JP2016168545A - 重金属処理材及び重金属含有飛灰洗浄液の処理方法 - Google Patents

重金属処理材及び重金属含有飛灰洗浄液の処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016168545A
JP2016168545A JP2015050081A JP2015050081A JP2016168545A JP 2016168545 A JP2016168545 A JP 2016168545A JP 2015050081 A JP2015050081 A JP 2015050081A JP 2015050081 A JP2015050081 A JP 2015050081A JP 2016168545 A JP2016168545 A JP 2016168545A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heavy metal
fly ash
treatment
cleaning liquid
ash washing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015050081A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6610855B2 (ja
Inventor
真 美藤
Makoto Mifuji
真 美藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toda Kogyo Corp
Original Assignee
Toda Kogyo Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toda Kogyo Corp filed Critical Toda Kogyo Corp
Priority to JP2015050081A priority Critical patent/JP6610855B2/ja
Publication of JP2016168545A publication Critical patent/JP2016168545A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6610855B2 publication Critical patent/JP6610855B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E50/00Technologies for the production of fuel of non-fossil origin
    • Y02E50/10Biofuels, e.g. bio-diesel

Landscapes

  • Removal Of Specific Substances (AREA)

Abstract

【課題】 本発明は、飛灰洗浄液中に溶出した重金属含有飛灰洗浄液の処理方法であり、簡便な処理操作で複数の重金属濃度を同時に排水基準値未満まで処理でき、pHの排水基準も満足することができる重金属処理材及び重金属含有飛灰洗浄液の処理方法を提供する。【解決手段】 飛灰洗浄液のpHを8〜10に調整した後、該飛灰洗浄液に、塩化バリウム、硫酸第一鉄及び酸化マグネシウムを、バリウム、鉄及びマグネシウムの配合モル比率がBa/Fe=3〜50、Ba/Mg=0.4〜5、Mg/Fe=3〜25となるように存在させて、飛灰洗浄液中の重金属を処理する重金属含有飛灰洗浄液の処理方法である。【選択図】 なし

