JP2016171334A - 固体電解コンデンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】製造工数を低減するとともに、漏れ電流が小さく初期及び経年使用時のESRが低い長寿命の固体電解コンデンサを提供する。【解決手段】弁作用金属から成る陽極体12と、陽極体12の表面に形成される誘電体皮膜層13と、誘電体皮膜層13上に形成される固体電解質層14と、固体電解質層14を被覆する導電性固体層16とを備えた固体電解コンデンサ1において、導電性固体層16が銀及びニッケルを含み、銀に対するニッケルの重量比を3%〜30%にした。【選択図】図1

Description

本発明は、陰極に銀を含む固体電解コンデンサに関する。
電子機器のデジタル化に伴って電子機器に搭載される固体電解コンデンサにも等価直列抵抗(ESR)が低いものが求められている。また、電子機器が長期にわたって使用されるようになり、電子機器の故障や誤作動を避けるために経年使用による特性変化の小さい固体電解コンデンサが求められている。
従来の固体電解コンデンサの一例は特許文献1に開示される。この固体電解コンデンサは陽極体上に誘電体皮膜層、固体電解質層及び導電性固体層を形成したコンデンサ素子を備えている。陽極体はタンタルやニオブ等の弁作用金属により形成される。誘電体皮膜層は陽極体の表面を化成処理した酸化物等により形成される。
固体電解質層はポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン等の導電性高分子により形成され、ドーパントとしてスルホン酸化合物等が用いられる。導電性固体層は固体電解質層を被覆し、導電性樹脂ペーストを塗布及び硬化して形成される。導電性樹脂ペーストはバインダー樹脂に銀の粉末が含有される。銀は比抵抗が低いためESRの小さい固体電解コンデンサを得ることができるが、貴金属であるため高価となる。
固体電解コンデンサはリフローによる基板実装時や電子機器に搭載した後の経年使用によって導電性固体層の比抵抗が増加してESRが大きくなる。導電性固体層の比抵抗の増加は主としてコンデンサ素子内の硫黄化合物によって銀が硫化することにより生じる。硫黄化合物は空気中にガス成分として存在してコンデンサ素子内に吸着される場合や、固体電解質層を形成する導電性高分子に不純物として含有される場合がある。
このため、固体電解コンデンサを減圧下に配して190℃〜220℃で30分〜10時間放置する熱処理を行い、銀を含む導電性固体層の硫黄元素含有量を0.8質量%以下にしている。これにより、リフローによるESRの上昇を抑制することができる。
特開2011−003909号公報(第6頁−第14頁、第1図)
しかしながら、上記従来の固体電解コンデンサによると、硫黄元素含有量を低減する熱処理を行うため製造工数が大きくなる問題があった。また、190℃以上の温度で長時間放置するため、誘電体皮膜が損傷する場合がある。これにより、漏れ電流(LC)の増加や、ドーパントが導電性高分子から脱離することによる初期のESRが大きくなる虞があった。また、コンデンサ素子内に残存する硫黄化合物が経年使用によって徐々に銀を含む導電性固体層に移動し、ESRが大きく変化して固体電解コンデンサの寿命が短くなる問題もあった。
また、二酸化マンガンを固体電解質とする固体電解コンデンサについても同様に、空気中に存在した硫黄化合物がコンデンサ素子内に吸着する。これにより、コンデンサ素子内に残存する硫黄化合物が経年使用によって徐々に銀を含む導電性固体層に移動し、ESRが大きく変化して固体電解コンデンサの寿命が短くなる問題があった。
本発明は、製造工数を低減するとともに、漏れ電流が小さく初期及び経年使用時のESRが低い長寿命の固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、弁作用金属から成る陽極体と、前記陽極体の表面に形成される誘電体皮膜層と、前記誘電体皮膜層上に形成される固体電解質層と、前記固体電解質層を被覆する導電性固体層とを備えた固体電解コンデンサにおいて、前記導電性固体層が銀及びニッケルを含み、銀に対するニッケルの重量比が3%〜30%であり、銀がフレーク状の銀粉を含むことを特徴としている。
