JP2016172842A - 樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、本発明は下記の通りである。
[1]ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)と、
ポリプロピレン系樹脂(II)と、
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと、1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量との合計が30〜90%である共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBと、を含むブロック共重合体の少なくとも一部が水素添加されてなる水素添加ブロック共重合体(III)と、
タルク(IV)、ワラストナイト(V)、マイカ(VI)からなる群より選択される1種以上の無機フィラーと、
下記式(1)で表されるホスフィン酸塩
及び
下記式(2)で表されるジホスフィン酸塩
からなる群より選ばれる少なくとも1種のホスフィン酸塩類(VII)と、
ピロリン酸メラミン(VIII)と、を含有し、
前記ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)と前記ポリプロピレン系樹脂(II)との合計100質量部に対して、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)50〜99質量部、前記ポリプロピレン系樹脂(II)1〜50質量部、前記水素添加ブロック共重合体(III)2〜20質量部、前記タルク(IV)と前記ワラストナイト(V)と前記マイカ(VI)との合計1〜50質量部、前記ホスフィン酸塩類(VII)と前記ピロリン酸メラミン(VIII)との合計3〜15質量部を含む
ことを特徴とする、樹脂組成物。
[3]前記ホスフィン酸塩類(VII)の前記ピロリン酸メラミン(VIII)に対する質量割合が、1〜4である、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]前記重合体ブロックBにおける共役ジエン化合物の1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量との合計が、65〜90%であり、前記重合体ブロックBにおける共役ジエン化合物は、ブタジエンを含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]リン酸エステル系化合物(IX)を更に含有し、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)と前記ポリプロピレン系樹脂(II)との合計100質量部に対して、前記リン酸エステル系化合物(IX)を5〜30質量部を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6]前記タルク(IV)のレーザー回折法により測定した平均粒径(D50)が、10μm超20μm未満である、[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7]前記ワラストナイト(V)の数平均繊維径が5μm以上である、[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載の樹脂組成物からなる成形体。
本実施形態の樹脂組成物は、強化された難燃性樹脂組成物である。本実施形態の樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)と、ポリプロピレン系樹脂(II)と、水素添加ブロック共重合体(III)と、タルク(IV)、ワラストナイト(V)、マイカ(VI)からなる群より選択される1種以上の無機フィラーと、ホスフィン酸塩類(VII)と、ピロリン酸メラミン(VIII)と、任意選択的に、リン酸エステル系化合物(IX)、成分(I)及び成分(II)以外の熱可塑性樹脂(X)、成分(I)〜成分(X)以外のその他の添加剤(XI)を含有する。なお、本実施形態において難燃性に優れるとは、UL94垂直燃焼試験において難燃レベルV−1以上であることを指す。
以下、本実施形態の樹脂組成物の成分について記載する。
本実施形態で用いられるポリフェニレンエーテル系樹脂(I)としては、特に限定されることなく、例えば、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、及び両者の混合物等が挙げられる。成分(I)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
なお、還元粘度は、ηsp/c:0.5g/dLのクロロホルム溶液を用いて、温度30℃の条件下測定することができ、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
ポリフェニレンエーテルとしては、特に限定されることなく、例えば、下記式(3)で表される繰り返し単位構造からなる単独重合体及び/又は下記式(3)で表される繰り返し単位構造を有する共重合体が挙げられる。