Description

本発明は、飛灰洗浄液中に溶出した重金属を処理することができる重金属処理材及びそれを用いた重金属処理方法に関する。より詳細には、特定の配合比率のBa、Fe、Mgを含有する重金属処理材及びそれを用いた重金属処理方法に関する。
廃棄物の焼却炉や溶融炉等で発生する焼却飛灰はpH12以上の高アルカリ性を示し、各種アルカリ金属やアルカリ土類金属塩を高濃度で含有するとともに有害な重金属を含む場合が多い。また飛灰中には高濃度で塩素を含有する場合があり、通常、飛灰を洗浄することで塩素分を除去した後、処分あるいはセメント原料等に再利用される。しかしながら、その洗浄液中にはSe,Pb等の重金属類が溶出するケースが多く、洗浄液は各重金属の排水基準未満まで適切に処理しなければならない。Seの排水基準は0.1mg/l未満であり、Pbの排水基準は0.1mg/l未満である。
従来、飛灰洗浄液中の重金属類の除去方法には、被処理液中に水硫化ソーダ等の硫化剤及び第一鉄化合物又は第二鉄化合物を添加して析出物を濾過分離する方法が提案されている(特許文献1)。また、重金属の種類によっては処理が困難なため、別工程での廃水と混合・希釈して濃度を低減する措置も取られている。
Se,Pb等の各種重金属イオンの処理材としては、炭酸マグネシウム及び/又は水酸化マグネシウムを主成分とする鉱物を650〜1,000℃で焼成して得た軽焼マグネシアの一部を水和してなる軽焼マグネシア部分水和物が提案されている(特許文献2)。炭酸マグネシウム(MgCO)と炭酸カルシウム(CaCO)とを主成分として含む鉱物が軽焼されてなり、且つ前記MgCOが脱炭酸されることで生成されるMgCxOy(但し、0<x≦1、0<y<3を満たす。)と、MgCOと、CaCOとを含む軽焼生成物を含有する重金属溶出低減材といったMgOを主体とする処理材が提案されている(特許文献3)。
特開2010−051868号公報 特開2012−177051号公報 特開2013−230447号公報
しかしながら、飛灰洗浄液のような高濃度塩類を含む溶液中の微量重金属類を処理するためには多量に処理材を添加する必要があるとともに、難処理性のセレン等の金属については基準値未満まで処理出来ず、より簡便にかつ経済的に除去できる飛灰洗浄液中の重金属処理材及び処理方法は未だ提供されていない。
即ち、前出特許文献1には、被処理液中に水硫化ソーダ等の硫化剤及び第一鉄化合物又は第二鉄化合物を添加して析出物を濾過分離する方法が記載されているが、これらの方法では、鉛については排水基準値である0.1mg/l未満を達成可能であるが、セレンについては基準値0.1mg/lをクリアできない。また、前出特許文献1には、別工程の水処理との混合希釈によりセレン濃度を低下させる方法が記載されているが、実質的にはセレンを処理できているとは言い難い。
また、使用される硫化剤は酸溶液との接触等に伴い、有害な硫化水素を発生するために作業性の面で取扱いにくいものであった。
重金属イオンの処理材として、前出特許文献2には、炭酸マグネシウム及び/又は水酸化マグネシウムを主成分とする鉱物を650〜1,000℃で焼成して得た軽焼マグネシアの一部を水和してなる軽焼マグネシア部分水和物が記載されており、前出特許文献3には、炭酸マグネシウム(MgCO)と炭酸カルシウム(CaCO)とを主成分として含む鉱物が軽焼されてなり、且つ前記MgCOが脱炭酸されることで生成されるMgCxOy(但し、0<x≦1、0<y<3を満たす。)と、MgCOと、CaCOとを含む軽焼生成物を含有する重金属溶出低減材が記載されている。しかしながら、いずれの処理材も飛灰洗浄液のような高塩濃度かつ難処理性のセレンを含む複数の重金属を含有する廃水に対しては、排水基準値未満まで同時にかつ簡便に除去する方法についての記載はなく、これらの重金属含有廃水に対して有効な重金属処理材及び重金属処理方法は今まで存在しなかった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、飛灰洗浄液中に含有される重金属廃水に対して、簡便、かつ、経済的に、処理水中の複数の重金属の重金属濃度を同時に排水基準値未満に処理することを目的とする。
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
即ち、本発明は、飛灰洗浄液のpHを8〜10に調整した後、該飛灰洗浄液に、塩化バリウム、硫酸第一鉄及び酸化マグネシウムを、バリウム、鉄及びマグネシウムの配合モル比率がBa/Fe=3〜50、Ba/Mg=0.4〜5、Mg/Fe=3〜25となるように存在させて、飛灰洗浄液中の重金属を処理することを特徴とする重金属含有飛灰洗浄液の処理方法である(本発明1)。
また、本発明は、飛灰洗浄液中に溶存するCa、SO濃度が500〜10000mg/lであり、pHが12以上である本発明1に記載の重金属含有飛灰洗浄液の処理方法である(本発明2)。
また、本発明は、飛灰洗浄液中の重金属種がSe及びPbを含み、更に、Cr、F、B、As、Cdから選ばれるいずれか一種以上を含む本発明1又は2に記載の重金属含有飛灰洗浄液の処理方法である(本発明3)。
また、本発明は、処理した後の処理水pHが5.8〜8.6である本発明1〜3のいずれかに記載の重金属含有飛灰洗浄液の処理方法である(本発明4)。
また、本発明は、塩化バリウム、硫酸第一鉄及び酸化マグネシウムを混合物の状態で、飛灰洗浄液に添加する本発明1〜4のいずれかに記載の重金属含有飛灰洗浄液の処理方法である(本発明5)。
