(実施例1)
本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例1は、複数の周波数チャネルを使用して通信する無線装置に関する。無線装置の回路規模の増加を抑制するためには、無線装置が備える無線部の数は、「1」にされるべきである。一方、無線部が1つである場合、一方の周波数チャネルにおける信号の受信を検出している間に、他方の周波数チャネルの信号が受信されても、これは検出されない。そこで、無線部が1つでありながらも、複数の周波数チャネルに対して、受信検出の失敗確率の増加を抑制することが望まれる。
ここで、信号の受信を検出するための処理には、RSSIの測定と、プリアンブルの検出が含まれる。RSSIの測定では、受信信号強度が単に測定されているだけなので、受信した信号が所望の信号であるかを識別する精度は低いが、処理に要する期間は比較的短い。一方、プリアンブルの検出では、パケット信号の先頭部分に配置されているプリアンブルが検出されるので、前述の識別精度は高いが、処理に要する期間は、RSSIの測定に比較して長い。このような特徴を考慮して、本実施例に係る無線装置は、複数の周波数チャネルを切りかえながら、RSSIの測定を順次実行する。いずれかの周波数チャネルにおいて測定したRSSIがしきい値以上になった場合、無線装置は、当該周波数チャネルにおいてプリアンブルの検出を実行する。
図1は、本発明の実施例1に係る通信システム100の構成を示す。通信システム100は、無線装置10、第1種端末装置12、第2種端末装置14、スマートメータ16、収集制御局18を含む。無線装置10、第1種端末装置12、第2種端末装置14、スマートメータ16は、住宅28に設置される。図1においては、説明を明瞭にするために、1つの住宅28だけが示されているが、実際には、複数の住宅28が存在し、各住宅28にスマートメータ16、無線装置10、第1種端末装置12、第2種端末装置14が設置される。
収集制御局18、スマートメータ16、無線装置10、第1種端末装置12、第2種端末装置14は、いずれも無線通信機能を備える。収集制御局18とスマートメータ16との間の無線通信はマルチホップ通信26であり、スマートメータ16と無線装置10との間の無線通信は上位通信24である。また、無線装置10と第1種端末装置12との間の無線通信は第1通信20であり、無線装置10と第2種端末装置14との間の無線通信は第2通信22である。マルチホップ通信26は、各住宅28に設置されたスマートメータ16による転送によって実現されており、Aルートに対応する。上位通信24は、WiSUN(Wireless Smart Utility Networks)のBルートに対応し、第1通信20は、WiSUNのHAN(Home Area Network)に対応する。この分野の無線通信方式はIEEE802.15.4で規定されているが、標準化された方式(WiSUNアライアンス等)や独自運用している方式などが混在している。
スマートメータ16は、前述の無線通信機能に加えて、住宅28で使用された電力量を計測する電力メータとしての機能を有する。スマートメータ16は、電力会社(電気事業者)からの商用電力が供給される配電線(図示せず)に接続されており、住宅28で使用された電力量を計測する。この機能については公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。スマートメータ16は、電力量の計測結果が含まれた検針データをマルチホップ通信26にて収集制御局18に送信する。収集制御局18は、通信システム100の親機に相当し、スマートメータ16からの検針データを受信する。これにより、電力会社による遠隔検針が可能になる。
住宅28に設置された電子機器(図示せず)には、第1種端末装置12あるいは第2種端末装置14が接続される。電子機器は、例えば、エア・コンディショナー、OA機器、テレビジョン受像装置である。第1種端末装置12、第2種端末装置14は、異なった無線通信方式である第1通信20、第2通信22にそれぞれ対応し、無線装置10と通信する。無線装置10は、上位通信24によってスマートメータ16とも通信するので、スマートメータ16からの計測結果を受信する。計測結果によって、電子機器における正確な電力管理が可能になる。以下では、無線装置10の動作に着目するので、第1通信20、第2通信22、上位通信24を説明の対象にする。
図2(a)−(b)は、第1通信20、第2通信22、上位通信24の周波数チャネル配置を示す。図2(a)は、第1通信20および上位通信24における周波数チャネルの配置を示す。図示のごとく、400kHz幅の周波数チャネルがN個周波数多重されている。ここでは、周波数の低い方から順に、CH1、CH2、・・・、CHNと示される。本実施例において、第1通信20のために使用される周波数チャネルと、上位通信24のために使用される周波数チャネルとは異なっている。以下では、第1通信20のために使用される周波数チャネルが「CHx」であるとし、上位通信24のために使用される周波数チャネルが「CHy」であるとする。
図2(b)は、第2通信22における周波数チャネルの配置を示す。図示のごとく、1つの周波数チャネルは、200kHz幅であるので、第1通信20および上位通信24における周波数チャネルの半分の帯域幅である。ここで、CH1の帯域内に配置される周波数チャネルがCH1−1、CH1−2と示される。本実施例において、第2通信22のために使用される周波数チャネルは、第1通信20のために使用される周波数チャネルに含まれるとする。前述のごとく、第1通信20のために使用される周波数チャネルが「CHx」であるので、第2通信22のために使用される周波数チャネルは、「CHx−1」あるいは「CHx−2」である。以下では、「CHx−1」であるとする。なお、説明の便宜上、以下では、「CHx−1」、「CHx−2」は、「CHx」と同一の周波数チャネルという場合もある。