変性ポリフェニレンエーテルとしては、特に限定されることなく、例えば、上記のポリフェニレンエーテルに、スチレン系重合体又はその誘導体をグラフト化又は付加させたもの等が挙げられる。グラフト化又は付加による質量増加の割合は、特に限定されることなく、変性ポリフェニレンエーテル100質量%に対して、0.01質量%以上であることが好ましく、また、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。
本実施形態で用いられるポリプロピレン系樹脂(II)としては、特に限定されることなく、例えば、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、及び両者の混合物等が挙げられる。成分(II)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」ともいう)を用いて、従来公知の方法により求めることができ、ここで、移動相としては、特に限定されることなく、例えば、o−ジクロロベンゼンを用いることができ、標準物質としては、特に限定されることなく、例えば、ポリスチレンを用いることができる。重量平均分子量(Mw)は、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
ポリプロピレンとしては、特に限定されることなく、例えば、プロピレンを繰り返し単位構造とする単独重合体及び/又は共重合体等が挙げられ、結晶性プロピレン単独重合体、結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体、結晶性プロピレン単独重合体と結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体との混合物が好ましい。
なお、MFRは、ISO1133に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件下で測定することができる。MFRは、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
ポリプロピレンの製造方法の具体例としては、例えば、三塩化チタン触媒又は塩化マグネシウム等の担体に担持されたハロゲン化チタン触媒等とアルキルアルミニウム化合物とを含む重合触媒組成物の存在下で、温度0〜100℃、圧力3〜100気圧の条件下で、プロピレンを重合する方法等が挙げられる。
上記方法では、重合体の分子量を調整するため、水素等の連鎖移動剤を添加してもよい。
また、上記方法では、重合系に、上記の重合触媒組成物以外に、得られるポリプロピレンのアイソタクティシティ及び重合系の重合活性を高めるため、電子供与性化合物を内部ドナー成分又は外部ドナー成分として、更に含めることができる。これらの電子供与性化合物としては、特に限定されることなく、公知のものを用いることができる。電子供与性化合物の具体例としては、例えば、ε−カプロラクトン、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル、トルイル酸メチル等のエステル化合物;亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリブチル等の亜リン酸エステル;ヘキサメチルホスホリックトリアミド等のリン酸誘導体;アルコキシエステル化合物;芳香族モノカルボン酸エステル;芳香族アルキルアルコキシシラン;脂肪族炭化水素アルコキシシラン;各種エーテル化合物;各種アルコール類;各種フェノール類等が挙げられる。
上記方法における重合方式としては、バッチ式、連続式いずれの方式としてもよく、重合方法としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の溶媒を用いた溶液重合やスラリー重合、更には、無溶媒で、単量体中での塊状重合やガス状重合体中での気相重合方法等としてよい。
変性ポリプロピレンとしては、特に限定されることなく、例えば、上記のポリプロピレンに、α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体(例えば、酸無水物、エステル等)をグラフト化又は付加させたもの等が挙げられる。グラフト化又は付加による質量増加の割合は、特に限定されることなく、変性ポリプロピレン100質量%に対して、0.01質量%以上であることが好ましく、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。
本実施形態で用いられる水素添加ブロック共重合体(III)としては、特に限定されることなく、例えば、未変性水素添加ブロック共重合体、変性水素添加ブロック共重合体、及び両者の混合物等が挙げられる。成分(III)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
成分(III)は、前述の成分(I)と前述の成分(II)との混和剤又は耐衝撃性付与剤として作用する。
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAとしては、特に限定されることなく、例えば、ビニル芳香族化合物の単独重合体ブロック、又はビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体ブロックが挙げられる。
なお、重合体ブロックAにおいて「ビニル芳香族化合物を主体とする」とは、水素添加前の重合体ブロックAにおけるビニル芳香族化合物部分の含有量が、50質量%超であることを指し、該含有量は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、また、100質量%以下としてよい。
