JP2016165375A - 防食被覆層を有するステントの製造方法 - Google Patents

防食被覆層を有するステントの製造方法 Download PDF

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達郎 井本
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Abstract

【課題】生分解性の金属材料のステントにおいて、長期に渡る耐久性(従来の金属製ステントと同等の性能)を有するステントを提供する。【解決手段】生分解性の金属材料のステントにおいて、バルーンカテーテルのバルーン部にクリンプされたステントに、ポリマーもしくはポリマーと血管内膜肥厚抑制剤を含んだ溶液を噴霧し、被覆層を形成することで、長期に渡る耐久性(従来の金属製ステントと同等の性能)を有するステントを提供することができる。【選択図】図4

Description

本発明は、防食被覆層を有するステント、とくに、マグネシウムもしくはマグネシウム合金に基づく生分解性ステントの製造方法に関する発明である。
冠動脈疾患は、世界中の先進国において主要死亡原因となっている。当該疾患は、心臓へ血液を供給する主要な動脈壁における血栓の堆積物の蓄積によって始まる。堆積物が蓄積すると、心臓への負担が増幅する。軽度から中程度の冠動脈疾患を持つ患者には迅速な薬剤治療が有効となるが、冠動脈疾患が進行するにつれて、胸痛や狭心症として現れる。現時点では、心臓へ流れる血液の量を増加させるために、機械的インターベンションが必要である。
血管形成術は、進行性冠動脈疾患に対する最も一般的なインターベンション療法の一つである。経皮的冠動脈形成術(Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty ; PTCA)処置を最初に行ったのは、Andreas Gruentzigである。彼は、小型バルーンが付いているカテーテルを、大動脈を介して、部分閉塞のある冠動脈内へ進入させた。続いて、バルーンを膨張させ、部分閉塞の血栓部分を動脈壁に対して圧迫させ、心臓への血流を回復させた。
PTCAは急速に成長し、カテーテルが小型化してより操作しやすくなったため、医師が、より困難な冠動脈の閉塞部分にアクセスすることが可能になった。しかしながら、PTCAは、再狭窄または治療病変の再閉塞に悩まされてきた。一般に、全患者の30から40%がPTCA後に再狭窄を起こしている。
冠状動脈ステントは、再狭窄を防止するために、1990年代半ばに導入された。ステントは、冠動脈内に留置し残存する永久インプラントであって、動脈を広げ、血流を改善し、冠動脈疾患の症状を軽減する。冠動脈ステントは、再狭窄を低減し、再狭窄率を15から20%に低下させることが証明された初めての装置であり、以来、ステントはPTCA処置の大部分において使用されている。
また、ラパマイシン等の薬物を溶出する薬剤溶出ステントは、ステントによる再狭窄率をさらに低減するように設計されており、一般に、そのようなステントは母材となる金属材料、薬物の溶出を制御する分解性または非分解性のポリマーを組み合わせて成り立っている。そのことにより、ステント単独の場合と比較して、再狭窄率をさらに低減させた。
従来のステントおよび薬剤溶出ステントの両方に使用される金属材料は、生物学的に安定しており、患者の生涯にわたって体内に残存するようになっている。ステントの主要な機能のひとつは、血管壁に機能的支持をすることおよび血流のための内腔を保つことであるが、血管壁が治癒すると、ステントは継続的な目的をほとんど果たさなくなる。さらに、機械的に硬質のままであるステントは、場合により患者に合併症をもたらす可能性がある。したがって、血管の治癒中もしくは直後、またはその後で、溶解または分解するステントが望まれてきた。
これまで、ポリ乳酸(Poly−Lactic Acids ; PLA)等の生分解性のポリマー材料からステントを作製するために、いくつかの試みが行われてきた。そのようなポリマー材料からなるステントは、血管壁への機能的支持が弱い傾向があるため、従来のステントと同等の機能を有するステントにしようとすると、ステントの厚さを大きくする必要がある。しかしながら、そのことは、有効な血流腔を低減し、望ましくない生物学的反応を引き起こすリスクを増大させることにつながる。
例えば特許文献1および特許文献2に記載されているように、近年、体内で分解する金属ステントを作製するための試みが行われている。しかしながら、そのような分解性の金属ステントは、機械的特性、および、従来の金属ステントに見られるその他の望ましい性質を損なっている場合が多く、改良したステントの開発が必要であった。
