JP2004512930A - 水処理用プロセスおよび組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ボーキサイト精錬残渣中に存在する実質的に全ての水酸化物、炭酸塩、フッ化物およびシュウ酸塩イオンが反応するのに十分なカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンを含有する水で、処理された精錬残渣が反応pH10.5未満を示すのに十分な時間処理することにより、ボーキサイト精錬残渣を中和するためのプロセスを提供する。本発明は、酸および/または金属イオンのような溶解した無機物質により汚染された水を処理するためのためのプロセスおよび組成物も提供し、このプロセスは、ボーキサイト精錬残渣中に存在する実質的に全ての水酸化物、炭酸塩、フッ化物およびシュウ酸塩イオンが反応するのに十分なカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンを含有する水で、処理された精錬残渣が反応pH10.5未満を示すのに十分な時間処理されたボーキサイト精錬残渣を、水に添加する少なくともひとつの段階が関与している。

Description

【0001】
発明の技術分野
本発明は、酸および/または金属イオンのような溶解した無機物質で汚染された水を処理するためのプロセスおよび組成物、ならびに溶解した無機物質で汚染された水を処理するためのプロセスおよび組成物における使用に適した中和されたボーキサイト精錬残渣を調製するプロセスに関する。
【0002】
発明の背景
金属イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、アンモニウムイオン、金属オキシアニオン錯体およびシアン化物イオンのような無機種による、または酸による、水の汚染は、多くの場所において深刻な環境問題である。例えば、硫化物系選鉱屑(sulfidic mine tailings)が貯蔵されるあらゆる場所で、酸性鉱山排水は共通の問題点である。典型的には、酸性鉱山排水は、ヒ素、カドミニウム、クロム、鉛などの有毒金属を含む、微量金属を高濃度で含有している。低pHでかつ有毒金属の高負荷を伴う水の河川または自然の帯水層への放出は環境に深刻な損傷を与える可能性があるため、このような水の封じ込めは重大な問題点である。酸性鉱山排水を管理する方法はあるが、これらは経費がかかるか、または完全には有効ではなく、かつ通常、酸性状態の流入または再発生ならびにその結果としての吸着されたおよび/または沈殿された汚染物質の再溶解によりにより引き起こされた環境上望ましくない状態の再確立を避けるために、長期にわたるモニタリングおよび管理を必要としている。
【0003】
水の汚染により生じる別の環境上の問題点も存在する。例えば、水路または水塊(water body)中のリン酸高負荷により生じるアオコに関する懸念が、世界中で増しつつある。従って、無機汚染物質の除去に関する単純で比較的安価でありかつ効果的な汚染された水を浄化(remediation)するプロセスおよび組成物の必要性が存在する。
【0004】
通常「赤泥」として知られているボーキサイト精錬残渣は、海水で中和されるが、これは適当な条件下で銅、カドミニウム、亜鉛、クロム、ニッケルおよび鉛のような微量金属との結合が可能であることが示されている。
【0005】
赤泥は、反応pH約13.0で典型的には高度に苛性であるため、赤泥の中和が必要である。結果的にこれらは、輸送および貯蔵にとって有害であり、ならびに貯蔵施設は、事前許可、長期のモニタリングおよび管理、ならびに最終処分場での浄化を必要とする。この苛性赤泥は、多くの再利用用途、特に環境の浄化に関連したものには適さず、その理由はこれは、輸送・適用が安全ではなく、大量のナトリウムの給源となる可能性があり、およびこれが酸性水の処理に使用される場合は、強力な塩基(特に水酸化ナトリウム)の存在が処理目標を超えるリスクおよび環境上の問題点のひとつのセットを別のものと交換するリスク(例えば、酸性問題のアルカリ問題との交換、および上昇したpH条件下で可溶性である予め結合した金属の放出)を生じるからである。
【0006】
苛性赤泥の安全な長期の貯蔵および管理はさらに、貯蔵施設の最終的なリハビリテーションであるように世界中でボーキサイト精錬の大きい問題点である。
【0007】
強酸(例えば硫酸)の添加による赤泥の中和は可能であるが、これは、過剰の廃棄酸が存在すること以外に、経費のかかる管理の選択肢である。さらに得られる固形物は、酸中和剤としては価値がなく、その理由は、多くの水酸化物および炭酸塩は既に添加された水素イオンと反応し、微量金属およびいくつかの他の無機イオンとの結合剤としてのこの物質の価値の大半は失われているからである。この苛性赤泥は、水中に懸濁され、産業による煙突排出物(chimney emissions)からの可能性のある酸形成気体(特に二酸化イオウおよび酸化窒素)をスクラビングするためにも使用される。植生による(vegetation)分解(例えば、温床コンポスト)により形成された弱い有機酸も、赤泥貯蔵施設の修復時に苛性赤泥を中和するために使用することができるが、得られる中和は表面的であり、かつ処理された表面の下側の赤泥は依然数百年間は苛性(および有害な可能性)であり続ける。
【0008】
赤泥の海水による中和は、赤泥容量に対してかなりの容量の海水による赤泥の処理を必要とする。従って、より経済的およびより制御可能な方法での実行が可能である赤泥を中和するプロセスが必要である。さらに、全てのボーキサイト精錬所が、赤泥の海水による中和が十分に可能であるほど海の近くにあるわけではない。従って、海から近くない場所で使用可能な赤泥の中和プロセスが必要である。
【0009】
本発明のひとつの局面は、本発明者らのいかにして海水が赤泥の中和を引き起こすかの発見を基にしている。従ってこの知識は、ボーキサイト精錬残渣が、他の手段により中和されることを可能にするために適用することができる。
【0010】
酸性鉱山排水のような汚染された水の中和された赤泥による処理は、水質の実質的改善を成し遂げることを可能にするが、必要な中和された赤泥の量はかなり多い。従って、中和された赤泥を用い汚染された水を処理するためのより経済的プロセスが依然必要である。
【0011】
驚くべきことに、本発明者らは、少なくともひとつの段階が中和されたボーキサイト精錬残渣の使用を含むような複数の段階における水の処理により、固定化(平衡のとれた再分配(equilibrium repartitioning)の最小化を含む)、逆アルカリ度、汚泥容量減少、および延長された活性のような特性が増強され、かつ酸性鉱山排水のような汚染された水処理の経費の削減が達成されることを発見した。この処理はさらに、フロキュレーションおよび水中の全体が懸濁された固形物の負荷の結果的低下を生じる。
【0012】
発明の概要
本発明の第一の態様に従い、(i)pH上昇添加剤を、水のpHを予め決定された値まで上昇させるために十分な量添加する段階;および、(ii)中和されたボーキサイト精錬残渣を、任意に1つまたは複数の水処理添加剤と共に、水中の少なくとも1つの無機物質の濃度を予め決定されたレベル以下に低下させるために十分な量の水に添加する段階を含む、溶解した無機物質を含有する酸性水を処理するプロセスが提供される。
【0013】
有利なことに、段階(i)の後に、いずれかの水不溶性の物質が水中に懸濁されているならば、第一の態様のプロセスは、さらに段階(ii)の前に、少なくとも一部の水不溶性の物質を分離または沈降させる段階を含んでもよい。
【0014】
本発明の第二の態様に従い、(i)第一の量の中和されたボーキサイト精錬残渣を、水中の少なくとも1つの無機物質の濃度を低下させるために十分な量の該水へ添加する段階;および、(ii)第二の量の中和されたボーキサイト精錬残渣を、少なくとも1つの無機物質の濃度を予め決定されたレベル以下に低下させるために十分な量の該水へ添加する段階を含み;ここで、段階(i)および段階(ii)の少なくともひとつにおいて、該中和されたボーキサイト精錬残渣は、1つまたは複数の水処理添加剤と共に該水に添加される、溶解した無機物質を含有する水を処理するプロセスが提供される。添加された水処理添加剤を伴うまたは伴わない、第三のおよび引き続きの中和されたボーキサイト精錬残渣の添加は、他の無機物質の濃度を、予め決定されたレベル以下に低下するために適用することができる。