この構成によると、ニオブやタンタル等の弁作用を有する金属から成る陽極体の表面に酸化被膜等の誘電体皮膜層が形成され、誘電体皮膜層の表面に導電性ポリマー等の固体電解質層が設けられる。また、固体電解質層上に銀及びニッケルを含む導電性固体層が導通して設けられ、固体電解コンデンサの陰極を形成する。導電性固体層の銀に対するニッケルの重量比は3%〜30%に形成される。
また請求項2に記載の発明は、上記構成の固体電解コンデンサにおいて、前記導電性固体層の銀に対するニッケルの重量比を15%以上にしたことを特徴としている。
また請求項3に記載の発明は、上記構成の固体電解コンデンサにおいて、前記固体電解質層が硫黄元素を含むことを特徴としている。
また請求項4に記載の発明は、上記構成の固体電解コンデンサにおいて、前記固体電解質層が導電性高分子から成り、前記導電性高分子に含まれるドーパントが硫黄元素を含む化合物であることを特徴としている。
また請求項5に記載の発明は、上記構成の固体電解コンデンサにおいて、前記導電性高分子がポリチオフェンまたはその誘導体を含むことを特徴としている。
また請求項6に記載の発明は、上記構成の固体電解コンデンサにおいて、前記固体電解質層と前記導電性固体層との間にカーボン層を設けたことを特徴としている。
また請求項7に記載の発明は、上記構成の固体電解コンデンサにおいて、前記導電性固体層に含まれるニッケルが球状のニッケル粉を含むことを特徴としている。
本発明によると、導電性固体層に含まれる銀に対するニッケルの重量比を3%〜30%にしたので、リフロー時や経年使用時に生じる導電性固体層中の銀の硫化が抑制され、ESRの増大を抑えることができる。また、硫黄元素成分を取り除くための熱処理を必要としないので、製造工数を低減できるとともに漏れ電流や初期のESRの増大を防止することができる。加えて、高価な貴金属である銀の使用量を少なくすることができ、固体電解コンデンサのコストを削減することができる。
本発明の実施形態の固体電解コンデンサを示す側面断面図 本発明の実施形態の固体電解コンデンサの導電性固体層の成分とESRとの関係を示す図
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は一実施形態の固体電解コンデンサを示す側面断面図である。固体電解コンデンサ1は外装体3で覆われるコンデンサ素子10を有している。コンデンサ素子10は陽極体12の表面に誘電体皮膜層13、固体電解質層14、カーボン層15、導電性固体層16を積層して形成される。
陽極体12はタンタルやニオブ等の弁作用金属の微細粉末を所定の寸法に成形し、高温真空焼結して多孔質体に形成される。この時、陽極体12の一端には埋設リード線12aが植設される。埋設リード線12aは一般に陽極体12と同じ材質により形成される。埋設リード線12aを焼結後の陽極体12の端面に電気溶接してもよい。
誘電体皮膜層13は陽極体12を化成処理して形成される酸化皮膜から成り、多孔質体の陽極体12の内部まで全表面に形成される。
固体電解質層14は導電性高分子や二酸化マンガンから成り、誘電体被膜13の表面及び多孔質体の内部まで形成される。導電性高分子はドーパントを含む重合性モノマーを重合して形成される。重合性モノマーとしてピロール、チオフェン、アニリンまたはそれらの誘導体が用いられる。チオフェンの誘導体である3,4−エチレンジオキシチオフェンは導電性や安定性の面からより好ましい。ドーパントとしてスルホン酸化合物やカルボン酸化合物が好ましく用いられる。これにより、導電性高分子はポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン等により形成される。