無線装置10は、第1種端末装置12、第2種端末装置14、スマートメータ16との間で、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)による通信を実行する。具体的に説明すると、無線装置10とスマートメータ16は、周波数チャネル「CHy」を使用してCSMA/CAによる通信を実行する。無線装置10と第1種端末装置12は、周波数チャネル「CHx」を使用してCSMA/CAによる通信を実行し、無線装置10と第2種端末装置14は、周波数チャネル「CHx−1」を使用してCSMA/CAによる通信を実行する。無線装置10は、例えば、HEMS(Home Energy Management System)コントローラのような電子機器を制御する制御装置に接続または搭載されるものである。
図3(a)−(b)は、第1通信20、第2通信22、上位通信24のパケット信号のフォーマットを示す。図3(a)は、第1通信20および上位通信24のパケット信号のフォーマットを示す。パケット信号は、プリアンブル、UW(Unique Word)、データを先頭から順に配置する。プリアンブルは、15byteを有しており、第1通信20、上位通信24の伝送レートが共通して100kbpsであるので、1.2msecの期間を有する。プリアンブルのパターンは既知である。UW、データについては説明を省略する。
図3(b)は、第2通信22のパケット信号のフォーマットを示す。パケット信号の構成は、図3(a)と同様であり、かつプリアンプルも15byteを有する。しかしながら、第2通信22の伝送レートは、第1通信20、上位通信24の伝送レートより低速の40kbpsであるので、プリアンブルは、3.0msecの期間を有する。つまり、第2通信22のパケット信号に含まれたプリアンブルの期間は、第1通信20、上位通信24のパケット信号に含まれたプリアンブルの期間よりも長い。
図4は、無線装置10の構成を示す。無線装置10は、通信部40、探索部42、データ処理部44、制御部46を含む。通信部40は、受信部48、送信部50を含み、探索部42は、測定部52、検出部54を含む。通信部40は、前述の無線部に相当する。
受信部48は、第1通信20、第2通信22、上位通信24のそれぞれに対応した処理を実行することによって、無線通信におけるパケット信号を受信する。また、受信部48は、パケット信号を受信するまでの間であって、かつ後述の送信部50がパケット信号を送信していない間(以下、「探索期間」という)においても、制御部46からの指示に応じて周波数チャネルを設定しながら、パケット信号の受信を試みる。受信部48は、増幅機能、周波数変換機能を有しており、これらによってベースバンド信号を生成する。受信部48は、ベースバンド信号を探索部42、データ処理部44に出力する。
測定部52は、受信部48からのベースバンド信号を入力し、ベースバンド信号のRSSIを測定する。RSSIの測定は、例えば、400kHz幅においてなされる。なお、探索期間において、制御部46は、受信部48に対して、周波数チャネル「CHx」と周波数チャネル「CHy」とを一定間隔で切りかえる指示を出力している。そのため、測定部52は、周波数チャネル「CHx」におけるRSSIの測定と、周波数チャネル「CHy」におけるRSSIの測定とを切りかえながら実行する。RSSIの測定には、例えば、100μsec要するので、制御部46は、100μsec以上の間隔で周波数チャネルを切りかえさせる。測定部52は、各周波数チャネルのRSSIを検出部54に順次出力する。
検出部54は、測定部52からのRSSIを順次入力する。検出部54は、RSSIとしきい値とを比較する。しきい値は、例えば、パケット信号の最低受信感度をもとに設定される。RSSIがしきい値以上である場合、検出部54は、当該RSSIを測定したときの周波数チャネルを特定し、特定した周波数チャネルを制御部46に通知する。制御部46は、周波数チャネルの通知を検出部54から受けつけると、受信部48を当該周波数チャネルに固定する。
これに続いて、検出部54は、通知した周波数チャネルでのベースバンド信号を受信部48から入力する。検出部54は、ベースバンド信号に対して、パケット信号に含まれるべきプリアンブルの検出処理を実行する。プリアンブルの検出による相関値がしきい値以上である場合、検出部54は、プリアンブルを検出したと決定する。一方、プリアンブルの検出による相関値がしきい値よりも小さい場合、検出部54は、プリアンブルを検出しなかったと決定する。なお、相関値に対するしきい値は、前述のRSSIに対するしきい値とは別に設定される。検出部54は、プリアンブルの検出結果を制御部46に通知する。
ここで、固定された周波数チャネルが「CHx」である場合、第1通信20のパケット信号を受信している可能性と、第2通信22のパケット信号を受信している可能性とがある。検出部54は、第1通信20のプリアンブルの検出処理と第2通信22のプリアンブルの検出処理とのうちの一方を先に実行する。検出処理による相関値がしきい値よりも小さい場合、検出部54は、他方を続いて実行する。なお、第1通信20のプリアンブルの検出処理には、例えば、200μsec要し、第2通信22のプリアンブルの検出処理には、例えば、500μsec要する。
制御部46は、検出部54から受けつけた結果がプリアンブルを検出したことを示していた場合、受信部48に対する周波数チャネルの固定を継続するとともに、データ処理部44に対して、受信部48からのパケット信号の受信処理を実行させる。パケット信号の受信処理は、復調処理、復号処理等を含む。パケット信号の期間が終了すると、制御部46は、受信部48に対して、周波数チャネル「CHx」と周波数チャネル「CHy」とを一定間隔で切りかえる指示を出力し、測定部52は、前述の処理を繰り返す。この処理は、検出部54から受けつけた結果がプリアンブルを検出しなかったことを示していた場合も同様である。
