JP2016172812A - 化合物、変性ポリマー、ゴム組成物、タイヤおよびコンベアベルト - Google Patents

化合物、変性ポリマー、ゴム組成物、タイヤおよびコンベアベルト Download PDF

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Abstract

【課題】ゴム組成物に用いたときに優れた剛性、耐摩耗性および低発熱性を示す変性ポリマーを得ることができる化合物、その化合物によってポリマーを変性することで得られる変性ポリマー、その変性ポリマーを含有するゴム組成物、そのゴム組成物を用いて製造したタイヤおよびコンベヤベルトを提供する。【解決手段】下記式(M)で表される化合物。【選択図】なし

Description

本発明は、化合物、変性ポリマー、ゴム組成物、タイヤおよびコンベアベルトに関する。
従来、タイヤ等のゴム部材に用いられるポリマーを変性する変性剤として、ニトロン基を有する化合物が知られている。
例えば、特許文献1には、ブタジエンゴムを変性する変性剤として、窒素含有複素環を分子中に有するニトロン化合物が開示されている(請求項等)。
特開2013−32471号公報
昨今、タイヤやコンベアベルト等のゴム部材に対する耐久性の要求水準が高まるなか、ゴム組成物に対して、加硫後の剛性や耐摩耗性のさらなる向上が求められている。また、環境問題などの観点から、燃費の向上が求められ、それに伴い、さらなる発熱性の低減が求められている。
このようななか、本発明者らが特許文献1を参考にニトロン基を有する化合物(ニトロン化合物)を合成し、上記化合物によって変性することで得られる変性ポリマーについて検討したところ、将来の耐久性に対する要求レベルの向上を考慮すると、得られるゴム組成物の剛性や耐摩耗性はさらに向上させることが望ましいことが明らかになった。また、低発熱性についても昨今要求されるレベルを必ずしも満たすものではないこと明らかになった。
そこで、本発明は、上記実情を鑑みて、ゴム組成物に用いたときに優れた剛性、耐摩耗性および低発熱性を示す変性ポリマーを得ることができる化合物、その化合物によってポリマーを変性することで得られる変性ポリマー、その変性ポリマーを含有するゴム組成物、そのゴム組成物を用いて製造したタイヤおよびコンベヤベルトを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、変性剤として、分子内にニトロン基を有するポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールを使用することで上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) 後述する式(M)で表される化合物。
(2) 上記(1)に記載の化合物であって、
上記化合物が、ニトロン化合物と、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種のポリエーテルとを反応させて得られる化合物であり、
上記ポリエーテルの分子量が、150〜2000である、化合物。
(3) 上記(1)または(2)に記載の化合物によってポリマーを変性することで得られる、変性ポリマー。
(4) 上記ポリマーが、SBR、BR、IR、NRおよびNBRからなる群より選択される少なくとも1種の共役ジエン重合体である、上記(3)に記載の変性ポリマー。
(5) 上記(3)または(4)に記載の変性ポリマーを含有する、ゴム組成物。
(6) 上記(5)に記載のゴム組成物であって、
ジエン系ゴムと、カーボンブラックとを含有し、
上記ジエン系ゴムが、上記変性ポリマーを含み、
上記ジエン系ゴム中の上記変性ポリマーの含有量が、15〜70質量%である、ゴム組成物。
(7) 上記(5)または(6)に記載のゴム組成物を用いて製造したタイヤ。
(8) 上記(5)または(6)に記載のゴム組成物を用いて製造したコンベアベルト。
以下に示すように、本発明によれば、ゴム組成物に用いたときに優れた剛性、耐摩耗性および低発熱性を示す変性ポリマーを得ることができる化合物、その化合物によってポリマーを変性することで得られる変性ポリマー、その変性ポリマーを含有するゴム組成物、そのゴム組成物を用いて製造したタイヤおよびコンベヤベルトを提供することができる。
本発明のタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図である。
以下に、本発明の化合物、本発明の変性ポリマー、本発明のゴム組成物、および、本発明のゴム組成物を用いて製造したタイヤ等について説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[化合物]
本発明の化合物は、下記式(M)で表される化合物(以下、「特定化合物」とも言う)である。
本発明の化合物は下記式(M)で表される構造を有するため、所望の効果が得られるものと考えられる。その理由は明らかではないが、およそ以下のとおりと推測される。
