JP2016169413A - 粗粒であり、かつ、均粒、球状のチタンシリサイド粉末およびその製造方法 - Google Patents

粗粒であり、かつ、均粒、球状のチタンシリサイド粉末およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】蒸着時のパーティクル、ドロップレット、局部溶融、異常放電の発生を抑制することができるチタンシリサイドターゲットを作製するに好適なチタンシリサイド粉末を提供する。【解決手段】チタンシリサイド粉末の製造に際し、H、真空又はAr雰囲気中で、800〜1000℃の温度範囲での一次熱処理と1100〜1400の温度範囲での二次熱処理を施すことによって、チタンシリサイドの一次粒子が均粒かつ球状であって、D10が15μm以上、D50が45〜85μm及びD90が145μm以下である粒度分布を有し、一次粒子中に含有される不純物成分のうち、Cは600ppm以下、Oは2500ppm以下、Nは500ppm以下、Feは800ppm以下及びWは100ppm以下である、粗粒であり、かつ、均粒、球状のチタンシリサイド粉末【選択図】なし

Description

この発明は、粗粒で均粒かつ球状のチタンシリサイド粉末とその製造方法に関し、特に、スパッタリングターゲット、アークイオンプレーティングターゲット等を作製するに好適なチタンシリサイド粉末およびその製造方法に関するものである。
従来から、チタンシリサイド粉末は、例えば、半導体素子のバリヤ膜を形成するためのスパッタリングターゲット、あるいは、切削工具、金型、摺動部材等の耐酸化性、耐摩耗性皮膜を形成するためのアークイオンプレーティングターゲット等を作製するための原料粉末として用いられている。
しかし、スパッタリングあるいはアークプレーティングでチタンシリサイドを成膜する際には、パーティクル、ドロップレットの発生は避けられず、また、異常放電の発生、局部的なターゲットの溶融等の弊害も生じやすい。
これらの問題を解決すべく、今までに各種の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、TiSi粉末とSi粉末をSi/Ti=0.5〜0.7となるように配合し混合粉末を、1100〜1300℃未満の低温でかつ圧力:100〜200kg/cm未満の低圧でホットプレスすることによって密度比:95%以上の高密度チタンシリサイドターゲットを作製することにより、スパッタリングに際してパーティクルの発生を低減することが提案されている。
また、特許文献2には、Si粉末とTi粉末の混合粉末を、減圧下にて1時間あたり100℃以下の昇温速度で900〜1100℃の温度まで昇温を行い、900〜1100℃の温度で1時間以上加熱処理し、ついでHIP法またはホットプレス法のいずれかを用いて圧密化することにより、ドロップレット量、局部溶融の発生を抑え、安定したアークイオンプレーティング放電特性のアークイオンプレーティング用チタンシリサイドターゲットを得ることが提案されている。
また、特許文献3には、アークイオンプレーティング、マグネトロンスパッタに用いるターゲットの作製に際し、原料粉末をAr雰囲気にて混合し、混合粉をグラファイト製の金型に装入し、プレス荷重は50MPa〜200MPaの範囲のホットプレス機により、Ar又はN雰囲気中で、焼結温度900〜1100℃で1〜3時間焼結を行うことにより、ドロップレットの発生を抑制し得るチタンシリサイドターゲット系ターゲットを作製することが提案されている。
また、特許文献4には、チタンシリサイドターゲットの作製に際し、Si粉とTiH粉を混合し、真空中で加熱することにより、脱水素反応とシリサイド合成反応を一挙に行って、チタンシリサイド塊を製造し、これを粉砕し、さらに粉砕後のチタンシリサイド粉末を焼結して、チタンシリサイドターゲット中のW含有量を50ppm未満、Fe含有量を5ppm以下とすることによって、スパッタリング時のパーティクル発生を低減することが提案されている。
