JP2016172329A - 鋳ぐるみ成形用金型 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の鋳ぐるみ成形用金型は、キャビティ空間内に3次元的な形状を有する成形部品を固定し、当該成形部品の少なくとも一部に対して溶融材料を射出して鋳ぐるみを行う鋳ぐるみ成形用金型であって、前記成形部品を支持する下型と、前記下型と対向して配置され、前記下型に対して昇降可能な上型と、前記成形部品に対して上方から押圧することで前記成形部品を前記キャビティ空間に対して位置決めする仮固定部材と、を具備することを特徴とする。
【選択図】図2a
Description
例えば鋳造などにより予め所定の形状に加工された成形部品を鋳ぐるみ成形用金型に固定し、この固定された成形部品の少なくとも一部に対して溶融材料を射出して成膜処理が行われる。
一方、鋳造を行う鋳造金型において、成形部品の位置ずれを防止する技術が知られている(例えば特許文献2参照)。この特許文献2によれば、金型メンテナンスの簡素化を図りつつ成形部品の位置ずれを防止できる旨が開示されている。
しかしながら、近年では性能向上などの観点からシフトフォークの外形形状が複雑化し、これにより成形用金型内への固定が困難となってきている。
また、競争の激化を背景にコスト削減のニーズも顕著となり、鋳ぐるみを行う成形部品を如何にして効率よく迅速に成形用金型へ配置(固定)できるかも重要な課題となっている。
また、前記第2仮固定部材は、前記成形部品の表面に接触して摺動可能な滑車を含むことが好ましい。
この場合、前記水平可動部材とリンク部材を介して接続される回転機構をさらに有し、前記回転機構は、前記水平可動部材の前記交差方向への可動に伴って回転して前記成形部品に接触することで当該成形部品の姿勢を調整することとしてもよい。
図1(a)は、本実施形態に関する鋳ぐるみ成形用金型1の全体斜視図である。また、図1(b)には、この鋳ぐるみ成形用金型1を上方から観察した平面図を示す。
鋳ぐるみ成形用金型1は、下型2、上型3、仮固定部材4、およびフレームベース5を含んで構成されている。通常、下型2、上型3および仮固定部材4の少なくとも一部が露出するように、これらがフレームベース5に包含されるように収容されている。そして後述する鋳ぐるみ処理時には、鋳ぐるみ成形用金型1内に所定の成形部品が固定配置された後、この成形部品の少なくとも一部に対して樹脂射出口11を介して溶融材料が射出されて表面改質処理がなされる。
本実施形態で説明するシフトフォークPは、例えば四輪式自動車の原動機の変速機構に組み込まれる。シフトフォークの材質は特に限定はないが、例えば高張力鋼(いわゆるハイテン材)が適用可能であり、本実施形態ではHRC65が用いられる。なお、シフトフォークの材質としてはハイテン材に限られず鉄系,銅系,またはアルミニウム系の各種金属を用いてもよい。
同図から明らかなとおり、シフトフォークPの一端部P1と他端部P2のZ方向における位置は同じではなく、いわゆる三次元的な形状となっている。さらに、シフトフォークPは、X軸に平行に延びた形状ではなくX軸と交差する方向に延びた形状を有している。また、図示は省略したが、シフトフォークの設計仕様によっては一端部P1から他端部P2にかけて様々な曲面形状が形成され得る。
このため、必ずしもシフトフォークPの中心位置が重心位置とはならず重量に偏りが生じるので安定して載置することができない。よって、単純に鋳ぐるみ成形用金型1にシフトフォークPを載置するだけではシフトフォークPの姿勢が安定せず横転する可能性が高い。
また、本実施形態では、同じ種類・同じ形状のシフトフォークを複数本だけ鋳ぐるみ成形用金型1へ配置する例を示したが、これに限られずに異なる種類または異なる形状のシフトフォークを鋳ぐるみ成形用金型1へ配置して鋳ぐるみ処理を行ってもよい。