図5(a)−(c)は、無線装置10による動作概要を示す。図5(a)は、RSSIがしきい値以上になる前の動作を示す。図示のごとく、周波数チャネル「CHx」と「CHy」との切替が繰り返されながら、RSSI測定がなされる。図5(b)は、周波数チャネル「CHx」において測定されたRSSIがしきい値以上である場合の動作を示す。ここでは、第1通信20のプリアンブルに対する検出処理が実行された後に、第2通信22のプリアンブルに対する検出処理が実行される。いずれものプリアンブルが検出されなかった場合、周波数チャネル「CHy」のRSSIが測定される。RSSIがしきい値以上である場合、上位通信24のプリアンブルに対する検出処理が実行される。図5(c)は、図5(b)と比較して、第1通信20のプリアンブルに対する検出処理と、第2通信22のプリアンブルに対する検出処理との順番が異なる。ここでは、第2通信22のプリアンブルに対する検出処理が実行された後に、第1通信20のプリアンブルに対する検出処理が実行される。図4に戻る。
データ処理部44は、送信すべきデータが発生した場合に、パケット信号を生成する。ここで、データ処理部44は、パケット信号の送信先が第1種端末装置12、スマートメータ16であれば、図3(a)のフォーマットを使用し、パケット信号の送信先が第2種端末装置14であれば、図3(b)のフォーマットを使用する。制御部46は、受信部48がパケット信号を受信していなければ、データ処理部44において生成したパケット信号を送信部50に出力させる。制御部46は、パケット信号の送信先が第1種端末装置12、第2種端末装置14であれば、周波数チャネル「CHx」を送信部50に設定させ、パケット信号の送信先がスマートメータ16であれば、周波数チャネル「CHy」を送信部50に設定させる。送信部50は、設定した周波数チャネルにおいてキャリアセンスを実行し、送信タイミングを取得した場合に、パケット信号を送信する。
周波数チャネル「CHx」では、第1通信20、第2通信22という2つの無線通信方式が実行される。そのため、周波数チャネル「CHx」に対する測定部52、検出部54の動作には、さまざまなパターンがありえる。ここでは、それらを説明する。図6(a)−(c)は、無線装置10による別の動作概要を示す。図6(a)は、測定部52において測定した周波数チャネル「CHx」のRSSIがしきい値以上である場合の検出部54における動作を示す。これまでは、第1通信20のプリアンブルの検出処理と第2通信22のプリアンブルの検出処理とのうちの一方が先に実行されている。一方、ここでの検出部54は、測定部52において測定した周波数チャネル「CHx」におけるRSSIがしきい値以上である場合、第2通信22のプリアンブルの検出処理よりも先に第1通信20のプリアンブルの検出処理を実行する。つまり、プリアンブルの短い方から先にプリアンブル検出処理がなされる。これは、伝送レートの高い方から先にプリアンブル検出処理がなされることに相当する。
図6(b)では、図6(a)と同様に、測定部52において測定した周波数チャネル「CHx」のRSSIがしきい値以上であり、検出部54は、第2通信22のプリアンブルの検出処理よりも先に第1通信20のプリアンブルの検出処理を実行する。しかしながら、検出部54において第1通信20のプリアンブルが非検出であった場合の処理が、図6(a)とは異なる。測定部52は、検出部54における第2通信22のプリアンブルの検出処理が実行される前に、周波数チャネル「CHy」におけるRSSIの測定を実行する。測定したRSSIがしきい値以上でなければ、検出部54は、周波数チャネル「CHx」に戻して、第2通信22のプリアンブルの検出処理を実行する。一方、測定したRSSIがしきい値以上であれば、検出部54は、周波数チャネル「CHy」のままで、上位通信24のプリアンブルの検出処理を実行する。
図6(c)は、これまでと異なり、測定部52において測定した周波数チャネル「CHx」のRSSIがしきい値以上であったとしても、検出部54は、プリアンブルの検出処理を実行しない。測定部52は、測定したRSSIの値に関係なく、周波数チャネル「CHx」のRSSIと、周波数チャネル「CHy」のRSSIとを切りかえながら連続して測定する。測定部52は、2つのRSSIを検出部54に出力する。検出部54は、測定部52において測定した周波数チャネル「CHx」のRSSIと、周波数チャネル「CHy」のRSSIとがいずれもしきい値以上である場合、大きい方のRSSIを選択する。検出部54は、選択したRSSIの周波数チャネルにおいて、プリアンブルの検出処理を実行する。つまり、検出部54は、RSSIが小さい方の周波数チャネルよりも先にRSSIが大きい方の周波数チャネルにおいて、プリアンブルの検出処理を実行する。なお、周波数チャネル「CHx」が設定される場合、検出部54は、図6(a)と同様に、第2通信22のプリアンブルの検出処理よりも先に第1通信20のプリアンブルの検出処理を実行する。
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ハードウエアとソフトウエアの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図7は、無線装置10による受信手順を示すフローチャートである。測定部52は、周波数チャネル「CHx」のRSSIを測定する(S10)。周波数チャネル「CHx」のRSSIがしきい値以上であれば(S12のY)、検出部54は、第1通信20のプリアンブルを受信する(S14)。第1通信20のプリアンブルが検出されなければ(S16のN)、検出部54は、第2通信22のプリアンブルを受信する(S18)。第2通信22のプリアンブルが検出されなければ(S20のN)、測定部52は、周波数チャネル「CHy」のRSSIを測定する(S22)。周波数チャネル「CHy」のRSSIがしきい値以上であれば(S24のY)、検出部54は、上位通信24のプリアンブルを受信する(S26)。上位通信24のプリアンブルが検出されなければ(S28のN)、ステップ10に戻る。