また、特許文献5には、チタンシリサイドターゲットスパッタリングターゲットは、化学的に極めて活性であるため不純物が混入しやすく、この不純物の影響から誤作動が生じやすいため、ターゲット中の不純物を低減する必要があり、例えば、O(酸素)は500ppm以下、N(窒素)は50ppm以下、C(炭素)は50ppm以下、また、Fe(鉄)は数ppm程度とすることが記載され、また、そのためのスパッタリングターゲットの製造法として、高純度チタンシリサイドを粒径約5ないし0.01mmに粉砕し、酸で洗浄した後、HIPまたはHPで焼結することが提案されている。
さらに、特許文献6には、スパッタリングターゲットの原料となるチタンシリサイドを溶解した後、水アトマイズ法によって溶湯を急冷してアトマイズ粉末を得、このチタンシリサイドアトマイズ粉末を乾燥、酸洗した後、1000〜1200℃、250〜600kgf/cmでホットプレスし、さらに、1000〜1200℃、1000〜2000kgf/cmでHIP処理を行うことによって、ターゲット中の酸素含有量に影響されるパーティクル発生を低減することが提案されている。
特開平11−200026号公報 特開2002−212708号公報 特開2008−1556682号公報 特開2008−174831号公報 特開昭63−227771号公報 特開平10−110264号公報
本発明は、前記従来技術では解決することが困難であった蒸着時のパーティクル、ドロップレット、局部溶融の発生を低減するとともに、成膜時の異常放電の発生を抑制することができるチタンシリサイドターゲットを作製するに好適な粗粒であり、かつ、均粒、球状のチタンシリサイド粉末を提供することを一つの目的とする。
また、本発明は、上記粗粒で均粒かつ球状のチタンシリサイド粉末から作製した蒸着用ターゲット材、さらに、上記チタンシリサイド粉末を製造するための製造方法を提供することを別の目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく、チタンシリサイドターゲットを作製する原料であるチタンシリサイド粉末自体の物性および製法に着目して鋭意研究を行なったところ、以下の知見を得たのである。
従来のターゲット材料に用いられるチタンシリサイド粉末は、例えば、特許文献4で提案されているように、Tiスポンジを水素化して高純度TiHを得た後、これを高純度Ti製のボールミルポットにTi球を入れて粉砕し、また、Si塊についても同様に高純度Ti製のボールミルポットにTi球を入れてポリSi塊を粉砕し、これらの粉末を混合し、真空中で加熱することにより脱水素反応とシリサイド合成反応を一挙に行ってチタンシリサイド塊を作製し、これを高純度のTi製ボールミルで粉砕し、分級することによりチタンシリサイド粉末を得ていた。
しかし、このような従来方法によれば、チタンシリサイド粉末中の不純物成分、例えば、W、Feの含有量の低減は図られるものの、このような低不純物含有量のチタンシリサイド粉末を焼結してターゲットを作製しても、焼結時にO(酸素)含有量が増加するとともに粒の粗大化が生じ、ターゲット組織が不均一組織となるため、パーティクル、ドロップレット、局部溶融、異常放電についての発生抑制効果は十分でなかった。
これは、ターゲット全体としての不純物含有量は低減されたものの、局部的に組織の不均一性、不純物含有量のバラツキが存在し、これに起因して、パーティクル、ドロップレット、局部溶融、異常放電が発生するからである。
