JP2015154921A - 薬剤徐放性ステント - Google Patents

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誠 佐々木
貞玉 金
Teigyoku Kin
貞玉 金
辰弥 星野
Tatsuya Hoshino
辰弥 星野
亮 岩澤
Akira Iwasawa
亮 岩澤
士 畠山
Tsukasa Hatakeyama
士 畠山
雅 三宅
Masa Miyake
雅 三宅
伸幸 高畠
Nobuyuki Takahata
伸幸 高畠
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Abstract

【課題】生分解性金属製のステントにおいて、従来の薬剤溶出性ステントと同等の性能を有し、金属の溶出による炎症を起こさない薬剤溶出性ステントを提供する。【解決手段】外表面と内表面とを有する円筒形状のステント本体と、前記ステント本体7の外表面と内表面を被覆している第1被覆層6と、前記第1被覆層を完全に覆うように被覆している第2被覆層5と、を具備しており、前記第1被覆層は、ポリマー4単独により形成され、前記第2被覆層は、ポリマー2と血管内膜肥厚抑制剤3から形成される構成とする。【選択図】図2

Description

本発明は、生体内の管腔に生じた狭窄部若しくは閉塞部に留置して開放状態に維持するステントに関する。特に、生分解性の金属製ステントから溶出される金属によっておこる炎症抑制、狭窄した血管系の処置に有用な血管内膜肥厚抑制剤を担持した生分解性の金属製ステント、およびその製造方法に関する。
近年、生活習慣の欧米化並びに高齢化に伴い、我が国においても心筋梗塞、狭心症、脳卒中、末梢血管疾患等の動脈硬化性疾患が益々増加している。このような動脈硬化性疾患に対する確実な治療法として、例えば心臓の冠状動脈における経皮的冠動脈形成術(以下、PTCAという)に代表されるような、血管の狭窄部或いは閉塞部を外科的に開大させる経皮的インターベーションが普及している。
PTCAとは、先端にバルーン(風船)が付いた細いチューブ(カテーテル)を、腕や大腿部の動脈から挿入して心臓冠動脈の狭窄部に通した後、先端のバルーンを膨らませ、狭窄した血管を押し拡げることで、血流を回復させる手技である。これにより、病変部の血管内腔は拡張され、それにより血管内腔を通る血流は増加する。
しかし、カテーテルによって血管壁が傷つけられたりすると、血管壁の治癒反応である血管内膜の増殖が起こり、PTCAにより冠狭窄病変部の開大に成功したうちの約30〜40%に再狭窄が生じる。再狭窄が生じた場合は再びPTCAを行う必要があるため、その予防法、治療法の確立が急務となっている。
この問題を解決するため、近年、血管、気管、食道、尿道等の管腔に生じた狭窄部に留置して開放状態を維持するステントと呼ばれる医療器具が使用されている。このステントには、小さく折り畳んだ収縮状態のステントを目的部位に挿入した後、収縮を維持する応力を除去し、ステント自体の復元力により半径方向に拡張して生体器官の内面に密着固定される自己拡張タイプと、ステント内に配置されたバルーンの拡張力によりステントを拡張させるバルーン拡張タイプとがある。しかし、狭窄部にステントを留置するのみでは再狭窄を十分に抑制できていないのが現状である。
一般に、PTCAあるいはステント留置を行った血管部位は、内皮細胞の剥離あるいは弾性板損傷等の傷害を受けており、これらに対する生体治癒反応は比較的長期(ステント留置後、約2ヶ月間)に亘ると考えられている。より詳細には、ヒトにおける再狭窄の成因は、主としてPTCAあるいはステント留置後1〜3日間に生じる単球の接着・浸潤に見られる炎症過程と、約45日後に最も増殖性がピークとなる平滑筋細胞による内膜肥厚形成過程が考えられている。
そこで、金属や高分子材料で形成されたステントの表面に、抗炎症剤や平滑筋細胞の増殖抑制剤を担持させた薬剤溶出性ステント(drug−eluting stent)を用いることにより、管腔内の留置部位で長期にわたって局所的に薬剤を放出させ、再狭窄率の低減化を図るため、金属製ステント本体の表面に薬剤層を設けたステントが多数提案されている。
しかしながら、これら金属材料で形成されたステント本体は半永久的に生体内に留置されることになる。そのため、薬剤が放出された後、ステント本体の血管壁に対するメカニカルストレスに起因した慢性的な炎症が起こる恐れがあり、最近、金属製ステントの上記問題を解決するステントとして、ステント本体を生体吸収性金属(生分解性金属)や生体吸収性ポリマーで構成したステントが提案されている。
例えば、生体吸収性のポリマーからなるステント本体の表面に、治療のための物質とポリマーとの混合物をコーティングしたステントが記載されている(特許文献1)。しかし、生分解性のポリマーからなるステントは、金属製のステントと比較して強度が低く、必要なラジアルフォースを確保しながら体内に一定期間留置すること等を考慮すると問題がある。
また、生体吸収性ポリマー(ポリ乳酸)製の繊維を筒状、または管状に編んだ編物からなる脈管ステントが提案されている(特許文献2)。しかし、該編物からなる脈管ステントは、金属ステントと同等のラジアルフォースを得るために金属ステントよりも編物を厚くする必要があるが、厚みに限界があり実用的でない。
また、生分解性材料として、比較的強度が高いマグネシウム合金製のステントが提案されている(特許文献3)。マグネシウム合金は、生分解性ポリマーよりも高い強度を有するため線材の厚さを薄くすることができる。
また、ステント表面に生理活性物質層を設け、その上に水溶性物質を分散させた生分解性ポリマー層を設けることにより、水溶性物質の溶出により形成される細孔によって生理活性物質を初期放出させ、且つ生分解性ポリマー層の分解により生理活性物質を二次放出させるステントが提案されている(特許文献4)。
しかし、特許文献4のステントは、生理活性物質層と生分解性ポリマー層とをそれぞれ別々に被覆する必要があるため、製造された個々のステント間における生理活性物質層及び生分解性ポリマー層の層厚のばらつきが大きくなる。また、生分解性ポリマー層が分解されるまでは生理活性物質が少量溶出し、生分解性ポリマー層が分解した後は生理活性物質が一度に溶出してしまうため、生理活性物質の放出量の制御が十分に行えないという問題もあった。
特開平8−33718号公報 特開平9−56807号公報 特許2842943号公報 特開2004−41704号公報
本発明者らは生分解性の金属材料のステントについて徹底的に検討したところ、マグネシウムを代表とする金属製ステントは強度はあるものの、ステントから溶出する金属による慢性炎症を回避できないため、ステントのコーティング材料、方法に着目し、したがって、本発明の目的は、従来の薬剤溶出性ステントと同等の性能を有し、慢性炎症を起こさない薬剤溶出性ステントを提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、被覆層の構成に着目し、さらに検討した結果、本発明に到達したものである。すなわち、本発明の第1の構成は、外表面と内表面とを有する円筒形状に形成された生分解性の金属材料のコア構造体と、前記コア構造体の外表面と内表面を被覆している第1被覆層と、前記第1被覆層を実質的に完全に覆うように被覆している第2被覆層と、を具備しており、前記第1被覆層は、ポリマー単独により形成され、前記第2被覆層はポリマーと血管内膜肥厚抑制剤である第1組成物により形成されているステントである。前記ポリマーとは、ホモポリマー、コポリマー、またはポリマーの混合物を含む用語として用いられる。また、前記第1組成物は、ポリマーと血管内膜肥厚抑制剤を含んでいるものをいう。前記血管内膜肥厚抑制剤は、シロリムス、エベロリムス、バイオリムスA9、ゾタロリムス、タクロリムス、パクリタキセルなどがあげられるが、なかでも、シロリムスが好ましい。また、前記第2被覆層はシロリムス以外の他の薬剤を含まないことが好ましい。また、前記ポリマーは生分解性ポリマーであって、ポリ乳酸、ポリ(乳酸−グリコール酸)、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリ(乳酸−ε―カプロラクトン)、またはポリ(グリコール酸−ε−カプロラクトン)であることが好ましい。また、前記コア構造体であるステント本体は、生分解性の金属材料であるマグネシウムまたはマグネシウム合金から形成されていることが好ましい。
本発明の第1の構成において、前記第1被覆層の厚さが、0.5〜5μmの範囲内にあり、前記第2被覆層の厚さが1〜20μmの範囲内にあることが好ましい。
前記第2被覆層におけるシロリムスは、ポリマーに結晶状態でサブミクロンオーダの粒子状に分散している。
本発明の第2の構成は、前記第1被覆層または/および第2被覆層を、低級アルキルケトン溶剤、低級アルキルエステル溶剤に溶解した溶液を用いて、ステント本体の少なくとも外表面を被覆し、被覆後、前記溶剤を除去して第1被覆層または/および第2被覆層を形成する、ステントの製造方法である。
本発明の第3の構成は、本発明の第1の構成のステントを血管内に留置し、前記ステントからシロリムスを放出させて、血管内膜肥厚を抑制する方法である。
また、本発明の第3の構成は、本発明の第1の構成のステントを血管内に留置し、生分解性の金属材料の分解を抑制する方法である。
本発明の第4の構成は、外表面と内表面とを有する円筒形状に形成された生分解性の金属材料のコア構造体と、前記コア構造体の外表面と内表面を被覆している第1被覆層と、前記第1被覆層を実質的に完全に覆うように被覆している第2被覆層と、を具備しており、前記第1被覆層は、ポリマー(W)と、前記第2被覆層はポリマー(X)と血管内膜肥厚抑制剤(Y)とを含み、前記第1被覆層の前記ポリマー(W)と前記第2被覆層の前記ポリマー(X)と前記血管内膜肥厚抑制剤(Y)の重量構成比率(W:Y:X)が、1:1:1〜1:1:3の範囲内で形成されているステントである。
前記コア構造体とは、金属製またはポリマー薄肉チューブに対してレーザ加工を行い、ステントとして形成し製造したものである。
本発明の第5の構成は、上記の本発明の第1の構成のステントにおいて、前記第1被覆層の厚さを、0.5〜5μmの範囲内で所定の厚さを選択することにより、37℃のリン酸緩衝生理食塩水中で、生分解性の金属材料の分解を抑制することを特徴とするステントである。
本発明の第5の構成は、上記の本発明の第1の構成のステントにおいて、前記第2被覆層の厚さを、1〜20μmの範囲内で所定の厚さを選択することにより、37℃のリン酸緩衝生理食塩水中で、前記ステントの浸漬時点からシロリムスの放出が、少なくとも約1日〜最大約3ヶ月間にわたるように調整することを特徴とする、シロリムスのステントから放出の調整方法である。
前記第1組成物において、シロリムスが、ポリマー中にミクロ分散することにより、シロリムスの放出速度が調節されている。
前記第1被覆層はポリマー単独により形成され、前記ポリマーを溶解する溶剤を、低級アルキルケトン溶剤、低級アルキルエステル溶剤の中から選択し、選択された溶剤により前記ポリマーを溶解した溶液を用いて、ステント本体の表面を被覆し、被覆後、前記溶剤を除去して第1被覆層を形成することにより、シロリムスの放出速度が調節されるのが好ましい。
前記第2被覆層はポリマーと血管内膜肥厚抑制剤からなる第1組成物より形成され、前記第1組成物を溶解する溶剤を、低級アルキルケトン溶剤、低級アルキルエステル溶剤の中から選択し、選択された溶剤により前記第1組成物を溶解した溶液を用いて、第1被覆後、前記溶剤を除去して第2被覆層を形成することにより、シロリムスの放出速度が調節されるのが好ましい。