周波数チャネル「CHx」のRSSIがしきい値以上でなければ(S12のN)、ステップ14からステップ20までがスキップされる。また、周波数チャネル「CHy」のRSSIがしきい値以上でなければ(S24のN)、ステップ10に戻る。第1通信20のプリアンブルが検出されれば(S16のY)、データ処理部44は、第1通信20のデータを受信する(S30)。第2通信22のプリアンブルが検出されれば(S20のY)、データ処理部44は、第2通信22のデータを受信する(S32)。上位通信24のプリアンブルが検出されれば(S28のY)、データ処理部44は、上位通信24のデータを受信する(S34)。
図8は、無線装置10による別の受信手順を示すフローチャートである。測定部52は、周波数チャネル「CHx」のRSSIを測定する(S50)。周波数チャネル「CHx」のRSSIがしきい値以上であれば(S52のY)、検出部54は、第1通信20のプリアンブルを受信する(S54)。第1通信20のプリアンブルが検出されなければ(S56のN)、測定部52は、周波数チャネル「CHy」のRSSIを測定する(S58)。周波数チャネル「CHy」のRSSIがしきい値以上であれば(S60のY)、検出部54は、上位通信24のプリアンブルを受信する(S62)。上位通信24のプリアンブルが検出されなく(S64のN)、周波数チャネル「CHx」のRSSIがしきい値以上であれば(S66のY)、検出部54は、第2通信22のプリアンブルを受信する(S68)。第2通信22のプリアンブルが検出されなければ(S70のN)、ステップ50に戻る。
周波数チャネル「CHx」のRSSIがしきい値以上でなければ(S52のN)、ステップ54、ステップ56がスキップされる。また、周波数チャネル「CHy」のRSSIがしきい値以上でなければ(S60のN)、ステップ62、ステップ64がスキップされる。周波数チャネル「CHx」のRSSIがしきい値以上でなければ(S66のN)、ステップ50に戻る。第1通信20のプリアンブルが検出されれば(S56のY)、データ処理部44は、第1通信20のデータを受信する(S72)。上位通信24のプリアンブルが検出されれば(S64のY)、データ処理部44は、上位通信24のデータを受信する(S74)。第2通信22のプリアンブルが検出されれば(S70のY)、データ処理部44は、第2通信22のデータを受信する(S76)。
図9は、無線装置10によるさらに別の受信手順を示すフローチャートである。測定部52は、周波数チャネル「CHx」のRSSIを測定する(S10)。測定部52は、周波数チャネル「CHy」のRSSIを測定する(S22)。検出部54は、RSSIの大きい方を選択する(S104)。検出部54は、RSSIの大きい方の無線通信方式のプリアンブルを受信して、プリアンブルが検出されなければ(S106のN)、検出部54は、RSSIの小さい方を選択する(S108)。検出部54は、RSSIの小さい方の無線通信方式のプリアンブルを受信して、プリアンブルが検出されなければ(S110のN)、ステップ100に戻る。プリアンブルが検出されれば(S106のY)、データ処理部44は、データを受信する(S112)。プリアンブルが検出されれば(S110のY)、データ処理部44は、データを受信する(S114)。
本実施例によれば、複数の周波数チャネルを使用する場合に、1つの通信部における周波数チャネルを切りかえさせるので、1つの通信部のみの実装で済ますことができる。また、1つの通信部のみの実装で済まされるので、回路規模の増加を抑制できる。また、処理期間の短いRSSI測定で、周波数チャネルでの受信が確からしい場合のみ処理期間の長いプリアンブル検出を実行するので、パケット信号の受信検出に失敗する確率の増加を抑制できる。また、パケット信号の受信検出に失敗する確率の増加が抑制されるので、通信を失敗する確率の増加を抑制できる。
また、短い方のプリアンブルの検出処理を先に実行するので、短い方のプリアンブルを早期に検出できる。また、短い方のプリアンブルの検出処理は短時間で実行可能であるので、これの検出に失敗しても、長い方のプリアンブルの検出処理を実行できる。また、周波数チャネル「CHx」における第2通信のプリアンブル検出処理よりも、周波数チャネル「CHy」におけるRSSI測定を先に実行するので、第2通信のプリアンブル検出処理の間に、上位通信のパケット信号の受信検出を失敗する確率の増加を抑制できる。また、2つの周波数チャネルのRSSIがいずれもしきい値以上である場合に、RSSIの大きい方を優先するので、より所望電波到来が確からしい周波数チャネルでプリアンブル検出処理を実行できる。
本発明の一態様の概要は、次の通りである。本発明のある態様の無線装置10は、第1の周波数チャネルにおける受信信号の強度の測定と、第1の周波数チャネルとは異なった第2の周波数チャネルにおける受信信号の強度の測定とを切りかえながら実行する測定部52と、測定部52において測定した受信信号の強度であって、かつ第1の周波数チャネルと第2の周波数チャネルとのうちの一方の周波数チャネルにおける受信信号の強度がしきい値以上である場合、当該一方の周波数チャネルにおいて、受信信号に含まれるべきプリアンブルの検出処理を実行する検出部54と、を備えることを特徴とする。