【0015】
有利なことに、第二の態様のプロセスは、さらに、段階(i)の後および段階(ii)の前に、水中に懸濁された不溶性物質の少なくとも一部を分離または沈降させる段階を含むことができる。
【0016】
本発明の第三の態様において、中和されたボーキサイト精錬残渣および水処理添加剤の混合物を含有する組成物が提供される。典型的には、この組成物は、中和されたボーキサイト精錬残渣、ならびにアルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム)、アルカリ金属の炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム)、アルカリ土類金属の水酸化物(例えば、水酸化カルシウム)、アルカリ土類金属の炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム)、アルカリ土類金属の酸化物(例えば、酸化マグネシウム)、次亜塩素酸カルシウム、ナトリウムミョウバン、硫酸第一鉄、硫酸アルミニウム、可溶性リン酸塩(例えば、リン酸アンモニウム)、リン酸、ハイドロタルサイト、ゼオライト、カンラン石、輝石(塩基性および超塩基性の火成岩中に存在するものを含む)、塩化バリウム、ケイ酸およびそれらの塩、メタケイ酸およびそれらの塩、ならびにマガディアイトからなる群より選択される1つまたは複数の物質の混合物である。
【0017】
本発明の第四の態様では、赤泥を、基本量および処理量のカルシウムイオンならびに基本量および処理量のマグネシウムイオンを含む水性処理溶液と、少なくとも部分的に中和された赤泥および消費された水性溶液を生成させるために十分な時間混合する段階を含む、赤泥を中和するプロセスが提供され:
水性処理溶液が海水以外であるならば、
少なくとも部分的に中和された赤泥は、その1質量部が蒸留水または脱イオン水5質量部と混合された場合に、10.5未満の反応pHを有し;
カルシウムイオンおよびマグネシウムイオンの基本量が、該処理溶液および該赤泥の総容量1L当たり、各々、8mmolおよび12mmolであり;
カルシウムイオンの処理量は、アルカリ度が等しい炭酸カルシウムとして表された赤泥の総アルカリ度の1mol当たり、少なくとも25mmolであり、
かつ該マグネシウムイオン処理量は、アルカリ度が等しい炭酸カルシウムとして表された赤泥の総アルカリ度の1mol当たり、少なくとも400mmolである。
【0018】
本発明の第五の態様では、第四の態様のプロセスにより調製される場合に、少なくとも部分的に中和された赤泥が提供される。
【0019】
本明細書において使用される表現「アルカリ度が等しい炭酸カルシウムとして表わされた表された赤泥の総アルカリ度」とは、エンドポイント約pH4.2までの酸に対する滴定により測定されたアルカリ度を意味し、そのようにして測定されたアルカリ度全体が炭酸カルシウムの存在に起因するように表されたことが理解されるであろう。
【0020】
本発明の第一から第三の態様のプロセスおよび組成物において、中和されたボーキサイト精錬残渣は、ボーキサイト精錬の副産物であり、通常「赤泥」と称される。これは、海水、塩水的地下水、または他の十分なカルシウムイオンおよびマグネシウムイオン含有水で処理され、中和された赤泥の1質量部が蒸留水または脱イオン水の5質量部と混合される場合の標準土壌試験において赤泥が反応pH10.5未満を、典型的には8.2〜9.0、より典型的には8.4〜8.8を示すのに十分な時間、赤泥中に存在する実質的に全ての水酸化イオン、炭酸イオン、フッ化物イオンおよびシュウ酸イオンと反応する。ここで、この方法で赤泥から得られた中和されたボーキサイト精錬残渣は、「中和された赤泥」として都合がよいと言われている。典型的には、第一から第三の態様のプロセスにおいて使用された中和された赤泥は、第五の態様の中和された赤泥であるが、海水により中和された赤泥も使用することができる。
【0021】
中和された赤泥は、典型的には主要な成分が、赤鉄鉱、ベーマイト、ギブサイト、ソーダライト、石英およびカンクリナイトであるが、無水石膏、アラゴナイト、バッサナイト、水滑石、方解石、ダイアスポア、フェリ水素化物(ferrihydrite)、石膏、ハイドロカルマイト、ハイドロタルサイト、チタン鉄鉱、鱗鉄鉱、マグヘマイト、p−アルミノヒドロカルサイト、ポルトランダイト(portlandite)およびヒューエライトのような他のミネラルも通常少量で存在するようなミネラルの不均質混合物である。中和された赤泥は、典型的には中和した赤泥1kgにつき最大7.5molの酸を中和する能力、および中和した赤泥1kgにつき少なくとも1000meqの微量金属を固定する能力を有する赤色着色した物質である。これは、典型的には、リン酸、硫酸、金属オキシアニオンおよびシアン化物を含むいくつかのアニオンと結合することもできる。
【0022】
第一の態様のプロセスにおいて、pH上昇添加剤は、典型的には水酸化カルシウムまたは炭酸ナトリウムであるが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウムまたは酸化マグネシウムのようないずれか他のアルカリ物質であってもよい。強アルカリは、その後処理される水のpHをアルカリになりすぎないように制御することが困難であるため、強アルカリでない添加剤を使用することが好ましい。さらに適したpH上昇添加剤は、ボーキサイト精錬プロセスにおいて赤泥から分離されたアルカリ液の海水による処理から入手可能な固形沈殿物である。ボーキサイト精錬の過程において、赤泥として知られている固形廃棄物が入手可能であり、そこからヒープドレナージ、沈降およびデカンテーション、濾過、遠心分離などの公知の手段により水性液体が分離される。この液体へ海水を添加すると、pH上昇添加剤として使用することができる固形物の沈殿を生じる。この物質の使用は、処理される水中に比較的高濃度のカルシウムイオンまたはナトリウムイオンを生じることのないという水酸化カルシウムまたは炭酸ナトリウムの使用に勝る利点がある。
【0023】
中和された赤泥と共に使用する水処理添加剤は、典型的にはこの添加剤が添加される水のpHの変化を可能にするような物質であるか、または水中の1つもしくは複数のイオンと反応し不溶性生成物を生成することが可能であるような物質であるか、または水中の1つもしくは複数のイオンを吸着することが可能である物質であるか、または水中の1つもしくは複数のイオンと反応しこれを環境的に不活性とすることができるような物質である。典型的には、水処理添加剤は、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム)、アルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム)、アルカリ土類金属の水酸化物(例えば、水酸化カルシウム)、アルカリ土類金属の炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム)、アルカリ土類金属の酸化物(例えば、酸化マグネシウム)、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸ナトリウム、ナトリウムミョウバン、硫酸第一鉄、硫酸アルミニウム、可溶性リン酸塩(例えば、リン酸アンモニウム)、リン酸、ハイドロタルサイト、ゼオライト、カンラン石および輝石(塩基性および超塩基性の火成岩中に存在するものを含む)、塩化バリウム、ケイ酸およびそれらの塩、メタケイ酸およびそれらの塩、ならびにマガディアイトからなる群より選択される。この水処理添加剤は、前述のような、赤泥から分離された水性液体の海水処理から得られる固形物であることもできる。
【0024】