本発明の化合物(特定化合物)によってポリマーを変性した場合、得られる変性ポリマーは、ニトロン残基(変性後のニトロン基)とポリエーテル構造(−CHR−CHR−O−)を有する。ここで、上記ニトロン残基とポリエーテル構造との相互作用により、変性ポリマー同士の均質なネットワークが形成される。結果として、得られるゴム組成物は、加硫後に、優れた剛性および耐摩耗性を示すものと考えられる。また、上述のとおり、均質な構造が形成されるため、エネルギーロスが低下し、低発熱性も向上するものと考えられる。また、ゴム組成物中にカーボンブラックやシリカなどの充填剤が存在する場合には、上記変性ポリマーは上記充填剤とも相互作用し、緻密かつ均質なネットワークが形成される。結果として、ゴム組成物中にカーボンブラックやシリカなどの充填剤が存在する場合にも、優れた剛性、耐摩耗性および低発熱性を示すものと考えられる。
式(M)中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。RおよびRは、水素原子またはメチル基を表す。ただし、Rがメチル基である場合、Rは水素原子を表し、Rがメチル基である場合、Rは水素原子を表す。Rは水素原子または炭化水素基を表す。aは、0または1〜5の整数を表す。bは、0または1〜4の整数を表す。nは、2以上の整数を表す。
上述のとおり、式(M)中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。なかでも、水素原子が好ましい。
上記置換基としては、1価の置換基であれば特に制限されないが、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アミノ基、メルカプト基、アシル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、シリル基、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基などが挙げられる。
上記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
上記ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子などが挙げられる。
上記ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基の炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはこれらを組み合わせた基などが挙げられる。
上記脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。上記脂肪族炭化水素基の具体例としては、直鎖状または分岐状のアルキル基(特に、炭素数1〜30)、直鎖状または分岐状のアルケニル基(特に、炭素数2〜30)、直鎖状または分岐状のアルキニル基(特に、炭素数2〜30)などが挙げられる。
上記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などの炭素数6〜18の芳香族炭化水素基などが挙げられる。
上述のとおり、式(M)中、RおよびRは、水素原子またはメチル基を表す。ただし、Rがメチル基である場合、Rは水素原子を表し、Rがメチル基である場合、Rは水素原子を表す。RおよびRは、ともに水素原子であることが好ましい。
上述のとおり、式(M)中、Rは水素原子または炭化水素基を表す。
炭化水素基の具体例および好適な態様は、上述のとおりである。
上述のとおり、aは、0または1〜5の整数を表す。aが2以上の整数である場合に複数存在するRは、同一であっても、異なってもよい。
上述のとおり、bは、0または1〜4の整数を表す。bが2以上の整数である場合に複数存在するRは、同一であっても、異なってもよい。
上述のとおり、式(M)中、nは、2以上の数を表す。なかでも、2〜100の数であることが好ましく、3〜50の数であることがより好ましい。
なお、nに分布がある場合、nは平均値を表す。例えば、n=2の態様が1モル存在し、n=4の態様が1モル存在する場合、nは3(=(2×1+4×1)÷2)である。
〔好適な態様〕
特定化合物は、ニトロン化合物と、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種のポリエーテルとを反応させて得られる化合物であることが好ましい。
以下、各材料について説明する。
<ニトロン化合物>
上記ニトロン化合物は、下記式(1)で表されるニトロン基を有する化合物である。
上記式(1)中、*は結合位置を表す。
上記ニトロン化合物は、下記式(2)で表される化合物であることが好ましい。
上記式(2)中、XおよびYは、それぞれ独立に、置換基を有してもよい、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、または、芳香族複素環基を表す。
XまたはYで表される脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基などが挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基などが挙げられ、なかでも、炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられ、なかでも、炭素数3〜10のシクロアルキル基が好ましく、炭素数3〜6のシクロアルキル基がより好ましい。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基などが挙げられ、なかでも、炭素数2〜18のアルケニル基が好ましく、炭素数2〜6のアルケニル基がより好ましい。