第1の周波数チャネルにおける受信信号には、第1のプリアンブル、あるいは第1のプリアンブルよりも長い第2のプリアンブルが含まれており、検出部54は、測定部52において測定した第1の周波数チャネルにおける受信信号の強度がしきい値以上である場合、第2のプリアンブルよりも先に第1のプリアンブルの検出処理を実行してもよい。
測定部52は、検出部54において第1のプリアンブルが非検出であった場合、検出部54における第2のプリアンブルの検出処理が実行される前に、第2の周波数チャネルにおける受信信号の強度の測定を実行してもよい。
検出部54は、測定部52において測定した第1の周波数チャネルにおける受信信号の強度と、測定部52において測定した第2の周波数チャネルにおける受信信号の強度とがいずれもしきい値以上である場合、強度が小さい方の周波数チャネルよりも先に強度が大きい方の周波数チャネルにおいて、プリアンブルの検出処理を実行してもよい。
(実施例2)
次に、実施例2を説明する。実施例2は、実施例1と同様に、複数の周波数チャネルを使用して通信する無線装置に関する。実施例1においては、RSSIの測定、プリアンブルの検出の順に処理を実行する。一方、周波数チャネル「CHx」には、第1通信および第2通信という2つの無線通信方式が使用されており、RSSIの測定結果だけでは、どちらの無線通信方式のパケット信号を受信しているかを区別できない。実施例2においては、周波数チャネル「CHx」において測定したRSSIがしきい値以上である場合に、第1通信と第2通信のうちのどちらが使用されているかを判定し、使用されていると判定された無線通信方式のプリアンブルから検出処理を実行する。実施例2に係る通信システム100は、図1と同様のタイプである。ここでは、差異を中心に説明する。
図10は、本発明の実施例2に係る無線装置10の構成を示す。無線装置10は、通信部40、探索部42、データ処理部44、制御部46を含む。また、通信部40は、受信部48、送信部50を含み、探索部42は、測定部52、判定部56、検出部54を含む。測定部52は、前述のごとく、周波数チャネル「CHx」におけるRSSIの測定と、周波数チャネル「CHy」におけるRSSIの測定とを切りかえながら実行する。測定部52は、各周波数チャネルのRSSIを判定部56に順次出力する。
判定部56は、測定部52からのRSSIを順次入力する。判定部56は、これまでの測定部52と同様に、RSSIとしきい値とを比較する。RSSIがしきい値以上である場合、検出部54は、当該RSSIを測定したときの周波数チャネルを特定し、特定した周波数チャネルを制御部46に通知する。制御部46は、周波数チャネルの通知を検出部54から受けつけると、受信部48を当該周波数チャネルに固定する。
特定した周波数チャネルが「CHy」である場合、判定部56は、検出部54に対してプリアンブルの検出処理の実行を指示する。その際、検出部54は、これまでと同様に上位通信24に対するプリアンブルの検出処理を実行する。一方、特定した周波数チャネルが「CHx」である場合、前述のごとく、第1通信20のパケット信号と第2通信22のパケット信号を受信している可能性がある。これらのパケット信号は、異なった伝送レートを有しており、前者が100kbps、後者が40kbsである。そのため、判定部56は、受信部48からのベースバンド信号が100kbpsの伝送レートを有するか、あるいは40kbpsの伝送レートを有するかを判定する。
このような判定を行うために、判定部56は、測定部52においてRSSIを測定するために使用されていた400kHzの帯域幅を200kHzに変更してRSSIを測定する。図2(b)に示したように、第1通信20のための1つの周波数チャネルは、400kH幅を有しており、当該1つの周波数チャネルの中に、第2通信22のための200kHz幅の周波数チャネルが2つ含まれている。判定部56は、周波数チャネル「CHx」に含まれた「CHx−1」と「CHx−2」のRSSIをそれぞれ測定する。「CHx−1」のRSSIと「CHx−2」のRSSIのいずれもがしきい値以上であれば、判定部56は、ベースバンド信号を100kbpsの伝送レートと判定する。一方、「CHx−1」のRSSIと「CHx−2」のRSSIのいずれか一方がしきい値より小さければ、判定部56は、ベースバンド信号を40kbpsの伝送レートと判定する。判定部56は、判定結果を検出部54に出力する。
検出部54は、周波数チャネル「CHx」を処理対象とする場合、判定部56において判定した伝送レートを優先して、プリアンブルの検出処理を実行する。例えば、判定部56において100kbpsと判定されれば、検出部54は、第1通信20のプリアンブルの検出処理を先に実行する。検出処理による相関値がしきい値よりも小さい場合、検出部54は、第2通信22のプリアンブル検出処理を続いて実行する。一方、判定部56において40kbpsと判定されれば、検出部54は、第2通信22のプリアンブルの検出処理を先に実行する。検出処理による相関値がしきい値よりも小さい場合、検出部54は、第1通信20のプリアンブル検出処理を続いて実行する。
図11(a)−(b)は、無線装置10による動作概要を示す。図11(a)は、周波数チャネル「CHx」において測定されたRSSIがしきい値以上であり、判定部56における伝送レート判定によって100kbpsとされた場合の動作を示す。100kbpsの伝送レートと判定されたので、第1通信20のプリアンブルに対する検出処理が実行された後に、第2通信22のプリアンブルに対する検出処理が実行される。いずれものプリアンブルが検出されなかった場合、周波数チャネル「CHy」のRSSIが測定される。RSSIがしきい値以上である場合、上位通信24のプリアンブルに対する検出処理が実行される。図11(b)は、周波数チャネル「CHx」において測定されたRSSIがしきい値以上であり、判定部56における伝送レート判定によって40kbpsとされた場合の動作を示す。40kbpsの伝送レートと判定されたので、第2通信22のプリアンブルに対する検出処理が実行された後に、第1通信20のプリアンブルに対する検出処理が実行される。