そこで、本発明者は、ターゲットの組織の不均一性、不純物含有量のバラツキを解消すべく、さらに研究を進めたところ、ターゲット用の原料粉末であるチタンシリサイド粉末を均粒の粗粒とし、かつ球状化を図ることにより、ターゲット組織の均一性、不純物含有量の低減とともに、局部的な不純物含有量のバラツキを解消し得ることを見出した。
そして、このようなチタンシリサイド粉末を原料としてターゲットを作製したところ、パーティクル、ドロップレット、局部溶融、異常放電の発生抑制効果が極めて高いものであることを見出したのである。
そして、前記の粗粒であり、かつ、均粒、球状のチタンシリサイド粉末は、以下のようにして製造することができる。
まず、Ti原料としては、高純度であって粒度D50が20〜40μmの均粒かつ球状のアトマイズTi粉を用いる。
また、Si原料としては、高純度であって粒度が850μm以下の粗粒のSi粉末を用いる。
前記のアトマイズTi粉末とSi粉末を混合し、シリサイド合成反応は熱処理を一次熱処理と二次熱処理の2段階に分けて行う。
一般的に、Ti粉末とSi粉末の合成反応は激しい発熱を伴うため、局部的な溶融が生じるが、2段階で熱処理することで、これを防止できる。
即ち、第1段階の一次熱処理では、800〜1000℃の温度範囲かつ水素、真空、またはAr雰囲気中で30分以上2時間以内保持して、Ti粉末とSi粉末の混合粉末を熱処理する。
ただ、一次熱処理は、熱処理温度を高くしていないことから、Ti、TiSi、TiSi混合粉末の凝集あるいは部分的な粒成長による粒子の粗大化、溶融化現象は生じない。
次に、第2段階の二次熱処理として、1100〜1400の温度範囲かつ水素、真空、またはAr雰囲気中で30分以上2時間以内保持して、シリサイド合成反応を行わせるとともに加熱処理をして、チタンシリサイドからなる凝集体を作製する。第2段階の二次熱処理では、焼結による粒子の成長・粗大化が生じることはないので、この凝集体を解砕処理することによって、粗粒であってかつ均粒、しかも球状のチタンシリサイド粉末を得ることができる。
上記で作製した粉末は粗粒であり、また、均粒・球状であるため、このようなチタンシリサイド粉末を焼結してターゲットを作製した場合には、ターゲット中の不純物元素、特にO(酸素)の吸着・含有が少なく、また、均一な焼結組織が得られるため、パーティクル、ドロップレット、局部溶融、異常放電の発生を低減することができる。
本発明は、前記知見に基づいてなされたものであって、
「(1) 一次粒子が均粒かつ球状であって、D10が15μm以上、D50が45〜85μmおよびD90が145μm以下である粒度分布を有し、一次粒子中に含有される不純物成分のうち、C(炭素)は600ppm以下、O(酸素)は2500ppm以下、N(窒素)は500ppm以下、Fe(鉄)は800ppm以下およびW(タングステン)は100ppm以下であることを特徴とする粗粒であり、かつ、均粒、球状のチタンシリサイド粉末。
(2) 一次粒子のうち、アスペクト比が1.0〜1.2である粒子が、全一次粒子数の60〜90%を占めることを特徴とする前記(1)に記載の粗粒であり、かつ、均粒、球状のチタンシリサイド粉末。
(3) 前記(1)または(2)に記載のチタンシリサイド粉末を、ホットプレスまたは熱間静水圧プレスにより焼結した焼結体からなることを特徴とする蒸着用ターゲット材。
(4) 前記(1)または(2)に記載のチタンシリサイド粉末の製造方法であって、チタン原料粉末として、粒度D50が20〜40μmの球状かつ均粒であって、不純物成分としてのC(炭素)が100 ppm以下、O(酸素)が1500ppm以下のアトマイズTi粉末を用意し、シリコン原料粉末として、粒度が850μm以下の粗粒で、不純物成分としてのO(酸素)が1000ppm以下、Fe(鉄)が400ppm以下、W(タングステン)が100ppm以下のシリコン粉末を用意し、前記チタン原料粉末およびシリコン原料粉末を混合し、800〜1000℃の温度範囲かつ水素、真空、またはAr雰囲気中で30分以上2時間以内保持する一次熱処理を施し、次いで、1100〜1400の温度範囲かつ水素、真空、またはAr雰囲気中で30分以上2時間以内保持する二次熱処理を施すとともに加熱し、得られたチタンシリサイド凝集体を解砕処理することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の粗粒であり、かつ、均粒、球状のチタンシリサイド粉末の製造方法。」
