲート26を開放する開放位置(図8参照)との間で、図中上下方向に移動可能とされる。
固定型21と可動型22を型締めした状態で、図8(a)に示すようにニードルバルブ27をゲート26の内周から図中上方に退避させることにより、ランナ25とキャビティ23とがゲート26を介して連通し、ランナ25内の溶融樹脂がゲート26からキャビティ23内に射出される。このとき、固定型21の成形面21aの軸心に設けられたゲート26から射出された溶融樹脂は、キャビティ23の円盤部23bを外径側へ流動し{図8(b)の矢印参照}、さらにキャビティ23の円筒部23aを図中下方に流動する{図8(a)の矢印参照}。これにより、キャビティ23内に周方向で均一に溶融樹脂が行き渡り、ウェルドラインの形成を回避できる。
こうしてキャビティ23内に満たされた溶融樹脂に保圧をかけた状態で、図9に示すようにニードルバルブ27を図中下方に前進させてゲート26の内周に挿入する。これにより、図10(a)及び(b)に示すように、ゲート26内の溶融樹脂がニードルバルブ27によりキャビティ23に押し込まれる。そして、ゲート26とニードルバルブ27とが嵌合することで、ゲート26が閉塞され、キャビティ23内の溶融樹脂とランナ25内の溶融樹脂とが分断される。この状態で、キャビティ23内の溶融樹脂を冷却することにより、キャビティ23内の樹脂が固化してハウジング7が成形される。このとき、ハウジング7の底部7bの外側端面(図9では上側端面)7b3の軸心に、ニードルバルブ27の先端面の形状が転写され、ゲート跡7b30が成形される。上記のようにニードルバルブ27の先端でキャビティ23内の溶融樹脂を押し込んだ状態で固化させることで、ハウジング7のゲート跡7b30の表面に露出した繊維状充填材10が、表面から突出することなく、全てハウジング7に埋め込まれた状態となる(図6参照)。
その後、図11に示すように、可動型22を固定型21から離反させて、型開きを行う。このとき、ハウジング7とランナ25内の樹脂とが既に分離されているため、型開きを行う際に、固化した樹脂の一部が引きちぎられることがない。従って、型開き時に、可動型22と共に移動するハウジング7の底部7bの一部が固定型21側に取られたり、ハウジング7の底部7bに含まれる繊維状充填材10が引き抜かれたりすることがなく、底部7bを貫通する穴が形成される事態を回避できる。
本発明は、上記の実施形態に限られない。以下、本発明の他の実施形態について説明するが、上記の実施形態と同様の機能を有する部位は、同一の符号を付して重複説明を省略する。
本発明に係るゲート跡7b30は、ニードルバルブ27の先端面で成形されるため、成形時にニードルバルブ27の軸方向位置を調整することで、ゲート跡7b30の軸方向位置を高精度に設定することができる。従って、図2に示すようにゲート跡7b30をその外周に隣接した領域と面一に設ける他、例えば図12に示すように、ゲート跡7b30を、その外周に隣接した領域よりも図中上方に凹ませて形成してもよい。この場合、ゲート跡7b30が底部7bの下側端面7b3から図中下方に突出することがないため、ゲート跡7b30と他部材との干渉を確実に回避できる。
あるいは図13に示すように、ゲート跡7b30を、その外周に隣接した領域よりも図中下方に突出させて形成してもよい。この場合、ゲート跡7b30の形成により底部7bが薄肉化されることがないため、底部7bの強度低下を回避することができる。
また、上記の実施形態では、ハウジング7の底部7bの下側端面7b3の軸心に凹部7b4を設け、この凹部7b4にゲート跡7b30を設けているが、これに限られない。例えば、図14に示すように、底部7bの下側端面7b3の全域を段差の無い平坦面とし、その軸心にゲート跡7b30を設けてもよい。この場合、ゲート跡7b30と他部材との干渉を確実に回避するために、ゲート跡7b30は、図14に示すように底部7bの下側端面7b3と面一に形成するか、あるいは、図12に示すように底部7bの下側端面7b3の一部を凹ませて形成することが好ましい。
また、ハウジング7を形成する金型20のゲート26の位置は上記に限られない。例えば、金型20のうち、底部7bの内部側端面(図2の上側端面7b1)を成形する成形面の軸心に、点状ゲートを設けてもよい。あるいは、底部7bの外部側あるいは内部側の端面を成形する成形面に、円周方向に離隔した複数の点状ゲートを設けてもよい。ただし、キャビティ23に溶融樹脂を均一に行き渡らせ、且つ、ウェルドラインが形成されないようにするためには、底部7bの端面を成形する成形面の軸心に点状ゲートを設けることが好ましい。