中和された赤泥は、1つまたは複数の水処理添加剤と共に使用される場合は、本発明の第一および第二の態様のプロセスにおいて、水処理添加剤(以後「中和された赤泥ブレンド」と称す)との混合物として使用することができるか、もしくは中和された赤泥を水処理添加剤から分離された水に添加することができる。後者の場合、中和された赤泥および水処理添加剤は、同時にまたは任意の順番で一方の後に他方を添加することができる。通常、中和された赤泥が1つまたは複数の水処理添加剤と共に使用される場合は、この中和された赤泥は、水処理添加剤との混合物として使用される。典型的には、水処理添加剤の量は、混合物の総質量の0.1%〜90質量%、より典型的には混合物の総質量の0.5%〜30質量%、さらにより典型的には混合物の総質量の1%〜20質量%であり、例えば、混合物の総質量の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、15、16、18または20質量%である。従って、第三の態様の組成物は、典型的には、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム)、アルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム)、アルカリ土類金属の水酸化物(例えば、水酸化カルシウム)、アルカリ土類金属の炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム)、アルカリ土類金属の酸化物(例えば、酸化マグネシウム)、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸ナトリウム、ナトリウムミョウバン、硫酸第一鉄、硫酸アルミニウム、可溶性リン酸塩(例えば、リン酸アンモニウム)、リン酸、ハイドロタルサイト、ゼオライト、カンラン石および輝石(塩基性および超塩基性の火成岩中に存在するものを含む)、塩化バリウム、ケイ酸およびそれらの塩、メタケイ酸およびそれらの塩、ならびにマガディアイトからなる群より選択される水処理添加剤を、組成物の総質量を基に0.1%〜90質量%の量、ならびに平衡のとれた中和された赤泥からなる。
【0025】
典型的には、第二の態様のプロセスにおいて、水は酸性水である。より典型的には、水は、酸性鉱山排水または酸性ロックドレナージ水である。第二の態様のプロセスは、さらに、第一の量の中和された赤泥を添加する段階の前に、水のpHを調節する段階を含む。
【0026】
第二の態様のプロセスはさらに、第一の量の中和された赤泥の添加の段階と第二の量の中和された赤泥の添加の段階の間に、1つまたは複数の更なる添加剤を添加する1個または複数の追加の段階を含むこともできる。このような更なる添加剤は、いずれか適当な水処理添加剤であってもよいが、典型的には、中和された赤泥または先に例証されたような1つまたは複数の水処理添加剤と一緒にされた中和された赤泥であろう。通常、このプロセスは、添加剤の添加の段階後、および次の異なる添加剤の添加の段階の前に、水中に懸濁されたいずれか不溶性の物質の少なくとも一部を分離または沈降させる段階を含むであろう。
【0027】
従って、第二の態様のプロセスのひとつの形は、溶解した無機物質を含有する水を処理するプロセスを提供し、これは、
(i)第一の量の中和された赤泥を、該水中の少なくとも1つの該無機物質の濃度を低下させるために十分な量の該水へ添加する段階;
(ii)第二の量の中和された赤泥を、該水中の少なくとも1つの該無機物質の濃度を低下させるために十分な量の該水へ添加する段階;および、
(iii)第三の量の中和された赤泥を、少なくとも1つの該無機物質の濃度を予め決定されたレベル以下に低下させるために十分な量の該水へ添加する段階を含み、段階(i)、(ii)および(iii)の少なくともひとつにおいて、該中和された赤泥が、該水に、1つまたは複数の水処理添加剤と共に添加されることを含む。
【0028】
通常、第二の態様のプロセスのこの形において、このプロセスはさらに、(i)(a)段階(i)の後に水中に懸濁している不溶性物質の少なくとも一部を分離または沈降させる段階、および/またはさらに、(ii)(a)段階(ii)の後に水中に懸濁している不溶性物質の少なくとも一部を分離または沈降させる段階を含む。より一般的には、第二の態様のプロセスのこの形は、段階(i)(a)及び段階(ii)(a)の両方を含む。
【0029】
発明の詳細な説明
本発明の第一および第二の態様のプロセスにおいて、使用される中和された赤泥の量、ならびに中和された赤泥と共に使用される水処理添加剤の性質および量は、水中に存在する汚染物質の種類、それらの量、水の最初のpHならびに目標の汚染物質濃度および合致させるpHによって決まるであろう。
【0030】
本発明の第一および第二の態様のプロセスにおいて濃度を低下することができる水中に溶解した無機物質は、酸;鉛、カドミウム、クロム、水銀、銅、ヒ素、アルミニウム、鉄、亜鉛、コバルト、ニッケル、マンガンのような金属イオン、および他の環境に損傷を及ぼすまたは毒性のある金属イオン;ならびに、リン酸塩、シュウ酸塩、炭酸塩、硫酸塩、金属オキシアニオン錯体およびシアン化物のようなアニオンを含むが、これらに限定されるものではない。
【0031】
典型的には、処理される水の最初のpHは低く、例えば約4未満であり、第一の態様のプロセスを、利用することができる。すなわち、このような条件において、例えば水酸化カルシウムまたは炭酸ナトリウム(これらに限定されるものではない)のようなpH上昇添加剤が、第一段階として水に添加され得る。あるいは、第二の態様のプロセスは、第一段階において、中和された赤泥が水酸化カルシウムまたは炭酸ナトリウムのようなpH上昇添加剤と共に使用される場合に有用である。一般には、これらのプロセスにおいて、第一段階は、水のpHを約4〜5、より一般的には約4.5〜4.6に上昇する。
【0032】
一般には、本発明の第一および第二の態様のプロセスにおいて、中和された赤泥、またはそれと水処理添加剤の混合物が、各段階において0.1〜50g/Lの量で、より典型的には各段階において1〜10g/L、さらにより典型的には1段階につき2〜5g/Lで使用されるであろう。しかし、前述のように、これらの量は、水中に存在する汚染物質の種類および濃度によって決まるであろう。使用される量は、本発明のプロセスに従う処理後の望ましい水質(すなわち、pH、および無機汚染物質、特に金属イオンの濃度)によっても決まるであろう。
【0033】
中和された赤泥と共に使用される水処理添加剤(存在するならば)の選択は、処理される水の質によって決まるであろう。基準として、通常水中に望ましくないほど高濃度に存在することがわかっている1つまたは複数の無機イオンの、沈殿、またはさもなければ共沈殿、吸着または同形置換による固相への転換が可能である水処理添加剤を選択することが理解されるであろう。
【0034】
例えば、ケイ酸アニオンまたはリン酸アニオンを含む水処理添加剤は、金属イオンを沈殿するために、特にこのような金属イオンが中和された赤泥のこれらを結合する能力を超える濃度で存在する、すなわち10g/Lである場合に、使用することができる。同様にミョウバンは、特に中性pH近傍で、ヒ素除去を補助するために水処理添加剤として使用することができる。添加剤を含有するカルシウムは、シュウ酸塩イオン、硫酸塩イオン、フッ化物イオンおよび/または炭酸塩の除去を補助するために使用することができる。
【0035】
処理される水が比較的高濃度のクロムイオンおよび/または有機物を含有する場合(例えば、製革廃液)、ブレンド総質量を基に、水酸化カルシウム20〜30質量%との中和された赤泥のブレンドの利用が典型的には適している。水が高濃度の銅およびヒ素を含有する場合、典型的には、中和された赤泥の硫酸第一鉄の2〜10質量%および硫酸アルミニウムの2〜10質量%とのブレンドの利用が適している。
【0036】
処理される水が比較的高濃度のシアン化物を含む場合、典型的には次亜塩素酸カルシウムまたは次亜塩素酸ナトリウムのような次亜塩素酸類が、水処理添加剤として使用されるであろう。処理される水が比較的高濃度のオキシアニオンを含む場合、典型的には、水のpHを低下しかつオキシアニオンと結合するアルミニウムイオンおよび/または鉄イオンを提供する水処理添加剤が、任意選択でわずかに過剰量のカルシウムと共に使用される。従ってこの状況において、水処理添加剤は、任意選択で炭酸カルシウムと共に、典型的には第二鉄ミョウバンまたは硫酸第一鉄および硫酸アルミニウムの混合物であろう。
【0037】