本発明の第6の構成は、外表面と内表面とを有する円筒形状に形成された生分解性の金属材料のコア構造体と、前記コア構造体の外表面と内表面を被覆している第1被覆層と、前記第1被覆層を実質的に完全に覆うように被覆している第2被覆層と、前記第2被覆層を実質的に完全に覆うように被覆している第3被覆層と、を具備しており、前記第1被覆層は、ポリマー単独により形成され、前記第2被覆層はポリマーと血管内膜肥厚抑制剤である第2組成物、前記第3被覆層はポリマーと血管内膜肥厚抑制剤である第3組成物により形成されているステントである。前記ポリマーとは、ホモポリマー、コポリマー、またはポリマーの混合物を含む用語として用いられる。また、前記第2組成物、前記第3組成物は、ポリマーと血管内膜肥厚抑制剤を含んでいるものをいい、前記第2組成物と前記第3組成物はそれぞれポリマーと血管内膜肥厚抑制剤の量が異なっている。前記血管内膜肥厚抑制剤は、シロリムス、エベロリムス、バイオリムスA9、ゾタロリムス、タクロリムス、パクリタキセルなどがあげられるが、なかでも、シロリムスが好ましい。また、前記第2被覆層、前記第3被覆層はシロリムス以外の他の薬剤を含まないことが好ましい。また、前記ポリマーは生分解性ポリマーであって、ポリ乳酸、ポリ(乳酸−グリコール酸)、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリ(乳酸−ε―カプロラクトン)、またはポリ(グリコール酸−ε−カプロラクトン)であることが好ましい。また、前記コア構造体であるステント本体は、生分解性の金属材料であるマグネシウムまたはマグネシウム合金から形成されていることが好ましい。
本発明の第6の構成において、前記第1被覆層の厚さが、0.5〜5μmの範囲内、前記第2被覆層の厚さが1〜10μmの範囲内、前記第3被覆層の厚さが0.5〜5μmの範囲内にあることが好ましい。
また、本発明の第6の構成において、前記第2被覆層、前記第3被覆層におけるシロリムスは、ポリマーに結晶状態でサブミクロンオーダの粒子状に分散している。
本発明の第7の構成は、前記第1被覆層または/および第2被覆層または/および第3被覆層を、低級アルキルケトン溶剤、低級アルキルエステル溶剤に溶解した溶液を用いて、ステント本体の少なくとも外表面を被覆し、被覆後、前記溶剤を除去して第1被覆層または/および第2被覆層または/および第3被覆層を形成する、ステントの製造方法である。
本発明の第8の構成は、本発明の第6の構成のステントを血管内に留置し、前記ステントからシロリムスを放出させて、血管内膜肥厚を抑制する方法である。
また、本発明の第8の構成は、本発明の第6の構成のステントを血管内に留置し、生分解性の金属材料の分解を抑制する方法である。
本発明の第9の構成は、外表面と内表面とを有する円筒形状に形成された生分解性の金属材料のコア構造体と、前記コア構造体の外表面と内表面を被覆している第1被覆層と、前記第1被覆層を実質的に完全に覆うように被覆している第2被覆層と、前記第2被覆層を実質的に完全に覆うように被覆している第3被覆層と、を具備しており、前記第1被覆層は、ポリマー(W)と、前記第2被覆層はポリマー(X1)と血管内膜肥厚抑制剤(Y1)と、前記第3被覆層はポリマー(X2)と血管内膜肥厚抑制剤(Y2)と、を含み、前記第1被覆層の前記ポリマー(W)と前記第2被覆層の前記ポリマー(X1)と前記血管内膜肥厚抑制剤(Y1)と前記第3被覆層の前記ポリマー(X2)と前記血管内膜肥厚抑制剤(Y2)の重量構成比率(W:Y1:X1:Y2:X2)が、1:1:1:1:1〜1:1:3:1:1の範囲内で形成されているステントである。
前記コア構造体とは、金属製またはポリマー薄肉チューブに対してレーザ加工を行い、ステントとして形成し製造したものである。
本発明の第10の構成は、上記の本発明の第6の構成のステントにおいて、前記第1被覆層の厚さを、0.5〜5μmの範囲内で所定の厚さを選択することにより、37℃のリン酸緩衝生理食塩水中で、生分解性の金属材料の分解を抑制することを特徴とするステントである。
また、本発明の第10の構成は、上記の本発明の第6の構成のステントにおいて、前記第2被覆層の厚さを、1〜10μmの範囲内で所定の厚さを選択することにより、37℃のリン酸緩衝生理食塩水中で、前記ステントの浸漬時点からシロリムスの放出が、少なくとも約1日〜最大約3ヶ月間にわたるように調整することを特徴とする、シロリムスのステントから放出の調整方法である。
また、本発明の第10の構成は、上記の本発明の第6の構成のステントにおいて、前記第3被覆層の厚さを、0.5〜5μmの範囲内で所定の厚さを選択し、第2被覆層のポリマーと血管内膜肥厚抑制剤の重量構成比率を変えることにより、37℃のリン酸緩衝生理食塩水中で、前記ステントの浸漬時点からシロリムスの放出が、少なくとも約1日〜最大約3ヶ月間にわたるように調整することを特徴とする、シロリムスのステントから放出の調整方法である。
前記第2組成物、前記第3組成物において、シロリムスが、ポリマー中にミクロ分散することにより、シロリムスの放出速度が調節されている。
前記第1被覆層はポリマー単独により形成され、前記ポリマーを溶解する溶剤を、低級アルキルケトン溶剤、低級アルキルエステル溶剤の中から選択し、選択された溶剤により前記ポリマーを溶解した溶液を用いて、ステント本体の表面を被覆し、被覆後、前記溶剤を除去して第1被覆層を形成することにより、シロリムスの放出速度が調節されるのが好ましい。
前記第2被覆層はポリマーと血管内膜肥厚抑制剤からなる第2組成物より形成され、前記第2組成物を溶解する溶剤を、低級アルキルケトン溶剤、低級アルキルエステル溶剤の中から選択し、選択された溶剤により前記第2組成物を溶解した溶液を用いて、第1被覆後、前記溶剤を除去して第2被覆層を形成することにより、シロリムスの放出速度が調節されるのが好ましい。
前記第3被覆層はポリマーと血管内膜肥厚抑制剤からなる第3組成物より形成され、前記第3組成物を溶解する溶剤を、低級アルキルケトン溶剤、低級アルキルエステル溶剤の中から選択し、選択された溶剤により前記第2組成物を溶解した溶液を用いて、第2被覆後、前記溶剤を除去して第3被覆層を形成することにより、シロリムスの放出速度が調節されるのが好ましい。
本発明の第1の構成によれば、第1被覆層がポリマー単独から構成され、その上に、第2被覆層が、ポリマーと血管内膜肥厚抑制剤(好ましくはシロリムス)である第1組成物により形成されることにより、前記第2被覆層の前記血管内膜肥厚抑制剤が徐放される。また、前記第1被覆層をポリマー単独にすることにより、急激なコア構造体の分解を抑えることができる。そのことにより、コア構造体である生分解性の金属材料が分解することで引き起こされる血栓形成や血管内膜肥厚に対して抑制効果を発揮できるステントを得ることが出来る。
上記本発明の第1の構成のステントによれば、前記血管内膜肥厚抑制剤が適度な放出速度で持続的に放出できるため、内皮細胞の増殖を阻害することなく、血管内膜肥厚抑制効果を発揮できるステントを得ることが出来る。
さらに、上記本発明の第1の構成のステントによれば、第1被覆層が0.5〜5μmの範囲の厚み、第2被覆層が1〜20μmの範囲内の厚みであり、両層合わせても25μm以下、好ましくは20μm以下の厚みであることが、とくに狭窄防止上で望ましい。
本発明の第2の構成によれば、前記第1被覆層または/および第2被覆層を溶解する溶剤として用いられる低級アルキルケトン、低級アルキルエステルはポリマーまたは/および血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)を溶解した溶剤である。この溶剤を用いて形成されたポリマー単独から形成された第1被覆層の厚み、ポリマー・血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)組成物から形成された第2被覆層の厚み等を制御することにより、血管内膜肥厚抑制剤の放出速度の制御が行いやすいという特徴を有する。
本発明の第3の構成によれば、本発明の第1の構成のステントにおいて、とくに、ポリマー単独から形成される第1被覆層または/およびポリマーとシロリムスを含有した第2被覆層を、適当な厚みに制御することにより、血管内膜肥厚抑制剤の放出速度の制御が行いやすいという特徴を有する。
また、本発明の第3の構成によれば、第1被覆層上に形成された第2被覆層中のシロリムスが、ステントを血管内、特に動脈内留置後、血管内膜肥厚抑制剤が放出される。このことにより、放出されたシロリムスの薬理効果(血管内膜肥厚の抑制)が発現し、ステント内狭窄を有効に抑止する。
また、本発明の第3の構成によれば、本発明の第1の構成のステントにおいて、ステントを血管内、特に動脈内留置後、生分解性の金属材料であるコア構造体の分解を抑制することができる。このことにより、急激なコア構造体の分解を抑制する。
本発明の第4の構成によれば、本発明の第1の構成のステントにおいて、外表面と内表面とを有する円筒形状に形成された生分解性の金属材料のコア構造体と、前記コア構造体の外表面と内表面を被覆している第1被覆層と、前記第1被覆層を実質的に完全に覆うように被覆している第2被覆層とから構成され、前記第1被覆層は、ポリマー(W)と、前記第2被覆層はポリマー(X)と血管内膜肥厚抑制剤(Y)とを含み、前記第1被覆層の前記ポリマー(W)と前記第2被覆層の前記ポリマー(X)と前記血管内膜肥厚抑制剤(Y)の重量構成比率(W:Y:X)が、1:1:1〜1:1:3の範囲内にあることにより、前記血管内膜肥厚抑制剤が適度な放出速度で持続的に放出することができる。そのことにより、前記第1被覆層は急激なコア構造体の分解を抑え、また、前記第2被覆層の前記血管内膜肥厚抑制剤は内皮細胞の増殖を阻害することなく、血管内膜肥厚抑制効果を発揮できるステントを得ることが出来る。
本発明の第5の構成によれば、本発明の第1の構成のステントにおいて、とくに、高濃度のシロリムスを含有した(好ましくは、シロリムスが第2被覆層のポリマーにミクロ分散した)第2被覆層の厚みを1〜20μmの範囲内で適当な厚みに制御することにより、所望の期間にシロリムスを放出することができる。
また、本発明の第5の構成によれば、第1被覆層上に形成された第2被覆層中のシロリムスが、ステントを血管内、特に動脈内留置後、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)が放出される。このことにより、放出されたシロリムスの薬理効果(血管内膜肥厚の抑制)が発現し、ステント内狭窄を有効に抑止する。
また、本発明の第5の構成によれば、本発明の第1の構成のステントにおいて、とくに、高濃度のシロリムスを含有した(好ましくは、シロリムスが第1被覆層のポリマーにミクロ分散した)第1被覆層の厚みを0.5〜5μmの範囲内で適当な厚みに制御することにより、生分解性の金属材料の分解を抑制することができる。
本発明の第6の構成によれば、第1被覆層がポリマー単独から構成され、その上に、第2被覆層が、ポリマーと血管内膜肥厚抑制剤(好ましくはシロリムス)である第2組成物、第3被覆層が、ポリマーと血管内膜肥厚抑制剤(好ましくはシロリムス)である第3組成物により形成されることにより、前記第2被覆層、前記第3被覆層の前記血管内膜肥厚抑制剤が徐放される。また、前記第1被覆層をポリマー単独にすることにより、急激なコア構造体の分解を抑えることができる。そのことにより、コア構造体である生分解性の金属材料が分解することで引き起こされる血栓形成や血管内膜肥厚に対して抑制効果を発揮できるステントを得ることが出来る。
また、本発明の第6の構成のステントによれば、前記血管内膜肥厚抑制剤が適度な放出速度で持続的に放出できるため、内皮細胞の増殖を阻害することなく、血管内膜肥厚抑制効果を発揮できるステントを得ることが出来る。
さらに、上記本発明の第6の構成のステントによれば、第1被覆層が0.5〜5μmの範囲の厚み、第2被覆層が1〜10μmの範囲の厚み、第3被覆層が0.5〜5μmの範囲の厚みであり、両層合わせても25μm以下、好ましくは20μm以下の厚みであることが、とくに狭窄防止上で望ましい。
本発明の第7の構成によれば、前記第1被覆層または/および第2被覆層または/および第3被覆層を溶解する溶剤として用いられる低級アルキルケトン、低級アルキルエステルはポリマーまたは/および血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)を溶解した溶剤である。この溶剤を用いて形成されたポリマー単独から形成された第1被覆層の厚み、ポリマー・血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)組成物から形成された第2被覆層の厚み、ポリマー・血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)組成物から形成された第3被覆層の厚み等を制御することにより、血管内膜肥厚抑制剤の放出速度の制御が行いやすいという特徴を有する。