このように、鋳ぐるみ成形用金型1に固定配置されたシフトフォークPの一端部P1に対して射出成形法で溶融された樹脂が射出され、これにより一端部P1表面に厚みが均一な樹脂被膜が形成される(表面改質としての鋳ぐるみ処理がなされる)。
第1下型21と第2下型22は、例えば高張力鋼(いわゆるハイテン材)が適用可能であり、本実施形態ではHRC65などが用いられる。なお、下型2の材質としてはハイテン材に限られず、SKDなどの公知の合金工具鋼鋼材を用いてもよい。
第1仮固定部材としての下部仮固定部材41は、例えば金属性の突き上げ棒であり、フレームベース5に固定されてシフトフォークPを下から支持可能となっている。下部仮固定部材41は、頂部411、基部412およびこれらを接続する胴部413を有し、例えば下型2と同じ材料で形成されている。本実施形態では、下部仮固定部材41は上述した高張力鋼(いわゆるハイテン材)のうちHRC65が用いられる。なお、下型2の材質と同様に下部仮固定部材41の材質はハイテン材に限られず、SKDなどの公知の合金工具鋼鋼材を用いてもよい。
なお、下部仮固定部材41は不図示の駆動装置と接続され、この駆動装置により頂部411がZ方向に変位可能とされている。この場合、この下部仮固定部材41は、シフトフォークPを下型2からイジェクトする際のイジェクトピンとして機能させてもよい。
なお、下部仮固定部材41を用いずにガタつきなくシフトフォークPを載置できるのであれば、この下部仮固定部材41は省略してもよい。
なお、第1凹部211内ではシフトフォークPの一端部P1とは所定の間隙が形成されており、後述する鋳ぐるみ処理の際に溶融材料(溶融樹脂)が流れ込んで均一で均質な厚さの樹脂被膜が形成される。
図2(c)は、このようなシフトフォークPのひっくり返りの例を示す図である。同図では合計8本のシフトフォークが下型2に載置されているが、図面左手前のシフトフォークPeがひっくり返っている。すなわち、このシフトフォークPeは下型2に対して適正姿勢で配置されておらず、このまま処理を続けた場合には最も悪いケースで金型の破損まで想定される。
これらの図で示されるとおり、上型3は、第1上型31と第2上型32を含んで構成されている。第1上型31と第2上型32は、例えば下型2と同じ素材で形成されている。本実施形態では、上述した高張力鋼(いわゆるハイテン材)のうちHRC65が用いられる。なお、下型2の材質と同様にハイテン材に限られず、SKDなどの公知の合金工具鋼鋼材を用いてもよい。
第1上型31は、第1下型21の上方に位置しており、第1下型21に対して昇降可能となっている。そして鋳ぐるみ処理時には、第1上型31が第1下型21と組み合わされた状態で樹脂射出口11から溶融樹脂が注入される。
より具体的に、第2仮固定部材としての上部仮固定部材42は、フレームベース5に固定される基部421、シフトフォークPと接触する端部である下端部422、およびこれらを接続する胴部423を有する。基部421と胴部423は、上述した下部仮固定部材41と同じ素材で形成されている。本実施形態では、例えば上述した高張力鋼(いわゆるハイテン材)のうちHRC65が用いられる。なお、ハイテン材に限られず、SKDなどの公知の合金工具鋼鋼材が用いられてもよい。
なお、耐摩耗性が確保できれば、滑車に限られず胴部423を延長して下端部422を棒状先端としてもよい。さらには、棒状先端をDLC(Diamond-like carbon)処理などの表面処理を施して耐摩耗性をさらに向上させてもよい。
本実施形態では、上型3と上部仮固定部材42が同期してZ方向に移動することで後述するシフトフォークPの鋳ぐるみ成形用金型1への固定が行われる。
次に、図4(a)乃至(d)を用いて本実施形態の鋳ぐるみ成形用金型1を用いた鋳ぐるみ処理を説明する。
本実施形態の鋳ぐるみ処理では、上述したシフトフォークPの一端部P1に対して表面改質を行う。より具体的には、シフトフォークPの一端部P1に対して射出成形により樹脂を均一に被覆する処理を行う。