また、本発明は、塩化バリウム、硫酸第一鉄及び酸化マグネシウムの混合物からなる重金属処理材であって、前記重金属処理材中のバリウム、鉄及びマグネシウムの配合モル比率がBa/Fe=3〜50、Ba/Mg=0.4〜5、Mg/Fe=3〜25であることを特徴とする重金属処理材である(本発明6)。
本発明に係る重金属含有飛灰洗浄液の処理方法により、飛灰洗浄液のような高塩濃度かつ難処理性のSeを含む廃水中に存在する重金属を排水基準値未満まで簡便にかつ効率的に除去できる。
また、本発明に係る重金属含有飛灰洗浄液の処理方法では、処理後の処理水pHを排水基準値内とすることが可能であり、廃水の処理前後におけるpH調整薬剤の使用量を低減でき、より経済的に廃水を処理することができる。
また、本発明に係る重金属処理材を用いることによって、飛灰洗浄液のような高塩濃度かつ難処理性のSeを含む廃水中に存在する重金属を排水基準値未満まで簡便にかつ効率的に除去でき、また、洗浄液の処理後のpHを排水基準値内とすることが可能であり、廃水の処理前後におけるpH調整薬剤の使用量を低減でき、より経済的に廃水を処理することができる。
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
まず、本発明に係る重金属含有飛灰洗浄液の処理方法について述べる。
本発明における重金属汚染物は、石炭火力発電所から発生した石炭灰やバイオマス燃料等の燃焼により発生するボイラー飛灰、セメント製造工程から排出される塩素バイパスダスト、ペーパースラッジ由来の焼却灰等の各種飛灰を対象とする。
本発明は、前記のような重金属を含有した飛灰を水で洗浄した際に発生する重金属含有飛灰洗浄液に対して、所定の化合物を添加して各重金属濃度を排水基準値未満まで低減させる。
飛灰の洗浄は、通常、飛灰100質量部に対して水を100〜1000質量部添加して撹拌・混合後、フィルタープレス等にて飛灰と洗浄液とに固液分離する。
得られた飛灰洗浄液は、pHが12以上のアルカリ性を示し、溶液中には高濃度のK、Na、Clの他、Se、Pb及び各種重金属類、Ca、SOを含み、Ca、SOの濃度としては500〜10000mg/l含有する。飛灰洗浄液中に、更に、Cr、F、B、As、Cdから選ばれるいずれか一種以上の元素及びその化合物を含んでいても、本発明に係る処理方法によって、各重金属を所定の濃度以下に低減することができる。
本発明における飛灰洗浄液中にはCa、SO濃度が、それぞれ、500〜10000mg/lの範囲で含有されることが好ましい。
この濃度範囲を下回る場合には適宜薬剤等を添加して本濃度範囲に調整することができる。逆に濃度範囲を上回る場合には処理自体は可能であるが、場合によっては処理材の添加量が増加する傾向にあるため経済的に好ましくないため、前記範囲となるように希釈など行うことが好ましい。
Ca及びSOの濃度調整に用いる薬剤として、Caについては塩化カルシウム等が使用でき、SOについては硫酸溶液、硫酸ナトリウム等が使用できるが、液中に溶解してCa、SOを放出する物質であれば特に限定されるものではない。
本発明に係る重金属含有飛灰洗浄液の処理方法は、上記飛灰洗浄液に対して酸溶液を添加してpHを8〜10に調整する。pHが8未満では使用する酸溶液量が増加するとともに重金属処理性の悪化、処理水pHの低下を引き起こすため好ましくない。またpHが10を超えると重金属処理性が低下するとともに処理水pHが高くなるため好ましくない。
上記酸溶液には塩酸、硫酸等の一般的な酸を用いることができる。
本発明に係る重金属含有飛灰洗浄液の処理方法では、pH調整後の洗浄液に、塩化バリウム、硫酸第一鉄及び酸化マグネシウムを添加する。塩化バリウム、硫酸第一鉄及び酸化マグネシウムはそれぞれを単独で添加しても良く、また、後述するようにあらかじめ混合した状態で添加しても良く、飛灰洗浄液中に所定のモル比で存在するようにすればよい。
塩化バリウム、硫酸第一鉄、酸化マグネシウムの存在比率はバリウム、鉄、及びマグネシウムのモル比率としてBa/Fe=3〜50、Ba/Mg=0.4〜5、Mg/Fe=3〜25である。これらのモル比率の範囲を外れると、重金属処理性が低下する傾向にあり、処理水pHも排水基準を外れて別途pH調整が必要となるために処理コスト高につながる。好ましい配合割合はBa/Feが3〜40であり、より好ましくは3〜32であって、Ba/Mgは0.4〜5であって、Mg/Feは3.5〜20であり、より好ましくは4〜17である。
本発明における塩化バリウムとしては、塩化バリウム2水和物、塩化バリウム無水和物等が挙げられる。粒径としては特に制限はないが、5mm以下のものが好ましく、さらに好ましくは2mm以下のものが好ましい。
本発明における硫酸第一鉄は、硫酸第一鉄七水和物、硫酸第一鉄一水和物、硫酸第一鉄無水和物等が挙げられる。粒径としては特に制限はないが、5mm以下のものが好ましく、さらに好ましくは2mm以下のものが好ましい。
本発明における酸化マグネシウムは、炭酸マグネシウム及び水酸化マグネシウムを主成分とする固形物を700〜1000℃で焼成した焼成物等が挙げられる。
前記炭酸マグネシウム及び/又は水酸化マグネシウムを主成分とする固形物としてはブルサイト、マグネサイト、ドロマイト等が挙げられるが特に制限はない。
酸化マグネシウム中にCa、Si化合物等の不純物を含んであっても特に問題はないが、MgOの含有率としては75%以上が好ましく、より好ましくは80%以上である。
前記酸化マグネシウムの平均粒子径は5〜500μmが好ましく、より好ましくは10〜200μmである。5μm未満では粉体のハンドリング性が低下するため好ましくない。また500μmを超えると重金属処理性が低下するとともに、処理後の固液分離性が悪化する。