米国特許第6,287,332号明細書 米国特許第6,854,172号明細書
バルーンカテーテルのバルーン部にクリンプされたステントに、ポリマーもしくはポリマーと血管内膜肥厚抑制剤を含んだ溶液を噴霧し、被覆層を形成することで、耐久性が向上したステントを提供することが、本発明の目的である。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討の結果、バルーンカテーテルのバルーン部にクリンプされたステントであって、前記ステントにポリマーもしくはポリマーと血管内膜肥厚抑制剤を含んだ溶液を噴霧し、被覆層を形成することで、拡張されたステントが耐久性を有することを見出し、本発明に到達した。
本発明の第1の構成は、半径方向に拡張可能な、接続されたフィラメントの格子からなり、頂部、側部および内側表面領域を有するコア構造体であって、前記頂部および側部表面領域に、ポリマーを一組成物とする被覆層を有するステントである。前記コア構造体は、生分解性の金属材料であるマグネシウムまたはマグネシウム合金から形成されていることが好ましい。また、前記ポリマーは、生分解性ポリマーであって、ポリ乳酸、ポリ(乳酸−グリコール酸)、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリ(乳酸−ε―カプロラクトン)、またはポリ(グリコール酸−ε−カプロラクトン)であることが好ましい。
本発明の第2の構成は、37℃のウシ胎児血清(FBS)中において、生分解性の金属材料のラディアルフォースの劇的な減少が抑制されることを特徴とするステントである。
本発明の第3の構成は、生分解性の金属材料をバルーンカテーテルのバルーン部にクリンプした後、ポリマーを含む溶液を噴霧するステント製造方法である。
本発明の第4の構成は、上記の本発明の第1の構成のステントが、頂部および側部表面領域にポリマーと血管内膜肥厚抑制剤からなる被覆層を有する。前記血管内膜肥厚抑制剤は、シロリムス、エベロリムス、バイオリムスA9、ゾタロリムス、タクロリムス、パクリタキセルなどがあげられるが、なかでも、シロリムスが好ましい。
本発明の第1の構成によれば、ポリマーを一組成物とする被覆層を有する頂部および側部表面領域、ならびに前記被覆層を有しない内側表面領域で構成されたステントとすることにより、コア構造体である生分解性の金属材料の分解速度を制御することができる。
本発明の第2の構成によれば、生分解性の金属材料の分解を一定レベルに維持することができるため、ラディアルフォースの劇的な減少を抑制することができる。
本発明の第3の構成によれば、コア構造体をクリンプしたバルーンカテーテルのバルーン部に、被覆層の一組成物であるポリマーを含む溶液を噴霧するため、前記コア構造体の頂部、側部表面領域にのみ効率よく前記被覆層を形成することができる製造方法である。
本発明の第4の構成によれば、本発明の第1の構成のステントにおいて、ポリマーを一組成物とする被覆層を有する頂部および側部表面領域、ならびに被覆層を有しない内側表面領域で構成されており、前記被覆層を有しない内側表面領域において、血管内膜肥厚抑制剤が溶出されないため、血管内皮細胞の接着性および増殖性を損なうことがない。
本発明のステントは、冠動脈のステント治療に有効に用いられるが、脳動脈、腎動脈、末梢動脈のステント治療においても有効である。
本発明のステントは、図1のようなクローズドセルステントでもよいし、オープンセルステントでもよく、すべてのステントに有効である。
以下、本発明の図表概略を示す。尚、図2ならびに図3において、コア構造体の頂部、側部および内側表面領域に被覆層が形成されたものを「全面」、コア構造体の頂部および
側部領域にのみに被覆層が形成されたものを「アブルミナル」と表記する。
本発明に基づく生分解性の金属材料で形成された例示的クローズドセルステントの一部分の平面図。 コア構造体被覆様式とFBS浸漬10日後のコア構造体の重量残存率との関係 コア構造体被覆様式とFBS浸漬10日後のコア構造体のラディアルフォースとの関係 本発明の概念図 バルーンカテーテルのバルーン部にステントが搭載、クリンプされたバルーンカテーテルに、ポリマーを含む溶液を噴霧している状態
以下、本発明の実施形態について図面にて説明する。図1は円筒形状に形成された生分解の金属材料のコア構造体からなるステント本体の平面図であり、隣接するすべてのセルとリンクが連結されたクローズドセルステント1の一部分である。図2はコア構造体被覆様式とFBSに浸漬して10日後のコア構造体の重量残存率との関係を示した。図3はコア構造体被覆様式とFBSに浸漬して10日後のコア構造体のラディアルフォースとの関係を示した。図4は本発明の概念図である。図5はバルーンカテーテルのバルーン部にステントが搭載、クリンプされたバルーンカテーテルに、ポリマーを含む溶液を噴霧している状態である。
