JP2016167515A - 有機ヘテロ高分子 - Google Patents

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育義 冨田
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和寿 福井
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Abstract

【課題】有機半導体を形成するのに有用な有機ヘテロ高分子を提供する。
【解決手段】本発明の有機ヘテロ高分子は、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する。
Figure 2016167515

(式中、Rは直鎖状又は分岐鎖状アルキル基を示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、アルソール単位を含有し、半導体素子、光電変換素子などの有機半導体を形成するのに有用な有機ヘテロ高分子並びに前記高分子で形成された有機半導体及びそれを用いたデバイスに関する。
金属フタロシアニンに代表される有機金属化合物は、その有機分子−金属間の結合により、特異な電子状態や非常に安定な分子構造を形成するものが多い。これらの特徴により、古くから有機顔料などとして用いられてきた。
近年では、有機半導体としての機能が注目され、有機トランジスタや有機薄膜太陽電池への利用が検討されている。有機半導体を用いた電子デバイスは、印刷により作製できるため、無機系デバイスに比べて、より安価に大量生産できると期待されている。しかし、従来の有機金属化合物は溶剤に不溶又は難溶であるものが多く、その成膜は主に真空蒸着法で行っているため、作製した電子デバイスは高価である。
これらの課題を改善した有機金属化合物として、主鎖にアレーン環単位とヘテロ元素核を含む5員複素環単位とを有する有機ヘテロ高分子が知られている。
例えば、特開2014−172969号公報(特許文献1)には、主鎖にアレーン環単位とビスマス(Bi)原子を含む5員複素環(ビスモール)単位とを有する有機ヘテロ高分子が記載されている。また、特開2013−155229号公報(特許文献2)には、主鎖にアレーン環単位とヘテロ原子(14〜16族元素)を含む5員複素環単位とを有する有機ヘテロ高分子が記載されている。この文献の実施例では、15属元素としてリン(P)原子を含む下記式で表される繰り返し単位を有する有機ヘテロ高分子などが使用されている。
Figure 2016167515
(式中、Rは、2−エチルヘキシル基を示す。)
これらの有機ヘテロ高分子は、有機溶媒に対する溶解性が高く、分子量が大きいにも拘わらず高い導電性(キャリア移動度)を有するため、高分子有機半導体を形成するのに有用である。しかし、有機太陽電池などの電子デバイスとして利用するには、さらに導電性及び光電変換効率の高い共役系高分子が求められている。
特開2014−172969号公報(特許請求の範囲、実施例、[0013]、[0021]) 特開2013−155229号公報(特許請求の範囲、実施例、「0014」)
従って、本発明の目的は、導電性(キャリア移動度)が高く、高分子有機半導体を形成するのに有用な新規有機ヘテロ高分子(π共役高分子)並びに前記高分子で形成された有機半導体及びそれを用いたデバイス(半導体デバイス)を提供することにある。
本発明の他の目的は、バンドギャップが狭く、光電変換効率及び導電性の高い有機ヘテロ高分子並びに前記高分子で形成された有機半導体及びそれを用いたデバイスを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、有機溶媒に対する溶解性が高く、コーティングなどの簡便な方法により成膜可能な有機ヘテロ高分子並びに前記高分子で形成された有機半導体及びそれを用いたデバイスを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、アルコキシベンゼン環単位とアルシン原子を含む5員複素環(アルソール)単位とを有する前記新規有機ヘテロ高分子が、導電性が高く有機半導体を形成するのに有用であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の有機ヘテロ高分子は、下記式(1)で表される繰り返し単位を有している。
Figure 2016167515
(式中、Rは直鎖状又は分岐鎖状アルキル基を示す。)
前記式(1)において、Rは直鎖状又は分岐鎖状C4−16アルキル基であってもよい。
本発明には、有機半導体を形成するための組成物であって、前記有機ヘテロ高分子と有機溶媒とを含む組成物も含まれる。また、本発明には、前記有機ヘテロ高分子を含む有機半導体も含まれる。さらに、本発明には、基材の少なくとも一方の面に前記組成物を塗布して乾燥し、有機半導体を形成する有機半導体の製造方法も含まれる。