本発明における塩化バリウム、硫酸第一鉄及び酸化マグネシウムの合計添加量は、得られた飛灰洗浄液中の重金属濃度等により依存するが、洗浄液1mあたり0.1〜50kgが好ましく、0.3〜30kgがより好ましい。添加量が0.1kg未満では重金属の除去が不十分であり、50kgを超えると除去性は十分であるが、過剰添加となりコスト高につながる。飛灰の洗浄液と塩化バリウム、硫酸第一鉄及び酸化マグネシウムとの混合方法は特に限定されるものではない。
飛灰の洗浄液に塩化バリウム、硫酸第一鉄及び酸化マグネシウムを添加して混合処理した後は、重金属を含んだ固形物を固液分離することで重金属濃度が排水基準値未満まで低下した処理水を得ることが出来る。
得られた処理水のpHは排水基準である5.8〜8.6の範囲内であり、後工程でpHを調整する必要が無い。
次に、本発明に係る重金属処理剤について述べる。
本発明に係る重金属処理材は、塩化バリウム、硫酸第一鉄及び酸化マグネシウムの混合物である。重金属処理材中の塩化バリウム、硫酸第一鉄、酸化マグネシウムの含有比率を、バリウム、鉄、及びマグネシウムの配合モル比率としてBa/Fe=3〜50、Ba/Mg=0.4〜5、Mg/Fe=3〜25となるように混合すればよい。好ましい配合割合はBa/Feが3〜40であり、より好ましくは3〜32であって、Ba/Mgは0.4〜5であって、Mg/Feは3.5〜20であり、より好ましくは4〜17である。
塩化バリウム、硫酸第一鉄としては、前記各種化合物を用いることができる。それらの粒径としては特に制限はないが、5mm以下のものが好ましく、さらに好ましくは2mm以下のものが好ましい。また、酸化マグネシウムにおいても、前記各種化合物を用いることができ、その粒径としては特に制限はないが、平均粒子径は5〜500μmが好ましく、より好ましくは10〜200μmである。5μm未満では粉体のハンドリング性が低下するため好ましくない。また500μmを超えると重金属処理性が低下するとともに、処理後の固液分離性が悪化する。
本発明に係る重金属処理材のBET比表面積値は1〜15m/gが好ましく、より好ましくは3〜10m/gである。BET比表面積値が1m/g未満の場合には、重金属イオンと重金属処理材の接触面積が小さく処理性が低下するので好ましくない。15m/gを超える場合には、重金属の処理性には問題ないが、粉体の取扱い性の悪化とともに、重金属処理後の固液分離性が悪化する。
次に、本発明に係る重金属処理材の製造方法について述べる。
本発明における重金属処理材は、バリウム原料と鉄原料とマグネシウム原料とを混合、粉砕することで得ることができる。
3種類の原料の混合及び粉砕は一度に実施しても良いが、2つの原料を混合・粉砕後に残り1つの原料を混合・粉砕しても良く、混合・粉砕する原料の順序や粉砕と混合の順序には特に制限はない。
また所定の粒径及びBET値とするため、場合によって粉砕処理を実施しても良く、混合のみで所定のBET値及び粒子径が得られる場合には粉砕を省略することもできる。
混合を行う乾式装置としては、らいかい機、リボンミキサー、ニーダ、パグミル、サンドミル、ヘンシシェルミキサーなどの固定容器型、コンクリートミキサーなどの回転容器型等を用いることができる。
粉砕を行う装置としてはボールミル、自由式粉砕機、ハンマーミル等を用いることができる。
<作用>
本発明において重要な点は、本発明に係る重金属含有飛灰洗浄液の処理方法を用いることにより、高塩濃度かつ複数の重金属を含有する飛灰洗浄液でも各重金属濃度を同時に排水基準未満に低減し、なおかつ処理水pHも排水基準に合致するために処理工程の簡素化及び薬剤使用量の低減が可能であるという事実である。
従来の重金属処理材およびそれを用いた重金属含有廃水の処理方法は、飛灰洗浄液のような高濃度の塩類やCa、SOといった共存物質の存在により、多種類でかつ濃度の異なる重金属類を同時に排水基準値未満まで、簡便にかつ経済的に低減することはできなかった。
本発明に係る重金属含有飛灰洗浄液の処理方法は、高濃度の共存物質存在下であっても、鉛、六価クロム、ヒ素等の他、難処理性のセレンに対しても安定した処理性を有するとともに、処理前のpH調整のみで処理することが可能であることから薬剤使用量を低減できる。
また、本発明に係る重金属処理材は、飛灰洗浄液中に添加し撹拌することで沈殿生成とフロックの成長が促進され、固液分離性にも優れる。
本発明の代表的な実施の形態は次の通りである。
本発明における重金属処理材のBET比表面積値はBET法により測定した値で示した。
本発明における飛灰洗浄液中及び処理液中のK、Na、Ca、S、B濃度の分析は、「プラズマ発光分光分析装置(ICP)iCAP6300(サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製)」で測定して求めた。またF濃度はJIS K 0102 34.1に基づき吸光光度法により測定し、Cl濃度は「イオンクロマト(IC)ICA−2000(東亜ディーケーケー(株)製)」を用いて測定し、Se、Pb、Cr、Cd濃度はICP質量分析法により測定して求めた。
(処理材1)
塩化バリウム二水和物18g、硫酸第一鉄一水和物0.4g、酸化マグネシウム1.6gを同時に混合してBa、Fe、Mgの配合モル比率がそれぞれBa/Fe=31.3、Ba/Mg=1.9、Mg/Fe=16.9の重金属処理材を調製した。得られた重金属処理材のBET比表面積は4.3m/gであった。