チオフェンやその誘導体は分子内に硫黄元素を有し、スルホン酸化合物も分子内に硫黄元素を有する。このため、ポリチオフェン等の導電性高分子にも不純物として、分子内に硫黄元素を有する硫黄化合物が含まれる場合がある。これらの硫黄化合物を含む不純物は重合後の洗浄工程を行っても固体電解質層14となる導電性高分子から除去することが困難である。
カーボン層15はコンデンサ素子10をカーボン懸濁液に浸漬して乾燥し、固体電解質層14の表面をカーボンによって被覆する。
導電性固体層16はカーボン層15上に塗布した導電性樹脂ペーストを硬化して形成される。導電性樹脂ペーストは浸漬法やはけ塗り法等によってカーボン層15上に塗布される。浸漬法は簡易で作業性がよいためより望ましい。
浸漬法ではまず、導電性樹脂ペーストを入れた容器内に埋設リード線12aを上方にして埋設リード線12aの引出し面のみを残してコンデンサ素子10が浸漬される。そして、コンデンサ素子10を引き上げることにより、埋設リード線12aの引出し面以外の面に導電性樹脂ペーストが付着する。次に、コンデンサ素子10を高温下で加熱して導電性樹脂ペーストを硬化させることで導電性固体層16が形成される。カーボン層15及び導電性固体層16によって固体電解コンデンサ1の陰極が形成される。
コンデンサ素子10の導電性固体層16の表面には陰極端子を形成するリードフレーム17に導電性樹脂ペースト等の接着剤(不図示)により接着される。また、埋設リード線12aは陽極端子を形成するリードフレーム11に溶接される。そして、リードフレーム11、17の一部が露出するようにエポキシ樹脂等の外装材3で被覆した後、エージング処理を行って固体電解コンデンサ1が得られる。
本実施形態の導電性固体層16を形成する導電性樹脂ペーストはニッケル粉、銀粉、バインダー樹脂、溶媒、添加剤が含まれる。ニッケル粉及び銀粉から成る金属元素成分は導電性樹脂ペースト中に30重量%〜90重量%含まれるとより好ましい。導電性樹脂ペースト中の金属成分が30重量%より少ないと金属粒子間の電気的接触が悪く、導電性が悪くなるため固体電解コンデンサ1のESRが大きくなる。導電性樹脂ペースト中の金属成分が90重量%より多いと導電性樹脂ペーストがペースト状になりにくくなるため塗布作業性が悪くなるとともに、カーボン層15との密着性が弱くなってESRが増大する。
また、導電性樹脂ペーストの金属元素成分は硬化後も残存するため、導電性樹脂ペーストの銀に対するニッケルの重量比と導電性固体層16中の銀に対するニッケルの重量比とは一致する。本実施形態の導電性固体層16の銀に対するニッケルの重量比は3%〜30%になっている。これにより、固体電解コンデンサ1の漏れ電流が小さく、初期のESRを低くすることができる。また、固体電解コンデンサ1を半田実装する際のリフロー時や経年使用時に生じる銀の硫化が抑制され、ESRの増大を抑えることができる。
導電性固体層16の銀に対するニッケルの重量比が3%未満では固体電解コンデンサ1の経年使用時におけるESRの劣化を抑制する効果が低下する。導電性固体層16の銀に対するニッケルの重量比が30%を超えると経年使用時におけるESR増大の抑制分の効果よりもESRの初期値が大きくなる。これはニッケルの比抵抗は6.9×10-6Ω・cmであり、銀の比抵抗1.62×10-6Ω・cmよりも大きいことによると考えられる。
特に、導電性固体層16の銀に対するニッケルの重量比を15%〜30%にすると、経年使用時の銀の硫化をより抑制してESRの増大を更に抑えることができる。
導電性樹脂ペーストに含まれるニッケル及び銀はフレーク状、略球状、繊維状等の粉末を1種単独または2種以上を混合して用いられる。フレーク状の粉末は導電性樹脂ペースト中での沈降が遅くなるため、導電性固体層16の組成の偏りを小さくできる。また、粉末間の接触面積が大きいことから、固体電解コンデンサ1のESRを小さくすることができる。略球状の粉末は表面積が小さくなるため、外部より受ける化学変化を少なくすることができ、固体電解コンデンサ1の特性を安定させることができる。