また、本発明の第7の構成によれば、本発明の第6の構成のステントにおいて、とくに、ポリマー単独から形成される第1被覆層または/およびポリマーとシロリムスを含有した第2被覆層または/およびポリマーとシロリムスを含有した第3被覆層を、適当な厚みに制御することにより、血管内膜肥厚抑制剤の放出速度の制御が行いやすいという特徴を有する。
本発明の第8の構成によれば、第1被覆層上に形成された第2被覆層中または/および第3被覆層中のシロリムスが、ステントを血管内、特に動脈内留置後、血管内膜肥厚抑制剤が放出される。第2被覆層中または/および第3被覆層中のシロリムスはポリマーと血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)の量が異なることにより、放出されたシロリムスの薬理効果(血管内膜肥厚の抑制)が発現し、ステント内狭窄を有効に抑止する。
また、本発明の第8の構成によれば、本発明の第6の構成のステントにおいて、ステントを血管内、特に動脈内留置後、生分解性の金属材料であるコア構造体の分解を抑制することができる。このことにより、急激なコア構造体の分解を抑制する。
本発明の第9の構成は、外表面と内表面とを有する円筒形状に形成された生分解性の金属材料のコア構造体と、前記コア構造体の外表面と内表面を被覆している第1被覆層と、前記第1被覆層を実質的に完全に覆うように被覆している第2被覆層と、前記第2被覆層を実質的に完全に覆うように被覆している第3被覆層と、を具備しており、前記第1被覆層は、ポリマー(W)と、前記第2被覆層はポリマー(X1)と血管内膜肥厚抑制剤(Y1)と、前記第3被覆層はポリマー(X2)と血管内膜肥厚抑制剤(Y2)と、を含み、前記第1被覆層の前記ポリマー(W)と前記第2被覆層の前記ポリマー(X1)と前記血管内膜肥厚抑制剤(Y1)と前記第3被覆層の前記ポリマー(X2)と前記血管内膜肥厚抑制剤(Y2)の重量構成比率(W:Y1:X1:Y2:X2)が、1:1:1:1:1〜1:1:3:1:1の範囲内にあることにより、前記血管内膜肥厚抑制剤が適度な放出速度で持続的に放出することができる。そのことにより、前記第1被覆層は急激なコア構造体の分解を抑え、前記第2被覆層の前記血管内膜肥厚抑制剤は内皮細胞の増殖を阻害することなく、血管内膜肥厚抑制効果を発揮できるステントを得ることが出来る。また、コア構造体の金属材料によって生じる薬剤挙動が異なるため、第3被覆層を設けることにより、調節することができる。
本発明の第10の構成によれば、本発明の第6の構成のステントにおいて、とくに、高濃度のシロリムスを含有した(好ましくは、シロリムスが第2被覆層のポリマーにミクロ分散した)第2被覆層の厚みを1〜10μm、第3被覆層の厚みを0.5〜5μmの範囲内で適当な厚みに制御することにより、所望の期間にシロリムスを放出することができる。
また、本発明の第10の構成によれば、第1被覆層上に形成された第2被覆層中、第3被覆層中のシロリムスが、ステントを血管内、特に動脈内留置後、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)が放出される。このことにより、放出されたシロリムスの薬理効果(血管内膜肥厚の抑制)が発現し、ステント内狭窄を有効に抑止する。
また、本発明の第10の構成によれば、本発明の第6の構成のステントにおいて、とくに、高濃度のシロリムスを含有した(好ましくは、シロリムスが第1被覆層のポリマーにミクロ分散した)第1被覆層の厚みを0.5〜5μmの範囲内で適当な厚みに制御することにより、生分解性の金属材料の分解を抑制することができる。
また、本発明の第10の構成によれば、本発明の第6の構成のステントにおいて、前記第2被覆層の厚さを1〜10μm、前記第3被覆層の厚さを0.5〜5μmの範囲内で所定の厚さを選択することにより、37℃のリン酸緩衝生理食塩水中で、前記ステントの浸漬時点からシロリムスの放出が、少なくとも約1日〜最大約3ヶ月間にわたるように調整することができる。
本発明の薬剤徐放性ステントは、冠動脈のステント治療に有効に用いられるが、脳動脈、腎動脈、末梢動脈のステント治療においても有効である。
本発明の薬剤徐放性ステントは図1のようなクローズドセルステントでもよいし、オープンセルステントでもよく、すべてのステントにおいて有効である。
本発明に基づく生分解性の金属材料で形成された例示的クローズドリンク型ステントの一部分の平面図。 本発明に基づく第1の例示的ステントの構成要素を示す模式図。 本発明に基づく第2の例示的ステントの構成要素を示す模式図。
以下、本発明の実施形態について図面にて説明する。図1は円筒形状に形成された生分解性の金属材料のコア構造体からなるステント本体の平面図であり、隣接するすべてのセルとリンクが連結されたクローズドセルステント1の一部分である。
図2は本発明に基づく第1の例示的ステントの構成要素を示した断面図であり、コア構造体であるステント本体7の円筒状表面の少なくとも外表面、好ましくは、外表面と内表面の両面に、ポリマー4で形成されている第1被覆層6、前記第1被覆層の上にポリマー2に血管内膜肥厚抑制剤3を担持させ形成されている第2被覆層5から成り立っている。特に薬剤溶出性ステントとして使用されるステント本体の形状の一例を示す断面図である。
図3は本発明に基づく第2の例示的ステントの構成要素を示した断面図であり、コア構造体であるステント本体16の円筒状表面の少なくとも外表面、好ましくは、外表面と内表面の両面に、第1被覆層15がポリマー12からなる被覆層、第2被覆層14がポリマー10に血管内膜肥厚抑制剤11を担持させた被覆層、第3被覆層13がポリマー8に血管内膜肥厚抑制剤9を担持させた被覆層から形成している。特に薬剤溶出性ステントとして使用されるステント本体の形状の一例を示す断面図である。
(ステント本体の素材)
コア構造体であるステント本体の素材は生分解性の金属材料であることが好ましい。具体例としてマグネシウムまたはマグネシウム合金などが挙げられる。マグネシウム合金としては、マグネシウムを主成分とし、Zr、Y、Ti、Ta、Nd、Nb、Zn、Ca、Al、Li、およびMnからなる生体適合性元素群から選択される少なくとも1つの元素を含有するのが好ましく、その一例としてマグネシウムが50〜98%、リチウム(Li)が0〜40%、鉄が0〜5%、その他の金属または希土類元素(セリウム、ランタン、ネオジム、プラセオジムなど)が0〜5%があげられる。また、ステント本体を生分解性ポリマーで構成するのも良い。ステント本体の構造としては、外表面と内表面とを有する円筒形状を有しており、バルーン拡張型、自己拡張型、およびそれらの組合せであってよい。
(ステント本体への被覆)
本発明においては、図2に示すように上記のようなステント本体7の円筒状表面の少なくとも外表面、好ましくは、外表面と内表面の両面に、ポリマー4からなる第1被覆層6、ポリマー2に血管内膜肥厚抑制剤3を担持させた層からなる第2被覆層5から形成されている。図3に示すように上記のようなステント本体16の円筒状表面の少なくとも外表面、好ましくは、外表面と内表面の両面に、第1被覆層15がポリマー12からなる被覆層、第2被覆層14がポリマー10に血管内膜肥厚抑制剤11を担持させた被覆層、第3被覆層13がポリマー8に血管内膜肥厚抑制剤9を担持させて形成している。ステント表面に血管内膜肥厚抑制剤を担持させる方法としては、血管内膜肥厚抑制剤とポリマーとを適当な溶剤に溶かして調製したコーティング液中にステントを浸漬し、引き上げて溶剤を乾燥させるディッピング法、血管内膜肥厚抑制剤とポリマーとを溶解した溶液を霧状化してステントに吹き付けるスプレイ法、血管内膜肥厚抑制剤とポリマーを別々な溶剤に溶解し2本のノズルから同時にステントに吹き付ける2重同時スプレイ法などが挙げられ、本発明においては上記のいずれの方法も適用可能であるが、血管内膜肥厚抑制剤を分散させたポリマーのコート層をステント表面に形成する方法が、血管内膜肥厚抑制剤の放出速度の制御がしやすいので好ましい。なかでも、本発明においては後述のように第2被覆層を形成する第1組成物において血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)、第2被覆層を形成する第2組成物において血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)、第3被覆層を形成する第3組成物において血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)はポリマー中にミクロ分散している。
(図2における第1被覆層と第2被覆層)
本発明のステントの基本構造は、(a)ステント本体、(b)ステント本体の外表面および内表面に形成された、ポリマー単独から形成される第1被覆層と、(c)第1被覆層上に形成されたポリマーと血管内膜肥厚抑制剤(好ましくは、シロリムス)を含む第2被覆層から構成されている。本発明の図2における第2被覆層5に、上記血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)を強く担持(ポリマー中にサブミクロンオーダーの粒子状にミクロ分散させることにより保持されている)させ、第2被覆層からの血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)の放出を抑制することができ長期間にわたる徐放性が付与されている。本発明の図2における第1被覆層6の厚み、図2における第2被覆層5の厚み、第2被覆層におけるポリマー中における血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)の担持状態等の選択により、ステント表面からの血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)の放出速度が制御される。このため、図2における第2被覆層5は第1被覆層6を完全に覆うように形成される必要がある。
(図2における第2被覆層を形成する第1組成物)
本発明の図2における第2被覆層5は、上記のようにポリマーと血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)を含む第1組成物から形成されている。第1組成物において、上記のようにポリマーが血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)に強く担持することにより、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)を長期にわたって放出することができる。したがって、第1組成物のポリマーの血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)の担持を阻害しないように、第1組成物は、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)以外の薬剤を含まないのが好ましい。
(図2における第1組成物中の血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)の担持状態)
上記のように、血中、特に動脈中に挿入されて所定期間経過後においても、ステントから血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)の放出が維持されていることが重要であるが、本発明のステントにおいては、37℃のリン酸緩衝生理食塩水中で第1組成物における血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)は、ポリマーと相溶していることが好ましい。「相溶」とはポリマーと血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)が2種類または多種類の物質が相互に親和性を有し、溶液または混和物を形成している状態である。