なお、数平均分子量(Mn)は、GPC(移動層:クロロホルム、標準物質:ポリスチレン)を用いて、従来公知の方法により求めることができる。数平均分子量(Mn)は、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとしては、特に限定されることなく、例えば、共役ジエン化合物の単独重合体ブロック、又は共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物との共重合体ブロックが挙げられる。
なお、重合体ブロックBにおいて「共役ジエン化合物を主体とする」とは、水素添加前の重合体ブロックBにおける共役ジエン化合物部分の含有量が、50質量%超であることを指し、樹脂組成物の流動性を高める観点から、該含有量は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、また、100質量%以下としてよい。
なお、1,2−ビニル結合量及び3,4−ビニル結合量の合計(全ビニル結合量)とは、水素添加前の重合体ブロックBにおける、1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量との合計の、1,2−ビニル結合量と、3,4−ビニル結合量と、1,4−共役結合量との合計に対する割合を指す。全ビニル結合量は、赤外分光光度計を用いて測定し、Analytical Chemistry,Volume21,No.8,August 1949に記載の方法に準じて算出することができる。
ブロック共重合体に含まれる重合体ブロックAにおける分子鎖中のビニル芳香族化合物、及び重合体ブロックBにおける分子鎖中の共役ジエン化合物の分布としては、特に限定されることなく、例えば、ランダム、テーパード(分子鎖に沿って単量体部分が増加又は減少するもの)、一部ブロック状、又はこれらの組み合わせ挙げられる。
ブロック共重合体中に重合体ブロックA又は重合体ブロックBのいずれかが複数個以上含まれる場合には、複数の重合体ブロックA又は複数の重合体ブロックB同士は、それぞれ同一構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。
なお、ビニル芳香族化合物の含有量は、紫外線分光光度計を用いて測定することができる。
なお、数平均分子量は、GPC(移動層:クロロホルム、標準物質:ポリスチレン)を用いて、従来公知の方法により求めることができる。
なお、分子量分布(Mw/Mn)は、GPC(移動層:クロロホルム、標準物質:ポリスチレン)を用いて、従来公知の方法により求めた重量平均分子量(Mw)を、前述の数平均分子量(Mn)で除することによって算出することができる。
なお、水素添加率は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定することができる。
変性水素添加ブロック共重合体は、上記の未変性水素添加ブロック共重合体に、α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体(例えば、酸無水物、エステル等)をグラフト化又は付加させたものである。
本実施形態で用いられるタルク(IV)は、化学名が含水珪酸マグネシウムである物質であり、一般的に、SiO2約60%、MgO約30%、結晶水4.8%を主成分とする。
タルク(IV)のレーザー回折法により測定した平均粒子径(D50)は、樹脂組成物の摺動性及び水蒸気バリア性を向上させる観点から、10μm超であることが好ましく、また、20μm未満であることが好ましく、15μm以下であることが更に好ましい。
本実施形態で用いられるワラストナイト(V)は、化学名が珪酸カルシウム(CaSiO3)である物質であり、一般的に、主成分としてSiO2とCaOとをほぼ等量含有し、微量成分としてAl2O3、Fe2O3等を含有する物質である。
なお、数平均繊維径とは、ワラストナイト(V)を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察することによって測定される、ワラストナイト(V)の繊維一本当たりの平均繊維径(μm)を指す。
本実施形態で用いられるマイカ(VI)は、鱗片状のケイ酸アルミニウム系鉱物である。マイカ(VI)は、化学組成や外見上の色の違いにより、白マイカ(KAl2AlSi3O10(OH)2)、黒マイカ(K(Mg,Fe)3AlSi3O10(OH)2)、金マイカ(KMg3AlSi3O10(OH)2)、KLi2Al(Si4O10)(OH)3(鱗マイカ)、NaAl2(AlSi3O10)(OH)2(ソーダマイカ)、KMg3(AlSi3O10)F2(フッ素金マイカ)等がある。これらのマイカは、いずれも壁開性を有している。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
なお、平均板径とは、マイカ(VI)を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察することによって測定される、マイカ(VI)の粒子1個当たりの平均板径(μm)を指す。
本実施形態で用いられるホスフィン酸塩類(VII)としては、
下記式(1)で表されるホスフィン酸塩
及び
下記式(2)で表されるジホスフィン酸塩
からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
本実施形態で用いられるピロリン酸メラミン(VIII)は、メラミンとピロリン酸(リン酸の2量体)とを反応させることによって得られる。
本実施形態で任意選択的に用いられるリン酸エステル系化合物(IX)としては、特
に限定されることなく、樹脂組成物の難燃性向上の効果を有するリン酸エステル化合物全般(リン酸エステル化合物、縮合リン酸エステル化合物等)としてよく、例えば、トリフェニルフォスフェート、フェニルビスドデシルホスフェート、フェニルビスネオペンチルホスフェート、フェニル−ビス(3,5,5'−トリメチル−ヘキシルホスフェート)、エチルジフェニルホスフェート、2−エチル−ヘキシルジ(p−トリル)ホスフェート、ビス−(2−エチルヘキシル)−p−トリルホスフェート、トリトリルホスフェート、ビス−(2−エチルヘキシル)フェニルホスフェート、トリ−(ノニルフェニル)ホスフェート、ジ(ドデシル)−p−トリルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジブチルフェニルホスフェート、2−クロロエチルジフェニルホスフェート、p−トリルビス(2,5,5'−トリメチルヘキシル)ホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ビスフェノールA・ビス(ジフェニルホスフェート)、ジフェニル−(3−ヒドロキシフェニル)ホスフェート、ビスフェノールA・ビス(ジクレジルホスフェート)、レゾルシン・ビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシン・ビス(ジキシレニルホスフェート)、2−ナフチルジフェニルフォスフェート、1−ナフチルジフェニルフォスフェート、ジ(2−ナフチル)フェニルホスフェート等が挙げられる。
下記式(4)
又は
下記式(5)
で表される芳香族縮合リン酸エステル化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種を主成分とするもの好ましい。
本実施形態で任意選択的に用いられる、成分(I)及び成分(II)以外の熱可塑性樹脂(X)としては、特に限定されることなく、例えば、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン等が挙げられる。
本実施形態で任意選択的に用いられる、成分(I)〜成分(X)以外のその他の添加剤(XI)としては、特に限定されることなく、例えば、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物のブロック共重合体、オレフィン系エラストマー、酸化防止剤、金属不活性化剤、熱安定剤、成分(VII)〜成分(IX)以外の難燃剤(ポリリン酸アンモニウム系化合物、水酸化マグネシウム、芳香族ハロゲン系難燃剤、シリコーン系難燃剤、ホウ酸亜鉛等)、フッ素系ポリマー、可塑剤(低分子量ポリエチレン、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)、三酸化アンチモン等の難燃助剤、耐候(光)性改良剤、ポリオレフィン用造核剤、スリップ剤、成分(IV)、成分(V)、成分(VI)以外の無機又は有機の充填材や強化材(カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、ガラス繊維、ガラスフレーク、導電性カーボンブラック等)、各種着色剤、離型剤等が挙げられる。
ここで、成分(VII)の成分(VIII)に対する質量割合は、樹脂組成物の難燃性を向上させる観点から、1以上であることが好ましく、1.2以上であることが更に好ましく、また、4以下であることが好ましく、3以下であることが更に好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、前述の成分(I)〜成分(VIII)、及び必要に応じて、成分(IX)〜成分(XI)を溶融混練することによって製造することができる。
本実施形態の樹脂組成物の製造方法は、成分(I)〜成分(VIII)、及び必要に応じて、成分(IX)〜成分(XI)を溶融混練することができる限り、特に限定されない。より詳細には、本実施形態の樹脂組成物の製造方法としては、下記の第1の製造方法、第2の製造方法が好ましい。
該工程(1−1)で得られた混練物に対して、成分(VII)及び成分(VIII)の全部又は一部、並びに、成分(II)及び成分(III)の残部(但し、工程(1−1)で成分(II)及び成分(III)の全部を用いた場合を除く)を添加し、更に溶融混練して、混練物を得る工程(1−2)と、
該工程(1−2)で得られた混練物に対して、成分(VII)及び成分(VIII)の残部(但し、工程(1−2)で成分(VII)及び成分(VIII)の全部を用いた場合を除く)を添加し、更に溶融混練して、混練物を得る工程(1−3)と、
該工程(1−3)で得られた混練物に対して、成分(IV)、成分(V)、成分(VI)の全量を添加し、更に溶融混練する工程(1−4)と、を含む。
該工程(2−1)で得られた混練物に対して、成分(II)及び成分(III)の残部(但し、工程(2−1)で成分(II)及び成分(III)の全部を用いた場合を除く)を添加し、更に溶融混練して、混練物を得る工程(2−2)と、