また、ニッケル及び銀の粉末の粒径は0.1〜20μmが好ましい。0.1μmよりも小さいと、導電性固体層16の導電経路において接触抵抗のある粒子間の割合が多くなるため固体電解コンデンサ1のESRが大きくなる。
導電性樹脂ペースト中のバインダー樹脂は特に制限がないが、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリアミド樹脂等が用いられる。耐熱性の面から熱硬化性樹脂を用いるとより好ましく、1種単独または2種以上を併用してもよい。特にエポキシ樹脂やフェノール樹脂は接着性がよいため低ESRとなり、耐熱性も良いことから固体電解コンデンサ1の特性が安定するため更に好ましい。
導電性樹脂ペースト中の溶媒はセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、カルビトールアセテート、アルキルアセテート、芳香族炭化水素溶媒等が1種単独または2種以上を併用して用いられる。
導電性樹脂ペースト中の添加剤は硬化剤や硬化促進剤、分散剤、シランカップリング剤、消泡剤、腐食抑制剤、粘度調整剤、酸化防止剤、難燃剤、充填剤、顔料、界面活性剤、帯電防止剤、チクソ性付与のための揺変剤等が用いられる。
導電性樹脂ペーストの粘度は1〜50Pa・sが好ましい。粘度が1Pa・sより低いと、コンデンサ素子10への付着量が少なくなるためESRが大きくなる。粘度が50Pa・sよりも大きいと、コンデンサ素子10への付着量が多くなり過ぎるため導電性固体層16が厚くなり、固体電解コンデンサ1の小形化の妨げとなる。
浸漬法やはけ塗り法による導電性樹脂ペーストの塗布時の温度は特に制限されないが、例えば5℃〜80℃とすることができる。80℃より高温であると導電性樹脂ペーストの粘度が下がるが、導電性樹脂ペーストのポットライフが短くなる。5℃より低温であると、導電性樹脂ペースト粘度が高くなるとともに、露や霜がつきやすくなり導電性樹脂ペースト中に水分が混入する虞がある。尚、導電性固体層16形成時の導電性樹脂ペーストの温度を15℃〜35℃にするとより好ましい。
導電性樹脂ペーストを塗布したコンデンサ素子10は高温雰囲気に配して溶媒の蒸発とバインダー樹脂の硬化を行う。導電性樹脂ペーストの硬化温度は特に制限はないが、60℃〜200℃が好ましい。60℃よりも低温の場合は硬化時間が長くなり、硬化が不十分となる可能性がある。200℃よりも高温の場合は固体電解質層14の劣化によるESRの増大や誘電体皮膜13の損傷による漏れ電流の増大が起きやすい。硬化時間は特に制限はないが、5分〜100分が好ましい。硬化は大気中で行うことができるが、必要に応じて窒素ガス中、希ガス中または減圧真空下で行うことで酸化による導電性固体層16の劣化を更に抑制することができる。
また、硬化後の導電性固体層16の厚さは導電性樹脂ペーストの粘度及び導電性樹脂ペースト中の不揮発性成分の含有量によって決められる。導電性固体層16の厚さを5μm〜100μmにすると好ましく、10μm〜50μmにするとより好ましい。
本実施形態によると、導電性固体層16に含まれる銀に対するニッケルの重量比を3%〜30%にしたので、リフロー時や経年使用時に生じる導電性固体層16中の銀の硫化を抑制することができる。これにより、固体電解コンデンサ1のESRの増大を抑え、長寿命化を図ることができる。また、硫黄元素成分を取り除くための熱処理を必要としないので、製造工数を低減できるとともに漏れ電流や初期のESRの増大を防止することができる。加えて、高価な貴金属である銀の使用量を少なくすることができ、固体電解コンデンサ1のコストを削減することができる。更に、ニッケルを含まない従来の導電性樹脂ペーストの設備をそのまま転用できるため新たに製造設備を必要とせず、設備コストも発生しない。
また、導電性固体層16の銀に対するニッケルの重量比を15%以上にしたので、経年使用時のESRの増大を更に抑えることができる。