(処理材2〜14)
重金属処理材に含まれるBa、Fe、Mgの配合モル比率を変えた以外は処理材1と同様に調製した。
重金属処理材の配合量及び配合組成を表1に示す。
Figure 2016168545
(飛灰洗浄液)
・原水(1)
バイオマスの燃焼に伴いボイラーから発生した飛灰300gに対して水600gを加えて撹拌・洗浄・濾過した濾液を飛灰洗浄液とした。飛灰洗浄液中には重金属としてSe2.1mg/l、Pb33.0mg/lを含有し、その他の主な共存物質としてK2.2%、Na0.7%、Cl10.0%、Ca1850mg/l、SO5370mg/lを含有し、pHは12.7、電気伝導率は180mS/cmであった。
・原水(2)
原水(1)に二クロム酸カリウム、フッ化ナトリウム、ホウ酸、亜ヒ酸ナトリウム、硝酸カドミウムを添加してCr0.9mg/l、F2.3mg/l、B1.2mg/l、As0.4mg/l、Cd0.5mg/lを含有させた原水(2)を調製した。
実施例1
飛灰洗浄液(原水(1))100mlを撹拌しながら硫酸を添加してpHを9.3に調整した後、処理材1を1.5g添加して2時間撹拌した。その後撹拌を止めて10分間静置し、生成した沈殿物の様子を観察した。静置後の上澄み液を0.45μmのメンブレンフィルターにて濾過して、得られた濾液中の重金属濃度及びpHを測定した。
実施例2
実施例1において、原水(1)のpHを9.4、処理材2を用いた以外は同様に処理操作を実施した。
実施例3
実施例1において、原水(1)のpHを9.1、処理材3を用いた以外は同様に処理操作を実施した。
実施例4
実施例1において、原水(1)のpHを8.9、処理材4を用いた以外は同様に処理操作を実施した。
実施例5
実施例1において、原水(1)のpHを9.5、処理材5を用いた以外は同様に処理操作を実施した。
実施例6
実施例1において、原水(1)のpHを9.4、処理材6を用いた以外は同様に処理操作を実施した。
実施例7
実施例5において、原水(1)に代えて原水(2)を用い、pHを8.8とした以外は同様に処理操作を実施した。
比較例1
飛灰洗浄液(原水(1))100mlを撹拌しながら硫酸を添加してpHを9.3に調整した後、処理材7を1.5g添加して2時間撹拌した。その後撹拌を止めて10分間静置し、生成した沈殿物の様子を観察した。その後上澄み液を0.45μmのメンブレンフィルターにて濾過して、得られた濾液中の重金属濃度及びpHを測定した。
比較例2
比較例1において原水(1)のpHを9.3、処理材8を用いた以外は同様に処理操作を実施した。
比較例3
比較例1において原水(1)のpHを9.4、処理材9を用いた以外は同様に処理操作を実施した。
比較例4
比較例1において原水(1)のpHを9.2、処理材10を用いた以外は同様に処理操作を実施した。
比較例5
比較例1において原水(1)のpHを9.2、処理材11を用いた以外は同様に処理操作を実施した。
比較例6
比較例1において原水(1)のpHを9.2、処理材12を用いた以外は同様に処理操作を実施した。
比較例7
比較例1において原水(1)のpHを9.3、処理材13処理材を用いた以外は同様に処理操作を実施した。
比較例8
比較例1において原水(1)のpHを9.1、処理材14を用いた以外は同様に処理操作を実施した。
比較例9
実施例4において原水(1)のpHを11.3とした以外は同様に処理操作を実施した。
比較例10
実施例4において原水(1)のpHを6.1とした以外は同様に処理操作を実施した。
各種処理材を用いた場合の処理水中の重金属濃度、処理水pH、固液分離性の結果を表2に示す。
Figure 2016168545
表2の実施例1〜6では処理材中のBa、Fe、Mgの配合モル比率の範囲がそれぞれBa/Fe=3〜50、Ba/Mg=0.4〜5、Mg/Fe=3〜25とした重金属処理材を用いており、これらの処理材を用いた場合には飛灰洗浄液中の各重金属濃度はいずれも排水基準値未満を達成した。更に処理水のpHについても排水基準の5.8〜8.6の範囲内であり、別途pH調整を行う必要がなかった。
また処理後の沈殿生成物の沈降性も良く、撹拌停止後10分間静置した後の上澄み液はほぼ透明となり、固液分離性にも優れていた。
実施例7ではCr、F、B、As、Cdを追加で添加した排水を用いた場合でも全ての重金属について処理できていた。
一方、比較例1〜8では処理材中のBa、Fe、Mgの配合モル比率がBa/Fe=3〜50、Ba/Mg=0.4〜5、Mg/Fe=3〜25の範囲から外れた重金属処理材を用いており、これらの処理材を用いた場合には処理液中の重金属濃度が排水基準値を上回った。
また、処理後のpHについても排水基準の範囲から外れる場合があったため、別途pH調整を行う必要があった。
更に、重金属処理後の沈殿生成物の沈降性も悪く、静置後の上澄み液にも生成物が一部浮遊したSSが見られた。
また、比較例9では、本発明の原水pH調整範囲を上回るpH11.3とした場合であり、処理後のSe濃度が基準値を超過するとともにPb濃度は大幅に基準値を上回った。また処理水pHも基準値の範囲から外れていた。
比較例10では、本発明の原水pH調整範囲を下回るpH6.1とした場合であり、処理後のPb濃度が超過し、SeとPbを同時に基準値未満まで処理することが出来なかった。
本発明に係る重金属含有飛灰洗浄液の処理方法は、飛灰洗浄液のような高塩濃度で複数の重金属を含む廃水に対して、簡便な処理操作で各種重金属濃度を同時に排水基準値未満まで処理でき、処理後のpH調整も不要であり好適である。