該工程(2−2)で得られた混練物に対して、成分(VII)及び成分(VIII)の全部を添加し、更に溶融混練する工程(2−3)と、
該工程(2−3)で得られた混練物に対して、成分(IV)、成分(V)、成分(VI)の全量を添加し、更に溶融混練する工程(2−4)と、を含む。
押出機の種類や規格等は、特に限定されることなく、公知のものとしてよい。
押出機のL/D(バレル有効長/バレル内径)は、20以上であることが好ましく、30以上であることが更に好ましく、また、75以下であることが好ましく、60以下であることが更に好ましい。
押出機の構成は、2箇所以上の異なる原料供給口と、2箇所以上の真空ベントと、1箇所以上の液添ポンプ(後述)を備えていることが好ましい。また、これら設備の配置に関して、原料が流れる方向に対し上流側に第1原料供給口、該第1原料供給口よりも下流に第1真空ベント、該第1真空ベントよりも下流に第2原料供給口、該第2原料供給口よりも下流に液添ポンプ、該液添ポンプよりも下流に第3原料供給口、該第3原料供給口よりも下流に第2真空ベントを備えていることが、難燃性と物性発現の観点から更に好ましい。
また、第2、第3原料供給口における原料の供給方法としては、特に限定されることなく、各原料供給口の上部開放口から単に添加する方法としても、サイド開放口から強制サイドフィーダーを用いて添加する方法としてもよく、特に、安定供給の観点から、サイド開放口から強制サイドフィーダーを用いて添加する方法が好ましい。
本実施形態の成形体は、前述の本実施形態の樹脂組成物からなる。
本実施形態の樹脂組成物の成形体としては、特に限定されることなく、例えば、自動車部品、電気機器の内外装部品、その他の部品等が挙げられる。自動車部品としては、特に限定されることなく、例えば、バンパー、フェンダー、ドアーパネル、各種モール、エンブレム、エンジンフード、ホイールキャップ、ルーフ、スポイラー、各種エアロパーツ等の外装部品;インストゥルメントパネル、コンソールボックス、トリム等の内装部品;自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等に搭載される二次電池電槽部品;リチウムイオン二次電池部品等が挙げられる。また、電気機器の内外装部品としては、特に限定されることなく、例えば、各種コンピューター及びその周辺機器、その他のOA機器、テレビ、ビデオ、各種ディスクプレーヤー等のキャビネット、シャーシ、冷蔵庫、エアコン、液晶プロジェクターに用いられる部品等が挙げられる。その他の部品としては、金属導体又は光ファイバーに被覆を施すことによって得られる電線・ケーブル、固体メタノール電池用燃料ケース、燃料電池配水管、水冷用タンク、ボイラー外装ケース、インクジェットプリンターのインク周辺部品・部材、家具(椅子等)、シャーシ、水配管、継ぎ手等が挙げられる。
本実施形態の成形体は、前述の本実施形態の樹脂組成物を成形することによって製造することができる。
本実施形態の成形体の製造方法としては、特に限定されることなく、例えば、射出成形、押出成形、押出異形成形、中空成形、圧縮成形等が挙げられ、本発明の効果をより効果的に得る観点から、射出成形が好ましい。
(I−i):2,6−キシレノールを酸化重合して得た、還元粘度(ηsp/c:0.5g/dLのクロロホルム溶液)0.33のポリフェニレンエーテル
(I−ii):2,6−キシレノールを酸化重合して得た、還元粘度(ηsp/c:0.5g/dLのクロロホルム溶液)0.42のポリフェニレンエーテル
なお、還元粘度は、ηsp/c:0.5g/dLのクロロホルム溶液を用いて、温度30℃の条件下測定した。
(II−i):MFR=0.4g/10分のポリプロピレン単独重合体
(II−ii):MFR=5.9g/10分のポリプロピレン単独重合体
(II−iii):MFR=15g/10分のポリプロピレン単独重合体
なお、MFRは、ISO1133に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件下で測定した。
下記の通り、合成される重合体
公知の方法により、重合体ブロックAをポリスチレンからなるものとし、重合体ブロックBをポリブタジエンからなるものとして、ブロック構造を有するブロック共重合体を合成した。公知の方法により、合成したブロック共重合体に水素添加を行った。重合体の変性は行わなかった。得られた未変性水素添加ブロック共重合体の物性を下記に示す。
(III−i)B−A−B−A型
水素添加前のブロック共重合体におけるポリスチレンの含有量:44%、水素添加前のブロック共重合体の数平均分子量(Mn):95,000、ポリスチレンブロックの数平均分子量(Mn):41,800、ポリブタジエンブロックの数平均分子量(Mn):53,200、水素添加前のブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn):1.06、水素添加前のポリブタジエンブロックにおける全ビニル結合量(1,2−ビニル結合量):75%、ポリブタジエンブロックを構成するポリブタジエン部分に対する水素添加率:99.9%
(III−ii)A−B−A型
水素添加前のブロック共重合体におけるポリスチレンの含有量:65%、水素添加前のブロック共重合体の数平均分子量(Mn):53,500、ポリスチレンブロックの数平均分子量(Mn):34,800、ポリブタジエンブロックの数平均分子量(Mn):18,700、水素添加前のブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn):1.23、水素添加前のポリブタジエンブロックにおける全ビニル結合量(1,2−ビニル結合量):9%、ポリブタジエンブロックを構成するポリブタジエン部分に対する水素添加率:99.9%