また、固体電解質層14が硫黄化合物を含む場合に、導電性固体層16に含まれる銀の硫化を抑制できるため、ESRの増大の防止等の効果がより大きい。
また、固体電解質層14を形成する導電性高分子時に含まれるドーパントが硫黄元素を含む化合物である場合に、導電性固体層16に含まれる銀の硫化を抑制できるため、ESRの増大の防止等の効果がより大きい。
また、固体電解質層14を形成する導電性高分子がポリチオフェンまたはその誘導体を含む場合に硫黄化合物が含まれるため、導電性固体層16に含まれる銀の硫化を抑制できるため、ESRの増大の防止等の効果がより大きい。
また、固体電解質層14と導電性固体層16との間にカーボン層15を設けたので導電性固体層16の付着力を大きくすることができる。尚、固体電解質層14と導電性固体層16との付着力が十分大きい場合はカーボン層15を省いてもよい。
本実施形態において、硫黄化合物は大気中にも存在してコンデンサ素子10内に侵入するため、導電性固体層16が二酸化マンガンにより形成された固体電解コンデンサにも有効である。
以下に固体電解コンデンサ1の実施例を説明する。実施例1の固体電解コンデンサ1は4.2mm×3.4mm×1.6mmのニオブの焼結体により陽極体12を形成する。この時、陽極体12の一端にニオブの焼結体から成る埋設リード線12aを同時に形成する。次に、陽極体12をリン酸水溶液に浸漬し、32Vの直流電圧の印加により陽極酸化(化成)を行って誘電体皮膜層13を形成した。
次に、誘電体皮膜層13の表面にチオフェンのモノマー及び酸化剤による化学重合層を形成した。更にチオフェンのモノマー及び支持電解質を溶解した溶液中にコンデンサ素子10を浸漬し、化学重合層に電極を接触させて電解重合を行う。これにより、固体電解質層14が形成される。次に、コンデンサ素子10をカーボン懸濁液に浸漬して乾燥し、カーボン層15を形成した。
次に、添加剤を含むエポキシ樹脂が10重量部、ブチルカルビトールが30重量部、フレーク状の銀粉が50重量部、球状のニッケル粉が10重量部で混合し、撹拌らいかい機及び三本ロールを用いて均一に分散して導電性樹脂ペーストを作製した。この時、導電性樹脂ペースト(導電性固体層16)中の銀に対するニッケルの重量比は20%である。
導電性樹脂ペーストの表面をならした後、埋設リード線12aを上方にして浸漬したコンデンサ素子10の表面に導電性樹脂ペーストを塗布した。次に、コンデンサ素子10を8mm/minの一定速度で引き上げた後に導電性樹脂ペーストの垂れを拭き取り、150℃で30分間硬化した。
次に、コンデンサ素子10にリードフレーム11、17を取り付け後、エポキシ樹脂から成る外装材3で被覆した。そして、所定のエージング処理を行って固体電解コンデンサ1を形成した。
実施例2の固体電解コンデンサ1は導電性固体層16を形成する導電性樹脂ペーストの銀粉を52重量部とし、ニッケル粉を7.8重量部とした。この時、導電性樹脂ペースト(導電性固体層16)中の銀に対するニッケルの重量比は15%である。その他は実施例1と同様に作製している。
実施例3の固体電解コンデンサ1は導電性固体層16を形成する導電性樹脂ペーストの銀粉を46重量部とし、ニッケル粉を13.8重量部とした。この時、導電性樹脂ペースト(導電性固体層16)中の銀に対するニッケルの重量比は30%である。その他は実施例1と同様に作製している。
実施例4の固体電解コンデンサ1は導電性固体層16を形成する導電性樹脂ペーストの銀粉を58重量部とし、ニッケル粉を1.7重量部とした。この時、導電性樹脂ペースト(導電性固体層16)中の銀に対するニッケルの重量比は3%である。その他は実施例1と同様に作製している。
<比較例1>
比較例1の固体電解コンデンサ1は導電性固体層16を形成する導電性樹脂ペーストの銀粉を60重量部とし、ニッケル粉を添加していない。この時、導電性樹脂ペースト(導電性固体層16)中の銀に対するニッケルの重量比は0%である。その他は実施例1と同様に作製している。
<比較例2>