Claims (6)

  1. 飛灰洗浄液のpHを8〜10に調整した後、該飛灰洗浄液に、塩化バリウム、硫酸第一鉄及び酸化マグネシウムを、バリウム、鉄及びマグネシウムの配合モル比率がBa/Fe=3〜50、Ba/Mg=0.4〜5、Mg/Fe=3〜25となるように存在させて、飛灰洗浄液中の重金属を処理することを特徴とする重金属含有飛灰洗浄液の処理方法。
  2. 飛灰洗浄液中に溶存するCa、SO濃度が500〜10000mg/lであり、pHが12以上である請求項1に記載の重金属含有飛灰洗浄液の処理方法。
  3. 飛灰洗浄液中の重金属種がSe及びPbを含み、更に、Cr、F、B、As、Cdから選ばれるいずれか一種以上を含む請求項1又は2に記載の重金属含有飛灰洗浄液の処理方法。
  4. 処理した後の処理水pHが5.8〜8.6である請求項1〜3のいずれかに記載の重金属含有飛灰洗浄液の処理方法。
  5. 塩化バリウム、硫酸第一鉄及び酸化マグネシウムを混合物の状態で、飛灰洗浄液に添加する請求項1〜4のいずれかに記載の重金属含有飛灰洗浄液の処理方法。
  6. 塩化バリウム、硫酸第一鉄及び酸化マグネシウムの混合物からなる重金属処理材であって、前記重金属処理材中のバリウム、鉄及びマグネシウムの配合モル比率がBa/Fe=3〜50、Ba/Mg=0.4〜5、Mg/Fe=3〜25であることを特徴とする重金属処理材。
JP2015050081A 2015-03-12 2015-03-12 重金属処理材及び重金属含有飛灰洗浄液の処理方法 Active JP6610855B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015050081A JP6610855B2 (ja) 2015-03-12 2015-03-12 重金属処理材及び重金属含有飛灰洗浄液の処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015050081A JP6610855B2 (ja) 2015-03-12 2015-03-12 重金属処理材及び重金属含有飛灰洗浄液の処理方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016168545A true JP2016168545A (ja) 2016-09-23
JP6610855B2 JP6610855B2 (ja) 2019-11-27