(図2における第1被覆層または/および第2被覆層を構成するポリマー)
本発明においては、図2における狭窄抑制に有効な量の血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)を一定時間持続的に放出させることを主眼としているが、そのために、図2における第1被覆層または/および第2被覆層において、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)を担持させるポリマーとして、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)が拡散によりポリマー層中を移動しやすい柔軟性ポリマーを使用することが好ましい。このような柔軟性ポリマーとして、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素樹脂、ポリブチルアクリレート(−54℃)、ポリブチルメタクリレート(20℃)、アクリルゴム、天然ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレンブロック共重合体などが例示される。上記の柔軟性ポリマーは、血管内に導入されたとき非分解性であるが、本発明においては、ポリマーに起因する慢性炎症から血管組織を早期に回復させることが要求される場合には、生分解性ポリマー、なかでも半年以内に生体内で分解・消失するものを用いて被覆するのが好ましい。本発明においては、ポリマーに起因する慢性炎症から血管組織を早期に回復させることが要求される場合には、生分解性ポリマー、なかでも半年以内に生体内で分解・消失するものを用いて被覆するのが好ましい。生分解性ポリマーの具体例としては、ポリ乳酸、ポリ(乳酸−グリコール酸)、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリ(乳酸−ε−カプロラクトン)、ポリ(グリコール酸−ε−カプロラクトン)、ポリ−p−ジオキサノン、ポリ(グリコール酸−トリメチレンカーボネート)、ポリ−β−ヒドロキシ酪酸などが挙げられる。なかでもポリ乳酸は、ガラス転移温度が50〜60℃の範囲にあり、かつ、1年以内に生体内で分解消失する速度であるので、本発明において好ましく用いられる。これらのポリマーの分子量は、コーティング層の強度確保、コーティング作業効率の観点から、30,000〜500,000が適当である。
(図2におけるポリマーの選択と薬剤放出速度)
一般的に、コート層からの薬剤放出速度は、非分解性ポリマーではポリマー中での薬剤の拡散速度に依存するが、生分解性ポリマーでは薬剤の拡散速度とポリマーの分解期間に依存する。したがって薬剤放出速度をコントロールするためには、ポリマーの種類を適切に選択し、必要に応じて異なる種類のポリマーを組み合わせてもよい。よってポリマー中での薬剤の拡散速度、ポリマーの分解期間という2つのパラメータを調節することにより薬剤放出速度をコントロールできる。薬剤のポリマー中での拡散速度を大きくするには非晶性ポリマーを選択するのが適切であり、生分解性速度を大きくするには、分子量が小さい生分解性ポリマーを選択するのが適切である。
(図2における生分解性ポリマーの選択と薬剤放出速度)
第1被覆層または/および第2被覆層のポリマーとして、生分解性ポリマーを使用する場合、上記の生分解ポリマーのなかでも、ポリ乳酸が、人体への使用実績があり分解しても乳酸になり毒性も低いので安全性上好ましい。生分解性ポリマーの分解期間は、ポリマーを構成するモノマーの化学構造、共重合比、分子量に依存するので、目標とする薬剤放出速度に適するように、これらのパラメータを調節することが好ましい。
(図2における第1被覆層の厚み)
第1被覆層の膜厚は、0.5〜5μmの範囲にあることが好ましい。0.5μm未満では、膜の均一性が確保できなくなり、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)の放出速度の抑制機能が発揮できない。逆に、5μmを超える厚さになると、厚みほどの効果が得られない。また、必要以上に厚みを厚くすることは薬剤溶出としての効果やコア構造体としての機能を損なう。第1被覆層は、単一層であってもよく、上記の範囲内において複数層で形成してもよい。
(図2における第1被覆層)
第1被覆層は、ポリマー単独で形成されるが、血管内膜肥厚抑制剤以外の成分として、抗トロンビン薬、免疫抑制剤、抗がん剤、コレステロール低下剤などの薬剤を含む組成物であってもよい。前記第1被覆層をポリマー単独にすることにより、急激なコア構造体の分解を抑えることができる。そのことにより、コア構造体である生分解性の金属材料が分解することで引き起こされる血栓形成や血管内膜肥厚に対して抑制効果を発揮できるステントを得ることが出来る。
(図2における第2被覆層の厚み)
ステントの単位表面積(1cm)あたりのコート層の厚さは薬剤(シロリムス)を適当量放出させる観点から、1〜25μmの範囲内の厚みが必要である。通常1〜20μmの範囲内にあるのが好ましい。第2被覆層を含めて被覆層が20μmを超えると、ステント内狭窄が大きくなる懸念があるので、第2被覆層の厚さとしては、15μmを超えないようにすることが好ましい。したがって、これらの塗布条件が満たせるように、コーティング液組成およびコーティング条件が選択される。第2被覆層は、単一層で形成してもよく、上記の範囲内において複数層で形成してもよい。
(図2における第1被覆層、第2被覆層の形成方法)
本発明の図2における第1被覆層はポリマーをステント本体7表面に、そのポリマーを易揮発性溶剤(例えばフッ素系アルコール)に溶解した溶液をステント本体7表面に噴霧するか、ステント本体7を該溶液に浸漬することにより、ステント本体7に塗布し、乾燥することにより形成される。本発明において、ポリマーから形成される第1被覆層6は、円筒状のステント本体の少なくとも外表面(血管壁と接触する面)にコーティングされる。この場合には、塗布はポリマーと血管内膜肥厚抑制剤を溶剤に溶解した溶液をステント本体7の外表面に噴霧することにより行うのが好ましい。また、外表面だけでなく内表面にも行う場合には、内外両表面に噴霧を行うか、溶液中にステント本体7を含浸することにより行うのが好ましい。塗布後の溶剤除去は、減圧、送風、加熱などの方法に適宜行われる。また、本発明の図2における第2被覆層は血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)を担持したポリマーである第2組成物を前記第1被覆層6がコーティングされたステント本体表面に、その血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)とポリマーである第2組成物とを易揮発性溶剤(例えばフッ素系アルコール)に溶解した溶液をステント表面に噴霧するか、前記第1被覆層6がコーティングされたステント本体を該溶液に浸漬することにより、前記第1被覆層6がコーティングされたステント本体に塗布し、乾燥することにより形成される。本発明において、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)を含む第2組成物は、円筒状のステント本体の少なくとも外表面(血管壁と接触する面)にコーティングされる。この場合には、塗布は第2組成物を溶剤に溶解した溶液をコーティングされたステント本体の外表面に噴霧することにより行うのが好ましい。また、外表面だけでなく内表面にも行う場合には、内外両表面に噴霧を行うか、溶液中に前記第1被覆層6がコーティングされたステント本体を含浸することにより行うのが好ましい。塗布後の溶剤除去は、減圧、送風、加熱などの方法に適宜行われる。
(図2における第1被覆層、第2被覆層のための溶剤の選択)
図2における第1被覆層の溶剤は、ポリマーを溶解可能で、コーティング後に容易に除去可能な、沸点100℃未満の揮発性溶剤として、メタノール、エタノール、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノールと、これらのアルコールを含有する混合溶剤が挙げられ、上記に例示したポリマーが用いられるがなかでも、極性の高いポリ乳酸が上記の溶剤に対する溶解性の点で好ましい。また、図2における第2被覆層の溶剤は、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)を溶解可能で、コーティング後に容易に除去可能な、沸点100℃未満の揮発性溶剤として、メタノール、エタノール、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノールと、これらのアルコールを含有する混合溶剤が挙げられる。ポリマーとしては、上記に例示したポリマーが用いられるがなかでも、極性の高いポリ乳酸が上記の溶剤に対する溶解性の点で好ましい。以上のことから、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)と上記のポリマー、または、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)と上記のポリマーの両方を溶解し、薬剤の徐放性を付与するのに適した溶剤として、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノールのほか、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチルなどの低級アルキルエステル(炭素数:6以下)溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどの低級アルキルケトン(炭素数:6以下)溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの低級ハロゲン化炭化水素(炭素数:4以下)溶剤などが例示される。なかでも、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)、または、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)をポリマーに担持させて、薬剤徐放性を与える観点から、低級アルキルエステル、低級アルキルケトン溶剤および低級ハロゲン化炭化水素溶剤が好ましい。これらの溶剤を用いて被覆層を形成して溶剤を除去した場合には、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)がポリマーに担持され、図2における前記第1被覆層6がコーティングされたステント本体の上に前記第2被覆層5、また、図3における前記第1被覆層10がコーティングされたステント本体の上に前記第2被覆層9が形成されると、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)の放出速度が望ましいものとなる。
(図2における第2被覆層の形成)
図2における第2被覆層は、ポリマーと血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)からなる第2組成物を溶解した溶液を、第1被覆層上に塗布することにより形成される。塗布方法は第1被覆層の形成と同様である。
(図2における第1被覆層のポリマー、第2被覆層のポリマーと血管内膜肥厚抑制剤の重量構成)
図2における前記第1被覆層は前記ポリマー、前記第2被覆層は前記ポリマーと前記血管内膜肥厚抑制剤の重量構成を表1に示す。前記第1被覆層の前記ポリマーの任意量(85μg〜255μg)、前記第2被覆層の前記ポリマー(X)と前記血管内膜肥厚抑制剤(Y)の重量構成比率(Y/X)は1/3〜1/1の範囲で形成される。重量構成比率が1/1を超えると、コーティングした層からの薬剤放出量が多くなり、また、1/4未満であると、コーティングした層からの薬剤放出量が少なくなり、放出速度を調整することが出来ない。