本発明には、前記有機ヘテロ高分子を含む電子デバイスも含まれる。この電子デバイスは、光電変換素子、スイッチング素子及び整流素子から選択された一種であってもよい。
本発明の新規有機へテロ高分子では、アルコキシベンゼン環とAs原子を含む5員複素環(アルソール環)とが共役結合(π−電子共役結合)した共役系を形成しており、導電性(キャリア移動度)が高く、半導体特性を有する。また、有機ヘテロ高分子は、As原子を含むためか、吸収波長域が長波長側にシフトし、長波長域で光吸収性が高く、バンドギャップが狭い。そのため、光電変換効率が高く、高分子有機半導体を形成するのに有用である。さらに、前記有機高分子の側鎖に長鎖アルキル鎖を導入すると、有機溶媒に対する溶解性を向上できるため、簡便に有機半導体を成膜でき、有機太陽電池などのデバイス(半導体デバイスなど)として利用できる。
[有機ヘテロ高分子]
前記式(1)で表される繰り返し単位において、アルソール環のアルシン(ヒ素)As原子には、フェニル基が置換しているため、水の存在下や室温でも、ポリマーが安定化できる。
前記式(1)において、ベンゼン環に置換したアルコキシ基ORは溶媒可溶性を付与するのに有用である。Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デカニル基、ウンデカニル基、ドデカニル基などの直鎖状又は分岐鎖状アルキル基などが例示できる。Rは、通常、直鎖状又は分岐鎖状C4−16アルキル基、好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C6−12アルキル基、さらに好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C6−10アルキル基である。
本発明の有機ヘテロ高分子は、前記繰り返し単位(1)を含んでいればよく、繰り返し単位(1)の割合は、有機高分子を構成する全単位に対して10モル%以上であってもよいが、導電性を向上できる点から、前記繰り返し単位(1)を主要な単位として含んでいればよく、例えば、50〜100モル%、好ましくは60〜100モル%(例えば、70〜99モル%)、さらに好ましくは80〜100モル%(例えば、80〜95モル%)程度であってもよい。他の繰り返し単位は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、前記繰り返し単位(1)と共重合可能な単位を使用でき、例えば、特許文献2に記載の有機半導体用有機ヘテロ高分子が有する他の繰り返し単位などであってもよい。
本発明の有機ヘテロ高分子は比較的分子量が大きいという特色がある。すなわち、分子量が大きいにも拘わらず導電性(キャリア移動度)が高い。この有機ヘテロ高分子の分子量は特に制限されないが、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定したとき、ポリスチレン換算で、数平均分子量Mnが1×10〜1×10、好ましくは2×10〜5×10(例えば、2×10〜2.5×10)、さらに好ましくは3×10〜1×10(例えば、4×10〜7×10)程度であってもよい。また、分子量分布(Mw/Mn,Mwは重量平均分子量を示す)は、例えば、1.1〜9.0、好ましくは1.5〜8.0、さらに好ましくは2.0〜7.0程度であってもよい。
なお、有機ヘテロ高分子は直鎖状である場合が多いものの、必要であれば分岐構造を有していてもよい。
本発明の有機へテロ高分子は、アルシン(As)元素を含む5員複素環(アルソール)とアルコキシベンゼン環とを主鎖に有し、共役系(π−共役系高分子)を形成している。前記有機ヘテロ高分子は、As元素による特異な光吸収能により、吸収波長域を長波長側にシフトできるためか、長波長フォトンであっても有効に吸収できる。さらに、光学バンドギャップが狭く、光又は電気応答性が高い。そのため、光電変換効率を向上できるとともに、導電性を向上できる。すなわち、紫外−可視吸収スペクトルでの最大吸収波長(λmax)および吸収端波長(λonset)から算出される光学バンドギャップは、例えば、1.0〜3.0eV、好ましくは1.5〜2.5eV、さらに好ましくは1.7〜2.2eV程度であってもよい。また、主鎖骨格に5員環(アルソール)構造を形成しているため、自己凝集性を弱めることができるとともに、アルコキシベンゼン環を介して5員環構造を形成しているため、主鎖全体に有機−ヘテロ原子結合による特異な電子状態が維持されるためか、優れた半導体特性を有している。また、ベンゼン環の側鎖にアルコキシ基(例えば、長鎖アルコキシ基)が置換しているため、溶解性を高めることもでき、溶媒可溶性を併せ持っている。そのため、塗布(コーティング)により容易に成膜できる。さらに、安定性も高く、水や温度(室温など)に対しても安定である。