(ステント本体の素材)
コア構造体であるステント本体の素材は生分解性の金属材料であることが好ましい。具体例としてマグネシウムまたはマグネシウム合金などがあげられる。マグネシウム合金としては、マグネシウムを主成分とし、Zr、Y、Ti、Ta、Nd、Nb、Zn、Ca、Al、Li、およびMnからなる生体適合性元素群から選択される少なくとも1つの元素を含有するのが好ましく、その一例としてマグネシウムが50〜98%、リチウム(Li)が0〜40%、鉄が0〜5%、その他の金属または希土類元素(セリウム、ランタン、ネオジム、プラセオジムなど)が0〜5%があげられる。また、ステント本体の構造としては、外表面と内表面とを有する円筒形状を有しており、バルーン拡張型、自己拡張型、およびそれらの組み合わせであってもよい。また、ステント本体の素材であるコア構造体はフィラメントによって、複数の連結された管状部材から形成される。フィラメントは幅と厚みがほぼ一定であることが好ましい。
(バルーンカテーテルについて)
バルーンカテーテルは素材等、とくに指定するものはなく、すべてにおいて対応可能である。
(バルーンカテーテルのバルーン部への被覆)
本発明においては、バルーンカテーテルのバルーン部へ、ポリマーを一組成物とする被覆層を形成することが好ましい。バルーンカテーテルのバルーン部の表面に、ポリマーを一組成物とする被覆層を担持させる方法としては、ポリマーを含む組成物を適当な溶剤に溶かして調製したコーティング液中に、バルーンカテーテルのバルーン部を浸漬し、引き上げて溶剤を乾燥させるディッピング法、ポリマーを含む組成物を溶解した溶液を霧状化してバルーンカテーテルのバルーン部に吹き付けるスプレイ法、ポリマーを含む組成物を別々な溶剤に溶解し2本のノズルから同時にバルーンカテーテルのバルーン部に吹き付ける2重同時スプレイ法などがあげられ、本発明においては上記のいずれの方法も適用可能であるが、あらかじめバルーンカテーテルのバルーン部にクリンプされたコア構造体に被覆層を形成する方法が、コア構造体の頂部、側部表面領域にのみ効率よく被覆層を形成することができるので好ましい。
(ステント本体の被覆層)
本発明のステントの基本構造は、バルーンカテーテルのバルーン部にステントが搭載、クリンプされた状態で、ポリマーを含む溶液を噴霧することによって、コア構造体の頂部、側部表面領域にのみ被覆層が形成される。コア構造体表面上に、ポリマーを一組成物とする被覆層を有する頂部および側部表面領域、ならびに被覆層を有しない内側表面領域を設けることで、コア構造体である生分解性の金属材料の分解速度を制御することができる。
(ステントの被覆層を形成する組成物)
本発明における被覆層は、上記のようにポリマーから形成されている。ポリマーがコア構造体の頂部および側部表面領域のみを被覆することにより、コア構造体である生分解性の金属材料の分解速度を制御することができる。また、ポリマーと血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)を含む組成物を被覆として選択することができる。ポリマーと血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)の組成物においては、コア構造体である生分解性の金属材料の分解速度を制御するだけでなく、ポリマーが血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)を強く担持することにより、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)を長期にわたって溶出することができる。したがって、ポリマーによる血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)の担持を阻害しないように、組成物には、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)以外の薬剤を含まないことが好ましい。
(ステントの被覆層を構成するポリマー)