このとき、シフトフォークPの一端部P1と他端部P2は、それぞれ第1下型21に形成された第1凹部211と、第2下型22に形成された第2凹部221とに収容される。
同図においては、例えば8本のシフトフォークPがほぼ同時にロボットハンドによって下型2へ載置される。
上述したとおり、シフトフォークPは重量に偏りがあり下型2に安定して載置することが困難な場合があるが、この下部仮固定部材41によりシフトフォークPが支持されるので下型2に載置した際のシフトフォークPの横転を抑制することが可能となる。
この時点では第1凹部211内に収容されたシフトフォークPの一端部P1は、第1凹部211内で適正な間隙で配置された状態とはなっていない。
なお、本実施形態では位置決め突起部224は水平可動部材222と一体となっているが、それぞれ別々に構成してもよい。
また、シフトフォークPは−X方向へ移動することから、下部仮固定部材41の頂部411とシフトフォークPとの間は微小な隙間が形成される。
この後、下型2に設けられた不図示の挟み部材でシフトフォークPの一端部P1がY方向に関して固定されるとともに、上型3が下型2と接触して組み合わされることによって、樹脂を射出する準備が完了する。
このときシフトフォークPの一端部P1のZ(高さ)方向についても、上型3が下型2と組み合わされることなどにより位置決められる。
そして溶融樹脂が射出されて所定時間が経過した後は、上型3および上部仮固定部材42が下型2に対して上昇する。上型3および上部仮固定部材42が上昇した後は、下型2に設けられた不図示のイジェクトピン等によってシフトフォークPが下型2から排出される。このとき、下部仮固定部材41の頂部411が+Z方向へ駆動することでシフトフォークPのイジェクトピンとしても機能する。
イジェクトピンによって下型2からシフトフォークPが離間した後、一端部P1に樹脂が被覆されたシフトフォークPが、図示しないロボットハンドによって搬出される。
以後、樹脂が被覆されていない新たなシフトフォークPが下型2へ載置されて上述した鋳ぐるみ処理が再び行われる。
これら第1段階と第2段階の双方とも、上型3または上部仮固定部材42の下型2への下降に伴って連続して行われるため、複雑な制御機構を必要とせず簡易で迅速なシフトフォークPの位置決めが可能となっている。
上記実施形態においては、水平可動部材222を−X方向へ水平に可動させてシフトフォークPの位置決めを行ったが、水平可動部材222を水平に可動させずにシフトフォークPの位置決めを行ってもよい。すなわち、例えば図5(a)〜(c)に示すごときシフトフォークP´は、一端部P1が第1凹部211内に収容されたときに他端部P2がXY平面に平行となっておらずXY平面に対して交差するように傾いている。この場合、単純に水平可動部材222を−X方向に可動させるだけではシフトフォークP´の位置決めができない場合も生じうる。
図6に示す通り、本変形例1では、水平可動部材225は、係合凹部223が設けられる本体部226と、回転機構Rと、本体部226と回転機構Rを接続するリンク部227を含んで構成されている。なお、回転機構Rの下端にはピボットR1が設けられて第2下型22に対して該ピボットR1を介して回転可能とされている。
このような回転機構Rの回転動作によって、回転機構Rの先端部がシフトフォークP´の端面P3を押さえることが可能となり、これによりシフトフォークP´の他端部P2が下型2にガタつきなく配置される。
なお、回転機構RによるシフトフォークP´の押さえつけをさらに効率よくするために、例えば図6に示すような下型2(第2下型22)に傾斜段部228を設けてもよい。
上記した実施形態では第1下型21と第2下型22は互いに所定距離だけ離間してフレームベース5にそれぞれ固定されていたが、第1下型21と第2下型22とを一体化してフレームベース5に固定してもよい。
また、上記した実施形態では第1上型31と第2上型32は互いに所定距離だけ離間してフレームベース5にそれぞれ固定されていたが、第1上型31と第2上型32とを一体化してフレームベース5に固定してもよい。