なお、成膜後、主鎖間でスタッキングするためか、分子間の電子移動も容易な構造膜が得られる。また、高分子中にアルキル鎖があったとしても、スタッキング方向(縦方向)に対してアルキル鎖が並行に並ぶためか、スタッキングを阻害することがない。そのためか、得られた膜は有機半導体として有効に機能する。
[有機ヘテロ高分子の製造方法]
このような有機ヘテロ高分子は、Synthetic Metals, 159 (2009), 949-951又は有機合成化学協会誌Vol.66 No.5 2008に記載の方法に準じて合成できる。すなわち、有機ヘテロ高分子は、以下の反応工程式により調製できる。
Figure 2016167515
(式中、R2はアルキル基、Phはフェニル基、Xはハロゲン原子を示し、nは1以上の整数を示し、Rは前記に同じ)。
で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルキル基が例示できる。このアルキル基Rは、分岐アルキル基、例えば、イソプロピル基などである場合が多い。Xで表されるハロゲン原子としては、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)、ヨウ素原子(I)などが例示できる。
前記反応工程において、前記式(1)で表される繰り返し単位を有する有機ヘテロ高分子は、前記式(4)で表される繰り返し単位からなるチタナシクロペンタジエン骨格を有する高分子(前駆体高分子又は中間高分子)と、前記式(5)で表されるジハロフェニルアルシンとを反応させて得ることができる。本発明では、主鎖に反応性部位を有する前記前駆体高分子(4)を利用して製造するため、容易にAs原子を主鎖の5員複素環に導入できる。
前記式(4)で表される高分子(前駆体高分子又は中間高分子)は、例えば、前記式(2)で表されるジエチニルアレーン化合物と前記式(3)で表される低原子価チタン錯体とを反応させて得ることができる。前記ジエチニルアレーン化合物(2)としては、例えば、1,4−ジエチニル−2,5−ジオクチルオキシベンゼン、1,4−ジエチニル−2,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンなどのジエチニルジアルコキシベンゼンなどが例示できる。なお、低原子価チタン錯体(3)は、テトラアルコキシチタン(テトライソプロポキシチタン(Ti(OPr)など)とアルキルマグネシウムハライド(イソプロピルマグネシウムクロリド(PrMgCl)など)とを反応させることにより生成できる。そのため、前駆体高分子(4)はジエチニルアレーン化合物(2)とテトラアルコキシチタンとアルキルマグネシウムハライドとを反応させることにより生成してもよい。なお、アルキルマグネシウムハライドの使用量は、テトラアルコキシチタン1モルに対して、1.5〜2.5モル程度である。反応は、通常、不活性溶媒(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル類など)中、不活性雰囲気(アルゴン気流など)下、−100℃〜−20℃(例えば、−80℃〜−40℃)程度の温度で行うことができる。
ジハロフェニルアルシン(5)としては、例えば、フェニルジクロロアルシン(PhAsCl)、フェニルジブロモアルシン(PhAsBr)、フェニルジヨードアルシン(PhAsI)などが例示できる。
なお、ジハロフェニルアルシン(5)は、慣用の方法、例えば、アルセノベンゼン(Ph−AsH、Phはフェニル基を示す)とハロゲン(又はハロゲン分子)[例えば、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)など]との反応により調製できる。
前駆体高分子(4)とジハロフェニルアルシン(5)との反応において、ジハロフェニルアルシン(5)の使用量は、前駆体高分子(4)のチタン原子Ti 1モルに対して1〜2モル(例えば、1.1〜1.5モル)程度であってもよい。反応は、通常、前記不活性溶媒(前記エーテル類など)中、不活性雰囲気(アルゴン気流など)下、−80℃〜30℃(例えば、−60℃〜室温)程度の温度で行うことができる。
反応終了後、慣用の分離精製方法、例えば、濃縮、デカント、再沈殿、クロマトグラフィなどの方法により所定の有機ヘテロ高分子を得ることができる。なお、前記有機ヘテロ高分子は、結晶性が高く、反応溶液から析出しやすいため、高収率で得ることができる。
本発明の方法では、少ない工程数でAs(アルシン)原子を含むアルソール骨格を有する有機ヘテロ高分子(1)を効率よく容易に合成できるとともに、得られたアルソール含有高分子は、バンドギャップが小さく、有機半導体として有用である。
[有機ヘテロ高分子の用途]