水がその微量金属含量(鉄およびアルミニウムを除く、これは貯蔵時の酸性度に寄与する)と比較して高い酸性度を有する場合、典型的には炭酸塩または水酸化物のような添加剤がpHを上昇するために選択される。他方、金属含量(鉄およびアルミニウム以外)が酸性度に対し高い場合、あらゆる添加剤を伴わない中和された赤泥が典型的には使用される。pHが7.5よりも高い場合、中和された赤泥は、硫酸第一鉄または硫酸アルミニウムのような酸を生成する添加剤の添加により、より有効となる。あるいは、酸は水に添加することができるが、しかしこれは酸が直接添加された場合に水のpHを制御することがより困難であるため、通常余り好ましくない。中和された赤泥と硫酸第一鉄および/または硫酸アルミニウムの混合物の使用は、中和された赤泥の隣接環境において比較的低いpHに上昇することができ、その水の大部分のpHに影響を及ぼすことなく、金属イオン結合能を顕著に増大することができる。
【0038】
いずれか所定の適用に関して、効果的でありかつ中和された赤泥単独による処理の経費と比べこの水処理経費の実質的低下を提供する処理プロトコールに到達するために、汚染された水塊全体の処理前に、処理される水試料の実験室スケールでの試行が通常実行されるであろう。本明細書の内容が示されるならば、当業者は、困難を伴うこと無く効果的処理プロトコールに到達することができるであろう。
【0039】
好ましくは、本発明の第一および第二の態様のプロセスにおいて、中和された赤泥の添加に関連している処理段階は、中和された赤泥の段階的添加に関連している。
【0040】
有利なことに、中和された赤泥およびいずれか他の水処理添加剤は、pHの中和および微量金属の除去に関連した反応が完了(またはほぼ完了)まで確実に進行するのに十分な時間、処理される水中で懸濁され続ける。典型的には、中和された赤泥およびいずれかの水処理添加剤は、最低24時間は水中に懸濁され続けるであろう。深層水塊において、24時間以上懸濁液中に中和された赤泥(または中和された赤泥ブレンド)を維持することは、これらの物質の沈降はゆっくりであるため、困難ではない。従って、深層水塊の処理に関して、中和された赤泥およびいずれかの水処理添加剤は、処理される水の一部と迅速に混合され、かつ主要部をなす水塊に懸濁液として添加することができる。しかしより浅い水塊(典型的には深さ約3m未満のもの)においては、典型的には懸濁液が主要部をなす水塊に添加される少なくとも30分前に、添加される固形物が処理される水と混合される。中和された赤泥中の全ての巨大な粒子は、破壊され(細かく粒状化された粒子はより効果的に反応するため)、およびあらゆる異物(棒、石など)が取除かれることが適している。典型的には、粒子は、全てサイズが1mm未満であり、多くはサイズが0.1mm未満であろう。中和された赤泥の多くの個々の結晶は、サイズが0.01mm未満である。
【0041】
処理される水が、パイプおよびポンプを使用し、別の場所に移される必要がある(例えば、産業プラントから選鉱屑または待機ダム(holding dam)への移動)ならば、第一の処理段階は、水が貯蔵施設へパイプで汲み出される前に、水処理添加剤を伴うまたは伴わない、中和された赤泥の第一の増分の添加により達成することができる。この手法は、水処理反応を促進し、かつ酸性の金属が豊富な水による腐蝕からパイプおよびポンプを保護する。
【0042】
中和された赤泥(およびその他のいずれかの水処理添加剤)が、処理される水中の懸濁液中に十分な時間、確実に維持されるために、ならびに中和された赤泥中の全ての巨大粒子が確実に破壊されるために、いずれか都合の良い方法を使用することができる。これらの目的は、使用前の中和された赤泥の粒状化により実現することができるが、この選択肢は、処理経費を増大する。従って、中和された赤泥(または中和された赤泥ブレンド)および処理される水の一部を巨大なタンクに添加し、かつ再循環ポンプまたは機械的攪拌機を20分間〜30分間使用し、中和された赤泥(または中和された赤泥ブレンド)を水と混合することが好ましい。得られる中和された赤泥(または中和された赤泥ブレンド)スラリーは、次に大きい汚染物質を除去するように篩にかけ、かついずれか都合の良い噴霧(例えば、高圧放水砲)またはスプリンクラー(例えば、浮動はしけ(floating barge)からの散布)システムを用い、処理される主要な水塊へ分配される。あるいは、水中の中和された赤泥および/またはいずれかの水処理添加剤の離解および分散も、待機施設へのポンプ輸送の間にパイプ内の乱気流をおこすことにより実現することができる。しかし、中和された赤泥(または中和された赤泥ブレンド)をスラリーとして添加されることは必須ではないことは理解されるであろう。場合によっては、中和された赤泥(または中和された赤泥ブレンド)が乾燥粉末として添加されることが都合がよいことがある。
【0043】
中和された赤泥による酸中和および金属除去に関連した反応の多くは比較的緩やかであるため、中和された赤泥(または中和された赤泥ブレンド)を処理される水塊に添加する速度は、本発明のプロセスの大半の費用効果の高い用途に関して重要である。中和された赤泥(または中和された赤泥ブレンド)が非常に迅速に添加される場合、これは完全には反応せず、かつ望ましいレベルの処理を実現するためにはより多くの中和された赤泥(または中和された赤泥ブレンド)が必要である。従って一般に、この処理は、最低120時間にわたって繰り広げられるか、もしくは、およそ6〜12時間毎の汚染された水1Lにつき1gを超えない中和された赤泥(または中和された赤泥および1つまたは複数の水処理添加剤)の、中和された赤泥または中和された赤泥の1つまたは複数の水処理添加剤と一緒の適用を必要とし;このタイミングは、典型的にはこれら2種の代替法においてどちらがより遅い添加速度であるかを基にしている。中和された赤泥(または中和された赤泥および1つまたは複数の水処理添加剤)のより迅速な適用が可能であるが、比較的速い適用速度はより少ない費用効果をもたらす。極端な場合、中和された赤泥または中和された赤泥ブレンドが非常に迅速に添加される場合は、望ましい水質目標に達することが不可能なことがある。
【0044】
従って、水中の中和された赤泥(または中和された赤泥ブレンド)の懸濁液の、処理される水の表面への適用は、典型的には一部分ずつ実行される。すなわち添加される中和された赤泥(または中和された赤泥ブレンド)の総量の一部を、前述のように水中に懸濁することができ、かつ添加される中和された赤泥全体が水に適用されるまで、少なくとも120時間にわたって処理が繰り広げられるか、または中和された赤泥が2時間〜12時間毎に処理される水1L当り1gを超えない速度で適用されるような間隔で添加される。
【0045】
中和された赤泥および中和された赤泥の1つまたは複数の水処理添加剤との混合物は、非常に効率的に金属に結合することができ、固相(中和された赤泥)と汚染された水の間の10,000:1を超える金属濃度勾配は、一部の水塊中に若干の金属を出現し得る。しかし、固相(中和された赤泥)と汚染された水の間の平衡のとれた再分配は、反応が完了に至るのに必要な時間または全ての水が排出される時点まで、これらの非常に高い濃度勾配を維持することを困難にする。特に高濃度のいくつかの金属を伴う汚染された水に関して、平衡のとれた再分配時の中和された赤泥からの金属の放出速度は、新たに中和された赤泥が水に添加されるため、金属除去速度と釣り合いがとれているかまたは過剰でありうる;すなわち、この場合、より多くの中和された赤泥が添加されるほど、水質における更なる改善はない。
【0046】
この問題点は、部分処理された水が、使用された中和された赤泥固形物から分離され、その後水処理が継続される第二の態様のプロセスにより克服され;通常一回の分離および更なる処理のみが必要であるが、高度に金属汚染された水については二回以上が必要なことがある。典型的には、一回目の分離は、水のpHが約4.5に上昇した場合に実行され、かつ二回目の分離(必要ならば)、pHが約6.5に上昇した場合に実行される;しかし、その他の分離点が一部の汚染された水にとってはより適しているであろう。
【0047】
使用された中和された赤泥固形物および/または他の無機不溶性物質の水相からの分離は、従来の手段により達成することができる。固形物は、簡単に水中で沈降させることができ、かつ沈降された層として水と接触して維持することができるが、デカンテーション、濾過または遠心分離のような他の方法もより一般的に使用される。
【0048】