(図3における第1被覆層、第2被覆層、および第3被覆層)
本発明のステントの基本構造は、(a)ステント本体、(b)ステント本体の外表面および内表面に形成された、ポリマー単独から形成される第1被覆層と、(c)第1被覆層上に形成されたポリマーと血管内膜肥厚抑制剤(好ましくはシロリムス)を含む第2被覆層と、(d)第2被覆層上に形成されたポリマーと血管内膜肥厚抑制剤(好ましくはシロリムス)を含む第3被覆層から構成されている。本発明の図3における第1被覆層15をポリマー12からなる単独にすることにより、急激な生分解性の金属材料の分解を抑制することができる。本発明の図3における第2被覆層14はポリマー10に血管内膜肥厚抑制剤11を、また、第3被覆層13はポリマー8に血管内膜肥厚抑制剤9を担持させることができる。第2被覆層と第3被覆層のポリマーと血管内膜肥厚抑制剤の重量構成比率が異なることで、長期間にわたる徐放性が付与されている。第1被覆層15の厚み、第1被覆層15におけるポリマー組成、組織等、第2被覆層14の厚み、第2被覆層におけるポリマー中における血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)の担持状態、第3被覆層13の厚み、第3被覆層13におけるポリマー中における血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)の担持状態等の選択により、ステント表面からの血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)の放出速度が制御される。このため、第2被覆層14は、第1被覆層15を完全に覆うように、また第3被覆層13は、第2被覆層14を完全に覆うように形成される必要がある。
(図3における第2被覆層を形成する第2組成物または/および第3被覆層を第3組成物)
本発明の図3における第2被覆層14は、上記ポリマーと上記血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)を含んだ第2組成物、第3被覆層13は、上記ポリマーと上記血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)を含んだ第3組成物から形成されている。第2組成物において、上記ポリマーが任意量の上記血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)を、第3組成物において、上記ポリマーが任意量の上記血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)を強く担持することにより、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)を長期にわたって放出することができる。したがって、第2組成物、第3組成物のポリマーの血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)の担持を阻害しないように、第2組成物、第3組成物それぞれ、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)以外の薬剤を含まないのが好ましい。
(図3における第2組成物、第3組成物中の血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)の担持状態)
本発明の図3は、血中、特に動脈中に挿入されて所定期間経過後においても、ステントから血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)の放出が維持されていることが重要であるが、本発明のステントにおいては、37℃のリン酸緩衝生理食塩水中で第2組成物、第3組成物における血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)は、ポリマーと相溶していることが好ましい。「相溶」とはポリマーと血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)が2種類または多種類の物質が相互に親和性を有し、溶液または混和物を形成している状態である。
(図3における第1被覆層、第2被覆層、および第3被覆層を構成するポリマー)
本発明の図3は、狭窄抑制に有効な量の血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)を一定時間持続的に放出させることを主眼としているが、そのために、第2被覆層14において、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)を担時させるポリマー、第3被覆層13において、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)を担持させるポリマーとして、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)が拡散によりポリマー層中を移動しやすい柔軟性ポリマーを使用することが好ましい。また、第1被覆層15は、第2被覆層14または/および第3被覆層13と同じポリマーを使用することが好ましい。このような柔軟性ポリマーとして、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素樹脂、ポリブチルアクリレート(−54℃)、ポリブチルメタクリレート(20℃)、アクリルゴム、天然ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレンブロック共重合体などが例示される。上記の柔軟性ポリマーは、血管内に導入されたとき非分解性であるが、本発明においては、ポリマーに起因する慢性炎症から血管組織を早期に回復させることが要求される場合には、生分解性ポリマー、なかでも半年以内に生体内で分解・消失するものを用いて被覆するのが好ましい。本発明においては、ポリマーに起因する慢性炎症から血管組織を早期に回復させることが要求される場合には、生分解性ポリマー、なかでも半年以内に生体内で分解・消失するものを用いて被覆するのが好ましい。生分解性ポリマーの具体例としては、ポリ乳酸、ポリ(乳酸−グリコール酸)、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリ(乳酸−ε−カプロラクトン)、ポリ(グリコール酸−ε−カプロラクトン)、ポリ−p−ジオキサノン、ポリ(グリコール酸−トリメチレンカーボネート)、ポリ−β−ヒドロキシ酪酸などが挙げられる。なかでもポリ乳酸は、ガラス転移温度が50〜60℃の範囲にあり、かつ、1年以内に生体内で分解消失する速度であるので、本発明において好ましく用いられる。これらのポリマーの分子量は、コーティング層の強度確保、コーティング作業効率の観点から、30,000〜500,000が適当である。
(図3におけるポリマーの選択と薬剤放出速度)
一般的に、コート層からの薬剤放出速度は、非分解性ポリマーではポリマー中での薬剤の拡散速度に依存するが、生分解性ポリマーでは薬剤の拡散速度とポリマーの分解期間に依存する。したがって薬剤放出速度をコントロールするためには、ポリマーの種類を適切に選択し、必要に応じて異なる種類のポリマーを組み合わせてもよい。よってポリマー中での薬剤の拡散速度、ポリマーの分解期間という2つのパラメータを調節することにより薬剤放出速度をコントロールできる。薬剤のポリマー中での拡散速度を大きくするには非晶性ポリマーを選択するのが適切であり、生分解性速度を大きくするには、分子量が小さい生分解性ポリマーを選択するのが適切である。
(図3における生分解性ポリマーの選択と薬剤放出速度)
第1被覆層、第2被覆層、および第3被覆層のポリマーとして、生分解性ポリマーを使用する場合、上記の生分解ポリマーのなかでも、ポリ乳酸が、人体への使用実績があり分解しても乳酸になり毒性も低いので安全性上好ましい。生分解性ポリマーの分解期間は、ポリマーを構成するモノマーの化学構造、共重合比、分子量に依存するので、目標とする薬剤放出速度に適するように、これらのパラメータを調節することが好ましい。
(図3における第1被覆層の厚み)
第1被覆層の膜厚は、0.5〜5μmの範囲にあることが好ましい。0.5μm未満では、膜の均一性が確保できなくなり、コア構造体の分解を抑制する機能が発揮できない。逆に、5μmを超える厚さになると、厚みほどの効果が得られない。また、必要以上に厚みを厚くすることはコア構造体としての機能を損なう。
(図3における第2被覆層の厚み)
ステントの単位表面積(1cm)あたりのコート層の厚さは薬剤(シロリムス)を適当量放出させる観点から、1〜25μmの範囲内の厚みが必要である。通常1〜10μmの範囲内にあるのが好ましい。第1被覆層、第2被覆層、第3被覆層を含めて被覆層が20μmを超えると、ステント内狭窄が大きくなる懸念があるので、第1被覆層、第2被覆層、第3被覆層の厚さとしては、15μmを超えないようにすることが好ましい。したがって、これらの塗布条件が満たせるように、コーティング液組成およびコーティング条件が選択される。
(図3における第3被覆層の厚み)
第3被覆層の膜厚は、0.5〜5μmの範囲にあることが好ましい。0.5μm未満では、膜の均一性が確保できなくなり、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)放出速度の抑制機能が発揮できない。逆に、5μmを超える厚さになると、厚みほどの効果が得られない。また、必要以上に厚みを厚くすることは血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)溶出としての効果やコア構造体としての機能を損なう。
(図3における第1被覆層、第2被覆層、および第3被覆層の形成方法)
本発明の図3における第1被覆層15はステント本体16表面に、そのポリマーを易揮発性溶剤(例えばフッ素系アルコール)に溶解した溶液をステント本体16表面に噴霧するか、ステント本体16表面を該溶液に浸漬することにより、ステント本体16表面に塗布し、乾燥することにより形成される。ポリマー単独からなる第1被覆層15は、ステント本体16表面の少なくとも外表面(血管壁と接触する面)にコーティングされる。この場合には、塗布はポリマーを溶剤に溶解した溶液をステント本体16の外表面に噴霧することにより行うのが好ましい。また、外表面だけでなく内表面にも行う場合には、内外両表面に噴霧を行うか、溶液中にステント本体16を含浸することにより行うのが好ましい。塗布後の溶剤除去は、減圧、送風、加熱などの方法に適宜行われる。
本発明の図3における第2被覆層14は血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)を担持したポリマーからなる第2組成物を第1被覆層15が搭載されている表面に、その血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)とポリマーである第2組成物とを易揮発性溶剤(例えばフッ素系アルコール)に溶解した溶液を第1被覆層15が搭載されている表面に噴霧するか、第1被覆層15が搭載されている表面を該溶液に浸漬することにより、前記第2組成物が第1被覆層15が搭載されている表面に塗布し、乾燥することにより形成される。本発明において、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)を含む第2組成物は、円筒状の第1被覆層15が搭載されている表面の少なくとも外表面(血管壁と接触する面)にコーティングされる。この場合には、塗布は第2組成物を溶剤に溶解した溶液を第1被覆層15が搭載されている表面の外表面に噴霧することにより行うのが好ましい。また、外表面だけでなく内表面にも行う場合には、内外両表面に噴霧を行うか、溶液中に第1被覆層15が搭載されている表面を含浸することにより行うのが好ましい。塗布後の溶剤除去は、減圧、送風、加熱などの方法に適宜行われる。