Family

ID=56981875

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015050081A Active JP6610855B2 (ja) 2015-03-12 2015-03-12 重金属処理材及び重金属含有飛灰洗浄液の処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6610855B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106554063A (zh) * 2016-11-21 2017-04-05 王松鹤 一种水体除硼方法
DE102017119754A1 (de) 2016-08-30 2018-03-01 Denso Corporation Anlasssystem einer maschine

Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0959008A (ja) * 1995-08-21 1997-03-04 Miyoshi Oil & Fat Co Ltd セレンを含む溶液からのセレンの回収方法
JPH11199227A (ja) * 1998-01-16 1999-07-27 Toshiba Plant Kensetsu Co Ltd 飛灰から化学原料を回収する方法
JP2000512687A (ja) * 1996-05-20 2000-09-26 アペックス・リズィデュー・リカバリー・インコーポレーテッド 鉛塩の回収を含むフライアッシュ/apc残留物の処理
JP2002126758A (ja) * 2000-10-30 2002-05-08 Taiheiyo Cement Corp 廃水処理方法
JP2004512930A (ja) * 2001-10-26 2004-04-30 ノーブ テクノロジー インベストメンツ エルティーディー 水処理用プロセスおよび組成物
JP2005288378A (ja) * 2004-04-02 2005-10-20 Ebara Corp 重金属類を含む汚染媒体の処理方法及び処理剤
JP2007516922A (ja) * 2003-12-24 2007-06-28 マウント・アスパイアリング・ジオケミストリー・コンサルタンツ・プロプライエタリー・リミテッド 流体処理用多孔性粒状材料、セメント系組成物およびそれらの製造方法
JP2007268398A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Taiheiyo Cement Corp 焼却灰の処理方法及び処理設備
JP2010088991A (ja) * 2008-10-07 2010-04-22 Waseda Univ 水処理剤及び水処理方法
JP2010227898A (ja) * 2009-03-30 2010-10-14 Taiheiyo Cement Corp セレン及びフッ素を含む溶液の処理方法並びに処理装置
JP2010234306A (ja) * 2009-03-31 2010-10-21 Dowa Eco-System Co Ltd セレンの不溶化処理方法
JP2012177051A (ja) * 2011-02-28 2012-09-13 Taiheiyo Cement Corp 重金属等処理材