本発明においては、生分解性金属材料からなるステント本体の分解を制御することを主眼としているが、そのために、柔軟性ポリマーを使用することが好ましい。このような柔軟性ポリマーとして、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素樹脂、ポリブチルアクリレート(−54℃)、ポリブチルメタクリレート(20℃)、アクリルゴム、天然ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレンブロック共重合体などが例示される。上記の柔軟性ポリマーは、血管内に導入されたとき非分解性であるが、本発明においては、ポリマーに起因する慢性炎症から血管組織を早期に回復させることが要求される場合には、生分解性ポリマー、なかでも1年以内に生体内で分解・消失するものを用いて被覆するのが好ましい。生分解性ポリマーの具体例としては、ポリ乳酸、ポリ(乳酸−グリコール酸)、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリ(乳酸−ε−カプロラクトン)、ポリ(グリコール酸−ε−カプロラクトン)、ポリ−p−ジオキサノン、ポリ(グリコール酸−トリメチレンカーボネート)、ポリ−β−ヒドロキシ酪酸などが挙げられる。なかでもポリ(乳酸−グリコール酸)は、ガラス転移温度が45〜55℃の範囲にあり、かつ、1年以内に生体内で分解消失する速度であるので、本発明において好ましく用いられる。これらのポリマーの分子量は、コーティング層の強度確保、コーティング作業効率の観点から、30,000〜500,000が適当である。
(ポリマーの選択とマグネシウム分解速度)
本発明のステントのコア構造体の分解速度は、生分解性ポリマーで形成された被覆層によって制御することができる。一方、非分解性ポリマーでは、コア構造体の分解を抑制することができたとしても、非分解性ポリマー自体が長期に渡って生体内に留まってしまうリスクが伴うため好ましくない。
(被覆層の厚み)
本発明のステントの単位表面積(1cm)あたりのコート層の厚さは、マグネシウムの分解を制御、薬剤(シロリムス)を適当量溶出させる観点から、1〜25μmの範囲内の厚みが必要である。通常1〜20μmの範囲内にあるのが好ましい。被覆層が20μmを超えると、ステント内狭窄が大きくなる懸念がある。したがって、これらの被覆条件が満たせるように、コーティング液組成およびコーティング条件が選択される。
(被覆層の構成)
本発明の被覆層は、血管内膜肥厚抑制剤以外の成分として、抗トロンビン薬、免疫抑制剤、抗がん剤、コレステロール低下剤などの薬剤を含む組成物であってもよい。これにより、コア構造体である生分解性の金属材料が分解することで引き起こされる血栓形成や血管内膜肥厚に対して抑制効果を発揮できるステントを得ることが出来る。
(被覆層の形成方法)
本発明の被覆層は、ポリマーを易揮発性溶剤(例えばフッ素系アルコール)に溶解した溶液をコア構造体の表面に噴霧するか、コア構造体を該溶液に浸漬することにより、コア構造体に塗布し、乾燥することにより形成される。本発明において、ポリマーから形成される被覆層は、円筒状のステント本体の少なくとも外表面(血管壁と接触する面)に形成される。この場合には、ポリマーを溶解した溶液をコア構造体の外表面に噴霧することにより行うのが好ましい。噴霧後の溶剤除去は、減圧、送風、加熱などの方法によって適宜行われる。また、上記の記載はポリマーをコア構造体に被覆したものであるが、コア構造体にポリマーと血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)をコーティングしてもよい。
(被覆層の形成に用いられる溶剤の選択)
本発明に用いられる溶剤には、ポリマーを溶解可能で、コーティング後に容易に除去可能な、沸点100℃未満の揮発性溶剤として、メタノール、エタノール、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノールのほか、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチルなどの低級アルキルエステル(炭素数:6以下)溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどの低級アルキルケトン(炭素数:6以下)溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの低級ハロゲン化炭化水素(炭素数:4以下)、テトラヒドロフランなどが例示される。
本発明のステントのラディアルフォースは、ステントに搭載したポリマーを取り除いた後に測定する。ポリマーを取り除く薬剤はテトラヒドロフランが好ましい。ラディアルフォースはステント全表面積に圧力をかけ、戻る力で示される。ステントのある一部分のみに圧力をかけると、安定した数値がでないため、全表面に圧力をかけることが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の限定を意図するものではない。実施例中で用いる材料、使用量、濃度、処理温度などの数値条件、処理法などは本発明の範囲内における好適例にすぎない。