また、本発明の図3における第3被覆層13は血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)を担持したポリマーである第3組成物を前記第2被覆層14表面に、その血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)とポリマーである第3組成物とを易揮発性溶剤(例えばフッ素系アルコール)に溶解した溶液をステント表面に噴霧するか、前記第1被覆層15、前記第2被覆層14がコーティングされたステント本体を該溶液に浸漬することにより、前記第1被覆層15、前記第2被覆層14がコーティングされたステント本体に塗布し、乾燥することにより形成される。本発明において、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)を含む第3組成物は、円筒状のステント本体の少なくとも外表面(血管壁と接触する面)にコーティングされる。この場合には、塗布は第3組成物を溶剤に溶解した溶液をステント本体の外表面に噴霧することにより行うのが好ましい。また、外表面だけでなく内表面にも行う場合には、内外両表面に噴霧を行うか、溶液中に前記第1被覆層15、前記第2被覆層14がコーティングされたステント本体を含浸することにより行うのが好ましい。塗布後の溶剤除去は、減圧、送風、加熱などの方法に適宜行われる。
(図3における第1被覆層、第2被覆層、および第3被覆層のための溶剤の選択)
図3における第1被覆層の溶剤は、ポリマーを溶解可能で、コーティング後に容易に除去可能な、沸点100℃未満の揮発性溶剤として、メタノール、エタノール、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノールと、これらのアルコールを含有する混合溶剤が挙げられる。ポリマーとしては、上記に例示したポリマーが用いられるがなかでも、極性の高いポリ乳酸が上記の溶剤に対する溶解性の点で好ましい。また、図3における第2被覆層の溶剤は、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)を溶解可能で、コーティング後に容易に除去可能な、沸点100℃未満の揮発性溶剤として、メタノール、エタノール、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノールと、これらのアルコールを含有する混合溶剤が挙げられる。ポリマーとしては、上記に例示したポリマーが用いられるがなかでも、極性の高いポリ乳酸が上記の溶剤に対する溶解性の点で好ましい。また、図3における第3被覆層の溶剤は、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)を溶解可能で、コーティング後に容易に除去可能な、沸点100℃未満の揮発性溶剤として、メタノール、エタノール、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノールと、これらのアルコールを含有する混合溶剤が挙げられる。ポリマーとしては、上記に例示したポリマーが用いられるがなかでも、極性の高いポリ乳酸が上記の溶剤に対する溶解性の点で好ましい。以上のことから、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)と上記ポリマーの両方を溶解し、薬剤の徐放性を付与するのに適した溶剤として、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノールのほか、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチルなどの低級アルキルエステル(炭素数:6以下)溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどの低級アルキルケトン(炭素数:6以下)溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの低級ハロゲン化炭化水素(炭素数:4以下)溶剤などが例示される。なかでも、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)をポリマーに担持させて、薬剤徐放性を与える観点から、低級アルキルエステル、低級アルキルケトン溶剤および低級ハロゲン化炭化水素溶剤が好ましい。これらの溶剤を用いて被覆層を形成して溶剤を除去した場合には、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)がポリマーに担持され、ステント本体の上に前記第1被覆層が、第2被覆層の上に前記第3被覆層が形成されると、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス)の放出速度が望ましいものとなる。
(第2被覆層の形成)
第2被覆層は、ポリマーと他の構成成分からなる第2組成物を溶解した溶液を、第1被覆層上に塗布することにより形成される。塗布方法は第1被覆層の形成と同様である。
(第3被覆層の形成)
第3被覆層は、ポリマーと他の構成成分からなる第3組成物を溶解した溶液を、第2被覆層上に塗布することにより形成される。塗布方法は第1被覆層の形成と同様である。
(図3における第1被覆層のポリマー、第2被覆層、第3被覆層のポリマーと血管内膜肥厚抑制剤の重量構成)
図3における前記第1被覆層は前記ポリマー、前記第2被覆層、前記第3被覆層の前記ポリマーと前記血管内膜肥厚抑制剤の重量構成を表2に示す。前記第1被覆層の前記ポリマーの任意量(85μg〜255μg)、前記第2被覆層はポリマー(X1)と血管内膜肥厚抑制剤(Y1)と、前記第3被覆層はポリマー(X2)と血管内膜肥厚抑制剤(Y2)の重量構成比率(Y1:X1:Y2:X2)が、1:1:1:1〜1:3:1:1の範囲で形成される。重量構成比率が1:1:1:1を超えると、コーティングした層からの薬剤放出量が多くなり、また、1:4:1:1未満であると、コーティングした層からの薬剤放出量が少なくなり、放出速度を調整することが出来ない。
(図2、図3における血管内膜肥厚抑制剤放出速度の調整)
本発明の薬剤徐放性ステントがステント内狭窄を顕著に抑制するには、参考実施例の項に記載した動物試験からも明らかなように、37℃のリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)にステントを浸漬してから1ヶ月目の薬剤(シロリムス)溶出量が80%程度、3ヶ月目の薬剤(シロリムス)溶出量が100%程度となるような速度で放出するよう調節する必要があることを本発明者は見出した。
薬剤(シロリムス)の放出速度は、本発明の図2における前記第2被覆層の第1組成物、本発明の図3における前記第2被覆層の第2組成物のポリマー中に薬剤(シロリムス)を高濃度に担持させ、上記構成比率ポリマー(X)と血管内膜肥厚抑制剤(Y)の比率(Y/X)を1/3〜1/1、また、本発明の図3における前記第2被覆層の第3組成物のポリマー中に薬剤(シロリムス)を高濃度に担持させ、上記構成比率ポリマー(X)と血管内膜肥厚抑制剤(Y)の比率(Y/X)を1/1の範囲にすることにより、シロリムスが放出される。本発明の図2における前記第2被覆層、本発明の図3における前記第2被覆層、本発明の図3における前記第3被覆層において、薬剤(シロリムス)はポリマーにミクロ分散状態で担持されている。薬剤(シロリムス)をミクロ分散状態で担持するためには、上記のようにポリマーと薬剤(シロリムス)を含む組成物を調整するときに用いられる溶剤の選択により可能である。
薬剤(シロリムス)の放出速度は、第1組成物、第2組成物、第3組成物に用いられるポリマーにより影響されるが、該ポリマーにより、上記範囲内で被覆層の厚みを変えることにより、制御可能である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の限定を意図するものではない。実施例中で用いる材料、使用量、濃度、処理温度などの数値条件、処理法などは本発明の範囲内における好適例にすぎない。
ステント母材をAZ31(マグネシウム合金)を用いて検討した。
(図2における構成層の決定)
[参考製造例1]
ステント1本あたり第1被覆層にポリD,L−PLA85μg、第2被覆層にシロリムス85μgとポリD,L−PLA85μgとなるように溶液(コーティング液)を調製した。図1に示すデザインを有するステント本体をスプレイ式コーティング装置のマンドレルに装着した。前記第1被覆層のコーティング液を0.02mL/分の速度でノズルより噴射し、ノズル下9mmの位置でステント本体を毎分120回転の速度で回転させつつ往復運動させて約70秒間にわたってステント本体の端から中央までの表面にコーティングを行った。コーティング終了後3分間ステントを減圧乾燥し、ついで残りの半分をコーティングした。全面コーティングが終了したステントは減圧乾燥してから、60℃で24時間乾燥して溶剤を完全に除去した。溶剤除去後、前記第2被覆層のコーティング液を、第1被覆層のコーティング方法と同様にコーティングした。この同一条件で12本のステント本体にコーティングを行った。
[参考製造例2]
ステント1本あたり第1被覆層にシロリムス85μgとポリD,L−PLA85μg、第2被覆層にポリD,L−PLA85μgとなるように溶液(コーティング液)を調製した。図1に示すデザインを有するステント本体をスプレイ式コーティング装置のマンドレルに装着した。前記第1被覆層のコーティング液を0.02mL/分の速度でノズルより噴射し、ノズル下9mmの位置でステント本体を毎分120回転の速度で回転させつつ往復運動させて約70秒間にわたってステント本体の端から中央までの表面にコーティングを行った。コーティング終了後3分間ステントを減圧乾燥し、ついで残りの半分をコーティングした。全面コーティングが終了したステントは減圧乾燥してから、60℃で24時間乾燥して溶剤を完全に除去した。溶剤除去後、前記第2被覆層のコーティング液を、第1被覆層のコーティング方法と同様にコーティングした。この同一条件で12本のステント本体にコーティングを行った。
[参考製造例3]
ステント1本あたり第1被覆層にポリD,L−PLA85μg、第2被覆層にポリD,L−PLA85μgとなるように溶液(コーティング液)を調製した。図1に示すデザインを有するステント本体をスプレイ式コーティング装置のマンドレルに装着した。前記第1被覆層のコーティング液を0.02mL/分の速度でノズルより噴射し、ノズル下9mmの位置でステント本体を毎分120回転の速度で回転させつつ往復運動させて約70秒間にわたってステント本体の端から中央までの表面にコーティングを行った。コーティング終了後3分間ステントを減圧乾燥し、ついで残りの半分をコーティングした。全面コーティングが終了したステントは減圧乾燥してから、60℃で24時間乾燥して溶剤を完全に除去した。溶剤除去後、前記第2被覆層のコーティング液を、第1被覆層のコーティング方法と同様にコーティングした。この同一条件で12本のステント本体にコーティングを行った。
(図2における構成層決定のための薬剤放出試験)
参考製造例1〜3に示した3種類の薬剤コーティングステントからの薬剤放出量を測定した。各ステントは減圧滅菌後、エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌を行った。各ステントを清浄な密閉ガラス容器に入れ、pH7.4のリン酸緩衝生理食塩水を加えた。ステント全体が液中で浸漬された状態で、37℃恒温器内で振盪をおこなった。
所定時間毎に溶出液のUV吸収(シロリムス278nm)を紫外可視分光光度計UV−2450(島津製)で測定し、シロリムスの吸光度を測定した。搭載された薬剤の量をもとに溶出量を%で算出した。結果を表3に示す。表3の溶出量は12本の平均値である。