また、上記の実施形態では、軸受スリーブ8の内周面8aにヘリングボーン形状の動圧溝8a1,8a2を形成した場合を示したが、これに限らず、スパイラル形状の動圧溝や、軸方向に沿って延びるステップ形状の動圧溝を形成してもよい。また、上記の実施形態では、軸受スリーブ8の内周面8aの軸方向に離隔した2箇所に動圧溝8a1,8a2を形成したが、これらを軸方向に連続させてもよいし、あるいは、へリングボーン形状の動圧溝を一組のみ形成してもよい。
また、上記の実施形態では、軸受スリーブ8の下側端面8b及びハウジング7の底部7bの上側端面7b1に、スパイラル形状の動圧溝8b1,7b10を形成した場合を示したが、これに限らず、ヘリングボーン形状やステップ形状等の他の形状の動圧溝を形成してもよい。
また、上記の実施形態では、軸受スリーブ8の内周面8a、下側端面8b、及びハウジングの底部7bの上側端面7b1にそれぞれ動圧発生部(動圧溝)を形成した場合を示したが、これらの面と軸受隙間を介して対向する軸部材2の外周面(円筒面2a1,2a2)、フランジ部2bの上側端面2b1及び下側端面2b2に動圧発生部を形成してもよい。また、軸受スリーブ8の内周面8a及び軸部材2の外周面の双方を円筒面とし、真円軸受を構成してもよい。この場合、軸部材2の振れ回りにより、ラジアル軸受隙間の潤滑流体に動圧作用が発生する。
また、上記の実施形態では、軸部材2が回転する軸回転型の流体動圧軸受装置を示したが、これに限らず、軸部材2が固定され、軸受スリーブ8及びハウジング7が回転する軸固定型の流体動圧軸受装置や、軸部材2及び軸受スリーブ8等の双方が回転する流体動圧軸受装置に本発明を適用することもできる。
また、上記の流体動圧軸受装置は、HDDのスピンドルモータに限らず、他の情報機器のスピンドルモータ、レーザビームプリンタのポリゴンスキャナモータ、プロジェクタのカラーホイール、あるいは電気機器のファンモータに適用することができる。
1 流体動圧軸受装置
2 軸部材
7 ハウジング
7a 側部
7b 底部
7b30 ゲート跡
8 軸受スリーブ
9 シール部材
10 繊維状充填材
20 金型
21 固定型
22 可動型
23 キャビティ
24 ノズル
25 ランナ
26 射出ゲート
27 ニードルバルブ(閉塞部材)
R1,R2 ラジアル軸受部
T1,T2 スラスト軸受部
S シール空間
2 軸部材
7 ハウジング
7a 側部
7b 底部
7b30 ゲート跡
8 軸受スリーブ
9 シール部材
10 繊維状充填材
20 金型
21 固定型
22 可動型
23 キャビティ
24 ノズル
25 ランナ
26 射出ゲート
27 ニードルバルブ(閉塞部材)
R1,R2 ラジアル軸受部
T1,T2 スラスト軸受部
S シール空間
Claims (6)
- 筒状の側部と、該側部の軸方向一端を閉塞する底部とを一体に有する樹脂の射出成形品からなり、前記底部の端面にゲート跡が設けられ、前記底部のうち、前記ゲート跡の形成箇所における肉厚が1mm以下である流体動圧軸受装置用のハウジングであって、
前記ゲート跡が、射出ゲートを閉塞する閉塞部材で成形された面からなることを特徴とするハウジング。 - 前記底部の端面の軸心に前記ゲート跡が設けられた請求項1記載のハウジング。
- 請求項1又は2記載のハウジングと、前記ハウジングの側部の内周面に固定された軸受スリーブと、前記軸受スリーブの内周に挿入された軸部材と、前記軸受スリーブの内周面と前記軸部材の外周面との間に形成されるラジアル軸受隙間の流体圧で前記軸部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部と、前記軸部材の端面と前記ハウジングの底部の内部側の端面との間に形成されるスラスト軸受隙間の流体圧で前記軸部材を軸方向に支持するスラスト軸受部とを備えた流体動圧軸受装置。
- 前記軸部材の端面又は前記ハウジングの底部の内部側の端面に、前記スラスト軸受隙間に満たされた潤滑流体に動圧作用を発生させるスラスト動圧発生部が形成された請求項3記載の流体動圧軸受装置。
- 請求項3又は4に記載の流体動圧軸受装置と、ステータコイルと、ロータマグネットとを備えたモータ。
- 筒状の側部と、該側部の軸方向一端を閉塞する底部とを一体に有する樹脂の射出成形品であり、前記底部の端面にゲート跡が設けられ、前記底部のうち、前記ゲート跡の形成箇所における肉厚が1mm以下である流体動圧軸受装置用のハウジングを製造するための方法であって、
溶融樹脂を、ランナから射出ゲートを介してキャビティに射出するステップと、閉塞部材で前記射出ゲートを閉塞することにより、前記ランナ内の溶融樹脂と前記キャビティに満たされた溶融樹脂とを分断するステップと、前記キャビティに満たされた溶融樹脂を冷却して固化させることでハウジングを成形する際に、前記閉塞部材で前記底部の端面に前記ゲート跡を成形するステップとを有するハウジングの製造方法。
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