第二の態様のプロセスにおいて、使用される中和された赤泥または中和された赤泥ブレンドの型は、処理プロセスを通じて一部変更される。あらゆるブレンドの変更は、通常前述のような固相および液相の分離と時期が重なる。中和された赤泥ブレンドの変更は、典型的には水のpHが約4.5に上昇した場合、再度そのpHが約6.5に上昇した場合に必要である。しかし、変更は特定の水塊に関する実験室試行の間に決定されるような他の時点で行われることもできる。例えば、亜鉛高含量の非常に低いpHの水が処理される場合、中和された赤泥と水酸化カルシウム5質量%とのブレンドを、pHが約4.5に上昇するまで使用することができ、その後固相および液相が分離され、中和された赤泥と水酸化カルシウム1質量%とのブレンドを用い、pHが約6.7に上昇するまで処理が継続される。中和された赤泥と水酸化カルシウム5質量%とのブレンドの使用が、pHが約4.5を上回るまで継続される場合は、このpHは、適切なpH制御には余りにも迅速に上昇する傾向があり、結果として、金属除去の効率が低下するか、もしくはこれが、中和された赤泥により結合された金属溶液へ先に放出される。pHが約6.7に到達した後、この液体および固体は、二回目の分離が行われ、中和された赤泥と炭酸ナトリウム2質量%とのブレンド、もしくは中和された赤泥単独を用い処理が完了する。他のブレンドの組合せおよびブレンド内の変更点も、水の組成および汚染された水に関する実験室規模の試験結果に応じて使用することができる。
【0049】
水処理添加剤の変更が必要な場合の代表的指示は、以下のものである:(a)pH変化の速度が余りにも迅速である場合、典型的にはより少ないアルカリ添加剤を含有する中和された赤泥ブレンド、またはいずれの添加剤も含有しない中和された赤泥への変更が適している;(b)金属除去の効率が低下し始めた場合、典型的には、金属炭酸塩の生成を増大するために、炭酸ナトリウムまたは他の可溶性炭酸塩を含有する中和された赤泥ブレンドへの変更、もしくはより多くの金属結合部位を提供するために、より大きい割合の中和された赤泥を含む中和された赤泥ブレンド(または添加剤を含まない中和された赤泥)への変更が適している;(c)緑がかった沈殿(還元鉄)が生成され始める場合は、典型的には、より少ない水酸化カルシウムを含有する中和された赤泥ブレンドおよびより多くの中和された赤泥への変更が適している;ならびに、(d)中和された赤泥または中和された赤泥ブレンドの更なる増分の添加によるpHの変化の速度が顕著に低下する場合、もしくはpHが安定し続ける場合には、典型的には、水酸化カルシウムまたは炭酸カルシウムを含有する中和された赤泥ブレンド、もしくは先に使用されたものよりもより多くの水酸化カルシウムまたは炭酸カルシウムを含有するものへの変更が適している。
【0050】
例え中和された赤泥が優れたフロキュレーションを引き起すものであることが本発明者らにより発見されたとしても、自然水路への放出を避けることは重要であるため、処理が完了した後に懸濁液中に残留し得る非常に細かい粒状化された中和された赤泥は仕上げられ(complete)、この処理された水は典型的にはフィルターシステムを通して排水される。最も単純なフィルターシステムは、砂濾過器であるが、ペレット化されたクレイミネラル(特に海緑石)、風化した火山礫凝灰岩、またはゼオライトを含む他の材料も、うまく使用することができ;他の細かい砂利サイズのフィルター材料への粗いスリットも、単独でまたは前述の材料と組合わせて使用することができる。フィルター材料は、これらが、残留金属の一部を除去することに加え、非常に細かい懸濁された中和された赤泥粒子の通路をブロックすることにより、仕上げ磨き(final polish)を処理された水に適用するように選択することができ;分解された海緑石またはゼオライトは、この目的に特に良く適している。フィルターで使用される材料は、非常に細かい懸濁された中和された赤泥粒子の逃避をブロックするのに十分な細かい粒子であるが、フィルターを通る水流を有害に低下するほどは細かくないことが必要とされる。フィルターは、水平に給水するか、またはこれらは垂直に並べ、上側もしくは下側のいずれかから給水することができ;好ましい選択肢は、下側から加えられる濾過される水と垂直に並べたフィルターである。
【0051】
前述の手法により処理される水は、典型的には中性付近のpHおよび非常に低い金属含量を有する。しかし、例えば硫酸塩濃度または総塩含量は、放出の許容レベルを依然上回っているであろう。この場合、他の処理を、中和された赤泥処理後に使用し、必要な水質目的を達成することができる。可能性のある補足的処理は、硫酸塩還元バクテリアの使用または逆浸透法を含み;別の補足的処理も可能である。補足的処理が使用されることが意図される場合は、これは最大処理に達する直前に中和された赤泥の添加を終結し、かつこのプロセスを完了するために補足的処理にスイッチするのに費用効果的である。例えば、硫酸塩還元バクテリア(SRB)が硫酸塩を除去するために使用される場合、pHが約8.2に達する最終処理が完了するまで待つよりも、一旦pHが約7.0に上昇し大半の金属が除去されるこの処理へ変更するほうがより費用効果的であることができ;この方法は、SRBは亜鉛およびマンガンを非常に効果的に除去し、かつこれらは通常の中和された赤泥処理法の途中で除去されるべき前記金属の2種であるため、非常に実行可能である。SRBまたは逆浸透法が処理プロセスに含まれる場合は、最初のpH中和および金属除去の多くは、中和された赤泥添加により完了されることを必要とし、その理由は、これらの補足的処理は、非常に低いpHの水または特に高い金属負荷の水ではよく作用しないからである。
【0052】
本発明の第一および第二の態様のプロセスは、先行技術のプロセスに勝る多くの利点を提供する。例えば:(a)本発明は、産業廃棄物を基にした処理試薬の使用を提供し、これにより多くの場所において、これはいずれの代替法よりもより低コストで提供される;(b)本発明のプロセスは、単独の段階処理において中和された赤泥のみの使用により達成可能なものよりも、水処理のより経済的および効率的方法を提供する;(c)石灰または他の試薬の添加のような先行技術の処理は、微量金属濃度を、本発明のプロセスの使用により達成可能な低いレベルまでは低下しない;(d)本発明のプロセスの使用は、石灰の使用により生成されるような大量の汚泥(管理または廃棄に経費がかかる)を生じない;(e)本発明のプロセスを用いて作製された沈降物は、安定しており、かつ通常の浸出時に金属を放出しないが、石灰を用いて作製された沈降物は、安定しておらず、かつ安全な管理または廃棄に経費がかかる;ならびに、(f)吸着により金属を捕獲するための試薬は、先行技術のプロセスにおいて使用される場合、これらの金属は地球化学的条件が変化すると容易に放出されるのに対し、本発明のプロセスにおいては、吸着は金属を捕獲するために余り寄与せず、金属の放出は大きく低下される。
【0053】
ボーキサイト精錬残渣 赤泥 の中和
ボーキサイト精錬残渣中の苛性およびアルカリ度の主な供給源は、水酸化ナトリウムおよび炭酸ナトリウムであり、これらは、本発明の第四の態様に従う適量のマグネシウムおよびカルシウムの添加により、溶解度の低い物質へ転化することができる。得られる物質は、その酸中和能を維持しているが、5倍の質量の水と混合した場合に、10.5未満、典型的には8.2〜9.0、より典型的には8.4〜8.8である反応pHを有する。カルシウムおよびマグネシウムはイオンとして添加されなければならないため、この処理は、水性懸濁液中のボーキサイト精錬残渣と溶液に添加されたカルシウムおよびマグネシウムの反応を生じるはずである。
【0054】
カルシウムおよびマグネシウムが添加される場合は、マグネシウムは、水酸化ナトリウムと反応し、溶解度が低い水滑石および水酸化マグネシウムアルミニウム(ハイドロカルマイト、ハイドロタルサイトおよびp−アルミノヒドロカルサイト)を生成し、交換されたナトリウムは溶液中に残留し;若干の水酸化物も、添加されたベーマイトおよびギブサイトの沈殿において消費される。多くのベーマイト、ギブサイト、ハイドロカルマイト、ハイドロタルサイトおよびp−アルミノヒドロカルサイトは、マグネシウムおよびカルシウムが添加される前の赤泥残渣中に存在するが、この混合物のpHの低下につれて結晶が成長し続け、アルミニウムはより溶けにくくなる。同時に、このカルシウムは炭酸ナトリウム由来の炭酸塩と反応し、溶解度の低い方解石および霰石を生成し、交換されたナトリウムは溶液中に残存する。一部のカルシウムも、他の物質(ヒューエライト、カンクリナイト、蛍石、ポルトランダイト、ハイドロカルマイト、およびp−アルミノヒドロカルサイト)の形成において消費されるが、これは、カンクリナイト、p−アルミノヒドロカルサイトおよびハイドロタルサイトの沈殿における炭酸塩の消費により、またはマグネシウムのアラゴナイト中のカルシウムとの同形置換により相殺される。