表3より、2層コーティングされた薬剤コーティングステントでは、いずれもバースト様の急激な放出は見られなかった。参考製造例2ではシロリムスが浸漬1ヶ月で溶出量が41%、浸漬3ヶ月で溶出量が58%となり、所望の構成層(血管内膜肥厚を抑制するためには1ヶ月目の薬剤(シロリムス)溶出量が80%程度、3ヶ月目の薬剤(シロリムス)溶出量が100%程度となることが望ましい)ではなく、参考製造例1の構成層で適切なポリマー、薬剤の量を検討した。
(図2におけるポリマー、薬剤の最適量の決定)
上記試験により、ステント表面に第1被覆層にポリD,L−PLA、第2被覆層にシロリムスとポリD,L−PLAからなる層が最適な薬剤徐放であることが判明したため、以下でポリマー、薬剤の最適量の決定を行った。
[参考製造例4]
ステント1本あたり第1被覆層にポリD,L−PLA85μg、第2被覆層にシロリムス85μgとポリD,L−PLA255μgとなるように溶液(コーティング液)を調製した。図1に示すデザインを有するステント本体をスプレイ式コーティング装置のマンドレルに装着した。前記第1被覆層のコーティング液を0.02mL/分の速度でノズルより噴射し、ノズル下9mmの位置でステント本体を毎分120回転の速度で回転させつつ往復運動させて約70秒間にわたってステント本体の端から中央までの表面にコーティングを行った。コーティング終了後3分間ステントを減圧乾燥し、ついで残りの半分をコーティングした。全面コーティングが終了したステントは減圧乾燥してから、60℃で24時間乾燥して溶剤を完全に除去した。溶剤除去後、前記第2被覆層のコーティング液を、第1被覆層のコーティング方法と同様にコーティングした。この同一条件で12本のステント本体にコーティングを行った。
[参考製造例5]
ステント1本あたり第1被覆層にポリD,L−PLA85μg、第2被覆層にシロリムス85μgとポリD,L−PLA340μgとなるように溶液(コーティング液)を調製した。図1に示すデザインを有するステント本体をスプレイ式コーティング装置のマンドレルに装着した。前記第1被覆層のコーティング液を0.02mL/分の速度でノズルより噴射し、ノズル下9mmの位置でステント本体を毎分120回転の速度で回転させつつ往復運動させて約70秒間にわたってステント本体の端から中央までの表面にコーティングを行った。コーティング終了後3分間ステントを減圧乾燥し、ついで残りの半分をコーティングした。全面コーティングが終了したステントは減圧乾燥してから、60℃で24時間乾燥して溶剤を完全に除去した。溶剤除去後、前記第2被覆層のコーティング液を、第1被覆層のコーティング方法と同様にコーティングした。この同一条件で12本のステント本体にコーティングを行った。
(図2における最適量決定のための薬剤放出試験)
参考製造例4〜5に示した2種類の薬剤コーティングステントからの薬剤放出量を測定した。各ステントは減圧滅菌後、エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌を行った。各ステントを清浄な密閉ガラス容器に入れ、pH7.4のリン酸緩衝生理食塩水を加えた。ステント全体が液中で浸漬された状態で、37℃恒温器内で振盪をおこなった。
所定時間毎に溶出液のUV吸収(シロリムス278nm)を紫外可視分光光度計UV−2450(島津製)で測定し、シロリムスの吸光度を測定した。搭載された薬剤の量をもとに溶出量を%で算出した。結果を表4に示す。表4の溶出量は12本の平均値である。
表4より、2層コーティングされた薬剤コーティングステントでは、いずれもバースト様の急激な放出は見られなかった。参考製造例4ではシロリムスが浸漬1ヶ月で溶出量が43%、浸漬3ヶ月で溶出量が67%、参考製造例5ではシロリムスが浸漬1ヶ月で溶出量が13%、浸漬3ヶ月で溶出量が21%となり、所望の構成層(血管内膜肥厚を抑制するためには1ヶ月目の薬剤(シロリムス)溶出量が80%程度、3ヶ月目の薬剤(シロリムス)溶出量が100%程度となることが望ましい)ではなかった。この結果をもとに、参考動物試験1を実施した。
(参考動物試験1)
DES1、DES2および参考製造例3のポリマーコーティングのみを施したPCS1の3種類のステント各3本、合計18本をクラウン系ミニブタ(体重25〜45kg)9匹の冠動脈(LAD、LCX)に埋植し、1か月後にステント内狭窄の度合いを定量的冠動脈造影法(QCA)で評価した。DES1は上記参考製造例1、DES2は上記参考製造例2のポリマー、薬剤の量をステントにコーティングした。
各ステントをバルーンカテーテルにマウントし、EOG滅菌を行った。各ステントは全身麻酔下、ミニブタの右大腿動脈からシースイントロデユーサーを使い、6Frのガイディングカテーテルを使用して冠動脈内に挿入した。元の血管径に対して、ステント埋植後の血管径(近位部)が1.0〜1.2の範囲内におさまるよう、埋植部位とステント拡張圧を選択して、ステントの埋植を行った。
埋植30日後、ステント埋植部位をX線造影法により血管内腔径をステントの近位部、中央部、遠位部の3か所で計測した。狭窄率は以下の計算式により算出した。
血管径狭窄率=(埋植直後の内腔径−1か月後の内腔径)/埋植直後の内腔径×100算出された平均血管径狭窄率(%)を表3に示す。
表5からわかるように、DES1(参考製造例1)ではPCS1(参考製造例3)より狭窄率が小さい。これに対し、DES2(参考製造例2)の狭窄抑制効果は劣性であり、薬の溶出挙動が最適でないことが示唆された。
(参考動物試験2)
参考製造例1、参考製造例2をもとに作製した薬剤放出ステント、DES1、DES2および参考製造例3のポリマーコーティングのみを施したPCS1の3種類のステント各3本、合計18本をクラウン系ミニブタ(体重25〜45kg)9匹の冠動脈(LAD、LCX)に埋植し、1ヶ月後に病理解剖して摘出した心臓をホルマリン固定した。該心臓からステントが埋植されている血管組織を切り出し、アクリル樹脂で固定した後、ステントの中央、両端の3か所で切断して厚さ6μmの薄切片を作製した。これらをヘマトキシリン・エオシン染色とエラスチカ・ワンギーソン染色により染色し、面積狭窄率(%)と内皮細胞被覆率(%)を評価した。DES1では面積狭窄率は28±8%で、参考製造例1の平均血管径狭窄率とほぼ一致した。内皮細胞の被覆率は100%で、ステント埋植時の血管内壁の傷害は完全治癒していた。DES2では面積狭窄率は51±16%で、参考製造例2の平均血管径狭窄率とほぼ一致した。
動脈用ステントの表面に担持されたシロリムスが、37℃のリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)中で、該ステントの浸漬時点から血管内膜肥厚を抑制するためには1ヶ月目の薬剤(シロリムス)溶出量が80%程度、3ヶ月目の薬剤(シロリムス)溶出量が100%程度となるシロリムスの放出速度が調節されている薬剤徐放性動脈ステントが作製された。これを動脈内に留置した場合、放出されたシロリムスが血管内膜肥厚を有効に抑制でき、かつステント留置1か月以内に血管内壁がほぼ完全に内皮細胞で覆われることが、以上の薬剤溶出試験および動物実験の結果から示された。
(図3における構成層の決定)
ステント母材をMg96.1%−Nd2.5%−Zn1.0%−Zr0.4%を用いて検討した。
[参考製造例6]
ステント1本あたり第1被覆層にポリD,L−PLA85μg、第2被覆層にシロリムス85μgとポリD,L−PLA85μgとなるように溶液(コーティング液)を調製した。図1に示すデザインを有するステント本体をスプレイ式コーティング装置のマンドレルに装着した。前記第1被覆層のコーティング液を0.02mL/分の速度でノズルより噴射し、ノズル下9mmの位置でステント本体を毎分120回転の速度で回転させつつ往復運動させて約70秒間にわたってステント本体の端から中央までの表面にコーティングを行った。コーティング終了後3分間ステントを減圧乾燥し、ついで残りの半分をコーティングした。全面コーティングが終了したステントは減圧乾燥してから、60℃で24時間乾燥して溶剤を完全に除去した。溶剤除去後、前記第2被覆層のコーティング液を、第1被覆層のコーティング方法と同様にコーティングした。この同一条件で12本のステント本体にコーティングを行った。
[参考製造例7]
ステント1本あたり第1被覆層にシロリムス85μgとポリD,L−PLA85μg、第2被覆層にポリD,L−PLA85μgとなるように溶液(コーティング液)を調製した。図1に示すデザインを有するステント本体をスプレイ式コーティング装置のマンドレルに装着した。前記第1被覆層のコーティング液を0.02mL/分の速度でノズルより噴射し、ノズル下9mmの位置でステント本体を毎分120回転の速度で回転させつつ往復運動させて約70秒間にわたってステント本体の端から中央までの表面にコーティングを行った。コーティング終了後3分間ステントを減圧乾燥し、ついで残りの半分をコーティングした。全面コーティングが終了したステントは減圧乾燥してから、60℃で24時間乾燥して溶剤を完全に除去した。溶剤除去後、前記第2被覆層のコーティング液を、第1被覆層のコーティング方法と同様にコーティングした。この同一条件で12本のステント本体にコーティングを行った。
[参考製造例8]
ステント1本あたり第1被覆層にポリD,L−PLA85μg、第2被覆層にポリD,L−PLA85μgとなるように溶液(コーティング液)を調製した。図1に示すデザインを有するステント本体をスプレイ式コーティング装置のマンドレルに装着した。前記第1被覆層のコーティング液を0.02mL/分の速度でノズルより噴射し、ノズル下9mmの位置でステント本体を毎分120回転の速度で回転させつつ往復運動させて約70秒間にわたってステント本体の端から中央までの表面にコーティングを行った。コーティング終了後3分間ステントを減圧乾燥し、ついで残りの半分をコーティングした。全面コーティングが終了したステントは減圧乾燥してから、60℃で24時間乾燥して溶剤を完全に除去した。溶剤除去後、前記第2被覆層のコーティング液を、第1被覆層のコーティング方法と同様にコーティングした。この同一条件で12本のステント本体にコーティングを行った。
(図3における構成層決定のための薬剤放出試験)
参考製造例6〜8に示した3種類の薬剤コーティングステントからの薬剤放出量を測定した。各ステントは減圧滅菌後、エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌を行った。各ステントを清浄な密閉ガラス容器に入れ、pH7.4のリン酸緩衝生理食塩水を加えた。ステント全体が液中で浸漬された状態で、37℃恒温器内で振盪をおこなった。
所定時間毎に溶出液のUV吸収(シロリムス278nm)を紫外可視分光光度計UV−2450(島津製)で測定し、シロリムスの吸光度を測定した。搭載された薬剤の量をもとに溶出量を%で算出した。結果を表6に示す。表6の溶出量は12本の平均値である。
表6より、2層コーティングされた薬剤コーティングステントでは、いずれもバースト様の急激な放出は見られなかった。参考製造例7、参考製造例8ともに所望の構成層(血管内膜肥厚を抑制するためには1ヶ月目の薬剤(シロリムス)溶出量が80%程度、3ヶ月目の薬剤(シロリムス)溶出量が100%程度となることが望ましい)でなく、コア構造体のマグネシウム合金の耐食性によって溶出量が異なることが示唆された。浸漬1ヶ月目、浸漬3ヶ月目の薬剤(シロリムス)の溶出量を最適化するために、第2被覆層の構成を検討した。
(図3における所望の構成層の検討)
表6のように、薬剤(シロリムス)とポリマーの重量構成を以下のようにした。薬剤(シロリムス)の量を多くすることによって、薬剤溶出性は増加すると考えられるが、初期の内皮細胞の増殖を抑制するため、良くない。そのため薬剤(シロリムス)の量は変えず、初期の薬剤溶出量を制御する層を付与することにより、薬剤溶出性を調節した。
[参考製造例9]