なお、ビニル芳香族化合物の含有量は、紫外線分光光度計を用いて測定した。数平均分子量(Mn)は、GPC(移動層:クロロホルム、標準物質:ポリスチレン)を用いて、従来公知の方法により求めた。分子量分布(Mw/Mn)は、GPC(移動層:クロロホルム、標準物質:ポリスチレン)を用いて、従来公知の方法により求めた重量平均分子量(Mw)を、前述の数平均分子量(Mn)で除することによって算出した。全ビニル結合量は、赤外分光光度計を用いて測定し、Analytical Chemistry,Volume21,No.8,August 1949に記載の方法に準じて算出した。水素添加率は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定した。
(IV−i):日本タルク社製「タルクMS」(レーザー回折法により測定した平均粒子径(D50)=14μm、JIS K−8123に準じて測定した白色度=93%)
(IV−ii):竹原化学工業社製「ハイトロンA」(レーザー回折法により測定した平均粒子径(D50)=3μm、JIS K−8123に準じて測定した白色度=93%)
(IV−iii):日本タルク社製「MS−KY」(レーザー回折法により測定した平均粒子径(D50)=23μm、白色度=91%)
(V−i):NYCO社製「NYGLOS 8」(数平均繊維径:8μm)
(V−ii):NYCO社製「NYAD 1250」(数平均繊維径:3μm)
(VI):西日本貿易(株)製「スゾライトマイカ 200HK」(平均板径:75μm)
(VII):クラリアントジャパン社製「Exolit OP1230」(式(1)に該当)
(VIII−i):Sunshine Commercial & Industrial Corp製「MPP−B」
(IX):大八化学社製「E890」(縮合リン酸エステル系化合物)
特に用いなかった。
(XI):日本電気硝子社製「ECS03T−249」(平均繊維径:13μm)
(VIII−x):日産化学工業社製「ホスメル」(ポリリン酸メラミン)
(1)難燃性
得られた樹脂組成物ペレットを、シリンダー温度240℃に設定した小型射出成形機(商品名:IS−100GN、東芝機械社製)に供給し、金型温度60℃、射出圧力60MPaの条件で成形し、UL94垂直燃焼試験測定用試験片(1.6mm厚み)を5本作製した。UL94垂直燃焼試験方法に基づいて、これら5本の試験片の難燃性を評価した。10秒間の接炎後、炎を離してから炎が消えるまでの燃焼時間をt1(秒)とし、再び10秒間の接炎後、炎を離してから炎が消えるまでの燃焼時間をt2(秒)とし、各5本について、t1及びt2の平均を平均燃焼時間として求めた。一方、t1及びt2を合わせた10点の燃焼時間のうち最大のものを最大燃焼時間として求めた。そして、UL94規格に基づいて、V−0、V−1、V−2、HBの判定を行った。特に、難燃レベルV−1以上の判定の場合に、望ましい樹脂組成物と判定した。
得られた樹脂組成物ペレットを、シリンダー温度250℃、に設定した小型射出成形機(商品名:IS−100GN、東芝機械社製)に供給し、金型温度60℃、射出圧力70MPa、射出時間20秒、冷却15秒の条件で成形し、評価用ISOダンベルを作製した。
このISOダンベルについて、往復動摩擦摩耗試験機(商品名:AFT−15MS型、東洋精密(株)製)を用いて、荷重2kg、線速度30mm/秒、往復距離10mm、環境温度23℃、往復回数1500回の条件で、試験を行い、ここで、1500回目における摩擦係数μを測定した。相手材料としては、SUS球(SUS304、R=2.5mm)を用いた。評価基準としては、測定値が低い値であるほど、摺動性が良好であると判定した。
得られた樹脂組成物ペレットについて、ISO 1133に準拠して、温度250℃、荷重10kgの条件で、メルトフローレート(MFR)(g/10分)を測定した。評価基準としては、測定値が高い値であるほど、成形流動性が良好であると判定した。
(2)において作製したISOダンベルについて、ISO 178に準拠して、曲げ弾性率(MPa)の評価を行った。評価基準としては、測定値が高い値であるほど、剛性が良好であると判定した。
得られた樹脂組成物ペレットを、シリンダー温度250℃に設定した射出成形機(商品名:EC60、東芝機械社製)に供給し、金型温度60℃、射出圧力70MPa、射出時間20秒、冷却15秒の条件で成形し、ISOダンベルを作製した。
このISOダンベルを精密カットソーを用いて長手方向に二等分し、射出成形を行った際に用いた金型と同じ金型にはめ込んだ。
次いで、新興化成(株)製「スーパートリブレンHD0400」(スチレン系エラストマー)を、シリンダー温度200℃に設定した射出成形機に供給し、金型温度50℃、射出圧力45MPaの条件で、上記スーパートリブレンHD0400を、樹脂組成物のISOダンベルの切削片をはめ込んでおいた金型に射出することによって、金型の中央部で樹脂組成物とこれとは異種の材料とが物理的に密着した状態の評価用ISOダンベルを得た。
この評価用ISOダンベルを引張試験機にセットし、チャック間距離115mm、引張速度50mm/分の条件で引張試験を行い、樹脂組成物とこれとは異種の材料との密着面が引き剥がされた際の破断力(N)を測定した。評価基準としては、測定値が高い値であるほど、異種材料との密着性が良好であると判定した。