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図12は、無線装置10による受信手順を示すフローチャートである。測定部52において測定された周波数チャネル「CHx」がしきい値以上である(S150)。判定部56は、伝送レートを判定する(S152)。検出部54は、判定した方のプリアンブルを受信する(S154)。プリアンブルが検出されなければ(S156のN)、検出部54は、判定しなかった方のプリアンブルを受信する(S158)。プリアンブルが検出されなければ(S160のN)、制御部46は、周波数チャネルを「CHy」に変更する(S162)。プリアンブルが検出された場合(S156のY)、あるいはプリアンブルが検出された場合(S160のY)、データ処理部44は、データを受信する(S164)。
本実施例によれば、伝送レートを判定し、判定した伝送レートの方からプリアンブル検出処理を実行するので、最初の検出処理で検出する確率を増加できる。また、最初の検出処理で検出する確率が増加するので、検出処理の期間を短縮できる。また、最初の検出処理で検出する確率が増加するので、パケット信号の受信検出に失敗する確率の増加を抑制できる。
本発明の一態様の概要は、次の通りである。第1の周波数チャネルにおける受信信号は、第1の伝送レート、あるいは第1の伝送レートよりも低速な第2の伝送レートを有しており、測定部52において測定した第1の周波数チャネルにおける受信信号の強度がしきい値以上である場合、当該受信信号が第1の伝送レートを有するか、あるいは当該受信信号が第2の伝送レートを有するかを判定する判定部56をさらに備えてもよい。検出部54は、判定部56において判定した伝送レートを優先して、プリアンブルの検出処理を実行してもよい。
(実施例3)
次に、実施例3を説明する。実施例3は、これまでと同様に、複数の周波数チャネルを使用して通信する無線装置に関する。これまでは、RSSIの測定、プリアンブルの検出の順に処理を実行している。実施例3では、第1通信、上位通信の伝送レートがさらに高速である場合を想定する。これまでは、第1通信、上位通信の伝送レートは100kbpsであり、これらのプリアンブルの検出処理には、200μsec要している。実施例3では、第1通信、上位通信の伝送レートは200kbpsであるとする。そのため、これらのプリアンブルの検出処理には100μsec要することになり、RSSI測定のために要する期間と同じになる。実施例3においては、第1通信、上位通信のパケット信号の受信を検出するために、RSSI測定を実行せずに、プリアンブル検出処理だけを実行する。一方、第2通信のパケット信号の受信を検出するためには、これまでと同様に、RSSIの測定、プリアンブルの検出処理が順に実行される。実施例3に係る通信システム100は、図1と同様のタイプである。ここでは、差異を中心に説明する。
図13は、本発明の実施例3に係る無線装置10の構成を示す。無線装置10は、通信部40、データ処理部44、制御部46、第1探索部60、第2探索部62を含む。また、通信部40は、受信部48、送信部50を含み、第1探索部60は、測定部64、検出部66を含み、第2探索部62は、検出部68を含む。
第1探索部60は、周波数チャネル「CHx」におけるパケット信号の探索処理を実行する。前述のごとく、周波数チャネル「CHx」において受信されるパケット信号には、図3(a)に示すプリアンブル、あるいは図3(b)に示すプリアンブルが含まれている。測定部64は、前述の測定部52と同様に、周波数チャネル「CHx」におけるRSSIを測定する。検出部66は、周波数チャネル「CHx」において、測定部64において測定したRSSIがしきい値以上である場合、第2通信22のプリアンブルの検出処理を実行する。一方、検出部66は、周波数チャネル「CHx」において、測定部64の測定前に、第1通信20のプリアンブルの検出処理を実行する。
第2探索部62は、周波数チャネル「CHy」におけるパケット信号の探索処理を実行する。第2探索部62には、検出部68だけが含まれ、検出部68は、周波数チャネル「CHy」において、上位通信24のプリアンブルの検出処理を実行する。周波数チャネル「CHy」では、上位通信24だけがなされているので、第2探索部62に測定部は含まれない。なお、ここでは、説明を明瞭にするために、互いに異なった周波数チャネルに対する処理を実行する第1探索部60と第2探索部62とを別に示したが、これらは、1つの構成要素にまとめられてもよい。制御部46は、第2探索部62と第1探索部60とを切りかえながら動作させる。
図14は、無線装置10による動作概要を示す。周波数チャネル「CHx」において、RSSI測定がなされずに、検出部66による第1通信20のプリアンブル検出処理がなされる。第1通信20のプリアンブルが検出されなかった場合、測定部64によるRSSI測定がなされる。ここでは、測定部64において測定したRSSIがしきい値以上ではなかったので、周波数チャネルが「CHy」に切りかえられ、検出部68による上位通信24のプリアンブル検出処理がなされる。なお、測定部64において測定したRSSIがしきい値以上である場合、検出部66による第2通信22のプリアンブル検出処理がなされる。いずれかのプリアンブルが検出されれば、そのまま受信処理が実行される。