XまたはYで表される芳香族炭化水素基としては、例えば、アリール基、アラルキル基などが挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基などが挙げられ、なかでも、炭素数6〜14のアリール基が好ましく、炭素数6〜10のアリール基がより好ましく、フェニル基、ナフチル基がさらに好ましい。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基などが挙げられ、なかでも、炭素数7〜13のアラルキル基が好ましく、炭素数7〜11のアラルキル基がより好ましく、ベンジル基がさらに好ましい。
XまたはYで表される芳香族複素環基としては、例えば、ピロリル基、フリル基、チエニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基(イミダゾール基)、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ピリジル基(ピリジン基)、フラン基、チオフェン基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基等が挙げられる。なかでも、ピリジル基が好ましい。
XまたはYで表される基が有してもよい置換基としては、特に限定されず、例えば、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシ基、スルホニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子などが挙げられる。なかでも、カルボキシ基が好ましい。
なお、このような置換基を有する芳香族炭化水素基としては、例えば、トリル基、キシリル基などの置換基を有するアリール基;メチルベンジル基、エチルベンジル基、メチルフェネチル基などの置換基を有するアラルキル基;等が挙げられる。
上記ニトロン化合物は、下記式(3)で表される化合物であることが好ましい。
式(3)中、R、R、aおよびbの定義、具体例および好適な態様は、それぞれ、上述した式(M)中のR、R、aおよびbと同じである。
(ニトロン化合物の合成方法)
ニトロン化合物の合成方法は特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、ヒドロキシアミノ基(−NHOH)を有する化合物と、アルデヒド基(−CHO)およびカルボキシ基を有する化合物とを、ヒドロキシアミノ基とアルデヒド基とのモル比(−NHOH/−CHO)が1.0〜1.5となる量で、有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン等)下で、室温で1〜24時間撹拌することにより、両基が反応し、カルボキシ基とニトロン基とを有する化合物(カルボキシニトロン)を与える。
<ポリエーテル>
上記ポリエーテルは、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種のポリエーテルである。
ポリエチレングリコールは下記式(4)で表される化合物であることが好ましい。
式(4)中のRおよびnの定義、具体例および好適な態様は、それぞれ、上述した式(M)中のRおよびnと同じである。
ポリプロピレングリコールは下記式(5)で表される化合物であることが好ましい。
式(5)中のRおよびnの定義、具体例および好適な態様は、それぞれ、上述した式(M)中のRおよびnと同じである。
式(5)中、RおよびRは、水素原子またはメチル基を表す。ただし、Rが水素原子である場合、Rはメチル基を表し、Rがメチル基である場合、Rは水素原子を表す。
上記ポリエーテルの分子量は特に制限されないが、150〜2000であることが好ましく、400〜1000であることがより好ましい。なお、分子量に分布がある場合、分子量は平均値(平均分子量)を表す。例えば、分子量200の態様が1モル存在し、分子量300の態様が1モル存在する場合、分子量は250(=(200×1+300×1)÷2)である。
〔特定化合物の合成方法〕
特定化合物の合成方法は特に制限されず、従来公知の方法を用いることができる。なかでも、ニトロン化合物と、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種のポリエーテルとを反応させる方法が好ましい。ニトロン化合物およびポリエーテルについては上述のとおりである。
[変性ポリマー]
本発明の変性ポリマーは、上述した特定化合物によってポリマーを変性することで得られる変性ポリマーである。
〔ポリマー〕
変性されるポリマーは特に制限されないが、共役ジエン重合体であることが好ましい。