【0055】
赤泥を処理するためには、水性処理溶液がある最小量のカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンを含有することが必要である。一部のカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンは赤泥と反応するが、本発明者らは、添加された全てのカルシウムおよびマグネシウムが反応する訳ではないことはわかっている。特に、処理が完了した後に、水性処理溶液中に、処理溶液および赤泥の総容量1Lにつき最低8mmolのカルシウムおよび12mmolのマグネシウム(すなわち、総容量1Lにつきカルシウム320mgおよびマグネシウム290mg)を提供するのに十分なカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンが確実に存在することが必要であることがわかっている。これらの量は、本明細書においては、これら2種類の各イオンの「基本量」と称されており、赤泥が完全に中和された後の消費された溶液中に残留する量である。過剰なカルシウムおよび/またはマグネシウムの添加も可能であり、その結果、基本量より多くが、消費された水溶液中に残留するが、これは処理効果を改善することなく処理コストを増大するので推奨されない。
【0056】
基本量に加え、本発明者らは、赤泥を少なくとも部分的に中和するために、アルカリ度の等しい炭酸カルシウムとして表された赤泥の総アルカリ度1molにつきカルシウムを少なくとも25mmol、典型的には25mmol〜50mmol、およびマグネシウムを少なくとも400mmol、典型的には400mmol〜600mmol、赤泥に添加することが必要であることを発見した。これらの量は、本明細書において「処理量」と称され、アルカリ度の等しい炭酸カルシウム1kg当り少なくとも10gのカルシウム、典型的には10g〜20gのカルシウム、ならびにアルカリ度の等しい炭酸カルシウム1kg当り少なくとも96gのマグネシウム、典型的には96g〜144gのマグネシウムに相当している。好ましい処理量は、アルカリ度の等しい炭酸カルシウムとして表された総アルカリ度1molにつきカルシウムを少なくとも25mmolおよびマグネシウムを400mmolである(すなわち、アルカリ度の等しい炭酸カルシウム1g当りカルシウム10mgおよびマグネシウム96mg)。
【0057】
溶解度の低い水酸化物(主に水滑石)および炭酸塩(主にカルサイトおよびアラゴナイト)の最適な沈殿ならびに赤泥中の苛性の効果的中和を達成するために、水性処理溶液中のマグネシウム処理量のカルシウム処理量に対する比は、好ましくは、カルシウム1mol当りマグネシウム12mol(すなわち、7.2g Mg:1g Ca)〜カルシウム1mol当りマグネシウム20mol(すなわち、12g Mg:1g Ca)の範囲でなければならない。好ましくは水性処理溶液中のマグネシウム処理量のカルシウム処理量に対する比は、好ましくは、カルシウム1mol当りマグネシウム14mol(すなわち、8.4g Mg:1g Ca)〜カルシウム1mol当りマグネシウム18mol(すなわち、10.8g Mg:1g Ca)の範囲であり、より好ましくはカルシウム1mol当りマグネシウム16mol(すなわち、9.6g Mg:1g Ca)である。
【0058】
該カルシウムおよびマグネシウムは、適当な給源から得ることができるが、これらは赤泥に添加される場合は溶液中でなければならない。適当なカルシウムおよびマグネシウムの給源は、硬質地下水ブライン、天然の塩水ブライン(例えば、蒸発により濃縮された海水、岩塩坑からのニガリを含むブライン(bittern brine)、または塩水湖ブライン)、塩水廃水(例えば脱塩プラントから)、塩化カルシウムおよび塩化マグネシウムの溶解により生成された溶液、またはこれらのカルシウムおよびマグネシウム給源の2つ以上の組合せである。使用される水性処理溶液は、カルシウムおよびマグネシウムを少なくとも各基本量の濃度で含まなければならないことも理解されるであろう。好ましくは、水性処理溶液は、カルシウムおよびマグネシウムを各基本量の少なくとも2倍の濃度で含むであろう。人工の溶液がカルシウム塩およびマグネシウム塩の溶解により形成される場合、溶解度が十分な塩が使用されなければならないことは理解されるであろう;塩化物塩は、最も単純で最も経費のかからない選択肢を提供するが、硝酸塩も使用することができる。使用される塩は、処理混合物のアルカリ度に寄与しないことが好ましい。従って、マグネシウムおよびカルシウムの酸化物および水酸化物が最良の選択である。マグネシウム塩およびカルシウム塩は、それらの一方に存在するアニオンが、溶液中において他方のカチオンと反応し、溶解度の低い生成物を生成しないように選択される。このために、硫酸マグネシウムは適さず、その理由はこれは低い溶解度の硫酸カルシウム(石膏)の生成につながり得、かつ硫酸カルシウムそれ自身がその低い溶解度のためにほとんど利益がないからである。
【0059】
第四の態様のプロセスにおいて、赤泥は、水性処理溶液と混合され、かつ典型的には適当な手段により溶液と共に攪拌される。攪拌は、かき混ぜ、回転ポンプ、曝気またはいずれ型の都合のよい手段によるものであることができる。赤泥と水性処理溶液の反応は、最初は急激であるが、処理溶液は中和を本質的に完了に進めるのに十分な時間、赤泥と接触させることが好ましい。典型的には赤泥は、水性処理溶液と少なくとも2時間、より典型的には最大24時間接触させることが好ましい。典型的には、赤泥は、水性処理溶液と周囲温度で処理されるが、より低いまたはより高い温度も使用することができる。しかし、中和反応の迅速性の観点から、上昇した温度の使用は、何ら重要な利益をもたらすものではない。周囲より低い温度の使用も、利益をもたらさない。
【0060】
前記プロセスによる処理後、少なくとも部分的に中和された赤泥は、沈降させられ、かつ消費された水溶液は、デカンテーションまたは遠心(またはいずれか他の適当なプロセスまたはいずれか都合の良い手法)により分離され、適当な方法で放出される。この処理の結果、水性処理溶液は、カルシウムおよびマグネシウム(および、一部微量金属も可能性がある)が枯渇し始め、ナトリウムが濃厚になる;少なくとも部分的に中和された赤泥は、カルシウムおよびマグネシウムが濃厚化され、かつ実質的により低いナトリウム含量を有する。少なくとも部分的に中和された赤泥は、安全に貯蔵することができ、かつ反応pH10.5未満を有する(水5質量部に対して固形物1質量部)。固形画分内のミネラルは、それらの酸中和能を維持し、かつ処理を完了するために使用されたこれらの溶液がそれら自身若干のアルカリ度を有する場合には、わずかに増加した酸中和能を有する。この方法で得られた中和された固形物は、依然主にナトリウムイオンを含有する水を一部保持している。これらの固形物を無期限に保存することは安全であるが、更なる処理段階が適用されてもよい。
【0061】
例えば、固形画分は、あらゆる異物(例えば、棒および石)を除去するために篩にかけ、その後例えば、フィルタープレス、風乾、キルン乾燥などの1つまたは複数の従来型手法を用い乾燥される。加えてあるいは代わりに、間隙水ナトリウムの除去は、通常多くの適用において必要ないが、低いナトリウム含量の材料が必要な場合、間隙水ナトリウムは、低ナトリウム水(新鮮水)で中和された赤泥を洗浄することにより除去することができ、かつこの固形物は任意に乾燥される。固形物が十分に乾燥された後、これらは破壊され、かつ所望のサイズの画分を選択するために篩分けされる。任意に得られた乾燥した固形物を、1つまたは複数の他の水処理添加剤と混合し、本発明の第三の態様に従う組成物を提供することができる。中和された赤泥はスラリーとして適用されることが意図される場合、中和された固形物の完全な乾燥は必須ではない。典型的には、追加の乾燥のコストと、中和された赤泥が使用される場所への追加の水分の輸送のコストの間で釣り合いがとれることが必要である。