このように、プリアンブル検出に要する期間がRSSI測定に要する期間以下となるような高速な伝送レートを有した無線通信方式を探索する際は、RSSI測定を実行せずに、プリアンブル検出処理だけが実行される。一方、プリアンブル検出に要する期間がRSSI測定に要する期間よりも長くなるような伝送レートを有した無線通信方式を探索する際は、これまで通り、RSSI測定を実行してから、プリアンブル検出処理が実行される。
本実施例によれば、プリアンブルの検出処理に要する期間が短ければ、RSSI測定を実行しないので、処理の期間を短縮できる。また、RSSI測定を実行せず、プリアンブルの検出処理を実行するので、受信の正確性を向上できる。
本発明の一態様の概要は、次の通りである。本発明の別の態様もまた、無線装置10である。この装置は、第1の周波数チャネルにおける受信信号の探索処理を実行する第1探索部60と、第1の周波数チャネルとは異なった第2の周波数チャネルにおける受信信号の探索処理を実行する第2探索部62と、第2探索部62と第1探索部60とを切りかえながら動作させる制御部46とを備える。第1の周波数チャネルにおける受信信号には、第1のプリアンブル、あるいは第1のプリアンブルよりも長い第2のプリアンブルが含まれており、第1探索部60は、第1の周波数チャネルにおいて、受信信号に含まれるべき第1のプリアンブルの検出処理を実行する検出部66と、第1の周波数チャネルにおける受信信号の強度の測定を実行する測定部64とを備える。検出部66は、測定部64において測定した第1の周波数チャネルにおける受信信号の強度がしきい値以上である場合、第2のプリアンブルの検出処理を実行する。
(実施例4)
次に、実施例4を説明する。実施例4は、これまでと同様に、複数の周波数チャネルを使用して通信する無線装置に関しており、第1通信および第2通信に対して周波数チャネル「CHx」を使用するとともに、上位通信に対して周波数チャネル「CHy」を使用する。これまでの説明対象は、主に、パケット信号の受信検出であったが、ここでは、各周波数チャネルに対する受信区間の制御に関する。一般的に、周波数チャネル「CHy」を使用したスマートメータからのパケット信号の受信は、30分間隔のような、パケット信号長と比較して十分長い間隔でなされる。このような状況を考慮して、本実施例における無線装置は、周波数チャネル「CHy」でのパケット信号を受信すると、スマートメータからのパケット信号の受信間隔に近い間、周波数チャネル「CHx」において受信を実行する。実施例4に係る通信システム100は、図1と同様のタイプである。ここでは、差異を中心に説明する。
図15は、本発明の実施例4に係る無線装置10の構成を示す。無線装置10は、通信部40、データ処理部44、制御部46を含む。また、通信部40は、受信部48、送信部50を含み、データ処理部44は、第1受信処理部80、第1送信処理部82、第2受信処理部84、第2送信処理部86を含む。
第1受信処理部80は、周波数チャネル「CHx」において受信処理を実行し、第1送信処理部82は、周波数チャネル「CHx」において送信処理を実行する。第2受信処理部84は、周波数チャネル「CHy」において受信処理を実行し、第2送信処理部86は、周波数チャネル「CHy」において信号処理を実行する。
制御部46は、データ処理部44の動作を制御する。例えば、第2受信処理部84がスマートメータ16からのパケット信号の受信に成功した場合、一定期間にわたって、第2受信処理部84を停止させつつ、第1受信処理部80を動作させる。図16(a)−(b)は、無線装置10による動作概要を示す。図16(a)は、制御部46による受信区間の切替を示す。周波数チャネル「CHy」において、第2受信処理部84がパケット信号の受信に成功すると、制御部46は、周波数チャネルを「CHx」に切りかえ、一定期間にわたって、周波数チャネルを「CHx」を受信区間に設定する。ここで、一定期間の長さは、スマートメータ16からのパケット信号の受信周期−N分に設定される。スマートメータ16からのパケット信号の受信周期は、前述のごとく、例えば30分である。N分は、最大回数の再送に要する時間、あるいはそれ以上の時間である。一定期間経過後、制御部46は、周波数チャネルを「CHy」に切りかえ、前述の処理を繰り返す。図16(b)については後述し、図15に戻る。
制御部46は、周波数チャネル「CHx」に設定されている一定期間において、一時的に、第2送信処理部86にパケット信号を送信させる。第2送信処理部86は、周波数チャネル「CHy」においてスマートメータ16へパケット信号を送信する。このパケット信号は、本無線装置10宛に送信すべきデータがスマートメータ16において発生しているか否かを問い合わせるための信号である。無線装置10では、一定期間にわたって周波数チャネル「CHx」に設定されるので、その間にスマートメータ16において仮に無線装置10宛のデータが発生し、それを含んだパケット信号が送信されても、無線装置10は、そのパケット信号を受信できない。最大、一定期間においてパケット信号が受信できないので、処理遅延が大きくなる。このような状態の発生を抑制するために、第2送信処理部86は、前述の問い合わせるためのパケット信号をスマートメータ16に送信する。
スマートメータ16は、無線装置10からのパケット信号を受信すると、新たなデータの発生を確認する。新たなデータが発生している場合、スマートメータ16は、当該新たなデータが含まれたパケット信号を無線装置10に送信する。一方、新たなデータが発生していない場合、スマートメータ16は、無線装置10へパケット信号を送信しない。