有機ヘテロ高分子の主鎖は、アルコキシベンゼン環と、As原子を含む5員複素環とで共役系(π−共役系)を形成しており、極めて電子移動度が高く、半導体特性を有している。しかも、側鎖に長鎖アルキル鎖を導入した有機へテロ高分子は、有機溶媒に対する溶解性が高く可溶であり、高い導電性(高い半導体特性)を示すという特色がある。そのため、本発明は有機へテロ高分子と有機溶媒とを含む組成物(コーティング組成物)も包含し、この組成物は、有機半導体、特にコーティング(塗布)などの簡便な方法により有機半導体の薄膜を形成するのに有用である。
有機溶媒としては、例えば、炭化水素類(例えば、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類)、ハロゲン化炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロエタンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどの鎖状エーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリルなど)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシドなど)、ピロリドン類(例えば、2−ピロリドン、3−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなど)などが例示できる。これらの有機溶媒は、単独で又は混合溶媒として使用できる。
溶媒の使用量は、塗布性及び成膜性を損なわない範囲から選択でき、例えば、有機へテロ高分子の濃度は、0.01〜30重量%、好ましくは0.05〜20重量%(例えば、0.1〜10重量%)程度であってもよい。
本発明の組成物は、慣用の方法、例えば、有機へテロ高分子と有機溶媒とを混合して有機へテロ高分子を溶解し、必要によりろ過して調製してもよい。
有機半導体は、基材又は基板(ガラス板、シリコンウエハー、耐熱プラスチックフィルムなど)に前記組成物を塗布する工程と、塗膜を乾燥して溶媒を除去する工程とを経て製造してもよい。なお、塗布方法としては、慣用の塗布方法、例えば、エアーナイフコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ブレードコート法、ディップコート法、スプレー法、スピンコート法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法などが例示できる。
有機半導体の厚みは、用途に応じて適宜選択され、例えば、1〜5000nm、好ましくは30〜1000nm、さらに好ましくは50〜500nm程度であってもよい。
本発明の有機半導体はn型半導体、p型半導体であってもよく、真性半導体であってもよい。本発明の有機半導体は、光電変換能を有し、例えば、光吸収により発生した電子及びホールの移動度を高め、光電変換率を向上できる。そのため、本発明の有機半導体は、光電変換デバイス又は光電変換素子(太陽電池素子、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子など)、整流素子(ダイオード)、スイッチング素子又はトランジスタ[トップゲート型、ボトムゲート型(トップコンタクト型、ボトムコンタクト型)など]などの用途に適する。
代表的なデバイスとして、太陽電池は、pn接合型半導体の表面に電極が積層された構造を有している。例えば、p型シリコン半導体に有機半導体膜を積層して、この有機半導体膜に透明電極(ITO電極など)を積層することにより、太陽電池を形成できる。このような太陽電池では、高い開放電圧及び短絡電流を得ることができる。
また、有機ELは、透明電極(ITO電極など)に、有機ヘテロ高分子(発光性高分子)に必要に応じて電子輸送性材料、ホール輸送性材料を分散させた発光層を形成し、この発光層に電極(金属電極など)を積層した構造が例示できる。
さらに、有機薄膜トランジスタは、ゲート電極層と、ゲート絶縁層と、ソース/ドレイン電極層と、有機半導体層とで構成されている。これらの層の積層構造によって、有機薄膜トランジスタは、トップゲート型、ボトムゲート型(トップコンタクト型、ボトムコンタクト型)に分類できる。例えば、ゲート電極(酸化膜が形成されたp型シリコンウエハーなど)に有機半導体膜を形成して、この有機半導体膜上にソース・ドレイン電極(金電極)を形成することにより、トップコンタクト型電界効果トランジスタを製造できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例において、ジエチルエーテル及びテトラヒドロフラン(THF)はナトリウムで乾燥後、窒素雰囲気又は気流下で蒸留して用いた。テトライソプロポキシチタン(Ti(OPr)は減圧蒸留により精製した。
また、得られたポリマーの特性は、以下の方法で測定した。
H−NMR及び13C−NMRスペクトル]
H−NMR及び13C−NMRスペクトルは、内標準としてテトラメチルシラン(TMS)を用い、溶媒としてCDClを用いて、300MHz NMR(日本電子(株)製「JNM−ECP300」)装置によって測定した。