図1に示すデザインを有する加工時の外径=1.6mmφ、拡張後内径=3mmφ、長さ18mm、全表面積=0.80cmのステント、バルーンカテーテルはVasmed社のTrackPlusを本試験に使用する。また、コア構造体の材料としてマグネシウム合金を使用した。本試験での加工後のステントの本体の厚みは、105±5μmであった。実施例中に記載した「振盪」はヤマト科学株式会社製COインキュベーター IP400で行った。ポリマーは、ポリ(乳酸−グリコール酸)PLGA(分子量約40,000)、ポリ乳酸PLLA(分子量約140,000)を用いた。
(参考製造例1)
コア構造体1本あたりにPLGAならびにPLLA425μgとなるように溶液(コーティング液)を調製した。図1に示すデザインを有するコア構造体をスプレイ式コーティング装置のマンドレルに装着した。コーティング液を0.02mL/分の速度でノズルより噴射し、ノズル下9mmの位置でステント本体を毎分120回転の速度で回転させつつ往復運動させて約3分間にわたってステント本体の端から中央までの表面にコーティングを行った。コーティング終了後3分間ステントを減圧乾燥し、ついで残りの半分をコーティングした。全面コーティングが終了したステントは減圧乾燥してから、60℃で24時間乾燥して溶剤を完全に除去し、バルーンカテーテルのバルーン部にクリンプした。この同一条件で6本の「全面」被覆ステントを調製した。
(参考製造例2)
バルーンカテーテルのバルーン部にクリンプされたコア構造体1本あたりにPLGA300μgとなるように溶液(コーティング液)を調製した。図1に示すデザインを有するコア構造体をバルーンカテーテルのバルーン部に搭載、クリンプし、スプレイ式コーティング装置に装着した。コーティング液を0.02mL/分の速度でノズルより噴射し、ノズル下9mmの位置でバルーンカテーテルのバルーン部を毎分120回転の速度で回転させつつ往復運動させ、バルーンカテーテルのバルーン部にクリンプされたコア構造体の表面に約3分間にわたってコーティングを行った。コーティングが終了したバルーンカテーテルは減圧乾燥してから、60℃で24時間乾燥して溶剤を完全に除去した。この同一条件で6本の「アブルミナル」被覆ステントを調製した。
(耐食性試験)
参考製造例1、参考製造例2、ポリマーコーティングを施していないステント(非被覆ステント)の3種類の耐食性試験を行った。各ステントは、エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌された後、清浄な密閉ガラス容器に分注された30mLのFBS溶液中で拡張された。ステント全体が液中で浸漬された状態で、10日間、37℃恒温器内で振盪をおこなった。FBSからステントを抽出し、ステントに搭載したポリマーおよび付着した腐食生成物を取り除いた後に重量を測定した。さらに、耐食性試験(FBS浸漬)前のコア構造体の重量をもとに、重量残存率を算出した。尚、ポリマーを取り除く溶剤にはテトラヒドロフランを、腐食生成物を取り除く溶剤にはクロム酸溶液を用いた。表1ならびに表2に、PLGAならびにPLLAによるコア構造体被覆様式(全面またはアブルミナル)とFBS浸漬後のコア構造体の重量残存率との関係を示す。
表1より、非被覆ステントのマグネシウム合金重量残存率は、84.4±0.4%であった。このことから、FBS中でマグネシウム合金の腐食が進行したことが確認された。一方で、PLGAによる全面被覆ステント(94.1±0.6%)ならびにアブルミナル被覆ステント(90.7±0.4%)は、非被覆ステントに比べて、マグネシウム合金の腐食を有意に抑制することができた。これは、ポリマーの被覆によってもたらされる防食効果である。この防食効果に関して、アブルミナル被覆ステントは、全面被覆ステントに比べて、有意に小さかった。この結果は、コア構造体の内側表面領域におけるポリマー被覆の有無によるものと考えられる。
表2より、PLLAによるアブルミナル被覆ステントの重量残存率(89.3±0.6%)に関しても、非被覆ステント(84.4±0.4%)より有意に大きく、全面被覆ステント(94.7±0.6%)より有意に小さかった。以上のことから、被覆様式によって、マグネシウム合金の腐食速度が制御されることが立証された。
(ラディアルフォースの測定)