制御部46は、第2送信処理部86にパケット信号を送信させた後、送信に続く限定的な期間であって、かつ一定期間よりも短い限定的な期間において、第1受信処理部80を停止させつつ、第2受信処理部84を動作させる。つまり、周波数チャネル「CHx」に設定されている一定期間に、周波数チャネル「CHy」の設定を限定的に割り込ませる。限定的な期間は、無線装置10とスマートメータ16との間をパケット信号が往復する期間、スマートメータ16での処理遅延を考慮して、例えば、5秒に設定される。スマートメータ16からパケット信号が送信されている場合、第2受信処理部84は、限定的な期間において、パケット信号を受信する。一方、スマートメータ16からパケット信号が送信されていない場合、第2受信処理部84は、限定的な期間において、パケット信号を受信しない。
制御部46は、限定的な期間の経過後、第2受信処理部84を停止させつつ、第1受信処理部80を動作させる。つまり、周波数チャネルの設定が「CHy」から「CHx」に戻される。制御部46は、このような割り込みを所定時間間隔、例えば1分に1回で行う。また、制御部46は、第1受信処理部80から第2送信処理部86の動作に応じて、通信部40に周波数チャネルを設定させる。なお、ここでは、説明を明瞭にするために、互いに異なった周波数チャネルに対する処理を実行する第1受信処理部80および第1送信処理部82と、第2受信処理部84および第2送信処理部86とを別に示したが、これらは、1つの構成要素にまとめられてもよい。
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図17は、無線装置10による受信手順を示すフローチャートである。周波数チャネル「CHx」の受信区間中であれば(S200のY)、制御部46は、周波数チャネルを「CHy」に変更して、第2送信処理部86に問合信号を送信させる(S202)。第2受信処理部84が応答信号を受信すれば(S204のY)、スマートメータ16と通信する(S206)。第2受信処理部84が応答信号を受信しなければ(S204のN)、制御部46は、周波数チャネルを「CHx」に戻す(S208)。周波数チャネル「CHx」の受信区間中でなければ(S200のN)、ステップ202からステップ208はスキップされる。
本実施例によれば、周波数チャネル「CHy」でのパケット信号を受信すると、一定期間にわたって、周波数チャネル「CHx」において受信を実行するので、周波数チャネル「CHx」での受信確率を向上できる。また、周波数チャネル「CHy」でのパケット信号を受信すると、一定期間にわたって、周波数チャネル「CHx」において受信を実行するので、処理を簡易にできる。また、周波数チャネル「CHx」において受信を実行している期間において、周波数チャネル「CHy」でパケット信号を送信するので、スマートメータに問い合わせできる。また、周波数チャネル「CHy」でパケット信号を送信した後、周波数チャネル「CHy」でのパケット信号の受信を待つので、スマートメータからの応答を受けつけることができる。また、周波数チャネル「CHx」において受信を実行している期間であっても、スマートメータからの応答が受けつけられるので、処理遅延の増加を抑制できる。
本発明の一態様の概要は、次の通りである。本発明のさらに別の態様は、無線装置10である。この装置は、第1の周波数チャネルにおいて受信処理を実行する第1受信処理部80と、第1の周波数チャネルとは異なった第2の周波数チャネルにおいて受信処理を実行する第2受信処理部84と、第2の周波数チャネルにおいて信号を送信する第2送信処理部86と、第2受信処理部84が信号の受信に成功した場合、一定期間にわたって、第2受信処理部84を停止させつつ、第1受信処理部80を動作させる制御部46とを備える。制御部46は、一定期間において、(1)第2送信処理部86に信号を送信させ、(2)第2送信処理部86による信号の送信に続く限定的な期間であって、かつ一定期間よりも短い限定的な期間に、第1受信処理部80を停止させつつ、第2受信処理部84を動作させる。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本発明の実施例3において、伝送レートが低い方の第2通信22に対しては、RSSIを測定してから、検出部66は、プリアンブルの検出処理を実行している。しかしながらこれに限らず例えば、無線装置10に登録された第1種端末装置12、スマートメータ16の台数が少なく、第2種端末装置14の台数が多い場合、第2通信22に対しても、検出部66は、RSSI測定を実行せずに、プリアンブルの検出処理を実行してもよい。本変形例によれば、第1種端末装置12、スマートメータ16に与える影響を増加させずに、第2通信22のパケット信号の受信検出に要する期間を短縮できる。
本発明の実施例1から3において、探索部42、第1探索部60、第2探索部62は、2つの周波数チャネルに対して、パケット信号の受信検出を実行している。しかしながらこれに限らず例えば、第1種端末装置12、第2種端末装置14が無線装置10に登録されていない場合、周波数チャネル「CHx」に対する受信検出を実行しなくてもよい。また、スマートメータ16が無線装置10に登録されていない場合、周波数チャネル「CHy」に対する受信検出を実行しなくてもよい。本変形例によれば、1つの周波数チャネルだけで受信検出がなされるので、パケット信号の受信検出に失敗する確率の増加を抑制できる。
本発明の実施例1から3において、無線装置10には、1つの受信アンテナが備えられている。しかしながらこれに限らず例えば、無線装置10には、2つ以上の受信アンテナが備えられてもよい。その場合、無線装置10は、アンテナダイバーシチを実行し、RSSIを両アンテナで比較し、RSSIの大きいを選択する。本変形例によれば、受信確率を向上できる。
本発明の実施例1から4において、無線装置10は、2つの周波数チャネルを使用している。しかしながらこれに限らず例えば、無線装置10は、3つ以上の周波数チャネルを使用してもよい。その場合、3つ以上の周波数チャネルのうちの2つに対して、実施例の処理が実行される。本変形例によれば、通信システム100の構成の自由度を向上できる。