ステント1本あたり第1被覆層にポリD,L−PLA85μg、第2被覆層にシロリムス85μgとポリD,L−PLA85μgとなるように溶液(コーティング液)を調製した。図1に示すデザインを有するステント本体をスプレイ式コーティング装置のマンドレルに装着した。前記第1被覆層のコーティング液を0.02mL/分の速度でノズルより噴射し、ノズル下9mmの位置でステント本体を毎分120回転の速度で回転させつつ往復運動させて約70秒間にわたってステント本体の端から中央までの表面にコーティングを行った。コーティング終了後3分間ステントを減圧乾燥し、ついで残りの半分をコーティングした。全面コーティングが終了したステントは減圧乾燥してから、60℃で24時間乾燥して溶剤を完全に除去した。溶剤除去後、前記第2被覆層のコーティング液を、第1被覆層のコーティング方法と同様にコーティングした。この同一条件で12本のステント本体にコーティングを行った。
[参考製造例10]
ステント1本あたり第1被覆層にポリD,L−PLA85μg、第2被覆層にシロリムス85μgとポリD,L−PLA42.5μgとなるように溶液(コーティング液)を調製した。図1に示すデザインを有するステント本体をスプレイ式コーティング装置のマンドレルに装着した。前記第1被覆層のコーティング液を0.02mL/分の速度でノズルより噴射し、ノズル下9mmの位置でステント本体を毎分120回転の速度で回転させつつ往復運動させて約70秒間にわたってステント本体の端から中央までの表面にコーティングを行った。コーティング終了後3分間ステントを減圧乾燥し、ついで残りの半分をコーティングした。全面コーティングが終了したステントは減圧乾燥してから、60℃で24時間乾燥して溶剤を完全に除去した。溶剤除去後、前記第2被覆層のコーティング液を、第1被覆層のコーティング方法と同様にコーティングした。この同一条件で12本のステント本体にコーティングを行った。
[参考製造例11]
ステント1本あたり第1被覆層にポリD,L−PLA85μg、第2被覆層にシロリムス65μgとポリD,L−PLA65μg、第3被覆層にシロリムス20μgとポリD,L−PLA10μgとなるように溶液(コーティング液)を調製した。図1に示すデザインを有するステント本体をスプレイ式コーティング装置のマンドレルに装着した。前記第1被覆層のコーティング液を0.02mL/分の速度でノズルより噴射し、ノズル下9mmの位置でステント本体を毎分120回転の速度で回転させつつ往復運動させて約70秒間にわたってステント本体の端から中央までの表面にコーティングを行った。コーティング終了後3分間ステントを減圧乾燥し、ついで残りの半分をコーティングした。全面コーティングが終了したステントは減圧乾燥してから、60℃で24時間乾燥して溶剤を完全に除去した。溶剤除去後、前記第2被覆層、前記第3被覆層のコーティング液を、第1被覆層のコーティング方法と同様にコーティングした。この同一条件で12本のステント本体にコーティングを行った。
(図3における構成層決定のための薬剤放出試験)
参考製造例9〜11に示した3種類の薬剤コーティングステントからの薬剤放出量を測定した。各ステントは減圧滅菌後、エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌を行った。各ステントを清浄な密閉ガラス容器に入れ、pH7.4のリン酸緩衝生理食塩水を加えた。ステント全体が液中で浸漬された状態で、37℃恒温器内で振盪をおこなった。
所定時間毎に溶出液のUV吸収(シロリムス278nm)を紫外可視分光光度計UV−2450(島津製)で測定し、シロリムスの吸光度を測定した。搭載された薬剤の量をもとに溶出量を%で算出した。結果を表8に示す。表8の溶出量は12本の平均値である。
表8より、2層、3層コーティングされた薬剤コーティングステントでは、いずれもバースト様の急激な放出は見られなかった。参考製造例9、参考製造例10ともに所望の構成層(血管内膜肥厚を抑制するためには1ヶ月目の薬剤(シロリムス)溶出量が80%程度、3ヶ月目の薬剤(シロリムス)溶出量が100%程度となることが望ましい)でなかった。参考製造例11において所望の構成層となったため、参考動物試験3を実施した。
(参考動物試験3)
DES3、DES4および参考製造例8のポリマーコーティングのみを施したPCS2の3種類のステント各3本、合計18本をクラウン系ミニブタ(体重25〜45kg)9匹の冠動脈(LAD、LCX)に埋植し、1か月後にステント内狭窄の度合いを定量的冠動脈造影法(QCA)で評価した。DES3は上記参考製造例11、DES4は上記参考製造例9のポリマー、薬剤の量をステントにコーティングした。
各ステントをバルーンカテーテルにマウントし、EOG滅菌を行った。各ステントは全身麻酔下、ミニブタの右大腿動脈からシースイントロデユーサーを使い、6Frのガイディングカテーテルを使用して冠動脈内に挿入した。元の血管径に対して、ステント埋植後の血管径(近位部)が1.0〜1.2の範囲内におさまるよう、埋植部位とステント拡張圧を選択して、ステントの埋植を行った。
埋植30日後、ステント埋植部位をX線造影法により血管内腔径をステントの近位部、中央部、遠位部の3か所で計測した。狭窄率は以下の計算式により算出した。
血管径狭窄率=(埋植直後の内腔径−1か月後の内腔径)/埋植直後の内腔径×100算出された平均血管径狭窄率(%)を表9に示す。
表9からわかるように、DES3(参考製造例11)ではPCS2(参考製造例8)より狭窄率が小さい。DES4(参考製造例9)の狭窄抑制効果は劣性であり、薬の溶出挙動が最適でないことが示唆された。
(参考動物試験4)
参考製造例11、参考製造例9をもとに作製した薬剤放出ステント、DES3、DES4および参考製造例8のポリマーコーティングのみを施したPCS2の3種類のステント各3本、合計18本をクラウン系ミニブタ(体重25〜45kg)9匹の冠動脈(LAD、LCX)に埋植し、1ヶ月後に病理解剖して摘出した心臓をホルマリン固定した。該心臓からステントが埋植されている血管組織を切り出し、アクリル樹脂で固定した後、ステントの中央、両端の3か所で切断して厚さ6μmの薄切片を作製した。これらをヘマトキシリン・エオシン染色とエラスチカ・ワンギーソン染色により染色し、面積狭窄率(%)と内皮細胞被覆率(%)を評価した。DES3では面積狭窄率は22±7%で、参考製造例12の平均血管径狭窄率とほぼ一致した。内皮細胞の被覆率は100%で、ステント埋植時の血管内壁の傷害は完全治癒していた。DES4では面積狭窄率は50±9%で、参考製造例10の平均血管径狭窄率とほぼ一致した。
動脈用ステントの表面に担持されたシロリムスが、37℃のリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)中で、該ステントの浸漬時点から血管内膜肥厚を抑制するためには1ヶ月目の薬剤(シロリムス)溶出量が80%程度、3ヶ月目の薬剤(シロリムス)溶出量が100%程度となるシロリムスの放出速度が調節されている薬剤徐放性動脈ステントが作製された。これを動脈内に留置した場合、放出されたシロリムスが血管内膜肥厚を有効に抑制でき、かつステント留置1か月以内に血管内壁がほぼ完全に内皮細胞で覆われることが、以上の薬剤溶出試験および動物実験の結果から示された。
本発明の特定の実施形態について説明を行ったが、この技術分野における当業者は本明細書において記述された上記の実施形態を容易に修正することができることは明らかである。従って、本発明は、この明細書で示された特定の実施形態に限定されることなく、他のいかなる修正、変更、実施の形態への利用に適用されるものであり、それゆえに、他のすべての修正、変更、実施形態は、本発明の精神および範囲内に入るものとみなされるべきである。
1 全リンク型ステント
2,4,8,10,12 ポリマー
3,9,11 血管内膜肥厚抑制剤
13 第3被覆層
5,14 第2被覆層
6,15 第1被覆層
7,16 コア構造体






















Claims (16)

  1. 外表面と内表面とを有する円筒形状に形成された生分解性の金属材料のコア構造体と、前記コア構造体の外表面と内表面を被覆している第1被覆層と、前記第1被覆層を実質的に完全に覆うように被覆している第2被覆層と、を具備しており、
    前記第1被覆層は、ポリマー単独により形成され、前記第2被覆層は、ポリマーと血管内膜肥厚抑制剤である第1組成物から形成されているステント。
  2. 請求項1において、前記血管内膜肥厚抑制剤の必須成分がシロリムス、エベロリムス、バイオリムスA9、ゾタロリムス、タクロリムス、パクリタキセルであるステント。
  3. 請求項1において、前記第1被覆層の厚さが、0.5~5μmの範囲内にあり、第2被覆層の厚さが1~20μmの範囲内にあるステント。
  4. 請求項1において、前記血管内膜肥厚抑制剤は、病変部に血管内膜肥厚抑制剤を送達し、血管内膜肥厚を抑制する効果があるステント。
  5. 請求項1において、前記第1被覆層または/および第2被覆層を形成するポリマーが、生分解性ポリマーであるステント。
  6. 請求項5において、前記生分解性ポリマーが、ポリ乳酸、ポリ(乳酸―グリコール酸)、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリ(乳酸―ε―カプロラクトン)、またはポリ(グリコール酸―ε―カプロラクトン)であるステント。
  7. 請求項1において、前記生分解性の金属材料が、マグネシウムまたはマグネシウム合金から形成されているステント。
  8. 請求項1において、前記血管内膜肥厚抑制剤は前記ポリマーに結晶状態でサブミクロンオーダの粒子状にミクロ分散したステント。
  9. 請求項1における前記第1被覆層または/および第2被覆層を、低級アルキルケトン溶剤、低級アルキルエステル溶剤に溶解した溶液を用いて、ステント本体の少なくとも外表面を被覆し、被覆後、前記溶剤を除去して第1被覆層または/および第2被覆層を形成するステントの製造方法。
  10. 請求項1において、前記第1被覆層は、前記ステントを血管内に留置し、生分解性の金属材料の分解を抑制する方法。
  11. 請求項1において、前記第2被覆層は、前記ステントを血管内に留置し、前記ステントから血管内膜肥厚抑制剤を放出させて、血管内膜肥厚を抑制する方法。
  12. 請求項1において、外表面と内表面とを有する円筒形状に形成された生分解性の金属材料のコア構造体と、前記コア構造体の外表面と内表面を被覆している第1被覆層と、前記第1被覆層を実質的に完全に覆うように被覆している第2被覆層と、を具備しており、
    前記第1被覆層は、ポリマー単独により形成され、前記第2被覆層は、ポリマーと血管内膜肥厚抑制剤である第1組成物から形成され、前記第1被覆層の前記ポリマー(W)と前記第2被覆層の前記ポリマー(X)と前記血管内膜肥厚抑制剤(Y)の重量構成比率(W:Y:X)が、1:1:1〜1:1:3の範囲であることを特徴とするステント。
  13. 請求項1に記載のステントにおいて、
    37℃のリン酸緩衝生理食塩水中で、前記ステントの浸漬時点から前記第2被覆層の前記血管内膜肥厚抑制剤の放出が、少なくとも約1日〜最大約3ヶ月間にわたるように調節することを特徴とする、前記血管内膜肥厚抑制剤のステントからの放出の調整方法。
  14. 請求項13において、前記第1組成物において、前記血管内膜肥厚抑制剤が、ポリマー中にミクロ分散することにより、前記血管内膜肥厚抑制剤の放出を調節している、前記血管内膜肥厚抑制剤のステントからの放出の調整方法。
  15. 請求項14において、前記第組成物を溶解する溶剤を低級アルキルケトン溶剤、低級アルキルエステル溶剤の中から選択し、選択された溶剤により第1組成物を溶解した溶液を用いて、前記コア構造体の外表面と内表面を第2被覆層として形成することにより、前記血管内膜肥厚抑制剤の放出を調整している、前記血管内膜肥厚抑制剤のステントからの放出の調整方法。
  16. 請求項15において、前記第1組成物を溶解する溶剤を低級アルキルケトン溶剤、低級アルキルエステル溶剤の中から選択し、選択された溶剤により第1組成物を溶解した溶液を用いて、第1被覆層を被覆後、第2被覆層を形成することにより、前記血管内膜肥厚抑制剤の放出を調整している、前記血管内膜肥厚抑制剤のステントからの放出の調整方法。
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