を特徴とするものである。
以下に、本発明について、より具体的かつ詳細に説明する。
本発明のチタンシリサイド粉末の一次粒子は、粗粒であり、しかも、均粒かつ球状である。
なお、粗粒とは、具体的に、D10が15μm以上、D50が45〜85μmおよびD90が145μm以下である粒度分布を有する一次粒子をいう。
図1に、本発明のチタンシリサイド粉末(本発明粉末)の粒度分布の一例を示すが、図1に示すチタンシリサイド粉末では、D10は18.96μm、D50は57.34μmおよびD90は118.8μmとなっている。
これに対して、図1に併記した従来のチタンシリサイド粉末(従来粉末)は、D10が5.5μm、D50が21.6μmおよびD90が49.5μmである粒度分布を備えている。
図2(a)には、前記粒度分布を有するチタンシリサイド粉末のSEM像を示すが、本発明粉末は、粗粒であるとともに均粒かつ球状であることが明らかである。
一方、図2(b)に示す従来粉末の場合には、微粒の一次粒子が凝着を起こし、凸凹状の形状を有し、表面積の大きな二次粒子が形成されていることが観察され、二次粒子の形状は球状とはいえず、また、均粒でもない。
本発明のチタンシリサイド粉末は、その用途として、例えば、ターゲット製造のための焼結原料粉末として利用されるが、一次粒子の形状が図2(a)に示すように均粒かつ球状である場合に、焼結によって得られたターゲット材の組織の緻密化・高密度化が図られ、また、ターゲット材の組織としても均一な組織が形成される。
一方、図2(b)に示す従来粉末にあっては、焼結によって、緻密化・高密度化が図られないばかりか、表面積の大きな二次粒子によって、特にO(酸素)の吸着量が増加するため、ターゲット材中の不純物成分含有量が増加し、あるいは、ターゲット材中における不純物含有量のバラツキが発生し、さらに、不均一組織の形成によって、パーティクル、ドロップレット、局部溶融、異常放電等の抑制効果が低下する。
本発明では、チタンシリサイド粉末の一次粒子を粗粒としているが、これは、一次粒子が微粒であると、チタンシリサイドが活性であるためターゲット材作製時にO(酸素)の吸着量が増大し、また、焼結密度が低下するためである。このような観点から、本発明では、D10を15μm以上とする。
しかし、チタンシリサイド粉末の一次粒子の粒径が過度に大きくなった場合(例えば、D90が145μmを超える場合)には、ターゲット材焼結時に組織の緻密化・高密度化を図ることができなくなることから、D90を145μm以下と定めた。
本発明では、ターゲット材の組織の均一性を高めるために、チタンシリサイド粉末の一次粒子が均粒であることが必要とされることから、一次粒子のD10を15μm以上、D50=45〜85μm、D90=145μm以下と定めた。
また、本発明でいうチタンシリサイド一次粒子が球状であるとは、次のとおりのものとして定義する。
即ち、図2(a)に示されるようなチタンシリサイド粒子のSEM観察において、観察領域における個々の粒子について、個々の粒子の最小径a及び最大径bを測定し、b/aによって算出される個々の粒子のアスペクト比を求めたとき、アスペクト比が1.0〜1.2である粒子が、観察領域における全一次粒子数の60〜90%(個数%)を占める場合に、チタンシリサイド一次粒子が球状であると定義する。