共役ジエン重合体としては特に制限されないが、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、芳香族ビニル−共役ジエン共重合ゴム(例えば、SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR、Cl−IIR)、クロロプレンゴム(CR)などが挙げられる。なかでも、SBR、BR、IR、NRおよびNBRからなる群より選択される少なくとも1種の共役ジエン重合体であることが好ましい。そのなかでも、BRまたはSBRが好ましい。
〔変性ポリマーの製造方法〕
上述した特定化合物によってポリマーを変性する方法は特に制限されないが、例えば、上述したポリマーと上述した特定化合物とを、100〜200℃で1〜30分間混合する方法が挙げられる。
例えば、上記ポリマーが共役ジエン重合体である場合、下記式(6)または下記式(7)に示すように、上記共役ジエン重合体が有する共役ジエンに由来する二重結合と特定化合物が有するニトロン基との間で、環化付加反応が起こり、五員環を与える。なお、下記式(6)は1,4−結合と特定化合物との反応を表し、下記式(7)は1,2−ビニル結合と特定化合物との反応を表す。また、式(6)および(7)は共役ジエンモノマーとしてブタジエン(1,3−ブタジエン)を用いた共役ジエン重合体の場合の反応を表すものであるが、共役ジエンモノマーがブタジエン以外の場合も同様の反応により五員環を与える。
ポリマーが共役ジエン重合体である場合、共役ジエン重合体の二重結合に対して反応させる特定化合物の量は特に制限されないが、上記共役ジエン重合体100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.3〜3質量部がより好ましい。
(変性率)
ポリマーが共役ジエン重合体である場合、変性ポリマーの変性率は特に制限されないが、0.02〜4.0mol%であることが好ましく、0.05〜2.0mol%であることがより好ましい。
ここで、変性率とは、上記共役ジエン重合体が有する共役ジエン(共役ジエン単位)に由来する全ての二重結合のうち、特定化合物によって変性された割合(mol%)を表し、例えば共役ジエンモノマーとしてブタジエン(1,3−ブタジエン)を用いた共役ジエン重合体であれば、特定化合物による変性によって上記式(6)または上記式(7)の構造が形成された割合(mol%)を表す。変性率は、例えば、上記共役ジエン重合体および変性ポリマー(すなわち、変性前後のポリマー)のNMR測定を行うことで求めることができる。
なお、本明細書において、変性率が100mol%の変性ポリマーもジエン系ゴムに該当するものとする。
[ゴム組成物]
本発明のゴム組成物(以下、「本発明の組成物」とも言う)は、上述した本発明の変性ポリマーを含有する。
なかでも、上述した本発明の変性ポリマーを含むジエン系ゴムを含有するのが好ましい。
〔ジエン系ゴム〕
上記ジエン系ゴムは上記変性ポリマー以外のゴム成分を含んでいてもよい。そのようなゴム成分としては特に制限されないが、天然ゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、芳香族ビニル−共役ジエン共重合ゴム(例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR))、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR、Cl−IIR)、クロロプレンゴム(CR)などが挙げられる。
ジエン系ゴム中の変性ポリマーの含有量は特に制限されないが、10〜80質量%であるのが好ましく、15〜70質量%であるのがより好ましく、15〜40質量%であるのがさらに好ましい。
〔カーボンブラック〕
本発明の組成物はカーボンブラックを含有するのが好ましい。
上記カーボンブラックは、特に限定されず、例えば、SAF−HS、SAF、ISAF−HS、ISAF、ISAF−LS、IISAF−HS、HAF−HS、HAF、HAF−LS、FEF、GPF、SRF等の各種グレードのものを使用することができる。
本発明の組成物におけるカーボンブラックの含有量は特に制限されないが、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、10〜80質量部であることが好ましく、20〜50質量部であることがより好ましい。
〔シリカ〕
本発明の組成物はシリカを含有するのが好ましい。
上記シリカは特に制限されないが、タイヤ等の用途でゴム組成物に配合されている従来公知の任意のシリカを用いることができる。
シリカの具体例としては、湿式シリカ、乾式シリカ、ヒュームドシリカ、珪藻土などが挙げられる。なかでも、湿式シリカが好ましい。上記シリカは、1種のシリカを単独で用いても、2種以上のシリカを併用してもよい。
本発明の組成物において、シリカの含有量は特に制限されないが、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、25〜130質量部であることが好ましく、40〜80質量部であることがより好ましい。
〔任意成分〕
本発明の組成物は、必要に応じて、その効果や目的を損なわない範囲でさらに添加剤を含有することができる。