比較例2の固体電解コンデンサ1は導電性固体層16を形成する導電性樹脂ペーストの銀粉を40重量部とし、ニッケル粉を20重量部とした。この時、導電性樹脂ペースト(導電性固体層16)中の銀に対するニッケルの重量比は50%である。その他は実施例1と同様に作製している。
上記のようにして作成した各実施例及び各比較例の固体電解コンデンサについて、初期、半田耐熱試験後、耐久性試験後の100kHzのESR特性を測定した。その結果を表1及び図2に示す。
Figure 2016171334
ここで、半田耐熱試験は250℃、5秒間のリフローにより行っている。耐久性試験は105℃で6.3Vの直流電圧印加を1000時間行っている。高温雰囲気下で電圧印加する耐久性試験では温度と寿命の関係がアレニウスの式に従うことが知られており、コンデンサの寿命を推定する信頼性試験として行われる。
表1及び図2によると、ESRの初期値は導電性固体層16のニッケル添加量が増えるに従って少しずつ大きくなっている。導電性固体層16の銀に対するニッケルの重量比が0%〜30%の間は初期のESRに大きな変化がない。導電性固体層16の銀に対するニッケルの重量比が30%を超えると、初期のESRが大きくなっている。
また、導電性固体層16の銀に対するニッケルの重量比が3%〜30%の間は耐久性試験後のESRが小さい。特に導電性固体層16の銀に対するニッケルの重量比が15%〜30%の間は顕著にESRの劣化が抑制されていることが分かる。このことから、導電性樹脂ペースト中の銀に対するニッケルの重量比を3%〜30%としたとき、固体電解コンデンサ1の初期のESR増大が最小限に抑えられ、かつ耐久性試験における劣化を抑制して長寿命となる効果を確認できた。これはニッケルの添加により、銀の硫化進行が抑制されているものと考えられる。
上記各実施例ではニオブを陽極体12としているが、陰極を形成する導電性固体層16の銀の硫化を抑制するため、タンタルやアルミニウムを陽極体とした固体電解コンデンサ1においても同様の効果が得られる。
本発明によると、陰極に銀を含む固体電解コンデンサに利用することができる。
1 固体電解コンデンサ
3 外装体
10 コンデンサ素子
11、17 リードフレーム
12 陽極体
13 誘電体被膜層
14 固体電解質層
15 カーボン層
16 導電性固体層

Claims (7)

  1. 弁作用金属から成る陽極体と、前記陽極体の表面に形成される誘電体皮膜層と、前記誘電体皮膜層上に形成される固体電解質層と、前記固体電解質層を被覆する導電性固体層とを備えた固体電解コンデンサにおいて、前記導電性固体層が銀及びニッケルを含み、銀に対するニッケルの重量比が3%〜30%であり、銀がフレーク状の銀粉を含むことを特徴とする固体電解コンデンサ。
  2. 前記導電性固体層の銀に対するニッケルの重量比を15%以上にしたことを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 前記固体電解質層が硫黄元素を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の固体電解コンデンサ。
  4. 前記固体電解質層が導電性高分子から成り、前記導電性高分子に含まれるドーパントが硫黄元素を含む化合物であることを特徴とする請求項3に記載の固体電解コンデンサ。
  5. 前記導電性高分子がポリチオフェンまたはその誘導体を含むことを特徴とする請求項4に記載の固体電解コンデンサ。
  6. 前記固体電解質層と前記導電性固体層との間にカーボン層を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
  7. 前記導電性固体層に含まれるニッケルが球状のニッケル粉を含むことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
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