また、本発明のチタンシリサイド一次粒子に含有される不純物成分のうち、C(炭素)は600ppm以下、O(酸素)は2500ppm以下、N(窒素)は500ppm以下、Fe(鉄)は800ppm以下およびW(タングステン)は100ppm以下と定める。
これは、ターゲットを作製した際、上記いずれの不純物成分も、パーティクル、ドロップレット、局部溶融、異常放電の発生を引き起こすからである。
本発明の粗粒であり、かつ、均粒、球状のチタンシリサイド粉末は、以下の工程によって作製することができる。
まず、Ti原料としては、粒度D50が20〜40μmの均粒かつ球状であって、高純度(C(炭素)が100ppm以下、O(酸素)が1500ppm以下のアトマイズTi粉末を用いる。このアトマイズTi粉末中の不純物成分含有量を上記のとおり定めたのは、ターゲットを作製した際のターゲット中の不純物成分を可及的に少なくするためである。
また、Si原料としては、高純度(O(酸素)が1000ppm以下、Fe(鉄)が400ppm以下、W(タングステン)が100ppm以下)であって粒度が850μm以下の粗粒のSi粉末を用いる。Si粉末中の不純物成分は、ターゲットを作製した際のターゲット中の不純物成分を可及的に少なくするとの観点から、O(酸素)、Fe(鉄)およびW(タングステン)の許容含有量を上記のとおり定める。
ついで、前記のチタン原料粉末およびシリコン原料粉末を、不活性雰囲気のV型ミキサーで45分〜2時間混合し、この混合粉を、800〜1000℃の温度範囲かつ水素、真空、またはAr雰囲気中で30分以上2時間以内保持する一次熱処理を施す。
ついで、一次熱処理を施した混合粉末を粗粉砕した後、1100〜1400の温度範囲かつ水素、真空、またはAr雰囲気中で30分以上2時間以内保持する二次熱処理を施すことにより、Ti粉末とSi粉末を反応させ、シリサイド合成反応を行わせるとともに混合粉末を加熱して、チタンシリサイドからなる凝集体を作製する。
ついで、前記のチタンシリサイドからなる凝集体を、粗粉砕、微粉砕、篩分けすることにより、本発明の粗粒であり、かつ、均粒、球状のチタンシリサイド粉末を製造することができる。
前記製造方法により製造した粗粒であり、かつ、均粒、球状のチタンシリサイド粉末を、ホットプレスまたは熱間静水圧プレスにより焼結することにより、蒸着用ターゲット材を得ることができる。
ホットプレス、熱間静水圧プレスの条件については特に制限するものではないが、従来の条件、例えば、ホットプレスは温度:1000〜1200℃、圧力:250〜600kgf/cmで行えばよく、また、熱間静水圧プレスは温度:1000〜1200℃、圧力:1000〜2000kgf/cmで行えばよい。
本発明のチタンシリサイド粉末を用いて作製した蒸着用ターゲット材は、高密度であって緻密性にすぐれ、かつ、均一な組織が得られるとともに含有不純物量が少ないため、蒸着時のパーティクル、ドロップレット、局部溶融、異常放電の発生が抑制される。
本発明のチタンシリサイド粉末は、粗粒であり、かつ、均粒、球状であるため、O(酸素)等の不純物成分の吸着量が少なく、また、本発明のチタンシリサイド粉末を用いて蒸着用ターゲット材を作製した場合には、高密度であって緻密性にすぐれ、均一な組織が得られるとともに不純物成分含有量が少ないため、蒸着時のパーティクル、ドロップレット、局部溶融、異常放電の発生を抑制することができる。
また、本発明のチタンシリサイド粉末の製造方法によれば、Ti粉末とSi粉末のシリサイド合成反応を、一次熱処理と二次熱処理の2段階の熱処理として行うことにより、粒の凝着・粗大化を抑制して、粗粒であり、かつ、均粒、球状、さらに、不純物成分含有量の少ないチタンシリサイド粉末を製造することができる。