上記添加剤としては、例えば、充填剤、シランカップリング剤、酸化亜鉛(亜鉛華)、ステアリン酸、接着用樹脂、素練り促進剤、老化防止剤、ワックス、加工助剤、アロマオイル、液状ポリマー、テルペン系樹脂、熱硬化性樹脂、加硫剤(例えば、硫黄)、加硫促進剤などのゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤が挙げられる。
〔ゴム組成物の製造方法〕
本発明の組成物の製造方法は特に限定されず、その具体例としては、例えば、上述した各成分を、公知の方法、装置(例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど)を用いて、混練する方法などが挙げられる。本発明の組成物が硫黄または加硫促進剤を含有する場合は、硫黄および加硫促進剤以外の成分を先に高温(好ましくは80〜140℃)で混合し、冷却してから、硫黄または加硫促進剤を混合するのが好ましい。
また、本発明の組成物は、従来公知の加硫または架橋条件で加硫または架橋することができる。
〔用途〕
本発明の組成物はタイヤ(好ましくは、タイヤトレッド部、サイドウォール部)、コンベアベルトなどのゴム部材の製造に好適に用いられる。
[タイヤ]
本発明のタイヤは、上述した本発明の組成物を用いて製造したタイヤである。なかでも、本発明の組成物をタイヤトレッド部および/またはサイドウォール部に使用した空気入りタイヤであることが好ましい。
図1に、本発明のタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図を示すが、本発明のタイヤは図1に示す態様に限定されるものではない。
図1において、符号1はビード部を表し、符号2はサイドウォール部を表し、符号3はタイヤトレッド部を表す。
また、左右一対のビード部1間においては、繊維コードが埋設されたカーカス層4が装架されており、このカーカス層4の端部はビードコア5およびビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。
また、タイヤトレッド部3においては、カーカス層4の外側に、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。
また、ビード部1においては、リムに接する部分にリムクッション8が配置されている。
なお、タイヤトレッド部3および/またはサイドウォール部2は上述した本発明の組成物により形成されている。
本発明のタイヤは、例えば、従来公知の方法に従って製造することができる。また、タイヤに充填する気体としては、通常のまたは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを用いることができる。
[コンベアベルト]
本発明のコンベアベルトは、上述した本発明の組成物を用いて製造した工業用コンベアベルトである。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<特定化合物(特定化合物1)の合成>
2Lナスフラスコに、40℃に温めたメタノール(900mL)を入れ、ここに、下記式(b−1)で表されるテレフタルアルデヒド酸(30.0g)を加えて溶かした。この溶液に、下記式(a−1)で表されるフェニルヒドロキシアミン(21.8g)をメタノール(100mL)に溶かしたものを加え、室温で19時間撹拌した。撹拌終了後、メタノールからの再結晶により、下記式(c−1)で表されるニトロン化合物(カルボキシニトロン)を得た(41.7g)。収率は86%であった。
得られたカルボキシニトロン(5.3g)と下記式(d−1)で表されるポリエチレングリコール(n:3、分子量:164)(15.5g)、ジメチルアミノピリジン(0.25g)をジメチルホルムアミド(45ml)に溶解し、ジシクロヘキシルカルボジイミド(5.0g)を加え0℃で6時間反応させた。水100mlを加えて反応を停止し、生じた固体を除去し、水層を酢酸エチル150mlで抽出した。さらに1Nの塩酸、1Nの水酸化ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去することで、下記式(m1)で表される化合物(n:3)を合成した(7.5g、収率88%)。得られた化合物を特定化合物1とする。
H−NMR(400MHz, CDCl):δ 8.45 (d, 2H), 8.15 (d, 2H), 8.00 (s, 1H), 7.78 (m, 2H), 7.51 (m, 3H), 4.51 (t, 2H), 3.86 (t, 2H), 3.75 (m, 2H), 3.69 (m, 4H), 3.55 (t, 2H), 3.37 (s, 3H)
<特定化合物(特定化合物2)の合成>
上記式(d−1)で表されるポリエチレングリコール(n:3、分子量:164)の代わりに、上記式(d−1)で表されるポリエチレングリコール(n(平均値):8.4、平均分子量:400)を使用する以外は、特定化合物1と同様の手順に従って、上記式(m1)で表される化合物(n(平均値):8.4)を合成した。得られた化合物を特定化合物2とする。