[分子量]
高分子の数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)(溶媒:テトラヒドロフラン(THF)、ポリスチレン換算)により測定した。
[λmax及びλonset並びにバンドギャップ]
実施例1で得られたポリマーの塩化メチレン溶液(濃度:1mg/ml)を用いて、紫外−可視吸収スペクトル測定を行い、λmax及びλonsetを測定した。なお、λmaxは最大吸収波長(nm)、λonsetは長波長側の吸収端(nm)を意味する。バンドギャップ(BG,eV)は、紫外−可視吸収スペクトルのλonsetから以下の式を用いて算出した。
E=hc/eλ
(式中、Eは電子ボルト(eV)、hはプランク定数(J・s)、cは光の速度(m/s)、eは素電荷(C)、λはλonset波長(nm)を示す)
実施例1
Figure 2016167515
(式中、R1aは2−エチルヘキシル基を示す)。
(ジヨードフェニルアルシンの調製)
アルゴン雰囲気下、ヨウ素(0.152g,0.600mmol)のジエチルエーテル溶液3mlとアルセノベンゼン(0.092g,0.600mmol)のジエチルエーテル溶液3mlとを反応させてジヨードフェニルアルシンのジエチルエーテル溶液を調製した。このジヨードフェニルアルシンを単離することなく反応に用いた。
(上記式で表される繰り返し単位を有する有機ヘテロ高分子の合成及び測定)
アルゴン雰囲気下、1,4−ジエチニル−2,5−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼン(0.191g,0.50mmol)及びテトライソプロポキシチタン(Ti(OPr)(0.198g,0.70mmol)をジエチルエーテル20mlに溶解し、この溶液を−78℃で攪拌しつつ、さらにイソプロピルマグネシウムクロリド(PrMgCl)のジエチルエーテル溶液(1.0N,1.25ml,1.25mmol)を加えた。その後、−50℃まで徐々に昇温して6時間攪拌し、この温度で別途調製したジヨードフェニルアルシンのジエチルエーテル溶液(0.10M,6.0ml,0.60mmol)を加え、室温まで昇温し、さらに3時間攪拌した。反応終了後、水20mlを加えて有機層を回収し、水層をジクロロメタン50mlで三回抽出した。さらに、溶媒を減圧濃縮し、少量のジクロロメタンに溶解させ、メタノール200mlに再沈殿する方法で赤色のポリマーを収率81%(0.216g,0.405mmol)で得た。
H−NMR(300MHz,CDCl,ppm):0.41−1.88(30H,−OCH(C )C ),3.20−4.08(4H,−OC −),6.78−8.07(9H,aromatic)
13C−NMR(75MHz,CDCl,ppm):11.1,14.1,23.1,24.0,29.0,30.5,39.4,71.5,113.3,126.1,128.2,129.9,132.4,137.3,138.1,150.1,152.6。
ポリマーの数平均分子量Mnは4800、分子量分布Mw/Mnは6.9であった。また、ポリマーの紫外−可視吸収スペクトルを評価したところ、最大吸収波長(λmax)及び吸収端波長(λonset)はそれぞれ504nm及び602nmに観測された。また、吸収端波長(λonset)から、光学バンドギャップは2.10eVと算出され、狭いバンドギャップを示すことが明らかとなった。
本発明の有機へテロ高分子は、π−電子共役系高分子であり、低抵抗で導電性の高い有機半導体(高分子型有機半導体)を形成するのに有用である。有機半導体は様々なデバイス、例えば、整流素子(ダイオード)、スイッチング素子又はトランジスタ[接合型トランジスタ(バイポーラトランジスタ)、電界効果型トランジスタ(ユニポーラトランジスタ)など]、光電変換素子(太陽電池素子、有機EL素子など)などに利用できる。

Claims (7)

  1. 下記式(1)
    Figure 2016167515
    (式中、Rは直鎖状又は分岐鎖状アルキル基を示す。)
    で表される繰り返し単位を有する有機ヘテロ高分子。
  2. が直鎖状又は分岐鎖状C4−16アルキル基である請求項1に記載の有機ヘテロ高分子。
  3. 有機半導体を形成するための組成物であって、請求項1又は2に記載の有機ヘテロ高分子と有機溶媒とを含む組成物。
  4. 請求項1又は2に記載の有機ヘテロ高分子を含む有機半導体。
  5. 基材の少なくとも一方の面に請求項3記載の組成物を塗布して乾燥し、有機半導体を形成する有機半導体の製造方法。
  6. 請求項1又は2に記載の有機ヘテロ高分子を含む電子デバイス。
  7. 光電交換素子、スイッチング素子、又は整流素子である請求項6に記載の電子デバイス。
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