本発明のチタンシリサイド粉末(本発明粉末)と従来のチタンシリサイド粉末(従来粉末)の粒度分布の一例を併記して示す。 (a)は、本発明粉末のSEM像及び不純物成分であるC(炭素)、N(窒素)及びO(酸素)含有量の分析値の一例を示し、(b)は、従来粉末のSEM像及び不純物成分であるC(炭素)、N(窒素)及びO(酸素)含有量の分析値の一例を示す。
以下に、本発明について、実施例を用いて説明する
表1に示す粒度D50と不純物含有量のアトマイズTi粉末をTi原料粉末とし、また、同じく表1に示す粒度と不純物含有量のSi粉末をSi原料粉末とし、これらの原料粉末を混合し、不活性雰囲気下で1時間混合した。
この混合粉を、表2に示す条件で、かつ、水素、真空、またはAr雰囲気中で一次熱処理を施して得られた混合粉を粗粉砕した。ついで、表2に示す条件で、かつ、水素、真空、またはAr雰囲気中で二次熱処理を施して、シリサイド合成反応を行わせた。
二次熱処理を施した粉末を、粗粉砕、微粉砕、篩分けすることにより、本発明の粗粒であり、かつ、均粒、球状のチタンシリサイド粉末(以下、「本発明粉末」という)1〜6を製造した。
上記で得られた本発明粉末1〜6について、D10、D50、D90の各値、不純物成分としてのC(炭素)、O(酸素)、N(窒素)、Fe(鉄)およびW(タングステン)の各含有量、アスペクト比が1.0〜1.2である粒子(即ち、球状粒子)が、全一次粒子数に占める割合(個数%)を測定によって求めた。
表3に、その結果を示す。
なお、粒度、不純物含有量および球状粒子の割合の測定手法は、それぞれ、以下のとおりである。
得られた粉末の粒度分布は、レーザー回折・散乱法を用いて測定され、得られたD10(μm)、D50、D90の値を表3に示す。また、不純物については、酸素値と炭素値は赤外線吸収法、窒素は熱伝導度法にて測定した。鉄とタングステンは発光分光分析法にて測定した。球状粒子の割合は、500倍のSEM写真10視野において、アスペクト比が1.0〜1.2の範囲の粒子の個数を目視にてカウントした。

















比較のため、表1に示す粒度D50と不純物含有量のアトマイズTi粉末をTi原料粉末とし、また、同じく表1に示す粒度と不純物含有量のSi粉末をSi原料粉末とし、これらの原料粉末を混合し、不活性雰囲気で1時間混合した。
この混合粉を、表2に示す条件で、かつ、水素、真空、またはAr雰囲気中で一次熱処理を施して(なお、比較例粉末11〜14については、一次熱処理を施さず)、また、同じく表2に示す条件で、かつ、水素、真空、またはAr雰囲気中で二次熱処理を施して、脱水素反応とシリサイド合成反応を行わせた。
二次熱処理を施した粉末を、粗粉砕、微粉砕、篩分けすることにより、比較例のチタンシリサイド粉末(以下、「比較例粉末」という)7〜14を製造した。
上記で得られた比較例粉末7〜14について、本発明粉末1〜6と同様の測定法によってD10、D50、D90の各値、不純物成分としてのC(炭素)、O(酸素)、N(窒素)、Fe(鉄)およびW(タングステン)の各含有量、アスペクト比が1.0〜1.2である粒子(即ち、球状粒子)が、全一次粒子数に占める割合(個数%)を求めた。
表3に、その結果を示す。
表3から、本発明粉末1〜6は、比較例粉末に比べ、粗粒であり、かつ、均粒、球状のチタンシリサイド粉末であって、しかも、不純物含有量が極めて低いことが分かる。
つぎに、本発明粉末1〜6及び比較例粉末7〜14を用いて、ホットプレスにより焼結し、本発明ターゲット材1〜6及び比較例ターゲット材7〜14を作製した。
焼結条件は、ホットプレス温度:1000〜1200℃、圧力:250〜600kgf/cm、時間:30〜120分である。