また、上記した実施形態では上型3と上部仮固定部材42とを同期して移動可能としたが、上型3と上部仮固定部材42とを別々に駆動・制御可能としてZ方向に対してそれぞれ移動させてもよい。
また、上記した実施形態ではシフトフォークPの一端部P1に溶融樹脂を被覆したが、溶融金属を被覆してもよい。
2…下型、
3…上型、
4…仮固定部材、
5…フレームベース、
11…樹脂射出口、
21…第1下型、
22…第2下型、
31…第1上型、
32…第2上型、
41…下部仮固定部材、
42…上部仮固定部材、
211…第1凹部、
221…第2凹部、
222…水平可動部材、
223…係合凹部、
224…位置決め突起部、
225…水平可動部材、
226…本体部、
227…リンク部材、
321…係合凸部、
421…基部、
422…下端部、
423…胴部
P、P´、Pe…シフトフォーク、
R…回転機構
Claims (7)
- キャビティ空間内に3次元的な形状を有する成形部品を固定し、当該成形部品の少なくとも一部に対して溶融材料を射出して鋳ぐるみを行う鋳ぐるみ成形用金型であって、
前記成形部品を支持する下型と、
前記下型と対向して配置され、前記下型に対して昇降可能な上型と、
前記成形部品に対して上方から押圧することで前記成形部品を前記キャビティ空間に対して位置決めする仮固定部材と、
を具備することを特徴とする鋳ぐるみ成形用金型。 - 前記仮固定部材は、前記下型に配置された前記成形部品を下方から支える第1仮固定部材と、前記第1仮固定部材に支持された後の前記成形部品に対して上方から押圧する第2仮固定部材とを含む請求項1に記載の鋳ぐるみ成形用金型。
- 前記第2仮固定部材は、前記成形部品の表面に接触して摺動可能な滑車を含む請求項2に記載の鋳ぐるみ成形用金型。
- 前記下型は、前記昇降する方向と交差する交差方向に可動するとともに凹部が形成された水平可動部材を備え、
前記上型は、前記水平可動部材の前記凹部と係合する係合凸部を備え、
前記上型が前記下型に向けて下降するとき前記係合凸部が前記水平可動部材の前記凹部に係合することで、前記水平可動部材が前記交差方向に可動して前記成形部品の位置決めが行われる請求項1〜3のいずれか一項に記載の鋳ぐるみ成形用金型。 - 前記水平可動部材とリンク部材を介して接続される回転機構をさらに有し、
前記回転機構は、前記水平可動部材の前記交差方向への可動に伴って回転して前記成形部品に接触することで当該成形部品の姿勢を調整する請求項4に記載の鋳ぐるみ成形用金型。 - 前記下型は、前記成形部品のうち前記鋳ぐるみを行う第1端部を収容する第1凹部と、前記第1端部と反対側の第2端部を収容するための第2凹部を含み、
前記第1凹部と前記第2凹部との間に前記第1仮固定部材が配置されてなる請求項1乃至5のいずれか一項に記載の鋳ぐるみ成形用金型。 - 前記成形部品は、原動機の変速機構に組み込まれるシフトフォークを含む請求項1乃至6のいずれか一項に記載の鋳ぐるみ成形用金型。
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JP2015052331A JP2016172329A (ja) | 2015-03-16 | 2015-03-16 | 鋳ぐるみ成形用金型 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN109352902A (zh) * | 2018-11-14 | 2019-02-19 | 昆山艾博机器人股份有限公司 | 一种翻转注塑裁切机构 |
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2015
- 2015-03-16 JP JP2015052331A patent/JP2016172329A/ja active Pending
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