【0062】
乾燥された固形物は、典型的には、その総質量の約80%が10μm未満の粒子サイズを有する、細粒状の構造を有する。ほぼ中性土壌の反応pH(例えば、8.4〜8.8の間)を有する固形物は、高い酸中和能を保持し、かつ有害物質の可能性のあるものを輸送する際に通常必要な許可を取る必要なく、輸送し使用することができるような、十分に低い毒物浸出特性値(Toxicity Characteristic Leaching Procedure value)を有する。
【0063】
実施例
実施例 1−11 :本発明に従い中和された赤泥を含有する組成物
下記実施例は、本発明に従う、中和された赤泥およびアルカリ水処理添加剤を含有する組成物を例証している。
【0064】
Figure 2004512930
【0065】
前記実施例において、全ての百分率は、総組成物に対する質量%で表されている。
【0066】
実施例 12 :汚染された水の処理
汚染された水は、下記のように本発明の2段階プロセスで処理した。このプロセスの段階で使用した中和された赤泥は、Virotec International社、サンクチュアリーコーブ、クイーンズランド州から、商品名「Bauxsol」で入手可能な中和された赤泥試料であった。商品名Bauxsolは、Virotec International社の登録商標である。
【0067】
段階1:水1Lにつき実施例5の組成物約1gの量を、約2時間間隔で、pH約6.7に達するまで、水に添加した。これは、水1Lにつき該組成物4g〜5gを必要とした。
【0068】
段階2:この混合物を約24時間沈降させ、水相を分離した。
【0069】
段階3:水1Lにつき実施例1の組成物約1gの量を、約2時間毎に、pH約8.2に達するまで、段階2の水相に添加した。これは、水1Lにつき該組成物3〜4gを必要とした。
【0070】
段階4:この混合物を約24時間沈降させ、水相を分離した。
【0071】
前述の処理時の水相の組成は下記のようであった:
Figure 2004512930
(n.d.=測定できず)
【0072】
実施例 13 比較例
実施例12に説明したのと同じように処理した水の分離した試料を、異なる量のBauxsolで処理し、各処理は単独の段階であった。この水の試料を、Bauxsolと48時間接触した後に除去し、かつこの水組成は下記のようであった:
【0073】
Figure 2004512930
【0074】
実施例12で得られたものに対し同等の品質の水(特に、オーストラリアにおける現在の放出限界が50μg/Lである亜鉛濃度に関して)を得るために、実施例12で説明された2段階処理と比較して、少なくとも3倍量のBauxsolがこの単段階で処理において必要であることは認められるであろう。さらに、大量のBauxsolが使用された場合、アルミニウム除去効率が低下し始めることが認められるであろう。
【0075】
実施例 14
約3,000,000Lの水を、2種の異なる中和された赤泥ブレンドが関連した2段階処理プロセスを用いて処理した。このプロセスにおいて使用した中和した赤泥は、Virotec International社(サンクチュアリーコーブ、クイーンズランド州)から商品名「Bauxsol」で入手可能な中和された赤泥であった。商品名Bauxsolは、Virotec International社の登録商標である。
【0076】
段階1:水1Lにつき実施例7の組成物7gを添加し、この水を6km離れた待機ダムへパイプでポンプ輸送した;待機ダムに到達するのに必要な時間は約5時間であった。
【0077】
段階2:この混合物を沈降させ、固相を底に分離した。
【0078】
段階3:水1Lにつき実施例5の組成物約0.75gの量を、約24時間間隔で水に添加した。これは、水1Lにつき該組成物4.65gを必要とした。
【0079】
段階4:この混合物を約24時間沈降させ、水相および固相を分離した。
【0080】
Figure 2004512930
(n.d.=測定できず;TDSは溶解した固形物総量を表す)
(注意:Mn濃度は、先に報告された最終試料が採取されるまで、減少が続いた。)
【0081】
実施例 15
ボーキサイト精錬からの苛性赤泥試料を、塩化カルシウムおよび塩化マグネシウムが添加されている海水の添加により中和した;この精錬での純粋な海水の使用は、付近の河川からの新鮮な水による周囲(ambient)海水の希釈は、カルシウムおよびマグネシウムの両濃度を、カルシウム320mg/Lおよびマグネシウム290mg/Lの最低必要値(基本量値)よりも低くするため、不可能であった。精錬所付近の海水中のカルシウムおよびマグネシウム濃度は、わずかにカルシウム10mg/Lおよびマグネシウム20mg/Lであった。
【0082】
最初の総アルカリ度146,000mg/L(アルカリ度の等しい炭酸カルシウムとして)および最初のpH13.19を有する苛性赤泥懸濁液2Lを、大きいビーカーに入れ、塩水ブライン8.7Lで処理した。この塩水ブラインは、精錬所付近の周囲海水に似せてつくった人工海水10L(すなわち最初のカルシウム濃度10mg/Lおよびマグネシウム濃度20mg/L)への、塩化カルシウム20g(すなわち2g/L)および塩化マグネシウム150g(すなわち15g/L)の添加により調製した。その後この混合物を1時間攪拌し、24時間静置し、遠心し、固形物画分を分離した。固形物画分は、反応pH(水5部に対して固形物1部)8.54を有した。この液体画分は、残留カルシウム濃度305mg/Lおよび残留マグネシウム濃度269mg/Lを有し;これらの残留濃度は、完全な中和を達成するのに必要なマグネシウムおよびカルシウムのほぼ最低(基本量)濃度であった。
【0083】
この実施例において、およびこの手法を用いた他の中和作業の全てにおいて、必要な正確な添加容量は、処理された混合物の目標pHによって変動する。エンドポイント近傍で必要な処理溶液の量は、実施例16において説明したような0.2のpH単位と同じくらい少ない変化により、最大10%まで変動することができる。従って、必要な全ての処理に関する混合比は、野外での大規模適用前に実験室においてベンチ試験されることが推奨される。
【0084】
実施例 16( 比較例
別のボーキサイト精錬からの苛性赤泥試料を、世界中で平均的な海水に類似した組成を有する海水の添加により中和した。この混合物を10分間攪拌し、その後各海水増分の添加の間で2時間静置した。
当初の赤泥の反応pHは13.22であり、様々な赤泥および海水の混合物のpHを表1に示した。
【0085】
【表1】
Figure 2004512930
【0086】
表1に示したpH値は、赤泥と混合された場合の水溶液のpH値であった。これらの値は、水性処理溶液から分離された後の中和された赤泥の反応pHと同じ必要はなかく、その後5質量部の蒸留水または脱イオン水と混合された。実際に後者のpHは、典型的には比較的高く、その理由は本明細書に記された処理条件下では、赤泥および水性処理溶液は通常平衡に達しないからである。
【0087】
表1に認められるように、より多くの海水が添加された場合のpHの変化は、直線ではなく、中和時に生じる一連の錯体の沈殿、溶解および希釈の反応を反映している。遠心後に抽出された固形物は、反応pH(水5質量部に対し固形物1質量部)8.46を有した。
【0088】
実施例 17
この例は、この処理において海水が蒸発されること以外は、実施例16と同様である。特に、当初の海水30Lは蒸発させ、赤泥処理前に容量20Lとした。それ以外の処理条件は、実施例16と同じであった。
【0089】
様々な赤泥および蒸発された海水の混合物に関する、赤泥と接触している水性液体のpHを、表2に示した。
【0090】
【表2】
Figure 2004512930
【0091】
これらの結果は、海水の使用に比べ、所定の最終pHの達成に必要な処理水容量の驚くべき減少を示している。この実施例において、混合物をpH約8.6に達するために、当初の海水9容量部から得られた約6容量部の蒸発させた海水が必要であった。しかし、蒸発していない海水による赤泥処理により同じpHを達成するためには、海水約12容量部が必要であった。必要な水容量の低下は、蒸発により濃縮された海水中の増大したカルシウムおよびマグネシウムの両濃度を反映し、かつ一旦水容量が減少すると基本量の供給に必要なカルシウムおよびマグネシウムの量および割合が減少することを反映している。