H−NMR(400MHz, CDCl):δ 8.43 (d, 2H), 8.15 (d, 2H), 8.00 (s, 1H), 7.79 (m, 2H), 7.52 (m, 3H), 4.50 (t, 2H), 3.86 (t, 2H), 3.69 (m, 33.4H), 3.54 (t, 2H), 3.37 (s, 3H)
<特定化合物(特定化合物3)の合成>
上記式(d−1)で表されるポリエチレングリコール(n:3、分子量:164)の代わりに、上記式(d−1)で表されるポリエチレングリコール(n(平均値):22、平均分子量:1000)を使用する以外は、特定化合物1と同様の手順に従って、上記式(m1)で表される化合物(n(平均値):22)を合成した。得られた化合物を特定化合物3とする。
H−NMR(400MHz, CDCl):δ 8.43 (d, 2H), 8.16 (d, 2H), 8.03 (s, 1H), 7.80 (m, 2H), 7.51 (m, 3H), 4.50 (t, 2H), 3.86 (t, 2H), 3.69 (m, 82H), 3.54 (t, 2H), 3.37 (s, 3H)
<比較化合物の合成>
上記式(d−1)で表されるポリエチレングリコールの代わりに、メタノールを使用する以外は、特定化合物1と同様の手順に従って下記式(X)で表される化合物を合成した。得られた化合物を比較化合物とする。
<変性ポリマー(変性ポリマー11)の合成>
120℃のバンバリーミキサーにブタジエンゴム(日本ゼオン社製NIPOL BR1220)を投入して2分間素練りを行った。その後、上述のとおり合成した特定化合物1をブタジエンゴム100質量部に対して3質量部投入し、160℃で5分間混合することで、ブタジエンゴムを特定化合物(特定化合物1)によって変性した。得られた変性ポリマーを変性ポリマー11とする。
得られた変性ポリマー11についてNMR測定を行い、変性率を求めたところ、変性ポリマー11の変性率は0.25mol%であった。
<変性ポリマー(変性ポリマー12)の合成>
特定化合物1の代わりに上述のとおり合成した特定化合物2を3質量部投入する以外は変性ポリマー11と同様の手順に従って、ブタジエンゴムを特定化合物(特定化合物2)によって変性した。得られた変性ポリマーを変性ポリマー12とする。
得られた変性ポリマー12についてNMR測定を行い、変性率を求めたところ、変性ポリマー12の変性率は0.15mol%であった。
<変性ポリマー(変性ポリマー13)の合成>
特定化合物1の代わりに上述のとおり合成した特定化合物3を3質量部投入する以外は変性ポリマー11と同様の手順に従って、ブタジエンゴムを特定化合物(特定化合物3)によって変性した。得られた変性ポリマーを変性ポリマー13とする。
得られた変性ポリマー13についてNMR測定を行い、変性率を求めたところ、変性ポリマー12の変性率は0.08mol%であった。
<比較変性ポリマー1の合成>
特定化合物1の代わりに上述のとおり合成した比較化合物を3質量部投入する以外は変性ポリマー11と同様の手順に従って、ブタジエンゴムを比較化合物によって変性した。得られた、比較化合物によって変性されたブタジエンゴムを比較変性ポリマー1とする。
得られた比較変性ポリマー1についてNMR測定を行い、変性率を求めたところ、比較変性ポリマーの変性率は0.38mol%であった。
<変性ポリマー(変性ポリマー21)の合成>
120℃のバンバリーミキサーにSBR(旭化成ケミカルズ社製タフデンE580)を投入して2分間素練りを行った。その後、上述のとおり合成した特定化合物1をSBR100質量部(油展オイルを除いたゴムの正味の量として100質量部)に対して0.85質量部投入し、160℃で5分間混合することで、SBRを特定化合物(特定化合物1)によって変性した。得られた変性ポリマーを変性ポリマー21とする。
得られた変性ポリマー21についてNMR測定を行い、変性率を求めたところ、変性ポリマー21の変性率は0.12mol%であった。
なお、変性ポリマー21は油展品であり、油展量は37.5質量%である。
<変性ポリマー(変性ポリマー22)の合成>
特定化合物1の代わりに上述のとおり合成した特定化合物2を0.85質量部投入する以外は変性ポリマー21と同様の手順に従って、SBRを特定化合物(特定化合物2)によって変性した。得られた変性ポリマーを変性ポリマー22とする。
得られた変性ポリマー22についてNMR測定を行い、変性率を求めたところ、変性ポリマー22の変性率は0.07mol%であった。
なお、変性ポリマー22は油展品であり、油展量は37.5質量%である。
<変性ポリマー(変性ポリマー23)の合成>
特定化合物1の代わりに上述のとおり合成した特定化合物3を0.85質量部投入する以外は変性ポリマー21と同様の手順に従って、SBRを特定化合物(特定化合物2)によって変性した。得られた変性ポリマーを変性ポリマー23とする。
得られた変性ポリマー23についてNMR測定を行い、変性率を求めたところ、変性ポリマー23の変性率は0.04mol%であった。
なお、変性ポリマー23は油展品であり、油展量は37.5質量%である。
<比較変性ポリマー2の合成>
特定化合物1の代わりに上述のとおり合成した比較化合物を0.85質量部投入する以外は変性ポリマー21と同様の手順に従って、SBRを比較化合物によって変性した。得られた、比較化合物によって変性されたSBRを比較変性ポリマー2とする。