得られた樹脂組成物ペレットを射出成形して、平板(100mm×100mm×1mm)を得た。この平板について、JIS K7129B法(モコン法)に準拠して、ガスバリア試験装置(商品名:PERMATRAN W3/31、モコン社製)を用いて、温度40℃、湿度90%RHの条件で、水蒸気透過度(g/m2・24時間)を評価した。評価基準としては、測定値が高い値であるほど、水蒸気バリア性が良好であると判定した。
(実施例1〜35、比較例1〜43)
樹脂組成物の製造に用いる溶融混練機として、二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)を用いた。押出機のL/Dは、35とした。
二軸押出機の構成は、原料が流れる方向について上流側に第1原料供給口、該第1原料供給口よりも下流に第2原料供給口、該第2原料供給口よりも下流に液添ポンプ、該液添ポンプよりも下流に第3原料供給口を備え、第1原料供給口と第2原料供給口との間、及び第3原料供給口よりも下流に真空ベントを備えるものとした。
また、第2、第3原料供給口における原料の供給方法としては、サイド開放口から強制サイドフィーダーを用いて添加する方法とした。
そして、上記の通り設定した二軸押出機に、成分(I)〜成分(XI)を表1に示す組成で供給し、これらを溶融混練して、ペレット体の樹脂組成物を製造した。混練条件は、押出機バレル温度(第1原料供給口から第2原料供給口まで):270℃、押出機バレル温度(第2原料供給口からダイヘッドまで):320℃、スクリュー回転数300rpm、吐出量15kg/時間とした。
各実施例及び各比較例について、前述の測定方法(1)〜(6)により物性試験を行った。結果を表1に示す。
Claims (8)
- ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)と、
ポリプロピレン系樹脂(II)と、
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと、1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量との合計が30〜90%である共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBと、を含むブロック共重合体の少なくとも一部が水素添加されてなる水素添加ブロック共重合体(III)と、
タルク(IV)、ワラストナイト(V)、マイカ(VI)からなる群より選択される1種以上の無機フィラーと、
下記式(1)で表されるホスフィン酸塩
及び
下記式(2)で表されるジホスフィン酸塩
からなる群より選ばれる少なくとも1種のホスフィン酸塩類(VII)と、
ピロリン酸メラミン(VIII)と、
を含有し、
前記ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)と前記ポリプロピレン系樹脂(II)との合計100質量部に対して、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)50〜99質量部、前記ポリプロピレン系樹脂(II)1〜50質量部、前記水素添加ブロック共重合体(III)2〜20質量部、前記タルク(IV)と前記ワラストナイト(V)と前記マイカ(VI)との合計1〜50質量部、前記ホスフィン酸塩類(VII)と前記ピロリン酸メラミン(VIII)との合計3〜15質量部を含む
ことを特徴とする、樹脂組成物。 - 前記無機フィラーが、タルク(IV)及び/又はワラストナイト(V)である、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記ホスフィン酸塩類(VII)の前記ピロリン酸メラミン(VIII)に対する質量割合が、1〜4である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 前記重合体ブロックBにおける共役ジエン化合物の1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量との合計が、65〜90%であり、
前記重合体ブロックBにおける共役ジエン化合物は、ブタジエンを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。 - リン酸エステル系化合物(IX)を更に含有し、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)と前記ポリプロピレン系樹脂(II)との合計100質量部に対して、前記リン酸エステル系化合物(IX)を5〜30質量部を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記タルク(IV)のレーザー回折法により測定した平均粒径(D50)が、10μm超20μm未満である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記ワラストナイト(V)の数平均繊維径が、5μm以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる成形体。
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