参考製造例1、参考製造例2、ポリマーコーティングを施していないステント(非被覆ステント)の3種類のラディアルフォースの測定を行った。各ステントは減圧乾燥後、エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌を行った。各ステントを清浄な密閉ガラス容器に入れ、30mLのFBS溶液を加えた。ステント全体が液中で浸漬された状態で、10日間、37℃恒温器内で振盪をおこなった。FBSからステントを抽出し、ステントに搭載したポリマーを取り除いた後にラディアルフォースを測定した。ポリマーを取り除く溶剤にはテトラヒドロフランを用いた。尚、FBS浸漬前のコア構造体(非被覆ステント)のラディアルフォース(初期値)は、約200kPa/mmであった。
表3より、非被覆ステントのラディアルフォースは、172.5±2.1kPa/mmであり、初期値を約14%下回った。これは、マグネシウム合金の腐食の進行に伴って生じた事象であるといえる。一方で、PLGAによる全面被覆ステント(204.9±7.7kPa/mm)ならびにアブルミナル被覆ステント(198.7±10.4kPa/mm)は、初期のラディアルフォースを維持していることが確認された。
表4より、PLLAによるアブルミナル被覆ステントのラディアルフォース(191.2±15.0kPa/mm)に関しても、全面被覆ステント(197.2±3.3kPa/mm)と同程度であり、初期のラディアルフォースを維持していることが確認された。つまり、本発明のアブルミナル被覆ステントは、被覆層を有しないコア構造体の内側表面領域に腐食を誘導することで、ラディアルフォースの劇的な低下を抑制することができる。
本発明の特定の実施形態について説明を行ったが、この技術分野における当業者は本明細書において記述された上記の実施形態を容易に修正することができることは明らかである。従って、本発明は、この明細書で示された特定の実施形態に限定されることなく、他のいかなる修正、変更、実施の形態への利用に適用されるものであり、それゆえに、他のすべての修正、変更、実施形態は、本発明の精神および範囲内に入るものとみなされるべきである。
1 全リンク型ステント
2 コア構造体
3 ポリマーまたはポリマーと血管内膜肥厚抑制剤からなる溶液

Claims (11)

  1. 半径方向に拡張可能な、接続されたフィラメントの格子からなり、頂部、側部および内側表面領域を有する生分解性の金属材料のコア構造体が、内側以外の頂部および側部表面領域に、ポリマーを一組成物とする被覆層を有するステント。
  2. 請求項1において、前記生分解性の金属材料の内側以外の頂部および側部表面領域に、ポリマーを一組成物とする被覆層を有しており、ラディアルフォースの経時的な減少が抑制されるステント。
  3. 請求項1から請求項2において、前記コア構造体をバルーンカテーテルのバルーン部にクリンプした後、被覆層の一組成物であるポリマーを含む溶液を噴霧するステント製造方法である。
  4. 請求項1から請求項3において、前記被覆層の厚さが、1から25μmの範囲内にあるステント。
  5. 請求項1から請求項4において、前記ポリマーは、生分解性ポリマーであって、ポリ乳酸、ポリ(乳酸―グリコール酸)、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリ(乳酸―ε―カプロラクトン)、またはポリ(グリコール酸―ε―カプロラクトン)であるステント。
  6. 請求項1から請求項5において、前記生分解性の金属材料が、マグネシウムまたはマグネシウム合金から形成されているステント。
  7. 半径方向に拡張可能な、接続されたフィラメントの格子からなり、頂部、側部および内側表面領域を有する生分解性の金属材料のコア構造体が、内側以外の頂部および側部表面領域に、ポリマーと血管内膜肥厚抑制剤からなる被覆層を有するステント。
  8. 請求項7において、前記血管内膜肥厚抑制剤の必須成分が、シロリムス、エベロリムス、バイオリムスA9、ゾタロリムス、タクロリムス、パクリタキセルであるステント。
  9. 請求項7から請求項8において、前記血管内膜肥厚抑制剤は、前記ポリマーに結晶状態でサブミクロンオーダの粒子状にミクロ分散したステント。
  10. 請求項7から請求項9において、前記血管内膜肥厚抑制剤が病変部に送達され、血管内膜肥厚を抑制する効果があるステント。
  11. 請求項1から請求項10において、前記ステントが血管内に留置された後、前記生分解性の金属材料のラディアルフォースの経時的な減少が抑制されるステント。
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