得られた比較変性ポリマー2についてNMR測定を行い、変性率を求めたところ、変性ポリマー23の変性率は0.19mol%であった。
なお、比較変性ポリマー2は油展品であり、油展量は37.5質量%である。
<ゴム組成物の調製>
下記第1表に示される成分を、下記第1表に示される割合(質量部)で配合した。
具体的には、まず、下記第1表に示される成分のうち硫黄および加硫促進剤を除く成分を、80℃のバンバリーミキサーで5分間混合した。次に、ロールを用いて、硫黄および加硫促進剤を混合し、ゴム組成物を得た。
なお、第1中、数値が2つ記載されているものは、上段の値は油展品の量(単位:質量部)であり、下段の値は油展オイルを除いたゴムの正味の量(単位:質量部)である。
<加硫ゴムシートの作製>
得られた各ゴム組成物(未加硫)を、金型(15cm×15cm×0.2cm)中、160℃で15分間プレス加硫して、加硫ゴムシートを作製した。
<評価>
(モジュラス)
作製した加硫ゴムシートを厚さ2mmのダンベル状(ダンベル状3号形)に切り出して試験片とした。
得られた試験片について、JIS K6251:2010に準じ、100%モジュラス(100%伸長時の応力)[MPa]を測定した。結果を第1表に示す(M100)。なお、第1表(その1)については比較例1−1のM100を100とする指数で表した。また、第1表(その2)については比較例2−1のM100を100とする指数で表した。M100が大きい方が剛性に優れる。
(耐摩耗性)
作製した加硫ゴムシートについて、JIS K6264−1、2:2005に準拠し、ランボーン摩耗試験機(岩本製作所製)を用いて、温度20℃、スリップ率50%の条件で摩耗減量を測定した。
結果を第1表に示す。
第1表(その1)については比較例1−1の摩耗量を100として、次式により指数化したものを表した。指数が大きいほど摩耗量が小さく、耐摩耗性に優れる。
耐摩耗性=(比較例1−1の摩耗量/試料の摩耗量)×100
また、第1表(その2)については比較例2−1の摩耗量を100として、次式により指数化したものを表した。指数が大きいほど摩耗量が小さく、耐摩耗性に優れる。
耐摩耗性=(比較例2−1の摩耗量/試料の摩耗量)×100
(低発熱性)
作製した加硫ゴムシートについて、粘弾性スペクトロメーター(東洋精機製作所社製)を用いて、初期歪み10%、振幅±2%、周波数20Hzの条件下で、温度60℃の損失正接tanδ(60℃)を測定した。tanδ(60℃)の逆数を第1表に示す(低発熱性)。なお、第1表(その1)については比較例1−1のtanδ(60℃)の逆数を100とする指数で表した。また、第1表(その2)については比較例2−1のtanδ(60℃)の逆数を100とする指数で表した。値が大きいほど、低発熱性に優れる。
第1中、化合物配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対する、変性ポリマーまたは比較変性ポリマーの合成に使用した特定化合物または比較化合物の質量部を表す。
また、表1中、変性率は、上述した変性ポリマーの変性率を表す。
上記第1表(その1)に示されている各成分の詳細は以下のとおりである。
・NR:TSR20
・BR:NIPOL BR1220(日本ゼオン社製)
・比較変性ポリマー1:上述のとおり合成した比較変性ポリマー1
・変性ポリマー11:上述のとおり合成した変性ポリマー11(式(M)で表される化合物(特定化合物)によってBRを変性することで得られる変性ポリマー。なお、式(M)中のnは3である。
・変性ポリマー12:上述のとおり合成した変性ポリマー12(式(M)で表される化合物(特定化合物)によってBRを変性することで得られる変性ポリマー。なお、式(M)中のn(平均値)は8.4である。
・変性ポリマー13:上述のとおり合成した変性ポリマー13(式(M)で表される化合物(特定化合物)によってBRを変性することで得られる変性ポリマー。なお、式(M)中のn(平均値)は22である。
・カーボンブラック:ショウブラックN234(昭和キャボット社製)
・亜鉛華:亜鉛華3号(正同化学社製)
・ステアリン酸:ステアリン酸YR(日油社製)
・素練り促進剤:ノクタイザーSD(大内新興化学工業社製)
・老化防止剤:SANTOFLEX 6PPD(Soltia Europe社製)
・ワックス:サンノック(大内新興化学工業社製)
・硫黄:油処理硫黄(軽井沢精錬所社製)
・加硫促進剤:ノクセラー CZ−G(大内新興化学工業社製)
上記第1表(その2)に示されている各成分の詳細は以下のとおりである。
・NR:TSR20
・SBR:E580(溶液重合SBR、スチレン単位含有量:37質量%、ビニル結合量:43%、油展品(油展量:37.5質量%)、旭化成ケミカルズ社製)
・BR:NIPOL BR1220(日本ゼオン社製)
・比較変性ポリマー2:上述のとおり合成した比較変性ポリマー2
・変性ポリマー21:上述のとおり合成した変性ポリマー21(式(M)で表される化合物(特定化合物)によってSBRを変性することで得られる変性ポリマー。なお、式(M)中のnは3である。