【0092】
本発明が提供する海水の使用と比べ実質的により少量の水により赤泥を中和する能力は、本明細書に定義したように、各々、赤泥の少なくとも部分的中和に必要なカルシウムおよびマグネシウムの量は、基本量および処理量を含むという本発明者らの発見の結果であり、著しい恩恵である。

Claims (25)

  1. 以下の段階を含む、溶解した無機物質を含有する酸性水を処理するプロセス:
    (i)pH上昇添加剤を、水のpHを予め決定された値まで上昇させるために十分な量添加する段階;および
    (ii)中和されたボーキサイト精錬残渣を、該水中の少なくとも1つの該無機物質の濃度を予め決定されたレベル以下に低下させるために十分な量の水に添加する段階を含む、プロセス。
  2. 段階(i)の後、水が、その中に懸濁された水不溶性の物質を含有し、さらに段階 (ii)の前に、水不溶性の物質の少なくとも一部を分離または沈降させる段階を含む、請求項1記載のプロセス。
  3. pH上昇添加剤が、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウムおよび酸化マグネシウムからなる群より選択される、請求項1記載のプロセス。
  4. 中和されたボーキサイト精錬残渣が、1つまたは複数の水処理添加剤と共に添加される、請求項1記載のプロセス。
  5. 以下の段階を含む、溶解した無機物質を含有する水を処理するプロセスであって:
    (i)第一の量の中和されたボーキサイト精錬残渣を、該水中の少なくとも1つの無機物質の濃度を低下させるために十分な量の該水へ添加する段階;および
    (ii)第二の量の中和されたボーキサイト精錬残渣を、少なくとも1つの該無機物質の濃度を予め決定されたレベル以下に低下させるために十分な量の該水へ添加する段階を含み;
    段階(i)および段階(ii)の少なくともひとつにおいて、該中和されたボーキサイト精錬残渣が、該水に、1つまたは複数の水処理添加剤と共に添加される、プロセス。
  6. さらに、少なくとも1つの他の無機物質の濃度を予め決定されたレベル以下に低下させるために十分な量、水処理添加剤の添加を伴うまたは伴わずに、中和されたボーキサイト精錬残渣を少なくとも1回引き続き添加する段階を含む、請求項5記載のプロセス。
  7. 段階(i)の後および段階(ii)の前に水中に懸濁している不溶性物質の少なくとも一部を分離または沈降させる段階をさらに含む、請求項5記載のプロセス。
  8. 以下の段階を含む請求項5記載のプロセスであって:
    (i)第一の量の中和された赤泥を、該水中の少なくとも1つの無機物質の濃度を低下させるために十分な量の該水へ添加する段階;
    (ii)第二の量の中和された赤泥を、該水中の少なくとも1つの該無機物質の濃度を低下させるために十分な量の該水へ添加する段階;および
    (iii)第三の量の中和された赤泥を、少なくとも1つの該無機物質の濃度を予め決定されたレベル以下に低下させるために十分な量の該水へ添加する段階を含み;
    段階(i)、(ii)および(iii)の少なくともひとつにおいて、中和された赤泥が、該水に、1つまたは複数の水処理添加剤と共に添加される、プロセス。
  9. (i)(a)段階(i)の後に、水中に懸濁している不溶性物質の少なくとも一部を分離または沈降させる段階をさらに含む、請求項8記載のプロセス。
  10. (ii)(a)段階(ii)の後に、水中に懸濁している不溶性物質の少なくとも一部を分離または沈降させる段階をさらに含む、請求項8記載のプロセス。
  11. 以下の段階を含む、請求項8記載のプロセス:
    (i)(a)段階(i)の後に、水中に懸濁している不溶性物質の少なくとも一部を分離または沈降させる段階;および
    (ii)(a)段階(ii)の後に、水中に懸濁している不溶性物質の少なくとも一部を分離または沈降させる段階。
  12. 水処理添加剤が、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の酸化物、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸ナトリウム、ナトリウムミョウバン、硫酸第一鉄、硫酸アルミニウム、可溶性リン酸塩、リン酸、ハイドロタルサイト、ゼオライト、カンラン石、輝石、塩化バリウム、ケイ酸およびそれらの塩、メタケイ酸およびそれらの塩、ならびにマガディアイトからなる群より選択される、請求項5〜11のいずれか1項記載のプロセス。
  13. 水処理添加剤が、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸ナトリウム、ナトリウムミョウバン、硫酸第一鉄、硫酸アルミニウム、リン酸アンモニウム、リン酸、ハイドロタルサイト、ゼオライト、カンラン石、輝石、塩化バリウム、ケイ酸およびそれらの塩、メタケイ酸およびそれらの塩、ならびにマガディアイトからなる群より選択される、請求項12記載のプロセス。
  14. 中和されたボーキサイト精錬残渣および水処理添加剤の混合物を含む、組成物。
  15. 中和されたボーキサイト精錬残渣、ならびにアルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の酸化物、次亜塩素酸カルシウム、ナトリウムミョウバン、硫酸第一鉄、硫酸アルミニウム、可溶性リン酸塩、リン酸、ハイドロタルサイト、ゼオライト、カンラン石、輝石、塩化バリウム、ケイ酸およびそれらの塩;メタケイ酸およびそれらの塩、ならびにマガディアイトからなる群より選択される1つまたは複数の物質の混合物である、請求項14記載の組成物。
  16. 赤泥を中和するプロセスであり、赤泥を、基本量および処理量のカルシウムイオンならびに基本量および処理量のマグネシウムイオンを含有する水性処理溶液と、少なくとも部分的に中和された赤泥および消費された水溶液の作製に十分な時間混合することを含み、水性処理溶液が海水以外であるならば、
    少なくとも部分的に中和された赤泥が、1質量部が脱イオン水または蒸留水5質量部と混合された場合に、10.5未満の反応pHを有し;
    カルシウムイオンおよびマグネシウムイオンの基本量が、処理溶液および赤泥の総容量1L当たり、各々、8mmolおよび12mmolであり;
    カルシウムイオンの処理量は、アルカリ度が等しい炭酸カルシウムとして表された赤泥の総アルカリ度1mol当たり、少なくとも25mmolであり;および
    マグネシウムイオンの処理量は、アルカリ度が等しい炭酸カルシウムとして表された赤泥の総アルカリ度の1mol当たり、少なくとも400mmolである、プロセス。
  17. カルシウムイオン処理量が、アルカリ度が等しい炭酸カルシウムとして表された赤泥の総アルカリ度1mol当たり、25mmol〜50mmolである、請求項16記載のプロセス。
  18. マグネシウムイオン処理量が、アルカリ度が等しい炭酸カルシウムとして表された赤泥の総アルカリ度1mol当たり、400mmol〜600mmolである、請求項16または17記載のプロセス。
  19. マグネシウムイオン処理量およびカルシウムイオン処理量が、モル比12〜20の範囲である、請求項16記載のプロセス。
  20. 反応pHが8.4〜8.8の範囲である、請求項16記載のプロセス。
  21. 水性処理溶液が、ニガリを含むブラインである、請求項16記載のプロセス。
  22. 請求項16〜21のいずれか1項記載のプロセスにより調製された場合の、中和された赤泥。
  23. 中和されたボーキサイト精錬残渣が、請求項22記載の中和された赤泥である、請求項1記載のプロセス。
  24. 段階(i)および段階(ii)の少なくともひとつの中和されたボーキサイト精錬残渣が、請求項22記載の中和された赤泥である、請求項5記載のプロセス。
  25. 中和されたボーキサイト精錬残渣が、請求項22記載の中和された赤泥である、請求項14記載の組成物。
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