Patent Citations (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0959008A (ja) * 1995-08-21 1997-03-04 Miyoshi Oil & Fat Co Ltd セレンを含む溶液からのセレンの回収方法
JP2000512687A (ja) * 1996-05-20 2000-09-26 アペックス・リズィデュー・リカバリー・インコーポレーテッド 鉛塩の回収を含むフライアッシュ/apc残留物の処理
US6319482B1 (en) * 1996-05-20 2001-11-20 Apex Residue Recovery Inc. Treatment of fly ASH/APC residues including lead salt recovery
JPH11199227A (ja) * 1998-01-16 1999-07-27 Toshiba Plant Kensetsu Co Ltd 飛灰から化学原料を回収する方法
JP2002126758A (ja) * 2000-10-30 2002-05-08 Taiheiyo Cement Corp 廃水処理方法
JP2004512930A (ja) * 2001-10-26 2004-04-30 ノーブ テクノロジー インベストメンツ エルティーディー 水処理用プロセスおよび組成物
JP2007516922A (ja) * 2003-12-24 2007-06-28 マウント・アスパイアリング・ジオケミストリー・コンサルタンツ・プロプライエタリー・リミテッド 流体処理用多孔性粒状材料、セメント系組成物およびそれらの製造方法
JP2005288378A (ja) * 2004-04-02 2005-10-20 Ebara Corp 重金属類を含む汚染媒体の処理方法及び処理剤
JP2007268398A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Taiheiyo Cement Corp 焼却灰の処理方法及び処理設備
JP2010088991A (ja) * 2008-10-07 2010-04-22 Waseda Univ 水処理剤及び水処理方法
JP2010227898A (ja) * 2009-03-30 2010-10-14 Taiheiyo Cement Corp セレン及びフッ素を含む溶液の処理方法並びに処理装置
JP2010234306A (ja) * 2009-03-31 2010-10-21 Dowa Eco-System Co Ltd セレンの不溶化処理方法
JP2012177051A (ja) * 2011-02-28 2012-09-13 Taiheiyo Cement Corp 重金属等処理材

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102017119754A1 (de) 2016-08-30 2018-03-01 Denso Corporation Anlasssystem einer maschine
CN106554063A (zh) * 2016-11-21 2017-04-05 王松鹤 一种水体除硼方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6610855B2 (ja) 2019-11-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN101962239B (zh) 一种钛白废水的净化方法
JP5239718B2 (ja) 重金属類を含有する排水の水処理方法
WO2014166400A1 (zh) 污泥或土壤处理方法以及重金属成分稳定化药剂
RU2688072C1 (ru) Способ извлечения ванадия и хрома из ванадиево-хромовых шлаков
JP5682809B2 (ja) 重金属またはフッ素の溶出低減材の製造方法
WO2008027446A2 (en) Process for recycling waster acid
JP5831914B2 (ja) 水処理方法
JP5451323B2 (ja) 水処理方法
JP5257469B2 (ja) 排水中の有害物の除去剤とそれを使用した除去方法
JP6610855B2 (ja) 重金属処理材及び重金属含有飛灰洗浄液の処理方法
KR101505518B1 (ko) 시멘트 바이패스 더스트를 사용한 염화칼륨 제조 방법
JP2007237075A (ja) フッ素イオンを含有する排水の処理方法および排水処理剤
JP4306422B2 (ja) セメントキルン抽気ダストの処理方法
JP5240109B2 (ja) 排水中のフッ素イオンの除去剤とそれを使用したフッ素イオンの除去方法
JP2005103476A (ja) セメントキルン抽気ダストの処理方法
JP5206453B2 (ja) セメントキルン抽気ダストの処理方法
TWI469821B (zh) 含重金屬的固態物的處理方法
JP2010082497A (ja) 水処理剤及び水処理方法
JP6699388B2 (ja) 鉱山廃水の処理方法
TWI694057B (zh) 石膏的製造方法及水泥組成物的製造方法
JP5206455B2 (ja) セメントキルン抽気ダストの処理方法
JP2006136843A (ja) セレン含有水の処理方法
KR101707769B1 (ko) 수처리제 제조방법 및 그에 의해 제조되는 수처리제
JP2010234306A (ja) セレンの不溶化処理方法
JP5716892B2 (ja) 汚泥の洗浄方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180305

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190206

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190408

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191002

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191015

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6610855

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250