上記で作製した各ターゲット材を機械加工して、直径:300mm、厚さ:5mmの本発明ターゲット1〜6及び比較例ターゲット7〜14を作製し、これを無酸素銅製冷却板にIn−Sn共晶はんだを用いてはんだ付けした後、スパッタリング装置に取り付け、Siウエハ上にチタンシリサイド薄膜を形成することにより、本発明ターゲット1〜6と比較例ターゲット7〜14のパーティクルの発生状況と放電特性について調査した。
スパッタリング条件は、以下のとおりである。
基板:Siウエハ(直径200mm)、
基板温度:200℃、
基板とターゲットの距離:50mm、
スパッタガス:7.5TorrのAr、
投入電力:1.2kw、
成膜時間:2分
上記条件で、スパッタリングし、基板である100枚のSiウエハにチタンシリサイド薄膜を形成した後、市販のパーティクルカウンターにてSiウエハ上に形成された粒径:0.3μm以上のパーティクル数をカウントし、その平均値を求めた。
また、放電特性については、スパッタリング時に、異常放電が発生した回数をカウントし、また、ターゲットの局部溶融の発生については、成膜終了後のターゲット表面の状態から評価した。
表4に、これらの結果を示す。

表4に示されるように、本発明ターゲット1〜6は、比較例ターゲット7〜14と比較して、パーティクル発生数が少なく、異常放電の回数、局部溶融の発生数も少なく、ターゲットとしてのすぐれた特性を備えることが分かる。
以上のとおり、本発明のチタンシリサイド粉末は、粗粒であり、かつ、均粒、球状であるため、不純物成分の含有量が少ないため、本発明のチタンシリサイド粉末から作製した蒸着用ターゲットは、パーティクル、ドロップレット、局部溶融、異常放電の発生が少ないというすぐれた特性を発揮するので、LSI、VSLIなどの半導体デバイスにおける電極、コンタクト材等として用いられる薄膜形成用チタンシリサイド蒸着ターゲットとして有用である。

Claims (4)

  1. 一次粒子が均粒かつ球状であって、D10が15μm以上、D50が45〜85μmおよびD90が145μm以下である粒度分布を有し、一次粒子中に含有される不純物成分のうち、C(炭素)は600ppm以下、O(酸素)は2500ppm以下、N(窒素)は500ppm以下、Fe(鉄)は800ppm以下およびW(タングステン)は100ppm以下であることを特徴とする粗粒であり、かつ、均粒、球状のチタンシリサイド粉末。
  2. 一次粒子のうち、アスペクト比が1.0〜1.2である粒子が、全一次粒子数の60〜90%(個数%)を占めることを特徴とする請求項1に記載の粗粒であり、かつ、均粒、球状のチタンシリサイド粉末。
  3. 請求項1または2に記載のチタンシリサイド粉末を、ホットプレスまたは熱間静水圧プレスにより焼結した焼結体からなることを特徴とする蒸着用ターゲット材。
  4. 請求項1または2に記載のチタンシリサイド粉末の製造方法であって、チタン原料粉末として、粒度D50が20〜40μmの球状かつ均粒であって、不純物成分としてのC(炭素)が100ppm以下、O(酸素)が1500ppm以下のアトマイズTi粉末を用意し、シリコン原料粉末として、粒度が850μm以下の粗粒で、不純物成分としてのO(酸素)が1000ppm以下、Fe(鉄)が400ppm以下、W(タングステン)が100ppm以下のシリコン粉末を用意し、前記チタン原料粉末およびシリコン原料粉末を混合し、800〜1000℃の温度範囲かつ水素、真空、またはAr雰囲気中で30分以上2時間以内保持する一次熱処理を施し、次いで、1100〜1400の温度範囲かつ水素、真空、またはAr雰囲気中で30分以上2時間以内保持する二次熱処理を施すとともに焼結し、得られたチタンシリサイド焼結体を解粉処理することを特徴とする請求項1または2に記載の粗粒であり、かつ、均粒、球状のチタンシリサイド粉末の製造方法。





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