・変性ポリマー22:上述のとおり合成した変性ポリマー22(式(M)で表される化合物(特定化合物)によってSBRを変性することで得られる変性ポリマー。なお、式(M)中のn(平均値)は8.4である。
・変性ポリマー23:上述のとおり合成した変性ポリマー23(式(M)で表される化合物(特定化合物)によってSBRを変性することで得られる変性ポリマー。なお、式(M)中のn(平均値)は22である。
・カーボンブラック:ショウブラックN339(キャボットジャパン社製)
・シリカ:ZEOSIL 165GR(ロディアシリカコリア社製)
・ステアリン酸:ステアリン酸YR(日油社製)
・加工助剤:アクチプラストST(Rhein Chemie社製)
・老化防止剤:SANTOFLEX 6PPD(Soltia Europe社製)
・ワックス:サンノック(大内新興化学工業社製)
・カップリング剤:Si69(エボニック・デグサ社製)
・オイル:エキストラクト4号S(昭和シェル石油社製)
・亜鉛華:亜鉛華3号(正同化学社製)
・硫黄:油処理硫黄(軽井沢精錬所社製)
・加硫促進剤CZ:ノクセラー CZ−G(大内振興化学工業社製)
・加硫促進剤DPG:ソクシノール D−G:(住友化学社製)
第1表から分かるように、上述した式(M)で表される化合物(特定化合物)によって変性することで得られる変性ポリマーを含有する実施例1−1〜1−4は、優れた剛性、耐摩耗性および低発熱性を示した。
実施例1−1と1−3と1−4との対比から、上記特定化合物がニトロン化合物とポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種のポリエーテルとを反応させて得られる化合物であり、上記ポリエーテルの分子量が400以上である実施例1−3〜1−4は、より優れた剛性を示した。なかでも、上記ポリエーテルの分子量が1000以下である実施例1−3は、さらに優れた剛性を示した。
実施例1−2〜1−3の対比から、ジエン系ゴム中の変性ポリマーの含有量が12質量%以上である実施例1−3は、より優れた剛性、耐摩耗性および低発熱性を示した。
同様に、特定化合物によって変性することで得られる変性ポリマーを含有する実施例2−1〜2−3は、優れた剛性、耐摩耗性および低発熱性を示した。なかでも、上記特定化合物がニトロン化合物とポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種のポリエーテルとを反応させて得られる化合物であり、上記ポリエーテルの分子量が400以上である実施例2−2〜2−3は、より優れた剛性を示した。なかでも、上記ポリエーテルの分子量が1000以下である実施例2−2は、さらに優れた剛性を示した。
一方、特定化合物によって変性することで得られる変性ポリマーを含有しない比較例1−1〜1−2および2−1〜2−2は、剛性、耐摩耗性および低発熱性のうち少なくともいずれかが不十分であった。
特定化合物の合成においてポリエチレングリコールの代わりにポリプロピレングリコールを使用する以外は、実施例1−1〜1−4および2−1〜2−3と同様の手順に従って、特定化合物および変性ポリマーを合成し、ゴム組成物を調製した。その評価も同様に行ったところ、第1表と同様の結果が得られた。
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 タイヤトレッド部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 リムクッション

Claims (8)

  1. 下記式(M)で表される化合物。
    式(M)中、RおよびRは、それぞれ独立に、置換基を表す。RおよびRは、水素原子またはメチル基を表す。ただし、Rがメチル基である場合、Rは水素原子を表し、Rがメチル基である場合、Rは水素原子を表す。Rは水素原子または炭化水素基を表す。aは、0または1〜5の整数を表す。bは、0または1〜4の整数を表す。nは、2以上の数を表す。
  2. 請求項1に記載の化合物であって、
    前記化合物が、ニトロン化合物と、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種のポリエーテルとを反応させて得られる化合物であり、
    前記ポリエーテルの分子量が、150〜2000である、化合物。
  3. 請求項1または2に記載の化合物によってポリマーを変性することで得られる、変性ポリマー。
  4. 前記ポリマーが、SBR、BR、IR、NRおよびNBRからなる群より選択される少なくとも1種の共役ジエン重合体である、請求項3に記載の変性ポリマー。
  5. 請求項3または4に記載の変性ポリマーを含有する、ゴム組成物。
  6. 請求項5に記載のゴム組成物であって、
    ジエン系ゴムと、カーボンブラックとを含有し、
    前記ジエン系ゴムが、前記変性ポリマーを含み、
    前記ジエン系ゴム中の前記変性ポリマーの含有量が、15〜70質量%である、ゴム組成物。
  7. 請求項5または6に記載のゴム組成物を用いて製造したタイヤ。
  8. 請求項5または6に記載のゴム組成物を用いて製造したコンベアベルト。
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